令和元年東京都議会会議録第二十号

○議長(石川良一君) 八十三番中山信行君。
〔八十三番中山信行君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○八十三番(中山信行君) 初めに、防災対策について質問します。
 台風十九号が襲来した十月十二日、足立区では百四十六カ所の避難所などが開設、開放され、私も十五カ所を回り、避難者などからお話を伺いました。
 小池知事は、我が党の要請に応え、急遽、足立区内の都立高校や東京武道館などを開放し、地元区長からも感謝の声が寄せられております。
 今後は、震災時だけではなく、水害時にあっても都の施設で避難を直ちに受け入れることができるよう、都職員の応招や備蓄の取り扱いなどの自発的な備えを進めるとともに、区市との協議、連携を進めるべきであります。都教育委員会並びに総務局の見解を求めます。
 その上で、足立区では今回、最大三万三千百七十二名が避難し、あふれかえる施設も出ました。寝具や食料など備蓄の不足は明らかであり、貯蔵施設もふやす必要があります。
 その点、足立区内三カ所の都立公園は皆、防災公園としての役割を担っており、都は、地元区と連携し、公園での備蓄倉庫の増設などの期待に前向きに応えるべきです。全都での対応も含め、見解を求めます。
 あらゆる災害を想定し、あらかじめ避難施設などでは非常用の電源を確保しておくべきです。既に舎人公園では大規模な非常用発電機を備えており、周辺の施設にも電力を供給できます。
 今後は、大規模救出救助活動拠点ではない防災公園においても、すべからく災害対応拠点としての機能を確保するため、非常用電源の整備を図るとともに、駅前に立地する足立区内の東綾瀬公園では、電源確保はもちろんのこと、防災機能の一層の強化を図るべきと考えます。見解を求めます。
 防災に関連して二点質問します。
 まず、都立公園の駐車場の活用です。
 災害時にはさまざまな機能を担う都立公園でありますが、私は日常的にもさらなる活用が可能ではないかと考えております。
 舎人公園内の三カ所の駐車場は約六百台の駐車が可能で、花見やバーベキューのシーズンは入庫待ちの列も発生します。しかし、平日の夜はほとんど利用されておりません。
 一方で、公園の周辺道路には荷おろしを待つ大型トラックなどが朝まで長時間駐車しております。取り締まりの強化も必要ですが、夜間あいている公園の駐車場を利用できれば、違法駐車の台数が減り、地域の生活環境も改善されます。
 都は、足立区と連携し、積極的に公園駐車場の有効活用を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、足立区中川の下水道局、土づくりの里について質問します。
 建設発生土の改良施設である土づくりの里では、今後、砂ぼこり被害などを防ぐ覆蓋を建設し、完成後は隣接する中川水再生センター屋上の中川公園A地区と一体的に整備し、水害時には高台の避難場所となります。
 しかし、昨今、A地区と高さをそろえるためには、基底部を当初案より深く掘り下げなければならないことが判明し、工期や費用の圧縮のため、覆蓋をA地区より高くする案が浮上してきました。
 都は、その状況を地元に伝え、協議会を通じて意向の再確認を行ったと聞いております。
 一方、中川公園A地区の地盤高は地上六メートルであり、最悪の被害想定の浸水でも安全とされております。
 そうであれば、地元にとっては迷惑施設でもある土づくりの里について、その恒久化につながる覆蓋の設置にわざわざ同意を寄せてくださった住民の利便を最優先にすべきであります。
 覆蓋は中川公園A地区と同じ高さにそろえてこそ、公園としての使い勝手のよさも増します。改めて下水道局の見解を求めます。
 次に、医療、福祉の分野において、今後ますます需要が高まるでありましょう課題の中から三点質問いたします。
 一点目は、がんゲノム医療の進展です。
 私の知人で、末期の肺がんにより余命数カ月の宣告を受けた方が、ゲノム医療によって通常の日常生活を送れるまで回復しております。ALK、アルク阻害剤というがんの原因となる異常たんぱく質の増殖を抑える分子標的治療薬の効果であり、これは中央区築地に立地する国立がん研究センターの間野博行所長らのグループがかつて発見した染色体転座、染色体が入れかわって遺伝子が結合する遺伝子変異に関する治療薬であります。
 従前の標的薬が健康な細胞の増殖も抑えてしまうのに対し、ALK阻害剤は、がん細胞の増殖だけを抑える効果があります。
 間野所長には、私も九月十二日と十一月二十六日の二回にわたり面談の機会を得ました。今後のゲノム医療には、外科手術が困難な部位や病状であっても回復を可能にすることが期待されており、世界の研究機関の国を挙げての競争が激化すると予想されております。
 その点、我が国は世界に類を見ない国民皆保険というメリットがあります。これを活用して、アジア系人種や日本人に特有の遺伝子変異の症例を蓄積するなど、創薬と臨床との連携を強化するとともに、全ゲノム解析を全うできれば、安価で治療効果の高い新しいがんゲノム医療薬の開発が進みます。国も予算増に取り組む方針です。
 都民の命を守るため、首都東京のポテンシャルを遺憾なく発揮して、ゲノム医療の進展に協力していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、最近では、次世代シークエンサーと呼ばれる装置が開発され、百種類以上のがんの遺伝子を一度に調べて解析し、原因となる遺伝子変異を見つけるがん遺伝子パネル検査と呼ばれる技術が進歩しています。本年六月には保険適用となっております。
 がん医療は、ゲノム情報に基づく個別治療の時代を迎えており、国は、中核拠点、拠点、連携の三種の病院を指定、配備し、全国どこでも、必要とするがんゲノム医療が可能な体制を目指しています。
 こうしたネットワークの構築に寄与することは、都立病院の重要な使命といえます。積極的に対応すべきであり、見解を求めます。
 二点目は、みとりの推進です。
 人生の締めくくり方は、本人や家族など当事者の意思の問題であり、その選択は可能な限り尊重されるべきものと考えます。
 それを大前提に、延命治療による心身の負担を回避し、緩和ケアを利用しながら、家族と語らったり、来し方を振り返ったりしながらの最終章を迎えるみとりの希望にも適切に対処できる環境を整備しなければなりません。
 かつて我が党では、サービスつき高齢者住宅や有料老人ホームで、入居者の約七割に達するみとりを実現している銀木犀という事業者を招いて学んだことがありました。みとりの際の様子をお別れ会の場で新しい入居者や家族に紹介し、年月を重ねるごとに賛同の輪が広がっているとのことでありました。
 しかし、医師や看護師が配置されている特別養護老人ホームでは、サ高住や有料老人ホームと比べれば、よりみとりに取り組みやすい環境が整っているにもかかわらず、取り組みが進んでいない施設もあります。制度の問題というよりは、関係者、特に医療スタッフの意欲や意識の問題が根強いと思われます。
 特養などの介護施設で、みとり希望への対応力の向上を図るべく、都が積極的に取り組むべきであり、見解を求めます。
 また、障害者福祉施設においても入所者の高齢化が進み、みとりの経験者などをヘッドハンティングする動きも見られます。
 しかし、障害者の入所施設では、医師や看護師の配置が十分ではなく、みとりに不可欠な訪問看護ステーションも利用できません。
 都は、この点の改善を国に求めるとともに、みずからも障害者施設でのみとりの対応力の向上を図るべきです。見解を求めます。
 三点目は、成年後見人制度の充実です。
 認知症の増加や障害者の高齢化などによって、成年後見人制度への期待は一層高まるものと考えられます。とりわけ親亡き後を心配する知的障害者などの家族は、安心して利用できる成年後見人制度を待ち望んでいます。
 しかし、後見人による不正が後を絶たず、肉親である後見人による不正も続いています。適切な選定と育成、選定後の第三者による監視や評価、必要な是正などが円滑に実施されるよう都が改善を図るべきです。
 加えて、昨年制定した東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例では、障害者を人権などの権利の主体として捉えることに特徴があります。
 成年後見人制度でも、代理者による決定中心から、本人による意思決定に重きを置く支援制度に改めるべきです。あわせて見解を求めます。
 関連して、条例では、事業者の定義を都内に存するものと定めております。
 一方、都内での施設建設が困難であった時代から、やむを得ず発展してきた都外施設は、都と協定を締結し、入居者を都が独占しているにもかかわらず、なぜ条例の対象外なのかと疑問の声が上がっています。都外施設を排除するものではないことを文書をもって明確に示すべきです。見解を求めます。
 最後に、教育、とりわけ時間講師の会計年度任用職員制度への移行についてであります。
 正規教員を補完して授業を担ういわゆる時間講師は、法改正に伴い、来年度から会計年度任用職員に移行します。校務こそ担当しないものの、授業力にすぐれた教員も多く、チーム学校を支える即戦力として不可欠な存在であります。
 しかし、制度の移行に伴って、時間講師の待遇が後退するといった臆測が流れており、不安を呼んでいます。都の時間講師の待遇は、他県に増して改善されてきたものであり、待遇の後退は時間講師の意欲の喪失につながります。今後も適切な待遇を確保するべきであり、見解を求めます。
 さらに、制度移行に関する時間講師への説明のなされ方が学校ごとにさまざまであり、丁寧さに欠ける面もあるようであります。
 都内の小中高の公立学校における時間講師の総数は六千人に及んでおり、説明会の会場や日程の確保は簡単ではないと思います。
 しかし、このままでは臆測や不信を解消できずに新制度を迎えてしまいます。学校任せではなく、都教育委員会が責任を持って直接全希望者を対象に説明会を実施するべきであります。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、がんゲノム医療についてお答えをいたします。
 がんゲノム医療におきましては、主に患者のがんの組織を用いて一度に多数の遺伝子を調べて、がんの原因となる遺伝子を特定することによって、より効果が高い治療薬を選択することが可能となるため、治療成績の向上が期待されているところでございます。
 現在の我が国におきましては、治療薬の候補が見つかる患者の割合が少ない、また、がんゲノム医療の進展には、新規薬剤の開発など、克服すべき課題はございます。
 生涯のうちに約二人のうち一人ががんに罹患するといわれる中で、将来的にがんゲノム医療が確立され、治療効果が飛躍的に高まりますと、患者本人のみならず、親族など身近な人にとっても大変な朗報であると考えます。
 現在、国におきまして、がんゲノム医療の進展に向けて、医療提供体制の整備、人材の育成、研究の推進等に取り組んでいるところであります。
 都といたしまして、こうした国の動向を注視しながら、がんゲノム医療に関する情報を東京都がんポータルサイトで広く提供するほか、都立駒込病院や多摩総合医療センターにおきまして、ゲノム医療の進展に貢献をしてまいります。
 今後も、がん患者が必要な医療等を受けながら、自分らしく生活を送ることができますよう、がん対策を着実に推進をしてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からのご答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、水害時における都立学校の避難受け入れ体制についてでございますが、都立学校の多くは、避難所や一時滞在施設の指定を受け、住民等の避難先としての役割を担っております。さきの台風十九号では、区市町村からの要請に基づき、二十二校の都立学校を避難場として開設をいたしました。
 今回の一連の台風等を踏まえた大規模風水害検証会議の検証結果では、各都有施設が初動体制を確保する取り組みとして、緊急対応要員の選任や区市町村との開設手順の整理、地元町会等との協議などに取り組むことが示されております。
 今後、都教育委員会は、この検証結果に基づき、関係機関と連携を図りながら、避難所等となっている都立学校が地元の区市町村等と事前の協議を進め、災害時に円滑に機能を発揮できるよう努めてまいります。
 次に、公立学校における時間講師の勤務条件についてでございますが、時間講師につきましては、非常勤職員の適正な任用、勤務条件の確保を趣旨とする地方公務員法等の改正により、来年度から会計年度任用職員制度の適用を受けることとなります。
 このため、さきの第三回定例会における関係条例の改正等により、適切な勤務条件を整備したところでございます。
 具体的には、基本給に当たる報酬単価に係る経験年数に応じた設定区分の拡大や、期末手当の支給開始などにより、制度改正前と比較いたしまして、年間報酬額は維持、増額となっております。また、夏季休暇や育児休業等を新たに設けますほか、休暇制度の変更に対する配慮といたしまして、来年度から三年間の経過措置を設けております。
 都教育委員会は、子供の教育に重要な役割を担う時間講師が活躍できるよう、適切な勤務条件の確保に努めてまいります。
 最後に、会計年度任用職員制度への移行に関する時間講師への説明についてでございますが、都内公立学校において、時間講師が児童生徒に対して質の高い授業を安心して行うためには、来年度から適用されます会計年度任用職員制度に基づく勤務条件等の改正内容を本人に周知していくことが必要でございます。
 都教育委員会はこれまで、関係する条例及び規則の改正概要をまとめた資料や、改正内容を盛り込んだ採用候補者選考案内の配布、さらに、個別に問い合わせの多かった事項をまとめた質疑応答集の配布により、その周知を図ってきたところでございます。
 今後、より一層の理解促進を図るために、時間講師の採用候補者決定後、速やかに都教育委員会主催の説明会を開催するなど、改正内容の丁寧な周知に努めてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 水害時に避難先となる都有施設についてでございますが、都はこれまで、区市町村との協定により、学校施設などを避難所として提供してまいりました。
 今後はこれに加え、震災時に行き場のない帰宅困難者を滞在させる場所である都立の一時滞在施設を新たに避難先として活用することとし、各施設管理者において、発災時に速やかに開設できる体制を確保してまいります。
 具体的には、休日、夜間を含む緊急対応要員を選任し、区市町村との間での開設手順等を整理した管理マニュアルの充実を図るとともに、日ごろから地元町会等との間で避難時の行動についての確認を行うなど、事前の準備を進めてまいります。
 こうした取り組みにより、風水害時における避難先を確保し、災害対応力の向上を図ってまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立公園における備蓄倉庫の増設についてでございますが、東京都地域防災計画では、避難者のための水、食料、医薬品などの備蓄や配給は区市町村の役割としております。
 都は、これらの区市町村の備蓄を支援するため、地域防災計画で避難場所に指定されている都立公園におきまして、公園管理上、特段の支障がなく、備蓄品が食料等災害応急対策に必要な物資である場合などに倉庫の設置を認めております。
 これまで都立公園では、東綾瀬公園の外九公園において、地元区市により備蓄倉庫が設置をされております。
 今後、備蓄倉庫の増設につきまして、地元区市からの要望に際しましては、十分に連携をし、対応を図ってまいります。
 次に、都立公園の防災機能の強化についてでございますが、震災時の避難場所や救出救助活動の拠点となる公園では、発災時において、管理所等が初動体制を確立し、都民が安全に避難できることが重要でございます。
 このため、停電時も電源を確保できるよう非常用電源を整備しており、これまで葛西臨海公園など八公園で完了し、今年度、十九公園で整備を進めております。
 東綾瀬公園では、緊急時に大型車両が通行するための園路改修や、蓄電池を備えた照明灯の整備等を行ってまいりました。
 今後、管理所の非常用発電設備の設置に加え、トイレが断水時も使用できるよう建てかえてまいります。
 引き続き、着実な整備を進め、都立公園の防災機能の強化に取り組んでまいります。
 最後に、都立公園の駐車場の有効活用についてでございますが、都立公園の駐車場は、広域的な利用に応え、車で来園する利用者のために設置されております。
 そのため、公園内にある運動施設やドッグランなどの利用時間帯に合わせて利用されております。
 駐車場を夜間に大型車両が利用することは、本来目的である公園利用者へのサービスに支障がないこと、夜間の安全管理、大型車両が出入りできる道路幅やゲート設備の確保など課題も多くございます。
 駐車場の有効活用につきまして、今後、公園の利用状況や地元からの要望などを踏まえながら検討してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 土づくりの里の覆蓋についてでございますが、土づくりの里は、建設資源を有効活用するため、下水道工事による建設発生土を改良し、埋め戻し用の土として再利用している重要な施設でございます。今後、上部は覆蓋し、隣接する中川公園と一体的に再整備する計画としております。
 再整備に当たりましては、覆蓋の高さを中川公園にそろえた場合には、地盤を約五メートル掘り下げる必要があることから、大量の土砂の搬出が伴うなど大規模な工事となり、工期も長期間に及びます。
 このため、地元や関係機関で構成します中川公園整備検討協議会におきまして、覆蓋を高くして地盤の掘削を抑える方法を提示し、意見交換を進めてまいりましたが、地元の意見を尊重し、覆蓋の高さは、中川公園と高さをそろえ整備することといたしました。
 引き続き、地元や関係機関等と連携を図りながら、土づくりの里の整備を進めてまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 都立病院のがんゲノム医療への貢献についてでございますが、駒込病院は、本年九月、従来のがんゲノム医療連携病院から、遺伝子パネル検査の医学的解釈がみずからの施設で完結できるがんゲノム医療拠点病院に指定されまして、より高度な役割を担うこととなりました。
 今後、中核拠点病院である国立がんセンター中央病院、東京大学病院、慶應病院と連携して専門人材の育成等を行い、ゲノム医療のさらなる推進に寄与してまいります。
 また、多摩総合医療センターが、中核拠点病院である慶應病院、京都大学病院等との連携のもと、本年四月にがんゲノム医療連携病院に指定され、多摩地域の三つの指定病院の一つとしてゲノム医療を進めております。
 今後、都内でゲノム医療を必要とする患者が適時適切に受診できるよう、迅速な治療や受診機会の拡大に貢献してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護施設でのみとりについてでありますが、誰もが住みなれた地域で暮らし、施設等の暮らしの場で希望に沿った最期を迎えられるよう、都は、介護施設の医療、介護職を対象に、人生の最終段階に関する本人の意思決定支援や、家族等への対応などの内容を盛り込んだ研修を実施し、みとりへの理解を深めるとともに、実践力の向上を図っております。
 今年度は、特別養護老人ホーム等の施設がより積極的にみとりに取り組めるよう、管理者向けに、適切なみとりの実施に向けた体制づくりなどを学ぶ研修を開催することとしており、まさに本日実施しているところでございます。
 また、三月末までに、施設の配置医師向けに、みとりへのかかわり方などを盛り込んだパンフレットを作成、配布し、施設でのみとりを促進してまいります。
 次に、障害者施設でのみとりについてでありますが、現在、障害者支援施設では、入所者の高齢化や重度化が進んでおり、今後、施設でのみとりの必要性が高まることが予想されております。
 現行の障害福祉サービス等報酬では、医師の配置への十分な評価やみとりの介護に対する加算がないほか、医療保険による訪問看護等も利用できないなど、施設でのみとりにも必要な医療体制の確保を行うことができる制度にはなっておりません。
 このため、都は国に対して、施設での医療体制を確保できる報酬とするよう要望するとともに、みとりのニーズや、その実施に必要な条件を把握するための調査、関係団体との意見交換を行うなど、障害者施設でのみとりへの対応力向上に向け、検討を進めてまいります。
 次に、成年後見制度についてでありますが、都は、判断能力が十分でない方が安心して生活を継続できるよう、その方の状況に合った後見人候補者を推薦するマッチング機能の強化を図る区市町村を今年度から包括補助で支援しております。
 また、後見人等を支えるため、後見監督人による指導助言とあわせ、福祉や法律の専門職が定期的にサポートを行う体制整備などについても補助しているところでございます。
 今後、意思決定支援の視点も踏まえ、適切な後見人等が選任され、より本人の意思を尊重した対応ができるよう、区市町村におけるこうした体制整備を推進するとともに、家庭裁判所や弁護士会等の専門職団体と連絡会を開催するなど、連携を強化してまいります。
 最後に、障害者差別解消条例についてでありますが、この条例は、社会全体で障害者への理解を深め、差別を解消する取り組みを推進することを目的としており、都は、障害を理由とする差別的取り扱いや合理的配慮の提供などに関する相談に対応し解決を図るため、広域支援相談員を設置しております。
 相談員は、お話の都内から都外の施設に入所している障害者等からの相談についても対応することとしており、条例の対象外とするものではございません。
 今後、都外施設の関係者にこうした条例の考え方を文書で説明するとともに、条例についてわかりやすく解説したパンフレット等で情報提供を行い、ご意見を伺いながら丁寧に対応してまいります。

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