令和元年東京都議会会議録第二十号

   午後一時開議

○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例三件、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(石川良一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 二十五番清水やすこさん。
〔二十五番清水やすこ君登壇〕

○二十五番(清水やすこ君) まず、さきの台風十九号で発生した災害に関連して伺います。
 初めに、水害情報の収集についてです。
 都の水防災総合情報システムは、今回の台風においても映像情報として有意義でしたが、国管理の河川は国土交通省が別途情報提供しており、基礎自治体を含めた総合的な情報提供のための連携強化は大きな課題です。
 また、都のシステムにおいては、府中より西の多摩川水系には監視カメラが一台もなく、避難に際しては近隣住民などが撮影したネット上の情報が頼りであったという指摘もあり、都の映像情報を充実させる必要があります。
 都民が避難を判断する際などで、河川の状況把握、特に映像情報は非常に重要、有効であり、都の管理上の目的だけでなく、都民にとっても使える情報として、河川の監視カメラや水位計の充実が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、被害場所のデータ集約について伺います。
 台風十九号による被害状況が住民によりツイッターなどで次々とアップされましたが、都が直接情報を収集する体制がなく、その都度、現場の方が市や都などの担当者に何回も説明し、疲弊したとの苦情をいただきました。
 今後、膨大な情報の中で、都で災害に関する情報をどのように収集、集約し、災害対応に生かしていくのか伺います。
 次に、被災者の都営住宅への受け入れについてお伺いいたします。
 都営住宅の緊急貸し出しにより、被災者の方々に大変喜ばれた一方で、十二日に発生した台風の被害に対する都営住宅の受け付けが、三連休が重なったこともあり、十八日金曜日になり六泊を要しました。閉庁日でも対応した局があった中で、今後、都民の生活に直結する住宅部門でも速やかに受け付けすべきでした。
 そこで、災害発生に伴い、都民の生命や生活が危機に頻している緊急時には、住宅部門はできるだけ速やかに受け付けをするべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、ペットの同行避難についてお伺いいたします。
 さきの台風十九号では、区市町村によってペットの同行避難に関する対応が異なり、ペットの避難スペースが屋外の避難所では同行避難できないケースがありました。
 都は、区市町村におけるペットの同行避難が円滑に行われるよう、区市町村の同行避難の体制整備を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、西多摩地域の土砂災害対策について伺います。
 都民の命を守る土砂災害対策は、待ったなしです。都が防災事業の緊急総点検で前倒しした土砂災害警戒区域の指定は、ことし九月末までに都内全域約一万五千カ所で完了しました。
 地域別では、西多摩地域が五千カ所と、三分の一を占めていますが、その中には避難所も多く含まれており、砂防堰堤等のハード整備により、都民が安全で安心して逃げ込める環境を整えることが重要です。
 そこで、西多摩地域における土砂災害警戒区域内に避難所が含まれる箇所の砂防事業の取り組みについて伺います。
 次に、多摩河川の土砂しゅんせつについて伺います。
 今回の台風十九号で被害のあった秋川や平井川の流域から、被害の要因の一つに、川に積もった土砂が原因ではないですかとの声がありました。今後は、河川内の土砂を適切に管理する必要があると思います。
 そこで、これまでの多摩地域の河川における土砂しゅんせつ等の取り組みと、今回の台風を受けた対策について伺います。
 次に、森林政策についてお伺いいたします。
 都では、五十年、百年先の東京の森林の将来展望として、東京フォレストビジョンを発表しました。花粉の少ない杉への植えかえの促進、多摩産材のブランド化、木材利用の促進等の七つのメッセージが記述されております。
 平成三十年度の杉林等の伐採実績は二万一千立米、他方、都の二〇二〇年に向けた実行プランでは、二〇二〇年の伐採量の目標値が三万立米となっており、今後、伐採の拡大に向けて、伐採や植えかえを担う技術者の育成が重要です。都の見解をお伺いいたします。
 次に、鳥獣被害についてお伺いいたします。
 今年度は、全国的にツキノワグマの出没がふえています。環境省によりますと、都内では十月末の暫定値では九十八件の出没、目撃があり、捕獲数は十頭となっており、私の地元の西多摩地域でも、今まで出没していない市町村で目撃情報が出たり、人身事故も発生しています。過疎化、高齢化により、集落周辺の里山も十分な管理が行き届かなくなり、人の家の付近まで熊が出没しやすい状況になっていると考えます。
 ツキノワグマに関しては、東京都のレッドリストでは絶滅危惧種の評価がなされており、その保護に配慮する必要がもちろんありますが、何よりも重要なのは、住民の安全や安心を確保することです。ツキノワグマへの対策についての都の見解を伺います。
 次に、エネルギーの地産地消について伺います。
 台風十九号では、私の地元の西多摩地域でも停電が発生し、奥多摩町や日の出町で都道が崩落し、住民が孤立する被害が発生しました。
 分散型電力は、災害時の電力供給にも効果があり、西多摩地域でも、太陽光のほか、豊富な森林資源や河川を利用した温浴施設や公共施設等で間伐材を活用した熱利用、小水力発電の事例が見られます。
 地産地消型の再生可能エネルギーは、災害対策の観点からも非常に有効で、その導入拡大をしっかりと進めていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、持続可能な資源の再生利用についてお伺いいたします。
 本年十月のプラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方についての東京都廃棄物審議会答申では、使い捨てプラスチックの大幅削減や、プラスチック製品、容器包装の再利用、再生利用の推進等について、さまざまな観点から提言がなされています。今後、都として、これらの施策の速やかな具体化が求められます。
 資源利用の増大、気候変動、生物多様性の喪失など、多くの課題に直面する中、都は、さらなる持続可能な資源利用に向け、家庭やオフィスビルから排出されるプラスチックの3Rを強力に推進し、地球規模の課題に対して積極的に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さて、巨大IT企業に対する課税について伺います。
 私も委員を務めております東京都税制調査会は、今年度、国境を越えてインターネット空間で事業を展開するGAFAなど巨大IT企業に対する課税が実施された場合に備え、法人税増収に伴う地方税増収分が地方に帰属することや、その具体的な配分方法を今から検討することなど、初めて地方税の観点から国際課税に対する提言を行いました。
 国レベルでは、地方への配分を視野に入れた検討は全く行われておらず、強い危機感を抱かざるを得ません。
 よって、今のうちから地方へのデジタル課税の税収がしっかり確保されるよう、都として国に積極的な働きかけを行うべきと思いますが、都の見解を伺います。
 介護におけるICTの活用について伺います。
 東京都では、今後、深刻な介護職の不足状態に陥ることが予測されており、私たちは繰り返し、介護人材への支援を求めてきました。これらの取り組みで得られた知見をもとに、介護におけるICT活用を今後も一層拡大すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 パラスポーツについて伺います。
 障害者スポーツの国際大会について伺います。
 私たちはかねてより、東京二〇二〇大会を契機に、パラリンピック種目のみならず、聴覚障害者の方や知的障害者の方が対象となるデフリンピックやスペシャルオリンピックスについても光を当てる必要があると訴えてきました。より一層の障害者スポーツの振興に向けた取り組みを具体化すべき時期が来ています。
 東京二〇二〇大会後に、トップアスリートが集う障害者スポーツの国際大会の東京での開催を具体的に検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、公立小中学校における外国人等の子供への対応について伺います。
 都が本年八月に示した未来の東京への論点によれば、都内の小中学校に在籍する外国人児童生徒数がここ五年で二倍にふえていると認識しています。文部科学省の調査では、都内の公立小中学校における日本語指導が必要な児童生徒数は、平成二十六年には約三千人でございましたが、五年後の平成三十年には約四千人と一・三倍に増加しています。
 今後も、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法でございますが、の一部改正により、外国人児童生徒がさらに増加していきます。
 日本語指導を必要とする児童生徒の支援は、各区市町村が都に一方的に報告している状況です。例えば参加した人数や時間、指導員等の工数、民間委託の状況など、詳しく把握していないとのことですが、地元では、特に受験期などを中心に、きめ細やかな対応を望む声を伺っています。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会への支援をさらに進めていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、自殺対策について伺います。
 お産のときに亡くなる率は十万人に四・一人ですが、専門家によると、妊産婦の自殺は十万人に八・五人で、倍以上、自殺未遂を含めると三、四倍というデータもあります。私は出産経験がありますので、とてもその気持ちがわかると同時に、これは政策で確実に減らせるものだと思っています。
 また、私が国税局在籍のときには、多重債務者の方の滞納処分にかかわっていたことがありますが、自殺を企図する方には、いろいろな医療機関との連携も必要と考えています。
 政策で救える命もあります。自殺防止のため、踏み込んだ政策対応が必要ですが、都の見解を伺います。
 次に、予期せぬ妊娠に伴う特定妊婦などへの同行支援について伺います。
 これまで我が会派では、同行支援について何度も取り上げてまいりました。親にも相談できない若年の妊婦などは、相談機関の方に同行してもらって初めて医療機関につながる場合も多くあります。
 産後二十四時間以内に亡くなる子供が多いのは周知のとおりですが、危険を伴う出産を減らすため、最後まで細やかなケアをしていかないと、母体も危険になる場合があります。都でも積極的に同行支援に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、都立病院の地方独立行政法人化について伺います。
 昨日の代表質問において、あたかも今回の方針が突然決まったかのような答弁がありましたが、改めてこれまでの検討経緯について病院経営本部長に伺います。
 また、地方独立行政法人への移行については今後どのような手続で進めていくのか、本部長の答弁を求めます。
 最後に、西多摩地区は、医療等において非常に厳しい実情があります。地方独立行政法人化に当たっては、西多摩地区を含め、多摩地域全体の医療の向上につながるよう強く求め、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水やすこ議員の一般質問にお答えいたします。
 私には、持続可能な資源利用についてのお尋ねがございました。
 資源の大量消費が気候変動や生物多様性の損失を地球規模で引き起こしており、使い捨て型の大量消費社会から持続可能な資源利用への大胆な移行が求められているところであります。
 とりわけプラスチック問題に関しましては、海洋プラスチックごみによる環境汚染を契機に、国際的にも早急な対策が求められています。都におきましても、こうした地球規模の課題に率先して取り組んでいく責務がございます。
 そこで、都は、ワンウエープラスチックの大幅な利用削減を進めた上で、二〇三〇年までに家庭や大規模オフィスビルから排出されます廃プラスチックの焼却量を四割削減するという目標を掲げております。年内に策定いたしますプラスチック削減プログラムの中で、プラスチックの3Rの推進に向けました取り組みの方向性と具体策を示してまいります。
 例えば、区市町村と連携をいたしまして、家庭から排出されるプラスチック製容器包装のリサイクル率の大幅な向上を目指してまいります。
 また、オフィスビルにおきましては、その廃棄物処理実態を踏まえまして、オーナーとテナントの連携によります効率的な分別、リサイクルを誘導してまいります。
 都民、事業者、区市町村等との連携を一層強化いたしまして、共感と協力を得ながら、ゼロエミッション東京の実現に向けまして、持続可能な資源利用の推進に先導的に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 外国人等の子供に関する区市町村教育委員会への支援についてでございますが、外国語を母語とする子供たちが充実した学校生活を送るためには、都と区市町村の役割分担を踏まえた適切な支援を行うことが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、これまで実施してまいりました日本語指導のための資料や教材の作成、日本語学級設置校や日本語指導が必要な子供が多く在籍する学校への教員の加配などに加えまして、今年度は、学校向け多言語翻訳システムを活用する区市町村教育委員会に対する補助を行っているところでございます。
 今後は、日本語学習教材の改訂や区市町村教育委員会が行う外部人材の派遣、ICTの活用等への支援につきましても検討してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、河川監視カメラや水位計の充実についてでございますが、水害から都民の命を守るためには、河川の状況をわかりやすく伝える監視カメラの設置など、住民の避難に資するソフト対策を進めることが重要でございます。
 都は、平成二十七年より、都内二十四カ所におきまして、監視カメラの映像をホームページで公開しております。
 昨年度の防災事業の緊急総点検を受けまして、今年度より、監視カメラや水位計の設置箇所の拡大について検討を実施しております。検討に当たっては、設置箇所の拡大に伴うシステムの課題への対応に加えて、都内全域の河川を対象に、台風第十九号を含めた近年の被害実績などを踏まえ、設置する河川や箇所などを選定してまいります。
 迅速な避難行動につながるよう、住民が容易に入手できるわかりやすい水防災情報のさらなる充実に取り組んでまいります。
 次に、西多摩地域の避難所を守る砂防事業についてでございますが、土砂災害から都民の命と暮らしを守るためには、住民の避難につながるソフト対策に加え、土石流を防止する砂防事業等のハード対策を推進することが重要でございます。
 砂防事業では、土砂災害警戒区域内におきまして、避難所の有無等を考慮し、優先度をつけて計画的に実施をしております。
 西多摩地域におきましては、避難所が含まれる優先度の高い箇所として、現在二十九カ所確認をしております。このうち奥多摩町白丸地区など四カ所につきましては、砂防堰堤の位置や規模等を示す砂防基本計画を策定しており、順次、工事に向けた設計を進めております。今年度は、青梅市成木地区など六カ所で新たに基本計画を策定いたします。
 今後とも、都民の安全・安心の確保に向け、砂防事業を着実に進めてまいります。
 最後に、多摩地域の河川のしゅんせつ等についてでございますが、豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、安全性の早期向上を図るため、河川施設の良好な維持管理に加え、再度の災害を防ぐ対策を推進することが重要でございます。
 秋川や平井川などでは、河川整備計画に基づき、定期的な点検の結果や地元からの要請を受け、治水面の機能を確保する必要がある場合に、しゅんせつ等による河床の整正を行っております。実施に当たり、可能な範囲において、生物の生育環境の保全にも配慮しております。
 今後、今回の台風を踏まえまして、護岸や河道等の詳細な点検を実施し、必要に応じて根固め等により護岸を強化するとともに、土砂を管理し、流下能力の向上を着実に推進いたします。
 多摩地域の河川におきまして、良好な自然環境に配慮しながら、豪雨に対する安全性の向上に取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 災害時における情報の収集、集約についてでございますが、大規模な災害が発生した際、都民がツイッター等のSNSを用いて発信するさまざまな情報を災害対応に活用することは非常に重要でございます。
 都では、災害に関するツイッター情報を時間別、地域別に分類し、情報の真偽も含めて分析、集約するシステムであるD─SUMMを導入し、災害対応や関係機関の情報提供に活用しているところでございます。
 現在、災害情報システムの再構築を行っており、これに合わせまして、今後新たに、都内火災発生情報の収集の自動化や隣接県の災害情報の共有化等の仕組みを導入してまいります。
 こうした取り組みを通じ、大規模災害発生時における情報収集等の強化を図ってまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 被災者の都営住宅への受け入れについてでございますが、被災により居住継続が困難になった世帯に対し、生活再建等を支援する観点から、都営住宅を緊急一時避難施設として提供することは重要でございます。
 このため、都は、台風第十九号の通過に伴い、都営住宅の安全確保に努めつつ、通過後の十月十三日早朝から必要な点検、修繕を行いますとともに、必要な住戸数を把握するため、十五日までに都内民間住宅の浸水等の被害状況を確認いたしました。
 これを踏まえ、被災地域を勘案して空き住戸を確保し、生活に必要な備品の手配等を行い、十七日に被災者の受け入れを公表いたしました。翌日から受け付けを開始し、現在、五十四世帯が入居済みでございます。
 被災者の生活支援のため、作業手順の改善を図りまして、受け入れまでの期間を可能な限り短縮できるよう努めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の動物との同行避難についてでありますが、都は、災害時に区市町村が動物との同行避難の受け入れに際して的確な行動がとれるよう、マニュアル等を示すとともに、ケージや応急処置用品など、避難所で必要となる物資の備蓄等を包括補助で支援しております。
 今般の台風の際には、同行避難の受け入れをめぐり混乱が生じた例があり、先日の大規模風水害検証会議におきましても、区市町村から、同行避難への対応に苦慮したため、都に統一見解を求める意見があったと報告されております。
 こうしたことを踏まえ、今後、今回の風水害時の各自治体の対応状況や課題について調査を行い、全区市町村に対して年度内に情報提供するほか、専門家からも意見を伺いながら、風水害時の具体的な対応策を取りまとめ、同行避難の受け入れ体制整備を支援してまいります。
 次に、介護職場におけるICT活用についてでありますが、介護職場では、業務の効率化や職員の負担軽減が課題となっていることから、都は今年度、ICT導入による業務全般の改善計画を策定の上、夜間の見守りを支援するセンサーや職員間の情報共有を図る機器の導入などを進める特別養護老人ホーム等への補助を開始し、順調に利用されております。
 また、今年度から、他の事業所が導入する際のモデルとなるよう、都の補助を受けて次世代介護機器を導入した施設に対し、機器の効果的な活用や定着のための実践的な研修を実施しているところでございます。
 今後、ICTの導入を検討している施設の参考となるよう、先進的な事例のホームページでの紹介や施設見学会の実施など、介護職場でのさらなる活用を促進してまいります。
 次に、自殺対策についてでありますが、平成二十八年の東京都の自殺者数は二千二百二十四人であり、原因、動機別に見ると、複数回答ではありますが、まず、健康問題が千人、経済、生活問題が二百九十八人の順となっており、七百七十人の方は原因不詳となってございます。
 自殺の要因となり得るものは六十九項目ございまして、亡くなった方は平均四つの要因を抱えていたという民間団体の調査結果もあり、原因を単純化することはできないといわれております。
 都は、福祉、医療、経済、教育等の関係機関や区市町村から成る会議で、支援団体や自死遺族の方々からさまざまな実情も聞いており、昨年六月には、東京都自殺総合対策計画を策定いたしました。
 今後とも、関係機関や区市町村と連携しながら、事前予防、危機対応、事後対応にわたって、自殺防止対策を総合的に推進してまいります。
 最後に、若年妊婦への支援についてでありますが、現在、区市町村では、妊娠届け出時の面接等、さまざまな機会を通じて悩みを抱える妊婦を把握し、医療機関等への同行を含め、必要な支援につなげる取り組みを行っております。
 都が実施している妊娠相談ほっとラインでは、看護師等の専門職が電話やメールで相談に応じており、平成三十年度の十代からの相談は三百五十八件で、全体の一割を超えております。特に継続的な支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげているところでございます。
 お話の同行支援につきましては、国において、産科受診等が困難な妊婦を対象に、民間機関を活用した医療機関等への同行や初回産科受診料への支援を行う補助事業を今年度創設しており、都は、本事業を年度内に実施する予定としております。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 林業の担い手の育成についてですが、健全で活力ある森林を次世代に継承するためには、伐採、利用、植栽、保育という森林循環を担う技術者の育成が重要でございます。
 都は、平成十八年度から主伐事業を実施しており、これまで約六百ヘクタールの杉林などを伐採いたしました。
 近年、伐採エリアが奥地の急傾斜地に移行してきており、伐採木を搬出するためには高度な技術が必要となっております。
 一方、都内の林業事業体は小規模零細でございまして、こうした技術を習得させるための人材育成が困難な状況でございます。
 このため、今後、高度な伐採搬出技術を持つ人材を育成する仕組みを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、林業技術者の技術力を高め、林業の振興を図ってまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ツキノワグマ対策についてでございますが、集落に出没し、食品などをあさるツキノワグマは、人的被害を発生させるおそれがあることから、有害鳥獣の捕獲許可制度を運用し、事故発生の回避に努めております。
 一方、ツキノワグマは繁殖力が低いため、捕獲等は必要最小限にとどめることが求められます。
 このため、ツキノワグマの出没の抑制等の対策を実施することが有効であり、今年度新たに、集落周辺のやぶの刈り払いや電気柵の設置、見回りの強化など、ツキノワグマが集落に出没しにくい環境づくりを地元自治体と連携しながら実施しています。
 今後も、ツキノワグマの保護と管理のバランスをとりながら、その対策に取り組んでまいります。
 次に、地産地消型再生可能エネルギーの導入拡大についてでございますが、地産地消型の再エネは、CO2削減はもとより、再エネ拡大に伴い将来的に想定される電力系統の負担軽減にも有効でございます。
 また、太陽光発電等と蓄電池を組み合わせることで、夜間や自然災害などによる停電時にも継続して再エネ電気を利用できるため、自立電源確保の観点からも重要でございます。
 地産地消型再エネ拡大事業の利用は、補助率等の見直しにより増加傾向にあり、これまで一般家庭約千六百世帯分の年間電力使用量を賄うことができる約四千二百キロワットの太陽光発電の申請等を受け付けているほか、蓄電池の申請も増加しております。
 今後とも、災害対策などにも資する地産地消型再エネ導入の拡大を図る施策の検討を進めてまいります。
〔主税局長塩見清仁君登壇〕

○主税局長(塩見清仁君) GAFAなど巨大IT企業への課税に係る地方の税収確保についてでございます。
 現行制度は、国境を越えて活動する企業に対して、支店等の拠点がない国は課税ができない仕組みであるため、租税回避のための利益移転や税源浸食等が問題となっており、現在、OECDを中心に議論が進められております。
 今後、新たな国際課税ルールが策定され、法人税収が増加した場合、地方交付税原資の拡充とともに、地方法人課税の増収も見込まれるところでございます。
 都といたしましては、こうしたデジタル企業が地方自治体から受ける受益の程度に応じた分配手法などの検討も必要であると認識をしております。
 そのため、東京都税制調査会答申等も活用しながら、地方税制への影響も見据えた議論がなされるよう、国に強く求めてまいる所存でございます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 障害者スポーツの国際大会についてでありますが、障害者スポーツの振興において、身近なスポーツの機会の確保や環境整備に加え、国際大会の開催で多くの方に障害者スポーツに触れていただくことも重要であります。
 都は現在、東京二〇二〇大会後を見据え、デフリンピックを初めとした国際的な障害者スポーツ大会について、基礎資料の整備のための調査を実施しており、年度内に結果を取りまとめる予定でございます。
 調査の過程におきまして、大会運営のより詳細な実態の把握に加え、主体となるスポーツ統括団体や競技団体の役割、体制が重要であることが明らかになってまいりました。
 こうした調査結果なども踏まえ、東京二〇二〇大会後もさまざまな障害者スポーツの国際大会が開催されますよう、都としても競技団体等と連携し取り組んでまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 地方独立行政法人化の検討経緯についてでございますが、都立病院の経営形態のあり方につきましては長年の課題であり、さまざまな検討を行ってまいりました。
 この間、平成三十年一月に、外部有識者から成る都立病院経営委員会から、将来にわたって役割を果たすためには、現行の地方公営企業法の一部適用では限界があり、制度的に最も柔軟な一般地方独立行政法人への移行について検討すべきとの提言がございました。
 この提言を踏まえまして、都は、都立病院新改革実行プラン二〇一八を平成三十年三月に策定し、地方独立行政法人への移行を含めた各経営形態における人事給与、財務面等のメリット、デメリットなど、病院現場の運営実態を踏まえて検証を行い、経営形態のあり方を検討することといたしました。
 そこでまず、病院現場の運営実態を踏まえた現行の経営形態における課題検証を行い、平成三十年十一月には、病院事業に関する見える化改革報告を行いました。
 また、公認会計士など専門家の知見を活用した都立病院の経営のあり方に関する調査及び支援業務委託を行い、本年三月に、地方公営企業法の一部適用及び全部適用、地方独立行政法人、指定管理の各経営形態の比較検証、病院現場へのヒアリング結果等を踏まえまして、課題解決に向けた方向性の提案等の報告を受けたところでございます。
 さらに、都みずからも、他団体のさまざまな先行事例調査等を行うとともに、都民ニーズを踏まえた医療機能強化について、各都立病院との意見交換なども行いました。
 また、公社病院につきましても、都立病院改革を進めるのに合わせて、都立病院との連携強化のあり方などについて、東京都保健医療公社とともに検討を進めてまいりました。
 本年八月、未来の東京への論点の中で、二〇四〇年代も見据え、医療課題が一層深刻化することを踏まえて、都立、公社病院の改革の推進が課題として示されました。これを踏まえまして、検討をさらに深めるとともに、法人の出捐者である東京都医師会等と地域医療の充実などについて意見交換を行ってまいりました。
 本年九月の第三回都議会定例会ではこのような状況を踏まえ、代表質問におきまして長期戦略の策定に合わせて検討を深めていく旨の答弁を行ったところでございます。
 このように都として、丁寧、十分に検討を重ねた上で地方独立行政法人への移行の準備を開始することとしたものでございます。
 なお、昨日の代表質問での私の答弁で誤解が生じたことはおわびを申し上げたいと思います。
 次に、移行に向けた今後の手続についてでございますが、地方独立行政法人法では、法人の設立に当たり、目的や業務の範囲に関する事項、資産に関する事項など、法人の根本原則となる定款につきまして、議会の議決を経て定めた後に総務大臣の認可を受けることとなります。
 また、住民に対して提供するサービスや業務の質の向上などに関し、法人が達成すべき業務運営に関する中期目標について議会の議決を経て都知事が策定することなどの手続が定められております。
 こうした準備を進めるに当たりまして、まずは都民や地域の医療機関など関係者の理解が得られるよう、年末までに新たな病院改革のビジョン案を策定し、地方独立行政法人への移行準備を開始するに至った考え方や、地方独立行政法人化により充実する医療などについてお示しをいたします。
 ビジョン案につきましては、パブリックコメントにより、都民等の意見を伺うとともに、令和二年第一回都議会定例会においてご説明をする予定でございます。
 今後とも、地方独立行政法人化に向け、議会でのご議論や職員、都民、関係者などの声をしっかりと聞きながら、丁寧、着実に準備を進めてまいります。

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