令和元年東京都議会会議録第十九号

○議長(石川良一君) 七十八番山口拓君。
〔七十八番山口拓君登壇〕

○七十八番(山口拓君) 私は、都議会立憲民主党・民主クラブを代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 質問に先立ち、さきの台風十五号及び台風十九号によってお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
 初めに、災害対策について伺います。
 このたびの台風被害を受け、長野県知事は十月三十一日に百二十六億円、福島県知事は十一月十五日に七十六億円規模の補正予算を専決し、既に被災者支援に取り組んでいるところです。
 被災世帯の生活再建は、住宅再建への支援をいかに迅速に行うかにかかっています。受けられる支援内容が定まらず、都の補正予算の成立を待たなければならないのでは、不安に寄り添っているとはいえません。
 ことし七月、議会の議決を経ることなく、予備費を使って、高齢者安全運転支援装置設置促進事業を創設した知事が、なぜこのたび、定例の都議会まで二カ月以上も待って補正予算案を提出したのか不思議でなりません。
 住民生活や経済活動を一日も早く回復ができるよう、区市町村は、被災住民に寄り添って、昼夜を問わず支援を行っており、都としても緊急の対応が必要です。
 私は、専決処分は決して好ましいとは考えませんが、被災者に寄り添うのであれば、臨時議会を招集し、早期に対応すべきであったと考えますが、知事の見解を伺います。
 知事提案の補正予算には、電源等の確保として、都立一時滞在施設にスマートフォン等が充電できる充電用機器を配備することなどが計上されています。
 しかし、このたびの台風被害の大きな教訓は、想定を大きく超える長期停電であったと考えます。
 災害対応力を上げるには、災害の検証が重要です。千葉の災害を真正面から受けとめれば、導き出される教訓は、これまで三日とされていた非常用電源確保の期間延長、避難所等の自立電源確保です。
 昨年の第四回定例会での補正予算審議の際にも、喫緊の課題は避難所の自立電源確保だと全く同じ指摘をいたしました。
 避難所における自立電源確保は、再エネ、蓄エネ、停電時始動の熱電併給などをまとめて支援することで、平常時には温室効果ガス削減に役立ち、停電時にも機能を維持できます。
 避難所等における自立電源確保を強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 これまで私たちは、気象災害時などにおける知事の非常事態宣言や公的機関の休止により、被害や社会的混乱を最小限にするための取り組みを求めてきました。
 特に保育所は、小中学校のような休校や学級閉鎖の根拠法令がなく、園の判断による休園が困難です。今般の台風襲来時には、前日から保育士が泊まり込み、開園に備えた保育所がありました。しかし、避難する必要が生じた場合、暴風雨の中の乳幼児の移動は大変危険であり、事故発生のリスクもあります。
 また、園内で感染症が流行しても、同じ理由で休園できず、感染拡大につながっています。
 このような、一定程度予測できる気象災害のときや、感染症の拡大防止のための臨時休園については、統一的な基準を定める必要があり、国がやるからではなく、都として早急に対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 各区ホームページや国交省のライブカメラにアクセス集中でつながらない事象が多数発生し、都のホームページもつながりにくい時間があったとのことです。
 災害時のよりどころとなるインターネットでの情報提供を継続するためには、巨額の予算をかけなくとも、アクセスの集中を想定し、非常用モードに切りかえる、ミラーリングで分散させるなど、さまざまな対応が考えられます。
 災害時の情報提供継続に向けて、とりわけ区市町村のホームページにおける対応策を早急に講ずるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、アクセスを待つ受け身だけではなく、プッシュ通知機能を持つ防災アプリも数多く存在しますが、事前登録を必要とします。危険が迫っている地域にそのときいる人に対して、一斉にお知らせするような情報発信機能の飛躍的強化が必要と考えますが、見解を伺います。
 ここまで災害対応での緊急課題について伺ってきましたが、観測史上経験のない台風や豪雨をたびたび経験した現在、過去の災害から導き出された教訓による対策だけで果たして十分でしょうか。気候変動予測の科学的な知見に基づき、変化を見越して調整池などの整備水準や避難警戒体制を見直すなど、激甚化する自然災害の後手に回らないよう、ハード、ソフト両面から着手することが急務です。
 気温の上昇、豪雨の頻発、熱中症救急搬送患者の増加など、東京においても気候変動の影響で多くの犠牲者を出し、都民の生活、社会経済活動にも多大な被害を与えており、今後も拡大すると指摘されています。
 気候変動に対処し、都民の生命、財産を守り、経済社会活動の持続可能な発展を図るためには、緩和策に全力で取り組むことはもちろんのこと、予測される被害の回避、軽減を図る対応策に都庁を挙げて全力で取り組むことが必要であると考えます。
 今後避けることのできない気候変動による影響への対応策を計画的に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、貧困対策について伺います。
 まず、ゆりかご・とうきょう事業について伺います。
 東京都は、この事業について、五年間の時限、令和元年度までで終了するとしています。
 私たちは当初から、本事業は、子育て支援、中でも要支援家庭の早期発見、早期支援に重要な役割を果たすことから、全区市町村での実施を目指して取り組むよう求めてきました。
 出産、育児に関する課題は多様化しておりますが、中でもサービス利用や相談に消極的とされる貧困などの課題を抱えた世帯も含め、全ての子供たち、お母さん一人一人と専門職が面談して、妊娠中から切れ目のない支援を行うことは非常に効果的な事業です。
 東京において誰ひとり孤立させず、産後鬱の状態に取り残されず、必要な支援を届けるためには、このゆりかご・とうきょう事業は終了させるどころか、さらに充実発展させて継続すべきです。見解を伺います。
 学校給食について、世田谷区は、ことし十月一日から、就学援助制度の拡充により、学校給食の無償化の範囲が拡大しました。現在、学校給食の完全無償化は、都内四自治体で実施されており、世田谷区など四自治体で一部無償化、その他多くの自治体で食材費の補助などを実施しています。
 私は、学校給食の無償化に向け、東京都として各自治体の取り組みを支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 あわせて、学校給食費等の公会計化については、教職員の負担軽減に大いに資することから、積極的に推進すべきと考えますが、現在の区市町村の実情も含め、見解を伺います。
 身の丈に合わせてという文部科学大臣の発言が問題になりましたが、私も、この発言は、所得の低い方を身の丈の中に追い込む過度な自己責任論にほかならないと大きな憤りを感じます。
 特に私は、貧困率が高い母子家庭に対する対策は急務であると考えていますが、昨今、貧困の原因ともなっている養育費の不払いへの対応が注目されています。
 例えば、明石市では、家庭裁判所で示された養育費が支払われない場合、それを立てかえる制度を始めると聞いています。
 私は、都としても、これまでの取り組みをさらに進め、都内自治体と連携するなどして養育費の立てかえ制度を創設するなど、支援策の充実強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 また、私は、受験生チャレンジ支援貸付事業の拡充などが必要であると考えます。この制度は、一定の所得基準以下の人たちに対して、塾代の貸し付けや高校、大学等の受験費用を貸し付け、入学した場合等には償還を免除するもので、困難の連鎖を断ち切るためにも極めて効果的な事業です。
 しかし、私は、現状を鑑みるに、貸付対象や限度額の拡充など、受験生チャレンジ支援貸付事業をさらに拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、公契約条例について伺います。
 自治体発注の仕事によって、ワーキングプアや貧困を生じさせてはなりません。公契約条例は、ことし十月にも新宿で制定をされ、既に都内十の自治体が制定をしています。
 また、昨今制定された条例の中には、公契約にかかわる従業員の賃金規定だけではなく、環境保全や人権などの社会的価値の向上を基本理念に盛り込んだものも見られます。
 そこで、私は、ポスト東京二〇二〇大会を見据えた上で、都として公契約条例を制定すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、都民の就労を応援する条例について伺います。
 私たちは、障害者やひとり親、ひきこもりなど、働く意欲がありながらも就職できない人たちを応援していこうという条例の基本理念については、大いに賛同するものです。
 施策を大きく前進させ、一人でも多くの就労に困難を抱える都民が、自分らしく働き、活躍できることを期待するものですが、条文からは、そのための制度、仕組みや都の取り組みなどの具体性は読み取れません。現行の障害者雇用促進策を上回り、かつ対象を広げた取り組みの実行こそが、就労に困難を抱える都民の希望であると考えますが、この条例を根拠としてどのような施策を推進しようとしているのか、知事の見解を伺います。
 ところで、そもそも東京都自身の取り組みはどうなっているのでしょうか。とりわけ東京都教育委員会は、障害者雇用について法定雇用率に達していないことが何度も議会で指摘をされてきました。
 平成三十年六月一日現在、教育委員会の障害者雇用率は二・一%と、平成三十年以前の法定雇用率二・二%にさえ達しておらず、ことしの数字は二・〇%を切るのではないかともいわれています。
 現在の法定雇用率二・四%を早期に実現すべきと考えますが、ことし六月一日現在の障害者雇用率の現状も含め、見解を伺います。
 就労に困難を抱える人たちへの支援として、情報提供及び相談、職業能力の開発、職場定着への支援等が列挙されています。しかし、彼らの自立につなげていくためには、住まいの確保という視点を初め、日常生活または社会生活上の支援などにも配慮して、就労支援を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 就労に困難を抱える人の中には、ブラック企業で働いたことで働く意欲を奪われてしまった人や、就職活動で不採用が続いたことでひきこもりになってしまった人などもおり、抱える困難はさまざまです。
 私は、こうした人たち一人一人に寄り添い、就労に向けて一歩踏み出すための支援策が必要であると考えますが、見解を伺います。
 以上で都議会立憲民主党・民主クラブを代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山口拓議員の代表質問にお答えいたします。
 台風被害への早期対応についてのご質問がございました。
 都内においても深い爪跡を残した今般の台風により被災された方々が、一日も早く日常生活を取り戻していただけるよう支援することが、都民の生命と財産を守るべき知事としての使命であると認識をいたしております。
 こうした観点から、私自身も現場の状況をこの目で確かめ、生活必需品や応急対策用の物資の提供、道路の復旧など被災された方々の生活に直結する緊急性の高い課題につきまして、補正予算の編成を待つことなく、直ちに取り組むよう関係各局に指示をいたしまして、スピード感を持って対応したところでございます。
 加えまして、本定例会に提出をいたしております補正予算案につきまして、被害を受けた市町村に対する特別交付金による財政支援など、早期の復旧を後押しするとともに、頻発する災害から都民の皆様をしっかりと守るための予算を時期を逸することなく計上したところでございます。
 引き続き、被災された方々の声に耳を傾けまして、寄り添いながら、効果的に施策を講じてまいります。
 避難所等におけます自立電源の確保についてのお尋ねでございます。
 近年、大型台風や地震により各地で大規模な停電が発生をしており、被災者が集まる避難所や一時滞在施設などにおきましても、非常用電源が確保されることは重要であります。
 これまで都は、区市町村が避難所等におきまして非常用電源となる太陽光発電設備などの設置を行う場合の経費を支援する補助制度を設けてまいりました。
 また、今回の補正予算では、平時は都や区市町村の庁有車として配備しております電気自動車や燃料電池車などを災害時、避難所等の非常用電源としても活用できる外部給電器の配備や、都立一時滞在施設におけます蓄電池や充電器の整備を提案したところでございます。
 こうした取り組みを通じまして、引き続き、都内の避難所等におけます非常時の電源確保を図って、セーフシティー東京を実現してまいります。
 災害時のホームページによります情報提供継続策でございますが、台風十九号の通過時に幾つかの区市町村のホームページにおきまして、閲覧に時間がかかる、もしくは閲覧ができないという事態が発生をいたしました。
 そこで、早急に対応を図ることといたしまして、こうした事柄も含めまして、台風第十五号及び第十九号等に伴います防災対策を検証するように指示をしたところでございます。
 先月、その検証結果を公表しまして、都としてアクセス集中時の改善ガイドライン等を作成の上で、区市町村に提供することといたした次第でございます。
 現在、各自治体のシステム構成や導入している対策及び当日の対応につきましての詳細を調査中でございます。その結果をもとにしまして、ガイドラインを作成し、二月には区市町村に提供していきたいと考えております。
 今後とも、アクセス集中時にもダウンしないホームページの構築など、区市町村と連携をいたしまして、災害時の情報発信体制を強化して、災害に強い、誰もが安心して暮らせるセーフシティーの実現に向け、取り組みを進めてまいります。
 気候変動適応策の計画的な推進についてのお尋ねでございます。
 近年の猛暑や豪雨を通じまして、私たちは改めて地球温暖化の影響の甚大さを実感して、気候変動への対策は待ったなしと考えております。
 こうした状況を踏まえまして、CO2の排出を厳しく抑制をする緩和策を進めましても、なお残る気候変動の影響を回避、軽減するための適応策についても、あわせて着実に取り組んでいくことが重要であります。
 気候変動への適応は、災害、健康、農業など庁内各局の施策に幅広くかかわりますため、現在、全庁的な会議を設置して、検討を進めているところでございます。
 都内におけます気候変動の影響を踏まえまして、多岐にわたる分野での適応の考え方を示します気候変動適応方針を年内に策定をいたします。
 今後も、気候変動の緩和と適応、この両面から総合的に施策を展開いたしまして、極端な気象変化から都民を守る強靭な都市を築いてまいります。
 公立小中学校におけます学校給食費の無償化についてのお尋ねがございました。
 学校給食法におきましては、学校給食は学校の設置者が実施をして、食材費などの学校給食費につきましては児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 公立小中学校におけます学校給食費は、学校設置者である区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定をしておりまして、就学援助を含む保護者負担の軽減策等につきましても、区市町村の判断により行われているものと認識をいたしております。
 公契約条例の制定についてのお尋ねでございます。
 公契約条例は、一般的に、自治体が発注する案件におきまして、相当程度以上の賃金を労働者に支払うよう事業者に義務づけるものでございますが、賃金は、労働関係法令の下支えのもとで、労働者個人の経験、能力等を踏まえた対等な労使での協議によることが前提と考えております。
 一方で、労働者それぞれの適切な処遇の確保でございますが、これは重要な課題でございまして、例えば、担い手不足が指摘されます建設業界におきましては、発注者によります適正な予定価格の設定はもとより、現場での下請契約が適正に行われることが必要でございます。
 そのため、都はこれまでも、工事契約に係る元請企業に対しまして、下請契約の適正化を要請してまいりましたが、今後はそのフォローアップ調査を行いまして、適正な下請代金の支払いなどの実態の把握に努めてまいります。
 条例に基づきます就労支援施策の展開についてでございます。
 今回、提案いたしました条例でございますが、社会全体でともに支え合うという基本理念のもとで、都民の就労を支援し、誰もが生き生きと働き活躍できる社会の実現を目指すものでございます。
 今後、この条例をてこといたしまして、都民の就労を力強く後押しするため、特に就労に困難を抱える方に対します支援の充実に向けまして、取り組みを進めてまいります。
 まず、就労に困難を抱える方の新たな活躍の場となりますソーシャルファームをこの東京に根づかせるため、その創設と活動を促進してまいります。
 これに加えまして、就労に困難を抱える方々に対して、ワンストップの相談体制を整備するとともに、障害者を初めて雇用する中小企業に対しましては、採用から定着まで一貫した支援を行うなど、新たな取り組みも進めてまいります。
 こうした実効性ある支援施策を強力に展開いたしまして、一人一人が誇りと自信を持って輝く社会を実現してまいります。
 なお、残余のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、学校給食費等の公会計化についてでございますが、学校給食費の公会計化とは、学校給食費を学校単位で処理する会計から地方公共団体の会計に組み入れ、保護者からの学校給食費の徴収、管理を地方公共団体がみずからの業務として行うものでございます。
 平成二十九年度時点で、都内では九つの区市町村が公会計化を行っております。
 文部科学省は、学校給食費等の公会計化を推進するための学校給食費徴収・管理に関するガイドラインを本年七月に策定をいたしまして、都教育委員会は、これを区市町村に周知したところでございます。
 本制度は、学校の負担軽減に資するものである一方、システム構築等の体制整備などの対応が必要となりますことから、その導入につきましては、区市町村が実情を踏まえ、独自に判断するものと考えてございます。
 次に、都教育委員会の障害者雇用の状況についてでございますが、本年六月一日現在の雇用率は、国による算定方法の見直し等もあり、昨年を下回る見込みでございます。こうした現状につきましては、私自身も大変重く受けとめているところでございます。
 これまで都教育委員会では、障害に配慮した教員採用選考を実施しておりますが、教員免許状取得者のうち、障害者の方々は全国的にも極めて少ない状況にございまして、採用が進まない実態がございます。
 そのため、チャレンジ雇用の実施に加え、昨年十月からさらなる雇用の場を独自に設け、障害者の積極的な採用に努めているところでございます。
 今後とも、区市町村教育委員会と協力し、対象職員を適切に把握していくとともに、障害者の就労支援機関と連携した採用活動をより一層推進するなど、法定雇用率達成に向けて取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時等における保育所等の休園についてでありますが、幼稚園型認定こども園等につきましては、学校教育法施行規則や学校保健安全法に、非常変災時や感染症の予防上必要があるときの臨時休園に関する規定がございますが、保育所等につきましては、臨時休園を定めた法令はございません。
 現在、国では、保育施設等の臨時休園の実施基準の設定に関する課題や考え方の整理を行っており、今年度中に結論が示される予定と聞いております。
 今後、都といたしましては、それを踏まえ、区市町村や事業者が乳幼児の安全確保のため、非常時に迅速かつ的確な判断ができるよう、適切に対応してまいります。
 次に、ゆりかご・とうきょう事業についてでありますが、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支える上で、妊娠期から専門職が支援を行うことは重要でございます。
 そのため、都は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して、継続的な支援を行うため、保健師等による全ての妊婦との面接を行う区市町村を、平成二十七年度からゆりかご・とうきょう事業で支援しております。
 この取り組みは、区市町村に有効に活用され、事業開始以来、着実に広まっており、妊婦との面接実施率も事業開始前である平成二十六年度の一九・一%から平成三十年度は八三・五%にまで上昇いたしました。
 今後、区市町村の取り組みを一層推進していくため、妊娠から出産、子育て期にかけた切れ目のない支援をさらに充実してまいります。
 次に、ひとり親家庭への支援についてでありますが、都は、ひとり親家庭自立支援計画に基づき、相談体制の整備、就労支援、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援の四つを柱に総合的な支援を実施しております。
 養育費につきましては、ひとり親家庭支援センターで相談事業を実施しており、適切に支払われるよう、金額の取り決めや支払い履行、強制執行などの相談に応じているところでございます。
 現在、令和二年度からの次期計画の検討を進めており、有識者や当事者からは、養育費等の専門相談につながりやすくすることが重要であるなどのご意見をいただいております。
 こうした議論を踏まえ、ひとり親家庭が安定した就労や生活のもと、子供を健全に育むことができるよう、相談体制等の充実について検討してまいります。
 最後に、受験生チャレンジ支援貸付事業についてでありますが、都は、一定所得以下の世帯の中学三年生、高校三年生等の受験を支援するため、高校受験料二万七千四百円及び大学等の受験料八万円と学習塾受講料二十万円を上限に、無利子貸付を行っております。
 本事業の平成三十年度の実績は、受験料及び学習塾受講料の貸付件数が合計八千二百六十件、貸付金額が約九億七百五十五万円となっております。
 また、志望校へ入学した場合などには、貸付金の償還を免除しており、償還免除率は九九・一%となっております。
 今後とも、事業の周知をさらに図り、子供が生まれ育った環境にかかわらず自立に向けて進路を選択できるよう、低所得世帯の子供を支援してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 防災情報発信の強化についてでございますが、災害発生時には、都民に対し必要な情報を提供し、情報不足による混乱の防止を図ることは重要でございます。
 そのため、避難指示等の発令主体である区市町村では、防災行政無線やツイッター等を活用した住民向けの情報発信、Lアラートによるテレビ等を通じた避難情報の提供を行っております。
 また、今回の台風では、大雨等により浸水被害の発生した世田谷区や大田区等において、緊急速報メールを活用し、住民に対し避難情報の一斉配信を行ったところでございます。
 都においても、区市町村と連携し、検証結果で明らかにしたラインやチャットボットの活用など多様な手段を用いた住民への適切な情報発信に努めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、就労に困難を抱える方に対する支援についてですが、こうした方々が抱えるさまざまな事情に配慮しながら、就労支援の効果を高め自立につなげていくためには、住宅や福祉、医療などの施策と雇用就業施策を連携させ、ニーズに対応した適切な支援を実施していく必要がございます。
 このため、都は、就労支援に関する施策を庁内各局と連携して推進するとともに、ハローワークや区市町村の福祉部門を初めとした関係機関と緊密な連携を図りながら、就労に困難を抱える方に対して、その実情に応じた就労支援を実施してまいります。
 次に、就労に向けた後押しについてですが、都はこれまでも、離職期間が長期にわたるひきこもりの方などに対して、しごとセンターにおいて、グループワークや職場体験により就労への意欲を高め、就職活動につなげるプログラムを実施してまいりました。
 また、就労意欲がありながらも職務経験が十分でなく、就労に踏み出さない方などに対して基本的な職務スキルの習得を図り、専任のトレーナーが就職から定着まで支援するプログラムを提供するなど、きめ細かい支援を実施しているところでございます。
 今後も引き続き、一人一人の実情に応じた就労支援を着実に進めてまいります。

○六十七番(岡本こうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認め、そのように決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時五十九分散会

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