令和元年東京都議会会議録第十九号

○副議長(橘正剛君) 百二十一番小宮あんりさん。
〔百二十一番小宮あんり君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百二十一番(小宮あんり君) 令和元年第四回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問します。
 名誉都民緒方貞子様におかれましては、去る十月二十二日ご逝去されました。また、同じく名誉都民八千草薫様が去る十月二十四日ご逝去されました。
 お二方のご生前のご功績に対し、謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 また、九月の台風十五号、十月の台風十九号により家屋の損壊や河川の氾濫による浸水被害など、各地で大きな被害に見舞われました。改めて、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 東京を初めとする首都圏にも大きな影響と被害をもたらした台風十五号及び十九号について、過日、各局からの検証結果がまとめられました。既に今回提案されている補正予算に反映されているものもあれば、長期的かつ新たに取り組んでいかなければならない課題も明らかとなりました。
 また、都庁全体の危機管理体制について、問題はなかったのか、他県の知事ではありませんが、小池知事はどこにいて、どのような指示をし、今回の災害を受けてどのような課題を認識されたのか、率直な知事の見解を伺います。
 知事の公約にある多摩格差ゼロの格差という表現には違和感を覚えます。多摩には二十三区と違う多摩の地域性や特色がある中で、防災対策も観光振興も産業政策も、多摩地域の状況に合わせた取り組みを図ることで、多摩の安全や魅力を向上させなければなりません。
 今回の台風災害時には、立川にある地域防災センターを拠点として、多摩の市町村への連絡要員を派遣したり、区市町村に対する物資支援の活動拠点とするなど、その機能が大いに発揮されました。
 災害はいつ、どの地域に起こるか予測できない中で、今後は、新宿庁舎の補完機能を有するこの立川地域防災センターについて、大規模改修の機会を捉え、体制の整備も含めたさらなる機能強化を図り、東京全体の災害対応力の向上を図るべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、台風十九号による記録的な大雨は、多摩川流域で一千五百件を超える床上、床下浸水の被害を発生させました。ぬれた家具や家電、畳など大量の災害廃棄物が排出され、多摩地域においては、各自治体でその処理に当たりましたが、瑞穂町では、泥まじりの廃棄物を、遠く臨海部にある産業廃棄物処理施設、スーパーエコタウンまで運搬し、中間処理を行いました。災害時の長期にわたる道路の寸断などを考えると、多摩地域にも同様の処理施設が必要です。
 今回のような台風被害の発生に備えて、多摩地域の市町村が協力して災害廃棄物処理に取り組む仕組みの構築や、産業廃棄物処理業者とも連携した処理体制の整備をまず図るべきと考えます。都の見解を伺います。
 防災の基本は、自助と共助と公助のバランスであり、特に私たち政治や行政は、災害に強いまちをつくるという公助の役割を発揮しなければなりません。
 まちづくりには長い年月と莫大な費用がかかりますが、五年先、十年先、誰かの命と財産を守るかもしれない、こうしたインフラの整備は、地域住民の理解を得ながら着実に進める必要があります。
 今回の台風被害では、河川のあふれた水を蓄える環七地下調節池などがその効果を発揮しました。
 知事も早速、会見などを通じて調節池整備のスピードアップを図ると発言されておりますが、調節池を整備するには、これまで主に河川に面した公共施設の地下などを基本として整備地を検討されてきましたが、今後、知事のいうスピードアップを図るには、民地等の活用も検討すべきと考えます。
 調節池の具体的なストック効果とあわせて、都の見解を伺います。
 また、調節池に比べて注目されませんでしたが、下水の浸水被害を軽減する貯留管もその機能を発揮しています。
 一例として、杉並区から中野区にかけて、地下二・二キロにわたり整備されている下水の和田弥生幹線は、平成十九年に整備されて以降、その地域で浸水被害もなく、今回の台風十九号では初めて満水になり、周辺地域の浸水被害の軽減に大きく貢献しました。
 環七地下調節池については、見学用の施設なども充実し、都民にも広く知られているところですが、こうした下水の貯留管についても積極的にPRを図れる環境を整備し、都民の理解を深めるべきと考えます。見解を伺います。
 今回の台風による水害で、東京から遠く離れた利根川水系では、竣工間近となった八ッ場ダムが大きな貯水機能を発揮し、都民の命を守ってくれました。
 旧民主党など、大衆迎合で目先のことしか考えない政党は、こういう事業をすぐ無駄だといいます。これまで、私たち自民党が歯を食いしばって継続してきたからこそ、今日の東京の安全があるのです。
 昭和二十六年のダム建設の検証以来、七十年近くが経過しましたが、この八ッ場ダムが、五年に一度という渇水危機の回避、近年頻発している大規模水害対応など、区部東部低地帯を中心に、今後も都民の命を守るために大きな力を発揮すると期待しています。
 この多目的ダムである八ッ場ダム、特に、治水、利水における役割の重要性の認識を知事にお尋ねします。
 都民の命を守るために、みずからのふるさとが水没するという苦渋の決断をしていただいた住民の思いを忘れてはなりません。代替地での生活再建がなされてきましたが、ダムの完成により、国による生活再建支援は終了し、将来に向けて住民の不安は募っていると伺いました。
 都民の命と財産を守るために決断していただいた現地住民の思いに引き続き寄り添うためにも、都として実効性ある生活再建の一助をなすべきと考えます。都の見解を伺います。
 台風十五号では、これまでの想定を超えた暴風に見舞われ、東京の大島を初め島しょ地域、また、千葉などでは送電用の鉄塔や電柱が倒壊し、長期にわたる停電に見舞われました。
 これを受けて、知事は、島しょを初めとする都全体での防災面での無電柱化を加速しなければならないと会見で述べておられます。
 既に東京都は、防災上の優先順位をつけて、都道の無電柱化に取り組んできました。
 区市町村道の無電柱化についても、財政面や技術面での支援事業を現在実施中です。知事のおっしゃる防災面での無電柱化をどう加速するのか。知事の公約には都道の電柱ゼロとありますが、予算をつけるだけでは無電柱化は進みません。これは、知事も三年前、就任当初の職員への訓示でそう述べられております。
 本気で無電柱化を加速するなら、技術開発の一層の推進やコスト縮減、工期の短縮はもとより、事業を担う人材の確保など、体制の強化をしっかり打ち出してほしいと要望しておきます。
 これまでも都は、無電柱化の推進のために、新たな技術開発支援や施工に当たっての民間との連携を進めてきました。そうしたこれまでの地道な取り組みが、都道の無電柱化に今どう生かされているのか、現在検討を進めている路線における具体的な取り組み状況について伺います。
 また、大規模災害時における医療体制の確立は非常に重要です。
 医療団体ごとに研修制度を設けたり、登録制度をつくったりと、さまざまな専門職が努力を重ね、有事に備えています。そうした医療従事者などが、災害発生時にそれぞれの専門分野の力を存分に発揮してもらい、災害対応力を高めるには、各専門職種の役割を明確にし、活躍しやすい環境を整え、きめ細かな体制づくりを推進すべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、いざ発災したときに、医療従事者等の所在はさまざまです。例えば、勤務地であったり、居住地であったり、時間帯によって変わります。勤務先の自治体と防災協定等を締結し、災害に備えてくださっている人が、その自治体から離れた場所にいた場合には、地域外という理由で救護活動等に参加しにくい状況があると伺っています。
 貴重な専門職種の医療人材が、そうしたエリアを超えて活躍できる仕組みを都としてしっかり考えるべきと思います。見解を伺います。
 都民だけでなく、国民全体が盛り上がる来年の東京五輪パラリンピック大会まで、あと二百二十六日となりました。直近では、都民の思いや都議会の総意もかなわず、残念ながら、マラソン、競歩の会場は札幌に変更となりました。
 マラソン、競歩はなぜ変更されたのか。暑さ対策はこれまで十分に議論を重ねて進めてきたはずでした。IOCのいうとおりにやるだけなら、東京都は要りません。
 知事は、IOCに対して、都民の思いをしっかりと伝えたのか、都民の納得を得られたと思っているのか、改めて、IOCとの連携がしっかりと図れているのか、知事に伺います。
 今回の会場変更の理由となった暑さ対策については、過日の決算特別委員会において、知事に対し、これまでの都の取り組みを確認しました。
 知事は、暑さ対策推進会議の設置、遮熱性舗装の整備、街路樹の剪定、競技時間の前倒し、休憩所の設置、グッズの配布などを行い、IOCからさまざまな場面で評価されてきたと答弁されていますが、マラソン、競歩の札幌移転から明らかなように、都としてさらなる取り組みが必要です。
 知事の思いつきのかぶる傘のような中途半端な暑さ対策ではなく、選手はもちろんのこと、ラストマイルにおける関係者やボランティア、観客に対して効果的な対策を講じる必要があります。テストイベントでの検証を踏まえ、さらなる実効性のある暑さ対策についてどのように臨むのか伺います。
 また、暑さ対策のための補正予算については、特にラストマイルや混雑が見込まれる手荷物検査場等において強化していくとしていますが、大会本番に向けて具体的にどう取り組むのか伺います。
 また、これまでさまざまな競技大会に合わせて行われたテストイベントにおいては、大会運営を確認するだけでなく、車椅子や視覚障害者、聴覚障害者の協力も得て、競技会場そばの駅から会場に至るラストマイルのバリアフリーについて検証が行われましたが、競技そのものの観戦保障については、いまだ検討の途上であると伺っています。
 障害のある人も、会場に行きやすいだけではなく、観戦がよりわかりやすく、楽しめる、そういう環境を整備することは重要なレガシーの一つとなります。現在、どのような工夫を検討しているのか伺います。
 次に、大会の成功を左右する輸送対策について伺います。
 大会開催に合わせて開通していたはずの選手村と競技場をつなぐ環状二号線本線が利用できたならば、輸送量が今よりも拡大していたことは明らかです。
 知事の政治判断によって、環状二号線本線が大会に間に合いませんでした。首都高速道路の一部値上げ、いわゆるロードプライシングだけでは、輸送対策は万全といえません。物流事業者等に交通需要マネジメントをよく理解していただき、都民生活や東京の経済活動を維持しながら、大会の成功を目指していかなければなりません。
 これまで都議会自民党は、さまざまな事業者団体との意見交換会の場を設け、都の取り組みを支援してきました。その中で、競技会場周辺の事業者からは、自身の会社がいつからどのような対策を図ったらいいのかという質問が多くありました。
 そうした事業者に対し、具体的に交通需要マネジメントへの協力を求めるに当たり、どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 また、特に中小企業に対しては、物流対策への協力について、荷主への働きかけなど、さらにきめ細かい周知や支援が必要と考えます。都の見解を伺います。
 都は、大会期間中の混雑緩和のため、大会開催時における都庁発注工事の調整に関する取組方針を四月に策定し、十月には対象地域や取り組みをきめ細かく示した改定版を公表しましたが、場所や時間帯など、示された工事調整内容は複雑であり、調整により生じる経費や工期の取り扱いについて不安の声が上がっています。
 都庁発注工事の調整に際し、困難が生じないよう問い合わせ窓口をまとめるなど、わかりやすい整理と周知が必要です。都の見解を伺います。
 また、都内で行われる工事の大部分を占めるのは民間の発注工事であり、大会期間中の交通混雑緩和に向けて、民間事業者の協力が極めて重要です。民間工事業者にはどのように働きかけていくのか、都の見解を伺います。
 このように、大会期間中の輸送が円滑に行われるよう、これまでもさまざまな対策を講じてきていますが、市場移転を、安全でも安心ではないとして二年もおくらせた知事の判断が、結果として、市場業者への補償費用や両市場の維持管理費など、二百億円の費用負担を生じさせた上、来年の東京大会に必要だった環状二号線本線が開通しなかったのです。
 小池知事の、法にも科学にも基づかない政治判断や無意味なパフォーマンスの結果、期間中の東京は大渋滞が懸念されます。経済的損失はどうなるのか。都民に迷惑をかけることになるかもしれません。
 改めて、都民に対して謝罪し、期間中の物流対策について理解を求めるべきと考えます。知事の見解を伺います。
 市場移転問題については、失われたこの二百億以外にも新たな不安が生じています。小池知事就任後一年となる二〇一七年七月、都議会議員選挙がありましたが、その際、知事は、築地は守る、豊洲は生かすと発信し、あたかも築地にも市場機能を残すかのような期待を都民に抱かせましたが、その後、築地は市場ではなく、食のテーマパークみたいなものへと変わり、さらに、最近では、食文化というフレーズが、築地まちづくり方針の中にわずかに漂うだけとなりました。
 知事が築地を守るといったことを守るために、今、築地のまちづくりを進める中で、将来の新たな都民負担が生じかねない懸念があります。
 都が都民の税金を投じて五千億で買った築地の土地を、食文化などの制約を課して、七十年以上にわたり民間に貸し付け、公益性も収益性も上げよというのです。幾らポテンシャルがいいからといって、七十年先の東京の姿は描けません。しかも、二十三ヘクタールというこれまで都が経験したことのない規模の事業に対し、不信を覚えます。
 小池知事になってから、築地のまちづくり五千億にしても、旧こどもの城購入五百億にしても、場所がいいからといって、明確な行政目的のないまま土地を買い、目的は漠然とした内容を後づけで示すといったことが続いています。小池知事になり、東京大改革どころか、東京は不必要な肥大化を続けています。
 築地のまちづくりについて、二十三ヘクタールという広大な土地を長期にわたり都が持ち続けることのリスクをどう負うのか、考えるのか、見解を伺います。
 今定例会には、卸売市場条例の改正についても提案されていますが、豊洲市場の開場から一年を迎えた本年十月十一日、豊洲市場協会の伊藤会長は、地元に愛される、都民に信頼される、そして世界に羽ばたいていく市場という三つのビジョンを掲げ、今後の豊洲市場が目指す姿を明らかにしました。
 これは、市場関係者がみずから考え、行動を起こして進んでいく意思にあふれた、これまでにない主体的なものと私たちは強く評価し、その実現に向けて、都としても応援すべきと考えます。
 知事は、このビジョンについてどのように受けとめているのか、見解を伺います。
 また、市場のあり方について、知事は、物流そのものが大きく変わっている中でも、市場は値決めなどで公正な役割を果たしている、そこをどう確保していくかだと発言しています。ただ、一方で、市場の活性化ということを繰り返し強調しています。
 知事のいう活性化の内容と方向性の考え方が重要なのですが、知事は、今回の卸売市場条例の改正について、都議会での丁寧な審議と市場の皆さんの声を聞くことが必要だと発言していますが、これまでの市場の移転延期にまつわる知事や旧顧問団らの姿勢から、関係者は懐疑と警戒感を抱いています。
 知事のいう活性化とは、市場を通じて都民の食生活をより豊かに、かつ安定させていくことを意味するのか、それとも、稼ぐインフラとしてその資産を活用していくことを意味するのか、見解を伺います。
 今定例会に知事は、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例案を提案されています。
 就労に困難を抱える方への支援は重要ですが、ソーシャルファームについては、日本ではなじみが薄い上、定義や基準が定まっておりません。有識者会議においても、日本国内での認識が不足していることなどが疑問視されています。
 そのような不確実なソーシャルファームの創設の促進よりも、都は、本来の目的である就労支援にこそしっかりと力を入れるべきと考えます。
 知事提案により、これまで制定されてきた条例の中には、現実的でない、実効性に乏しいなど、厳しい批判があります。予算も条例も実効的であってこそ意味があります。
 今回の条例案について、その実効性をどのように担保するのか、知事に見解を伺います。
 就労に困難を抱える方の中には、障害者や難病患者、がん患者などの方々が考えられますが、障害や疾病の内容によって、その支援のあり方はさまざまです。
 ハローワーク等の窓口において、法や労務の専門家に加え、同様の障害を有する、また疾病の状態に応じた支援ができる専門職等を配置し、きめ細かな相談体制をつくるなど、一人一人に合わせたオーダーメードの就労支援を行うべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、現在、障害者を雇用する事業者については、入札の際、総合評価方式などで一定のインセンティブが与えられています。
 そこで、難病患者やがん患者等を雇用する事業者に対しても同様のインセンティブが与えられるべきと考えますが、見解を伺います。
 我が党はこれまで、特別支援学校の生徒が卒業後に自立し、積極的に社会参加できるよう、職業教育の充実を強く求めてきました。
 都では、知的障害特別支援学校の在籍者数の増加や障害者雇用の促進を図る中で、生徒全員の企業就労を目指す就業技術科や職能開発科を設置し、これらの学科では九割を超える企業就労を達成しています。
 一方、社会においては、情報通信技術が進展する中、障害のある就業者を取り巻く就労環境も変化していることから、都立知的障害特別支援学校においてもICTの活用能力を伸長させ、より専門的かつ多様な職能開発や就労支援を一層充実すべきと考えます。見解を伺います。
 また、就職した後も、企業の人材ニーズ等の変化に伴い、新たな技能の習得や就業訓練が必要となる方もいます。障害者の職業能力の開発の充実が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 また、今回の就労を支援する条例の検討に当たり、困難を有する対象の一つとして検討された児童養護施設の退所者についても支援が必要です。
 過日、私は保護司会の一員として杉並区の児童養護施設を視察しましたが、施設長からは、幼児期からの教育の重要性について伺いました。将来の進学や就職の選択肢をふやすために、幼児教材を充実させたり、塾に通いたい子供には、さらなる支援が必要であるとのことでした。
 児童養護施設に入所している子供への学習支援や将来の就労に向けた支援について、都の見解を伺います。
 5Gの活用による経済波及効果は、国全体で四十七兆円ともいわれています。政府は昨日、補正予算として、人工知能、AIや次世代通信規格、5Gの導入を進め、経済成長を目指す関連予算、一兆円を計上する方針を固めました。さまざまな産業分野において、AIや5Gの活用による生産性の向上や新たな事業展開、サービスの創出が期待されています。
 こうした期待を中小企業において実現するためには、5Gの活用のイメージや導入に向けた課題の整理がまず必要です。
 多くの中小企業が、将来、5Gを活用し、生産性を高めていく以前に、ものづくりの現場へのIoTの導入やICTの活用など、都は、中小企業の特徴やニーズを踏まえて、段階に応じた支援が必要と考えます。見解を伺います。
 次に、中小企業を支援する入札契約制度について伺います。
 国は、平成二十六年、公共工事品確法と建設業法、入札契約法、いわゆる担い手三法を一体的に改正し、ダンピング防止、適正価格と適正利潤、人材の育成確保等を規定しました。本年六月には、働き方改革の推進、生産性の向上、災害時の緊急対応強化といった新たな視点を主眼として、新担い手三法の改正を実施しています。
 このことを踏まえ、地方公共団体や業界団体の意見を聞き、年内を目途に発注関係事務の運用指針の策定をすると聞いています。
 また、来年度より、この運用指針に基づく発注事務の運用を開始するとしていますが、都は、この運用指針をどのように現行制度に反映させ、現場に即した制度として運用するのか伺います。
 加えて、週休二日を前提とした工事発注については、適正な工期設定や経費の計上などを行うとともに、契約上の工夫が必要と考えます。どう実施するのか伺います。
 また、各業界から声が上がっている発注の平準化について、中長期的な工事発注見通しを作成、公表すべきとの提言がありますが、都としてどう取り組んでいくのか、対応していくのか伺います。
 改正品確法の経緯についてはさきに述べたとおりですが、ことしの法改正及び策定された運用指針は、公共工事についての取り組みにすぎません。
 しかし、法改正や指針策定の基本的な理念は、公共工事にとどまらず、業務委託契約や物品調達についても同様です。現在、印刷の委託契約において最低制限価格制度の試行を行っていますが、印刷以外の業界においてもこの制度の導入が望まれています。
 この最低制限価格制度においても、品質確保のために導入されている総合評価方式においても、委託契約の業務履行に必要な経費について、一定の基準を設けることは非常に重要です。
 現在、積算に使用されている単価は裏づけのない参考単価であり、品質確保のためにも、都として国に先駆けて基準を設定すべきと考えます。見解を伺います。
 環境施策の基本は、3R、リユース、リデュース、リサイクルです。今さらいうまでもなく、処理の仕方を議論するより、ごみとして出さないことを、どうしたらごみを減らせるかを真剣に考える時代となりました。
 都民は意識が高いので、海洋プラスチックの話を聞いて心を痛めています。プラスチックのごみを出さないように、より少なくなるようにしたいと感じています。
 そうした思いを行政として受けとめて、現実的なリデュース、ごみを減らすための取り組みを示す必要があります。そのための施策について、見解を伺います。
 現在、都内における都市の更新が進みつつあり、今後、大量のコンクリート塊があふれる懸念があります。こうした中、資源循環やSDGsといった観点からも、再生砕石の活用を進めるべきであり、そのためには、質と量を確保することが重要です。
 都においては、平成二十九年度から基準認証を行い、東京ブランドとして品質を確保し、再生砕石の利用拡大に向けて支援を行ってきました。しかし、東京ブランドのいわゆるエコ石は、まだ広く認知されておらず、利用拡大には至っていません。
 現在、都の発注工事において、路盤材や裏込め材といった土木工事の標準仕様書への記載はありますが、建築工事には記載がありません。建築工事においても、施工可能な箇所については、建築資材として設計に盛り込むべきと考えます。都の所見を伺います。
 公営住宅の供給は、戦後の住宅不足への対応として始まった制度ですが、時代は変わり、民間の供給が進んで、数としての住宅は既に充足しています。七十年前の所期の目的は達成し、今後は、人口減少、高齢社会を見据えて、民間にはできない住宅供給の課題を都として明らかにし、取り組まなければなりません。
 知事は、本年、突如として住宅政策本部という独立した組織を新たにつくりましたが、組織を立ち上げるだけでは意味がありません。都営住宅が、これからの時代の中で都民に果たす役割をどう考えるのか、知事の見解を伺います。
 都営住宅は、現状でも単身者向けの応募倍率が五十倍近くになっており、今後、単身高齢者の割合がますます増加する二〇四〇年代を見据えて、都営住宅の供給に関して現状の課題をどう捉え、民間賃貸住宅を含めて今後どのように対応しようとしているのか、都の見解を伺います。
 住まいの課題だけでなく、交通インフラの異なるまちにあっても、都民が快適に移動できる都市をつくることが重要です。人々の移動手段については、複数の交通手段や行き先でのサービス予約などをスマートフォンで一括して手配し、キャッシュレスで、無駄な待ち時間なくスムーズに移動できるサービス、いわゆるMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービスが世界的な潮流となっています。
 東京は、交通渋滞や満員電車、遅延等の事態が日常的に発生しており、また、交通網が発達しているがゆえに、外国人等の観光客にとっては複雑でわかりにくくなっています。
 一方で、人口の増加に比べて交通サービスが脆弱な臨海部といった地域や、人口減少、高齢化により移動に制約が生じている多摩のような地域もあります。
 MaaSは、このようなさまざまな交通課題を解決できる可能性を有しており、国とも連携を図りながら、都内での普及を図る必要があります。
 都では今年度から、MaaSの実証実験を開始するとのことですが、今後どのように普及拡大を図るのか、知事に見解を伺います。
 さて、便利なまちをつくるだけでなく、日ごろから人に優しく、安全なまちづくりに努めるべき時代となりました。子供にも、高齢者にも、障害者にも、安全で歩きやすいまちづくりが必要です。
 ことし五月八日、滋賀県大津市で保育園児二名の死亡を含む、子供が犠牲となる交通事故が発生しました。その後、子供を交通事故から守るための緊急的な取り組みとして、警視庁や道路管理者、幼稚園、保育園の関係者等で、散歩などの移動経路の安全性について緊急合同点検が行われてきました。
 地域の中で、日ごろから子供たちの安全に気を配る方々からも、危険箇所の指摘など安全対策の向上が求められていますが、それを早急に実現するには、道路を取り巻く関係機関、警視庁、建設局、区市町村などの連携が欠かせません。車の流れ中心の社会から、人の安全に配慮したまちへと変わらなければなりません。
 点検の進捗状況と対策状況、また、今後の取り組みについては警視総監に、道路管理者として対策箇所数と今後の交通安全対策の取り組みについて建設局長に伺います。
 子供にとって安全で歩きやすいまちは、高齢者にとっても安心して外出しやすいまちとなります。歩きやすいまちが高齢者を健康にするという民間研究機関の調査によれば、高齢者の健康状態がいい自治体は、歩道の十分な確保など歩きやすい環境が整っているそうです。
 防災に寄与する無電柱化が防災性向上だけでなく、歩道の快適性を確保することはいうまでもありませんが、あわせて、高齢者だけでなく障害者も、妊婦も、子供連れの皆さんも移動しやすいバリアフリーのまちづくりを面的に推進することが重要です。
 国は、本年七月に、主要な駅とその周辺の福祉施設等を結ぶ道路を新たに特定道路として追加指定しました。都内における特定道路のバリアフリー化を積極的に進めるべきと考えます。今後の取り組みについて伺います。
 また、歩きやすいまちをつくるだけでなく、高齢者の外出を促し、健康の保持に寄与するシルバーパス制度。その制度の持続可能性について、東京都は調査を行ってきたところですが、調査内容と結果、今後の考え方について伺います。
 民法改正により、令和四年四月から成年年齢が十八歳に引き下げられます。成年年齢の引き下げは、十八歳、十九歳の自己決定権を尊重し、積極的な社会参加を促すものですが、一方で、成人になると、保護者の同意なく高額な契約をしても取り消すことができないなど、悪徳商法などによる消費者被害を受けないよう、若者自身が契約の知識や金銭感覚をしっかりと身につけることが重要であり、学校等において、早い時期から実践的な消費者教育を行っていく必要があります。
 改正民法の施行が迫る中、都教育委員会では、消費者教育推進校を新たに指定し、指導内容や方法の開発などに取り組んでいると聞いています。
 消費生活行政においても、学校教育への支援を初め、若者への消費者教育を強化していくべきと考えます。今後の取り組みについて伺います。
 知事の公約には、待機児童ゼロがあります。待機児童数はことしの四月一日現在、三千六百九十人と減少しましたが、これは都の取り組みだけでなく、保育事業の実施主体である区市町村や民間事業者の協力のたまものです。また、地域の理解があってこそのことです。基礎自治体等の取り組みによって、今も待機児童を減らすべく、並々ならぬ努力が各地域で実施されていることを忘れてはなりません。
 知事就任以来、この待機児童対策には莫大な予算をつけてきました。中には、知事の思いつきで五十億ものベビーシッター利用支援事業など、執行はわずか〇・八%と実態に即さず、使われなかった予算もありますが、小池知事就任以前から都として取り組んできた保育士を確保するためのキャリアアップ補助事業や家賃補助事業には、基礎自治体からも、民間の事業者からも高い評価を得ています。
 待機児童対策として、とにかく保育所の数をふやすことが先行していますが、一番重要なのは、大切な子供たちを育てる保育士の確保策や保育の安全、質の向上です。昨今、保育士の大量退職が問題になるなど、保育の質への不安は拭えません。
 そこで、保育士の仕事の負担軽減を図るため、地域の高齢者を初めとする活力ある人材を保育の現場において活用し、保育士の確保、定着に向けた取り組みを一層進めるべきと考えます。見解を伺います。
 また、都が平成十三年に待機児童対策として独自の基準で設けた認証保育所も、創設以来、約二十年がたちました。当時と比較すると、今日では、認可保育所を初めさまざまな保育サービスが増加する中で、認証保育所に求める役割にも変化が生じています。
 創設当初のように、受け皿の一つという視点だけでなく、一歳児が多くを占めている現在の待機児童の状況を踏まえて、都民ニーズに応えるべく、認証保育所を活用した新たな支援策が必要と考えます。見解を伺います。
 保育士の確保だけでなく、これからの高齢社会において、介護人材の確保策も重要です。小池知事になってから、都の高齢者施策が事業内容も予算も大きく低下しているという指摘があります。
 病気や介護状態になった後の施策だけでなく、介護状態にならないための予防の取り組みが重視されるとともに、人生百年時代を迎えた今、いかに元気で長生きするかといった前向きな視点も重要です。経験豊富で元気な高齢者に社会の中で積極的に活躍していただくことが、介護人材分野にも求められています。
 都はこれまで、介護人材の確保策について、広域的な観点からさまざまな対策を講じてきましたが、今後は、地域の実情に応じた区市町村の取り組みへの支援も含め、より効果的な介護人材対策を講ずるべきと考えます。今後の取り組みについて伺います。
 ことし四月に東京都児童虐待防止条例が制定されました。児童虐待から子供の命を守るために、児童相談所と区市町村や警察との連携が日々図られていますが、社会的な関心も高まり、児童相談所への虐待相談件数は年々増加し、都においては、一万六千九百六十七件と前年度から大幅に増加する中、一時保護を必要とする子供たちがふえています。
 先日の児童福祉審議会専門部会においても、都内の一時保護所は定員を上回る入所状況が常態化しているとの報告がありました。
 都は、一時保護所の入所定員を増改築などで少しずつふやし、保護需要に何とか対応しているところですが、児童の権利擁護を図り、安心して生活できる保障を図るためには、都の一時保護所での支援だけでなく、民間も含めた児童養護施設等における一時保護委託も有効に活用すべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、都が現在、新宿の乳児院でモデル事業として実施している新生児委託推進事業は、これまで実績がゼロであったところ、現在はこの三カ年で十一名の赤ちゃんの委託が実施をされ、大きな成果を上げていると伺いました。
 今後、家庭的養育の推進を図るためにも、新生児委託推進事業について、多摩地域など、実施箇所数をふやして、本格実施に向けて取り組んでほしいと思います。現状と今後の取り組みを伺います。
 都立八病院の経営形態の見直しについては、これまで二年にわたり、議会においても議論を深めてきたところですが、今回の知事の所信表明で、独立行政法人への移行に向けた準備を開始する旨、発言がありました。
 しかし、そこには、今まで都として示してこなかった公社六病院も含まれるとしています。都立八病院について、スケールメリットを生かすことが人材の育成や費用の削減に資するという見解は過日の厚生委員会でも確認していますが、公社病院も含めてという点については、これまで都から何の説明もありませんし、議会での議論もありません。
 将来にわたり都民に対して本当に必要な、民間にはできない行政的医療を提供し続けるためには、今よりもより柔軟に、人、物、予算を運営できる経営形態に移行することは重要ですが、今後、都立、公社十四病院をどう一体的に移行するのか、民間病院も含めた地域医療の中で、一つ一つの病院が果たすべき機能というものをしっかりと検討することが必要です。
 公社を含む新たな都立病院は、今後どういう役割を担っていくと考えているのか、まずは見解を伺います。
 ことし、アジアで初めての開催となったラグビーワールドカップは、日本チームを初め各国選手団の活躍により、大いに盛り上がる大会となりました。六週間にわたる大会が最後まで息を切らすことなく、多くの人に感動と喜びを与えました。結果として、子供たちのやりたいスポーツにはラグビーが加わり、各地のラグビースクールも大盛況です。この勢いを絶やすことなく、ラグビーワールドカップのレガシーを、今後、都は、ハード、ソフト両面で支援するべきです。
 私は、ことしの予算特別委員会において、都立公園の整備に当たっては、ラグビーができる場所を設けることを検討するよう要望したところです。
 都立公園には、野球場やテニスコート、サッカー場はありますが、ラグビーができる場所は少ない中で、高井戸公園のように新たに整備する都立公園において、積極的にラグビーができる施設の整備を進めるべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、場の確保だけでなく、将来のラグビー界を担う子供たちに向けた裾野の拡大も重要です。今後、子供たちにどのような機会を提供していくのか伺います。
 東京都受動喫煙防止条例の中に、国の法を上回る形で九月一日から義務化をされた飲食店の店頭表示義務があります。
 我が会派としては、条例をつくるだけでなく、先ほども申し上げてまいりました実効性があり、国の法律とも整合性のとれた、わかりやすい条例にすべきと訴えてきたところですが、都内十六万店ある飲食店への店頭表示の義務化については、多くの飲食店の理解や実施が進んでいないという声を聞きます。都として、あえて義務化している飲食店の店頭表示義務をどのように履行するのか、伺います。
 小池知事のこの三年間を振り返れば、何の成果もありません。何を目標にして、どこに向かって進んでいるのか、何も見えません。この三年間で何に一番力を入れたのか。現在、第一の目標とは何なのか。どこに都民を導いていくのか。空疎で曖昧な言葉ではなく、具体的で達成可能なビジョンを明確にし、それを達成するための工程を示していただきたいと切に願い、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小宮あんり議員の代表質問にお答えをいたします。
 都の危機管理体制についてのご質問が冒頭ございました。
 都におきましては、災害発生時の迅速な対応に備えまして、総務局職員が都庁の防災センターに、三百六十五日二十四時間待機をいたし、そして情報収集を行っているのはご存じのとおりでございます。これによって、緊急時には、いつでも私と連絡をとり、必要に応じ、私みずからも速やかに登庁、対応を指示できる体制を構築しているところでございます。
 台風第十九号が接近いたしました十月十二日には、三宅島の噴火災害への対応以来、十九年ぶりとなります東京都災害対策本部を設置したところでございます。私は、本部長といたしまして、各局及び各関係機関に必要な対応を指示するとともに、臨時の記者会見を開きまして、都民に対する命を守る行動を呼びかけたところではございます。
 また、被災後は、私自身が直ちに被災現場を訪れまして、被害の状況を直接自分の目で確認しております。
 その後、全庁を挙げまして、都の風水害対策全般につきまして、課題の検証を行って、三十五の対策として取りまとめたところでございます。
 今後も、備えよ常にの精神で、防災対策を一層推進いたしまして、セーフシティー東京の実現に取り組んでまいります。
 八ッ場ダムにつきましては、将来にわたり、東京のみならず首都圏の安定給水を確保して、洪水被害の危険性を低減する上で必要不可欠な施設でございます。
 台風や集中豪雨、一方で、利根川流域では平均して三年に一回は渇水が発生など、気候変動に伴う影響が顕在化してきているといわれる今日、ますますその必要性は高まってきております。
 今回の台風十九号でも、本格稼働前ではございましたが約七千五百万立方メートルの水量を貯留、八ッ場ダムの本体工事は、地元を初め多くの方々のご協力で、令和二年の三月に竣工を迎える予定となっております。
 引き続き、安全管理に努めながら、一日も早く供用されますように国に求めてまいります。
 IOCとの連携についてのご質問でございます。
 都は、IOC調整委員会やプロジェクトレビューを通じまして、大会の準備状況を定期的に報告するなど、IOCと緊密に連携をとってまいりました。
 また、IOCとの調整に一義的な役割を担われる組織委員会には、日ごろより速やかな情報共有を求めてきております。
 さらに、私も必要に応じまして、バッハ会長、そしてコーツ委員長を初めとするIOC委員とは直接連絡をとり、また調整を行っておりまして、マラソン及び競歩の会場移転に際しましても、四者協議の場などで、東京での開催が最善であると主張をしてまいりました。
 来月は、いよいよ二〇二〇年を迎えるわけでございますが、都といたしまして、引き続き、IOC、そして、きのういらしたIPC、組織委員会、国などの関係団体と連携いたしまして、大会準備に万全を期してまいる所存でございます。
 物流対策でございます。
 東京圏に広がる競技会場、選手村、関係者のホテルなど、さまざまな施設を結ぶ大会輸送には、環状二号線の整備状況にかかわらず、既存の道路ネットワーク全体を活用することはいうまでもありません。
 このため、交通の円滑化に向けまして、多くの企業や都民に協力を求めて、交通需要マネジメント、いわゆるTDMを積極的に進めてきたところでございます。
 これまでも、東京商工会議所を初めとした経済団体を通じた説明会などにおきまして、テレワークや納品時間の変更を初め、具体的な取り組みを依頼してまいりました。
 さらに、今回、物流対策といたしまして、サプライチェーン全体での効率化を図るため、国や業界団体などと連携をいたしまして協議会を発足させるとともに、企業向けの個別相談、戦略的な広報など、一層充実させることといたしております。
 引き続きまして、企業や都民の皆様とともに、物流を含めた交通対策に取り組んで、大会を成功に導いてまいります。
 今後の豊洲市場についてであります。
 開場一周年の式典におきまして、豊洲市場協会の伊藤会長がお話しされた内容につきましても、私もその場で直接伺い、共感できるものと受けとめたところでございます。
 卸売市場を取り巻く環境が大きく変わりつつある中で、地元の方々のご理解のもと、豊洲市場が広く国内外の各地とも結ばれた首都圏の基幹市場としての役割を発揮していくことが重要でございます。
 そのためには、地元の方々に対する市場見学会や料理教室などを着実に進めるとともに、生鮮食料品を安定的に供給するための取引環境を確実に整えまして、輸出などの先進的な取り組みをしっかり後押しをしてまいります。
 引き続き、市場業界とも密接に連携しながら、地元や都民の方々に親しみを持っていただきつつ、豊洲市場を日本の中核市場、そして世界を見据えました食文化の新たな発信拠点へと育ててまいります。
 中央卸売市場の活性化についてのお尋ねでございます。
 中央卸売市場が基幹的なインフラとして、生鮮食料品等を安定的に供給をして、多様で豊かな消費生活を支える公共的な役割を今後も果たすためには、市場の活性化が重要でございます。
 そのため、今回の条例改正を契機といたしまして、物流や商取引の変化に対応して、市場業者の集荷力や販売力を高めてまいります。
 また、持続可能な市場運営を実現していくために、遊休資産を有効に活用するなど、さまざまな手だても講じまして、強固な財務基盤を確保してまいります。
 これらの取り組みを戦略的に進めるためにも、従来の既成概念にとらわれない、斬新で自由なご意見を有識者からいただきながら、長期的な視点に立ちまして、実効性ある経営計画の策定に取り組んでおります。
 引き続き、都と業界が連携をいたしまして、市場の活性化を図り、都民や国内外の方々に信頼され、支持される中央卸売市場を実現してまいります。
 次に、就労支援に関する条例についてのご質問でございました。
 社会全体でともに支え合うソーシャルインクルージョンの考え方のもとで、希望する全ての都民の就労支援を行って、一人一人が個性と能力に応じて活躍できる社会を実現するために、この条例を提案しているところでございます。
 条例では、これまでも実施してまいりました就労支援の充実を図ることはもとより、自律的な経営のもとで、就労に困難を抱える方々が生き生きと働くソーシャルファームを認証し、その支援を進めることといたしております。
 今後、この条例をてこといたしまして、国や区市町村と連携して、都民の就労を力強く後押しするとともに、ソーシャルファームの創設や活動に向けまして、具体的な施策を展開してまいります。
 条例におきましては、就労支援に係ります施策を事業計画として取りまとめ、その実施状況について公表、検証することとしておりまして、こうした取り組みを通じ、施策の実効性を確保してまいります。
 都営住宅の役割についてのご質問でございます。
 住宅は生活の基盤であり、住宅に困窮する低額所得者や高齢者など、都民の居住の安定を確保するためには、公共住宅に加えて、民間住宅を含めました重層的な住宅セーフティーネットの構築は重要でございます。
 都営住宅は、こうした住宅セーフティーネット機能の中心的役割を担っておりまして、これまでも社会経済情勢の変化に応じまして、子育て世帯向けの期限つき入居制度を期限延長するなど、都営住宅の管理、供給のあり方を見直してまいりました。
 今後とも、少子高齢化の急速な進展などを見据えまして、既存ストックの有効活用を図りながら、都営住宅の役割を的確に果たせるように取り組んでまいります。
 MaaSの普及拡大についてのご質問でございます。
 交通網の発達した地域では、人の流れが最適化されまして、無駄な待ち時間なく移動できて、交通が不便な地域におきましては、車を持たない高齢者などでも、自由に外出、生活できる社会は、都が描きますソサエティー五・〇の姿の一つでございます。
 また、モビリティーの所有から利用へのシフト、膨大な移動ビッグデータをめぐるプラットホーム競争など、世界的なゲームチェンジの流れを捉え、新たなサービスを創出するということは、東京の成長戦略としても大きな意義がございます。
 このため、都は今年度、都心部、臨海部、多摩地域と特性の異なる三つのエリアで、社会実装に向けました実証実験を行います。いずれも五社以上の交通事業者等が連携した大規模なプロジェクトとなっておりまして、鉄道とバスのリアルタイムの運行データを連携させた全国初となる経路案内など、新たなチャレンジを支援いたします。
 国とも緊密に連携して実証実験を積み重ねて、交通サービスと商業、観光等の周辺サービスとの組み合わせや、データ連携等を推進していくことによりまして、公共性、広域性、事業性の三つを兼ね備えた社会実装モデルを構築いたしまして、MaaSの普及拡大を図っていく所存でございます。
 飲食店の店頭表示についてでございますが、東京都受動喫煙防止条例におきましては、都内の飲食店に対しまして、喫煙の可否に関する店頭表示を独自に義務づけまして、ことし九月一日から施行いたしております。
 この条例を実効性あるものとするために、都内各地で説明会を開催、また都内全ての店舗に行き渡りますように、飲食店向けのリーフレットを作成して配布するほか、保健所が実施する歳末一斉監視指導の機会を活用いたしまして、個別に働きかけております。
 今後とも、区市町村や関係団体の方々にご協力いただきながら、さまざまな機会を捉えたさらなる啓発に取り組むなど、受動喫煙防止対策を推進してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 保育所等周辺の安全点検についてでありますが、都内七千を超える施設の未就学児が日常的に移動する経路を対象として、幼稚園、保育所等の施設管理者、都及び区市町村の保育部署、道路管理者並びに警察署の関係者で緊急的に実施をし、点検は全て完了をいたしました。
 この結果、警視庁が対策すべき箇所は七百十四カ所あり、十一月末現在、そのうちの二百九十カ所で既に対策を終えております。
 主な対策といたしましては、横断歩道の新設及び補修、歩行者用灯器の青時間の延長等がございます。
 引き続き、関係機関と連携し、対策の早期実現を図ってまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 都立知的障害特別支援学校における職能開発及び就労支援についてでございますが、生徒が自立し、社会参加していくためには、学校で力を確実に身につけ、その力を就労先で発揮していくことが必要でございます。
 都教育委員会はこれまで、知的障害特別支援学校において、ICT機器等を活用した情報処理実習やビジネスマナー講座など、実務スキル習得の機会を拡充してまいりました。
 また、障害特性への理解啓発を図る企業向けセミナー等を開催するとともに、就労支援員が地域の企業を訪問し、生徒一人一人に応じた就労先を開拓するなど、生徒の適性を生かした就労につなげております。
 今後も、技術の発達に伴う企業ニーズの変化を捉えた実践的な教育や、きめ細かな就労支援に取り組み、就労を望む全ての生徒がそれぞれの適性に応じて働けるよう支援してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 築地地区のまちづくりについてでございますが、都はこれまで、将来ニーズへの対応の余地も残しながら都有地を有効活用できる、長期の定期借地権による民間活用プロジェクトを実施しており、長期間にわたって事業を確実に遂行し、事業目的を実現できるよう、一定の要件を満たす優良な事業者を選定してまいりました。
 具体的には、都有地において必要な施設等を整備し、運営する期間中、安定して事業を実施できる企画力、技術力及び経営能力等を有する者を、公募型プロポーザル方式により選定しております。その際に考慮される事業実施に係るリスク、責任等については、基本的に、都が原因者となる事項を除き、事業者が負うことを条件としております。
 築地におきましても、こうした要件を満たす優良な事業者を選定し、公益性にも配慮しつつ、中長期的に都民にとっての価値を向上させるまちづくりを進めることを想定しております。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 立川地域防災センターの機能強化についてでございますが、同センターは、隣接する多摩広域防災倉庫とともに、発災時には、新宿庁舎と連携し、国や市町村等との情報連絡や応急対策活動を行う多摩地域の防災拠点でございます。
 台風第十九号の際にも、同センターを拠点として、多摩の市町村に対するリエゾン派遣、養生シートや土のう袋などの物資支援を行うとともに、隣接する陸上自衛隊と連携してヘリコプターを活用し、奥多摩町の孤立地域に水や食料等の支援を行ったところでございます。
 今回の検証に基づき、同センターの機能強化に向けた必要な改修や、仮称でございますが、危機管理副監の設置を含む体制整備に向けた検討を進め、多摩地域における防災対策を充実するとともに、都における危機管理体制の強化に取り組んでまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の災害廃棄物処理についてでございますが、大規模災害により大量に発生する廃棄物を、迅速かつ適正に処理するためには、近隣の自治体間での相互支援や、産業廃棄物処理業者等との緊密な連携が極めて重要でございます。
 都はこれまで、業界団体と都内全域における災害廃棄物処理協定を締結し、大規模災害に備えてまいりました。
 また、特別区の検討会に参加するなど、区部における自治体間連携の取り組みを支援しており、今後は、多摩地域でも同様のスキームの構築に向け、市長会に働きかけてまいります。
 加えて、多摩地域にも、産業廃棄物処理施設の活用も見据えた業界団体との協力体制の整備を後押しし、多摩地域における災害廃棄物の対応力向上に取り組んでまいります。
 次に、補正予算を活用した暑さ対策の強化についてでございますが、来年の夏も厳しい暑さが予想されることから、体温調整が難しいお子様や高齢者を含めた観客向けの暑さ対策を強化することが重要でございます。
 このため、この夏のテストイベントにおいて、専門家などの意見も含めましてさまざまな検証を行った結果、観客から好評でございました、効果が明らかになった対策を最大限に活用することとし、テントや日よけの追加設置、ネッククーラーの配布規模の拡大のほか、新たに飲料等を配布するなど、対策の強化を図ってまいります。
 引き続き、組織委員会を初めとする関係機関と連携し、大会本番の暑さ対策に万全を期してまいります。
 最後に、ごみの減量化についてでございますが、都民の日々の暮らしの中で発生するごみを減らすためには、ライフスタイルの転換を促し、ごみを減量する具体的な方策を提示することが重要でございます。
 都は今年度、企業と連携し、繰り返し充填が可能な容器を活用して日用品を提供するビジネスモデルを支援するほか、教育機関と連携し、大学内でレジ袋の使用を控えるキャンペーンや、小学生向けの海ごみ学習教材の配布など、ごみの減量に向けた新たな取り組みを行っております。
 今後、こうした取り組みとともに、区市町村などと連携した取り組みを一層加速させ、ごみの減量に向けた理解と協力の輪を広げてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、調節池の整備のスピードアップに向けた取り組みとストック効果についてでございますが、台風や集中豪雨による水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池等の河川施設の整備を効率的、効果的に推進していくことが重要でございます。
 台風第十九号の際には、神田川・環状七号線地下調節池では、下流の中野区内において、推定で最大約一・五メートル水位を低下させるなど、溢水の未然防止に大きな効果を発揮いたしました。
 今後、新規調節池の早期事業化に向け、候補地の選定に当たっては、公共用地を基本に適地を幅広く検討してまいります。水害に強い都市東京の実現に向け、豪雨に効果を発揮する河川施設の整備を推進してまいります。
 次に、無電柱化を進めるための課題への取り組み状況についてでございますが、都は、東京電力やNTTなどと技術検討会を設置し、電線等を浅く埋設する手法の導入や電線共同溝の材料の見直しなど、技術的な検討を進めまして、平成三十年四月に、技術基準である東京都電線共同溝整備マニュアルを改定いたしました。
 現在、このマニュアルに基づき、今後事業着手する目白通りや新奥多摩街道などにおきまして、浅く埋設する手法や新材料などを採用した予備設計等を進めております。
 さらに、電線管理者と連携いたしまして、地上機器や特殊部のコンパクト化、低コスト化等の技術開発に取り組むとともに、コスト縮減や工期短縮を図ってまいります。
 引き続き、東京の無電柱化を強力に推進してまいります。
 次に、道路における交通安全対策の取り組みについてでございますが、子供が日常的に移動する経路において交通安全対策を進めることは極めて重要でございます。
 区市町村等と合同で実施いたしました緊急安全点検の結果、道路管理者として対策が必要な箇所は、都内において二千二百十七カ所であり、そのうち都道は百八十一カ所でございます。
 主な交通安全対策といたしまして、歩行者の通行の安全性を確保する防護柵の設置や、歩行空間を確保するため路側帯のカラー舗装化等を実施してまいります。
 また、子供の移動経路は、都道や区市町村道等が連続しているため、交通安全対策の実施に当たりましては、対策箇所の大半を占める区市町村等と連携を図ってまいります。
 引き続き、子供が安全で安心して利用できる歩行空間の確保に取り組んでまいります。
 次に、道路のバリアフリー化についてでございますが、都はこれまで、東京都道路バリアフリー推進計画に基づき都道のバリアフリー化を進めるとともに、道路の新設や拡幅、無電柱化等の他事業との一体的な整備を行ってまいりました。
 加えて、東京二〇二〇大会に向けまして、競技会場や観光施設周辺において、国や区市等と連携をし、道路の面的なバリアフリー化を推進しております。
 本年七月に、バリアフリー法に基づく特定道路として、赤羽駅や町田駅等の主要な駅周辺の都道や区市道など、都内において新たに約五百キロメートルが指定されました。
 これを踏まえまして、都道における特定道路のバリアフリー化を進めるとともに、区市等と連携して区市道などの特定道路のバリアフリー化を進めることで、道路の面的なバリアフリー化をさらに推進してまいります。
 最後に、都立公園におけるラグビーができる施設の整備についてでございますが、都立公園の整備に当たりましては、公園の個性や特性等を踏まえ、自然環境の保全や防災、レクリエーション等の機能を最大限に発揮させることが重要でございます。
 都立公園に設ける運動施設につきましては、都民の多様なレクリエーション活動や健康増進を支える場となるよう、子供から大人まで多くの都民が気軽にスポーツに親しめる身近な施設であることを基本としてきました。
 今後、都立公園の地域特性を考慮しつつ、地元自治体等の意見も聞きながら、都民がラグビーもできる場について検討してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 下水道に対する都民の理解を深める取り組みについてでございますが、下水道が普及し、トイレの水洗化が進んだ現在、下水道は都民の暮らしにあって当たり前となり、都民の関心や認知度は必ずしも高いとはいえません。
 そこで、下水道局では、東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八に基づき、ふだん見ることができない地下の貯留管などをVR技術により映像化することで、手軽に施設見学を疑似体験できる取り組みや、浸水対策工事現場等のインフラ見学ツアーなどを実施し、戦略的なPRに努めております。
 引き続き、都民に下水道への理解を深めていただけるよう、見学環境の整備等に取り組んでまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本各地との連携策についてですが、東京と日本各地が連携して、それぞれの観光資源を活用し、多様な魅力を発信することは、東京と各地の双方の旅行者の誘致に効果的でございます。
 お話の八ッ場ダムのある地元自治体では、地域の豊かな環境を生かした自然体験など、アウトドアレジャーの取り組みを進め、旅行者の増加を図ることで、生活再建につながる観光振興に取り組んでおられます。
 都としても、例えば都庁舎内にある全国観光PRコーナーにおいて、日本各地の魅力を各自治体の創意工夫で発信するなど、双方の誘客につなげているところでございます。
 今後も、地元自治体との連携に取り組んでまいります。
 次に、障害者や難病患者等に対する就労支援についてですが、これまで都は、障害者や難病患者等を雇用する企業に奨励金を支給するなど、さまざまな就労支援を実施してまいりました。
 近年、治療技術等の進歩などにより、障害や疾病を抱えていても就労が可能になるなど、こうした方々の就労環境が大きく変化していることから、一人一人の実情を的確に把握し、希望や個性に応じた就労支援を行うことが一層重要となっております。
 こうした状況を踏まえまして、障害者や難病患者等に対するきめ細かな就労支援が行えますよう、しごとセンターの相談窓口等に医療、福祉等の専門スタッフを配置することに加え、国、区市町村と連携して、適切な支援へとつなげる仕組みを構築してまいります。
 次に、障害者の職業能力開発についてでございますが、障害者雇用の促進に向けては、疾病や不慮の事故により障害者となられた方などに対し、実情を踏まえたきめ細かな職業訓練を行うとともに、企業等の多様な人材ニーズに対応した訓練機会を確保する必要がございます。
 このため、都は、東京障害者職業能力開発校において、人材ニーズに即した実践的な技能を習得する訓練指導に加え、専門スタッフを配置した生活指導をあわせて実施するなど、障害者が安定的に訓練を受けられるよう支援を行っているところでございます。
 さらに、ニーズの変化等に的確に対応するため、民間の教育機関等を活用した委託訓練を実施し、訓練機会の拡充を図っているところでございます。
 これらの訓練等を通じて、障害者雇用を推進してまいります。
 最後に、中小企業におけるICTの利活用の推進についてですが、中小企業の生産性を向上させていくためには、IoTや5Gを初めとするICT技術の活用を企業のニーズに応じて促進することが必要でございます。
 都は、都内中小企業に対して、ICTの活用に向けた相談窓口の設置や専門家によるシステム導入の提案などを行っております。こうした取り組みとあわせて、将来5Gの実用化が見込まれる中、スマート工場化に必要な機器等の導入を目指す中小企業への支援や、5G活用のノウハウやメリットを発信するセミナー等の開催を検討してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、大規模災害時の医療救護体制についてでありますが、都は、災害時に医療関係の多職種が連携して医療救護活動を行えるよう、ガイドラインに各職種の活動内容を明記し、区市町村との合同総合防災訓練で、実践的な訓練を実施しております。
 また、二次保健医療圏ごとに実施した図上訓練では、職種間の情報共有が重要との意見もあり、現在、全ての圏域で訓練の検証を踏まえた活動方針を検討しており、今後とも、災害時に多職種が緊密に連携し、役割を発揮できるよう、区市町村や関係機関と協力しながら、地域の実情に即した災害医療体制の整備を進めてまいります。
 次に、災害時の医療人材の活用についてでありますが、災害時に医療救護活動を円滑に実施するためには、医療人材の確保が重要であり、都は本年度、医療救護所における看護師の確保状況に関し、区市町村に対してアンケート調査を実施いたしました。
 調査では、区市町村の多くは、医療救護所の看護師確保が課題としておりますが、域内や近隣に在住する看護師を登録し、研修を行うなど、先進的な取り組みを実施している自治体もございました。
 今後とも、都は、こうした事例を紹介し、包括補助で支援するとともに、災害時の医療人材の活用について検討してまいります。
 次に、児童養護施設における自立支援についてでありますが、施設では、入所児童の自立を支援するため、自習室の設置など学習環境を整えるほか、ボランティアを活用し、児童の状況に合わせた学習支援や進学支援を行っております。
 都は、中学生以上の学習塾や大学進学等に要する経費の一部を補助するとともに、入所児童の自立支援や進学準備から退所後の継続的な相談援助を行う、専任の自立支援コーディネーターを配置した五十四施設を支援しているところでございます。
 今後も、一人一人の状況にきめ細かく対応しながら、施設に入所している児童の自立をしっかりと支援してまいります。
 次に、シルバーパス制度についてでありますが、都は、シルバーパスの利用者だけでなく、広く都民の意見を把握するため、利用者実態調査と制度のあり方調査を実施し、現在、報告書の取りまとめを進めているところでございます。
 高齢化が進む中で、利用者はさらに増加することが見込まれており、今後、制度を持続可能なものとするため、調査の結果も踏まえ、さまざまな観点から検討する必要があると考えております。
 次に、保育士の負担軽減についてでありますが、都は現在、保育士が保育に専念できる環境を整備し、その離職防止、職場定着を図るため、地域の多様な人材を清掃や給食の配膳などの補助的業務に活用する経費を補助する区市町村を支援しております。
 平成三十年度は十二区市が実施しており、より多くの保育所でこうした人材の活用が進むよう、待機児童対策協議会等を通じて区市町村に働きかけているところです。
 区市町村からは、補助的業務を担う人材の確保や継続的な雇用に苦慮しているなどの意見があることから、地域の人材を活用した保育士の負担軽減を引き続き検討してまいります。
 次に、認証保育所の活用についてでありますが、都は、待機児童の解消に向けて、認可保育所、認証保育所など、多様な保育サービスを整備する区市町村を支援してまいりました。
 その結果、本年四月の待機児童数は大幅に減少しましたが、その大半を占めている一歳児への対応が課題となっております。そのため、今年度、認可保育所の空き定員を利用して、一歳児の受け入れを促進する仕組みの充実を図っているところでございます。
 引き続き、地域の保育ニーズの変化に対応できるよう、都の保育施策の重要な柱の一つである認証保育所についても、この仕組みの活用を検討してまいります。
 次に、介護人材対策についてでありますが、都は、介護人材の確保、定着、育成のため、職場体験や資格取得支援のほか、奨学金返済相当額の手当支給を行う事業者を支援するなど、さまざまな取り組みを実施しております。
 昨年度からは、介護未経験者に対する入門的な研修や中堅職員のキャリアアップなど、地域の特色を踏まえた区市町村の取り組みを支援しております。
 今年度は、職員の採用経路や離職の理由、確保、定着に効果があった取り組みなどについて、地域ごとの分析を進めており、その結果も踏まえながら、効果的な介護人材対策を検討していく必要があると考えております。
 次に、一時保護委託についてでありますが、児童養護施設等への一時保護委託は、通学の保障等、児童の地域における生活の連続性の確保や、それぞれの施設が持つ専門性の活用などの面で有効なものと考えております。
 平成三十年度の都内の一時保護の新規保護人数は前年度から五百二十二人増加しており、そのうち一時保護委託は四百二十五人を占め、その需要は高まっております。
 都は現在、児童福祉審議会で、一時保護委託も含め、施設機能について検討しており、この議論も踏まえ、児童個々の状況に応じて一時保護委託の活用について適切に対応してまいります。
 最後に、新生児委託推進事業についてでありますが、都は平成二十九年度から、特別養子縁組を前提として新生児等を委託するモデル事業に新たに取り組み、本年十一月末までに十一人を里親に委託しております。
 このモデル事業では、一カ所の乳児院に専用の受け入れ枠を一床確保し、児童相談所と乳児院のそれぞれに専任の職員を配置しておりますが、同時期に複数の新生児が候補となったため、新生児のうちに委託につながらなかったケースも生じております。
 養子縁組が最善と判断した場合、できる限り新生児のうちに委託を進められるよう、本事業の本格実施については、こうしたことも踏まえ検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会の暑さ対策についてでありますが、選手やボランティア、観客等の暑さ対策は大会成功に向け重要であります。
 このため、都では、組織委員会や関係機関と連携し、ことしの夏に実施したテストイベントでの試行、検証を踏まえ、日陰の創出や暑さ対策グッズの配布拡充のほか、救護所の設置等、適切な救護体制の構築に向けた検討を進めるなど、さらなる対策の強化を図ることとしたところでございます。
 また、シティキャストに対しては、連続する活動時間に上限を設け、小まめな休憩時間の確保や水分補給の徹底なども検討しております。さらに、観客等への丁寧な情報提供を含め、引き続き、実効性ある対策に着実に取り組んでまいります。
 次に、障害のある方に対する情報保障についてでありますが、障害の有無にかかわらず、誰もが必要な情報を得られるよう配慮や工夫を行うことは重要であります。
 現在、組織委員会では、障害のある方も含め、誰もが競技を楽しめるよう、会場内で競技状況の大型ビジョンへの表示や、競技の特性に応じ、会場全体へのアナウンスや実況解説の実施を検討しております。
 また、都は組織委員会と連携し、聴覚に障害のある方などに向けて、スマートフォンを用いた文字情報の提供について、テストイベントを通じた検証を実施しております。
 引き続き、障害のある方が競技の観戦を楽しんでいただけるよう、アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、競技や会場の特性に応じた対応策について、組織委員会と連携し検討してまいります。
 次に、会場周辺企業へのTDMの協力依頼についてでありますが、大会輸送は大会成功の鍵の一つであり、企業の皆様に交通需要マネジメント、いわゆるTDMに取り組んでいただくことが重要であります。
 そのため、業界団体や企業への説明会に加え、エリアを分けた説明会や個別コンサルティングなどを実施し、会場周辺の交通対策や混雑状況を丁寧に説明し、TDMの協力を依頼してまいりました。また、ポスターや動画を初め、テレビなどの媒体も活用し、広く取り組みの浸透を図っていきます。
 加えて、競技会場周辺や、特に交通混雑が見込まれる十六の重点取り組み地区の企業向けに、デジタル広告やSNSを活用した広報を展開し、より一層、都民や企業の皆様のご協力が得られるよう、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 次に、中小企業向けの物流対策についてでありますが、大会時の物流対策を検討する上では、中小企業を含めたサプライチェーン全体で連携した取り組みが重要であります。
 これまで都は、中小企業も対象に、東京商工会議所を初めとした経済団体等を通じた説明会で情報提供などを行ってまいりました。
 今回、物流の効率化に向け、国や荷主、配送事業者などの業界団体等と連携して協議会を発足させるとともに、個別相談やチラシ配布等を行い、広く周知に取り組んでまいります。
 あわせて、企業の意向を把握し、段階に応じ複数回のコンサルタント派遣を行い、企業の取り組みを支援し、円滑な大会輸送の実現と経済活動の維持との両立を図ってまいります。
 次に、大会時の都発注工事の調整についてでありますが、大会期間中の交通混雑緩和に向けて工事調整を進めるためには、工事関係者の理解と協力が必要であります。
 本年十月には、この夏の試行結果や会場周辺の交通対策の取りまとめ等を踏まえ、都庁発注工事の調整に関する取組方針を更新し、業界団体等を通じ広く協力依頼を行っております。
 今後、大会に近づくにつれ、都発注工事について事業者等からの問い合わせがふえることも想定されますことから、迅速に対応できるよう問い合わせ窓口体制を整理し、周知するなど適切に対応してまいります。
 次に、民間工事事業者への働きかけについてでありますが、都内で行われる工事の約八割が民間工事であり、大会時の交通混雑緩和に向けては、民間工事の発注者、受注者それぞれに工事調整への取り組みに協力をいただくことが重要であります。
 そのため、発注者、受注者双方に対し、大会期間中に取り組んでいただきたい工事調整のチラシを作成し、都などの工事関係の窓口などで配布をしております。加えて、建設業や不動産、建設資材などの団体や個別企業に直接協力を依頼しております。
 引き続き、工事関係者の理解と協力をいただきながら、大会輸送と経済活動の両立に努めてまいります。
 最後に、ワールドカップを契機としたラグビーの裾野拡大についてでありますが、大会で高まったジュニア世代のラグビーへの興味、関心を将来に引き継いでいくためには、実際に体験し魅力を感じる場をふやすことが重要であります。
 そのため、都は、大会期間中ファンゾーンにおいて、ラグビー相談や各地のスクールの情報を紹介するブースを設置するとともに、パス回しやタックル体験などラグビーに直接触れられる機会を提供いたしました。
 今後も、競技団体等と連携して、子供たちが気軽にラグビーに触れられる機会を創出するなど、裾野拡大につながる取り組みを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、大会を契機に高まったラグビーへの関心をレガシーとして定着させてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、契約制度におけるインセンティブについてでございますが、現在、障害者雇用を積極的に推進している事業者に対しましては、入札における総合評価方式での加点措置や事業者の資格登録の審査において、障害者雇用率に応じた加点などの評価を実施しております。
 今後、契約制度において、難病患者やがん患者などを雇用する事業者への対応を検討するに当たりましては、その前提として、支援対象とする事業者の定義や範囲などが明確であることが必要でありまして、事業所管局での検討を踏まえて対応してまいります。
 次いで、発注関係事務の運用に関する指針についてでございますが、都はこれまでも、運用指針を踏まえ、工事の品質確保や建設業の担い手を確保するため、適切な工期の設定や施工時期等の平準化などを進めてまいりました。
 国において運用指針が改定される見込みでございますが、都におきましては、改正運用指針の趣旨にもかなう設計等委託業務の平準化や工事関係書類の削減、簡素化などの取り組みを始めているところでありまして、これからも運用指針をもとに必要な制度等の見直しを図り、働き方改革に向けた取り組みを行ってまいります。
 また、受注者の声も踏まえつつ、発注から設計、工事に至る各段階におきまして、発注関係事務が着実に実施されるよう、庁内連絡会などの機会を捉えて、法の理念や運用について共有し浸透を図ってまいります。
 次いで、週休二日を前提とした工事発注についてでありますが、都は現在、建設業における働き方改革の一環として、週休二日モデル工事を試行しております。
 その中では、工期の設定に当たって直接必要な日数のほか、施工条件や休日等を考慮した日数を加え必要な期間を確保するとともに、工事費の算出において週休二日に必要な経費として、実態に合わせて労務費の補正を行っております。
 今後とも、モデル工事において、現場管理上の課題や労務費補正の効果などを把握した上で、業界の意見も聞きながら、引き続き適切な工期の設定や経費の計上などに努めてまいります。
 次いで、発注の平準化についてでありますが、債務負担の活用や適切な工期設定などに加えまして、中長期的な工事発注見通しの公表も、平準化の取り組みを進めることに寄与する可能性があるものと認識をしております。
 一方で、関係機関との協議や地元調整などにより、事業スケジュールが変更される場合も多く、数年先や複数年度の範囲での発注見通しの公表により、入札参加者に混乱を招くことも懸念されております。
 今後、国などと連携し、課題や公表する範囲の検討を行ってまいります。
 次いで、業務委託契約についてでありますが、品質確保のためには、業務の履行を担保する適切な予定価格の設定が重要であると認識をしております。
 しかしながら、業務委託の種類や内容は多岐にわたっているため、公定の参考労務単価などを活用するものや主に複数の参考見積もりをもとに設定するものなど、各案件の性質により、さまざまな積算手法が必要となっており、全ての業務に統一的な基準を設定するには課題がございます。
 品質確保やダンピング抑止の観点からは、一定の基準の設定は重要でありまして、今後とも、反復継続する案件など業務の種類ごとに積算の実態の把握に努め、適切な予定価格の設定に取り組んでまいります。
 最後に、再生骨材コンクリートについてでありますが、解体工事などによって発生するコンクリートの瓦れきを再生骨材として活用することは、持続可能な社会を構築していく上で重要であり、東京都環境物品等調達方針などによりまして、再生骨材を用いたコンクリートの使用を推進しております。
 具体的には、簡易な擁壁を初め、高い構造性能を必要としない部材などに使用することとしておりまして、工事標準仕様書において位置づけ、活用を図ってまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅の供給についてでございますが、都営住宅におきましては、ストックの適切な維持更新を図るため、地域の特性や住宅の老朽化の度合い等を勘案して、計画的に建てかえを進めていく必要がございます。
 建てかえに当たりましては、多世代共生に配慮するとともに、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を確保する観点に立ち、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しており、平成三十年度には、建てかえに着手した住宅の約半数を単身者用の住戸としております。
 こうした都営住宅の建てかえ事業による供給に適切に取り組みますとともに、高齢者等の入居を拒まないセーフティーネット住宅の登録を促進するなど、引き続き、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居の円滑化を図ってまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 成年年齢引き下げに向けた若者向けの消費者教育についてでございますが、改正民法の施行により、高校在学中に生徒が成人を迎えることとなるため、都では、学校における消費者教育への支援の強化に取り組んでいます。
 具体的には、成年年齢引き下げをテーマに教員向け講座を実施するほか、生徒を対象とした出前講座や消費者教育教材につきましては、契約の仕組みやクーリングオフなど、消費者保護に関する内容を充実いたしました。
 今後は、東京都消費生活対策審議会の提言を踏まえ、保護者等に向けた出前講座の拡充や学校教育と消費生活行政をつなぐコーディネーターの設置に向けた調整を進めてまいります。これに加えまして、若者に身近なSNSを活用した情報発信についても強化するなど若者への消費者教育を一層推進してまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 都立、公社病院が今後担う役割についてでございますが、現在、公社病院は、地域医療のシステム化を先導してきた実績を生かしながら、地域包括ケア病棟における在宅復帰支援等の取り組みを通じて、地域に必要とされる医療を提供しております。
 また、都立病院は、都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、これまでの基本的役割である行政的医療の提供に加え、地域医療の充実への貢献を新たな役割として位置づけ、地域の医療機関等に対する支援に取り組んでおります。
 今後とも地域医療構想で示した東京の医療の姿を実現するため、地域医療構想調整会議の場などの議論も踏まえながら、都立、公社、計十四病院がスケールメリットを生かしつつ、相乗効果を発揮することで、地域医療の充実に向けた役割を担ってまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時四十八分休憩

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