令和元年東京都議会会議録第十九号

   午後三時三十分開議

○副議長(橘正剛君) 休憩前に続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番高倉良生君。
〔百七番高倉良生君登壇〕

○百七番(高倉良生君) 都議会公明党を代表して質問します。
 十月二十二日、名誉都民である緒方貞子さんが逝去されました。また、十月二十四日、名誉都民である八千草薫さんが逝去されました。謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 初めに、台風十五号、十九号への対応と今後の対策について質問します。
 このたびの災害で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 台風十五号で、都議会公明党は、被災した島しょ地域を調査し、損壊した住宅への支援など、さまざまな要望を受けました。
 台風十九号では、多摩川沿いで浸水の原因解明や被災住宅への支援などについて住民から要望を聞くとともに、都道の崩落で孤立地区が発生した日の出町や奥多摩町、都道崩壊や土砂崩れが発生した檜原村、さらに、家屋が傾く被害などが発生した多摩地域の河川の氾濫現場などをつぶさに調査しました。
 まち全域で断水した奥多摩町では、生活水の不足に直面した特別養護老人ホームも訪問し、現場から都に対し給水車を増車するよう要請し、都は、他県からの支援も受けて奥多摩町への給水車を拡充するなど、必要な対応が進められました。
 こうした活動をもとに、都議会公明党は、知事に繰り返し要望を行い、補正予算による被害の復旧、復興への対応を求めたほか、決算特別委員会や常任委員会での質疑を通じて、迅速な取り組みを求めてきました。
 それらを受け、今定例会に補正予算が提出され、台風に伴う防災対策の検証結果も示されました。
 補正予算では、市町村への特別交付金や電源確保策など、さまざまな取り組みが示されました。特に、都議会公明党が要望した住宅一部損壊に対する都独自の対策が盛り込まれたことは、高く評価したいと考えます。
 一方、防災対策の検証結果では、市区町村が参加する図上訓練、立川地域防災センターの機能強化や仮称危機管理副監の設置、アクセス集中に対するサーバー強化、多摩地域を初め、都内河川の蛇行、狭あい箇所の詳細調査、広域避難、避難所のペット対策など、幅広い取り組みが示されました。
 都議会公明党は、現場調査をもとに台風災害に関する提案を重ねてきましたが、今回の取り組みと今後の対応について、知事の見解を求めます。
 都議会公明党の要望を踏まえ、補正予算に盛り込んだ災害救助法の対象になっていない住宅一部損壊への都独自の支援については、既に修理費用を支払った場合も対象にすべきです。また、災害救助法に基づく住宅一部損壊支援では、修理費用支払い済みは対象となっていませんが、これについても都として支援すべきです。あわせて知事の見解を求めます。
 特に、多摩・島しょの市町村では、一部損壊の住宅が多数に上り、対応に要する各市町村の財政負担は多大です。
 そこで、市町村の財政負担の緩和を図るため、今回の補正予算に計上した特別交付金を活用し、積極的に支援をすべきと考えます。都の見解を求めます。
 今回の台風は、避難所運営や情報伝達が課題になりました。十九号の際、避難所に住民が押し寄せたため、都の施設を急遽あけた地域もありました。現在の避難所の体制は、震災に主眼が置かれており、水害に備えた体制になっていません。浸水の危険がある地域の避難所もあります。都施設や市区町村において、地震や風水害など、災害の種類に応じた避難先が確保されていることが必要と考えますが、見解を求めます。
 また、避難所における的確な対応も重要です。他の自治体では、常勤職員だけでは避難所開設などの対応に限界があるとして、防災計画の見直しを進めているところもあります。全国的に非常勤職員がふえている中、災害時に避難者への対応を誰が担うのか。
 都は、災害時の人員確保のあり方を点検し、対策を強化すべきです。見解を求めます。
 検証結果で都は、垂直避難できる建物のデータベース化を挙げています。東部低地帯には都営住宅が多くあり、空き住戸が多い団地もあります。浸水が想定される一階や二階などには、災害時要援護者や車椅子の障害者、寝たきりや移動が困難な住民が居住しています。
 こうした居住者や地域住民のための避難場所として、上層階の空き住戸を活用すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 多くの都民が迅速に避難するためには、タイムラインの活用が重要です。荒川下流域では、関係機関が台風接近や上陸時など、その時々に何を行うのかを事前に決めておき、住民の逃げおくれをなくすタイムラインが策定されています。台風十九号の際も、タイムラインにのっとり、適時的確に行動しました。
 一方、多摩川の流域では、警察、消防なども加わったタイムラインが策定されていません。
 多摩川流域においても、新たなタイムラインの策定に向け、都は、事業主体である国に働きかけ、取り組むべきです。都の見解を求めます。
 多摩川には、河川から宅地側への逆流による被害を防ぐため、下水道局が樋門等を設置しています。今回の台風では、樋門の操作盤に近づくことができず、二カ所の樋門を閉鎖できませんでした。住民からは、閉鎖できなかった樋門から多摩川の水が逆流したことが、浸水被害の要因ではないかといった声が上がっています。
 このような被害を再び起こさないために、悪天候においても確実に樋門の操作が行えるよう、遠隔操作や操作盤の増設などの対策を早期に講じるべきです。見解を求めます。
 また、樋門閉鎖により、内水氾濫が発生する場合もあります。樋門の開閉操作と維持管理は、都が自治体に委託しているものもあり、多摩川など複数の自治体に沿って流れる河川では、地元区市相互で樋門に関する情報共有を行うことが重要です。
 そこで、地域住民に対し、樋門の役割を日常的に周知するとともに、樋門操作等の広域的な情報共有に関して取り組みを急ぐべきです。知事の見解を求めます。
 今回の台風被害では、都内や他県で飲料水の供給が停止し、千葉県では、送電線の断絶によって断水が長期化しました。
 水道局では、灯油や軽油、都市ガスを活用し、長期間稼働できる非常時の電力確保策を計画的に進めていますが、前倒しを図るべきであります。加えて、LPガスの活用策も検討すべきです。あわせて見解を求めます。
 都営地下鉄では、水没時の電力喪失への対応力を強化すべきです。地下鉄の変電施設が水没した場合には、機械が故障し、長期の運行停止となるおそれがあります。都営地下鉄の早期の運行再開は、大規模水害後の都市機能の回復、日常生活の再開に欠かせません。
 都営地下鉄としてのBCPやBCMを考える上で、プライオリティーを明確にし、水没から守らねばならない施設の特定や、対策を構築することが重要と考えますが、大規模水害時の早期復旧について見解を求めます。
 都立病院、公社病院については、非常用の発電装置の整備などを求めてまいりました。その上で、水没を防ぐべき設備への対策や水没の危険性が高い地域での診療の代替など、対応策の進みぐあいについて見解を求めます。
 また、都内の中央卸売市場においては、電力の喪失や電気設備の故障などに備えた対策が急務です。非常用電源の確保、故障した機器の迅速な機能回復、施設の使用停止などの機能不全に陥らないための方策などについて見解を求めます。
 次に、幼児教育、保育について質問します。
 我が党の長年の取り組みにより、国の幼児教育、保育無償化の動きが本格化する中、都が都議会公明党の要望に応え、国の補助対象から外れている多子世帯への独自補助を開始したことを高く評価します。その上で、幼児教育、保育の質の確保も重要であります。
 公明党東京都本部では、幼児教育、保育の無償化に関する視察や勉強会を重ねてきました。さらに、現在は、無償化に関するアンケート調査を、三百四十四名の都本部所属の議員が進めています。
 先日は、新宿せいがこども園園長の藤森平司氏を招き、勉強会を開催したところであります。
 同氏が提唱する見守る保育は、最新の脳科学と同氏の実践で得られた知見に基づくもので、AI時代に必要とされる非認知能力、例えば、他者と共感し、協力的な人間関係を築いて、問題解決を図るために必要な自分の感情をコントロールする力などを育むものとして、国内外から大きく注目されています。ポイントは、乳幼児期からの集団保育によって、子供たち同士の刺激に基づく健全な発育を導く保育技術にあります。
 二〇四〇年の東京を担い立つのは、今の、そして、これからの子供たちです。AIでは代替できない社会的役割を担い立てる人材に育ってもらう必要があります。
 幼児教育や保育の無償化が進むこの機に、都は、関係者間の自主的な相互啓発の活発化に向けた工夫を積極的に講じていくべきです。見解を求めます。
 これまで我が国では、保育といえば、保護者の就労支援策としての側面だけが強調されてきました。
 しかし、本来の保育とは、親子の関係だけでは得られない集団保育の効果を、子供たちの健全な発育のために保障する役割があり、乳幼児教育の先進国はそうした見地に立っています。
 長期戦略が描く二〇四〇年の東京は、保護者の就労の有無や長短にかかわらず、望めば全ての家庭で一日に数時間程度の集団保育の効果が享受できる社会としていくべきです。
 長期的な視点に立って、幼児教育、保育のあり方について検討を進めていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、多胎児支援について質問します。
 双子、三つ子など多胎児を育てることは、精神的にも身体的にも負担が大きく、虐待リスクも高いという指摘もあります。
 都議会公明党は都に対し、多胎育児支援の必要性を要望してきました。さきの決算特別委員会においても質問し、知事からは、切実な問題と向き合っている家庭への支援は極めて重要、との答弁があったところです。
 乳児期は、授乳やおむつがえ、沐浴など、首がまだ座らない赤ちゃんを母親一人で育てるのは容易ではなく、特に支援が必要であり、また、外出の際、多胎児用ベビーカーでの公共交通機関での移動の困難さ、その後の教育費負担など、子供の成長に伴った支援策を検討すべきと思います。
 局横断的に連携を図り、支援策を講じるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 二〇一四年九月、都議会公明党の少子社会対策プロジェクトチームは、都に対し、フィンランド発祥のネウボラを参考にした制度を構築するよう提言しました。
 都は、翌二〇一五年から、妊娠、出産、子育てと切れ目のない支援を担う東京版ネウボラとして、ゆりかご・とうきょう事業がスタートし、今年度は四十六市区町村が取り組んでおり、成果を上げてきました。実施期間は今年度までの五年間となっていますが、多胎児への支援を初め、内容の充実を図りながら、来年度以降も継続すべきと考えます。
 また、多胎育児のサポートを考える会のアンケート調査では、家事援助や訪問型ベビーシッターを利用したいとの声が多くありました。
 そこで、ベビーシッター利用支援事業は、現在、待機児童対策として活用されていますが、在宅子育て家庭も利用できるようにすべきであります。多胎育児家庭についての支援策として有効な取り組みになると考えます。
 こうしたことも踏まえ、総合的に多胎児を育てる家庭への支援策を講じるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 孤立しがちな多胎育児家庭の環境を変えるためには、公共交通機関を気兼ねなく利用できるようにすることが重要です。
 都は、都営地下鉄や都バスなどを運営していますが、まずは交通局が、双子のベビーカーを折り畳まずに都バスに乗ることができるよう、検討を進めることを要望いたします。
 特に今、早急に対応が求められているのが、都営大江戸線の若松河田駅であります。明年一月より、耐震工事のためエレベーターが使えません。多くの多胎児が通院する医療機関の最寄り駅であり、代替公共交通は都バスしかありません。移動支援について、速やかに都は対策を講じるよう求めておきます。
 次に、環境施策について質問します。
 災害の激甚化をもたらす気候変動対策について、知事が、二〇五〇年、CO2排出量実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京戦略の年内発表と、気候変動適応方針を策定する考えを示したことを高く評価いたします。
 都議会公明党は、この戦略の内容に注目しています。今後、気候変動に取り組む都の姿勢を内外に明確にアピールすべきであります。
 CO2を排出しない具体策として、再生可能エネルギーの利用拡大は重要です。都庁第一本庁舎への供給電力は、この八月から再生可能エネルギー一〇〇%に切りかえられました。このような都の率先行動は、大変意義のあるものと考えます。
 また、太陽光発電の固定価格買い取り制度による買い取り期間が満了する、いわゆる卒FITを迎える家庭が、買い取り価格の低下により発電をやめないようにする仕組みも必要であり、卒FITの電力を都有施設の再エネ電力に活用すべきであります。知事の見解を求めます。
 東京オリ・パラ大会では、競技会場や国際放送センター、メーンプレスセンター、選手村で使用する電力は、再生可能エネルギー電力一〇〇%使用を目指すとしています。大会後もレガシーとして、一〇〇%を目指すべきと申し述べておきます。
 次に、外堀の水質改善について質問します。
 八月に公表された長期戦略ビジョンの論点整理の中に、玉川上水や河川の清流復活、外堀の水質浄化が明記されたことは、第一歩を踏み出したと評価いたします。
 今後、東京を訪れる国内外からの観光客も一層増加します。多くの方たちに東京の魅力を感じてもらうためにも、外堀の水質改善に取り組み、水の都にふさわしいまちを実現することが重要と考えますが、知事の見解を求めます。
 都議会公明党はこれまで、都に対し、検討組織の立ち上げや有識者からの意見聴取など、さまざまな提言を行ってきました。また、玉川上水などを活用した河川水の導水についても提言をしたところです。
 都は昨年、工業用水道の廃止を決めましたが、この有効活用について検討すべきであります。
 また、これまで外堀の水質改善対策が進まなかった背景には、外堀が法定外公共物であり、水質管理の主体が曖昧であったこともありました。今後、水質改善方策の具体化には、国や地元区との連携を図るべきと考えますが、あわせて都の見解を求めます。
 次に、ソーシャルファームが柱の一つに据えられた、都民の就労支援に関する条例案について質問します。
 ソーシャルファームは、事業からの収入を主たる財源として運営しながら、就労に困難を抱える方を相当数雇用すること等が要件となっており、当然、最低賃金以上の給与も求められます。多くの福祉作業所では、別の枠組みとはいえ、割り返せば最低賃金に満たない工賃でしか仕事を請け負えない現状にあり、その打開に苦労しています。したがって、ソーシャルファームの創設、運営はかなり難易度が高いものになると考えられます。
 類似の事業からの移行や、新たに事業創設に取り組む事例をふやしていくために、創設に意欲を持つ事業者がふえるような、都内の経済活動の実態に合った認証基準とすることが重要です。加えて、事業立ち上げ前後の複数年にわたり支援し、経営の自立を見届けてから支援を終えるという責任ある態度で臨むべきです。
 新たなソーシャルファームが次々と創設され、自立していく取り組みの構築に向け、知事の見解を求めます。
 法定雇用率の引き上げが予定されている中で、障害者を雇用した経験のない企業に対する支援の強化を急ぐ必要があります。また、女性の再就職では、飯田橋の東京しごとセンターで支援を実施していますが、多摩地域に住む都民には利用しにくい距離感があります。
 都がこれまで実施してきた就労支援施策についても、条例制定をきっかけに課題を整理し、支援内容を拡充するべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、就労に困難を抱える方への支援にあっては、相談、就労、定着までを一連の流れと捉えて検証し、PDCAのサイクルの中で、絶えず支援内容のブラッシュアップを図る体制を構築すべきと考えます。見解を求めます。
 さらに、社宅などに住む都民は、離職すると住まいも失うことになります。出所者や児童養護施設の退所者などにそうした事例が多く、支援が必要です。
 住宅政策本部は、福祉保健局とともに取り組むチャレンジネット事業で、都営住宅を活用し、介護職の資格取得に要する講座などを受講中に住まいを提供していますが、対象を介護職以外にも広げ、数も拡大していくべきです。見解を求めます。
 次に、都発注工事における働き方改革について質問します。
 我が党は、第三回定例会の代表質問で、工事契約に係る提出書類の削減と工事現場での女性活躍の推進を求め、前向きな答弁を得ていたところです。
 今後、具体的な改善が進むよう、受注業界に対して十分に周知し、意見交換を行って臨むよう求めるものです。都の見解を求めます。
 また、書類の削減は、資料項目数の削減だけでなく、書類レス、提出や保管の電子化という、ICTを活用した負担軽減策を同時に進めていくべきです。
 建設土木人材の不足は急速に進行しており、対応のおくれは、人材の枯渇など取り返しのつかない事態につながりかねません。受注業界と協議し、着手可能な点から改善を進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 さらに、工事現場での女性活躍の推進には、モデル工事の拡大が急務です。都営住宅の建てかえ工事で実施している女性活躍モデル工事は、基本単価への加算が大きく評価できますが、現状は、発注者が工事件名を特定する発注者指定型に限られています。
 今後は、受注者側の努力で現場に女性の働き手を配置できる場合には、同じような加算が付加される受注者希望型も選択可能としていくべきと考えます。見解を求めます。
 宅配ボックスの設置促進は、運送業での働き方改革の推進に役立ちます。
 我が党は、国土交通省の取り組みを通じて、敷地内や建物内での宅配ボックスの増築を容積率換算で優遇する政令改正を推進し、増設への道を開きました。
 都議会でも、平成三十年十一月一日の都市整備委員会で、設置促進を都に求めたところです。
 駅ナカ、駅前などの人通りの多いオープン空間で利用できる宅配ボックスの設置について、その後、都市整備局での検討はどう進んでいるのか、まず見解を伺います。
 既に公社住宅では整備が開始されていますが、今後は都営住宅でも、複数の配送業者が使えるオープン利用の観点も含めて設置を検討していくべきです。高齢の居住者からも、ドアベルに気づかない場合があるとして、設置を待ち望む要望が寄せられています。見解を求めます。
 さらに、通勤通学時での利用を進める観点では、都営地下鉄などでの取り組みが効果的です。今後、さらなる展開を図るべきです。交通局の見解を求めます。
 次に、東京都中央卸売市場条例の改正について質問します。
 場外取引の拡大や、人口減少と高齢化の進行による食の先細り感が強まるなど、市場経営の先行き不安は誰の目にも明らかであります。
 国は、場内取引量や取引金額の拡大を図るべく法改正を断行しており、都においても、取引規制の緩和や卸売市場の活性化の方針を定める必要性が生じているのが今回の条例改正であります。
 しかし、そうした大目的に立つものとはいえ、市場取引の変更を伴う改正であり、国会での審議も結果的に詳細な附帯決議を行うなど、慎重な配慮を講じています。したがって、今後、市場での取引量や取引高に改善が見られなければ、長年の取引慣習を変更してまで、何のための改正であったのかと関係者の期待を損ね、不信を招く結果になりかねません。
 都は、今回の条例改正を契機に、市場業者への支援策をどう強化して、取引量や取引高の改善を実現するのか、その道筋を具体的に打ち出すべきであります。知事の見解を求めます。
 都の卸売市場は、市場を構成するさまざまな事業者の活動によって支えられています。事業者は、規制緩和に伴う取引ルールの変更によって、経営が悪化するのではといった不安や戸惑いを感じています。とりわけ中小零細の企業が多い仲卸業者の不安は一層深刻といえます。
 開設者である都は、中小零細の仲卸業者の不安や戸惑いの声に応え、その経営の安定化に向け、丁寧にサポートしていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、知事が今定例会の所信で表明した、都立病院と東京都保健医療公社病院の地方独立行政法人化について質問します。
 都立病院等の医療体制は、都民の命と健康に直接かかわるだけに、大きな改革である独法化の目的や課題等を明確にし、都民の理解と納得を得る必要があります。
 都立病院は、感染症医療、災害医療、島しょ医療などの行政的医療や高度専門医療を、公社病院は地域医療との連携を主に担ってきました。
 都立病院の改革については、平成十三年の都立病院改革マスタープランに基づき、小児三病院の統合による小児医療の充実や、地域医療を担う都立病院を東京都保健医療公社に移管するなど、再編を進めてきました。
 所信表明では、公社病院を含め、都立病院と一体的に地方独立行政法人に移行させる方針が示されましたが、これまで進めてきた改革の上に、なぜ今、地方独法化を進める必要があるのか、知事の明快な見解を求めます。
 地方独法化した場合でも、必要な予算を都が投入することで、採算の確保が難しい行政的医療を堅持することはもちろん、時代に応じて生じる新たな医療課題にも積極的に取り組み、都民が安心できる医療体制を整備すべきです。
 都民が必要とする行政的医療が将来にわたって十分に担保されるのか、知事の見解を求めます。
 一体的に地方独法化するとしている公社病院の今後の方向性を検討する必要もあります。
 公社病院は、地域の診療所との役割を明確にした上で、緊密な医療連携体制を構築し、都が進める地域医療システム化のリード役を目的に設立されました。
 都立病院から公社病院に移行させた検証結果も踏まえ、公社病院の今後の位置づけを明確にすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 既に地方独法化を実施している病院では、病院経営の自由度が増し、人材の機動的な確保による効率的、効果的な病院運営ができるようになったとの共通点があるといわれています。一方では、病院が自治体の行政組織から外れることで、議会の関与が弱まっているとの話もあります。独法化の前提として、都議会が関与することを通し、都民の意見が反映されることは大事な視点です。
 地方独立行政法人には、自治体の運営費負担金や中期的な計画の議決などの仕組みが法律に規定されていますが、さらに議会の意見を聞く場を設けるなど、しっかり議会がかかわっていくことが、よりよい医療体制につながるものと考えます。独法化病院に対する議会の関与について、知事の見解を求めます。
 次に、ドクターヘリについて質問します。
 公明党は、これまで党を挙げてドクターヘリの全国配備を推進し、現在、四十三道府県で五十三機の導入が実現しています。
 都議会公明党は、本年第一回定例会で、全国的に展開されているドクターヘリの活用を提案いたしました。
 これに対し都は、東京オリ・パラ大会の開催を見据え、災害発生時及び平時においても限りある医療資源を有効に活用できるよう、近隣県とのドクターヘリの受け入れを含めた具体的な連携について検討し、救急災害医療体制の強化を図っていくと答弁されました。
 そこで、近隣県との連携に向けた検討状況と、今後の取り組みについて見解を求めます。
 東京は、現在の東京型ドクターヘリ、ドクターカー、救急車の体制と連携したドクターヘリの活用によって、救急医療体制を重層的にすることができると考えます。
 東京には多くの要人が訪れます。オリンピック・パラリンピックも開催されます。そして、首都直下地震、大規模水害が危惧されます。今こそ都は、我が党が推進してきた東京型ドクターヘリに加え、全国的に展開されているドクターヘリの導入に向け、本腰を入れた検討に着手すべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、東京オリ・パラ大会について質問します。
 初めに、交通渋滞対策であります。
 大会本番時の交通渋滞対策は、交通需要マネジメント、いわゆるTDMと、交通流入量を調整するTSMが確実に実施されることが重要となります。この対策の中で、都民の皆様の協力をいただかなければならないのがTDMであり、特に企業の皆様に、スムーズビズやテレワーク、計画的な休業をお願いしなければなりません。
 大会一年前に当たる本年七月には、大会本番並みの目標を掲げ、交通混雑緩和に向けた取り組みを総合的にテストしました。しかし、結果は、大会本番並みの目標にはほど遠いものとなりました。そのため、追加対策として、高速道路のロードプライシングを実施することを発表しました。これはあくまで追加対策であり、まずはTDMを着実に進めていくことが何より重要です。
 しかし、総合テストにおいても、積極的に参加したのは大企業であり、中小企業はほとんど参加していませんでした。
 そこで、せめて大会本番期間中だけでも、スムーズビズやテレワーク、計画的な休業に企業が取り組めるように財政的な支援を実施すべきであると、第三回定例会で提案いたしました。
 都は具体策を検討すると答弁しましたが、検討結果について明らかにしていただきたいと思います。
 次に、復興五輪という観点から、都議会公明党の提案によって継続して実施されている、被災地応援ツアーについて質問します。
 福島県では、会津や中通りで観光客数が回復していますが、浜通りは依然厳しい状況にあります。二〇二〇年は、政府が策定した復興創生期間の最終年度になるとともに、いよいよ復興五輪の位置づけのもと、国内外から多くの注目が集まる機会です。
 これまでの応援ツアーの実績の確認とともに、福島県内の経済と住民生活回復の足がかりをしっかりと築くためにも、令和二年度も福島県に対する被災地応援ツアーを実施すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、競技観戦についてであります。
 マラソンと競歩が札幌での開催となったことは大変残念ではありますが、東京大会として盛り上げていくことは重要であります。マラソンのチケット購入者の中には、新国立競技場の中に入れること自体を楽しみにしていたという方もおられます。
 そこで都は、チケットを購入した方や観戦予定だった子供たちの観戦機会の損失を補うために、新国立競技場に入場していただき、パブリックビューイングや催し物を開催するなど、組織委員会に提案していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 マラソン競技に関連し、東京マラソンについて質問します。
 東京マラソンは、年々人気が高まり、最近では参加申し込み倍率も十二倍になっています。特別枠のチャリティーエントリーでは、ことしは、個人チャリティーが募集開始後わずか四時間半で定員に達しました。
 そのような状況の中、申し込みをしても毎年落選し、走りたくても走れない方が多数おります。都民の参加機会をふやし、また、連続落選者に配慮した仕組みを講じるべきであります。見解を求めます。
 次に、ラグビーワールドカップのレガシーについて質問します。
 アジア初のラグビーワールドカップ日本大会において、都は、子供たちに世界最高レベルの本場の試合を体験してもらうため、千人を超えるジュニアラガーを東京スタジアムに観戦招待しました。
 また、我が党の提案により、被災地の宮城、福島から小中学生ラガーを観戦に招待するとともに、都内のラグビースクールの協力のもと、都内の小中学生ラガーとの合同練習などを行い、交流を深めました。
 一方、都内のラグビースクールでは、子供たちの入会希望が増加していますが、開催する場の確保に苦労しています。
 そこで都は、このようなラグビー人気を一過性のものとせず、今回のワールドカップのレガシーとしてラグビー文化を定着させるため、積極的に場の確保に取り組むべきと考えます。知事の見解を求めます。
 また、都は、ラグビー文化を東京に定着させるため、子供たちがラグビーに関心を持ち、継続してプレーに取り組む機会を提供すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、日本語指導が必要な児童生徒への支援について質問します。
 文科省の調査では、都内の公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒数は、平成二十六年から比較して、小中学校では約一・三倍、高校では約一・七倍に増加しています。今後、入管法の一部改正に伴い、ますます外国人の児童生徒が増加します。
 都議会公明党は、そうした児童生徒へのきめ細かな支援の充実が必要と一貫して訴えてきましたが、公立小中学校における今後の支援の取り組みについて、都の見解を求めます。
 都立高校でも、都議会公明党の提案で在京入学枠を順次拡大してきましたが、一般の入試倍率より依然高く、さらなる拡充が必要です。また、定員の関係で、対象となる生徒の多くが定時制高校に入学するものの、日本語が障壁となって、中退や不登校の割合もふえていると聞いています。
 一方、指導側も、共通の日本語指導プログラムがなく、各学校、教員の努力やボランティアの支援に頼らざるを得ず、日本語指導に取り組んでいるNPOや大学等との連携が有効です。ことしの予算特別委員会での都議会公明党の質問に対し、都は、NPOや大学などとの連携による学習支援の効果的な指導方法などについて検討すると答えました。
 そこで、都立高校でも日本語指導のハンドブックを作成するとともに、日本語指導が必要な生徒への支援の充実に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、不登校対策について質問します。
 児童生徒の不登校は、小中学校合わせて約一万四千人に及び、昨年同時期より二千人も増加しています。この状況は、都も、全国的にも過去最高を更新し続けています。苦しんでいるのは子供本人であり、保護者であります。
 公明党はこの実態を看過できないとして、先頭に立って二〇一六年、議員立法において教育機会確保法を成立させました。
 それにより、学校への復帰を大前提とした従前の不登校対策の方針を改め、民間のフリースクール、公立の教育支援センター、不登校特例校などの多様で適切な学習活動による対応を公式に評価するよう転換が図られました。
 都議会公明党は、これを踏まえ、民間のフリースクールの定義を明確にした都独自のガイドラインを策定するよう求めました。
 不登校であっても、民間のフリースクールを含む多様な学びの場を選択でき、児童生徒が将来、精神的にも経済的にも自立して豊かな人生を歩めるよう、支援強化を加速していくべきです。都の見解を求めます。
 次に、小笠原振興について質問します。
 我が党は、本年九月に小笠原調査団を派遣し、関係者から小笠原の課題等について種々聴取してきました。
 小笠原航空路は、昨年度から、洲崎地区活用案に絞って集中的に検討されていると聞いています。今年度の調査費は、前年度予算額一億二千万円に対して四億九千万円と四倍に増加しています。
 今年度の小笠原航空路における調査の実施状況を踏まえ、取り組みをさらに前へ進めていく必要があります。今後の航空路開設に向けた知事の決意を伺います。
 また、昭和四十年代から都は、小笠原へ帰島を希望する旧島民の定住促進のため、都営住宅を建設しました。これらが建てかえの時期を迎えています。
 都は、建てかえた住宅は将来的に小笠原村に移管すると地元に説明してきました。しかし、村には、移管後の都営住宅を維持管理、修理する人材も財政力もありません。
 そこで都は、今後、老朽化した都営小笠原住宅の建てかえを早期に実施するとともに、建てかえ後は、村への移管を見据え、維持管理にも配慮が必要になると考えますが、見解を求めます。
 さらに、小笠原の農業振興策についてでありますが、小笠原、特に母島では、パッションフルーツやミニトマト、島レモンなどの栽培が盛んであり、大変に人気があります。こうしたすばらしい農作物の供給をふやす農地の確保が重要と考えます。
 都は、村と連携し、農地の安定確保などを支援する農業団地を整備していますが、今後さらに農地を拡大すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都営住宅について質問します。
 都営住宅は、入居抽せんが高どまりしている現状があり、他方で、都内の民間の空き賃貸住宅が約五十八万戸あり、応募のミスマッチが続いています。都営住宅が主に家族向けに整備されてきた経緯があり、単身世帯の増加に追いついていません。
 過日の住宅政策審議会答申でも、社会情勢の変化に応じた新たな課題の実例として、単身者向け住戸の応募倍率が高いことと、地域によってはファミリー世帯向け住戸の応募割れなどが指摘されています。
 そこで、応募割れしている住戸のある地域では、あっせん基準を緩和して、家族向け募集住戸について単身者の応募の道を開くべきであります。加えて、応募がない住戸などの募集では、公社住宅では既に実施されているように、抽せんではなく、いつでも応募できるよう工夫すべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、SNS相談について質問します。
 SNSを活用した相談は、公明党が旗振り役となり、都においても、ネットトラブルや自殺防止の相談とともに、教育に関する悩みにも対応するため、通年で相談できる体制が整備されたことを評価いたします。今後は、相談対象の拡大や相談時間の延長など、ニーズ把握に努めることが必要です。
 さらに、我が党の推進により、平成二十九年、都の若者総合相談が若ナビαにリニューアルされました。相談を寄せる年齢層は主に二十歳から三十歳代で、メンタル面や体調のような自分自身の悩みに関する相談内容が約半数で、仕事、対人関係、家族の悩みと続きます。若ナビαにおいてもSNSによる相談を実施すべきと考えますが、見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高倉良生議員の代表質問にお答えをいたします。
 今回の風水害に対する検証についてのご質問が冒頭にございました。
 この秋、首都圏に相次いで襲来した台風によりまして、都におきましても、近年経験したことのない暴風による家屋破壊や豪雨による浸水など、大きな被害が発生をいたしました。
 また、最前線で災害対応に当たる区市町村におきましては、被害状況の把握や住民の避難対応などでさまざまな困難が生じたと聞いております。
 こうした状況を踏まえまして、これまでの風水害対策をより一層強化する必要性が高まりましたことから、副知事をトップとした全庁横断的な検証会議を立ち上げたところであります。
 検証に当たりましては、区市町村に対するヒアリングや都民からのアンケートを行いまして、全庁的に課題の抽出を行いました。
 その結果、連絡要員の派遣を初めとした区市町村に対しますさまざまな支援策や、災害で損傷した河川施設の来年の出水期前までの復旧、護岸の強化など、都議会公明党を初めとする各会派からの要望も反映をいたしまして、三十五項目にわたります対策を取りまとめたところであります。
 今後も、ソフト、ハード両面にわたりますきめ細かな施策に取り組むとともに、区市町村等の関係機関との連携を一層強化し、セーフシティー東京を実現してまいります。
 一部損壊住宅への支援についてでございます。
 今回の台風は、都内の広い範囲で住宅に大きな被害をもたらしました。このため、被災した都民の住宅の安全と生活の再建を図ることができますよう、国の支援の対象とならない被災住宅につきまして、新たな補助制度を創設いたしました。
 災害救助法に基づく国の応急修理制度におきましては、補修工事が終了いたしまして、支払い済みのものは対象外としておりますが、今回の都の制度におきましては、比較的被害が小規模で、既に代金を支払い済みの工事もあると想定されることなどから、こうした場合も支援の対象とするよう、区市町村からの要望が出ているところであります。
 そこで、本事業は、国の応急修理制度を準用しつつも、区市町村の意向も踏まえまして柔軟に対応すべく、支払い済みのものも対象といたします。
 これに加えまして、お話の支払い済みであったがために、国の応急修理の支援を受けることができなかった工事についても対象といたします。
 このたびの台風によりまして住宅被害に遭われました都民の皆様方に広く支援が行き渡りますよう、区市町村と協力しながら取り組んでまいります。
 次に、樋門操作等の広域的な情報の共有についてであります。
 今回の台風第十九号におきましては、都内で初めて大雨特別警報が発表されまして、一部の地域では内水氾濫や川からの溢水による床下、床上浸水などによりまして、住宅にも大きな被害をもたらしました。
 樋門は、増水した河川から下水道施設等への逆流を防ぎ、水害から地域を守るための重要な施設であることから、その役割を住民の方々に広く周知していくことは重要であります。
 そのため、平常時から都民の皆様が浸水のリスクなどを理解し、水害に備えていただけますように、樋門の役割や開閉によります浸水の危険性等につきまして、区市等と連携して、ホームページなどによります情報発信を早期に実施をいたします。
 また、大雨の際におけます樋門の開閉操作でございますが、隣接する区市などにも影響を及ぼす可能性がございますことから、都と区市等の実務者による協議を開始し、樋門の操作情報を関係区市等で迅速に共有する新たな仕組みを構築いたします。
 こうした取り組みによりまして、適切な樋門操作と住民への情報提供を行って、大雨によります地域の浸水被害対策に万全を期してまいります。
 次に、将来の幼児期の教育のあり方についてのご質問でございました。
 将来の東京を担う子供たちは、無限の可能性を秘めたかけがえのない存在であります。子供一人一人に着目をして、社会全体で育てていくことが我々に課せられた責務であります。
 とりわけ、お話の集団保育のように、幼児期から子供同士が自然に交わることで、人間としての力を身につけていくことは、生涯にわたる人格形成の基礎を築く上で重要であります。
 今後は、AI化の進展などによりまして仕事の内容も大きく変化を遂げる中で、非認知能力をいかに育成していくかが重要となってまいります。
 時代の変化はますます激しく、不確実性が増す中で、既存の価値観やロールモデルに頼るのではなく、一人一人が共感する力やコミュニケーション能力を高めて、みずから人生を切り開いていくことが求められてまいります。
 こうした観点から、二〇四〇年に向けまして、子供が個性や能力を存分に生かしてみずから伸び、育つ東京が実現できますよう、幼少期を含めました教育のあり方について幅広く検討を進めてまいります。
 次に、多胎児支援に関する局間の連携についてのご質問でございます。
 双子や三つ子などの多胎児を育てる家庭というのは、同時に二人以上の妊娠、出産、育児をすることに伴います身体的、精神的負担や経済的な問題など、多胎児ならではの困難に直面する場合も少なくございません。
 これらの課題に対しまして多胎児家庭の保護者からは、家事、育児の負担軽減や経済的な援助、子供を預ける場所の確保など、ライフステージに応じました多岐にわたるニーズの声が届いております。
 こうしたニーズは、都政の幅広い分野に及ぶものでございまして、いわゆる福祉の分野のみならず、都庁横断的に横串を刺して支援策を講じることが重要でございます。
 今後、関連する各部門が強固に連携しながら支援策を検討しまして、着手できるものから迅速に事業化を図ってまいります。
 多胎児を育てる家庭への支援でございますが、かねてより都議会公明党の皆様方から、多胎児を育てているご家庭のご苦労についてのお話を伺っております。
 先日も、御党のご紹介で、現在子育て中の保護者の方々が都庁を訪問されました。そして、子供の世話や家事にとにかく人手が足りないんだ、双子が交互に寝たり起きたりして眠れない、食事やトイレ、入浴の時間もままならないなどなど、切実なお話をされたことも伺いました。
 都といたしまして、今年度から、子供を在宅で育てる方々の育児や家事に関する不安や負担感を軽減できますよう、ベビーシッターや家事支援サービスの利用に関する支援を開始いたしました。こうしたサービスが、育児の負担の大きい多胎児を育てる家庭にもっと届くようにしていかなければなりません。
 今後、多胎児を育てる家庭をしっかりと支援できますように、訪問型のサービスをさらに充実させまして、子育て家庭を支援する環境の整備を全力で進めてまいります。
 都有施設の再生可能エネルギー電力の利用についてのご質問がございました。
 ゼロエミッション東京の実現に向けまして、再エネの利用拡大は大きな柱の一つでございます。
 そのため、隗より始めよといたしまして、今年度は、都庁舎版RE一〇〇に取り組んだところでありまして、引き続き、さまざまな都有施設において再エネ電力の利用を進めていくことは重要であります。
 現在、家庭の太陽光発電につきまして、国の固定価格買い取り制度による十年間の買い取り期間が満了して、いわゆる卒FITを迎えた家庭が都内におきましても生じ始めておりまして、今後加速度的にふえてまいります。
 都内卒FIT家庭の太陽光発電は、地域の重要な再エネ電力といたしまして、固定価格買い取り制度による買い取りが終了した後も発電が継続されますように、しっかり役立てていかなければなりません。
 このため、都内産卒FIT電力を都のイニシアチブで活用するとともに、再エネ電力の供給量を高めていく方策などを検討し、都民の身近にある都有施設での再エネ電力一〇〇%化を目指してまいります。
 次に、水の都にふさわしいまちの実現についてのご指摘がございました。
 多くの魅力にあふれた美しい東京の実現に向けましては、水と緑を一層豊かにして、ゆとりと潤いのあるまちをつくることは重要であります。
 八月に公表いたしました未来の東京への論点におきましては、こうした考えのもとで、玉川上水や河川の清流復活、水辺に顔を向けたまち並みの形成、潤いやにぎわいのある水と緑の空間の創出などとあわせまして、外堀の水質浄化を課題の一つとして提示をしたところでございます。
 外堀につきましては、現在、関係局が連携をいたしまして、効果的な水質改善方策について幅広く検討を進めております。
 また、東京の都市としての魅力をさらに高めていくため、引き続き、外堀の水質改善に向けましては関係団体と連携しながら取り組むとともに、品格ある都市景観の形成や歴史、文化、水辺を生かしました都市の顔づくりなどを進めることで、水の都にふさわしい、美しい東京を実現してまいります。
 次に、ソーシャルファームについてのご質問でございます。
 今回提案した条例でございますが、就労に困難を抱える方の新たな活躍の場といたしまして、ソーシャルファームをこの東京に誕生させて、根づかせることを目標の一つとしております。
 そのためには、ソーシャルファームを創設しようとする方に向けて、都がソーシャルファームを認証する明確な基準を示すとともに、実効性のある支援策を用意することは重要であります。
 ソーシャルファームの創設に向けました設備導入支援や、事業を軌道に乗せるための一定期間の運営費の助成、加えまして、事業の発展を後押しする経営上のアドバイスの実施など、支援の仕組みづくりに取り組んでまいります。
 今後、速やかに企業経営等の専門家などによります検討会を新たに設置いたしまして、具体的な認証基準や支援策の詳細につきまして、検討を進めてまいります。
 これらの取り組みによりまして、ソーシャルファームの創設を促進し、就労に困難を抱えるさまざまな方が広く活躍する社会の実現を目指してまいります。
 次に、市場の活性化についてでございます。
 活気にあふれて、生産者や取引参加者に支持される中央卸売市場の実現は、永遠の市場のテーマでもあり、開設者の責務でもございます。
 今回の条例改正は、市場を取り巻く環境が変化する中で、より活発な取引を可能とする環境を整えるものでありまして、市場の活性化を図るための土台づくりにほかなりません。
 この改正を契機といたしまして、取扱量の増加につなげるためには、新たな制度への理解を深めるとともに、環境変化に即しました工夫ある取り組みの促進に向けまして、市場業者を後押ししていくことが重要でございます。
 このため、改正内容をきめ細かく周知をして、新たな取引ルールに関する理解を深めていく。あわせまして、海外も含めた販路の拡大など、集荷力、販売力の強化などを目指した意欲的な取り組みを力強く後押しをするとともに、その内容を広く共有することで、より多くの市場業者によります環境の変化に即した事業展開へとつなげてまいります。
 こうした取り組みを積み重ねることで、産地や実需者との取引の拡大を図りまして、卸売市場のさらなる活性化を目指してまいります。
 次に、都立、公社病院の地方独立行政法人化の推進についてでございます。
 都民が生き生きと豊かに暮らすために、医療は欠かせない基盤であり、都立、公社病院は大きな役割を担っております。
 今後、超高齢社会の本格化によりまして、医療、介護需要がさらに増加することが見込まれる中で、都は、東京都地域医療構想を策定して、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年に向けまして、住みなれた地域で医療から介護まで提供できる体制の構築に向けて取り組んでおります。
 地域医療構想の実現に向けまして、都立、公社病院は、公的な病院として、民間医療機関などとの連携のもと、地域の医療水準を向上させるための取り組みや不足する医療の提供が求められております。
 こうした取り組みを先導的、補完的に行っていくことは喫緊の課題でありまして、速やかに取り組まなければなりません。
 また、二〇四〇年代も見据えますと、医師や看護師等の担い手不足など、医療を取り巻く課題はより深刻化していくことが想定をされます。このような時代を迎えましても、都民の医療ニーズにしっかりと対応することが必要であり、確実に医療が提供できる体制づくりは待ったなしでございます。
 こうしたことから、さらなる都立、公社病院の改革として、一体的に地方独立行政法人に移行いたしまして、十四病院のスケールメリットを生かしながら運営できるよう、準備を開始することといたしました。
 この地方独立行政法人には、柔軟な勤務制度の構築などにより、医療ニーズに応じた機動的な人材確保が可能になるなどの特徴がございます。
 このような特徴を最大限に生かしまして、超高齢社会におけます多様な医療課題にも的確に対応することで、都の医療政策を力強く推し進めてまいります。
 このことで、将来にわたって都民の誰もが質の高い医療を受けられて、安心して暮らせる東京を実現してまいりたいと存じます。
 行政的医療の将来にわたる担保についてであります。
 災害医療や感染症医療など、民間の医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供は、東京の医療のセーフティーネットである都立病院が果たさなければならない重要な役割でございまして、都としての責務でございます。
 地方独立行政法人化した後は、法の定めによりまして、都知事は、行政的医療を確実に提供するため、都議会の議決を経て策定する中期目標を通して明確な指示を行います。
 また、都は、採算の確保が困難となる行政的医療などの経費につきまして、現在と同様に負担をいたします。
 こうした仕組みのもとで、柔軟な人材確保など、法人ならではの機動的な運営を行うことで、行政的医療を将来にわたりまして都民に確実に提供をしてまいります。
 公社病院の今後の位置づけについてでございますが、これまで公社病院は、地域の医療機関との連携と役割分担のもとで、都民が身近な地域で適切な医療を受けられる効率的な地域医療システムの構築を先導してきておりまして、東京における地域医療支援のモデルとなったと、このように評価をいたしております。
 また、救急医療やがん医療など、地域が必要とする医療を提供しておりまして、まさに地域に根差した病院として歩んでまいりました。
 さらに、病院の特性に応じまして、精神科医療、感染症医療などの行政的医療を都立病院と連携しながら提供しておりまして、都民のために不可欠な病院でございます。
 その一方で、公社に移管した病院におきましても、看護師の定着、事務職員の育成といった人材面や、医薬品、診療材料の費用削減など、経営面で依然として課題が残っていることも事実でございます。
 今後は、都立病院と一体的に地方独立行政法人化することで、こうした人材面や経営面の課題の解決も図りまして、これまで培ってきたノウハウを共有するとともに、十四病院のスケールメリットやそれぞれの強みも生かしながら、相乗効果によって運営体制を強化してまいります。
 このことで、これまで以上に都民の期待に応えられる病院を目指してまいります。
 地方独立行政法人化した病院に対する議会の関与については、地方独立行政法人は、法人が担うべき医療や業務改善等に関する中期目標の策定のほか、収支計画などを含みます中期計画の認可、行政的医療などの経費について都が行います財源措置などにつきましても、議会の議決が法定されております。
 こうした点も踏まえながら、都民ニーズを的確に反映できますよう、お話の法人に対する議会の関与のあり方についても、今後検討してまいります。
 ドクターヘリの導入に向けた検討についてのご質問でございます。
 現在、東京消防庁と連携をいたしまして、遠距離運航や夜間飛行が可能な東京型ドクターヘリを多摩や島しょ地域の救急搬送におきまして運用しております。
 一方で、お話の小型ヘリを活用したドクターヘリでございますが、短時間での離陸など機動力が高く、効率的な救急医療体制の確保に寄与するものと考えております。
 こうしたことから、都の救急医療体制の機能強化に向けまして、小型ドクターヘリや東京型ドクターヘリ、救急車、東京DMAT、それぞれの有用性が高い地域などについて調査を進めております。
 今後、救急災害医療分野の専門家や東京都医師会等の関係団体の代表から成る会議で議論を進めながら、東京型ドクターヘリと連携いたしましたドクターヘリの導入に向けました検討を進めてまいります。
 ラグビー文化を定着させるための場の確保についてのご質問でございます。
 ラグビーワールドカップ二〇一九の盛り上がりを一過性のものとせずに、ラグビーの楽しさやノーサイドの精神などを文化として定着、継承していくことは重要でございます。
 そのためには、ジュニア世代を含めて、ラグビーに関心を持つ人々が身近な地域で気軽に体験をし、継続的に活動できる場を確保していく必要がございます。
 現在、ラグビーができる都立施設は十一カ所、今後、都立公園の整備等の機会を捉まえまして、ラグビーができる場の整備について検討してまいります。
 あわせて、都内の公立スポーツ施設のうち、ラグビーで活用可能な施設につきましては、情報を集約して都民に提供いたします。
 さらに、民間企業や大学、都立高校を初めとする教育機関が所有している施設を、都民が気軽にラグビーに取り組める場所といたしまして活用できるように、区市町村とも連携をして取り組んでまいります。
 ラグビーワールドカップを開催した都市として、東京にラグビー文化が定着しますように継続的に取り組んでいける場の確保に努めて、スポーツ都市東京を実現してまいります。
 最後に、小笠原航空路でございますが、航空路の開設は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で極めて重要でございます。
 本年九月、小笠原村長と直接意見交換を行いました際も、まず最初にご要望がございましたのが航空路の必要性についてでございました。村民の安心・安全を守るという観点からも、航空路の開設が村民の皆様の切なる願いであることを改めて強く感じたところでございます。
 都は現在、これまで検討してまいりました案の中から、より実現性の高い洲崎地区の活用案に絞って、集中的に検討を行っているところでございます。
 本年度におきましては、航空機の開発動向や技術開発の進展に関する調査に加えまして、現地の地質や気象等につきまして、新たに、より詳細な調査に着手をいたしております。
 世界自然遺産であります小笠原におきまして、貴重な自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられますように、あらゆる可能性を追求して、国や小笠原村とも緊密に連携を図りながら、検討をさらに進めてまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、日本語指導が必要な小中学生への支援についてでございますが、都内公立小中学校では、数十カ国語に及ぶ外国語を母語とする子供たちが学んでおりまして、学校生活に必要な日本語の習得には、一人一人に応じた支援が必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、日本語指導の資料や教材を作成するとともに、日本語学級設置校や日本語指導が必要な子供が多く在籍をする学校に教員を加配するなど、指導の充実を図ってまいりました。
 これらに加え、本年度は、家庭等との円滑な会話のために、学校向け多言語翻訳システムを活用する区市町村に補助を行っているところでございます。
 今後は、日本語学習教材の改訂や区市町村が行う外部人材の派遣、ICTの活用等への支援について検討するなど、子供たちの学校における学びの充実に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、都立高校における日本語指導が必要な生徒への支援についてでございますが、都教育委員会はこれまで、日本語指導が必要な生徒の状況に応じて、授業中や放課後等に、学習上必要な日本語や授業内容の理解を促進するため、外部人材を活用した個別の支援等を実施してまいりました。
 また、在京外国人生徒を対象とした募集枠を順次拡大し、令和二年度入学者選抜からは、新たに都立杉並総合高校に募集枠を設置いたします。
 今後、NPOや大学等の外部機関と連携し、生徒の習熟の程度に応じた日本語指導のための教員用テキストの開発や、日本語学習の指導者の確保策、また、言語、文化の違い等から生じる外国人生徒個々の課題解決に向けた取り組み等について検討し、生徒への支援の充実に取り組んでまいります。
 最後に、フリースクール等の民間施設との連携についてでございますが、不登校の状況にある子供には、学校復帰のみを目標とせず、社会的に自立した生活を送ることができるよう、個々に応じた多様な学びの場での支援が必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、区市町村教育委員会や不登校の相談、学習指導を行うフリースクール等と実施してきました意見交換会を、今年度、連携検討委員会へと発展させ、効果的な支援のあり方等について協議をしているところでございます。
 今後、この協議を踏まえ、フリースクール等に通う子供に関する情報の共有や、出席の取り扱いのあり方等を示した資料を作成し、学校や家庭に配布するとともに、区市町村教育委員会が設置する教育支援センターがフリースクール等と連携して行う取り組みを支援するなど、子供が豊かな将来を築くことができるよう取り組みを進めてまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、外堀の水質改善についてでございます。
 都は現在、外堀の水質等の詳しい調査を行うとともに、関係局が連携し、効果的な水質改善方策について幅広く検討を進めております。河川水などの導水については、方策の一つですが、水利権や導水ルートの確保、その際の経費など、さまざまな課題があります。
 今後、工業用水道事業廃止後の施設の活用可能性も含め、これらの課題への対応策について検討してまいります。
 また、外堀は法定外公共物であることから、国はもとより、日常的な維持管理を行う地元区との連携が不可欠でございます。都は、本年九月に国との連絡会議を立ち上げ、水利権の確保等の課題について検討を行っております。今後、地元区の連絡会議への参加を得て連携強化を図り、外堀の水質改善に向けた方策をしっかりと検討してまいります。
 次に、宅配ボックスの設置についてでございます。
 宅配便の取扱件数が急増する中、労働力不足に対応するとともに、二酸化炭素排出量を抑制するため、再配達の削減などによる物流の効率化を推進する必要がございます。
 宅配ボックスの普及は、国の検討会においても、再配達の削減に向けた具体策の一つとして示されております。駅などの公共スペースに設置されるオープン型宅配ボックスは、誰でも荷物の受け取りができ、利用者の選択肢がふえることにより、利便性向上に資するものでございます。
 現在、オープン型宅配ボックスに関して、設置状況や事業者等の意向、技術開発の動向などについて幅広く調査を実施しており、今後、その結果を踏まえ、都としての対応を検討してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、市町村災害復旧・復興特別交付金を活用した支援についてでございますが、本年九月以降に発生した一連の台風により、多摩・島しょ地域においても、強風による住宅の損壊や河川の氾濫による住宅の浸水など、多くの被害が発生をいたしました。
 こうした台風被害からの復旧、復興に係る市町村財政への影響は大きいことから、市町村の取り組みを財政的に支援するため、今回提案している補正予算案に災害復旧・復興特別交付金として二十五億円を計上しております。
 この特別交付金は、補助金や特別交付税等を除いた市町村の一般財源による負担分を補完するものであり、一部損壊住宅の補修に要する経費にも活用できるようにすることで、市町村の復旧、復興の取り組みを強力に後押ししてまいります。
 次に、災害の種類に応じた避難先の確保についてでございますが、地震や風水害から命を守るには、住民が火災や浸水等の危険から身を守るため、緊急的に避難できる指定緊急避難場所が確保されていることが重要でございまして、この指定手続は、地震や津波、内水氾濫などの種類ごとに行うこととされております。
 これまで都は、区市町村に対し、制度の趣旨についての周知と早期の指定を促してまいりましたが、災害の種類に応じた指定緊急避難場所の指定手続が進んでいるのは、約半数の区市町村にとどまっております。
 今後、未指定の区市町村に対し、指定の考え方や手順等について、防災担当職員に向けた新たな研修を行うなど、早期に災害の種別に応じた避難先の確保がなされるよう支援を行ってまいります。
 次に、災害時の人員確保のあり方についてでございますが、都民の安全・安心を守るため、災害の発生時には、都に働く全ての職員の力を結集して、迅速かつ的確な災害対応を行うことが重要でございます。
 ご指摘の非常勤職員は、期間が定められた職務に従事し、行政運営を補完する役割を担うものであり、常勤職員とは職務内容や役割、責任の程度などは異なっておりますが、災害時において、全体の奉仕者たる公務員として一定の役割を果たすことが求められております。
 今後、都の非常勤職員につきましても、それぞれの実態を踏まえ、あらかじめ災害時における業務内容を検討し、職の設置要綱に反映するとともに、その結果を区市町村にも情報提供するなどにより、都と各区市町村における災害時の人員確保の強化につなげてまいります。
 最後に、多摩川のタイムラインの策定についてでございますが、都を初めとする防災関係機関が災害時に発生する状況をあらかじめ想定し、事前に行うべき防災行動を時系列に沿って取りまとめるタイムラインは、災害時の的確な行動を確保する上で重要でございます。
 国は、本年二月、新たなタイムラインの策定に向け、都や神奈川県及び多摩川沿いの区市等と検討会を設置し、災害時の防災関係機関の連携や情報共有の確保などについて検討を進めておりまして、来年の出水期前をめどに取りまとめることとしております。
 都といたしましては、今回の検証で明らかになった住民への情報提供や避難情報発信のタイミングなどにつきまして本検討会に反映させるなど、より実効性のある多摩川のタイムラインの策定に向けて積極的に取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、避難場所としての都営住宅の活用についてでございますが、水害のおそれのある地域において都営住宅を緊急避難先として活用することは、災害時における都民の安心確保に資するものと考えます。
 空き住戸の活用につきましては、電気、水道などが利用できない環境下での避難生活、室内の修繕、清掃の手配、入退去により空き住戸が随時変更する中での鍵の管理などのさまざまな課題がございます。
 今後、避難所を確保し、運営する役割を担う地元区の意向も踏まえ、こうした諸課題を慎重に整理するとともに、上層階にある集会室の活用や、建てかえ時における上層階への集会室の設置も含め、地元区からの相談に応じてまいります。
 次に、都営住宅の就労支援への活用についてでございますが、福祉や就労など、都のさまざまな就労困難者への施策と連携して、都営住宅ストックを有効活用することは重要でございます。
 介護人材の育成確保に協力するため、介護職場での就労を目指す離職者を対象に、平成二十一年度からチャレンジネット事業に都営住宅の住戸を活用しており、平成二十八年度以降、二十戸を提供しております。
 今後、提供戸数を拡大するとともに、対象を介護職以外での就労を目指すチャレンジネット利用者にも広げ、低収入で住宅に困窮する就労困難者への住宅支援を推進してまいります。
 次に、女性活躍モデル工事についてでございますが、建設業における女性活躍を推進するためには、現場で働きやすい環境整備を進めることが重要でございます。都営住宅建てかえ工事では、女性技術者の配置等を条件に更衣室などの整備を行うモデル工事を平成二十八年度に試行し、二人の若手女性技術者が活躍しております。
 一方で、建てかえ工事の大半を担う中小建設業の団体からは、女性技術者の配置が入札条件となると、応札しにくいという意見をいただいております。
 そのため、受注者が女性技術者を配置できる場合には、契約後であっても、受注者からの希望によりモデル工事を選択できる仕組みを導入してまいります。
 来年度から、一定規模以上の建築工事において試行の上、拡大を図り、女性の活躍を推進してまいります。
 次に、都営住宅での宅配ボックスの設置についてでございますが、集合住宅における宅配ボックスの設置は、居住者の利便性の向上はもとより、物流における再配達の削減、ひいては仕事と生活の両立を目指す上で、働き方改革の推進に資するものと考えられます。
 都営住宅におきましては、そのストックを有効活用して、居住者だけでなく、周辺住民も配送事業者各社から荷物を受け取ることの可能な、オープン型の宅配ボックスを設置することが有効でございます。
 今後、複数の団地での試行的な設置について、具体的な場所の選定や公有財産上に設置するための手続に係る検討を進めてまいります。
 次に、小笠原住宅の建てかえについてでございますが、都営小笠原住宅は、通常の公営住宅とは異なり、東京都小笠原住宅条例に基づき、帰島を希望する旧島民の帰島促進などを目的に、都が国の補助を受け、これまで三百九十三戸を建設してまいりました。
 このうち、老朽化が進んだ父島清瀬アパートの一部及び母島沖村アパートにつきましては、居住環境の向上及び自然環境に配慮した住まいづくりを目指し、建てかえに向けて、今年度、基本設計や自然環境調査を実施しております。
 また、住宅の維持管理につきましては、現在、都が行っておりますが、建てかえ後の維持管理のあり方については、村の意向も踏まえながら、今後検討してまいります。
 引き続き、村と十分に調整しながら、老朽化した小笠原住宅の建てかえの早期着工に鋭意努めてまいります。
 最後に、都営住宅の募集改善についてでございますが、都営住宅は住宅困窮者に対して、社会情勢の変化に応じて的確に供給することが必要でございます。
 都営住宅の応募状況を見ますと、利便性の高い都心区などでは応募倍率が高い一方、多摩部の三人用以上の住戸では応募割れしているものが多くあり、そのうち一部では、応募なしが継続しております。
 今後、こうした住戸において、世帯人数に応じて提供する住戸の広さと間取りの基準を弾力的に運用し、単身者など少人数世帯向けに募集する戸数を増加させる方策を講じてまいります。
 また、定期募集や毎月募集で応募のなかった住戸について、都民が住宅を必要とするときに速やかに入居できるよう、募集方法を改善してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 樋門の操作を確実に行うための対策についてでございますが、樋門は閉鎖することにより内水氾濫のおそれがあり、操作に当たりましては、河川水位のみならず、宅地側のマンホールの水位等、さまざまな状況を的確に把握しながら行うため、樋門の操作は、現地に設置してあります操作盤などで行う構造が基本となっております。
 今般の台風十九号では、河川の水位が上昇した際に、暴風雨などのため、作業員の安全確保の観点から、閉鎖作業を実施できない樋門が二カ所ありましたことから、大規模風水害検証会議において、樋門の安全対策について検証した結果、堤防の宅地側からでも樋門の操作を行えるよう遠隔化の検討に着手しており、今後、速やかに遠隔化設備の設置位置等の調査を実施いたします。
 加えまして、樋門操作時におけます作業員の安全を確保するため、河川側にある操作盤につながる通路の改良につきましても、早急に実施をしてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 水道事業における非常時の電力確保についてでございますが、水道局では、大規模停電時におきましても可能な限り給水を確保できるよう、自家用発電設備の整備を進めており、今年度は、金町浄水場外六カ所で整備中でございます。
 一方、整備する用地の取得に時間を要する箇所もあるため、進捗管理を徹底するべく、地権者との粘り強い交渉などを行い、早期の整備完了を目指してまいります。
 また、自家用発電設備の燃料を、都市ガスや軽油などに加え、LPガスを使用し、多様化を図ることは、災害時の給水を継続するためにも重要であると認識しております。
 LPガスを使用した自家用発電設備は、燃料運搬が容易なことや低騒音などの特性がございます。そのため、こうしたメリットを生かせる多摩地区の小規模な施設等への導入に向け、検討を進めてまいります。
〔交通局長土渕裕君登壇〕

○交通局長(土渕裕君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大規模水害時の都営地下鉄の早期復旧についてでございますが、交通局では、局版BCPである危機管理対策計画に基づきまして、水害時の早期復旧に向け、車両の避難や駅、トンネルへの止水措置などによりまして被害の軽減を図るとともに、施設の被災状況等を踏まえ、迅速に復旧活動に取り組むこととしております。
 さらに、近年の豪雨災害の激甚化、頻発化を踏まえまして、荒川氾濫のような大規模水害に対しても減災を図るため、局内にPTを設置し、現在、変電設備など運行に不可欠な重要設備ごとに、被害想定を改めて精査しております。
 今後、先般の台風への対応等も踏まえまして、施設の浸水対策を強化するとともに、車両避難のタイミングなどにつきましても改めて検証するなど、早期復旧のため、より実効性の高い対策を検討してまいります。
 次に、都営地下鉄などにおける宅配ボックスの設置についてでございますが、交通局では、お客様の利便性向上や収益確保はもとより、宅配便の再配達削減による環境負荷の低減等にも資するよう、平成二十八年度から、駅構内に宅配ボックスの設置を開始しており、現在、十四駅に設置しております。
 加えまして、コインロッカーを活用した宅配受け取りサービスにつきましても、平成二十九年度から展開しており、現在、十二駅で実施しております。
 今年度は、宅配ボックスを三田線白山駅や大江戸線牛込神楽坂駅など五駅に新たに設置する予定でございます。
 引き続き、設置事業者の要望を踏まえながら、駅構内のスペースを有効に活用し、宅配ボックス等の設置拡大を図ってまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 都立、公社病院の水害への備えについてでございますが、昨年度の緊急総点検及び今般の防災対策の検証を通じまして、建物への浸水被害のおそれのある病院の対策を進めております。
 墨東病院は全ての開口部に止水壁を設け、東部地域病院は非常用発電機を屋上に設置することとし、設計を行っております。加えまして、広尾、大塚、豊島の各病院は、地下スロープからの浸水防止を重視した対策に取り組んでまいります。
 また、病院機能に障害が出るような災害時に、医療人材の配分や患者受け入れの調整等を中心となって行う災害医療コーディネーターに、広尾、墨東、多摩総合の三病院の医師が指定をされております。これらの病院では、事前に被害想定を明かさず、臨機応変に対応するなどの実践的な訓練を行ってまいりました。
 今後とも、全ての病院でハード、ソフト両面の水害対策を着実に進めまして、より万全なものとしてまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中央卸売市場における水害対策についてでございます。
 中央卸売市場は、東京都地域防災計画により、発災時の生鮮食料品調達や輸送などの役割を担っております。
 こうした役割を果たすため、都は、全十一市場の施設の防水工事や非常用発電機の設置を行うとともに、市場業者との食品確保に関する協定締結などを進めてきましたが、先般の台風では、一部の施設で漏水等が確認されており、改めて水害への備えを強固にする必要がございます。
 このため、計画的に施設の整備や改修を進めるとともに、今後、浸水ハザードマップや敷地の利用状況等を踏まえまして、電気設備への影響などを検証してまいります。
 あわせて、応急復旧体制の整備や必要な資器材の確保などの取り組みを着実に進め、発災時に市場に求められる機能の確保に努めてまいります。
 次に、仲卸業者の経営の安定化についてでございます。
 仲卸業者は、市場機能の中核を形成する事業者の一つでございまして、その多くが中小事業者でございますことから、経営を安定化することは非常に重要であると認識しております。
 このため、都では、仲卸業者の経営状況を把握し、助言するとともに、販路開拓など経営全般に関しまして、公認会計士等の専門家の知見を活用した相談事業を実施することで、より適切な事業展開を図れるよう支援をしております。
 また、卸売市場を取り巻く環境の変化に即した対応を促すため、仲卸業者を含めた市場業者の創意工夫ある先駆的な取り組みを後押ししてございます。
 条例改正を契機といたしまして、こうした取り組みについて運用上の改善を図りつつ、積極的に推進することで、仲卸業者の経営の安定化に向けて適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、幼児教育、保育の質の向上についてでありますが、子供が遊びを通じて環境から学び、生きる力を身につけるためには、個々の発達過程を踏まえ、保育士が相互に協力して子供の自発的な発育に適した環境を整え、応答的なやりとりを重ねながら援助することが大切でございます。
 保育所の職員には、こうした専門性が求められるため、都は今年度、職員の気づきや成長を促す職場環境づくりについて、園長同士が情報共有を図るとともに、若手職員が相互交流を通じて保育実践を学び合うなど、施設間交流の促進等に取り組む区市町村への支援を開始いたしました。
 これまで取り組んでいる四区市では、園外活動や障害児保育に関する意見交換等が行われており、今後、こうした実践事例の紹介を通じて事業の活用を促進し、幼児教育、保育の質の向上につながる取り組みを支援してまいります。
 次に、ドクターヘリに係る近隣県との連携についてでありますが、都はこれまで、ドクターヘリを導入している近隣県に赴き、基地病院や緊急離着陸場の選定方法、要請方法について意見交換するとともに、基地病院にも直接訪問し、現場の医師、看護師、さらには機長、整備士等と面会し、出動の多い地域や対象となる症例、維持管理に必要な条件などについて確認を行ってまいりました。
 本年九月には、国と地方公共団体等が連携して実施した大規模地震時医療活動訓練において、他県のドクターヘリを活用した患者搬送訓練を行ったところでございます。
 今後、東京二〇二〇大会の開催も見据えながら、近隣県との連携に係る具体的な方策について調整を進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、就労支援施策の強化についてですが、今般提案した就労支援に関する条例は、就労を希望する全ての方が、その個性や能力に応じて働けるようにすることを目標としております。そのためには、これまで実施してきた、障害者や再就職を目指す女性などに対する就労支援をさらに強化していく必要がございます。
 具体的には、障害者雇用を促進するため、障害者を初めて雇用する中小企業に対して、採用から定着まで一貫した伴走型の支援を行う施策の検討を進めてまいります。
 また、再就職を目指す女性に対しては、より身近な地域で就労の支援が受けられるように、多摩地域における新たなサポート体制の構築について検討してまいります。
 こうした取り組みにより、就労を希望する方々の実情に応じたきめ細かな就労支援を進めてまいります。
 次に、就労に困難を抱える方への支援についてですが、こうした方々に対して、実情に配慮した効果的な就労支援を行うためには、事業の実施と検証を通じて、経験やノウハウを蓄積しながら、支援手法の改善や支援スキルの向上に、不断に取り組んでいく必要がございます。
 このため都は、今後、しごとセンターにおける困難を抱える方への相談支援の充実に向けて、支援スタッフや関係機関等による検討会議を定期的に開催するなど、事業効果を検証し、改善策につなげる仕組みを構築してまいります。また、こうした検証の積み重ねにより得られたノウハウ等を、実践的な支援マニュアルにまとめることも検討いたします。
 これらの取り組みを通じて、就労に困難を抱える方に対する支援の強化を図ってまいります。
 次に、TDMの推進に向けた中小企業への支援についてですが、大会の成功に向けては、TDMなどによる円滑な大会輸送の実現と経済活動の維持との両立を図ることが重要であり、都内事業所の九九%を占める中小企業の協力を得ていくことが不可欠でございます。
 このため、中小企業のテレワークの導入を引き続き支援するとともに、ご指摘を踏まえ、TDMに協力する中小企業の物流体制の見直し等に伴う負担軽減策を新たに検討してまいります。
 とりわけ、物流体制の見直しにつきましては、自社への影響調査や物流システムの改修等を先行的に取り組む必要があることから、早急に着手できるよう、必要な経費の助成を行うなどの措置を講ずることといたしました。
 こうした支援を着実に展開し、大会時におけるTDMの推進につなげてまいります。
 次に、被災地応援ツアーの実施についてでございます。
 東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月から実施しております。
 被災地応援ツアーでは、事業開始から平成三十年度までの累計で、宿泊約十九万七千泊、日帰り約六万五千人分、教育旅行百十七件に対する助成を行ってまいりました。被災地応援ツアーの実施により、都民による被災地への旅行を促進し、現地での消費を喚起するなど、観光振興により復興を後押ししてきたところでございます。
 今後、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望を十分に踏まえ、支援を検討してまいります。
 最後に、小笠原の農業振興に向けた取り組みについてですが、パッションフルーツなど小笠原の特性を生かした農産物の生産を拡大するためには、都と村が連携し、農業生産基盤の整備や農地の利活用を進めることが重要でございます。
 都は、小笠原村における農地の安定確保や農業者の経営規模拡大等に向け、昨年度から、都が所有する土地を農地として整備した上で、村に貸し付けているところでございます。
 村は、その土地を活用して農業団地を運営しておりまして、これまでに延べ約九千二百平方メートルの農地を就農者に提供しております。
 同敷地には、一万三千平方メートルを超える耕地に適した未利用地が存在することから、今後も、農業者の需要を踏まえ、本敷地を活用したさらなる農地の整備を検討してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 工事関係書類に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、工事関係書類の削減についてでございますが、工事関係書類につきましては、公共工事の品質確保や施工管理等の観点から必要なものでございます。その中で、重複した情報が含まれた書類などにつきましては、関係局が連携し、削減、簡素化の検討を進めてまいりました。
 その結果、本年十一月、各局が共通して使用する統一様式三十二様式のうち、削減等が可能な書類の候補といたしまして、十一様式を抽出するとともに、各局が独自に定めている様式につきましても候補を抽出いたしました。
 今後は、年度内に、土木、建築、電気、機械の四業種を対象に、削減等を行うモデル工事を選定してまいります。
 その上で、来年度、モデル工事の試行を通じて受注者のご意見も聞きながら、削減等の効果や品質確保などにおける課題を検証し、削減、簡素化の取り組みをさらに進めてまいります。
 次いで、ICTを活用した負担軽減の取り組みについてでございますが、公共工事において受注者の負担軽減を図るためには、ICTを活用するなどの生産性向上の取り組みが重要でございます。
 このため、工事関係書類の削減等を行うモデル工事の試行では、書類の一部を電子メールによる提出とするなど、受注者の省力化を進めてまいります。
 また、財務局では、受注者からの提案を採用いたしまして、ネットワークカメラから夜間、休日等の現場の映像を受信することによりまして、警備の省力化につなげた事例もございます。
 今後も、ご指摘の課題を含めまして、受注者など関係者との意見交換を行いながら、生産性向上に向け、適切に対応してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、マラソンチケット購入者への対応についてでありますが、競技会場で観戦することを楽しみにしていた方々から納得の得られる対応を行うことは重要であります。
 これまで都は、組織委員会に対しまして、マラソンチケットを購入した方に配慮し、チケットの取り扱いについて早期に考えを示すよう求めてまいりました。
 組織委員会は、現在、チケットの払い戻しを行う方針を示しておりますが、具体的な内容について検討を行っているところであるというふうに聞いております。
 都としましては、ご提案の趣旨も踏まえ、組織委員会に対し、引き続き働きかけてまいります。
 次に、東京マラソンのランナー募集についてでありますが、東京マラソンは、エリートランナー及び市民ランナーが三万八千人参加をいたします世界有数のマラソンであり、毎年多数のご応募をいただいていることから、高い抽せん倍率となっております。
 このため、より多くの方にご参加いただける仕組みを講ずることは重要であり、東京マラソン財団では、これまで関係機関と協議をしながら、段階的に定員をふやしてまいりました。
 また、二〇二〇大会からは、都民の参加機会をふやすため、都内居住者を対象とする定員千人の都民エントリー枠を新たに創設いたしました。さらに、三年連続で落選した方に配慮し、二〇二三大会から、特別抽せんを実施する予定でございます。
 今後も、東京マラソンを通じて、より多くの方々に走る楽しみを提供し、広くスポーツ振興を図ってまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップのソフト面でのレガシーについてでありますが、大会をきっかけとして、子供たちがラグビーに取り組める環境を整えていくことは重要でございます。
 この間、都は、さまざまなイベントの機会を捉えたラグビー体験のほか、大会期間中に、被災地と都内の子供たちの観戦招待事業や交流事業を東京都ラグビーフットボール協会や各地のラグビースクールと協力して実施してまいりました。
 今後は、これまでの事業で培ってきた競技団体等との協力関係を生かしつつ、子供たちがラグビーを楽しみながら、技術力の向上にもつながる取り組みを検討してまいります。
 こうした取り組みを通じて、都としてもラグビーに関心を持った子供たちが競技に取り組める機会を提供し、大会のレガシーにつなげてまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 若者総合相談センター、若ナビαについてでありますが、一人でも多くの若者の不安や悩みを受けとめ、これを支えていくためには、ウエブやSNS等、若者にとってなじみのあるツールを活用するなど、さまざまな工夫により、相談利用を促す取り組みが重要と認識しております。
 このため、区市町村窓口や大学、専門学校の相談室等へのポスターの配布などの手法に加え、ワンクリックで若ナビαのホームページを閲覧できる、検索連動型のウエブ広告を展開するとともに、ツイッター等による情報発信をこれまで実施してきており、相談件数も増加してきております。
 今後、これまでの取り組みを踏まえ、不安や悩みを抱えた若者に若ナビαをより一層活用いただけるよう、SNSを活用した相談について検討を進めてまいります。

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