令和元年東京都議会会議録第十九号

   午後一時開議

○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) これより質問に入ります。
 百十五番小山くにひこ君。
〔百十五番小山くにひこ君登壇〕

○百十五番(小山くにひこ君) 東京都議会第四回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 質問に先立ち、台風第十五号、第十九号を初めとする災害において亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、本年十月二十二日に、名誉都民である緒方貞子さん、同二十四日に、同じく名誉都民である八千草薫さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 女性活躍について伺います。
 先日、我が会派の女性議員一同は、小池知事に対し、東京に暮らす女性の多様な生き方の実現に向けた要望を提出しました。逝去された名誉都民のお二人は、それぞれの分野で大いにご活躍され、まさに女性の多様な生き方を体現された女性活躍の象徴ともいえる存在でありました。
 お二人のご功績を踏まえ、自身も女性初の防衛大臣や都知事を務められるなど、女性活躍を体現してこられた知事に、改めて女性活躍推進に向けた見解を伺います。
 補正予算案について伺います。
 本年、台風第十五号、第十九号を初め日本列島を多くの水害が襲いました。都内でも多くの地域に被害の爪跡が残り、一刻も早い復旧が望まれます。
 発災後、小池知事は速やかに現場を視察され、我が会派も被災地の現場に足を運び、被災された方々の切実なお声をいただきました。今般、我が会派の緊急要望を受け、被災地支援を含む防災対策が盛り込まれました補正予算案が提出をされましたが、知事の迅速な対応を高く評価いたします。
 本補正予算案には、防災対策に加え、暑さ対策や交通混雑緩和の取り組み、5Gのショーケーシングなど、東京二〇二〇大会の成功に向けた追加対策や、町会、自治会、商店街等の皆様のご尽力により、通学路、公園を初め地域に必要不可欠な公的インフラの一つとなりました防犯カメラの設置支援など、私たちがこれまで求めてきた内容が多く盛り込まれており、非常に意義あるものと考えております。
 そこで、本補正予算案を編成、提出された趣旨について知事の見解を伺います。
 防災対策について伺います。
 都は先日、令和元年台風第十五号及び第十九号等に伴う防災対策の検証を取りまとめました。一連の台風の災害対応に追われる中、短期間で検証結果を取りまとめ、初動体制の整備や、我が会派がかねてよりその重要性を訴えてまいりました電源確保対策など、多岐にわたる視点から課題を抽出し、さまざまな対策の方向性を整理した点を高く評価いたします。
 検証作業は実施して終わりではありません。直ちに実施できるものは速やかに実現をし、今後に備えて必要な対策を着実に講じていく必要があります。
 今回の検証結果を踏まえ、都はどのように今後の防災対策の強化につなげていくのか、知事の見解を伺います。
 日ごろの備えに関し、小池都政では、女性目線の「東京くらし防災」、子育て世代向けの防災絵本、さらに、知事がかねてよりその重要性を指摘されてまいりました乳児用液体ミルクも広がりを見せるなど、新たな視点での対策が進められています。
 加えて、今年度から新たに実施されておりますパパママ東京ぼうさい出前教室は、子育て世代のライフスタイルに合わせて身近な場所に専門家を派遣するものでありますが、大変人気が高く、今年度は募集枠の拡充に取り組まれたと聞いております。
 たび重なる台風、水害の発生により、都民の災害に対する意識も高まっており、この機を捉え、地域の防災活動に参加が困難な層を含め、積極的にアプローチする取り組みをさらに強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池知事は、台風第十九号の接近に伴い、都立高校の一部を避難先として開設し、避難者の受け入れを行いました。都立高校百九十施設のうち、避難所に指定されているのは百六十施設程度ですが、小中学校に比べて資機材が整っておらず、避難時に、毛布、水、食料等が不足するおそれもあります。都立高校を新たに避難所指定するに当たっては、地元自治体との協議が必要でありますが、可能な限り多くの都立高校を避難所として活用できる体制を整備すべきであります。
 一方で、都はこれまで、帰宅困難者対策として、都立高校などの都立施設を一時滞在施設として指定し、水や食料などの備蓄品の配備をしております。そのため、住民向けの避難先が不足する中、避難所に近い機能を有しているこれらの施設を弾力的に活用していくことも重要であります。
 そこで、都立一時滞在施設の指定をより一層進めるとともに、住民向けの避難先としても活用していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 台風十五号により、島しょ地域では、多数の家屋被害や停電、断水などのライフライン被害が生じました。被害状況の把握に時間を要したほか、初動の応急対策に必要となる物資について、本土からの搬送に時間を要すなど、一時的な不足が発生をしました。
 災害時における被害状況を迅速に把握するために、災害ドローンが近年注目をされており、例えば、昨年の北海道地震では、土砂崩れの現場映像を撮影するなど迅速な情報収集に貢献をしております。また、先日の西多摩地域の道路崩壊に当たり、避難物資の輸送にドローンが活用をされました。
 今後、島しょ地域の情報収集体制をさらに強化するために、ドローンを活用するとともに、発災後の初動対応に必要となる物資についても迅速な調達手段を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 小池知事就任後、無電柱化の取り組みは大きく前進してきました。
 二〇一七年には都道における電柱新設を禁じる都道府県初の東京都無電柱化推進条例を制定し、その後も、都道での事業強化や基礎自治体への支援拡大に取り組んでいることを評価します。
 先般の台風十五号では、島しょや千葉県にて多数の電柱が倒壊をし、長期の停電に陥るなど、災害時の電柱のもろさが改めて露呈をいたしました。島しょや多摩地域を含む都内全域での無電柱化の一層の加速が必要であります。
 台風第十五号の被害を踏まえ、防災機能の強化を目指す無電柱化をより一層進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都道においては、都の条例により電柱の新設を禁じることができていますが、区市町村道あるいは土地区画整理事業や新規の宅地開発においては、電柱が新設されてしまうことも大きな課題であります。
 東京都内の土地区画整理事業や宅地開発において、電柱が新設されない取り組みを推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東日本の広い範囲で記録的な大雨をもたらした台風第十九号では、浸水面積や住宅の浸水被害が、平成最悪の水害といわれた昨年の西日本豪雨を上回っているとも報じられております。
 都内においては、区部の河川では、これまでの調節池など整備効果が大いに発揮され、幸いにも大きな被害には至りませんでしたが、総雨量六百ミリを超えた多摩の河川では、河川の氾濫や護岸崩壊などが発生をいたしました。
 今回の台風被害を踏まえ、特に多摩地域を流れる河川における豪雨への対応力を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 台風、水害対策の大きな柱は、河川の整備、調節池の整備です。これまで私たちも繰り返し水害対策の強化を訴えてまいりました。
 都は、第三回定例会における我が会派の代表質問に対し、豪雨対策基本方針に定めた神田川などの対策強化流域において、事業中の約百十万立方メートルを含め、今後、合計約五百六十万立方メートルを貯留する調節池の整備が必要であるとの方針を示しました。
 昨年七月の西日本を中心とした豪雨や、今般の台風第十九号における被害を踏まえると、調節池の整備をさらに加速すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 災害時において、自治体のホームページは、住民にとって情報収集の重要な手段となっています。しかし、本年の台風十九号通過時に幾つかの自治体でホームページへのアクセスが困難な状況が発生したと聞いています。
 災害時のホームページによる情報提供の体制の強化に向けて早急に対応策を講ずるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 外国人への適切な災害情報の提供は、東京二〇二〇大会を控えた都において大きな課題であります。
 例えば、空港において防災情報を集約、発信する都のアプリのダウンロードを促す等、訪都外国人に対する防災情報の提供を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 台風第十九号の影響のため、首都圏の鉄道各社により計画運休が実施されました。
 計画運休とそれに伴う休業体制等のあり方の検討は、子育て、介護、病気などを抱える都民の働き方やTDMにも通じるものであり、先日、知事から今後の計画運休時のあり方を検討する方針が示されたことは非常に意義深いと考えます。
 今回の計画運休の実施で得られた成果と課題、例えば、運休した翌日の運転再開に関する情報提供や都内企業の休業体制、従業員への周知のあり方などについて、労働団体、経済団体などと連携し、今後の定着に向けて計画運休時のあり方を整理すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 消防団は、地域の防火、防災のかなめであり、東京二〇二〇大会、そして、その後の地域の安全を確保するためにも、都から一層の支援が必要であります。
 我が会派の要望を受け、区部におきましては、東京二〇二〇大会に向けて、消防団の活動における暑さ対策の強化として新しい被服の導入が行われました。多摩地域においては、市町村総合交付金の政策連携枠の活用などにより、消防団の装備の充実が図られておりますが、消防団の暑さ対策などを推進する自治体への支援をさらに強化すべきであり、その観点からも、市町村総合交付金の一層の拡充を求めておきます。
 長期戦略について伺います。
 先日、我が会派は、東京都の長期戦略への提言を知事に提出をいたしました。
 我が会派は、かねてより、多様性こそが都市の成長の源泉と訴えておりまして、都民一人一人の人の多様な生き方の実現を支援し、それを都市の成長につなげる取り組みこそ長期戦略において重視されるべきと考えております。あわせて、都市のデジタル化、自然との融合も同時に進めながら、EBPMを活用して戦略を絶えず見直す視点も重要であります。
 また、現在の日本の地方自治制度は、都が世界の都市間競争に勝ち抜くため、戦略的、自律的な自治体運営に必要となる国から自治体への権限、財源の移譲が十分ではありません。都の長期戦略は、都の成長に加えて、日本全体を沈没させかねない現在の日本の統治機構の改革にもつなげていく必要があります。
 長期戦略に対する我が会派の提言を踏まえ、東京、そして日本全体の改革につなげる長期戦略の策定を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派は、かねてより、知事初め都庁が海外諸都市と積極的に交流することの重要性を指摘してまいりました。現行の都市外交基本戦略は二〇一四年に策定され、東京二〇二〇大会の成功を大きなテーマとしておりますが、東京二〇二〇大会が目前に迫った今、現行の基本戦略の成果を検証し、その先を見据えるべきであります。
 見直しに当たっては、海外の他都市の制度、政策を研究した上で積極的に活用する視点や、二都市間等での外交のみならず、国際会議に積極的に参加することや、国際会議における人脈、コネクション構築のため、担当者が継続して参加できるような体制づくりも検討課題であります。
 そこで、海外事例を積極的に都の政策に反映させることや、国際会議への継続的な参加を可能とすることに加えて、国際的な都市間競争の激化、気候変動や災害などの地球規模の課題が顕在化している状況の中、今後、新たな長期戦略の策定に合わせて、都市外交の基本戦略についても見直すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 現在、都は、職員の海外派遣を実施しておりますが、デジタル化等を中心に各局で新たな発想の提案が出るなど、その成果が出てきていると聞いております。現在の短期間のものに加え、長期間にわたる海外派遣は、職員の能力開発に加え、都市外交の観点からも重要であります。
 今後は、海外都市との協定の締結など、より長期間にわたる都庁職員の海外派遣も念頭に検討することを求めておきます。
 都市のデジタル化について伺います。
 東京、そして日本の持続的成長のために、ソサエティー五・〇の社会実装を含めたデジタル技術の活用は不可欠であります。しかし、ソサエティー五・〇を担う人材不足は深刻であります。
 今後、税務総合支援システムの抜本的な再構築を初め、都庁内においてもデジタル化の取り組みを加速度的に進めなければなりませんが、そのためには、都庁内外を含め、海外留学、派遣の支援や海外人材の東京への積極的誘致など、ICT人材の厚みを増すための行政計画の策定や戦略政策情報推進本部のさらなる強化なども検討すべきであります。
 そこで、都としてソサエティー五・〇を担う都庁内外の人材不足をどのように認識をしているのか、宮坂副知事の見解を伺います。
 5Gは、現行の4Gに比べ多くの基地局が必要になるため、各キャリア事業者が効率的かつ迅速にネットワークを構築するためには、基地局のアンテナなど設備の共用が不可欠となります。現状では、5Gの共用アンテナは製品化されておりませんが、水道スマートメーターのように都として実証実験を行うことによって、共用アンテナの製品化、低コスト化を後押しできる可能性があり、こうした先例を東京モデルとして全国展開することも視野に入れた取り組みを行うべきであります。
 今後、有識者やキャリア事業者が参加するTOKYO Data Highwayサミットでは、共用アンテナの活用や実証実験などについても検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 5Gの社会実装を進め、都内産業の支援につなげるためには、通信事業者以外にも利用可能なローカル5Gの利活用を進めることが重要です。ローカル5Gは、事業者がみずからの用途のために基地局を設置できるため、例えば、生産現場でAIやロボットと5Gを組み合わせ、自動化や遠隔操作による劇的な生産性向上の可能性を秘めております。
 一方で、まだ活用事例が少ないため、専門人材の不足や、中小企業の自社での活用イメージが困難であるなど、さまざまな課題があり、このような課題を乗り越えて産業分野における5Gの利活用をいち早く進めていかなければなりません。
 ローカル5Gの活用など、製造業や農林水産業など都内産業全般に5Gの利活用を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 学校のICT環境の整備には非常に多くの意義がございます。
 生徒にとっては、これからの時代における鉛筆やノートと同等の文具といえるものであり、教師や行政にとっては、校務の効率化と教育におけるEBPM推進の基盤となります。
 加えて、学校は災害時の避難場所になるなど、地域コミュニティと行政の身近な接点です。学校のICT環境の整備は災害時の対応を初め、今後、地域コミュニティと行政の関係強化にもつながり得るものであり、これまで我が会派は、学校におけるICT環境整備の充実を強く求めてまいりました。
 まずは、都立学校において、基盤となる通信環境を早急に整備すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 学校のICT環境整備に関しては、国からもさまざまな方針が打ち出されております。BYODモデル事業等の検証結果を踏まえ、国の動向を見据えながら、都立高校、都内公立小中学校における一人一台環境の整備に向けても検討すべきことを求めておきます。
 現在、都は、島しょ地域の診療所及び病院の機能を充実するため、高度専門医療機能を有する本土の医療機関との間で遠隔医療の取り組みを行っております。今後、5Gの社会実装が進むにつれて、遠隔医療は大きく広がる可能性があり、特に、医療資源が区部と比較して乏しい多摩地域においては、都民生活の大きな向上が期待をされます。
 特に、多摩地域において、高度専門医療機能を有する医療機関との連携など、遠隔医療の取り組みを実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 民間の事業者間取引の手段として、近年急速に電子契約の普及が進んでおります。電子契約は印紙税が課税されないなど、コスト削減効果や契約業務の効率化などの利点から、今後も利用が増加すると見込まれております。
 国においても、本年八月から、一部の契約案件について電子契約システムの運用が始まるなど、段階的に電子契約を導入しておりますが、地方自治体では導入事例がないと聞いております。
 都が電子契約を導入することは、都の契約業務の効率化だけではなく、受注者のコスト削減効果など、多くの都内事業者にとっても大きなメリットが期待でき、都は電子契約の導入を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 我が会派はかねてより、東京二〇二〇大会をその後の東京の発展につなげることの重要性を訴えてまいりました。パラリンピック東京大会の大きな目標であるソーシャルインクルージョンを大会後の東京の発展につなげるには、近時世界で議論をされております社会経済的な属性等にかかわらず、経済成長の機会と成果を全ての人々に届けるという包摂的な成長の視点が極めて重要であります。
 そこで、就労支援について伺います。
 昨年の第二回定例会よりさまざまな議論を経てきました、就労に困難を抱える方が生き生きと働くことのできる場であるソーシャルファームの創設を大きな柱とする条例案が本定例会に提出をされました。
 我が会派はこの間、専門性を有する議員によるプロジェクトチームを創設し研究を重ね、都への要望を行ってまいりましたが、改めて先月五日、知事に条例制定に関する要望書を提出いたしました。
 ソーシャルファームについて、国に先駆けて条例化を検討してきた都の取り組みに対し、全国から注目と期待が集まっております。
 海外では数多くのソーシャルファームが社会の中で活躍をしておりますが、日本では新規性が高いものであり、条例に規定さえすれば円滑に創設や普及が進むというわけではありません。そのため、都は、民間企業やNPOなどの参加も得て、ソーシャルファームの社会的機運の醸成に積極的に取り組むべきであります。
 新しい施策であるからこそ、我が会派が要望しておりますソーシャルファームへの財政支援や相談体制の構築、都が発注する契約における優先的取り扱いなど、さまざまな支援施策を強力に推し進めるとともに、しっかりとPDCAサイクルを回しながら施策をブラッシュアップし、ソーシャルファームの普及を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派はかねてより、障害、子育て、介護、シニア、ひきこもり、シングルマザー、病気など、仕事以外の事情により就労に困難を抱えている方々が、その人らしく働くことを可能にする就労支援の実現は、都の今後の成長のためにも極めて重要と訴えてまいりました。条例案では、ソーシャルインクルージョンの考え方に立って、就労支援を行うことが明記されており、都の成長につなげる視点から施策をブラッシュアップする必要があります。
 条例案では、都民への支援として、都立施設や民間の教育機関等を活用した職業能力の開発、向上がうたわれております。
 就労支援を都市の成長につなげる観点からは、こうした事情を抱えている方々を東京の多様な産業を支えるための人材育成プログラムへの支援へつなげるなど、専門的で高度なスキル向上支援を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 二人に一人はがんになり、三人に一人はがんで死ぬといわれる現在、がんを初めとする病気と仕事を両立できる就労支援、そして、がん教育、がん検診を初めとする予防的アプローチは極めて重要であります。
 がんと診断されたときに就労していた方の約四人に一人が退職をされており、がんに罹患しても、治療を受けながら仕事を継続できるよう、治療と仕事の両立が可能な環境整備が必要であります。
 都では、本年度から、働きながら治療を受けやすい医療提供体制の構築等に向けて、平日夜間や土日における外来薬物療法等を試行実施しております。
 そこで、試行実施の利用状況を踏まえながら、がん患者の治療と仕事の両立支援を一層進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 事業承継について伺います。
 都内中小企業が競争力を強化し成長していくことも、包摂的な成長には必要不可欠であります。経営者が交代した承継企業は利益率が高い傾向にあり、早期の事業承継を促すことは中小企業の成長にもつながります。単に今あるものを承継するだけではなく、時代の変化に合わせて事業の多角化、経営改革の実施、統合によるスケールメリットなど、発展的な形での事業承継が求められております。そのため、MアンドAも事業承継の有力な選択肢であり、今や親族外承継の割合は三割を超えております。
 他方、MアンドAに取り組む民間のファンドでは収益性を重視する余り、成長可能性を有しながらも、その事業規模などから投資対象になりにくい中小企業も存在をしておりまして、成功事例の創出や、都がみずから出資し民間資金を呼び込むことは効果的であります。
 そこで、発展的事業承継に必要となるMアンドAに対する支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 犯罪被害者支援について伺います。
 都はこれまで、犯罪被害者等に係る支援計画を策定して支援を実施してまいりましたが、我が会派の提案を受け、犯罪被害者条例の検討を進めております。
 先般、都は条例案の概要を公表しましたが、我が会派の主張を受け、被害者の方々が多数に上る事件等が発生した場合における緊急支援の実施が新たに盛り込まれた点を評価いたします。引き続き、被害者に対する経済的支援等についても積極的な検討を求めておきます。
 条例の検討を進めるに当たって、被害者支援団体等からは、司法の経験がない被害者が被害後、刑事、民事の手続を行うに当たって必要となる法律相談に係る費用が経済的な負担になっていることや、性犯罪の場面など、被害者自身が自覚していない等で受診がおくれると、精神的被害からの回復のおくれにつながるケースがある等の指摘も出ております。
 我が会派が繰り返し求めてきたとおり、被害者の置かれている状況を踏まえ、一刻も早く具体的な支援策を実施することが必要であります。
 今後、こうした課題を解決するため、令和三年度を始期といたします第四期支援計画の改定を待たず、条例の制定に合わせて支援策を充実強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 子育て、教育について伺います。
 厚生労働省によれば、本年九月までの出生数は約六十七万人と、前年同期比で五・六%減少しております。このまま推移すれば、一八九九年の調査開始以来、初めて年間出生数が九十万人を下回る見込みであり、少子化に歯どめがかかっていないどころか、加速している状況すら見られます。
 この背景には、価値観の多様化、経済的負担に加え、出産や子育てにまつわる負担感も大きな要因でございます。
 核家族等により、周囲のサポートなしで子育てに向き合わなくてはならない場面がふえ、育児の悩みを一人で抱え込み、精神的にも追い詰められる場面が多いという切実な声が私たちのもとにも届いております。経済的負担への対応、さまざまな行政サービスの充実に加え、地域社会で子育て家庭を支えていく、こういった社会全体の機運を生み出していかなければなりません。
 我が会派が実施をいたしました子育てをしている二十代から五十代の都民アンケートでは、実際の子供の数は約五割が一人だったのに対して、欲しい子供の数は一人と答えたのはわずか五%で、二人と三人が合計で七五%と、二人目、三人目が欲しいと思っている都民が多い実態がわかりました。
 また、子育てしやすい東京とするために、さらに必要な支援として、妊娠、出産の費用の助成が五割以上でトップ、産前産後のケアの充実、多子世帯への財政支援についても、それぞれ三割が必要と回答をしております。
 我が会派は、先日知事に提出をいたしました長期戦略への提言の中で、二〇四〇年に向けて、合計特殊出生率二・〇七を目標に掲げ、世界一子育てしやすい都市東京宣言の実現に向けて、関連施策を総動員することを求めました。
 こうした観点に立って、長期戦略ビジョンにおいては、少子化からの脱却に向けて、大胆な方針を打ち出すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 出産、子育て支援について伺います。
 子供を安心して産み育てられる子育て環境の整備に当たっては、妊娠期から子育て期にわたって切れ目ない支援を行うことが重要であります。
 都がこれまで実施してまいりました、ゆりかご・とうきょう事業は、私たちのもとにも利用者から高い評価の声が届いており、我が会派は、次年度以降の継続、強化を強く求めてまいりました。
 第三回定例会の代表質問において、知事からも、本事業の重要性の認識に関する答弁がありました。
 次年度以降は、産前に比べると区市町村の取り組みにばらつきが多い産後ケアの充実や、特に子育ての負担が大きい多胎児を初め、多子世帯への配慮が重要であります。
 都は、児童虐待防止のため、都内保育所などを通じて、体罰などによらない子育てハンドブックを配布しており、評価する声が私たちにも届いておりますが、産後ケアは虐待の防止にも意義があるものといえます。
 今後、特に産後ケア、そして、多胎児を含め多子世帯の側面にも一層力を入れ、ゆりかご・とうきょう事業を継続し、区市町村の取り組みを手厚く支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 母親は出産直後に生活が激変するため、その負担を軽減し、出産、子育てのハードルを低くすることが重要ですが、仕事や家事に加え、育児まで母親一人で行うのは余りにも苛酷であります。母親の負担軽減に当たっては、ショートステイや一時保育の利用、家事代行やベビーシッター、時短家電の導入などさまざまな手法がありますが、母親は、特に出産直後、仕事をしていない状況があり、その利用に対する経済的なハードルは高く、家事、育児の負担を一人で抱え込んでしまうことが多いのが実情であります。
 出産直後に生活が激変する母親に対する経済的支援を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 出産直後の母親の生活の激変は、既に小さい子供がいる多子世帯や多胎児に関しては、一層厳しいものがあります。
 多胎児を含め多子世帯に関し、出産直後に生活が激変する母親に対する経済的支援を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 子供の権利擁護について伺います。
 里親制度について、都は、年齢要件の緩和など、その対象を拡大し、施設から家庭への流れを促進してまいりました。児童相談所の担い手不足が深刻化する中で、子供に新たな家庭をもたらし、愛情を注ぐ里親の拡充は、今後の児童養護施策において不可欠であります。
 一方で、里親からは、里子を親権者に戻される際に十分な説明が受けられなかった、里親を続けたい立場としては、都や児童相談所に異議を唱えることができないなどの声も上がっており、里親を推進するためにも、こうした里親の声を真摯に受けとめる必要があります。
 また、子供を里親から親権者に移管する場合において、十分な子供の意思確認がされず、子供の権利擁護の観点からも検証を必要とするケースがあるとも聞いており、独立した子供意見表明支援員の配置なども提唱をされております。
 里親へ委託された子供を含め、子供の最善の利益のために、子供の意見表明を尊重し、児童相談所の対応を検証できるようにするほか、里親制度は、里親が親権を持たない制度とはいえ、里親の不服などの申し出に対して、丁寧かつ慎重に対応できる制度を設けるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 新たな学力向上策について伺います。
 ソサエティー五・〇の到来により、未来を担う子供たちには、全ての学びの基礎、基本に加え、みずから新たな価値を創造する能力が求められております。
 英語力はソサエティー五・〇の時代、必須の能力でありますが、先般の決算総括質疑でも伺いましたとおり、TOKYO GLOBAL GATEWAYの実績を踏まえ、多摩の子供たちを含め、より多くの都民が、TOKYO GLOBAL GATEWAYと同じような環境で学ぶことができる英語教育環境の整備を改めて求めておきます。
 令和二年度から小学校において、令和三年度から中学校において、新学習指導要領が全面実施をされます。これからは、子供たちには、基礎、基本はもとより、何のために学ぶのか、どのように学ぶかをみずから考え、生涯にわたって、みずから学び続けることのできる力を養成することが必要であります。
 これまで都では、全国に先駆けて都独自の学力調査を実施するなど、さまざまな学力向上策に取り組んでまいりました。
 適切な課題を設定し、みずから学び続ける力など、これからの時代を生きる子供たちに求められる資質、能力を育成するため、義務教育段階における新たな取り組みが必要と考えますが、教育長の見解を伺います。
 専門高校における人材育成について伺います。
 本年、都立農業高校は、創立百十周年、定時制課程七十周年を迎えました。その記念式典では、生徒代表の挨拶において、新規に就農したいという強い思いと決意が語られました。
 これまで、農業や工業を初めとした都立専門高校においては、生徒に職業への意欲や専門知識と豊かな技術を育成してまいりました。農業系高校においては、安心・安全な農作物を社会に提供するための工程を学ぶGAP認証の取得を促進するとともに、学校で生産した農産物を東京二〇二〇大会で提供することを目指しております。
 また、工業高校においても、地元の企業や熟練技術者等との連携により、実践的な技術、技能を習得させるなど、都立専門高校の卒業生が東京の生産、産業基盤を支えてきたといっても過言ではありません。
 一方で、ソサエティー五・〇、AIやIoTといった技術革新が急速に進み、近い将来、社会の大きな変革が進むことになります。
 そのような新たな社会において活躍できる人材を都立の専門高校においてこそ育成していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 芸術文化について伺います。
 東京二〇二〇大会を契機に、文化の魅力あふれる都市、東京を実現するためには、大会後の芸術文化を支える裾野を広げることが重要であります。
 都立文化施設ではこれまでも、美術館、博物館の学生観覧料を無料、減額するなどの支援を行ってきたと理解しておりますが、都は、東京二〇二〇大会に向けて、東京の多彩な芸術文化の魅力を国内外に発信するさまざまな文化イベントをTokyo Tokyo FESTIVALとして実施をしており、東京二〇二〇大会は、より多くの若者が文化に親しむ絶好の機会といえます。
 これからの東京を担う若い世代が芸術文化に触れる機会をふやすための取り組みを実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 受動喫煙対策について伺います。
 来年四月一日から、東京都受動喫煙防止条例及び改正健康増進法が全面施行となります。IOCは、たばこのない五輪を掲げており、東京二〇二〇大会の競技会場は大会期間中の敷地内全面禁煙が決定をしております。
 開催都市東京は、世界の潮流であるスモークフリーの実現のため、都条例の全面施行に当たって万全の体制をとるべきであり、我が会派は、指導や罰則の適用に当たる保健所の人員体制の拡充や、その他啓発、指導助言に当たる人員体制の創設についても、これまで繰り返し求めてまいりました。
 単純な比較ができるものではありませんが、例えば、路上喫煙禁止条例のための普及啓発員を配置しているある区は、そのための経費として三億円の経費を要しているとのことでありました。さらにWHOは、都の大きな政策課題の一つである認知症と喫煙の関係性も指摘しており、超高齢社会への対応としても、受動喫煙対策に対する都の強い姿勢が求められております。
 都条例の実効性確保のため、受動喫煙防止条例対策を強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 認知症について伺います。
 我が会派は、認知症とともに生きる共生社会の実現に向け、認知症を福祉の中で語るだけではなく、認知症に優しいデザインの導入など、交通、金融や住宅、行政サービスなど、全庁横断で施策をアップデートする必要性を指摘してまいりました。
 来年度の予算要求の中で、高齢者の特性を踏まえた顧客サービスの推進の検討が盛り込まれていることは、我が会派の主張が取り入れられたものであり、極めて重要と考えております。
 認知症の予防について、我が会派は、認知症疾患医療センターの機能強化により家族支援を充実するよう求めてまいりました。今後は、認知症の早期発見を早期絶望にしないため、診断の先の社会的支援を重視し、初期段階での集中的かつ伴走型の支援の強化が重要であります。
 また、認知症の方や家族を地域で応援する認知症サポーターの養成も都内各地で進んできておりますが、こうした方々に地域の中で活躍していただくことも重要であります。
 そこで、今後は、認知症への早期対応を図るため、認知症疾患医療センターによる支援や認知症サポーター等の地域資源につながる取り組みを一層強化し、認知症の方及びその家族への支援につなげるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 都立病院改革について伺います。
 知事より所信表明におきまして、都立病院の独立行政法人化を進める方針が示されました。
 現在の経営形態では、患者のニーズに応じた柔軟な人員配置に時間を要することや医師の兼業が原則禁止されており、都立病院の医師が民間病院からの技術支援要請に応えられない、予算の単年度主義の縛りにより経済合理性を十分発揮できないなどのさまざまな課題が存在をしており、地域医療の担い手としての経営基盤の強化が必要であります。
 公社病院については、都立病院との連携強化により、スケールメリットのほか、医療資源の少ない二十三区東部や多摩地域全体の医療の一層の充実につなげる取り組みも期待されております。
 現状約四百億円という一般会計から病院会計への繰入金が、高齢化の進展とともに増加することが想定をされております。都立病院経営委員会から、独法化を含めて経営形態の変更を検討すべきとの提言が出されてから約二年間、都では丁寧な検討が行われてきたものと理解をしておりますが、地域医療の今後のあり方を含めた都の長期戦略が検討されている今こそ、都立病院、公社病院の一体的な改革により、地域医療の一層の充実につなげるべきであります。
 他方、災害時の医療や、採算性の観点から民間医療機関だけでは十分な医療が提供されない周産期医療や救急医療といった行政的医療等について、都立病院に課せられる役割は極めて重要であります。
 都立病院には、将来にわたり行政的医療に率先的に取り組むことが求められ、独法化の検討に当たっては、医師、看護師等など医療現場で働く職員の理解を得ながら、行政的医療を安定的に提供し続けることを前提としたスケジュール感も持ちながら検討を進めていくことが重要であります。
 都立病院の独法化に当たっては、行政的医療の確保や現場の理解といった点に配慮しながら進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 気候変動対策について伺います。
 今月二日から、気候変動枠組条約締約国会議、COP25が開幕されており、国連事務総長は、人類は文明を脅かす気候危機に対し、希望か降伏のいずれかを選択しなければならないと述べておられます。
 来年一月からパリ協定による取り組みが開始され、国における対策の強化が求められておりますが、大都市の責務として、都の取り組みも極めて重要です。
 都は本年五月、二〇五〇年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献する、ゼロエミッション東京の実現を宣言されました。これは政府から十分な目標、対策が示されない中で、日本をリードする大変意欲的な表明であり、年内に発表予定のゼロエミッション東京戦略では、その具体化が求められております。
 現在の気候非常事態ともいうべき状況において、いかに対応していくのか、知事の認識と今後の対応をお伺いいたします。
 インクルーシブ公園について伺います。
 障害がある子供も含め、全ての子供たちがともに楽しむことができる遊具等が設置をされたインクルーシブ公園、例えば、体を支える力が弱い子供が揺れる感覚を楽しめる遊具やスロープがついた大型遊具などが設置される公園が、砧公園と府中の森公園で整備が進められております。
 先日、インクルーシブ公園の実現に主導的役割を果たしました我が会派の龍円都議がその取り組みを評価され、マニフェスト大賞を受賞しました。インクルーシブ公園の一層の広がりが期待をされております。
 インクルーシブ公園の整備に関し、都立公園のほか、渋谷区や豊島区でも前向きな検討が進んでいると聞いており、都としては、区市町村立公園における広がりの支援を検討していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 駐車場の附置義務について伺います。
 都は、約六十年前に駐車場の附置義務条例を制定しましたが、都内の自動車台数の減少傾向やコインパーキングの整備等により、駐車場の需給バランスは転換点を迎えたといえます。
 まちづくりの観点からも、適温管理にすぐれ、防音性が高い地下空間は、映画館やホール機能として活用されるようになり、地下空間の有効活用が求められるようになりました。
 都はこうした動向を踏まえ、駐車場の附置義務について見直しを繰り返してきましたが、附置義務の緩和措置を受けるためのハードルが高いのが現状であります。
 我が会派は、今後ますます高まる地下空間の有効利用のために、都内の駐車場の需給予測を立て、駐車場の附置義務を抜本的に見直すべきと、これまで申し上げてまいりました。改めて、都の見解をお伺いいたします。
 中央卸売市場条例改正について伺います。
 卸売市場法の改正を踏まえて、取引に関するさまざまな規制を緩和し、中央卸売市場の活性化を目指す条例改正案が提案をされております。
 市場を取り巻く環境が大きく変化し、また厳しさも増している中で、卸売市場のあり方そのものが問われており、将来の市場を見据えれば、今回の条例改正はあくまでスタートにすぎません。
 これを契機に、市場業者による創意工夫ある取り組みや持続可能な市場経営に向けた取り組みを加速させていく必要があります。
 条例改正を一つのきっかけとして、新しい時代にふさわしい市場をつくり、市場の未来を切り開いていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 市場を取り巻く環境変化にしっかりと対応していく必要があるのは、取引の主役となる市場業者でもあります。条例改正によって取引ルールが大きく変わる中、今回の制度改正の趣旨や具体的な内容について、まずは市場業者にしっかり理解してもらうことが重要であり、市場業者に寄り添いながら施行までの準備を丁寧に進めていく必要があります。
 また、今後の人口減少や高齢化のさらなる進展など、社会環境の変化も見据えて、市場業者が新たな取り組みを進めなければ、今後の展望は開かれないともいえます。
 都は、制度改正への準備や時代の変化に即した創意工夫など、市場業者による取り組みを促していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会について伺います。
 大会をその後の東京の成長につなげるには、大会の成功が大前提であり、そのための万全の準備が必要です。
 先般、IOC調整委員会及び四者協議において、東京都の合意なく、東京オリンピックのマラソン及び競歩競技を札幌で行うことが決定されました。
 私たちは、トップアスリートが東京での開催を目指してきた準備などを踏まえ、アスリートファーストなら、マラソン、競歩競技は東京で開催すべきと考え、あらゆる場面で訴えてまいりました。この確信は、現在でもいささかも揺るぐことはありません。
 都民の期待を裏切り、合理的検証も不十分なまま、東京都の合意なしに札幌移転を決定したIOC、組織委員会の対応は極めて残念であり、激しい憤りを感じます。
 今後も我が会派は、都民の代表である都議会議員として、東京二〇二〇大会の成功のため、全力で取り組んでまいります。
 改めて、今回のマラソン、競歩の札幌移転決定と今後の大会の成功に向けた取り組みに関する知事の見解を伺います。
 マラソン、競歩が東京で開催されなくなったために意気消沈していらっしゃるチケット保有者、沿道で応援予定だった都民の皆様も多くいらっしゃいます。大会開催期間中に、その都民のため、大会の記憶を刻むことのできる取り組みを、新国立競技場及びコース付近などを利用し、実施されることを強く要望しておきます。
 九月二十日に開幕し、南アフリカの優勝によって幕を閉じたラグビーワールドカップ二〇一九日本大会は、日本チームの活躍もあり、大きな成功をおさめました。我が会派が繰り返し指摘してまいりましたとおり、ラグビーワールドカップで構築したノウハウを磨き上げ、反省点の改善を行い、来年の東京二〇二〇大会に生かしていく必要があります。
 ごみの対応、スタジアム近隣との関係性、会場周辺における輸送の円滑化、会場のインターネット環境、台風を含め、対応が必要となる気象条件時のオペレーションなど、経験したからこそわかった多くの課題があると理解をしております。
 ラグビーワールドカップで得られたさまざまな知見を来年の東京二〇二〇大会の成功へとつなげるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、オリンピック・パラリンピック教育の集大成として、観戦を希望する都内の全公立、私立学校、幼稚園、そして我が会派の求めを受け、保育園児等の未就学児に対しても、子供たちの大会観戦機会の確保を進めてまいりました。
 あわせて、私たちは、オリ・パラ教育の一環として、あらかじめ学校の授業等で観戦に行く競技の詳細を教えておくことに加えて、観戦チケットの手配のみならず、子供の年齢、車椅子対応、暑さ対策など、子供たちの個別の事情に十分配慮しながら、観戦の機会が子供たちにとってすばらしい記憶として残るよう、さまざまな対応を進めるべきと求めてまいりました。この関連施策が補正予算案に盛り込まれたことを高く評価いたします。
 オリ・パラ教育におけるこれまでの取り組みの成果を踏まえ、大会後もレガシーとして継続していくよう取り組みを進めるべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 また、ことしに入って行われた最終意向調査では、暑さや引率の困難さ等の理由から、小学校低学年において辞退する自治体が出てまいりました。
 遠方や低年齢といった理由のために観戦を諦めた子供たちも、会場での大会観戦にできるだけ近い体験ができるよう、区市町村が実施するコミュニティライブサイトや、パブリックビューイングにおける観戦機会の充実に向け、都として区市町村の支援に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 交通混雑緩和策について、都から示されましたロードプライシングの最終案では、物流関係や福祉関係の車両が対象外とされており、これは、大会の成功と都民生活の両立を求めてまいりました我が会派の主張を取り入れたものと評価をさせていただきます。
 ロードプライシングは都民生活に大きな影響を与えるものですが、東京二〇二〇大会を機に、スムーズビズが定着すれば、慢性的な都心の混雑を緩和するレガシーにもなり得るものであります。
 我が会派は、ロードプライシングや会場周辺の交通対策に関して、都民、事業者に対する積極的な情報提供と丁寧な説明を求めてまいりました。その観点から、補正予算に含まれているエリアごとの混雑情報のデジタル媒体を含めた発信、その後の中小企業の個別相談の取り組みを含めて、極めて重要と考えます。
 交通混雑緩和の一連の取り組みに関し、今後も、都民、事業者の求めや状況の変化に応じ、丁寧な対応を行うとともに、大会後のレガシーにもつなげるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 我が会派は、都の発注工事において、東京二〇二〇大会開催中の交通対策によって、工事の一時中止等を余儀なくされる場合には、事前にしっかりと広報、周知活動を行うとともに、費用負担を含む対応を求めてまいりました。
 今般、都庁発注工事の基本的な考え方が示され、工事発注の平準化、必要な経費の例を示しながらの工事調整等に関する経費、工期設定の考え方など、工事関係事業者の実情に配慮した対応方針が示されましたことを評価いたします。
 今後は、この基本的な考え方を原則としながら、工事関係事業者の声を聞きながら、工事の実態に即し、工事関係事業者へ十分配慮した工事の発注を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 建設労働者の賃金について、設計労務単価に比べ低い現場があるという声が、我が会派にも届いております。今後の公共工事の担い手を確保するためには、労働者の適切な賃金水準を確保されることが重要であります。
 これを実現するための方策として、公契約条例などもその一つの考えとして考えられ、適切な賃金水準の確保に向けた取り組みを強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派では、モビリティー政策研究会が中心となり、都内の河川や東京湾などで、船による現場視察や調査を幾度となく実施をしており、新たな交通手段や観光資源としての舟運の確立に向け、東京二〇二〇大会時にも活用すべきと提案をしてまいりました。
 本年六月に公表されました輸送運営計画V2(案)では、海の森水上競技場等について、舟運による観客輸送の検討が記載されており、大会時における既存交通機関の混雑緩和や効率的な輸送を考えた場合、交通結節点とつなぐことは重要と考えます。具体的には、JR浜松町駅、都営地下鉄大門駅やゆりかもめ日の出駅と近い、日の出桟橋を活用すべきであります。
 大会時の舟運の活用は大変重要な施策であり、大会時において、舟運による観客輸送を積極的に活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 若洲海浜公園の指定管理について伺います。
 本定例会では、同公園の指定管理者に関する議案が提出をされています。その対象として、ゴルフ場等のほか、あわせて隣接するヨット訓練所についても、指定管理者候補者が選定をされております。今回の選定では、東京二〇二〇大会の円滑な運営のため、現行の指定管理者の特命による延長は理解できます。しかし、指定管理者制度の目的は、民間のノウハウを生かして、よりよいサービスや管理手法を追求していくことであり、延長期間においては、今まで以上に都民向けサービスの向上や効率的な運営が必要であります。
 さらに、若洲海浜公園のゴルフ場とヨット訓練所は、求められるサービスと専門性が大きく異なっていることから、次期指定管理期間においては、ゴルフ場とヨット訓練所を分離して指定管理していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 先日、パラリンピックの聖火リレーのルートが発表されました。私たちはかねてより、パラリンピックの聖火リレーにおいて、多くの都民の参加を促すとともに、障害者も健常者もともに輝くダイバーシティー東京の姿を世界に示す絶好の機会だと考えております。
 その実現のためには、聖火が通過する自治体、通過しない自治体の双方ともに、聖火リレーを体感できる仕掛けが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 パラリンピックのマラソンの機運醸成について伺います。
 私たちは以前より、知事も常々おっしゃられているとおり、パラリンピックの成功こそが東京二〇二〇大会の成功と捉えて準備を進めてまいりました。
 先日、IOCの一方的決定により、オリンピックのマラソン、競歩の札幌開催が決定をされましたが、今回、東京の魅力を世界に発信する一大契機として、パラリンピックのマラソンを位置づけることが極めて重要です。
 パラリンピックのマラソンを東京の魅力、ダイバーシティー、インクルージョンを体現する都市東京を世界に発信する機会とする取り組みが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会が成功し、都民の祝福を得るためには、大会そのものの盛り上がりに加えて、しっかりとした経費管理や透明性の高い運営が必要であります。
 我が会派は、大会に都民の多額の税金が投入されている以上、組織委員会が責任を有する大会の準備と運営に対して、都民の利益に基づく民主的ガバナンスを強化する必要があると指摘をしてまいりました。この点の重要性は、今回のマラソン、競歩の札幌移転の件で、改めて確認されたといえます。
 都は組織委員会に対し、マラソン、競歩の件を含め、都への報告時期の妥当性や組織委員会内部での情報共有体制、適切な意思決定のあり方など、組織委員会の組織上、ガバナンス上の問題点に関し、改めて正式な報告を受けるべきであります。
 さらに、オリンピック・パラリンピック招致委員会については、先日、一部報道もありましたが、不透明な点もあり、特に文書管理に課題が多いといえます。組織委員会が、同じ轍を繰り返してはなりません。そのためには、大会が終了する前に、ルールをしっかりと定めておくことが重要です。そのことによって、大会の歴史的価値が維持をされ、大会に向けての道筋もわかり、国際的な大会開催の参考にも、後からの経費の検証に資することにもなります。
 そのためにはまず、現在の組織委員会の文書作成や保管のルールをしっかり定めるとともに、大会後の文書の承継する組織や仕組みについて、都がしっかりと関与し、組織委員会の解散前に定めていくことが必要不可欠であります。
 IOCとの関係や他の団体、関係する法令等との調整も不可欠でありますが、組織委員会の文書の保管や承継のルールづくりにおいて、都として積極的に働きかけていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 以上で都民ファーストの会東京都議団を代表しての代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小山くにひこ議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、女性活躍の推進についてのお尋ねがございました。
 東京が成長と成熟の両立をなし、都市としてさらなる進化を果たしていくためには、これまで以上に多くの女性が活躍できる環境を整えることが肝要であります。そうした確信のもとで、知事就任以来、約五千人減少いたしました待機児童への取り組みを初め、都として初となる女性活躍推進計画の策定、女性ベンチャーの成長促進、さまざまな分野で輝く女性の姿を発信する懇話会など、女性活躍の推進に向けて積極的に取り組んでまいりました。
 女性活躍を進める上では、お話のように、十月に逝去された名誉都民緒方貞子さん、八千草薫さんの多大なる功績を忘れてはいけません。
 緒方貞子さんは、女性初の国連難民高等弁務官を務められるなど、グローバルに活躍する日本人女性の先駆けでいらっしゃいました。常に理路整然、果敢な行動力と抜群の英語力、そして深い包容力をもって、みずからの使命を果たされた方であり、世界からこれほど信頼された日本人はおられないと私は思います。私も多くのことを学ばせていただきました。
 八千草薫さんは、舞台、映画、ドラマと幅広く活躍され、日本を代表する女優として多くの世代に親しまれました。ことしの五月まで公の場に姿を見せられるなど、生涯現役を貫かれた姿勢に、大きな感銘を受けたところであります。
 改めて、お二人に謹んで哀悼の意を表し、安らかな眠りにつかれますよう心よりお祈りを申し上げます。
 お二人が精力的に活躍された姿を胸に、引き続き、幅広い分野において女性の活躍を後押ししていく、その先に、女性が輝くことで男性も輝き、未来が輝く、そのようなダイバーシティー東京を築いていく決意でございます。
 また、グローバルに活躍された日本人として忘れてならないのが、長年、アフガニスタンの復興に携わってこられました医師中村哲さんでいらっしゃいます。中村医師は、アフガニスタンという危険な地で、弱い立場にある現地の人々に寄り添い、医療やかんがい事業などに力を尽くされました。国際社会におきまして、平和に向けた行動とはどういうものなのか、身をもって示された方であり、心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 補正予算についてのお尋ねでございます。
 本年九月から十月におけます台風被害につきましては、私自身も被災現場をこの目で確かめ、被災された方々の切実なお話を伺う中で、一日も早い復旧に向けた取り組みや緊急に進めるべき防災事業を時期を逸することなく講じていかなければならない、その思いを強くしたところであります。
 また、東京二〇二〇大会の成功に向けましては、これまで実施してまいりましたテストイベントなどにおきまして、浮かび上がってきた課題に的確に対応するため、さらなる暑さ対策や交通混雑緩和などの追加対策に取り組むことは重要であります。
 加えまして、地域における都民の安全・安心を確保するためには、町会や自治会などへの防犯カメラの設置支援を着実に進めていく必要がございます。
 こうした考えのもとで、台風被害の復旧、復興や今後の災害への備えを進めるとともに、東京二〇二〇大会の確実な成功、地域における安全・安心の確保などの課題に対応するため、補正予算を編成して、前倒しでの実施が必要な施策に速やかに着手することといたしました。
 今回編成いたしました補正予算をてこに、都民の生命と財産を守り抜くための都市力を強化するとともに、大会後のレガシーも見据え、大会成功に向けた準備の総仕上げにしっかりと取り組んでまいります。
 風水害対策の検証結果を踏まえました防災対策の強化についてのご質問であります。
 近年、地球温暖化によります気候変動の影響を受けまして、日本各地で大規模な風水害が毎年のように発生しております。
 昨年は、西日本で豪雨災害によります大きな被害が発生し、都におきましては、防災事業の緊急総点検を実施、これに基づき、マイタイムラインの普及拡大や新たな調節池の整備、土砂災害警戒区域の指定の加速化など、十二の項目について取り組んでまいりました。
 こうした中、ことしは強力な台風が東京を矢継ぎ早に襲い、さらに新たな課題が浮き彫りとなりました。
 そこで、全庁を挙げまして風水害対策の検証を行って、多くの区市町村が参加するリアリティーの高い図上訓練の実施、立川地域防災センターの機能強化と多摩方面を主に担任する危機管理副監の設置によります体制整備など、風水害への備えを一層強化するための三十五の対策を先月明らかにしたところであります。
 これらの対策につきましては、現在改定作業を行っております地域防災計画風水害編に反映させるとともに、具体的な事業として取りまとめをいたしまして、区市町村等との調整などを行った上で、可能な限り早期に実施を図ってまいります。
 備えよ常にの精神で、一層の防災事業のグレードアップを行いまして、セーフシティー東京の実現に全力で取り組んでまいります。
 都民の防災意識の向上についてのお尋ねでございます。
 発災時に被害を軽減するためには、都民一人一人が自分や家族の命を守るとともに、地域住民による共助の取り組みが欠かせません。
 そこで、都は「東京防災」や「東京くらし防災」を活用したセミナーなどを開催し、さまざまな普及啓発活動を行っております。
 このうち、今年度から開始いたしましたパパママ東京ぼうさい出前教室では、子供と一緒に学べることやグループの日ごろの活動場所で実施するなど、子育て世代が参加しやすい工夫を行ったところ、三十グループの募集に対しまして七十グループの応募がございました。このため、応募した全てのグループが参加できますよう、急遽実施枠を拡大して対応したところでございます。
 また、マンションの管理組合や町会、商店街などを対象といたしました東京防災学習セミナーにつきましても、マンション防災や避難生活、地域防災コンサルティングなど十種類のコースからテーマを自由に選択できることが注目され、募集枠を超える多数の応募がございました。
 このため、来年度は、より多くの方に参加していただけますように、これら二つの事業について、募集規模の大幅な拡大を検討してまいります。
 都民ニーズにきめ細かく対応いたしました普及啓発に向けた創意工夫を行いまして、都民の防災意識の向上を図るとともに、地域の防災力を強化してまいります。
 都立一時滞在施設の避難先としての活用についてのお尋ねでございます。
 今回の台風十九号では、都内全域で約十八万六千人の方々が避難を行われ、一部の地域におきましては、区市町村の想定を超える避難者があり、避難先が不足する状況が生じました。
 そのため、都は、地元自治体の求めに応じまして、都立高校や東京武道館などの都立一時滞在施設を風水害時の避難先として開放いたしまして、避難される方々を受け入れたところでございます。
 都立一時滞在施設は、震災時に行き場のない帰宅困難者を滞在させる場所として、三日間程度の滞在が可能となっております。このため、今回の教訓を踏まえて、浸水などのおそれがない場所に立地する都立一時滞在施設をあらかじめ避難先として位置づけまして、活用を図ってまいります。
 今後は、改めまして都立施設の精査を行って、一時滞在施設への新たな指定を進めるとともに、既存施設の避難先としての活用に向けまして、地元自治体と協議の上で、順次協定を締結し、発災時におけます避難先の拡大を進めてまいります。
 無電柱化の推進についてのご質問がございました。
 東京の防災力を高めて、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現していくために、無電柱化は重要でございます。
 私は、平成七年の阪神・淡路大震災で、倒壊した電柱が避難や救助の妨げになったことをみずから経験をし、防災の観点から無電柱化の必要性をこれまでも強く訴えてまいりました。知事に就任してからは、都道府県では初めてとなります無電柱化推進条例を制定、都道全線において電柱新設を禁止いたしましたほか、区市町村の取り組みの支援やコスト縮減のための技術開発の促進など、スピード感を持って対策を進めてまいりました。
 先般の台風第十五号では、記録的な暴風による倒木や電柱倒壊で、伊豆諸島や千葉県などで大規模な停電が長期間発生をし、日常生活に支障を来しました。
 私自身、被災地を視察いたしまして、頻発する自然災害から都民の命、そして暮らしを守るため、島しょ地域を含めまして、都内全域で無電柱化の取り組みを加速していくことが重要だと改めて痛感したところでございます。
 島しょ地域におきましては、これまで整備手法の検討や調査を進めてきたことに加えまして、今回の被害を踏まえ、島しょ地域の調査エリアを拡大するとともに、甚大な被害を受けた大島海洋国際高校付近におきまして、早期の工事着手に向けて取り組んでいるところでございます。
 引き続きまして、電線管理者と連携をいたしまして、地上機器や特殊部のコンパクト化、低コスト化等の技術開発に取り組むなど、さらなるコストの縮減、工期短縮を図ることで、都内全域の無電柱化を全力で推進をしてまいります。
 災害時のホームページによる情報提供体制の強化についてのご質問でございます。
 災害時の情報提供手段の一つとして、自治体のホームページは住民にとって不可欠なものであり、安定的に災害情報を提供できる体制は重要でございます。
 お話のとおり、台風十九号通過時におきましては、幾つかの区市町村のホームページにおきまして、閲覧に時間がかかる、もしくは閲覧ができないというような事象が発生をしたところでございます。
 そこで、早急に対応を図ることといたしまして、こうした事柄も含めて、台風第十五号及び第十九号等に伴います防災対策を検証するように指示をいたしまして、先月その検証結果を公表したところでございます。
 その中で、ダウンしないホームページの構築を掲げまして、都といたしまして、アクセス集中時の改善ガイドライン等を作成し、区市町村に提供することといたしました。
 現在、各自治体のシステム構成や導入している対策及び当日の対応につきましては詳細な調査を行っておりまして、その結果をもとに、アクセス集中対策としてのCDNの活用や災害時の発信コンテンツの軽量化などの実効性のある対応策を検討いたしまして、ガイドラインに盛り込んでまいります。
 ガイドラインの作成に当たりましては、今月中にその骨子をお示しをし、区市町村と意見交換を行った上で、二月には提供してまいりたいと考えております。
 今後、アクセス集中時にもダウンしないホームページの構築など、区市町村とより一層連携いたしまして、災害時の情報発信体制を強化して、災害に強い、誰もが安心して暮らせるセーフシティーの実現に向けて取り組みを進めてまいります。
 鉄道の計画運休時のあり方についてでございます。
 都は、台風第十九号が首都圏に接近した際には、計画運休に関する情報を鉄道事業者から速やかに入手しまして、防災ホームページやツイッターを用いまして都民に対して情報発信を行いました。また、記者会見を通じまして、私から直接、都民や企業の皆様に向けまして早期の帰宅や出勤抑制などを呼びかけるメッセージの発信も行いました。
 今後も、台風が首都圏に接近する場合は、鉄道事業者によります計画運休の実施が見込まれますことから、テレワークを活用する業務の拡大や運休を想定したBCPの策定など、災害発生を見込みました対応をより一層進めていくことが重要でございます。
 そのため、計画運休時の出勤のあり方につきましては、経営者団体、労働者団体と連携をいたしまして、実務者会議を今月中に立ち上げまして、新たなルール化に関する検討を開始いたします。来年度の出水期を目途に、一定の取りまとめを行って、計画運休時の混乱防止を図ることで、都民の安全確保の実現に取り組んでまいります。
 長期戦略についてのお尋ねでございます。
 第四次産業革命など、デジタル化の新潮流がすさまじい速さで世界を変えていく中、残念ながら我が国は、競争力や生産性の国際比較で、ずるずると後退をしつつあります。こうした状況に強い危機感を持ちまして、激化する都市間競争を勝ち抜くための羅針盤となりますのがこの長期戦略でございます。
 変化の激しい時代におきまして、従来の延長線上の発想では、明るい未来は望めません。変化を先読みし、未来への投資を果敢に推し進めていく必要がございます。
 先日ご提言をいただきました未来の東京の人と都市に関する提言では、都民の多様な生き方を実現して、それを都市としての包摂的な成長につなげる考え方や都市のデジタル化、自然との融合といった目指す姿が示されております。それは、私が掲げる三つのシティーがさらに進化をして、成長と成熟が両立した新たな都市像に通ずるものでございます。
 この都市像の実現に向けまして、誰もが自分らしく生き生きと活躍できる環境の整備やAIやIoTなど、デジタル技術を最大限に活用しまして、超スマート社会の実現に向けた取り組みを果敢に進めていく。また、可能な限り客観的なデータなどに基づいて、常に政策を検証して、新たな展開を図っていくとともに、効果的な政策遂行に必要な関係法令の改正や規制緩和などを国に求めてまいります。
 まず、年内に策定いたします長期戦略ビジョンでは、こうした目指すべき将来の姿やその実現に向けました政策の柱をお示ししてまいります。その上で、東京二〇二〇大会のレガシーを反映するとともに、都民の皆様や有識者など、さまざまな方からさらにご意見を伺いまして、多様性や包摂性に富みました明るい未来を切り開く長期戦略を策定いたしてまいります。
 次に、都市外交基本戦略の見直しについてでございます。
 東京の国際競争力を高め、成長を続けていくためには、都みずからが激動する世界の潮流を捉え、世界基準のベストプラクティスを学び、新たな発想を施策に取り入れることは必要でございます。
 また、SDGsなどの世界共通の目標達成や環境問題、防災などの大都市共通の課題解決に向けまして、大気汚染対策、自然災害への対応といった都が擁します先進的な施策やノウハウを世界の都市に提供して貢献していくことも求められております。
 これまでも、昨年十月のロンドン出張におきましては、私みずから参加いたしまして、国際金融都市東京の実現に向けまして、官民一体となった金融プロモーション活動を実施したところであります。また、ことし五月に都が主催をいたしました都市の防災フォーラムTokyoにおきましては、東京の防災の取り組みを紹介するとともに、参加都市間での相互支援について合意、国境を越えた連携を財産とすることができました。さらに、ことし八月の北京出張につきましては、中関村や雄安新区におけますイノベーションの創出や先端技術の活用のための取り組みを視察いたしまして、その成果を今後の都の政策に役立ててまいります。
 このように、海外の先進事例を学び、都民生活の向上につなげていくとともに、東京の多様な魅力や先進的な取り組みを世界に発信して、プレゼンスを一層高めてまいります。
 こうした考えに立ちまして、現行の東京都都市外交基本戦略の成果を検証して、都の国際的な活動をソフト、ハード両面にわたるさまざまな分野で戦略的、効果的に展開するために、来年度策定予定の長期戦略を踏まえまして、新たな指針を策定してまいります。
 次に、ソーシャルファームについてのご質問でございます。
 ソーシャルファームは就労に困難を抱える方に働く場を提供する役割を担いながら、自律的な経済活動を行う社会的企業を指します。
 日本では新しい枠組みでありますソーシャルファームを東京に誕生させ根づかせていく、そのためにはソーシャルファームの創設や活動への支援とともに、人材の育成や社会的機運の醸成などを一体的に進めていく必要がございます。
 まず、ソーシャルファームの創設や活動に向けましては、立ち上げ時におけます財政支援に加えまして、経営などの相談にワンストップで対応する支援拠点の設置、都が発注する契約における優先的取り扱いについて検討いたします。
 人材面におきましては、ソーシャルファームの担い手となる社会的起業家の育成に取り組むほか、機運の醸成に向けまして、イベントの開催やメディアを活用した広報など、都民への普及啓発を進めてまいります。
 あわせまして、お話のPDCAサイクルによりまして、こうした支援事業のブラッシュアップも進めてまいります。
 これらの取り組みによりまして、ソーシャルファームの創設を促進し、誰もが生き生きと働き活躍できるダイバーシティーの実現につなげてまいります。
 長期戦略ビジョンにおけます子育て政策についてでございます。
 東京が持続的な発展を続けていくために、未来を担う子供への投資に本気で取り組むことが、今、我々に課せられた大きな使命でございます。私は、こうした強い決意を持ちまして、人口置換水準であります二・〇七を将来に向けて目指す姿と掲げております。
 子供は未来を担う社会の宝であり、その宝を大切に育てていくという意識を社会全体で共有していくことが何より重要でございます。
 子供の笑顔は家族を笑顔にし、周りの人々をも笑顔にする力がある。まず子供自身が笑顔になれるような環境をつくっていくため、子供の目線に立って、まちづくりやさまざまな子育て政策を進めていく視点が求められております。
 また、子育て世帯が、孤独や不安を感じることなく育児ができるよう、区市町村とも連携いたしまして、行政サービスや地域のサポートの充実を図るなど、子育て世帯の負担を徹底的に取り除くことで、安心して子供を産み育てられる環境を整えていく必要がございます。
 年末に策定いたします長期戦略ビジョンにおきましては、みんなで子育てを応援していくという社会全体のマインドチェンジを促して、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会の実現に向けました大きな方向性を打ち出してまいります。
 ゆりかご・とうきょう事業についてのご質問でございます。
 私は、この東京を子供を産み育てたいという人があふれるまちにしたいと考えております。そのため、知事就任以来、保育サービスの拡充や児童虐待の防止など、子供と子育て家庭を支援するさまざまな施策を展開してきたところであります。
 安心して子供を産み育てられる環境を整備するためには、お話のように、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行うことが重要であります。
 こうしたことから、都は、ゆりかご・とうきょう事業を通じまして区市町村を支援しておりまして、その取り組みは、当初の十三区市町村から今年度は四十六まで広がりまして、産後ケアを実施する自治体も大幅にふえております。
 子育て家庭では、不安や悩みを抱えながら日々懸命に育児をされておられる。今後、各家庭のさまざまな状況にもしっかりと対応しながら、妊娠から出産、子育て期にかけました切れ目のない支援をさらに充実しまして、区市町村と連携し、子育て家庭を全力で応援してまいります。
 産後支援についてでございます。
 出産は女性にとって非常に大きな出来事であり、その直後は心身や環境の大きな変化に不安を覚える方も多く、場合によっては産後鬱に陥ってしまうこともあると聞きます。
 また、地域のつながりが薄れ、核家族が多い現代社会では、さまざまな要因から身近に頼ることができる人がいない、そのため、今後の育児や家事、仕事などに関する不安を相談できずに、悩みを抱え込んで孤独を感じている方もいらっしゃいます。
 そうした方々に対しましては、心身のケアや育児のサポート、家事支援など、産後の生活全般にわたった支援をトータルに行うことが重要であります。また、こうした取り組みは、支援の必要な家庭を把握しまして、必要なサービスにつなげる機会ともなります。
 都といたしましては、出産後に家族などから十分な支援、十分な援助を受けることができない場合でも、安心して子育てができるように産後の支援体制の整備を進めてまいります。
 多胎児、多子世帯への支援についてでございます。
 多胎児の家庭では、同時に二人以上の妊娠、出産、育児をすることに伴う負担が大きい。
 また、既に小さいお子さんがいらっしゃる多子世帯についても、育児負担もさることながら、乳児にかかり切りになって、上のお子さんの世話を十分にできなくなるなど、特有の悩みがあることと存じます。
 一人目の出産や育児の負担が大きかったがために、理想とする子供数を持つことは諦めたという声も聞きます。また、夫婦が理想とする子供の数に、実際に持つつもりの子供の数が届いていないという現実もございます。
 こうした現実を受けとめて、先ほど申し上げましたように、ゆりかご・とうきょう事業の一層の充実を図って、さまざまな子育て家庭をしっかりと支えてまいります。
 次に、専門高校におけます人材育成についてのご質問であります。
 グローバル化の進展など、社会や経済の大きな変化に伴って、専門高校には地域産業を担う人材の育成とともに、専門的職業人として将来にわたって活躍できる人材の育成が求められております。
 私はこれまで、何度か農業高校も訪問いたしまして、食に関する特色ある実践や研究を視察してまいりました。
 本年一月には、第一回の東京都GAP認証証書授与式におきまして、農業高校の代表生徒に対して直接、証書を授与いたしまして、将来の東京の農業を支える生徒たちの姿には頼もしさを感じたところであります。
 また、工業高校におきましては、ソサエティー五・〇の到来を見据えまして、民間企業や専門学校との連携によってIT人材の育成に取り組んでいる。さらに、将来の工業高校の姿について幅広い見地から検討を行うため、教育委員会におきましては、大学や企業関係者などから成る有識者会議を立ち上げたところでございます。
 社会の変化がさらに激しさを増す中、教育委員会と力を合わせまして、農業や工業、商業を初めとした専門高校で、その魅力をさらに高めるとともに、都民や産業界のニーズに呼応しまして、先端的なものづくりで社会的課題を解決する人材の育成を目指してまいります。
 若い世代が芸術文化に触れる機会をふやすための取り組みについてでございます。
 若い世代がさまざまな芸術文化を体感し、そのすばらしさに触れる、そのことは自国の文化はもとより、多様な文化の価値を理解するとともに、豊かな感性や創造力を育むことにつながって、心豊かな人生の支えとなるものでございます。
 都立の文化施設では、これまで小学生や中学生の常設展の観覧料を無料とするほか、芸術家を学校などに派遣しましてコンサートやワークショップを実施するなど、児童生徒向けのプログラムに取り組んでまいりました。
 今後は、若い世代が興味を持って美術館、博物館に足を運びたくなるような魅力的な企画、イベントを展開してまいります。
 あわせまして、春休み期間には、高校生など十八歳以下の方まで常設展、企画展ともに無料で観覧できるようにするなどの取り組みを拡充してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、これからの東京を担う若い世代が芸術文化に気楽に触れる機会を拡大して、東京の芸術文化を支える裾野を広げてまいります。
 受動喫煙防止対策につきましてであります。
 来年四月の受動喫煙防止条例の全面施行まで残すところ三カ月余り。この条例を実効性あるものとするためには、都民、事業者の皆様の一層のご理解、ご協力が不可欠でございます。
 さらに、実務を担っていただく保健所設置区市を初めとする区市町村の取り組みも重要であります。
 このため、都は、事業者への指導方法などの業務手順などについて保健所設置区市と協議を重ねております。
 区市町村では、公衆喫煙所の整備や専用の相談窓口の設置、事業者への専門アドバイザーの派遣、公衆喫煙所マップの作成など、地域の実情に応じた取り組みが進められておりまして、都はこれらを支援しているところであります。
 また、都民の意識や飲食店の取り組み状況を把握するため、現在、実態調査を行っております。
 こうした結果も踏まえまして、都民、事業者へのさらなる周知徹底を図るため、区市町村と連携協力しながら街頭でのPRキャンペーン、飲食店への個別周知を実施するなど、条例の全面施行に向けまして受動喫煙防止対策を強力に推進してまいります。
 都立、公社病院の地方独立行政法人化についてのご質問でございます。
 都民が生き生きと暮らすために医療は不可欠であり、都立、公社病院はそのための重要な役割を担っております。
 特に、災害医療や救急医療など、民間医療機関だけでは対応困難な行政的医療を提供することは、都民の安心を医療で支える都立、公社病院の使命であります。
 二〇四〇年代に向けまして、医療が取り巻く環境がますます厳しくなっていくことは想定されます。そうした中で都立、公社病院は、行政的医療を将来にわたり確実に提供するとともに、民間医療機関との連携のもとで地域医療の充実に貢献していくことによりまして、都民の生命と健康を守り続けていかなければなりません。
 このため、さまざまな環境の変化に対応することが可能となって、医療人材の確保などの面におきまして、柔軟で機動的な運営ができる地方独立行政法人へ都立、公社病院を一体的に移行することが東京の医療の一層の充実に最善と判断をいたしまして、そのための準備を開始いたしました。
 病院事業は、医師や看護師など多様な医療人材に支えられております。今後、地方独立行政法人化に当たりましては、職員の声を十分聞くとともに、都民や地域の医療機関、医師会といった方々への理解も得ながら着実に準備を進めてまいります。そのために、まずは新たな病院の改革のビジョンを年末までにお示しする考えであります。
 次に、気候変動対策であります。
 都はこれまでも、気候変動対策の重要性を早くから認識をいたしまして、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度などを展開いたしております。
 近年、巨大な台風や山火事が世界各地を襲いまして、日本でも経験したことのない豪雨による土砂災害や先般の台風でも甚大な被害が発生するなど、自然災害による脅威が高まっております。気候変動の影響は、今や遠い世界、将来のものではございません。既に私たちの身近な生活に及んでいるところであります。
 加えまして、昨年のIPCC特別報告書におきましては、気温上昇をよりリスクの低い一・五度C未満に抑えるためには、二〇五〇年ごろにCO2排出量を実質ゼロにする必要が示されました。気候変動の影響の甚大さと対策の緊急性が改めて浮き彫りとなった今、世界はかつてない変革が求められるパラダイムシフトを迎えております。
 本年五月のU20メイヤーズ・サミットにおきまして、都は、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を宣言いたしております。
 今月末には、ゼロエミッション東京戦略を取りまとめまして、この中で気候変動の危機的な状況についての認識とあわせまして、気候変動の危機に立ち向かうための具体的な取り組みとロードマップを明らかにしてまいります。
 今後、この戦略の策定を契機といたしまして、都民や事業者の皆様に気候変動の危機的な状況等を訴えていくとともに、理解を得まして、実効性のある対策を進めてまいります。
 中央卸売市場についてのご質問であります。
 少子高齢化の進展等を背景に、物流や商取引の多様化が加速度的に進んでいる今日、卸売市場もまた大きな変革を求められております。
 都の中央卸売市場は、都民の多様で豊かな消費生活を支える重要な役割を担っており、こうした環境の変化に的確に対応できる新たな市場をつくり上げていくことが開設者である私の責務であります。
 このため、今回の条例改正におきましては、公正な取引や食の安全・安心を確保する一方で、多くの市場業者、産地や実需者がより活発に取引を行えますよう規制を緩和することといたしております。
 あわせまして、海外輸出や国内での販路の拡大、ICTを活用した業務改革を初め、さまざまな事業展開を図ろうとする市場業者に対しまして、その意欲的な取り組みを力強く後押しをして、市場の活性化を図ってまいります。
 さらに、将来にわたって産地や実需者に支持される持続可能な市場の実現に向けまして、従来の既成概念にとらわれない斬新なアイデア、自由なご意見を有識者の方々からいただきながら、長期的視点に立ちまして実効性のある計画を策定してまいります。
 市場のあす、あさって、その先を見据えまして、豊かな東京の食文化を支え、都民に信頼される活気あふれた中央卸売市場を実現してまいります。
 マラソン、競歩の札幌移転についてのご質問でございます。
 都はこれまで、一貫して東京での開催が最善であると主張してまいりました。IOCによる移転の決定は、これまでさまざまな準備に尽力をしてこられました沿道の自治会や商店街等の皆様、観戦を楽しみにしてきた都民の皆様の思いに鑑みますと非常に残念でならず、合意なき決定と申し上げたところでございます。
 しかし、大会を成功させたいという思いにいささかの変わりはございません。
 大会開催まであと八ケ月を切る中で、都といたしましては、引き続き前を向いて、皆様とともに大会準備や機運醸成に全力で取り組んでまいります。
 そして、組織委員会や国、IOCやIPCを初めといたします関係団体と一丸となって大会を成功に導いてまいります。
 建設労働者の適切な処遇の確保についてのお尋ねでございます。
 担い手不足が顕著な建設業界におきまして、新規入職者をふやし、健全な発展を促すためには、そこで働く労働者の適切な処遇の確保は重要であると認識をいたしております。
 公契約条例は、一般的に自治体が発注する案件におきまして、相当程度以上の賃金を労働者に支払うよう事業者に義務づけるものでございますが、賃金は、労働関係法令の下支えのもと、労働者個人の経験、能力などを踏まえました対等な労使での協議によることが前提と考えております。
 一方、適切な賃金水準の確保に向けましては、発注者が適正な予定価格を設定することはもとより、建設現場での適正な下請契約が不可欠でございます。
 そのため、都はこれまでも、元請企業に対しまして、下請契約の適正化を要請しております。
 今後は、さらにそのフォローアップ調査を行いまして、適正な下請代金の支払いなど実態の把握に努めることによりまして実効性を高めてまいります。
 パラリンピックマラソンについてでございます。
 パラリンピックマラソンは、東京二〇二〇大会全体の最終日を飾ります非常に重要で注目を集める種目でございます。
 新しい国立競技場を発着地といたしまして、浅草雷門、日本橋、銀座、東京タワー、皇居外苑などをめぐる日本の文化と歴史を象徴するコースでありまして、東京の魅力を世界に発信する絶好の機会でもございます。
 車椅子レースの迫力あるスピードと駆け引き、視覚に障害のあるランナーがガイドランナーと息を合わせて疾走する姿、そして上肢の切断など腕に障害のある選手が東京のまちを駆け抜ける白熱のレースなど、見どころや魅力がたっぷり詰まった競技であり、私自身、観戦、非常に楽しみにしております。沿道からも熱い声援をたくさん送っていただきたいと思います。
 パラリンピックマラソンの魅力を一層広く伝えていくために、「広報東京都」でコースの周知をするほか、リーフレットを新たに作成いたしまして、コースのポイントや見どころをわかりやすく案内し、区市町村とも連携してPRを推進してまいります。
 また、観戦、応援イベントで、アスリートによりますマラソンに関するトークショーを実施するほか、NO LIMITS SPECIALを初めとする機運醸成のイベントなどでも積極的に取り上げて紹介していくとともに、さらなる取り組みについても検討してまいります。
 加えまして、マラソンのパラリンピアンを初め、各界で活躍されておられるパラ応援大使の方々にも、それぞれの発信力を生かして、私とともに大いに盛り上げていただきます。
 東京二〇二〇大会の最終日に行われますパラリンピックマラソンを都民とともに盛り上げまして、障害の有無や性別、国籍などにかかわらず、東京に集う全ての人が一つになってアスリートを応援している成熟都市東京の姿を世界へ発信してまいりたいと考えております。
 東京二〇二〇大会後の組織委員会におけます文書の保管、承継についてのご質問がございました。
 組織委員会が大会準備のため作成した文書等につきましては、IOCとの開催都市契約に基づきます保存管理のルールや、関係法に基づく保管義務などがございます。
 都といたしましても、東京二〇二〇大会の成功とともに、その成果を後世に引き継いで、レガシーを将来にわたって残していくことは極めて重要なことと認識をいたしております。
 そのため、これまでも組織委員会には、大会後を見据えた文書の適切な保存管理について働きかけてまいりました。その上で、現在、組織委員会では大会前から、大会後の組織委員会の解散を見据えまして、取り組むべき手続を定める指針を作成しており、その中で、文書等の資産について、都における公文書管理のあり方も参考に、解散後に適切に保存管理できるように検討しています。
 開催都市であります都といたしましては、こうした取り組みに対しまして、大会後においても、組織委員会の文書を初めとした活動記録などの重要な資産が適切に保存管理され、貴重なレガシーとなりますよう、今後ともルールのあり方などにつきましても積極的に関与して、その責任を果たしてまいる所存でございます。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) ソサエティー五・〇を担う都庁内外の人材不足に対する認識についてでございますが、私は、二十一世紀においては、デジタルテクノロジーの力こそがソサエティー五・〇の社会を実現し、人々を幸せにすると確信しております。こうしたデジタルトランスフォーメーションを進めていく上での一番の問題、それは人材です。
 まずは、都庁でデジタルに詳しい人を質的、量的にふやすことが肝心です。
 この間、専門職であるICT職種が設置され、新卒採用やキャリア活用採用が打ち出されました。これは都庁に専門性のあるICT人材チームをつくる大きな一歩であります。すばらしいICTチームをつくろうという取り組みは、都庁の長い歴史の中でも初めてのことで、後世のレガシーになり得ると考えております。
 もとより、世界の主要都市のICT人材は、多くが千人規模、それも専門職で固めた陣容であります。
 東京でICT人材が大幅に不足している現状には、率直に申し上げて危機感を持っております。
 このため、未来を担う若い世代に対して、情報技術やデータを正しく利活用できる能力を育むリテラシー教育を行う必要があります。
 また、社会人の方へは、ICTに関する基礎的な力を向上させるリカレント教育、さらに国内外の優秀な人材の発掘といった取り組みを進めることが不可欠であります。
 こうした取り組みを通じて、都におきましては、さまざまなICT人材を多く確保することにより、激化する都市間競争の中、テクノロジーの力で課題を解決し、都民一人一人が豊かさを享受できる、そんな社会の実現に向けて取り組んでまいります。
 私は、この課題の解決に向けて、スピード感を持って全庁をサポートし、全組織にデジタルテクノロジーの横串を刺す取り組みに少しでも貢献したいと思っております。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立学校の通信環境についてでございますが、都教育委員会は、校内の無線LAN環境等を整備し、生徒一人一人が所有するスマートフォン等の端末を活用するBYOD研究校の取り組みを行っております。
 研究校では、教員がクラウドを通じて生徒の回答を瞬時に集計し、課題を早期に発見して指導に生かし、また、生徒は自宅でクラウド上の教材を予習し、授業では予習をもとに協働して課題に取り組んでおります。
 こうした取り組みにより、個々の生徒の習熟状況に応じた学習や双方向型の学習を行い、知識習得型から価値創造課題解決型へ学びの転換を進めてきたところでございます。
 今後、都教育委員会は、校内で同時に多数の生徒がインターネットに接続できるよう、全都立学校、全教室への無線LAN環境の計画的な整備を検討してまいります。
 次に、今後の学力向上施策についてでございますが、都教育委員会は、これまで都独自の学力調査等により子供たちの学習の定着状況を把握し、東京ベーシック・ドリルの開発や少人数、習熟度別指導の推進などを通して、区市町村教育委員会と連携を図りながら、一人一人の課題や習熟度に応じたきめ細かな指導を実施し、確かな学力の定着を図ってまいりました。
 教育には、いつの時代にあっても、社会や世界の動きを見通し、次代を支えるために必要な力を子供たちに育んでいくことが求められております。
 今後は、各学校が未来を担う子供たちに、未知の状況にも対応できる思考力や判断力などを育成することができるよう、子供たちの学ぶ意欲や学び方に焦点を当てた学力向上施策について検討してまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会後のレガシーについてでございますが、東京二〇二〇大会を通した子供たちの体験が一人一人の心にかけがえのない記憶として刻まれ、さまざまな実践の中で生かされていくようにしていくことが重要でございます。
 これまで学校では、パラスポーツについての学習や競技観戦を通じ、多様性を尊重する態度の育成を図ってまいりました。また、国際大会のボランティア等の経験を通して、社会に貢献しようとする意欲等を醸成してきたところでございます。
 今後、競技観戦に係る事前学習の促進や、シティキャストとともに活動する中高生ボランティア体験の機会の提供などにより、子供たちが学んだことをみずから実感し、人への思いやりや努力の大切さなどに気づく感動体験を積み重ね、将来、人生の糧となる心のレガシーを育むことができるよう、取り組みを一層推進してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、電柱が新設されない取り組みについてでございます。
 大規模災害の際に、電柱の倒壊による道路の閉塞や長期間の停電などから都民を守るためには、無電柱化の取り組みを一層推進していく必要がございます。
 土地区画整理事業などのまちづくりにおいては、まち全体の無電柱化を道路整備に合わせて低コストで効率的に進めることができます。
 このため、土地区画整理事業において、平成三十年度から無電柱化の補助対象を区域内全ての道路に拡充するとともに、民間の開発行為においても、まずは年明けに技術的指針を取りまとめ、開発事業者等の意識啓発を図るなど、電柱が新設されない取り組みを推進いたします。
 今後も、まちづくりにおいて災害から都民の生命と生活を守る無電柱化の取り組みを積極的に進めてまいります。
 次に、駐車場条例の見直しについてでございます。
 昭和三十三年の条例制定以降、社会経済情勢の変化を踏まえ、自動車保有台数の増加などによる駐車需要の変動に応じ、附置義務基準の見直しを数回にわたり行ってまいりました。
 平成十四年からは、一律の附置義務基準によらず、一定の区域を対象に、地域の特性に応じた駐車場整備を可能とする地域ルール制度も導入しております。
 社会の成熟化が進展する中で、近年の情報通信技術の高度化やニーズの多様化などに伴い、輸送の小口化、多頻度化、カーシェアリング市場の拡大なども見られます。また、より地域の実情に即した駐車場整備への対応もさらに求められております。
 こうした状況も踏まえて、駐車場条例の見直しについて検討を行ってまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、島しょ地域の災害対応力の強化についてでございますが、島しょ地域は、本土から離れているという地域特有の災害リスクがあり、その特性を踏まえた対策を講じることは重要でございます。
 このため、被災情報の面的な把握や、立入困難地区の情報収集等を速やかに行うため、今年度末までにカメラつきドローンを有人島全てに配備するとともに、操作技能を有する職員の養成を進めてまいります。
 また、被災者に対して速やかに必要な物資を提供するため、養生シートや土のう袋等を島内にあらかじめ備蓄するとともに、東京消防庁等の関係機関と連携し、迅速な搬送体制の確保を進めてまいります。
 さらに、大型台風接近時におけるリエゾン派遣のルール化など、島しょ地域へのきめ細かな支援に引き続き取り組んでまいります。
 次に、訪都外国人への防災情報の提供についてでございますが、大規模災害の発生に備え、訪都外国人の安全・安心を確保することは重要でございます。
 そのため、防災ホームページでは、災害時の避難先などが記載された防災マップを英中韓三カ国語で表記するとともに、災害時には必要な情報を八カ国語で防災ツイッターでも発信を行うこととしております。
 また、防災アプリでは、国の訪都外国人向けアプリとリンクを張るなど利便性を高めるとともに、羽田空港を初め都内五カ所の観光情報センターでチラシによる周知を行っております。
 今後、東京二〇二〇大会で都を訪れる外国人を対象といたしまして、防災アプリのダウンロードを促す効果的なPRを新たに検討するなど、さまざまな方策を用いてわかりやすく訪都外国人への防災情報の提供の強化に努めてまいります。
 最後に、犯罪被害者等支援策の充実強化についてでございますが、都はこれまでも、三期にわたる支援計画に基づき、東京都総合相談窓口の機能強化や、性犯罪被害者等のためのワンストップ支援事業を初め、犯罪被害者及びそのご家族に寄り添った支援に幅広く取り組んでまいりました。
 一方、被害者のご遺族も委員として参加している有識者懇談会や、今回の条例制定に向けて実施したパブリックコメント等においては、条例に関するご意見に加えまして、弁護士会等と連携した無料の法律相談や、専門家によるカウンセリングなど性犯罪被害者への精神的ケアの実施など、支援策のさらなる充実についての要望も寄せられたところでございます。
 これらの要望も踏まえ、今後、犯罪被害者等支援策の充実強化に向けまして、支援策の内容や実施時期について、具体的に検討を進めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、多摩地域を流れる河川の強化についてでございますが、台風第十九号で被災した多摩の河川につきましては、各河川の特性を踏まえ、再度の災害の防止に向け、流下能力の向上を図っていくことが重要でございます。
 谷地川や奈良橋川などにおきまして、河道断面を広げる護岸整備を着実に推進するとともに、台風第十九号の被害を受け、多摩の河川の特性を踏まえて狭あい箇所などについて詳細な調査を実施し、局所改良によりボトルネックを解消してまいります。
 さらに、近年の浸水被害の発生状況等を踏まえ、時間最大六十五ミリの降雨に対応した対策を優先的に実施をする対策強化流域の拡大に向けた検討を実施いたします。
 水害から都民の命と暮らしを守るため、多摩地域の河川の豪雨への対応力を強化してまいります。
 次に、調節池の整備についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備とあわせて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。現在七カ所で事業を実施しており、野川大沢調節池では、本体掘削を今月中に完了させるなど、着実に進めております。
 さらに、昨年実施いたしました防災事業の緊急総点検を受け、神田川など八河川において、新たな調節池の事業化に向けた検討を進めております。現在、調節池の候補地となる場所や構造形式の選定を行っており、来年度事業化予定の石神井川などでは、計画の具体化に向け、今後、地元自治体など関係機関との協議等をさらに進めてまいります。
 水害に強いセーフシティーの実現に向け、調節池等の河川施設整備を一層推進してまいります。
 最後に、区市町村のインクルーシブ公園整備への支援についてでございますが、障害の有無や年齢、性別、国籍にかかわらず、全ての方々が楽しむことができる公園づくりの取り組みを広げていくことは重要でございます。
 都立公園におきましては、平成三十年度に、砧公園と府中の森公園をモデルとして、調査設計を実施いたしました。現在、砧公園では整備に着手をし、今年度中の完成を目指すとともに、府中の森公園では土壌調査を行っております。
 区市町村立公園に取り組みを広げていくため、本年十月に職員向けの研修を実施し、都のノウハウを共有いたしました。
 今後は、都立公園での整備を進めるとともに、区市町村と連携を図りながら、さまざまな要望や意見を踏まえ、積極的な支援に取り組んでまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) TOKYO Data Highway、いわゆるTDHサミットにおける共用アンテナ活用の検討についてでございますが、5Gは、使用する電波の特性から、今までの4GあるいはLTEよりも多くのアンテナ基地局が必要でございます。
 こうした多くのアンテナ基地局を効率的に設置するためには、ご指摘のアンテナの共用化、これは一つの有効な方策でございまして、TDH基本戦略でもそのイメージを示しているところでございます。
 既に、4G、LTEでは、地下街、あるいは地下鉄、あるいは屋内共用アンテナなど実用化されておりまして、5Gにおきましても、通信事業者において可能な限りアンテナ基地局を共用化していくことが望ましいと考えております。
 先般、都と通信キャリア等のトップが一堂に会し、サミットを開催したところでございます。今後、このサミットのもとに設置する協議会や分科会におきまして、共用アンテナの実用化に向けて議論を進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、産業全般における5Gの利活用の推進についてですが、今後活用が可能となるローカル5G環境のもとで、先駆的な企業と連携し、生産性向上や技術開発などのモデルを創出して、その成果を普及することが重要でございます。
 このため、スマート工場化に必要なアンテナ等の機器の導入支援に加え、産業技術研究センターで技術開発をサポートする仕組みを検討してまいります。
 また、農林総合研究センターでは、専門家による遠隔での農業指導やAIによる農作業支援の実現に向け、高精細画像を活用する技術の導入を検討してまいります。
 さらに、こうした取り組みで得られた5G活用のノウハウやメリットを、セミナーなどで多くの中小企業等にわかりやすく発信いたします。
 これらにより、都内産業での5Gの利活用を推進し、東京の稼ぐ力を高めてまいります。
 次に、就労支援における産業人材の育成についてですが、さまざまな要因から就労に困難を抱える方々に対し、職業訓練を通じて就労に必要なスキルの習得を支援し、産業を支える人材として育成することは、東京の成長を図る上で重要な取り組みでございます。
 都はこれまでも、就労に困難を抱える方々を職業能力開発センターにおける訓練や、民間の専修学校等を活用した委託訓練につなげることにより、ものづくりや建設業、福祉、介護サービス業など、東京の多様な産業を担う人材として育成してまいりました。
 今後は、情報通信技術や環境バイオテクノロジー、健康スポーツなど、東京で成長が見込まれる分野における人材の育成を強化するため、職業訓練のさらなる充実を検討してまいります。
 最後に、MアンドAによる事業承継支援の強化についてですが、中小企業の円滑な事業承継は、東京の産業の持続的な成長にとって必要不可欠であり、後継者の確保できない中小企業にとってMアンドAの手法は効果的でございます。
 都はこれまでも、MアンドAによる事業承継を手がけるファンドの組成や仲介会社への着手金助成などの支援に取り組んでまいりました。
 しかしながら、中小企業のMアンドAを担う事業者は依然として少なく、事業承継のさらなる推進のためには、こうした担い手の確保が急務となっております。
 このため、民間事業者による複数年にわたる機動的な事業承継ファンドの創設に向けた新たな支援や、譲り受け企業の掘り起こしと円滑なマッチングを支援するための体制強化等を検討いたします。
 こうした取り組みにより、事業承継を契機とした中小企業のさらなる成長を着実に後押ししてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、遠隔医療の取り組みについてでありますが、遠隔医療は、限られた医療資源を有効に活用し、患者に質の高い医療を提供するための重要な手段でございます。高精細映像等のやりとりが高速で可能となる5Gを用いて遠隔医療を行うためには、まずは高度医療を担う病院や地域の医療機関、在宅医療の現場がICTを活用して診療情報等を共有し、連携する環境を整備する必要がございます。
 こうしたことから、都は、ICTを活用した地域医療連携ネットワークの構築に取り組む医療機関を支援するとともに、地域のネットワークを接続し都全域のネットワーク構築に取り組む東京都医師会と連携して、多摩地域も含む広域的な医療連携を促進しているところでございます。
 今後、都におけるICTを活用した医療連携の充実を一層図り、遠隔医療の拡大に対応してまいります。
 次に、がん患者の治療と仕事の両立支援についてでありますが、平成二十八年度に都が実施した調査によりますと、がんと診断されたときに就労していた人の約二五%が退職しており、治療と仕事を両立できる環境を整備していくことが大きな課題であると認識しております。
 このため、都は、働きながら治療を受けやすい医療提供体制の構築等に向け、平日の夜間や土日に外来薬物療法を行うモデル事業を、都立駒込病院及び共済立川病院で本年七月に開始いたしました。
 本事業を通じ、患者の利用しやすい曜日や時間帯、病院の勤務体制や経営への影響等を把握し、今後、平日夜間及び土日の外来薬物療法の実施に向けた環境整備や就労支援のための普及啓発のあり方などを検討し、がん患者の治療と仕事の両立支援を充実してまいります。
 次に、子供や里親の意見を聞く仕組みについてでありますが、都では、弁護士等の専門員が、いじめや体罰などについて子供から直接相談等を受け、児童相談所を含む関係機関への調査、助言を行っており、必要と認めるときは児童福祉審議会に事案を付議することとしております。
 また、里親を支援するため、各児童相談所に担当の児童福祉司を配置しているほか、民間機関がカウンセリングや電話相談等に対応しております。
 しかしながら、里親からは、児童相談所の支援が十分に行き届いていない、児童相談所に悩みを相談しにくいといった意見も聞かれているところでございます。
 こうしたことを踏まえ、都は、より深い信頼関係に基づいた支援を行えるよう、一貫した体制のもとで継続的に里親にかかわるフォスタリング機関の設置などを検討してまいります。
 さらに、子供の最善の利益を守るため、第三者があらかじめ子供や里親などから意見を聞き、調査や助言等を行う新たな仕組みの構築について、専門家等の意見を伺いながら検討してまいります。
 最後に、認知症の人と家族への支援についてでありますが、都は今年度から、認知症の人への対応方法がわからず、不安を抱える家族等の負担の軽減を図るため、区市町村ごとに設置を進めている五十二カ所の認知症疾患医療センターで、医師や精神保健福祉士等の専門職による認知症の症状に応じた治療、対応等に関する講座や相談会等を開催しております。
 また、認知症サポーターが認知症の人への声かけや見守り、家族会の運営支援などの活動に参加できるよう、フォローアップ講座の開催等に取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
 今後、専門職や認知症サポーター等の支援を受けながら、認知症の人と家族が地域の中で安心して暮らし続けられるよう、医療相談への対応力向上などセンターの取り組みの強化を図るとともに、連携を一層深めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、電子契約の導入についてでございますが、電子契約は、コスト削減や業務の効率化、書類改ざん防止などのコンプライアンス強化が期待され、主に民間事業者間の取引で利用が広がっております。
 一方、地方自治体における電子契約の導入に当たりましては、電子契約の円滑な実施に必要な法令整備が整っていないという課題の解決に加えまして、新たなシステム開発や既存の業務システムとの連携など、技術的、制度的な対応を独自に行う必要がございます。
 また、利用事業者、特に中小零細事業者の負担が少なく、より利便性が高まる仕組みとすることも重要でございます。
 今後、事業者からご意見を伺うなど情報収集に努めまして、電子契約の導入についてスピード感を持って検討してまいります。
 次いで、東京二〇二〇大会時の都発注工事についてでございますが、大会期間中の交通混雑緩和を図るためには、工事関係事業者のご理解とご協力をいただいた上で工事の調整を進めることが重要でございます。
 本年十月、これまで業界団体などからいただいたご意見や、この夏の試行結果などを踏まえまして、都庁発注工事に関する取り組み方針を更新いたしました。
 その中では、必要な工事を着実に実施することを前提とした工事発注の平準化、大会に起因した工事調整に係る経費や工期の適切な見積もり、発注時に工事の夜間振りかえなどの調整手法を明示することなどを記載しております。
 今後、工事関係事業者にさらなる丁寧な説明とわかりやすい情報提供を行うとともに、取り組み方針の考え方を原則として、工事の実情に応じた柔軟な調整を行ってまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 中央卸売市場条例の改正を見据えた都の取り組みについてでございますが、今回の条例改正を契機に取引の活性化を図るためには、新たな制度への市場業者の正確な理解のもと、創意工夫ある積極的な取り組みを促進する必要がございます。
 都は、これまでの検討過程におきまして、全ての市場で業界との意見交換を重ねてきており、今後、改正後の制度内容を全市場で周知するほか、卸、仲卸等の業態ごとの説明会を行うとともに、各市場の取引委員会の活用に係る協議を始めるなど、業界に寄り添って丁寧に準備を進めてまいります。
 さらに、国内外の販路拡大、集荷力、販売力の強化等を目指す市場業者の先駆的な取り組みに対する支援を、さらなる運用改善を図りつつ、積極的に行ってまいります。
 こうした取り組みを業界と密接に連携しながら進めることにより、市場の活性化を実現してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、ラグビーワールドカップで得られた知見の活用についてでございます。
 ラグビーワールドカップでは、東京スタジアムや都内二カ所のファンゾーンに多くの外国人を含む観客が訪れ、多数の方々でにぎわい大変盛り上がりました。大会期間中は、東京二〇二〇大会準備に携わる職員も業務運営に加わり、経験を共有したところでございます。
 各現場におきましては、国内外の観客の安全、円滑な移動のための対応や、ボランティアを初めとしたおもてなし、Wi-Fi環境の整備、台風時の緊急対応など、さまざまな経験を蓄積することができたところでございます。
 今大会で得られた知見を今後しっかりと検証の上、東京二〇二〇大会における観客案内やライブサイト運営、多言語対応などの大会準備に生かし、成功につなげてまいります。
 次に、地域での東京二〇二〇大会の観戦機会充実に向けた支援についてでありますが、競技会場だけでなく、子供やファミリー層など、幅広い都民が地域の身近な場所で競技中継を楽しめるよう、市区町村が実施する地域のコミュニティライブサイト等の取り組みを推進することは重要であります。
 市区町村は、現在、地域住民が集まりやすい会場の選定や暑さ対策等、実施内容の検討を進めているところであります。
 都といたしましては、子供たちも気軽に立ち寄れる安全で快適なコミュニティライブサイトの実現に向けた取り組みを支援するため、自治体の希望を踏まえてきめ細かく相談に対応しているほか、今年度から二カ年にわたり活用できる補助制度を設けております。
 市区町村の取り組みを積極的に後押しいたしまして、誰もが身近な会場で大会の興奮と感動を体感できるよう取り組んでまいります。
 次に、交通混雑緩和対策についてでありますが、都は、円滑な大会輸送と経済活動の維持との両立を図るため、交通需要マネジメント、いわゆるTDMを進めるとともに、快適な通勤環境や企業の生産性向上等を図る取り組みをスムーズビズとして一体的に推進しております。
 これまで、経済団体等とも連携いたしまして、企業に取り組んでいただきたいことなどについて、三百八十回ほどの説明会を行うほか、個別相談などを通じまして丁寧に対応をしてまいりました。
 今後、サプライチェーン全体に係る物流の効率化につきましても、国や業界団体等と連携し、協議会を発足させます。
 さらに、SNS等のデジタル媒体も活用した広報の展開や中小企業への個別相談を充実させるなど、企業や都民の意見を聞きながら、スムーズビズの取り組みを広く浸透させ、大会後にもつながる取り組みとしてまいります。
 次に、大会時の舟運による観客輸送についてでありますが、舟運は、道路や鉄道の混雑緩和に資するとともに、東京臨海部の魅力を発信する交通手段にもなり得ることから、大会時の観客輸送での活用について検討を進めております。
 現在、徒歩圏内に鉄道駅のない海の森水上競技場などを対象に、鉄道アクセスにすぐれた既存の船着き場から、魅力的な水辺空間を体感しながら、海の森公園で整備が進められている船着き場に至るルートについて調整を行っているとこでございます。
 今後、組織委員会や舟運事業者等と連携しながら、魅力ある大会時の舟運の実現に向け、運航方法などについて検討を深めてまいります。
 最後に、パラリンピックの聖火リレーについてでありますが、パラリンピック聖火リレーは、オリンピックの熱気と興奮を持続させるとともに、東京二〇二〇大会を契機に共生社会を実現することを目指して行われるものでございます。
 そのため、ランナーが走行する聖火リレーに加えまして、希望する市区町村がパラリンピック聖火のもとになる火を起こす採火ができるよう検討してまいります。
 また、スポーツ施設や障害者福祉施設など、パラリンピックと親和性のある施設や、多様な人々が集い交流する場所などをランタンに入れた聖火が訪問する、いわゆる聖火ビジットも行えるよう取り組んでまいります。
 今後、これらさまざまな方法につきまして、市区町村と調整を進め、都内全体でパラリンピック聖火リレーを盛り上げ、東京二〇二〇大会の成功につなげてまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 若洲海浜公園の指定管理についてでございますが、今回の指定管理者候補者の選定に当たりましては、同公園の施設や隣接するヨット訓練所が東京二〇二〇大会の練習会場などとなりますことから、大会への確実な協力を行ってもらうため、引き続き一体的に管理運営をすることといたしました。
 その際、指定管理者候補者に対しては、サービス向上のための工夫や利用者の裾野拡大のためのさらなる取り組みを求め、その結果、ゴルフ場におけるウエブ予約の拡大や都民向け割引デーの設定、ヨット訓練所での障害者体験乗船会を拡充する予定でございます。
 一方で、ゴルフ場とヨット訓練所は、利用形態や必要とされるノウハウなど異なる面も多いことから、さらなるサービス向上の観点から、将来的には分離を含めた管理運営のあり方について幅広く検討してまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

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