令和元年東京都議会会議録第十八号

令和元年十二月三日(火曜日)
 出席議員 百二十四名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番平  慶翔君
五番後藤 なみ君
六番藤井あきら君
七番内山 真吾君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番龍円あいり君
二十一番あかねがくぼかよ子君
二十二番保坂まさひろ君
二十三番鳥居こうすけ君
二十四番菅原 直志君
二十五番清水やすこ君
二十六番森澤 恭子君
二十七番斉藤れいな君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番舟坂ちかお君
三十一番三宅 正彦君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番白戸 太朗君
四十一番本橋ひろたか君
四十二番馬場 信男君
四十三番佐野いくお君
四十四番細谷しょうこ君
四十五番栗下 善行君
四十六番中山ひろゆき君
四十七番たきぐち学君
四十八番奥澤 高広君
五十番山崎 一輝君
五十一番神林  茂君
五十二番早坂 義弘君
五十三番高橋 信博君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
五十九番遠藤  守君
六十番上野 和彦君
六十一番のがみ純子君
六十二番まつば多美子君
六十三番田の上いくこ君
六十四番両角みのる君
六十五番西郷あゆ美君
六十六番もり  愛君
六十七番岡本こうき君
六十八番米川大二郎君
六十九番森口つかさ君
七十番つじの栄作君
七十一番関野たかなり君
七十二番桐山ひとみ君
七十三番石川 良一君
七十四番中屋 文孝君
七十五番古賀 俊昭君
七十六番秋田 一郎君
七十七番吉原  修君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番増田 一郎君
八十九番滝田やすひこ君
九十番おじま紘平君
九十一番木下ふみこ君
九十二番村松 一希君
九十三番福島りえこ君
九十四番ひぐちたかあき君
九十五番鈴木 邦和君
九十六番森村 隆行君
九十七番入江のぶこ君
九十八番柴崎 幹男君
九十九番清水 孝治君
百番大場やすのぶ君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番橘  正剛君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番山田ひろし君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番宇田川聡史君
百二十一番小宮あんり君
百二十二番鈴木 章浩君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君

 欠席議員 なし
 欠員
    八番 四十九番 五十五番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事多羅尾光睦君
副知事梶原  洋君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務佐藤 伸朗君
政策企画局長山手  斉君
総務局長遠藤 雅彦君
財務局長武市  敬君
警視総監三浦 正充君
主税局長塩見 清仁君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
環境局長吉村 憲彦君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長村松 明典君
建設局長三浦  隆君
港湾局長古谷ひろみ君
会計管理局長佐藤  敦君
消防総監安藤 俊雄君
交通局長土渕  裕君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長和賀井克夫君
都民安全推進本部長國枝 治男君
戦略政策情報推進本部長松下 隆弘君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長堤  雅史君
中央卸売市場長黒沼  靖君
選挙管理委員会事務局長黒田 祥之君
人事委員会事務局長小泉  健君
監査事務局長岡崎 義隆君
労働委員会事務局長松山 英幸君
収用委員会事務局長斎藤 真人君

十二月三日議事日程第一号
第一 第百八十四号議案
令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第二 第百八十五号議案
令和元年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第三 第百八十六号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百八十七号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百八十八号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百八十九号議案
東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十号議案
外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百九十一号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百九十二号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百九十三号議案
東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十四号議案
法人事業税国税化対策特別基金条例を廃止する条例
第十二 第百九十五号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十六号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百九十七号議案
東京都市計画事業亀戸・大島・小松川第二地区第一種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
第十五 第百九十八号議案
東京都市計画事業亀戸・大島・小松川第三地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
第十六 第百九十九号議案
東京都市計画事業亀戸・大島・小松川第四地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
第十七 第二百号議案
東京都市計画事業六町四丁目付近土地区画整理事業施行規程の一部を改正する条例
第十八 第二百一号議案
東京都市計画事業環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
第十九 第二百二号議案
東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
第二十 第二百三号議案
東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
第二十一 第二百四号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百五号議案
東京都無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例
第二十三 第二百六号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第二百七号議案
東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百八号議案
東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十六 第二百九号議案
東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百十号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百十一号議案
東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百十二号議案
東京都心身障害者扶養共済制度条例の一部を改正する条例
第三十 第二百十三号議案
東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百十四号議案
東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百十五号議案
都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例
第三十三 第二百十六号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第三十四 第二百十七号議案
東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例
第三十五 第二百十八号議案
都道における道路構造の技術的基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百十九号議案
東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第二百二十号議案
東京都下水道条例の一部を改正する条例
第三十八 第二百二十一号議案
警視庁本部庁舎(三十一)大規模改修工事請負契約
第三十九 第二百二十二号議案
都営住宅三十一H─一〇五東(足立区竹の塚七丁目)工事請負契約
第四十 第二百二十三号議案
中川護岸耐震補強工事(その二百四)請負契約
第四十一 第二百二十四号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その三十)請負契約
第四十二 第二百二十五号議案
当せん金付証票の発売について
第四十三 第二百二十六号議案
若洲海浜公園ヨット訓練所の指定管理者の指定について
第四十四 第二百二十七号議案
東京都石神井学園の指定管理者の指定について
第四十五 第二百二十八号議案
東京都小山児童学園の指定管理者の指定について
第四十六 第二百二十九号議案
東京都立東部療育センターの指定管理者の指定について
第四十七 第二百三十号議案
東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定について
第四十八 第二百三十一号議案
東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について
第四十九 第二百三十二号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第五十 第二百三十三号議案
東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第五十一 第二百三十四号議案
東京都立高井戸公園の指定管理者の指定について
第五十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第五十三 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開会・開議

○議長(石川良一君) ただいまから令和元年第四回都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十番   山内れい子さん 及び
   六十七番 岡本こうき君
を指名いたします。

○議長(石川良一君) 謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民緒方貞子氏は、去る十月二十二日、また、名誉都民八千草薫氏は、十月二十四日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(石川良一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(櫻井和博君) 令和元年十一月二十六日付東京都告示第七百五十三号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案五十一件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分二件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、選挙管理委員会委員長より、選挙管理委員及び同補充員の任期について、令和元年十二月二十二日をもって満了するとの通知がありました。
 次に、知事より、令和元年第三回定例会の会議において同意を得た教育委員会委員、公安委員会委員、監査委員及び土地利用審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 また、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、東京都が出資または債務保証等をしている法人の経営状況について、一般財団法人東京マラソン財団の説明書類の提出がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) この際、令和元年十月三十一日付をもちまして、全国都道府県議会議長会において、自治功労者として表彰を受けられました方々をご紹介いたします。
 在職十年以上、増子ひろき君、山口拓君、伊藤ゆう君、あぜ上三和子さん、中村ひろし君、山崎一輝君、小山くにひこ君、西沢けいた君。
 ここに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。

○議長(石川良一君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(八ページ)に掲載〕

○議長(石川良一君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十八日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(石川良一君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 令和元年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対します所信の一端を述べさせていただきます。
 十月二十二日、名誉都民である緒方貞子さんがご逝去されました。また、十月二十四日、同じく名誉都民である八千草薫さんがご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 この秋、日本に接近、上陸した台風は、各地に記録的な大雨や暴風をもたらし、都内においても河川の氾濫や道路の崩落、ライフラインの寸断など、深い爪跡を残しました。今もなお、被害に苦しまれている方が数多くおられます。
 改めまして、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 都はこれまで、私自身も現場の状況をこの目で確かめながら、インフラの復旧、都営住宅の一時提供、農林水産業の再建に向けた支援など、迅速に対策を講じてまいりました。
 そして、本定例会に提案いたしました補正予算案には、被災された方々に一日も早く日常を取り戻していただくための取り組みや、日本各地で甚大な風水害が毎年のように発生している中、緊急に進めるべき防災事業を盛り込んでおります。
 具体的には、国の支援の対象とならない被災住宅につきまして、補修に係る補助制度を新設するとともに、被害を受けた市町村に対し、特別交付金による財政支援を実施いたします。
 また、災害時における電源確保のため、全ての都立一時滞在施設にスマートフォン等の充電用機材を配備し、家庭に対しましても、非常用電源となる蓄電池等の購入を補助いたします。
 さらに、ブルーシートや土のう袋の備蓄を強化するほか、迅速な情報収集のためのドローンを導入するなど、幅広く対策を進めます。
 被害からの早期の復旧を期すとともに、頻発する災害から都民の皆様をしっかりと守るべく、時期を逸することなく効果的な施策を講じてまいります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 続けざまに猛威を振るう自然災害を前に、今なすべきは、いつ牙をむくかもしれない次なる脅威に対しまして、これまでの常識や経験にとらわれることなく、なし得る限りの備えを固めることであります。
 今回、浸水被害の軽減に奏功しました調節池につきましては、現在整備中である環状七号線地下広域調節池におきまして、年度内にトンネルの掘進を開始いたします。時間当たり百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮する国内最大の地下調節池の完成に向けまして、着実に工事を進めてまいります。
 また、昨年の緊急総点検を踏まえまして、早期の検討に着手するとした八つの河川の新たな調節池につきましても、候補地や構造形式の選定を進めておりまして、今後、さらなる具体化を図ってまいります。
 島しょ地域では、電柱の倒壊や倒木による停電が相次ぎ、多くの島民の方々が不自由な生活を余儀なくされました。かねて取り組んでまいりました無電柱化につきましては、台風の通り道である島しょでの取り組みを加速しなければなりません。今年度中には、甚大な被害を受けた大島町の都道において早期に事業に着手するほか、その他の地域につきましても、地元町村と連携しながら具体の設計や整備箇所の検討を進めてまいります。
 このたびの台風におきましては、風水害時にとるべき行動をあらかじめ地域で共有していた町会において、適切な避難がなされたケースが見られました。都といたしましても、都民一人一人が避難に必要な知識を習得しながら、みずからの行動を事前に整理するための東京マイ・タイムラインにつきまして、引き続き積極的に普及を図ってまいります。
 あわせまして、情報発信の一層の強化や、先月、親子向けに公表いたしました「とうきょうぼうさいえほん」による啓発など、都民の皆様の的確な避難を促す取り組みを推進してまいります。
 年々激甚化する風水害は、発生するたびに、新たな問題を浮き彫りにいたしております。このたびの台風被害によりまして、どのような課題が明らかとなり、今後いかに改善を図るのか。災害対策に万全を期していくべく、先月、副知事をトップといたしました大規模風水害検証会議を立ち上げまして、全庁を挙げて速やかな検証を進めてまいりました。
 今般、その結果を取りまとめたところであり、来年度中に予定しております地域防災計画風水害編の修正とあわせまして、防災事業のさらなるグレードアップへとつなげてまいります。
 災害現場での初期対応をさらに迅速化するべく、東京消防庁におきましては、来月、機動性と環境性にすぐれる電動トライクを活用したファーストエイドチームを立ち上げます。進入困難な狭あい地におけます早期の応急救護等を可能とするとともに、そのフットワークの軽さを生かして、平時におけます事故の被害軽減を図るなど、セーフシティーを確立する対策を一層充実させてまいります。
 近年の猛暑や豪雨を通じまして、私たちは改めて、日常を脅かす地球温暖化の影響の甚大さを実感いたしております。気候変動への対策は待ったなしでありまして、こうした認識を都民の皆様と共有しながら、ゼロエミッション東京の実現に向けた施策を推進してまいります。
 省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの利用拡大、電気自動車などゼロエミッションビークルの本格的な普及、さらには革新的なイノベーションの誘導、脱炭素社会の実現に向けましては、幅広い分野の多様な取り組みを気候変動対策として進化させなければなりません。そのための具体的なロードマップを提示して、二〇五〇年、東京が世界のCO2排出量実質ゼロに貢献するためのゼロエミッション東京戦略を年内に発表いたしてまいります。
 あわせまして、都内における気候変動の影響を踏まえて、災害、健康、農業など多岐にわたる分野におきまして、被害を回避、軽減するための考え方を示す気候変動適応方針を策定いたします。これらを基に、気候変動の緩和と適応の両面から総合的に施策を展開いたしまして、極端な気象変化から都民を守る強靱な都市を築いてまいります。
 プラスチックの持続可能な利用に向けましては、十月、廃棄物審議会から提出されました最終答申におきまして、長期的な目標と当面の対策が広く示されたところであります。廃プラスチックの国際的な輸入規制を受けまして、国内における適正処理や有効利用を図るための緊急対応にも触れられておりまして、こうしたさまざまな提案を踏まえて、年内には今後の具体的な施策を示すプラスチック削減プログラムを公表してまいります。
 災害や気候変動への対策を初めとする都市力の強化に加えまして、稼ぐ東京の実現や人と人をつなぐ取り組みなど、未来への投資を幅広く推進して、東京の成長と成熟をなす、その方向性を明らかにするのが年末に公表いたします長期戦略ビジョンであります。
 八月、未来の東京への論点といたしまして、目指すべき将来のイメージやその達成に向けての課題をお示しいたしました。この間、ビジョンの策定に向けまして、都民の皆様からの意見募集や、区市町村、大学、各種団体との意見交換など、まさに東京の知恵を結集する取り組みを行ってきたところでございます。未来を開く子どもたちからも、まだ見ぬ東京の夢あふれる姿を描いた絵画が数多く寄せられております。
 これらを踏まえまして、引き続き、柔軟かつ大胆に検討を進めまして、都民が主役である東京の明るい未来への羅針盤となる長期戦略の取りまとめへとつなげてまいります。
 また、変化の激しい時代におきましても、従来の延長線ではない新たな発想を常に生み出して、目指すべき東京を築き上げていくためには、都みずからも大きく変貌しなければなりません。
 都はこれまで、生産性向上や機能強化のための二〇二〇改革を推進し、職員にも改革マインドが着実に根づいてまいりました。こうした成果を継承しつつ、戦略的な政策展開を支える都庁の実現に向け、さらなる都政改革を進めていく、その指針となる新たな都政改革ビジョンにつきましても、この年末に公表をしてまいります。
 これらのビジョンに基づいて、未来の東京をつくり上げていく一つの礎となりますのが、超高速のインターネット網であります。特に、この日本の新たな時代が幕をあけました令和元年は、国際的には5G元年といわれる年でありました。アメリカや韓国を初め各国で普及が進む中、東京は次世代の通信規格であります5Gネットワーク競争で世界をリードし、新たな価値を創出することで、成長を加速度的に推し進めなければなりません。
 また、5Gは遠隔医療の実現等、どこにいようとも誰ひとり取り残されることのない、より高度な成熟社会の確立にも寄与いたします。人口減少、超高齢化が進む中、先端技術により経済発展と社会的課題の解決を図るソサエティー五・〇を実現し、成長と成熟の両立を目指す東京にとりまして、超高速の電波の道、TOKYO Data Highwayは、まさに不可欠な基幹インフラなのであります。
 道路や鉄道など目に見えるインフラに加えまして、この新たな目に見えないインフラを世界におくれることなく構築し、東京のデジタルシフトを牽引していく。そのためには、都みずからが最先端のテクノロジーに精通していなければなりません。
 今月半ばには、高度な専門性と豊富な経験を有するICT人材を十名、管理職として採用することといたしております。あわせまして、ICT人材に関する職種を新設いたしまして、来年度から採用選考を開始するなど、デジタル施策の推進体制を強化してまいります。
 先月には、我が国のインターネットの第一人者を座長に迎えまして、通信各社のトップの参加を得たTOKYO Data Highwayサミットを開催いたしまして、次世代のネットワークをスピーディーに整備するための具体策について意見を交わしました。
 都は、アンテナ基地局の設置を促進するべく、都有施設のデータベースの公開やワンストップ窓口の創設などを通じまして、民間の取り組みを大いに後押ししてまいります。
 引き続き、東京をアップデートし続けるための英知が結集するこのサミットを軸といたしまして、民間と強力にタッグを組んで、未来への投資となる世界最速のモバイルインターネット網の構築を加速してまいります。
 東京の発展に向けた新たな基盤の整備を進める一方、今あるインフラや資源の価値をさらに高め、都市の活性化を図ることで、時代の変化に対応しながら東京の持続可能な成長を実現してまいります。
 東京の潜在力を引き出し、成長を支える道路ネットワークにつきましては、一昨日、首都高速道路の中央環状線と小松川線をつなぎます小松川ジャンクションが新たに開通いたしました。これによりまして、埼玉方面と千葉方面を結ぶルートの選択の幅が広がりまして、都心部の混雑緩和にもつながります。
 同じく今月には、首都高渋谷線下り方向における渋谷入口が開通いたしまして、郊外へのアクセス性が向上するほか、渋谷駅周辺の慢性的な渋滞の緩和も期待されるところであります。
 今後とも、東京、ひいては首都圏全体の生産性の向上や防災力の強化を見据えまして、高いストック効果を発揮する幹線道路ネットワークの形成に着実に取り組んでまいります。
 東京の卸売市場もまた、多彩な食文化など、豊かな都民生活の基盤となる重要なインフラであります。私もこれまで、十の市場をめぐり、さらなる発展に向けまして奮闘されている市場業者の皆様にじかに接してまいりました。その姿に改めて敬意を表し、都といたしましても、卸売市場全体の一層の活性化に取り組んでまいります。
 その一つの鍵となるのが、本定例会に提案いたしました中央卸売市場条例の改正でございます。物流や商取引の多様化が進む中、引き続き卸売市場が生鮮食料品等の流通の核として機能していくためには、法の改正も踏まえまして、多くの取引関係者が利用しやすい環境を実現することが欠かせません。
 本改正によりまして、公正な取引や食の安全・安心を確保する仕組みを維持する一方で、取引の活性化を図るための規制緩和を行ってまいります。関係者の創意工夫を凝らした取り組みを全力で後押しをして、引き続き、都民の皆様に豊かで安心できる消費生活を享受いただけるよう尽力してまいります。
 オリンピック・パラリンピックを控えまして、世界の注目が集まる今こそ、国際会議などMICEの誘致を促進し、成長へとつなげる好機であります。東京には、会議やレセプションの会場として特別感を演出できるユニークベニューが数多く存在しておりまして、こうした魅力的な資源を生かしながら、積極的に誘致を進めてまいります。
 十月には、都内で唯一の重要文化的景観であります葛飾柴又の帝釈天題経寺と参道商店街を一体的に活用することで、ユニークベニューとしての新たな可能性を発信するイベントを開催し、私も区長とともにその魅力をアピールしてまいりました。
 本日も、目黒区にあります旧前田家本邸洋館におきまして同様のイベントを開催するところであり、今後とも、ユニークベニューの活用の幅を広げ、MICEの誘致を加速してまいります。
 観光資源としての活用など、東京の魅力向上のためのポテンシャルを秘めるプロジェクションマッピングを促進するべく、屋外広告物条例の改正を視野に、規制の緩和を検討いたしております。景観や交通安全等への影響を検証する実証実験を踏まえまして、先般、規制の見直し案を取りまとめました。
 まちの活性化のため、プロジェクションマッピングの活用が望ましい地区におきましては、地域が定めたルールに基づく柔軟な実施を可能とするなど、幻想的な光の投影が東京にさらなる彩りを添えますよう、来年の第一回定例会への条例改正提案を目指してまいります。
 鉄道、バス、デマンド交通などを組み合わせまして、目的地までの最適な交通手段を提示するほか、周辺の魅力を発信するなど、移動の利便性や付加価値を高めますMaaSは、今世界で注目を集めるサービスであります。都といたしましても、都心部、臨海部、多摩地域と、特性の異なる三つのエリアで社会実装に向けた実証実験を開始いたします。
 鉄道とバスのリアルタイムの運行データを連携させた全国初の交通案内や、異なる交通手段の予約、決済のワンストップ化などの実施を第一歩といたしまして、MaaSの普及拡大へとつなげていきたいと存じます。
 都市の活力の源泉は人であります。人と人がつながり、誰もが活躍できる活気あふれる都市として持続的に発展をしていく、そうした新たな時代の成熟都市を築くべく、幅広く取り組みを進めてまいります。
 社会全体でともに支え合うソーシャルインクルージョンの考えのもと、今後の就労支援のあり方につきまして、この間、有識者を交えました検討を重ねてまいりました。一人一人が個性と能力に応じて活躍できる社会の実現に向けて、このたび新たに、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例を提案したところでございます。ここには、就労支援の充実を図ることはもとより、自律的な経営のもと、就労に困難を抱える方々が生き生きと働くソーシャルファームを認証し、その支援を進めることをうたっております。
 本条例をてこに、区市町村との連携のもと、都民の皆様の就労を力強く後押しするとともに、東京にソーシャルファームを根づかせ、人が輝き続ける都市をつくり上げてまいります。
 犯罪被害に遭われた方やそのご家族が心身に受けた影響から再び立ち上がるための支援を推進する犯罪被害者等支援条例につきましては、被害者のご遺族にも検討にご参加いただいて、当事者の立場から貴重なご意見をいただきました。
 この夏には条例の基本的な考え方を公表いたしまして、都議会での議論やパブリックコメントを経まして、今般、再被害の防止や被害者が多数に上る事案への緊急支援等を加えた条例案の概要をまとめたところであります。
 現在、改めて都民の皆様のご意見を伺っておりまして、丁寧な検討を重ねた上で、来年の第一回定例会への提案を目指してまいります。
 人が生き生きと暮らすための基盤である医療は、今後、超高齢化社会の本格化や担い手不足に直面するなど、取り巻く環境がさらに厳しさを増してまいります。こうした中、東京の医療のセーフティーネットである都立病院は、これまで以上に安定的な経営基盤を確立し、引き続き行政的医療の提供や地域医療の充実をなしていかなければなりません。
 都は、この間、都立病院のあるべき経営形態につきまして、経営委員会による提言や、二〇四〇年代を見据えた長期的な見地を踏まえまして、従来の延長線にとらわれることなく検討を重ねてまいりました。
 都民の皆様の生命と健康を守る使命を着実に果たしていく。そのために、今般、都立病院及び東京都保健医療公社の病院、合わせまして十四病院を一体的に地方独立行政法人へ移行すべく準備を開始いたします。
 これによりまして、都立病院については、安定的かつ柔軟な医療人材の確保や、より機動的な運営を可能とし、また、各地域の中核病院として地域の医療ニーズに応えている東京都保健医療公社の病院につきましては、スケールメリットを生かしながら、地域医療の一層の充実を図ることといたします。新たな体制のもと、医療課題に柔軟かつ効果的に対応することで、将来にわたりまして、誰もが安心して質の高い医療を受けられる東京を実現してまいります。
 人生百年といわれる長寿の時代におきまして、高齢者が安心して暮らし、生涯現役で元気に活躍できる社会を築く。その一環といたしまして、来月、身近な趣味活動を通じて人と人のつながりを生み出すシニア・コミュニティ交流大会を開催いたします。都内の各地域から多くの参加者が集う大会におきまして、交流の輪をさらに広げ、新たな生きがいを見つけていただくなど、心豊かな長寿の人生を応援してまいります。
 また、誰もがいつまでも安心かつ快適に外出できる環境を整備するため、先月、多摩ニュータウンにおいて、電動車椅子を使った移動円滑化の実証実験を行いました。地形の高低差などによります移動の支障を解消するべく、実験の成果をもとに、実用化に向けた検討を進めてまいります。
 未来を担う人づくりにも力を入れてまいります。第四次産業革命のうねりの中、時代の変化に対応しながら社会に貢献できる人材を育てていくためには、多くのものづくり人材を輩出してきた工業高校にも新たな役割が求められます。
 高度IT社会におけます工業高校の将来像を描くべく、今月、教育委員会において新たな有識者会議を立ち上げまして、議論を始めることといたしました。先端的なものづくりで社会的課題を解決する人材の育成や学校の魅力向上など、これからの工業高校のあり方につきまして幅広く検討を重ね、目指す姿を示していきたいと存じます。
 世界を俯瞰する広い視野や課題を探求する力の育成も欠かせません。先月、国内外の大学や研究機関と連携いたしまして、都立学校の生徒が再生可能エネルギーに関する世界最先端の取り組みを学ぶワークショップを実施いたしました。
 また、首都大学東京では、二十を超える国や地域の学生の参加のもと、オリンピックシンボルの由来であります五大陸の名を冠したシンポジウムを開催して、東京二〇二〇大会のビジョンであります多様性と調和などのテーマについて議論を深めたところであります。
 今後とも、国際色豊かな取り組みによりまして、グローバル時代に大きく羽ばたくための実践的な学びを推進してまいります。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。
 オリンピックにおけますマラソン及び競歩につきましては、一貫して東京での開催が最善であると主張してまいりましたが、会場は移転されることとなりました。競技を盛り上げるため、さまざまな準備にご尽力いただきました沿道の自治体、町会、商店街などの皆様、観戦を楽しみにされていた都民の皆様、そして東京のコースや気候を想定して準備を重ねてこられましたアスリートの方々の気持ちに思いをいたすと残念でなりません。
 都は、開催都市といたしまして、引き続き前を向いて大会準備及び機運醸成に全力で取り組んでまいります。組織委員会、国、IOCやIPCを初め、関係団体と一丸となって、都民、国民の皆様とともに、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを必ずや成功へと導いてまいります。
 都が整備を進めております新規恒久施設につきましては、来週、有明アリーナが竣工いたしまして、残る東京アクアティクスセンターも来年二月に竣工の予定であります。ホストシティーの顔となるシティキャストの研修も順調に進んで、先月にはパラリンピック聖火リレーのコースとなる区市町村が公表されるなど、都民、国民の皆様と手を携え、大会を成功へと導く機運もますます高まってまいりました。今月にはいよいよオリンピック聖火リレーランナーも決定されます。
 そして、テストイベントを活用した大会運営の検証につきましても、準備の進展に伴って、本番に近い環境での実践的な段階に入りました。世界のトップアスリートがその力とわざを最大限に発揮できる舞台を整え、そこから生まれる感動と興奮を全世界へと届けていく。開催都市東京に寄せられる期待に何としても応えるべく、一日一日を大切に積み重ねてまいります。
 大会の円滑な運営に不可欠な交通混雑の緩和につきましては、隗より始めよで、都が進めますアクションプランを更新して、都発注工事の前倒しなど、新たな取り組みをお示しいたしました。
 あわせまして、スムーズビズへの理解の促進や意欲向上を図るべく、一定の混雑緩和効果が見られましたこの夏のスムーズビズ推進期間において、すぐれた取り組みを実践された企業等の皆様を表彰したところでございます。来月には冬のスムーズビズ実践期間を設けるなど、引き続き、企業の皆様に交通需要マネジメントの定着や多様な働き方の実践を積極的に働きかけてまいります。
 また、大会中の首都高の交通分散に向けましては、夜間、全線におきましてETC車両の通行料を割り引くとともに、日中、都内区間につきまして自家用車等の通行料を一千円上乗せすることなどを定めました議案を本定例会に提案をいたしました。
 これらの施策を組み合わせまして、都民の皆様、企業等の皆様とともに、大会時の円滑な輸送と経済活動、都民生活の両立を実現してまいります。改めまして、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
 暑さ対策につきましては、この夏の試行の検証を踏まえ、補正予算によるさらなる強化を図ってまいります。暑さの軽減に有効で、観客からも好評でありました休憩所や日よけを増設いたしまして、競技会場付近を中心に日陰を確保するほか、ネッククーラーの配布規模を拡大し、新たに飲料等の提供も行います。都民の皆様にも帽子等の着用などのご協力をいただきながら、ハードとソフトを組み合わせた重層的な対策を講じてまいります。
 また、お台場海浜公園の水質改善につきましては、来月より新たに、神津島におけるしゅんせつ工事で発生する砂を活用した競技水域の環境改善を開始するなど、引き続き各局連携して取り組んでまいります。
 さて、この秋、列島はラグビーワールドカップ二〇一九におけます日本代表の活躍に大いに沸きました。ワンチームをスローガンに世界の強豪に立ち向かい、史上初のベストエイトまで勝ち抜いたチームは、私たちに団結が生む無限の力を示してくれたように思います。
 改めて、選手の方々に心より敬意を表するとともに、大会をともに支えた全国の開催都市の皆様、世界中からのお客様におもてなしを実践していただいたボランティアの皆様、都内各地で大会の盛り上げにご尽力いただきました区市町村及び住民の皆様に、深く感謝を申し上げます。
 多くの皆様のつながりによって、ラグビーワールドカップ二〇一九は、一人一人の心に確かなレガシーを刻み、成功のうちに幕を閉じました。人と人のつながりこそ、まさに大きな力を生む。この大会を通じまして、その確信を新たにしたところであります。今回の大会運営の貴重な経験とオールジャパンの一体感を、来年のオリンピック・パラリンピックの成功へとつなげてまいります。
 そして、その先の未来におきまして、安全・安心の中で誰もが輝き、持続的に成長する東京を実現するための取り組みを、都議会の皆様、都民の皆様とスクラムを組み、力強く推し進める決意でございます。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案二件、条例案三十五件など、合わせて五十三件の議案を提案いたしております。どうぞよろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。

○議長(石川良一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(岡本こうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明四日から九日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明四日から九日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十七分散会


文書質問趣意書及び答弁書

31財主議第444号
令和元年11月25日
東京都議会議長
石川 良一殿
東京都知事 小池百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 令和元年第三回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

上田令子議員
山内れい子議員
池川友一議員
森澤恭子議員
斉藤れいな議員
宮瀬英治議員
藤田りょうこ議員
神林茂議員
星見てい子議員
中村ひろし議員
とくとめ道信議員
尾崎あや子議員
和泉なおみ議員

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 知事のトップマネジメントについて
二 子ども・若者政策について
三 まちづくりにおける都民参加について
四 インターナショナルスクールの移転問題について

一 知事のトップマネジメントについて
1 都市間交流について
ア 関東大震災朝鮮人虐殺にかかる追悼文について
 本年8月9日の知事定例記者会見では「毎年9月と3月に横網町の公園内の慰霊堂で開かれる大法要で、関東大震災、そしてまた、さきの大戦の犠牲となられた全ての方々への哀悼の意を表しております。大きな災害で犠牲になられた方々、そして、それに続いて、様々な事情で犠牲になられた方、これらの全ての方々に対しての慰霊という、その気持ちには変わりがないということでございます。」と記者に答えて、歴代知事が出してきた追悼文を3年連続送りませんでした。震災で犠牲になった命と、虐殺で奪われた命は追悼の意味としても、現代の教訓としても、昨年制定された東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の理念にたってみても全く整合性を欠くものと考えます。
 a 改めて、これまでの前例を覆し中止をしたのか、判断の理由と、根拠としたエビデンスをお示し下さい。
 b 今般、日韓関係も悪化している中での、国の専権事項を度外視した判断ではないか見解を伺います。
 c オリンピック・パラリンピックのホストシティとして、韓国によるボイコットに至るような歴史修正主義と受け取られかねないか、その場合の責任、影響についていかなる検討がされ、最終的な判断が誰によってされたのか具体的かつ、時系列でご説明下さい。
 d 追悼文の中止にかかる大韓民国(韓国)・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)両者及び関連団体、都民から都及び都知事への抗議の状況を過去3年につき詳細をお示し下さい。
イ 「日本国東京都と中華人民共和国北京市の交流・協力に関わる合意書」について
 小池知事の海外出張に伴い、本年8月26日に北京市において「日本国東京都と中華人民共和国北京市の交流・協力に関わる合意書」が交わされました。
 a 「提携40周年を契機に」ということでありますが、急遽、唐突に見える合意書締結に至った交渉過程と庁内検討過程につき、いつからなにを契機に始まったかを含め、ご説明下さい。
 b 「科学技術イノベーション」「介護」「都市計画」の各項目の詳細とこれらが追加された理由をご説明下さい。
 c 知事は北京市滞在中、前知事により喧伝された「都市外交」ではなく「都市間交流」の語を用いていたように報道等では見受けられましたが、その理由をご説明ください。
ウ 香港訪問について
 新聞報道によれば「知事が出席する予定だった投資セミナーは活況を呈していた。若い起業家や投資家が熱心に東京の発表に耳を傾け、休憩時にはあちこちで輪ができ、さまざまな情報交換が繰り広げられた。知事の代わりに講演した米津雅史(よなづ・まさふみ)・都特区推進担当部長は「ぜひ東京で投資を検討しませんか。東京には、多くのヒト、モノ、資本、情報が集積している。都内でビジネスを行おうとする外国企業にとっても大きなメリットだ」とアピールした。和田充弘(みつひろ)・香港総領事も駆け付け、「アジアはまだ成長の余地がある。東京と香港は、アジアと世界の経済において重要な役割を占めている」とあいさつした。」とのことだ。今般はデモ等による混乱が懸念され同地への訪問は実現しなかったが、今後改めて訪問するのか、今後の対応とその理由をご説明下さい。
2 「新たな長期計画(仮称)」の策定について
 小池知事のもと、「新たな長期計画(仮称)」の策定が進められています。
ア 策定の意図、なぜこの時期に策定するのか、ご説明ください。
イ 策定経費の予算額と明細をお示しください。
ウ 策定作業へのコンサルタント等、外部者への委託等の考え方をお示しください。
エ 同計画が策定された後、来年予定される知事選挙の公約に反映されるのか、知事自身の現状のお考えをお答えください。
3 オリンピック・パラリンピックについて
ア 「五輪選手村事業」について
 本年7月26日に、都議会に報告がされないまま「五輪選手村事業 増収の半額 都に追納 受注事業者と合意 想定上回れば」という新聞報道がありました。それによると、「2020年東京五輪・パラリンピックの選手村(東京都中央区)整備事業を巡り、東京都から受注した企業グループの事業収入が当初想定を上回った場合、増収分の半額を都に追納することで両者が合意したことがわかった。「1者入札」で行われた都有地の売却額が安すぎたとの指摘があり、都が事業者との間で協議していた。都幹部によると、都の増収は100億円を超える可能性がある。」とあります。
 a まず、この報道の真偽につき、改めて確認いたします。
 b なぜ都民軽視、議会軽視ともいえるマスコミ報道が先行したのか、適正な手順であったのかを確認いたします。
 c 追納額が販売価格に転嫁されることはないのか、報道が先行したことへの不動産価値への影響につき、ご所見をお示しください。
 d これまでの選手村事業の経緯と事業者の選定、契約経過・内容についてと、現時点での選手村事業全容につきご説明ください。
イ ボランティアについて
 a 「シティキャスト」について
 大会1年前ということで、今夏はテストイベントが行われ、併せて熱中症の調査が行われました。対策を個々人の判断に委ねるのは危険と考えています。3万名にも及ぶシティキャストの熱中症対策の現時点の考え、具体策をお示し下さい。
 b シティキャスト(都市ボランティア)への都立校生の応募案内について
一部報道によれば、昨年末、東京都教育委員会が10万枚の応募用紙を都立高校に配布し、半ば強制的に生徒たちに応募を強いたのではないかとのことで、世間の耳目を集めました。SNSには「『とりあえず全員書いて出せ』って言われたんだけど、都立高校の闇でしょう」と書き込みがあったそうです。
ついては、以下、確認いたします。
 Ⅰ 報道の内容は正確なのか、かかる状況を教育委員会は確認しているのか。それに対して、通知など、いかなる対応をしたのか。
 Ⅱ 通知の現場への周知、公募の方法、現時点の人数につき、都立校生のボランティア公募の状況はどうなのか。
 Ⅲ 報道にあったような強制の有無を教育委員会は確認しているのか、現在はしていないか。また、応募後の辞退を認めているのか。
 Ⅳ 応募にあたり個人情報保護はされており、応募の有無で不利益を受けることは絶対にないのか。
 Ⅴ 関連して、同様に、小学校に楽器演奏や旗振り応援などで強制的に動員する通達をしてるか、教育委員会に確認いたします。いざ熱中症で子どもが倒れた場合、責任主体は誰かお示しください。

二 子ども・若者政策について
1 子どもの権利について
 今年は子どもの権利に関する条約(児童の権利に関する条約)が採択されて30年、国内発効されて25年の節目にあたり、東京都の子どもの人権政策、また人権意識を確認します。
ア 「子どもの権利ノート」について、現在、児童養護施設等に、幼児用、小学生用、中高生用を配布をしています。社会経済状況も変わり、子ども自身を取り巻く状況も大きく変化する中、内容は適切と考えるか、改訂すべきと考えますが、ご所見を求めます。
イ 本年、児童福祉法改正に伴い国より「子どもの意見表明」、「SOSの保証」が通知されていますが、都の子どもの権利の普及啓発においてどう具体的に反映しているか伺います。
ウ 学校で子どもの権利を学ぶ必要があると思うが、取組状況を伺う。
エ 東京都子ども権利擁護専門員について、設置の経過、活動実績につき、ご説明ください。
2 児童相談所について
ア 一時保護所について
 新聞報道等により、児童相談所一時保護所について、第三者委員が福祉保健局に子どもを管理するルールを「過剰な規制で人権侵害にあたる」と指摘していたことが、明らかになりました。
 a 第三者委員が発足した理由、経緯、人選につき、ご説明ください。
 b 第三者委員会意見書を受けての都の見解と具体的な対応策、取組をご説明ください。
 c 同報告を受けての職員への周知の状況と、受け止め、反応につき、ご説明ください。
 d 1を受けて、一時保護所にも「子どもの権利ノート」のようなしっかりした冊子が必要と考えますが、ご所見を伺います。また、「一時保護所のしおり」はなぜ、各人に配布しないのか伺います。
イ 組織体制について
 a 都・区市町村が関与しながら虐待死した子どもの人数と虐待種別過去10年分を年別にお示しください。
 b 児童相談所職員が一人で抱える平均件数につき、過去5年分を年別にお示しください。
 c 複数の、児相対応を受けた都民から担当者が氏名を積極的に名乗らず、フルネームを尋ねても、名刺を求めても対応しないとのクレームを頂いています。虐待の深刻化を防ぐためにも信頼関係や連絡体制の強化が求められているというのに、逆行する対応と受け止めざるを得ません。現行の相談者等と対応時の担当者の職務連絡先の明示方法をご説明ください。
 d 保護者等相談者に対し、職員が名刺を渡す等氏名連絡先を明示している場合はどのような方法で行われているか、行われていない場合はなぜなのか、改善を求め、現状とその理由を伺います。
 e 人材確保と増員の状況と育成、それに付随した児相におけるスペース確保はどうなっているのか、取組をご説明ください。
 f 現場における、福祉職と行政職の業務の役割分担とマッチングはうまくいっているか、現状と取組をご説明ください。
 g 職員に対する人権教育、ことに昨今仙台市で発生したような性的暴力が行われないか懸念しております。実態把握と人権研修、子どもへの性的を含むハラスメント防止対策につき、ご説明ください。
 h 非行少年対応と虐待児童の分離の対応状況につき、第三者委員意見書を受けて、改めて現状と課題をご説明ください。
ウ 児童相談所移管について
 特別区への児童相談所移管の進捗状況を先進3区及び人材育成を重視し延期した新宿区を中心に現状と見通しをご説明ください。
エ 児童の予期せぬ妊娠について
 a 児相における取組を、相談から産後のケア、育てられない場合の養育体制(区市町村・児相連携)につき、ご説明ください。
 b 特別養子縁組、里親委託について各児相で温度差があるやに思う。特定妊婦にこの制度をどう選択肢として提示し、どのように対策を各児相においてすすめているかにつき、ご説明ください。
オ 里親・養子縁組について
 新生児の措置先確保の取組状況と課題につき、ご説明ください。
3 保育園待機児童問題について
ア 無償化による現時点の課題につき、ご説明ください。
イ 保育人材と質の担保につき、取組と課題をご説明ください。
ウ 自治体間格差の現状と課題につき、ご説明ください。
エ 今後について
 今後について将来的に少子化に伴い定員割れが想定されることもあると思料いたします。すでに、定員割れが発生している地域や保育所はあるのかの状況と今後想定される課題認識と対応策につき、ご説明ください。
4 教育政策について
ア 不登校について
 a 2016年に成立した義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律についての国からの通知を受けての都の対応状況、所管体制について、ご説明下さい。
 b 都内小・中学校における不登校児童・生徒数及び出現率について伺う。また、どのような項目を調査しているのか、伺う。
 c 不登校児童・生徒への学校以外の選択肢(公的支援機関・フリースクール・サポート校・家庭学習・その他)をどう周知し、マッチングしているか、また、保護者を含めた支援の状況について、ご説明下さい。
 d 同法についての教職員への周知の状況について、ご説明下さい。
 e 都営交通において、小・中学校及び高等学校における不登校の児童生徒への通学定期券の利用について、ご説明下さい。特に高校生年代で、学校に在籍していない者について、利用できるのか、ご説明下さい。
イ 長期休暇明けの自殺対策について
 本年も夏季休暇明けに都内で児童・生徒の自殺が2件発生したと報じられました。内江戸川区の中学生は亡くなりました。2人とも私立の生徒でした。
 a 都内公立学校における過去3年間の児童・生徒の自殺の状況と、都教育委員会の自殺予防の対策、特に長期休業明けに向けた取組についてうかがいます。
 b 私立学校の児童生徒への対応状況とどのようなセーフティネットがあるのかうかがいます。
ウ 部活動について
 a 出資団体による人材バンク事業について、立ち上げの状況と現在の取組につき、ご説明下さい。
 b 部活動にかかる懲戒処分、不適切事案につき、過去3年の年度別状況、対応をご説明下さい。
エ 教職員への懲戒処分の状況について
 このところ、内容に問題のある懲戒処分が頻発してるように見受けられるが、現状と対策、職場復帰の状況・課題をご説明下さい。
オ 人権教育プログラムについて
 本年3月に人権教育プログラムが改訂されました。ところが一方、人権意識が著しく欠ける教職員により、暴言事案が多発しています。
 a 同プログラムの周知の状況を、研修等にいかに活用していくかにつき、ご説明下さい。
 b 体罰ガイドラインの周知につき、現状と課題をご説明下さい。
 c 虐待アセスメントにつき、現状と課題をご説明下さい。
 d 教職員等への児童・生徒・保護者等からの個人の相談、個人情報等センシティブな情報提供について、不適切な取り扱いが報告されています。具体的な事案についての言及は避けますが、守秘義務の順守、個人情報の取り扱い、文書管理について、周知と実施状況について、ご説明下さい。また、かかる事案が発生した際の対応と再発防止につき、考え方をお示し下さい。

三 まちづくりにおける都民参加について
 本年7月より、「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)」への意見募集が行われました。
1 意見募集の状況につき、ご説明下さい。
2 優先整備路線等を除く未着手の都市計画道路を意見募集の対象としていますが、優先整備路線等を見直しから除いた理由を改めてご説明下さい。
3 優先整備路線等に対する意見が提出された場合の対応と今回の実数をお示し下さい。
4 平成28年3月に「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」で示された優先整備路線等の着手の状況と課題につき、ご説明下さい。
5 整備路線上に都市公園があった場合の対応について、ご説明下さい。また、そのことを理由に見直しの対象にすることになり得るのか、ご説明下さい。

四 インターナショナルスクールの移転問題について
 渋谷区立神宮前小学校内にあった、2018年6月まであったNPO法人国際交流学級(インターナショナルスクールホライゾン学園の分校)について、以下、伺います。
1 設立認証、事業開始から現在地への移転に至るまでの経緯をお示し下さい。
2 NPO法人についての認証基準がどうであり、どのように審査されたのか、ご説明下さい。
3 「品川インターナショナルスクール」(東京SIS)として、品川区に移転したが、ホームページによると現在、学校法人になっています。その経緯をお示し下さい。
4 2016年「アフメット・ビュレント・メリチ駐日トルコ大使は20日、記者会見し、クーデター未遂事件について「明らかに(米国在住のイスラム教指導者である)ギュレン師の企てだ。関わりが深い学校や教会が日本にもあり、日本政府に活動停止を求めている」と明らかにしたそうです。トルコ政府は事件後、同師の支持者をテロ組織とみなして、排除に躍起になっている。」との報道がなされています。この団体と関連が深い私立の学校について都は把握しているのか、伺います。
5 この件に関連し、都の公文書の情報公開非開示に関し訴訟が起こされ、9月12日に東京地方裁判所で情報公開非開示取消訴訟一部開示の勝訴判決が出たが、一般的な考え方として、一度非開示としたものを、訴訟等で違法または不当と認められた場合の都の考え方を伺います。

令和元年第三回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 知事のトップマネジメントについて
1 都市間交流について
ア 関東大震災朝鮮人虐殺にかかる追悼文について
 a これまでの前例を覆し中止をしたのか、判断の理由と、根拠としたエビデンスを伺う。

回答
 これまで慣例的に追悼文を送付してきましたが、毎年、9月と3月に行われている大法要において、関東大震災という大きな災害で犠牲となった全ての方々に哀悼の意を表していることから、個別の形で追悼文を送付することを控えさせていただいています。
 都知事として、東京で起こった甚大な災害とそれに続く様々な事情で亡くなられた全ての方々に対して、慰霊する気持ちに変わりはありません。

質問事項
一の1のアのb 今般、日韓関係も悪化している中での、国の専権事項を度外視した判断ではないか見解を伺う。

回答
 毎年、9月と3月に都立横網町公園内の慰霊堂で行われている大法要において、都知事として、関東大震災、また、先の大戦で犠牲となられた全ての方々へ哀悼の意を表しているものです。

質問事項
一の1のアのc オリンピック・パラリンピックのホストシティとして、韓国によるボイコットに至るような歴史修正主義と受け取られかねないか、その場合の責任、影響についていかなる検討がされ、最終的な判断が誰によってされたのか具体的かつ、時系列で伺う。

回答
 毎年、9月と3月に行われている大法要において、関東大震災という大きな災害で犠牲となった全ての方々に哀悼の意を表していることから、平成29年度に、都知事として、個別の形で追悼文を送付することを控えさせていただくことを判断しました。

質問事項
一の1のアのd 追悼文の中止にかかる大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国両者及び関連団体、都民から都及び知事への抗議の状況を過去3年につき詳細を伺う。

回答
 大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国から抗議は受けていません。
 団体については、平成29年度は4団体、平成30年度は5団体、令和元年度は5団体から、追悼文送付の要請を受けています。
 また、都民等からは、平成29年度は515件(抗議383件、賛成113件、その他19件)、平成30年度は101件(抗議94件、賛成6件、その他1件)、令和元年度は22件(抗議15件、賛成7件)の御意見を頂戴しています。

質問事項
一の1のイ 「日本国東京都と中華人民共和国北京市の交流・協力に関わる合意書」について
 a 「提携40周年を契機に」ということであるが、急遽、唐突に見える合意書締結に至った交渉過程と庁内検討過程につき、いつからなにを契機に始まったかを含め、伺う。

回答
 都と北京市は、これまで環境、教育等の分野を中心に、交流・協力を深めてきました。
 平成30年9月、北京市長が訪都して知事と会談した際に、平成31年に都と北京市が友好都市提携40周年を迎えるため、さらなる関係強化を図ることで合意しました。
 関係強化の一環として、北京市及び関係局と協議し、合意書を締結しました。

質問事項
一の1のイのb 「科学技術イノベーション」「介護」「都市計画」の各項目の詳細とこれらが追加された理由を伺う。

回答
 「科学技術イノベーション」では、先端技術に関する情報共有、技術革新に伴う課題の共有、意見交換など、「介護」では、高齢者介護、「都市計画」では、将来の都市像、都市基盤整備及び都市開発などの都市づくりについて、各々交流・協力を進めていきます。
 上記分野は、北京市から提案があり、関係局と協議し、今回の合意書に含めたものです。

質問事項
一の1のイのc 知事は北京市滞在中、前知事により喧伝された「都市外交」ではなく「都市間交流」の語を用いていたように報道等では見受けられたが、その理由を伺う。

回答
 「都市外交」とは、東京都が取り組むすべての国際的な活動を指しており、その一環である都市間の交流として、首長同士の面会や、大都市に共通の課題解決等に向けた職員間の実務的な協力等を行っています。
 なお、今回の北京訪問に当たり、「都市間交流」という語を「都市外交」という語の代わりとして用いたということはありません。

質問事項
一の1のウ 香港訪問について、今般はデモ等による混乱が懸念され同地への訪問は実現しなかったが、今後改めて訪問するのか、今後の対応とその理由を伺う。

回答
 今回の香港訪問は、現地情勢を考慮の上、中止することとしましたが、今後につきましては、その必要性を総合的に判断していきます。

質問事項
一の2 「新たな長期計画(仮称)」の策定について
ア 策定の意図、なぜこの時期に策定するのか伺う。

回答
 東京2020大会を来年に控えた今、その後の東京の将来像を示していく段階を迎えており、今後始まる人口減少や更なる少子高齢化の進展等の課題、IoT、AI等の先端技術がもたらす産業構造や社会構造の大きな変化等を見据え、目指すべき東京の姿とその実現に向けた取組を明らかにする長期戦略の策定を進めています。

質問事項
一の2のイ 策定経費の予算額と明細を伺う。

回答
 (款)総務費、(項)政策企画費、(目)管理費のうち「長期計画の企画・立案」として令和元年度予算に計上している66,649千円の中から、補助業務の委託や印刷など、長期戦略の策定に必要な経費を支出することとしています。

質問事項
一の2のウ 策定作業へのコンサルタント等、外部者への委託等の考え方を伺う。

回答
 長期戦略ビジョン(仮称)の策定に向けた検討を円滑かつ効果的に進めるため、必要なデータや参考資料の収集・分析、将来の東京の姿等を表現するイメージカットの作成を委託しており、契約金額は7,480千円となっています。

質問事項
一の2のエ 同計画が策定された後、来年予定される知事選挙の公約に反映されるのか、知事自身の現状の考えを伺う。

回答
 年末を目途に公表する予定の「長期戦略ビジョン(仮称)」は、首都東京の長期的な羅針盤となる「長期戦略」の土台として、政策の大きな柱などを示すものです。

質問事項
一の3 オリンピック・パラリンピックについて
ア 「五輪選手村事業」について
 a 本年7月26日に、都議会に報告がされないまま新聞報道があった。まず、この報道の真偽につき、改めて伺う。

回答
 本事業は事業期間が長期に及ぶことなどから、将来の景気変動を考慮する必要があるため、特定建築者から提出された資金計画に比べ、「著しい収益増」となることが明らかとなった場合には、敷地譲渡金額の変更について協議する条項を、平成28年12月に締結した敷地譲渡契約書に定めました。
 都は、あらかじめ定めたこの条項を踏まえて、令和元年5月に特定建築者と確認書を取り交わしました。この中では、全ての住戸の引渡しが完了し収益が確定した時点で、分譲予定収入の1パーセントを超える増収があった場合に敷地譲渡金額の変更について協議することとし、増収分については経費等を除き折半することとしています。
 こうしたことから報道の「都有地の売却額が安すぎたとの指摘があり都が事業者との間で算定基準を協議していた」との部分は事実と異なります。
 また、「都の増収は100億円を超える可能性がある」との報道がありますが、特定建築者は期分けしてマンション分譲を開始したばかりで、本事業が「著しい収益増」に該当するか否か、現時点においては判断できません。

質問事項
一の3のアのb なぜ都民軽視、議会軽視ともいえるマスコミ報道が先行したのか、適正な手順であったのかを伺う。

回答
 都は、特定建築者を公募する際、「特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議する」と特定建築者募集要領に明記し、平成28年5月に公表しています。
 その上で、平成28年12月には、特定建築者が特定建築者応募時に提出した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合には、敷地譲渡金額の変更について協議する条項を定めて敷地譲渡契約を締結しています。
 この条項を踏まえて、全ての住戸の引渡しが完了し収益が確定した時点で、分譲予定収入の1パーセントを超える増収があった場合に敷地譲渡金額の変更について協議することとし、増収分については経費等を除き折半することとする確認書を、令和元年5月に特定建築者と取り交わしました。
 増収があった場合の敷地譲渡契約の変更協議の取扱いについては、令和元年第二回定例会での答弁を通じて公表しています。

質問事項
一の3のアのc 追納額が販売価格に転嫁されることはないのか、報道が先行したことへの不動産価値への影響につき、所見を伺う。

回答
 敷地譲渡金額の変更については、全ての住戸の引渡しが完了し、収益が確定した時点で協議していくこととされています。
 このため、追納額の転嫁などマンションの販売価格への影響はないものと考えます。

質問事項
一の3のアのd これまでの選手村事業の経緯と事業者の選定、契約経過・内容についてと、現時点での選手村事業全容を伺う。

回答
 大会後の選手村は、人々が交流し、都市生活を楽しむことができる成熟したまちを目指し、多様なニーズに対応した幅広い住戸バリエーションを提供するとともに、保育施設等も整備していきます。
 また、選手村と隣接して、中央区が小中学校を整備予定です。
 選手村のまちづくりは、現在、特定建築者制度を活用した市街地再開発事業により進めています。特定建築者の決定の経緯等は以下のとおりです。
 ・平成28年5月 特定建築者の公募(募集要領に敷地譲渡金額について協議することを明記)
 ・平成28年9月 特定建築者の決定
 ・平成28年12月 特定建築者と敷地譲渡契約を締結(契約書に敷地譲渡金額の変更について協議する条項を規定)
 ・平成29年1月 建築工事に着手
 ・令和元年5月 特定建築者と敷地譲渡金額の変更に係る算定基準に関する確認書を締結(分譲街区)

質問事項
一の3のイ ボランティアについて
 a 今夏はテストイベントが行われ、併せて熱中症の調査が行われた。対策を個々人の判断に委ねるのは危険と考えている。3万名にも及ぶシティキャストの熱中症対策の現時点の考え、具体策を伺う。

回答
 東京2020大会においては、屋外で活動することの多いシティキャストの暑さ対策を適切に実施し、安全に活動いただけるよう取り組むことが重要です。
 このため、都はこの夏のテストイベントにおいて、リーダー経験のあるシティキャスト応募者に、会場最寄り駅等で観客案内を行って頂くなどの検証を行いました。
 現在、テストイベントの検証結果も踏まえ、適切な活動時間の決定や、こまめな休憩時間の確保などについて検討しています。
 また、暑さをしのげる休憩場所の確保や活動中の飲料水の提供、水分補給に関する注意喚起等を行うこととしています。

質問事項
一の3のイのb シティキャスト(都市ボランティア)への都立校生の応募案内について
 Ⅰ 一部報道によれば、昨年末、都教育委員会が10万枚の応募用紙を都立高校に配布し、生徒たちに応募を強いたのではないかとのことで、世間の耳目を集めた。報道の内容は正確なのか、かかる状況を教育委員会は確認しているのか。それに対して、通知など、いかなる対応をしたのか伺う。

回答
 都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック準備局で募集していたシティキャストの応募の周知について各都立学校に依頼しました。
 都教育委員会は、応募の周知に当たり、応募を強制した事実はありません。
 都教育委員会が、当該校に確認を行ったところ、「シティキャストに申し込む最後のチャンスであり、興味のある人は、積極的に応募してください。」という案内を行ったとの報告を受けています。
 同校に対しては、主旨を再度説明するとともに、応募が必須と感じてしまった生徒への丁寧な説明を行うように促しました。

質問事項
一の3のイのbのⅡ 通知の現場への周知、公募の方法、現時点の人数につき、都立校生のボランティア公募の状況はどうなのか伺う。

回答
 都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック準備局で募集していたシティキャストの応募の周知について各都立学校に依頼しました。
 各都立学校は、応募対象となる生徒に対し、周知を行いました。その結果、都教育委員会に1,204名の生徒から「応募申込用紙」の提出がありました。

質問事項
一の3のイのbのⅢ 報道にあったような強制の有無を教育委員会は確認しているのか、現在はしていないか伺う。また、応募後の辞退を認めているのか伺う。

回答
 都教育委員会が、当該校に確認を行ったところ、「シティキャストに申し込む最後のチャンスであり、興味のある人は、積極的に応募してください。」という案内を行ったとの報告を受けています。
 同校に対しては、主旨を再度説明するとともに、応募が必須と感じてしまった生徒への丁寧な説明を行うように促しました。
 本事業は、応募者自らの意思に基づくボランティアであり、「応募申込用紙」にも、「辞退される場合は、速やかに連絡してください。」と明記されています。

質問事項
一の3のイのbのⅣ 応募にあたり個人情報保護はされており、応募の有無で不利益を受けることは絶対にないのか伺う。

回答
 生徒から提出されたシティキャストの「応募申込用紙」は、都教育委員会で取りまとめた後、オリンピック・パラリンピック準備局へ提出しています。
 収集・管理する生徒の個人情報については、個人情報の保護に関する法律及び東京都個人情報の保護に関する条例を遵守し、それらの保護に努めます。
 本応募は、個人の自由意思により行われるものであり、応募しなかった生徒が不利益を被ることはありません。

質問事項
一の3のイのbのⅤ 小学校に楽器演奏や旗振り応援などで強制的に動員する通達をしてるか、教育委員会に伺う。いざ熱中症で子どもが倒れた場合、責任主体は誰か伺う。

回答
 都教育委員会は、公立小学校に対して、楽器演奏や旗振り応援などについて通知を発出した事実はありません。
 18歳以上の未成年の方も含め、シティキャストへのこまめな休憩時間の確保や水分補給の徹底など、都は運営主体として、シティキャストが安全に活動できる環境づくりに取り組んでいます。

質問事項
二 子ども・若者政策について
1 子どもの権利について
ア 「子どもの権利ノート」について、児童養護施設等に、幼児用、小学生用、中高生用を配布をしている。社会経済状況も変わり、子ども自身を取り巻く状況も大きく変化する中、内容は適切と考えるか、改訂すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 「子どもの権利ノート」には、児童の権利に関する条約を踏まえ、子供の権利に係る普遍的な事項を盛り込んでおり、内容は現時点で適切であると考えています。
 イラストやレイアウトは、今後の増刷の際に見直すとともに、今後、改訂する必要が生じた際には、適切に対応していきます。

質問事項
二の1のイ 本年、児童福祉法改正に伴い国より「子どもの意見表明」、「SOSの保証」が通知されているが、都の子どもの権利の普及啓発においてどう具体的に反映しているか伺う。

回答
 都は、「子どもの権利ノート」に「意見や希望を言うことができる」と記載するとともに、困ったときの相談先として都の主な相談窓口を紹介しています。
 また、平成31年4月施行の東京都子供への虐待の防止等に関する条例では、子供の年齢及び発達の程度に応じて意見を尊重することを基本理念として規定し、周知を図っています。
 国は、児童の意見表明権を保障する仕組みについて、改正児童福祉法の施行後2年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるとしています。
 都としては、国の検討状況を踏まえつつ、今後とも、子供本人から直接相談を受ける取組などを記載したリーフレット等を通じて、広く子供たちへの周知を図り、相談窓口の積極的な活用を推進していきます。

質問事項
二の1のウ 学校で子どもの権利を学ぶ必要があると思うが、取組状況を伺う。

回答
 学習指導要領には、学校において、子供が自分の良さや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値の存在として尊重することができるようにすることが求められていると示されています。
 また、都教育委員会は、「東京都人権施策推進指針」に基づき、人権尊重の理念を広く社会に定着させ、あらゆる偏見や差別意識をなくすための人権教育を推進しています。
 都内各公立学校では、これらを踏まえ、特別の教科道徳や特別活動において、子供たちが互いの良さを見付け、違いを尊重することの大切さを理解できるようにするなど、全ての教育活動において、自分の人権を守り、他者の人権を守るための行動につながるような態度を育む指導を行っています。

質問事項
二の1のエ 東京都子ども権利擁護専門員について、設置の経過、活動実績につき、伺う。

回答
 都は、子供の権利に関する専門的な相談と権利侵害への具体的な対応等を行うため、平成10年11月からの約5年間の試行期間を経て、平成16年度から子供の権利擁護専門相談事業を開始しました。
 本事業では、子供本人からの悩みや訴えを相談員が電話で受けるとともに、深刻な相談については、弁護士などの専門員が直接面接を行い、適切な支援を行っています。
 平成30年度の実績は、相談件数1,433件、うち権利擁護に係る相談233件となっています。
 専門員が対応した件数は、平成30年度は30件、平成16年度以降の年平均は31件となっています。

質問事項
二の2 児童相談所について
ア 一時保護所について
 a 報道等により、児童相談所一時保護所について、第三者委員が福祉保健局に子どもを管理するルールを「過剰な規制で人権侵害にあたる」と指摘していたことが、明らかになった。第三者委員が発足した理由、経緯、人選につき、伺う。

回答
 平成26年度に東京都児童福祉審議会から、一時保護所入所児童の権利擁護と施設運営の向上を図るため、外部評価の導入を検討するよう提言がありました。
 それを受け、平成27年度に児童相談センターで外部評価を試行的に実施し、その結果を踏まえ、平成28年度、都内全7か所の一時保護所で開始しました。
 平成28年度の外部評価により、権利擁護の取組として、児童が意見表明できる窓口の整備が必要であるなどの意見を頂いたことから、平成29年度に第三者委員設置について検討し、一時保護所入所児童が意見表明するに当たって、社会性や客観性を確保するとともに、入所児童の立場や特性に配慮した適切な対応を図るため、平成30年度に第三者委員を設置しました。
 第三者委員には、公平性・中立性を担保でき、権利擁護の視点に立った総合的な支援を行えるよう、弁護士を選任しています。

質問事項
二の2のアのb 第三者委員会意見書を受けての都の見解と具体的な対応策、取組を伺う。

回答
 都は、一時保護所に関する第三者委員からの意見書の御指摘については、真摯に受け止めています。
 個々の児童に寄り添い、その状況に配慮した支援を行うためには、職員が児童にしっかりと向き合い、能力を十分に発揮できる環境の整備が重要です。
 そのため都は、一時保護所の職員を国基準より厚く配置し、職員が児童の支援に専念できるよう、補助業務を行う非常勤職員を配置するほか、令和元年度には専門職を16名増員するとともに、児童の入所定員を237名まで拡大しました。
 現在、一時保護に関して職員が方針を共有するための要領の策定を進めており、専門家の意見も聴きながら、令和元年度中に取りまとめていきます。

質問事項
二の2のアのc 同報告を受けての職員への周知の状況と、受け止め、反応につき、伺う。

回答
 都では、今回の意見書について、児童相談所長会等で周知するとともに、一時保護所の職員に対しては、所長による個別の面接時に意見書の内容を共有し意見交換を実施しています。
 職員は意見書の内容を真摯に受け止めており、子供との日常的な接し方の改善や子供の意見表明機会の更なる確保など、職員からは様々な意見が挙がっています。
 都は、令和元年9月から入所時の髪の黒染めを取りやめ、児童の声を聴くための意見箱を設置するなど、児童が安心して生活できるよう一時保護所の支援力の向上を図っています。
 さらに現在、一時保護に関して職員が方針を共有するための要領の策定を進めており、あわせて、一時保護所職員としての基本姿勢や児童への援助方法等を具体的に定めた運営の手引きも改正していきます。

質問事項
二の2のアのd 一時保護所にも「子どもの権利ノート」のようなしっかりした冊子が必要と考えるが、所見を伺う。また、「一時保護所のしおり」はなぜ、各人に配布しないのか伺う。

回答
一時保護所入所児童に対しては、子供の権利や困ったときの相談方法など必要な事項を記載したリーフレットを作成し、担当児童福祉司が配布の上、説明しています。
 「一時保護所のしおり」は、一時保護所での生活を入所時に説明する際に使用しており、児童の名前を裏面に記入した上で、いつでも見ることができるよう、各所において様々な方法で保管しています。

質問事項
二の2のイ 組織体制について
 a 都・区市町村が関与しながら虐待死した子どもの人数と虐待種別過去10年分を年別に伺う。

回答
 平成21年度から平成30年度までの10年間で、都及び区市町村が関与しながら虐待により死亡に至った子供は30人です。
 そのうち、「虐待による死亡事例(心中を含む)」は15人、「虐待とは特定されないが、死亡に至った経緯の中で虐待が疑われる事例」は10人、「乳児死体遺棄の事例」は1人、「その他」は4人です。

質問事項
二の2のイのb 児童相談所職員が一人で抱える平均件数につき、過去5年分を年別に伺う。

回答
 平成26年度から平成30年度までの各年度の児童福祉司一人当たりの相談件数は、それぞれ、108.5件、115.0件、118.6件、112.9件、117.9件となっています。

質問事項
二の2のイのc 複数の、児相対応を受けた都民から担当者が氏名を積極的に名乗らず、フルネームを尋ねても、名刺を求めても対応しないとのクレームを頂いている。現行の相談者等と対応時の担当者の職務連絡先の明示方法を伺う。

回答
 児童相談所職員は、初めて対応する相談者等に対して、氏名を名乗り、名刺やパンフレット等により連絡先を伝えています。

質問事項
二の2のイのd 保護者等相談者に対し、職員が名刺を渡す等氏名連絡先を明示している場合はどのような方法で行われているか、行われていない場合はなぜなのか、改善を求め、現状とその理由を伺う。

回答
 前述のとおり、児童相談所職員は、初めて対応する相談者等に対して、氏名を名乗り、名刺やパンフレット等により連絡先を伝えています。

質問事項
二の2のイのe 人材確保と増員の状況と育成、それに付随した児相におけるスペース確保はどうなっているのか、取組を伺う。

回答
 都は深刻化する児童虐待に的確に対応するため、令和元年度に児童福祉司、児童心理司、一時保護所職員等を合計65名増員しました。
 職員の育成に当たっては、毎年度策定する研修計画に基づき、職員の経験等に応じて、幅広い内容の研修を行っているほか、新任職員については、個別指導等を担う児童福祉司OB等が、面接への同席や家庭訪問への同行などのOJTを通じて、実務能力の向上に取り組んでいます。
 児童相談所の体制強化に伴い執務室が狭あい化した場合には、改修工事や移転により執務室を拡張するほか、室内のレイアウトの工夫や備品の買換えなどにより執務スペースを確保しています。

質問事項
二の2のイのf 現場における、福祉職と行政職の業務の役割分担とマッチングはうまくいっているか、現状と取組を伺う。

回答
 児童相談所長及び児童福祉司は、児童福祉法により、社会福祉士や児童福祉施設等で一定の経験を積んだ者であって、さらに厚生労働大臣が定める基準に適合する研修を受けることが任用資格となっており、都では、福祉職、行政職にかかわらず、この資格を持った者を任用しています。
 児童相談所では、緊急受理会議や緊急安全確認会議、チーム協議、援助方針会議といった児童の援助決定に係る様々な場面で、所長や児童福祉司のほか、児童心理司や医師、警察OB、保健師など、様々な専門職がケースの課題や援助方針等を共有しています。

質問事項
二の2のイのg 職員に対する人権教育、ことに昨今仙台市で発生したような性的暴力が行われないか懸念している。実態把握と人権研修、子どもへの性的を含むハラスメント防止対策につき、伺う。

回答
一時保護所では、入所時に担当児童福祉司がリーフレットを活用し、子供自身が困っていることや、不安などを相談できるよう説明するとともに、「子供の権利擁護相談用紙」により、子供自身が児童相談所職員、東京都子供の権利擁護専門員宛てに意見表明できる仕組みを整えています。
 子供の状況については、児童福祉司や児童心理司などが定期的に面接を行い、把握に努めています。
 また、外部評価の受審や第三者委員の設置により、児童の権利擁護と施設運営の質の向上を図るとともに、一時保護所職員の人権意識を高めるため、全ての職員が定期的に受講する人権研修に加え、新任職員に対して子供の権利擁護に関する研修を実施しています。

質問事項
二の2のイのh 非行少年対応と虐待児童の分離の対応状況につき、第三者委員意見書を受けて、改めて現状と課題を伺う。

回答
一時保護所入所児童の中には、主訴が「虐待」で、児童自身が情緒的な問題を抱えている場合や、保護者が疾病や障害を抱えている場合もあり、また、主訴が「非行」で、過去に虐待を受けていた場合もあるなど、児童の抱える課題や養育環境は様々です。
 第三者委員の意見書の中では、一時保護所の現状と業務の困難性の一因として、保護される児童の多くが、虐待や非行、家庭内暴力、障害など複合的な困難を抱えており、そうした多様な児童が集団生活をしなければならない点が挙げられています。
 現在、都の一時保護所では、児童の権利を尊重し、擁護することを基本方針に、必要に応じて個室を活用するなど個々の児童の状況や課題に配慮した支援を行っています。
 また、一時保護所の建替え等に当たっては、個人としての生活空間の確保や個別的なケアが適切に行えるよう、居室を原則個室化することとしており、今後とも、児童の安全・安心を確保し、一人一人の状況に応じた丁寧な支援を行っていきます。

質問事項
二の2のウ 特別区への児童相談所移管の進捗状況を先進3区及び人材育成を重視し延期した新宿区を中心に現状と見通しを伺う。

回答
 都は、平成29年度から、世田谷区、荒川区及び江戸川区と、児童相談所設置に係る計画案の確認を行ってきました。
 特別区が児童相談所を設置する場合、政令で個別に指定を受ける必要があり、平成31年4月に、三区は計画案を添えて国に政令指定を要請し、8月に、三区を児童相談所設置市に指定する児童福祉法施行令の一部を改正する政令が公布されました。
 世田谷区及び江戸川区は令和2年4月、荒川区は7月の開設を予定しており、都は現在、各区と相談事案の引継ぎ等に係る協議を行っています。
 新宿区については、令和3年4月に予定していた児童相談所の開設を3年以上延期することとしており、都は新宿区から、区が建設中の児童相談所関連施設の活用について提案を受けています。

質問事項
二の2のエ 児童の予期せぬ妊娠について
 a 児相における取組を、相談から産後のケア、育てられない場合の養育体制(区市町村・児相連携)につき、伺う。

回答
 区市町村は支援を要する未成年の妊婦を把握した場合、保健所・保健センター及び子供家庭支援センターで連携し、妊娠・出産への悩み、家族構成などの確認やアセスメントを行うとともに、要保護児童対策地域協議会で産後のケアや養育体制も含め、支援方針等を協議し、児童相談所などの関係機関が連携して継続的に支援しています。
 出生後、養育が困難な場合には、児童相談所は里親委託や乳児院入所等を含めた支援を行っています。

質問事項
二の2のエのb 特別養子縁組、里親委託について各児相で温度差があるやに思う。特定妊婦にこの制度をどう選択肢として提示し、どのように対策を各児相においてすすめているかにつき、伺う。

回答
 要保護児童の措置に当たっては、児童の福祉を第一に考え、児童の心身の発達状況や保護者の家庭引取りの可能性など、児童一人一人の状況を総合的に勘案し決定しています。
 養育家庭への委託に不安を抱く実親に対しては、家庭的な環境が児童の成長を促すこと、そのため養育家庭委託が望ましいことなどを説明しています。
 また、医療機関や区市町村等から支援を要する妊婦の情報が入り、その状況を把握し、養子縁組が最善と判断した場合には、できる限り新生児のうちに委託できるよう、児童相談所と乳児院に専任職員を配置し、養育の支援等を行う新生児委託推進事業を実施しています。

質問事項
二の2のオ 新生児の措置先確保の取組状況と課題につき、伺う。

回答
 都は、新生児委託推進事業において、新生児と里親がいつでも交流を開始できるよう、里親に対してあらかじめ研修を行い、新生児と里親の交流期間中は、養育に関する助言や里親子関係のアセスメントを実施しています。
 平成29年度の事業開始から令和元年9月末までに、24家庭が研修を受講しており、10名の乳児を里親へ委託しています。
 本事業については、令和元年7月に開催した児童福祉審議会専門部会で、必要な時期に確実に委託できる体制整備が必要であるなどの御意見を頂いています。

質問事項
二の3 保育園待機児童問題について
ア 無償化による現時点の課題につき、伺う。

回答
 幼児教育・保育の無償化や、それに併せて実施する、都独自の多子世帯への支援に係る事業に取り組む区市町村に新たな事務負担が生じることから、都は、区市町村が制度の内容や事務処理方法等の理解を深め、円滑に事業を実施できるよう、平成30年度から、国との意見交換会や、国の担当者も招聘した説明会を開催する等、区市町村の取組を支援してきました。
 また、都は、国の子ども・子育て支援事業費補助金により、無償化に係るシステム改修費や事務費を支援しています。
 無償化は3歳から5歳までの子供がいる全ての世帯及び0歳から2歳までの子供がいる住民税非課税世帯が対象となっており、平成31年4月現在の待機児童数に占める3歳から5歳までの子供の割合は約5パーセントとなっていることから、無償化による保育需要への影響については限定的と考えています。
 引き続き、東京都待機児童対策協議会等で無償化実施後の状況を把握し、区市町村の取組を支援していきます。

質問事項
二の3のイ 保育人材と質の担保につき、取組と課題を伺う。

回答
 都は、保育人材の確保・定着を図るため、キャリアアップ補助や宿舎借り上げ支援、保育人材コーディネーターによる就職相談や定着支援、育児休業などでブランクのある方などを対象にした研修、保育士の復職を支援するための資金貸付などを実施しています。
 また、保育士の資質向上を図るため、令和元年度から、より身近な地域での「保育士等キャリアアップ研修」の受講機会を確保できるよう、区市町村が研修を実施する際に支援するとともに、地域ごとの園長会を活用し、職員の相互交流により他施設における保育実践を学び合うなど、職員の資質向上につながる施設間交流の促進等に取り組む区市町村への支援も開始しました。

質問事項
二の3のウ 自治体間格差の現状と課題につき、伺う。

回答
 待機児童数は、各区市町村が、国の保育所等利用待機児童数調査要領に基づき算定しており、平成31年4月の都内の待機児童数は、最多が世田谷区で470人、13自治体は0人となっています。
 都は、保育サービスの拡充に向け、区市町村や認証保育所を始めとした事業者の整備費の負担軽減や、都有地の減額貸付け、国有地、民有地の賃借料補助など様々な整備促進策を実施しています。

質問事項
二の3のエ 今後について将来的に少子化に伴い定員割れが想定されることもあると思料する。すでに、定員割れが発生している地域や保育所はあるのかの状況と今後想定される課題認識と対応策につき、伺う。

回答
 平成31年4月の都内の認可保育所の定員数は285,121人、利用児童数は269,627人、入所率は約95パーセントです。
 認可保育所の定員は、開設初年度の3歳児から5歳児は空きが生じ、年齢進行に伴い充足していく傾向にあります。
 そのため、区市町村では、認可保育所の開設初年度から数年間は保育所内の空きスペースを活用して一時預かり事業や定期利用保育事業などを実施しています。
 都は、令和元年7月、待機児童数が多い自治体にヒアリングを実施し、待機児童や空き定員の状況、各自治体の保育施策の取組、都への施策要望等について意見交換を行いました。
 こうした結果を踏まえ、認可保育所の空き定員を有効活用して、待機児童が多い1歳児の受入れを促進する仕組みを更に充実し、区市町村に活用を働きかけています。

質問事項
二の4 教育政策について
ア 不登校について
 a 2016年に成立した義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律についての国からの通知を受けての都の対応状況、所管体制について伺う。

回答
 都は、平成29年1月に、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」について、文部科学省からの通知を受け、区市町村教育委員会及び都立学校長及び私立学校長宛てに通知し、その内容等について周知しました。
 また、都教育委員会は、同法の趣旨を踏まえ、平成29年度から、「教育支援センター機能強化モデル事業」を実施し、教育支援センターでの指導・相談の体制を充実させるとともに、学校への移行を前提とした分教室型による不登校特例校の設置を促進するなどして、区市町村教育委員会の取組を支援しています。
 なお、この法律に係る事項の所管は、公立小・中学校については、都教育委員会、私立小・中学校については生活文化局となっています。

質問事項
二の4のアのb 都内小・中学校における不登校児童・生徒数及び出現率について伺う。また、どのような項目を調査しているのか伺う。

回答
 文部科学省が毎年度実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査」では、平成29年度の都内公立小・中学校における不登校児童・生徒数は、小学校が3,226人、中学校が8,762人であり、その出現率は小学校が0.56パーセント、中学校が3.78パーセントとなっています。
 なお、本調査の項目としては、これらのほかに、「不登校児童・生徒への指導結果の状況」、「不登校の要因」、「相談・指導を受けた学校外の機関等」等が設定されています。

質問事項
二の4のアのc 不登校児童・生徒への学校以外の選択肢(公的支援機関・フリースクール・サポート校・家庭学習・その他)をどう周知し、マッチングしているか、また、保護者を含めた支援の状況について伺う。

回答
 区市町村教育委員会や小・中学校においては、不登校児童・生徒の状況や希望する進路等を踏まえて、保護者や児童・生徒に教育支援センター等、公共の支援機関に関する情報を提供し、支援を行うとともに、必要な場合には、フリースクール等の民間施設・団体に関する情報についても周知しています。
 なお、都教育委員会は、平成28年度から、区市町村教育委員会、学校、フリースクールの代表による意見交換会を実施し、その内容を、区市町村教育委員会の不登校対策担当者が出席する連絡会等で報告しています。

質問事項
二の4のアのd 同法についての教職員への周知の状況について伺う。

回答
 これまで、都教育委員会は、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の趣旨や内容について、区市町村教育委員会の担当者連絡会や、生活指導を担当する教員の研修会等において周知してきました。
 引き続き、不登校対策に関する研修等の中で、同法に対する教職員の理解啓発を図っていきます。

質問事項
二の4のアのe 都営交通において、小・中学校及び高等学校における不登校の児童生徒への通学定期券の利用について、伺う。特に高校生年代で、学校に在籍していない者について、利用できるのか伺う。

回答
 都営交通では、小・中学校及び高等学校の児童生徒が、不登校であっても在籍する学校への通学定期券を発行しています。
 また、不登校児童生徒が、学校外の公的機関や民間施設で指導等を受けるために通所する場合にも、在籍する学校長の承認を得た者については、当該施設等への通学定期券を発行しています。
 なお、高校生年代で、高等学校等に在籍していない者については、通学定期券を発行していません。

質問事項
二の4のイ 長期休暇明けの自殺対策について
 a 都内公立学校における過去3年間の児童・生徒の自殺状況と都教育委員会の自殺予防の対策、特に長期休業明けに向けた取組について伺う。

回答
 都内公立学校における過去3年間の児童・生徒の自殺者数は、平成27年度16人、平成28年度18人、平成29年度17人となっています。
 都教育委員会は、平成29年度に、自殺対策の専門家等による協議を踏まえ、子供が不安や悩みを抱えたときに身近にいる信頼できる大人に相談することの大切さなどについて学ぶDVD教材を開発し、都内全公立学校に配布しました。
 また、毎年度、全校長を対象とした「自殺予防教育連絡会」を開催し、このDVD教材の効果的な活用方法を紹介するなどして、学校の取組を支援しています。
 さらに、長期休業明けにかけて、全国的に18歳以下の自殺が増加する傾向を踏まえ、長期休業前に、全ての児童・生徒に、24時間受付の「東京都いじめ相談ホットライン」や、令和元年度から都内国公私立中学生・高校生を対象に通年で設置しているSNS教育相談等の窓口について周知するとともに、各学校に対し、気になる様子が見られる児童・生徒に丁寧な声掛けをするよう通知するなどして、自殺対策の強化を図っています。

質問事項
二の4のイのb 私立学校の児童生徒への対応状況とどのようなセーフティネットがあるのか伺う。

回答
 都は、児童生徒の自殺件数が増加する傾向がある春休みや夏休みなどの長期休業明けの時期にかけて、毎年、全ての私立小、中、高等学校及び特別支援学校に対し、悩みを抱える児童生徒の早期発見のためのアンケートの実施や、SOSの出し方に関する教育の実施など、学校現場において児童生徒の自殺予防に必要な取組を周知しています。
 また、児童生徒がひとりで悩みを抱え込まないように、生きるのがつらいという気持ちを受けとめる「東京都自殺相談ダイヤル」をはじめ、いじめ、学校生活、家族関係等の悩みの相談を24時間電話で受け付ける「教育相談一般・東京都いじめ相談ホットライン」や、LINEで相談を受け付ける「相談ほっとLINE@東京」等の連絡先を記載したポケットメモを作成し、学校を通じて児童生徒に配布しています。

質問事項
二の4のウ 部活動について
 a 出資団体による人材バンク事業について、立ち上げの状況と現在の取組について伺う。

回答
 都教育委員会は、学校をきめ細かくサポートする全国初の多角的支援機関として、令和元年7月に一般財団法人東京学校支援機構を設立しました。同機構は、令和2年度以降、多様な外部人材の確保機能、教員サポート機能、学校の事務センター機能により、学校を多角的に支援していきます。
 とりわけ外部人材の確保に関しては、これまで個々の教員や学校がもつネットワーク等に頼らざるを得ないという限界があり、人選等に苦労している状況がありました。そのため人材バンクを設置し、御協力いただける企業や大学などを開拓するとともに、機構に配置する専門スタッフの豊富な経験を生かして、より多くの人材情報を収集・蓄積し、部活動指導員など学校が求める人材の情報を的確に提供していきます。さらに、児童生徒への接し方等の事前研修を行うことなどにより、学校の負担を軽減しつつ人材の活躍を促進していきます。
 今後、人材バンクの事業開始に向け、人材の募集や登録を令和元年度から先行して実施し、学校が必要とする外部人材が令和2年度当初から活動できるよう取り組むことなどにより、多様な人材の活躍による教員の負担軽減と教育の質の向上を推進していきます。

質問事項
二の4のウのb 部活動にかかる懲戒処分、不適切事案につき、過去3年の年度別状況、対応を伺う。

回答
 部活動において発生した体罰や不適切な指導等に対して懲戒処分又は文書訓告・口頭注意の措置を行った事案は、平成28年度に懲戒処分10件・措置5件、平成29年度に懲戒処分5件・措置2件、平成30年度に懲戒処分8件・措置7件です。

質問事項
二の4のエ 教職員への懲戒処分の状況について、このところ、内容に問題のある懲戒処分が頻発してるように見受けられるが、現状と対策、職場復帰の状況・課題を伺う。

回答
 平成30年度に都教育委員会が行った懲戒処分101件のうち、免職とした事案は29件でした。
 こうした非違行為は児童・生徒へ多大な影響を及ぼすことから、未然防止に向けた取組は重要と考えます。そのため、都教育委員会では教職員の服務に関するガイドラインを全教職員に配布しているほか、年二回の服務事故防止月間には全学校で服務事故防止研修を行う等、未然防止に努めています。
 また、非違行為を行った教職員には厳正に対処し、被処分者に対し服務事故再発防止研修や所属校への巡回指導を行う等、再発防止に努めています。
 懲戒処分を受けた教員の職場復帰に当たっては、状況に応じて、担当学級や学年の変更等必要な措置を行い、現任校に勤務させる、又は区市町村教育委員会と連携し、直近の異動期に配置替えを行うなどの対応を行っています。いずれの場合においても、児童・生徒が安心して教育を受けられる環境を整えることが重要であり、学校設置者である教育委員会や校長がきめ細かな服務管理や指導を行っています。

質問事項
二の4のオ 人権教育プログラムについて
 a 人権教育プログラムの周知の状況を、研修等にいかに活用していくかにつき、伺う。

回答
 都教育委員会は、人権尊重の理念を広く社会に定着させ、あらゆる偏見や差別意識をなくすため、毎年度、人権教育の実践的な手引である「人権教育プログラム」を作成し、公立学校の全教員に配布しています。
 この「人権教育プログラム」の趣旨や校内研修での活用例等について、都内公立学校の管理職等を対象とした人権教育研修会や、区市町村教育委員会の人権教育担当の連絡会等で、繰り返し周知しています。
 今後とも、都教育委員会は、管理職等が実態に応じてこのプログラムに基づく指導を徹底し、教職員一人一人の人権感覚を高めることができるよう、学校の取組を支援していきます。

質問事項
二の4のオのb 体罰ガイドラインの周知につき、現状と課題を伺う。

回答
 体罰は、児童・生徒の人権を侵害するもので、絶対に許されない行為であることから、「人権教育プログラム」においても体罰関連行為のガイドライン等の資料を掲載し、教職員に周知しています。
 今後とも、都教育委員会は、管理職や教職員を対象とした人権教育の研修会等において、本ガイドラインの趣旨の徹底を図ることで、体罰の根絶に向け、一人一人の教員の自覚を促していきます。

質問事項
二の4のオのc 虐待アセスメントにつき、現状と課題を伺う。

回答
 児童虐待は、重大な人権侵害であることから、都教育委員会は、「人権教育プログラム」に、児童虐待の早期発見等のためのチェックリストを掲載するとともに、具体的な事例から学ぶ児童虐待防止研修セットを配布するなどして、教職員が児童虐待防止に向け、適切に対応できるよう啓発を図っています。
 また、管理職等を対象とした研修会において、この研修セットの活用方法について周知しています。
 今後とも、都教育委員会は、学校が、児童相談所、警察、民生委員・児童委員、要保護児童地域対策協議会等の関係機関と一層連携を深め、継続的に児童・生徒の状況を把握していくことができるよう、支援していきます。

質問事項
二の4のオのd 教職員等への児童・生徒・保護者等からの個人の相談、個人情報等センシティブな情報提供について、不適切な取り扱いが報告されている。守秘義務の順守、個人情報の取り扱い、文書管理について、周知と実施状況について伺う。また、かかる事案が発生した際の対応と再発防止につき、考え方を伺う。

回答
 都教育委員会は、教職員が個人情報を適切に取り扱うことができるよう、「人権教育プログラム」に個人情報の管理に関わるチェックポイントを掲載し、学校での活用を促進するなどして、教職員の人権感覚が高められるようにしています。
 教職員による非違行為が発覚した場合には、懲戒処分を行うなど厳正に対処するとともに、懲戒処分を受けた教職員に対しては服務事故再発防止研修等を実施しています。

質問事項
三 まちづくりにおける都民参加について
1 「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)」への意見募集の状況を伺う。

回答
 本基本方針案のパブリックコメントについては、令和元年7月12日から8月12日まで実施し、約430通、約1,100件の御意見を頂きました。
 意見の主な内容としましては、基本方針全般(基本的な考え方等)、検討対象、具体的な検証項目(概成道路等)、検証結果(個別路線等)、住民参加・情報公開、事業中路線・優先整備路線等についてです。

質問事項
三の2 優先整備路線等を除く未着手の都市計画道路を意見募集の対象としているが、優先整備路線等を見直しから除いた理由を改めて伺う。

回答
 優先整備路線は、第四次事業化計画において、東京が目指すべき将来像の実現に向け、都市の活力や防災性の強化、安全で快適な都市空間の創出などの観点から、重要性・緊急性が高い路線として選定し、順次事業化を行っています。
 また、計画内容再検討路線は、同計画において、計画幅員や構造など都市計画の内容について検討を要する路線として位置付け、各路線の課題解決に向け、順次検討を進めています。
 こうしたことから、「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針」においては、これらの路線を検討の対象外としました。

質問事項
三の3 優先整備路線等に対する意見が提出された場合の対応と今回の実数を伺う。

回答
 パブリックコメントに寄せられた意見の中には、優先整備路線等に対する意見もありました。
 「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針」では優先整備路線等は対象外としており、今後公表する「パブリックコメントの結果と対応」において、その理由を含めて検討の対象外である旨を記載する予定です。

質問事項
三の4 平成28年3月に「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」で示された優先整備路線等の着手の状況と課題について伺う。

回答
 第四次事業化計画の優先整備路線については、平成31年3月現在で、都施行139路線のうち、区部5路線、多摩地域9路線に着手しています。
 また、区施行92路線のうち14路線、市町施行72路線のうち8路線、その他施行17路線のうち8路線に着手しています。
 着手への課題としては、例えば、都県境など関係者調整が必要なこと、鉄道交差やまちづくりなど関連事業との調整が必要なこと等が挙げられます。

質問事項
三の5 整備路線上に都市公園があった場合の対応について伺う。また、そのことを理由に見直しの対象にすることになり得るのか伺う。

回答
 優先整備路線と都市公園が重複する場合には、それぞれの箇所ごとに、都市公園の整備状況や利用状況のほか、その重複の程度などを踏まえ、検討、調整の上、都市計画の整合を図るなど、道路整備に向けた対応策を取りまとめることになります。

質問事項
四 インターナショナルスクールの移転問題について
1 渋谷区立神宮前小学校内に2018年6月まであったNPO法人国際交流学級(インターナショナルスクールホライゾン学園の分校)について、設立認証、事業開始から現在地への移転に至るまでの経緯を伺う。

回答
 特定非営利活動法人国際交流学級は、平成21年4月に都へ設立認証の申請があり、同年8月に認証した団体です。
 事業報告書によれば、平成21年度に事業を開始しています。
 主たる事務所の所在地については、平成30年7月に渋谷区から品川区へ移転した旨、同年8月に当該法人より都へ届出がありました。

質問事項
四の2 NPO法人についての認証基準がどうであり、どのように審査されたのか伺う。

回答
 特定非営利活動法人の認証は、特定非営利活動促進法に定められた要件に適合すると認めたとき、所轄庁は設立を認証しなければならないとされています。
 都は、当該法人について、設立認証申請書類に記載された内容に公益性があり、営利を目的としていないことや、役員に欠格事由がないことなど法の要件に照らして審査し、適合していたため、認証しました。

質問事項
四の3 「品川インターナショナルスクール」(東京SIS)として、品川区に移転したが、ホームページによると現在、学校法人になっている。その経緯を伺う。

回答
 「品川インターナショナルスクール」は、都が認可した私立学校ではありません。そのため、同校の設立経緯について、都は把握する立場にありません。

質問事項
四の4 2016年、駐日トルコ大使は記者会見し、「クーデター未遂事件について「明らかに(米国在住のイスラム教指導者である)ギュレン師の企てだ。関わりが深い学校や教会が日本にもあり、日本政府に活動停止を求めている」と明らかにした。トルコ政府は事件後、同師の支持者をテロ組織とみなして、排除に躍起になっている。」との報道がされている。この団体と関連が深い私立の学校について都は把握しているのか伺う。

回答
 都が認可した私立学校について、都は、所轄庁として必要な事項を届出や調査等により把握していますが、御指摘のような情報は、把握していません。

質問事項
四の5 この件に関連し、都の公文書の情報公開非開示に関し訴訟が起こされ、9月12日に東京地方裁判所で情報公開非開示取消訴訟一部開示の判決が出たが、一般的な考え方として、一度非開示としたものを、訴訟等で違法または不当と認められた場合の都の考え方を伺う。

回答
 公文書の非開示決定処分について、審査請求がなされ、原処分を取り消す旨の裁決が出た場合は、裁決の結果に従い、改めて開示請求に対する処分を行うこととしています。
 取消訴訟において、原処分を取り消す旨の判決がなされた場合は、判決に不服があるときは、判決の送達を受けた日の翌日から2週間以内に、高等裁判所に控訴の手続を行い、判決に不服がなく、原告も控訴しないときは、判決が確定するので、判決に従い、改めて開示請求に対する処分を行うこととしています。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 グリーンインフラについて
二 食育について

一 グリーンインフラについて
 日本の行政分野で「グリーンインフラ」という用語が登場したのは、2015年国土形成計画で、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラに関する取り組みを推進する―としました。昨年にはグリーンインフラ懇談会を設立し今年「中間整理」を公表、国土交通省は7月に「グリーンインフラ推進戦略」を出しています。その中で、国の社会資本整備重点計画や自治体の気候変動適応計画、緑の基本計画といった各種法定計画にグリーンインフラを位置づけることが述べられており、都が現在策定中の気候変動適応計画にも、グリーンインフラが位置づけられるものと考えています。
 資料には、これまで取り組まれてきた多自然川づくりや生態系ネットワークの形成、官民連携の公園整備、緑地保全などもグリーンインフラの事例として紹介されており、こうした幅広い取り組みをグリーンインフラという概念でまとめるということです。
1 河川整備については、グリーンインフラと言われる以前から、コンクリート三面張りから、河川の特性を踏まえ水辺に親しめる多自然川づくりや緑化などに取り組んでいます。そのねらいと取り組み内容について伺います。
2 治水対策としてグリーンインフラが注目されており、頻発するゲリラ豪雨の水害対策として、活用できるものです。その際には、小規模分散型の普及を図るべきと考えます。
 緑地や花壇など雨水が浸透できる場所や雨水浸透ますを増やすことが効果的です。大きな雨水貯留施設をつくるよりも各建物に雨水浸透ますや貯留タンクを設置するほうが安価で時間もかかりません。大規模な地下構造物による地下水への影響、みずみちの分断を防ぐこともできます。小金井市では、野川の水枯れに危機感を持ち、長年にわたる市民の参加で雨水浸透ますの設置を進め、今では設置率が6割以上になっています。こうした分散型で市民に身近なグリーンインフラを普及させることが重要と考えますが、見解を伺います。
3 東京は、都心だけでなく多摩地域でもコンクリートやアスファルトで覆われる面積が増えています。開発の際には、規模によって緑地を設けるルールをつくっていますが、道路づくりにおける緑地や透水性舗装などの取り組みはどのようにしているか伺います。

二 食育について
 子どもの食物アレルギーや肥満などに加え、社会的な問題として子どもの貧困、外国籍の子どもの増加など学校教育における食育の重要性は一段と高まっており、専門的な立場での指導や調理の監督のできる栄養教諭の役割は成長期の子どもを抱える学校や家庭にとって大きいものと考えます。
 文部科学省調査による2016年度の栄養教諭配置状況では、北海道465人、大阪府439人をはじめ、配置人数が100人以上の道府県が23ある中で、人口の多い東京都は63人しかいません。
1 他の道府県に比べて非常に少ないのはなぜでしょうか。また、配置されている栄養教諭は、学校現場で子どもに対してどのような活動をしているのか伺います。
2 近年アレルギーの子どもが増えており、給食の対応が求められています。また、都内公立学校に在籍する外国人児童・生徒の数は、2014年の9,735人が2018年には14,827人と、年々増加しており、国によっては宗教上の理由などでさまざまな食習慣があり、対応が必要となる子どもも増えていきます。学校給食におけるアレルギーや宗教的な理由で制限のある食事への対応は、どこまでできているのか伺います。
3 夏休みに食事が食べられず痩せてしまう子どもがいたり、地域の子ども食堂を利用する子どもたちも増えています。子どもたちが食事を自分で作ることができるようにすることも重要と考えます。そこで、学校の調理室を使って授業の一環として、弁当作りをする、また、香川県でも実践されている子ども自身が作った弁当を持って登校する「おべんとうの日」など、子どもの自立を促すような取り組みが広がることを期待していますが、見解を伺います。
4 都内でも学校給食に地場野菜を使う地産地消の取り組みが進んでいます。農業者との交流や学童農園など、子どもたちが「農」に触れる機会も増やしています。都立農業系高校ではGAP認証を取得している作物があります。校内販売所で販売しているようですが、近隣の小中学校の学校給食に活用してもらい、交流することが「食」への理解にもつながると考えますが、見解を伺います。
5 地域では、子ども食堂や高齢者への食事提供、男性向けの料理教室が開催されています。先日、ある生協の取り組みとして、野菜を中心とした弁当を提供することによって血糖値の数値が改善されたという報告がありました。自らの身体状況と食事の関係を意識する一助になっており、あらためて食事の重要性を確認しました。しかし、活動している市民のほとんどは無償のボランティアで、やりがいがあっても資金面などの課題が多く、継続するのは困難と聞いています。こうした市民の活動こそ「生涯食育」の一環として位置づけて継続できるよう支援していただきたいと思います。
 そこで、あらためて、都の食育推進活動支援事業について伺います。

令和元年第三回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 グリーンインフラについて
1 河川整備については、グリーンインフラと言われる以前から、コンクリート三面張りから、河川の特性を踏まえ水辺に親しめる多自然川づくりや緑化などに取り組んでいる。そのねらいと取組内容について伺う。

回答
 河川は都市に残された貴重な水辺空間であり、水害対策に万全を期した上で、親水性や生態系にも配慮した河川環境の保全や創出を図ることが重要です。
 具体的には、旧河川敷地等周辺の公共用地を生かした緩傾斜護岸の整備や管理用通路などの緑化に加え、河道内における瀬やふちの創出や魚道の設置といった多自然川づくりなどを推進しています。

質問事項
一の2 治水対策としてグリーンインフラが注目されており、頻発するゲリラ豪雨の水害対策として、雨水浸透ますなどを増やすことが効果的である。こうした分散型で市民に身近なグリーンインフラを普及させることが重要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、東京都豪雨対策基本方針に基づき、河川や下水道の整備に加え、貯留や浸透により、これらの施設への雨水の流出を抑制する流域対策に取り組んでいます。
 その取組の一つとして、都は、都民が雨水浸透ますや貯留タンクなどを設置する際に、その費用を助成する地元自治体に対して補助を行っており、平成30年度からは、補助率を引き上げるなど、支援を強化しています。
 今後とも、地元自治体と連携を密に行い、流域対策の促進を図っていきます。

質問事項
一の3 東京は、都心だけでなく多摩地域でもコンクリートやアスファルトで覆われる面積が増えている。開発の際には、規模によって緑地を設けるルールをつくっているが、道路づくりにおける緑地や透水性舗装などの取り組みはどのようにしているか伺う。

回答
 道路整備に当たっては、環境保全、交通安全の確保、道路景観の向上等を図るため、道路の幅員に応じて植樹帯等を設置し、高木や中低木等による道路の緑化に積極的に取り組んでいます。
 また、雨水を直接路床に浸透させることで地下水の涵養等を図るため、歩道部では原則として透水性舗装を導入しています。
 なお、これらについては、道路の設計に関する技術的基準として建設局で定めている「道路工事設計基準」に基づいて実施しています。

質問事項
二 食育について
1 学校教育における食育の重要性は一段と高まっており、栄養教諭の役割は成長期の子どもを抱える学校や家庭にとって大きい。文部科学省調査では、人口の多い東京都は63人しかいない。他の道府県に比べて非常に少ないのはなぜか。また、配置されている栄養教諭は、学校現場で子どもに対してどのような活動をしているのか伺う。

回答
 都の栄養教諭は、学校給食の管理及び学校における食に関する指導に加え、都独自の役割として配置地区の教育委員会の職を兼務し、各学校に設置されている食育リーダー等への支援を行っています。
 栄養教諭の学校における活動としては、学校給食に農作物を納入している生産者を招いた体験型授業など、教科等の時間や給食の時間を活用した食に関する指導を行っています。
 都においては、学校栄養職員等の食育リーダーが、栄養教諭の指導・助言を受けながら各学校の食育を担うなど、他の道府県とは異なる体制により食育を推進しています。
 なお、栄養教諭と学校栄養職員の配置率は約56パーセントであり、全国でも高い水準となっています。

質問事項
二の2 学校給食におけるアレルギーや宗教的な理由で制限のある食事への対応は、どこまでできているのか伺う。

回答
 食物アレルギー疾患のある児童・生徒への学校給食については、文部科学省監修の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」及び文部科学省作成の「学校給食における食物アレルギー対応指針」に沿って、学校や教職員が、学校生活管理指導表を基に保護者と個別面談をし、アレルギーの原因食材の除去をするなどした給食を提供するなど、適切な対応をとっています。
 宗教的な理由で制限のある食事については、学校給食を安全に提供することを最優先に各学校において保護者と個別面談等をした上で、可能な範囲で対応しています。

質問事項
二の3 夏休みに食事が食べられず痩せてしまう子どもがいたり、地域の子ども食堂を利用する子どもたちも増えている。子どもたちが食事を自分で作ることができるようにすることも重要と考える。子どもの自立を促すような取り組みが広がることを期待しているが、見解を伺う。

回答
 子供たちが「食事を自分で作る」ことについては、学習指導要領に基づき、小学校では家庭科、中学校では技術・家庭科の授業等で取り組んでいます。
 また、各学校においては、児童・生徒や地域の実態に応じ、創意工夫して食育を推進しています。

質問事項
二の4 都内でも学校給食に地場野菜を使う地産地消の取り組みが進んでいる。都立農業系高校ではGAP認証を取得している作物がある。校内販売所で販売しているようだが、近隣の小中学校の学校給食に活用してもらい、交流することが「食」への理解にもつながると考えるが、見解を伺う。

回答
 都立農業系高校でGAP認証を取得している農産物については、品目が限られており、収穫量も少ないことから、学校給食に安定的に供給することは困難です。
 農業系高校においては、近隣の小学生、幼稚園児及び保育園児等に対し、収穫体験の機会を提供しており、今後も引き続き交流に努めていきます。

質問事項
二の5 地域では、子ども食堂や高齢者への食事提供、男性向けの料理教室が開催されている。しかし、ほとんどは無償のボランティアで、資金面などの課題が多く、継続は困難と聞いている。市民の活動こそ「生涯食育」の一環として位置づけて継続できるよう支援していただきたい。あらためて、都の食育推進活動支援事業について伺う。

回答
 都は、都民の皆様が様々な経験を通じて、食に関する知識と食を選択する力を習得し、生涯にわたって健全な食生活を実践できるよう「東京都食育推進計画」を策定するとともに、それに基づき区市町村や民間団体等が実施する食育推進活動を支援しています。
 具体的には、農業者の協力を得て行う野菜の栽培・収穫体験や、親子向けの料理教室の開催などに係る経費を補助しており、平成30年度は、36区市町村と22の民間団体の活動を支援しています。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 池川友一

質問事項
一 子どもの権利とスポーツの原則について

一 子どもの権利とスポーツの原則について
 スポーツ基本法は「スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利」(第2条)と定めています。
 また、東京都スポーツ推進総合計画でも、スポーツ基本法の条文を引き「スポーツの力を全ての人々が享受できるようスポーツ振興に取り組み、様々な都政課題の解決を目指す」と記されています。
 こうした基本認識に立って、都民誰もが等しくスポーツをできる環境を整備し、その普及のために都政が役割を果たすことは重要です。
 昨今、子どもたちのスポーツをめぐって、不適切とされる指導や過度なトレーニングによるオーバーユースなどが問題になっています。
1 ユニセフ(国連児童基金)は、「子どもの権利とスポーツの原則」(以下、「原則」)を発表しました。この「原則」は、スポーツが真に子どもの健全な成長を支え、スポーツにおける子どもの権利の尊重と推進を図ることができるように、多様な関係者が取り組むための指針として作られています。東京都は、この「原則」について、どのように認識していますか。特に、「子どもの権利の尊重と推進にコミットする」という視点についていかがですか。
2 ユニセフ民間協力渉外局のアンドレ・フランコ副局長は、「原則」のまえがきの中で「すべての子どもたちは、安心して楽しめる環境でスポーツをする権利を持っています。最も基本的なものとして、遊ぶこと(play)は子どもの権利として、『子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)』の第31条に掲げられています。」と述べています。ここで指摘している子どもの権利条約第31条では「休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める」と指摘をしています。都は、特に年齢に適した遊びやレクリエーション活動の重要性について、どのように認識していますか。
3 子どもたちがスポーツを行う際に重要なのは、子どもの健康を守る立場で指導者などが関わることです。「原則」では、「成長期にある子どもに対しては、年齢や成長に応じたスポーツの種類や運動強度、指導法に配慮する。スポーツ医・科学の見地から過度なトレーニング、体の(一部の)使い過ぎ(オーバーユース)、バーンアウト等により子どもの心身の健康に負の影響を与えないように配慮し、子どもをそのような状況に追い込むことは、虐待にもつながることを認識する」という指摘があります。
 過度なトレーニングやオーバーユースなどについて、これらを回避するための取り組みの重要性についてどう認識していますか。また、都として具体的にどのような取り組みをしていますか。
4 子どもたちの野球肘の問題が、大きくクローズアップされています。アマチュア野球14団体は、「原則」に賛同することを表明し、選手の酷使や暴力をなくすための努力を行うと表明しています。具体的に、日本リトルリーグ野球協会は「投手の肩肘を守るために3年前から球数制限を導入している」など、すでに各団体で努力を開始しています。
 野球肘が起こる原因について、慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は「一言でいえば練習や試合のやりすぎ」「考えて欲しいのは子どもの体は未熟だということ」「おとなが考えるよりも簡単に壊れてしまう。それを防ぐには、練習量や投げる数をしっかりと制御すること」が必要だと述べています。その危険因子として、疲労と関係について「しばしば疲れを感じている場合の障害の発生率は4倍に上がります。さらにこれを常に感じプレー、練習していると36倍に跳ね上がります」と、指摘しています。
 古島医師は、「深刻なのは小学生で肘を痛めた場合、約半数が高校生で再発する」として、学童期に痛めなければその後の発症率を10%以下に抑えられるという調査結果があることを示し、学童期に障害を起こさない指導、無理のない環境を作れれば肘の障害は大きく減らせると指摘しています。
 都は、部活動において野球肘の問題にどのように取り組んでいくのですか。
5 「原則」では、子どもを暴力や虐待などから保護することを位置づけています。「原則」が、「スポーツの指導・練習・競技等のあらゆる過程において、あらゆる形態の身体的または精神的な暴力、虐待(性的虐待を含む)、過度なトレーニング、ハラスメント(セクシャル・ハラスメント、パワーハラスメント等)、いじめ、指導の放棄、無関心な扱い、不当な扱い、搾取、過剰な規律や制裁、人身売買を撲滅する」と指摘していますが、どう認識していますか。また、都としてスポーツにおける暴力や虐待についてどのように取り組んでいくのですか。

令和元年第三回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 子どもの権利とスポーツの原則について
1 ユニセフ(国連児童基金)は、「子どもの権利とスポーツの原則」を発表した。都は、この「原則」について、どのように認識しているか。特に、「子どもの権利の尊重と推進にコミットする」という視点について伺う。

回答
 都は、「東京都スポーツ推進総合計画」に掲げる、子供を含めた都民の誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化する「スポーツ都市東京」の実現に向け、様々な主体と連携した取組を推進しています。

質問事項
一の2 子どもの権利条約第31条では「休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める」と指摘をしている。都は、特に年齢に適した遊びやレクリエーション活動の重要性について、どのように認識しているか伺う。

回答
 都は、「東京都スポーツ推進総合計画」に基づき、幼児期から遊びを中心としたスポーツをすることにより、基本的な運動能力を身に付け、生涯にわたって健康を維持し豊かな人生を送ることができるよう、幼児・子供のスポーツ振興を図っています。

質問事項
一の3 過度なトレーニングやオーバーユースなどについて、これらを回避するための取り組みの重要性についてどう認識しているか。また、都として具体的にどのような取り組みをしているか伺う。

回答
 子供たちがスポーツを楽しむためには、けがや事故の予防と指導者の資質向上等が重要であることから、都は、東京都体育協会と連携し、スポーツ指導者等に対して研修会や講習会を実施し、事故防止策や指導者の資質向上を図っています。

質問事項
一の4 都は、部活動において野球肘の問題にどのように取り組んでいくのか伺う。

回答
 都教育委員会は、令和元年度、学校生活の中におけるバランスの良い活動日数や時間の設定、重大事故防止に向けた安全対策等を取りまとめた「部活動に関する総合的なガイドライン」を作成しました。野球肘等については、本ガイドラインの中で健康面での留意事項として、日本臨床スポーツ医学会による「青少年の野球障害に対する提言」で掲げる野球肘等の未然防止について掲載しており、各都立学校や区市町村教育委員会等に周知しています。
 今後とも、区市町村教育委員会指導室課長会や運動部活動指導者講習会等を通じて、各学校における部活動の適切な運営を支援していきます。

質問事項
一の5 「子どもの権利とスポーツの原則」が、「スポーツの指導・練習・競技等のあらゆる過程において、あらゆる形態の身体的または精神的な暴力、虐待、過度なトレーニング、ハラスメント、いじめ、指導の放棄、無関心な扱い、不当な扱い、搾取、過剰な規律や制裁、人身売買を撲滅する」と指摘しているが、どう認識しているか。また、都としてスポーツにおける暴力や虐待についてどのように取り組んでいくか伺う。

回答
 子供たちが安心してスポーツに取り組むためには、指導者等の暴力暴言やハラスメント等の反倫理的行為等を根絶することが重要であることから、都は、東京都体育協会と連携し、スポーツ指導者等に対して研修会や講習会を実施し、事故防止策や指導者の資質向上を図っています。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 森澤恭子

質問事項
一 都庁職員の超過勤務について

一 都庁職員の超過勤務について
 働き方改革が叫ばれる中、平成31年第一回定例会においては深夜まで本会議や委員会が開催されるケースが散見されました。本会議や委員会に出席する職員だけでなく、相当な人数の職員が残業を行い、議会対応にあたっていたものと推察され、議会改革は、議会だけの問題ではなく、オール都庁で進めるべきものであると痛感した次第です。そこで、平成31年2月と3月における、知事部局等、本庁職員の平均超過勤務時間数を伺います。

令和元年第三回都議会定例会
森澤恭子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都庁職員の超過勤務について
 平成31年第一回定例会においては深夜まで本会議や委員会が開催され、相当な人数の職員が残業を行ったと推察され、議会改革はオール都庁で進めるべきものであると痛感した。平成31年2月と3月における、知事部局等、本庁職員の平均超過勤務時間数を伺う。

回答
 知事部局等における本庁職員の1人当たり月別の平均超過勤務時間数については、平成31年2月は24.3時間、同年3月は30.6時間です。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤れいな

質問事項
一 教育相談について
二 英語教育について

一 教育相談について
 9月2日に東京都江戸川区にて私立中学の男子生徒がマンションの駐車場で倒れており、自殺を図って転落した可能性があると報道されました。同じく2日午前には品川区で中学一年生の男子が遺書を置いて自殺を図ったとされ、現在警視庁が捜査を進めています。どちらのケースも未だ捜査中であり背景や事情について明言することはできませんが、何らかの悩みを抱え、学校が始まる始業式に全国的に自殺を図る生徒さんがいるということはここ数年で大きな社会的課題として共有されていることであり、特に生徒さんが一人で抱えてしまっている悩みを相談できる窓口やその手法の簡素化を目指したSNS相談は全国的に広がりも見せていますが、まだそこに繋がる生徒さんは限定的であり、この事業の早急な周知啓発が求められています。
 東京都では友人や家族との関係や学校生活などの様々な教育相談一般・東京都いじめ相談ホットライン等を設置しており、24時間年中無休で対応し、さらにLINEでも相談を行えるとなっています。以前文教委員会で伺った際、私立学校生徒も相談することができるということは伺っておりましたが、改めて全ての学校種に通う生徒さんにとってその相談対応が問題の解決に資するかどうか伺いたいと考える。
1 ホットラインにはどれだけの相談が届いているか、実績と相談内容に関する内訳について伺う。
2 SNS相談窓口にどれだけの相談が届いているか、実績と相談内容に関する内訳について伺う。
3 寄せられた相談に対し、実際に相談内容の解決についてどのように取り組んできたか、伺う。
4 残念ながらこの相談窓口にまだ届いていない児童生徒がいることも事実であり、その生徒や保護者にどう周知を図っていくかをお伺いしたい。カードやパンフレット配布などで周知を図るだけでは学校をすでに休みがちのお子さん、不登校予備軍となっているお子さんには届かない可能性もある。改めてツイッターなどで東京都いじめ相談ホットラインやSNS教育相談の適切な周知啓発を図っていくべきであると考えるが見解を伺う。

二 英語教育について
 TGGの教育的効果や意義について改めて今後英語教育を受ける当事者である児童生徒たちとも共に考えてゆくために、8月のサマーフェスティバル中に体験と意見交換の会を開催し、都民の方からも様々な意見を頂いた。
1 TGGは民間企業との協働により日本におけるSDGsの普及、啓発を目指した取り組みにも協力をしているが、であるからこそ当施設のユニバーサルデザインに向けた実践的取り組みは必須であると考える。様々な障害のある児童生徒にも不安を抱かせることなく英語活動や英語学習体験に参加していただくためにも、施設内の点字表示や音声案内等も含めて、ユニバーサルデザインを実現するべきであると考えるが、都の見解を伺う。
2 多摩地域の児童生徒や保護者、また学校関係者からも、距離があることでTGGの利用を控えかねない現実があるということを伺っている。私たち東京みらいが民間と共に行なった調査からも、これから英語教育を受ける児童生徒や保護者にとって、何よりもネイティブスピーカーと触れ合える機会を多く持つことが切実な願いであることが分かっている。ALTの配置については各市区町村で取り入れているところもあるが、英語村のネイティブスピーカーと触れ合う機会は大変有効であると考える。
 多摩地域の児童生徒にも、使いやすくするための工夫や、将来的には例えばTGGキャラバンのような形で多摩地域を始めとする遠方に派遣する事業を検討するべきであると考えるが、見解を伺う。

令和元年第三回都議会定例会
斉藤れいな議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 教育相談について
1 都では友人や家族との関係や学校生活などの様々な教育相談一般・東京都いじめ相談ホットライン等を設置している。ホットラインにはどれだけの相談が届いているか、実績と相談内容に関する内訳について伺う。

回答
 都教育相談センターが「教育相談一般・東京都いじめ相談ホットライン」で対応した1年間の相談回数は、平成27年度が1万1,810回、平成28年度が1万3,812回、平成29年度が1万5,694回、平成30年度が1万7,094回となっており、年々増加傾向にあります。
 また、平成30年度における主な相談内容や回数等については、いじめが1,722回で全体の10.1パーセント、友人関係が1,573回で9.2パーセント、不登校が1,432回で8.4パーセント、学校・教師への苦情が1,404回で8.2パーセント、家族関係が1,319回で7.7パーセントとなっています。

質問事項
一の2 SNS相談窓口にどれだけの相談が届いているか、実績と相談内容に関する内訳について伺う。

回答
 SNS教育相談事業における相談件数は、平成31年4月1日から令和元年7月31日までの4か月間の合計が1,536件で1日平均12.6件となっています。
 また、主な相談内容や件数等については、友人関係が419件で全体の27.3パーセント、学業不振が84件で5.5パーセント、家族関係が70件で4.6パーセント、心身の健康・保健が68件で4.4パーセント、男女関係が66件で4.3パーセントとなっています。

質問事項
一の3 寄せられた相談に対し、実際に相談内容の解決についてどのように取り組んできたか伺う。

回答
 都教育相談センターにおける「教育相談一般・東京都いじめ相談ホットライン」が受けた相談については、相談者の話を傾聴し、気持ちに寄り添いながら、解決に向けた助言を行ったり、関係機関の連絡先を紹介したりしています。匿名性を原則としていますが、いじめに関する相談や、虐待や自殺をほのめかす内容の相談等については、できる限り具体的な内容を聞き取り、学校や区市町村教育委員会、児童相談所や警察等に情報を提供するなど、連携して対応するようにしています。
 また、SNS教育相談については、匿名性などSNSの特性を重視しつつ、相談者に対し、信頼できる周囲にいる大人や、電話、来所等の相談窓口に、直接相談することを促すよう努めています。

質問事項
一の4 相談窓口にまだ届いていない児童生徒がいることも事実であり、その生徒や保護者にどう周知を図っていくかを伺う。ツイッターなどで東京都いじめ相談ホットラインやSNS教育相談の適切な周知啓発を図っていくべきであると考えるが見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、「東京都いじめ相談ホットライン」を含む電話相談や、SNS教育相談について、都内の全公立学校に、電話番号やLINEアカウント等を掲載したポスターを掲示するとともに、学校を通して在籍する全ての児童・生徒に、二次元バーコードを印刷した相談窓口紹介カードを配布するなどして、周知を図っています。
 また、都内の国立及び私立学校に対しても、同様のポスターとカードを送付し、校内掲示や児童・生徒への配布を依頼しています。
 さらに、令和元年度は、都教育委員会のツイッターによりこれらの相談窓口について広く周知し、活用の促進を図っています。

質問事項
二 英語教育について
1 TGGは民間企業との協働により日本におけるSDGsの普及、啓発を目指した取り組みにも協力をしている。障害のある児童生徒にも不安を抱かせることなく英語活動や英語学習体験に参加していただくためにも、施設内の点字表示や音声案内等も含めて、ユニバーサルデザインを実現するべきであると考えるが、都の見解を伺う。

回答
 TGGは、東京都福祉のまちづくり条例等に基づき、段差の解消やエレベーターによる経路の確保、だれでもトイレの設置、スタッフによるサポートなどを実施しています。
 また、障害の状況に応じたプログラムやサポート等、個別にきめ細かな対応を行っています。
 引き続き、障害のある児童・生徒の利用にも配慮した施設運営を、事業者と協議しながら進めていきます。

質問事項
二の2 多摩地域の児童生徒にも、使いやすくするための工夫や、将来的には例えばTGGキャラバンのような形で多摩地域を始めとする遠方に派遣する事業を検討するべきであると考えるが、見解を伺う。

回答
 多摩地区を含めた多くの児童・生徒が利用しやすいよう、今後とも利用開始時間を配慮したり、多様な活用例を紹介したりするなどの工夫を行っていきます。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 都有施設のバリアフリー対応について
二 東京都職員の採用について
三 都立公園について
四 日本橋周辺の首都高地下化について
五 交通事故時の対応について
六 都市外交について
七 自転車賠償保険の義務化について
八 犯罪被害者支援について
九 小学校の教員補充のシステム化について
十 台風15号における対応について

一 都有施設のバリアフリー対応について
 五輪大会が来年に迫り、各地域および各所でバリアフリー対応が進められています。しかし4月にリニューアルされた東京都現代美術館においても多目的トイレの設置があるものの大人も含めたユニバーサルベッドの設置がありません。そこで以下伺います。
1 現在ある都有施設においてユニバーサルベッドを設置している事例はどれぐらいあるのか伺います。
2 とりわけ都営地下鉄のトイレにおいて伺います。
3 今後新設および改修予定の都有施設においてユニバーサルベッドを設置すべきと考えますが、見解を伺います。さらには既存施設においても設置ができない施設等についてはトイレとは別の代替コーナーを設けるべきですが所見をお伺いいたします。
4 都有施設だけでなく、国・民間も含めた都内にある東京2020大会競技会場においては、ユニバーサルベッド(大型ベッド)についてはどのような対応をする予定なのか伺います。

二 東京都職員の採用について
 東京都は第Ⅲ類採用選考について身体障害者手帳所持の要件を拡大しましたが、その内容を確認すると知的障害者の場合、受験することができても試験科目に対応することができないように見受けられます。そこで以下伺います。
1 障害者が何人応募され、実際に何人合格となっているのか、各障害区分別に平均得点数とともに伺います。併せて採用人数についてお伺いします。
2 私にとっても大変難易度の高いと実感するぐらい第Ⅲ類採用選考は知的障害者にとって対応されたものではないと考えますが所見を伺います。さらには改善すべきと考えますが所見を伺います。

三 都立公園について
 都内には多くの都立公園が存在するが、夜間は場所によっては真っ暗であり、管理事務所等が閉鎖されていることもあり犯罪が発生している懸念がありますが、都立公園内での犯罪などの発生状況についてお伺いいたします。また同時に公園の賑わいもまた重要であります。とりわけ私は公園格差や地元板橋区内にある都立赤塚公園をはじめとする民間活用を過去より一貫して提案してまいりました。具体的には防災機能が付与された飲食店等の設置であります。最新の進捗について伺います。

四 日本橋周辺の首都高地下化について
1 その目的や概要について伺います。
2 総事業費はいくらを見積もっているのか、また都の負担金額はいくらになるのか伺います。
3 今後、都の負担金が増えるようなことがあってはならないと考えますが、所見をお伺いします。
4 日本橋周辺を地下化することによって得られる便益を伺います。そのひとつに観光がありますが、日本橋の上空が解放されることによってどの程度の経済効果や観光客を見込んでいるのかお伺いいたします。

五 交通事故時の対応について
 自転車及び高齢者による交通事故が社会問題となっているが、交通事故発生状況等の推移について伺う。

六 都市外交について
 わが国の外交において日韓関係が悪化しています。一方、東京都はソウル市と姉妹都市契約を結んでいますが、東京都とソウルとの現在までに至る経緯と協定などソウル市との行政施策上の接点をすべて教えてください。また現在関係の悪化によりどのような影響が具体的に生じているのかお伺いいたします。

七 自転車賠償保険の義務化について
 都は、東京都自転車安全条例の一部を改正し、自転車運転者や事業者に保険加入を義務づけることとしました。
 被害者保護の観点、また自己が被害者となった場合の生活を考える観点からも、加害者にも被害者にもなり得ることを想定し、保険に加入した方がいいことに異論はなく、義務化によって保険加入者が増え、万が一の事故に備えのある社会となることを期待します。
 しかし、実際問題として、保険未加入の自転車利用者をどのように捕捉し、どのように加入義務を果たさせるのか、義務の履行を担保する仕組みがない条例の実効性に一定の疑問を禁じ得ないのも事実です。
 近年、自転車での事故や子どものボール遊びなど、思わぬ重大事故で数千万円から1億円にものぼる、莫大な損害賠償が命じられるケースが報じられており、保険商品では自転車での事故を含む、対人・対物補償、あるいは特約や付帯契約のあるものもポピュラーになってきています。
 こうした保険商品の普及に伴い、更新などの機会に加入する方も増え、自転車を含む賠償保険への加入者数も自然増の傾向にあるものと推察されるが、補償内容が重複した複数の保険に加入している方もいる一方、何の保険にも入っていない方も一定数存在すると思われます。
 資力のない保険未加入者が加害者になった場合、被害者自らの損害保険や健康保険の加入状況や種類によっては、けがの治療費や休業、逸失利益、後遺障害や死亡の補償がなく困窮することになります。都として最もケアすべきは、最も弱い立場にある都民であるとする立場から、何点か伺います。
1 都民に義務を課す以上、都の責任も重くなります。都として、普及啓発やPRよりも一段高い保険加入促進策が必要と考えるが、見解を伺います。あわせて、防犯登録証のように、保険加入義務を果たしているかどうかが一目でわかるステッカー様の証明書を発行するなど、義務履行状況の見える化も必要と考えるが、どう取組むのか伺います。
2 自転車販売店における販売時の加入確認や促進だけでなく、自転車販売店での修理等メンテナンス時、駐輪場、保育所等、自転車利用者が日常利用する場所において、加入義務を周知する必要があると考えますが、見解を伺います。
3 事業者等には通勤での自転車利用者に対する保険加入の確認を義務としたが、確認する事業者にとっては、一体なにをどう確認すればよいのか、戸惑いの声も聞かれます。どのような確認方法をとるのか、また確認する際、どの程度の補償内容であれば条例の義務履行として十分と考えるのか、都として明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
4 また、未成年者など本人に求償できない場合における被害者救済は非常に重要であり、今回の条例改正により、保護者等の保険で未成年者による事故をカバーできるよう、保護者等における保険加入促進が期待されます。しかし、条例では通学で利用する児童生徒の保護者等の保険加入について、学校設置者等による確認は努力義務とした。児童生徒の保護者等の保険加入促進にどのように取組むのか、見解を伺います。
5 事故統計を見ると重大事故とされる事故の加害者、被害者のいずれも高齢者が多い。今後、高齢ドライバーの運転免許証返納が進むと、自転車利用に切り替えることも予想され、保険加入だけでなく安全運転講習等の徹底も求められます。また、さらにその中でも認知症など責任能力がなくいわゆる保護者等がない方が加害者となった場合の被害者への補償など、課題も多いと思われます。幅広い観点から高齢者対応を進める必要があると考えますが、見解を伺います。
6 条例による義務化が直接、間接に都民生活に与える影響については、重く受け止める必要があり、条例制定後も注視する必要があります。保険加入を促進する一方で、重複加入や不必要な補償内容の保険勧誘による過大な都民負担を生じさせてはなりません。また、資力のない方が安心して利用できる保険商品はどういったもので十分加入しやすい状況なのか、わかりやすい情報提供も必要と考えますが、見解を伺います。
7 そもそも保険は、損害を金銭的に補償する手段にすぎず、入ってさえいればいいというものではありません。自転車の定期的な安全点検やメンテナンス、安全運転講習やヘルメット着用の義務化、ナンバープレート等の表示、さらには狭い歩道や見通しの悪い交差点の改良、自転車専用レーンの整備など、事故防止の取組みでもっとやるべきことがあるのではないか、との意見も聞かれます。
 こうした自転車による重大事故ゼロを実現するための取組みをより一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。

八 犯罪被害者支援について
 私たちは、最も深刻な人権侵害の一つである犯罪の被害者支援条例の早期制定と、犯罪被害者支援策の充実を求めてきました。先般、条例制定に向けた基本的な方針案が示され、代表質問においても具体策の強化や被害当事者の参画を求めたところです。
 言うまでもないことですが、条例は、犯罪被害者に対する具体的な支援を充実させるとともに二次被害の防止策、社会全体の理解を高めるために制定するものであり、つくるだけでなく具体策を充実強化しなければなりません。
1 都内各自治体の状況を見ると、犯罪被害者等支援計画や条例のある自治体は少なく、窓口は決めても、相談支援業務に長けた職員は常駐していません。多岐にわたる支援ができる連携協力体制も不足をしています。そこで、条例において、都のみならず各自治体における犯罪被害者支援体制の整備推進を具体的に定めるとともに、相談業務の充実、生活全般にわたる支援がきめ細かくできるよう多職種連携による支援体制の整備についての具体策が必要と考えますが、見解を伺います。
2 さらに、司法手続きには不慣れな被害者に対して、弁護士による手続きの流れや見通しについての法律相談は必須ですが、事件に巻き込まれたショックの中、十分な時間が必要となります。他県でも実施されている無料法律相談が必要と考えますが、都の見解を伺います。
3 平成31年第1回定例会の代表質問でも述べたとおり、ネット上での中傷や過剰な取材による二次被害を防ぐための配慮規定を設けるべきと考えますが、見解を伺います。
4 さらに、条例の運用、社会状況の変化に応じた見直しや都の支援策の構築などについても、犯罪被害者等当事者の参画を得て行うべきと考えますが、見解を伺います。
5 国の給付金が充実されましたが、その支給要件にあてはまらない場合でも一定の犯罪被害にあった場合には、見舞金を支給する自治体もあります。都においても、突然の犯罪被害に伴い、治療費や葬儀費用、妊娠検査・避妊のための費用負担を強いられる犯罪被害者等に対し見舞金制度の創設が必要と考えますが見解を伺います。
6 また、兵庫県明石市では、加害者に対する損害賠償請求権にかかる債務名義を譲り受けることを条件として、三百万円までの立てかえ支援金を支給する規定を設けています。福岡県でも加害者への法的請求にかかる費用の援助が行われています。都においても、各自治体がこのような制度を設けることができるように取組むべきと考えますが、見解を伺います。
7 加害者の人権が守られ、逆に被害者の人権が侵害され二次被害が生じていると言わざる得ない事態が見受けられます。犯罪被害者やそのご家族は、直接的な被害だけでなく、京アニや座間事件などのマスコミ等報道により二次被害が生じた場合、犯罪被害者やそのご家族が保護されるような取り組みを望みますが、所見を伺います。また、警視庁側が被害者等の情報をマスコミにリークするようなことがあるのか伺います。

九 小学校の教員補充のシステム化について
 若手教員が増えて、学校現場に活気が出てきた反面、出産のための産育休や休職等の事情で欠員が生じることがふえています。その人捜しが副校長の重要業務となっており、多忙な中で都がつくった登載者名簿に載っている方にひとりひとり連絡をしても、最新の状況が随時反映されるものではないため、任用済みで、徒労に終わってしまう。そのため、名簿に頼らず探すこともあると聞きます。
 産育休代替教員や講師の確保が、素早く的確に進めることのできる効率的な採用システムへの改善と任用事務制度の確立を進める必要があると考えます。
 そこで、登載者名簿は、各副校長の端末パソコンから閲覧できるようにするとともに、登載者の任用情報は、速やかにデータに反映できるようにするべきと考えますが、見解を伺います。

十 台風15号における対応について
 令和元年9月10日に発生した台風15号は関東一帯に甚大な被害を生じさせています。そこで以下伺います。
1 東京都内の被害状況についてお伺いします。
2 島しょ地域においては屋根や壁、窓が割れるなど、住宅の被害が多発しており、国や都による修理費用等の支援が求められていますが、都の対応を伺います。
3 また、修理など復旧については、島しょという地理的条件のため、職人さんや資材も不足しており、復旧工事のめども立たない状況にあるとのことです。次の台風や秋雨に備えるためにも、本土からの職人派遣など早急な対応が求められていますが、都の対応を伺います。
4 千葉県をはじめ近隣県に対する認識と都の支援状況についてお伺いたします。

令和元年第三回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都有施設のバリアフリー対応について
1 現在ある都有施設においてユニバーサルベッドを設置している事例はどれぐらいあるのか伺う。

回答
 都は、平成31年3月、公共施設等のだれでもトイレについて、同年1月時点での設置場所や大型ベッドなどの設備等の情報をオープンデータとして公表しました。
 その中では、都庁舎をはじめ、文化施設や公園など、都立施設における不特定多数の者が利用可能なだれでもトイレは1,104基、そのうち大型ベッドを設置しているものは100基となっています。

質問事項
一の2 とりわけ都営地下鉄のトイレにおいて伺う。

回答
 都営地下鉄では、都営大江戸線東中野駅、都営新宿線市ヶ谷駅、菊川駅、西大島駅、新宿三丁目駅、九段下駅、小川町駅、東大島駅、大島駅、本八幡駅、曙橋駅及び一之江駅並びに都営三田線神保町駅、春日駅及び日比谷駅のだれでもトイレ内に計17基の大型ベッドを設置しています。

質問事項
一の3 今後新設および改修予定の都有施設においてユニバーサルベッドを設置すべきと考えるが、見解を伺う。さらには既存施設においても設置ができない施設等についてはトイレとは別の代替コーナーを設けるべきであるが所見を伺う。

回答
 誰にとっても使いやすい都有施設とするためには、主として高齢者や障害者が利用するトイレ等に大型ベッドを整備していくことが重要であると考えます。
 このため、都有施設の新築や改修に当たっては、東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルに基づき、個別の状況を勘案しながら、可能な限り大型ベッドの設置に努めています。
 また、既存施設においては、例えば、代替施設として救護室を提供するなど、それぞれの施設管理者が実情に応じて対応を行っています。
 今後、更に取組を進めるため、庁内各局の担当者による連絡会議等において、大型ベッドの設置の重要性を改めて共有し、その整備に向けて検討を促していきます。

質問事項
一の4 都有施設だけでなく、国・民間も含めた都内にある東京2020大会競技会場においては、ユニバーサルベッド(大型ベッド)についてはどのような対応をする予定なのか伺う。

回答
 Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインでは、不特定多数が利用する施設のトイレには大型ベッドやオストメイト用設備等を機能分散して設置することとされています。
 東京2020大会の競技会場となる施設においてはこのガイドラインを踏まえて整備を進めており、都の新規恒久施設においては、観客席を有する全ての会場に大型ベッドを設置します。
 大会時には、国、民間の施設等も含め、組織委員会と連携し、仮設対応をあわせて、各競技会場に最低1か所の大型ベッドを設置することとしています。

質問事項
二 東京都職員の採用について
1 障害者が何人応募され、実際に何人合格となっているのか、各障害区分別に平均得点数とともに伺う。併せて採用人数について伺う。

回答
 平成30年度の障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考については、申込者数は273人で、その内訳は身体障害者の方は66人、知的障害者の方は16人、精神障害者の方は191人です。
 最終合格者数は40人で、その内訳は身体障害者の方は16人、精神障害者の方は24人です。
 平均得点数は作成していません。
 また、採用者数は32人です。

質問事項
二の2 私にとっても大変難易度の高いと実感するぐらい第Ⅲ類採用選考は知的障害者にとって対応されたものではないと考えるが所見を伺う。さらには改善すべきと考えるが所見を伺う。

回答
 職員を採用するに当たっては、地方公務員法に定める成績主義に基づき、採用後に従事する職務内容等に応じた適切な能力実証を実施しています。
 具体的には、事務や技術といった職務分野のほか、その職務に求められる能力水準等に応じて、出題の範囲やレベルを設定して、採用区分ごとに試験を実施しています。
 このため、知的障害者を常勤職員として採用する場合、東京都職員Ⅲ類の選考であることを踏まえ、その職に必要とされる能力や適性等を客観的に実証する必要があります。
 今後も引き続き任命権者と連携し、適正な能力実証の実施に努めていきます。

質問事項
三 都立公園について
 都立公園内での犯罪などの発生状況について伺う。また同時に公園の賑わいもまた重要である。公園格差や地元板橋区内にある都立赤塚公園をはじめとする民間活用を一貫して提案してきた。具体的には防災機能が付与された飲食店等の設置である。最新の進捗について伺う。

回答
 都立公園における犯罪等の発生状況については、園内におけるトイレの破損や落書き、火遊び、盗難、痴漢行為や暴行など、都民の不安につながるような事案が報告されています。園内巡回、見通しを確保するための樹木剪定、照明灯による明るさの確保、地元警察との連携など、引き続き防犯対策を進めていきます。
 また、民間活用については、平成30年度に実施したマーケットサウンディング調査で得られた民間事業者のアイディアや要望等を参考に、民間活用方策の検討を進めてきました。その結果、令和元年9月に、都立赤塚公園において、新たに収益施設を設置して来園者の利便性を高めるとともに、その収益の一部を活用して公園の魅力向上を図る事業者の公募を開始しました。

質問事項
四 日本橋周辺の首都高地下化について
1 その目的や概要について伺う。

回答
 日本橋周辺の首都高については、首都高の大規模更新の機会を捉えて、国家戦略特区の都市再生プロジェクトなど、周辺のまちづくりと連携し、平成29年7月、国や首都高速道路株式会社と共同で、地下化に向けて取り組むこととしたものです。
 その後、平成30年7月に地下化の計画案を取りまとめました。事業区間は、都心環状線の神田橋ジャンクション周辺から江戸橋ジャンクション周辺までの約1.8キロメートルであり、このうち地下式の区間は約1.2キロメートルです。
 地下化により、高速道路ネットワーク機能を将来にわたり維持するとともに、国際金融都市にふさわしい品格のある都市景観の形成や、歴史や文化、さらには貴重な水辺空間を生かした日本橋の顔づくり、沿道環境の改善などが期待されます。

質問事項
四の2 総事業費はいくらを見積もっているのか、また都の負担金額はいくらになるのか伺う。

回答
 日本橋周辺の首都高の地下化に要する概算事業費は約3,200億円を見込んでいます。
 このうち都の負担としては、都道外堀通りの一石橋の架替えなどの関連事業費として約320億円の支出を見込んでいます。
 なお、この事業費は国の補助制度を活用することで、実質的な都の負担は、その半分程度となる見込みです。

質問事項
四の3 今後、都の負担金が増えるようなことがあってはならないと考えるが、所見を伺う。

回答
 今回の地下化は、民間プロジェクトと連携することで、地下化ルートの導入空間の確保などに係るコスト縮減が図られました。
 引き続き、関係者とともにコストを精査しながら、計画の具体化に取り組んでいきます。

質問事項
四の4 日本橋周辺を地下化することによって得られる便益を伺う。そのひとつに観光があるが、日本橋の上空が解放されることによってどの程度の経済効果や観光客を見込んでいるのか伺う。

回答
 首都高日本橋の地下化により、高速道路ネットワーク機能を将来にわたり維持するとともに、国際金融都市にふさわしい品格のある都市景観の形成や、歴史や文化、さらには貴重な水辺空間を生かした日本橋の顔づくり、沿道環境の改善などが期待されます。
 平成31年3月の国の社会資本整備審議会道路分科会事業評価部会の資料では、走行安全性の向上やジャンクション構造の見直しによる渋滞緩和など、首都高日本橋の地下化による直接効果のほか、間接効果として、「日本橋川の空を取り戻す会」が平成18年に算出した、「来訪者の宿泊など近隣地域での消費増加の便益9,700億円から1兆7,000億円」が示されています。

質問事項
五 交通事故時の対応について
 自転車及び高齢者による交通事故が社会問題となっているが、交通事故発生状況等の推移について伺う。

回答
 自転車及び高齢者の交通事故発生状況については、次のとおりです。

○ 自転車事故の年次推移
平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年
 発生件数 13,515 11,817 11,218 11,901 12,865
自転車1当
事故件数
2,427
2,260
2,144
2,542
3,271

自転車2当
事故件数
11,088

9,557

9,074

9,359

9,594

死者数 38 33 36 28 25
※( )内は、1当及び2当とも自転車の事故件数

○ 高齢者(年齢65歳以上)事故の年次推移
平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年
発生件数 11,307 10,968 10,825 11,094 11,387
高齢者1当
事故件数
6,376
6,132
6,029
6,309
6,480

高齢者2当
事故件数
4,931

4,836

4,796

4,785

4,907

死者数 65 58 63 63 60
※( )内は、1当及び2当とも高齢者の事故件数

 注 「1当」とは、「第一当事者」をいい、最初に交通事故に関与した車両等(列車を含む。)の運転者又は歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者をいう。また、過失が同程度の場合には、人身損傷程度が軽い者をいう。

質問事項
六 都市外交について
 日韓関係が悪化している。一方、都はソウル市と姉妹都市契約を結んでいるが、都とソウルとの現在までに至る経緯と協定などソウル市との行政施策上の接点をすべて伺う。また現在関係の悪化によりどのような影響が具体的に生じているのか伺う。

回答
 ソウル特別市とは昭和63年に友好都市関係を締結しました。平成26年には、東京都とソウル特別市の交流・協力について合意しました。平成27年には道路陥没対応業務の技術的協力について合意を結びました。最近では、年間十数件以上の交流実績があり、道路や上下水道といったインフラ整備に関する実務レベルでの協力や、東京国際ユース(U-14)サッカー大会といったスポーツ交流等をはじめ、幅広い分野で協力、交流を行っています。
 現時点で、ソウル特別市との交流事業が中止になる等の影響は特段生じていません。

質問事項
七 自転車賠償保険の義務化について
1 都として、普及啓発やPRよりも一段高い保険加入促進策が必要と考えるが、見解を伺う。防犯登録証のように、保険加入義務を果たしているかがわかる証明書を発行するなど、義務履行状況の見える化も必要と考えるが、どう取組むのか伺う。

回答
 自転車損害賠償保険等の加入義務化に当たり、保険内容などの情報周知により、都民が円滑に保険に加入できるようにすることは大切です。
 都は、改正を周知するリーフレットにより保険加入の重要性等を啓発するとともに、交通安全教室の講義などでも普及啓発を行っていきます。
 また、民間事業者等とも連携して、保険情報の提供を進めるとともに、加入状況の調査も検討するなど、保険への加入促進を図っていきます。

質問事項
七の2 自転車販売店における販売時の加入確認や促進だけでなく、自転車販売店での修理等メンテナンス時、駐輪場、保育所等、自転車利用者が日常利用する場所において、加入義務を周知する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、保険加入を促進するため、改正内容などの情報を記載したリーフレットにより、周知活動を行うとともに、区市町村や民間企業等と連携し、様々な機会に普及啓発を行っていきます。
 また、幅広い年代の方が日ごろから情報収集に使う手段を踏まえ、広く多様な広報媒体を活用し、都民に正確な情報が伝わるよう努めていきます。

質問事項
七の3 事業者等には通勤での自転車利用者に対する保険加入の確認を義務としたが、どのような確認方法をとるのか、また確認する際、どの程度の補償内容であれば条例の義務履行として十分と考えるのか、都として明らかにすべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、企業向けに実施している自転車安全利用TOKYOセミナーの講義に保険の必要性や従業員の加入状況の確認方法といった内容を盛り込み、普及啓発を実施していきます。
 さらに、義務化の対象となる保険は他人の生命・身体への損害を賠償する保険等であることや、自転車専用の保険だけでなく、自動車保険、火災保険、傷害保険などの特約で附帯した保険もあり、こうした特約も義務化の要件を満たすことも周知していきます。

質問事項
七の4 条例では通学で利用する児童生徒の保護者等の保険加入について、学校設置者等による確認は努力義務とした。児童生徒の保護者等の保険加入促進にどのように取組むのか、見解を伺う。

回答
 都はこれまで、小中学校での自転車安全利用教室や高校入学時の新入生説明会等の場で、児童・生徒やその保護者等に自転車損害賠償保険等への加入の促進を行ってきました。
 今回の条例改正に伴い、学校等の設置者に対して改正内容などの情報を記載したリーフレット等を配布し、周知できるようにしていきます。

質問事項
七の5 今後、高齢ドライバーの運転免許証返納が進むと、自転車利用に切り替えることも予想され、安全運転講習等の徹底も求められる。また、責任能力がなく保護者等がない方が加害者となった場合の被害者への補償など、課題も多いと思われる。幅広い観点から高齢者対応を進める必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、平成30年度から、主に運転免許証を返納した高齢者を対象とする自転車安全利用教室を開始し、理学療法士等も招いて講義と実技の講習会を実施することで、高齢者の特性を踏まえた自転車安全利用の普及啓発を行っています。
 併せて、自転車損害賠償保険等の加入義務化の趣旨や責任能力がない方による加害行為でも保険商品によっては保険金が給付される場合があることなどの保険情報等の周知を行っていきます。

質問事項
七の6 保険加入を促進する一方で、重複加入や不必要な補償内容の保険勧誘による過大な都民負担を生じさせてはならない。また、資力のない方が安心して利用できる保険商品はどういったもので加入しやすい状況なのか、わかりやすい情報提供も必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 自転車損害賠償保険等は、自転車専用の保険や自動車保険等の特約で附帯した保険など多様なものがあり、保険料も月額100円程度のものから年額5,000円といったものまで多様になっています。
 都は、改正内容や保険情報の周知を図り、都民がニーズにあった保険等を選択できるよう努めるとともに、都民自らが対象となる保険等に入っているか判別するチェックシートを作成し、二重加入の防止にも努めていきます。

質問事項
七の7 保険は、損害を金銭的に補償する手段にすぎない。事故防止の取組みでもっとやるべきことがあるのではないか、との意見も聞かれる。自転車による重大事故ゼロを実現するための取組みをより一層強化すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都はこれまで、小中学生向けや高齢者向けの自転車安全教室など、様々な年代に向け、ルール・マナーの向上に向けた普及啓発に努めてきました。
 こうした場をはじめ様々な機会に、自転車は法律上の軽車両であることなどの啓発を図り、保険加入も安全利用の一環であることの理解を促し、保険加入への意識を高め、都民の保険加入と自転車安全利用を推進していきます。

質問事項
八 犯罪被害者支援について
1 条例において、都のみならず各自治体における犯罪被害者支援体制の整備推進を具体的に定めるとともに、相談業務の充実、生活全般にわたる支援がきめ細かくできるよう多職種連携による支援体制整備について具体策が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 被害者支援を効果的に進める上で、区市町村をはじめ関係機関との連携が重要なことから、今般策定しました「東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方」においては、国や区市町村、民間支援団体等と連携、協力し、支援を推進するための総合的な支援体制の整備に努めることとしています。
 支援体制の具体策については、実態調査等の結果も踏まえ、有識者懇談会において幅広く議論した上で、検討を進めていきます。

質問事項
八の2 司法手続きには不慣れな被害者に対して、弁護士による手続きの流れや見通しについての法律相談は必須だが、事件に巻き込まれたショックの中、十分な時間が必要となる。他県でも実施されている無料法律相談が必要と考えるが、都の見解を伺う。

回答
 具体的な支援策については、被害者や被害者支援団体等を対象にした実態調査等の結果も踏まえ、有識者懇談会において幅広く議論した上で、検討を進めていきます。

質問事項
八の3 平成31年第1回定例会の代表質問でも述べたとおり、ネット上での中傷や過剰な取材による二次被害を防ぐための配慮規定を設けるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 二次的被害を防止する観点から、今般策定した「東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方」においては、都民の責務等において、二次的被害への配慮に努めることとしています。
 今後、この基本的考え方に基づき、条例案の検討を進めていきます。

質問事項
八の4 さらに、条例の運用、社会状況の変化に応じた見直しや都の支援策の構築などについても、犯罪被害者等当事者の参画を得て行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 令和元年5月に設置した有識者懇談会には、被害者やその家族の御意見をしっかりと把握するため、犯罪の被害に遭われた方の御家族に委員として就任いただいています。
 さらに、条例の制定や令和2年度の支援計画改定の参考とするため、被害者本人やその御家族、被害者支援団体等を対象に、令和元年度、犯罪被害者等の実態に関する調査を実施しています。
 引き続き、犯罪被害者等の実態に関する調査等を踏まえながら、条例案の検討を進めていきます。

質問事項
八の5 国の給付金が充実されたが、その支給要件にあてはまらない場合でも一定の犯罪被害にあった場合には、見舞金を支給する自治体もある。都においても、犯罪被害者等に対し見舞金制度の創設が必要と考えるが見解を伺う。

回答
 具体的な支援策については、被害者や被害者支援団体等を対象にした実態調査等の結果も踏まえ、有識者懇談会において幅広く議論した上で、検討を進めていきます。

質問事項
八の6 兵庫県明石市では、立てかえ支援金を支給する規定を設けている。福岡県でも加害者への法的請求にかかる費用の援助が行われている。都においても、各自治体がこのような制度を設けることができるように取組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 具体的な支援策については、被害者や被害者支援団体等を対象にした実態調査等の結果も踏まえ、有識者懇談会において幅広く議論した上で、検討を進めていきます。

質問事項
八の7 マスコミ等報道により二次被害が生じた場合、犯罪被害者やその家族が保護されるような取り組みを望むが所見を伺う。また、警視庁側が被害者等の情報をマスコミにリークするようなことがあるのか伺う。

回答
 犯罪被害者やその家族は、直接的な被害やそれに起因する二次的被害により、身体的、精神的に過酷な状況に置かれているため、被害直後から途切れることなく支援していくことが重要です。
 警視庁では、被害者カウンセラーによる精神的支援に加え、弁護士会との連携による法律相談等の支援を行うなど、都庁内関係部署や関係機関等と連携した支援を行っています。
 引き続き、犯罪被害者等が、一刻も早く平穏な生活を営んでいただけるよう、被害者の心に寄り添った支援を適切かつ継続的に実施していきます。
 なお、犯罪被害者等の情報は、法令等に基づき厳格に管理しており、その報道発表についても、関係者のプライバシー等の権利や利益並びに公表することによる公益及び事件捜査に与える影響等を総合的に勘案して、発表の適否や内容等を判断しています。

質問事項
九 小学校の教員補充のシステム化について
 登載者名簿は、各副校長の端末パソコンから閲覧できるようにするとともに、登載者の任用情報は、速やかにデータに反映できるようにするべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 産休育休代替教員及び時間講師の確保に当たっては、現在、学校が必要とする人材情報をインターネット上で公開し、条件に合った名簿登載者が応募する仕組みである非常勤職員情報提供システムの活用により、業務の効率化を図っています。
一方、名簿登載者の任用情報や連絡先等の基本情報については、教育庁教職員人事給与システムに随時蓄積されており、各学校において任用候補者を探す際にはこうした情報の活用が有用であるものの、重要な個人情報であることから、情報セキュリティの確保が課題となります。
 都教育委員会では、今後、各区市町村におけるシステム環境を踏まえ、区市町村教育委員会と連携し、各学校における同システムの活用方法等について検討していきます。

質問事項
十 台風15号における対応について
1 都内の被害状況について伺う。

回答
 台風15号による都内被害は、令和元年9月27日時点で、人的被害が死者1名、軽傷者7名、建物被害のうち住家被害は、全壊8棟、半壊90棟、一部破損1,534棟、浸水被害20棟、非住家被害は188棟、崖崩れが1件です。
 また、島しょ地域では、7つの島で停電が発生し、大島町や新島村などでは島内の全域で停電が発生しました。

質問事項
十の2 島しょ地域においては屋根や壁、窓が割れるなど、住宅の被害が多発しており、国や都による修理費用等の支援が求められているが、都の対応を伺う。

回答
 災害時における住宅の被害については、災害救助法による応急修理として、大規模半壊又は半壊の住宅に対する必要最小限の応急的な修理に対して、一定の条件の下で国と都が1世帯当たり59万5,000円を上限として負担する仕組みがあります。
 また、令和元年度以降に発生した災害からは、一部損壊のうち一定の損害割合以上の住宅にまで応急修理の対象が拡大されました。
 このたびの台風15号による被害については、大島町に災害救助法が適用されたことから、都は町に対して、事業者の名簿の提供などを行い、町による応急修理の円滑な実施を支援していきます。
 また、大島町及び新島村で全壊、大規模半壊等の世帯に対する、被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給に加え、支援金の対象とならない都内の全壊、大規模半壊、半壊の世帯に対し、都独自に支援していきます。
 さらに、島しょ地域を含め都内にお住まいの方で、台風15号により、屋根等の損壊などにより修理が必要なため、居住継続が困難になった世帯を対象に、都営住宅への受入れを行っています。
 こうした取組を通じて、被災者に寄り添いながら、住宅被害への対応を図っていきます。

質問事項
十の3 修理や復旧については、職人や資材も不足しており、復旧工事のめども立たない状況にある。本土からの職人派遣など早急な対応が求められているが、都の対応を伺う。

回答
 都では、災害時における被災住宅の応急修理など応急対策業務に関して、建設関係団体と協定を締結しており、協定に基づき、修理に対応できる事業者の選定等について協力を求めています。
 引き続き、地元自治体の状況の把握に努めながら、必要に応じて職人の派遣を関係団体に要請するなど、適切に対応していきます。

質問事項
十の4 千葉県をはじめ近隣県に対する認識と都の支援状況について伺う。

回答
 被災自治体のみで対応することが困難な大規模な災害が発生した場合に備え、千葉県を含む九都県市において、物資の支援や職員の派遣等を行うことを目的とした相互応援協定を締結する等、災害時の連携強化に努めています。
 都は、今回の台風被害に際して、千葉県及び県内市町等からの要請に基づき、ブルーシートや土のう、水や食料等を提供するとともに、東京水道災害救援隊やDMATの派遣、災害廃棄物処理支援等を行いました。
 また、総務省を事務局とする「被災市区町村応援職員確保調整本部」からの依頼に基づき、君津市をカウンターパートとして都及び区市町職員を派遣し、避難所運営支援やり災証明書発行支援等を行いました。
 今後も、現地のニーズを的確に把握し、関係機関とも連携を図りながら、必要な支援を行ってまいります。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤田りょうこ

質問事項
一 在宅人工呼吸器使用者療養支援事業について

一 在宅人工呼吸器使用者療養支援事業について
 昨年の北海道胆振東部地震での全電源喪失や、最近では台風の被害による長期間の停電など、災害対策での電源確保は喫緊の課題となっています。
 都内の自治体でも避難計画の策定が進み、都が実施している在宅人工呼吸器使用者療養支援事業の活用も進んでいると伺っています。
1 東京都は2011年から2012年にかけて、難病であるか否かにかかわらず、在宅で人工呼吸器を装着している方を対象として自家発電装置等の在宅への整備を進めました。現在都では、在宅人工呼吸器使用者への支援として、難病・難病以外ではどのような取組を行っていますか?また、そうした取組を実施する意義について、どう認識していますか?
2 2011年から在宅療養患者緊急時対応支援事業を実施した際、自家発電装置の整備が2年間で246件も進みました。在宅療養患者緊急時対応支援事業の概要や具体的な事業の流れは、どうだったのですか?
3 今年度の在宅人工呼吸器使用者療養支援事業における区市町村の申請状況について教えてください。
 都内の自治体がこの事業を活用して在宅人工呼吸器利用者宅に自家発電装置を設置するためには、自治体の個別避難計画の作成を進める必要があります。
4 東京都が「東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針」で示している「災害時・緊急時支援に係る情報提供書兼同意書」を、在宅人工呼吸指導管理料を算定している医療機関や訪問看護ステーションに送付し、地元自治体に情報提供の協力を依頼しているとのことですが、これはどういった目的でいつから行っているものですか?
 在宅人工呼吸器使用者療養支援事業は、自家発電装置を必要とする方にとって重要な事業です。一方、地元自治体が制度の活用を行わないと整備が進まず、2013年の事業開始から7年間で合計64件にとどまっています。東京都として、区市町村が在宅人工呼吸器を使用している方を把握できるよう支援するとともに、難病の方と同じように自家発電装置の整備に対して支援することを要望いたします。

令和元年第三回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 在宅人工呼吸器使用者療養支援事業について
1 都では、在宅人工呼吸器使用者への支援として、難病・難病以外ではどのような取組を行っているか伺う。また、そうした取組を実施する意義について認識を伺う。

回答
 在宅で人工呼吸器を使用している難病患者の非常用電源装置等の整備は、入院治療が必要となった重症難病患者の入院施設の確保及び受入体制等の整備のため、難病医療拠点・協力病院での設備整備を推進する国の制度の一環として補助事業を行っており、都では、独自に対象となる医療機関を拡大して事業を実施しています。
 難病患者以外の在宅人工呼吸器使用者に対しては、区市町村が避難行動要支援者対策の一環として自家発電装置の貸与等を実施しており、都は区市町村の取組を包括補助で支援しています。
 災害発生時の停電は在宅で人工呼吸器を使用している方にとって生命の危険に直結するおそれがあることから、電源の確保は不可欠であり、災害時の安全確保に向け、引き続き支援していきます。

質問事項
一の2 2011年から在宅療養患者緊急時対応支援事業を実施した際、自家発電装置の整備が2年間で246件も進んだ。在宅療養患者緊急時対応支援事業の概要や具体的な事業の流れはどうだったか伺う。

回答
 平成23年度及び平成24年度に実施した在宅療養患者緊急時対応支援事業は、在宅療養患者に対する人工呼吸療法を実施する医療機関への予備電源等の購入費を補助する事業で、医療機関が、患者に貸与する予備電源や自家発電装置等の購入に要する経費について、都に補助金の申請を行い、補助金の交付を受けて購入した物品を患者に無償で貸与する仕組みとしていました。

質問事項
一の3 今年度の在宅人工呼吸器使用者療養支援事業における区市町村の申請状況について伺う。

回答
 令和元年度、7区市が補助金の交付申請を行う予定であり、当該区市から計56台の自家発電装置の整備を行う事業計画が提出されています。

質問事項
一の4 都が「東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針」で示している「災害時・緊急時支援に係る情報提供書兼同意書」を、在宅人工呼吸指導管理料を算定している医療機関や訪問看護ステーションに送付し、地元自治体に情報提供の協力を依頼しているとのことだが、これはどういった目的でいつから行っているものか伺う。

回答
 都は、区市町村等の関係機関及び関係者が災害時に人工呼吸器使用者を適切に支援できるよう、東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針を策定し、在宅人工呼吸器使用者の把握並びに平常時からの準備及び発災時の支援方法を示しています。
 指針を策定した平成24年3月から毎年、都は、区市町村における在宅人工呼吸器使用者の把握を支援するため、医療機関や訪問看護ステーションに対して、新規の在宅人工呼吸器使用患者を把握した際に、患者の同意の下、区市町村窓口への情報提供を依頼しています。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 神林茂

質問事項
一 羽田空港の機能強化について

一 羽田空港の機能強化について
 去る8月8日国土交通省より、2020年3月29日から東京中心部よりA滑走路・C滑走路に到着するルート、B滑走路から南西に離陸するルートなど、新飛行経路の運用を開始し、羽田空港において国際線を年間約3.9万回増便することが決定されました。
 私は、これからの時代に我々の生活の中で国際航空の果たす役割や今後の需要予測、国際環境の変化等、将来のあらゆる面からも首都圏空港の機能強化は、個人的には反対したい思いもありますが、苦渋の選択として容認せざるを得ないことだと考えます。
 しかしながら、新たな飛行ルート下にあたる地域の皆さまや羽田空港周辺地域の皆さまが現実に直面する騒音や落下物などの問題については、見過ごす訳にはいかず、今後とも粘り強く地元の理解を得ながら、影響を最小限に食い止める取組に万全を期すことが必要であります。
 品川区・渋谷区をはじめとする新飛行ルート下にあたる地域の皆さまには、これから新たにどの程度の影響が想定されるのか、航空機騒音や落下物への不安がいまだぬぐい去ることが出来ず、課題として残されています。
 また、羽田をはじめとする空港周辺地域には、私もたびたび申し上げてきた通り、戦後の48時間強制退去の歴史や長い間航空機騒音に悩まされてきた辛く悲しい歴史があり、そもそも東京都が造成した羽田沖廃棄物埋立地を活用した羽田空港沖合展開事業の一番の目的が周辺住民への騒音対策であったことを忘れてはなりません。
 この間、国土交通省でも各地域での説明会を繰り返し、落下物防止対策の徹底をはじめ低騒音機導入、飛行経路、高度、便数、騒音測定局設置など様々な改善策を手がけてくれましたが、依然として新飛行ルート下や空港周辺の皆さまの不安や課題に十分応えることは出来ていません。
 東京都としては、できる限りの騒音防止・安全対策の徹底に努めると共に、技術の進歩や羽田空港の需要に応じて柔軟な見直しを図ることを国土交通省に申し入れを行い、併せて国土交通省や当該地方自治体、民間航空関連団体と連携を図って住民の不安を払拭し、航空機騒音・落下物被害等を最小限度に食い止めるために最後の最後まで検討を重ね、加えて対象地域の環境整備促進にも貢献できるよう全力で取り組んでいくことを強く要望致します。
 そこで、質問をいたしますが、
1 まず、新飛行ルート運用開始の決定に伴う東京都の見解について伺います。
2 次に、都内上空を飛行する新飛行ルート下の皆さまには、引き続き、国の騒音・落下物防止策をさらに徹底させた上で、粘り強く丁寧な説明を繰り返して、住民との信頼関係を築いていくことがまず大事なことであります。また、一層のご理解を深めていただくためにも、特に騒音が懸念される地域には、騒音測定局の設置や、民家防音工事の実施、技術進歩等に応じた不断の見直しなどの、具体的改善策の案を提示して検討を進めていくことが必要であります。東京都の見解を伺います。
3 最後に、長い間、航空機騒音に悩まされ続けて辛く悲しい歴史をもつ空港周辺地域の皆さまには、新たな騒音測定局の設置、既設民家防音工事の範囲拡大と老朽化した工事箇所の改修に努めるとともに、新たな街の課題として、空港周辺の犯罪やテロなどの脅威に備える防犯カメラの設置、木造住宅密集地域への防災助成の支援強化、交通対策や環境整備を推進して将来の魅力ある街づくりに積極的に協力して取り組んでいく必要があると考えます。東京都の見解を伺います。

令和元年第三回都議会定例会
神林茂議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 羽田空港の機能強化について
1 新飛行ルート運用開始の決定に伴う都の見解について伺う。

回答
 羽田空港の機能強化については、東京の国際競争力向上や東京2020大会の円滑な実施のため、極めて重要です。
 国は、これまで5期にわたる住民説明会の実施や低騒音機の導入促進、落下物防止対策基準の義務付けなど、総合的な対策に取り組んできました。さらに、都や地元の要請を受け、令和元年7月には、秋からのオープンハウス型説明会の開催や着陸高度の更なる引上げなど、より踏み込んだ対策を示しています。
 同年8月の首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会において都は、国に対し、こうした取組を評価するとともに、都民の理解が更に深まるよう、情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を要請し、国からは、引き続き丁寧な対応をしていく旨の発言がありました。
 都としては、引き続き丁寧な情報提供や対策の着実な実施を求めながら、国と協力し、羽田空港の機能強化実現に向けて積極的に取り組んでいきます。

質問事項
一の2 国の騒音・落下物防止策をさらに徹底させた上で、住民との信頼関係を築いていくことがまず大事なことである。また、特に騒音が懸念される地域には、具体的改善策の案を提示して検討を進めていくことが必要である。都の見解を伺う。

回答
 国は、これまで低騒音機の導入促進、落下物防止対策基準の義務付けなど、総合的な対策に取り組むとともに、5期にわたる住民説明会の実施など、丁寧な説明を行ってきました。
 その中で、騒音対策に関する具体的改善策の案として、これまでの検討を踏まえ、例えば、騒音測定局の設置については、新飛行経路下の13区に15局を設置する予定としています。なお、大田区などにおいては、地元の要望に応じ、複数局設置されます。
 また、防音工事については、航空機騒音障害防止法に基づき助成を行いますが、国は、南風時の新飛行経路が3時間程度に限った運用であり、様々な騒音対策を講じることから、新飛行経路の運用に伴い、住宅の防音工事が必要となるような音の影響が生じない見込みとしています。
 さらに、技術進歩を取り入れながら、引き続き、飛行経路について検討を行っていくとしています。
 国は、住民に心配の声があることを踏まえ、関係自治体等からの意見や要望に丁寧に対応することとしており、都としては、引き続き、都民の皆様の理解が更に深まるよう、具体的な対策を含む丁寧な情報提供や対策の着実な実施を求めていきます。

質問事項
一の3 長い間、航空機騒音に悩まされ続けて辛く悲しい歴史をもつ空港周辺地域の皆さまには、防犯カメラの設置、木造住宅密集地域への防災助成の支援強化など、将来の魅力ある街づくりに積極的に協力して取り組んでいく必要があると考える。都の見解を伺う。

回答
 空港周辺地域については、様々な街づくりが進められており、都はこうした街づくりを支援しています。
 例えば、木造住宅密集地域の改善について、「羽田二・三・六丁目地区」を、特に重点的・集中的に改善を図るべき地区として「不燃化特区」に指定し、老朽建築物の除却や建替えに対して助成を行っております。
 また、防犯カメラの設置について、都は、「東京都防犯設備の整備に対する区市町村補助」事業などにより、区を通じて、地元商店街などに対する支援を行っているところです。
 こうした事業のほか、羽田空港の機能強化が将来の魅力ある街づくりに資するよう、国とともに検討していきます。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 星見てい子

質問事項
一 東京都動物愛護相談センターの子猫の譲渡について

一 東京都動物愛護相談センターの子猫の譲渡について
 東京都の「ペットの殺処分ゼロ」の推進で、重要な施策になっているのが子猫の対策です。子猫の殺処分数は、2012年度には1,549匹とペットの殺処分全体の約65%を占めていました。現在、離乳後の子猫は、直接譲渡や登録保護団体に引き渡されています。東京都が導入した離乳前の子猫を保育する「ミルクボランティア」登録とミルク等の補助制度など整備がされてきました。
 東京都での子猫の殺処分は、ゼロになったとしていますが、東京都動物愛護相談センターからの譲渡先でどうなっているのかとの疑問が都民から寄せられています。
 特に、動物の譲渡事業に協力し、新たな飼い主探しを非営利の活動として行う団体として都が登録している譲渡対象団体などで、飼育崩壊を引き起こすような多頭飼いや、子猫で致死率が高いパルボウイルスの感染が起きている可能性もあり、調査と対応が必要と考えます。
 そこで、以下、質問します。
1 譲渡対象団体が、登録後も東京都の審査の基準をみたす活動をしているかを、どのように確認しているのでしょうか。登録後も、適正な活動がされているかをチェックできる仕組みが必要と考えます。いかがですか。
2 譲渡対象団体は、東京都に年次報告書を提出していますが、保護施設内でのパルボウイルスなど重大な感染症の発生状況を報告事項に入れるべきです。また、パルボウイルスの感染が保護施設内で出た場合は、団体任せにせず、都に状況報告させるなど、機敏な対応が必要と考えます。いかがですか。
3 譲渡対象団体の保護施設や活動で、不適当な飼育状況にあると判断された場合は、その状況の改善が確認されるまで、東京都からの動物の譲渡は停止するべきです。いかがですか。
4 飼育状況の改善が行われない場合や東京都の譲渡事業への協力の実態がない場合は、譲渡対象団体を解除すべきと考えます。解除の基準や考え方を伺います。
 次に、東京都動物愛護相談センターからの子猫の引き渡しについて、パルボウイルスの感染予防の徹底を求めてお聞きします。
5 離乳前の子猫は、ワクチン接種ができないため、親などからパルボウイルスが感染している場合があります。引き渡し先にワクチン未接種の動物がいないことを確認しているでしょうか。いかがでしょうか。
6 同様の理由で、異なる親猫から生まれた離乳前の子猫を、一緒にミルクボランティアなどに引き渡すと感染が広がる可能性があります。この点は、どのように対応しているのかを伺います。
7 子猫で、ワクチン未接種の場合は、東京都動物愛護相談センターで2、3週間保護・観察し、感染症を持っていないことを確認し、ワクチン接種してから引き渡すべきですが、どのようにしていますか。

令和元年第三回都議会定例会
星見てい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都動物愛護相談センターの子猫の譲渡について
1 譲渡対象団体が、登録後も都の審査の基準をみたす活動をしているかを、どのように確認しているのか。登録後も、適正な活動がされているかをチェックできる仕組みが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都の動物譲渡事業に協力する登録譲渡団体の登録に当たっては、新たな飼い主探しを非営利の活動として行うことや、都内に活動拠点を有することなどの登録基準を設け、登録申請時に基準に適合する団体であること等を確認しています。
 また、登録譲渡団体には、年度ごとの活動報告書に加え、譲渡動物現状報告書及び動物愛護相談センターから団体へ譲渡した動物を新たな飼い主に譲渡した場合の譲渡報告書の提出を義務付けています。
 これらの報告等について、必要に応じ現地調査を行うなどにより、団体が登録後も適正に活動していることを確認しています。

質問事項
一の2 譲渡対象団体は、都に年次報告書を提出しているが、パルボウイルスなど重大な感染症の発生状況を報告事項に入れるべきである。また、ウイルスの感染が保護施設内で出た場合は、都に状況報告させるなど、機敏な対応が必要と考える。見解を伺う。

回答
 都は毎年、登録譲渡団体を対象とした研修会を実施しており、平成29年度には、動物の感染症への対応をテーマとして取り上げ、感染症に適切に対応するための知識の普及と注意喚起を図っています。
 また、団体の飼養施設等でパルボウイルスなど感染力の強い感染症が発生したとの情報が寄せられた際には、発生状況に応じて現地での状況把握や衛生指導を行っています。
 今後も、こうした取組を通じて、登録譲渡団体が適切に感染症対策に取り組めるよう支援していきます。

質問事項
一の3 譲渡対象団体の保護施設や活動で、不適当な飼育状況にあると判断された場合は、その状況の改善が確認されるまで、都からの動物の譲渡は停止するべきである。見解を伺う。

回答
 登録譲渡団体の施設等での動物の飼養環境が適正な状況にないとの情報を得た場合には、動物愛護相談センターが必要に応じて現地調査を行うなど状況確認を行っています。
 その結果、飼養可能頭数を超えた管理を行っているなど、不適正な飼養状況にあると判断される場合は、その状況が改善されるまで、都から当該団体への動物の譲渡は行いません。

質問事項
一の4 飼育状況の改善が行われない場合や都の譲渡事業への協力の実態がない場合は、譲渡対象団体を解除すべきと考える。解除の基準や考え方を伺う。

回答
 登録譲渡団体の施設等での動物の飼養環境が適切でないと認められる場合や、団体の活動状況が都の譲渡事業の趣旨と合致しないと認められる場合等、登録譲渡団体の基準に適合しなくなった団体については、登録抹消の対象となります。
 そうした状況が認められる場合には、当該団体に対し改善を求め、改善が見られない場合は、登録基準に適合しない理由を明示した上で、登録を抹消することとしています。

質問事項
一の5 離乳前の子猫は、ワクチン接種ができないため、親などからパルボウイルスが感染している場合がある。引き渡し先にワクチン未接種の動物がいないことを確認しているか、伺う。

回答
 動物愛護相談センターでは、引取りを行った動物のうち生後間もない離乳前の子猫を譲り受け、一般の家庭等での飼育が可能となる段階まで育成した上で、新たな飼い主に譲渡する取組に協力する個人ボランティアの方を、ミルクボランティアとして登録しています。
 ミルクボランティアの登録に当たっては、動物愛護相談センターが実施する講習会を受講することとしており、講習会では、離乳前の子猫は感染症予防のためのワクチンが接種できないため、感染症にり患している可能性があることを説明するとともに、自宅等に別の飼い猫がいる場合には、その猫にワクチンを接種するよう助言しています。

質問事項
一の6 同様の理由で、異なる親猫から生まれた離乳前の子猫を、一緒にミルクボランティアなどに引き渡すと感染が広がる可能性がある。この点は、どのように対応しているのかを伺う。

回答
 動物愛護相談センターでは、引取りを行った子猫の間での感染症の発生を防止するため、同じ親猫から生まれた子猫と他の親猫から生まれたものとを分けて管理しています。
 同様の観点から、一人のミルクボランティアに対し同時に複数頭の離乳前子猫の育成を依頼する場合には、同じ親猫から生まれたものに限定しています。

質問事項
一の7 子猫で、ワクチン未接種の場合は、動物愛護相談センターで2、3週間保護・観察し、感染症を持っていないことを確認し、ワクチン接種してから引き渡すべきだが、どのようにしているか伺う。

回答
 動物愛護相談センターでは、引取りを行った猫は感染症のり患の有無を確認し、必要な場合には治療を行い、譲渡が可能な健康状態となったものを譲渡することとしています。
 また、猫の譲渡を行う場合には、パルボウイルス等の感染症予防のためのワクチンを接種した上で、引渡しを行っています。
 なお、離乳前の子猫にはワクチンの接種は行うべきでないとされているため、ミルクボランティアへ離乳前の子猫を引き渡す際には、ワクチンを接種していませんが、生後8週齢となった頃に動物愛護相談センターにおいて無料で接種を行っています。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 災害対策について
二 教育行政について

一 災害対策について
 自然災害から都民の安全安心を守ることは何より重要な課題です。来年にオリンピック・パラリンピックの開催を控え、多くの観光客が東京に来ることもあり、その対応は益々重要性を増しています。大会開催に際して暑さ対策が注目されていますが、9月に襲来した台風15号は都内に甚大な被害を与え、大会開催中に台風が来たらどうなるのかと多くの方が心配をしています。今回の台風では鉄道が計画運休しましたが、その翌日まで影響が残り、駅での入場制限などにより混乱が続きました。また、島嶼地域では甚大な被害が発生したため、会派として知事宛に早期の復興支援を行うよう要望書を提出しました。千葉でも大規模な停電、断水を発生させ、成田空港では多くの利用者が孤立するなど、今後の災害への備えとして課題は山積しています。災害への対応について以下、質問します。
1 オリンピック、パラリンピック開催時について、地震、台風などさまざまな自然災害を想定した対策が重要です。とりわけ多くの観光客が東京に来ることもあり、暑さ対策などを含めた対応も重要です。都として想定できる限りの災害を想定し、対応に取り組む必要があると考えますが見解を伺います。
2 東京においても震災が発生した場合に津波によって水没することが懸念されます。被害状況を想定し、早期の対応が必要です。そこで、都は、被害状況をどのように予測し、対応についてはどのようになっているのか伺います。
3 災害が発生した際には、まずは建物倒壊による被害から身を守ることが重要です。そこで、住宅やマンションの耐震化が100%になるよう支援を拡充する必要がありますが、見解を伺います。
4 災害が発生した際の情報の確保が重要で、情報がないと不安が増大してしまいます。災害時でもWi-Fiやインターネットなどにより100%通信が可能となるような通信環境の整備が必要と考えますが見解を伺います。
5 スマートフォンの普及により、情報が確保しやすくはなりましたが、停電により充電ができなくなると使えなくなります。充電器も各家庭で備蓄をお願いしていくことも重要ですが、備蓄しなかった方や避難している方など、公共施設での充電を求めることになります。災害用の蓄電池について東京都も自らが備蓄したり、または市区町村での備蓄が進むよう助成し、住民のスマートフォンへの充電に対応できるようにすべきと考えますが見解を伺います。
6 災害により避難所に避難した場合に、子どもや障がい者も安心して過ごせるようにすることが重要です。また、ペットも可能な多様な避難所を確保することが重要と考えます。市区町村への支援も含め見解を伺います。
7 災害時に停電するとエレベーターが停止し、高層住宅では上層階の居住者は孤立しかねません。そこで、高層住宅における電源確保等、マンション居住者の孤立化の防止に取り組む必要がありますが、見解を伺います。
8 避難所における生活の質の向上が重要です。床に段ボールを引いて寝るのではなく、高床式の居住スペースを確保することが人らしい生活を送ることにつながります。見解を伺います。
9 熊本地震については、短い期間の間に震度7の地震が2度発生し、大きな被害が発生しました。都としても震度7の大きな地震が続けて2度来ることを想定した対応も必要ですが、見解を伺います。
10 学校において児童生徒の災害用のヘルメットを備えることも重要です。防災頭巾では安全について大丈夫なのかとの不安の声も聞かれます。市区町村への対応について見解を求めます。

二 教育行政について
1 小池知事は「多摩格差ゼロ」を公約に掲げていましたが、実際には多くの格差が存在しています。とりわけ教育行政については自治体間の格差を生じさせないために人事権は都にあり、市区町村立の小中学校の教員については、児童生徒数に応じて配置をしています。しかし、実際には、独自採用の教員や施設、教材など自治体の政策判断の違いとはいえ、自治体の財政による制約があるため、結果としては教育環境に大きな格差が存在しています。実際に自治体を越えて異動する教職員からは、明確に区部と市町村における教育環境の格差がありその是正を訴えられます。とりわけ、東京都公立小学校長会からは毎年の要望で、自治体の財政力が教育格差につながらないよう支援を求めてきています。過去においても、教室への空調設備の設置が、区部ではほぼ100%、多摩地域では約2割と明確な格差がある調査結果があったことから都が支援を始めました。
 そこで、各市区町村の、教育に関する財政状況、予算、独自採用の職員数、学校内で働いている都以外に採用した教職員の勤務内容と総数について都が調べ、実態を把握した上で、区部と市町村との教育格差を是正するため、区市町村が独自に採用する職員の採用や教材や施設について必要な支援を都が行うべきと考えますが、見解を伺います。
2 築年数が長くなる学校の校舎については良好な教育環境の整備のため、保護者からも改築などの声が出されます。とりわけ、都立八王子盲学校は改築工事後48年が経過し、保護者からも早期の全面改築を求める声が継続的に出されてきました。安心して学べる環境を整備するためにも早期の改築が必要と考えますが、今後の取り組みを伺います。
3 八王子盲学校の改築にあたっては、保護者の声に応えるために、都の取り組みを丁寧に説明することが必要です。とりわけ、改築を進めるには保護者の声も反映させることが重要です。そこで、保護者に対して、どのように説明し、意見を取り入れていくのか伺います。

令和元年第三回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 災害対策について
1 オリンピック、パラリンピック開催時について、都としてできる限りの災害を想定し、対応に取り組む必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 東京2020大会開催時における地震、台風などの自然災害を想定した都の対応については、平成30年7月に設置した庁内各局及び国、組織委員会、区市町村やインフラ事業者等で構成する「東京2020大会に向けた東京都安全・安心推進会議」に、災害対策分科会を設置し、首都直下地震や台風による風水害を想定した検討を進めています。
 具体的には、自然災害を含む様々な事態を想定し、海外からの観光客を含む多数の来訪者が訪れる大会の特性などを踏まえた、「東京2020大会の安全・安心確保のための対処要領」を、夏の暑さ対策も盛り込み策定し、平成31年4月には第2版として改定しました。
 この「対処要領」に基づき、今後も首都直下地震等の自然災害の発生も想定した、図上訓練や実地訓練を行うなど、継続した検証を進め、危機管理機能の向上を図っていきます。

質問事項
一の2 東京においても震災が発生した場合に津波によって水没することが懸念される。被害状況を想定し、早期の対応が必要である。そこで、都は、被害状況をどのように予測し、対応についてはどのようになっているのか伺う。

回答
 東京都防災会議が公表した首都直下地震や南海トラフ巨大地震等による被害想定では、区部における最大津波高をTP2.61メートルとしています。
 東京湾沿岸部や低地帯において、都はこれまで、伊勢湾台風級の高潮に対応する防潮堤等を整備しており、死者などの大きな被害は生じないと想定していますが、想定される最大級の地震にも対応できるよう、河川施設や海岸保全施設等の耐震、耐水対策などを推進しています。
一方、島しょ部では、新島で最大約30メートルの津波が約15分で到達するなど、甚大な被害が想定されています。このため、都では、迅速な避難の実現に向けて、島しょ町村の避難計画策定支援や総合防災訓練を実施するとともに、津波到達までの時間が短い港において津波避難施設を整備するなど、ハード・ソフト両面から防災対策に取り組んでいます。

質問事項
一の3 災害が発生した際には、まずは建物倒壊による被害から身を守ることが重要である。そこで、住宅やマンションの耐震化が100%になるよう支援を拡充する必要があるが、見解を伺う。

回答
 住宅の耐震化を促進するためには、所有者が自らの問題として認識し、備えることが不可欠であり、所有者が主体的に取り組むよう働きかけることが重要です。
 戸建住宅などについては、かねてから整備地域内の住宅への助成や普及啓発の取組を進めており、平成30年度からは、所有者への積極的な働きかけを行う区市町村を対象に、整備地域外にも助成を拡大しました。
 分譲マンションについては、耐震化に向けた助言等を行うため、耐震アドバイザーの派遣などの取組を進めてきました。平成30年度からは、耐震診断の実施等に取り組んだものの、次の段階に進んでいない管理組合等に対して、建築士等の専門家を繰り返し派遣し、耐震化の実施に向けた合意形成の支援を行っています。
 こうした取組を通じ、住宅の耐震化を促進していきます。

質問事項
一の4 災害が発生した際の情報の確保が重要で、情報がないと不安が増大してしまう。災害時でもWi-Fiやインターネットなどにより100%通信が可能となるような通信環境の整備が必要と考えるが見解を伺う。

回答
 首都直下地震等大規模な災害時でも、Wi-Fiやインターネットなどによる通信がつながり、様々な情報が得られることは、大変重要なことです。
 通信や電気などのインフラ整備については、これまでも指定公共機関である各事業者において、耐震設計基準に基づいた施設整備等を進めており、また、電気・通信施設が被災した場合においても、応急復旧できるよう、移動通信車や移動発電車の整備が行われています。
 今般、都は「TOKYO Data Highway基本戦略」を発表し、21世紀の基幹インフラとして電波の道の整備を進めることとしました。いつでも、どこでも、誰もがつながるTOKYOの実現は、災害時でも変わりがありません。基地局等通信施設の稼働には、電源が必要であり、そうしたことを踏まえ、今後、通信キャリアと連携し、5Gネットワークをはじめ災害時にも有効な通信環境を構築していくことは重要であると考えています。

質問事項
一の5 災害用の蓄電池について都も自らが備蓄したり、または市区町村での備蓄が進むよう助成し、住民のスマートフォンへの充電に対応できるようにすべきと考えるが見解を伺う。

回答
 個人が使用するスマートフォンの電源については、乾電池を備蓄したり、外出時は常に充電器やバッテリーを持ち歩くなど、基本的に自助努力で確保すべきものと考えております。
一方、近年の災害において想定を超える停電も発生しており、引き続き東京くらし防災などを活用し、啓発に取り組むとともに、発災時に被災者が必要な情報を得られるような手段についても検討していきます。

質問事項
一の6 災害により避難所に避難した場合に、子どもや障がい者も安心して過ごせるようにすることが重要である。また、ペットも可能な多様な避難所を確保することが重要と考える。市区町村への支援も含め見解を伺う。

回答
 都は、災害発生時に区市町村が避難所を円滑に運営できるよう、避難所管理運営の指針を作成しており、平成30年3月に改定しました。
 その中には、母子避難スペースやキッズスペースの設置の検討など、子供やその保護者に配慮した避難所運営の具体的な留意点や、情報掲示板、音声案内をはじめ、障害等の特性に応じて必要となる配慮の具体的な事例などを盛り込んでいます。
 また、災害時においてペットと共に避難行動を行うことは、被災した飼い主の心のケアの観点からも重要であり、多数の飼い主がペットと共に避難することを前提として、区市町村が避難所施設の状況に応じ、飼養場所を設定できるように留意点等を記載しています。
 今後とも、子供や障害者への配慮に加え、ペットとの避難等にも配慮した避難所運営が行われるよう、区市町村に対し、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を働きかけていきます。

質問事項
一の7 災害時に停電するとエレベーターが停止し、高層住宅では上層階の居住者は孤立しかねない。高層住宅における電源確保等、マンション居住者の孤立化の防止に取り組む必要があるが、見解を伺う。

回答
 災害時におけるマンション居住者の孤立化を防止することは、重要な課題と認識しています。
 このため、都は、停電時でも水の供給やエレベーターの運転に必要な最小限の電源を確保したマンションである「東京都LCP住宅」を登録・公開する制度を平成24年度に開始し、その普及啓発を図っています。
 また、水や食料、非常用トイレ等の家庭での日常備蓄や、住民同士による助け合いの重要性について、防災ブックや防災セミナー等を通じて、普及啓発に努めています。
 こうした取組を通じ、災害時におけるマンション居住者の孤立化の防止を促進していきます。

質問事項
一の8 避難所における生活の質の向上が重要である。床に段ボールを引いて寝るのではなく、高床式の居住スペースを確保することが人らしい生活を送ることにつながる。見解を伺う。

回答
 避難所における良好な生活環境を整備するため、寝床について、エアマットや段ボールベッド等を導入することは重要であると認識しており、平成30年3月に改定した避難所管理運営の指針で、区市町村が検討する事項として、段ボールベッド等の設置について記載しています。
 今後とも、避難所で、避難者一人一人の健康を守り、良好な生活環境が確保されるよう、区市町村に対し、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を働きかけていきます。

質問事項
一の9 熊本地震については、短い期間の間に震度7の地震が2度発生し、大きな被害が発生した。都としても震度7の大きな地震が続けて2度来ることを想定した対応も必要だが、見解を伺う。

回答
 都は、首都直下地震について、被害想定報告書で起こり得る最大規模の被害を明らかにし、「セーフ シティ東京防災プラン」に基づき建築物の耐震化などのハード対策や、医療救護体制の強化などのソフト対策を計画的に進めております。
 今後も、平成28年熊本地震などこれまでの災害から得られた教訓を参考にして、防災・減災に向けた啓発に取り組むとともに、実践的な防災訓練を積み重ねることにより、震災被害の軽減に努めていきます。

質問事項
一の10 学校において児童生徒の災害用のヘルメットを備えることも重要である。防災頭巾では安全について大丈夫なのかとの不安の声も聞かれる。市区町村への対応について見解を伺う。

回答
 各学校においては、災害時に児童・生徒の生命及び身体の安全確保に万全を期すため、学校や地域の実情、児童・生徒の発達段階等に応じて、防災頭巾やヘルメット等を使用しているものと認識しています。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会の取組に資するため、地域の実情等に応じた学校ごとの災害対応マニュアル策定に向けた学校危機管理マニュアルを示すとともに、各学校において安全教育が効果的に行われるよう、全ての教員に安全教育プログラムを配布するなどしています。

質問事項
二 教育行政について
1 各市区町村の、教育に関する財政状況、予算、独自採用の職員数、学校内で働いている都以外に採用した教職員の勤務内容と総数について都が調べ、実態を把握した上で、区部と市町村との教育格差を是正するため、区市町村が独自に採用する職員や教材や施設について必要な支援を都が行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 現在、各区市町村が設置する小・中学校では、学習指導要領に基づき、全ての児童・生徒が知識及び技能を習得し、思考力、判断力、表現力等を身に付けられるよう、地域の実態を踏まえた特色ある教育活動を主体的に展開しています。
 都教育委員会としても、区市町村教育委員会との連携を図り、広域行政の立場から多様な支援を行っています。
 具体的には、学校施設の耐震化、空調設備やトイレの整備及び部活動指導員の配置などへの財政的な支援とともに、教員向けの指導資料の作成・配布などにより、各学校の教育活動を支えています。
 今後とも、各区市町村教育委員会や学校の声を真摯に受け止め、質の高い学校教育を支える教育環境の整備に努めてまいります。

質問事項
二の2 八王子盲学校は改築工事後48年が経過し、保護者からも早期の全面改築を求める声が継続的に出されてきた。安心して学べる環境を整備するためにも早期の改築が必要と考えるが、今後の取り組みを伺う。

回答
八王子盲学校については、令和元年度、改築に向けた敷地の現況確認及び施設整備に係る条件調査等を内容とする、基礎調査の実施に着手したところです。
 今後、基礎調査の結果を踏まえて、法令上や施工上の条件・課題の整理をするとともに、施設整備に係るコスト、スケジュール等について、検討を進め、八王子盲学校の改築に向けて取り組んでいきます。

質問事項
二の3 八王子盲学校の改築にあたっては、保護者の声に応えるために、都の取り組みを丁寧に説明することが必要である。とりわけ、改築を進めるには保護者の声も反映させることが重要である。そこで、どのように説明し、意見を取り入れていくのか伺う。

回答
 都立学校の施設整備に当たっては、学校の教育環境に対する保護者等の声を日頃から把握している学校の管理職等の意見を聴取し、設計等に反映することとしています。
八王子盲学校の改築に際しても、このように学校の管理職等の意見聴取を行うほか、改築に関する保護者説明会などを開催し、意見・要望を把握するとともに、工事計画等の内容について丁寧に説明していきます。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とくとめ道信

質問事項
一 板橋区特定整備路線・補助26号線と東武東上線立体化の建設計画の現状と今後の見通しについて

一 板橋区特定整備路線・補助26号線と東武東上線立体化の建設計画の現状と今後の見通しについて
1 特定整備路線補助26号線の建設計画の現状と今後の見通しについて
ア 補助26号線は、2020年度までに建設完了となっていますが、現時点での進捗状況はどうなっていますか、最新の境界立会率、用地取得率について示してください。
イ 現時点での着工時期がいつになるのか、工事終了はいつまでになるのかについて示してください。
ウ 用地取得率の低さについて、その要因を都はどのように分析していますか。
エ 補助26号線沿いに、現在計画が進められているクロスポイント開発地区の工事が、2020年度に着工予定で進められていますが、補助26号線の建設工事と一体に進められるのかについて、教えてください。再開発事業計画の方が先に進められて、完了しても、補助26号線の建設には影響はないのですか、教えてください。
 先行して進行することが見込まれる再開発事業と、補助26号線の工事における相互の関係について、現段階での都の考えについて、教えてください。
オ アーケードが、補助26号線道路の建設に係る部分の約170メートルは、撤去となる計画ですが、撤去する責任は、ハッピーロード大山商店街振興組合と東京都は述べていますが、必要な経費は東京都が補償するといいながら、いまだにその補償額、対象工事等については示されていません。いつまでに示すのですか、その期日について教えてください。
カ 補助26号線の建設計画に関わって、ハッピーロード大山商店街は、約40店舗が立ち退き、アーケードの撤去などの影響から、商店街の活性化にとって大きな影響が発生すると見込まれています。こうした影響に対する東京都の補償について、商店街振興組合から要望も出されていますが、都として新たな基準をつくるなど、どのような対応をとるのか、教えてください。
キ 26号線沿いの歩道へのアーケードの設置と、道路に大屋根をかける要望が商店街振興組合から出されていますが、検討するのですか。検討するのかどうかの可能性も含めて、教えてください。
ク ピッコロ広場の都所有地について、商店街振興組合から売却の要望が示されていますが、可能なのですか。可能でないとすれば、どのような方法で商店街振興組合の要望にこたえることが可能なのか、教えてください。
ケ 補助26号線と東上線立体化の両事業から、ハッピーロード商店街は大きな影響を受けることになります。それぞれ別々の相談では、整合性が保てません。両事業の対応について、一緒に対応できる組織の設置を求めていますが、どのように対応する計画なのかについて、教えてください。
コ 2020年度までに、補助26号線の建設が完了しなかったときには、改めて建設について、見直しをするのかについて、教えてください。
サ 東武東上線の立体化に伴って、ハッピーロード大山商店街のアーケードへの影響について、図面と範囲、かかる工事経費の総額、そのうち東京都として、補償できる工事対象とその費用について示してください。今日現在まで示すことができないとするならば、いつまでに示すことができるのか、日程等について教えてください。
シ 東武鉄道の立体化の工事が完了しないうちに、補助26号線の道路建設が終了した場合、開かずの踏切への対応について、踏切の工事完了までは、歩行者優先道路とすることについて、可能性とその手法について、教えてください。
2 東武東上線立体化(大山駅付近)に関わる建設計画について
ア 立体化の建設にかかる経費について、高架化、地下化のそれぞれの場合にかかる、〔1〕補償にかかる経費を含む用地取得の経費、用地取得の面積と件数〔2〕工事費の総額の見込みのそれぞれの総額について、教えてください。
イ 立体化に関する都などが行った構造比較において、環境性について、日影、騒音、振動、地下水について、それぞれ高架方式、地下方式がどのように評価されたのか、詳細についてお答えください。

令和元年第三回都議会定例会
とくとめ道信議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 板橋区特定整備路線・補助26号線と東武東上線立体化の建設計画の現状と今後の見通しについて
1 特定整備路線補助26号線の建設計画の現状と今後の見通しについて
ア 補助26号線は、2020年度までに建設完了となっているが、現時点での進捗状況はどうなっているか、最新の境界立会率、用地取得率について伺う。

回答
 補助第26号線大山区間について、平成31年3月末時点の境界立会率は約95パーセント、用地取得率は約19パーセントです。

質問事項
一の1のイ 現時点での着工時期がいつになるのか、工事終了はいつまでになるのかについて伺う。

回答
 権利者との合意形成に時間を要しており、整備目標年次である、令和2年度の整備完了は厳しい状況ですが、引き続き、関係権利者に丁寧に対応しながら、整備を進めていきます。

質問事項
一の1のウ 用地取得率の低さについて、その要因を都はどのように分析しているのか伺う。

回答
 本地区において用地取得を進める上での課題としては、店舗などの移転先の確保、権利関係が複雑で権利者との合意形成に時間を要することなどがあります。

質問事項
一の1のエ 現在計画が進められているクロスポイント開発地区の工事が、2020年度に着工予定で進められているが、補助26号線の建設工事と一体に進められるのかについて、伺う。再開発事業計画の方が先に進められて、完了しても、補助26号線の建設には影響はないのか、伺う。先行して進行することが見込まれる再開発事業と、補助26号線の工事における相互の関係について、現段階での都の考えについて、伺う。

回答
 大山町クロスポイント周辺地区は、補助第26号線大山区間と商店街との交差部に位置する地区として、商店街の連続性を確保する店舗などを低層部に整備することで、まちのにぎわいを創出する計画となっており、令和元年6月に市街地再開発組合が設立されています。
 本区間には、計画線の区域内に商店街が含まれていることから、店舗などの営業継続やにぎわいの維持向上を図りながら、沿道のまちづくりと一体的に道路整備を進めることが重要であると考えています。

質問事項
一の1のオ アーケードを撤去する責任は、ハッピーロード大山商店街振興組合と都は述べているが、必要な経費は都が補償するといいながら、その補償額、対象工事等について示されていない。いつまでに示すのか、期日について伺う。

回答
 商店街のアーケードについて、都は、補助第26号線の整備に支障となる部分の除却に関する補償や、当該除却工事に伴い影響が生じる道路区域外の部分の改修工事に関する補償、機能回復工事に関する補償等を適正に行います。
 都は、商店街振興組合に対して、平成30年3月から補償の考え方について説明を行っており、補償額の提示の時期等については、引き続き、協議を進めていきます。

質問事項
一の1のカ ハッピーロード大山商店街は、約40店舗が立ち退き、アーケードの撤去などの影響から、商店街の活性化にとって大きな影響が発生すると見込まれている。都の補償について、商店街振興組合から要望も出されているが、都として新たな基準をつくるなど、どのような対応をとるのか、伺う。

回答
 東京都の公共事業の施行に伴う損失補償については、「東京都の事業の施行に伴う損失補償基準」等に基づき、適正な補償の確保を図っています。
 当該基準では、土地等の権利者に対し、土地等の取得、土地等の使用及びこれらにより通常生じる損失について補償することとしています。
 引き続き、補償の考え方等について丁寧に説明していきます。

質問事項
一の1のキ 26号線沿いの歩道へのアーケードの設置と、道路に大屋根をかける要望が商店街振興組合から出されているが、検討するのか。検討するのかどうかの可能性も含めて、伺う。

回答
 アーケードについては、都が補助第26号線大山区間の道路内に整備する予定はありません。

質問事項
一の1のク ピッコロ広場の都所有地について、商店街振興組合から売却の要望が示されているが、可能なのか。可能でないとすれば、どのような方法で商店街振興組合の要望にこたえることが可能なのか、伺う。

回答
 都有地については、地方自治法により、原則として特定の個人及び法人に任意で売却することはできません。
 都はこれまでも、区と連携し、商店街を中心としたまちづくりの勉強会に専門家を派遣するなど、地元の取組を支援し、こうした取組の結果、平成27年2月にピッコロスクエア再開発準備組合が設立されました。
 引き続き、区のまちづくりを技術的、財政的に支援していきます。

質問事項
一の1のケ 補助26号線と東上線立体化の両事業から、ハッピーロード商店街は大きな影響を受けることになる。それぞれ別々の相談では、整合性が保てない。両事業の対応について、一緒に対応できる組織の設置を求めているが、どのように対応する計画なのかについて、伺う。

回答
 これまで都は、地元区が主催する勉強会に参加するなどして、区の取組を支援してきたところですが、インフラ整備に併せたまちづくりでは都の関係部局が多岐にわたることから、事務局である板橋区が、都と連携して、平成31年2月に「大山駅周辺地区都区情報連絡会」を設置しています。
 本連絡会には、都から、都市整備局、建設局及び産業労働局が参加しており、区が進めるまちづくりに対して、それぞれの見地からアドバイスなどを行っています。
 また、月1回開催されている、都・区・商店街との例会には、市街地整備部及び第二市街地整備事務所が出席し、地元の要望の把握に努めるとともに、都の事業の情報を適宜提供するなど、意思疎通を図っています。
 こうして得られた情報については、今後とも関係部局との間で共有を図っていきます。

質問事項
一の1のコ 2020年度までに、補助26号線の建設が完了しなかったときには、改めて建設について、見直しをするのかについて、伺う。

回答
 特定整備路線である補助第26号線大山区間は、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域において延焼遮断帯を形成し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、都民の生命と財産を守る上で極めて重要な都市計画道路です。
 引き続き、関係権利者に丁寧に対応し、理解と協力を得ながら、整備を進めていきます。

質問事項
一の1のサ 東武東上線の立体化に伴って、ハッピーロード大山商店街のアーケードへの影響について、図面と範囲、かかる工事経費の総額、都として、補償できる工事対象とその費用について伺う。現在まで示すことができないならば、いつまでに示すことができるのか、日程等について伺う。

回答
 東武東上線大山駅付近の鉄道立体化については、都市計画案を令和元年11月に都市計画審議会に付議し、了承を得たところであり、令和元年中に都市計画決定する予定です。
 都市計画案では、ハッピーロード大山商店街のアーケードの一部が都市計画の区域に掛かることが想定されていますが、都市計画決定後に詳細な影響範囲を把握するための用地測量等を行い、必要に応じて適切に対応していきます。

質問事項
一の1のシ 東武鉄道の立体化の工事が完了しないうちに、補助26号線の道路建設が終了した場合、開かずの踏切への対応について、踏切の工事完了までは、歩行者優先道路とすることについて、可能性とその手法について、伺う。

回答
 補助第26号線大山区間の整備は、木造住宅密集地域において延焼遮断帯を形成し、避難路や緊急車両の通行路となるとともに、道路ネットワークの形成により、交通の円滑化を図るものです。
 本区間の整備により、対面通行可能な2車線道路に拡幅され、歩道や自転車走行空間が確保されます。
 なお、踏切が残る間は、踏切部分においても自動車と歩行者等が接触することを防ぐ対策を講じるなど、安全安心の確保に向け、適切に対応していきます。

質問事項
一の2 東武東上線立体化(大山駅付近)に関わる建設計画について
ア 立体化の建設にかかる経費について、高架化、地下化のそれぞれの場合にかかる、〔1〕補償にかかる経費を含む用地取得の経費、用地取得の面積と件数〔2〕工事費の総額の見込みのそれぞれの総額について、伺う。

回答
 高架方式の用地取得の費用は約70億円、工事の費用は約270億円です。用地取得の面積は約1,800平方メートル、棟数は37棟と見込んでいます。
 地下方式の用地取得の費用は約70億円、工事の費用は約480億円です。用地取得の面積は約1,500平方メートル、棟数は35棟と見込んでいます。

質問事項
一の2のイ 立体化に関する都などが行った構造比較において、環境性について、日影、騒音、振動、地下水について、それぞれ高架方式、地下方式がどのように評価されたのか、詳細について伺う。

回答
 鉄道立体化の構造形式については、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却する踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件を総合的に判断し、東武東上線大山駅付近については高架方式を選定しています。
 選定した方式について、東京都環境影響評価条例に基づき、騒音・振動、日影、電波障害、景観及び廃棄物の5項目で予測・評価をしており、全ての項目で環境基準等の評価の指標を満足しています。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 地域医療介護総合確保基金について
二 野火止用水の保全について

一 地域医療介護総合確保基金について
 「特養ホームをもっと増やしてほしい」「今住んでいる地域に安心して入れる特養ホームをつくってほしい」の要望はたくさん寄せられています。
 厚労省に対し、高齢者施設建設のために国有地や都有地がない地域での「民有地の活用」への支援拡充を求めると、国の担当者からは、都道府県に「地域医療介護総合確保基金」で支援しているとの答弁がありました。
 国からの聞き取りで、東京都への地域医療介護総合確保基金(介護施設等の整備に関する事業分)の配分額について、平成27年度は145.6億円、平成28年度は51.6億円、平成29年度は14.7億円、平成30年度は25.6億円、令和元年度は42.5億円であることが明らかになりました。
 国の補助制度を活用し、高齢者施設の整備、介護人材の確保と育成の事業を抜本的に拡充することが求められます。
 そこで、東京都の地域医療介護総合確保基金について、いくつか伺います。
1 東京都の地域医療介護総合確保基金を活用して行っている事業は、どのような事業がありますか。
2 東京都の地域医療介護総合確保基金の執行状況について、伺います。
3 地域医療介護総合確保基金の積立状況について、伺います。

二 野火止用水の保全について
 私の地元である東大和市には野火止用水路があり、自然豊かな風景にこころを癒され、住民のみなさんからも「このまま守ってほしい」という声が寄せられます。
 野火止用水は立川市の玉川上水から、東大和市、小平市、東村山市、東久留米市、清瀬市を流れ埼玉県新座市を通り、新河岸川に続く用水路です。
 歴史的にも貴重な野火止用水をよみがえらせようとの住民の声が広がり、1974年には歴史環境保全地域に指定されました。
 1984年には、下水処理水をさらに浄化した高度処理水を流水に活用する「清流復活事業」を実施し、野火止用水に流水がよみがえりました。
 現在は、ボランティアの方たちの支えもあり魚が泳ぎ、きれいな水と緑が豊かな場所となっています。
 2000年4月に施行された「地方分権一括法」により、野火止用水の財産権・管理費は国から各市へ譲与されることになり、東京都により通水など一定の確認が得られたため、2007年3月に各市が譲与を受けることになりました。
 住民のみなさんからは「この間のゲリラ豪雨によって、どこでも水害の心配がある。野火止用水路は大丈夫なのか」「昨年の台風で、倒木被害が出ている」「剪定してほしいが、歴史環境保全地域になっているのでできないと言われた。安全のため必要な剪定は行ってほしい」などの要望も寄せられています。
 そこで、いくつか質問をします。
1 野火止用水路に下水道処理の高度処理水を流水していますが、年間の流水量はどのくらいですか。
2 流水量は降雨量などを考慮し計画的に調整しているのですか。
3 歴史環境保全地域は、どのような規制があるのですか。
4 昨年、台風による倒木の被害がありました。住民の安全を考えると、一定の高さ以上になっている高木は伐採の必要があると思いますが、都の認識を伺います。
5 関係する6自治体でつくる「野火止用水保全対策協議会」は、「野火止用水は、歴史環境保全地域になっているため、景観を考慮した整備は経費負担が大きく、計画的な整備が困難な状況にある。また、用水路周辺環境は、住宅が隣接している個所や樹林地が接している個所等、様々な形態をなしており、住宅付近では親水性等、その形態に適した整備を進める必要がある」と、整備に対する助成と規制の緩和を東京都に求めています。
 関係する6自治体や住民の要望をよく聞き、東京都として緑や水の保全の立場から、今後の財政支援の検討、歴史環境保全地域の規制については住民の安全を最優先にした緩和などについて検討すべきですが、いかがですか。

令和元年第三回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 地域医療介護総合確保基金について
1 都の地域医療介護総合確保基金を活用して行っている事業は、どのような事業があるか、伺う。

回答
 地域医療介護総合確保基金(以下「基金」という。)は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、平成26年度からの消費税増収分等を活用した国の財政支援制度として創設されたものであり、各都道府県が条例に基づき設置しています。
 国は、都道府県が基金を活用して事業を実施する場合には計画を定めることとしています。国が定める5つの対象事業に該当する、都の平成30年度計画での事業は、以下のとおりです。
 「地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業」として、「地域医療構想推進事業」など5事業
 「居宅等における医療の提供に関する事業」として、「区市町村在宅療養推進事業」や「入退院時連携強化事業」など12事業
 「介護施設等の整備に関する事業」として、地域密着型サービス施設等の整備に対する助成などを行う「東京都介護施設等整備事業」の1事業
 「医療従事者の確保に関する事業」として、「病院勤務者勤務環境改善事業」や「東京都地域医療支援ドクター事業」など30事業
 「介護従事者の確保に関する事業」として、職場体験などを行う「介護人材確保対策事業」や「東京都区市町村介護人材緊急対策事業費補助金」など41事業

質問事項
一の2 都の地域医療介護総合確保基金の執行状況について、伺う。

回答
 基金の執行状況は、医療分は基金が創設された平成26年度から平成30年度までの累計で約196億円、平成27年度から開始した介護分は平成30年度までの累計で約251億円です。

質問事項
一の3 地域医療介護総合確保基金の積立状況について、伺う。

回答
 基金の積立状況は、医療分が平成26年度から平成30年度までの累計で約383億円、介護分が平成27年度から平成30年度までの累計で約432億円です。

質問事項
二 野火止用水の保全について
1 野火止用水路に下水道処理の高度処理水を流水しているが、年間の流水量はどのくらいか、伺う。

回答
 野火止用水には、多摩川上流水再生センターで高度処理した再生水を送水し、清流を復活させています。
 送水量は、1日約9,800立方メートル、1年間に換算すると約350万立方メートルです。

質問事項
二の2 流水量は降雨量などを考慮し計画的に調整しているのか、伺う。

回答
 降雨時等における野火止用水への送水については、都民の安全を確保するため、気象庁が多摩北部に大雨及び洪水のいずれかの警報を発表した時や野火止用水の水位が規定値に達した時に送水を制限または停止しています。

質問事項
二の3 歴史環境保全地域は、どのような規制があるのか、伺う。

回答
 歴史環境保全地域は、歴史的遺産と併せて良好な自然を保護することが必要な土地の区域を、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づき、知事が指定する保全地域です。
 歴史環境保全地域内では、建築物その他の工作物の新築・改築・増築、土地の形質変更、木竹の伐採等の行為又は歴史的遺産の現状を変更する行為には、知事の許可が必要です。
 ただし、保全地域に関する保全事業として行う行為、枯損した木竹又は危険な木竹の伐採等の行為などには、許可が不要です。

質問事項
二の4 昨年、台風による倒木の被害があった。住民の安全を考えると、一定の高さ以上になっている高木は伐採の必要があると思うが、都の認識を伺う。

回答
 野火止用水歴史環境保全地域のうち、都が所有する土地については、都は、保全事業として、枯損した木竹又は危険な木竹の伐採を行うなど、適切に管理しています。
 それ以外の土地でも、それぞれの所有者は、知事の許可なく、枯損した木竹又は危険な木竹の伐採を行うことができます。

質問事項
二の5 関係する6自治体でつくる「野火止用水保全対策協議会」は、整備に対する助成と規制の緩和を都に求めている。都として緑や水の保全の立場から、今後の財政支援の検討、歴史環境保全地域の規制については住民の安全を最優先にした緩和などについて検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 平成19年3月に、野火止用水の法面を含む水路敷の財産権及び管理権は、国から各市に譲与されています。
 今後も、各市と連携しつつ、住民の安全はもとより、貴重な歴史と自然環境を併せ持つ野火止用水の保全と活用を適切に図っていきます。

令和元年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 大場川の水辺環境の保全について

一 大場川の水辺環境の保全について
 水田には、水をはるのに必要な用水路とともに、水をはっておく必要がなくなった水を排水する悪水路(あくすいろ)のふたつの施設が不可欠でした。一級河川である大場川は延宝三年(1675年)に開削され、その水源を、江戸川よりの「四ヶ村落(よんかそんおとし)」と古利根川沿いの「五ヶ村落(ごかそんおとし)」の悪水路とし、江戸川に合流しました。大雨が降ると江戸川から水が逆流し、排水がうまくいかず、寛政4年(1792年)に戸ヶ崎まで切り開き古利根川に合流、天保4年(1833年)にはさらに、猿ヶ又村渡船場下までに延長されています。また、明治43年(1910年)の大水害を受け、利根川・荒川水系の本格的な改修工事とともに、江戸川改修工事がはじまります。そのことにより、悪水の落とし場所をなくし、大正5年(1916年)中川改修工事に着手、悪水を中川(現在の大場川水門)に落とすことになります。なお、昭和の時代にも水との戦いにみまわれ、大きな渇水と洪水が一年ごとに起き、第二次世界大戦というさなか、第二大場川の延長工事が行われました。
 また、葛飾区は大場川河川敷中州自然植生群落として、約8,221平方メートルを自然保護区域として、平成4年(1992年)に指定しています。
 大場川堤防の道は、地域の自然や歴史をたずねる散歩道として都が選定し碑を建てた「武蔵野の道」21コースの一つとして、まさに貴重な自然と治水の歴史を今に引き継ぐ地域の宝です。
 ところが、現状は河川の浚渫をした形跡はなく、あるはずのない桟橋がいくつもあり、破損した船舶等が川面に姿を現しているという状況です。一方、対岸の八潮市側では浚渫が適時行われているようで、プレジャーボートが行き交い、マリーナまで設置されているという状況です。
 堤防道路はどうでしょうか。管理をしている葛飾区によって、修繕が行われはするものの、堤防そのものが弱く、道路の端が割れ、崩れてしまうという状況です。また、飯塚橋から中川、大場川沿いの堤防道路を通り岩槻街道との交差点まで信号機がなく、いわば車の通り抜け道路となっています。整備された中川沿いの堤防道路とは異なり、狭い道路幅員のもと、歩行者とともに、自転車交通にとっても大変危険な道路となっています。
 このような中、この大場川の堤防の耐震対策は平成24年に策定した「東部低地帯の河川整備計画」によると2022年度以降となっており、その具体的内容は、今後検討とのことです。
 そこで、以下質問します。
1 大場川沿いの堤防道路は、地域の住民が自然と歴史にふれる散歩道として「武蔵野の道」に選定されています。大場川の水辺環境を整え、保全することは重要だと思いますが、都の認識をうかがいます。
2 現在大場川に散見される破損した船舶等の撤去や河川の浚渫なども含め、河川環境の保全にどのように取り組むのでしょうか?
3 堤防の強化を含め、川側に遊歩道を整備し、多くの人が憩い、通行できるよう整備に取り組むべきと考えますが、いかがですか?
4 2016年2月に葛飾区長の「利根川水系中川・綾瀬川圏域河川整備計画(変更案)」についての意見照会に対する回答が都知事宛に提出されており、治水安全度の向上、葛飾区との連携による「親水空間の整備」推進、堤体についての日常点検・補修などの早急な対策を求めていますが、都はどのように対応してきたのでしょうか。

令和元年第三回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 大場川の水辺環境の保全について
1 大場川沿いの堤防道路は、地域の住民が自然と歴史にふれる散歩道として「武蔵野の道」に選定されている。大場川の水辺環境を整え、保全することは重要だと思うが、都の認識を伺う。

回答
 大場川は埼玉県吉川市に源を発し、東京都葛飾区と埼玉県八潮市の境を流れ中川に合流する延長約16.8キロメートルの一級河川です。このうち下流2.4キロメートルの左岸が東京都管理区間となっています。
 「利根川水系中川・綾瀬川圏域河川整備計画(東京都管理区間)」の対象である大場川を含む9河川は、都市の中にある貴重なオープンスペースであり、豊かな自然環境も有することから、事業の実施に際しては、可能な限り水生生物の生息環境等を保全し、また、人々が水辺に親しみ、自然と触れ合える河川として整備し、親水機能を高めていくこととしています。

質問事項
一の2 現在大場川に散見される破損した船舶等の撤去や河川の浚渫なども含め、河川環境の保全にどのように取り組むのか伺う。

回答
 大場川における維持管理は、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例に基づき、原則として葛飾区が行うこととなっています。
 このうち、破損した船舶等の不法物件に対しては、葛飾区が警告文を貼付するなどの方法で是正指導を行っています。
一方、水質改善の環境対策としてのしゅんせつについては、大規模な船舶によるものは都が行うこととなっており、今後も必要に応じて実施していきます。

質問事項
一の3 堤防の強化を含め、川側に遊歩道を整備し、多くの人が憩い、通行できるよう整備に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 大場川は、「利根川水系中川・綾瀬川圏域河川整備計画(東京都管理区間)」において、高潮、耐震対策による堤防の強化を実施していくことが位置付けられています。
 今後の事業実施に向け、現在葛飾区が管理している堤防道路を含め親水空間の整備について、区と連携して検討を進めています。

質問事項
一の4 2016年2月に葛飾区長の「利根川水系中川・綾瀬川圏域河川整備計画(変更案)」についての意見照会に対する回答が知事宛に提出されており、治水安全度の向上、葛飾区との連携による「親水空間の整備」推進、堤体についての日常点検・補修などの早急な対策を求めているが、都はどのように対応してきたのか伺う。

回答
 「利根川水系中川・綾瀬川圏域河川整備計画(東京都管理区間)」において葛飾区で対象となる河川は、中川、綾瀬川、新中川、大場川の4河川です。
 治水対策として、現在、中川、綾瀬川や新中川で耐震対策などを実施しています。
 葛飾区との連携による「親水空間の整備」としては、中川でスーパー堤防等の整備を行っています。
 また、堤防・護岸の日常点検・補修について、都及び区は適切な時期の河川巡視や年に1回以上の点検を行っており、その結果等を踏まえて修繕等を実施しています。
 なお、大場川については、今後、高潮、耐震対策を実施していくこととしており、親水空間の整備については、区と連携して検討を進めています。

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