令和元年東京都議会会議録第十五号

   午後五時十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十一番滝田やすひこ君。
〔二十一番滝田やすひこ君登壇〕

○二十一番(滝田やすひこ君) ICTやAIの技術革新は社会のありようを大きく変えます。この変化をピンチではなくチャンスにする。世界の都市間競争を勝ち抜く大胆なビジョンが今必要です。世界最速のICT、AI実装都市を目指しインフラを整える。規制を見直す。人もアップデートする。新たな仕事やサービスを生める環境を、都は徹底的に整え、世界から人と投資を引きつけるべきと考えます。
 二〇四〇年に向けた長期戦略の策定では、都が変わるだけではなく、都民の意識も変わるきっかけとすべきです。既存の延長ではなく、未来は何か、多くの人が考えてみること、それこそが社会が変化する原動力となります。
 従来のパブコメと同程度の意見募集に終わらせない工夫を凝らすべきです。首都大学東京などでシンポジウムを開く、知事にプレゼンテーションできる賞を設けるなど、千件、二千件と多くの都民がぜひ参画したいと思う取り組みをすべきです。
 長期戦略の策定に当たり、例えばコンテストを開催するなど、従来にはない方法も含めて、都民が応募したくなる、巻き込み方を展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 長期戦略で描く大胆なビジョン、これを実現するための財源を捻出する。東京二〇二〇大会後の財政運営は重要です。誘致が決まった二〇一三年、当時の一般会計は約六・三兆円でした。大会経費があるとはいえ、六年間で一・二兆円拡大してきたことになります。
 今後は、国による税収奪もある中で、肥大化した既存事業や非効率な事業はないのか検証をしなければいけません。職員の定数も拡大しており、人員をどのように配置調整するのかも検討が必要ではないでしょうか。
 大会後の財政運営に当たり、予算の総額及び各局の事業について、誘致の決まる前の二〇一三年をベンチマークとするなど、今後精査をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、都政改革本部では、事業を束ねた施策レベルでの政策評価について、本格実施に向けたブラッシュアップをしていると聞いています。個々の事業ではなく施策レベルで政策評価を行うことで、政策課題に対して適切なアウトカムの目標設定ができているか、適切な事業群を編成できているのか、検証が期待できます。
 各局がモデルとして作成した政策評価シートについて、有識者からも指摘があるとおり、現時点では内容のばらつきが否めません。どのような施策を抽出し、どのようなアウトカムを設定するかによって、政策評価が有効に機能するか大きく左右されます。本格実施後も有識者の助言は継続的な仕組みとするなど、運用も含めた設計が重要です。
 個々の業務改善にとどまらず、大きな観点から予算や人員計画などにも活用できるよう、実効性ある政策評価とすべきですが、見解を伺います。
 政策評価は面倒くさい作業業務という意識ではなく、積極的に活用する意思が各局になければ機能しません。つまり、予算とのつながりがなければ機能しないと考えます。
 財務局では、予算査定において各事業の評価を行っていますが、その一段上の施策レベル、今まさに総務局でまとめている施策の政策評価も、予算を編成する上で見ていくべきではないでしょうか、見解を伺います。
 政策評価シートは、都庁内での活用のみならず、議会での予算や決算審議などでの活用や都民への情報公開でもあります。わかりやすく多角的な分析ができるようビジュアル面での工夫も要望します。
 さて、人生百年時代といわれて数年がたちました。二十二歳で大学を卒業、一つの会社を勤め上げ、六十歳で退職し、年金で百歳まで十分に暮らせるという人生モデル。今の現役世代で、この人生モデルが成り立つ人はほとんどいません。過去の当たり前を夢見て社会環境を転換しないことが日本の成長を阻害し、じわじわと個人の豊かさをも奪っているのではないでしょうか。
 OECDによると、二十五歳以上六十五歳未満の人が大学などで学んでいる割合は、日本はわずか二・四%です。OECD平均一一%、アメリカ一四%、イギリス一六%と比べて非常に低い水準です。
 いつでも学び直しができる、学び直したことを生かして新たな機会にチャレンジができる、それが報酬などにも結びつく。都は、そうした社会環境づくりに政策課題として取り組むべきと考えます。
 中長期の成長戦略の一つとして、現役世代も対象としたリカレント教育の環境づくりを長期戦略ビジョンにも位置づけて、総合的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 首都大学東京は、来年度から都立大学へと改称、新たなステージを迎えます。名称変更に先駆け、昨年度は学部再編を実施し、この四月からは、シニア世代を対象にプレミアム・カレッジ、いわゆる百歳大学も開講、初年度の学生が意欲的に学んでいると聞いています。
 こうした取り組みに加えて、二〇四〇年代の社会を見据え、技術革新の時代に輝き、活躍できる人材の輩出を目指すべきです。教育内容の工夫に加えて、卒業要件、学費、研究機関などの面でも特徴をつくる。技術革新の時代に世界でサバイバルできる人材とは何か、追求が必要です。
 首都大学東京においてICT、AIの技術革新、ソサエティー五・〇に対応していける人材の育成、輩出を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、首都大学東京を都のシンクタンクとして積極的に活用していく方針が既に掲げられており、期待するところです。都心部の課題は、民間や有識者によるさまざまな研究や提案など蓄積があり、有識者会議など、都庁外部の知恵を活用する取り組みも実績を上げています。
 一方、多摩地域の課題について、民間や有識者による研究や提案は非常に限られており、知の蓄積がそもそも弱い。加えてシンポジウムなどの知の交流も足りていません。
 ついては、首都大学東京をシンクタンクとして活用する上で、どのような特徴づけをしていくのか、具体的な検討状況を伺うとともに、多摩地域の課題解決に向けた活用については、どのように取り組んでいくのか伺います。
 予算特別委員会でも紹介しましたが、欧米各国では電動キックボードが既に社会実装され、パーソナルモビリティーの一つとして日常的に使われるようになっています。我が会派のモビリティー政策研究会でも調査検討を進めております。時価総額一千億円を超える世界のユニコーン企業のうち、三社は電動キックボードの事業者です。片や日本では、原付扱いとなるためナンバープレートやウインカーをつけることなどが求められます。現行の規制では普及が困難な状況です。
 そうした中、社会実装を目指す国内企業や自治体も出てきており、福岡市は公道走行のための特区の申請、多摩市は公園での実証実験を行ったと聞いています。
 新たなモビリティーサービスを実現する観点、加えて、小池都知事の目指す東京からユニコーン企業を育てるという観点からも、チャレンジできる環境をどうつくり出していくか。都立公園などの都有地の活用や首都大学東京を実験キャンパスとするなど、各局が協力して環境を整えることが必要ではないでしょうか。
 新たなモビリティーである電動キックボードの実用化に向けた第一歩として、都立公園などを活用した実証実験に、官民で連携して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 鉄道混雑の抜本的な改善には、時間差料金制やオフピークポイントの還元など、利用者や雇用企業にとってインセンティブが働く手法が必要です。我が会派よりかねて指摘をしてきました。
 先日、小池都知事と鉄道各社の経営幹部で意見交換が実施されました。新たな関係づくりに着手したことに期待を寄せます。
 知事と鉄道各社との意見交換の開始も踏まえ、今後の鉄道の混雑緩和に向けた取り組みの方向性を伺います。
 この夏、東京大会を想定して実施したTDMでは、ピーク時の鉄道利用者数が減少、この交通量の把握に携帯GPSのビッグデータも活用されたと聞いています。
 これまで鉄道の混雑率は、各社が目視で計測していたため、正確さや迅速さに課題がありました。こうした携帯GPSのビッグデータを活用することで、施策効果を迅速かつ簡便に把握することが可能となります。また、GPSと連動したアプリなどもインセンティブの設計に有効と考えます。
 そこで、今後の鉄道の混雑緩和に向けた取り組みにおけるビッグデータの活用やインセンティブの仕組みの検討について伺います。
 次に、ホームドアの整備です。
 現行の利用者十万人以上の駅という一律の補助基準を見直すべき、駅の構造やホーム上の安全状況などから、対策が必要な駅やホームを個別に見定めるべきと、かねてより委員会で指摘をしてきました。
 今般、都が利用者十万人未満の駅について考え方を整理し、鉄道事業者など関係者と調整していること、評価をしています。おくれている多摩地域での整備加速にもつながります。
 私の地元、八王子駅や西八王子駅などは利用者も多く、また残念ながら都内でも事故の多い駅といわれています。鉄道会社のこれまでの整備計画では優先順位が劣後していましたが、今回の整理により早期化されることを期待します。
 ホーム上の安全性確保について、各駅、ホームの必要性を鑑みて、八王子駅なども含めた多摩地域のホームドア整備を加速していくべきですが、今後の取り組みを伺います。
 我が会派は、金融出身の増田都議を初め、ソーシャル・インパクト・ボンドの導入を提案してきました。第一号として、ホテルの客室情報や誰でもトイレなどの情報をオープンデータ化する事業へ導入されることとなり、大きな前進です。都道府県では初の事例となります。今後の事業や、ほかの自治体へも横展開できるように、ノウハウの蓄積をしていくべきです。
 ソーシャル・インパクト・ボンドは、社会課題をより効率的に解決するために、成果連動型かつ民間資金を利用する仕組みです。長期的な都の財政を鑑み、税収と都債に加え、資金調達の選択肢を広げておく観点も重要です。
 東京都版ソーシャル・インパクト・ボンドにより、今回の取り組みを進める意義と内容、加えて民間資金の活用の観点から、今後の都における活用の可能性について見解を伺います。
 最後に、東京の農業です。
 農業、農地の機能を認め、新規就農支援、農地対策の推進、先端農業の推進など強化を求めてきました。今年度、八王子の都有地農地に農業アカデミーをつくることが決まるなど前進があったと思います。
 一方、東京産の農作物について、まだ都民の認知が高いとはいえず、理解の醸成による利用促進も重要です。隗より始めよということで、年間百万人が利用する都庁食堂において、江戸東京野菜を初めとした東京産農作物を積極的に活用するべきですが、見解を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 滝田やすひこ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、長期戦略への都民意見の反映についてのご指摘がございました。
 都民の皆様から、未来の東京についての意見をお寄せいただき、多くの方々の共感を得ながら政策を展開していくことが、目指す東京の姿を実現していく上で重要であります。
 こうした考え方のもとで皆様に議論をしていただく出発点として、先月、未来の東京への論点を取りまとめたところでございます。
 これに合わせまして、広く都民から夢やアイデアを募る都民意見大募集を開始いたしますとともに、子供たちを対象とした絵画コンクールを実施しております。
 都民意見の大募集は、QRコードを活用してスマートフォンからも簡単にご意見をお寄せいただけるようにするとともに、都営地下鉄やバスでの動画放映などを通じて広く参加を呼びかけてまいります。
 今後、都内の大学の協力を得まして、将来を担う若者によるワークショップを開催するなど、これまでにない新しい手法を取り入れながら、幅広い層のご意見を積極的に集める取り組みを進めてまいります。
 これらに加えまして、都議会の皆様はもとより、区市町村、産業界、労働界、有識者の方々など、さまざまな方々からのご意見を伺いまして、東京の総力を結集して長期戦略をつくり上げてまいりたいと考えております。
 次に、生涯を通じたリカレント教育についてのご質問がございました。
 人生百年時代を迎えた今でございます。都民一人一人がみずからの希望に応じて、生涯を通じて活躍できる社会、それを実現していく必要がございます。科学技術の急速な進展など変化の激しい時代におきましては、みずからのスキルや知識を常にアップデートする必要があり、新たな時代にふさわしいリカレント教育が求められております。
 今回公表いたしました未来の東京への論点におきましては、誰もが自分らしくポジティブに働き活躍できる東京のイメージとして、社会人教育が充実をし、キャリアや年齢にかかわらず学び直しやキャリアアップが可能になっているという姿をお示しいたしまして、幼少期からのキャリア教育やリカレント教育の充実といった検討すべき具体的な課題を提示をいたしております。
 最高齢は八十代の方を初めとするシニアの方々が新たな学びにチャレンジしておられる首都大学東京のプレミアム・カレッジや、女性の再就職に向けましたリカレント講座などに加えて、今後、現役世代も含めました幅広い層へのリカレント教育の環境づくりにつきましては議論を重ね、年末を目途に策定する長期戦略ビジョンに具体的な政策を盛り込んでまいる所存でございます。
 残余のご質問は、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、鉄道の混雑緩和に向けた取り組みについてでございます。
 都では、スムーズビズに取り組み、オフピーク通勤などを促進しておりますが、これに加えて、輸送力強化などの観点から、鉄道事業者による運行システムの改良などさまざまな対策を進め、混雑をさらに緩和していくことが重要でございます。
 そこで、本年七月には、有識者、鉄道事業者とともに研究会を立ち上げました。また、八月には、知事と各社の経営層が意見交換を行い、ハード対策とソフト対策の両面からの取り組みが重要との認識を共有いたしました。
 今後、この研究会におきまして、先端技術を活用した運行システムの改良や時間差料金制など、最新の技術動向等を踏まえた対策とその課題、実現可能性などについて検討を進めてまいります。こうした場も活用し、引き続き鉄道事業者と連携を密にしながら、混雑緩和の対策を促進してまいります。
 次に、鉄道の混雑緩和に向けたビッグデータの活用などについてでございますが、ことしの夏、企業などに、東京二〇二〇大会時の交通混雑緩和に向けたテレワークや時差出勤などの試行を行っていただきました。その際、鉄道事業者におきましては、オフピーク通勤者へのポイント付与などに加え、新技術を活用した携帯アプリにより、混雑した特急列車などからあいている普通列車へ乗客を誘導する取り組みを開始するなど、利用者へのインセンティブの充実を図っております。
 こうした取り組みの効果検証に当たりましては、ビッグデータも活用し、広域的な人の移動状況などを把握することとしており、その結果も踏まえ、都としては引き続き鉄道事業者と連携し、より効果的なインセンティブ手法の活用も含め、混雑緩和に向けた取り組みを進めてまいります。
 最後に、多摩地域のホームドア整備についてでございますが、ホームドアの整備を促進するには鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅などを対象に補助を行っており、多摩地域では西武線国分寺駅などで整備が進められております。また、八王子駅などを含む中央快速線の高尾駅までの区間では、二〇三二年度末までにホームの改良に合わせて整備される予定となっております。
 ホームドアのさらなる整備に向けまして、都は、駅の特性などを考慮した優先整備の考え方について今月末を目途に取りまとめることとしており、利用者十万人未満の駅に補助の拡大を図ってまいります。
 今後、多摩地域を含め整備が加速するよう、情報連絡会などを通じて鉄道事業者に働きかけるとともに、国などと連携し取り組みを支援してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京二〇二〇大会後の財政運営についてでありますが、都は、景気の荒波に翻弄されやすい不安定な財政構造を有しており、また今後、不合理な税制度の見直しに伴う減収も懸念されるところでございます。
 こうした中、ソサエティー五・〇の実現など、日本全体の発展を牽引する施策や少子高齢化への対応など、東京が直面する課題の解決に向けた施策を積極的に展開していくことが求められております。
 そのため、大会後も、東京の将来を見据えた施策を揺るぎなく進めていけるよう、従来の延長線上ではなく、個々の事業の必要性や有益性を厳しく検証し、より一層無駄の排除を徹底してまいります。あわせまして、都債や基金を戦略的かつ計画的に活用し、積極的な施策展開を支える強固で弾力的な財政基盤を堅持していく所存でございます。
 次いで、事業評価についてでありますが、都の事業評価は、予算編成の一環として実施しておりまして、決算状況の分析や事業の成果検証を徹底するとともに、新たな公会計手法の活用、関係部署と連携した専門的視点からのチェックなど、評価手法を充実し、着実に実績を積み重ねてきたと考えております。
 お話の政策評価は、施策ごとにアウトカムに着目した目標を設定するなど、成果を重視した効果的、効率的な都政運営を推進する仕組みでありまして、予算編成過程における多面的な検証という視点からも重要であります。
 今後、事業評価を実施するに当たりましては、各事業の効率性や実効性をさらに高めていくため、政策評価など関係部署との連携を一層強化し、事業評価のさらなる深化に取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問についてお答えいたします。
 まず、政策評価についてでございますが、各局の自律的な改革のPDCAサイクルを推進するためには、政策評価を施策の改善につなげる実効性の高い制度としていくことが重要でございます。
 そのため今年度は、都政改革アドバイザリー会議政策評価分科会と議論を重ねながら、各局において先行的に施策の進捗状況を具体的にはかる成果指標の設定等を進めております。その成果を踏まえ、評価の対象やサイクル、予算要求等も踏まえたスケジュール設定、評価書の改善等、課題ごとに方向性を整理し、年内をめどに政策評価制度の実施案を取りまとめてまいります。
 政策評価の取り組みにより、効果的、効率的な都政運営を推進するとともに、施策の成果をより都民にわかりやすく説明をしてまいります。
 次に、首都大学東京におけるソサエティー五・〇に対応できる人材の育成についてでございますが、ソサエティー五・〇を実現するためには、ICTやAIなど先端技術の専門人材に加え、文理横断的な素養を身につけた人材を育成することが重要でございます。
 そのため、首都大学東京では、昨年度、システムデザイン学部に情報科学科を開設するなど、先端分野の人材育成の強化に着手いたしました。また、文系の学生にも数理系教育を行う、いわゆるSTEM教育等の導入に向けまして、今年度、総合大学の特徴を生かした分野横断的な学びを促す教育プログラムの検討を中期計画に位置づけたところでございます。
 急速なIT技術の進展による変化も見据え、ソサエティー五・〇に対応できる人材の育成手法や教育研究環境の整備について、今後さまざまな角度から検討をしてまいります。
 最後に、首都大学東京の活用についてでございますが、首都大学東京は、都立の総合大学として、幅広い分野の専門的知見と都政課題を結びつけ、解決策を提示する役割を果たしており、これまで、子供の貧困やまちづくり、省エネルギーなどさまざまな分野で都政に寄与してまいりました。
 また、東京を取り巻く環境が複雑、多様化する中、これまで以上にその機能を発揮し、より一層の還元を図るため、今年度から首都大法人内に組織を新設いたしまして、専門人材を活用したコーディネート機能を強化いたしました。
 今後は、日野キャンパスを軸に工学分野の拠点を強化し、南大沢キャンパスの産学公連携センターとも協働しながら、多摩地域の課題解決にも貢献をしてまいります。
 都は、首都大学東京のこうした取り組みを積極的に支援し、都のシンクタンクとして都政課題の解決に一層活用してまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、電動キックボードの実証実験についてでございますが、新たなモビリティーでございます電動キックボード、これは手軽な移動手段として海外では利用が進みつつあるものでございます。国内でも、お話にありましたように、福岡市が本年二月に公道走行に関する特区提案を行い、現在、国において規制緩和の是非を検討している状況でございます。
 しかしながら、公道走行に当たりましては、法令整備に加えまして、走行エリアの道路状況や交通量、地域のニーズなどについても慎重に精査すべきものでございます。また、普及の状況を見ましても、試乗体験等の実証実験を通じて、利用拡大に向けた機運醸成を図る、そうした必要がある段階でございます。
 したがいまして、今後、都立公園等の公道以外のスペースで、安全性に十分配慮しながら、試乗体験会等が実施できるよう検討してまいります。
 次に、東京都版ソーシャル・インパクト・ボンドの意義や内容、今後の活用の可能性についてでございますが、都は今年度、バリアフリー客室を含むホテル客室、あるいは誰でもトイレ等に関する情報、こういったものをオープンデータ化いたしまして、ディバイドの解消を目指す取り組みを実施いたします。
 この成功のためには多数のデータが必要でございまして、今回、関係団体と協定を締結し、都道府県初の取り組みでございます東京都版ソーシャル・インパクト・ボンドによる成果連動型支払いの手法によりデータを収集することとしております。
 都といたしましては、今回の取り組みが、公共分野において民間の力を最大限活用する一つの契機になることを期待しているところでございます。お話にありました民間資金を活用するソーシャル・インパクト・ボンド、これにつきましても、公金のワイズスペンディングの観点から引き続き検討してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 東京産農産物の活用についてですが、東京産農産物の認知度を向上させるためには、都民の方々に農産物を味わえる機会を提供し、その魅力を実感していただくことが重要でございます。
 都はこれまで、都民の方々に東京産農産物を身近に感じていただけますよう、東京味わいフェスタや食育フェアなどのイベントで提供するとともに、ガイドブックやウエブサイトにおいて、東京の特産食材を使用している飲食店のPRに取り組んでまいりました。
 今後は、多くの都民が利用いたします都庁職員食堂において、季節ごとに旬の江戸東京野菜を用いたメニューを提供するなど、東京産農産物の一層の利用拡大を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、東京産農産物の認知度を高め、東京農業の振興につなげてまいります。

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