令和元年東京都議会会議録第十五号

○議長(尾崎大介君) 三十六番斉藤やすひろ君。
〔三十六番斉藤やすひろ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番(斉藤やすひろ君) 初めに、ラグビーワールドカップ二〇一九後のラグビー普及啓発について質問します。
 いよいよ歴史的なラグビーワールドカップ日本大会が九月二十日、東京スタジアムで開幕します。大会誘致から開催準備まで、多くの方々の尽力に心から敬意と感謝を持って、日本大会の大成功をかち取りたいと思います。
 都は、東日本大震災の被災県、宮城県と福島県から、次代を担うラグビーに取り組む子供たちを東京スタジアムで開催される試合に招待します。また、我が党の提案による都内の子供たちとの交流事業が、東京都ラグビー協会とオール東京のラグビースクールのご協力で実施されることに深く感謝いたします。
 このように、東京協会とラグビースクールが一つになって、子供たちを育成するプラットホームができたことは、東京開催の大きな成果です。
 大会開催を契機に生まれたこの取り組みを、都は、大会後も活用して、ラグビー普及を後押しすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、ビーガンなどへの食の情報提供について質問します。
 ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会には、世界各地からさまざまな文化や習慣を有する外国人旅行者が訪れます。その中には、肉類、魚介類はもとより、卵や乳製品、蜂蜜も一切とらないビーガンやムスリム旅行者など、食材への配慮が必須な外国人が多く来日することが予想されます。
 私の地元自由が丘には、ティーズレストランという、ビーガンが安心して食事のできる話題のお店があります。
 都としても、今後、東京では多様な食文化を有する外国人でも食を楽しむ環境が整っていることをしっかりと情報提供していくことが重要です。都の見解を求めます。
 以下、国連が採択した二〇三〇年までの持続可能な開発目標、すなわちSDGsの視点から質問します。
 我が党はこれまで一貫して、誰ひとり取り残さないことをスローガンに掲げるSDGsの視点から都政を捉え、長期戦略に反映すべきと主張してまいりました。
 そこで、今夏発表された未来の東京への論点におけるSDGsの視点について、知事の見解を求めます。
 次に、中小企業の成長戦略としてのSDGs経営について質問します。
 SDGsは、二〇三〇年に向けた世界共通の成長戦略ともいわれ、企業経営においても、SDGsを行動指針として活用すれば、企業の将来の進むべき方向性が見え、事業拡大につなげられます。特に大企業では、環境、社会、企業統治を重視して行うESG投資の対象となるような動きが活発になっています。
 東京の経済の根幹を担う中小企業においても、SDGsの視点を取り入れた経営を早期に始めるほどビジネスチャンスをつかむことができます。しかし、日々の業務に忙殺されている中小企業経営者への認知度はまだ低く、周知などに改善の余地があると指摘されています。
 そこで、まずは東京の中小零細企業におけるSDGsに関する取り組みや課題などの実態を把握するとともに、中小企業での取り組みが進むよう、必要な支援について検討を行うべきです。都の見解を求めます。
 次に、若年性認知症支援について質問します。
 先日、地元目黒区にある東京都若年性認知症総合支援センターを訪問し、理事長と懇談しました。
 若年性認知症は、介護ケアからのアプローチでは年齢にふさわしい社会資源が地域に少なく、ミスマッチを起こすことが多いとのことです。また、若年性認知症の方々が比較的多い認知症疾患医療センターなどの医療機関と総合支援センターがもっと連携を密に行う必要があるとのことです。
 ことし三月に公表された都の若年性認知症の生活実態に関する調査報告書によると、本人の最初の相談先としては医療機関が最も多い一方で、七割の人が総合支援センターを知らなかったと答えています。また、医療機関や職場の産業医からの診断後支援が不十分だと感じている方が多い実態も明らかになりました。
 若年性認知症の方は、医療情報以外にも、心のケアや生活支援、就労支援など多岐にわたり課題を抱えており、柔軟で総合的な支援を必要としています。
 そこで、医療機関で診断を受けた後や、企業勤務の若年性認知症の方が総合支援センターなど相談機関に早期にアクセスし、必要な支援が受けられるよう工夫すべきです。都の見解を求めます。
 次に、軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIについて質問します。
 我が党は、交通事故やスポーツでの脳震盪などでMTBIを発症しながらも、脳の病変が画像に映っていないなどの理由で、後遺症がありながら適切な治療や補償を受けることができなかったり、また、日常生活が思うように送れず苦しんでいる人が多数存在することを訴え、支援を要望してまいりました。
 国が診断基準を明確にしない中、市区町村レベルで医療機関や社会での理解を深めるため、徹底した啓発が重要です。都議会公明党がMTBIの理解促進事業を包括補助メニューに加えるべきと提案したことを受けて、都が包括補助の対象としたことを高く評価します。
 一方で、MTBIに専門的知見を持つ医療機関へのアクセス情報が欲しいとの声が多数寄せられています。
 そこで、都は、MTBIに関して、医療機関などに対する周知を進めるとともに、市区町村による普及啓発を一層支援すべきです。都の見解を求めます。
 次に、廃プラスチックのリサイクル率向上策について質問します。
 都の報告によれば、平成二十九年度の容器包装の分別収集の実績について、年間一人当たり、特別区で二・七キログラム、多摩地域で八・三キログラムであり、分別収集の取り組みに大きな違いがあります。
 私の地元目黒区は、二十三区の中でもリサイクルに熱心な区ですが、それでもなお、多摩地域と比較して、プラスチック製容器包装のリサイクルは進んでいないとの指摘もあります。
 廃プラ処理と地球の温暖化防止の両立を図り、SDGs達成に貢献する視点からも、今後は都内全体でプラスチック製容器包装のリサイクルを一層具体的に進めていくべきです。都の見解を求めます。
 次に、プラスチックに関する都民への啓発について質問します。
 我が党はかねてより、広く都民に共感を得るためには、学校教育の段階から、廃プラなどの問題について、早期の意識づけを行うことが重要であると訴えてまいりました。
 オリ・パラ教育では、みんなのメダルプロジェクトにおいて、使わなくなった携帯電話が金、銀、銅のメダルになるなどのわかりやすい事例を通して、子供たちは、ごみが貴重な資源になることを学習しました。
 加えて、家庭から出た使用済み洗剤ボトルなどの廃プラを集めて東京二〇二〇大会の表彰台をつくる、みんなの表彰台プロジェクトを通して、廃プラの再生利用のあり方を学習することを検討していると仄聞しております。
 今後は、学校教育と連携しながら、イベントなどを通じて、児童生徒やその保護者に対して、積極的にプラスチックに関する啓発を行うべきと思います。都の見解を求めます。
 次に、ラムサール条約湿地のPRについて質問します。
 都立葛西海浜公園は、二万羽を超える渡り鳥が飛来するほどまでに豊かな自然を回復し、昨年十月にラムサール条約湿地に登録されました。都心近くに国際的に重要な湿地があることは、世界的にも事例が少ないだけでなく、この公園のすぐ隣には、東京二〇二〇大会のカヌー・スラロームセンターがあり、二〇二〇大会に向けて生物多様性に富んだ都のすばらしい環境を広くPRしていくことは重要です。
 また、我が党は、葛西海浜公園と同時に条約湿地に登録された志津川湾のある宮城県南三陸町と連携したPRに取り組み、被災地の復興支援にもつなげるべきと提案してきました。これを受けて、都は、南三陸町などと連携したPR活動を実行に移していると聞いております。
 今後はさらに効果的なPRに取り組むとともに、SDGsの環境や教育といった視点からも、永続的な保全と利活用を進めるべきです。都の見解を求めます。
 次に、目黒川の治水対策について質問します。
 目黒川流域は、台風や豪雨で毎年のように浸水被害が繰り返されてきました。これに対し、都は、護岸整備に加え、調節池の整備など、さまざまな治水対策を実施し、水害は軽減されてきました。
 しかし、近年の豪雨は、これまでのレベルをはるかに超えたもので、記録的な豪雨が全国的にも頻発している状況を踏まえ、都においても一層の治水対策を行うことが急務であります。
 そこで、目黒川における治水対策について、さらなる具体的な取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、治水対策に加えて重要なのが水質の問題です。
 目黒川は、最近は観光スポットとしても注目されていますが、大雨の際に合流式下水道から汚水まじりの雨水が流入し、地域の方々から目黒川の臭気改善を望む声が多数寄せられています。
 目黒川のより良好な水辺空間を創出するためには、合流式下水道の改善策を講じていくべきと考えます。下水道局の見解を求めます。
 目黒川の臭気問題については、平成二十九年度から、都が、目黒区、品川区などとともに対策を検討し、ことし七月に新たな検討会を立ち上げ、水質浄化対策の実施に向けた取り組みを進めているところです。
 目黒区が行った実験では、高濃度酸素溶解水を利用して、においが発生しないようにする対策が最善の策ですが、一方で、この対策には非常にコストがかかるとも聞いています。
 そこで、都は、目黒川流域河川整備計画にのっとり、関係する目黒区、品川区など地元自治体をまとめながら、具体的な対応を示すべきです。都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えいたします。
 長期戦略におけるSDGsの視点についてのご質問がございました。
 現在検討を進めております長期戦略は、経済、テクノロジー、気候変動、人口構造といった、今後想定される大きな変化を見据えまして、持続可能な社会を実現するために我々がなすべき政策を示しているところでございます。
 こうした長期戦略の方向性ですが、環境、社会、経済などあらゆる分野におけます課題解決に向けまして、国連が採択した持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの理念と軌を一にしているところであります。
 国際標準の目線に立って、世界の大都市と課題を共有するとともに、その克服に向けた取り組みをリードしていくことが、我々が目指す未来の東京の姿であります。
 今回公表いたしました未来の東京への論点では、将来の東京を輝かせるために、十年後の二〇三〇年に向けまして、誰ひとり取り残さないSDGsの目線で政策を見詰め直すことを掲げております。
 この観点から施策をチェックいたしましてブラッシュアップを図る。そして、課題が残る分野への対応を強化する。さらには、都の取り組みを国内外に向けて積極的に発信することを取り組むべき課題といたしております。
 今後、全庁を挙げまして検討を進めて、年末を目途とし策定いたします長期戦略ビジョンにその成果を盛り込んでまいります。
 残余のご質問は、関係局長からお答えいたします。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) ラグビーワールドカップ日本大会の開催を契機とした子供たちへのラグビーの普及についてでありますが、都民のラグビーに対する興味、関心の高まりをラグビー競技者やファンの拡大につなげていくことは重要であります。
 都は、大会期間中に被災県及び都内の子供たちを対象とした交流事業を実施いたします。
 実施に当たりましては、幅広い普及を図るため、競技団体やジュニア世代の育成を担うラグビースクールなど多様な関係者の協力を得て、現場のニーズに合った内容とするなど、事業を効果的に進めております。
 大会終了後も、交流事業で培った競技団体等とのつながりを生かし、子供たちが心豊かに成長できるよう、ジュニア世代におけるラグビーの裾野拡大に努めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、外国人旅行者への食の情報提供についてですが、食は、旅先での大きな楽しみの一つであり、さまざまな国や地域から来訪する旅行者にも安心して東京の食を楽しんでもらえるよう、きめ細かな情報提供が求められております。
 このため、ラグビーワールドカップ期間中においては、観光情報センターに加え、外国人旅行者が数多く訪れるファンゾーンや、大会ボランティアによる案内ブースなどにおいて、ムスリム旅行者向けのパンフレットを配布し、食材や調理法などに特別な配慮が必要な方々も安心してご利用いただける飲食店情報を広く発信してまいります。
 また、東京二〇二〇大会に向けては、ビーガンを含むベジタリアンに特化したパンフレットを新たに作成するなど、多様な食を提供できる東京の魅力の発信を強化し、外国人旅行者の満足度向上につなげてまいります。
 次に、中小企業のSDGs経営への支援についてですが、中小企業がSDGsの視点に立った経営に取り組むことは、信用力、ブランド力の向上や販路の開拓などビジネスチャンスの拡大につながり、中小企業の成長に寄与することが期待されております。
 このため、都は、今年度新たに都内の企業約一万五千社を対象に、SDGsに関する理解や取り組み状況の実態、先進的に取り組んでいる企業の経営面での効果などを把握するとともに、都民を対象に、SDGsが企業イメージや消費行動に与える影響等を調査してまいります。
 こうした調査により明らかとなる実態も踏まえ、中小企業に対するSDGsの効果的な周知方法や、SDGsの視点に立った経営の促進などについて検討を進めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、若年性認知症の人への支援についてでありますが、都が、区部、多摩の二カ所に設置した若年性認知症総合支援センターでは、地域連携の推進役を担う認知症疾患医療センターと協力して行う地域の住民や関係者向けの講演会、疾患医療センターの相談員連絡会での情報共有などにより、医療との連携を強化し、診断後に本人や家族を早期に支援につなげられるよう取り組んでいるところでございます。
 さらに今年度は、職場での若年性認知症への理解と支援の機運を高めるため、企業、団体の人事労務担当者等を対象に開催するセミナーで、若年性認知症総合支援センターの職員が活動内容や企業との連携事例を紹介することとしております。
 こうした医療機関や企業等への働きかけを通じ、センターを活用した若年性認知症の人への支援を充実してまいります。
 次に、軽度外傷性脳損傷についてでありますが、軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIは、医療関係者や一般の方に十分認知されていないため、この疾患について理解を広げていくことは重要であると認識しております。
 都は、MTBIが高次脳機能障害の原因疾患の一つであることも踏まえ、昨年、高次脳機能障害のリハビリの中核を担う医療機関の医師等が集まる情報交換会で、MTBIの臨床診断の基準等の説明を行ったところでございます。今月開催する情報交換会では、区市町村の普及啓発の取り組み等の紹介を行う予定であります。
 さらに、補助事業の説明会等において啓発リーフレットの作成事例等を紹介し、補助の活用を促すほか、保健所や都立病院等の都の施設でリーフレット配布に協力するなど、区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、プラスチック製容器包装リサイクルについてでございますが、家庭から排出されるごみのうち、容器包装廃棄物は全容量の約六割を占めており、ごみの削減や資源循環を進める上で、容器包装のリサイクルは重要な取り組みでございます。
 都はこれまで、区市町村へのヒアリングなどを通じて、プラスチック製容器包装の分別収集の拡大には、中間処理施設の確保や住民への分別方法の周知など、さまざまな課題があることを整理してまいりました。
 今年度は、都と区市町村との検討会でプラスチック製容器包装をテーマに取り上げ、自治体の優良事例を共有するなど、分別収集の拡大に向けた議論を開始いたします。
 こうした検討会での議論を踏まえ、今後、区市町村におけるプラスチック製容器包装のリサイクルを後押しする仕組みについて検討してまいります。
 次に、プラスチックに関する啓発についてでございますが、廃プラスチック問題が国際的に大きな社会問題となる中、次世代を担う子供たちが持続可能なプラスチックの利用方法などを学ぶことは重要でございます。
 都はこれまで、大学などと連携し、海洋プラスチックごみに関する子供向けのパンフレットや教員向けガイドブックなどを作成し、その普及啓発を進めてまいりました。
 今後は、学校教育と連携して、イベントなどを活用し、廃プラスチック全般の課題や、生活の中でプラスチックの使用量を削減できる事例などを子供たちにわかりやすく伝える普及啓発手法を検討してまいります。
 持続可能な資源利用に向け、使い捨ての生活習慣を見直し、環境に配慮した消費行動をとれる人材の育成を進めてまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 葛西海浜公園の効果的なPRについてでございますが、本公園が東京都で初めてとなるラムサール条約湿地に登録された意義は大きく、今回の登録を契機といたしまして、多くの人々に干潟という生物多様性に富む海辺の自然を広く周知していくことは重要であります。
 そのため、ラムサール条約湿地を擁するほかの自治体と協力いたしまして、各地の湿地を紹介するPRイベントを新宿で開催するほか、南三陸町と連携いたしまして、登録一周年シンポジウムを開催するなど、効果的に発信してまいります。
 さらに、SDGsの趣旨も踏まえ、日本各地から子供たちを葛西海浜公園に招き、湿地での体験や交流を通じた海辺の自然への理解を深める環境学習を実施いたしまして、次世代を担う子供たちによる継続した湿地の保全と利用へとつなげてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、目黒川の治水対策についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池等の整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 これまで目黒川では、護岸や荏原調節池等を整備し、時間五十ミリの降雨に対する治水安全度達成率は九九%となっております。
 さらに、近年頻発する豪雨等を踏まえまして、より一層の安全性の向上に向けて、時間七十五ミリ降雨に対応する整備を行っていくこととし、平成三十年度に河川整備計画を改定いたしました。
 現在、昨年の西日本を中心とした豪雨などを受けて行いました防災事業の緊急総点検を踏まえ、目黒川流域におきましても、新たな調節池の事業化に向けた検討を進めております。
 今後とも、目黒川の浸水被害の軽減に向けまして、こうした取り組みを着実に推進してまいります。
 次に、目黒川の水質改善についてでございますが、都市の河川を都民が親しみ憩える快適な水辺空間としていくためには、治水対策とあわせて、良好な河川環境を確保することが重要でございます。
 都は、目黒川において、関係局と連携した清流復活事業等による流水の確保や、船舶による大規模なしゅんせつを実施しております。
 また、目黒区や品川区、関係局などから成る水質浄化のための検討会におきまして、技術的な助言を行うとともに、目黒区が実施する実験や調査に対する財政的措置を行っております。
 今年度は、この検討会におきまして、他の河川の先行事例を参考にし、硫化水素の発生を抑制する高濃度酸素溶解水の導入など、具体的な臭気対策を検討いたします。
 今後とも、地元区などと連携して水質改善に取り組み、地域に親しまれる水辺を創出してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 合流式下水道の改善策についてでございますが、合流式下水道は、強い雨が降ると、まちを浸水から守るため、雨水吐き口などから汚水まじりの雨水を川などに放流せざるを得ない仕組みとなっております。
 このため、下水道局では、放流される汚濁負荷量などを削減するため、ごみの流出を抑制する装置や、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めております。
 お話の目黒川では、下水道の雨水吐き口にごみの流出を抑制する装置の設置をおおむね完了し、上目黒幹線など約一万二千立方メートルの貯留施設を稼働させております。
 さらに、より一層の合流式下水道の改善を図るため、関係機関と連携し、対策の検討を精力的に進めてきた結果、今年度、池尻幹線、新駒沢幹線を改造し、約十三万九千立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設として活用してまいります。
 今後とも、これらの対策を着実に進め、目黒川の水質改善に貢献してまいります。

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