令和元年東京都議会会議録第十五号

   午後三時二十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十番米川大二郎君。
〔七十番米川大二郎君登壇〕

○七十番(米川大二郎君) 都民ファーストの都政を実現するには、都職員が、都民に対し説明責任を果たし、常に自律改革に取り組むことが重要と考えます。
 また、職員には、根拠となる法律や条例に基づき業務を行うことに加え、時代や都民の求めに応じるため、日々研さんに努めることも求められます。くれぐれも、前例にとらわれ、根拠も確認することなく、漫然と業務が行われることがあってはなりません。
 このような考えから、私は、小池知事が東京都コンプライアンス基本方針を制定するなど、さまざまな取り組みを行っていることを大いに評価しています。
 この基本方針では、職員一人一人が、都民が期待する都政の使命を果たしているかといった観点から、担当業務を常に見直し、よりよい都政の実現を図ることが基本的な理念として掲げられています。
 今後見込まれる人口減少やICT技術の急速な進展などを背景に、都民が都政に求める役割は、これまで以上に高まっていくことは間違いありません。こうした変化の時代だからこそ、職員一人一人が、都民が期待する都政の使命とは何かを考え、それを実践していくことが重要と考えます。
 巨大な組織である都庁において、職員のマインドを変え、職員全体に根づかせることはとても根気の要ることですが、小池知事には、種をまき、今成長しつつあるものを都庁の隅々まで行き渡らせ、花を咲かせてもらいたいと考えております。
 そこで、知事の任期が一年を切った今、改めて、都民に信頼される都政を実現していくための考えを知事に伺います。
 次に、特別区消防団は、平時の災害はもとより、震災などの大災害での活動や地域の催事での警戒など、地域防災力のかなめとして重要な役割を果たしています。
 これに加え、来年の東京二〇二〇大会では、消防団による大規模な警戒が予定されていますが、東京二〇二〇大会開催中は、地元の災害対応を図りながら警戒も実施しなければならず、消防団員の確保、充実は重要です。
 その一方で、消防団員の中には、仕事を持ちながらの活動のため、活動に十分に参加できていない団員への対応も必要となっております。
 そこで、東京二〇二〇大会開催を契機に、消防団員の充足率を向上させるとともに、活動実績の少ない消防団員を消防団活動に参加させていくことも重要と考えますが、消防総監に伺います。
 次に、首都直下地震の切迫性等を踏まえ策定された不燃化十年プロジェクトの方針に基づき、防災上効果の高い都市計画道路として特定整備路線を選定し、二〇二〇年度までの完成を目標に整備が進められています。
 しかし、整備に当たっては、短期間に権利者からの用地取得が必要となりますが、例えば、権利者の方が複数の場合、同時点での契約が必要になるなど、手続が複雑化するものもあり、用地取得の状況を見ると、残りの期間での完成は厳しいと考えます。
 今後は、用地取得という最大の課題にめどをつけることが必要であり、そのためにも、大幅な職員の増強や東京都道路整備保全公社に加え、民間への業務委託のほか、用地取得の進め方を工夫するなど、体制や取り組みの強化が必要と考えます。
 そこで、どのように取り組んで特定整備路線を早期に完成させるのか、都の見解を伺います。
 次に、都内の道路、歩道上にはさまざまな広告物があふれています。こうした違反広告物が放置され続けると、歩道の歩行部分が狭くなるなどの危険があります。
 また、来年の東京二〇二〇大会で多くの方が東京を訪れた際、恥ずかしいだけではなく、違法な物が設置されてもよい地域と思われたなら、地域の環境にも悪影響を及ぼすのではと危惧しています。
 そこで、都市の美観や安全性の観点から、違反広告物対策を推進することが重要と考えますが、都に見解を伺います。
 次に、現在、都が検討している鉄道の混雑緩和の取り組み自体は評価できるものですが、その一方で、一部地域や住民にしわ寄せが行くことがあってはならないと考えます。
 今から五十年近く前、昭和四十六年四月二十日、高度成長期の鉄道輸送力増強のための、いわゆる五方面作戦の一つとして、常磐線と地下鉄千代田線の相互乗り入れが開始されてから、葛飾区のJR亀有駅、金町駅の利用者は、不便、不利益をこうむり、現在に至ります。相互乗り入れ前、駅の利用者は乗りかえなしで上野駅へ行くことができましたが、相互乗り入れ後は、北千住駅で不便な乗りかえを行うか、高い運賃を支払い、東京メトロ千代田線を利用し、西日暮里駅で乗りかえるかを強いられており、遠方の千葉県JR松戸駅の方が利便性が高いという状況になっています。
 そこで、常磐線と地下鉄千代田線の相互乗り入れの開始により生じた、乗りかえや運賃などの輸送サービスについて改善していくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、三宅島の伊ヶ谷漁港は、島内でも噴火などの影響が比較的低いと想定される位置にあり、また、低気圧や季節風に伴う波浪などの影響を受けにくいことから、噴火災害時の新たな避難港として整備されましたが、その後、平常時にも大型定期船が接岸するようになりました。
 平成三十年の三宅島全体の大型定期船の就航率は約九二%ですが、そのうち、伊ヶ谷漁港には約一六%が接岸しており、この港は島民の日常生活にとって重要な役割を担っていると考えます。
 二〇〇〇年の噴火以前、三宅島全体の大型定期船の就航率は、三池港、阿古漁港の二港で九〇%を超えていたことから、現在、阿古漁港にも接岸できる場合でも、より安全に接岸するため、伊ヶ谷漁港が利用されているのではとも考えております。
 そこで、三宅島では、三池港、阿古漁港、伊ヶ谷漁港の三港に大型定期船が接岸し、島への交通を確保している実態を踏まえ、伊ヶ谷漁港の施設の充実に向けた取り組みについて都の見解を伺います。
 次に、島しょ地区には、特別な支援を必要とする生徒が中学校卒業後、各島内で就学することができないため、都内の特別支援学校へ進学し、親元を離れ、寄宿舎での寮生活を送ることになります。この寄宿舎への入舎に伴う精神面での負担等を考慮し、二週間に一度帰省するルールとなっております。
 しかし、私自身、二年間島しょ地区に赴任した経験もありますが、島しょにある自宅への帰省は、船などによる長距離、長時間の移動を伴い、さらに、天候が悪化すれば、移動はより厳しくなるなど、生徒、保護者ともに大きな負担となります。
 そこで、寄宿舎に入舎する島しょ出身の生徒の帰省について、生徒、保護者の負担軽減のため、きめ細かい対応が必要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、都教育委員会は、学校司書の教員切りかえ選考を行いましたが、実施に当たり、教育庁人事部が各学校長宛てに作成し、学校司書へ周知を依頼した通知文には、合格者は教諭として採用され、教諭としての職務及び司書教諭の業務を行うと記載されているため、本選考は、行政職である学校司書の高い知識と経験を司書教諭として生かすことを目的として特別に実施されたものと考えます。
 しかし、特別に選考が行われたことを理解していない一部の学校長が、司書教諭の発令を行わないというような事例もあったとのことです。
 そこで、学校司書の教員切りかえ選考を実施した目的と、教諭になった職員の職務及び業務の内容について、都教育委員会に伺います。
 次に、都教育委員会事務局の行政職員は、管理職と一般職員で加入する共済組合が異なっております。
 地方公務員等共済組合法第三条第二項で、都道府県教育委員会の職員は、公立学校共済組合を設けるとしており、その組合に加入することになります。
 他の道府県では、全て公立学校共済組合に加入となっているにもかかわらず、都教育委員会の一般職員は、公立学校共済組合ではなく、都職員共済組合に加入となっております。法と異なる対応について、法を所管する総務省に照会し、問題ないとされた上で行われているのでしょうか。
 そこで、なぜ都教育委員会の一般職員は、地方公務員等共済組合法に基づかない対応となっているのか、都教育委員会に伺います。
 また、法に基づき是正した上で、なぜ長年放置することになったのか明らかにすべきと考えますが、都教育委員会に伺います。
 次に、平成二十五年度に行われました都立葛飾野高校での業務委託では、悪天候のため業務が行われなかったにもかかわらず、都教育委員会が開示した文書として、業務が行われたとされる日報が存在します。
 また、通常の事務手続よりも一カ月近くおくれて受託業者から提出された当該日の業務が行われていないとする月報と完了届をもとに、減額変更手続などが開始されています。当然、担当部署で調査を行い、支払い手続は適切に行われたかもしれません。
 しかし、私自身、都職員として契約業務に従事した経験もありますが、コンプライアンスの観点から通常の事務処理とは異なることも多くあるため、コンプライアンスを担当する部署での調査が必要と考えます。
 そこで、都立葛飾野高校の業務委託について詳細な調査を行うとともに、不適切な対応が明らかになった場合には、同じことが繰り返されないよう取り組むことが必要と考えますが、都教育委員会に見解を伺います。
 最後に、組織は人なりといわれます。繰り返しになりますが、都職員には、前例にとらわれ、根拠も確認することなく、漫然と業務が行われることがないよう求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 米川大二郎議員の一般質問にお答えいたします。
 都民から信頼される都政の実現についてのご指摘がございました。
 私は知事に就任してから、都民ファースト、情報公開、ワイズスペンディングの三つの原則を掲げまして、都政改革に取り組んでまいりました。
 また、職員には、常に心にとめておくべき三つのミッションといたしまして、第一に、都民ファーストの視点を常に持つこと、二に、視野を広げ常にチャレンジすること、三つ目に、ライフワークバランスを実践することを求めてまいりました。
 この三つの原則とミッションのもとで、職員による自律的な改革を進めて、都庁の生産性の向上や組織の機能強化に着実に取り組んでまいりました。
 一方で、少子高齢化の進展やICT技術の革新など、都政を取り巻く状況は大きな変革期を迎えております。そして、これに対応するには、都庁みずからが大きく変貌を遂げなければなりません。
 こうした中で、都政を担う職員の一人一人が、これまでの発想、これまでの延長線上で仕事を進めるのではなく、改革マインドをさらに高めていくことで、都民に信頼される都政の実現につながっていくものと確信をいたしております。
 今後、これまでの改革をさらに発展させまして、次なるステージへと進化させる新たな都政改革に向けまして、全局を挙げて取り組むことで、より一層都民の期待に応え、そして信頼される都政を目指してまいります。
 残余のご質問は、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立特別支援学校に設置する寄宿舎からの島しょへの帰省についてでございますが、寄宿舎に入舎する児童生徒が週末等に帰省することは、家族とのかかわりを持つ大切な機会であるとともに、精神面での安定を促し、児童生徒の心身の健全な発達のために必要であると考えてございます。
 また、学校におきましては、帰省日を設定するに当たりまして、必ずしも一律の帰省を求めるのではなく、一人一人の児童生徒の状況や家庭の事情を踏まえ、保護者と十分に話し合い、相互理解を図ることが重要であると考えております。
 今後とも、都教育委員会といたしましては、帰省に対する考え方を学校と共有し、児童生徒の個々の事情を十分に考慮しながら帰省日を適切に設定するよう、学校に対して働きかけてまいります。
 次に、学校司書を対象とした教員切りかえ選考についてでございますが、本選考は、学校図書館法の改正により、平成十五年度以降、十二学級以上の学校において司書教諭の配置が必要となりましたことから、司書教諭として発令が可能な教員の確保を目的として、平成十四年度から平成十九年度まで実施したものでございます。
 この選考の合格者につきましては、教員として採用いたしますとともに、配置校において、校長の毎年度の発令により、司書教諭の業務に従事させることといたしております。
 都教育委員会では、合格者の経験等に鑑み、積極的に司書教諭として活用するよう周知しているところでございまして、健康状態など特段の事情があると校長が判断した場合を除き、合格者は発令を受け、司書教諭の業務に従事しているところでございます。
 次に、教育委員会事務局職員の加入する共済組合についてでございますが、地方公務員等共済組合法第三条におきましては、都道府県教育委員会の職員を公立学校共済組合の組合員と規定しているところでありますが、現在、都教育委員会事務局の行政系一般職員は、東京都職員共済組合の組合員となっております。これは、昭和三十七年十二月に地方公務員共済組合法が施行される前の職員の加入実態によるものと考えられます。
 具体的には、教育庁関係職員は、昭和二十三年の教育委員会法制定以前は、知事を任命権者としていたため、福利制度については、条例による当時の東京都職員共済組合、健康保険制度につきましては、当時の東京都健康保険組合に加入をいたしまして、旧法による公立学校共済組合に加入しておりませんでした。
 このような沿革から、発足当時から現在までの加入状況に影響しているものというふうに考えているところでございます。
 次に、加入する共済組合の変更についてでございますが、昭和三十七年に制定されました地方公務員等共済組合法の目的は、地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに、公務の能率的運営に資することにあると規定されております。
 また、当時の法制定に係る法案提案理由には、国家公務員の制度に準じまして、統一的な共済制度を設け、全ての地方公務員は、いずれかの地方公務員共済組合の組合員になることと記載されてございます。
 これらのことから、現在まで続いている加入状況につきましては、法の目的及び趣旨を損なうものではないとの考えのもと、維持されてきたものでございます。
 最後に、都立学校の業務委託についてでございますが、業務委託契約における履行確認は、実績報告や業務月報等の履行状況を把握できる書類と照合し、行っているところでございます。
 仮に、職員による履行確認が適切に行われなかった場合には、学校業務への影響等を総合的に勘案した上で、その程度に応じて厳正に対処してまいります。また、受託者の不適切な対応があった場合には、注意、是正指導を行い、適切な対応を求めてまいります。
 ご指摘の平成二十五年度の葛飾野高校における業務委託につきましては、当初、業務月報の誤りがございましたが、支払いまでに修正をいたしまして、委託料の減額を決定しており、支出は適切に処理されてございます。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、違反広告物対策についてでございますが、電柱の張り紙や道路上に放置された立て看板などは、都市の美観を損ね、通行の妨げとなるなどの問題を生じることから、違反広告物対策は重要な課題でございます。
 このため、都は、違反広告物の除却の実施主体である区市町と連携し対策を進めており、毎年、道路管理者や地元の町会などと地域で一斉に違反広告物を除却する共同キャンペーンを行うとともに、東京マラソンの開催に合わせ、コース沿道の捨て看板の共同除却に取り組んでまいりました。
 これらの取り組みに加え、昨年度には、新たに不動産業団体の協力を得て、屋外広告物ルールの普及啓発について幅広く周知を行うなど、対策の強化を図っております。
 今後もさまざまな機会を通じて違反広告物対策に取り組み、良好な景観を備えた東京を実現してまいります。
 次に、JR常磐線における輸送サービスについてでございます。
 本路線は、昭和四十六年の相互直通運転以降、例えば、亀有駅や金町駅から上野駅に行く際には乗りかえが必要になったものの、一方で、大手町、日比谷、霞ヶ関、表参道などへは直通となり、交通アクセスは大きく向上しております。
 ご指摘の乗りかえ利便性の向上や運賃設定は、基本的には各鉄道事業者が利用状況などに応じて行うものでございますが、これらの問題について、地元区が定期的に鉄道事業者に要望を行っていると聞いております。
 都といたしましても、鉄道事業者に地元区の要望を伝えるなど、必要に応じて協力を行ってまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 特別区消防団の充足率向上等についてですが、消防団は災害への対応に加え、東京二〇二〇大会における大規模な警戒活動が予定されております。
 一方、近年は高齢化等により退団者数が入団者数を上回っており、今まで以上に消防団員の確保と消防団活動への参加促進が重要であると認識しております。
 これまであらゆる広報媒体を活用した募集広報を行うとともに、仕事や家庭等の事由により一時的に活動へ参加できない消防団員に対しては、消防団幹部による面談のほか、住民の訓練指導に限定した活動への参加促進、休団制度や相談窓口の紹介などを行ってまいりました。
 今後も、これらの取り組みを通じて入団促進を図るとともに、消防団活動を継続しやすい環境づくりに努めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 特定整備路線の用地取得についてでございますが、特定整備路線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、防災上重要な道路でございます。
 用地取得に当たりましては、関係権利者に対して事業の必要性などを丁寧に説明するとともに、民間事業者のノウハウを活用した相談窓口を設置し、生活再建をきめ細やかに支援してまいりました。
 また、今年度は、関係部署と連携いたしまして、都営住宅のあっせん枠を拡大するなど、要望に応える支援を実施しております。
 一方、権利関係が複雑で、権利者との合意形成に時間を要している区間もあり、早期整備のためには、用地取得を加速させていく必要がございます。
 このため、事業効果の早期発現が可能な箇所への集中的な取り組みや、効果的な用地取得の進め方の検討を行うなど、特定整備路線の用地取得に全力で取り組んでまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 伊ヶ谷漁港の施設の充実についてでございますが、伊豆諸島は、我が国の中でも、とりわけ厳しい気象海象条件のもとにあり、大型定期船の就航率向上のためには、風向きや波の大きさに応じて港を使い分けていく必要がございます。
 三宅島においては、三池港、阿古漁港及び伊ヶ谷漁港の三つの港を整備しておりまして、このうち伊ヶ谷漁港は、地元漁船の拠点であるとともに、火山噴火時の住民避難や平常時の安定した就航にも寄与する重要な港でございます。
 伊ヶ谷漁港の機能向上のため、現在、乗降客を高波から守るための岸壁の改良や、バスの利用に対応した駐車場の拡張整備などを進めております。
 今後とも、三宅島の実情や特性を考慮しながら、港の安全性、利便性の一層の向上に取り組んでまいります。

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