令和元年東京都議会会議録第十五号

○議長(尾崎大介君) 九十五番馬場信男君。
〔九十五番馬場信男君登壇〕

○九十五番(馬場信男君) 台風十五号の影響による停電が、千葉県の木更津市、富津市、君津市、袖ヶ浦市でいまだに続いています。都民ファーストの会東京都議団が強く訴えている非常用電源の整備が一日も早く完備されることを強く願い、質問に入ります。
 初めに、中央卸売市場について伺います。
 築地市場が豊洲に移転して十月十一日で一年となります。都の大きな決断により、市場行政の大きな前進となりました。この築地市場が新しく生まれ変わった姿を目の当たりにして、大きな喜びを感じるとともに、次なる課題に向けた取り組みが進まなければならないと感じています。
 都内に三つある水産卸売市場の一つ、豊洲、大田とともに、足立市場が私の地元にあるからであります。
 水産卸売市場としての足立市場は、築地、豊洲に比べて知名度も圧倒的に低く、取扱量も二十分の一以下でありますが、国道四号線に面して、豊洲市場からも、早朝であれば三十分もかからないという連携しやすい立地です。
 旧築地市場が新しく変わらなければならなかった事情は、大きくいえば、設備の老朽化、開放型施設であることによる衛生面での問題、そして温暖化が進む中において温度管理という問題があったからであります。
 小池都知事は、六月三日、淀橋青果市場と、ここ、足立市場を視察されました。また、都は、十一ある中央卸売市場の経営のあり方について、有識者による検討の場を設けて議論を進めていると聞いています。
 そこで伺います。
 現在の第十次東京都卸売市場整備計画では、平成二十八年度から平成三十二年、令和二年度までの五カ年を計画期間に位置づけ、省エネ、地球温暖化対策として、照明器具のLED化を進めていくこととしていますが、進捗状況はどうか伺います。
 卸売市場法の改正により、適正な取引が行われているかどうかについては、開設者ごとに定めるルールに基づき、指導監督を行うこととなっていますが、国による調査の結果、不公正な取引が明らかになったときには、公正取引委員会に通報されることになっています。
 また、市場の施設整備は、法に基づき計画的に整備を行う位置づけから、食品流通法による財政的、金融的支援のもとで、開設者の責任において行うこととなっています。
 こうしたことからも、市場運営における開設者の役割は非常に重要となってきており、各市場が有する機能や特徴に応じた施設整備を行うことが求められています。
 足立市場も旧築地市場と同様に開放型施設で、築五十年以上が経過し老朽化しています。今後の市場の整備に当たっては、省エネの推進はもとより、足立市場の流通実態に合わせて効率的な低温管理を行うため、一部に集中した温度管理にするなどの検討を進めるべきと考えます。
 今後の足立市場の施設整備について都の見解を伺います。
 取引規制の緩和など卸売市場法の大幅な改正が行われましたが、この改正の背景には、通信販売、産地直売等の流通の多様化や、加工食品や外食の需要が拡大するなど、卸売市場を取り巻く環境が大きく変わったことがあります。
 こうした状況変化の中にあって、都の中央卸売市場の今後の進むべき方向性について知事の見解を伺います。
 次に、二〇二〇大会を契機とした都立公園の活用についてお伺いいたします。
 前回の我が国初のオリンピック東京大会の大きなレガシーの一つに、地域スポーツの広がりがあります。その一役を担ってきたのがスポーツ少年団です。オリンピック大会を成功させることとともに、このオリンピックをきっかけに、スポーツを通して青少年の健全育成をと願う社会の要請を受けて、日本体育協会、現在の日本スポーツ協会において、大会の二年前から全国的な組織づくりが進められました。
 東京都においては、五輪大会の前年、東京都体育協会の中に東京都スポーツ少年団本部が設置され、それが区市のスポーツ少年団本部設置へとつながり、東京五輪大会本番では、参加各国の旗がたなびく万国旗の掲揚場所が団員初の活動の場となりました。
 最盛期には全国で百万人を超える登録者を数えましたが、少子化の影響もあり、現在は約六十七万人。男子におけるチーム種目の数の一位は野球、二位がサッカー、女子の一位はバレーボール、二位がバスケットボールです。
 子供たちの地域スポーツのよさを一言で申し上げれば、地域の大人たちがスポーツを通して子供たちの社会性を育ててくれることです。家庭教育、学校教育とともに、もう一つの教育の場を地域スポーツが担ってきたことは、まさにスポーツ少年団設立の意義が達せられ、現在から未来へつながるレガシーとなっているのです。
 さて、私のもとに小学生の女子児童、地域のバスケットボールチームのキャプテンをしているという子からはがきをもらいました。都立公園にバスケットゴールをつくってくださいというものです。
 折しもバスケットボールは、八村塁選手が世界最高のNBAで活躍し、日本男子は四十四年ぶりにオリンピック出場が決定しました。
 また、一つのゴールリングで試合をする三人制のバスケ、スリー・バイ・スリーが大変に注目を浴びていますので、子供たちの夢は大きく膨らんでいることでしょう。
 キャッチボール、バスケットのシュート練習などは、若者が深夜にたむろして騒音を発するなどの苦情も懸念されますが、ある程度の広さを有する都立公園が若者のエネルギーを発散する場として担わなければならない面もあると考えます。
 都立公園には野球場やテニスコートなどの運動施設は整備されていますが、有料で手続が必要なために気軽には利用できない面があります。ふだんの公園利用の中で気軽に球技を楽しめるような場、例えばキャッチボールやテニスの壁打ち、バスケットボールのシュート練習などができる場がスポーツの裾野を広げるために重要ですが、十分とはいえません。例えば、バスケットボールのゴールが設置されている都立公園は、全都立公園八十二公園のうち十九公園しかありません。
 そこで、都立公園において気軽にスポーツに親しめる環境づくりを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、日暮里・舎人ライナーの混雑緩和対策について伺います。
 この件は、委員会等でたびたび取り上げられてきている課題ですが、地域から多くの声を聞きますので、改めて、ここ、本会議場にて伺いたいと思います。
 ことし三月の足立区議会の予算特別委員会においても、日暮里・舎人ライナーの混雑緩和対策が質疑されていました。時差ビズのキャンペーンをさらに強化してほしい、景品などのプレミアムを設けて効果ある時差通勤対策をとってほしい、同じ経路を走る都バス里48系統への乗客の誘導策はないのか等々、利用者から区議会にも多くの意見が届いているようです。
 現在の混雑率は一八九%と、都営の路線ではワースト一位、首都圏の路線ではワースト五位。私のところに届く声も、座席の一部を撤去してでも乗車スペースを確保してほしいなど切実な訴えもあります。
 そこで、日暮里・舎人ライナーにおける混雑率の推移と、これまでの混雑緩和対策の取り組みについてお伺いをいたします。
 日暮里・舎人ライナーの開業後は、日暮里駅や西日暮里駅から山手線へのアクセスがしやすくなり、開業前と比較すると、交通の利便性が格段に向上しました。
 また、開通から十一年半が経過し、沿線に新たな住民がふえるとともに、約二年後の令和三年の夏ころには、日暮里・舎人ライナーの江北駅近くに、東京女子医科大学東医療センター(仮称)の移転が予定されています。
 併設される看護学校に通う学生、医師、看護師、その他の職員の合計は千人規模。現在、受け付けは朝八時二十分から始まっていますが、外来患者の数もこれと同じく千人規模であると聞いています。
 四百五十床を擁する大学病院の移転は、江北駅を含め、日暮里・舎人ライナー沿線駅の乗降客がふえるといった、交通局にとって経営的なメリットがある一方で、混雑対策には懸念材料であります。ラッシュのある上りとは逆方向の利用が主ではありますが、朝夕のラッシュ時間帯への影響も無視できません。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの今後の混雑緩和対策についてお伺いいたします。
 最後に、高齢者に優しい交通安全対策について伺います。
 イギリスの経済誌、エコノミストの調査部門が発表した世界で最も安全性の高い都市ランキングで、東京が、シンガポールや大阪を抑えて三回連続の一位を獲得いたしました。
 日本は世界一の高齢社会です。高齢者を含め我々は、交通ルールがあるから安心して外を歩くことができますし、交通信号があるから歩行者や車は交通事故から守られているのです。
 その交通信号は、注意して見ますと幾つものタイプがあります。正面からしか見えないタイプのものや、雪国で見るのが縦型に赤、黄、青が並ぶもの。雪や氷の重さの負担が横型の三分の一で済むからでありましょう。
 また、LEDタイプが普及しています。電球タイプに比べて高価でありましょうが、それ以上に電球交換などメンテナンス経費が削減され、電気消費量も節約できるからであります。
 しかし、何といってもLEDタイプは明るいのが何よりです。逆光でも、電球タイプと比べ格段に視認しやすくなったことは、高齢者にとってもありがたい技術革新で、都内の信号機は、車両用、歩行者用ともに、平成二十九年三月までに全てLED化が完了していると聞いています。
 歩行者用信号機でいえば、信号が赤に変わるまでの残り時間が表示されるゆとりシグナルがあります。高齢者のみならず一般歩行者にとっても、無理な横断を防ぎ、事故を防止する上で極めて有効な信号機ではないかと考えます。
 高齢化が急速に進展しつつある今、設置に向けた取り組みを一層加速していただきたいと考えますが、ゆとりシグナルの整備状況及び導入の方針について、警視総監の所見をお伺いし、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 馬場信男議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、今後の中央卸売市場についてお答えをさせていただきます。
 人口減少や少子高齢化の進展に加えまして、物流や商取引の多様化が加速度的に進んで、市場の取扱量や経由率が低下するなど、卸売市場を取り巻く環境は厳しさを増しているところであります。
 こうした中にありましても、中央卸売市場は、生鮮食料品などを円滑かつ安定的に供給するという基幹的なインフラとしての役割を引き続き着実に果たしていく必要がございます。
 現在、都におきましては、卸売市場法の改正を踏まえまして、時代に即した取引環境を実現して、市場の活性化を図るために、取引参加者とさまざまな視点から意見交換を重ねるなど、条例改正に向けました準備を進めております。
 さらに、戦略的な市場運営と強固な財務体質の確保を目的といたしました経営計画の策定に向けましては、本年七月、市場の活性化を考える会を立ち上げたところであります。今後、有識者の方々の専門的な知見もいただきながら、卸売市場のあす、あさって、そして、その先を見据えまして、従来の延長線ではなく、新たな発想から多面的に検討を行ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都の中央卸売市場が、将来にわたって安全・安心で多様な品ぞろえを都民や国民に提供することで、豊かで魅力ある消費生活の実現に寄与してまいる所存でございます。
 残余のご質問は、警視総監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) ゆとりシグナルの整備状況及び導入方針についてでありますが、ゆとりシグナルは、歩行者用信号が変わるまでの時間を目盛りにより示すことで、無理な横断や信号無視の防止を目的としており、平成三十年度末現在、一万千九百二十九灯を整備し、その普及率は約一五%となります。
 今後も、高齢者が多く利用する医療機関や福祉施設の周辺及び横断歩行者が多い集客施設の付近、さらには児童や生徒が利用する通学路を主な整備箇所として、ゆとりシグナルの導入を推進してまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、各市場の照明器具のLED化についてでありますが、卸売市場では、卸売り場等の照明器具や低温施設でのエネルギー需要が高く、省エネ対策を推進していくことは、光熱水費の削減につながるだけでなく、環境への負荷を低減していく上でも重要な取り組みでございます。
 このため、第十次東京都卸売市場整備計画では、卸売り場や事務室などの照明器具の新設や更新に当たりまして、原則としてLEDを導入することとしております。
 現在、全ての市場で整備に着手しており、市場業者が使用している卸売り場や荷さばき施設等につきましても、市場業務への影響を考慮しながら、計画的に整備を進めております。
 今後とも、卸売市場整備計画に基づきまして、LED照明の導入に着実に取り組むことにより、卸売市場におけるエネルギーの効率的な活用に努めてまいります。
 次に、足立市場の施設整備についてでございますが、都の中央卸売市場が生鮮食料品等を安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を引き続き果たしていくためには、老朽化への対応や、市場機能の強化に必要な整備を計画的に行っていくことが重要でございます。
 低温施設の整備に当たりましては、各市場の特徴を生かした経営戦略等に基づきまして、整備費用や維持管理コストなども踏まえた効果的な整備を進めていく必要がございます。
 足立市場では、今後、冷蔵庫棟や低温施設の更新を控えており、産地や実需者の品質管理の高度化に対するニーズに的確に対応できるよう、施設の利用方法などに即した温度帯の設定や低温化の範囲などについて検討し、都と業界団体が一体となって整備に取り組んでまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 都立公園における気軽にスポーツに親しめる環境づくりについてでございますが、都民が身近にスポーツを楽しむなど、レクリエーションの場を提供することは、都立公園の重要な役割でございます。
 都立公園におきましては、公園の特性に応じて、有料のスポーツ施設のほかに、気軽にスポーツを楽しめるよう、キャッチボールができる広場や、テニスの壁打ちができる場所の提供、また自由に使えるバスケットゴールの設置などに取り組んでおります。
 その際、一般の公園利用に支障とならないよう、場所の選定や他の公園利用者に配慮するとともに、地域住民の理解を得るよう努めております。
 今後とも、地元区市とも連携を図りながら、誰もが気軽にスポーツに親しめる公園づくりを進めてまいります。
〔交通局長土渕裕君登壇〕

○交通局長(土渕裕君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、日暮里・舎人ライナーにおける混雑率の推移と、これまでの混雑対策の取り組み状況についてでございますが、開業当初の平成二十年度の混雑率は一三二%でありましたが、沿線でのマンション建設等が進み、通勤通学のお客様がふえ続け、平成三十年度には一八九%となっております。
 この間、朝のラッシュ時間帯に増発を行うため、開業時に十二編成だった車両を十八編成まで増備し、運転間隔を五分から三分二十秒に短縮するなど、輸送力の増強を図ってまいりました。
 また、開業当初に導入した車両につきましては、国が定めた重量制限がある中、座席配置を変更することで、お客様が車内での移動や乗りおりがしやすくなるよう工夫するとともに、平成二十七年度から導入した新型車両につきましては、車体を軽量化することで、定員をふやしたところでございます。
 次に、日暮里・舎人ライナーの今後の混雑対策についてでございますが、さらなる混雑緩和を図るため、定員をふやした新型車両を今年度末に二編成増備するとともに、ダイヤ改正を行い、朝のラッシュ時間帯の運行本数をふやす予定でございます。
 また、開業当初から運行している車両につきましては、令和四年度以降に更新時期を迎えることから、順次新型車両への置きかえを進め、輸送力の増強を図ってまいります。
 加えて、オフピーク通勤を促進する時差ビズにつきましても、キャンペーンの実施や混雑の見える化を通じて引き続き充実を図るなど、ハード、ソフト両面から混雑対策に全力で取り組んでまいります。

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