令和元年東京都議会会議録第十四号

   午後三時三十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番鈴木章浩君。
〔百二十二番鈴木章浩君登壇〕

○百二十二番(鈴木章浩君) 令和元年第三回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問を行います。
 質問に先立ち、九州北部など各地で発生した豪雨被害でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 また、本日、東京でも、台風の影響で早朝から交通機関が麻痺し、島しょ地域でも家屋への被害などが発生しました。こうした災害を検証し、教訓を災害対策のさらなる強化につなげていくことが大切です。
 さて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会まで一年を切り、今月二十日にはラグビーワールドカップが開催されます。世界三大スポーツイベントの二つの祭典が東京で開幕を迎えます。世界の注目を浴びる東京の未来のために正念場の一年となります。
 私たち都議会自由民主党は、これからも二元代表制の議会において、責任ある都政を前に進めるために全力で取り組んでまいります。
 さて、小池都政の任期も一年を切りました。小池都政のこれまでの取り組みを都議会においてしっかりと検証していかねばなりません。
 初めに、選挙公約です。
 知事が都民の方々と約束された選挙公約の七つのゼロは、どれも達成がほど遠い状態です。特に、知事が実績として語られているペット殺処分ゼロについて、衰弱や病気など何らかの理由で譲渡できない動物は、そもそも殺処分されており、知事のゼロ公約達成のために、そうした福祉的殺処分がふえる可能性があると危惧されております。
 また、万が一にも、七つのゼロという公約は、結果にかかわらず目指しさえすればよいというのであれば、余りにも都民を愚弄したものといえます。
 さらに、記者会見で発表された都議会冒頭解散、利権追求チーム、舛添問題第三者委員会設置の公約は、余りにも不勉強としかいいようがありません。
 さらに、独断で混乱させた豊洲市場移転問題を投げ出して、みずからの勝手な夢のために国政に進出しようとしました。
 そこで、改めて小池知事のみずからの選挙公約についての見解をお伺いいたします。
 さらに、都政における利権追求のため、オリンピック競技会場の見直し、豊洲移転延期を矢継ぎ早に行い、行政の継続性を全く無視し、長年積み上げてきた取り組みを鶴の一声でとめてしまいました。
 そうした暴挙により、多くの関係者を混乱させ、多大な損害を与えました。さらに、石原元知事に対する振る舞いは常軌を逸しておりました。
 ちなみに、五輪施設、豊洲市場における工事入札の不正はなかったという都の公式見解も出されております。
 そこで、知事が考えていた利権とは一体何だったのか、お伺いいたします。
 また、知事は、情報公開は都政改革の一丁目一番地とおっしゃっておりますが、情報公開で一番大事なのは、都の意思決定の過程がわかることです。しかし、小池知事は、オリンピック競技会場見直しと撤回、豊洲市場移転延期と撤回、旧こどもの城跡地の白紙撤回と再撤回など迷走を繰り返し、なぜそうした判断に至ったのかという質問には、AIが決めたなどとはぐらかし、一切答えようとしません。
 都の組織が手順を踏んで意思決定作業を進めていれば、その経過が文書として残るでしょうが、小池知事が記者会見で突然発表する方針は、いつもそこに至る検討経過が不明なままです。今のままで情報開示を進めても、小池都政に関しては、肝心な部分が黒塗りどころか存在せず、行政としての意思決定過程が全く記録に残らず、形だけの情報開示になってしまうことが大変危惧されます。
 公文書管理に関する条例改正で、トップである知事本人の公文書に関する意識改革も必要なのではないでしょうか。
 情報開示を声高に主張しながら、都民や議会に情報を提供しようとしないご自身の都政運営について、改めて知事の見解をお伺いします。
 東京都はこのたび、新たな長期計画策定につながる二〇三〇年に向けた課題、二〇四〇年のイメージを、未来の東京への論点としました。
 東京の未来は、東京都だけでつくれるものではなく、国、区市町村、近隣県、そして都内で活動する多くの方々の力が結集して形づくられています。東京都がそこで何よりも求められるのは都政への信頼です。だからこそ、丁寧なかかわりと取り組みが大切なのです。
 しかし、そこで示されている二〇四〇年のイメージは、温暖化の影響により、深刻な激甚災害がふえているにもかかわらず、二〇四〇年、東京では災害がニュースになることはありませんとか、我が国の喫緊の課題でもある少子化問題が、これまでの子育て支援の延長で、合計特殊出生率が二・〇七%になっているとか、災害対応や少子化を心配している都民をあざ笑うかのような記載は、ひとりよがりのバックキャストという思考法とは別に、都政への信頼を傷つけるだけです。
 今回の長期計画策定に向けた知事の認識と、二〇四〇年のイメージが都民に誤ったメッセージを伝えていることに関する見解をお伺いいたします。
 さて、この長期計画、未来の東京への論点に示された内容とも深い関係がある都のICT政策の推進は、東京のさらなる成長のために欠かせません。
 去る八月二十九日、小池知事は、都における5G政策の方針となるTOKYO Data Highway基本戦略を打ち出しました。一本の映画をわずか三秒でダウンロードが可能となる超高速通信網5Gの重要性を我が会派は、かねてより認識し、この都議会においても、幾度となく都の5G政策の推進を促してきたところです。
 今後重要なのは、5Gの環境整備や専門性の高い人材の確保だけでなく、都としてその先端技術をどのように都政に活用していくのかを都民にわかりやすく伝えることが何よりも大切です。
 しかし、知事が示された基本戦略の中で、具体的に決まっている都の役割は、都有施設を電気通信サービス事業者に対して積極的に提供していくということにすぎません。
 5Gを活用するには、さまざまな法整備やデータベースネットワークの構築など、必要な取り組みが幾つもあります。知事が記者会見で話したような情報提供がしやすくなるとかいった次元の話ではないのです。
 そこで、都は、5G先端技術を活用して、都政にどう活用するのでしょうか。そのためには、区市町村との連携も含めたデータベースの早期構築は不可欠であると考えますが、知事の見解をお伺いします。
 5Gは、国際的な都市間競争の切り札であり、世界では、欧米諸国や中国を中心として5G政策が次々と進められております。こうした中で、日本の首都東京が世界一の都市であるためには、情報通信分野における国際競争力を一層高めていかなければならないことはよくわかります。
 しかしながら、突如提案された宮坂学氏の副知事就任には大変驚きました。宮坂氏は、ことし七月一日に参与に就任したばかりで、在任期間もまだ二カ月です。誰もが知るIT企業ヤフーの会長として辣腕を振るわれた宮坂氏個人の能力に疑いはありません。とはいえ、行政経験を全く有していない宮坂氏です。幾ら情報通信分野に比類なき知識や経験をお持ちだとしても、都政の中で副知事として一体どれだけのことができるのか未知数です。
 宮坂氏をなぜ副知事というポストに据えようとするのか、また、都政の中で担う役割は一体何なのか、具体的にお答えください。
 都政はブラックボックスだ、どこで何を決めているかわからないといわれて、ご当選されてから三年がたちました。この間、LED電球のばらまき事業や、五十億を積んだものの執行率はわずか〇・六%となったベビーシッター補助事業、高齢ドライバーの事故を受けて拙速につくった安全装置の九割補助事業は、どんな見込みでとりあえず二万台としたのかなどなど、実態に即さない制度としての考え方が不十分な知事お得意の思いつき事業には本当にがっかりさせられます。パフォーマンスにはすぐれていても、それは都民の税金で賄われているということをよくお考えいただきたい。
 また、この間、知事は思いつき事業だけでなく、一旦立ちどまるということを都政の大変重要な局面で二度もされております。
 一度目は、築地の豊洲への移転を一旦立ちどまったことです。結局二年後、築地は予定どおり豊洲に移転しましたが、この間、三百五十億円もの追加負担が生じたばかりでなく、二〇二〇年の東京大会に重要な環状二号線が予定どおり完成しないなど、大会輸送計画にも大きな影響を及ぼしていることは明らかです。
 二度目は、知事就任当時、国との調整の上、既に都議会では議決までされていた旧こどもの城跡地への広尾病院の移転計画について一旦立ちどまったことです。議決されたはずの移転用地取得経費三百七十億円は、翌年の第一回定例会で減額補正となりました。しかし、何とあす九月十日、六百億円で、結局はこの旧こどもの城を国から購入することとなったのです。
 知事は、広尾病院も一度立ちどまって改めて見直した結果、こういう答えが出ましたと発言しておりますが、立ちどまったこの三年間で、都が今回取得することとなった旧こどもの城は、三百七十億円から二百三十億円も値上がりをして、六百億円にまで膨れ上がっております。
 立ちどまるといって計画を翻し、でも、その土地は買っておこうといって倍近く値上がりした土地を買う。自分のお財布だったら、こんな乱暴なお金の使い方をするのでしょうか。
 旧こどもの城の跡地について、現在この土地の中途半端な中期利用しか決まっていない中で、国から購入するだけでなく、例えば借りるといった選択肢などはなかったのでしょうか、お伺いいたします。
 また、一旦立ちどまった後に、築地は守ると公約したにもかかわらず、結果として市場機能は残らず、あえて都の関与だけ残す形で、これまた先の見えない無責任なまちづくりが今、築地で始まろうとしております。
 知事は、都心の一等地だから民間に売却せずに、都が持ち続けたまま制約を課して民間に開発させることが、都民にとってふさわしいというご見解のようですが、公共性と収益性の両方を求める手法が結果として失敗した場合、将来の都民に新たな負担を強いるリスクがあります。
 全く見えない五十年先、未来の都政と都民負担を残す無責任な手法でのまちづくりを進めるべきではないと考えます。改めて知事の見解を伺います。
 あわせて、昨今話題のIR誘致について、この築地跡地への活用の可能性も含めてお伺いいたします。
 横浜市の林市長は、一兆円に上る経済波及効果や増収が期待できるとして、統合型リゾート、いわゆるIRの誘致を表明しました。人口減少が進む中でも、地域経済の長期成長、発展を目指すべく、市長は大きな決断をしたわけです。
 一方、国の基本方針案が公表されてもなお、小池知事は、IR誘致は検討中と繰り返すばかりです。東京を横目に、京浜急行電鉄本社が来週九月十七日、東京港区高輪から横浜に移転するなど、企業も既に反応し始めております。こうした動きが今後顕著にあらわれれば、東京の経済活力が失われかねません。
 築地を初めとする臨海部のまちづくりや東京の将来の発展を見据えたとき、IRは新たな国際都市東京を実現し、地域経済の持続的発展を支える骨太な柱になり得るものとして、そのあり方を真剣に考えるべきときです。知事の構想では、築地跡地にMICE機能を持たせることを考えればなおさらであります。
 都は、IRについて検討を行ってきたとのことですが、これまでどのような検討を行ってきたのか、そして、今後どのような検討を進めていくのか、また、築地跡地で検討中のMICE機能はIRも視野に入れたものなのでしょうか、知事の見解をお伺いいたします。
 今、都政を混乱させている築地跡地、旧こどもの城跡地の問題の根底にあるのは、小池知事による議会軽視です。地方自治体は国における議院内閣制と異なり、首長、議会がそれぞれ住民に対して直接責任を負う二元代表制であり、憲法で定められております。
 しかしながら知事は、こうした立場をわきまえず、議会軽視を繰り返し、築地や旧こどもの城の活用方針を、議会と議論もせずに土地を購入するという財政運営を続け、都民に大きな負担を強いる結果となっているのです。まさに東京都における二元代表制の破壊であり、東京の将来に大きな禍根を残すことになります。二元代表制に対する知事の考え方を改めてお伺いいたします。
 知事が一旦立ちどまっている間にも、都議会自由民主党は、国との協議の場、実務者協議会を設定し、都の施策に重要な土地の活用について話し合いを進めております。
 この協議会で重要なことは、一つ一つの協議事項について早期に具体的な成果を国から引き出すことであり、中でも、東京の成長と発展に向けて、大手町の国有地を都が確保することは、早急に道筋を立てるべきテーマの一つですが、この貴重な一等地を都としてどのように活用していくのか、その使い道を具体的に示さなければ、国との実務的な交渉は始まりません。
 知事は、国際金融都市の拠点として考えているようですが、我が党はかねてより、東京の経済活力の中核を担うのは、都内の中小企業にほかならないと申し上げておりますが、絶好のビジネス環境にあるこの貴重な土地を、新たな中小企業の支援拠点として生まれ変わらせることこそが、都が果たすべき役割であると考えます。
 また、隣接する東京消防庁の本部庁舎の建てかえを早急に進めるためにも、この国有地が必要不可欠であるわけです。都が用地を取得するにせよ、定期借地権で借り受けるにせよ、何よりも重要なことは、都としての具体的な活用方法を一刻も早く打ち出し、国との交渉に入ることです。
 実務者協議会の協議事項ですから、国と交渉に当たる都のトップは長谷川副知事です。この大手町の国有地の確保に向けて、どのような道筋を立てながら国と協議を進めていくのか、長谷川副知事の見解をお伺いします。
 知事が一旦立ちどまったことによる影響の中でも、特にその影響が懸念されるのが、来年の二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の輸送問題です。先ほども申し述べたように、豊洲移転の延期によって環状二号線が予定どおり完成しません。この夏、二〇二〇年大会の一年前、都においては組織委員会などとも連携し、交通需要や規制によるテストに取り組みました。
 しかしながら、結果は、減少傾向が見られたものの、目標達成とまではいかず、その後、追加対策として、首都高速道路のロードプライシング、特別課金制度に関する方針案が発表されました。
 市場移転の政治判断のおくれから、結局、環状二号線の整備が間に合わなかったことは、大会の開催者である東京都として取り返しのつかない失態となりました。仮に環状二号線が完成していたとしても、首都高速にはロードプライシングの導入が必要であったのかもしれません。首都の物流や経済活動を維持しながらの開催となることから、そもそも輸送問題は非常に重要な課題でした。環状二号線が整備されず、さらに厳しい状況になった責任は知事本人にあることは明らかです。
 これまで知事は、時差ビズやテレワークなど、手法の呼びかけばかり行っておりますが、一握りの限られた企業が応じてくれているだけの現状です。開催都市の責任者としての知事が、みずからの言葉で、まずは全体の車両の削減を要請するなど、一人一人にどんな対策をお願いしたいのか、企業に何をしてほしいのかなど、より具体的に働きかけなければ、全都民、国民の理解は得られません。
 知事みずから交通輸送対策への責任をどう果たすのか、知事の覚悟をお伺いいたします。
 知事は、トップダウンで都の政策を停滞させる一方で、世間が注目すると判断すると、手続を踏まず拙速に発表する手法はさきにも述べたとおりですが、昨今の都の拙速過ぎる条例制定のあり方についても、その実効性について疑問を持たざるを得ません。
 知事は、都独自の受動喫煙防止条例を昨年六月に制定し、これまで都民と事業者への影響を考慮して、条例の段階的施行を行ってまいりました。その取り組みもいよいよ第二段階に入り、今月一日からは、飲食店の喫煙状況の店頭表示義務化が開始されました。
 しかし、このことは、いまだ都民や飲食店経営者の理解が十分に得られていない状況であることに加え、店頭表示に対する指導助言の権限が、都にも、保健所設置区市にも、本格施行となる来年四月まで付与されていないという実態となっております。これでは、一番重要な条例の実効性が宙に浮いたままです。
 店頭表示の義務化について、その実効性の確保に対し、都はどう責任を持って取り組むのか、知事の見解をお伺いいたします。
 知事は、世間が注目する案件には飛びつく一方で、時間と手間がかかる案件には消極的です。その一つが監理団体改革です。
 監理団体を政策連携団体と名称を変えましたが、その実態は何も変わっておりません。平成二十二年に示された、東京都監理団体活用方針に示された内容とは何が変わったのか、当初の目的は達成できたのか、看板を変えただけでは意味がありません。
 同時に、政策連携団体の経営には、経営トップの手腕がこれまで以上に問われていることになります。能力、経験、見識など、全てにおいて都の政策連携パートナーの経営者としてふさわしい人材でなければ意味がありません。こうした問題意識を小池知事もお持ちだからこそ、各団体のトップと意見交換を行い、政策推進力や経営戦略の一層の強化につなげると所信表明の中で宣言されたものと思います。
 しかし、実際には、経営トップとの意見交換の中身について、あろうことか、小池知事みずから非公開を決めたということが、六月の総務委員会の質疑の中で判明いたしました。
 また、今般、知事は、検査の改ざんなどが相次いで発生した東京水道サービスの社長に、明らかに経験不足のご自身の秘書を推薦されました。知事は適材適所とおっしゃっておりますが、都民の感覚とは大きく乖離しておりますし、独善的で、みずからに甘い知事に大変憂慮しております。
 こうした点も踏まえ、政策連携団体と名称が変わったものの、評価基準、評価方法は具体的にどんな変更を行ったのか、何を目指して、何を改革するのか、お伺いいたします。
 また、団体の中には、都からの受託業務を一部民間企業などに再委託をしている場合もあります。その内容は、政策を実現するためにふさわしい水準となっているのでしょうか。さきのTSSの事件は、都も団体も相互になれ合いを続けてきた結果、知事の言葉でいえばそれが文化であり、ぬるま湯体質の批判は免れません。
 都の管理が行き届かないといったことのないような緊張感のある関係性が必要と考えますが、政策連携団体が行う業務の再委託について、都としてどのような指導を行い、その透明性を担保していくのかお伺いいたします。
 いよいよ一年を切った東京オリンピック・パラリンピック大会の成功に向けて、さまざまな課題が最終段階の調整を控えております。情報化が進む中で、二〇二〇年東京大会開催期間中はもちろんのこと、都民生活の安全・安心を守る観点からも、サイバー攻撃対策は欠かせない課題と捉え、都議会自由民主党では、これまで再三にわたり、専門人材の育成やシステムの強化、部門連携の強化など、サイバーテロ対策の補強を要請してまいりました。
 サイバー攻撃に対応するため、警視庁では、予兆を把握するシステムの活用や攻撃手法について関連事業者と共有するなど、未然防止、拡大防止を準備するとともに、共同訓練やサイバー犯罪捜査官等の専門人材の登用、育成にも取り組んでまいりました。大会に際しては、これまで磨いてきたノウハウ、機能を統合し、まさにスクランブル体制で事に当たっていただきたいと思います。
 そこで、いよいよ来年にオリンピック・パラリンピック大会が控える中で、サイバーテロ対策をより実効性のあるものとするために、どのような取り組みと体制強化を図っているのかお伺いいたします。
 環状二号線の未開通による二〇二〇年大会の輸送への影響のみならず、都民に直接かかわる不安も拭い切れません。大会時の都民の日常生活を維持するために必要な物流がどうなるのか、どうしたらいいのか、事業者からは不安の声が上がっています。
 大会期間中にはより多くの人が集まることで、物流の需要が高まることは容易に想像できます。夏季は一日に六回も納入しているコンビニ店舗でも、飲み物などの需要増に普通に対応すれば、納入回数をふやさなければならないのではといった実情も表面化しつつあります。
 車両を減らす取り組みへの協力と並行して、都民生活への影響を最小限に抑えなければならないという事業者の責任感や不安の思いに、知事はどう応えるのでしょうか。
 大企業だけではなく多くの中小、小規模事業者、荷主や都民等にも大会時の物流対策について理解を求め、時期を明確にして取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 また、東京二〇二〇大会では、国内、国外から多くの観客の来訪が見込まれ、一般の都民、国民なども含めて大変な混雑が予想されます。
 こうした中、大会時における交通に関する情報提供は重要であり、特に観客を適切に案内誘導するためには、交通情報等の提供の充実が不可欠と考えます。
 先般、ヤフー及びグーグルが組織委員会とスポンサー契約を結びましたが、これらの企業などの力もかりて、観客への情報提供等を充実するべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、大会時における工事調整についてお伺いいたします。
 都は、東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和に向けて、大会輸送と企業活動との両立を掲げ、都庁二〇二〇アクションプランを作成し、都庁発注工事の調整に取り組んでおります。工事調整を行うためには、業界団体のご理解とご協力が何よりも必要でありますが、現在、業界の皆様からは多くの不安、要望が届いております。
 例えば、工事発注の平準化や工期の前倒し、お盆期間での施工体制の確立、夜間振りかえに伴い生じる経費負担など、その内容は多岐にわたっております。もう一年を切っているのに、一体いつ決めてくれるのか、都としての方針を示すことが遅過ぎるといった切実な声が届いております。
 企業規模や現場状況によっても、その対応は異なりますが、アクションプランでは、実態に即したきめ細かい対応はもちろん、具体的な期日を決めることが求められております。
 今後、都は、どのように工事調整を進めていくのかお伺いいたします。
 また、大会期間中の公共工事発注は都発注工事だけではありません。国や都内区市町村、近隣自治体での公共工事に加えて、多くの民間発注工事も行われております。
 したがって、大会期間中の工事調整は、担当部局だけでなく、知事みずから先頭となって、そうした多くの関係者の皆様に協力のお願いをする責任があると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、暑さ対策についてお伺いいたします。
 都は、テストイベントでミストの設置や、うちわ、ネッククーラーなどのグッズの配布を試行し、検証を踏まえ、東京二〇二〇大会で暑さ対策を講じるとしております。
 こうした取り組みは、都民、観光客、外国人など、多くの方々の健康と安全を守るために、ラストマイルだけではなく、セキュリティーゲートや競技会場内、路上競技の沿道などで、連続性、一体性を持って実施すべきです。
 競技会場内の所管は組織委員会、外は都だからといって、ばらばらにやっていては実効ある対策とはならず、ホストシティーである都がイニシアチブを持って対策を講じるべきであります。
 また、暑さ対策の考え方として、グッズを配布したり、知事ご自身で手がけた、かぶるタイプの傘をPRするといったことだけではなく、暑さに対して観客それぞれが自分で帽子をかぶる、マイボトルで水分補給をするなど、みずから備えるという自助の精神についても、知事が先頭に立って呼びかけることが必要ではないでしょうか。
 暑さ対策の連続性、一体性の確保とあわせて暑さに対する自助の呼びかけについて、知事の見解をお伺いいたします。
 さて、東京二〇二〇大会は、東京の文化的魅力を世界に発信する一大イベントでもあります。大会期間中は、都内全域で質、量両面での文化的盛り上がりが不可欠です。しかしながら、現在に至っても、どのように取り組むのか具体的に見えてきておりません。
 特に、訪日外国人に関心の高い茶道、華道などの伝統文化や、江戸火消しや、おみこし、盆踊りなど、幅広い日本文化に対して、地域で活躍する文化団体の協力を得て、さまざまな場所で多くの方々に体験してもらう機会を提供することが重要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 さて、二〇二〇大会後の東京は、超高齢、人口減少社会という新たな局面を迎えます。その中で、子供が健やかに成長するための支援や、元気で長生きできる高齢社会をつくり上げていく施策など、都の課題は山積しております。
 来月から始まる国の幼児教育、保育の無償化は、幼稚園の預かり保育も対象となりますが、利用日数に応じた補助制度となっており、定期利用をしている保護者にとっては、利用日数が減るほど負担額が高くなる場合もあるため、現在の制度との関連性について懸念する声が出ております。
 園からすると、保護者が急に利用しなくなった場合でも、子供への保育の質を確保するために、安定的に預かり保育の体制を整えておかなければならず、園に対する支援は今後重要であります。
 都は、平成二十九年度から、年間を通じて長時間の預かり保育を行う園を支援するTOKYO子育て応援幼稚園事業を実施しておりますが、国の幼児教育、保育の無償化を機に、幼稚園の預かり保育をめぐる状況も大きく変動していくことが予想される中で、私立幼稚園が取り組む預かり保育に対して、都としてどのように対応していくのか見解をお伺いいたします。
 また、少子高齢化の進展に伴い、高齢者が地域で元気に活躍し、生き生きと生活することは、ますます重要になっております。
 都は、この間、高齢者が主体的に行う生きがい活動や地域サロンの設置などの取り組みを補助する新たな事業を設けて、社会参加の促進を図っておりますが、こうした活動を担うグループは必ずしも組織化されておらず、中には少人数で活動の継続性などに不安な面もあると聞いております。
 都は、二〇四〇年を見据え、高齢者が地域社会を支える存在として活躍できる社会をつくるために、老人クラブなど、地域で組織的な活動を地道に続けてきた団体についても、その価値を再評価すべきと考えますが、都の認識をお伺いいたします。
 次に、子育て家庭や高齢者だけでなく、障害者など社会的に支援が必要な方々の住まいの対策として都が掲げるセーフティーネット住宅についてお伺いいたします。
 都は、住宅政策の課題を迅速に解決するためとの理由で、都民や議会への事前の検討を示すことなく、昨年末、急な組織改編として、住宅政策本部を立ち上げました。
 現在、都は、改正住宅セーフティーネット法に基づき、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅の登録制度を運用しておりますが、現状では、二〇二五年度までの登録数三万戸の目標にはほど遠い、わずか七百八十一戸にとどまっております。
 これまで都は、貸し主の不安解消のため、独自の見守りサービスをモデル実施するなど取り組みをされておりますが、あえて高い目標値を設定し、組織の改編までしているのですから、要配慮者のためにも、その実現に向けて、貸し主の負担軽減なども含む登録意欲が高まるような大胆な取り組みが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、近年、集中豪雨や地震等の災害が激甚化、頻発化している中で、要配慮者の方々への個別の支援についても不安の声が聞かれております。
 障害者や難病患者等の社会参加が進み、全ての都民が生き生きと活躍できる社会の実現とあわせて、災害時には、こうした方々が外出先や通学通勤場所など居住地以外で被災する可能性も高くなっております。
 都はこれまで、区市町村に向け、災害時要援護者への災害対策推進のための指針を策定し、区市町村の要配慮者に対する取り組みを支援するとともに、区市町村や社会福祉協議会などと、東京都災害福祉広域支援ネットワークを構築し、平時より災害時を想定した連携訓練にも取り組んでまいりました。
 しかし、こうした取り組みにもかかわらず、関係団体からは、区市町村がさらにきめ細かに対応できるよう、都として、難病患者向けなど、個々の要配慮者にかかわる計画やマニュアルの策定や、より適切な情報提供を求める声が上がっております。
 知事の所信表明では、女性や外国人などの視点を防災対策に踏まえるとしながら、要配慮者については言及がありませんでした。
 そこで、災害時における要配慮者への情報提供、避難支援等に関する区市町村との連携等の取り組み状況や課題、今後の対応についてお伺いいたします。
 さて、都議会自由民主党はこれまでも、都民の命と暮らしにかかわる安全で安心なまちづくりを推進してまいりました。都は、これを受け、東日本大震災を教訓に、東京の都市としての課題について検証し、大地震にあっても倒れにくく、火災が起きても燃え広がらないまちづくりを、期限を決めて目標値を定めて実施してきたところであります。
 都は、平成二十四年一月に木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、不燃化特区五十三地区、特定整備路線などの延焼遮断帯の整備を通じて、都内各所に点在している木密地域の不燃化の改善に取り組んでまいりました。
 プロジェクトの最終年度となる令和二年度の目標時期が近づく中、現在、都では、防災都市づくり推進計画の改定作業を進めておるということですが、これまでの取り組みを踏まえて、課題認識と今後の見通しについてお伺いいたします。
 また、都が不燃化領域率七割を目指して取り組んできた中で、市街地の不燃化について、今後の目標をどう捉えるのか、知事の見解をお伺いいたします。
 我が党は、木造住宅密集地域の不燃化とあわせて、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化についても主張してまいりました。
 都は、震災時においても首都機能を維持するため、耐震診断義務化や改修計画作成支援など、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を重点的に進めてまいりました。
 東京二〇二〇大会を控えた今年度末に、都市機能を最低限確保すべく、耐震化率九〇%とした中間目標を掲げてきましたが、今年六月の時点で八五・七%と達成は厳しい状況にあります。二〇二五年度に一〇〇%という長期目標もありますが、現在の進捗状況では実態と乖離しているとも感じます。
 耐震改修促進計画の改定を控えた現在、こうした現状を真摯に受けとめれば、既に新たな取り組みの検討に着手しているものと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 昨今、廃棄物に混入したリチウムイオン電池が原因の火災が頻繁に発生しております。プラスチックなどの可燃ごみ等に混在したものが、パッカー車内で破砕したときに発火するといった事故が多発し、本年五月には、常総市においてリチウムイオン電池が原因とされる火災が発生、二週間近くにわたり火災が続き、約五千平方メートルが焼失するという大災害となりました。
 リチウムイオン電池による事故の実態が明らかになっていないため、環境省は調査を始めるとして、また、本年八月には、適正処理について対策を講じるよう、都に対しても依頼したと聞いております。
 都として適正な処理、排出方法の周知等の働きかけをすべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、食の安全供給に欠かせない卸売市場の条例改正についてお伺いいたします。
 改正に当たっては、これまで卸売市場が果たしてきた都民の食を守るという役割が、今後もしっかりと維持されることが重要です。現在、豊洲市場においては、国産食材の輸出を通じ世界に挑む事業者、半加工の食品や料理キットを開発し、新たなニーズを掘り起こそうとする事業者、食育などを通じて、地元との結びつきを強めていこうとする事業者などが、それぞれの努力で活躍しており、今回の改正を好機と捉える意欲的な市場業者がふえていると聞いております。
 こうしたさまざまな特色や、やる気のある市場業者が、市場に新たな成長と変革をもたらす原動力となっているのです。私たちが一貫して豊洲市場への移転を主張してきたのも、このような取り組みを加速させ、全ての市場に広げていくべきと考えてきたからであります。
 そこで、卸売市場条例の改正に当たっては、こうした市場関係者のあり方を含め、卸売市場の公共的な役割を引き続き果たせるような改正内容とするとともに、卸売市場が公共的な機能を発揮する上で、その中核となる市場業者の意見にしっかりと向き合って検討を進めるべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 次に、東京の発展を支えるインフラ整備について伺います。
 首都東京は、我が国の成長戦略を牽引し、日本全体の活力を底上げする重要な役割を担っており、東京のインフラを維持していくためにも、自主財源を維持拡充していくことは不可欠であります。
 こうした観点から、さきにも述べたとおり、我が党の主張によって、昨年十二月、国と都の実務者協議会が設置されております。とりわけ首都圏鉄道網の拡充は、国や都の力だけでなく、鉄道事業者など関係者との調整も必要であり、全庁を挙げてスピード感を持って進めていかなければなりません。
 都は、国の答申に示された六路線等の整備推進を掲げており、事業化に向けた検討はなされていると思いますが、一方で、昨年四月に設置した鉄道新線建設等準備基金の使い道については全く示されていないままであり、その進捗に懸念を持たざるを得ません。
 鉄道ネットワークの充実に向けた、これまでの都の検討状況と、事業化を見据えた基金の活用の考え方について改めてお伺いいたします。
 また、鉄道だけでなく、首都圏三環状道路の一つである外環整備の重要性は、東京の経済活動と活力を維持するだけでなく、災害時には都民の命の道ともなる、防災上、大変重要な高速道路です。
 先月二十二日には、外環道の関越から東名間の一日も早い開通、青梅街道インターチェンジの用地取得に向けた国と都との連携などについて、超党派による外かく環状道路建設促進議員連盟として、国土交通大臣へ要請活動を行ってきたところです。しかし、その場に都議会第一党の都民ファーストからは誰ひとり参加されず、大変残念でなりません。
 東京都が国から受託した青梅街道インターチェンジの用地取得について、平成二十九年から三年が経過しました。この間の進捗は、約二〇%の土地取得となっておりますが、都からいまだに地元地権者に対して接触を図っていないなど、取り組みが遅いといわざるを得ません。
 青梅街道インターチェンジが完成しなければ、外環道の完成には至りません。都は、用地取得の責任者であります。その責任者は知事であります。困難な事業であればあるほど、都知事としてみずから積極的に取り組む必要があります。今後の取り組み促進に向けた知事の決意をお伺いいたします。
 東京の活力を支える都内中小零細企業の経営基盤の安定強化に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 都はこれまで、アジア諸国などとの競争激化や原材料価格の上昇などを背景とする厳しい経営環境に直面する企業に対し、受注の確保、拡大や、新たな顧客確保に向けた企業の取り組みを支援すべく、受注型中小企業競争力強化支援事業を実施してきました。
 この事業は、企業の競争力強化に直接つながることとなり、大きな評価を受けております。
 引き続き、中小零細企業の経営基盤の強化につながるよう支援を継続していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、厳しさを増す国際競争の中で、都内企業は厳しい経営環境にありながらも、それぞれの業界が抱える課題を中小企業団体中央会等と力を合わせ、解決に向け取り組んできました。その取り組みを支援する、団体向け課題解決プロジェクト支援事業は、これまで、業界ごとに人材育成や東京ブランドの構築、販路拡大などの成果を上げてまいりました。
 今後は、さらなる団体の創意工夫を生かした弾力的な支援が必要であります。都の見解をお伺いいたします。
 冒頭でも申し上げましたが、小池知事は都知事就任に当たり、七つのゼロという公約とともに、都政運営に関しても、都民に約束をしたはずであります。知事に就任後、直ちに都議会を解散する、このみずからの不信任決議を前提とした知事の公約には正直戸惑いました。
 そして、小池知事は、二〇二〇年七月二十四日に開催するオリンピック・パラリンピック大会間近に都知事選挙をするのを避けるため、都知事選を前倒ししたいとも発言されておりました。
 改選まで一年を切りました。半年といわれておりましたので、そのとおりだとすれば、選挙まであと四、五カ月しかありません。しかし、選挙日程については一切の発言がありません。
 知事は、この先、知事の座にとどまりたいとお考えなのでしょうか。三年前の知事選挙での公約を踏まえ、小池知事の方向性をぜひ都民にお示しいただきたいと思います。
 このことを最後に伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 鈴木章浩議員の代表質問にお答えをいたします。
 私へのご質問、多くがこの場で聞かされたものばかりでございますが、できるだけ努めてお答えをするようにまいります。
 さて、最初に、公約の伸長についてのご質問がございました。知事就任以来幅広くまいてまいりました数々の施策の種は、今、芽を出し、着実に花を咲かせつつございます。
 目指している七つのゼロでございますが、犬猫殺処分ゼロを達成いたしまして、待機児童は、四半世紀ぶりの水準に達し、三千六百九十名まで減少したところでございます。
 このように公約を着実に実施する一方で、殺処分につきましては、ご指摘がございました福祉的殺処分がふえるとのご指摘、それは当たらないものと考えております。
 このほか無電柱化につきましては、条例や計画を定めまして、具体的な方針を明確にいたしております。いわゆるセンター・コア・エリアの都道につきましては、昨年度末の時点で無電柱化率は九七%。
 そして、満員電車につきましては、鉄道の複々線化事業の推進が行われております上に、この夏スムーズビズの取り組みを大規模に実施するなど、ハードそしてソフトの両面からの取り組みは着実に拡大をしているものと存じます。
 これらを含めまして、山積をいたしております都政の課題につきましては、今もまさしく現在進行形で取り組んでいるところでございまして、引き続き都議会の皆様と建設的な議論を交わしながら、都民ファーストの都政を展開してまいりたいと存じます。
 次に、利権に対する認識についてのお伺いがございましたが、私が申し上げている利権は、不透明な意思決定過程から生まれかねない都民にとっての不利益を指すと、このように認識をいたしております。
 加えて、情報開示についてのご質問、知事に就任してから情報公開は、東京大改革の一丁目一番地と位置づけまして、その推進に積極的に取り組んでまいりました。昨年七月からは、公文書の管理に関する条例を施行いたしまして、政策の形成過程を明らかにし、文書の作成を義務づけ、都の意思決定の過程、都民の皆様に見えるように取り組んでまいりました。
 今後も、都政の透明化をさらに推進することによりまして、都民の皆様の共感をいただき、さまざまな課題の解決につなげてまいります。
 次に、長期戦略についてのお尋ねがございました。
 AIやIoTを初めとする第四次産業革命のうねり、その世界は、想像をはるかに超える速さで変化をしているところでございます。そうした中にありまして、残念ながら我が国は、競争力や生産性の国際比較におきましては、後退しつつあるのが現実でありまして、またその存在感は低下しつつございます。
 このままでは、日本は世界から大きく取り残される、こうした強い意識を、また危機感を持って、今こそ東京は世界を視野にして挑戦しなければならない、持続可能な成長、長寿社会における安心の確保などの課題に果敢に挑まなければならないと存じます。
 変化の激しい時代を先取りして、政策を戦略的に展開するために、今回の未来の東京への論点で、いわゆるバックキャストの視点を取り入れて、二〇四〇年代の東京のイメージをお示ししているところでございます。
 目指すべき未来の東京の姿を都民の皆様方と共有して、その実現に向けて大胆な取り組みを進め、将来世代にしっかりと引き継いでいくことが我々の使命でございます。現時点では高いハードルであっても、二〇四〇年には当たり前になっている、それどころか、もっと先に進んでいるということさえ、その可能性さえ考えられるところでございます。都民に誤ったメッセージを伝えているとのご指摘は全く当たりません。
 世界に目を向けまして、鳥の目で全体を俯瞰しながら、都民一人一人が輝き、活力にあふれる、未来の明るい東京の姿を描くとともに、その実現に向けて、行政として取り組むべき具体的な政策を取り上げまして、そして長期戦略をまとめてまいりたいと考えております。
 5Gの都政への活用についてでございますが、この5Gの都政への活用は、社会課題の解決は無論、インターネットを介して、どこにいようと誰もが医療や教育などのさまざまなサービスが享受できる。また、多くの富を生み出すICT産業の発展は、経済成長の鍵を握るとでも申せましょう。
 そこで、今回、TOKYO Data Highway基本戦略を発表いたしまして、都のアセットを開放、そして重点整備エリアの設定、都みずからの施策実施といったアクションを展開することといたしております。
 具体的には、西新宿地域を重点エリアとし、そのほか、都みずからが遠隔授業や自動運転などに官民連携をして取り組み、都民に便利さなどを体感していただく、そして5Gの普及、利用拡大につなげていく所存であります。
 また、5Gネットワークはインフラでございまして、そこに載せるデータが何よりも大切でございます。オープンデータ化などの行政サービス向上の基盤となる取り組みを、区市町村とも密接に連携しながら、さらに加速化させてまいります。
 こうした未来への投資を積極的に行って、世界最速のモバイルインターネット網を構築することで、都民の生活をより豊かなものとして、東京の持続的な成長へとつなげ、スピード感を持って施策の展開を図ってまいります。
 宮坂氏を副知事に選任することについてもお尋ねがございました。
 これは、令和の時代の基幹インフラとなります5Gネットワークを早期に構築してソサエティー五・〇の実現を加速する、そして、今回、新たにTOKYO Data Highwayの基本戦略を策定したところであります。この基本戦略の推進に当たりましては、情報通信の点から、都庁を横断的に取りまとめて、全庁一丸となって取り組まなければなりません。
 こうした取り組みを迅速に進めていくためには、情報通信分野に精通して、官民を問わない調整力と交渉力を持つICT専任の副知事が、進言や助言にとどまらず、政策の実現に向けて、都庁全体を力強く牽引していく必要がございます。
 このため、参与であった宮坂氏を副知事に選任することといたしました。
 宮坂氏には、これまでの豊富な経験を生かして、局の所管という形ではなく、ソサエティー五・〇及び5G施策の推進を全庁横断的に担うとともに、ほかの副知事と連携しながら、東京の成長戦略や働き方改革など、都政改革におきましても知見を生かしていただいて、世界をリードするデジタル先進都市東京の実現を目指して活躍していただきたいと考えております。
 次に、旧こどもの城についてのお尋ねがございました。
 この敷地は、ご承知のとおり、青山通りに面して、周囲の都有地との一体的な利用によって、都のさまざまな政策実現にも資する可能性を有した土地でございますことから、この土地を取得することは、東京の未来にとりましても重要な投資であるとの考えのもと、国との協議に当たってまいりました。
 こうした協議を通じて、国に対し、中期的には旧こどもの城の既存建物を活用して、あらゆる都民のための複合施設とするという利用用途を明確に提示したことから、近々取得できる見通しとなったものでございます。
 そして、本件の土地につきましては、その財産価値を最大限に発揮いたしまして、長期的に活用する視点からも、購入することが最善の選択であったと、このように認識をいたしております。
 築地のまちづくりについてのご質問がございました。
 築地におきましては、都心のまたとない大規模な土地を効果的に活用して、長期的な観点から、経済合理性を考慮しながら、民間の力を最大限に生かして、段階的に整備を進め、東京全体としての価値の向上を図っていくことといたしております。
 整備に当たりましては、将来ニーズへの対応の余地も残しながら、土地を民間に売却することなく都が所有し、公共性や公益性の観点からも、民間事業者に対して一定の条件を付し、有効に活用するというものでございます。
 短期的利益の追求ではなく、長期的な時間軸を意識して、地下鉄などのインフラの整備状況も勘案しながら、まちづくりを進め、周辺地域などへの波及効果をもたらしつつ価値の最大化を図ってまいります。
 築地のポテンシャルを生かして、民間の創意工夫を最大限活用しながら、まちづくりを推進し、東京の持続的な成長につなげ、都民の負託に応えてまいります。
 なお、IRについてのご質問もございました。
 IRは、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待され、その一方で、ギャンブル等依存症などの懸念の声もあるとの認識でございます。
 都は、平成二十六年度以来、IRを導入した海外の事例や都に立地をした場合の影響などについても調査を行ってまいりました。
 都としては、IRについてはメリット、デメリットの両面があるということから総合的に検討してまいります。
 なお、ことしの三月に策定をいたしました築地まちづくり方針におきましては、カジノを含む統合型リゾート、IRを築地において整備をすることは示しておりません。
 二元代表制についてでございます。
 東京が、世界の都市間競争に打ち勝って、成長と成熟が両立した都市へとさらなる進化を遂げるためには、議会と知事が互いに都民の代表として切磋琢磨していかなければなりません。議会と知事がそれぞれの役割を十分に果たすことで、真に都民のための都政を実現していく、このことこそ地方自治におけます二元代表制の機能であると考えております。
 円滑な大会輸送の実現に向けた今後の取り組みについてのご質問がございました。
 輸送は大会成功の重要な鍵の一つでございます。対策を講じないと、関係車両等の増加で都市活動に大きな影響を与えるおそれがあることから、交通量の低減に向けて多くの企業や都民のご理解とご協力をいただくことは何よりも大切でございます。
 都は、大会に向けました交通需要マネジメント、いわゆるTDMですね、そしてテレワーク、時差ビズ、これらをスムーズビズとして一体的に進めておりまして、これまで、私も経済団体などみずから出向きまして、その取り組みについての直接のお願いを重ねてきたところでございます。
 今後、より多くの企業や都民の理解と協力が得られますよう、戦略的な広報活動も積極的に展開をしてまいります。私みずからも、円滑な大会輸送の実現に向けまして、交通量の抑制を呼びかけるなど、より一層の情報発信に努めまして、企業や都民の皆様とともに大会を成功に導いてまいりたいと考えております。
 飲食店におけます喫煙状況の店頭表示についてのご質問もございました。
 東京都受動喫煙防止条例では、都民や国内外から東京を訪れる方が、飲食店を選択する際の参考となりますように、喫煙状況の店頭表示の義務化を独自に定めて、今月一日に施行をいたしました。
 この条例を実効性あるものとするためには、都民の皆様、事業者、区市町村の皆様、それぞれご理解、ご協力いただくことは重要でございます。
 都は、区市町村や事業者団体等に働きかけ、都内各地で説明会を開催するとともに、ビール会社を初めとして、民間事業者の方々のご協力を得て、営業の際などに、店舗ごとにお知らせをいただいているところでございます。
 八月に、私も調布市長とともに飲食店を訪問いたしまして、標識の掲示をお願いするとともに、調布駅前でPR活動の実施など、都民や飲食店に対しての協力を直接求めてきたところでございます。
 引き続き、区市町村や事業者の方々にもご協力をいただきながら、都条例の全面施行に向けまして、受動喫煙防止対策を推進してまいります。
 工事調整の国などへの協力依頼についてのご指摘があったかと存じます。
 大会の成功に向け、円滑な大会輸送の実現と都市活動の両立を図るために、交通需要マネジメントを初めとしたスムーズビズに、都民、企業と一体となって取り組むことは重要であります。
 まずは、隗より始めよで、都庁みずからが取り組む内容を、都庁二〇二〇アクションプランとして四月に取りまとめておりまして、その取り組みの一つとして、都発注工事の調整に関する取り組み方針を策定しております。
 工事の実施によります交通環境への影響を最小限に抑えるため、こうした都の取り組みを参考に、工事を発注するさまざまな機関に取り組みをお広げいただく、そのような必要がございます。
 そのために、都は、みずからの取り組み方針を工事を担う事業者の皆様方に丁寧にご説明するとともに、工事の発注者である国、近隣県市や都内の自治体、民間事業者の皆様にも協力の依頼を行っております。
 これまでも、九都県市の首脳会議であったり、経済団体等の会議の場を通じまして、交通量削減の協力を依頼してまいりました。
 今後も、大会成功に責任を持つ開催都市の長といたしまして、私みずからさまざまな機会に協力を呼びかけるなど、引き続き、円滑な大会輸送の実現と都市活動の両立に向け、取り組んでまいります。
 暑さ対策でございます。
 今後の取り組みについて、都民や観客等の健康と安全を守る暑さ対策でございますが、これは大会の成功に向けて極めて重要でございます。
 このため、これまで全庁を挙げまして総合的な暑さ対策の検討を進めて、路上競技沿道での木陰の確保やテントの設置など、各局で連携して進めてまいりました。
 さらに、この夏のテストイベントでは、組織委員会とも連携をいたしました試行、検証を進めているところでございます。休憩所への送風機の併設や飲料水の提供、そして、体を冷やすグッズの配布など、ハード、ソフトの試行では、一定の有効性も確認されております。加えまして、外国人を含む観客等に熱中症のリスクや水分補給の必要性などをウエブなども使って、組織委員会や国と連携して情報提供を進めてまいります。
 今後とも、関係機関と連携をいたしまして、テストイベントを通じて得られた検証結果も踏まえまして、大会本番に向けて切れ目のない暑さ対策に取り組んでまいります。
 市街地の不燃化でございます。
 近い将来、首都直下地震が東京を襲う可能性が高い中で、市街地の不燃化など安全・安心のまちづくりを進めていくことは喫緊の課題でございます。
 これまで都は、防災都市づくりの推進計画に基づいて、不燃化特区などを活用いたしました木密地域の不燃化や延焼を遮断する特定整備路線の整備に取り組んでまいりました。
 今後、不燃化の一層の促進に向けて、無接道敷地など改善がおくれている箇所への対応、民間活力を活用した魅力的な移転先のさらなる展開など、一歩踏み込んだ施策を実施する必要がございます。
 これから、これらの方策、より効果的に展開できますように、推進計画の改定に向けまして検討を進めております。今後、計画の基本的な考えを示してまいります。
 災害の脅威から都民を守る強靭な東京の実現に向けて、今後も工夫を加えて、燃えない、燃え広がらないまちづくりを強力に推進してまいります。
 それから、外環の整備の推進についても、お尋ねがあったかと存じます。
 この外環の整備につきましては、そもそもは、国、そして高速道路会社が整備を進めるものでございます。国際競争力の強化や防災性の向上などに資する極めて重要な道路と認識しております。
 このうち、青梅街道のインターチェンジにつきましては、沿線区市からの広域的な利用が見込まれる、また、地域の渋滞緩和や安全性の向上にも欠くことのできない重要なインターチェンジであるということから、都は、平成二十九年度から、用地取得を国から受託して、外環の早期開通に向けて支援をしているところであります。
 現在、オープンハウスで情報提供を行い、また、個別訪問で生活再建に向けた相談に応じるなど、地権者の皆様の事情に即して丁寧に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、工事の安全を最優先にして、外環の一日も早い開通を国に求めるとともに、青梅街道インターチェンジの用地取得をしっかり進めてまいります。
 最後に、知事としての出処進退についてのご質問があったかと存じますが、今は、一日一日、知事としてなすべきことに邁進する、そのことに集中しているところでございます。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、東京都技監及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔副知事長谷川明君登壇〕

○副知事(長谷川明君) 国との実務者協議会についてのご質問をいただきました。
 大手町の国有地に関しましては、都はこれまで、隣接する東京消防庁本部庁舎の建てかえなどを見据え、国と用地取得の協議を進めてまいりました。
 一方で、大手町エリアは、近年、国際金融ビジネス交流拠点としての整備が進み、国際金融都市東京の実現に向けて重要な場所でございます。
 このため、都は、国との実務者協議会において、大手町国有地を対象として新たに協議を開始いたしました。
 こうした中、本年六月、国の審議会の答申におきまして、有用性が高く希少な国有地は、今後、売却せずに定期借地等の手法により活用を図る方針が示されたところでございます。
 今後は、こうした方針を踏まえつつ、都の施策実現に向けて、貴重な都心の国有地の有効活用を図るべく、都議会の皆様のお力添えもいただきながら、庁内関係局に横串を刺して、国との協議を進めてまいります。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたサイバーテロ対策に関する取り組みについてでありますが、警視庁では、従来から、大会関係機関、重要インフラ事業者等に対し、継続的な管理者対策や各種訓練を通じた関係構築を図るとともに、事案発生時における対処要領の確認や関係組織間の円滑な情報共有の実施により、セキュリティー強化を推進しているところであります。
 今後の取り組みといたしましては、サイバーテロを含むサイバー関連事案に的確に対処するため、大会期間中、新たに警視庁サイバー事案対処センターを設置して、既存の連携体制をさらに充実強化させることとしております。
 また、本年十一月には、関係機関等と緊密な連携を図るため、大会公式パートナー企業及び競技会場等のIT担当者を対象としたサイバーインシデント対応技術訓練を実施する予定であります。
 引き続き、各種研修等を通じた人材育成及び資機材の充実を図るとともに、官民連携による対処能力の向上等に努め、サイバーテロ対策を推進してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、木密地域の整備についてでございますが、これまでの防災都市づくりの取り組みにより、整備地域における平成二十九年度末の不燃領域率は、推定値で六二・五%まで改善し、特定整備路線におきましては、用地の取得割合が全体で四割を超えております。
 一方、道路に面していない敷地があることにより、不燃化が進まない街区や権利者との合意形成に時間を要している区間があるなど、改善がおくれております。
 不燃化の一層の促進に向け、都は、現在、計画の改定を検討しております。建てかえが進みにくい未接道敷地への対応などが図れるよう、今後、計画の基本的な考え方を示し、それを踏まえ、区市町と連携しながら、来年度に整備プログラムを取りまとめてまいります。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の取り組みについてでございますが、都は、震災時における救急活動や支援物資の輸送などの機能が確保できるよう、これまで、耐震改修等への助成や個別訪問による働きかけ、改修計画作成を支援する専門家の派遣などの取り組みを推進しており、本年六月末現在の耐震化率は約八六%となっております。
 現在、耐震改修促進計画の改定に向けまして、学識経験者による検討委員会において、これまでの取り組みにより、実質的に通行機能が確保できているかどうかの観点から、路線ごとの現場の状況に即した詳細な検証を行っております。
 今後、より効果的に施策を推進することが必要と考えており、検証結果を踏まえ、特に施策を重点化すべき路線などの検討も進め、改定素案を今後公表してまいります。
 最後に、鉄道ネットワークの充実についてでございます。
 現在、都は、国の答申において事業化に向けて検討などを進めるべきとされた地下鉄八号線や多摩都市モノレールなどの六路線を中心に、国や鉄道事業者などの関係者と連携し、需要や採算性の検証、事業スキームの構築に向けた検討などを実施しております。
 お話の鉄道新線建設等準備基金は、六路線に係る事業などの財源を確保するために創設したものであり、その活用につきましては、事業が具体化する際に、路線ごとの状況に応じて検討することとなります。
 例えば、整備主体が補助制度を活用して事業を実施する場合に、都の補助財源の一部に基金を充当することなどが考えられます。
 引き続き、国と都の実務者協議会の場なども活用しながら、鉄道ネットワークの充実に向け、関係者とも協議、調整を加速してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、政策連携団体の経営目標評価制度についてでございますが、これまでも、経営目標の設定及び評価に当たりましては、外部有識者による評価委員会から意見を聴取し、民間の経営的な視点を取り入れることで客観性を向上させるなど、団体の経営改革に資する見直しを進めてまいりました。
 今年度、政策連携団体の位置づけを明確にしたことに合わせ、都の団体活用の考え方を示した活用戦略を新たに策定し、その内容を各団体の経営目標である経営改革プランに反映させ、都政との連動性をさらに強化いたしました。
 今後は、この経営改革プランの評価を通じまして、団体の自律的な経営改革を促進させていくとともに、団体で発生した事故等についての総務局や所管局への報告基準を明確化するなど、ガバナンスを強化していくことで、都の政策実現に向けた機能を向上させてまいります。
 次に、政策連携団体における再委託についてでございますが、政策連携団体の位置づけを明確にしたことに合わせて、団体の契約に関する指導監督指針の見直しを図ったところでございます。
 これまでも、団体が発注する契約は、再委託契約も含め入札等の競争契約を原則として、競争性、経済性の確保に努めることとしてまいりましたが、今回の見直しでは、都民サービスの向上に資するよう、契約履行の確実性や品質確保にも留意すべきことを規定いたしました。
 また、都から特命で受託した事業等においては、団体が発注する二百五十万円以上の再委託契約や、特命による契約を全て公表対象とすることで、透明性を担保していくこととしております。
 引き続き、各局と連携を図りながら、再委託も含めた契約に関する団体の指導監督を適正に行うとともに、契約情報の公開を進め、透明性の確保に努めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、大会時の物流対策についてでありますが、円滑な大会輸送の実現とともに、経済活動の維持を図るため、期間中の物流を確保することが重要でございます。
 そのため、これまで都は、企業の物流担当者などに、大会期間を避けた発注や、配送時間やルートの変更などの取り組みをお願いしてきたほか、専門的なコンサルタントを派遣し、企業ごとの課題解決に向けた支援も行ってきたところであります。
 一方、物流は、製造から販売までの多くの企業が関与しており、一つの企業だけではTDMの効果を上げづらい状況にあることから、物流対策も含めた輸送運営計画バージョンツーを年内に取りまとめるとともに、国などと連携し、先進的な取り組み事例の紹介や、業界ごとの実態に即した働きかけ、消費者に向けた積極的な広報展開など、物流全体で協力をいただけるよう取り組んでまいります。
 次に、観客への情報提供の充実についてでありますが、大会時には、観客が迷わずスムーズに移動できるよう、会場ごとの観客利用想定駅や、観客輸送ルートへ適切に案内し、誘導することが重要であります。
 観客の中には、東京の鉄道にふなれな方も多く、混雑が予想されることから、都は、主要駅に配置したシティキャストによる交通案内を初め、きめ細かな情報提供について検討しております。組織委員会においても、チケット購入者に対する効果的な情報提供について検討を進めているところであります。
 今後、観客に対する案内誘導の充実に向けて、東京二〇二〇大会のスポンサー企業が有する技術の活用など、さまざまなツールにより広く情報提供が可能となるよう組織委員会と連携してまいります。
 最後に、都発注工事の工事調整についてでありますが、大会時の交通混雑緩和に向け、本年四月、都庁二〇二〇アクションプランを策定いたしました。その中で、都発注工事についても、発注時期の調整や工事車両の削減等、取り組み事項を掲げております。
 ことしの夏、既発注工事において、受注者の協力を得て、約六割の工事を目標に、車両の出入り時間の調整や休工日の変更などの試行に取り組んでまいりました。
 今後、この試行結果や、十月下旬に取りまとめる会場周辺の交通対策に加え、ご質問の工事発注の平準化など、業界からのさまざまな意見等を踏まえ、アクションプランを秋ごろに更新する予定であります。
 引き続き、関係各局と連携し、具体策を検討していくとともに、受注者等に対する速やかな情報提供と丁寧な説明に努めてまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大会時の伝統文化体験についてでございますが、東京二〇二〇大会は文化の祭典でもあり、この機に、文化都市東京をアピールすることは重要でございます。
 そこで、都立文化施設や観光拠点等において、伝統文化、芸能の体験鑑賞プログラムを実施いたします。
 また、選手が集まる施設や東京スポーツスクエア等においても、選手やメディア等を対象に、文化団体の協力を得ながら、華道、茶道を初めとした伝統文化の体験機会を提供いたします。
 さらに、多くの来場者が見込まれる都立文化施設のアトリウムや、ライブサイト会場等でも、身近な日本の伝統文化に触れていただくなど、国内外の方々に東京の文化的魅力を発信してまいります。
 次に、私立幼稚園の預かり保育への対応についてでございますが、都は、平成二十九年度から、TOKYO子育て応援幼稚園事業を開始するなど、私立幼稚園の預かり保育の取り組みを支援してまいりました。
 十月から始まる国の幼児教育無償化につきましては、その制度開始後の私立幼稚園への影響も含めて、実施状況を見守っていく必要がございます。
 今後とも、各園や地域の実情等も踏まえながら、丁寧な相談、助言を行うなど、TOKYO子育て応援幼稚園の実施拡大に努め、預かり保育の取り組みを支援してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域活動を担う高齢者への支援についてでありますが、高齢者が地域で安心して暮らし続けるためには、地域とのつながりが重要であり、高齢者が主体的に地域活動に参加することは、見守りや支え合いに資するだけでなく、介護予防にも有効でございます。
 このため都は、高齢者みずからが行う文化、教養活動や老人クラブなど、仲間づくりを通じ、生きがいや健康づくりを推進する活動などを区市町村等を通じて支援しております。
 さらなる高齢化を見据え、高齢者保健福祉計画等において、こうした高齢者の主体的な活動を地域包括ケアシステムの一翼を担うものとして、今後ともしっかりと位置づけ、高齢者福祉をより一層推進してまいります。
 次に、災害時の要配慮者への支援についてでありますが、都は、防災アプリや、東京都防災ホームページなどで総合的な防災情報を発信するとともに、災害発生時に高齢者や障害者などの要配慮者が適切に情報を得られるよう、区市町村向け指針の中で災害情報の伝達方法などを示しております。
 また、区市町村等と連携し、要配慮者や在宅療養者の広域的な移送の調整、避難所への精神科医師や保健師の派遣、福祉避難所への介護職員の派遣に関する調整なども行うこととしております。
 情報格差や個人情報の取り扱い、区市町村や医療機関等との連携など、さまざまな課題があることを踏まえ、今後も要配慮者への支援に取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) セーフティーネット住宅の貸し主に対する施策の充実についてでございますが、セーフティーネット住宅の登録促進には、貸し主の理解と協力が不可欠であり、住宅確保要配慮者の入居に際し、貸し主がさまざまな不安を感じていることは認識しております。
 このため、都では今年度から、見守りサービスを支援するモデル事業や、入居者の死亡時に貸し主に生じる損失を補償する保険料への補助などを実施しております。
 こうした施策を着実に推進するほか、貸し主の関係団体に速やかにヒアリングを行うなど、ニーズの把握に努めながら、近年の見守りサービスの多様化も踏まえ、貸し主の不安軽減に向けた支援のあり方や登録につながる方策について検討してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) リチウムイオン電池の適切処理についてでございますが、都内の廃棄物処理において、リチウムイオン電池を原因とする発火事故が頻発しており、対策は急務でございます。
 都はこれまで、事故の防止に向け、産業廃棄物の排出事業者や処理業者に対し、分別や処理の留意点について、さまざまな機会を通じて周知してまいりました。
 今年度は、家庭等で未分別のリチウムイオン電池が発火事故を引き起こしている現状や、適切な廃棄方法を広く都民にわかりやすく周知するとともに、都と区市町村の検討会でも新たなテーマとして取り上げ、効果的な分別収集や処理の方法を検討してまいります。
 今後、検討会の議論を踏まえ、国に製品への電池使用の表示義務を提案するほか、業界に独自回収ルートの構築を働きかけるなど、その適正処理を一層進めてまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕

○中央卸売市場長(黒沼靖君) 中央卸売市場条例の改正についてでございますが、中央卸売市場は、都民生活を支える基幹的なインフラであり、生鮮食料品等の安定供給といった公共的役割を今後も着実に果たしていく必要がございます。
 そのためには、公正な取引環境の確保や市場を取り巻く環境の変化に的確に対応することが重要であり、都はこれまで、都と取引参加者などで構成する条例改正準備会議におきまして、取引活性化のための規制緩和、開設者による指導監督の仕組み、都と市場関係者との協議の場の設置などにつきまして意見を交換してまいりました。
 さらに、こうした内容につきましては、都内十一の中央卸売市場における説明会や個別質問への対応などを行っており、今後も丁寧に関係者に向き合い、全ての卸売市場のさらなる活性化に向けて、条例改正の準備を進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小零細企業の経営基盤の安定強化についてですが、厳しい経営環境下にある中小零細企業にとって、競争力強化への取り組みは重要でございます。
 都では、受注型の中小零細企業が、自社の技術、サービスの高度化や、高付加価値化のための技術開発、生産性向上を図るための新規設備導入などを行う場合、その取り組みに係る経費の一部を助成しているところでございます。
 今年度は、厳しい経営環境にある中小零細企業をより一層支援していくため、新規採択の計画件数を昨年度の六十三件から七十二件へと拡充し、実施しております。
 今後とも、中小零細企業の経営基盤の安定強化に向けて適切に対応してまいります。
 次に、中小企業団体の取り組みへの支援についてですが、東京の稼ぐ力を高めていくためには、中小企業の存在が不可欠でございます。しかしながら、経営基盤の弱い中小企業が、その取り巻く環境に対応するための課題に単独で取り組んでいくには限界もあることから、団体の取り組みへの支援を行うことは重要でございます。
 中小企業が東京二〇二〇大会やその先を見据えた成長を実現できますよう、都は、団体が行う製品の高付加価値化や、新たな市場分野の開拓などの意欲的な事業を促進しております。また、そうした事業を進めていくための人材育成や組織体制づくりの支援も行っているところでございます。
 今後とも、中小企業のさらなる活性化に資するよう、中小企業団体の意欲的な取り組みを後押ししてまいります。

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