午後一時開議
○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。
○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。
○議事部長(櫻井和博君) 知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
(別冊参照)
○議長(尾崎大介君) これより質問に入ります。
百十六番増子ひろき君。
〔百十六番増子ひろき君登壇〕
○百十六番(増子ひろき君) 東京都議会第三回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び教育長、関係局長に質問します。
初めに、きのうからけさ方にかけて関東を直撃した台風十五号の影響により、大きな被害が出ました。被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また、八十万世帯を超える停電を起こした関東の中でも、島しょ部の停電被害が大きかったとの報告があります。多くは強風による電線の断裂と思われるため、災害対策という観点からも、島しょ地域を初めとした都内各所での電柱の地中化は急務といわざるを得ません。
今回の台風十五号に関する都の対応や知事の受けとめ方並びに電柱の地中化についての考えを伺います。
先日、長期戦略の論点が示されました。その中では平成三十年間の検証として、日本経済の世界における存在感の低下、産業構造、雇用環境の変化、少子高齢化、IT、通信の普及、高等教育の世界的地位の低下など、総じて世界規模の大きな変化に対し、日本、東京が十分に対応できてこなかったことに対する危機感が示されていますが、大いに共感するものです。
今の都政に求められているのは、世界規模の大きな変化の中で、東京二〇二〇大会後も、都民が、きょうよりあすがよくなるという希望を持つことができるビジョンを示し、それに向けた歩みを一歩一歩着実に進めていくことです。
私たちは、引き続き、東京二〇二〇大会を一つのきっかけに、世界最高、最強の都市の実現に向けた取り組みを全力で進めていくことを改めてお誓い申し上げます。
長期戦略の論点の中には、合計特殊出生率二・〇七、待機児童が死語、政治家や企業トップの半数が女性、長寿が世界共通語、世界の見本となる東京モデルの発信など、意欲的な目指す東京のイメージ例が掲げられています。今後さらに議論を深化していく必要がありますが、全国との共存共栄を一層進めるためには、他の地域との対話が必要です。
さらに、論点で示された東京の未来像を実現するためには、法改正、規制緩和、自主財源の拡大など、国レベルでの取り組みも必要不可欠であり、東京の理想の未来像を実現するため、他の道府県や国とも議論を進める必要があります。
今後は、この論点整理をもとに、大局的な観点に立って、東京、そして日本全体の改革につながる長期戦略の策定を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
現在、本年末の策定に向けて、東京ベイエリアビジョンの検討が進められています。この東京ベイエリアビジョンについては、二〇四〇年代を見据えた新たな将来像や、その実現に向けた目標等を明らかにする長期戦略と連動していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
東京デジタルトランスフォーメーションについて伺います。
国が百億円を超える費用をかけて整備した、マイナンバーに関するマイナポータルのサーバーの利用率が想定件数の〇・〇二%にとどまっているなど、日本では行政のデジタル化が十分ではありません。
都は、国に先駆け、ICTの浸透により、人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させるデジタルトランスフォーメーションを強力に推し進めなければなりません。
先日、小池知事から、TOKYO Data Highway基本戦略として、二十一世紀の基幹インフラは電波の道であり、東京二〇二〇大会のレガシーとして、5Gなどの整備を強力に推進する方針が示されました。5Gの社会実装により、自動運転、ICT教育、遠隔医療など、多くの分野で都民生活の向上が期待されます。この基本戦略は私たちの主張も多く盛り込まれた大変意欲的な内容であり、高く評価します。
5G活用による経済波及効果は全国で約四十七兆円と見込まれていますが、これは東京二〇二〇大会の約三十二兆円を上回るものです。データの安全性確保や、都内中小企業の成長につなげる取り組み等にも配慮しながら、東京のデジタル化を積極的に推進し、一人一人の都民生活の向上につなげていかなければなりません。
こうした中、現在、東京都参与として活躍され、この基本戦略の策定を主導された宮坂参与が、都政の情報通信分野を専管する副知事に新たに就任するという提案が本定例会になされています。
ソサエティー五・〇の実現、そして5Gの社会実装を見据える中で、東京都として、情報通信分野を専管する副知事を今回新たに設ける意義、そして元ヤフー株式会社の社長であり、現在東京都参与を務める宮坂学氏が副知事に就任する狙いについて知事の見解を伺います。
また、先日の基本戦略を起点として、今後、都がソサエティー五・〇の実現、5Gの社会実装に向けた取り組みを推進していくためには、都として、データの戦略的活用やセキュリティー確保に責任を持つ最高データ責任者を置くなど、全庁的な統制のもと、データの活用や管理ができる体制を実現すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
さらに、現在の都の採用職種には、技術職として土木、建築、機械、電気がありますが、新たに通信、テクノロジーといった職種を設けるなど、東京のデジタルトランスフォーメーションに資する人材の登用を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
東京の都市間競争に勝ち抜くためには、5Gネットワークを構築して、東京に世界最速のモバイルネットワーク網を整備することが必須であり、そのためには民間の通信事業者との間で、スピード感を持った連携関係の構築が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
デジタル通貨について伺います。
知事は所信表明において、都独自のデジタル通貨の発行について言及されました。本事業はさまざまな報道がされており、社会的な関心が非常に高い取り組みであると感じています。都民へのメッセージとして、本事業の内容と知事の思いを伺います。
デジタルディバイド対応について伺います。
都市のデジタル化を進める上で、テクノロジーを利活用できる都民とそうでない都民との間に格差、いわゆるデジタルディバイドが生じるようなことがあってはなりません。
例えば、官民連携により、テクノロジーの利活用に関し、都民の理解を促進する取り組みを実施するなど、デジタルディバイドへの対応を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
ICT教育について伺います。
本年八月に実施された総合教育会議では、ICTを活用した学習について積極的な効果が報告されており、世界と比較しておくれが指摘されているICT教育環境の整備を進めなければなりません。
九七%という都立高校生のスマートフォンの高い利用率を踏まえると、まずはスマートフォンを念頭に、BYOD、つまり個人所有の機器の持ち込みによるスマートスクール構想を進めることも合理的といえます。
今後は、主体的、創造的な学びを深めるために、キーボードの有無や画面の大きさなど、最適なICT機器のあり方を含め、ICTを活用した教育環境の整備を推進すべきです。
総合教育会議の議論を踏まえながら、都立学校におけるICTを活用した教育を推進すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
税務行政のデジタル化について伺います。
水道料金、下水道料金の決済に関しては、私たちの要望を踏まえ、スマートフォン決済が開始されています。税務に関しても、東京都は昨年度、税務相談に関するAIチャットボットを試行し、三カ月で約一万八千件の利用実績があるなど、意欲的な取り組みを開始していますが、全てのプロセスがオンライン化されている例も見られる世界の潮流に乗りおくれることなく、税務行政のデジタル化を進めていかなければなりません。
少子高齢化による人手不足が顕在化する中、納税環境の利便性を向上させ、業務の簡素化、重点化を図るためにも、税務行政のデジタル化を強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
出産、子育て支援について伺います。
子供を安心して産み育てられる子育て環境の整備に当たっては、出産、子育てに関する不安を軽減し、各家庭のニーズに応じ、妊娠期から子育て期にわたって切れ目ない支援を行うことが重要です。
都がこれまで実施してきたゆりかご・とうきょう事業は、都独自支援として、専門職による全員面接を行い、子育て用品等の育児パッケージを配布するなど、私たちのもとにも利用者の方から高い評価の声をいただいており、平成三十年度で四十三の区市町村が実施しています。
今後、産前に加えて産後ケアの側面にも一層力を入れ、ゆりかご・とうきょう事業を継続し、区市町村の取り組みを手厚く支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
また、事業の継続、拡充に当たっては、現在実施している四十三区市町村だけではなく、他の自治体も実施しやすい制度的な工夫を行うことをあわせて求めます。
待機児童対策について伺います。
本年四月一日現在の都内の待機児童数の確定値が先日、三千六百九十人と公表されました。これは、小池知事就任直後の二〇一七年四月の八千五百八十六人と比較すると約五七%の減少であり、小池都政の非常に大きな成果です。今後も、待機児童という言葉が死語になるよう、施策をさらに加速していくことが必要です。
多様な子育てニーズに対応するためには、認証保育所等の認可外保育サービスが重要ですが、例えば認証保育所においては、保育士の配置が定員見合いで求められているため、実際に入所した児童数が定員を下回った場合、過剰な人件費財源を確保しなければならないことが経営の阻害要因とされており、実態に即した対応の検討も必要です。
待機児童解消に向けた取り組みを、引き続き量と質の両面から加速させていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
子育て応援スペースについて伺います。
私たちの提案を受け、七月末から都営大江戸線の一部車両において、子育て応援スペースが試験的に設置されました。このスペースを利用した保護者の方を初めとして、私たちには多くの賛同の声が寄せられています。先日、私たちが乗車した際には、子育て応援スペースを見た子供たちは、目をきらきらと輝かせていました。
子供たちを社会全体で見守り、育てる社会の実現に向け、非常に社会的意義の大きいものであり、試行の結果を踏まえながら、他の鉄道事業者に対しても、子育て応援スペースの導入を働きかけるべきです。
都営地下鉄における子育て応援車両の取り組みを一層推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
また、電車以外の公共空間、例えばレストラン等の飲食店を含め、子供たちを社会全体で見守り、育てる社会の実現に向けた機運醸成が重要であり、今後も積極的な検討を求めておきます。
AYA世代のがんについて伺います。
がんになったAYA世代の多くは、病気の告知と治療の副作用とともに、将来の不妊のリスクについても限られた時間の中で考えなければなりません。妊孕性温存治療というがん治療をスタートする前に、精子や卵子等を採取して凍結保存し、不妊のリスクに備える治療法もありますが、全額自己負担である費用面で諦めざるを得ない方も少なくありません。
私たちは、これまで多くの場面で支援を要望しており、AYA世代のがんの患者に関する課題認識の実態調査を行い、その結果を年度内に取りまとめ、生殖機能の温存等の多様なニーズに応じた相談支援体制、環境整備などについて検討するとの答弁をいただいています。
他の自治体での支援の取り組みを調査するなど実態の把握に努め、AYA世代のがん患者が必要な治療と支援が受けられる体制の構築を図ることに加え、生殖機能温存の助成を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
児童相談所一時保護所について伺います。
本年七月に、児童相談所一時保護所において子供の人権侵害が生じているとの報道がありました。これは、児童相談所一時保護所の第三者委員の弁護士が、福祉保健局長及び一時保護所各所長に宛てた意見書について取り上げたものです。
この意見書は、都が委託した第三者委員の弁護士が、各施設の具体的な状況を詳細に報告したものであり、重く受けとめなければなりません。
この意見書の総括には、子供への十分なケアがなされず、不適切な対応がなされる現状の一番の原因として、職員の疲労感にあり、その要因として、定員超過、職員の過重労働、職員の人権感覚の意識の不足が挙げられています。傷ついて保護された子供たちが安心して生活を送れる施設へと改めていくべきです。
この意見書の内容について、福祉保健局は重く受けとめ、職員の疲労感、職員の人権意識といった諸課題に迅速な改善策を講じるべきと考えますが、都の見解を伺います。
スタディークーポンについて伺います。
小池都政では子育て予算は大幅に拡充されていますが、親の塾代負担は依然として高どまりし、塾に行ける子供と行けない子供の教育格差の深刻化が懸念されています。都の貸し付けによる塾代支援は大きな成果を上げてきましたが、塾代の貸し付けは一時的とはいえ、親が塾に先払いする負担感や、制度を必要とする子供たちへの働きかけの面で課題もあります。
さきの予算特別委員会でも触れたスタディークーポンは、対象世帯に対しクーポンを支給するものです。これは子供にアウトリーチしやすいことに加え、学習塾等がクーポンを使用した子供に対し積極的にかかわれるなどのメリットがあり、渋谷区で取り組みが行われています。
都として、こうした取り組みを検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
東京学校支援機構について伺います。
私たちは、教育現場の声を踏まえ、外部人材の活用の予算があっても、部活動指導員などの人材確保が困難であることから、人材バンクをつくるなどの工夫ができないかと要望をしてきましたが、外部人材確保の募集や登録を担うのがこのたびの新財団の役割の一つです。
学校現場の厳しい状況を踏まえ、東京学校支援機構は可能な限り速やかに人材確保の支援体制を確立すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
都内においても、在留外国人の数の増加に伴い、外国ルーツの子供たちも年々増加し、さまざまな課題が浮かび上がってきています。
本年六月に、国において日本語教育推進法が制定され、具体的施策が検討されていますが、都としても、国の動向を踏まえながら、都内の正確な実情を把握した上で、具体的な施策を展開していくことを求めます。
医療的ケア児について伺います。
人工呼吸器を使用する医療的ケア児に対し、東京都は現在、一律の保護者付き添いを求めていますが、文部科学省の有識者会議では、画一的な対応ではなく、一人一人の教育的ニーズに応じた指導の重要性が指摘されています。
私たちが視察した大阪の箕面市では、通学支援により、親の付き添いがなく通学できている子供に笑顔がふえるなど、訪問教育では得られない積極的効果について伺うことができました。
都立特別支援学校において実施する人工呼吸器のモデル事業から得られた知見に基づき、人工呼吸器を使用する児童生徒が保護者の付き添いなしに学校生活を送れるようにすべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
人生百年時代に向けた対応について伺います。
シニア予備軍向けの情報提供について伺います。
私たちは、フレイル対策の観点からも、高齢者及びその予備軍に対し、その後のライフプランをイメージできるよう、就業、社会参加、介護等に関して適切な情報提供を行うことを求めてきました。
加えて、都市のデジタル化にシニアが取り残されないためのICTスキル、保険、金融、終末期医療を含む終活など、人生百年時代に対応した学びの機会につなげていくべきです。
高齢者になる前から就労、フレイル対策など、ライフプラン全般にわたり、自身を取り巻く状況に関する情報を提供すべきと考えますが、都の見解を伺います。
受動喫煙対策について伺います。
いよいよ今月一日から受動喫煙防止条例の第二段階目の施行となり、保育所、幼稚園、学校等における敷地内全面禁煙の努力義務が上乗せされ、また、全ての飲食店において喫煙場所の有無をあらわす標識の掲示が義務化されました。
私たちの要望を受け、去る八月には、知事みずからが調布市長とともに飲食店を訪問し、駅前広場でPR活動をするという共同キャンペーンを実施されました。来年四月の条例全面施行に向けて、今後、より一層、区市町村と連携の上、共同のキャンペーンを実施していただくよう要望いたします。
私たちは継続して、都内の飲食店が八四%を占める条例対象施設への働きかけに関し、啓発員の仕組みを提言してきました。現状の区市町村に対する啓発員の導入支援に加えて、都が独自に区市町村において啓発を補うための啓発員を設けるべきです。
また、区市町村が統一感を持つ普及啓発を実施するため、例えば、都において統一的なユニホームの作成なども行うべきです。
区市町村と連携するなど、効果的な受動喫煙防止条例の普及啓発について、都の見解を伺います。
また、来年度の予算編成に当たっては、指導や罰則の適用に当たる保健所の人員体制の拡充や、その他啓発、指導助言に当たる人員体制の創設を検討するよう要望します。
防犯カメラについて伺います。
町会、自治会、商店街等の皆様のご尽力により、今や必要不可欠な公的インフラの一つになっている地域の防犯カメラですが、今般、私たちの提案を受け、これまでの設置補助費用に加えて、予算に防犯カメラの保守点検費、修繕費に対する新たな都の補助制度が盛り込まれました。
利用者である町会、自治会、商店街などの方から大変好評であり、設置等の要望が殺到していると聞き及んでいる反面、このままでは当初に設定した予算を超過するのではないかというお話も私たちの耳に届いています。
地域の防犯カメラは、今や必要不可欠な公的インフラの一つになっており、補正予算の編成を含め、迅速な対応が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
高齢ドライバー支援について伺います。
私たちは、本年四月の高齢運転者による痛ましい事故の直後、他の会派に先駆け、小池知事に対し要望を提出しました。その後、小池知事から、安全運転支援装置の取りつけ費用に対し、いわゆる九割補助を実施するとの画期的な答弁がありました。この迅速な対応について、私たちのもとに都民から大変多くの高い評価の声が届いています。
今後は、補助制度の申請状況、自動車メーカー等の関連事業者の技術動向などを考慮しながら、次年度以降の安全運転支援装置への補助の継続、拡充を検討するとともに、運転免許証の自主返納の促進など、高齢運転者の交通安全対策についてさらなる検討を求めます。
安全運転支援装置の取りつけを一層推進し、都民の安全・安心を確保するため、チラシやポスターなどさまざまな媒体により、一層の普及啓発を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
超高齢社会に対応した自転車保険について伺います。
私たちは、これまでさまざまな場面で自転車保険の加入義務化の積極的な検討を求めてきており、今般、都が義務化に向け条例改正案を提出したことを高く評価します。
自転車保険の場合、その利用者や加入義務者がどれだけ存在するのか完全に把握することが難しく、また、経済的に余力の乏しい人でも負担なく加入できる保険商品を広くそろえる必要があるなど、普及に向けてのさまざまな課題もあります。
特に、自動車免許証を返納する高齢者がふえることで、自転車に乗る高齢者がふえることもあり得ます。さらに、認知症高齢者に起因する事故により、遺族に損害賠償が求められる事案も発生しています。
高齢者の課題にも対応した自転車保険等の義務化を促進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
ダイバーシティー施策について伺います。
就労支援について伺います。
有識者会議での議論を踏まえて、就労支援に関する条例の基本的な考え方が提示されました。この中では、ソーシャルインクルージョンの考え方に基づき就労支援を行うことや、就労に困難がある方への実情に配慮した支援が盛り込まれていますが、最も重要なのは、ソーシャルファームの創設と、事業活動を認証し支援することが明示されたことであり、これはまさに私たちがこれまで求めてきたものです。
知事の所信表明で、第四回定例会への新条例の提案を目指していく旨が示されましたが、成立すれば全国の自治体として初めての取り組みとなり、高く評価いたします。ぜひとも早期に実効性と具体性のある運用につなげていきたいと考えます。
そこで、知事に、基本的な考え方にソーシャルファームを盛り込んだことの狙いや条例制定に向けた決意を伺います。
なお、今回、認証基準や支援策を盛り込む指針が策定されることが示されて記されていますが、新しい概念であるソーシャルファームを育てていくためには、条例化に当たっては、財政的な支援に加えて、公共調達における優先発注等の行政的支援、あるいは税務的支援についても段階的に実施できるよう検討することを求めておきます。
障害、子育て、シニア、ひきこもり、シングルマザー、病気など、仕事以外の何かを抱えている方々がその人らしく働くことを可能にする就労支援の実現のためには、都内企業がこれまでの仕事の形を変えていくことが重要です。
障害者雇用促進法の雇用率算定では、週に二十時間未満しか働くことができない人は算定の対象外です。この状況に対し、民間企業や一部行政では、二十時間未満の超短時間労働の取り組みを進めています。
これは障害者雇用を念頭に置いた取り組みですが、シニアやシングルマザーなど、長時間労働が困難な他の働き手にも共通する課題です。
超短時間労働の考え方を参考に、例えば、これまで一人が担ってきた仕事を複数人でシェアする、短時間でできる仕事の切り出しをするなど、時間的な制約を抱える方が就労できるよう、都内企業の取り組みを後押しすることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
人権施策について伺います。
昨年制定された人権尊重条例に基づき、先般、都から、性自認、性的指向の具体的施策に関する基本計画の素案が示されました。そこでは、課題認識として、当事者の多くが家族を含め誰にも相談できず、一人で悩みを抱え、孤立しがちである点が指摘されており、特にこれまでの電話相談では若年層からの相談件数が少ないとされています。
今回の素案の中で、私たちが求めてきたとおり、性自認、性的指向に関するSNSを活用した専門相談の実施の検討方針が示されたことを高く評価します。
SNS相談の活用を通じ、一人で悩む当事者の声なき声へ積極的にアプローチすることで、そこから先の社会資源に結びつけていくことが可能となります。同じ悩みを抱える仲間がいることを知ることも、みずからの承認につながっていきます。
そこで、相談の先を見据え、同じ悩みを持つ当事者と出会い、ロールモデルを見つけることができる仕組みづくりを強力に推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
この基本計画は、東京二〇二〇大会の開催等による都民の認識、社会情勢の変化に伴い、都庁内外の取り組みを積極的に見直し、強化していくべきことを求めます。
ひきこもり支援について伺います。
私たちの要望から、今年度より、ひきこもり支援が福祉保健局の所管に移りました。今年度、ひきこもりサポートネットにおいて、相談体制の充実と、三十五歳以上の方への訪問事業が開始され、大いに期待されます。また、私たちからも要望してきました支援協議会が設置されます。
介護支援を行う事業者が家庭内にひきこもりの家族がいる実態に直面することも多く、福祉保健局の持っている資源を横断的に活用しながら支援につなげていくことが求められます。
今後の東京都ひきこもりに係る支援協議会において、当事者の声がしっかりと反映された、家族会と当事者を含んだネットワーク体制の構築について重点的に議論されるべきと考えますが、都の見解を伺います。
犯罪被害者等支援について伺います。
都は先月、犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方を公表しましたが、都が着実に検討を進めている点を評価しますが、被害者の方々からは、条例の名称を支援ではなく基本的権利性を強調したものにすべきとの声も伺っています。
必要な支援を適切に提供していくためには、警視庁、区市町村、民間支援団体、医療機関等の関係機関のさらなる連携強化が不可欠です。次期計画を待つことなく、速やかに支援の充実を図るよう求めます。
昨今、川崎市で小学生等の殺傷事件が、また、京都でアニメーションスタジオへの放火殺人事件が発生し、多くの方が犠牲となりました。改めて、お亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、被害者の方の一日も早い回復を願ってやみません。
このような大規模な事件では、ケアを求める被害者の方々は多数に上り、また、精神的ショックも大きく、苦しみも長く続くことは想像にかたくありません。
行政による被害者支援もこうした状況を踏まえた体制の構築が不可欠であり、条例にも明記すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
本年七月、東京都は再犯防止推進計画を策定しました。今後は、計画の実効性を確保するための取り組みが極めて重要です。
犯罪の中でも、薬物事犯、万引きなどの窃盗犯、性犯罪、特に小児性犯罪などは常習性、依存性によって繰り返し同種の再犯に及ぶ事例が多く見られる犯罪類型といえます。
特に、このような常習性、依存性のある犯罪の再犯防止を重視しながら、再犯防止計画の実効性を確保するための取り組みが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
都市力の強化について伺います。
防災対策について伺います。
小池都政のもと、女性の視点による防災対策の推進、区市町村庁舎における非常用電源確保、無電柱化の推進、要配慮者対応、豪雨対策、防災アプリの活用など、さまざまな取り組みが着実に進展しています。
五年ぶりに都の震災対策の根幹となる地域防災計画震災編が修正されるなど、私たちがこれまで求めてきたさまざまな防災施策が都の計画に迅速に反映されていることを高く評価します。
先日、イギリスの経済誌エコノミストの都市安全性指数二〇一九において、東京が三回連続で世界一に選ばれています。
一方、いつ発生してもおかしくない自然災害に対して、都民一人一人の防災意識の向上、とりわけ幼い子供等を持つ親世代の防災意識を高めていくことが大きな課題です。
これまでの防災ブックや防災アプリの作成に加え、より一層、こうした世代への防災意識の向上に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
ことしに入ってからも、震度六弱以上の地震だけで複数回発生しています。東京においては首都直下地震の発生が懸念されており、セーフシティーの実現のためには、震災時に応急活動の拠点や避難所などになる公共建築物全てについて着実な耐震化が不可欠です。
都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震化を一層進める必要がありますが、都の見解を伺います。
昨年七月に西日本を中心に大きな被害をもたらした豪雨は、東京でもいつ発生してもおかしくない状況であり、さらに、ことしも九州北部を中心に記録的な大雨が発生しています。こうした豪雨から首都東京を守るためには、水害に対する都市としての強靱化を進めていくべきと考えます。
昨年の防災事業の緊急総点検で示された浸水被害の防止に大きな効果を発揮する調節池の整備を加速的に進めるべきと考えますが、都の今後の取り組みについて伺います。
バリアフリー化について伺います。
バリアフリーの推進は、東京二〇二〇大会の一つのレガシーとされなければなりませんが、都内にはまだ多くのホームドア未整備の駅が存在し、転落事故も発生しています。また、バリアフリールートが遠回りを余儀なくされる不便なものであるなど、さらなるバリアフリー化の取り組みが求められています。
特に、ホームドアの整備に関し、私たちは、都の補助の対象外である利用者十万人未満の駅に対しても補助を拡大するよう繰り返し強く求めてきました。
こうした中、本年七月、都は、整備のさらなる加速に向けて、利用者十万人未満の駅に関し、優先して整備すべき駅の考え方を検討、公表したことを高く評価します。
今後、優先整備の考え方に基づき、利用者十万人未満の駅に対するホームドア設置、利便性の高いバリアフリールートの実現に向け、都の支援を拡大すべきと考えますが、都の見解を伺います。
新客船ターミナルについて伺います。
東京国際クルーズターミナルの開業後は、多くの客船が利用する予定と聞いています。私たちは、これまでも積極的な客船誘致を行うよう求めてきましたが、その取り組みが結実しつつあるものであり、評価します。
開業時の勢いを持続させ、東京国際クルーズターミナルのさらなる利用促進を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
また、大会期間中に多くの客船が入港し、青海地区に多数の人々が訪れますが、この機会を捉えて、この新客船ターミナル近くの船着き場を活用した舟運活性化についても検討すべきことをあわせて要望します。
空き家対策について伺います。
平成三十年の調査では、都内の空き家数、空き家率ともに、前回調査と比べていずれも微減でしたが、依然として都内の空き家数は八十万戸を超えています。
都はこれまで、財政や人材面で厳しい区市町村に対する支援を主に行ってきましたが、より主体的な取り組みも必要です。
今後は、これまでの区市町村支援の取り組みに加え、都が空き家対策をより積極的に展開していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
旧こどもの城について伺います。
本年六月、旧こどもの城の土地建物を東京都に対し売り払うことについて適当と認める答申が示されました。かつてのこどもの城が果たしてきた役割を踏まえつつ、ダイバーシティーの実現に向けた複合施設を創出するという構想を実現するための重要な第一歩です。
現在、各分野での詳細検討を進めていると伺っていますが、こうした分野横断的な各施設が一体感を持ち、有機的に連携していくものとすることが非常に重要です。
現在進めている庁内検討をより具体化し、横串を通して運営に当たっていくためには、かつてのこどもの城が果たしてきた、子供たちにさまざまな経験を提供することで健やかな成長を促すという役割を踏まえ、利用者目線に立った現場重視の姿勢から、さまざまな方の意見に耳を傾けながら検討を進める必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
行財政改革について伺います。
二〇二〇改革について伺います。
先日発表された長期戦略の論点において、定型業務の大半をAIが担い、職員は政策のイノベーションに注力することや、世界レベルの課題解決の先頭に立つなど、二〇四〇年代に目指すべき都庁のイメージと、その実現に向けた二〇三〇年までの課題も掲げられています。
都政改革のこれまでの成果をエビデンスベースで総括し、改革を進化させていくとともに、今後は仕事の仕方を変え、それに伴う制度を抜本的に見直すなど、新たな視点での改革が必要です。
新たな視点での改革を行い、都民がその効果をより実感できるものとしなければなりませんが、新たな都政改革の推進に向けた知事の見解を伺います。
都立病院改革について伺います。
今回の都の長期戦略の論点では、東京の医療課題とその対応に向けて、都立病院の改革を推進することが示されました。
災害時の医療や採算性の観点から、民間医療機関だけでは十分な医療が提供されない周産期医療や救急医療といった行政的医療等について、都立病院に課せられる役割は極めて重要です。
一方で、現在の経営形態の状況では、患者のニーズに応じた柔軟な人員配置に時間を要する、医師の兼業が原則禁止されており、都立病院の医師が民間病院からの技術支援要請に応えられない、予算の単年度主義の縛りにより経済合理性を十分に発揮できないなどのさまざまな課題が存在しています。
現状約四百億円という一般会計から病院会計への繰入金が高齢化の進展とともに増加することが想定され、都立病院の経営の抜本的な改革が必要不可欠です。
このような状況の中、都立病院経営委員会からは、経営形態の変更を検討すべきと提言が出されています。都政改革本部においても、経営形態のあり方の検討を進めていくとされていました。
都立病院には、将来にわたり行政的医療に率先的に取り組むことが求められ、経営形態のあり方の検討に当たっては、医師や看護師などの医療現場で働く職員の理解を得ながら、行政的医療を安定的に提供し続けることを前提として検討を進めることが重要です。
このような視点を踏まえ、東京大改革を進める観点から、都立病院改革を一層進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
市場の経営計画について伺います。
食品流通や企業経営、財務、会計の専門家の方々から構成される市場の活性化を考える会が立ち上げられ、中央卸売市場の経営計画の策定に向けた動きが開始しました。各市場の特徴等に応じた市場活性化の取り組みや市場会計の持続可能性の確保に向けた取り組みなどに関する、これまでの延長線上ではない、専門家による広範かつ具体的な議論を期待いたします。
市場の基本的機能を維持充実させていくことに加え、市場会計を持続可能なものとしていくためには、民間的経営手法や外部監査の導入のほか、他の自治体の例にも見られるように、施設の有効活用の視点も極めて重要です。
東京都の中央卸売市場の経営計画の策定に当たっても、施設を有効活用し、中央卸売市場会計の財政基盤の強化を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
水道事業の運営体制について伺います。
東京都発注の浄水場排水処理委託に関して、東京都水道局は昨年十月に、公正取引委員会による立入検査を受けた件について、本年七月、公正取引委員会から改善措置要求を受けました。
そこでは、複数の職員による事業者への情報の漏えいの事実が指摘されています。事業者への情報漏えいなどの不正行為は決して許されるものではありません。
失われた信頼を回復させるため、改善措置要求を受けて、早急な対応とともに抜本的な運営体制の改革を進めるべきですが、都の見解を伺います。
ラグビーワールドカップ、東京二〇二〇大会について伺います。
いよいよラグビーワールドカップ日本大会の開幕が目前に迫ってきました。大会に向けた準備の総仕上げを行い、ワールドカップを成功におさめるとともに、それを、東京二〇二〇大会の成功とその後の東京の発展につなげるための取り組みが必要です。
ラグビーワールドカップの観客は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアが中心となる見込みであり、その市場をターゲットとした観光プロモーションが特に重要です。
また、ラグビーワールドカップは、日本全体で開催されるものであり、共存共栄の一環としての日本各地と連携したPRも重要な取り組みです。
ロンドン大会の成功事例も参考にしながら、ラグビーワールドカップの流れを東京二〇二〇大会につなげて、戦略的に観光プロモーションを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
暑さ対策について伺います。
東京二〇二〇大会まで一年を切り、多くのテストイベントが実施されていますが、最大の課題の一つが暑さ対策です。テストイベントでは、さまざまな暑さ対策が試行されましたが、本番ではその結果も踏まえ、最も費用対効果の高い暑さ対策を実施する必要があります。
参加した医師からは、熱中症対策における日陰の重要性が指摘され、私たち自身も現場で日陰の重要性を改めて実感しました。環境省のガイドラインでは、ひなたと比較した場合、体感温度は木陰の方が七度程度低いとされ、日陰の重要性が指摘されています。
テント、人工日よけや日陰の整備など、競技会場周辺において日陰をつくり出すための取り組みを強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
なお、都が責任を持つ競技会場周辺のみならず、組織委員会が責任を持つ競技会場内においても日陰をつくり出す取り組みは極めて重要です。都から組織委員会に対し、競技会場内についても合理的な対応を行うよう、強く要請することを求めます。
暑さは東京二〇二〇大会のときだけ問題になるのではありません。世界的に気候変動による影響が問題視される中、都民の快適な生活を維持するための暑さ対策を都市の競争力の重要な要素の一つと位置づけ、対策を進めるべきです。
さらに、大会で活用したテントや人工日よけなどについて、地域や学校などさまざまな現場で利用できるよう、ノウハウを提供していくことも重要です。
暑さ対策を東京二〇二〇大会のレガシーの一つと位置づけ、局横断的な取り組みを可能にする体制を整備するなど、大会後を見据えた長期的な暑さ対策につなげるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
交通混雑緩和策について伺います。
七月下旬に、東京二〇二〇大会時の交通混雑緩和に向けた取り組みが試行されました。
その結果、一定の交通量の低下は見られたものの、さらなる取り組みが必要であるとして、国、組織委員会、そして、都において、首都高のロードプライシングを実施する方針が合意されました。
これまで私たちは、ロードプライシングを実施する場合には、都としても、大会の成功に向け、都民生活、企業活動への影響を必要最小限に抑えながら、実施への理解と協力を得ることを要望してきましたが、今般、物流関係や福祉関係の車両が対象外とされたことは、私たちの求めに合致するものであり、評価します。
今回のロードプライシングの取り組みは都民生活に大きな影響を与えるものですが、東京二〇二〇大会を機に交通需要マネジメントが定着すれば、慢性的な都心の混雑を緩和するレガシーにもなり得る積極的な意義もあります。
今後は、ロードプライシングの実施への理解と協力を得るため、都民、事業者に対して積極的な情報提供と丁寧な説明を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
首都高のロードプライシング以外にも、会場周辺の交通規制に関して、早目の情報提供を行うことが関係者への影響を必要最小限に抑えることにつながります。
都は、会場周辺の交通対策素案を六月に公表し、基礎自治体や物流事業者などに説明を行っていますが、十月下旬ごろを目途に最終案をまとめ、年内に策定予定の輸送運営計画V2に盛り込む予定と承知しています。
引き続き、基礎自治体、市場関係者を含む物流事業者等に対して丁寧に説明し、ホームページの機能向上やメールの活用など、早期かつわかりやすい情報提供に努めることを求めます。
さらに、仮に東京都の発注工事において、東京二〇二〇大会開催中の交通対策によって工事の一時中止等を余儀なくされる場合には、事前にしっかりと広報、周知活動を行うとともに、費用負担を含む対応が必要と考えますが、都の見解を伺います。
聖火リレーについて伺います。
これまで私たちは、都内全区市町村で聖火リレーを実施するとともに、一人でも多くの都民が聖火リレーにかかわることができる措置を求めてきました。今般、オリンピックの聖火リレーに関し、グループランナーやサポートランナーの実施が決定されたことは、私たちの要望が実現したものであり、高く評価します。
本年第二回定例会において小池知事から、オリンピック・パラリンピックの聖火リレーに関して、都内区市町村が独自に行う大会の盛り上げの取り組みなどに対し、都が財政支援を行うことが示されました。
今後は、都内区市町村の大会の盛り上げの取り組みなどの機会も活用しながら、一人でも多くの方が聖火リレーにかかわることができる取り組みを一層進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
子供の東京二〇二〇大会の観戦機会について伺います。
都内の子供たちに大会の観戦機会を確保することは、オリンピック・パラリンピック教育の総仕上げとして重要です。その一環として、あらかじめ、学校の授業等で観戦に行く競技の詳細について、児童生徒に教えていくことが有意義です。
観戦チケットの手配のみならず、子供の年齢への配慮、車椅子対応、暑さ対策など、子供たちの個別の事情に十分に配慮しながら、観戦の機会が子供たちにとってすばらしい記憶として残るよう、さまざまな対応を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
また、私たちのもとには、現状では、幼稚園に通う子供たちは観戦機会が得られる一方、保育園に通う子供たちは観戦機会が得られない点について、公平性を保つべきとの声が届いています。
公平性を保つ観点から、幼稚園に通う子供たちに加え、保育園児などの未就学児にも観戦機会を確保すべきと考えますが、都の見解を伺います。
障害者への情報保障について伺います。
オリンピックのチケットの購入方法について、説明をする点字資料がないという報道がありました。競技会場や会場までのアクセスをバリアフリーにするだけでなく、大会が始まる前から、障害のある方への情報保障の環境を整えなければなりません。
東京二〇二〇大会における視覚障害者への情報提供についてどのような対応がなされているのか、都の見解を伺います。
GAP認証について伺います。
東京都は、農業者によるGAP認証取得を支援するなどして、東京二〇二〇大会における都内産農産物の提供に向けた取り組みを進めています。大都市東京において継続的に都市農業を推進する上では、東京二〇二〇大会後も、GAP認証取得が農業者にとって重要な位置づけにあることが認識されなければ、一過性の施策に終わってしまう可能性があります。
東京二〇二〇大会後も、GAP認証の取得が農業者にとってインセンティブとなるような取り組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。
また、東京二〇二〇大会で東京を訪れる海外の選手や大会関係者に対し、東京の伝統文化の魅力を伝えることは、大会後も継続的に東京、日本への観光を増加させることにつながります。
大会期間中、外国人に高い人気を誇る相撲文化を紹介する展示が江戸東京博物館で予定されていますが、それも含め、選手や大会関係者に対し、都立文化施設へ足を運んでもらうための取り組みの充実を求めます。
パラリンピックの機運醸成について伺います。
先日、パラリンピックの一年前セレモニーが実施されました。小池知事も常々おっしゃっているように、パラリンピックの成功こそが東京二〇二〇大会の成功と捉えて準備を進めていかなければなりません。
そのためには、時にオリンピアン以上で超人的とされるパラリンピアンの魅力とともに、パラリンピアンのスポーツ以外の場面にも光を当てるなど、パラリンピックと障害者との間を積極的につなぎ、共生社会の実現を目指すことが重要です。
谷垣禎一氏が名誉顧問を務める東京二〇二〇パラリンピックとバリアフリー推進に向けた懇談会と連携するなど、さまざまな機運醸成に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
障害者スポーツの国際大会について伺います。
私たちはかねてより、東京二〇二〇大会を契機に、パラリンピック種目のみならず、聴覚障害者や知的障害者の方が対象となるデフリンピックやスペシャルオリンピックスについても光を当てる必要があると訴えてきました。
東京二〇二〇大会後に、そうしたトップアスリートが集う障害者スポーツの国際大会を東京で開催することは、障害者スポーツ振興のために重要と考えますが、都の見解を伺います。
東京二〇二〇大会の警戒体制について伺います。
大会には、全世界から多くの要人が東京を訪れることが見込まれています。大規模災害への備えなどについて、ことしのテストイベントの結果を踏まえ、本番に向けた万全の警戒体制の整備が必要です。
東京二〇二〇大会に向けた東京消防庁の警戒体制について伺います。
東京湾の水質改善について伺います。
本年八月に開催されたテストイベントであるパラトライアスロンのワールドカップでは、競技会場のお台場海浜公園のスイムコースの水質が悪化したとしてスイムが中止されました。来年の本番に向けて、東京湾の水質に多くの関心が集まっています。
円滑な競技運営に責任を有するのは組織委員会ですが、大会の競技環境を整えるという点において、ホストシティーである都は、組織委員会と緊密に連携することが必要です。
私たちの島しょ政策研究会では、地元から神津島村の砂を有効活用すべきとのご要望もいただいています。また、水質の改善には活性炭などの吸着剤も効果が期待されます。
来年の大会期間中は、水中スクリーンを三重にして強化した水質改善対策を行うと伺っていますが、開催都市として良好な水質を提供することは非常に重要であり、大会の成功に向けて、組織委員会との連携強化を行いながら、都としてさらなる対策を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
組織委員会との連携について伺います。
大会経費については、これまでもその膨張傾向の妥当性や情報公開の質が問われてきました。小池知事が都立三施設の見直しにより約四百億円の削減を行ったことは、単にその金額の削減にとどまらず、その他の場面においても不合理な経費の膨張を許さない姿勢を強く示したものと評価できます。
現在、大会経費の分担試算は、組織委員会が六千億円、東京都が六千億円、国が一千五百億円ですが、組織委員会が負担し切れない分の財政責任は、最終的には東京都が負わなければなりません。私たちが第一回定例会で指摘したとおり、開催が近づくにつれ、不合理な経費の膨張が生じないよう、組織委員会に対して、引き続きしっかりと働きかけを行っていくべきです。
一方で、大会後に黒字が発生した場合には、開催都市として東京のレガシーにつなげていくことも必要です。
また、現在、暑さ対策が最大の課題となっていますが、開催時期に関しては、IOCが大会招致の立候補受け付け手順書の中で、オリンピック大会を開催すべき期間として七月から八月までの期間を示し、その期間内で開催時期を選ぶように定めていました。この点に関し、東京の夏をアスリートにとって理想的な気候であると明記した立候補ファイルの中身の妥当性には疑問が残ります。
さらに、都の新規恒久施設の建設費について、立候補時の見積もりから大幅に増加しています。
これらのことを踏まえると、招致委員会や招致活動に対する都の関与のあり方を改めて検証しながら、組織委員会と向き合っていかなければなりません。
大会の開催まで残り一年を切り、東京都は、大会の準備と運営の主体である組織委員会とともに、大会の成功に向けて全力で取り組まなければなりません。
しかし、大会には都民の多額の税金が投入されている以上、組織委員会が責任を有する大会の準備と運営に対して、都民の利益に基づく民主的コントロールを強化する必要があります。
改めていうまでもなく、組織委員会は、東京都の出資等比率は五〇・〇%、常勤職員の三分の一以上が都派遣職員であり、都の事業協力団体と位置づけられています。都は、事業協力団体に対しては、法令等による適切な関与や、当該団体との協力強化に向け、必要な関与を行うこととされています。
都は、事業協力団体である組織委員会に対する適切、必要な関与として、組織委員会が責任を有する大会の準備と運営に対しても、連携体制を一層強化し、ホストシティーとして関与を強めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
以上で私の代表質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えをいたします。
まず、台風に関する都の対応、そして、私の受けとめについてのご質問がございました。
都におきましては、このたびの台風十五号に備えまして、七日には気象庁と連携し、庁内各局、そして区市町村に対します気象予報や警戒情報の共有などを図る体制をとり、また、職員に対しましては、職員の安全確保などに対する注意の喚起、そして公共交通機関の乱れにより都民サービスに大きな影響が出ないよう、都としての体制を確保するように指示をいたしました。
都内での被害も報告を受けております。被害に遭われた皆様方には心からのお見舞いを申し上げます。
また、ご指摘のございました大島や新島などの島しょで、倒木などによる断線、停電が発生したという点でございますが、改めまして、島しょを含め、無電柱化の取り組みを加速していくことは重要だと、このような認識をしたところでございます。
また、都といたしまして、防災に係る情報提供の強化は重要でございます。改めまして、関係局に対応を指示いたしました。
今後もしっかりと災害対策に取り組んでまいります。
長期戦略についてのご質問がございました。
私たちは今、経済、テクノロジー、気候変動、人口構造という四つの歴史的な転換点を迎えております。これらは、いずれも東京の持続可能性に大きな影響を与えるものであり、強い危機感を持って対処していく必要がございます。
大きな変革の時代におきまして、これまでの延長線上の発想では、東京と日本の明るい未来は到底望めるものではありません。時代の変化を先読みし、また東京が先頭に立って、とるべき戦略を主体的に構築する、未来への投資を果敢に推し進めていかなければならない。
今回公表いたしました未来の東京への論点におきましては、いわゆるバックキャストの視点を用いまして、我々が目指します将来の東京のイメージを示すとともに、その実現に向けまして、十年後の二〇三〇年に向けた課題を整理しております。
ソサエティー五・〇を実現し、国際的な都市間競争を勝ち抜くという視点から、関係法令の抜本的な改正や規制緩和に加えまして、他の地域との連携などにも積極的に取り組んでまいります。
時代の大きな変化に対しまして、大局的な視点に立って、今回の論点整理をもとに、今後、幅広い方からご意見を伺い、年末を目途として長期戦略ビジョンを策定してまいります。
都庁内外の知恵を結集しまして骨太な政策を打ち出す、そのことで、成長と成熟が両立する東京の明るい未来の姿を都民の皆様にお示ししてまいります。
長期戦略と東京ベイエリアビジョンについてでございます。
ベイエリアは、羽田空港や東京港などの国内外の玄関口を有しますポテンシャルの高いエリアでありますことから、今後の東京の新たな都市像を具現化して、先進的な取り組みを展開すべき重要なエリアでございます。
また、東京二〇二〇大会の主要舞台でもありますベイエリアは、大会を通じて生み出されるハード、ソフト両面のレガシーを最も色濃く未来へ継承していくエリアでもございます。
こうしたことから、長期戦略の策定に向けて公表した未来の東京への論点におきましても、ベイエリアは、新たな価値を生み出し、未来を創造する重要なエリアの一つとして位置づけております。
今後、東京の成長を牽引していくベイエリアの将来像を描くに当たりましては、ベイエリアの強みを生かして世界から人や投資を呼び込むため、大局的な視点に立ちました長期戦略と十分に連携を図ってまいります。
副知事の選任についてのご質問がございました。
現在、AI、ビッグデータなどに代表されるデジタル技術でございますが、急速に進展をしております。産業構造やビジネスモデルが大きく変革する時代を迎えております。
例えば5Gネットワークは、新たな価値を生み出すソサエティー五・〇を実現する上で必要不可欠な基盤インフラであり、その構築に向けましては、世界中で既に激しい競争が行われているところであります。
こうした世界的な5Gネットワーク競争を東京がリードしていくべく、積極的にICT施策を展開いたしまして、東京のさらなる成長を促していく観点から、今回、新たにICT専任の副知事として、宮坂氏を選任することといたしました。
宮坂氏は、長年インターネット業界におきまして、最先端技術の効果的な活用に尽力されてこられた人物であり、企業経営者としての実績や幅広い人的ネットワークにつきましては、誰もがお認めのところだと存じます。
宮坂氏には、これまで培ってこられた知識や経験を、都政においても遺憾なく発揮し、具体的な施策の展開につなげて、5Gネットワークの早期構築と、それを基盤としたソサエティー五・〇の実現に貢献していただけることを期待いたしております。
加えまして、他の副知事と連携しながら、東京の成長戦略や都政改革におきましても、知見を生かしていただきたいと考えております。
データの活用や管理の体制の実現についてのご質問でございます。
ソサエティー五・〇を支える基盤となりますのが5Gによるネットワークであり、その早期構築に向けて、今般、TOKYO Data Highway基本戦略を策定いたしました。
この基本戦略の示す三つのアクションは、今まさに都がなすべき未来への投資であり、これを加速度的に推進するため、先日、各局に、積極的な事業の構築、予算要求への反映、現行制度の見直しに加えまして、これらを支える管理、執行体制を速やかに確保するよう指示を行いました。
宮坂参与を副知事として中核に据え、しっかりとした管理、執行体制のもと、専門人材の確保などを着実に進めることによりまして、ソサエティー五・〇の実現、5Gネットワーク整備に向けた都の取り組みを強力に推進してまいります。
ご指摘のデータ管理の面につきましては、都の保有するデータの質を確保した上で、適切に管理をして、それを積極的に利活用していくことは、私の目指しますオープンガバメント実現の重要なポイントでありまして、今後、責任ある体制をしっかり構築してまいりたいと存じます。
デジタルトランスフォーメーションに資する人材の登用についてのご質問でございます。
5Gなどの情報通信技術が急速に進展する中で、日本は周回おくれともいえる状況にあり、ソサエティー五・〇の実現に向けましては、多様で先進的な政策を進めていくことが都におけます喫緊の課題でございます。そのためには、AI等の先端技術を活用できるIT人材の確保が必要でございます。
都ではこれまでも、民間からの人材を管理職として登用し、AI、チャットボットによる問い合わせ対応など、最新の技術を用いた都民サービスの向上に、民間企業で培った高度な専門性を活用してまいりました。
こうした人材の登用をさらに進めるとともに、今後の職員の採用に当たりましては、IT関連の職種を新設するなど、中長期にわたって都政を担う人材にふさわしい採用方法や育成策の実現に向けまして、速やかに検討を進めてまいります。
世界的にIT関連の人材獲得競争が激しさを増す中で、東京の未来を見据えて、先端技術を活用した新たな都政改革を進めるため、有為な人材の確保に積極的に取り組んでまいります。
5Gネットワークの構築に当たりましての民間との連携についてのお尋ねでございます。
現代はまさに第四次産業革命の時代でございます。さまざまな先端技術が展開されておりまして、その基盤となるのが5Gによるモバイルインターネット網でございます。これを賢く社会に実装していく、そのことこそが、これからの都市間競争を制するといっても過言ではありません。
先日訪問いたしました中国でも、先端技術を広範に取り入れた未来都市創造の挑戦が始まっており、こうした世界の動きに乗りおくれないよう、我が国は先端技術の開発に全力を挙げまして、取り組まなければならないと認識をいたしております。
そうした危機感を背景に、今こそ東京が動かなくてはならないという信念のもと、宮坂参与の助言を受けて、TOKYO Data Highway基本戦略を発表したところでございます。
この基本戦略では、二十一世紀の基幹インフラは、電波の道、モバイルインターネット網であり、これをTOKYO Data Highwayと名づけて、まずは5Gネットワークの早期の構築に取り組んでまいります。
これによりまして、遠隔授業や遠隔診療など、都民生活を支える身近なサービスを充実させ、都民のQOL、すなわち生活の質を向上してまいります。
これらの取り組みを進めていくに当たりましては、お話のとおり、民間の方々との密接な連携が不可欠でございます。そのため、まずは通信キャリアなどの方々と東京都が具体的に意見交換ができる場をこの秋にも設置できるよう働きかけを始めてまいりたいと存じます。
TOKYO Data HighwayとそれにつながるAI、クラウドなどを世界のどの都市よりもスマートに活用して、世界最速のモバイルインターネット網を構築する。これこそが都民生活の向上、東京の稼ぐ力の強化につながります。
成熟都市東京のさらなる成長を目指し、東京、ひいては日本の明るい未来の実現に向けまして、都は果敢な挑戦を重ねてまいります。
デジタル通貨につきましては、キャッシュレス化の促進は経済発展と社会的課題の解決を両立させるソサエティー五・〇の実現に向けました重点分野でございまして、都民や外国人旅行者の利便性の向上はもとより、決済データを活用した新たなサービスの創出等につながる重要な成長戦略でございます。
また、国連が採択をしました持続可能な開発目標、いわゆるSDGsは、誰ひとり取り残さない社会の実現に向けまして、環境、社会、経済などあらゆる分野における課題解決を目指しており、これは、私が目指す、人が輝く東京の実現に向けた政策とも一致するものでございます。その推進は不可欠でございます。
こうしたことを踏まえまして、今年度より開始いたします東京発デジタル通貨のモデル事業におきましては、例えばオフピーク通勤やマイバッグ購買など、社会に貢献された都民を初めとする皆様に、民間の決済サービスで利用できる都独自のデジタル通貨を発行するということとしておりまして、現在、民間の企画提案を公募中でございます。
この事業を通じまして、キャッシュレス決済に親しんでいく機会を創出して、キャッシュレス化の促進につなげてまいります。
さらに、こうした取り組みを通じまして、民間事業者によります動きを加速、社会貢献のインフラを形成してまいります。
税務行政のデジタル化についてのご質問がございました。
日進月歩の先端技術が引き起こす変化の波は、日々の生活のあらゆる場面に急速に広がって、デジタル化の進展は、税の分野におきましてももはや世界的な潮流でございます。
都もソサエティー五・〇の実現を目指しまして、若手を中心に世界の先進都市の状況を調査するなど、デジタル化による納税者サービスの向上と税務行政の効率化、高度化に向けまして検討を開始いたしております。
今、世界はグローバル化やデジタル経済の進展のもとで、取引形態や資産所有形態の多様化など、かつてない変化に直面をいたしております。これらの状況に適切に対応して、税に対する都民の納得感を得ることは、東京がさらなる成長を遂げるためにも必要であります。
こうした変化の波を的確に捉え、ペーパーレスやキャッシュレス納税の推進など、納税環境の利便性を向上させることはもとより、業務の効率化によりまして、人材を高度で専門性の高い分野に重点配置するためにも、都として税務行政のデジタル化を積極的に推進してまいります。
次に、ゆりかご・とうきょう事業についてのお尋ねでございます。
都は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して継続した支援を行うため、保健師等の専門職による全ての妊婦との面接や、産後ケアなどを行う区市町村を、ゆりかご・とうきょう事業を通じて支援をしております。
昨年度は、四十三の区市町村が本事業に取り組んでおりまして、区市町村からはその効果について、支援の必要な妊産婦を早期に把握できる、妊娠中から関係を築くため産後の支援が行いやすいなどの声を多数いただいております。
私は、この東京を、子供を持ちたいと希望する全ての人が安心して子供を産み育てられる社会としていきたい。そのためには、地域におきまして、出産前から子供と家庭を支える体制を整備することが何よりも重要でありまして、この事業が区市町村の取り組みの一助として大きな役割を果たしていると考えております。
こうした認識のもとで、来年度を初年度とする次期東京都子供・子育て支援総合計画策定におきましては、妊娠から出産、子育て期にかけて切れ目のない支援のさらなる充実に向けてさまざまな施策を盛り込んで、それらを実行していくことによって、区市町村と連携して、子供と家庭を支える社会の実現を目指してまいります。
子育て応援スペースについてのご質問であります。
誰もが安心して子供を産み育てられる環境を整備していく取り組みの一つとして、都営地下鉄の大江戸線で子育て応援スペースを設置した車両の運行を開始いたしました。
私も実際にその車両に乗ってみましたが、車内の装飾は小さなお子さんが大変親しみやすい、それから、周囲のお客様にも一目でわかるというもので、子供連れでも気兼ねなく利用できるというメッセージが込められております。そして、保護者の皆様が安心できるものと感じたところであります。
運行開始後、お客様や都民の方々からさまざまなお声が寄せられておりまして、一部では、子供が騒ぐのではないかといった意見もございましたが、多くは、子育て世代としては本当にありがたい、子供が喜んでいるといった好意的な意見でございました。
また、運行本数の拡大と、わかりやすい運行時刻への要望も多くございまして、子育て応援スペースを設置した車両を現在の三編成から、今年度末までに七編成に拡大をいたしまして、利用の機会をふやすとともに、一部の列車を毎日同じ時刻で運行するなど、お客様の利便性を高めてまいります。
引き続き、幅広い都民の皆様のご意見を伺いながら、子育てをする方々が公共交通機関を利用しやすい環境づくりを進めてまいります。
AYA世代のがん患者の支援についてのお尋ねでございます。
思春期や若年成人のAYA世代のがん患者さんは、治療の影響による不妊等の晩期合併症への対応や、進学や就職の支援等の世代特有の多様なニーズがございます。
お話の生殖機能温存につきましては、現在さまざまな取り組みが始まっておりますが、患者、家族に知識が不足していることや、その費用が医療保険の適用外であること、そして医療機関によって方法や費用が異なるなどの課題がございます。
このため、都は昨年度、病院や患者、家族を対象にAYA世代のがん患者に関します実態調査、そして他の自治体におけます生殖機能温存のための費用助成の取り組みにつきまして調査を実施いたしました。
今後、これらの調査結果も参考にいたしまして、がん医療の専門家等から成る協議会におきまして、生殖機能温存のための費用助成も含めて、AYA世代のがん患者に対する治療や相談支援体制の充実、普及啓発の促進などについて検討してまいります。
次に、生活保護世帯の子供への学習支援についてでございます。
将来を担う子供たちが家庭の経済状況などの環境にかかわらず、自分の希望する進路を選択できますように、低所得世帯の子供への学習を支援していくことは重要であります。
都は、一定所得以下の世帯の受験生を支援するために、学習塾の費用や入学試験の受験料の無利子貸付を実施しているところであります。
また、生活保護世帯の子供を対象にしまして、学習塾の費用等の助成など、地域の実情に応じました取り組みを行う区市を支援いたしております。
お話の渋谷区の事例でございますが、生活保護世帯を対象として、学生ボランティア等を活用した家庭訪問による学習相談と地域の学習塾などを利用できるクーポン券を給付する取り組みと伺っております。こうした取り組みも地域の実情に応じました学習支援策の一つであり、今後、区市等の意見も聞きながら、支援のあり方について検討してまいります。
次に、防犯カメラの設置の促進についてのお話がございました。
先日、エコノミスト誌の世界都市安全性ランキングで東京が一位となったところでございまして、世界一安全なセーフシティーの実現に向けた取り組みが評価されたものと承知をいたしております。
その取り組みの中でも、防犯カメラは大きな役割を果たしております。東京二〇二〇大会に向けてセーフシティー東京を実現するための必要不可欠な公的インフラだと認識をいたしております。
都は、防犯カメラの設置を契機とした地域の見守り活動等の活発な展開を目指しまして、町会、自治会、商店街等に、区市町村と連携して、これまでに累計約二万台の設置を補助いたしました。そのほか、本年度からは、お話のとおり防犯カメラの継続利用に資する保守点検費、修繕費への補助を新たに実施いたしております。
本年度の補助金の交付につきましては、区市町村からの要望を丁寧にお聞きいたしまして、防犯カメラの整備が効果的に進められますように精査を進めております。
その中で、本年五月の川崎市におけます児童生徒の大量殺傷事件、七月の京都市における放火殺人事件の影響等もございまして、地域の皆様や区市町村から、より一層の対応を求める声が出ていることは承知をしております。
こうした声にしっかりと応えて、効果的な補助が行われますよう、財政上の対応を含めて適切に対応してまいりたいと存じます。
次に、超高齢社会に対応した自転車保険についてのご質問でございます。
高齢化が進んで社会で活躍する高齢者がふえ、さまざまな移動手段の一つとして自転車の利用の増加が見込まれる中で、高齢者に対します保険加入の促進は、自転車安全利用を進める上で重要な取り組みでございます。
このため、都は、条例の施行までに高齢者の加入促進につながるさまざまな方法で改正の内容を周知してまいります。
まず、高齢者ご自身が自転車損害賠償保険に入っているのか簡単に判別できるチェックシートを作成いたしまして、加入の有無をまずしっかり確認していただきます。
また昨年、都が実施をいたしております高齢者向けの自転車安全利用教室や地域の老人クラブなどを対象にして実施いたします自転車シミュレーターを活用しました講習会での講義内容でも、保険加入の重要性について触れておりますとともに、シルバー人材センターなど、高齢者が活躍される場での普及啓発も実施をしてまいります。
さらに、条例改正の趣旨や内容を周知するリーフレットを新たに作成いたしまして活用するとともに、官民の連携で保険の補償内容や保険料など、さまざまな保険情報の提供を行ってまいります。あわせまして、高齢者が加入しやすい保険商品の開発も民間に要請をしてまいります。
一方で、高齢者が自転車事故の被害に遭った場合には重症化しやすい、また死亡に至るケースというのは七十歳以上の高齢者が多いのが実態でございます。高齢者が被害者とならないように、自転車利用者全体に注意を喚起してまいります。
こうした取り組みで高齢者の総合的な自転車安全利用を推進してまいります。
次に、ソーシャルファームについてのお尋ねでございます。
海外のソーシャルファームと呼ばれる社会的企業でありますが、障害のある方など、就労に困難を抱える方を多数雇用しながら、一般企業と同じマーケットでビジネスを展開していて、その職場では困難を抱える方々が必要なサポートを受けて、他の従業員と一緒になって働いているというのがソーシャルファームでございます。
今後、ソーシャルインクルージョンの考え方に立ちまして、都が就労支援を行う上で、このソーシャルファームの活用というのは最も効果的な支援の一つであり、障害のある方、ひきこもり、ひとり親など、就労に困難を抱える方が生き生きと働ける場を生み出して、東京におけますダイバーシティーの実現に大きく貢献するものと考えております。
こうした考えから、都民の就労を応援する条例の基本的な考え方におきまして、ソーシャルファームを大きな柱として位置づけて、その創設や活動を支援するため、都が認証を行うことなどを盛り込んだところでございます。
今後、パブリックコメントなども踏まえまして、条例の制定に取り組んで、できるだけ早く東京にソーシャルファームを誕生させたいと考えております。
このため、来年度早期にソーシャルファームの認証基準とともに、創設に当たっての経営ノウハウや資金的な面からの支援策などを盛り込みました指針を策定いたします。この指針に基づいて、来年度中には最初のソーシャルファームの認証を行いたいと考えております。
こうした取り組みを着実に実施いたしまして、ソーシャルファームをこの東京に広く根づかせ、就労を希望する誰もが個性や能力に応じて自分らしく活躍できる社会を築いてまいります。
次に、大規模事件におけます被害者支援についてのご質問でございます。
京都市や川崎市で発生した事件、先ほども申し上げましたが、多くの才能あふれる若者や子供の命が奪われたところであります。ご本人やご家族の気持ちを考えると、痛恨の念にたえません。改めまして、亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、事件に巻き込まれた方々にお見舞いを申し上げます。
東京におきましても、同じような大規模事件が発生することも懸念されるところであります。不幸にして、そのような事件が起こった際には、全ての被害者や家族に対して、病院の付き添いやその後の精神的なケアなど、きめ細かな支援を速やかに実施することは重要でございます。
このため、警視庁や民間支援団体など、関係機関との連携をさらに強化するとともに、緊急時の支援体制や支援のあり方につきまして、あらかじめ検討しておいて備えておく必要がございます。
誰もが安心して暮らしていける都市東京の実現に向けまして、大規模事件への対応に関する規定を条例案へ盛り込む方向で検討してまいります。
再犯防止推進計画の実効性を確保するための取り組みについてのご質問がございました。
都は、本年七月、東京都再犯防止推進計画を策定いたしまして、犯罪を犯した者等の社会復帰に関して、国や区市町村、民間団体等と連携しまして、施策を推進していくことといたしております。
この計画を通じまして、誰もが生き生きと生活ができ、活躍できるダイバーシティー、また治安のよさや生活の安心を実感できる世界一安全なセーフシティーの実現を目指しております。
薬物事犯、万引きなどの窃盗犯、性犯罪等につきまして、その予防の取り組みとともに、これらの犯罪を繰り返さないように再犯防止推進計画の実効性を確保することは、都民の安全・安心をより強固にするため極めて重要であると認識をいたしております。
都はこれまでも、東京都若者総合相談センターや、高齢者よろず犯罪相談、薬物依存症への対応などを通じて、地域社会におけます再犯防止の取り組みを進めてまいりました。ご指摘の犯罪をした者等には、刑務所内等におきまして専門の教育プログラムなど、改善更生のための取り組みが行われております。
刑事司法手続を離れた後の地域における取り組みにつきましては、東京都における新時代の安全安心戦略検討会や再犯防止にかかわる関係者による東京都再犯防止推進計画に基づく協議会等における保護司などの民間協力者のご意見などを踏まえまして検討してまいります。
幼い子供を持つ親世代の防災意識の向上についてのご指摘がございました。
我が国では近年、大規模な災害が相次いで発生しております。こうした災害におきましては、被災した親からは、子供を連れた移動や行列に並ぶことは大変、避難所で離乳食やおむつなどが不足して困ったんだ、子供の夜泣きなどで周囲には遠慮したなどの声があったわけでございます。
小さな子供がいる家庭の日常の備えや災害時の避難行動、避難所における生活など、子育て世代の防災意識を高めていくことは重要でございます。
そこで、新たな普及啓発の取り組みといたしまして、親子で防災を学ぶための「とうきょうぼうさいえほん」を来月を目途に作成いたしまして、さまざまなイベントでの活用や、都内の保育所等への配布を行ってまいります。
また、子供と一緒に防災の知識や備えを学んでいただくために、子育て世代に少人数のグループを組んでいただいて、ふだんの活動場所に防災の専門家を派遣するパパママ東京ぼうさい出前教室を実施いたします。
さらに、今年度、区部と多摩地域におきましては、家族や地域を守るをテーマにいたしまして、防災の重要性を都民と一緒に考えていくシンポジウムを実施いたしまして、私もその場で直接訴えてまいりたいと考えております。
こうした取り組みを展開することによって、幼い子供さんを持つ親世代の防災意識の向上を図って、防災への備えを万全なものとしてまいりたいと考えております。
旧こどもの城についてのご質問でございます。
私は、この施設を最大限に生かして、ダイバーシティーの実現に向けた都民の城として、子供を初めとしたあらゆる都民が集い、交流し、そして成長することのできるような場所にしたいとの思いで庁内での検討を進めるとともに、国との協議を行ってまいりました。
今般、それが実を結びまして、近々、国から旧こどもの城を取得できる見通しとなり、いよいよ都として活用していく段階となりました。
施設の活用に向けましては、全庁横断的な検討組織におきまして、関係各局が連携して実務的な検討を進めておりまして、今後、パブリックコメントを行うなど、広く都民の方のご意見を伺いたいと考えております。
実際の運営に当たりましては、かつて、こどもの城であったという歴史や、この施設に対する都民のさまざまな声を捉えつつ、複合拠点としての連携効果を最大限に発揮し、東京の大きな活力を生み出す場へとしていかなくてはなりません。
こうした観点から、新たに創出される複合拠点の具体的な運営体制につきましては、速やかに検討してまいります。
新たな都政改革の推進についてのご質問がございました。
世界を見渡せば、急速な技術革新に合わせまして、AIや5Gなどの社会実装化が想像を超えるスピードで進んでおります。変化の激しい時代を常に先取りしていかなければ東京の、また都庁の明るい未来の実現は望めません。
私は就任以来、東京大改革を進めるため、都民ファースト、情報公開、ワイズスペンディングの三原則のもと、仕事改革、見える化改革、仕組み改革を推進いたしまして、職員による自律的な改革を進めて、都庁の生産性の向上や組織の機能強化を図ってまいりました。
先月発表いたしました未来の東京への論点におきましては、目指す都庁のイメージといたしまして、民間企業と協働するスタイルが定着している、定型業務の大半をAIが担っている、世界レベルの課題解決の先頭に立っているなど、みずから大きく変貌を遂げる姿を示してまいりました。
こうした都政、都庁を実現するためには、現在の仕事の中身や進め方を根本から改革するとともに、その変革にふさわしい制度の抜本的な見直しや規制改革を行っていかなければなりません。
そのため、改革の方向性などを示しました都政改革ビジョンを年内に策定いたしまして、来年の早い時期に第一次実行方針を公表する予定となっております。
新たな都政改革におきましては、これまでの改革をさらに発展させて、次なるステージへと進化させる。その中では、民間と都の役割の変化や、ソサエティー五・〇の将来を見据えながら、現在の仕事の手順、仕事の効率化を阻む要因、法律や制度上の課題など、改めて総点検をしてまいります。
また、民間の有識者の意見を伺い、若手の職員からも現場感覚を踏まえた改革案を提案してもらう。
改革を時代の変化に合わせて絶えず進めていかなければなりません。これまでの発想、これまでの延長線上で仕事を進めるのではなく、都庁そのもののイノベーションを起こすために、今後全局を挙げまして、迅速さを重視するという意味のアジャイルな発想を持って、都政の大改革に取り組んでまいります。
大会における暑さ対策の強化についてでございますが、大会の成功に向けましては、大会の厳しい暑さから都民や観客等の健康と安全を守ることは極めて重要でございます。
暑さ対策にはさまざまな手法がございますが、熱中症を発症するリスクを下げるには、直射日光を避ける日陰の確保が何よりも重要でございます。
都はこれまでも、ラストマイルや陸上競技の沿道におきまして木陰を確保するため、街路樹の樹形を大きく仕立てる計画的な剪定を進めてまいりました。
また、大会におけます観客向けの対策といたしましては、費用対効果を考慮しながら、テントによる休憩所や待ち行列が発生する場所での日よけを可能な限り設置する予定でございます。
これまでにビーチバレーボールを初め四つのテストイベントで暑さ対策を試行し、来週もマラソン競技において実施をいたします。
対策を実施した場所では、暑さ指数の計測などにより効果を測定しておりまして、例えば遮光性、遮熱性の高いシートを用いたテントの下では、暑さ指数の低減効果が高いことがわかりました。
今後、ご提案の対策も含めまして、さまざまな対策の試行、検証を進めて、効果が明らかになった対策を積極的に活用して、時期を逸することなく、関係機関と連携いたしまして、観客等への情報提供も丁寧に行いながら、大会本番におけます暑さ対策を強化してまいります。
レガシーとしての暑さ対策でございますが、日本各地においてこれまで経験したことのない猛暑や豪雨などの異常気象が頻発しております。気候変動によるとされる深刻な影響は、既に私たちの身近な生活にも及んでおります。
都におきましては、東京二〇二〇大会を一つの契機といたしまして、各局が連携して暑さ対策に取り組んでおり、これまでに、遮熱性舗装の整備やミストを活用したクールエリアの創出などの対策を行ってまいりました。
暑さ対策に関します取り組みですが、来年の東京二〇二〇大会において活用するだけではありません。気候変動による影響を軽減することを目的にした適応策そのものでございます。
また、大会を通しまして得られた暑さ対策に関する知見などにつきましても、都市のヒートアイランド対策の研究などを行ってきた東京都環境科学研究所におきまして、収集、蓄積をしてまいります。さらに、テントの活用などのノウハウにつきましても、地域や学校などに提供してまいります。
気候変動への適応は、自然災害や健康など、庁内各局の施策に幅広くかかわるため、現在、全庁的な会議を設置し、検討を進めておりますが、今後、暑さ対策をこの会議の主要課題に位置づけまして、東京二〇二〇大会はもちろんのこと、大会後におきましてもこれらの取り組みを総合的に推進することで、都市の暑さ対策のレガシーとしてまいります。
パラリンピックの機運醸成についてのお尋ねがございました。
私は、パラリンピックの会場を満員の観客で盛り上げまして、大会を成功に導きたいと考えております。そして、パラスポーツを社会に根づかせるとともに、パラリンピックを契機といたしまして、障害のある人もない人も誰もが生き生きと活躍できる都市、ダイバーシティーを実現させていきたいと思います。
多くの方にパラリンピックを身近に感じていただくためには、広くパラスポーツの魅力を伝えるとともに、選手自身を知ってもらうことも重要であります。
都はこれまで、競技をわかりやすく解説したパラリンピックハンドブックを広く配布するほか、NO LIMITS CHALLENGE等のイベントや特別支援学校を活用した体験教室など、障害のある人にもない人にも、競技に触れる機会を提供しております。
また、選手に親近感を覚えていただけるように、チームビヨンドのホームページや観戦会での交流会などを通じまして、競技を始めたきっかけや選手の人柄、日常生活なども紹介をしております。
さらに、パラリンピックの成功などに向けました懇談会の皆様には、パラ応援大使としてさまざまな視点からご意見を賜るとともに、イベントやSNSでの情報発信など、それぞれの活躍の場で広くパラスポーツの魅力をご紹介いただくなど、ご協力や応援をいただきながら、連携をして取り組んでいきたいと考えております。
今後も障害のある方を初め、多くの都民、国民の皆様に大会を心待ちにしていただけるよう、全力で取り組んでまいります。
お台場海浜公園の水質改善についてのご質問でございます。
東京二〇二〇大会におきまして、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を提供することは、開催都市として非常に重要なことであると認識をいたしております。
都はこれまで、お台場の水質改善対策につきまして組織委員会と緊密に連携をし、IOCやIFとも丁寧に協議しながら検討を進めてまいりました。
この中で、まず大腸菌類等の低減に非常に有効であることが検証されております三重の水中スクリーンを大会時にも設置をする予定でございます。
加えまして、さらなるお台場海浜公園の水質改善対策につきましては、都としてとり得る対策を全庁挙げて実施するよう、関係各局に指示をしております。
具体的には、雨天時の放流水質改善のために、水再生センターの高速ろ過施設や貯留施設の整備を加速するほか、お台場周辺海域の放流口へのごみ等の流出を防ぎますスクリーンネットの増設などの取り組みを進めることといたしております。
さらに今後、会場内の水質の分析に加えまして、浄化作用の期待される砂や吸着剤の活用などを含めました効果的な対応策について専門家の意見を聞くなど、さまざまな角度から水質改善対策の検討を深め、東京二〇二〇大会が円滑かつ着実に開催できますように万全を期してまいります。
組織委員会への関与についてのご指摘がございました。
東京二〇二〇大会の準備に万全を期しまして、大会を成功に導き、都民にとってよりよいレガシーを残していくためには、都として積極的な関与のもとで、大会の運営に責任を有する組織委員会と連携いたしまして取り組むことは大変重要であります。
このため、組織委員会の評議員会には二名の副知事が、理事会には別の一名の副知事が副会長としてそれぞれ重要な事項の決定に関与をいたしております。
また、組織委員会の要所要所の部署に局長級、部長級職員を配置して、枢要な職責も果たしていただいているところかと存じます。
加えて、事業協力団体としての管理や監査等を行うとともに、大会後を見据えまして、情報公開や文書の適切な保管も促しております。
経費の統制といたしましては、共同実施事業管理委員会によりますチェックの仕組みを活用しております。さらに、テストイベントの結果や大会直前の準備におきまして、新たな経費が必要となることが見込まれる中におきましても、赤字を出すことがないよう、大会予算やさまざまな課題に対する対応につきまして、組織委員会と検討してまいります。
大会の開催まであと一年と迫る中、組織委員会が大会の運営主体としての役割を発揮できるよう、開催都市としてこれまで以上に積極的に関与して、その責任を果たしてまいります。
なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕
○教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えをいたします。
初めに、ICTを活用した教育の推進についてでございますが、ソサエティー五・〇時代を生き抜くためには、情報活用能力はもとより、他者と協働して課題を解決し、新たな価値を創造する力を身につけることが一層重要となってまいります。
そのため、ICTを活用して個別最適化された教材の配信や、クラウド上で生徒同士の意見共有を可能とすることなどにより、全都立高校で個々の生徒の興味、関心及び習熟状況に応じた学習や双方向型の学習を目指すとともに、校務の効率化にも活用し、教員が生徒とかかわりを深める時間を十分に確保することが必要でございます。
今後、都教育委員会は、都立学校におけるICT環境の整備を一層推進することにより、生徒の学びと教員の業務を支援する教育データやAI技術の活用を図り、生徒一人一人の力を最大限に伸ばす教育の質を高めてまいります。
次に、東京学校支援機構についてでございますが、都教育委員会が七月に設立した同機構は、多様な外部人材の確保機能、教員サポート機能、学校の事務センター機能により、学校を多角的に支援していくものでございます。
とりわけ、外部人材の確保に関しましては、部活動指導員など、学校が求める人材の情報を的確に提供するため、より多くの情報を早期に収集、蓄積していくことが必要となります。
こうしたことから、現在、同機構が準備を進めております人材バンクにつきましては、大学や関係団体等とも連携し、募集や登録を今年度から先行して開始してまいります。学校が必要とする外部人材が来年度当初から活動できるよう取り組み、多様な人材の活躍による教員の負担軽減と教育の質の向上を推進してまいります。
次に、都立特別支援学校で人工呼吸器を使用する児童生徒の保護者の校内での付き添いをなくすことについてでございますが、都教育委員会は、現在、児童生徒の安全の確保を第一に、人工呼吸器を適切に管理できる校内体制や実施方法等を検討することを目的といたしまして、モデル事業に取り組んでいるところでございます。
具体的には、児童生徒一人一人の状況に応じて、授業中など日常における人工呼吸器の管理のほか、校内連絡体制や緊急時の対応などの課題について詳細な検討を行っております。
来年度以降は、対象となる児童生徒の自尊心や自立心を育成するためにも、モデル事業の成果を踏まえ、校内管理体制の整った学校から付き添い日数を徐々に減らすなど、保護者負担を段階的に軽減してまいります。
最後に、子供の記憶に残る大会観戦に向けた取り組みについてでございますが、都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育の集大成といたしまして、東京二〇二〇大会において、子供たちが直接競技を観戦することができる機会を確保しております。
各学校では、都内全校に配布した学習読本や学習ノートを活用し、子供たち自身が開催競技について調べ、まとめたりすることなどにより、競技内容等の理解を深めてきております。
また、現在、各学校に対し、低年齢の子供に屋内会場を割り当てるなど、暑さ対策等にも配慮した上で、具体的に観戦する競技案を示しているところでございます。
今後、競技観戦が子供たちの人生の糧となるよう、関係機関と連携し、より安全な観戦を目指すとともに、実際に観戦する競技を子供たちがさらに詳しく学んだり、体験したりするなどの取り組みの推進を各学校に働きかけてまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕
○東京都技監(佐藤伸朗君) 鉄道駅のバリアフリーについてのご質問にお答えいたします。
駅のバリアフリー化を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
都はこれまで、鉄道事業者に対する補助を行ってきており、これにより、利用者十万人以上の駅のうち半数を超える駅でホームドアが設置されるなど、整備が進みつつあります。さらなるバリアフリー化に向けて、現在、ホームの形状など駅の特性や、駅周辺における病院などの立地状況を考慮した優先整備の考え方を検討しております。今月末を目途に取りまとめ、これに基づき、鉄道事業者に整備計画の策定を求めてまいります。
その計画の実現を支援するため、ホームドアでは利用者十万人未満の駅に、エレベーターでは複数ルート等の整備に補助の拡大を図ってまいります。
こうした取り組みにより、今後、駅のバリアフリー化を積極的に促進してまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕
○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) デジタルディバイドへの対応についてでございますが、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会、この中におきまして、稼ぐ力の強化に加えまして、ディバイドの解消もまた重要なテーマとなってございます。
特にデジタルディバイドにつきましては、技術の進歩により克服すべきといった考え方、あるいはインセンティブの付与によりデジタル機器の使用に関心を高めるべきとの主張、さらには行政による積極的な普及啓発が大切など、さまざまな意見があると認識してございます。
都といたしましては、子供から高齢者まであらゆる人がテクノロジーを利活用できるよう、検討会での議論も踏まえまして、関係各局と連携を図りながら具体的取り組みを検討してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕
○福祉保健局長(内藤淳君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、都は、本年七月、待機児童数が多い自治体を中心にヒアリングを実施し、保育サービスや待機児童の状況、各自治体の取り組み、都への施策要望などについて意見交換を行いました。
その結果を踏まえ、今年度のさらなる取り組みとして、短期間で整備可能な小規模保育事業等の整備の後押しや、認可保育所の空き定員を有効活用して、待機児童が多い一歳児の受け入れを促進する仕組みを充実し、八月に開催した区市町村との協議会でそれらの活用を働きかけたところでございます。
また、企業主導型保育事業の空き情報の提供や、質の確保向上のための研修等を行う区市町村への支援も開始しており、区市町村と連携しながら、待機児童の解消に向け、認可保育所や認証保育所など、多様な保育サービスの拡充や質の向上に取り組んでまいります。
次に、一時保護所についてでありますが、一時保護所の運営が児童の管理に重点が置かれ、子供の声を聞くという視点に欠けるとの今回の意見書のご指摘については真摯に受けとめております。
個々の児童に寄り添い、その状況に配慮した支援を行うためには、職員が児童にしっかりと向き合い、能力を十分に発揮できる環境の整備が重要でございます。
都は、一時保護所の職員を国基準より厚く配置し、今年度は専門職を十六名増員したほか、職員が児童の支援に専念できるよう、補助業務を行う非常勤職員も配置しているところでございます。
また、職員の人権意識を高めるため、人権研修や児童の権利擁護に関する研修を実施しております。
今後、一人一人の状況に応じたより丁寧な支援が行えるよう、一時保護所の人材確保、育成を推進してまいります。
次に、高齢者になる前からの情報提供についてでありますが、定年退職を迎えた後などでも就業や地域活動等の社会参加を続け、生き生きと活躍できるよう、都は、現在、主に五十代から六十代前半の都民を対象とした読本の作成に取り組んでおり、今年度、約百万部印刷することとしております。
その中では、高齢期をできるだけ元気で楽しく過ごせるよう、仕事、学び、趣味など、自分がやりたいことを見つけられるタイプ別チャートや、フレイル予防、介護予防など、五十代から取り組める健康長寿に向けた基礎知識を盛り込む予定でございます。
さらに、介護などで困ったときに役立つよう、相談窓口や受けることができるサービスを紹介するなど、都民が元気で生きがいを持って高齢期を過ごせるよう、さまざまな情報を提供してまいります。
次に、受動喫煙防止条例の普及啓発についてでありますが、条例を実効性あるものとするには、都民や事業者に条例の内容を理解し、行動していただくことが重要であると考えております。
都は、相談窓口に加え、区市町村や事業者団体等の希望に応じて都内各所で説明会を開催し、個別相談に応じているところでございます。
また、飲食店に対しましては、保健所が実施した夏期一斉監視指導の機会を活用して、条例の内容をわかりやすく解説したリーフレットを配布するほか、飲食店検索サイト事業者やビール会社四社の営業担当者のご協力により、個別に啓発を行っております。
さらに、区市町村と共同キャンペーンを行い、ブースの出店や啓発グッズの配布など、都民等に対して積極的に働きかけており、区市町村等と連携しながら、受動喫煙防止対策を一層推進してまいります。
最後に、ひきこもりの方への支援についてでありますが、都では、ひきこもりの状態となった方の高齢化等に対応するため、今年度から、訪問相談の対象を三十五歳以上の方にも拡大するなど、支援の強化を図っております。
さらに、今回新たに学識経験者、家族会、当事者団体、地域福祉や保健、医療等の関係機関、区市町村などを構成員とした東京都ひきこもりに係る支援協議会を設置し、きめ細かい支援に向け、ひきこもりの実態把握や当事者、家族の状況に応じた支援のあり方についての検討、情報の共有を行うこととしております。
今後、この協議会も活用しながら、医療、保健、福祉等の関係機関が連携し、身近な地域での支援のネットワーク体制の構築など、ひきこもりの方への支援の充実に向けた議論を進めてまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕
○都民安全推進本部長(國枝治男君) 安全運転支援装置設置補助制度の普及啓発についてでございますが、都は、高齢運転者による交通事故を一件でも減らすため、緊急対策として、安全運転支援装置の購入、設置に対する補助制度を七月に開始いたしました。
高齢者に本制度をご利用いただき、装置の設置を促進するためには、本制度を広く都民に周知することが重要でございます。
このため、都は、チラシやポスターに加え、東京都公式ホームページやSNS、「広報東京都」等を活用した普及啓発を実施しているほか、区市町村にも制度周知を図っております。
今後も、さまざまな機会を活用し、継続的に制度の普及啓発に取り組むとともに、運転免許の自主返納の促進ともあわせ、高齢者の交通安全対策を着実に推進してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕
○産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、時間的に制約のある方への就労支援についてですが、都はこれまでも、育児や介護と仕事の両立に向けて、時差出勤制度の採用やテレワークの導入を支援するなど、企業における柔軟な働き方の実現を後押ししてまいりました。
今後は、こうした取り組みをさらに進め、短時間勤務に適した業務の切り出しや、仕事を複数人でシェアする仕組みづくりに取り組む企業を支援することにより、時間的に制約のある方の就労機会の確保を図ってまいります。
具体的には、セミナー等で新たに業務の切り出しのノウハウを提供するとともに、短時間勤務制度を効果的に活用する企業の事例をライフワークバランスのイベント等で紹介するほか、各業種の特色を踏まえた事例集を作成、配布するなど、幅広く普及啓発を行ってまいります。
こうした取り組みにより、柔軟に働ける環境整備を進めてまいります。
次に、東京二〇二〇大会に向けた観光プロモーションについてですが、大会中はもとより、大会後も継続的に旅行者を獲得していくためには、ロンドン大会での教訓やラグビーワールドカップでの都の取り組み成果を生かしていく必要がございます。
さきのロンドン大会では、メディア等への情報発信や地方への誘客に成功したとされております。
また、今般のラグビーワールドカップでは、欧米豪の旅行者に東京の魅力を伝えるため、国際線の機内誌や会場への交通機関等で集中的に広告展開するとともに、全国の開催都市への周遊を促すため、強豪国の元代表選手を派遣し、現地の観光情報等を発信してまいります。
東京二〇二〇大会に向けては、こうした施策の検証を行った上で、観客やメディアなどに対する東京の魅力発信や日本各地と連携した取り組みなど、効果的なプロモーションについて検討してまいります。
最後に、東京都GAP認証制度の取得促進についてですが、GAPは、適切な工程で農産物を生産することで食の安全や生産性の向上を実現するものでございまして、認証の取得により、消費者の信頼確保にもつながる取り組みでございます。
これまで都は、東京二〇二〇大会での農産物供給に向けて、認証取得のメリットなどに関する説明会の開催や都の職員による支援等により、取得を促進してまいりました。
今後は、大会後を見据え、認証農産物の需要拡大に向け、流通事業者や生産者、消費者を対象としたシンポジウムを開催するとともに、PR動画等を作成してまいります。
さらに、都のイベントにおける認証農産物の積極的な活用に加え、小売店と連携した販路開拓に向けた取り組みについても検討してまいります。
これにより、GAP認証の取得をさらに促進し、東京農業の持続的な発展につなげてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕
○総務局長(遠藤雅彦君) 性自認及び性的指向に関する基本計画におけるロールモデル発見の仕組みづくりについてでございますが、いわゆる性的マイノリティーの方々の多くは、周囲の無理解、偏見を恐れ、誰にも相談することができず、自身の性のあり方や生き方について一人で悩みを抱えていらっしゃいます。
こうした当事者が、ほかにも同じ悩みを抱える者がいることを知り、今後の生き方をイメージできる存在と出会えることが重要でございます。
このため、気軽に相談できる体制の整備を進めるとともに、とりわけ他の当事者に出会う機会が限られている若年層を中心に、当事者同士が安心して集い、交流できる場、機会を提供いたしまして、これからの生き方の糧となるようなロールモデルの発見を積極的に支援する新たな取り組みを検討してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕
○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、防災上重要な公共建築物の耐震化についてでございますが、消防署や警察署、病院、学校などの公共建築物は、災害時の活動拠点や避難所などとなることから、速やかな耐震化が必要でございます。
このため、都は、平成二十年三月に、東京都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震化整備プログラムを策定し、全庁を挙げて耐震化を推進してまいりました。
その結果、平成三十年度末におきましては、耐震化率は九九・九%となり、残り六棟については、建てかえなどによりまして、令和四年度までに完了できるめどが立ったところでございます。
引き続き、耐震化の完了に向け着実に取り組みを進め、都民にとって安全で安心できるセーフシティーの実現を目指してまいります。
次いで、東京二〇二〇大会時の東京都発注工事についてでございますが、交通環境への影響を最小限に抑えるため、工事の実施時期等を調整する必要があり、東京都では、本年四月、都発注工事の調整に関する取り組み方針を含みます都庁二〇二〇アクションプランを策定し、業界団体等に協力依頼を行ってまいりました。
本方針では、その年に必要な工事を着実に実施することを前提に、期間やエリア等をきめ細かく定め、工事の内容に合わせて調整していくこととしております。
その際、工事の一時休止等を行う場合には、今後契約を締結する案件は、工期等を適切に設定した上で、経費の上乗せ等の措置を講じるとともに、既に契約を締結している案件につきましても、契約約款に基づき必要な措置を講じてまいります。
また、本年夏には、既に発注した工事におきまして、約六割の工事を目標に、車両の出入り時間の調整や休工日、すなわち工事を休む日の変更などの試行に取り組んだところでございます。
今後、この試行結果などを踏まえ、アクションプランを秋ごろに更新する予定でございます。
引き続き、業界団体からのご意見等を踏まえ、各局横断の会議で具体的な対応を検討するなど、円滑な大会輸送の実現と都市活動の両立に向け取り組んでまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕
○建設局長(三浦隆君) 今後の調節池の整備についてでございますが、激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備とあわせまして、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。
豪雨対策基本方針に定めました対策強化流域では、護岸整備に加えまして、合計約五百六十万立方メートルを貯留する調節池の整備により、区部時間最大七十五ミリ、多摩同六十五ミリの降雨に対応する目標整備水準を達成いたします。
そのうち、合わせて約百十万立方メートルを貯留する七カ所で調節池の工事を実施しておりまして、環七地下広域調節池では、今年度内にシールド掘進を開始いたします。こうした整備に加えまして、石神井川など八つの河川で、新たな調節池の事業化に向けた検討を進めております。
水害に強いセーフシティーの実現に向けまして、調節池等の河川施設整備を一層推進してまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕
○港湾局長(古谷ひろみ君) 新客船ふ頭の利用促進についてでございますが、これまで都は、船会社等への精力的な誘致活動を展開してきた結果、来年の開業後半年間の入港回数は、大会中のホテルシップを含め五十回を超える見込みとなっております。この好調な状況を維持し、さらなる客船誘致を進めるためには、船会社への誘致活動に加え、新ターミナルを利用する乗船客の満足度を高めることが重要でございます。
このため、都は、季節に応じた魅力的な観光ルートや日本文化を体験できるスポットなどの状況を提供するとともに、臨海副都心の進出事業者と連携いたしました歓迎イベントや周遊サービスの実施など、東京ならではの立地を生かしました乗船客へのおもてなしを充実強化させてまいります。
また、観光地等への乗船客の円滑な輸送を実現させるため、ふ頭周辺の土地も活用いたしまして、観光バスの駐車場を確保するとともに、東京テレポート駅との間のシャトルバスサービスについても検討してまいります。
こうした取り組みにより、新客船ふ頭の評価を高め、世界に誇れるクルーズの一大拠点へと成長させてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕
○住宅政策本部長(榎本雅人君) 空き家対策の推進についてでございますが、空き家対策を効果的に進めていくためには、都内各地域の特性を踏まえ、施策を展開していくことが必要でございます。これに加え、将来のさらなる高齢化や人口減少を見据えて、都が広域的視点から取り組むことも重要でございます。
これまで、空家対策特別措置法の趣旨に基づき、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが促進されるよう、適正管理、有効活用、発生抑制の観点から、区市町村に対して財政支援や技術的助言等を行ってまいりました。
今後は、こうした取り組みを着実に推進するとともに、将来、空き家となる可能性の高い住宅が多く、NPO法人や企業等の多様な事業主体が活動している東京の実情にふさわしい施策を展開していけるよう、効果的な支援策を検討し、重層的に空き家対策に取り組んでまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕
○病院経営本部長(堤雅史君) 都立病院改革の一層の推進についてでございますが、二〇四〇年代に向けて、高齢化の一層の進展に伴う医療需要の増大など、医療環境が大きく変化することが想定される中でも、行政的医療を初めとした質の高い医療を安定的に提供することで、東京の医療政策に貢献し続けることが都立病院に課せられた使命でございます。
この使命を将来にわたって果たし続けていくためには、持続可能な運営の実現が必要でございまして、これまで以上に経営努力を重ねながら、さらなる改革を進めていかなければなりません。
改革に当たりましては、行政的医療の安定的、継続的な提供や、現場職員の意欲と能力を最大限発揮できる運営が不可欠でございます。
このことを踏まえまして、経営形態のあり方につきましても、長期戦略の策定に合わせて検討を深めてまいります。
〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕
○中央卸売市場長(黒沼靖君) 中央卸売市場会計の財政基盤の強化についてでございますが、強固な財務体質を確保するためには、保有する施設を市場の活性化に資するよう有効に活用し、使用料収入の確保につなげていくことが必要であります。
都はこれまで、各市場における事務室や店舗等の施設の稼働率向上に向けた取り組みや、限られた市場用地を有効に活用するための施設の見直し等の取り組みを進めております。
今後、経営計画の策定に際しましては、市場用途に資する施設等の活用可能性や、それに伴う収益改善効果など、施設の有効活用の観点からの検討も行う予定でございまして、これらを、市場の活性化を考える会におきまして、有識者から多面的な視点に立って議論をしていただきます。
こうした取り組みを通じまして、財政基盤の強化を図り、市場会計の持続可能性を確保してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕
○水道局長(中嶋正宏君) 水道局の運営体制の見直しについてでございますが、このたび、公正取引委員会から改善措置要求等を受け、都民の皆様の信頼を損ねたことにつきまして、局として極めて重く受けとめております。
都では、昨年十月の公正取引委員会による立入検査後、調査特別チームを編成し、十一月には中間報告を取りまとめ、再発防止策を策定し、直ちに実施をしてまいりました。
現在、このたびの公正取引委員会による調査結果を踏まえ、職員に加えまして、事業者への調査も進めております。
今後、事故の事実経過や背景を明らかにした上で、改めて必要な再発防止策を策定し、有識者委員会による検証を経て、最終報告を年内を目途に公表いたします。
また、たび重なる不祥事を起こした局の体質についても厳しくメスを入れるため、当局の運営体制につきまして、これまでの仕事の進め方はもとより、組織や意思決定のあり方など、局の構造的な課題をさらに掘り下げ、有識者委員会による外部の幅広い視点からの検証を経て、抜本的な改革を実施してまいります。
こうした取り組みにより、水道局の強固なコンプライアンスとガバナンスの確立に全力を挙げてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、首都高速道路の料金施策についてでありますが、今回取りまとめた東京二〇二〇大会における首都高速道路の料金施策に関する方針案では、円滑な大会輸送の実現と都市活動の維持との両立を目的としております。
首都高の全ての路線において、ETC搭載車を対象に夜間割引を行うとともに、日中の時間帯では、マイカー等を対象に都内区間で一律千円の料金上乗せをするなどして、車両の分散利用を促進してまいります。
また、お話の都民生活や物流など経済活動との両立を図るとの趣旨も踏まえ、他の交通への転換が困難な物流車両や福祉関係車両などについては、料金上乗せの対象外としております。
現在、パブリックコメントを実施しておりまして、引き続き積極的な情報提供にも努め、都民や事業者の皆様にご意見をいただきながら検討を進めてまいります。
次に、聖火リレーについてでありますが、聖火リレーは、ランナーや観衆、ボランティアなど、さまざまな方が参加できる貴重な機会であり、多くの都民に参画してもらうことが盛り上がりのために重要でございます。
このため、出発式や区間の途中で行うミニセレブレーション、一日の最後に行うセレブレーション等において、各区市町村が地域の特色を生かしたさまざまな盛り上げが図れるように連携してまいります。
また、聖火ランナーとして、十名で走るグループランナーや、聖火ランナーの後ろを走るサポートランナーに加え、沿道の応援やボランティアなど、できるだけ多くの方が参加できるよう検討してまいります。
引き続き、大会開催を盛り上げる聖火リレーの実現に向け、地元区市町村とともに取り組んでまいります。
次に、未就学児への観戦機会の確保についてでありますが、幼稚園児のみならず、保育園児等の未就学児に、大会についての学びや観戦の機会を提供し、大会のすばらしさを感じてもらうことは重要でございます。
区市町村からは、学校連携観戦チケットの対象とならない保育園児等を含め、未就学児を対象とした観戦事業を実施したいとの声が寄せられております。
都は、こうした意見も踏まえ、組織委員会が関係自治体向けに準備しているチケットの活用について調整を行っており、スポーツの魅力や観戦マナーなどを事前に学んでもらい、直接観戦できる機会が提供できるよう取り組んでまいります。
また、暑さ対策の観点から、実施に向けては、観戦対象年齢について配慮するほか、屋内競技会場を中心とするなどの対応を進めてまいります。
次に、視覚障害者への情報提供についてでありますが、障害の有無にかかわらず、誰もが必要な情報を得られるよう配慮や工夫を行うことが重要であります。
大会情報の提供に当たりましては、大会時のバリアフリー化の指針であるアクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、目的、内容に応じて対応しております。
組織委員会は、情報提供を主にホームページで行っており、音声読み上げに対応してございます。
都は、ホームページの音声読み上げ対応を行うとともに、東京二〇二〇ガイドブックやパラリンピック観戦促進パンフレットなど、大会関連の印刷物に音声コードを添付して情報提供に努めてまいりました。
今後は、点字版、音声版も発行される「広報東京都」に大会情報をより丁寧に掲載するなど、組織委員会とも連携して、さらに細やかな情報提供ができるよう、具体的に検討してまいります。
最後に、障害者スポーツの国際大会についてでありますが、障害者スポーツの振興において、身近なスポーツ機会の確保や環境整備に加え、国際的な大会が開催されることも重要であります。
都は現在、パラリンピックの競技を中心に、大会の共催や観戦会の実施など、障害者スポーツ大会の開催をさまざまな取り組みによって支援してございます。
加えて、今年度新たに、これまでまとまった資料がなかったデフリンピックを初めとした国際的な障害者スポーツ大会に関する基礎資料を整備するため、文献やヒアリングによる調査を実施しているところであります。
こうした調査結果も活用しながら、より一層の障害者スポーツの振興に向け、施策を展開してまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕
○消防総監(安藤俊雄君) 東京二〇二〇大会に向けた警戒体制についてでございますが、大会の成功のためには、災害の未然防止と発生時の即応体制の確立が重要でございます。
このため、平常時の消防体制を維持した上で、各競技会場に延べ三万人の消防職員と消防団員を配置するとともに、一日最大で、消防車約五十台、救急車約八十台を配備して警戒に当たることとしております。
また、全競技会場の情報を一元的に管理するオペレーションセンターを新設するほか、万が一、爆破テロ等の大規模災害が発生した場合には、新たに創設した理事を指揮本部長とする統合機動部隊を運用するなど、万全の対応を図ることとしております。
今後も、テストイベントや訓練等の結果を検証し、全庁を挙げて警戒体制の強化を図ってまいります。
○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時十六分休憩
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.