令和元年東京都議会会議録第十一号

○議長(尾崎大介君) 二十五番保坂まさひろ君。
〔二十五番保坂まさひろ君登壇〕

○二十五番(保坂まさひろ君) 初めに、受動喫煙防止施策について伺います。
 東京都受動喫煙防止条例が来年四月に全面施行となることで、屋外での喫煙者が増加することによる喫煙環境の整備も喫緊の課題となっております。
 私は、台東区議会議員でしたときから、屋外の公衆喫煙所のあり方について、区とともに協議をしながら改善を図ってまいりました。特に駅前や繁華街では、通行者が煙を強制的に吸わざるを得ない環境が目立ち、改善が求められていますが、財政面などを主な理由に、十分進んでおりません。
 こうした状況を踏まえ、私たちはこれまで、都条例制定を目指すと同時に、区市町村への公衆喫煙所整備の支援も都に対して要望してきました。
 それを受けて都は、地域の実情に応じて区市町村が取り組む、屋内外の公衆喫煙所の整備に要する経費の補助について予算化されたことは、大変意義深いものであります。
 都は、区市町村に対して、今月十四日を締め切りに、公衆喫煙所の整備支援の計画を募っていますが、整備が計画どおり年度内で完了するよう、財政面だけでなく、受動喫煙を生じさせない環境を整備できるよう支援すべきと考えますが、現在の状況と都の見解を伺います。
 昨日の我が党の代表質問で、飲食店事業者に対して、条例施行に向けての周知徹底について質問し、福祉保健局長から、各区市町村と連携して対応するとの力強い答弁をいただきました。
 都も独自に都民に対して普及啓発を実施していくとしていますが、年度内に都内全体へ確実に普及させていくためには、区市町村とのさらなる連携が必要です。
 特に東京二〇二〇大会を前に、多くの都民や観光客などに条例を周知する必要がありますが、区市町村の商店街や観光関連の部署では十分理解されておりません。
 来年四月の都条例全面施行を前に、区市町村の各商店街や観光関連の部署とも情報共有するなど、我々がさまざまな角度から都内全般に条例の普及啓発を進めていくことが重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 受動喫煙を防止するために独自の条例を定め、公園内を禁煙にすることを決断した自治体もある一方で、都立公園を含む多くの公園では灰皿を設置しているだけであり、十分な対策とはいえません。
 特に、都立日比谷公園のある千代田区は、子供の利用が多い区立公園を禁煙とし、罰則も適用しています。だからこそ、私はこれまで、環境・建設委員会を通じて、都立日比谷公園における受動喫煙対策の推進を求めてきました。
 それを受けて都は、公園内に複数設置されていた灰皿だけの喫煙場所を段階的に集約し、このたび、受動喫煙防止に効果のある喫煙所を民間企業の協力により整備されたことは評価をいたします。
 今後、日比谷公園を前例として、特に多くの利用者が集う都立公園に対しては、地元自治体とも連携し、対策をより積極的に進めていく必要があると考えますが、都立公園における今後の受動喫煙対策について見解を伺います。
 さらに、子供のみならず、お花見やイベントの開催時期などにも、人が密集する場所は禁煙エリアとした上で、そのようなルールが誰の目にも一目でわかるような周知を図る工夫が必要であると考えますが、あわせて所見を伺います。
 次に、暑さ対策に欠かせない水の活用について伺います。
 都が平成二十九年度から進めている東京二〇二〇大会に向けた暑さ対策推進事業は、東京二〇二〇大会をきっかけに、東京の暑さ対策をレガシーとして長きにわたり活用していくという趣旨で、ミストなどの設置を支援する事業と理解しています。
 今年度は対象地域を拡大し、二億円の予算を計上されたことに、環境局の意気込みを感じます。
 私も、これまで都が支援しましたミストの設置箇所を訪れましたが、サラリーマンや親子連れ、特に多くの外国人旅行者が利用されている光景を目にし、その効果を改めて認識しました。
 そこで、東京二〇二〇大会をきっかけに、東京の安全・安心な水道水を利用する微細ミストの普及促進に向けて、積極的に区市町村や事業者を支援していくことが東京の暑さ対策を進めていくためにも必要不可欠であると考えますが、都の見解を伺います。
 東京の水道水は、長年にわたる水道局による技術革新で、非常においしく飲める水へと進化しました。
 また、国内最大級の水道水専用ダムである小河内ダムは、流域の水道水源林の徹底した管理によって健康な森が保たれ、良質な水を確保していることも、先日、現地を視察して改めて認識しました。
 東京二〇二〇大会をきっかけに、東京を訪れる多くの方に、世界に誇る東京の水道水の品質を知っていただき、酷暑の中、命を守るためにも、東京の水を提供することは必要不可欠であります。
 東京二〇二〇大会の持続可能性に配慮した運営計画でも、SDGsへの貢献が示されており、安全な水へのアクセスを実現している都の取り組みとしても、多くの方に水道水の品質を体験してもらうことは、その方向性とも合致しています。
 これまで都は、可動型の水飲み栓を活用し、国際会議やイベント場で水道水を気軽に飲んでいただくだけでなく、マイボトル利用促進による環境配慮への取り組みも展開しています。
 都は、ことしの夏にも、東京二〇二〇大会に向けた複数のテストイベントでさまざまな暑さ対策の試行や検証を実施するとしていますが、その中で可動型水飲み栓なども活用して東京の水道水の提供を行い、大会時の暑さ対策に向けた検証も行うべきと考えますが、見解を伺います。
 続いて、東京BRT、バス高速輸送システムについて伺います。
 都心と選手村を有する晴海地区、人口増加が著しい豊洲、有明地区を結ぶ交通手段として期待される東京BRTのプレ運行がいよいよ来年に迫りました。プレ運行では、虎ノ門から新橋駅、勝どきを通り、晴海二丁目までの一区間のみで、ピーク時は一時間六便程度、四百五十名を輸送することが計画されています。
 都は、今年度のBRT関連予算として十七億円を計上しており、主に施設の整備などに充てるとしています。
 今後、高い技術に裏打ちされた東京の社会システムの一つとして構築していくBRTを、次世代に残る大きな資産となるよう、都は、BRT運行主体として経験豊富な運行事業者を選定し、運行事業者が新会社を設立することとしました。
 BRT事業計画実施に向けての現在の準備状況と今後の都のかかわり方について見解を伺います。
 BRT成功のポイントは、通常のバス交通より進化した、まさにBRTが持つメリットである速達性、定時性の確保や輸送能力の増大が実現できるかどうかです。
 東京BRTは、象徴ともいえる連結バスの輸送能力が都バスの約一・五倍、また、スムーズな乗降システムの構築や、限られた都内の道路空間を有効活用することも期待されています。先日、BRTの社会実験をしているアメリカ・ピッツバーグ市や福岡県福岡市を視察しましたが、特に両市が採用しているバス優先もしくはバス専用レーンの高い有用性を確認しました。
 都は、東京二〇二〇大会後の本格運行に向けて、レーンの確保が難しい場合、道路の利用効率を向上させる施策として、交通状況に応じて信号を制御するPTPS、公共車両優先システムの導入なども検討していく責務があると考えますが、都の見解を伺います。
 BRTの事前告知も含めた広告活動は、主に運行事業者が中心に進めていきますが、運用開始を来年に控えた現状では、PRがまだまだ弱いといえます。
 二〇二二年にスタートする宇都宮LRTは、宇都宮市の新たな交通システムであり、官民連携の新会社、宇都宮ライトレール株式会社も、昨年からホームページを立ち上げ、市も積極的に情報を発信し、市民の認知度や期待も日に日に高まっております。
 都も、都市整備局のホームページでプレスリリースなど情報発信していますが、ほかの事業の情報も発信されるので、多くの情報の中に埋もれてしまっています。
 都も、専用ホームページもしくはBRTコーナーをつくるなどして、BRT情報の一元化を図り、随時情報を更新するなどして、利用者や都民、さらに一般ドライバーや沿線の地元住民に対しても、BRTに対して正しい理解と協力をいただけるように、運行事業者とも連携して広報する必要があると考えますが、見解を伺います。
 最後に、本日、無事満二歳を迎えて、中国への返還も来年十二月末と決まりましたパンダのシャンシャンで盛り上がる上野動物園について、今回は、ことし十月末に運行が休止となる上野動物園モノレールの今後について伺います。
 これまで六十年にわたり、幾度となく存続の危機を乗り越えてきたモノレールは、今なお年間約百万人の利用がある人気の乗り物であり、都民や地元の関心も高く、存続を望む多くの声が私にも寄せられています。
 今年度、モノレールの存続を含めたあり方の検討をする調査検討費が予算計上されたことは評価をいたします。
 モノレールの今後については、継続案や代替案など、検討内容を公表いただき、都民が検討の過程で意見を述べる機会を得られるなど、都民の理解を得られるように検討を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 モノレールが休止となることし十一月以降、都は、環境に配慮したEV、電気自動車を導入するとしていますが、モノレールの輸送能力をカバーするには、普通乗用車サイズでは難しいといえます。
 そこで、電気バスであれば、一度に多くの利用者を輸送でき、さらに、都でもいまだ普及が進まない電気バスの導入として、宣伝効果も非常に高いと考えますが、知事の見解を伺い、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 保坂まさひろ議員の一般質問にお答えをいたします。
 恩賜上野動物園の電気バス導入についてのご質問でございました。
 上野動物園は、上野の文化の森の中にあって、昨年度で約五百万人もの来園者を国内外からお迎えをしております。
 東園と西園をつなぐモノレールですが、年間約百万人の方にご乗車いただいております。昭和三十二年の運行開始から長年にわたって親しまれてまいりましたが、ことし十月で運行を休止することとなりました。
 都は、運行休止から約半年間、天然ガスを燃料といたしますCNGバスを活用した後、動物にも人にも優しい環境に配慮したゼロエミッションの電気バスを導入の予定でございます。
 このバスは、車椅子利用者を含め、誰もが乗りおりしやすいノンステップ式で、一度に多くの方にご乗車いただけるものでございます。
 外観は、上野らしいパンダのラッピングといたしまして、動物園を訪れる全ての方々に親しみを感じていただけるようにしてまいりたいと考えております。
 引き続き、上野動物園の魅力向上に向けまして、取り組みを進めてまいります。
 その他のご質問につきましては、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、BRT事業の準備状況と今後の都のかかわり方についてでございますが、BRTにつきましては、開発が進む臨海地域での交通需要に速やかに対応するために、早期に運行開始ができるよう、事業計画に基づき、都としても準備を進めております。
 今年度は、来年度からの先行的な運行開始に向け、停留施設工事を着実に実施するとともに、運行計画等について、運行事業者も含め、関係機関と調整を進めております。
 来年度以降は、環状第二号線本線開通後の本格運行に向け、運行系統の拡大に合わせて、車両基地や停留施設の整備を段階的に進めてまいります。
 引き続き、東京BRTが臨海地域の発展を支える交通機関となるよう、運行事業者とともに取り組みを進めてまいります。
 次に、BRTの本格運行に向けた交通対策についてでございますが、BRTを利用者にとって使いやすく魅力のあるものとするためには、速達性や定時性等にすぐれた交通機関にしていく必要がございます。
 このため、本格運行では、全ての扉での乗りおりや、車内で現金を取り扱わない運賃収受方式により停車時間の短縮を図ることに加えまして、交差点でバスの通過を優先させる、いわゆる公共車両優先システムの導入などを図ってまいります。
 これらの取り組みにより、LRTや新交通システム並みの速度を目標とすることで、従来のバス交通にはない新たな輸送システムを実現してまいります。
 最後に、BRT事業の広報活動についてでございますが、これまで、事業計画の公表、名称や車両デザインの公募など、各段階で都民などへ幅広く情報を提供してまいりました。
 来年度からの先行的な運行を控え、今後、さらに東京BRTの魅力や運行情報などを内外に幅広く発信していく必要がございます。
 このため、東京BRTのコンセプトやルート、運行ダイヤ、停留施設の位置情報などを紹介するホームページを、運行事業者と協力して今年度中に作成するとともに、SNS等を活用して積極的に情報発信してまいります。
 これらにより、東京BRTが利用者にとって使いやすく魅力のある交通機関として認知されるよう、運行事業者と連携して取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公衆喫煙所の整備についてでありますが、都は、屋内外の受動喫煙を防止するため、昨年九月から、区市町村が行う公衆喫煙所の整備への補助を開始しており、今年度は、現時点で三十六自治体で約三百カ所の整備が見込まれております。
 また、区市町村を対象とした説明会で、壁の高さや排気口の位置等、公衆喫煙所を整備する際の技術的留意事項を周知しているところでございます。
 さらに、喫煙に関するルールや公衆喫煙所マップの作成など、区市町村が実施する普及啓発への支援も行っており、引き続き、区市町村と連携協力しながら、受動喫煙防止対策を一層推進してまいります。
 次に、受動喫煙防止条例の普及啓発についてでありますが、都は、条例の趣旨や規制内容の理解促進を図るため、事業者や助言指導を行う保健所設置区市等を対象とした説明会を開催しております。
 また、条例の内容を解説する動画やポスターを作成するほか、ハンドブックやシール型の標識を活用して、事業者に丁寧に説明するなど、制度の周知を図っているところでございます。
 こうした取り組みに加え、条例の実効性を高めるためには、ビジネスや観光で東京を訪れる方にも、新たなルールの内容等を広く理解していただくことが重要であると考えております。
 今後、関係各局や区市町村の関係部署、民間の関係団体等とも連携し、地域の商店街や観光案内施設等の場を活用した制度周知への協力を依頼するなど、さまざまな機会を捉えて、受動喫煙防止対策の普及啓発を進めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、都立公園における受動喫煙対策についてでございますが、公園は、都民の憩いの場であり、子供も多く利用する施設であるため、受動喫煙対策の取り組みを進めることが重要でございます。
 都立公園では、喫煙に関するルールを定めまして、歩きながらの喫煙や妊娠中の女性、子供の周囲で喫煙をしないよう、園内掲示板等で周知するとともに、巡回時に注意を促すなど、マナー向上に取り組んでおります。
 また、公園利用者の声や園内の利用状況に応じまして、主要な園路沿いや子供が使用する遊具の周辺にある吸い殻入れを撤去し、受動喫煙の防止に努めております。
 今後とも、公園内での喫煙マナーの向上を図るとともに、それぞれの公園の利用状況に応じまして、関係機関とも連携を図りながら、受動喫煙対策を行ってまいります。
 次に、受動喫煙対策の周知についてでございますが、これまで都立公園では、喫煙ルールを園内掲示板やホームページ等で周知しておりまして、特に多くの方が訪れるお花見やイベントの際には取り組みを徹底しております。
 例えば、上野恩賜公園では、お花見を楽しむ区画は禁煙といたしまして、外国人にもわかりやすいピクトグラムを使ったルールの掲示や、喫煙箇所の園内案内板への表示を行うとともに、巡回時に注意を促しております。
 また、イベント開催時には、囲いのある仮設喫煙所の設置や、来場者への喫煙ルールの徹底などを主催者に指導しております。
 今後とも、それぞれの公園の利用状況に応じ、工夫して周知をするなど、引き続き、受動喫煙対策に取り組みまして、誰もが快適に過ごせる公園づくりを進めてまいります。
 最後に、恩賜上野動物園モノレールの今後のあり方についてでございますが、モノレールは、開業から六十一年が経過し、車両等の老朽化によりまして、本年秋に運行を休止することといたしました。
 都は今年度、モノレールの休止に際しまして、運行を担う交通局と連携を図りながら、車両更新や代替方策につきまして、輸送能力、走行音の大きさ、動物への影響、コストなど、さまざまな観点から検討を行います。
 また、来園者等にも意見を聞くとともに、パブリックコメントを実施するなど、都民の理解を得られるよう努力をしてまいります。
 引き続き、上野動物園の魅力向上に向けて、積極的に取り組んでまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 微細ミストの普及促進についてでございますが、微細ミストは、環境省によると、その効果として気温が約二度低下するとされており、都のモデル事業によるアンケート調査でも、約八割の方が涼しいと回答するなど、暑さ対策の有効な手法の一つでございます。
 東京二〇二〇大会に向けた暑さ対策推進事業では、平成二十九年度から、中央区など四エリアで、微細ミスト等を整備する自治体や事業者への補助を実施してまいりました。
 今年度はエリア数を倍増し、マラソンコースの折り返し地点であり、観光名所でもある浅草雷門付近を含む台東区を初め、四エリアにおいて整備を進めてまいります。
 こうした取り組みなどを踏まえながら、東京二〇二〇大会のレガシーとして、大会後も都民や観光客等の暑さを和らげる微細ミストの普及を促進してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 東京二〇二〇大会に向けたテストイベントにおける飲み水、水道水の提供についてでございますが、当局では、関係局等と連携し、この夏のテストイベント時に、暑さ対策として設置される休憩所におきまして、水分補給のための水道水の提供を試行いたします。
 この試行では、大きさや形の異なる複数の紙コップを用意し、水を飲む利用者の割合、量、頻度、さらには使用後の紙コップの効果的な回収方法等について検証を行ってまいります。
 また、先月のU20メイヤーズ・サミットでも好評を得ました、マイボトルにも注げる可動型水飲み栓を活用し、水道水の安全性や品質の周知、環境配慮行動の促進に向けた工夫を行ってまいります。
 今回の試行で得られますデータなども踏まえまして、東京二〇二〇大会の暑さ対策として、より効果的、効率的に水道水の提供を行えるよう、検討をさらに進めてまいります。

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