令和元年東京都議会会議録第十一号

   午後三時十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十番関野たかなり君。
〔四十番関野たかなり君登壇〕

○四十番(関野たかなり君) 多様化する教育方法についてお伺いします。
 同世代の子供たちと比べても並外れた成果を出せるほどの突出した才能を持つ子供のことを、ギフテッド、タレンテッド、ジーニアスなどといいます。
 これらのすぐれた資質を持つ子供は、学問、芸術性など多岐にわたる分野において高い潜在能力を持っております。このようなすぐれた資質を有する子供たちの力を伸ばすには、通常の学校教育とは異なる特別な教育や接し方が必要になります。
 ギフテッドなどのような子供たちの発見については、教育専門の博士、臨床心理士や教育スペシャリストなどの豊富な知識や経験による判断が必要であります。ギフテッドの中には、発達障害や学習障害、いわゆる2Eの方もおりますが、専門家でなければ、その見きわめは難しいところであります。
 平成二十七年六月に行われた文科省の教育課程企画特別部会でも、単なる平等だけではだめ、そういった飛び抜けた優秀な子供、あるいは、アンバランスはあるけれども高い能力を持っている子供たちの教育を行っていくことも、教育の公平性、公正性の担保であり、必要だと思っていますとの発言もありましたが、結果的には、国は取り入れておりません。
 小池知事は常々、国がやらなければ東京がやるとおっしゃっております。所信表明においても、人の力を最大限に引き出すや、世界に羽ばたくグローバルな人材育成に向け、より高度な学習の機会を提供するとも発言をされました。
 現在のままだと、このようにすぐれた資質を有する子供は日本から海外へ流れてしまうこととなり、ひいては、研究成果や発明などが海外の実績となり、将来的には日本の利益を損なうおそれもあります。
 そう考えると、日本国内でも専門の教育方法の導入が必要と考えますが、すぐに確立できるものではないため、まずは導入に向けての研究を行い、特区を用いて実施をするか、知事会などで同意してもらい、国へ提言することが必要と考えております。
 この点については要望といたしますが、今後、東京の発展の原動力である人の力を最大限に生かすために、すぐれた資質を有する子供たちの力を伸ばす教育が重要であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、主権者教育についてです。
 現在の校則においては、学校長の責任で変更が行われる状況にありますが、近年の変更などは少ない状況にあります。
 理由としては、今までの校長がつくってきた校則を変えるのが難しい、面倒などの意見が多くありました。
 また、一時期問題となったモンスターペアレンツ対策として、校則を変更したなどの対応もある中、教育基本法でも、幅広い知識と教養、自律の精神などと書かれていることを考えると、自主性、自立性を育てるため、生徒自身が守らなければならない校則などについても意見を述べられる状況をつくり、生徒のみならず、親、地域の意見をもとに、生徒会の責任で校則の変更を学校長へ要望できるよう、生徒会などで検討を行うことの研究が必要と考えております。もちろん権利には責任が付随するということが前提であります。
 また、国においては、二〇一六年に選挙権年齢を二十歳以上から十八歳以上に引き下げる法改正の趣旨に、若い世代に未来の日本のあり方を決める政治に参加してほしいという意図があるとの話もあることから、選挙権年齢が近い高校生などに校則変更提案が可能になることで、自分たちの意見が少しでも受け入れられ、変更されることを体感できることにより、自主性を育て、政治参加をしやすくすることも一理あるとしての質問です。
 そこで、都立高校における主権者教育の中で、生徒の自主性や自立性を育み、自分の意見を表明することを通して、自分や集団、地域などの課題を主体的に解決していく能力を身につけることが重要であると考えますが、都教育委員会の取り組みと考えをお伺いいたします。
 次に、消防団の福利厚生についてです。
 日々の仕事に従事する傍ら、災害時の初期消火や救出救助活動など、地域に根差した活動を行う消防団の役割は極めて重要であります。団員の確保に向けては、PRの強化だけでなく、報酬や福利厚生の充実など、活動環境の整備を含めた多面的な取り組みが不可欠でありますが、消防団においては、特別区に関しては東京消防庁が、多摩・島しょの地域においては各市町村がその事務を行うこととされており、消防団員に対する支援の内容は市町村ごとにさまざまであります。
 例えば、消防団員の確保に向けた募集活動なども、東京消防庁や各市町村がそれぞれ実施しているため、その取り組み内容にばらつきがあると聞いております。
 一方、福利厚生の面では、消防団員が登録した店舗などで割引サービスを受けることができる消防団応援の店事業を一般社団法人東京都消防協会が提供しており、都内の消防団員が一律で利用できるサービスとなっております。
 しかし、飲食店が中心であり、遊園地や映画館など娯楽施設や美術館などの文化施設、公共交通機関などでの利用割引はまだまだ少ないと聞きます。都立、私立を問わず、こうした施設でも割引などが受けられるようになれば、消防団の福利厚生の充実にも資するし、施設側にとっても入場者の増加につなげられるのではないかと考えます。
 いずれにせよ、近年は団員の年齢も高齢化していると同時に、以前ならば、地元店主など自営業者や地域で働く団員が多かったですが、現在は、被用者、いわゆるサラリーマンも多くなってきており、また消防団員の総数も減少傾向にあります。今後、本格的な人口減少、超高齢化社会を迎えるに当たり、消防団員の確保はこれまで以上に難しい状況を迎えることが想定されています。
 そこで、都として、市町村などとさらに連携して消防団員の確保に努めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、動物愛護法改正への対応についてです。
 今国会において、超党派の議員連盟の動物愛護法改正案が本日、参議院を通過しました。
 改正案には、ペットショップなどに対する犬猫のマイクロチップ装着の義務化、生後五十六日を経ない犬猫の販売禁止、飼育施設での繁殖回数に関する数値規制などの内容が盛り込まれています。
 今回の改正案の柱の一つは、マイクロチップの装着であります。これは、大地震など震災時に保護された犬猫の飼い主や、犬猫の盗難防止にも役立つとされております。また、飼い主責任を明確化する目的としても有効であり、犬猫の遺棄の未然防止にもつながります。
 一方、ペットの飼育に無責任な飼い主を減らすためには、マイクロチップによる責任の明確化ではなく、飼い主自身が動物を飼うことの責任を自覚することが重要と考えます。
 そこで、無責任な飼い主を減らすためには、飼い主への適正飼養、終生飼養を徹底させるべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 また、こうした飼い主の意識を高めるとともに、都の殺処分ゼロを達成してきた取り組みと蓄積を全国に広げるため、ガイドラインとして取りまとめるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 これは意見としてですが、今後、技術革新が進み、動物のDNA登録が広く普及されれば、どの個体から繁殖したかがわかり、事業者や飼い主の特定が可能になるのではないでしょうか。そうすれば動物が無責任に捨てられることなく、動物もより幸せに暮らすことができる社会がもたらされると期待しております。
 一方で、動物を嫌いな方もいることを忘れてはなりません。そのため、現状、どこでもとはいきませんが、動物を飼う全ての方が最後までペットを飼い、しっかりとしたしつけができるようになれば、今よりも多くの場所でペットと楽しい時間を過ごすことができると考えます。
 次に、ゼロエミッション東京についてです。
 本年五月、都が議長都市として開催したU20メイヤーズ・サミットで、知事が二〇五〇年にCO2実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現すると宣言いたしました。
 世界でも、パリ協定の一・五度目標を追求する動きが活発化しており、既にロンドンやロサンゼルスなどが二〇五〇年までにゼロエミッションとする目標を打ち出しております。
 一方で、日本政府は、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)で、二〇五〇年までの温室効果ガスの排出を八〇%削減、今世紀後半の早い時期までに実質ゼロとしており、都が国に先駆け意欲的なビジョンを打ち出し、世界の大都市としての役割を果たす意義は非常に多いと考えます。
 そこで、二〇五〇年にゼロエミッション東京を目指すというのは非常に高い目標であり、この実現には、都の今後の施策構築ももちろん重要ですが、まずは都民、住民、事業者の皆さんに都のビジョンに共感してもらい、一緒に行動してもらうよう、多様な主体を巻き込んでいくことが重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、水素エネルギーの情報発信についてです。
 ゼロエミッション東京の実現のためには、再生可能エネルギーの普及拡大や省エネルギーの推進に加え、水素エネルギーの活用も重要と考えております。水素エネルギーは、燃料電池自動車などモビリティー分野で利活用が広まりつつありますが、産業分野や電力分野などにおいて大きな可能性を持ちます。
 また、水素蓄電も活用し、再生可能エネルギー由来の水素エネルギーの利用が広まれば、CO2の削減に大きく貢献ができます。
 しかし、水素エネルギーの多様な可能性について、都民や事業者に十分に周知されているとはいいがたい状況にあります。
 都は、こうした水素エネルギーの将来性について、企業とも連携を図りながら、積極的に情報の発信をしていくべきと考えますが、今後の取り組みを知事にお伺いいたします。
 先ほどのペットのところで時間がないので飛ばしましたが、やはり発言をしたいと思いました。
 世界には、ペットに理解のある国は多く、しつけができていることで、ペットと電車に乗れる国も多くあります。日本では、まだ難しい状況にあります。もちろん、日本でもペットバックに入れれば可能となっている鉄道会社もあるなど、少しずつ理解が浸透しております。
 私は、人と動物との調和のとれた共生社会を実現するため、さらなる議論や研究が進むことを願っております。
 以上をもちまして私の一般質問を終わりにいたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 関野たかなり議員の一般質問にお答えいたします。
 すぐれた資質を有する子供たちの力を伸ばす教育についてのお尋ねがございました。
 教育は、未来を担う子供たちの人生の礎となるものであり、全ての子供たちが学び、成長し続けられますよう、きめ細かな教育を進めることは重要であります。
 それとともに、グローバル化の進展など、加速度的に変化する今日の社会状況におきましては、子供たちが有する特質を伸ばして、新しい価値を創造する力を育む教育を推進することも大切であります。
 現在、教育委員会では、子供たちの理数に対する意欲や、また能力を伸ばすために、小学生科学展や中学生科学コンテスト、高校におきましては理数研究ラボ等を実施いたしております。都立高校生の中には、国際的な科学技術コンテストに参加をして優秀な成績をおさめた生徒もいます。
 また、障害のある子供たちの美術的才能を引き出すことを目的といたしまして、大学と連携をしてアートプロジェクト展を開催いたしております。特別支援学校の卒業生の中には、国内外で芸術的な能力を認められて活躍している人物もおられます。
 こうした取り組みの成果などを踏まえまして、今後もすぐれた資質を有する子供の力を伸ばす教育の一層の充実に向けて、教育委員会とも力を合わせて取り組んでまいります。
 次に、水素エネルギーの情報発信についてのご質問がございました。
 水素は、利用の段階で二酸化炭素を排出しない、また、太陽光発電による水の電気分解やバイオマスなどからも製造できますので、環境の面でも、エネルギーセキュリティーの面におきましても、将来性の高いエネルギーでございます。
 こうした水素エネルギーの普及につきましては、都民や事業者にその大きな可能性を伝えていくことが重要と考えます。
 都はこれまで、セミナーの開催や動画の配信などでPRを行ってまいりましたが、今後は、都と百以上の水素関連企業等で立ち上げましたTokyoスイソ推進チームでの情報発信をより一層強化してまいります。
 今年度は、羽田空港など人が多く集まる場所におきまして、最新型の燃料電池を展示するとともに、公園などで再生可能エネルギー由来の水素を活用いたしまして、ライトアップ等を実施するなど、先進技術の発信を行ってまいります。
 また、東京二〇二〇大会後のまちづくりで水素エネルギーを活用する選手村地区でも、大会時に日本の環境技術をPRしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都民に水素エネルギーの将来性を実感していただいて、さらなる利活用の拡大につなげてまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立高校における主権者教育の取り組みについてでございますが、高校生が国家、社会の有為な形成者となるためには、社会の課題を自分のことと捉え、多面的、多角的に考察し、主体的に判断する能力を育成することが重要でございます。
 そのため、各学校では、国や都教育委員会が作成した有権者としての自覚を促す指導資料や、複数の全国紙等を授業で活用するなどして、生徒同士の活発な意見交換を促し、公正な判断力を育んでおります。
 また、ホームルーム活動や生徒会活動等で学校や地域の課題を扱い、集団や社会に主体的に参画しようとする態度を培っております。
 今後、都教育委員会は、こうした取り組みへの支援を継続するとともに、生徒の発案による選挙への投票を住民に促す活動など、すぐれた実践事例を全都立高校に発信するなどして、主権者教育の一層の充実を図ってまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 消防団員の確保に向けた取り組みについてでございますが、消防団は、地域防災力のかなめとなる存在であり、災害時に一人でも多くの命を救うためには、地元を熟知し、即時対応力のある消防団員の人材確保が重要でございます。
 一方、都内消防団の充足率は低下傾向にあり、特に若い世代の入団促進や定着支援が課題となっております。
 このため、都では、市町村等の取り組みを補完する立場から、防災ツイッターや鉄道の中づり広告等を効果的に活用することで、市町村等の団員確保活動を支援しております。
 今後、消防団員の確保が一層厳しい環境を迎える中にあっても、各市町村等が必要な団員数を確保できるよう、都は引き続き、市町村や消防団員のニーズを的確に捉え、入団促進に向けた情報発信や活動環境の整備等、さまざまな観点から団員確保活動を支援してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 動物愛護政策に関するご質問にお答えいたします。
 まず、動物の飼い主への啓発についてでありますが、動物が人と一緒に生活する存在として社会に受け入れられるためには、飼い主が社会的責任を十分に自覚して、動物を適切に飼うことが必要であります。
 このため、都は、動物の飼い方に関するパンフレット等を作成し、イベントや講習会等で配布するなど、適正飼養、終生飼養についての啓発を行っているところでございます。
 また、昨年十一月には、東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょうをリニューアルし、飼い主に役立つ情報や理解しておくべきことをわかりやすく説明したページを新設し、情報提供を充実しております。
 今後とも、区市町村、動物愛護団体、ボランティア等の関係者と連携をしながら、適正飼養、終生飼養の徹底に向け、動物の飼い主への普及啓発を進めてまいります。
 飼い主による適正飼養、終生飼養の徹底は、動物の殺処分ゼロを継続していく上での基本となることであり、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向けて、引き続き、動物愛護政策の充実に取り組んでまいります。
 次に、ガイドラインについてでありますが、都は昨年度、都民やボランティアの方々の協力を得て、殺処分ゼロを達成いたしました。お話のように、こうした取り組みを広めることは飼い主への普及啓発においても意義があるとともに、同様の取り組みを進める他団体の参考にもなると考えております。
 都は、これまでの取り組みや蓄積したノウハウを、獣医療の専門家やボランティアの意見も参考としながら、年度内にガイドラインとして取りまとめ、広く発信してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) ゼロエミッション東京に向けた取り組みについてでございますが、気候変動は、あらゆる主体の活動に起因し、その影響を受けることから、事業者、都民、区市町村、NGOなどが幅広く問題の解決に参画することが必要でございます。
 今後、都は、具体的戦略をまとめてまいりますが、まずは都庁みずからがプラスチックの削減やZEVの導入対策などを実践し、先導役となって、多様な主体に協力を求めてまいります。
 七月には、新たに専用のホームページを立ち上げ、省エネや資源循環など、あらゆる分野の取り組みを一括して紹介するとともに、対策の必要性や取り組み事例をわかりやすくまとめたパンフレットを企業や大学に送付するなどにより協力を呼びかけ、行動を喚起してまいります。
 都民や事業者の共感と協力を得ながら、大きなムーブメントを創出し、ゼロエミッション東京を目指してまいります。

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