令和元年東京都議会会議録第十号

○副議長(長橋桂一君) 百二十番三宅正彦君。
〔百二十番三宅正彦君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百二十番(三宅正彦君) 令和元年第二回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問を行います。
 初めに、本年五月一日、天皇陛下が御即位され、令和の時代が幕あけしました。
 我が党は、令和の時代が平和と希望に満ちたものとなるよう、これからも都民生活の安全・安心を守り、都政運営の安定と発展に向けて、全精力を傾注していく所存であることを申し上げて質問に入ります。
 まず初めに、築地まちづくり方針について伺います。
 築地跡地利用に関して、さきの第一回定例会では、築地に市場を整備するとした知事発言の変節については、都民が納得するような説明や答弁がなされることはありませんでした。
 ところが、知事は、一定終了の翌日の三月二十九日に、築地まちづくり方針を突然発表しました。議会が閉会した翌日に素案を書きかえ、築地に市場はつくらないと明文化し、食のテーマパークのかわりに食文化という文言をちりばめた方針が、都の方針として発表されたのです。なぜこのような変更が加えられたのか、事前に都議会には一切説明がありませんでした。
 つまり、このまちづくり方針は、知事の変節と矛盾を、都の方針という形で既成事実化したものであるといわざるを得ません。
 そして今後、この方針に基づいて、築地跡地の再開発事業を都事業として進めていく上で非常に重要な課題である財政計画が不明なままです。
 都は、約五千二百億円もの税金をかけて跡地を取得し、その経費について、毎年百五十億円の賃料を五十年間にわたって回収するという収支見通しを示していましたが、それはあくまで試算であり、実行はしないとのことです。
 それでは、この都税収入の一割にも匹敵する約五千二百億円もの投資をどのように回収するのでしょうか。都民にツケを回すことは許されません。
 そこで、今後、東京都はどのような財政的裏づけを持ってまちづくりを進めていくのか、都の財政運営全般を所管する財務局長に伺います。
 あわせて、都は、この再整備計画を民間公募手法によって進めていくとして、中期、長期の定期借地などを想定しているとしています。しかし、どの程度の規模と期間を想定しているのか一切示されていません。
 知事は五年以内には着手すると公言していますが、開発を進めるには、土壌汚染対策、埋蔵物調査などの対策も必要です。こうした開発に必要な条件整備に要する年月も未確定なまま、整備計画の財政基盤である定期借地の内容も不明確な状態で、ゼロ段階から第四段階という曖昧なイメージだけで、とにかく五年以内に何か具体化するといったつじつま合わせの対応は、東京の将来に禍根を残すことになりかねません。
 東京の将来に大きな影響を与える築地跡地の再整備事業でありながら、その方針は余りにも漠然としています。
 都市整備局は、一体どのようにして築地再整備を進めていくのか、具体案を都民に示すべきです。見解を伺います。
 次に、卸売市場法改正を踏まえた条例改正と経営計画の策定について伺います。
 改正卸売市場法が来年六月に施行されることに伴い、現在、中央卸売市場条例の改正に向けた検討が進められています。現在の各市場の運営は、その多くが中小零細事業者である市場業者によって支えられてきたという経緯があります。市場法改正という大きな変化がある中、各市場業者が安心して事業を行えるよう十分な配慮が必要です。
 法改正への対応については、取引に関係する業界団体の理解を得ながら進める必要があり、また、経営計画の策定についても、各市場の市場業者の意見を踏まえながら進めていくことが求められます。
 業界との丁寧な調整が必須である以上、拙速に検討を進めることは避けるべきであり、丁寧に時間をかけて進めていくことが重要ではないかと考えます。
 法改正に伴う取引状況の変化も見込まれる中、改正法の施行からわずか九カ月程度で経営計画が策定されることになるため、計画の内容が、こうした状況変化に即したものとなるのかどうかが懸念されるところです。条例改正後の状況を踏まえない経営計画が策定されると、実態にそぐわない計画に市場業者が縛られてしまうような状況を招くおそれもあります。
 条例改正により取引状況の変化も見込まれる中、今後の経営計画の策定に当たり、こうした状況変化にどのように対応していくつもりか、お伺いいたします。
 次に、中央卸売市場の活性化について伺います。
 豊洲市場への移転は、知事の決断により大幅なおくれが生じました。豊洲の開場後は、自分たちの市場にようやく手が回ってくる、こう期待していた他市場の事業者は、さらに二年間の我慢を強いられることとなったのです。市場機能を発揮させるためには市場業者の努力が必要ですが、施設整備によるところが大きく、その責任は開設者である都にあります。
 閉鎖型の定温管理がなされた豊洲、その一方で地面に穴があき、水たまりができたり、動かないエレベーターが放置されたりなど、老朽化が深刻な他の市場、環境の違いは明らかです。しかも、使用料などの負担が同じでは、市場業者の不満は当たり前。加えて、知事は今月、淀橋、足立市場を視察し、これからの活性化に向けた方法を模索すると述べられたようですが、今さら模索かとの声が出てくるのも当然です。
 豊洲以外の中央卸売市場においても、都は開設者の責任として、市場施設の整備、更新を遅滞なく進め、活性化を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、豊洲市場のにぎわい創出について伺います。
 現在行われているにぎわい創出事業は、本来は万葉倶楽部が行っているはずのものであります。知事の移転延期とその後の築地再開発に関する発言が原因となって、万葉倶楽部の事業着手がおくれたという事実の重さを再認識すべきです。
 一方、万葉倶楽部としても、事業着手を東京二〇二〇大会後にすることができ、結果的に建築費の高騰を避け、事業計画を練り上げることができる状況になっているのだと思います。
 ただし、ここで忘れてはならないのは、本来、千客万来施設は市場の移転と同時に開業しているのが、都と地元区との当初の約束であるということです。また、万葉倶楽部は、施設工事の着工が一年半後になるとはいえ、既に千客万来施設事業の事業者であるという事実であります。
 こうした経緯等を踏まえると、千客万来施設が開業する六街区で行われているにぎわい創出事業に対し、万葉倶楽部が全く協力しないというのは、ある意味不自然です。
 今後五十年間の長きにわたり事業を行うのであれば、着工する以前から積極的ににぎわい創出に関与し、地元江東区や豊洲市場を訪れる都民に親しまれる存在になろうとすることが重要であると思います。
 都は、千客万来施設の開業を見据えて、事業者である万葉倶楽部により積極的な協力を求め、彼らを巻き込んでにぎわい創出の取り組みを進めるべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、東京二〇二〇大会について伺います。
 まず、聖火リレーについて伺います。
 先日、都内のオリンピック聖火リレールートの概要が発表され、都内は島しょ地域を含め全六十二区市町村で行われることが明らかになりました。
 これまで我が党は、全区市町村での聖火リレーの実施を要望してきており、実現したことを大変喜んでいます。ランナーだけでなく、聖火リレーのボランティア等の検討も行い、多くの人の参画と協力のもと、歴史に刻まれるすばらしいものとなるようにしていただきたいと思います。
 聖火リレーは、大会に向けた機運醸成の総仕上げとなります。ロンドンや平昌などの過去の大会では、聖火リレールートの沿道にフラッグやのぼりなどを設置し、開会式につながる道のりを装飾したと聞いています。
 日本でのオリンピック聖火リレーが始まる三月二十六日まであと三百日を切りました。聖火リレーの実施に向けてさまざまな準備も佳境に入ってきますが、区市町村との連携など、ルート装飾への取り組みを着実かつ積極的に進めていく必要があります。
 そこで、都としてどのように聖火リレーの装飾に取り組むのか、見解を伺います。
 次に、二〇二〇大会の輸送について伺います。
 都はこれまで、大会時の交通量の削減に向け、多くの企業や団体に働きかけています。
 その結果、本年四月に東京商工会議所が実施したアンケートでは、約八割の企業が協力の意向を示している一方、来年の夏に向けた具体的な対策はまだこれからという企業がほとんどであるという実態が示されています。
 その原因の一つとして、大会時の交通規制がどのようになるのか、どこが通行できなくなるのかなどの詳細な内容が明らかにされていないため、具体的な影響がわからないといったことから、検討が進んでいない状況であると思われます。
 我が党は、以前から、大会成功の鍵は円滑な輸送の実現にかかっており、これまでも早急に輸送運営計画を公表するよう主張してきました。
 この四月にはようやく輸送運営計画V2案の骨子なるものが出てきましたが、その内容は目次しかなく、検討に値するものではありませんでした。
 交通規制や追加対策など、大会輸送にかかわる事項について、企業や都民からも早期に提示するよう声が上がっており、企業の取り組みを後押しするためにも、早急に具体的な輸送計画を示すべきと考えます。
 輸送運営計画策定の見通しについて伺います。
 また、大会一年前を迎えることしの夏は、大会本番を見据えたさまざまなトライアルを実行できる最初で最後の機会となります。この貴重な機会を捉えて、安全な観客誘導や円滑な大会関係者の輸送など、来年の大会本番を見据えたさまざまな検証を行うことが重要であると考えます。
 しかしながら、夏の期間に行われるテストイベントは限られており、こうした検証が十分に行われるのか不安でもあります。
 この夏のトライアルにおいて、大会輸送に関してどのような検証を行い、来年の大会本番に向けた取り組みに生かしていくのか、見解を伺います。
 次に、二〇二〇大会の開催期間中におけるビジネス航空への対応について伺います。
 大会時におけるビジネス航空機の受け入れについては、かねてから我が党が都議会で取り上げてきましたが、現在、国を中心に、羽田空港及び成田空港での対応を基本とした環境の整備が進んでいると聞いています。
 一方で、ビジネス航空機の飛来が集中する大会開会式前後においても円滑な大会運営が図られるよう、二〇二〇大会の開催都市である都においても、ビジネス航空の受け入れ準備を進めていく必要があります。
 例えば、都営の大島空港は、羽田空港から航空機でおよそ二十分と近く、ジェット機の飛来に対応できる千八百メートルの滑走路を有していることから、その活用が期待されます。
 そこで、二〇二〇大会時の都営大島空港におけるビジネス航空への対応について、都の具体的な見解を伺います。
 次に、臨海部の盛り上げについて伺います。
 オリンピックパークのない東京二〇二〇大会においては、アーバンスポーツを中心に多くの競技会場や大会スポンサーのパビリオンなどが集まる臨海部が実質的なオリンピックパークといえます。
 臨海部の青海から有明地区に至る、聖火台も設置予定のこのエリアについては、オリンピックプロムナードの名称も検討されていると聞いています。東京大会の象徴的なエリアとして、名称も含めて早急に検討し、盛り上げに取り組んでもらいたいと思います。
 四月に発表された東京二〇二〇ライブサイト等基本計画では、臨海部は、いわゆるオリンピックパークともいえる大会の象徴的なエリアとして、組織委員会が中心となって盛り上げるとしていますが、当該地域の盛り上げに都としてどのように協力していくのか見解を伺います。
 ラグビーワールドカップの開幕まで残り百一日となり、九月二十日の開幕戦を皮切りに、全国十二都市で熱戦が繰り広げられることとなります。
 東京では、東京スタジアムにおいて、開幕戦や日本代表戦を含む、全国で最も多い八試合が行われることとなっており、チケットの売れ行きも大変好評で、入手が困難な状況であると聞いています。
 そのような中にあって、ファンゾーンに対する期待はますます高まるものと考えられます。
 特に有楽町に設置されるファンゾーン区部会場は、買い物客や観光客など外国人を含む多くの人が行き交っており、こうした人々をファンゾーンにも足を向けてもらうためには、地元や出場国の関係者などにも協力をいただきながら、区部会場とは別に駅前などでも盛り上げを行っていかなければなりません。
 ラグビーワールドカップのファンゾーン区部会場のみならず、駅前広場などの会場周辺においても盛り上がりを高め、集客を図ることが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、千キロメートル縦断リレーについて伺います。
 東日本大震災からの復興への願いを込めたたすきを青森から東京へつなぐ本事業は、ことしで七回目となりますが、いよいよ二〇二〇年に向けてラストランになると聞いています。全国の方々がたすきに託した復興への思いを、ぜひとも来年の聖火リレー、東京二〇二〇大会の成功につなげていただきたいと思います。
 また、我が党は、大会招致を含め、開催に向けてご協力いただいた全国の皆様に対し、開催都市である都が感謝の意を示すべきと常々申し上げてきました。
 例えば、大会の盛り上がりを波及させるために、翌年に、東京からスタートし東北でゴールするような縦断リレーを行うのも一案です。
 この千キロメートル縦断リレーでは、これまでの事業を通じて、被災地と強いきずなを築いてきたと思われますが、これをレガシーとして生かし、二〇二一年度以降も東北復興をさらに後押しするため取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、働き方改革について伺います。
 今年度から働き方改革関連法が施行され、来年度からは中小企業にも適用されることになっています。働き方改革は、労働生産性の改善につながるものであり、重要な課題であると認識しておりますが、人手不足が深刻化している中小企業にとっては、働き方改革は簡単に進められるものではありません。
 都は、東京二〇二〇大会期間中の混雑緩和に向け、二〇二〇TDM推進プロジェクトとして、大会期間中の人の移動を減らすことや、物の輸送の場所、ルートを変えることなどを企業や経済団体に要請していますが、残業を減らすなど、働き方改革を進めなければならない中小企業には多くの課題があります。
 例えば、仕事を早朝、夜間にシフトすれば、労働時間の問題だけではなく、コストアップにも直結することとなりますし、家族経営の小規模零細企業にとっては、ふだんの仕事の時間を変えること自体難しいかもしれません。現在、経済団体や業界団体などからは、このような不安や懸念の声が届いています。
 都は、こうした声に応えて、中小企業の働き方改革が円滑に進むよう、国とも連携して支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、犯罪被害者の支援について伺います。
 先月、川崎市で起きた殺傷事件は大きな衝撃でありました。亡くなったお二人から大切な人生を奪い、他の多くの子供たちを傷つけたその卑劣な行為には憤りを禁じ得ません。事件を繰り返さないことはもちろん、こうした犯罪被害に苦しむ方々を、官民のさまざまな主体が支える社会を我々は目指すべきです。
 これまで我が党は、被害者やそのご家族への支援に取り組み、例えば、性犯罪被害者の早期救済など施策の充実も実現してきました。我々は、条例を制定する意義について否定はいたしません。しかし、都には十年以上にわたり支援計画に基づいた施策を進めてきたれっきとした事実があります。なぜ今になって条例なのか、知事は説明を尽くすべきと考えます。とりわけ、支援に取り組んでいる区市からは、都の条例によってどういった影響があるのかわからず、困惑の声も聞こえております。
 支援の最前線を担う区市町村から不満や不信を招くようなことのないよう丁寧に情報提供や意見聴取を行うべきでありますが、知事の所見を伺います。
 次に、東京都再犯防止推進計画素案について伺います。
 我が国では、検挙人員に占める再犯率が上昇しており、安全・安心な社会を構築する上で再犯防止が大きな課題となっています。
 そして、犯罪をした者の多くが定職や住居を確保できないなどの理由により社会復帰が困難なことを踏まえ、平成二十八年に再犯防止法が施行されました。
 この法律では、再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、国及び地方自治体は相互に連携を図り、自治体においても、再犯防止推進計画策定の努力義務が求められました。
 都も策定準備を進め、今年度から五年計画で事業を始める予定でしたが、知事による唐突な組織改編により、計画策定や施策の準備がおくれており、現在パブコメ中で、早くても来月中旬以降に公表とのことであります。
 推進計画素案における基本的な考え方として、犯罪をした者たちが円滑に社会復帰ができるよう、保護司などの民間支援機関や区市町村との連携が掲げられていますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、高齢者の運転免許証の自主返納について伺います。
 高齢運転者によるたびたびの交通事故により、今、高齢運転者による交通事故防止対策が急務となっています。
 政府では、安全機能つき車種のみに限定した高齢ドライバー専用の新しい免許制度の創設を検討しているとのことですが、効果のある対策の一つとして運転免許証の自主返納があります。
 高齢者の運転免許証の保有理由は人それぞれではありますが、自身の運転能力を見きわめ、能力、体力等の低下、限界を感じた際には、積極的に運転免許証を返納することで、事故の防止を図るだけではなく、返納者を含む家族全員が、事故の当事者になるかもしれないという懸念が払拭できる最善の策であります。
 そのため、今、警視庁に求められていることは、高齢者による運転免許証の自主返納について、より一層の働きかけや返納後の支援等であります。
 警視庁は、高齢者による運転免許証の自主返納について、現状の取り組みに加え、今後どのような取り組みを行っていくのか見解を伺います。
 次に、防護柵の整備について伺います。
 昨今、とうとい命が奪われる交通事故の発生が頻発しています。先月、大津市で発生した事故などの検証では、防護柵のあり方がメディアに取り上げられました。
 都道においてはイチョウ形の防護柵が設置されていますが、横断抑止目的の柵であり、車両の衝突に耐えられるものではありません。加えて、老朽化も進行し、強度低下も懸念されているのが現状です。
 そこで、都が設置している防護柵を、歩行者の安全がしっかりと確保できる強度の物へと取りかえるなどの取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、防犯カメラの設置について伺います。
 本定例会には、暴力団の資金源となっているみかじめ料などの断絶を目的とした東京都暴力団排除条例の一部を改正する条例案が提出されています。
 同条例案は、都内二十九地区を暴力団排除特別強化地域として指定し、同地区を中心に、暴力団排除に向けた対策を強力に推進されると思われますが、これらの地区は、都内の主要な繁華街であることから、暴力団対策とあわせ総合的な治安対策の推進も不可欠であり、さらには、防犯カメラの設置を促進することで、より一層効果的な対策が行えると確信しています。
 防犯カメラの設置、運用に関しては、プライバシーの問題等慎重な検討が求められていますが、防犯カメラの果たす役割は、日に日に増している状況であることから、警察が管理する防犯カメラの設置を今後促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、島しょ地域の振興について伺います。
 昨年、日本に返還されてから五十周年を迎えた小笠原諸島は、世界自然遺産として広く知られ、世界から多くの人が訪れる島になりましたが、同じ小笠原村にある硫黄島の存在を忘れてはいけません。
 第二次大戦の最激戦地の一つである硫黄島では、軍属として残った住民も含め、日米合わせておよそ二万九千人の戦死者が出ました。現在も日本人戦没者の未帰還遺骨は一万柱以上あるといわれており、国による収集帰還への取り組みが行われているところです。
 そのような中、毎年、都が実施している硫黄島戦没者追悼式については、希望する多くのご遺族が参列できない状況にあります。
 そこで、できるだけ参列者数を拡大すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 硫黄島については、戦没者に焦点が当てられがちですが、昭和十九年の強制疎開以前には、そこで生活していた住民もいました。強制疎開以降、帰りたくても帰れない状況に置かれた旧島民にとって、慰霊墓参に訪れることはせめてもの願いになっています。
 都では、宿泊を伴う墓参と日帰り墓参を年に一回ずつ行っていますが、定員が限られており、希望しても参加できない方々もいます。また、宿泊墓参は昭和十九年三月以前に島で生まれた旧島民の方々のみが対象とされており、その子孫たちは、本人に付き添う場合を除き参加できない状況にあります。
 そこで、硫黄島への墓参事業について、旧島民の二世、三世も宿泊墓参の対象に加えるなど、希望者の思いにより一層沿った形で実施できるよう、対象範囲の見直しも含めた拡充を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 本年三月、小笠原諸島振興開発特別措置法の五年間の時限延長が可決されました。小笠原村には、村民生活のさらなる安全・安心のための課題がありますが、特に航空路の開設は返還以来の悲願となっています。
 村民生活の安定、村の自立的発展、広大な排他的経済水域を抱える国境離島であることなど、国防の観点からも航空路の開設は不可欠である一方、自然環境への影響を最小限に抑え、自然環境と両立する現実的な航空路の開設を目指していくことも必要です。
 都においては、これまで航空路の開設に向けさまざまな検討がなされ、現在も引き続き調査が行われていますが、残念ながら成案には至っていない状況です。
 長年にわたり多くの調査を実施してきたことは承知していますが、今後、具体的な案をいつ示していくのか伺います。
 次に、旧こどもの城の取得、活用について伺います。
 経過を振り返りますと、広尾病院移転先としての用地取得に係る予算は、平成二十七年に全会一致で可決されました。しかし、病院構想は立ち消え、今年度予算に再び計上された結果、当初の取得費三百七十億円であったのが六百九億円にまで膨れ上がりました。
 本来あるべき手順は、まず都民福祉向上のために活用方針を具体的に定め、地元自治体とも丁寧に相談した上で取得の有無を判断すべきですが、知事の手法は全く逆です。これは、築地市場跡地と同じ構図であり、知事の思いつきにより都政が振り回され、後づけで理由を探す結果として都民負担がふえることがあってはなりません。
 活用の基本的考え方で示された仮称都民の城の中期利用の例示は、この立地条件で行う明確な理由とは思えませんが、六百億円超もの税金を投入する具体的な活用計画はどうなっているのか伺います。
 あわせて、地方への貢献に向けた機能を持たせるべきとの我が党の提案に対しても再度見解を伺います。
 なお、広尾病院の現地での再整備は、具体的な計画がいまだ示されていないことを指摘しておきます。
 次に、東京港の機能強化について伺います。
 東京港は、首都圏の生活と産業を支える重要なインフラでありますが、取り扱い貨物量の増加により物流効率が低下し、ふ頭周辺の交通混雑の発生につながっています。
 これまでも我が党は、中央防波堤外側ふ頭の整備を契機に、東京港全体の再編を行い、ハード、ソフト両面から戦略的に整備に取り組むべきだと主張してまいりました。
 東京港機能の課題は、ヤード面積の不足やレイアウトなどにあり、ストックヤードの増設による対策では根本的な解決には至りません。
 したがって長期的な視点に立った港湾施設の改良やIT技術などを活用した貨物情報処理の新たなシステムの導入等による物流の効率化を行い、東京港全体の機能強化を図るべきと考えます。このことは結果として、交通混雑緩和にも着実につながることとなるはずです。都の見解を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 今回、東京都住宅政策審議会から、都営住宅における管理制度等のあり方について答申が示されました。
 答申では、都営住宅の管理制度等のあり方について、子育て世帯への支援や単身者の入居制度、高齢者への生活支援サービスなど、具体的な施策展開の方向性が示されています。
 組織の改編により住宅政策本部の発足を機に、時代の移り変わりが激しい中で答申を生かすためには、時間を置くことなく示された施策を実行に移すことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 また、第一回定例会で我が党が主張した都営住宅での宅配ボックスの設置につきましては、このたび大手宅配業者と日本郵便の共同利用が発表され、その普及拡大に期待が寄せられています。
 改めて設置に向けた検討を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、廃プラスチック対策について伺います。
 廃プラスチック処理は、今や地球規模の重要課題です。我が国の産業廃棄物の廃プラスチック輸出量は、平成二十九年以前には、年間約百五十万トンでしたが、中国の原則輸入禁止など、東南アジア諸国の規制により約百万トンに減少し、結果として約五十万トンが国内滞留していると推計されます。
 先月、マレーシアでは、分別不十分を理由に、輸出国への返送といった事態も生じ、今後、廃プラの国内処理が一層求められます。
 こうした状況を受け、今年度どのような廃プラスチック対策を実施していくのか、都の見解を伺います。
 目先の対策のみならず、将来に向けた中長期的な取り組みも必要です。東京都廃棄物審議会の中間答申においても、プラスチックの持続可能な利用に向けた施策の方向性が示されたと聞いています。
 今後、廃プラの発生抑制と健全な産業廃棄物のリサイクルビジネスの振興、家庭から排出されるプラごみの再生利用に向けた区市町村による分別収集の促進など、具体的な取り組みを促進すべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、ゼロエミッション東京実現に向けた取り組みについて伺います。
 先月、知事は、Urban20の場で、二〇五〇年までにゼロエミッション東京を実現すると宣言しました。また、都庁推進会議を立ち上げ、全庁一丸で率先した取り組みを推進し、東京から世界を変えるなどと所信表明で言及されました。
 しかし、RE一〇〇といいながら、全庁舎ではなく第一本庁舎のみにとどまるなど、実現に向けた具体的な取り組みは全く見えてきません。単に高い目標を掲げるといったパフォーマンスではなく、実効性ある具体策を示すことこそが重要だと考えます。今後の取り組みを具体的にお示しください。
 次に、省エネの普及啓発について伺います。
 二〇〇〇年比の二〇一六年度都内エネルギー消費量を見ると、家庭部門のみに増加が認められます。世帯数の増加等が原因とされていますが、わかりやすい省エネ啓発が重要です。
 CO2削減は、そもそも地球温暖化抑制のための施策の一つです。地球温暖化により生じている台風の大型化や、近年頻発する集中豪雨等の異常気象、いつ被害を受けるかわからない大水害の原因であることを認識してもらう、こうした身近な危機を軽減するための省エネであるといった内容をわかりやすく説明することによって都民の理解を得るべきです。
 SNSなども含め、広く普及啓発をしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 受動喫煙防止条例について伺います。
 今定例会には、同条例の一部を改正する条例が上程されていますが、関係法令の改正による引用条文や文言の整理がその中身であります。
 我が党は、昨年の第二回定例会に本条例が上程される以前から、法令との整合性の確保を主張してきましたが、今回の改正条例の提案は、まさに拙速な条例制定が露呈した結果であるとまずは指摘しておきます。
 さて、いよいよ七月一日からは学校や病院、行政機関の庁舎などで喫煙場所の規制が行われ、九月一日からは店頭表示ステッカーの義務化が始まりますが、一方で、ほとんどの区市では、何らかのたばこ規制に関する条例が既に制定されており、分煙の仕切りがわかりにくい現状があります。
 かねてから知事は、実効性のある受動喫煙防止対策とするためには、区市町村との連携協力が不可欠と述べられていますが、現場では、不安を拭えるに至っておりません。
 改正健康増進法に、あえて上乗せ、横出しした内容の条例を制定した都は、現場を預かる保健所設置区市に対して支援を実施し、制定者として責任を果たすべきと考えますが、見解を伺います。
 ことし四月、知事は、平成三十年度に犬猫殺処分ゼロを達成したとの発表をしました。
 都の担当によると、新たな飼い主に譲渡するのは不適切であると分類した百四十六匹を殺処分しており、全ての殺処分をゼロにすることは不可能、努力で減らせる処分をゼロにするため、このような分類、集計方法に変更したとの説明がありました。
 しかし、他の自治体で策定されている譲渡不適切と判断する根拠となる基準やガイドラインが都では策定されておらず、適切な判断がなされた上での結果とは到底いえません。中には、殺処分ゼロと発表することが目的化して適切な判断が行えない自治体もあるのではないかとの指摘もあり、自治体の対応が疑問視されています。
 都は、こうした疑いのない結果を出すためには、少なくとも判断基準を示すなりガイドラインを策定する必要があると考えます。都の見解を伺います。
 在宅で生活する重症心身障害児者の家族に対する支援について伺います。
 地域包括ケアシステムで提唱される在宅療養は広がる一方で、障害者を取り巻く状況は、障害者本人の重症化や本人のみならず家族の高齢化も進んでおり、家族の負担感が高まっています。特に重症心身障害児者のように、身体的介助だけでなく、医療的ケアも必要な方を在宅で支援し続けることは容易ではありません。
 そのような状況の中、行政によるレスパイトケア施策の重要性が指摘されています。都は、病院や療育センターなどで短期入所の病床を確保し、家族の休養の確保に努めていますが、その数は十五施設、百三十床にとどまり、都内三千名に及ぶ在宅の重症心身障害児者への対応が極めて難しいのが現状です。
 重症心身障害児者の方々が地域で安心して生活を送るためには、本人に対する支援だけではなく、在宅生活を支える家族に対する支援の充実が重要と考えますが、都の見解を伺います。
 昨年六月の都市農地貸借円滑化法成立により、市街化区域において生産緑地を貸借できる制度が開始されました。この制度により、農地の担い手が必要な農家と耕作面積をふやしたい農家や新規農業参入者など、農地を借りたい方との組み合わせが可能となりました。
 都は、東京農業アカデミーを来年度から開設し、総合的な担い手育成体制の整備を図る中、今年度からは、農業者以外の新規就農者を育成する施策が開始されます。
 しかし、新規就農者は小さな農地で農業を始める場合が多いため、農産物の販売だけで生計を立てていくことは容易ではないのが現実であり、いわゆる農業の六次産業化など高い収益を上げる工夫が必要と思われます。
 新規就農者が、東京ならではの高収益な農業経営が実施でき、さまざまな都市農業の担い手が確保できるよう支援を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 さて、本年五月、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案が可決し、国の幼児教育、保育の無償化が十月に実施されます。
 区市町村においては、無償化の実施に向け、条例改正や対象児童の認定作業など、さまざまな準備を短期間のうちに進める必要があると聞いています。
 区市町村において無償化を円滑にスタートさせるためには、区市町村をしっかりと支援することが必要であると考えますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、英語教育について伺います。
 いよいよ小学校新学習指導要領の全面実施を迎え、小学校三、四年で外国語活動、五、六年で教科としての外国語が実施されます。グローバル化が急速に進展する中、次代を担う子供たちが世界を舞台に活躍していくためには、英語の力を身につけることが大切です。
 これまで我が党は、英語の指導力のある教員が授業を教えることが望ましい、また、教員の指導力の向上が必要ということを主張してまいりました。
 都教育委員会では、二十二学級以上の大規模校への英語専科指導教員の配置を進め、それ以外の学校にも講師を配置するなど、指導体制を整備し、研修についても充実を図ってきました。
 しかしながら、小学校では、英語の指導に対する不安がある教員もいると耳にしております。英語の教科化を来年度に控えた今、改めて小学校英語教育の円滑な実施に向けた都教育委員会の取り組みについて伺います。
 知事は、一年前、都庁の幹部数名とともに、特別秘書の専用車についても廃止されました。それから一年がたち、緊急時対応を理由に、幹部職員の車を再配置、そして理由なく特別秘書の車も再配置したのは事実です。
 今定例会の所信表明では、スムーズビズの一環として、庁有車の利用抑制を表明。こうした行き当たりばったり、まさに、ちぐはぐな思いつきは真意が不明で理解できません。特別秘書に専用車をつけた明確な理由を知事にお伺いいたします。
 最後に、新たな長期計画の策定について申し上げます。
 我が党は、東京を世界で一番の都市にするには、東京の将来の発展に道筋をつけるグランドデザインの策定が欠かせないと提言してきました。
 そして、都は、平成二十九年に、持続可能な都市づくりを長期的な視点で進めていくため、都市づくりのグランドデザインを発表したのです。
 もとより東京が、成熟都市としてさらに発展していくためには、こうしたハード面の計画に加え、ソフト面での長期計画を策定することで、ハード、ソフト両面にわたって東京の発展を推進していくことが何より重要です。
 この長期計画の必要性に関して、我が党は、昨年の第三回定例会において、知事就任から二年経過した今、直ちに、二〇二四年の先を見据えた長期計画の策定に着手すべき、このように提言しました。ところが知事は、策定済みの実行プランの政策をブラッシュアップしていくと答弁しただけでした。
 今回、知事は、六月四日の所信表明で、新たな長期計画(仮称)を二〇二〇大会のその先を見据えて策定することについて明らかにしました。我が党の代表質問から一年近くの時間が過ぎ、ようやく長期計画の策定を表明したのです。まさに遅きに失する対応です。
 東京の将来の発展を見据え、長期的視点に立って都政を運営していくのは都知事の責任です。
 知事は、任期も終盤になったこの期に及んでようやく長期計画策定を表明したのですが、ここまで時間を浪費した知事の責任は非常に重いといわざるを得ません。
 都政の課題解決と東京の発展に向けて喫緊の課題に適切に対応すると同時に、東京の将来を見据え計画的な都政運営に努めることは、都知事そして都議会の責任でもあります。
 都の長期計画の策定は、知事の対応のおくれで後手に回ってしまいましたが、都議会自民党は、この失われた時間を取り戻し、都民の皆様が東京の未来に夢を託せる長期計画となるよう、全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 三宅正彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、犯罪被害者等支援条例の制定についてのお尋ねがございました。
 区市町村は住民に最も身近な自治体として日々の生活に密接に関連する多様な施策を実施しており、犯罪被害者等の支援におきまして重要な役割を担っているところでございます。
 これまで都は、支援計画に基づき区市町村が行う支援の充実に向け、東京都総合相談窓口と区市町村窓口との連携強化、職員向けの研修等による人材育成、共催による広報啓発事業などに取り組んできたところでございます。
 これらの実績を踏まえた上で、都の被害者支援の姿勢を明確に示し、社会全体での取り組みをより一層進めていくため、条例の制定に向けた検討を開始したわけであります。
 条例案の策定に当たりましては、今年度実施する実態調査の中で、都への要望を丁寧に伺うとともに、区市町村と都で構成する連絡会の場で意見交換を行うなど、区市町村の意向を十分に把握しながら検討を進めてまいります。
 次に、ゼロエミッション東京に向けた具体的な取り組みについてのご質問。
 気候変動によります影響は既に危機的状況にあり、昨年公表されましたIPCC特別報告書におきましては、気温上昇をリスクの低い一・五度未満に抑えるためには、二〇五〇年ごろに世界全体でCO2排出を実質ゼロにする必要性が示されたところであります。
 世界におきましても、パリ、ロンドン、ニューヨークなどの大都市が二〇五〇年の実質ゼロを目指しております。そして、都は、世界の大都市の責務といたしまして、二〇五〇年に世界のCO2実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現することを宣言したところでございます。
 国におきましても、今世紀後半の早い時期までの排出実質ゼロを目標として、再生可能エネルギーの主力電源化や水素社会の実現などに取り組むこととしており、こうした動向も視野に入れまして、あらゆる分野での取り組みを展開してまいります。
 具体的には、これまでの省エネ、再エネ、そして水素の利用拡大策の強化に加えまして、持続可能なプラスチック利用やZEVの本格的な普及を図るとともに、企業戦略や革新的イノベーションを誘導、加速してまいります。
 都自身も、隗より始めよとして全庁一丸体制を構築いたし、プラスチックの削減やZEV普及の率先の活動を実施してまいります。
 今後、検討を重ねまして、年末には具体的な戦略を明らかにし、大義と共感の政策によって都民や事業者の皆様の活力を得て、ゼロエミッション東京を実現してまいります。
 最後に、特別秘書の専用車についてのお尋ねでございました。
 昨年二月の局長車等の見直しにつきましては、より効率的な運行体制に移行する観点から行いました。その後、大規模な災害の頻発や組織再編、さらには、来年に迫りましたオリ・パラの開催準備や新たな長期計画策定など都政を取り巻く状況の変化はご存じのとおりでございます。
 そこで、現場を抱えております市場長、病院経営本部長など一部の局長の専用車を配置、また、私を直接補佐してくださる立場にある特別秘書につきましては、その職責を十分に果たしてもらい、都政運営の円滑かつスピーディーな進行のために専用車の配置が必要と判断したものでございます。
 なお、今後、専用車につきましては、その時々の状況を踏まえまして、最も効率的な運行体制を採用すべきと考えまして不断の見直しを行ってまいります。
 なお、その他のご質問は、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、高齢者の運転免許自主返納に係る取り組みについてでありますが、警視庁では、ホームページへの掲載やチラシの配布のほか、交通安全運動等の機会を通じて広報啓発をすることで、自主返納への取り組みを周知しております。
 また、各警察署等にも高齢運転者やその家族に対する自主返納に関する相談窓口を設置しているところであります。
 さらに、運転免許を自主返納された方への支援方策といたしまして、企業等に対する高齢者運転免許自主返納サポート協議会への加盟促進等による優遇措置の拡充にも取り組んでおります。
 今後も、関係機関等と連携してさらなる方策を検討するなど、運転免許自主返納に関する取り組みを推進してまいります。
 次に、警察が管理する街頭防犯カメラの設置促進についてでありますが、警視庁では、各地域における犯罪発生状況などの治安情勢や地元自治会、商店会、地域住民等からの要望、さらには民間設置の防犯カメラの有無等を考慮するなど、その必要性について十分な検討をした上で街頭防犯カメラを設置しております。
 今回、暴力団排除特別強化地域に指定を予定している二十九の地域においては、都の助成等により、多数の街頭防犯カメラが民間によっても設置されているところでありますが、警視庁といたしましては、この二十九地域を含め、警察が管理する街頭防犯カメラの増設の必要性について検討を重ねていきたいと考えております。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 小学校英語教育の円滑な実施についてでございますが、外国語によるコミュニケーションの基礎となる資質、能力を育成するためには、教員が指導力を高め、自信を持って指導を行うことが重要でございます。
 都教育委員会は、英語の教科化に向けて、英語専科指導教員の配置等を行うとともに、海外派遣研修を初めとした研修の実施を通して、各地区の中核となる教員や校内での英語教育を推進する教員を育成してまいりました。
 引き続き、計画的に指導体制の整備を進めるとともに、八十人を対象とした英語に親しむための終日研修を十回、計八百人規模で実施するなど研修をさらに充実させてまいります。
 また、都独自のDVD資料を配布するなどして、教員の指導力の向上を図り、子供たちが将来、国際社会で活躍するための資質を身につけられる教育を推進してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 築地再開発についてでございますが、築地では、広大な土地など、当地区のポテンシャルを生かし、長期的観点から民間の力を最大限活用し、東京の価値の最大化を目指すため、段階的に整備を進めることとしております。このたび策定したまちづくり方針は、こうした観点から、築地のまちづくりの将来像や方向性、進め方を示したものでございます。
 再開発を進めるに当たっては、公募型プロポーザル方式による都有地活用事業を想定しており、今後、民間の知恵やノウハウを最大限生かす観点から民間ヒアリングも行い、インフラの整備状況や埋蔵文化財調査などの進捗状況なども勘案しながら、事業実施方針や募集要項を作成、公表いたしまして、その中で、将来像実現のためのより具体的な条件などを順次示してまちづくりを具体化してまいります。
 整備の具体的な進め方については、まちづくり方針に示しているとおり、まずは船着き場周辺エリアの先行整備に向けまして、二〇二〇年ごろに事業者募集を行うことを想定しております。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) まず、築地まちづくりについてでございますが、市場跡地につきましては、今般、まちづくりのために築地の用地が必要となったことから、関係規則にのっとり、適正な対価のもと一般会計に移しかえたものでございます。
 今後、築地まちづくり方針に基づき、事業所管局である都市整備局が収益性を含め、まちづくりの具体的な検討を進めていくことになりますが、財政当局といたしましても適切に対応してまいります。
 次いで、旧こどもの城についてでありますが、旧こどもの城は、都心部にあって多くの都民が利用しやすい立地であり、旧こどもの城が担ってきた役割を生かしながらも、誰もが利用できる施設とするため検討を進めてまいりました。
 活用計画につきましては、百歳まで学べる環境や創業支援、女性、高齢者、障害者などの活躍の促進など明確な利用用途を盛り込んだ旧こどもの城活用の基本的考え方を、地元区と情報共有を図った上で取りまとめたものでございます。
 また、地方との連携や地方への貢献につきましては、東京が他の地方とともに共存共栄を図ることで、日本の持続的成長を実現していくことが重要と認識をしております。
 事業のさらなる具体化に向けましては、全庁横断的な検討組織において検討を進めており、今後多くの方々のご意見を伺いながら、有益な施設としてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、条例改正と経営計画についてですが、卸売市場法の改正を踏まえた条例改正は、食品流通の合理化等を図る改正法の趣旨を踏まえて、市場における基本的な取引ルール等の環境を整えるものでございます。
 経営計画は、条例に基づく制度のもと、卸売市場のさらなる活性化を図り、都民生活を支える基幹的インフラとしての役割が引き続き発揮できるよう、来年度末までに策定するものでございます。
 経営計画の策定に当たりましては、卸売市場を取り巻く環境や市場ごとの特性、取引の状況など、さまざまな観点から、有識者や市場業界の意見を伺いながら進めていく予定でございます。こうした取り組みを通じて、実情に即した実効性のある計画としてまいります。
 次に、各市場の施設整備等についてでございますが、流通の中間に位置する卸売市場は、産地の生産力低下や消費者ニーズの変化など、厳しい環境に直面しております。中央卸売市場が生鮮食料品等を安定的に供給する基幹的インフラとしての役割を引き続き果たしていくためには、さらなる活性化が必要となっております。
 都は、こうした認識のもと、各市場の機能維持に加え、取引の活発化につながる施設整備を速やかに進めていくこととしております。
 具体的には、老朽化や環境対策に必要な設備の更新を進めるほか、各市場において、業界団体と連携して策定が進められております経営戦略を踏まえ、品質管理の高度化や加工対応など、実需者ニーズに即した施設を整備してまいります。
 さらに、販路拡大など市場業者の意欲的な取り組みを後押しし、市場全体の機能向上と活性化を図ってまいります。
 最後に、六街区におけるにぎわい創出事業についてですが、都は、千客万来施設が開業するまでの間、事業用地を効果的に活用し、継続的ににぎわいを創出できるよう、さまざまな関係者と連携して取り組みを進めております。六街区におきましては、株式会社東京臨海ホールディングスと連携いたしまして各種イベントを誘致し、四月から実施しているところでございます。
 また、同街区では、令和五年春に千客万来施設の開業が予定されておりまして、都は万葉倶楽部に対し、施設の開業を見据えて、にぎわい創出事業への積極的な協力を要請しているところでございます。
 今後も、さまざまな関係者の協力のもと事業を展開し、豊洲ならではのにぎわいを創出してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、聖火リレーのシティードレッシングについてでありますが、都内の聖火リレーにつきましては、先般、六十二区市町村を全て巡回することが決定し、組織委員会が全国の自治体巡回順案等を発表いたしました。
 今後は、各区市町村をリレーする具体的なルートやリレーを盛り上げるためのセレモニー等の詳細を、関係者等との調整を行いながら検討していくこととなります。
 聖火リレーのルート等を装飾することは、大会の祝祭ムードを盛り上げるとともに、ランナーや沿道の観衆の機運を高める役割を果たすものと考えております。
 具体的な装飾内容等につきましては、現在、組織委員会において、統一的なデザインや掲出方法等を検討しており、これを踏まえまして、今後、都の実行委員会で、ルート等の検討調整を進める中で区市町村と十分連携して対応してまいります。
 次に、輸送運営計画策定の見通しについてでありますが、これまで組織委員会とともに国や関係機関と調整を行いながら、さまざまな観点から検討を進めてまいりました。
 輸送運営計画バージョンツー(案)につきましては、三月の輸送連絡調整会議において構成案をお示ししたところでございます。
 この夏の試行に向けまして、各企業に取り組んでいただきたい事項につきまして、具体的な取り組み内容を体系的に示し、引き続き説明会や相談会等を通じ、丁寧に説明するとともに、コンサルタントの活用等により、実践に向け働きかけてまいります。
 輸送運営計画バージョンツーの取りまとめに当たりましては、試行の検証結果も踏まえて、関係機関とさまざまな観点からさらに検討を進めてまいります。
 今後とも、組織委員会や関係機関等と連携を図りながら、年内の計画策定に向けて取り組んでまいります。
 次に、夏の試行を通じた大会輸送の準備についてでありますが、ことしの夏は、国や組織委員会を初め、警視庁や企業などと連携し、スムーズビズの取り組みや高速道路等の交通規制、テストイベントの実施など、さまざまな取り組みを行う予定であります。
 都は、この前後の期間を含め、ビッグデータによる広域的な人の移動状況、首都圏の駅や道路の利用状況を把握することとしております。
 加えて、大規模な企業向けアンケートを実施し、各企業の取り組み内容や取り組みに対する課題認識など、企業の声を丁寧に伺い、対策の改善に活用して、生かしてまいります。
 こうした取り組みを通じて、円滑な大会輸送の実現に向けた対策を充実させるほか、個別相談など企業の取り組み支援を進め、大会に向けた準備を加速してまいります。
 次に、大会時の臨海部の盛り上げについてでありますが、多くの競技会場が集積する臨海部は、大会運営への影響を考慮しつつ、大会の雰囲気を体感できるよう盛り上げていくことが重要でございます。
 現在、臨海部の青海から有明地区までのエリアで、組織委員会を中心に、都も参画し、大会パートナーや地元等とも協議しながら、効果的な実施コンテンツ等について検討しております。
 都といたしましては、シティードレッシングや大きなオリンピックシンボルを設置する等、大会の祝祭感を高めてまいります。
 また、競技期間中の聖火台の設置について、組織委員会と連携して取り組んでいるところであります。
 今後とも、組織委員会と連携し、大会の象徴的なエリアとなる臨海部の盛り上げに取り組んでまいります。
 次に、ラグビーワールドカップのファンゾーン区部会場における集客の取り組みについてでありますが、区部会場では、有楽町の東京スポーツスクエアの中だけでなく、駅前広場等の会場周辺においても盛り上げを図っていくこととしております。
 具体的には、周辺施設とも連携し、東京の魅力を発信するとともに、対戦カードや試合会場、出場国の紹介等を行い、大会への興味やラグビーへの関心を高めてまいります。
 あわせて、ファンゾーンの会場への集客を図るため、案内表示や都市装飾を充実するとともに、ボランティアやスタッフを効果的に配置し、積極的に案内いたします。
 このような取り組みを通じて、駅前から会場への人の流れを創出し、会場周辺全体を盛り上げ、大会の成功につなげてまいります。
 最後に、千キロメートル縦断リレーについてでありますが、都は、東京二〇二〇大会の開催決定後、被災地の復興なくして大会の成功はないことを念頭に、スポーツを通じて被災地に元気を届けるさまざまな取り組みを進めてまいりました。
 本事業では、青森から東京までたすきをつなぐとともに、沿道地域との交流イベントを開催し、全国から集まる参加者と被災地の方々とのきずなを深めてまいりました。
 本年は、二〇二〇年に向けたラストランとして、復興に向かう被災地の姿や、全国からの思いを国内外に着実に発信することで、オリンピック・パラリンピックの開催機運醸成につなげてまいります。
 二〇二一年度以降の取り組みにつきましては、本事業の成果や被災県等の意向を踏まえながら、今後、そのあり方について検討してまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営大島空港におけるビジネス航空への対応についてでございますが、大島空港は、東京から百キロ圏内に位置し、ジェット機の離着陸に必要な長さの滑走路や計器飛行に対応できる施設等が整備されております。
 東京二〇二〇大会時に来訪するビジネス航空への大島空港での対応につきましては、旅客の入国に必要な税関等の国の施設がないため、直接の乗り入れには課題がございます。
 一方、既存空港施設の活用により、ビジネスジェット機の離発着や駐機等は可能でありますことから、都は、羽田空港等に乗り入れたビジネスジェット機が一時駐機する回航先としての大島空港での受け入れ環境について、国のビジネス航空対応への取り組みの動向を踏まえながら調整等を行ってまいります。
 次に、東京港の機能強化についてでございますが、東京港が今後とも首都圏を支える物流の一大拠点としての役割を果たし続けていきますためには、新たなふ頭の整備を契機として、ハード、ソフト両面から東京港の抜本的な機能向上を図ることが必要でございます。
 このため、都は、青海ふ頭や大井ふ頭等において、取扱貨物の一部を現在整備中の中央防波堤外側ふ頭へ順次移転させるとともに、コンテナヤードの拡張や荷役設備の更新、岸壁の改良等を進めることにより、大量の貨物を迅速かつ効率的に処理し、これらの取り組みを混雑緩和にもつなげてまいります。
 さらに、最先端技術を活用したコンテナ輸送の効率化などにつきましても、港湾事業者と連携して検討してまいります。
 今後とも、首都圏の生活と産業を支えるため、将来を見据えた東京港の機能強化に全力で取り組んでまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の働き方改革への支援についてでございますが、人材の確保を初め、多くの課題を抱える中小企業において、法改正に対応した働き方改革を円滑に進めていくためには、都が国とともに、各企業の実情に応じたきめの細かい支援を行っていくことが重要でございます。
 そのため、都は、国と連携し、時間外労働の上限規制など、法改正のポイントと必要な対応について周知するセミナーや特別相談会を開催いたしますほか、専門家の派遣により、就業規則の整備等に関するアドバイスを行っているところでございます。
 今後は、国に対して、中小企業からの相談に適切に対応するとともに、特に小規模事業者の経営実態をしっかりと踏まえた上で、法に基づく指導や助言を行うよう要望してまいります。
 これらにより、中小企業が働き方改革に着実に取り組めるよう後押ししてまいります。
 次に、都市農業の担い手への支援についてでございますが、都市農地の貸借を促進し、農業者の経営規模拡大や新規就農者の確保に結びつけていくことは、東京農業のさらなる振興を図っていく上で重要でございます。
 このため、都は、農地制度に高い知見を持つ東京都農業会議に今年度新たに専門員を配置し、都市農地の貸し手と借り手のマッチングを推進してまいります。
 また、新規就農者の定着を図るため、トラクターやパイプハウスなどの導入費や、六次産業化に向けたジャムなどの加工施設の整備費への助成について、今年度から補助率を引き上げるなど支援を充実しているところでございます。
 加えて、就農初期における販路開拓や出荷グループ形成などを支援しております。
 こうした取り組みにより、担い手対策を総合的に進め、東京農業の持続的な成長につなげてまいります。
〔都民安全推進本部長大澤裕之君登壇〕

○都民安全推進本部長(大澤裕之君) 再犯防止施策を推進するに当たっての民間支援機関や市区町村との連携についてでありますが、犯罪をした者等が地域社会の一員として円滑に社会復帰するためには、都がみずから効果的な施策を推進することはもとより、民間協力者の活動や市区町村の取り組みを促進することが極めて重要であります。
 計画案では、保護司会を初めとする民間団体、市区町村などを構成員とした協議の場を新たに設置し、継続的に現場の意見を聞き、施策に生かしていくこととしております。
 また、市区町村に対しては、この協議の場において情報提供を行うとともに、各種施策の検討などに協働して取り組むことで、その計画策定を支援してまいります。
 これらにより、各地域の再犯防止の取り組みを促進し、都民が安全で安心して暮らせる社会づくりを行ってまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 道路の防護柵についてでございますが、都はこれまで、車両や歩行者の通行の安全を確保いたしますため、必要な区間に車両用や歩行者自転車用の防護柵を設置してまいりました。
 現在、大津市で発生いたしました交通事故を受けまして、園児等の移動経路における安全確保のため、警視庁や保育園等の関係者との合同点検を行っております。
 今後は、この合同点検を踏まえ、警視庁等との調整の上、事故のおそれのある箇所などにおきまして、車両用防護柵の新設や、歩行者自転車用柵などからより強度の高い車両用防護柵への交換を行います。また、老朽化した防護柵につきましては着実に取りかえてまいります。
 引き続き、誰もが安全・安心に利用できる道路空間の創出に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、硫黄島戦没者追悼式についてでありますが、都は、第二次世界大戦の大激戦地であった硫黄島で戦没された全ての方々を慰霊するため、昭和五十八年に慰霊碑を建立するとともに、以降毎年、戦没者追悼式を実施しております。
 この追悼式への参列に当たりましては、硫黄島への民間の航空路がないことから、厚生労働省、防衛省等の協力のもと、自衛隊の輸送機等を利用してまいりました。
 自衛隊機では、これまで参列者が五十名程度に限られることや、ご遺族の高齢化等に伴う体力の低下にも配慮いたしまして、今年度から、民間機を利用し、参列者の大幅な増加やご遺族の身体的負担の軽減を図ることとしております。
 次に、受動喫煙防止条例の全面施行に向けた取り組みでありますが、お話のように、条例の施行に向けては、実務を担っていただく保健所設置区市から十分なご理解とご協力を得ることが何より大切なことと考えております。
 このため、都は、保健所設置区市を個別に訪問し、改正健康増進法や条例の内容を丁寧に説明するとともに、事業者対応や広報戦略について意見交換を行っております。
 また、事業者への指導方法など実際の業務手順等につきまして、担当者間で検討を重ねているところでございます。
 さらに、公衆喫煙所の設置や受動喫煙防止の普及啓発など、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを支援しております。
 今後、保健所設置区市と条例に基づく事務の移譲に向けた協議を進めるとともに、条例の円滑な施行に向け、引き続き、連携協力してまいります。
 次に、動物の殺処分の基準についてでありますが、都では、動物愛護相談センターに引き取り収容した動物の致死処分のうち、動物福祉等の観点から致死処分を行った場合及び収容後に死亡した場合を除いたものを殺処分としております。
 動物福祉等の観点からの致死処分に当たりましては、負傷や病気等による苦痛が著しい場合や、他に危害を及ぼすおそれがあるなど譲渡が適切でない場合などについて、確認事項を設け、個々の動物ごとに複数の獣医師により判断を行っており、こうした対応は、国が殺処分の分類方法として示した考え方にも合致しているものでございます。
 今後、致死処分の判断をより一層的確に行うため、現場で蓄積された知見を整理し、獣医療の専門家にご意見を伺った上で、お話にもございましたが、年度内に都独自の基準を策定してまいります。
 次に、重症心身障害児者の家庭、家族への支援についてでありますが、重症心身障害児者が可能な限り自宅で生活できるようにするためには、ご本人への支援に加え、ご家族への支援も重要でございます。
 このため、都は家族の病気や都合等で、一時的に家庭での療育が困難となった際に、施設等に短期間入所できるよう病床を確保しており、現在改築中の都立府中療育センターでは、病床数を十床ふやす予定でございます。
 また、家族が休養できるよう、看護師が自宅に訪問してケアを行う在宅レスパイト事業を実施しているところでございます。
 さらに、短期入所を実施している重症心身障害児者施設で働く看護師を確保、育成するため、民間の施設と協力いたしまして、採用活動及び研修等を行っております。
 今後とも、重症心身障害児者とその家族が地域で安心して生活できるよう、積極的に支援してまいります。
 最後に、幼児教育の無償化への対応についてでありますが、都は、幼児教育の無償化の実務を担う区市町村が、制度の内容や事務処理方法などにつきまして理解を深められるよう、昨年度から、東京都待機児童対策協議会を活用し、都内の区市町村と国との意見交換会を三回ほど実施しているところでございます。来月には、国の担当者も招聘して説明会を開催し、区市町村の事務担当者に対しまして、実務上の課題や疑義等について丁寧に説明を行う予定でございます。
 今後、国に対しまして、本年十月の幼児教育の無償化の開始に向け、自治体の取り組み状況を把握するとともに、意見交換しながら必要な対応を行うよう提案要求するなど、引き続き区市町村の要求、取り組みを支援してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、硫黄島旧島民の墓参についてでございますが、都は、昭和十九年の強制疎開後、ふるさとに帰島できない旧島民の方々のため、硫黄島への墓参事業を昭和五十四年度から実施しております。
 現在、墓参事業は、自衛隊機による支援を受け、年二回行っており、そのうち一回については、ゆとりを持って島を訪れたいという旧島民の方々のご心情を踏まえ、平成二十二年度から一泊二日の行程で実施をしております。
 墓参事業の拡充については、今後、小笠原村と連携を図りながら、旧島民やその子孫も含めた墓参対象者の方々のご意向を把握した上で、防衛省による輸送支援や医療体制の確保など、さまざまな課題について検討してまいります。
 次に、小笠原航空路についてでございますが、小笠原における航空路の開設は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で極めて重要であると認識をしております。
 都は、昨年、これまでの調査をもとに、より実現可能性の高い洲崎地区活用案に絞って集中的に検討することとしたほか、従来の案より短い千メートル以下の滑走路で運用可能な機材について調査をしていくことといたしました。
 今年度は、これまで実施してきた機材や自然環境への影響を初めとする調査に加え、洲崎地区における飛行場の建設に関して、基本構造や工法の実現性を確認するため新たに詳細な調査を実施してまいります。
 引き続き自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられるよう精力的に調査検討を進めてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅政策審議会答申の施策への取り組みについてでございますが、都営住宅は、都民の住宅セーフティーネットの中核としての機能を担っており、社会経済情勢の変化に応じて管理のあり方を適時適切に見直していく必要がございます。
 答申では、子育て世帯を対象にした期限つき入居制度の拡充、就労事業等と連携した若年単身者の入居拡大、団地内の集会場や敷地を活用した高齢者の見守り機能の充実など、多世代共生の実現に向けた具体的な施策の方向性が提言されました。
 今後、期限つき入居制度の就学期を考慮した期間延長について、制度化に向け詳細な制度設計を早急に検討するなど、新たに住宅政策本部が発足したことを機に、答申で提言された施策をスピード感を持って推進してまいります。
 次に、都営住宅への宅配ボックスの設置についてでございますが、宅配ボックスの設置は、昼間不在にしているファミリー世帯を初め、居住者の利便性の向上に資するものと考えております。
 都営住宅に設置するためには、居住者の理解、セキュリティーやスペースの確保、費用負担のあり方などの課題もございます。
 今後、答申を踏まえ、宅配事業者の動向や居住者ニーズの把握に努めながら、都営住宅における宅配ボックスの設置について検討を進めてまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、産業廃棄物の廃プラスチックへの対応についてでございますが、滞留する廃プラスチックの適正な処理を推進するためには、業界団体と連携した適切な取り組みが必要でございます。
 そこで都は、緊急対策として、処理業者や再生事業者などへのヒアリングにより、最新の動向を把握の上、各種セミナー等を通じ、廃プラスチック処理市場の最新動向や対応事例の情報発信を強化し、処理促進につなげております。
 また、排出事業者に対しては、経済団体等を通じ、排出時の分別の徹底と適正な処理費用の負担を周知するとともに、九都県市や産廃スクラム34による自治体間連携などを通じた不適正処理の防止に向けた指導を強化してまいります。
 引き続き、業界団体や自治体などとの連携を密にしながら、廃プラスチック問題に適切に取り組んでまいります。
 次に、プラスチックの持続可能な利用に向けた取り組みについてでございますが、プラスチックの持続可能な利用の推進には、使い捨てプラスチックの大幅な削減を進めた上で再生利用を促進し、焼却量を減らしていくことが重要でございます。
 そこで、都は今年度、オフィスビルなどから排出される事業系廃プラスチックの分別を促進するとともに、効率的な収集運搬方法や資源化の方策を検証するモデル事業を実施いたします。
 また、家庭系の廃プラスチックについては、区市町村における容器包装リサイクル法等に基づく分別収集の実態を個別に把握し、地域の実情に合った再生利用に向けた一層の取り組みを働きかけてまいります。
 今後とも、関係団体や区市町村などと連携しながら、さらなる適正なリサイクルの推進に向け取り組んでまいります。
 最後に、家庭の省エネ対策についてでございますが、都民の皆様に省エネに取り組んでいただくためには、気候変動のリスクを丁寧に伝えていくことが重要でございます。
 都はこれまで、家庭での省エネ対策をまとめたリーフレットなどを作成し、普及啓発に努めてまいりました。今後はこの中に、平均気温の上昇や豪雨による自然界災害の発生など、都民の身近で起きている気候変動の影響によるとされる危機的な状況をわかりやすく示してまいります。
 このリーフレットなどを活用し、区市町村や関連団体などとも連携しつつ、環境学習の場やSNSを用いるなど、あらゆる機会を捉えて普及啓発を強化してまいります。
 こうした取り組みにより、都民の皆様に気候変動に関する理解を深めていただきながら家庭のCO2削減につなげてまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時二十七分休憩

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