令和元年東京都議会会議録第十号

   午後三時三十分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十六番小磯善彦君。
〔八十六番小磯善彦君登壇〕

○八十六番(小磯善彦君) 令和の新時代の幕あけとなる定例会に当たり、都議会公明党を代表して質問いたします。
 東京は、九月に始まる日本初開催のラグビーワールドカップ、来年に迫ったオリンピック・パラリンピック東京大会の成功に向けた大きな盛り上がりの中で新しい時代を迎えました。
 都政の進む先には、少子社会と労働力人口の減少、団塊世代の後期高齢者への移行、地震、集中豪雨など自然災害への備えなど、大きな課題が待ち受けていますが、これまでも数々の難局を乗り越えてきた東京には、それを克服する底力があります。
 都議会公明党は、底力の原点である都民の声を大事に、大胆かつ繊細な政策を駆使して、新しい時代を切り開いていく決意であることを表明し、以下質問を展開してまいります。
 まず、新たな長期計画について質問します。
 今後東京は、気候変動への対応や想定を超えた自然災害や首都直下地震などへの備えに加え、二〇二五年以降から始まる人口減少によって一層深刻化する少子高齢化や生産年齢人口の減少、バブル崩壊後に生じた就職氷河期世代を含めた社会保障のあり方など、経験値だけでは対処できない課題に直面してまいります。こうした未知の課題に対しては、既存政策の延長上の視点ではなく、まずは、骨格となる構想を固め直すことから始めるべきであります。
 今後の取り組みのスケジュールを含め、知事の見解を求めます。
 我が党は、人間の安全保障の理念をベースに、貧困や格差の是正、教育やジェンダー、さらには気候変動対策など、持続可能な社会の発展に向け、国連が二〇三〇年末までへの達成目標を掲げているSDGsの視点を都政の基礎に位置づけ、施策との関連性を明らかにすることが重要だと訴えてまいりました。
 国においては、公明党が政党では初めてSDGs推進委員会を設置して全力で取り組んでおり、都議会公明党においても、先般、推進委員会を発足させたところであります。
 新たな長期計画は、SDGsの視点に立って山積する課題の解決に全力で取り組み、誰ひとり取り残さない持続可能な都市東京を構築することに直結する内容とするべきと考えます。
 持続可能な都市の根幹は人づくりであります。そのために、我が党は、教育こそ最優先課題でなければならないと考えます。
 教育の機会均等を進め、子供たちの未来を開くため、政府は、公明党の長年の主張を反映し、十月から幼児教育、保育の無償化、来年四月から年収五百九十万円未満の世帯を対象とした私立高校授業料の無償化、また所得の低い世帯を対象に、大学や専門学校など高等教育も無償化を開始します。
 そこで都は、私立高校の実質無償化が国において五百九十万円未満世帯になることから、我が党が当初から主張したとおり、国の財源を充てて、都は、年収七百六十万円未満を年収九百十万円未満まで実質無償化を拡充するよう改めて強く要望しておきます。
 加えて、知事が策定した二〇二〇年に向けた実行プランでは、PDCAサイクルを活用して、事業の成果や課題を公表し、実行プランの改定や予算に反映する流れを構築しています。新たに策定する長期計画やその実施計画においても、こうした見える化の視点をしっかり位置づけるべきです。あわせて知事の見解を求めます。
 次に、まちづくりについて質問します。
 まず、築地まちづくり方針についてであります。
 築地地区は、緑豊かで江戸情緒が漂う浜離宮恩賜庭園、国際的なビジネス拠点である大・丸・有地区、成熟した商業地である銀座、食文化の拠点である築地場外市場、都市発展の歴史を育んできた隅田川や東京湾といった魅力的な資源に隣接する地域であります。
 また、今後は、BRTや舟運、都心部と臨海地域とを結ぶ地下鉄構想などにより、人々の交流が一層盛んになっていくものと思われます。まさに、羽田空港や国際クルーズターミナルなどへのアクセスも含めた陸海空にわたる交通の結節点に位置しています。
 立地に恵まれ、しかも都心のベイエリアに広がる二十三ヘクタールもの希少な開発用地であります。今後の開発に当たっては、このポテンシャルを生かし、オリ・パラ大会後の東京の発展の起点となる開発とするべきであります。
 したがって、国際会議場機能のみならず、誰もが親しみを感じ、東京の成長と発展に大きく寄与する複合的な交流拠点とするべきであり、地元の中央区からも、こうした立地の特色を生かした単なる高層マンション群ではないまちづくりが期待されています。
 そこで、地元区との連携を重視しつつ、都民の夢と希望を育み、世界の主要都市に類のないロケーションを生かしたまちづくりとするべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、さきの定例会では、築地市場跡地の売却ではなく、市場会計から一般会計への有償所管がえ後も、都が土地を保有しながら選定先と定期借地契約を結んで開発することが明らかになりました。
 そこで、今後の開発に当たっては、民間のノウハウを最大限に生かして、経済効果を高めつつ、かつ都民の誰もが開発のメリットを享受できる開発としていくべきであります。知事の見解を求めます。
 さらに都は、築地跡地を段階的な整備をしていくとしていますが、開発方針の一貫性が薄らぐのではではないかとの危惧や、築地場外市場への影響などが懸念されます。これらの課題に対しても、都は責任ある対応を示すべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、まちづくりを通じての都内の活性化について質問します。
 初めに、老朽化マンションの再生です。
 都内では、道路が狭く建物が密集するなど防災性に課題のある地域にマンションが立地している事例も多く、今後そうした老朽化した分譲マンションの再生が重要な都政課題になってまいります。
 その点、二〇二〇年四月からスタートさせる管理状況届け出制度は、マンション管理の適正化を図る第一歩であり、老朽化マンションの建てかえに関する合意形成の可能性が広がるものと期待します。その上で、建てかえの合意形成を阻む最大の壁は資金にあります。多くの管理組合の積立金は、大規模修繕への対応が精いっぱいであり、建てかえ事業がなかなか現実化しません。
 加えて、マンションの建てかえを円滑に進めるためには、管理組合の自主的な検討だけでは困難です。マンション建てかえアドバイザーと呼ばれる専門家の活用により、区分所有者間のさまざまな意見を調整し、合意形成に向けて集約する取り組みを支援するべきです。
 建てかえに成功している先行事例では、専門家の効果的な活用により、総合設計で容積率をふやして増戸分を売りに出したり、隣地との一体的な建てかえにより容積率を有効利用するなどして必要な経費を捻出しています。
 都が平成二十九年度に創設したマンション再生まちづくり制度では、建てかえにおいて周辺との共同化などを促すとともに、管理組合による合意形成を支援する専門家の派遣費用が助成されます。しかし、地元の区市がまちづくりの計画を策定し、マンション再生まちづくり推進地区に指定されることが前提となっています。
 そこで、今後都は、マンション再生まちづくり制度を活用し、管理組合による専門家活用の促進を図るべく、推進地区の指定に向けたまちづくり計画の策定に取り組む区市の数の拡大を目指すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、特に建てかえの検討初期段階においては、専門家を活用しやすくする、例えば無料派遣などの特別な支援が重要と考えますが、見解を求めます。
 次いで、狭小な空きシェアハウスなどの新たな空き家課題への対応について質問します。
 現在、都内では、既に多くの空き賃貸住宅を抱えていますが、さらに最近では、いわゆるカボチャの馬車事件など、家賃保証を請け負うサブリース会社の倒産などに起因した狭小シェアハウスの空き家化が見られます。
 ことしに入ってある区が二十三区に聞き取った調査では、狭小なシェアハウスが、都内で約千五百棟、足立区内だけでも三百十三棟、百棟以上の区が数区存在しており、居室数は一棟当たり約十五室となっています。そうした狭小なシェアハウスでは多くの空き家が発生しており、その放置が進めば、家主が管理不全に陥り大きな社会問題になりかねません。
 一方で、空きシェアハウスの二戸を合体するなどのリフォームを通じて、ゆとりのある居室空間の整備が進めば、子育て世帯向けや、今後一層増加するであろう外国人労働者向けの賃貸住宅の確保などの都政課題の解決につながる可能性もあります。
 そこで都は、空きシェアハウスなどについて、都内の新たな負の遺産になりかねない問題の物件を有効資産に変えていくためにも、区市と連携して、空き家対策事業によるリフォームの進展などを図っていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、環境課題について質問します。
 まず、気候変動への適応策についてであります。
 気候変動による深刻な影響は、都民の身近な生活現場に及び始めています。昨年十二月、国で気候変動適応法が施行され、気候変動への適応策を強力に推進するべく、適応計画の策定を国に義務づけしたほか、自治体にも努力義務を課しています。既に国は策定済みであり、自治体でも策定を終えた事例が出始めています。気候変動適応の重要性は、我が党が以前から主張してきたところであり、都においても気候変動適応計画を策定すべきです。
 また、その計画には具体的な適応策として、堤防や洪水調整施設などのハード整備、農林水産物の調査、検討、ハザードマップの促進、熱中症予防策の推進などを盛り込むべきです。あわせて都の見解を求めます。
 情報収集や分析、そして導き出された適応策の推進を図るためには、地域気候変動適応センターなどの新設が必要と考えます。都の見解を求めます。
 次いで、食品ロス削減について質問します。
 まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの削減を目指す食品ロス削減推進法が、先月国会で全会一致で可決成立しました。
 公明党は二〇一五年に党内にプロジェクトチームを立ち上げ、法案を作成するなど、法整備をリードしてきました。同法は、政府に対し食品ロス削減推進の基本方針を定めることを義務づけ、都道府県と市区町村に削減推進計画を策定するよう努力義務を課すものであります。
 東京都においては、既に都議会公明党の提案により、都が備蓄する災害時用食品を有効活用するモデル事業を実施してきました。
 その結果、備蓄食品の多くが更新時に廃棄されていましたが、二〇一六、一七年度二カ年で、賞味期限が近づいたものを社会福祉法人や子供食堂に寄贈などして、約百八十万食分を役立てています。その上で、さらに今後は、市区町村の協力を得ながら、提供側と寄贈先をオンラインで結ぶマッチングシステムの構築に取り組むべきと考えます。
 今回の食品ロス削減推進法成立を受けて、東京都は民間の取り組みをリードするためにも、より積極的に食品ロス削減を推進すべきと考えます。食品ロス削減推進計画の策定も含め、今後の取り組みについて都の見解を求めます。
 次に、ラグビーワールドカップ並びに東京オリ・パラ大会について質問します。
 まず、被災地の復興なくしてオリ・パラ大会の成功はないとの精神から、福島県のJヴィレッジの活用について質問します。
 我が党は、これまでも本会議などの場において、福島県が再整備を進めてきた福島第一原発事故収束の対応拠点となっていたJヴィレッジについて、復興のシンボルとして積極的に活用するよう要望してきました。
 Jヴィレッジは、日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして、サッカー日本代表のキャンプなど、サッカーの聖地として多くのチームに利用されてきました。その上で、二〇二〇年の東京大会では、オリンピック聖火リレーのグランドスタート会場として活用されることが決定されており、大変喜ばしいことであります。
 こうした取り組みを踏まえ、被災地の復興を支援するためにも、東京オリ・パラ大会が開催される二〇二〇年には、さらにスポーツでJヴィレッジを活用すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 東京オリ・パラ大会の際には、世界から、国内各地から、東京に来てよかったと喜んでいただかなくてはなりません。しかし現状、例えばその玄関口である羽田東京国際空港から五輪会場へ向かう際に通る湾岸道路には、投棄されたごみや雑草などが繁茂し、美しいまち並みの印象とはほど遠い様相を呈しています。
 こうした現状にできることから始めようと、都外遠方からも駆けつけて、地道に清掃活動を続けているボランティアがいます。しかし、ごみが余りにも大量であること、作業対象の道路区間が極めて長いため、ボランティアの方々は果たして大会に間に合うのかと憂慮しています。
 そこで都は、湾岸道路の一部を含め、競技開催会場周辺について、都みずから取り組むとともに、効果的な方法を検討するべきです。都の見解を求めます。
 一九六四年の東京大会の開催前には、まちをきれいにして世界中の人々を迎えようと、都の清掃局が都内の事業者の協力を得て、ごみの早期回収を進めたほか、各地域で身近な美化運動が活発化しました。今も町会、自治会を初め、さまざまな方々がまちの清掃活動に汗を流してくださっています。
 そこで、東京オリ・パラ大会を契機に、こうした善意の活動を都内全域で実施し、次世代へ引き継ぐ、おもてなしレガシーとしてはどうかと提案します。知事の見解を求めます。
 いよいよ東京オリ・パラ大会まであと一年。これからの日本や世界を将来にわたって発展させていくためには、東京の子供たちに互いの価値観の違いを受け入れ、多様性を尊重し、誰とチームを組んでも互いの力を最大限に引き出し、他者とともに新たな社会を築こうとする意識を育むことが大切です。
 これまで東京都教育委員会は、都独自の教科として人間と社会を設け、地域清掃、高齢者施設訪問、地域諸行事の手伝いを初め、地域防災訓練への協力や避難所の設営、運営などの防災教育、パラスポーツ大会の運営補助をするオリ・パラ教育などのボランティア活動を積極的に進めてきました。いずれも今日的な課題へのボランティア精神を養い、みずからの意思で行動していく心を育むものとして、公明党はこれを高く評価します。
 グローバル時代を生きる子供たちに、国際貢献の意識を育むために、都立高校生が積極的に海外でのボランティア活動に参加できるようにすることが重要です。都教育委員会の見解を求めます。
 次いで、開催まで百日と迫る中で、子供たちへのラグビーワールドカップの観戦機会の提供について質問します。
 我が党の提案に応え、都は第一回定例会で、ラグビーに取り組む都内の中学生や、ワールドカップの試合が地元で開催されない宮城県と福島県の子供たちを試合観戦に招待することに加え、都内の子供たちとラグビーを通じて交流する機会を設けることなどが明らかになっています。その上で、ワールドカップを機に、都内と被災地の子供たちが、ともに一層活発にラグビーに取り組んでいくことを目指し、より幅広い子供たちが観戦招待を通じた交流事業に参加できるよう工夫を凝らすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、防災課題について質問します。
 まず、児童生徒に対する風水害に備えるマイタイムラインの取り組みであります。
 都議会公明党は、昨年の第三回定例会や本年第一回定例会で、風水害時の避難ツールとしてのマイタイムラインの作成を都民に幅広く普及することを求め、都は出水期を迎える六月までに東京マイタイムラインを作成し、風水害防止のキットとして、小中高校生に配布する旨を答弁していました。
 このマイタイムラインが効果的に活用され、子供たちに風水害から自分を守る、他人に目配りをするといった防災意識を培うためには、学校での丁寧な取り組みが大事です。都教育委員会の今後の取り組みについて見解を求めます。
 また、子供がいない家庭を含め、若者から高齢者まで幅広い世代にマイタイムラインを広めていくべきです。そのためには、市区町村や東京消防庁などの関係機関が連携した取り組みを進める必要があります。見解を求めます。
 次いで、都議会公明党が強く推進してきた公立学校体育館等への空調設備設置について質問します。
 昨年、夏の災害級の暑さを踏まえ、我が党は被災地の体育館での避難状況などもつぶさに調査し、ことし夏の第一陣の空調設備が間に合うよう平成三十年度補正予算の編成を強く求め、その成立を導いたところです。
 そこで、令和元年度予算に基づく対応を含め、市区町村の小中学校で具体的にどう進展しているか、見解を求めます。
 加えて、我が党は、リース方式や設計費用への対応も国に先駆け行うよう求めました。また、体育館だけでなく、中学校の武道場への空調設備整備についても同様に補助金での対応を求めたところです。こうした点について市区町村の取り組み状況を明らかにすべきです。
 また、リースによる空調設置の補助制度では、財産処分制限期間が十年となっており、この間に改築等の事情がある場合は、補助の積極的な活用につながらない場合があります。こうした事例にも対応すべきです。あわせて答弁を求めます。
 さらに、市民センターや公民館に体育室を設置し、避難所として活用している市町村の空調設備整備に対する支援も求めたところですが、その取り組み状況についても答弁を求めます。
 さらに、我が党は、都立高校体育館の空調設備設置についても速やかに完了すべきと訴え、都教育委員会は、今年度から三年以内に整備すると明らかにしました。現況と今後の見通しについて答弁を求めます。
 災害時に重要な機能を果たす都立高校体育館の空調設備の熱源については、電気のほか、災害にも強いLPガスの活用も有効であります。都教育委員会はLPガスの活用も積極的に進めるべきと考えますが、答弁を求めます。
 このほか、我が党は、都立高校特別教室の空調に関して、理科教室、調理室、実験室などで設置がおくれており、都立高校百九十校のうち未整備校が九十校に上っていることを踏まえ、知事に対し早急に整備計画を策定するよう緊急要望を行ったところであります。その後、どう具体的に進展しているのか、整備計画を明らかにするよう、改めて都教育委員会に答弁を求めます。
 次に、交通安全対策について質問します。
 わずか一カ月ほどの間で、都内東池袋、滋賀県大津市、千葉県市原市と立て続けに三件の幼児、保護者や保育士が死傷する痛ましい交通事故が発生しました。
 そこでまず、幼児の安全対策ですが、都内の保育施設では、屋外での散歩も行っているところもあります。
 都は市区町村と連携し、保育施設における散歩ルートや通園ルートを自主的な総点検を行うとともに、安全管理者である警視庁と連携し、子供たちを交通事故から守るためのソフト、ハードにわたる対策を早急に進めていくべきと考えます。都並びに警視総監の見解を求めます。
 都議会公明党は、平成十八年第一回定例会において、長年、子供の死因の第一位は交通事故を含む不慮の事故であると指摘し、大人には見えていても子供には見えないことがある、子供の目線の重要性を訴えてまいりました。
 その後、都は我が党の提案に基づき、チャイルドビジョン、すなわち幼児の視野を体験できる眼鏡を作成し配布しています。
 このチャイルドビジョンを運転者講習会や交通安全教室で活用したり、チャイルドビジョンを保護者や保育士などに配布するなどして、子供の目線、子供の行動の特性について、社会全体が理解した上で安全対策を講じるべきです。都並びに警視総監の見解を求めます。
 さきの知事の所信表明では、事故防止に効果的な装置の取りつけ補助を開始するほか、全庁横断的なプロジェクトチームを設置し、解決に向けて取り組んでいく決意が示されました。
 子供を初めとする歩行者を守る上で必要な、安全運転をサポートする車両への補助を含め、多角的な取り組みを早期に実施するべきであります。知事の見解を求めます。
 今後の交通事故対策としては、高齢者の運転免許の自主返納への理解を促進する視点を含めた公共交通施策の充実が必要となってまいります。
 東京都市圏パーソントリップ調査によると、全交通のうち、公共交通と徒歩を手段とする合計割合が七〇%以上を占める市区町村は十二区にすぎません。この調査によって、交通不便地域の多くは、区境や市境など行政境に存在し、高齢者の外出頻度率も低いという傾向にあることが明らかになっています。
 このような交通不便地域を抱える自治体は、買い物難民などの課題の解消を図るため、十八区二十六市町村でコミュニティバスやオンデマンドバス等を運行しています。このように運転免許を自主返納した後の高齢者の支援としては、移動支援の充実が必要であります。
 しかしながら、コミュニティバスの導入からの三年間は、福祉目的による都の財政支援があるものの、その後は各自治体で全額財政負担をしなければならず、そのことが新たな路線の拡充ができない要因になっています。
 そこで、都内自治体がさらにコミュニティバスやオンデマンドバスの運行を拡充できるように制度を抜本的に見直し、安定的な財政支援を行うべきであります。
 また、買い物弱者に対する支援の拡充や先端技術を活用した支援も検討していくべきであります。あわせて知事の見解を求めます。
 次いで、交通安全の観点から自転車政策について質問します。
 自転車は、経済性にすぐれ、環境にも優しく、健康増進にも役立つすぐれた移動手段です。昨年五月に施行された自転車活用推進法では、国が自転車活用を推進すると明記し、公共交通に準ずる移動手段として位置づけています。都としても国の活用推進計画を踏まえ、昨年度、都の自転車活用推進計画を策定したところであります。
 交通手段としての自転車の活用の促進を図るためには、何より安全性への配慮が重要です。
 そのため、都は、我が党の提案を受け、平成二十五年には、人と自転車の共生を目指し、社会全体で自転車安全利用を推進するため、自転車安全利用条例を策定しました。しかし、依然として交通ルールを守らない危険な自転車運転が後を絶たず、自転車利用者の増加とともに事故数がふえる傾向にあります。
 一方、近年、自転車事故の加害者に一億円近い賠償が命じられるなど、自転車関連事故に係る保険加入のニーズも高まってきております。
 こうした状況を踏まえ、都は、自転車損害賠償保険の加入義務化にかじを切り、条例化するべきです。都の見解を求めます。
 次に、都営住宅制度について質問します。
 都営住宅では、七十五歳以上の名義人が四割を超え、そのうちの半数が単身世帯となっており、都内全体の状況と比較しても、高いレベルで高齢化、単身化が進行しています。
 こうした状況の中、団地内コミュニティの核である自治会活動の活性化、ひいては団地の活力向上を図るためには、これまで以上に若い世代の入居を促進することが重要です。
 五月三十一日に開催された住宅政策審議会では、都営住宅の管理制度のあり方を見直し、さまざまな世代がともに支え合う多世代共生の実現に向けた具体的な施策の方向性について答申がありました。
 とりわけ、子育て世帯への支援策として提言された期限つき入居の拡充については、ひとり親世帯を対象に加える。さらには、全てのお子さんが高校修了期まで延長可能な入居期限とするなどの子育て環境を整える上で極めて重要であると考えます。
 この四月に住宅政策本部が設置されたところであります。答申で提言のあった期限つき入居の拡充に向け、具体的な制度構築に速やかに取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、都営住宅の建てかえ時に、従前居住者の家族形態に合わせて居室を設計していくと、結果的に単身者向け住戸の数がふえていくことになります。単身居住者の多くは高齢者です。自治会も立地自治体も高齢化の進展は望んでいません。従前居住者の住まいの確保は図りつつも、積極的にファミリー世帯向けの住戸をふやす建てかえとするべきであります。都の見解を求めます。
 次いで、都営住宅における生活支援サービスの充実です。
 高齢化の進行に伴って、従来からの居住者個人が申し込む地域の介護サービスにとどまらない積極的な高齢者支援策の展開が求められています。本年三月から、練馬区の光が丘第三アパートでは、買い物弱者への支援として行う移動販売に合わせて、区独自の介護予防事業である出張型まち角ケアカフェが団地の集会所で開催されています。
 移動販売そのものも我が党の要請に応えた事業でありますが、さらにそれにとどまらず、自室に閉じこもり孤立しがちな高齢者が気軽に立ち寄り、介護予防について学んだり、健康について相談できたりする場が提供されることは、日常的なかかわりや交流を図ることが期待され、フレイル対策にも通じるものと評価します。
 そこで、地元市区町村の福祉部門や民間事業者と連携しながら、こうした取り組みをさらに多くの団地で拡充し、展開していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 さらに、我が党がこれまでの代表質問で指摘した浴室の設備にかかわる入居者間の負担の不公平については、これを急ぎ改善すべきであります。都の見解を求めます。
 次に、子供を守る取り組みについて質問します。
 まず、子供たちを犯罪から守る取り組みについてであります。
 五月二十八日に川崎市登戸で発生した事件のような残虐な犯罪を二度と起こさせないための再発防止策を確立し、実行していくことが重要です。
 我が党はこれまで、平成十三年の池田小学校事件や平成十七年の寝屋川小学校事件など、学校や子供たちを狙った凶悪事件がたび重ねて発生している事態を重く受けとめ、スクールポリスシステムの導入を求めてきました。これを受け、国は、地域の学校安全ボランティアとともに、警察官OBなどによる専門的な観点と経験を持ったスクールガードリーダーを配置する事業を平成十七年から開始しました。
 しかし、必ずしも都内の全ての自治体でこうした取り組みが実施されているわけではありません。
 国が昨年六月に公表した登下校防犯プランの中で、改めてスクールガードリーダーの必要性を示しているところであります。
 そこで都は、スクールガードリーダーの配置を市区町村へ促すとともに、財政支援を強化し、人材の確保、支援に取り組み、川崎市のような事件の再発を防ぐべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、ひきこもり支援について質問します。
 都は、都議会公明党の提案を受け、国の調査結果公表に先駆けて、ひきこもり支援施策の所管を福祉保健局に移管しました。ひきこもりの長期化、家族の高齢化、親亡き後の生活への不安などの社会的孤立による親子共倒れのリスクをはらんだ、いわゆる八〇五〇問題に向き合う都の姿勢のあらわれと評価します。
 都は早速、相談事業であるひきこもりサポートネットの訪問相談について、年齢制限を撤廃し、シームレスな体制に変更しました。その上で今後は、これまで以上に相談を受ける側には家族や本人のニーズ、心情に寄り添えるスキルが求められます。公認心理師などの専門家の活用や当事者、経験者によるピアサポートの実施を図るべきです。
 また、訪問相談以外にも、安心して家から出ていける居場所づくりや家族会の活用など、引きこもる本人や家族のニーズに応じた多様な支援の選択肢が必要です。
 さらに加えて、今後は、ひきこもりの方々を抱える高齢の家族へ向けた支援も必要であり、福祉保健局内外との横串の連携が重要となってまいります。
 そこで都は、八〇五〇問題の解決に向け、家族会や当事者会などの意見も聞きながら、こうした支援策の強化を図るべきと考えますが、あわせて見解を求めます。
 次に、薬物乱用対策について質問します。
 都内の薬物事犯の検挙人員は二千人を超えており、近年増加している大麻事犯では、若い世代の乱用拡大が問題となっています。
 警察庁によると、大麻で検挙された二十歳未満の少年の数は、二〇一四年から増加に転じ、一八年には過去最高となっています。海外の一部の国では、少量の大麻使用が認められていることや、インターネット上では、大麻はたばこより害がないなどの誤った情報が広まっており、興味本位で手を出す若者がふえています。
 我が党は、以前より、薬物乱用防止対策に取り組んでまいりました。都は我が党の提案を受け、危険ドラッグ対策を強化して一定の効果を上げています。
 しかし、若者や主婦層での流行の兆しや芸能人による所持や使用、海外土産の大麻入りチョコレートによる救急搬送など、薬物にかかわる事件や事故が後を絶ちません。
 都は、本年三月に薬物乱用対策推進計画を改定しています。この機を捉え、若者層に対してインパクトのある動画やSNSを利用し、大麻などの薬物の蔓延防止に取り組むべきです。都の見解を求めます。
 次いで、子供食堂への支援の強化について質問します。
 子どもの権利条約を日本が批准してことしで二十五年目を迎えます。都内全ての子供たちが、地域の中で健やかに育つことを目的とした取り組みの一つが、子供食堂推進事業であります。現在、都内では、ボランティアやNPO団体などの努力により、約三百カ所の子供食堂が運営されており、大変好評です。
 しかし、その推進がおくれている地域もある上、実施日や実施場所の充実、さらには、運営の持続性や安定化を求める声が我が党にも多く寄せられています。
 その点、都内の既存の飲食店が経営者の自主的な意欲により、休業日や休憩時間などを利用して子供食堂を実施できるように支援体制を整えていけば、多くの問題の解決につながります。子供食堂のためだけに人員や場所を確保する負担が減り、都内各地でより多くの子供たちを対象に事業を推進できる可能性が広がります。
 しかし、都の子供食堂推進事業では、個々の飲食店に対する補助実績は、いまだに少ない状況にあります。都は、個店の飲食店での子供食堂事業の実施推進に向け、市区町村と連携し取り組みの強化を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
 加えて、具体的に、都内の各卸売市場では、地域への貢献活動の一環として、立地する自治体の子供食堂事業への安全な食材の提供が期待されています。中央卸売市場の積極的な対応について見解を求めます。
 子供食堂事業の実施に際しては、事業運営の安定性に加え、安全性の確保も重要です。特に、これからの季節においては、食中毒などへの対策を強化しなければなりません。また、食物アレルギーへの配慮や食堂内でのけがなどのさまざまな事故に備える安全対策を強化すべきです。万一のための保険加入の義務づけも含め、安全対策の徹底を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
 最後に、犯罪被害者支援について質問します。
 我が国の犯罪支援政策は、一九六六年に発生した通り魔殺人事件によって我が子の命を奪われたご両親の訴えに、我が党の横浜市議会議員が補償制度の確立を求めて立ち上がったことに端を発しています。この市議会議員は、後に参議院議員となり、一九八〇年に成立し、八一年からスタートした犯罪被害者等給付金支給法の発足に結びつけています。映画「衝動殺人 息子よ」は、このご両親の活動をもとに制作されたものです。
 知事は、本年第一回都議会定例会において、犯罪被害者条例を策定すると表明しましたが、犯罪被害者の支援の拡充に資するとともに、犯罪被害者を守る社会的機運を向上させるものとするべきであります。
 都の条例は、日本の首都であり、多くの外国人が住み訪れる国際都市東京にふさわしい、被害者の尊厳を尊重し守る先進的な条例とするべきであります。知事の見解を求めます。
 条例には、犯罪被害者の人権を守るための具体的な条項を盛り込むべきであり、その意味で、策定に当たっては被害者やその家族、被害者団体等の意見を幅広く取り入れるべきであります。知事の見解を求めます。
 犯罪被害者の人権を守るためには、条例に心ない差別や偏見、冷遇などから犯罪被害者とその家族を守る責務を自治体が負うことを明記するとともに、あらゆる機会を捉えて、被害者に対して正しく理解を深めるための条例とし、次期の支援計画に取り組み、具現化していくべきと考えます。都の見解を求めます。
 犯罪被害者の困窮は、時に家や職場を失い、心身ともに疲弊し、家事や育児、介護などを行えなくなるなどのほか、加害者からの賠償を受け取れていないという現状もあるなど深刻です。
 こうした点を踏まえ、被害者の加害者に対する請求権を自治体が譲り受け、立てかえ請求する制度を設けている自治体もあります。
 今後、条例の制定に当たっては、先行事例の積極的な導入を図るとともに、さらにその先を行く支援制度を構築するべきと考えます。都の見解を求め、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小磯善彦議員の代表質問にお答えをいたします。
 新たな長期計画についてのお尋ねがございました。
 お話のように、東京におきましても、二〇二五年をピークに人口減少が始まります。さらなる少子高齢化の進展や生産年齢人口の減少がもたらす、世界のどの都市も経験したことのない課題に私たちは正面から向き合っていかなければなりません。
 また、世界的な気候変動が都市に与える影響やIoT、AIなどの先端技術がもたらす産業構造や社会構造の大きな変化に対しまして、有効な政策を戦略的に講じていく必要がございます。
 そのため、このたび策定いたします新たな長期計画では、こうした将来を見据えまして、東京二〇二〇大会を通じて生み出されるレガシーなども反映させながら、人の力が支える持続的な成長と誰もが安心して豊かに暮らせる成熟とが両立をする新たな都市像を描いていきたいと考えております。
 まずは現状分析をいたしまして、鳥の目で全体を俯瞰しながら、今後の東京の姿について議論を積み重ねまして、年末を目途に、将来に向けた政策目標と取り組むべき具体的な政策を長期計画の戦略ビジョンとして示してまいります。
 そして、この戦略ビジョンをもとに、有形無形の大会のレガシーなどを反映させまして、政策目標や具体的な政策をさらに充実させながら、新たな長期計画として取りまとめていく予定でございます。
 東京の活力の源泉である人が生き生きと活躍をし、その中で成長を生み続ける成熟都市東京を実現してまいります。
 そのために、都議会の皆様と議論を重ねまして、都民、区市町村、産業界、労働界、有識者の方々など、さまざまな方から広くご意見を伺いながら、首都東京の長期的な羅針盤としてふさわしい骨太の計画をつくり上げてまいりたいと考えております。
 同じく、長期計画におけるSDGsの視点についてのお尋ねでございます。
 国連が採択をいたしました持続可能な開発目標、いわゆるSDGsは、誰ひとり取り残さない社会の実現に向けまして、環境、社会、経済などあらゆる分野における課題解決を目指しており、これは私が目指す、人が輝く東京の実現に向けた政策とも一致するものであります。
 こうしたグローバルな視点から、都の政策を練り上げることは、世界の潮流を捉え、国際都市としての東京のプレゼンスをさらに高めていく上で不可欠だと考えております。
 先月、世界の主要都市が参加し、東京が議長都市として開催した国際会議、U20メイヤーズ・サミットにおきましても、SDGsという枠組みの中で、気候変動など世界共通の課題解決に向けました認識を共有することができました。
 今後策定する長期計画におきましても、こうしたSDGsの視点に立ちまして、世界をリードする政策を盛り込んでいきたいと考えております。
 また、現在の実行プランの推進に当たりましては、毎年度、その進捗状況などを精査いたしまして、政策の強化を図るPDCAサイクルの取り組みを進めるとともに、取り組みの成果や課題を公表しております。
 また、新たに策定する長期計画とその実施計画におきましても、こうした見える化の視点をしっかりと位置づけまして、常にその政策をブラッシュアップしながら、その実効性を高めていく考えであります。
 次に、築地再開発についてでございます。
 築地は、都心に近接をし、かつて浜御殿と呼ばれました東京の宝、浜離宮恩賜庭園、そして江戸の名所を数多く抱えます隅田川に面するなど、またとないロケーションにございます。
 地域のポテンシャルを生かして、都民を初め国内外から多くの人々が集い、ともに感動し、楽しみを共有しながら、東京の新たな魅力を発信できるような交流拠点を形成してまいります。
 民間の力も最大限に活用いたしまして、文化の創造拠点を象徴するすぐれたデザイン、景観の形成も図りながら、先進性と国際性を兼ね備えた、海外都市にない、これからの東京の新たな顔をつくってまいります。まちづくりの推進に当たりましては、地元区とも十分に連携を図ってまいります。
 次に、築地再開発におけます価値の向上についてのお尋ねがございました。
 築地では、都心のまたとない広大な土地を生かしまして、民間の力を最大限に活用しながら、段階的に整備を進めて、将来の都民にとっての価値の最大化を目指してまいります。
 有識者からご提言をいただきました築地まちづくりの大きな視点では、民間開発部分の、個別の収益の最大化を求める従来のような手法では全体として最適なものとはならないとされております。
 長期的な観点から、まちづくりを適切に進められるように、外部の有識者を交えながら、一貫して開発をコントロールする仕組みを構築いたしまして、都民にとっての東京全体の価値が最大化できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 地域における清掃、美化活動についてのお尋ねがございました。
 サッカーワールドカップ大会では、日本人サポーターが試合後にスタジアムを清掃して世界から称賛を受けました。こうした善意の清掃活動は、日本人の美徳を象徴する取り組みであります。
 都内におきましても、島しょ地域における海ごみの回収事業や都内各所のスポーツごみ拾い大会におきまして、多くのボランティアが参加するなど、都民参画による清掃、美化活動は地域に根づいてきております。
 来る東京二〇二〇年大会におきましては、こうした都民による善意の活動を広げまして、清掃で、美しいまち並みで来訪者をもてなし、大会後もレガシーとして、まちをきれいにする取り組みを継続していくことは大変重要でございます。
 後世に残るクリーンで快適な都市東京の実現に向けまして、大会を契機として、地域住民の皆様の清掃、美化活動が美しい都市環境を大切にする共感の輪を広げていけるように、都として後押しをいたしまして、大きなムーブメントになるよう、区市町村と連携して取り組んでまいります。
 自動車の安全対策についてでございます。
 歩行者が犠牲となる交通死傷事故が続発する中で、痛ましい事故から都民を守る、そのためにはさまざまな対策を迅速に講じていく必要がございます。
 そのため、都といたしまして、自動車の安全運転を確保するための緊急対策といたしまして、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐなど、事故の防止に効果的な装置の取りつけに対する補助を実施することといたし、既に事業者とは調整を行っております。補助の受け付け開始後一年間は、高齢者の方により早急に対応していただくために、費用の一割程度の自己負担で装着できるように、今年度の予備費での対応も含めまして支援を行っていく考えでございます。
 また、運転免許の自主返納への理解促進を図るために、休日に家族相談会を新たに実施するほか、返納された方々への特典の拡充に向けまして、関係機関への働きかけを強化してまいります。
 さらに、子供の安全を守るため、警視庁や関係機関と連携をいたしまして、通学路など日常的な移動経路の危険箇所の把握や合同点検等を実施いたしまして、緊急の安全対策につなげてまいります。
 今般設置をいたしました全庁横断型の緊急プロジェクトチームでございますが、さらなる対策を検討して着手できるものから速やかに事業化を図る考えでございます。
 今後とも、誰もが安心して暮らすことのできる都市東京の実現に向けまして、自動車の安全対策に積極的に取り組んでまいります。
 高齢者の移動支援についてでございます。
 高齢者の日常生活を支え、社会参加を促進する上で、その足となる地域の公共交通は大きな役割を担っております。
 そのため、都は現在、区市町村が実施するコミュニティバスの導入に対する支援を行っております。また、日常の買い物が困難な方々に対する支援策の一つとして、都営住宅団地内では、地元区市や民間事業者と協力をして、食品などの移動販売サービスを実施しております。
 今年度は、先端技術を活用しまして、八丈島で高齢者の移動支援ともなります自動運転バスの実証実験を行います。また、高低差が移動の支障となっております多摩ニュータウンでは、バス停から団地までなどの移動につきまして、電動車椅子などを活用する実証実験を行う予定といたしております。
 お話のように、運転免許の自主返納を促進するためには、高齢者の買い物や仕事、通院のための移動支援の充実、これらを図っていくことは重要であります。
 こうした観点から、新たに設置をいたしました緊急プロジェクトチームでは、現在の制度を検証いたしまして、実効性のある対策を検討していきたいと考えております。
 次に、都営住宅制度についてのお尋ねがございました。
 都営住宅は、都民の住宅セーフティーネットの中核としての機能を担っておりまして、社会経済情勢の変化に応じて管理のあり方を適切に見直してまいりました。今日、入居者の高齢化、世帯の単身化が進行する中で、住宅ストックを有効活用いたしまして、高齢者が安心して暮らせる環境の整備や、若年ファミリー世帯の入居促進などによりまして、さまざまな世代がともに暮らし、支え合う多世代共生を推進していくことが必要であります。
 先月末の住宅政策審議会答申におきましては、子育て世帯への支援を一層充実するため、現在十年を限度としております期限つきの入居制度の入居期間を子供の高校修了期まで延長する、また、ひとり親世帯を新たに対象にするとの方向性が示されております。
 この答申を踏まえまして、期限つき入居制度につきまして期間延長の対象者の要件や、現在お住まいの方に適用する場合の考え方、また、同制度で新たに対象といたしますひとり親世帯の要件など詳細な制度設計を早急に検討してまいります。
 今後、条例改正も視野に入れまして、都営住宅におけます多世代共生の実現に向けて、新たに住宅政策本部を設置した趣旨を十分に生かしまして、速やかに施策を推進してまいります。
 最後に、犯罪被害者等支援条例の制定についてでございますが、犯罪被害者及びそのご家族の方々は、犯罪の発生によりまして直接的な被害を受けるとともに、被害者への無理解などによって、心身ともに苛酷な状況に置かれて、社会において孤立することも少なくありません。そのため、被害者に対しまして必要な支援を迅速かつ確実に提供していくことが重要でございます。
 都はこれまでも、東京都犯罪被害者等支援計画を策定して、総合相談窓口の設置を中心として、被害者やそのご家族の方々が一日も早くもとの生活を取り戻せるように、被害者の方々に寄り添った支援を幅広く行ってまいりました。
 これらの取り組みを社会全体でより一層進めていくため条例を制定するということといたしまして、先月、有識者懇談会を設置の上で検討を開始いたしました。
 今後、多くの外国の方々が住み訪れていることなど、首都東京に特有の課題について精査をいたしまして、有識者懇談会の議論を踏まえながら検討を進めまして、令和二年第一回定例会への条例提案を目指します。
 また、被害者等の意見を聞くことについて、犯罪被害者等支援条例につきましては、犯罪により苦しんでいる被害者の心の支えとなることが大切であって、そのためにも被害者やそのご家族、支援団体等の意向をしっかりと把握することは重要でございます。
 こうした考えのもとで、有識者懇談会には、被害者やそのご家族のご意見を伺うために、犯罪の被害に遭われた方のご家族に委員としてご就任をいただいております。
 また今後、被害者や被害者団体等への調査を行いまして、被害者の実態、そして被害者支援に係るさまざまなニーズをしっかりと把握をしてまいります。
 被害者の切実な思いに寄り添った条例案の策定に向けまして精力的に検討を進めて、誰もが希望を持って安心して暮らしていける都市東京の実現に努めてまいります。
 その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保育施設の散歩ルート等における交通安全対策等についてでありますが、警視庁では、既に緊急的な取り組みとして、幼稚園及び保育施設の散歩ルートや通園ルート等について実態を把握し、危険箇所があった場合及び幼稚園などから危険箇所や交通安全対策について相談があった場合には、道路管理者等との合同点検を行い、ガードパイプの設置等、道路交通環境の改善を図っているところであります。
 さらに、過去五年間に子供が当事者となった重大事故の道路交通環境に類似した箇所において、同様の交通安全対策を講じていくこととしております。
 次に、子供の目線や行動の特性を理解した上での交通安全対策についてでありますが、警察署等が実施している講習会や交通安全教室において、子供の交通事故の特徴や事故事例、幼児の行動の特性を内容とする交通安全教育を実施して、子供の交通事故防止対策を推進しており、その一環として、ご提案いただいたチャイルドビジョンを保護者や教育関係者のほか運転者などにも配布して、子供の視野を理解してもらうために活用しております。
 引き続き、社会全体で子供を交通事故から守るべく各種取り組みを推進してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校生の海外ボランティア活動についてでございますが、グローバル社会において、生徒が社会貢献や国際協力の意識を身につけるためには、海外を含めたさまざまな体験活動に取り組むことが効果的でございます。
 これまで都教育委員会は、全ての都立高校等において、都独自の教科、人間と社会やオリンピック・パラリンピック教育等を通して生徒のさまざまなボランティア活動を推進してまいりました。
 今後、国際協力のあり方等を学ぶことを目的として、ボランティア推進校の生徒をベトナムへ派遣し、JICA隊員のジョブシャドーや、障害者施設でのボッチャによる交流等を実施してまいります。さらに、その成果を全都立高校等の代表生徒によるボランティアサミットで共有するなどして、国際社会に貢献しようとする意欲を高めてまいります。
 次に、マイタイムラインの学校での取り組みについてでございますが、子供たち一人一人が家族等と話し合いながら、風水害発生時の適切な避難行動をしっかりと考えられるようにするためには、学校から子供たちに、マイタイムライン作成の目的や意義を十分に伝えていくことが重要であります。
 そのため、都立学校や区市町村教育委員会の管理職に本年五月に周知し、さらに六月初旬には、安全教育を担当する指導主事等に対しても丁寧に説明を行ったところでございます。
 今後、子供たちにマイタイムラインを配布する際に、作成、活用の手引を使用して、風水害への備えの重要性を伝えるとともに、防災ノートにマイタイムラインの内容を記載し、さまざまな教育活動の中で触れられるようにして、防災意識のさらなる向上を促してまいります。
 次に、公立小中学校における体育館等への空調整備の進捗状況についてでございますが、学校体育館等は、子供たちが安全に安心して活動を行う場であることや、非常災害時における避難所等としての役割も果たすことから、安全性の確保や防災機能の強化は極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会は、区市町村が時期を逸することなく暑さ対策を講じられるよう、昨年度の補正予算により、緊急対策の一環として創設した体育館等の空調整備に係る都独自の補助制度に加え、本年度からリースによる対応も支援の対象とすることといたしました。
 これにより、昨年度の補正予算成立後から本年六月までの間で、四百八十六校、四百八十九棟において、空調整備の着手がなされる予定でございます。
 次に、武道場への空調整備やリース方式による空調整備に対する区市町村の取り組み状況及び改築等の事情がある場合の対応についてでございますが、先ほどお答えした四百八十九棟のうち、武道場は二棟あり、その二棟を含め、本年度予算での対応となるリースによる空調整備は二百六十三棟であります。
 また、お話のような十年以内に改築などの特別な事情が生じる事案についても、体育館等の空調整備に対する都の支援を区市町村が積極的に活用できるよう、早急に検討し、周知してまいります。
 次に、都立高校の体育館への空調整備についてでございますが、都教育委員会は昨年度、各校の電気容量の調査等を行うとともに、これを踏まえた整備計画を策定し、都立高校の体育館における空調整備に鋭意取り組んでおります。
 今年度は、早期に対応可能な二十校について、夏までに整備できるよう、現在、設置工事等を進めております。
 さらに、他の都立高校についても、空調設備の必要台数や設置場所等に係る調整に着手するなど、今年度から三年以内の整備に向けて計画的に取り組んでまいります。
 次に、都立高校の体育館へのLPガスを動力とする空調機の導入についてでございますが、LPガスは、都市ガスに比べ災害時における復旧が早いとの報告があるほか、電気やガスが寸断されても運転可能な機能を備えた空調機もございます。
 このように、災害発生時に避難場所となる都立高校の体育館へのLPガスを動力とする空調機の導入にはメリットがあることから、都教育委員会では、現在、その導入を視野に入れた調査研究を進めております。
 今後は、LPガスを動力とする空調機の設置費用や設置場所等、さまざまな角度から、より具体的な調査を行ってまいります。
 次に、都立高校の特別教室への空調整備についてでございますが、都立高校では、普通教室で代替のきかない特別教室のうち、音楽室やパソコン室などへの設置を既に完了しており、平成二十八年度からは、火気を使用する調理室等を新たに対象に加え、年間六校から八校の規模で整備を進めてまいりました。
 こうした中、近年の夏の猛暑の状況等を踏まえ、今年度は十三校において工事を実施するとともに、さらに十三校で来年度の工事に向けた設計に着手するなど、特別教室における空調整備の取り組みを加速しております。
 今後、残りの都立高校についても、各校の現状を把握した上で整備計画を策定し、スピード感を持って取り組んでまいります。
 最後に、スクールガードリーダーの配置促進に向けた取り組みについてでございますが、児童生徒の通学時の安全確保には、警察等の関係機関との連携はもとより、地域住民等の参画による地域の実情に応じた取り組みなどを有機的に組み合わせた体制整備が重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、スクールガードリーダーが巡回して、学校安全ボランティアなどへの専門的な指導等を行い、登下校の見守りの質の向上を図る区市町村の取り組みに対する支援を行ってまいりました。
 今後は、区市町村の意向等を的確に把握しながら、スクールガードリーダーの配置等の推進に向け、補助事業のさらなる活用を促すとともに、関係機関と連携した人材確保の支援策について検討してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 築地再開発の進め方についてでございますが、築地の段階的整備に当たっては、まちづくりを適切に進めるための一貫した方針のもと、周辺との相乗効果等も図りながら、適切に機能を順次導入していく必要がございます。
 機能の導入に当たっては、食文化の拠点として築地が育んできた活気とにぎわいに鑑みて、新たなにぎわい、集客の創出にも留意してまいります。
 また、周辺との連携を強化することができるよう、楽しく周遊できる歩行者のネットワークなどを形成いたします。
 そして、水の都にふさわしい舟運の活性化や築地場外市場とのつながりなどの観点から、まずは、船着き場周辺のエリアを先行して整備してまいります。
 まちづくりの推進に当たっては、築地場外市場の所在する地元区とも十分に連携を図ってまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンション再生まちづくり制度についてでございますが、都はこれまで、マンション再生に向けた目標や取り組みの方針を示すまちづくり計画を策定する六つの区市に対し支援を行い、二つの地区をマンションの再生を図る必要性が高い推進地区として指定いたしました。
 この指定により、管理組合が行う区分所有者の意向調査や説明会の実施などについて、区市を通じて五年間、複数の住棟の場合は八年間助成できます。
 都は、本制度を区市へ積極的にPRし、推進地区の指定に向けたまちづくり計画を策定する自治体の数の拡大を図り、管理組合による専門家活用を促進してまいります。
 こうした取り組みにより、マンションの建てかえと、それにあわせた道路の拡幅や広場空間の確保等を図り、地域の防災性の向上と良好な市街地環境の形成を進めてまいります。
 次に、建てかえ検討初期段階での専門家活用についてでございますが、マンション建てかえを円滑に進めるためには、検討初期段階でマンションの区分所有者の建てかえに向けた意識を高め、管理組合全体での合意形成につなげていくことが重要と認識しております。
 都はこれまで、マンション建替え・改修アドバイザー制度により、管理組合等の求めに応じ、建築士などの専門家を派遣し、建てかえに向けた情報提供や助言を行ってまいりました。今後、都内では、老朽化したマンションが増大することが見込まれており、より一層の取り組みが必要でございます。
 このため、条例による管理状況届け出制度が来年度から開始されることを契機として、ご提案のような視点も踏まえつつ、管理組合等が建てかえ検討を進めるに当たり、専門家を活用しやすい制度となるよう幅広く検討してまいります。
 次に、空き家対策についてでございますが、空き家対策を効果的に進めていくには、地域特性を踏まえた区市町村の取り組みが重要であり、都はこれまで、実態調査、計画作成、除却や改修などへの支援を行ってまいりました。
 今年度からは、区市町村の創意工夫を生かし、空き家の利活用をさらに推進していくため、新たに、区市町村からの企画提案に基づく事業への支援を開始いたしました。
 具体的には、お話のような賃貸用の空き家、空き室を子育て世帯向けに広い住戸に改修する、また、外国人労働者向けの住宅やグループホームに改修することなどによりまして、地域ニーズに弾力的に応えられる仕組みを整えました。
 今後、区市町村の意向を改めて的確に把握しながら、新たな補助制度を活用し、東京における空き家の利活用を積極的に推進してまいります。
 次に、都営住宅のファミリー世帯向け住戸についてでございますが、現在、建てかえ対象としている昭和四十年代以前に建設された都営住宅では、居住者が三人以上の世帯の割合は平均して約一一%となっております。
 これらの住宅の建てかえに当たりましては、居住者の世帯規模などの状況を勘案し、地元自治体との協議も踏まえつつ、必要なファミリー世帯向け住戸の整備を進めております。
 今年度に発注する建てかえ事業におきましては、建設戸数の約二五%を三人以上用の住戸として整備する計画としております。
 今後とも、都営住宅の建てかえに当たりましては、団地ごとの特性に応じ、適切にファミリー世帯向け住戸の確保に努めてまいります。
 次に、都営住宅の生活支援サービスの充実についてでございますが、都営住宅において高齢化、単身化が進む中、高齢者が孤立せず、団地居住者や地域と交流しながら暮らすことができる環境の整備は重要でございます。
 住宅政策審議会の答申では、巡回管理人による定期訪問や自治会における見守り活動の支援など、都が実施してまいりました生活支援サービスの取り組みをさらに進めるため、地元市区町の福祉部門や民間事業者等、さまざまな主体と連携が必要との提言がなされました。
 今後、市区町などとの連携を強め、移動販売の実施団地を拡大するとともに、敷地や集会所等を活用して、入居者の居場所づくりや交流を図るイベントを、民間事業者等が多くの団地で実施できるよう枠組みを整えるなど、高齢者への生活支援サービスのさらなる向上に取り組んでまいります。
 最後に、都営住宅の浴室の設備についてでございますが、昭和五十六年度以前の都営住宅につきましては、当初建設時、都は浴室の設備を設置しておりませんでした。
 昭和五十七年度から建てかえ時に設置を開始し、平成二十年度からは、居住者が退去した際に行う空き家修繕の際に設置を行ってまいりました。
 その結果、都が浴室の設備を設置していない住戸数は、この十年間で約十二万一千戸から約六万五千戸まで減少しております。
 一方、入居の際に居住者がみずから設置いたしました浴室の設備の更新につきましては、居住しながら効率的に工事を行う方法などの検証を行っております。
 これまでの建てかえや空き家修繕の際の設置に加え、入居中の住宅におきましても効果的な進め方についてさらに検討してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、気候変動適応計画についてでございますが、都はこれまでも、温室効果ガスの排出を抑制する緩和策を進めてまいりましたが、引き続き緩和策を行ってもなお気候変動による影響は残るため、適応策をあわせて進めていくことが重要でございます。
 このため、検討体制を新たに構築するとともに、最新の気象データを調査し、自然災害、健康、農林水産業、生態系などの分野ごとに適応策を盛り込んだ気候変動適応計画について、年度内を目途に策定いたします。
 都民の生活と財産を守るため、気候変動の影響による被害の回避と軽減に向け、全庁的な体制で本計画を推進してまいります。
 次に、地域気候変動適応センターの新設についてでございますが、気候変動適応法では、地方公共団体に対し、地域における気候変動適応を推進するセンターの設置が努力義務とされております。
 センターは、適応に関する情報の収集、分析、提供などを行う拠点となるものであり、気候変動の影響による被害の回避と軽減を図る上で重要でございます。
 今後、都においても、環境省や国の気候変動適応センターに位置づけられている国立環境研究所とも連携しながら、センターの設置に向けた検討を進めてまいります。
 最後に、食品ロス削減についてでございますが、都はこれまで、食品ロス削減パートナーシップ会議での議論を重ねるとともに、各種キャンペーンの実施などにより、食品ロス削減のムーブメントを醸成してまいりました。
 今回の法律成立を受けて、都として、これまでの成果を生かし、食品ロス削減に向けた消費者、事業者などの各主体の自主的な行動をより一層促してまいります。
 具体的には、都や区市町村などが保有する防災備蓄食品の在庫状況を把握し、必要な団体とマッチングする仕組みの構築を目指す新たな調査を実施いたします。
 今後、政府が示す基本方針を踏まえ、法律が規定する食品ロス削減に向けた都としての推進計画を策定し、さまざまな主体との密接な連携のもと、食品ロスが発生しない資源循環の確立に向け取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、福島県のJヴィレッジの活用についてでありますが、都はこれまで、スポーツを通じて被災地に元気を届ける被災地支援事業を実施してまいりました。
 また、東京二〇二〇大会開催決定後は、被災地の復興なくして大会の成功はないという理念のもと、大会準備に取り組んできたところであります。
 Jヴィレッジは、東京二〇二〇オリンピック聖火リレーのグランドスタート会場でもあり、本施設を活用することは、復興を後押しする上でも意義深いことであると考えております。加えて、Jヴィレッジの利用促進につきましては、福島県からもかねてより協力を依頼されているところでございます。
 このような状況も踏まえ、都が主催するスポーツイベント等におけるJヴィレッジ活用の可能性につきまして、今後具体的に検討を進めてまいります。
 次に、競技会場周辺の美化についてでありますが、ラストマイルなど会場周辺の路上の清掃を行い、観客に安全で快適な経験を提供し、大会がクリーンな環境で開催される状況を世界に発信することは重要でございます。
 そのため、都道はもとより、国道などにつきましても、各道路管理者等へ働きかけ、道路環境の美化に取り組んでまいります。
 また、大会中は、会場周辺における定期的なごみの回収に加え、都内自治体が運営するボランティアと連携した会場周辺の美化なども行ってまいります。
 さらに、参画プログラムを通じ、さまざまな団体が地域の美化活動に取り組んでおりますことから、組織委員会と連携しまして、こうした団体の活動を広く発信し、取り組みを促進するなど、地域の方々と一体となって大会を盛り上げ、会場周辺におけるごみのない快適な環境づくりに取り組んでまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップの被災地観戦招待事業についてでありますが、宮城県や福島県の子供たちが、世界最高峰の試合を直接観戦するとともに、都内の子供たちとラグビーを通じた交流を図ることは重要でございます。
 このため、ジュニア世代のラグビー振興に資するよう、中学生に加え、小学校高学年も対象とし、保護者と合わせて百二十名を招待いたします。
 また、ワールドカップの雰囲気を間近に感じられるよう、東京スタジアムに隣接する西競技場におきまして、合同練習などの交流を行うことを検討しております。
 広々とした天然芝グラウンドでの交流が、子供たちの心のレガシーとなり、今後の活発な活動につながるよう、両県や都内の競技団体等と連携し、着実に準備を進めてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、マイタイムラインの普及拡大についてでございますが、多くの都民が風水害発生時に的確に避難できるようにするためには、家族構成によらず、幅広い世代がマイタイムラインを作成することが有効でございます。
 このため、都では、区市町村と連携し、防災訓練等において作成会を実施するとともに、消防署や防災館等において、夏休み期間を中心に、個人や親子で参加できる作成講座を開催するなど、その普及啓発に努めてまいります。
 さらに、多くの都民に作成を促していくため、地域防災の担い手となる自治会の防災リーダー等を対象とした研修会の実施により、マイタイムラインの作成を指導できる人材を育成し、地域の活動を通じた普及を図ってまいります。
 こうしたさまざまな取り組みを進めることで、都民一人一人の風水害への備えを万全なものにしてまいります。
 次に、市町村における市民センターや公民館の体育施設への空調設備設置の取り組み状況についてでございますが、市町村の公民館などに併設されている体育施設の多くは、学校の体育館と同様、災害時の避難所としての活用が予定されております。今年度は、八王子市と青梅市において、市民センターと総合体育館の空調設備設置のための予算が計上されており、現在、両市において設置に向けた設計に着手をしているところでございます。
 こうした空調設備の設置に対しましては、市町村の財政負担の軽減を図るため、今年度から市町村総合交付金をより活用しやすくすることとしておりまして、今後、改めて市町村に通知することに加え、さまざまな機会を捉えて、実務担当者に対しても丁寧に説明するなど、制度のさらなる周知に努めてまいります。
 次に、犯罪被害者に対する正しい理解の促進についてでございますが、犯罪被害は、誰もが突然遭遇する可能性があるにもかかわらず、犯罪被害者等の実情については、正しい理解が都民に浸透しているとはいいがたい状況にございます。
 このため、被害者やそのご家族の多くが、犯罪による直接的な被害に加え、周囲の無理解や心ない言動などに苦しめられていることから、一日も早く穏やかな日常を取り戻すためにも、被害者に対する正しい理解を進めることが重要でございます。
 今後、こうした観点から、被害者の声なども踏まえて実態をしっかりと把握し、有識者懇談会において、条例の内容や支援策などを幅広く議論していただき、検討を進めてまいります。
 最後に、犯罪被害者等支援の先行事例についてでございますが、都はこれまでも、三期にわたる東京都犯罪被害者等支援計画に基づき、被害者等に被害直後から途切れることのない支援策を実施してまいりましたが、被害者支援の一層の充実を図っていくためには、他の自治体におけるすぐれた取り組みを参考にすることが重要でございます。
 既に十七の道府県が条例を制定、運用しておりまして、今後、こうした自治体における被害者支援の制度や実施状況などの詳細を調査してまいります。
 その調査の結果に基づき、有識者懇談会において幅広く議論し、東京都の実態に合わせた支援策についても検討するなど、より実効性の高い条例案の策定に向けて努力してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、保育所等の園外活動についてでありますが、都は、認可保育所や認証保育所の開設に当たりまして、歩道の有無や交通量など、公園等の代替遊戯場までの移動経路の安全性等を職員が実地で確認するとともに、開設後も、指導検査等を通じまして、園外活動の際の職員体制について指導しております。
 また、今回の事故を受けまして、認可外保育施設を含めた保育所等に対しまして、園外活動の際の安全管理を徹底することや、周辺道路に危険箇所がある場合には警察署に連絡することなどを通知したところでございます。
 今後、区市町村とも連携し、指導検査等により移動経路の再点検を促すとともに、保育事業者向けの講習会で、警視庁による交通安全対策等に関する講義を実施するなど、園外活動の際の安全確認の徹底を図ってまいります。
 次に、チャイルドビジョンについてでありますが、都は、平成十八年度に、大人に比べて狭い幼児の視界の特徴に保護者などが気づくことで不慮の事故の予防につながるよう、東京都版チャイルドビジョンを作成し、区市町村の関係機関等に配布するなど、その普及啓発に努めております。
 また、都のホームページでダウンロードできるようにするとともに、認可外保育施設の開設希望者に対する説明会で実際に体験していただき、その活用方法を周知しているところでございます。
 今後、チャイルドビジョンを活用した安全対策の取り組みが一層進むよう、改めて、保健所、保健センターを初め、都内全ての保育所や児童館、子供広場等に配布するとともに、保育事業者向けの講習会や認可外保育施設の巡回指導等の場を通じて広く普及啓発に努めてまいります。
 次に、ひきこもりの方への支援についてでありますが、都は、ひきこもり状態となった本人とその家族の多岐にわたる悩みに的確に対応できるよう、今年度から、庁内関係部局の推進会議に高齢部門も加えまして、保健、医療、就労、教育分野との連携を一層強化しております。
 また、今週末には、ひきこもり状態に悩むご本人とご家族向けの講演会及び合同相談会を開催し、公認心理師である専門家に、家族が本人に対してできることなどについてお話ししていただく予定でございます。
 こうした取り組みに加え、現在、地域の相談体制や家族等の現状把握に向け、区市町村等の関係機関や家族会、当事者団体と意見交換を行っているところでございます。
 今後、学識経験者や福祉関係者などからも意見を伺った上で、実態把握を進め、ひきこもりの方やその家族への適切な支援のあり方を検討してまいります。
 次に、薬物の乱用防止対策についてでありますが、都は、薬物乱用対策推進計画を定め、関係機関や地域団体と連携した啓発活動、規制や取り締まり、相談支援体制の充実など、総合的な取り組みを行っているところでございます。
 本年三月には、この計画を改定し、大麻事犯の増加や、若い世代に誤った情報が流れ、大麻の使用を容認する考えが広まりつつある状況を踏まえまして、若年層への啓発活動を強化することといたしました。
 このため、今年度は、新たに小学校高学年の児童への啓発にも活用できるDVDやリーフレットを作成するとともに、SNS等により大麻などの薬物の危険性等を若い世代に強く訴えかけてまいります。
 お話の海外で誤って大麻を含む製品を購入した事例につきましても、旅行者への注意喚起を行うなど、今後、薬物乱用防止のための啓発活動を幅広く実施してまいります。
 次に、子供食堂に対する支援についてでありますが、都は昨年度から、地域の子供たちに食事や交流の場を提供する民間団体等の取り組みを区市町村を通じて支援する子供食堂推進事業を実施しているところでございます。
 この事業では、子供食堂を月一回以上実施することや、区市町村が開催する関係機関との連絡会に参加することなどを助成の要件としており、これらを満たせば、既存の飲食店での取り組みも対象となるものでございます。
 昨年度、レストランやカフェなどを活用した子供食堂の取り組みに対しましても、実際に助成を行っておりまして、今後こうした事例を紹介するなど、区市町村に積極的に働きかけ、地域での子供食堂の活動を支援してまいります。
 最後に、子供食堂の安全対策についてでありますが、お話のように、子供食堂の運営に当たりましては、安全性の確保は重要であり、都は、子供食堂推進事業を活用する民間団体等に対しまして、先ほど申し上げた要件に加え、事前に保健所に相談し、指導助言を求めること、食品の安全確保を図るため、適切な衛生管理体制を構築すること、参加する子供の食物アレルギーの有無を確認すること、常時責任者を配置することなどを義務づけております。また、事故発生時の対応のため、保険への加入を求めるとともに、そのために必要な経費も助成の対象としているところでございます。
 今後とも、本事業を適切に実施し、子供たちが安心して食事や交流ができるよう、子供食堂の安全対策の徹底を図ってまいります。
〔都民安全推進本部長大澤裕之君登壇〕

○都民安全推進本部長(大澤裕之君) 自転車損害賠償保険の加入義務化についてでありますが、都は、平成二十五年に制定した東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例で、加入を努力義務としております。加入促進のため、自転車安全利用教室や自転車購入時などに普及啓発を行っており、加入率は、昨年の都政モニターアンケートでは約五三%になっております。
 都は、近年の事故等の状況を踏まえ、五月に、さらなる自転車の安全で適正な利用の促進に向け、専門家会議を設置したところであり、会議では、専門家から、ルール、マナーの一層の周知徹底などとともに、保険加入の義務化についても意見が出されております。
 今後は、専門家会議での加入義務化に関する議論や加入義務化にかじを切るべきとのご指摘も踏まえ、都としての対応を早期に検討してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 子供食堂についてですが、卸売市場には、都民に対し生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給する基幹的インフラとしての役割に加えまして、地域への貢献として、都民や消費者との交流の場としての役割が期待されております。
 都内の各卸売市場におきましても、これまで市場まつりや食育に関する講習会などに取り組んでまいりました。
 お尋ねの子供食堂は、各区の支援のもと、地域の実情に応じてNPO等が取り組んでいるものでございまして、地元区から要望があった場合には丁寧に対応するなど、生鮮食料品等の供給を担っている卸売市場といたしましても、市場関係者と連携しながら地域へ貢献してまいります。

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