令和元年東京都議会会議録第十号

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 八番やながせ裕文君より、議員の辞職願が提出をされました。
 これを本日の日程に追加をいたします。

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定をいたしました。

○議長(尾崎大介君) 追加日程第一、議員辞職の件を議題といたします。
 議事部長をして辞職願を朗読いたさせます。
〔櫻井議事部長朗読〕
   辞職願
 今般一身上の都合により議員を辞職したいので、許可されるよう願い出ます。
  令和元年六月四日
 東京都議会議長 尾崎 大介殿
東京都議会議員 やながせ裕文

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 本件は、願い出のとおり辞職を許可することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、願い出のとおり辞職を許可することに決定をいたしました。

○議長(尾崎大介君) これより質問に入ります。
 百十四番荒木ちはるさん。
〔百十四番荒木ちはる君登壇〕

○百十四番(荒木ちはる君) 東京都議会第二回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び警視総監、教育長、関係局長に質問いたします。
 質問に先立ちまして、五月一日に天皇陛下が即位なされましたことを心よりお喜びを申し上げます。
 激動の平成が幕を閉じ、令和の新時代を迎えました。平成から令和に対しては、幾つもの大きな宿題が残されています。人口減少、少子高齢化、日本経済の長期低迷と国際的地位の低下、国の財政負担の将来への先送り、そして、平成の時代に頻発した自然災害への対応。
 中でも、日本社会における男女間格差は深刻です。世界経済フォーラムによれば、男女間格差の度合いについて、日本は、調査対象百四十九カ国中総合百十位と、G7で最下位です。特に経済分野は百十七位、政治分野は百二十五位と、世界最低レベルといっても過言ではなく、日本における男女平等が達成されるまで、あと百八年が必要とまで指摘をされています。
 新しい令和の時代は、女性、男性問わず、各自が違いを互いに尊重しながら刺激し合い、新しい価値を創造していくことができる東京を実現する必要があります。
 もう一点、平成の三十年間で日本が世界から大きく出おくれたのがテクノロジーの活用です。
 世界銀行によるビジネス環境ランキングでは、日本はOECD加盟国三十四カ国中二十四位であり、特に行政手続のランクが低迷をしています。東京都は、都市のデジタル化を積極的に推進して、民間企業の成長を促し、テクノロジーを活用した新たな発想で課題を解決する最先端都市として世界をリードしていかなければなりません。
 私たちは、多様性、そしてそこから生まれる創造性こそが新時代における都市の成長の源泉と捉え、国が対応できていない平成から令和の新時代への宿題に真正面から取り組みます。
 そして、東京の改革を日本全体の改革につなげ、都民、そして国民が、きょうよりあすがよくなるという希望を持つことができる社会の実現に向け、全力で取り組んでいくことを改めてお誓い申し上げ、質問をいたします。
 小池知事の改革の姿勢について伺います。
 新時代を迎え、改めて三年前の都知事選、そして二年前の都議選を振り返ると、都民から私たちに託されたのは、一部の人間のための古い都政を変え、都政を都民の手に取り戻してほしいという切実な思いです。
 しかし、残念ながら、議場からファイルが持ち去られる、委員長が集団で身体拘束に遭うなど、およそ言論の府とはかけ離れた前代未聞の事態も起きました。
 小池都政に対しても、政策論ではなく揚げ足取りに終始していますが、議会の審議に混乱を生じさせたあげく、都民の生活に多大な影響を及ぼす予算に対し、詭弁を弄して反対する姿勢こそ、都政の停滞を招く誤った姿勢そのものです。
 私たちは、東京大改革を掲げる改革の集団として、小池知事の進める施策に対しても、所属議員の多様性を生かし、そしてしっかりと物を申し、政策競争の上、真に都民の利益になる骨太の改革を推し進めてまいります。
 小池知事は就任以来、給料の半減を継続し、本定例会でも知事の給料半減の条例が上程されています。これにより、小池知事の給料月額は四十七都道府県の中で最も低く、全国千七百超の自治体の中でも千二百位台です。
 受動喫煙対策、待機児童数の歴史的な減少、オリンピック憲章人権条例の成立、工業用水道事業の廃止など、東京大改革の成果は着実に積み上がってきていますが、知事の所信でもありましたとおり、現状維持ですら、絶えず進化しないと困難である以上、東京大改革をさらに前に進めるためには、一層の取り組みが必要です。
 改めて、東京大改革の実現に向けた知事の見解を伺います。
 次に、新たな長期計画について伺います。
 東京は、全世界から注目が集まる東京二〇二〇大会を契機に、世界の諸都市より先に突入する超高齢社会、人生百年時代を、危機ではなく、東京の次なる成長の起爆剤となる取り組みを進めなければなりません。
 東京の世帯数の予測によれば、高齢世帯は一貫して増加し、二〇四〇年には全体の約三五%に及び、この高齢世帯全体のうち四五%はひとり暮らしと見込まれています。
 認知症やがんへの対策など、医療、介護の充実を図ることは当然重要でありますが、超高齢社会を東京の成長の起爆剤とするためには、治療、ケアの視点から捉えられることが多かったこれまでのシニア像を大きく転換し、シニア期を、これまでの経験を生かし、独自の価値を持つ新たな黄金時代として楽しむことができる環境の整備も進める必要があります。
 新たな長期計画の策定に当たっては、二〇四〇年代の将来の東京の姿を描き、多様な課題の解決に向けて、東京の英知を結集し、何よりも人、そして未来を見据えた取り組みに戦略的かつ積極的に投資をしていかなければなりません。
 昨年、東京と日本の成長を考える検討会において、東京の国際競争力の強化のために、外部有識者も交えたさまざまな議論も展開されており、それらも参考にしながら論点の整理を進めるべきと考えます。
 都民に東京の未来の確かな羅針盤となる新たな長期計画を示すため、今後どのように検討を進めていくのか、知事の見解を伺います。
 財政計画について伺います。
 長期計画の策定に当たっては、その裏づけとなる財政計画も必要不可欠です。二〇二〇年以降は、国による不合理な都税収奪の影響や、アメリカと中国の経済摩擦など、不透明な世界経済の動向、そして人口減少、少子高齢化等、都財政をめぐる国内外のさまざまな不確定要素のもと、これまで以上に賢い支出を心がけなければなりません。
 国内外の情勢を見据え、新たな長期計画の裏づけとなる都財政の堅実な収支推計を示すことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 待機児童対策について伺います。
 人口減少、少子高齢化に対応するためには、子供を持ちたいという都民の希望をかなえることができる環境の整備を子育てファーストで強力に推進すべきです。
 これまでも知事は、就任以来、待機児童対策を最重点課題と位置づけて取り組んできました。本年四月一日現在の都内の待機児童数は、昨年に比べ、保育所等の利用申込数が大きく増加したにもかかわらず、昨年より約千七百人減少して約三千七百人となる見込みであることが先日発表されました。
 これは四半世紀ぶりの水準であり、小池知事就任直後の二〇一七年四月、八千五百八十六人と比較すると約五七%の減少となります。
 さらに、国の幼児教育無償化の実施に合わせ、私たちが強く求めてきました多子世帯支援など、都独自の支援策も準備されており、都民が安心して育児と仕事を両立できる環境の整備が大きく進展をしています。
 このような待機児童数の大幅な減少は、小池都政の非常に大きな成果ですが、待機児童はいまだに約三千七百人存在しており、今後も待機児童解消に向け、施策をさらに加速していく必要があります。
 今後も引き続き、量と質の双方の観点から、全力で待機児童対策を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さらなる待機児童対策の推進に向けては、保育士の確保が大きな課題です。
 保育士の一九年一月の有効求人倍率は過去五年間で最高を更新しており、保育士の人手不足が深刻です。都の直近の集計では、保育士の賃金は上昇傾向にありますが、都の調査では、保育士が職場で改善を求めている点の上位には、給与、賞与等の改善や職員数の増員などの待遇面に集中をしています。
 保育士が一人ふえれば、働くことができる都民の数は数人から数十人ふえます。産業全体の人手不足を解消する意味でも、保育士の確保は最重要課題といっても過言ではなく、保育士の待遇改善、職場定着に向けた取り組みを一層推し進めていくべきと考えます。
 保育人材の確保のこれまでの取り組みの評価と今後の取り組みについて、知事の見解を伺います。
 家庭における男性活躍について伺います。
 平成の時代は、女性の社会進出は一定程度進んだといわれますが、男性の家庭進出は十分ではありません。
 都の直近の調査では、都内の企業における男性の育休取得率は一六・六%と、前年度から四・三ポイント上昇しました。ですが、まだ取得日数は短く、課題については長期の育休取得に加えて短い育休取得と短時間勤務制度の活用を望む声も多い状況です。
 また、職場の雰囲気や男性自身の意識という課題に加え、社会全体への啓発の重要さも指摘されており、これまでの働き方改革の延長線上を超えた取り組みが必要です。
 今般、都は、スムーズビズの一環として、テレワークの導入促進に向けて、業界団体などを通じて大規模に企業に働きかけを行う予定と理解しています。
 今後、女性のさらなる活躍につなげるため、男性の意識改革や育休取得、時短勤務等の促進を、スムーズビズの取り組みの一つであるテレワークの導入推進などと一体的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都営地下鉄の子育て応援スペースについて伺います。
 子供は、東京都、そして社会全体の宝であります。社会全体で育てるための取り組みを子育てファーストで強力に推進すべきです。
 民間団体が行った保護者へのアンケートでは、九割以上が、子供が電車を利用している際に、子供にとって危険な状況を感じたことがあるとの回答でした。また、ベビーカーに乗せて電車に乗ったら、ほかの乗客ににらまれたりベビーカーを蹴られたりしたことがあるといった切実な回答も多く、子供や子供連れの方が安心して移動できる環境の整備は重要な課題です。
 私たちの提案を受け、今年度、都営大江戸線の一部車両に子育て応援スペースを試験的に設置する準備が進んでいます。その実施に当たっては、反発や物議を恐れず、今の東京における子育てのしづらさを変えていくための取り組みにつなげていくべきと考えますが、具体的な内容と進捗について知事に伺います。
 妊娠適齢期の普及啓発について伺います。
 私たちは、昨年の第二回定例会において、妊娠を初め、性に関する正しい知識の普及を求めました。昨年度末、九年ぶりに刷新された、都の「いつか子供がほしいと思っているあなたへ」という冊子には、妊娠には適齢期があること、不妊の原因は女性に限らないこと、不妊治療も三十五歳を過ぎると出産率が下がること、もっと早くに知っていればよかったという当事者の声など、子供を望む人たちに適切な時期に知っていただきたい有意義な内容がコンパクトにまとまっています。
 都はこれまで、大学の保健室や専門学校、区市町村窓口などに冊子を置くなどして普及を進めてきましたが、将来子供を望む若い男女に、より広く正しい知識を伝えていただきたいと考えます。
 妊娠適齢期の普及啓発の冊子に関して、若い世代を中心に、より積極的に普及すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 LINE相談窓口について伺います。
 さきの定例会で私たちが提案した児童虐待防止条例が成立いたしました。この条例を受けて、児童虐待の早期発見に向けた仕組みづくりが求められています。
 また、子育て中の親や子供本人から相談を受けやすい環境づくりも必要不可欠です。都は、私たちの提案を受け、既存の電話相談に加え、児童虐待に関して試験的に相談しやすいLINEによる相談受け付けを行い、本格実施を目前に控えています。
 先日、私たちが独自に実施した東京都民に対するアンケート調査では、LINE相談をしたい時間帯に関して、午後十時から午後十一時台が最も多く、現在は午後九時までとなっている相談受け付け時間を二十四時間体制とすることも重要な視点だと考えます。
 いつでも相談できる体制づくりが重要ですが、今後のLINE相談窓口の取り組みについて伺います。
 また、私たちは、LINEによるいじめ相談窓口の設置を求め、同様に試験運行が行われました。こちらも同様に、相談受け付け時間を現在の午後十時までから二十四時間とするなど、相談体制の強化が重要です。
 いじめについても同様に、いつでも相談できる体制づくりが重要ですが、今後のLINE相談窓口の取り組みについて伺います。
 今後は、児童虐待やいじめ以外にも、例えば、私たちの独自のアンケート調査でも上位に来た恋人、配偶者からの暴力、思いがけない妊娠など、さまざまな相談事項についても、都民に身近なコミュニケーションツールによる相談窓口の設置を推進していくことを求めます。
 通学の安全確保について伺います。
 川崎市における痛ましい事案でとうとい命が失われ、多くの方がけがで苦しんでいらっしゃいます。今回お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、ご家族に対して心からお悔やみを申し上げます。けがで苦しんでいらっしゃる方々の一日も早い回復をお祈りいたします。
 東京都においても同様の事故を引き起こしてはなりません。セーフシティーを実現するためにも、こうした事案の絶無を図る必要があります。
 このような痛ましい事案を起こさない社会の実現に向けた決意と今後の方向性について、知事の見解を伺います。
 警視庁では平素より、通学路等におけるパトロールの実施や学校等関係機関への不審者情報の提供等を行うなどして、子供の安全を守るための対策に取り組んでいると理解しています。
 しかしながら、先日の川崎市の事件を受け、スクールバスの停留所等の登下校時に多くの子供たちが集まる場所に対する安全対策が急務であると考えます。
 そこで、川崎市の事件の発生を踏まえ、警視庁において登下校時の子供の安全を守るためにどのような対策に取り組んでいくのか、警視総監に伺います。
 犯罪被害者等の支援について伺います。
 都が私たちの提案を受け、犯罪被害者等支援条例の検討を開始したことを高く評価いたします。犯罪被害者支援団体などからも知事の決断を評価する声を聞いています。
 条例制定は、犯罪被害者等の支援対策を重要かつ普遍的な行政課題として位置づけ取り組むという自治体の意思を明らかにするものであり、今後の支援の継続と充実を担保するのみならず、苦しみ続ける被害者の方々を大いに勇気づけるものです。
 さきの定例会では、条例制定に係る陳情を都議会全会派の賛成をもって趣旨採択がなされています。
 特に支援が必要な方の一つに性犯罪の被害者があります。性犯罪の被害者には、二次被害を恐れて周囲に相談できない方がおり、摘発件数にはあらわれない多くの被害があるといわれています。
 事件解決とは別に、性犯罪の被害者に対する医療面、精神面等のケアを中心とした対応も重要であり、今後の積極的な検討を求めます。
 先月には、犯罪被害者等の支援に関する有識者懇談会が始まり、条例案の検討に向けて始動いたしました。
 犯罪被害者の方々のためにも、一刻も早い制定が必要と考えますが、条例制定に向けた知事の見解を伺います。
 教員の働き方改革について伺います。
 私たちはこれまでも、教員の働き方改革を積極的に進めてまいりました。都教育委員会は、国のガイドラインを踏まえて、都立学校教員の時間外労働の上限を原則一カ月で四十五時間以内、一年で三百六十時間以内とする方針を策定しました。
 都はこれまでも、スクールサポートスタッフ等の配置支援や授業の時数軽減等の取り組みを行ってきましたが、教員の時間外労働はいまだ多いのが現状です。
 教員以外ができる業務をさらに選別する、業務そのものを削減するなど、さらに工夫をする必要があると考えますが、今後どのように目標を達成していくのか、都の見解を伺います。
 教育に関する経済的負担を軽減することは、子育て支援において重要な視点です。私立学校の授業料について、国は、来年度末までに年収五百九十万円未満の世帯に対する就学支援金の支給額の上限を引き上げることで、実質的に無償化する方針を明らかにしています。
 都は現在、既に独自に年収七百六十万円までの世帯の授業料無償化を行っていますが、国の措置が実際に行われることが決まった際には、このような国の動きを踏まえ、都としても改めて私立学校の授業料無償化に関する制度設計を見直すことを求めます。
 インクルーシブ教育について伺います。
 都教育委員会は、私たちの要望を受け、今年度、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムに関する調査研究事業を実施することとしました。
 さきの定例会の答弁は、公立小中学校の通常学級を含むインクルーシブ教育のあり方の検討につながるものであり、世界のインクルーシブ教育の事情に詳しい専門家などの意見をしっかりと踏まえた検討が重要です。
 そこで、都教育委員会におけるインクルーシブ教育システムに関する調査研究の具体的な進め方について、都の見解を伺います。
 超高齢社会、人生百年時代を危機ではなく、東京の次なる成長の起爆剤とするために、これまでの高齢者の捉え方を大きく変える必要があります。平均寿命が今より短い時代に形成された現在の社会システムは、健康で活力あふれるシニアがふえている現状には適合しません。
 治療、ケアの視点から捉えられることが多かったこれまでのシニア像を大きく転換し、シニア期をこれまでの経験を生かし、独自の価値を持つ新たな黄金時代として楽しむことができる環境の整備が重要です。
 まず、高齢者の就労支援について伺います。
 高齢化の進展や人手不足の深刻化を背景に、就業を望む高齢者もシニア人材の活用を望む企業も増加をしています。労働力の確保の観点のみならず、働くことはシニア期の積極的な意味づけ、健康維持の観点からも重要です。
 シニアの方々が無理をせず、心身の能力に応じて働くことができる場を確保していく必要があり、都内企業の仕事、働き方について改革が求められています。
 高齢者の方がより長く働き続けられるように、シニアの方の体力や健康にも配慮して、ご本人への就労支援を行うことが必要であり、また、雇用する企業の側に対しても、シニアを受け入れられやすい職場環境が整備されるよう、都としても支援することが重要だと考えますが、都の見解を伺います。
 就労困難者への支援について伺います。
 多様性、そして、そこから生まれる創造性こそが成熟社会における成長に資するものです。そのためには職場における多様性を進めることが重要であり、企業においてもシニア、シングルマザー、障害者などの就労困難者のための職場環境を整備する変革が求められています。
 その実現のためには、就労の際に不利な立場にある人が働くことを目的とした社会的企業、いわゆるソーシャルファームの発想が重要であり、私たちの昨年の第二回定例会での提案を受け、都では条例策定の検討が進んでいます。
 都では、正規雇用を目指すミドル層に対する就労支援の一つである東京しごと塾など、受講者の半数以上が新たに職につくという実績を上げた事業もあります。
 今後は、こうした事業を拡充し、当事者の実情に寄り添いながら、福祉的なアプローチとも連携して、就労において困難を抱える方に向けた就労支援を行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 受動喫煙対策について伺います。
 東京都受動喫煙防止条例に基づき、ことし九月から全ての飲食店において喫煙場所の有無をあらわすステッカーの張りつけが義務化され、また、来年四月からは飲食店への罰則を含めた全面施行となります。
 私たちの独自のアンケート調査では、都条例を評価する、どちらかといえば評価するの合計が実に八割以上に及んでおり、都民から高い評価を得ている都条例の実効性を高める取り組みが重要です。
 さきの予算特別委員会において、私たちは、都内飲食店の八四%を占める条例対象施設に対する働きかけに関し、ポスター、動画のみならず、まちに出て啓発を行う啓発員の仕組みを提言いたしました。
 小池知事には、みずから先頭に立って都の職員とともに街頭に出るなど、都の取り組みの本気度を示していただきたいと考えます。
 都においても各区市町村と連携しつつ、飲食店への個別訪問を含め、条例の周知徹底を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都立公園の受動喫煙対策について伺います。
 さきの予算特別委員会において、私たちは、公園内に誰が見てもわかる受動喫煙防止ののぼりを設置すること、また、議員提案により成立をした子どもを受動喫煙から守る条例の趣旨を踏まえ、夏に多く子供が集まるスポットである都立公園内の特にじゃぶじゃぶ池において受動喫煙防止エリアをつくることを提言しました。
 私たちの独自のアンケート調査では、都条例は約七割の都民が認識している一方、子どもを受動喫煙から守る条例は四割未満にとどまっており、さらなる普及啓発が必要です。
 この提言内容を受けて受動喫煙対策にどのように取り組んでいるのか、都の見解を伺います。
 高齢者の交通事故対策について伺います。
 高齢者による交通事故が相次いでいます。私たちは本年四月に、高齢運転者の交通事故防止対策に関する要望書を小池知事に緊急提出させていただき、自動車の安全運転支援機能への支援策、免許自主返納の促進優遇策等を求めました。
 先般、知事からは、緊急対策として、事故防止に効果的な装置の取りつけに対する補助、運転免許返納者への特典の拡充、交通不便地域における高齢者の移動支援に向けた実証実験などのさらなる対策を講じるためのプロジェクトチームの設置が表明をされ、小池知事は昨日も都内の自動車用品店を視察に行かれています。これは私たちの要望を踏まえた迅速な対応であり、高く評価いたします。
 高齢運転者の交通事故対策は、超高齢社会を迎えた日本全国で解決が必要となる非常に重要な課題です。単に免許の返納を促すだけでは、高齢者の移動手段の確保の観点から問題があるように、多くの複雑な論点があります。東京都が先頭に立ち、迅速にその解決の道筋をつけるべきです。
 新たに設置されたプロジェクトチームにおいて可及的速やかに検討を行い、実効性ある対策を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 警視庁では、既にシルバードライバーズ安全教室やトレーニングキャンペーン、安全運転サポート車の普及啓発など、高齢運転者に対するさまざまな交通安全対策、教育に取り組んでいると理解しています。
 他方で、警視庁の統計によれば、都内における高齢運転者が第一当事者となる交通事故の割合は年々増加傾向にあり、こうした中、本年四月に豊島区において高齢運転者による悲惨な事故も生じました。
 高齢運転者による事故が相次ぎ、社会問題化する中、警視庁として高齢運転者の交通安全対策や教育にどのように取り組んでいくのか、警視総監の見解を伺います。
 ひきこもり支援について伺います。
 内閣府の調査では、自宅に半年以上閉じこもっているひきこもりの四十歳から六十四歳が全国で推計六十一万三千人いるとの結果が公表されました。必ずしも若年層に限定されない課題であるひきこもりに対し、これまで十分に行政の支援が及んでいなかった当事者と家族の声を盛り込んだ施策が求められます。
 そのためには、内閣府の調査結果を踏まえた上で、都独自の課題の有無の検討や、若年層を対象としていたこれまでの都の施策の効果や、あり方の検証が必要です。
 折しも、ひきこもりとされる方々が関係したという事件の報道が相次いでいますが、ひきこもり状態が事件につながるということではありません。関係者が安心して相談でき、社会の孤立を防ぐための適切な支援の強化こそ必要であり、家族と当事者に寄り添い、当事者の声を酌み上げる、そのような支援に向けて、ひきこもりの支援が福祉保健局の所管となったことは大きな意義があると考えます。
 都として今後どのように取り組んでいくのか、知事に見解を伺います。
 新時代における都市力の強化のためには、伝統的な各種インフラの整備に加え、新しいインフラといえるテクノロジーを積極的に活用していく必要があります。都政におけるテクノロジーの活用について伺います。
 最先端の電子国家として有名なエストニアにおいては、行政の手続の大部分をオンラインで短時間に済ますことが可能になっています。これは労働人口が少ない同国における住民サービスの向上に大きく貢献をしており、人口減少、少子高齢化という平成から令和への宿題に対応するために大いに参考にすべきです。
 他方、首都東京におけるテクノロジーの積極的な活用に当たっては、幾つか解決すべき課題もあります。
 行政が保有するデータは極めて秘匿性が高いものであり、その活用に当たっては、安全性、信頼性の確保が必要不可欠です。また、データの内容、形式の双方とも政策分野ごとに多岐にわたっており、組織の垣根を超えた横連携の強化も必要です。
 さらに、テクノロジーはその進歩のスピードが極めて速く、民間人材の活用においても、最先端の知識、技術を活用できるよう、すぐれた先進的専門性の確保につながる体制を構築すべきです。
 安全性、信頼性の確保、組織横断的な連携の強化、先進的専門性の確保といったさまざまな課題を克服し、ICTやデータの利活用を一層促進しなければならないと考えますが、知事の見解を伺います。
 ウエルネス分野におけるデータ活用について伺います。
 都は今年度より、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会を設置し、検討会の中では、官民連携データプラットホームの構築を目指すことが示されました。
 キャッシュレス化とMaaSの二分野で先行実施される予定ですが、超高齢社会、人生百年時代を迎える中では、都民の健康と生活習慣に関するウエルネス分野のデータプラットホームの構築こそ重要です。
 そこで、都のソサエティー五・〇検討会議の中で、官民連携データプラットホームの構築におけるウエルネス分野への活用についても早急に検討を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都民サービスにおけるICT活用について伺います。
 先日、さまざまな行政手続を電子申請に原則として一元化する、いわゆるデジタルファースト法が成立しました。ここでは、印鑑の廃止までは規定できなかったことや、地方自治体の行政手続のデジタル化が努力義務にとどまっていることから、その実効性に疑問も示されています。
 住民が利用する手続の多くは地方自治体が所管しており、日本の行政がテクノロジーの可能性を最大限に生かすことができるかどうかは、地方自治体の取り組みにかかっています。都でも行政手続のオンライン化を進めていますが、一層の迅速化が必要です。
 首都東京は、先頭に立ってテクノロジーを活用した都民サービスの向上に取り組むべきと考えますが、行政手続のオンライン化など、都民サービスにおけるICTの活用について都の見解を伺います。
 5Gについて伺います。
 現在の移動通信システム以上の超高速、多数同時接続などを可能にする第五世代移動通信システムである5Gの環境整備は、身の回りのあらゆるものがつながる本格的なIoT時代の実現に必要不可欠な公共インフラといえるものであり、現在、通信会社が基地局への投資にしのぎを削っています。
 東京の稼ぐ力を戦略的に高めるためには、この5Gを活用した最先端サービスの早期社会実装が不可欠であり、都が積極的に実証フィールドを提供し、実証実験を強力的に推し進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 災害情報システムについて伺います。
 都では、東京都災害情報システム、DISを構築し、都と区市町村、関係機関が収集した災害情報をリアルタイムで共有しています。
 一方で、現在のシステムは構築から既に八年が経過しているため、私たちのもとにはユーザーである区市町村から改善を求めるべきとの意見が寄せられています。
 大規模災害発生時には区市町村にも災害対策本部が置かれ、区市町村長が陣頭指揮をとり、都や関係機関から共有される情報をもとに災害対策に当たることになります。その際、特に延焼の危険がある火災情報は区市町村間を越え把握する必要があり、避難者誘導においても重要であることから、こうした情報の即時共有を望む声もあります。
 各区市町村がさまざまな災害情報をもとに、現場で迅速に判断、対応するためには、DISの共有情報や利用利便性を現場の区市町村の視点に立って見直す必要があります。
 都は現在、DISの機能等の見直しを進めていますが、今後の見直しに当たっては、災害対策本部を持つ区市町村の視点に立って機能等の見直しを図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 旧こどもの城について伺います。
 かつてのこどもの城が果たしてきた役割を踏まえつつ、ダイバーシティーの実現に向けた総合施設を創出するという構想を実現するためには、まずは、国から旧こどもの城を取得することが重要な第一歩となります。
 先日、知事からは、ことしの夏ごろの取得を目指すと答弁があり、その実行に向けて着実に進めていただく必要があります。取得ができればリノベーションに向けた検討も本格化していくものと考えますが、かつてのこどもの城は多種多様な施設を有し、子供たちにさまざまな経験を提供することで健やかな成長を促すという役割を果たしてきました。活用の具体的検討に当たっては、利用者目線に立った現場重視の姿勢が本件に関してはとりわけ重要になります。
 このような認識から、まずは確実に国から取得し、都において今後の検討を進めていくに当たっては、さまざまな方の意見に耳を傾け、より都民ニーズにかなう施設にしていくことを目指すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 築地まちづくりについて伺います。
 私たちはこれまで、築地市場跡地の再開発について、さまざまな提案を行ってきました。未来を見据え、東京全体の価値最大化を目指すまちづくりを行うため、今後も多様な観点から提案をしてまいります。
 築地まちづくり方針は、前定例会における指摘も踏まえ、食文化の活用に関して、より明確な記載がなされました。今後は民間の創意工夫を生かし、この方針を具体化していく段階となります。今後実施していく公募において、創造性にあふれる提案を引き出し、その提案を収益性と公共性の両面から適切な評価、選定を行うことは極めて重要な課題です。
 収益性、公共性を踏まえた築地まちづくりの実現という目的の達成のため、民間提案の募集に当たっては、創造性にあふれる提案を引き出せるよう、有識者への意見聴取などが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 道路整備の推進について伺います。
 六月八日に、区部と多摩地域を結び、東京の東西方向の大動脈を形成する放射第五号線及び三鷹三・二・二号線の約三・六キロ区間が開通をいたしました。並行する甲州街道の渋滞緩和など、大きな効果が期待をされます。
 しかし、都市計画道路の完成率は約六割とおくれており、区部の混雑時平均旅行速度は時速十六キロメートルとマラソンランナーより遅く、ロンドンやシンガポールなどと比べて低い水準にとどまっています。東京の都市力を強化するには物流の円滑化などが欠かせません。
 東京の都市力を強化するために一層の道路整備の推進が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 住宅政策について伺います。
 先日開催された住宅政策審議会では、高齢者、ひとり親世帯や子育て期のファミリー世帯、いわゆる就職氷河期世代などの若年単身者など、さまざまな世代がともに支え合う多世代共生の実現を目指した管理施策の方向性について答申があり、大変重要な指摘です。
 このような都営住宅の管理制度に関する答申の内容を踏まえつつ、将来的な人口動態等を見据えると、既存の都営住宅の単なる管理、更新を超えた新たな発想が必要です。
 都営住宅の有する資産価値の見える化、容積率の充足などによる都営住宅が建つ土地の有効活用の視点、民間との連携、最新テクノロジーの活用、学校等の周辺施設の受け入れ能力との調整、民間住宅を活用した重層的な住宅セーフティーネットの構築など、広く住宅政策全般に関する検討を行う必要があります。
 本年四月より新たに住宅政策本部が設置されました。今後の人口減少、少子高齢化やテクノロジーの進展などを踏まえながら、時代の先を見据えた住宅政策の中で、都営住宅のあり方について幅広い視座を持って検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都の事前復興について伺います。
 関東大震災時においては、後藤新平による帝都復興構想がもととなり、幹線道路や公園の整備、区画整理が進み、東京は、防災力が大いに向上した近代都市に変貌しました。
 現在の東京においても、大規模災害における被害の縮小に向け引き続き尽力することに加え、実際に大きな被害が生じた場合に備えて、防災力の向上、交通網の整備、魅力的な空間づくりといった課題解決を復興において実現するよう、構想を定めるべきです。
 また、東日本大震災においても明らかとなったとおり、権利関係などの課題について対応するための制度設計と都民理解の醸成が必要です。
 都は、平成十三年に震災復興グランドデザインを策定していますが、その中で、復興の理念、目標及び基本方針について、都は改めて案を作成しました。
 東京都が被災した場合に都市の復興を円滑に進めていくためには、こうした基本方針等のみならず、具体的な施策を講じていく必要があると考えますが、今後、都市の事前復興についてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 多摩振興について伺います。
 現在、東京全体の約六割の製造品出荷額が多摩地域で生み出されていますが、圏央道整備や二〇二七年を見込むリニア中央新幹線の開通は、多摩地域と他県との経済連携を高める機会となり、多摩振興は新しいステージを迎えつつあります。
 このような変化の機会も捉えて、多摩地域の一層の振興を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 多摩振興の観点から、横田基地の軍民共用化について伺います。
 都では、国とともに羽田空港の発着枠拡大に着手していますが、今後も増加が見込まれる外国人観光客のさらなる誘致や海外との活発な渡航を促進する上でも、東京の西側に空港があることは重要です。都の西部から羽田空港、成田空港までアクセスするには二時間程度かかるエリアもあります。多摩地域の将来を見据えつつ、周辺自治体の安全・安心にも十分配慮しながら、横田基地の軍民共用化を推進していくことが大切です。
 東京二〇二〇大会の開催の機を捉えて、横田基地の民間航空の利用を一層進めていくことが必要だと考えます。横田基地の軍民共用化の推進についてリーダーシップを期待しますが、改めて知事の決意を伺います。
 自転車の安全な活用について伺います。
 自転車の損害賠償保険に関し、国では、昨年策定した自転車活用推進計画に基づき、ことし一月に自転車損害保険の加入促進に向けた検討会を設置し、三月まで検討を行ってきました。
 今後、自転車の活用がより一層進むことが予想される中で、不測の事故に備え、自転車損害賠償保険の加入を促進することは、都民が安全に自転車を利用していく上で欠くことのできない重要な取り組みと考えます。
 現在の東京都を取り巻く自転車活用推進の状況を踏まえると、都としても、自転車損害賠償保険について加入義務化への転換期を迎えているのではないかと考えますが、都の見解を伺います。
 以上の各種インフラの整備に加えて、環境、観光、文化などによる東京の都市としての魅力の強化が重要です。
 まず、プラスチック対策について伺います。
 五月には、Urban20メイヤーズ・サミットが東京で開催され、気候変動や持続可能で包摂的な世界の実現に向けての議論がなされました。その中で、小池知事から、二〇五〇年に向けて、ゼロエミッション東京を目指す大きな目標が掲げられたことは、今後の気候変動対策を前進させていくための重要な節目だと捉えます。
 また、六月三日には、RE一〇〇アクションミーティングが開催されました。東京都が環境施策で世界をリードする取り組みを進めていかなければなりません。
 中国が産廃プラスチックの受け入れを停止するなど、環境変化や海洋プラスチックの環境問題を受けて、都は、プラスチックの持続可能な利用に向けた施策や、プラスチック製ストローやバッグの使用量削減に取り組んできました。
 しかし、先日開催されたバーゼル条約締約国会議により、食べ物等で汚れたプラスチックの輸出入は二〇二一年より正式に規制されることとなりました。原則として廃プラスチックを国内で処理しなければならなくなることの都民、そして事業者への影響は大きく、政府が示したマイルストーンも踏まえながら、一層のプラスチックの利用の削減や再利用に取り組む必要があります。
 今後、都は、都内の事業者や家庭のプラスチック利用の実態を踏まえ、中長期的視点に立ったプラスチック政策を一層推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、東京二〇二〇大会では、都がまち中のシティードレッシングとして、プラスチックの素材を原料としたフラッグ等を広く展開すると聞いています。
 都が実施するシティードレッシングを初め、ライブサイトや選手村などにおいても、組織委員会と協力し、プラスチック対策を推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 観光振興について伺います。
 観光産業のさらなる成長を進めるためには、ラグビーワールドカップ、そして東京二〇二〇大会という絶好の機会を生かす必要があります。
 今般、都は、二〇二〇年に向けた取り組みを早期に着手できるよう、今年度から前倒しで支援を開始するとしていますが、これらの取り組みの効果を確実なものとするためには、地域の観光産業の実態や効果等をデータで捉えることが不可欠です。
 また、民業主体で柔軟に動くことができる世界水準のDMOの設置を推進しなければなりません。
 都も、今後の観光産業の成長につなげるため、観光産業の現状、都内旅行者の行動の特徴などを可能な限りデータで把握し、情報提供するとともに、DMOの設置を支援するなどして、地域における民間との連携を一層支援するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 文化事業について伺います。
 東京二〇二〇大会に向け、東京を文化の面から盛り上げるために、Tokyo Tokyo FESTIVALが展開されていますが、大会後に何を残すのかは重要な視点です。
 東京芸術文化評議会において検討された二〇二〇年までの東京文化プログラムの展開プランの中で、創出すべきレガシーとして、都民の芸術文化に触れる機会の増大、地域経済や観光の活性化などの五つが挙げられました。
 この中でも、東京の芸術文化の魅力を活用し、地域経済や観光の活性化につなげていくためには、世界から注目を集める二〇二〇大会後も東京を文化の面から引き続き盛り上げ、国内外から多くの人々を呼び込み続けることが重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 悪質クレームについて伺います。
 昨年の第三回定例会において私たちは、中小企業者への悪質なクレームに対して適切な対応を行っていくために、都として実態調査を行うとともに対応策を講じるべきとの提案を行いました。これを受けて、都として実態調査が行われました。
 その調査結果の概要と、今後どのように政策に反映していくのか、都の見解を伺います。
 あわせて、消費者が社会通念上許される範囲を超えた悪質なクレームを行わないよう、社会全体の共通認識、機運醸成を図る施策を要望します。
 次に、豊洲市場の改善について伺います。
 豊洲市場の開場から半年がたち、見えてきた課題について、具体的な対策を講じ、市場の使い勝手を向上させていく必要があります。
 例えば、私たちが求めてきた買い出し人の利便性については、築地─豊洲間の買い回りバスが実現しましたが、いまだ設備的な課題として、私たちが委員会等でも要望し続けている、都営バスの駐車場に屋根がない、駐車場や駐輪場の不足、そしてタクシーの乗降場がないなどの声が上がっています。一般都民向けの市場開放も求められており、また、開場後初めて迎える夏場の空調や電気代、湿度対策も懸念されています。
 市場関係者や買い出し人の利便性の向上に向けて、恒常的に解決策を講じていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 中央卸売市場について伺います。
 豊洲に限らず、加工、荷さばき棟が開設された大田など、水産、青果、花き、食肉と、東京都には地域に根差した十一の中央卸売市場があります。
 本年度から新たに、海外などへの販路拡大や、加工、小分けなどの商品の付加価値化、品質、衛生管理の高度化などへの支援が行われていますが、卸売市場法改正を踏まえた条例改正が検討されている中で、新しい卸売市場のあり方を検討していくべきです。
 十一ある中央卸売市場それぞれの地域性、これまでの課題を整理し、施設の整備や市場の活性化、広域的な市場間ネットワークなどを検討していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 市場の経営計画とその実施の確保について伺います。
 豊洲市場の開場から半年間の水産物の取扱量は、築地時代の前年同期を七%近く下回っており、卸売市場を取り巻く厳しい状況の中で市場の活性化を図るためには、現実かつ実効性ある経営計画の策定が必要です。
 経営計画の策定に当たっては、外部専門家の知見を最大限に活用し、コスト縮減や収益向上に向けた経営の合理化、民間経営手法の導入など、さまざまな観点から検討を推進しなければなりません。
 また、経営計画の策定後は、その実行に当たって、当初の想定とは異なる事態も生じるのであり、定期的に外部専門家による監査を導入するなど、策定された経営計画に沿って実際に市場経営が行われていくことを担保することも極めて重要です。
 食品等の安定供給により都民を支えるという市場の重要な役割を担い続けるためには、実効性のある経営計画の策定と、その実施の確保に向けた取り組みの双方が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 いよいよ、あすでラグビーワールドカップ日本大会の開幕百日前を迎えます。そして、東京二〇二〇大会まで一年余りとなりました。全世界から東京に注目が集まるこれらの世界的スポーツイベントを東京の次なる成長に向けたきっかけとする取り組みを加速させていかなければなりません。
 なお、東京二〇二〇大会の開催を一年後に控え、組織委員会の理事の選任が間もなく行われると聞いています。東京二〇二〇大会関連の予算が含まれた都の予算に反対しながら組織委員会の理事の地位にあることは、多くの都民に疑問を生じさせる行為であると改めて申し述べておきます。
 まず、ラグビーワールドカップについて伺います。
 大会に向けた準備の総仕上げを行い、ワールドカップを成功におさめるとともに、それを東京の発展につなげるための取り組みが必要です。
 東京スタジアムを訪れるということは多摩地域を訪れるということであり、これを機に多摩の周辺自治体の持つ観光の魅力を改めて世界に発信するとともに、訪問客がスタジアムやファンゾーンのみならず、そこから多摩地域を初め、都内を訪れるための仕掛けが重要ですが、都の見解を伺います。
 交通対策について伺います。
 東京二〇二〇大会の成功のためには、円滑な大会輸送の実現とともに、安定的な都民生活の確保が不可欠です。都も、交通需要マネジメント、TDMとしてさまざまな取り組みを行っていますが、現在、国では、大会期間中の首都高料金の施策を含む追加対策が検討中とのことです。
 昨日、小池知事に要望を提出しましたとおり、この追加対策の実現には、都民や企業の理解と協力が必要であり、その意見を聞きながら検討が行われなければなりません。
 もし国から追加対策の検討結果が示された場合には、都としても、大会の成功に向け、都民生活、企業活動への影響を必要最小限に抑えながら、実施への理解と協力を得る必要があると考えます。
 円滑な大会輸送の実現に向けた今後の取り組みについて、知事の見解を伺います。
 臨海部においても大会時の交通混雑緩和は重要な課題です。
 ことし夏のスムーズビズ集中取り組み期間では、東京港においても交通混雑緩和に向けた取り組みを実施し、効果の検証を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会時のビジネス航空の受け入れについて伺います。
 ビジネス航空については、東京二〇二〇大会時に、かなりの機数の飛来が予想されることから、これらを契機にビジネス航空の利用を促進し、東京の国際競争力の強化につなげていくことが重要であり、このことは昨年の第四回定例会でも私たちから指摘をしています。
 特に、ビジネス航空来訪のピークが発生する大会開会式前後では、羽田空港等でさばき切れないことも予想されることから、幅広く受け入れられるよう、例えば都営大島空港などの活用について考えていく必要があります。
 東京二〇二〇大会を契機として、ビジネス航空の受け入れを推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 オリンピックの聖火リレーについて伺います。
 先日、オリンピック聖火リレーが実施される区市町村巡回ルートのほか、聖火ランナーの募集開始についても発表されました。オリンピックの開催がいよいよ間近に迫ってきたところであり、オール東京で大会開催に向けた機運を高めていく必要があります。
 これまで私たちは、都内全区市町村で聖火リレーを実施するとともに、ランナーはもとより、沿道での応援の機会など、一人でも多くの都民が聖火ランナーにかかわることができる措置を求めており、今回発表された巡回ルートや聖火ランナーの募集開始は大変意義があります。
 都内の聖火リレーの実施準備が本格化する中で、都民参加の機会の確保についても一層の検討が必要ですが、知事の見解を伺います。
 パラリンピックの聖火リレーについて伺います。
 パラリンピックの聖火リレーは、オリンピック大会の興奮冷めやらぬ中で、パラリンピックの大会の開会式までの期間で行われます。
 常々、小池知事が発言されていますように、パラリンピックの成功なくして東京二〇二〇大会の成功はありません。そのためには、公式チケットの販売の都民への周知をしっかりと行い、フルスタジアムを目指すべきです。
 パラリンピックの聖火リレーにおいても多くの都民の参加を促すとともに、障害者も健常者もともに輝くダイバーシティー東京の姿を世界に示すことができる仕掛けが重要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会を通じて、さまざまな種類のデータが集積されており、その有効活用は大きなレガシーとなり得るものです。
 例えば、組織委員会にはチケット購入者の膨大なデータが蓄積されることになりますが、それはスポーツ施策を展開する上で大変有意義なものです。こうしたデータの活用には、個人情報の取り扱いや本人の意思の確認など多くの課題があるかと思いますが、積極的な検討を求めます。
 また、東京二〇二〇大会には、シティキャストやフィールドキャストとして多くの都民、国民に参画していただきます。それらの方々が連携してコミュニティサイトを構築するなどし、つながりを維持することができれば、大会後、そのネットワークを生かしたボランティア活動の振興にもつながるものであり、これについても積極的な検討を求めまして、代表質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 荒木ちはる議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、東京大改革についてのお尋ねがございました。
 所信表明でも申し上げましたとおり、先日発表されました世界競争力ランキングにおきまして、我が国にとって極めて憂慮すべき結果が出ております。過去最低の三十位に転落しながら、なお抜本的な手を打たないとすれば、我が国は気づかないうちにゆで上がり、危機から抜け出せなくなる、ゆでガエルのごとき状況になるのではないかと強い懸念を持たざるを得ません。
 こうした危機的な現状を前に、東京は首都として、誰もが生き生きと活躍する成長と安心して豊かに暮らす成熟が両立する都市へとさらなる進化を遂げ、人の力を原動力にして日本を再び活性化する牽引役とならねばなりません。そのためには、現状を守る、そのためだけの改革ではなく、東京が進化するためのまさしく大改革を危機感を持って力強く進めることが肝要であります。
 この間、都議会の皆様とは、東京のあるべき姿や都民生活の向上などさまざまに議論を交わし、その結果は、受動喫煙の防止や中小企業の振興など数々の条例に結実してきております。待機児童の減少や動物の殺処分ゼロなど、数字にあらわれる成果も出てきております。
 この大改革の流れをとめてはなりません。未来への跳躍台とするべき東京二〇二〇大会を控えた今、これまでの常識にとらわれない、さらなる高みを目指した挑戦を重ねながら、世界に輝く新しい東京を実現する東京大改革に、引き続き果敢に邁進をする決意でございます。
 新たな長期計画策定の進め方についてのご質問がございました。
 東京は今、時代の大きな変革の真っただ中にあります。我が国の競争力が国際的に見て極めて危機的な状況にある中、IoTやロボット、AI等の先端技術を生かして、新たな価値や産業の創出、生産性の向上へとつなげなければなりません。
 また、さらなる高齢化が進む中にありましては、高齢者が安心して暮らせる地域社会を実現するとともに、意欲ある方々が生涯現役で活躍できる環境を整備することが求められております。
 新たな長期計画は、こうした状況を的確に捉えまして、またご指摘のように、東京二〇二〇大会を通じて生み出されるレガシーなどを生かしながら、成長と成熟が両立する東京の新たな将来像を実現するための長期的な羅針盤となるものであります。
 二〇四〇年代を念頭に、今後起こり得る社会の大きな変化を想定して、その上で、二〇三〇年の将来像や、その実現に向け、なすべき政策を練り上げる。そして、時代や状況の変化に柔軟に対応できるよう、可変性を持つものといたします。
 そのために、まず、東京が直面するさまざまな変化や課題が社会構造に与える影響、これまでの都の取り組みの成果と残された課題、新たに取り組むべき課題への対応などにつきまして論点の整理を行ってまいります。
 その上で、都民や区市町村、業界団体、有識者などから丁寧に意見を伺いまして、年末を目途に、将来に向けた政策目標と取り組むべき具体的な政策を、長期計画の戦略ビジョンとして示す考えであります。
 さらに、この戦略ビジョンをもとにいたしまして、ハード、ソフトの両面にわたる大会のレガシーを反映するとともに、都議会を初めさまざまな方から改めて意見を伺いまして、政策目標や具体的な政策をさらに充実させながら、長期計画として取りまとめていく予定でございます。
 まさに東京の英知を結集して長期計画の策定を進め、東京の明るい未来の姿を都民の皆様方に示していきたいと考えております。
 待機児童対策についてのご質問でございます。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけ、保育の実施主体であります区市町村や保育の現場の皆様と力を合わせて、保育サービスの拡大を図ってまいりました。
 その結果、本年四月の都内の待機児童数は平成二十八年四月から約四千八百人減少しまして、四半世紀ぶりの水準となります約三千七百人となる見込みとなっております。
 誰もが働きながら地域で安心して子育てができる、そのような環境を整えていくためには、保育サービスを一層充実していかなければなりません。
 そのため、今年度は、区市町村が取り組む保育所等の整備をさらに後押しするとともに、多様化する保護者の働き方を踏まえまして、夜間、休日保育に取り組む認証保育所への支援を開始いたします。
 また、自然と触れ合う活動を通じまして非認知能力を向上させるなど、幼児教育の充実を図れますよう、東京都版保育モデルを作成いたします。
 待機児童の解消に向けまして、区市町村としっかり連携をしながら、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実の三つ、これを柱に全力で取り組んでまいります。
 次に、保育人材の確保に向けた取り組みについてのご質問がございました。
 保育人材の確保、定着なくしては、保育サービスの拡充はなし得ません。
 そのため、都といたしまして、保育士等のキャリアアップ補助や宿舎借り上げ支援の充実、就職から定着までの相談支援など、保育人材の働きやすい職場環境づくりを支援してまいりました。
 こうした取り組みによりまして、保育士一人当たり月額約四万円の賃金改善が図られるなど、保育士の処遇改善が着実に進みまして、保育サービスを大幅に増加することができた、このように考えております。
 今年度は、保育人材の確保、定着のさらなる支援に向けまして、より身近な地域での保育士等キャリアアップ研修の受講機会を確保するために、区市町村が研修を実施する際の支援を開始いたします。また、地域ごとの園長会を中核といたしまして、保育所間の交流などを通じ、保育人材のマネジメントの向上などに取り組む区市町村を新たに支援してまいります。
 今後とも、区市町村や保育現場の意見を丁寧に伺いながら、保育サービスを安定的に供給できますよう、保育人材の確保、定着に取り組んでまいります。
 続いて、男性の家事、育児参加の促進についてでございました。
 私はかねてから、女性の力を生かし切れていないのはもったいないといってまいりました。知事就任以来、女性の力を最大限に引き出すために、女性の活躍推進に取り組んでまいりました。また、育児休業等につきましては、法の整備とともに企業における制度の導入も進んでまいりましたが、例えば、男性の育児休業の取得状況を見ましても、現状では働く女性の負担が軽減されているとはまだいえません。
 こうした状況を打開して、今後女性の活躍をさらに推進していく、そのためには、男性の働き方と意識を変革して、家事や育児への参画を促進していくことは不可欠であります。
 このため、都は、男性従業員に育児休業を取得させる企業や、長時間労働の削減、時差出勤制度等の導入に取り組む企業への支援を行うとともに、啓発イベントの開催やPR動画の発信などによりまして、男性の働き方改革に向けました社会全体の機運醸成を図っているところでございます。
 今後、男性の働き方改革をより一層推し進めるため、スムーズビズの取り組みの柱としてテレワークの導入を強力に後押ししてまいります。また、金融機関や商工団体などと連携をいたしまして、今年度新たに設置をいたしますテレワーク推進デスクにおきまして、今後作成するPR動画も活用して、男性の働き方改革への取り組みを企業に広げてまいります。さらに、東京テレワーク推進センターにおきましては、男性の意識改革をテーマとするセミナーを新たに開催いたします。
 こうした取り組みによってテレワークと一体的に施策を展開して、男性も女性も輝く社会の実現を目指してまいります。
 次に、子育て応援スペースについてのご質問でございます。
 誰もが安心して子供を産み育てることができる環境を整備していく上で、小さなお子様を連れて、安心して公共交通機関を利用できるようにしていくことは重要でございます。
 そのための取り組みの一つとして、都営地下鉄では、大江戸線に子育て応援スペースを試験設置することといたしました。
 このスペースには、小さなお子様が親しみやすいように人気キャラクターのきかんしゃトーマスとなかまたちを使用した装飾を施しまして、七月の下旬から運行を開始する予定でございます。
 また、これに合わせまして、駅構内の案内放送やポスターの掲示等を行いまして、小さなお子様連れのお客様に対します周囲の理解を求めてまいります。
 私もぜひこの車両に乗ってみたいなと思っておりますが、こうした取り組みを通じまして、社会全体で子育てを応援する機運を醸成してまいりたいと考えております。
 次に、児童が通学する際の安全確保についてでございます。
 まず、川崎市の事件でお亡くなりになられました方々のご冥福をお祈りいたすとともに、ご家族に対しまして、心よりお悔やみを申し上げます。また、負傷された方々の一日も早いご回復を心からお祈りを申し上げております。
 都といたしましては、昨年の六月に国が策定をした登下校防犯プランを踏まえまして、子供たちの安全確保に向けて、従前からの取り組みに加えて、区市町村や地域の皆さんと協力して、登下校区域や公園等における防犯カメラの設置促進、子供安全ボランティア活動の推進などを進めており、今回の事案を受けて、これらの施策をより徹底してまいります。
 社会における子供たちの安全見守りにつきましては、学校関係者や保護者のほか、通学路等で子供たちに挨拶をしながら見守ってくださる地域のボランティアの方々が大変大きな力となっています。
 こうした地域における活動は、子供たちを初め都民の皆様方が安全・安心に暮らせる社会を実現する上で、非常に重要な役割を果たしていただいております。
 国におきましても、登下校時の子供の安全確保に向けた検討が行われていると承知しておりますが、都といたしましても、今後とも国や区市町村と連携しつつ、ご家庭、地域の防犯ボランティア、事業者などさまざまな方々のご協力を得まして、地域における防犯力を高める取り組みをさらに強化することで、セーフシティーの実現に尽力をしてまいります。
 次に、犯罪被害者等支援条例の制定についてのご質問がございました。
 犯罪被害者やそのご家族は、犯罪による直接的な被害に加えて、精神的後遺症や医療費による経済的負担などの副次的な被害に苦しんでおられ、被害直後から途切れることのない支援は重要でございます。
 都はこれまで、三期にわたり支援計画を策定しまして、性犯罪等被害者に対する支援や総合相談窓口の機能強化など幅広い取り組みを進めてまいりましたが、都の被害者支援の姿勢を明確に示し、社会全体での取り組みをより一層進めていくために、条例の制定に向けた検討を開始いたしました。
 これに関しまして、被害者や支援団体からは、条例化に向けた動きをうれしく思うといった賛同の声や、被害者に寄り添った内容となることを期待する意見が届いていると聞いております。
 今後、被害者、都民、区市町村などの意見を幅広く伺いまして、有識者懇談会における議論も踏まえて、条例の検討を丁寧に進めるとともに、一日でも早く被害者の心の支えとするために、令和二年第一回定例会への条例提案を目指してまいります。
 次に、就労におきまして困難を抱える方への支援でございます。
 私は、希望する全ての人が個性や能力に応じて自分らしく働ける社会をつくっていきたい、そう考えております。
 そのためには、障害のある方や、ひとり親の方など、就労においてさまざまな要因から困難を抱えている方が、希望や個性に応じて仕事について生き生きと活躍できるよう、きめ細かく支援していくことが重要でございます。
 現在、都におきましては、ソーシャルファームの観点に立って就労支援を進めるべきとの御会派からの提案も踏まえまして、今後の就労支援のあり方を検討するため、有識者会議を設置して議論を進めております。
 会議におきましては、困難を抱えている方が働く海外のソーシャルファームや都内の福祉団体などの取り組みが紹介されたほか、困難な要因を複数抱えている方がふえており、こうした方への支援では、関係する支援機関相互の連携が必要だといった意見が出されております。
 私はかねてより、困難を抱える方々がソーシャルファームのような企業的な形態の中で必要なサポートを受けながら働けるようにしたい、そのように考えておりまして、こうした方々の働く職場にもたびたび足を運んでまいりました。今回この会議に参加をいたしまして、改めてその思いを強くしたところでございます。
 また、区市町村の福祉部門や教育機関など多様な機関との連携を進めることで、総合的な就労支援を行うことも重要でございます。
 今後、有識者会議の報告を踏まえまして、全ての都民の就労を応援する条例の制定を進めるとともに、就労支援の充実を図ってまいります。これによりまして、多様性が尊重され、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーの実現につなげてまいります。
 次に、高齢運転者の交通安全対策についてのご質問がございました。
 かつて自動車の普及は交通戦争と称される事態を引き起こして、全国で年間最大一万六千七百六十五人という犠牲者を出してきました。その後、関係者の尽力によりまして、昨年の死者数は三千五百三十二人まで減少はいたしております。
 しかし、こうした事故の深刻さは、数だけで捉えられるものではございません。一たび事故が発生すれば、被害者を初めご家族や関係者も筆舌に尽くしがたい苦しみを抱えることとなります。
 お話のように、現在多発している高齢者の交通事故には、高齢社会への対応、インフラの安全、あるいは先端技術をいかに活用できるかといった現代の日本社会が抱えるさまざまな課題が複合的に絡み合っております。こうした問題を多角的に検証いたしまして、丁寧に手を打っていくことが、今求められております。
 御会派からの要望も踏まえまして、都は今般、緊急対策といたしまして、アクセルとブレーキの踏み間違いによります急発進を防ぐなどの装置を取りつける費用に対しまして、事業者と連携して補助を実施することといたします。現在準備を進めておりまして、補助の受け付け開始後一年間は、高齢者の方により早急に対応していただくために、費用の一割程度の自己負担で装着できますように、今年度の予備費での対応も含め支援を行っていく考えでございます。
 運転免許の自主返納につきましては、返納された方々への特典の拡充に向けまして関係機関への働きかけを強化してまいりますほか、休日に家族相談会を新たに実施いたします。
 新たに設置した緊急プロジェクトチームにおきましても、自動車の安全運転への支援、運転免許の自主返納の促進、自主返納後の移動手段の確保など、局横断的に実効性のある対策を包括的に検討することといたしておりまして、着手できるものから速やかに事業化を図っていきたいと考えております。
 次に、ひきこもりの方への支援についてのご質問がございました。
 若年期にひきこもりとなった状態が長期化し、四十代、五十代となる方がふえております。そして、その家族も高齢化が進んでおり、こうした方々が抱える悩みも、所得、就労だけでなく、医療、介護など多岐にわたっているところでございます。
 これらの悩みや相談に的確に応えるため、今年度から、さまざまな窓口でひきこもりの相談に対応している区市町村や保健所、精神保健福祉センターなどの関係機関との一層の連携を図りまして、相談体制を強化いたしております。
 また、相談窓口でありますひきこもりサポートネットにつきましては、訪問相談の対象を三十五歳以上の方にも拡大いたしました。さらに、福祉や家計等の相談にも対応できます専門職員を新たに配置するなど、支援体制を充実しております。
 現在、区市町村、関係機関、当事者や家族の団体などと意見交換を行っております。今後、有識者からの意見も伺いました上で、さらなる実態の把握を行って、ひきこもりの方への適切な支援のあり方を検討してまいります。
 次に、ICTやデータの利活用の促進についてのご質問でございます。
 AIを初めとした情報通信技術、いわゆるICTは日常生活に広く浸透するとともに、急速に発展しております。ICTをエンジンに例えるならば、データは燃料であります。まさに二十一世紀の石油といえます。いかにそれを活用するかが、激化する国際競争を制するかといっても過言ではございません。
 こうした中で、巨大なプラットフォーマーがビッグデータを活用し利益を上げ存在感を増す一方、我が国はその後塵を拝しているといわざるを得ません。
 首都東京は都市としての成熟度を高めて、日本全体の成長を促進させていくための新たな成長モデルを示していかなければなりません。
 そこで、最先端のICTやデータの利活用を総合的かつ集中的に推進するため、今回、戦略政策情報推進本部を設置したところであります。
 本部におきましては、民間からの人材を管理職として登用し、専門的、先進的な見地から都のデジタル化を推進しております。また、社会的な課題の解決と経済成長の両立を図る新たな社会、ソサエティー五・〇の実現に向けまして、さまざまなデータのオープン化を加速してまいります。
 これらの取り組みを積極的、戦略的に展開していくことで、激動する世界のエコシステムの中で我が国を再び活性化させる牽引役として、東京をさらに持続可能な都市に進化させてまいります。
 官民連携データプラットホームにおけますウエルネス分野への活用についてのご質問がございました。
 人生百年時代を迎えまして、疾病、介護予防や健康的な生活習慣等を実践するウエルネスは大切でございます。
 AIやビッグデータといった第四次産業革命技術を活用いたしまして、例えばセンサーを内蔵したウエアラブル端末を身につけることで、体温や血圧といった日々のウエルネス情報を収集、蓄積し、データ分析後の情報がフィードバックされれば、病気の早期発見や予防にも有益でございます。
 都は先月、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会を立ち上げまして、官民連携データプラットホームの必要性などの議論を開始いたしております。今後、ウエルネス分野での活用策について早急に検討を進めて、実証実験などにつなげてまいります。
 ソサエティー五・〇は、都民の暮らしをより安心で豊かなものとする可能性を持っております。持続可能な成長へと導く鍵ともなります。都民が健やかに暮らせる社会の実現に向けまして、都はウエルネス分野のデータ活用などICT戦略を駆使いたしまして、激化する国際的な都市間競争を勝ち抜いてまいります。
 旧こどもの城についてのご質問でございます。
 かつて多くの人たちに親しまれた施設であり、その歴史や果たしてきた役割の重要性を踏まえると同時に、都のさまざまな政策実現につながる可能性を有したこの土地を、都として最大限活用していくことは重要であります。
 こうした考えのもと、かつてのこどもの城が担ってきた機能を生かしつつ、誰もが利用できる施設とするべく庁内で検討を重ねて、地元区とも情報共有した上で、旧こどもの城活用の基本的考え方を取りまとめたものでありまして、国に対しても利用用途を明確に示し、取得を要望いたしたところでございます。
 その結果、本日、国有財産の売り払いを審議するための審議会が国において開かれているところでありまして、審議後、都が売却先に決まりましたならば、財産価格審議会などの手続を経て契約を締結、取得後、速やかに東京二〇二〇大会での活用に向けた改修工事に着手をいたします。
 一方で、取得いたしました建物の活用に向けましては、ご指摘のとおり、多くの方にご利用いただける施設としていくために、ニーズを的確に把握することが重要でございます。現在、今年度立ち上げました庁内検討組織におきまして、実施する事業や施設開設までのスケジュールなど具体的な検討を進めているところであります。
 まずは実務的な検討を通じまして、今後進めていく設計の前提となる考え方を整理して、地元区はもとより、広く都民の方々のご意見を伺いながら、真に都民にとって有益な施設としてまいりたいと考えております。
 続きまして、築地まちづくり方針についてのご質問でございます。
 築地再開発におきましては、都心のまたとない広大な土地と、浜離宮や食文化などのポテンシャルを生かして、民間の力を最大限に活用しながら、国際的な交流拠点を形成して、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 長期的な観点からインフラの整備も勘案いたしまして、段階的整備を進めて、周辺への波及効果をもたらしながら、東京の価値の最大化を目指してまいります。
 この方針に沿いまして、事業者からの提案を受けて、まちづくりを適切に進めていくことができますよう、公共性や公益性、さらには収益性や民間の創意工夫を引き出す、そのような観点にも留意をいたしまして、外部の有識者を交えながら、具体化に向けまして検討を進めてまいります。
 都営住宅の今後のあり方についてのご質問がございました。
 住宅政策本部は、老朽マンションや空き家への対策、住宅セーフティーネットなどの喫緊の課題に対しまして、都の住宅行政を一層加速して機動的に展開をしていくため、本年四月一日に設置をいたしました。
 都の住宅セーフティーネットの中核となります都営住宅は、社会経済情勢の変化に応じまして適時適切にあり方を検討していく必要がございます。
 今般の住宅政策審議会の答申におきましては、都営住宅の多世代共生の実現に向けて、子育て世帯への支援の一層の充実や単身者の入居制度の拡大、高齢者への生活支援サービスの向上について提言をいただいたところであります。
 また、この答申におきましては、入居者の高齢化、単身化が進む中で、都営住宅におけます新たな住まい方や住宅活用策の多角的な検討、入居者間や近隣の方々との多世代交流に配慮した都営住宅の整備といった引き続き検討を要する課題につきましても、提言を頂戴いたしております。
 このたびの答申を受けまして、実現可能な取り組みは速やかに実施をいたします。また、中長期的な検討が必要な課題につきましては、お話のテクノロジーの進展などを踏まえまして、今後、住宅政策審議会において将来の住宅政策全体にわたってご審議いただく中で、都営住宅のあり方を検討してまいります。
 少子高齢化の急速な進展や、今後の人口減少など都営住宅を取り巻く環境が変化している中で、今後とも都営住宅が住宅セーフティーネットとして重要な役割を的確に果たせるように取り組んでまいります。
 次に、都市の事前復興についてのお尋ねがございました。
 いつ起きてもおかしくない首都直下地震などの災害に対しましては、備えよ常にの精神で、きめ細かく施策を積み重ねまして、万全を期すことが重要でございます。
 都は、防災都市づくりに加えまして、災害が発生した場合の都市復興のあり方や手順、執行体制をあらかじめ検討しておいて、都民の皆様と共有を図る、そして事前復興に全国に先駆けて取り組んでおります。
 近年、全国各地で頻発しております大災害も踏まえまして、このたび都市復興の理念、目標及び基本方針の案を公表いたしました。その中で、復興時にも都市づくりのグランドデザインで示しました都市像の実現に取り組むことや、想定を超える被害があった場合には、計画を柔軟に見直して対応することなどを示しております。
 あわせまして、都や区市町村職員の実務能力をさらに向上させるため、職員向けの東京都震災復興マニュアルを活用した都市復興に関する図上訓練も充実させてまいります。
 また、都民への普及啓発を図るため、震災復興シンポジウムを開催するとともに、民間団体等によりますワークショップの実施などを支援してまいります。
 迅速かつ計画的な都市復興を実現できますよう、今後とも都民や関係機関と連携をしながら、さまざまな工夫を行い、また、事前復興の取り組みを積極的に進めてまいります。
 次に、多摩振興についてのお尋ねがございました。
 多摩地域は、東京の三分の一に相当いたします四百万人を超える人口を擁しておりまして、豊かな自然や良好な住環境に恵まれております。また、高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関が集積するなど、その発展は活力ある東京に欠かすことができないものがございます。
 一方、人口減少、少子高齢化への対応を初め、道路、交通インフラの整備、産業振興など、地域ごとにさまざまな課題を抱えております。
 私自身も機会あるごとに多摩地域を訪問いたしまして、現場を拝見し、そうした多摩地域の強みや課題を実感いたしております。
 都はこれまでも、多摩地域がそのポテンシャルを遺憾なく発揮をし、持続的に発展していけますよう、さまざまな施策を着実に展開をしてまいりました。
 現在、多摩都市モノレールの延伸計画について検討の深度化を図っているところであり、また、ご指摘のとおり、圏央道の整備の進展や、隣接する相模原市でのリニア中央新幹線の駅の整備が予定されているところであります。
 こうした機会を新たな可能性として的確に捉え、新しい令和の時代にふさわしい多摩地域の創造へと確実につなげていかなければなりません。
 都は、市町村とより一層緊密な連携を図りながら、地域特性を踏まえた振興策を新たな長期計画の中に盛り込むなど、多摩地域のさらなる発展に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、横田基地の軍民共用化についてのご質問でございます。
 横田基地の共用化は、首都圏西部地域の航空利便性の向上とともに、多摩地域の活性化や産業の振興に資するものであります。
 この問題は外交、安全保障にかかわりますことから、国と連携していくことが不可欠で、機会を捉えまして国に日米協議の進展を要請してまいりました。
 さらに、東京二〇二〇大会開催時には、海外からの来訪者の増加が見込まれますため、現在、国と米国との間で横田基地の民間航空の利用につきまして協議がなされていると承知をいたしております。
 今後も国との連携を強化しまして、地元の声を聞きながら、多摩地域の発展に資しますよう、共用化の実現に向けて取り組んでまいります。
 今後のプラスチック政策についてのご質問がございました。
 ゼロエミッション東京を実現するためには、これまで推進してまいりました廃プラスチック埋め立てゼロに向けた取り組みに加えまして、プラスチックの資源利用に伴いますCO2排出削減への意欲的な施策が必要でございます。
 先月のU20メイヤーズ・サミットにおきましては、レジ袋などワンウエープラスチックの大幅な利用削減を進めた上で、二〇三〇年までに家庭と大規模オフィスビルから排出されます廃プラスチックの焼却量を四割削減するという新たな目標を発表したところでございます。
 都が意欲的な目標を示すことで、区市町村や都民、事業者など各主体ごとのリユース、リサイクルへの具体的な行動転換を促し、持続可能な資源利用への大胆な移行を進めてまいります。
 今後、国の動きや廃プラスチックの輸出入規制の状況を踏まえまして、秋に取りまとめられます廃棄物審議会の最終答申をもとに、年内を目途に各主体ごとに取り組みの方向性を示すプラスチック削減プログラムを策定いたします。
 都民、事業者等の皆様方の共感とご協力を得ながら、資源循環分野におきましても実効性ある施策を展開して、脱炭素化に向けたイニシアチブを遺憾なく発揮をしてまいります。
 円滑な大会輸送の実現に向けた今後の取り組みについてのご質問でございます。
 大会の成功に向けましては、円滑な大会輸送の実現と都市活動の維持との両立を図ることは重要でございます。
 現在、都は、大会を通じまして、働き方改革の実現や将来にわたります物流の効率化などにつなげていくために、交通量を抑制する交通需要マネジメントと時差ビズやテレワークの取り組みをスムーズビズとして一体的に進めているところでございます。
 これまで、スムーズビズのキックオフイベントを通じまして、先駆的な企業の取り組みを紹介するとともに、大会時の交通混雑緩和に向けた説明会を実施いたしまして、各企業で取り組んでいただきたい事項を具体的に示し、その取り組みの検討や実践をお呼びかけしているところであります。
 本年四月、まずは隗より始めよといたしまして、大会期間中に都庁本庁舎に勤務する職員の約半数が時差出勤、そしてテレワークに取り組むことなどを掲げました都庁二〇二〇アクションプランを公表したところでございます。
 こうした取り組みに加えまして、現在、国は、料金施策を含みます追加対策を検討いたしております。いずれにいたしましても、これらの取り組みには都民や事業者の理解と協力が不可欠であります。
 今後とも、国や組織委員会などと連携をいたしまして早期に情報提供を行って、都民の皆様を初め幅広く意見を伺いながら、円滑な大会輸送の実現に取り組むとともに、新たなワークスタイルや企業活動の東京モデルを確立して、大会のレガシーとしてまいります。
 オリンピック聖火リレーについてのご質問でございます。
 シンボルである聖火を掲げることによりまして、大会への関心と期待を呼び起こすものでございます。ランナーや観衆、そして地域住民やボランティアなど多くの人々が大会に参加できる貴重な機会でもございます。また、東京の多様な魅力を世界に向けて発信する絶好の機会であります。
 都はこれまで、都内区市町村の意向も踏まえながらルートを検討いたしまして、今般、全六十二区市町村の巡回順につきまして、IOCの承認を得て公表をいたしました。
 聖火リレーで各地を盛り上げる、そのためには、ランナーに加えまして、ルート沿道での応援など、多くの方々に参加していただくことが重要であります。
 今後、具体的なルートの検討を行う中で、毎日の出発式や通過する自治体でのセレモニーなどにおきまして、多数の方々が参加をし、全ての区市町村が盛り上がるように、区市町村の協力も得ながら、地域の特色を生かした演出内容を検討してまいります。
 また、区市町村が独自に行う大会の盛り上げの取り組みなどに対しまして、財政支援を行ってまいります。
 七月からはランナーの募集が開始されます。地元にゆかりのある人を初め、多くの人々がリレーをつなぐことで、地域の機運醸成が図られますよう、組織委員会やパートナーと連携しながら、積極的にPRを展開してまいります。
 多くの都民の皆様にご参画いただく、そして、記憶に残るリレーとなるように、精力的に取り組みを進めてまいります。
 パラリンピックの聖火リレーについて、最後のご質問でございます。
 かねてから私は、パラリンピックの成功なくして大会の成功はないと申し上げてまいりました。
 パラリンピックの競技会場の観客を満員にして盛り上げることで、大会を成功につなげ、この大会の開催を契機といたしまして、障害のある人もない人も互いに尊重し、支え合う共生社会を実現したいと考えております。
 オリンピックからの移行期間に実施をいたしますパラリンピックの聖火リレーは、オリンピックの熱気と興奮をパラリンピックにつなげる上で大変重要でございます。
 多くの都民の皆様にご参加いただけますように、魅力的なルートの選定や祝祭感のあるセレモニーの実施につきまして検討していくとともに、区市町村が独自に行うパラリンピックの盛り上げの取り組みに対しましても、財政支援を行ってまいります。
 また、障害者スポーツにゆかりのある場所を訪問して、多様な方々との交流を図る場を設けるなど、共生社会を目指す東京の姿を世界に発信をしてまいります。
 引き続き、パラリンピック競技の体験会や観戦会を実施いたしまして機運醸成を図るとともに、今後、パラリンピック聖火リレーの具体的な内容の検討を進めまして、東京二〇二〇大会の成功につなげてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、登下校時の子供の安全を守るための対策についてでありますが、警視庁では、昨年、新潟県下で発生した女児殺害事件等を受け、教育委員会や自治体等と連携して通学路の緊急合同点検を行うなど、大人の目が届きにくい危険箇所の警戒やパトロールを強化しているほか、関係機関と連携した通学路への防犯カメラの設置促進等を推進してまいりました。
 このたびの川崎市における事件の発生を受けた対策といたしましては、集団登校の集合場所やスクールバスの停留所等、登下校の際に子供が集まる可能性のある場所を改めて点検し、制服警察官によるパトロールを強化するなど、見せる警戒活動を実施しているところであります。
 警視庁といたしましては、地域住民の安心感を醸成すべく、自治体や保護者等と連携しながら、地域の実情に応じた子供の安全を守るための対策を一層推進してまいります。
 次に、高齢運転者の交通安全対策等についてでありますが、警視庁では、シルバードライバーズ安全教室や高齢者講習における実車指導などにより、高齢運転者がご自身の運転技量を確認したり、加齢に伴う身体機能の変化を自覚されるよう促すとともに、それを踏まえた交通安全指導を実施しております。
 加えて、各種キャンペーン等を通じて、安全運転サポート車の普及啓発を行っているほか、交通事故の事例やご遺族からのコメントを紹介するなど、高齢運転者に対する交通安全教育を推進しております。
 また、運転免許自主返納のさらなる促進を図るため、新設されたプロジェクトチームに参画し、自主返納者に対する優遇措置の拡充等に向けた働きかけを推進してまいります。
 高齢運転者による交通事故に対しましては、関係機関との連携を強化し、その特性を踏まえた交通安全教育の充実を図るなど、実効ある防止対策に取り組んでまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、SNSを活用した教育相談についてでございますが、さまざまな不安や悩みについて、子供がためらわずに相談できるようにするためには、日ごろ使いなれたSNSを活用した相談機能の拡充を図ることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、昨年度、都立高校生対象に試行したSNS相談の成果を踏まえ、今年度は、時間を延長し毎日実施するとともに、対象を国公私立の中高生に拡大いたしました。これまでの相談件数は、都教育相談センターにおける中高生の電話相談の二倍以上となっており、性に関する悩みに対応し専門機関を紹介した事例もございます。
 今後、学校でのポスターの掲示や生徒への新たなカードの配布等により相談窓口を一層周知するとともに、相談時間帯についてさらなる検証を行うなどして、一人でも多くの子供が不安や悩みを解消できるよう支援してまいります。
 次に、学校の働き方改革に向けた取り組みについてでございますが、都教育委員会はこれまでも、働き方改革推進プラン等に基づき多様な取り組みを推進して学校の負担軽減を図り、教員が本来業務に注力できる環境の整備に努めてまいりました。
 また、今般の方針策定とあわせ、効果的な業務改善の取り組みを一覧にして各学校に提示し、学校行事や会議等の精選など現場での実践を後押しするとともに、教員や保護者等に向けたメッセージを発信し、働き方改革の取り組みについて理解促進を図ってまいりました。
 今後、区市町村教育委員会における働き方改革の進捗やニーズを把握し、一層の対応を促しつつ、新たに設立する一般財団法人東京学校支援機構が多角的に学校を支援できるよう着実に準備を進めるなど、都全体として学校の働き方改革が加速するよう全力で取り組んでまいります。
 最後に、インクルーシブ教育システムに関する調査研究の具体的な進め方についてでございますが、諸外国における教育制度等の文献調査に加え、都職員が先進的な取り組みをしている国に赴き、障害児に対する教育の現状やその背景にある社会、文化等について、我が国との比較検討を行ってまいります。
 また、他自治体における障害児の在籍状況や指導体制等を把握するほか、取り組み事例のヒアリングも行うこととしております。これらの調査結果については、秋ごろを目途に中間報告書としてまとめてまいります。
 さらに、国内外の調査と並行しながら、有識者や関係団体などから意見を聴取いたします。
 これらの結果等を踏まえ、インクルーシブ教育システムのあり方を、ソフト、ハードの両面から検討してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 東京二〇二〇大会を契機としたビジネス航空の受け入れの推進についてでございますが、ビジネス航空は、グローバルな企業活動に不可欠なツールとして広く利用されており、東京の国際競争力を強化するため、さらなる受け入れ体制の強化が必要でございます。
 とりわけ今大会では、過去の実績等から多くのビジネス航空の飛来が想定され、円滑な大会運営のためにも利用者の利便性確保が重要でございます。
 このため、羽田及び成田空港で対応することを基本としつつ、需要のピーク時には、大島空港も含め近隣空港の施設活用も視野に入れる必要がございます。
 今後とも、都は、大会時に必要となるビジネス航空の受け入れ環境整備に向け、国に働きかけるとともに、必要な協力を行ってまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 財政収支の長期推計についてでございますが、本格的な少子高齢、人口減少社会の到来、激動する世界経済、東京を標的とした不合理な税制度の見直しに伴う減収など、都財政を取り巻く環境は大きく変化をしております。
 こうした中にありましても、東京の将来を見据えた施策を揺るぎなく進めていくためには、中長期的な財政見通しを持ち、その上で、計画的かつ戦略的な財政運営を行っていくことが重要であります。
 そのため、今後、新たな長期計画の策定に合わせまして、財政収支の長期的な推計を明らかにしてまいります。
 推計に当たりましては、最新の人口推計など社会構造の変化を踏まえながら、複合的に検討を進めていく考えであります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、妊娠適齢期の普及啓発冊子についてでありますが、都は、若いときから妊娠、出産に関して正しい知識を持ち、自分のライフプランを考えるきっかけになるよう、ご紹介いただきました小冊子「いつか子供がほしいと思っているあなたへ」を作成し、区市町村や大学等を通じて配布してまいりました。
 昨年度は、より多くの方に手にとっていただけるよう、デザインを一新し、その配布先を若い世代が多い専修学校や自動車教習所にも拡大したところでございます。
 今年度は、引き続き大学、専修学校等、約六百カ所に小冊子を配布するとともに、新たに成人を迎える方にも直接届くよう、区市町村と連携し、成人式での配布を検討しているところでございます。
 また、新たに開設する妊娠支援のポータルサイトに掲載するほか、今後、さまざまな媒体を活用して、若い世代への妊娠適齢期に関する普及啓発を進めてまいります。
 次に、児童虐待を防止するためのLINE相談についてでありますが、都は、昨年十一月に、児童虐待防止推進月間に合わせまして、子供や若い保護者になじみのあるLINEを活用した相談窓口を二週間、試行的に開設いたしました。
 本年八月からこのLINE相談を本格実施する予定でありますが、より効果的に運用できるよう、昨年の試行を踏まえ、時間帯ごとの相談員の配置人数や、虐待が疑われる場合の児童相談所への引き継ぎ方法について見直しを行うなど、準備を進めているところでございます。
 また、相談員が配置されていない時間帯に受信した場合でも、相談員からメッセージを返信して、やりとりを再開できる仕組みの導入を検討しており、二十四時間相談を受け付けられる体制を整備してまいります。
 最後に、飲食店への受動喫煙防止条例の周知についてでありますが、都は、条例の円滑な施行に向け、区市町村や事業者団体等に対する説明会を行うとともに、新たに作成した事業者向けハンドブックやシール型の標識、標識の掲示を促すリーフレット等を活用して、条例の趣旨や飲食店に取り組んでいただく内容等を丁寧にご説明しているところでございます。
 今月から、保健所が食中毒予防の一環として、延べ十六万件の監視指導を行う機会を活用いたしまして、飲食店に個別にリーフレットを配布しております。八月には、業界団体が開催する飲食店経営者向けのイベントに参加し、周知を行う予定でございます。
 今後、飲食関連の業界誌等、さまざまな媒体も活用して条例の内容を周知するなど、区市町村や関係団体と連携しながら飲食店の理解促進を図り、受動喫煙防止対策を一層推進してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、高齢者の健康等にも配慮した就業支援についてでございますが、働く意欲のある高齢者の就業を促進するためには、健康や体力に合った就業機会の確保とともに、より安心して働き続けることができる職場環境の整備が必要でございます。
 このため、都は、高齢者一人一人の健康や体力に配慮しながら、企業とのマッチングを進めますほか、シルバー人材センターを通じた短期的で軽度な仕事の紹介も行っているところでございます。
 今年度からは、区市町村が設置する就業支援機関と連携し、通勤の負担が少ない地元企業等での就業を進める事業を開始いたします。また、企業に向けましては、高齢者雇用のノウハウを提供するセミナーを開催いたしますとともに、新たにアドバイザーを派遣することにより、作業負担の軽減や安全面の向上を図るなど、高齢者が働きやすい職場環境の整備を支援してまいります。
 次に、地域の関係者が連携して取り組む観光振興についてでございますが、観光による地域の活性化を図る上で、多様な主体が連携し、旅行者の動向等を把握しながら、効果的な集客に取り組むことは重要でございまして、国が進めている日本版DMOはこうした手法の一つでございます。
 このため、都は、旅行者の行動特性等のデータをビジネスに生かせるよう、民間事業者向けにビッグデータによる分析を解説するセミナーを開催したところでございます。
 また、観光関連団体に対し、地域連携の手法等の研修を実施いたしますとともに、経営力強化やデータ分析等の専門家の情報を人材バンクとして公開をしております。
 今年度は新たに、地域の関係者が連携したマーケティング調査と、事業計画の策定に要する経費を支援いたします。
 今後、DMOの設置も含め、地域の実情に応じて、多様な主体が連携した観光振興の取り組みへの支援を一層強化してまいります。
 次に、中小企業に対する悪質クレームへの対応等についてでございますが、本年一月、都内中小企業一万社を対象に、都道府県として初めてとなりますクレーム対応に特化した実態調査を実施いたしました。
 有効回答約二千社のうち一割の企業が悪質クレームを受けたと回答し、社員への負担の増加や風評被害、さらには売り上げの減少等、深刻な事態に発展する場合があることが明らかになりました。
 また、多くの企業では、相談先がない、対処方法がわからないなど、問題が発生した場合の対策に苦慮している実態も判明をいたしました。
 そこで、都として、今年度新たに、経営相談の窓口におきましてクレーム対応の専門家を配置し、弁護士などとも連携して対応できる体制を整備いたしました。
 今後は、相談窓口の周知PRに努めますとともに、調査結果や相談窓口に寄せられた声なども踏まえ、具体的な対策について検討してまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップ開催時期における多摩地域などの魅力発信についてでございますが、大会観戦に訪れる外国人旅行者やメディアに、試合会場にとどまらず、多摩地域など都内各地にも足を延ばしていただき、地域の活性化につなげる取り組みが重要でございます。
 このため、都は、試合日程などの大会情報と、観戦前後に楽しむことができる観光スポットを紹介するガイドブックを多言語で作成し、東京スタジアムやファンゾーンを訪れる観客やメディアに配布してまいります。
 また、外国人旅行者向けに、発信力のある外国人ライターがSNSを活用して、リアルタイムで各地の盛り上がりや観光情報を発信する取り組みも実施いたしてまいります。
 あわせまして、会場周辺地域で体験できる地元の名産品づくりや伝統文化などのプログラムを提供いたしますとともに、都内各地のまち歩きイベントのPRを集中的に行ってまいります。
 これらの取り組みによりまして、各地域への誘客につなげてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立公園における受動喫煙対策についてでございますが、公園は都民の憩いの場であり、子供も多く利用する施設であるため、受動喫煙対策の取り組みを進めることが重要でございます。
 都立公園では、喫煙に関するルールを定めまして、歩きながらの喫煙や妊娠中の女性、子供の周囲での喫煙をしないよう呼びかけ、マナー向上に取り組んでおります。
 さらに、本年七月には、舎人公園や駒沢オリンピック公園など、特に多くの子供たちでにぎわいます九カ所のじゃぶじゃぶ池の周辺に、受動喫煙防止ののぼりを設置いたします。
 今後とも、公園内の喫煙マナーの向上を図るとともに、特に子供の集まる場所等につきましては、関係機関とも連携をしながら、受動喫煙対策を進めてまいります。
 次に、東京の都市力を強化する道路整備についてでございますが、東京が国際的な都市間競争を勝ち抜き、持続的な成長をなし遂げるためには、交通渋滞の解消によりまして、人や物の流れを円滑化し、生産性の向上や経済活動の活性化を図ることが重要でございます。
 このため、三環状道路の一つである外環道、さらには区部の放射、環状、多摩の南北、東西の骨格幹線道路のミッシングリンクの整備を重点的に推進しまして、幹線道路ネットワークを形成してまいります。
 また、数多くの踏切を同時に除却します道路と鉄道の連続立体交差事業を積極的に進めまして、交通のボトルネックを解消してまいります。
 これらの道路整備に全力で取り組みまして、成熟都市東京の都市力を一層強化してまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 都民サービスにおけるICTの利活用についてでございますが、日進月歩で進化するICTをこの都政に積極的に導入することは、都民サービスの向上や行政の効率化を進めていくために不可欠なものでございます。
 そこで、都は平成二十九年に、東京都ICT戦略を策定いたしまして、都政におけるICTの利活用を進めているところでございます。
 例えば、本戦略に沿いまして行政手続のオンライン化を進めておりまして、昨年度は新たに百三十の行政手続をオンライン化し、引き続き、令和三年度にかけまして、毎年度二百程度の行政手続をオンライン化していくこととしております。
 また、自動応答や自動翻訳等でのAI機能等の有効性を検証するため、昨年度から、複数局でチャットボットやRPAの実証実験を行っております。
 今後とも、各局との連携を密にしつつ、こうした取り組みを一層拡充し、ICTの利活用を推進してまいります。
 次に、第五世代移動通信システム5Gについてでございます。
 ご指摘のとおり、スマートフォンなどの通信サービスのみならず、自動運転やロボット、遠隔監視などさまざまなサービスの活用が見込まれており、世界中の企業が新たなビジネスチャンスを狙い、対応の準備を進めているものと認識しております。
 都はこれまで、自動車の自動運転システムに関する実証実験を支援するなど、最先端技術の社会実装を後押ししてまいりました。こうした5Gの実用化によりまして、さらに社会実装の動きが加速することが期待されているところでございます。
 今後、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会での議論も踏まえながら、5Gを活用した最先端の実証実験と事業化を繰り返す、いわば社会実装サイクル、こうした形成に向けまして取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 東京都災害情報システムの見直しについてでございますが、大規模災害発生時における関係機関との災害情報の共有は極めて重要でございます。
 このため、都では、東京都災害情報システム、DISを構築いたしまして、区市町村や警察、消防等との間で情報共有のネットワーク化を図っております。
 一方、区市町村からは、情報共有のさらなる迅速化や効率化を求める声も聞いております。
 都では、来年度末をめどにシステムの再構築を図る予定でございますが、再構築に当たっては、こうしたニーズも踏まえ、住民避難誘導等に必要な都内火災発生情報等の収集をシステムにより自動化し、区市町村等とリアルタイムに情報を共有するとともに、モバイル対応化により被災現場での利便性を高めるなどの見直しを図ってまいります。
 こうした取り組みを通じ、大規模災害発生時における区市町村等との情報連携を一層強化してまいります。
〔都民安全推進本部長大澤裕之君登壇〕

○都民安全推進本部長(大澤裕之君) 自転車損害賠償保険の加入義務化についてでありますが、自転車の活用が進む現在、都民が安全・安心に自転車を利用できるよう、都はこれまで、春、秋の交通安全運動での啓発、自転車購入時やイベントでのリーフレットの配布など、さまざまな機会を活用して自転車損害賠償保険加入の重要性の理解促進に努めてまいりました。
 都は、近年の事故等の状況を踏まえ、五月にさらなる自転車の安全で適正な利用の促進に向け、専門家会議を設置したところであり、会議では専門家から、ルール、マナーの一層の周知徹底などとともに、保険加入の義務化についても意見が出されております。
 今後は、専門家会議での加入義務化に関する議論やご指摘の点も踏まえながら、都としての対応を早期に検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 東京二〇二〇大会のプラスチック対策についてでありますが、世界中からの注目度が高い大会でプラスチック対策に取り組み、持続可能な大会とすることは重要でございます。
 そのため、都は、組織委員会と連携し、ライブサイトや選手村などにおいてレジ袋の削減やプラスチック製ストローの不使用、プラスチックではない食器類の使用など、さまざまなワンウエープラスチック対策に取り組んでまいります。
 また、シティードレッシングにつきましては、風雨への耐久性等の観点からプラスチック製のフラッグを使用することとなりますが、その際、エコマークの基準を満たす再生プラスチックの活用や、大会終了後の後利用、マテリアルリサイクルなど幅広く検討いたします。
 今後、持続可能な社会の実現に向けたモデルケースとなるよう、大会のプラスチック対策を推進してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 東京二〇二〇大会後の文化振興の取り組みについてでございますが、都はこれまでも、六本木アートナイト等の大型イベントや外国人が気軽に参加できる伝統芸能体験など、誰もが多彩な東京の芸術文化に触れられる機会を提供してまいりました。
 今後は大会に向けて、オペラ界の総力を結集したオペラ夏の祭典や、国内外から斬新で独創的なアイデアを募った企画公募事業、日本中をめぐり東京で集大成を迎える東京キャラバンなどのTokyo Tokyo FESTIVAL事業を矢継ぎ早に展開するとともに、多くの外国人観光客にも都立文化施設を訪れていただける工夫をするなど、利便性の向上にも取り組み、大会を文化面から盛り上げてまいります。
 大会後も、Tokyo Tokyo FESTIVALで得た経験やノウハウ等を生かしながら、魅力あるイベントや参加型、体験型プログラムを展開し、国内外から多くの人々を東京に呼び込み続けてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場の利便性の向上についてですが、豊洲市場のさらなる活性化を図るためには、市場業者や取引関係者からの意見を踏まえながら、その利便性の向上に向けた取り組みを進める必要がございます。
 このため、例えばバス停につきましては、都では六街区バス停の屋根の整備に向けて、バス停付近に地下埋設物があるという制約を踏まえまして、具体的な整備手法について技術的な検討を進めているところでございます。
 また、駐輪場の確保に向けた市場内のスペースの有効活用について検討を行うとともに、一般開放について、開催方法や安全面、衛生面等の課題の整理を進めているところでございます。
 このほか、空調につきましては、コスト縮減や結露の発生抑制を見据えて、時間帯に応じた設定温度の見直しを試行しておりまして、今後とも継続的に利用者の利便性の向上を図ってまいります。
 次に、都内十一の中央卸売市場についてですが、今般の卸売市場法の改正では、生鮮食料品等の流通の円滑化を目的に、各市場の需給の状況に応じた商品の過不足の調整等を行う市場間ネットワークの構築が期待されております。
 都は、法改正の趣旨を踏まえて、十一の中央卸売市場がそれぞれの特色を生かしつつ、相互に補完、連携し、さらなる活性化が図られますよう、条例改正準備会議において、外部有識者、市場業者、産地、実需者の意見を聞きながら、検討を進めているところでございます。
 あわせて、各市場における施設の計画的な整備や活性化に向けた具体的な取り組みへの支援を進めることで、今後とも広域的な流通ネットワークの中核としての役割を果たしていけますよう、卸売市場を運営してまいります。
 最後に、経営計画についてですが、中央卸売市場は、生鮮食料品等を安定的に供給する基幹的なインフラであり、市場を取り巻く環境が変化する中でもその機能を発揮するためには、強固な財務体質の確保に向けて、経営計画を策定する必要がございます。
 このため、計画策定に当たりましては、基幹的インフラという役割を着実に果たすとともに、市場の活性化を図るという視点に立って検討を進めてまいります。企業経営や財務、会計の専門家等の知見を最大限に活用できるよう、七月を目途に有識者会議を立ち上げる予定でございまして、現在、具体的な人選を進めているところでございます。
 こうした専門家の知見を生かしながら、来年度末までに実効ある経営計画の策定と着実な実施に向け、さまざまな観点から検討を進めてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 臨海部の交通混雑緩和についてでございますが、大会時に円滑な港湾物流を確保するためには、現在検討を進めております交通混雑対策についてトライアルを実施し、有効性や課題の分析、検証を行うことが重要でございます。
 都は、先日の大型連休前後においてコンテナターミナルのゲートオープン時間の拡大を行い、比較的すいている早朝に貨物搬出入がシフトする等の効果を確認しております。
 大会時には物流車両の一層の分散化が必要なことから、本年夏のスムーズビズ集中取り組み期間においては、ゲートオープンに加え、二十四時間利用可能な貨物保管場所の増設や、荷主への貨物配送時間の変更要請等の取り組みも実施し、混雑緩和についての検証を行ってまいります。
 本トライアルを踏まえ、取り組みの見直し等を行い、大会の成功と経済活動を支える港湾物流の両立につなげてまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

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