令和元年東京都議会会議録第九号

令和元年六月四日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番西郷あゆ美君
六番滝田やすひこ君
七番藤井あきら君
八番やながせ裕文君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番森口つかさ君
二十一番内山 真吾君
二十二番もり  愛君
二十三番龍円あいり君
二十四番あかねがくぼかよ子君
二十五番保坂まさひろ君
二十六番森澤 恭子君
二十七番斉藤れいな君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番柴崎 幹男君
三十一番舟坂ちかお君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番関野たかなり君
四十一番福島りえこ君
四十二番つじの栄作君
四十三番米川大二郎君
四十四番清水やすこ君
四十五番白戸 太朗君
四十六番増田 一郎君
四十七番佐野いくお君
四十八番奥澤 高広君
五十番清水 孝治君
五十一番大場やすのぶ君
五十二番小宮あんり君
五十三番鈴木 章浩君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
五十九番遠藤  守君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番細谷しょうこ君
六十四番両角みのる君
六十五番石川 良一君
六十六番後藤 なみ君
六十七番平  慶翔君
六十八番鳥居こうすけ君
六十九番菅原 直志君
七十番木下ふみこ君
七十一番ひぐちたかあき君
七十二番入江のぶこ君
七十三番森村 隆行君
七十四番早坂 義弘君
七十五番高橋 信博君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番秋田 一郎君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番村松 一希君
八十九番栗下 善行君
九十番中山ひろゆき君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番本橋ひろたか君
九十三番田の上いくこ君
九十四番おじま紘平君
九十五番馬場 信男君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番中屋 文孝君
九十九番宇田川聡史君
百番神林  茂君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番たきぐち学君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番三宅 正彦君
百二十一番山崎 一輝君
百二十二番吉原  修君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 なし
 欠員
    四十九番  五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
副知事多羅尾光睦君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務佐藤 伸朗君
政策企画局長梶原  洋君
総務局長遠藤 雅彦君
財務局長武市  敬君
主税局長塩見 清仁君
警視総監三浦 正充君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
環境局長吉村 憲彦君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長三浦  隆君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監安藤 俊雄君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長和賀井克夫君
都民安全推進本部長大澤 裕之君
戦略政策情報推進本部長松下 隆弘君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長堤  雅史君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長黒田 祥之君
人事委員会事務局長小泉  健君
監査事務局長岡崎 義隆君
労働委員会事務局長松山 英幸君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

六月四日議事日程第一号
第一 第百一号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百二号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百四号議案
東京都都税条例等の一部を改正する条例
第五 第百五号議案
東京都都税総合事務センター設置条例の一部を改正する条例
第六 第百六号議案
東京都都税証紙代金収納計器条例の一部を改正する条例
第七 第百七号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百八号議案
東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第九 第百九号議案
東京都受動喫煙防止条例の一部を改正する条例
第十 第百十号議案
東京都母子及び父子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十一 第百十一号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十二 第百十二号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百十三号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第十四 第百十四号議案
東京都立芝浦屠場条例の一部を改正する条例
第十五 第百十五号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第十六 第百十六号議案
東京都暴力団排除条例の一部を改正する条例
第十七 第百十七号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百十八号議案
警視庁丸の内警察署庁舎(三十一)改築工事請負契約
第十九 第百十九号議案
東京都渋谷合同庁舎(三十一)新築工事請負契約
第二十 第百二十号議案
都立豊島高等学校(三十一)改築工事請負契約
第二十一 第百二十一号議案
都立光明学園(三十一)北棟改築工事請負契約
第二十二 第百二十二号議案
都営住宅三十一H─一〇九東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約
第二十三 第百二十三号議案
警視庁単身者待機寮王子警察署王子寮(三十一)改築工事請負契約
第二十四 第百二十四号議案
青梅畜産センター(三十一)改築工事請負契約
第二十五 第百二十五号議案
有明アリーナの公共施設等運営権の設定について
第二十六 第百二十六号議案
土地の買入れについて
第二十七 第百二十七号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その一)について
第二十八 第百二十八号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その二)について
第二十九 第百二十九号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その三)について
第三十 第百三十号議案
特種用途自動車(水槽付ポンプ車)の買入れについて
第三十一 第百三十一号議案
特種用途自動車(小型ポンプ車)の買入れについて
第三十二 第百三十二号議案
特種用途自動車(化学車)の買入れについて
第三十三 第百三十三号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その一)について
第三十四 第百三十四号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その二)について
第三十五 第百三十五号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その二)について
第三十六 第百三十六号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その三)について
第三十七 第百三十七号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その四)について
第三十八 第百三十八号議案
自動追尾装置外六点の買入れについて
第三十九 諮問第三号
地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第四十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開会・開議

○議長(尾崎大介君) ただいまから令和元年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   九番   上田 令子さん 及び
   六十八番 鳥居こうすけ君
を指名いたします。

○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(櫻井和博君) 令和元年五月二十八日付東京都告示第六十三号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案三十九件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分一件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、平成三十年度東京都一般会計予算外三件の明許繰越について、平成三十年度東京都一般会計予算の事故繰越について及び平成三十年度東京都病院会計予算外七件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(八ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月十九日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(尾崎大介君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 令和元年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
 天皇陛下におかせられましては、五月一日、都民、国民がこぞってことほぐ中、御即位なされました。首都東京の知事として、心よりお喜びを申し上げます。
 令和の時代が幕をあけ、最初の定例会を迎えました。都議会の皆様、都民の皆様とともに、誰もが輝ける希望あふれる東京をつくり上げる。今、そうした決意を新たにしております。
 令和元年は、新しい東京づくりを加速する新たな時代の始まりの年であり、かつ、未来への跳躍台とするべき、東京二〇二〇大会の準備の総仕上げを進める年であります。本年が東京にとって歴史的に重要な年であることは論をまちません。
 この令和の時代、我が国では高齢化と人口減少が同時に進みます。また、世界においても、二〇五〇年には約六人に一人が高齢者になるとされ、高齢化は世界的な課題となります。その中で、既に現在、六十五歳以上の人口が二八%近くに上り、今後ますます高齢化が進む日本は、いかに成長の軌跡を描いていくのか。世界に先駆け、新たな成長モデルを示すべき我が国には、これまでの常識では太刀打ちできない局面を打開するためのパラダイムシフトが求められます。そして東京は、その先頭に立つべく、誰もが安心して暮らし、生き生きと活躍する中で成長を生み続ける成熟都市として、さらなる進化を図らなければならないのであります。
 そのための柱となるのが、過去最大の規模で編成をいたしました今年度予算のポイント、都市力の強化、稼ぐ東京、人と人とをつなぐの三点であります。
 災害や気候変動への対応力を強化し、稼ぐ力を高め、東京の発展の原動力である人の力を最大限に引き出していく。これらの取り組みを通じて、都市としての成熟度を高め、人口減少の中にあっても我が国の経済を力強く牽引していくことこそ、首都としての使命にほかなりません。
 これを果たすべく、今年度は、戦略政策情報推進本部や住宅政策本部の立ち上げなど、執行体制を強化しました。共存共栄に向けた全国との連携、高齢者の安心や女性活躍のための環境整備、特区制度や先端技術の活用など、局横断的な政策課題につきましても、工夫を凝らした施策の迅速な展開に向けて、密接な横の連携を図る体制を整えております。
 引き続き、組織の生産性を高めながら、令和の時代も新たな発想で大胆に挑戦を重ねる東京大改革に力強く邁進してまいります。
 大きな変革期にある時代に的確に対応していくため、二〇二〇年のその先を見据え、長期的な羅針盤として策定するのが、四月より検討を始めた新たな長期計画であります。
 二〇四〇年代の姿を念頭に、二〇三〇年の東京の将来像について、全庁的な議論を開始いたしました。三つのシティー、つまり、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーをさらに進化させ、人の力が支える持続的な成長、そして大会のレガシーを礎に、誰もが安心して豊かに暮らせる成熟、この二つが両立する新たな都市像を実現する。そのために、俯瞰的な鳥の目を持ち、都民の皆様のご意見や都議会における議論のほか、SDGsといった世界基準等も踏まえながら検討を進めることといたしており、まずは八月を目途に論点を整理してまいります。
 都政の手法と体質を変えるために進めてまいりました二〇二〇改革は、これまでの成果を踏まえ、さらに加速してまいります。
 今年度より、各局がその事業を不断に見直すための仕組みとして開始した政策評価につきましては、今月、有識者による分科会を立ち上げ、各局による自己評価の実効性を高めるとともに、制度のブラッシュアップを図ってまいります。
 また、都とともに政策実現を担うとの位置づけをより明確にした政策連携団体については、先月、都としての活用戦略及び各団体による経営改革プランの改訂版を公表いたしました。今後、私自身も各団体のトップと意見交換を行いまして、その政策推進力や経営戦略の一層の強化につなげてまいります。激動の世界情勢や目まぐるしい技術革新の中、東京の成長、そして成熟を果たしていくため、政策連携団体を含めた都庁グループ全体の機能を着実に高めてまいります。
 東京が二〇二〇年のその先も世界で輝き続ける。そのための持続可能な都市のモデルを築くべく、幅広く政策を講じてまいります。
 気候変動という地球規模の課題の解決は、もはや各国政府のみに委ねられるものではありません。世界人口の半数以上が都市に居住する時代におきまして、都市こそがリーダーシップをとり、力を合わせてともに行動する。東京はその先頭に立ってまいります。
 先月、東京が議長都市として開催をいたしました国際会議、U20メイヤーズ・サミットにおきましては、都市の声をG20へと届けるべく、気候変動や持続可能な経済成長などのテーマにつきまして、世界の主要都市と精力的に議論を交わしました。最終日には、都市の力強いメッセージをまとめたコミュニケを採択いたしまして、ことしのG20議長国の代表であります安倍総理にお届けをいたしております。
 このサミットの場で、東京は二〇五〇年、世界のCO2排出量の実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現することを宣言いたしました。そのために具体の戦略を年内に策定いたしまして、気候変動の緩和策と適応策を総合的に展開してまいります。
 また、プラスチック削減や電気自動車、いわゆるEVの普及につきましても、意欲的な目標を掲げたところでありまして、取り組みを広く推し進めてまいります。
 プラスチックにつきましては、四月に廃棄物審議会より、その利用のあり方を大きく変革すべきとの中間答申をいただいております。今後、廃プラスチックの輸出入規制など、国際的な状況も踏まえた最終答申をもとに、都といたしましてのプラスチック削減プログラムをまとめてまいります。
 EVの普及に向けましては、車両購入費の補助対象を、今年度から個人や大企業にも拡大をいたしました。あわせまして、EV社会のインフラとなります充電器につきましては、商業施設等への設置費の補助を開始するほか、都市開発やまちづくりの機会を捉えました整備促進策を検討いたします。
 都みずからもゼロエミッション都庁推進会議を立ち上げて、全庁一丸で率先した取り組みを推進しながら、東京から世界を変えていく、環境先進都市としてのイニシアチブを遺憾なく発揮してまいりたいと存じます。
 企業がその事業に要する電力を、再生可能エネルギーで一〇〇%賄うことを目指す世界的な取り組み、RE一〇〇の輪が国内でも広がりを見せております。都もこの動きを後押しするべく、八月から、第一本庁舎に供給されます電力を一〇〇%再エネへと切りかえることといたしております。
 また、きのう、RE一〇〇に取り組む企業や電気事業者を交えましたアクションミーティングを開催いたしまして、すぐれた先行事例や今後のビジョンを官民で共有したところであります。これを機に、幅広い企業へ再エネ利用を呼びかけるなど、都は、RE一〇〇の旗振り役といたしまして、この取り組みをさらに広めてまいります。
 都市の活力を支える人の安全・安心の確保につきましては、東京の成長と成熟の大前提であります。
 先月、メイヤーズ・サミットとあわせて開催をいたしました国際会議、都市の防災フォーラムTokyoでは、災害から得た教訓や、それを踏まえた具体の対策等につきまして意見を交わし、都市として目指すべき防災のビジョンを東京宣言として世界に発信をいたしました。あわせて、参加都市間での相互支援について合意したところでありまして、国境を越えた連携を財産として、引き続き、東京の防災対策の進化を図ってまいります。
 ことしも間もなく梅雨、台風の季節を迎える中、都市型水害に対する備えも固めてまいります。発災時の行動を時系列で整理、確認できるマイタイムラインにつきましては、このたび、洪水、高潮、土砂災害など、さまざまな災害に対応いたしました都独自の作成セットを開発いたしました。今月、檜原村とともに実施をいたします風水害対策訓練を初め、さまざまな機会を通じて普及拡大を図ってまいります。
 また、先週私も出席いたしました河川の氾濫に関する減災協議会では、区市町村長とともに、氾濫や避難につきましての確実な情報提供などによります減災の重要性を改めて確認をいたしました。マイタイムラインの展開や区市町村と連携した適時適切な情報発信を、災害時におけます都民の皆様の的確な避難行動へとつなげてまいります。
 昨年度実施いたしました防災事業の緊急総点検を受けまして、前倒しして実施することといたしました新たな調節池の検討につきましても、早速着手しております。
 今後とも、備えよ常にの精神のもとで、ハード、ソフトの両面にわたります水害対策を総合的に推し進めてまいります。
 高齢運転者による交通事故が社会問題となっております。安全運転の確保や運転免許の自主返納への理解促進等の観点から、事故防止のための手を迅速に打たねばなりません。
 今般、緊急対策といたしまして、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐなど、事故防止に効果的な装置の取りつけに対しましての補助を新たに実施することといたしました。また、これまで取り組んできた運転免許の自主返納の促進につきまして、返納された方々への特典をさらに拡充をしていくべく、関係機関への働きかけを進めてまいります。
 加えまして、今後、さらなる対策を講じていくため、明日、庁内に新たなプロジェクトチームを設置いたします。交通不便地域におけます高齢者の移動支援に向けました実証実験を初め、局横断的に知恵を絞って、広く取り組みを検討してまいります。
 さらに、子供を事故から守るためには、その移動経路における安全確保も欠かせません。警視庁や区市町村等と連携いたしました道路の緊急点検を実施いたしまして、その結果を踏まえて必要な取り組みを進めるなど、痛ましい交通事故をなくしていくべく、対策を多面的に展開をいたしてまいります。
 東京の治安向上に向けましては、いわゆるアポ電によって、特殊詐欺に加えて強盗等の凶悪な事件も発生している状況を踏まえまして、自動通話録音機の設置の促進など、対策を積極的に進めます。
 また、繁華街におきまして、暴力団と飲食店等との間で、用心棒料やみかじめ料がいまだに授受されている実態を受けまして、暴力団排除条例の一部を改正する条例案を本定例会に提案いたしました。都内の主な繁華街を暴力団排除特別強化地域と定めまして、用心棒の役務の提供や、それに対しましての利益の供与等への取り締まりを一層強化するものであります。誰もが安全・安心を実感できるまちの実現に向けまして、引き続き、幅広い取り組みを推進いたしてまいります。
 東京と日本が未来に向けて成長を生み続けるため、新たな価値の創出につながる成長戦略に果敢に取り組んでまいります。そのかなめとなりますソサエティー五・〇の実現に向けましては、先月、金融、経済、情報など、幅広い分野の専門家から成る検討会を設置いたしまして、東京のあるべき姿や先端技術を活用した施策展開の方向性につきまして、議論を開始いたしました。行政の枠を超えた多様なアイデアをいただきながら、東京の稼ぐ力にさらに磨きをかけてまいります。
 世界の都市間競争を勝ち抜くためには、経済の血液ともいわれる金融の活性化も欠かせません。国際金融都市東京の実現の一翼を担う我が国初の金融プロモーション組織、フィンシティー・トーキョーが今週七日、いよいよ始動いたします。官民がそれぞれの強みを生かし、互いに連携しながら、金融市場としての東京の魅力を効果的に発信をすることで、国内外におけます金融ネットワークの構築、海外金融系企業の誘致、これらを一層加速してまいります。
 東京の重要な成長戦略であります観光振興につきましては、島々の豊かな自然を生かした取り組みを進めてまいります。小笠原諸島と同じく、我が国が誇る世界自然遺産であります知床、白神山地、屋久島。こうした魅力的な観光資源を有する自治体と連携をいたしまして、共同ウエブサイトによる情報発信や、新たなツアーの開発に向けました商談会の実施など、世界遺産としてのブランドイメージを活用して、さらなる旅行者の誘致に取り組んでまいります。
 雄山がつくり出す独特な自然環境と景観を誇る三宅島につきましては、その魅力を生かした観光振興を進める一方で、貴重な自然を守るべく、小笠原諸島及び御蔵島に続いて、東京都版のエコツーリズムを導入いたします。観光客の立ち入り制限エリアなど適正なルールを定めまして、来週、三宅村と協定を締結いたしまして、モニターツアーによる検証等の準備を経まして、来年度より運用を開始してまいります。
 また、都といたしまして、現在、福島への観光目的の旅行者を中心として、被災地応援ツアーを実施いたしております。今後、ビジネス旅行者の訪問を拡大すべく、明後日には福島県知事と面会をいたしまして、新たな協定を締結いたします。東京で開かれる国際会議等の参加者が福島を訪れるモデルコースを開発するなど、復興のさらなる後押しと全国との連携の一環として、東京と福島のそれぞれの魅力を生かしたMICEの誘致を強化してまいります。
 なお、先月には宮城県知事と面会いたしまして、災害時の相互支援や都の技術、ノウハウの提供など、水道事業における連携について合意をいたしました。
 今後とも、共存共栄の観点から、さまざまな分野で全国との連携を深め、それぞれの強みを生かして活力ある地域を築く真の地方創生を推し進めることで、我が国全体の持続的な発展へとつなげていきたいと存じます。
 東京の持続可能な成長を支えますまちづくりに向けましては、都内各地でそれぞれの特性を生かした都市機能の充実を図ってまいります。
 例えば、人を中心としたまちの実現に向け、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編に取り組む新宿駅周辺につきましては、年内の都市計画決定に向けた手続を開始いたします。
 また、大規模な都心の一等地として大きなポテンシャルを有します築地につきましては、都民の皆様からのご意見や都議会での議論を踏まえまして、三月に築地まちづくり方針を策定いたしました。この方針のもとで、民間の知恵なども活用しながら地域の魅力を大いに引き出し、東京全体の価値の最大化へとつなげてまいります。
 多様な経済波及効果を生み出し、国際競争に勝ち抜く基盤ともなります道路につきましては、東京の稼ぐ力の礎でございます。
 昨日、かねて早期開通を要請してまいりました国道三五七号東京港トンネル東行きが開通いたしまして、既に供用されている西行きとあわせて、臨海部の新たなネットワークが完成をいたしました。今週八日には、放射第五号線などが開通をいたしまして、甲州街道の渋滞緩和、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックの競技会場へのアクセス向上につながる、区部と多摩地域を結ぶ新たな骨格が形成されることとなります。
 今後とも、東京の持続的な発展に向けまして、幹線道路ネットワークの形成に着実に取り組んでまいります。
 我が国の国際競争力の向上や東京二〇二〇大会の円滑な実施のため、羽田空港の機能強化は極めて重要であります。国が提案した飛行経路の見直しにつきまして、都はこれまで、地元との協議が着実に進むよう積極的に協力するとともに、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の徹底を要請してまいりました。
 これを受け、国は、五期にわたる住民説明会の実施、そして航空会社への落下物防止対策の義務づけなど、総合的な対策を進めており、先月には、都民の皆様のご意見に対する対応方策を取りまとめたところであります。こうした国の対応は、一定の評価ができるものでありますが、都民の皆様や関係自治体の理解がさらに深まるよう、なお一層の取り組みを求めてまいります。
 続いて、東京の発展の原動力である人の力を生かす取り組みについて申し上げます。
 誰もが育児に仕事に輝ける社会を築くための待機児童対策につきましては、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱といたしまして、区市町村と連携して進めてきた取り組みが着実に実を結びつつあります。
 都内の認可保育所は、昨年から約二百六十カ所増加をいたしました。そして、平成二十八年四月一日の時点で八千四百六十六人を数えた待機児童数は、ことし保育所などの利用を申し込む児童数がふえた中にありまして、四半世紀ぶりの水準であります約三千七百人まで大きく減少する見込みであります。
 今後とも、受け皿の整備を進める量の確保はもとより、安心して子供を預けられる質の向上の両面につきまして、対策を力強く進めてまいります。
 次に、人を守る取り組みとしての受動喫煙防止対策であります。
 昨年度可決いただいた受動喫煙防止条例は、来年四月の全面施行まで一年を切りました。施設管理者や区市町村等の理解と協力のもと、対策の実効性を高めるべく、説明会の開催やハンドブックの配布を進めているほか、宿泊施設及び中小飲食店に対しましては、喫煙専用室の設置等への補助を実施しております。官民一体となって効果的な対策を推し進めまして、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとしてふさわしい、誰もが快適に過ごせる社会を実現してまいります。
 児童虐待防止につきましては、この四月から施行した子供への虐待の防止等に関する条例に基づきまして、子供たちの健やかな成長を守るための取り組みを幅広く進めております。今年度は、児童福祉司や児童心理司などを増員したほか、児童相談所と子供家庭支援センターの効果的な連携につきまして、区市町村と合同で検討を進めるなど、東京全体の児童相談体制の強化を図ります。先日の九都県市首脳会議におきましても、虐待防止に一丸で取り組むとの共同宣言を行いました。
 引き続き、警察や学校など関係機関と連携をいたしまして、都民の皆様とも一体となって、社会全体でかけがえのない子供たちを守ってまいります。
 このほか人を守る取り組みといたしまして、犯罪被害に遭われた方やそのご家族に対する支援を一層推進するため、犯罪被害者等支援条例の制定を目指してまいります。先月には、そのための有識者懇談会を立ち上げたところでありまして、大都市特有の課題や都民の皆様のご意見を踏まえながら、幅広く検討を進めてまいります。
 学校が抱える課題が複雑化、多様化する中で、いわゆる過労死ライン相当にある教員が多数存在するなど、教育現場におけます働き方改革は喫緊の課題であります。
 先月、教育委員会において、都立学校の教育職員の勤務時間について、その上限を示した方針を策定いたしました。そして、来月には、学校をきめ細かくサポートし、教員の負担軽減につなげる全国初の財団法人東京学校支援機構を設立いたします。教員OBや地域の方々などの力を生かして、学校への多角的かつ効果的な支援を充実させることで、教員一人一人が子供たちとしっかり向き合って、質の高い教育を持続する環境づくりを推進してまいります。
 IT技術の飛躍的な進展により、さまざまな分野でIT人材が求められている中、都立高校においてその計画的な育成を図るべく、新たな教育プログラムを検討いたします。企業や専門学校と連携いたしまして、最先端で活躍する人材による指導や企業でのインターンシップなど、卒業後の進学、就職を見据えた実践的なカリキュラムを実現したいと思います。
 また、世界に羽ばたくグローバル人材の育成に向けまして、都立学校と国内外の大学、企業、国際機関等とのネットワーク、ダイバース・リンク・トウキョウ・エデュを構築いたしまして、より高度な学習の機会を提供いたします。海外の大学教員やグローバル企業トップ層によるワークショップ、国内外の学校とのオンラインでの討議等、社会や世界とのつながりの中での学びを通じて、高度な英語力はもとより、AI時代に求められる探究心や創造性、コミュニケーション力などを育成してまいります。
 人にも動物にも優しい社会、これを目指しまして、就任以来力を入れてまいりました動物愛護の取り組みについては、目標よりも一年早く、犬、猫の殺処分ゼロを達成いたしております。
 今後とも、多大なご協力をいただいているボランティア団体等との連携をさらに深めながら、適正飼養、終生飼養、この普及の啓発や、動物の譲渡促進等の取り組みを一層推進してまいります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九は、来週十二日、いよいよ開催百日前を迎え、十六日にはこれを記念いたしましたイベントを開催いたします。また、誰もがいつでもラグビー情報に触れられる拠点を有楽町に開設をいたしまして、八月末まで、多彩な企画を実施いたしております。都内各地におきましても、商店街でのフラッグ掲揚や鉄道車両の装飾、ウオールギャラリーの掲出などのPRを展開いたしまして、目前に迫った大会の機運を一気に高めてまいります。
 大会期間中は、国内外から集う誰もがラグビー熱を共有して大会を楽しむ場といたしまして、有楽町と調布にファンゾーンを設置いたします。四月には、その具体的な運営計画案を公表したところでございまして、ラグビー体験、多様な交流などを通じまして、訪れる全ての人が特別な記憶を刻む、そんな場となるよう取り組んでまいります。
 このほか、円滑な観客輸送や事故の未然防止に向けましたセキュリティー体制の確保など、準備万端に整えて、ワールドカップを成功に導くことで、東京二〇二〇大会の準備の総仕上げにも弾みをつけていきたいと存じます。
 東京二〇二〇大会に向けましては、今月、海の森水上競技場が完成披露式典を迎えるなど、熱戦の舞台の準備は着々と進んでおります。
 また、アリーナ施設として国内で初めて、管理運営にコンセッション方式を導入する有明アリーナについては、民間事業者に運営権を設定する議案を本定例会に提案をいたしました。民間の力を生かしながら、将来にわたって都民、国民の貴重な財産として有効に活用してまいります。
 ソフト面の準備は、間もなく大会一年前を迎える中で、計画立案から実践準備の段階に入りました。今月末から、各競技会場で本格的に開始されるテストイベントを活用し、会場周辺における安全確保や暑さ対策、シティキャストの運営などについて、具体的な検証を進めてまいります。
 そして、大会の円滑な運営のための重要な課題であります交通混雑の緩和に向けましては、テレワーク、時差ビズ、交通需要マネジメントの取り組みを一体的に進めるスムーズビズについて、先週キックオフイベントを開催したところでありまして、企業等の皆様とともに、さらなる加速を図ってまいります。
 特に、来月、再来月の大会相当期間でございますが、これを集中取り組み期間と位置づけまして、都は、大会時を想定したテレワークや時差出勤等の実施、庁有車の利用抑制、備品納品ゼロなどに取り組んでまいります。企業等の皆様にも改めまして、重点的な取り組みへのご協力をお願い申し上げます。
 あわせまして、首都高速につきましては、入り口や本線料金所におけます流入調整を試行するほか、国などとともに、料金施策を含む追加対策を検討していくなど、安全かつ効率的な大会輸送と経済、都市活動の両立に向けまして、引き続き、関係機関と密に連携しながら準備を重ねてまいります。
 大会全体の安全・安心の確保に向けましては、昨年三月に策定をいたしました対処要領につきまして、先般改定を行いました。治安対策、サイバーセキュリティー、災害対策、感染症対策、この四つの視点から想定される事態につきまして、昨年度実施いたしました訓練や専門家の意見を踏まえた検証を反映させるなど、具体の対応をより明確にしたところであります。
 引き続き、この夏のテストイベントを通じた検証を積み重ねるとともに、ラグビーワールドカップの開催によります経験等も生かしながら、大会におけます安全・安心の確保に万全を期してまいります。
 先月オリンピック公式チケットの抽せん申し込み受け付けが行われまして、夏にはパラリンピック公式チケットの販売も始まる予定でございます。先週には、大会の幕あけを告げる聖火リレールートの概要が公表されました。都民、国民の皆様に大会をますます身近に感じていただく中、夏に開催するオリンピック及びパラリンピックの一年前イベントなどを契機に、大会に向けた機運をさらに高めてまいります。
 聖火リレーは、福島県を出発点といたしまして、またその出発に先立ちましては、宮城、岩手、福島の各県において、聖火が復興の火として展示されることも決まりました。改めて大会の原点であります復興オリンピック・パラリンピックの理念に思いをいたしながら、東北三県及び熊本県におけるライブサイトの実施や、被災地の子供たちの大会観戦への招待など、さらなる復興への力を届ける取り組みを進めてまいります。
 これまで、東京二〇二〇大会の盛り上げに取り組む中で、特にパラリンピックにつきましては、私自身、全二十二競技を体験するなど、その魅力を積極的に発信をいたしております。その取り組みをさらに進め、パラリンピックの成功と大会のレガシーとするべきバリアフリーの推進に向けまして、このたび、学識経験者、パラアスリート、各界の著名な方々から成る懇談会を立ち上げることといたしました。メンバーの皆様に、その発信力を生かしたパラスポーツの応援活動や、バリアフリーの取り組みに対します助言等を行っていただくことで、パラリンピックへの期待をますます高めるとともに、大会を契機としたバリアフリーを一層加速してまいります。
 また、パラリンピックの陸上競技の一種目、こん棒投げにつきましては、大会本番で使われるこん棒の製作を、都立工芸高校の定時制課程の生徒たちが担うこととなりました。教育委員会と組織委員会とがともに進めるこの取り組みは、当該生徒たちにとりまして、忘れられない心のレガシーとなるとともに、パラスポーツへの理解を一層広めるものと確信をいたします。
 引き続き、多彩な取り組みによりまして、パラスポーツの魅力を広く発信をいたしまして、来年にはパラリンピックの会場を満員の観客で埋め尽くしていきたいと存じます。
 先日、スイスのビジネススクールIMDが、六十三の国と地域を対象とした恒例の世界競争力ランキングを発表いたしております。我が国は、一九八九年から四年連続第一位でありましたが、その後、低下の傾向をたどりまして、今回、過去最低となる三十位に転落しております。一位がシンガポール、二位は香港、そして十四位に中国、二十八位に韓国と、アジアの中でも日本の地盤沈下は鮮明であります。
 項目別に見ましても、例えばビジネスの効率性は四十六位と低迷しておりまして、その中に含まれるビッグデータの活用・分析、国際経験、起業家精神といった個別の指標は、いずれも最下位となっております。極めて憂慮すべき結果でありまして、私たちは、日本が置かれているこうした危機的な現状から、目を背けてはならないと考えます。
 ルイス・キャロルの小説であります鏡の国のアリスに登場する赤の女王はいいます。その場にとどまるには全力で走り続けなければならない。そして、進化遺伝学では、この言葉にちなんで、生物の種は絶えず進化しなければ絶滅するとの仮説が提唱されております。
 この赤の女王の仮説でいうならば、令和の時代の東京とは、激動する世界のエコシステムの中で、持続可能な都市としてさらに進化をし、厳しい現状にある我が国を再び活性化する牽引役となるため、全力で走り続けなくてはなりません。そして、走り続けるその先に、東京と日本の明るい未来を切り開いていく。そうした強い決意のもと、新しい東京をつくり上げる施策を力強く推し進めてまいります。先ほど皆さんと一緒に聞きました上を向いて歩こう、その精神でいきたいと思います。都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力、よろしくお願いを申し上げます。
 なお、本定例会におきましては、これまで申し上げたものを含めまして、条例案十七件、契約案七件など、合わせまして四十件の議案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明五日から十日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明五日から十日まで六日間、議案調査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、六月十一日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十八分散会


文書質問趣意書及び答弁書

31財主議第123号
令和元年5月27日
東京都議会議長
尾崎 大介殿
東京都知事
小池百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成31年第一回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

池川友一議員
斉藤れいな議員
宮瀬英治議員
斉藤まりこ議員
藤田りょうこ議員
奥澤高広議員
原のり子議員
山口拓議員
里吉ゆみ議員
尾崎あや子議員
和泉なおみ議員

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 池川友一

質問事項
一 不妊検査・不妊治療について

一 不妊検査・不妊治療について
 厚生労働省は「不妊治療の1つである体外受精と顕微授精による出生児数の推移は、平成18年の約2万人から平成26年には4.7万人へと増加し、総出生児数に占める割合も平成18年の1.79%から平成26年には4.71%へと増加している」(厚生労働省発行「不妊のこと、1人で悩まないで 『不妊専門相談センター』の相談対応を中心とした取組に関する調査」より)という調査を報告しています。
 不妊に悩む方に対する支援は社会的要請であり、東京都もその対象や内容について拡充してきました。同時に不妊や不育症について、正確な知識の普及、啓発を図ることが求められています。
1 2019年度から、新たに検査は年齢対象の拡大、不妊治療は所得制限の拡大を行いましたが、その考え方およびこれにより対象がどの程度拡大するのかについて伺います。
 2018年度から、事実婚カップルも不妊検査や不妊治療費助成の対象としましたが、極めて重要です。
2 都が、事実婚カップルにも助成対象を拡大した考え方を伺います。
3 2018年度における、事実婚カップルの助成状況は、どのようになっていますか。

平成31年第一回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 不妊検査・不妊治療について
1 2019年度から、新たに検査は年齢対象の拡大、不妊治療は所得制限の拡大を行ったが、その考え方およびこれにより対象がどの程度拡大するのかについて伺う。

回答
 不妊検査等助成については、女性の社会進出や晩婚化の影響により、妻が35歳以上で検査を始める夫婦も多いことや、治療に要する期間を考慮した上で、妻の年齢要件を35歳未満から40歳未満に緩和しました。
 また、特定不妊治療費助成については、都の所得水準が相対的に高いことから、労働者の賃金が全国平均のおおむね1.24倍であることを踏まえ、所得制限の額を夫婦合算で730万円から905万円に緩和しました。
 この要件緩和に伴い、平成31年度は不妊検査等助成では約4,200件、特定不妊治療費助成では約1,800件の増を見込んでいます。

質問事項
一の2 都が、事実婚カップルにも助成対象を拡大した考え方を伺う。

回答
 事実婚は、年金、健康保険、児童手当など社会保障の分野では、法律上の夫婦と同様に給付等の対象となっています。
 こうした制度とのバランスや、不妊治療に対するニーズが高まっていること、また、日本産科婦人科学会が倫理に関する見解で、治療対象である「夫婦」に関して「婚姻している」とする表現を削除したことなどを踏まえ、助成対象に事実婚を加えました。

質問事項
一の3 2018年度における、事実婚カップルの助成状況は、どのようになっているか伺う。

回答
 平成30年度における事実婚の助成決定件数は、不妊検査等助成は3件、特定不妊治療費助成は9件となっています。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤れいな

質問事項
一 教育施策について
二 文化振興について
三 私学助成について
四 男性の家事・育児参画に対する気運醸成について
五 配偶者暴力の根絶に向けた取組について

一 教育施策について
1 新規予算である性教育モデル授業について、今回の手引き改訂に伴い、今後更に適切な性教育が推進されることを期待し、このモデル授業から得られた知見を広く周知して行っていただきたいと考えます。本事業の内容と今後の展開について伺います。
2 都立高校の入学者選抜制度における男女別定員については、47都道府県において東京都のみに残る制度といえます。男性も女性もLGBT等性的マイノリティの方々も、誰もが輝くダイバーシティを目指す東京都において、性別によって学ぶ機会に差異が生じることがあってはならないと考えますが、見解を伺います。
3 主権者教育について、特別支援学校において知的障害や発達障害のある生徒やその保護者に対して実際の投票行動につながるような普及啓発と研修を行うべきであると考えますが、都の見解を伺います。
4 学校の働き方改革を推進するという観点から、スクール・サポート・スタッフの役割は重要であると考えます。新年度は400名から1000名に大幅な予算の拡充が予定されていますが、これまでの活用状況と来年度の積算根拠について伺います。
5 スクール・サポート・スタッフについては、活用したくとも人材確保に苦労している市町村があると聞き及んでいます。そのような悩みに対処することも含め、今後、学校や区市町村にさらにスクール・サポート・スタッフ活用を促進していくため、都としてどう取り組んでいくか伺います。
6 都内の学校に通う児童生徒が人間関係や進学の悩みなどを気軽に相談できる場として、兼ねてから電話相談のみならずSNSの相談体制を構築することの重要性を訴えてきた。本年度モデル事業を行い、来年度本格的に実施するSNSを活用した教育相談事業について、モデル事業によって得られた成果と課題を踏まえ、今後の取組を伺います。
7 通信制課程で学ぶ生徒にとって、学習到達度に応じた適切な助言やメンタル面でのサポートなどが重要であり、ICTを活用した都立通信制高校運営総合情報システムの構築は、その一助となると考えます。本事業の具体的な取組み内容と目的について伺います。
8 様々な悩みを抱える生徒が増えているとの指摘もある昨今、学校単位、地域単位を超えた居場所作りの必要性を感じています。そのような中、NPO等と連携した学びのセーフティネット事業が大きく増額されていることに期待したいところですが、これまでの取組による成果と今後の狙いについて伺います。
9 新しい外国人受け入れ制度も始まったことで、今後外国籍を有する児童生徒の増加が見込まれています。外国人の子どもの就学については各国の文化的背景や子育てにおける様々な考え方がある中で、低年齢のうちに公教育へつなげていくことが望ましいと考えるが、区市町村のみならず都としても実態を把握し、課題を精査してゆくことが必要と考えます。その上で、日本語を母語としない子どもたちの教育環境を整備することが必要と考えるが、日本語教育支援に関する公立小中学校における現状の取組と就学状況の把握について伺います。
10 特別支援学校において、医療的ケア児に保護者が付き添い、授業中なども別室で待機するなどの状況があると聞き及んでいます。もちろんケースバイケースですが、極力保護者が付き添わなくても良いような体制をつくるべきと考えますが、見解を伺います。

二 文化振興について
1 平成30年7月に公開された文化施設の見える化改革報告書によると、都立文化施設は顧客満足度が各館とも95%を超える満足度となっていることや、外部有識者からも高い評価を得ていることがわかりますが、現行の指定管理期間後の2021年後を見据え、さらなる活用を検討すべきです。人材確保の観点から人員配置の自由度を高める必要性や自主的な財源確保の必要性、また、海外の公演や大規模な展覧会の開催には3年から5年の期間がかかることを念頭に、長期にわたって安定的に事業を実施できる環境の必要性が示されています。こうした指摘に対し、文化施設の運営形態のあり方について、現在の検討状況を伺います。
2 「見える化改革報告書」には、文化施設の運営のレベルアップについて触れられていますが、どのようなレベルアップを図るつもりであるのか伺います。
3 東京2020大会前後における国内外の観光客誘致にあたっては、上野公園周辺地域の文化資源を有効活用すべきであると考えます。ナイトミュージアムの開催や、部分的な民間委託によるショップやレストラン経営などの文化施設単体の魅力向上とともに、上野公園周辺エリア全体の魅力向上に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
4 文化施設とひとえに言っても、それぞれの特徴や立地特性に合わせた運営によって魅力の最大化をはかるとともに、来館者のみならず都民全体の理解と共感を得ることが必要です。文化施設は、一般的に自らの社会的役割を広報する姿勢が弱いと言われておりますが、企業のCSRに習い、Museum Social Responsibilityという概念を導入したり、三鷹の森ジブリ美術館や静岡県立美術館のようにミッションステートメントを作成したりするなどの取組が有効ではないかと考えます。
 各文化施設においては、社会貢献の要素を含んだイベントの開催なども行っていると聞きますが、来館者だけでなく、地域全体に与えた利益や社会的役割について積極的に公表することが重要です。文化施設を広く都民に開かれた施設とし、さらなる活用を図るためにも、その社会的役割や意義を伝える取組を行い、PRすべきと考えますが、見解を伺います。
5 文化芸術の価値を高めるには、都民自身の見る目を養い、適切な対価を支払うことが重要と考えています。その点で、アート&エコ風呂敷プロジェクトについて、風呂敷は、日本の知恵と伝統が凝縮された芸術品であると捉えており、お土産としての価値や日本のプレゼンス向上に資する取組としていただきたいと考えますが、本事業の内容と狙いについて伺います。
6 オリンピック・パラリンピックを盛り上げる文化事業として、選手・大会関係者等に配布する記念品を制作し、あるいは会場内外や選手村等でパフォーマンスを披露する準備をすると伺っています。その取組においては、東京の文化的魅力に触れてもらい、また日本に来たいと思ってもらえるようなパフォーマンスや記念品とすべきと考えますが、本事業の狙いについて伺います。

三 私学助成について
 先般、文部科学省では、入学後の行く先が不明となっている外国人生徒がいる私立大学や入学試験において不正があったとされる私立大学について、助成金を減額あるいは不交付としました。
 私立学校が、東京都の公教育に果たしてきた役割は大変大きいと承知しています。一方で、都民の皆様からお預かりしている税金を助成金として交付している以上、都民の皆様にその意義をご理解いただくための財務情報の公開や、不祥事に対する厳正な処分など、第三者の視点からチェックする仕組みも重要であると考えます。
 私学無償化の影響により、家庭の経済格差が進路選択の幅を狭めるような状況を打開しつつあります。だからこそ、特に、入学試験において公平性に欠ける事案があった場合には、厳しく対応すべきと考えています。そこで、私立学校において不祥事があった場合に、これまで都が行ってきた対応について、伺います。

四 男性の家事・育児参画に対する気運醸成について
 男性の育児休暇の義務化も含め、男性の家事・育児への参画が真のダイバーシティ実現の鍵であり、気運醸成による社会全体の理解促進が目下の最重要課題であると考えます。昨年、男性の家事・育児参画を応援するWEBサイト「パパズ・スタイル」が開設されましたが、フェイスブックページのいいね数は、2019年3月25日時点で91名しかありません。男性の家事・育児参画をさらに進めていくために、2019年度の「パパズ・スタイル」の広報戦略について、見解を伺います。

五 配偶者暴力の根絶に向けた取組について
 都では、配偶者暴力対策の一環として被害者への支援を強化すべきと考えますが、同行支援助成事業について、取組内容と目的について伺います。

平成31年第一回都議会定例会
斉藤れいな議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 教育施策について
1 新規予算である性教育モデル授業について、今回の手引き改訂に伴い、今後更に適切な性教育が推進されることを期待し、このモデル授業から得られた知見を広く周知して行っていただきたい。本事業の内容と今後の展開について伺う。

回答
 都教育委員会は、平成30年度、産婦人科医を外部講師として招へいしたモデル授業を、中学校5校で実施し、学習指導要領に示されていない内容を含む授業や、保護者の理解を得る方法等について検証しました。
 平成31年度は、モデル授業の実施を中学校10校に拡大し、その取組を地域の中学校の教員に公開するとともに、平成30年度に改訂した性教育の手引に掲載した指導事例やその実践事例を、保健体育科主任連絡協議会等において周知するなどして、児童・生徒が正しい知識を身に付け、適切に意思決定や行動選択をできるよう、区市町村教育委員会等と連携して各学校を支援していきます。

質問事項
一の2 都立高校の入学者選抜制度における男女別定員については、47都道府県において東京都のみに残る制度といえる。男性も女性もLGBT等性的マイノリティの方々も、誰もが輝くダイバーシティを目指す東京都において、性別によって学ぶ機会に差異が生じることがあってはならないと考えるが、見解を伺う。

回答
 都立高校のうち、島しょの高校等の一部を除く、全日制課程・学年制・普通科の高校においては、毎年5月1日現在の都内公立中学校に在籍する第3学年生徒の男女比率を基に、各校の男女別募集人員を策定し、公表の上、入学者選抜を実施しています。
 男女別の募集を行っている都立高校の中には、入学者選抜において、男女間で合格者の総合成績に差が生じる場合もあることから、募集人員の9割までを男女別に合格者を決定し、残る1割に当たる合格者を男女合同で決定するなど、性別によって学ぶ機会に差異が生じることがないよう配慮しています。

質問事項
一の3 主権者教育について、特別支援学校において知的障害や発達障害のある生徒やその保護者に対して実際の投票行動につながるような普及啓発と研修を行うべきであると考えるが、都の見解を伺う。

回答
 高校生段階の生徒が、障害の有無にかかわらず、自立した主権者として社会に参加できるようにするためには、様々な課題について多面的・多角的に考察し、主体的に判断する能力を育成することが重要です。
 そのため、都教育委員会は、都立特別支援学校の高等部において、生徒の障害の種類と程度に応じた主権者教育が適切に実施されるよう、指導事例や配慮事項等をまとめたリーフレットを作成し、特別支援学校の全ての教員や保護者に配布するとともに、各学校の教育課程の重点事項に、主権者教育を位置付けるよう指導してきました。
 こうした取組を踏まえ、平成30年度、高等部を設置する特別支援学校のうち8割以上の学校が、地域の選挙管理委員会と連携し、模擬選挙を通して、投票の仕方や意義等を体験的に学ぶ授業を実施しました。
 平成31年度、都教育委員会は、校長連絡会で効果的な実践事例を周知し、より多くの特別支援学校で、模擬選挙などの体験的な学習が行われるよう促すとともに、保護者に主権者教育の意義等を説明するなどして、障害のある生徒が、保護者の協力を得て積極的に投票できるよう、学校の取組を支援していきます。

質問事項
一の4 学校の働き方改革を推進するという観点から、スクール・サポート・スタッフの役割は重要であると考える。新年度は400名から1000名に大幅な予算の拡充が予定されているが、これまでの活用状況と来年度の積算根拠について伺う。

回答
 都教育委員会では、平成30年度から、教員に代わってプリントの印刷や授業準備などを行うスクール・サポート・スタッフの小・中学校への配置を進めるため、区市町村に対する人件費補助を行っています。
 スクール・サポート・スタッフ配置校からは、教員の負担が軽減され、児童・生徒への指導や、教材研究等に集中できるなどの声が聞かれています。
 平成31年度の予算規模については、区市町村教育委員会に対して行った平成31年度に係る希望調査の結果を踏まえ、1,000名としました。

質問事項
一の5 スクール・サポート・スタッフについては、活用したくとも人材確保に苦労している市町村があると聞き及んでいる。そのような悩みに対処することも含め、今後、学校や区市町村にさらにスクール・サポート・スタッフ活用を促進していくため、都としてどう取り組んでいくか伺う。

回答
 都教育委員会では、これまでも区市町村教育委員会に対し、有効な活用事例を紹介するなど、スクール・サポート・スタッフの配置促進を図ってきました。
 引き続き、配置校における具体的な取組事例や効果の周知を行い、教員の負担軽減に努めていきます。

質問事項
一の6 本年度モデル事業を行い、来年度本格的に実施するSNSを活用した教育相談事業について、モデル事業によって得られた成果と課題を踏まえ、今後の取組を伺う。

回答
 都教育委員会は、都教育相談センターにおける電話や来所等による相談以外の新たな方法として、多くの生徒が身近に活用しているSNSによる相談を、都立高校生を対象に平成30年8月25日から9月7日まで試行しました。
 その結果、同時期に高校生から寄せられた電話相談の約3倍に当たる一日平均約23件、合計315件の相談があり、生徒にとって利用しやすい相談方法の一つであることが分かりました。
 また、相談した生徒の中には、都教育相談センターの電話相談員と直接会話することにより、相談を深めた事例もありました。
 平成31年度は、都民安全推進本部や福祉保健局の取組と連携し、SNSによる教育相談について、対象を都内国公私立の全ての中学生・高校生に広げるとともに、通年で実施していきます。

質問事項
一の7 通信制課程で学ぶ生徒にとって、学習到達度に応じた適切な助言やメンタル面でのサポートなどが重要であり、ICTを活用した都立通信制高校運営総合情報システムの構築は、その一助となると考える。本事業の具体的な取組み内容と目的について伺う。

回答
 都教育委員会は、都立高校の通信制課程に在籍する多様な生徒が時間や場所の制約を超えて、学習や相談ができるよう、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)に基づき、平成31年度からICTを活用した新たな通信制課程のシステムを構築することとしました。
 具体的には、生徒一人一人が各自の学習の進捗状況を確認し、進度に合わせた学習計画を立てやすくしたり、民間コンテンツを活用した学び直しや、インターネットを利用したレポート提出も可能にしていきます。また、教員が生徒の学習状況を一層把握しやすくすることで、よりきめ細かい指導ができるようにしていきます。

質問事項
一の8 様々な悩みを抱える生徒が増えているとの指摘もある昨今、学校単位、地域単位を超えた居場所作りの必要性を感じている。そのような中、NPO等と連携した学びのセーフティネット事業が大きく増額されていることに期待したいところであるが、これまでの取組による成果と今後の狙いについて伺う。

回答
 都教育委員会は、これまで、都立高校における中途退学者等に対して就労に向けた支援、高校への再就学や高等学校卒業程度認定試験の受験に向けた学習支援を行い、就労の決定や高等学校卒業程度認定試験合格などの成果を上げてきました。
 このような取組に加え、平成31年度からは、中途退学の未然防止を図るとともに、不登校等、様々な課題を抱える生徒に対して、日常生活の中でよりどころとなる居場所を提供する学びのセーフティネット事業を都内3か所でNPO等と連携して実施します。本事業では、生活相談や進路相談、生徒同士による交流の機会の提供など、個のニーズに応じた支援の充実を図っていきます。

質問事項
一の9 日本語を母語としない子どもたちの教育環境を整備することが必要と考えるが、日本語教育支援に関する公立小中学校における現状の取組と就学状況の把握について伺う。

回答
 都教育委員会はこれまで、日本語学級設置校や日本語指導が必要な児童・生徒が多数在籍する学校に教員を加配するとともに、日本語の指導教材の作成や教員研修等を実施してきました。
 また、都教育相談センターにおいては、日本語による相談に加え、通訳を介した外国語による相談も受け付けるなど、教育相談体制の充実にも努めてきました。
 就学状況の把握については、これまで区市町村が実施してきたところですが、今後、国が全国において外国人児童・生徒の就学状況を調査することから、こうした状況等も把握しながら、適切に対応していきます。

質問事項
一の10 特別支援学校において、医療的ケア児に保護者が付き添い、授業中なども別室で待機するなどの状況があると聞き及んでいる。もちろんケースバイケースであるが、極力保護者が付き添わなくても良いような体制をつくるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、学校で日常的に医療的ケアが必要な児童・生徒に対する安全かつ適切な実施体制の整備を目的として、都立特別支援学校における医療的ケア実施要項を制定しています。
 今後も、医療的ケアの実施については、児童・生徒の安全確保を第一として、保護者も委員として参画する医療的ケア運営協議会でも議論を重ねながら、実施要項に基づき、適切に実施していきます。

質問事項
二 文化振興について
1 平成30年7月に公開された文化施設の見える化改革報告書によると、都立文化施設は顧客満足度が各館とも95%を超える満足度となっていることや、外部有識者からも高い評価を得ていることがわかるが、現行の指定管理期間後の2021年後を見据え、さらなる活用を検討すべきである。人材確保の観点から人員配置の自由度を高める必要性や自主的な財源確保の必要性、また、海外の公演や大規模な展覧会の開催には3年から5年の期間がかかることを念頭に、長期にわたって安定的に事業を実施できる環境の必要性が示されている。こうした指摘に対し、文化施設の運営形態のあり方について、現在の検討状況を伺う。

回答
 平成30年7月12日の都政改革本部において、見える化改革報告書「文化施設」を報告しました。
 運営形態のあり方については、この報告書を踏まえ、現行の指定管理期間後の2021年度以降を見据えて現在検討を行っているところであり、早期に結論を出すこととしています。

質問事項
二の2 「見える化改革報告書」には、文化施設の運営のレベルアップについて触れられているが、どのようなレベルアップを図るつもりであるのか伺う。

回答
 平成30年7月12日の都政改革本部において、見える化改革報告書「文化施設」を報告しました。
 報告書において、文化施設のより一層のレベルアップを図るため、各施設で取りまとめた意見等をもとに、今後の方向性をまとめました。
 具体的には、「文化の継承と新たな創造」「国内外との連携強化」「社会的課題解決に貢献」「多様性の尊重」「次世代の育成」の5つの方向性に沿った取組を進めていきます。

質問事項
二の3 東京2020大会前後における国内外の観光客誘致にあたっては、上野公園周辺地域の文化資源を有効活用すべきであると考える。ナイトミュージアムの開催や、部分的な民間委託によるショップやレストラン経営などの文化施設単体の魅力向上とともに、上野公園周辺エリア全体の魅力向上に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 上野地区は、東京都美術館や東京国立博物館など、多くの個性あふれる文化施設が集積する文化拠点となっています。東京都美術館では、特別展開催中の金曜日に夜間開館を行うとともに、夏休み期間には開館時間をさらに延長し、サービスの向上を図っています。また、東京都美術館と東京文化会館のショップやレストランの運営は、民間企業に委託しており、施設の魅力向上を図っています。
 上野では、都立文化施設と民間企業、地域の観光団体、地元区等が連携して、イベントの開催、バリアフリーマップの作成、上野公園周辺の文化施設を含む共通入場券の発行などを行い、地区全体の魅力向上に取り組んでいます。

質問事項
二の4 各文化施設においては、社会貢献の要素を含んだイベントの開催なども行っていると聞くが、来館者だけでなく、地域全体に与えた利益や社会的役割について積極的に公表することが重要である。文化施設を広く都民に開かれた施設とし、さらなる活用を図るためにも、その社会的役割や意義を伝える取組を行い、PRすべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都立文化施設においては、障害のある方のための特別鑑賞会や、特別支援学校でのオーケストラ公演、高齢者施設等でワークショップを開催するなど、様々な社会包摂の取組を実施しています。
 (公財)東京都歴史文化財団では、事業実施に当たってホームページや特別支援学校向けのパンフレットにより各施設のプログラムを周知しています。
 今後はこうした取組について、より一層のPRに努めていきます。

質問事項
二の5 文化芸術の価値を高めるには、都民自身の見る目を養い、適切な対価を支払うことが重要と考えている。その点で、アート&エコ風呂敷プロジェクトについて、風呂敷は、日本の知恵と伝統が凝縮された芸術品であると捉えており、お土産としての価値や日本のプレゼンス向上に資する取組としていただきたいと考えるが、本事業の内容と狙いについて伺う。

回答
 アート&エコ風呂敷プロジェクトは、日本の伝統であり、芸術であり、環境の知恵でもある「風呂敷」を東京2020大会時に主に外国人観光客の方に、日本のおもてなしの心を伝えるアイテムとして配布することを予定しています。
 こうした取組を通じて風呂敷の魅力を多くの方に知ってもらい、環境、防災、ファッションなど様々な場面で風呂敷の活用が進むよう気運を醸成していきます。

質問事項
二の6 オリンピック・パラリンピックを盛り上げる文化事業として、選手・大会関係者等に配布する記念品を制作し、あるいは会場内外や選手村等でパフォーマンスを披露する準備をすると伺っている。その取組においては、東京の文化的魅力に触れてもらい、また日本に来たいと思ってもらえるようなパフォーマンスや記念品とすべきと考えるが、本事業の狙いについて伺う。

回答
 東京2020大会の選手・大会関係者等に、江戸・東京の文化、美意識を実感してもらえるような記念品を制作し、配布することとしています。
 また、大会開催時は多くの人が東京を訪れることから、この機会を捉え東京の文化的魅力に触れてもらい、東京のファンを増やすことを目的として、競技会場周辺等でアーティストによるパフォーマンスの披露等を実施することとしています。

質問事項
三 私学助成について
1 私学無償化の影響により、家庭の経済格差が進路選択の幅を狭めるような状況を打開しつつある。だからこそ、特に、入学試験において公平性に欠ける事案があった場合には、厳しく対応すべきと考えている。そこで、私立学校において不祥事があった場合に、これまで都が行ってきた対応について、伺う。

回答
 私立学校及び学校法人は、自主・自律を基本としつつ、関係法令を遵守し、公教育を担うにふさわしい公共性・公益性を確保する必要があります。
 そのため、都は、所轄する私立学校及び学校法人の管理運営が適正に行われるよう、私立学校法や私立学校振興助成法等に基づき指導・監督等を行っています。
 その上で、入学選抜における不公正や法人役員による不適正支出等、管理運営に問題があった場合には、是正に向けた指導を行うとともに、補助金の交付決定の一部を取り消すなど、厳正に対処してきました。

質問事項
四 男性の家事・育児参画に対する気運醸成について
 昨年、男性の家事・育児参画を応援するWEBサイト「パパズ・スタイル」が開設されたが、フェイスブックページのいいね数は、2019年3月25日時点で91名しかない。男性の家事・育児参画をさらに進めていくために、2019年度の「パパズ・スタイル」の広報戦略について、見解を伺う。

回答
 「パパズ・スタイル」は男性の家事・育児参画を応援するWebサイトです。男性の家事・育児参画には周囲の理解と協力も必要なことから、子育て世代の男性はもとより、妻や親族、上司なども対象に情報を発信しています。
 こうした幅広い層に「パパズ・スタイル」を知ってもらうため、平成31年度から専用ツイッター等SNSを新たに開設し、周知及び拡散を図っていくとともに、更新頻度を高めて新鮮な情報を発信していきます。
 また、ホームページの相互リンク等、庁内各局事業とも連携し効果的な周知を図るとともに、対象者層に対するWeb広告やメールマガジン等による発信等、民間の媒体も活用していきます。
 これら都及び民間の媒体を複合的に活用し、男性の家事・育児参画を一層促進する広報を展開していきます。

質問事項
五 配偶者暴力の根絶に向けた取組について
 都では、配偶者暴力対策の一環として被害者への支援を強化すべきと考えるが、同行支援助成事業について、取組内容と目的について伺う。

回答
 同行支援は、配偶者暴力の被害者が行政機関や裁判所での手続等に出向く際に、民間団体の支援者が同行し、被害者の精神的負担や不安を軽減するものです。
 都は、民間団体が自主的に行うこうした活動を支援するため、経費の一部を助成しています。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 都営地下鉄について
二 市場問題について
三 2020東京大会について
四 首都直下地震について
五 孤独死について
六 東武東上線の立体化について

一 都営地下鉄について
1 都営地下鉄の四路線の平均混雑率は149%です。国の答申では、東京圏におけるピーク時間の主要区間の平均混雑率を150%に、個別路線の混雑率を180%以下にすることを目指すとしており、この数値では既に達成済みということになります。都営地下鉄はすでに満員電車の混雑は解消という認識でよいのか伺います。
2 私自身も毎日三田線に乗っていますが、混雑ピーク時間を過ぎていても実際に身動きが取れないほどの満員状態であり国の混雑率の目安とは明らかに乖離があり混雑率156%とは全く思えません。見解を伺います。
3 2020東京大会を控えた今、外国人観光客など更に混雑が予想されます。期間中やその前後を含め都営地下鉄はどのような対応をするのか伺います。
4 あらゆる手段を使い都営三田線をはじめ都営地下鉄の混雑解消に努めるべきだと思いますが、見解を伺います。
5 また高島平駅改札などに設置されているモニターは内容も複雑で、また字も小さすぎて見えないとの声も聞きます。時刻表に改善するなど改めるべきと考えますが所見を伺います。
6 さらには西高島平駅、新高島平駅、蓮根駅、巣鴨駅などのトイレは老朽化している印象がある。トイレの老朽化への対応やエレベーターのさらなる設置などを望む声が多いのが実態です。早急に全駅で実施すべきと思いますが、所見を伺います。

二 市場問題について
1 先の都市整備委員会での築地再開発の質疑を行いまず冒頭、局のご答弁と知事のお考えは一にするものかと確認した上で、こう伺いました。「築地は守る、豊洲は生かす」とは知事の公約違反ではないか、多くの都民や市場関係者にまずは謝罪すべきではないかと。その際、局からは「謝罪するつもりは無い」とはっきりと明言されていました。ということは知事も謝罪するつもりはないということでよろしいでしょうか?
2 またコア施設となるMICE事業においては産業労働局や港湾局が行っている既存MICE事業とのすりあわせの会議もなく議事録や議事要旨もない旨の答弁がありましたが、MICE事業を主に担う産業労働局としてもなかったということで改めてよろしいでしょうか?

三 2020東京大会について
 平成31年予算特別委員会において都から組織委員会に文書等で要望している事項の一覧を求めたところ12件のみでありました。その判断基準をオリンピック・パラリンピック準備局に確認した所、局長からはこの一覧は、特に必要な場合に文書等で要望を行ったものとの説明でしたが、何を持って要望して、何を持って要望していないのかがよくわかっておりません。
 そこで再度私から基準を設け改めるべきとの問いかけに、局からは「都の考えを説明することが望ましい場合」と答弁がありましたが、その違いは不明瞭であります。基準を明確化すべきと思いますが、改めて見解を伺います。

四 首都直下地震について
 発災直後にいち早く正確な被害状況を把握することは重要です。先の代表質問では私は新たに民間や研究所が持つ画期的な情報の活用を提案しました。
 都には113の地震計がありますが、たとえば東京ガスは都の15倍の震度計を保有し、3.11の際には1キロメッシュでの震度情報や6万本のボーリングデータから液状化箇所や建物の被害状況を発災後10分で!自動的かつ俯瞰的に把握していました。
 これらの情報に災害時要援護者データを重ね合わせれば、まずどこから救助や対策を行えばよいか都は瞬時に把握できます。そこで今回は東京消防庁にうかがいますが、震災時において民間企業や研究機関が持つ様々な災害情報を活用することで被害状況を俯瞰的に把握し、迅速に災害対応に生かすべきと考えますが見解を伺います。

五 孤独死について
1 私の地元、板橋区の高島平団地では高齢化が進みご高齢者の孤独死が頻発しています。まず都が把握している孤独死の実態と孤独死数を伺います。
2 国に孤独死の定義がないのでわからないという答弁でした。本当にそれでよいのでしょうか?実は47都道府県を調査した所、北海道は13年から「死後1週間を超えて発見された人」、鹿児島県は15年から「65歳以上の一人暮らしで誰にもみとられずに亡くなり、2日以上経った人」と定義し実態や人数を正確に把握しています。都も独自に定義づけをし、実態把握に努めるべきだが所見を伺います。
3 また私は4年前から議会で水道メータ検針の自動検針化、いわゆるスマートメータ化を訴えてきました。電気やガスと違い生きていれば必ず水は使うわけでありますから、一人暮らしの高齢者の水道使用状況を、離れた場所にいる親族などが携帯で日々確認できるよう見守りや孤独死対策に活用するよう提案をしてまいりました。水道局においては晴海の選手村跡地でのモデル事業やIWA世界会議において2025年までに10万個のスマートメータの設置が決まったことは大変評価いたします。しかし水道局においては福祉保健局や福祉部門との連携が現在は行われていないと聞いています。今後は早急に連携しスマートメータ事業を見守り事業に生かすべきと考えますが所見を伺います。

六 東武東上線の立体化について
1 東上線の立体化に関して用地買収の費用はどれほどと見込んでいるのか伺います。
2 また現在の鉄道地下化と高架化について概算費用について伺うとともに、用地買収など周辺費用を含めた上での比較金額をお伺いします。

平成31年第一回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営地下鉄について
1 都営地下鉄の四路線の平均混雑率は149%である。国の答申では、東京圏におけるピーク時間の主要区間の平均混雑率を150%に、個別路線の混雑率を180%以下にすることを目指すとしており、この数値では既に達成済みということになる。都営地下鉄はすでに満員電車の混雑は解消という認識でよいのか伺う。

回答
 国の答申で目指すこととしている、平均混雑率150パーセント、個別路線の混雑率180パーセント以下を一つの目安とした場合、都営地下鉄の混雑率はいずれも下回っていますが、より快適な通勤環境の実現に向けて、更なる取組が必要であると認識しています。

質問事項
一の2 私自身も毎日三田線に乗っているが、混雑ピーク時間を過ぎていても実際に身動きが取れないほどの満員状態であり国の混雑率の目安とは明らかに乖離があり混雑率156%とは全く思えない。見解を伺う。

回答
 混雑率は、最混雑区間の最混雑時間帯1時間における平均値であり、混雑状況は乗車する列車や車両位置によって異なります。

質問事項
一の3 2020東京大会を控えた今、外国人観光客など更に混雑が予想される。期間中やその前後を含め都営地下鉄はどのような対応をするのか伺う。

回答
 都営地下鉄では、競技日程に応じた輸送需要を踏まえ、列車を増発することとしています。

質問事項
一の4 あらゆる手段を使い都営三田線をはじめ都営地下鉄の混雑解消に努めるべきだと思うが、見解を伺う。

回答
 都営地下鉄では、ダイヤ改正や車両の増備を行い輸送力を増強するなど、混雑対策に取り組んでいます。
 大江戸線では、平成30年度、車両を3編成増備し、列車を増発しました。
 新宿線では、車両の更新に合わせ10両編成化を順次進めています。
三田線では、今後、2022年度から一部の編成を8両編成化することとしています。
 引き続き、輸送需要に的確に対応していきます。

質問事項
一の5 高島平駅改札などに設置されているモニターは内容も複雑で、また字も小さすぎて見えないとの声も聞く。時刻表に改善するなど改めるべきと考えるが所見を伺う。

回答
 改札口付近に設置しているモニターには、他社線を含む運行情報を4言語で表示しており、都営地下鉄の情報については、路線図も用いて案内しています。
 なお、列車の発車時刻等については、駆け込み乗車を助長するおそれがあるため、原則としてホームの行先表示器で案内することとしています。

質問事項
一の6 西高島平駅、新高島平駅、蓮根駅、巣鴨駅などのトイレは老朽化している印象がある。トイレの老朽化への対応やエレベーターのさらなる設置などを望む声が多いのが実態である。早急に全駅で実施すべきと思うが、所見を伺う。

回答
 交通局では、障害者、外国人旅行者を含めた全てのお客様に駅のトイレを快適に御利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへの改修を計画的に進めています。
 具体的には、トイレ出入口の段差解消、手すりやベビーチェアの設置、トイレの洋式化などに取り組んでおり、平成31年度は、三田線西高島平駅や浅草線宝町駅など、12駅14か所を改修する予定です。
 エレベーターについては、東京メトロなど他の事業者とも連携を図りながら、乗換駅等でのエレベーター整備を進めており、2021年度までに9駅に整備する予定です。
 平成31年度は、三田線神保町駅で新宿線との乗換経路にエレベーターを設置する工事のほか、三田線春日駅など6駅でエレベーター整備を進めます。

質問事項
二 市場問題について
1 都市整備委員会での築地再開発の質疑を行いまず冒頭、局のご答弁と知事のお考えは一にするものかと確認した上で、こう伺った。「築地は守る、豊洲は生かす」とは知事の公約違反ではないか、多くの都民や市場関係者にまずは謝罪すべきではないかと。その際、局からは「謝罪するつもりは無い」とはっきりと明言されていた。ということは知事も謝罪するつもりはないということでよいか。

回答
 最高のロケーションに約23ヘクタールの広さを有する築地と、日本の新たな中核市場としての可能性を持つ豊洲、この両方を活かし東京全体の価値を高めていくため、平成29年6月に基本方針を示しました。
 この基本方針の方向性は変わっていないことから、謝罪をする必要はないと考えています。

質問事項
二の2 コア施設となるMICE事業においては産業労働局や港湾局が行っている既存MICE事業とのすりあわせの会議もなく議事録や議事要旨もない旨の答弁があったが、MICE事業を主に担う産業労働局としてもなかったということで改めてよいか。

回答
 産業労働局としては、築地まちづくり方針の素案の策定段階では関わっておりませんが、公表前に情報提供を受けています。
 素案の内容は、「東京都MICE誘致戦略」の方向性とも合致するものであり、今後の本方針の具体化に当たっては、連携していきます。

質問事項
三 2020東京大会について
 平成31年予算特別委員会において都から組織委員会に文書等で要望している事項の一覧を求めたところ12件のみであった。その判断基準をオリンピック・パラリンピック準備局に確認した所、局長からはこの一覧は、特に必要な場合に文書等で要望を行ったものとの説明であったが、何を持って要望して、何を持って要望していないのかがよくわかっていない。そこで再度私から基準を設け改めるべきとの問いかけに、局からは「都の考えを説明することが望ましい場合」と答弁があったが、その違いは不明瞭である。基準を明確化すべきと思うが、改めて見解を伺う。

回答
 都は、東京2020大会の開催都市として、組織委員会との間で、それぞれの担当部門同士で日常的に意見交換を行い、一体となって大会準備を進めています。
 内容は極めて多岐にわたっており、文書等で要望を行う際の画一的な基準を設けることは困難です。
 しかしながら、例えば都議会の質疑における組織委員会に対する要望などは正確に伝えることが重要であり、既に各定例会等での議事録等について速やかに文書等で送付しているところです。
 今後とも、組織委員会とは、相互に意見交換を密に行い、その中で、都の考えを的確に伝えることで、大会の成功に向けて一体となって取り組んでいきます。

質問事項
四 首都直下地震について
 都には113の地震計があるが、たとえば東京ガスは都の15倍の震度計を保有し3.11の際には1キロメッシュでの震度情報や6万本のボーリングデータから液状化箇所や建物の被害状況を発災後10分で自動的かつ俯瞰的に把握していた。これらの情報に災害時要援護者データを重ね合わせれば、まずどこから救助や対策を行えばよいか都は瞬時に把握できる。そこで今回は東京消防庁にうかがうが、震災時において民間企業や研究機関が持つ様々な災害情報を活用することで被害状況を俯瞰的に把握し、迅速に災害対応に生かすべきと考えるが見解を伺う。

回答
 震災時等に的確に災害対応するためには、被害状況を早期に把握することが重要であると認識しています。
 東京消防庁では、平素より、都庁内関係部署や区市町村、ライフライン事業者等と連携し、地震計の情報、電気、ガスの遮断情報、首都高速道路上や高層建物等に設置してあるカメラの情報などを広く収集し、各種被害状況の把握に努めています。
 これらの情報のほかに、被害把握への活用が期待できる各種情報を民間企業や研究機関が収集していることは承知しています。
 今後とも、各情報の内容や有効性、取得方法など、課題を整理した上で、収集及び活用について検討していきます。

質問事項
五 孤独死について
1 私の地元、板橋区の高島平団地では高齢化が進みご高齢者の孤独死が頻発している。まず都が把握している孤独死の実態と孤独死数を伺う。

回答
 「孤独死」についての明確な定義はありませんが、東京都監察医務院では、二十三区における検案数のうち、「自宅住居で亡くなった単身世帯の者」の数を年齢階級別、死後経過時間別に集計し、ホームページで公表しています。
 なお、平成29年1月から12月までの当該死亡者数は、4,777人です。

質問事項
五の2 国に孤独死の定義がないのでわからないという答弁であった。本当にそれでよいのか。実は47都道府県を調査した所、北海道は13年から「死後1週間を超えて発見された人」、鹿児島県は15年から「65歳以上の一人暮らしで誰にもみとられずに亡くなり、2日以上経った人」と定義し実態や人数を正確に把握している。都も独自に定義づけをし、実態把握に努めるべきだが所見を伺う。

回答
 監察医務院では、検案や解剖で得られたデータを集計し、世帯や性、年齢階級別にホームページ等で公表しています。

質問事項
五の3 水道局においては晴海の選手村跡地でのモデル事業やIWA世界会議において2025年までに10万個のスマートメータの設置が決まったことは大変評価する。しかし水道局においては福祉保健局や福祉部門との連携が現在は行われていないと聞いている。今後は早急に連携しスマートメータ事業を見守り事業に生かすべきと考えるが所見を伺う。

回答
 都では、東京2020大会の選手村跡地に整備される約6,000戸の集合住宅において、2022年に水道スマートメータを導入するモデル事業を実施する予定です。
 本事業では、水道の自動検針のほか、使用水量の見える化・見守りサービスなどを導入し、その効果等に関する実証実験を行っていきます。このうち見守りサービスについては、離れた場所にいながら、ご家庭の水道使用状況を確認することで、高齢者のほか、家族や子供の在宅状況の把握などに活用することを検討しています。
 今後、このモデル事業に加え、2025年までに10万個のスマートメータを設置するトライアルプロジェクトにおいても、見守りサービスの実施をはじめとしたお客さまサービスについて、福祉などの関係機関と調整し、費用負担の在り方なども含め、幅広く検討を進めていきます。

質問事項
六 東武東上線の立体化について
1 東上線の立体化に関して用地買収の費用はどれほどと見込んでいるのか伺う。

回答
 東武東上線の立体化については、都が平成16年に策定した「踏切対策基本方針」において、東武東上線の大山駅付近及びときわ台駅から上板橋駅付近の2区間を鉄道立体化の検討対象区間に位置付けています。
 このうち、大山駅付近では、平成29年4月に国から連続立体交差事業の着工準備採択を受け、平成30年12月、都市計画案及び環境影響評価書案の地元説明会を開催しました。
 本区間の鉄道の構造形式については、高架方式を選定しており、概算事業費約340億円のうち、用地買収等の費用は約70億円と試算しています。
 なお、他の区間については、構造形式を含め概算事業費の検討は行っていません。

質問事項
六の2 また現在の鉄道地下化と高架化について概算費用について伺うとともに、用地買収など周辺費用を含めた上での比較金額を伺う。

回答
 東武東上線の大山駅付近については、鉄道の立体化に向けて、現在、都市計画等の手続を進めています。
 本区間の鉄道の構造形式については、高架方式を選定しており、概算事業費は、用地買収等の費用約70億円を含めた約340億円と試算しています。
 また、本区間を地下方式とした場合、概算事業費は、用地買収等の費用約70億円を含めた約550億円と試算しています。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤まりこ

質問事項
一 就職氷河期世代の雇用支援について

一 就職氷河期世代の雇用支援について
 「アラフォー・クライシス」という言葉が注目されています。40歳前後の世代に、非正規雇用が多く、貧困が累積し、現在と将来への不安を増大させている問題です。アラフォー世代が大学を卒業して就職した1997年、1998年の頃は、金融破たんとともに、深刻な就職氷河期に入り、その世代は「ロストジェネレーション」と呼ばれました。その後も非正規雇用の拡大や、「ワーキングプア」の問題、リーマンショックでの派遣切りなど、この世代は企業のコスト削減、雇用の調整弁として翻弄されてきました。そのため、本来継続的な雇用の中で得られる能力開発の機会が失われ、キャリアが形成されずにいる実態があります。また、職場内でもミドル世代の層が薄くなり、技術等の継承を阻害する要因にもなっています。
 一方で、80代・70代の親が、長期間ひきこもる50代・40代の子を支える「8050問題」「7040問題」が深刻化しています。東京都は2019年度から、「15歳からおおむね34歳」までとしたひきこもり支援の年齢制限を撤廃し、所管を青少年政策の部局から、福祉保健局に移すこととしています。これまで、ひきこもり支援に年齢制限を設けていたのは47都道府県では6都府県だけであり、東京都はその対策の遅れが指摘されており、今後の対策が重要です。
 厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」によると、2002年に仕事をしていなかった就職氷河期世代のうち2015年にも仕事をしていない割合は40%を超えています。就職がうまくいかず、働くことに自信を失い、就職活動を断念した中高年は社会から孤立し、ひきこもり状態になっていることも多いと、東京大学の玄田有史教授は指摘しています。
1 30代〜40代のミドル世代の少なくない方が、本人が望まず長期に渡って正規雇用に就けず、低賃金や不安定雇用に置かれている実態をどのように認識していますか。
2 就職難や非正規雇用の拡大などが労働意欲を低下させ、この世代のひきこもりの増加の要因のひとつになっていると考えますが、都の見解を伺います。
3 政府もこの問題に着目し、2019年度予算で、若者サポートステーションにおける相談支援の対象年齢を現在の35歳から45歳に引き上げ、家賃補助などと組み合わせた相談支援の強化に取り組むことを打ち出しました。
 都としても、ミドル世代の就労や賃金状況など実態をつかみ、家賃補助や就労支援など、総合的な対策を行うことが必要ですが、いかがですか。
4 産業労働局では非正規雇用対策として、おもに30歳から44歳までを対象に正社員就職のためのサポートプログラムを行なっていますが、2015年度から2017年度までに正規雇用された実績について伺います。
5 都が行っているおもに30歳から44歳までを対象にした正社員就職のためのサポートプログラムは、飯田橋の東京しごとセンターが中心です。東京しごとセンター多摩でも行えるよう、抜本的な拡充・強化を求めますがいかがですか。
6 東京都は、2015年度から開始した非正規雇用の正規雇用への転換促進事業を3年間で終了し、定着支援に舵を切りました。しかし、アラフォー前後の世代での非正規雇用から正規雇用への転換促進は、まさに急務であり、これまで以上に重視することこそ必要です。知事の認識と対応について伺います。

平成31年第一回都議会定例会
斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 就職氷河期世代の雇用支援について
1 30代~40代のミドル世代の少なくない方が、本人が望まず長期に渡って正規雇用に就けず、低賃金や不安定雇用に置かれている実態をどのように認識しているか。

回答
 都はこれまで、企業内での正社員転換を促進する助成事業に加えて、正規雇用を希望する方に対し、職務経験やスキルに応じたきめ細やかな支援を行うなど、様々な非正規雇用対策を実施してきました。
 一方で、依然として、不本意ながら非正規で働くことを余儀なくされる方がおり、持てる能力を生かし切れないということは、社会にとっても損失であると考えています。
 今後も、誰もが意欲と能力を十分に発揮して働くことができるように、多面的な非正規雇用対策を展開していきます。

質問事項
一の2 就職難や非正規雇用の拡大などが労働意欲を低下させ、この世代のひきこもりの増加の要因のひとつになっていると考えるが、都の見解を伺う。

回答
 平成30年度、全国の40歳から64歳までを対象として国が行った「生活状況に関する調査」によれば、ひきこもりの状態になったきっかけは、「退職をしたこと」、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」、「職場になじめなかったこと」と回答した方が多くなっています。

質問事項
一の3 政府もこの問題に着目し、2019年度予算で、若者サポートステーションにおける相談支援の対象年齢を現在の35歳から45歳に引き上げ、家賃補助などと組み合わせた相談支援の強化に取り組むことを打ち出した。都としても、ミドル世代の就労や賃金状況など実態をつかみ、家賃補助や就労支援など、総合的な対策を行うことが必要であるが、見解を伺う。

回答
 都は、ミドル世代の就労に向け、国における実態調査などを踏まえて、カウンセリングからセミナー、職業紹介までの一貫した就労支援を行うとともに、正規雇用を希望する方に対しては、職務経験やスキルに応じた支援プログラムや、企業内での正社員転換を促進する助成事業を行うなど、多面的な支援を行っています。
 また、生活困窮者自立支援法に基づき区市が設置している自立相談支援機関において、生活困窮者に対して様々な課題への相談支援を行うとともに、離職等により住居を失った又は失うおそれがある場合には、住居確保給付金により安定した住居の確保を支援しています。
 都としては、こうした取組を通じて、総合的な支援を実施しています。

質問事項
一の4 産業労働局では非正規雇用対策として、おもに30歳から44歳までを対象に正社員就職のためのサポートプログラムを行なっているが、2015年度から2017年度までに正規雇用された実績について伺う。

回答
 都では、中高年層の非正規雇用対策として、正規雇用を希望する方に対し、職務経験やスキルに応じたきめ細やかな支援プログラムを実施しています。
 このうち、比較的早期での就職が見込まれる中高年求職者に対しては、セミナーと合同面接会を合わせた支援により短期間での就職を目指すプログラムを実施し、平成27年度から平成29年度までに957人の正規雇用化を実現しました。
 また、非正規で離転職を繰り返すなどスキルが十分でない中高年求職者に対しては、グループワーク等を通じて基礎的マナーから実践的スキルまでを習得することで正規雇用での就職を目指すプログラムを実施し、平成27年度から平成29年度までに244人の正規雇用化を実現しました。

質問事項
一の5 都が行っているおもに30歳から44歳までを対象にした正社員就職のためのサポートプログラムは、飯田橋の東京しごとセンターが中心である。東京しごとセンター多摩でも行えるよう、抜本的な拡充・強化を求めるが見解を伺う。

回答
 都は、東京しごとセンター多摩においても、正規雇用を希望し、比較的早期での就職が見込まれる方を対象に、セミナーと合同面接会を合わせた支援により短期間での就職を目指すプログラムを実施しています。

質問事項
一の6 東京都は、2015年度から開始した非正規雇用の正規雇用への転換促進事業を3年間で終了し、定着支援に舵を切った。しかし、アラフォー前後の世代での非正規雇用から正規雇用への転換促進は、まさに急務であり、これまで以上に重視することこそ必要である。知事の認識と対応について伺う。

回答
 都はこれまで、非正規労働者の正規雇用化に向けて、社内での正規雇用転換を促進する助成事業やセミナーと企業実習を組み合わせたプログラムなど、平成27年度から3年間で1万5千人を目標に、総合的な対策を実施してきました。
 こうした取組などにより、平成29年度までの3年間で目標を上回る正規雇用化を実現するなど、企業による正社員化の動きは活発化しています。
 このため、平成30年度からは、正規雇用化後の定着を見据えた質のよい転換を促進する新たな助成事業を開始しました。
 引き続き、従業員の計画的な育成を行うなど、安心して働き続けられる労働環境の整備に取り組む企業を後押ししてまいります。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤田りょうこ

質問事項
一 学齢期の歯の健康増進について

一 学齢期の歯の健康増進について
 2018年3月に発表した「東京都歯科保健推進計画」では、6歳から17歳までの学齢期の取り組みとして、口腔ケアの習慣や生活習慣の基礎を身につけることや、定期的な歯科検診や予防処置の習慣化を啓発、あわせて中・高生を対象とした歯科保健行動の実態把握をするとしています。東京歯科保険医協会が2017年10月から12月に調査した「学校歯科治療調査」によると、要受診と診断された児童のうち、検診後の受診率は小学校では58%でしたが、中学校では30%と低下しています。
1 中・高生を対象とした歯科保健行動の実態把握は、いつ、どのような形で調査を行うのですか?また、歯科保健行動の実態把握のためには、小学生や私立学校生への調査も行うべきと考えますが、見解を伺います。
2 歯科検診において要受診と診断された児童の割合と、検診後に受診した児童の割合を把握するとともに、受診しない理由の実態を把握することが重要と考えますが、いかがですか?
 さらに歯科保険医協会の調査では、子どもの医療費助成の1回200円の通院費を無料化している23区及び12市町村に比べそれ以外の市町村では、検診後の受診率が、小学校でも中学校でも低いことが明らかになりました。加えて調査では、むし歯が10本以上ある場合や歯の根っこしか残っていないような未処置歯が何本もあるなどのような「口腔内が崩壊状態」と考えられる子どもがいた割合も、200円の医療費が無料化されている区市町村の小学校では3割前後でしたが、他の市町村の小学校では5割でした。中学校でも同様の傾向になっていることを受けて、調査を行った歯科保険医協会は「実数に基づいた分析ではないものの、窓口負担の有無で受診率や「口腔内が崩壊状態である」と考えられる子どもの割合に差が出ており、少額の負担であっても窓口負担の有無は子どもの口腔の状況に大きな影響を及ぼすと考えられる」と考察されています。
3 自治体の医療費助成の違いによる子どもの通院費負担の有無は、受診率などに格差を生じさせていると考えますが、いかがですか?
 歯科保険医協会の調査では、「子ども全体の口腔内状況は改善傾向にある中で、今回の調査では、一部の子どもに深刻な口腔崩壊があることが明確となり、二極化が進んでいる」と指摘しています。
4 都内の小学校、中学校、高校において、口腔崩壊状態の子どもがどの程度いるか、この背景にはどのような問題があるのかを把握し、必要な対策を検討すべきと考えますが、いかがですか?

平成31年第一回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 学齢期の歯の健康増進について
1 中・高生を対象とした歯科保健行動の実態把握は、いつ、どのような形で調査を行うのか。また、歯科保健行動の実態把握のためには、小学生や私立学校生への調査も行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、平成31年度、児童・生徒の歯と歯肉の状態、睡眠時間や間食などの生活習慣、歯磨きや定期的な歯科医療機関への通院など歯科保健行動について把握するため、都内の小学校、中学校及び高等学校に協力を依頼し、小学校5年生から高等学校3年生までを対象に標本調査を実施します。

質問事項
一の2 歯科検診において要受診と診断された児童の割合と、検診後に受診した児童の割合を把握するとともに、受診しない理由の実態を把握することが重要と考えるが、見解を伺う。

回答
 学校における児童・生徒の健康診断は、学校保健安全法第13条の規定により実施されており、同法第14条では、学校においては、健康診断の結果に基づき、予防処置を行い、又は治療を指示する等適切な措置をとらなければならないとされています。
 さらに、健康診断を行った場合には、学校保健安全法施行規則第9条の規定により、21日以内にその結果を児童・生徒及びその保護者に通知するとされています。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会の協力を得て、歯と口の健康の実態を全都的に把握するため、学校における児童・生徒の健康診断の結果から、むし歯の処置完了者や未処置歯のある者などの人数を把握しています。
 また、学校では、健康診断後、治療が必要な児童・生徒及びその保護者に、個別に指導するとともに、医療機関を受診しなかったものを把握し、さらに治療勧告をしています。

質問事項
一の3 自治体の医療費助成の違いによる子どもの通院費負担の有無は、受診率などに格差を生じさせていると考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、市町村が実施する義務教育就学児への医療費助成事業について、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の自己負担等を設け、補助を実施しています。
 義務教育就学児への医療費助成事業の実施内容については、実施主体である自治体が、受診状況等地域の実情を勘案しながら、それぞれの議会において様々な審議を経て条例を定め実施しているものです。

質問事項
一の4 都内の小学校、中学校、高校において、口腔崩壊状態の子どもがどの程度いるか、この背景にはどのような問題があるのかを把握し、必要な対策を検討すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 学校は、児童・生徒の健康診断の結果から、未処置の多発性のむし歯のある児童・生徒を把握しており、事後措置として個別に指導しています。
 また、未処置の多発性のむし歯がある小・中学校の児童・生徒であって、経済的な理由により、保護者が医療に要する費用を支出することが困難な要保護者及びこれに準ずる程度に困窮している者である場合には、学校保健安全法第24条の規定により、設置者である地方公共団体がその費用について援助を行うものとされています。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 奥澤高広

質問事項
一 都庁職員の超過勤務について
二 ヒューマンライツ・フェスタ2018の運営における障害者の参画について

一 都庁職員の超過勤務について
 働き方改革が叫ばれる中、本定例会においては深夜まで開催されるケースが散見されました。本会議や委員会に出席する職員だけでなく、相当な人数が残業を行い、議会対応にあたっていたものと推察され、議会改革は、議会だけの問題ではなく、オール都庁で進めるべきものであると痛感した次第です。本年2月と3月の超過勤務については、追って明らかにしたいと考えていますが、まずは平成26年から平成30年の2月と3月における、知事部局等、本庁職員の平均超過勤務時間数を伺います。

二 ヒューマンライツ・フェスタ2018の運営における障害者の参画について
 東京2020大会の都市ボランティアについて、140名の障害者が応募したとのことです。東京都の主催する事業に対して、障害者が主体的に関わることのできる環境づくりは一つのレガシーになるのではないかと考えます。
 東京都では、東京2020大会を契機とした人権啓発に関する重点プロジェクトとして、ヒューマンライツ・フェスタを開催しています。このイベントを戦略的に活用し、表舞台だけでなく縁の下の力持ちとしても、より多くの障害者当事者に関わっていただきたいと考えます。そこで、平成30年度のヒューマンライツ・フェスタにおいて、障害者がどのように関わってきたのか伺います。

平成31年第一回都議会定例会
奥澤高広議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都庁職員の超過勤務について
 働き方改革が叫ばれる中、本定例会においては深夜まで開催されるケースが散見された。本会議や委員会に出席する職員だけでなく、相当な人数が残業を行い、議会対応にあたっていたものと推察され、議会改革は、議会だけの問題ではなく、オール都庁で進めるべきものであると痛感した次第である。本年2月と3月の超過勤務については、追って明らかにしたいと考えているが、まずは平成26年から平成30年の2月と3月における、知事部局等、本庁職員の平均超過勤務時間数を伺う。

回答
 知事部局等における本庁職員の1人当たり月別の平均超過勤務時間数については、平成26年2月は22.1時間、同年3月は30.8時間、平成27年2月は23.3時間、同年3月は30.9時間、平成28年2月は24.3時間、同年3月は31.0時間、平成29年2月は20.6時間、同年3月は30.2時間、平成30年2月は20.5時間、同年3月は30.0時間です。

質問事項
二 ヒューマンライツ・フェスタ2018の運営における障害者の参画について
 東京都では、東京2020大会を契機とした人権啓発に関する重点プロジェクトとして、ヒューマンライツ・フェスタを開催している。このイベントを戦略的に活用し、表舞台だけでなく縁の下の力持ちとしても、より多くの障害者当事者に関わっていただきたいと考える。そこで、平成30年度のヒューマンライツ・フェスタにおいて、障害者がどのように関わってきたのか伺う。

回答
 平成30年度のヒューマンライツ・フェスタ東京2018では、講演、歌、ダンス、楽器演奏等のプログラムにおいて、障害者の方々が出演者として参加しました。また、バリアフリー体験、ブラインドサッカー体験、車いすバスケットボール体験等のプログラムでは、指導役を担うなど、運営スタッフとして参加しました。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原のり子

質問事項
一 青少年・若者施策について

一 青少年・若者施策について
 東京都の青少年施策は、石原都知事時代に青少年・治安対策本部に改組され、青少年は治安対策の対象という重大な転換が行われました。7か所あった青年の家を廃止するなど、青少年・若者支援の中身も縮小されました。
 全国をみても、治安対策の部署が青少年・若者を担当するのは、東京都だけです。共産党都議団は、かねてから、治安対策と切り離して青少年・若者支援をすすめるべきだと提起してきました。私自身も、ひきこもりの若者や支援する方々から、「青少年・治安対策本部、という名称はやめてほしい。若い人は治安対策の対象にされているのかと思う」との訴えを聞いてきました。
 このたびの組織再編について、知事は施政方針で、「成長戦略」「住宅政策」「青少年問題」について新たな本部を設置するなど、執行体制を強化すると表明しました。総務委員会でも質問しましたが、「青少年問題」の新たな本部は、「都民安全推進本部」とのことです。つまり、名称は変わったものの、青少年施策と治安対策が一体になっているという実態は何も変わりません。
1 都民安全推進本部を「青少年問題」の新たな本部とするにあたり、青少年・若者施策での新規事業はありますか。
2 地域における青少年の健全育成事業は、生活文化局へ移管したとのことですが、新規事業はありますか。
3 青少年・若者の困難に寄り添う「若ナビα」「ひきこもりサポートネット」などはもちろん、居場所づくり、スポーツや文化活動への支援、子ども議会をはじめ青少年・若者が主人公になり、その意見を積極的に行政に反映させることなど、多岐にわたる青少年施策が求められていると思いますが、東京都の認識をうかがいます。
4 現在東京都が若者に向けて行なっている事業のなかで、「若ナビα」は、若者の相談に寄り添う大事な事業です。相談にていねいに乗ることと同時に、相談が終了したあとでも、若者が立ち寄れる居場所として整備していくことが必要ではないでしょうか。見解をうかがいます。
5 青少年・若者施策全体をすすめるうえで、東京都子供・若者計画は重要です。5か年計画の来年度が最終年度となります。今後についてどうするのか総務委員会でうかがったところ、適切に対応していくとのことでした。子供・若者計画の重要性についての認識をお聞かせください。
6 2020年度からの計画を策定すべきですが、その考えと担当部署、スケジュールを教えて下さい。
7 全国の20代30代の若者の8人にひとりは、東京に暮らしています。青少年・若者支援を抜本的に強化し、若者が主人公となって活躍できる東京都にしていくために、青少年施策を治安対策と切り離し、青少年・若者支援の専管組織を設置すべきと考えます。見解をうかがいます。

平成31年第一回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 青少年・若者施策について
1 都民安全推進本部を「青少年問題」の新たな本部とするにあたり、青少年・若者施策での新規事業はあるか伺う。

回答
 平成31年度は、インターネット、SNS等により性被害に巻き込まれないよう、青少年が相談しやすい環境づくりや保護者等のネットリテラシーの向上を図ってまいります。
 また、若者総合相談センター「若ナビα」において、様々な分野の関係機関との連携を強化し、その体制を充実させるとともに、若者の自立支援に関する、区市町村の総合窓口整備の促進などの新規及び拡充する施策を推進していきます。

質問事項
一の2 地域における青少年の健全育成事業は、生活文化局へ移管したとのことであるが、新規事業はあるか伺う。

回答
 平成31年度は、青少年地区委員会の活動への支援を充実するため、地区委員会が抱える課題の解決をサポートするアドバイザー派遣事業を新たに実施します。

質問事項
一の3 青少年・若者の困難に寄り添う「若ナビα」「ひきこもりサポートネット」などはもちろん、居場所づくり、スポーツや文化活動への支援、子ども議会をはじめ青少年・若者が主人公になり、その意見を積極的に行政に反映させることなど、多岐にわたる青少年施策が求められていると思うが、東京都の認識を伺う。

回答
 青少年が、健やかに成長し、社会の中でそれぞれが活躍できるように、社会全体の環境づくりに努めることは不可欠です。
 都では、これまでも、青少年行政について、区市町村や地域団体等、多様な主体と連携して施策を推進してきました。
 今後も、これらの考え方に何ら変わることはなく、都として、多様な主体と連携して、施策を推進していきます。

質問事項
一の4 現在東京都が若者に向けて行なっている事業のなかで、「若ナビα」は、若者の相談に寄り添う大事な事業である。相談にていねいに乗ることと同時に、相談が終了したあとでも、若者が立ち寄れる居場所として整備していくことが必要ではないか。見解を伺う。

回答
 若者の支援に当たっては、「若ナビα」が、都の若者相談の拠点として様々な若者の悩みや不安を受け止めるとともに、区市町村やNPO法人等の民間支援団体による居場所の提供などの支援を、身近な地域で受けられる環境づくりが必要と考えています。

質問事項
一の5 青少年・若者施策全体をすすめるうえで、東京都子供・若者計画は重要である。5か年計画の来年度が最終年度となる。今後についてどうするのか総務委員会でうかがったところ、適切に対応していくとのことであった。子供・若者計画の重要性についての認識を伺う。

回答
 子供・若者計画は、全ての子供・若者が健やかに成長し、円滑に社会生活を営むことができる社会の形成を目指すものであり、都の子供・若者育成支援施策の一層の推進を図るためのものです。
 また、「子ども・若者育成支援推進法」において、都道府県は、都道府県子ども・若者計画を作成するよう努めるものとすると定められており、本計画は重要であると認識しています。

質問事項
一の6 2020年度からの計画を策定すべきであるが、その考えと担当部署、スケジュールを伺う。

回答
 都では、全ての子供・若者が社会的自立を果たすことなどを目的として、関係機関の施策をとりまとめ、平成27年度から5か年の計画である「東京都子供・若者計画」を策定しています。
 今後の計画についても、都民安全推進本部が適切に対応していきます。

質問事項
一の7 全国の20代30代の若者の8人にひとりは、東京に暮らしている。青少年・若者支援を抜本的に強化し、若者が主人公となって活躍できる東京都にしていくために、青少年施策を治安対策と切り離し、青少年・若者支援の専管組織を設置すべきと考える。見解を伺う。

回答
 都では、これまでも、その時々の行政課題に応じて適宜適切な組織の見直しを行い、常に効果的、効率的な執行体制に努めてきました。
 こうした考えに基づき、平成31年4月の組織改正は、ひきこもり支援施策など、青少年施策のうち、他の組織で展開することが効果的な一部の事業を他局へ移管したものであり、事業執行に必要な人員・組織については、確実に措置しています。
 今後も、都政を取り巻く環境変化を踏まえつつ、様々な都政の課題に着実に対応できる執行体制を構築していきます。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山口 拓

質問事項
一 働き方改革の実現について

一 働き方改革の実現について
 長時間労働や正規・非正規労働者間の格差といった社会問題と、企業収益の実態に則した分配を求める経済問題に対して、働き方改革関連法施行に基づいた取り組みが必要となっています。
 平成31(2019)年4月に改正労働基準法が施行され、罰則付きの残業時間の上限規制が始まります。年次有給休暇5日以上の取得義務化、改正労働安全衛生法における管理職を含む全ての労働者の労働時間の把握では中小企業も適用され、多くの法改正を伴って開始されます。
 そこで、東京都においては、法の周知や指導・助言を強化することで、使用者の義務を徹底することが必要だと考えます。
 また、来年のパートタイム・有期雇用労働法の施行準備も踏まえ、働く人々の雇用労働環境を整備する機会となっています。以下の質問を行います。
1 改正労働基準法などの周知を東京都の重点課題として行うことが必要です。各東京都労働相談情報センターにおいて、36協定締結の必要性や手続きの周知、法改正に基づくルール変更、勤務間インターバル制度の導入を含めた労働基準法改正などの周知、先進的に進める好事例の広報などのセミナーを複数回行うなど、労使への周知を徹底すべきと考えますが、見解を伺います。
2 長時間労働の背景として、親会社や取引先による下請代金支払遅延等防止法や独占禁止法への抵触が疑われる場合に、中小企業庁や公正取引委員会に通報する制度や中小企業庁のガイドラインや事業を活用するなど、下請などの取引条件にも踏み込んで長時間労働の是正を図るべきと考えますが、見解を伺います。
3 来年の同一労働同一賃金の円滑な施行に向けて、パート・有期法改正に基づく雇用形態の違いによる不合理な待遇差の禁止規定の整備や、どのような待遇差が不合理であるかの基本的な考え方を示した「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(同一労働同一賃金ガイドライン)」などを労使に周知徹底を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
4 正規・非正規間の格差是正、同一労働同一賃金については、雇用形態の違いによる不合理な待遇差を禁止しており、大企業の適用は2020年4月から、中小企業は2021年4月から取り組まねばなりません。各企業においては正規・非正規間の待遇の違いやその理由を従業員に求められれば説明する必要があり、説明義務違反の場合は訴訟に繋がる可能性があると専門家は述べています。東京都として、相談・支援体制を充実すべきと考えますが、見解を伺います。

平成31年第一回都議会定例会
山口拓議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 働き方改革の実現について
1 改正労働基準法などの周知を東京都の重点課題として行うことが必要である。各東京都労働相談情報センターにおいて、36協定締結の必要性や手続きの周知、法改正に基づくルール変更、勤務間インターバル制度の導入を含めた労働基準法改正などの周知、先進的に進める好事例の広報などのセミナーを複数回行うなど、労使への周知を徹底すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、働き方改革関連法について、法改正の趣旨や内容を解説した独自の啓発冊子を作成し、金融機関や商工団体等と連携して配布するほか、都の広報媒体やトレインチャンネル等を活用して幅広く周知啓発を図っています。
 また、年間を通じて、経営者に向けては、法改正を踏まえた「雇用管理のポイント」などのセミナーを、労働者に向けては、「労働トラブルへの対応」などのセミナーを、都内6か所の労働相談情報センターにおいて実施しております。今後も、働き方改革関連法の周知を着実に進めていきます。

質問事項
一の2 長時間労働の背景として、親会社や取引先による下請代金支払遅延等防止法や独占禁止法への抵触が疑われる場合に、中小企業庁や公正取引委員会に通報する制度や中小企業庁のガイドラインや事業を活用するなど、下請などの取引条件にも踏み込んで長時間労働の是正を図るべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、中小企業における、長時間労働の是正にも繋がる適正な下請取引を確保するため、下請センター東京において、相談や助言等を実施しています。
 また、同センターの相談員が企業の現場を巡回しながら、様々な助言や情報提供、法律の内容に係る普及啓発等を行っています。今後とも、こうした取組を着実に進めていきます。

質問事項
一の3 来年の同一労働同一賃金の円滑な施行に向けて、パート・有期法改正に基づく雇用形態の違いによる不合理な待遇差の禁止規定の整備や、どのような待遇差が不合理であるかの基本的な考え方を示した「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(同一労働同一賃金ガイドライン)」などを労使に周知徹底を図っていくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、パートタイム・有期雇用労働法など働き方改革関連法について、法改正の趣旨や内容を解説した独自の啓発冊子を作成し、金融機関や商工団体等と連携して配布するほか、都の広報媒体やトレインチャンネル等を活用して幅広く周知を図っています。
 また、労働相談情報センターに配置したアドバイザーが企業を巡回し、正社員と非正規社員との不合理な待遇差の禁止など、事業主の責務や適正な雇用管理に関する普及啓発を行っています。今後も、こうした取組により働き方改革関連法の周知を着実に進めていきます。

質問事項
一の4 正規・非正規間の格差是正、同一労働同一賃金については、雇用形態の違いによる不合理な待遇差を禁止しており、大企業の適用は2020年4月から、中小企業は2021年4月から取り組まねばならない。各企業においては正規・非正規間の待遇の違いやその理由を従業員に求められれば説明する必要があり、説明義務違反の場合は訴訟に繋がる可能性があると専門家は述べている。東京都として、相談・支援体制を充実すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、法改正や社会情勢の変化に伴って多様化・複雑化する労働相談に対応するため、弁護士による定期的な専門相談や国と連携した特別相談等を実施しています。また、担当職員に対しては、労働法制に関する基礎研修を行うほか、外部講師を招いた専門研修の実施等により、最新の知識の習得にも努めています。
 今後も、社会状況や相談者のニーズを踏まえて、担当職員に専門的な助言を行う弁護士を配置するほか、相談スキルの向上に向けた研修の規模拡大などにより労働相談の更なる充実を図っていきます。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 里吉ゆみ

質問事項
一 建設発生土について
二 横断歩道橋の撤去、バリアフリー化について

一 建設発生土について
1 一昨年八王子市上川町の残土処分場で、台風21号の降雨により盛土が崩落し、1万立方メートルほどの土砂が都道61号線に流れだし、約2ヶ月間も道路が通行止めになりました。原因は事業者が工事を中断して所在不明になったためでした。
 土砂の埋め立てに起因する災害の発生防止のための対策が求められています。東京都町村会からは、現行の「東京における自然の保護と回復に関する条例」の罰則強化や許可の取り消し条項の追加などの充実を図るとともに、残土問題に関する町村への技術的・財政的支援を求める要望が上がっています。
 都として再発防止のための対策を検討すべきですが、いかがですか。
2 今、各地で建設発生土の不適切な埋め立て、盛土などによる崩落事故が発生しています。東京の残土が三重県南部の山林に投棄され、景観悪化や崩落の危険が生じていると報道されるなど、都内の建設発生土も問題になっています。
 東京2020大会を控え、都内では様々な開発が続いています。都内の公共工事から発生する建設発生土を受け入れている指定処分場、仮置き場は現在、何区市町村何箇所あるのか、伺います。
3 建設発生土の埋め立て等による崩落事故等を防止するためにも、残土総量を把握し、適切に残土処分場で受け入れることが必要です。都内の公共工事から発生する建設発生残土及びそのうち、都内、都外の指定処分場で受け入れている量はそれぞれいくらか、伺います。
4 建設残土を処理し埋め立てる業者のみならず、発生者の責任を明確にして、建設残土の発生から搬出、処理に至る流れを規制することは、現行の「東京における自然の保護と回復に関する条例」の条項だけでは不十分です。また、八王子のような事態の再発を防ぐためには罰則を設け、厳しく規制することが必要です。建設残土の発生抑制と適正処理を定める、都独自の残土条例の制定を求めますが、いかがですか。

二 横断歩道橋の撤去、バリアフリー化について
 都道に約六百あるといわれている横断歩道橋は、設置から50年近く経過し老朽化がすすんでいます。かつては、交通事故から歩行者の命を守る安全対策として設置がすすめられてきたものの、現在は階段の上り下りが困難な高齢者や、車いすやベビーカーでの利用ができないため、撤去やバリアフリー化(スロープやエレベーターの設置)の要望が多く出されています。
1 都は横断歩道橋の撤去は、利用者が少ないこと、近傍に横断歩道が設置されていること、さらに通学路に指定されていないことなどの条件を全て満たす歩道橋について、地元住民や交通管理者等の合意を得られたものから撤去をすすめるという基本方針だと伺っていますが、実際に横断歩道橋の撤去の要望が多いのは利用者が多いところです。特に高齢者や障害者など階段の利用が困難な方からの要望です。様々なバリアフリー化がすすむ中で、横断歩道橋の撤去のあり方も再検討するときにきているのではないでしょうか。
2 横断歩道橋を撤去してあらたに道路に横断歩道を設置する場合、横断歩道橋の撤去については交通管理者の見解、意見などが必要になります。横断歩道橋が設置されているのは大きな交差点など自動車等の交通量も多いところですから、そのような場所に横断歩道を設置するときには歩車分離信号の設置等の安全対策が欠かせません。交通管理者が横断歩道を設置する場合の設置基準、また交通管理者が道路管理者から横断歩道橋の撤去に関して問い合わせがあった場合、どのような検討を行うのか、伺います。
3 都では、既設横断歩道橋のうち、高齢者や障害者などの利用が多く、エレベーターやスロープの設置を優先的に実施する必要が特に高い歩道橋を対象に、歩道における空間が確保できるなど構造基準を満たせる箇所において、バリアフリー法などに基づき対策を実施しているとのことだが、具体的には過去15年において、都がバリアフリー法などに基づいて対策を実施した既設横断歩道橋は何箇所か、具体的な場所と対策について伺います。
4 既設横断歩道橋にエレベーターを設置する場合、その場所の確保、エレベーターの設置、維持管理等は、全て都の責任で行うものなのでしょうか。都として設置が困難と判断した場合でも、その地域でどうしてもエレベーターの設置が必要だと判断した場合、例えば地元自治体が、エレベーター設置場所の確保や維持管理を行うということで、都が設置した事例はあるのか、現在、既設横断歩道橋に設置した都所有のエレベーターのうち区市町村が維持管理しているエレベーターは何箇所あるのか、伺います。

平成31年第一回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 建設発生土について
1 土砂の埋め立てに起因する災害の発生防止のための対策が求められている。東京都町村会からは、現行の「東京における自然の保護と回復に関する条例」の罰則強化や許可の取り消し条項の追加などの充実を図るとともに、残土問題に関する町村への技術的・財政的支援を求める要望が上がっている。都として再発防止のための対策を検討すべきであるが、見解を伺う。

回答
 都は、東京における自然の保護と回復に関する条例(以下「自然保護条例」という。)に基づき、土砂による埋立事業を含む開発行為について、一定の緑地の確保などを求める開発許可制度を運用しています。
 平成29年の事故を踏まえ、都は、自然保護条例の開発許可を受けて土砂の埋立工事を行っている9か所の残土処分場に対し、土砂災害の専門家による緊急点検を実施しました。この中では、各々の現場において差し迫った危険性はないことを確認できたものの、事業者が土砂の埋立工事を長期化させるなど、土砂災害の未然防止や自然再生を進める上で、様々な課題があると認識しています。
 既に、監視指導手法の見直しや地元自治体との連携強化に向けて検討を開始しており、併せて、自然保護条例の改正を含めた制度面の見直しの検討にも着手しています。

質問事項
一の2 東京2020大会を控え、都内では様々な開発が続いている。都内の公共工事から発生する建設発生土を受け入れている指定処分場、仮置き場は現在、何区市町村何箇所あるのか伺う。

回答
 都などが発注する公共工事では、「東京都建設リサイクルガイドライン」に基づき、原則、発注者が発生土の処分先を指定することとなっており、平成31年4月現在、指定可能な処分場は、都内では7区市町の17か所となっています。このほか、都外では20市町の24か所となっています。

質問事項
一の3 建設発生土の埋め立て等による崩落事故等を防止するためにも、残土総量を把握し、適切に残土処分場で受け入れることが必要である。都内の公共工事から発生する建設発生残土及びそのうち、都内、都外の指定処分場で受け入れている量はそれぞれいくらか、伺う。

回答
 都などが発注する公共工事のうち、都内から発生した平成29年度の建設発生土は、約200万立方メートルです。
 このうち、都内の指定地での受入量は約170万立方メートル、都外の指定地での受入量は約30万立方メートルです。

質問事項
一の4 建設残土を処理し埋め立てる業者のみならず、発生者の責任を明確にして、建設残土の発生から搬出、処理に至る流れを規制することは、現行の「東京における自然の保護と回復に関する条例」の条項だけでは不十分である。また、八王子のような事態の再発を防ぐためには罰則を設け、厳しく規制することが必要である。建設残土の発生抑制と適正処理を定める、都独自の残土条例の制定を求めるが、見解を伺う。

回答
 都は、「東京都建設リサイクル推進計画」に基づき、「東京都建設リサイクルガイドライン」を定め、建設発生土の発生抑制や再利用、適正処理を図っています。

質問事項
二 横断歩道橋の撤去、バリアフリー化について
1 実際に横断歩道橋の撤去の要望が多いのは利用者が多いところである。特に高齢者や障害者など階段の利用が困難な方からの要望である。様々なバリアフリー化がすすむ中で、横断歩道橋の撤去のあり方も再検討するときにきているのではないか伺う。

回答
 都では、横断歩道橋の近傍に横断歩道が設置されており、利用者が少ない、通学路の指定がないなどの条件を満たした横断歩道橋について、交通管理者との調整の上、地元の合意が得られたものを撤去しています。
 今後とも、横断歩道橋を撤去する場合には、地域の状況を踏まえ、交通管理者や地元とよく調整し、対応していきます。

質問事項
二の2 横断歩道橋が設置されているのは大きな交差点など自動車等の交通量も多いところであるから、そのような場所に横断歩道を設置するときには歩車分離信号の設置等の安全対策が欠かせない。交通管理者が横断歩道を設置する場合の設置基準、また交通管理者が道路管理者から横断歩道橋の撤去に関して問い合わせがあった場合、どのような検討を行うのか伺う。

回答
 横断歩道の設置基準は、道路の幅員、歩行者の滞留スペースの有無、交通量、横断歩行者数、沿道施設の状況、勾配の急な坂や見通しのきかない道路の曲がり角等の危険な場所の有無及び近接する横断歩道や横断歩道橋の有無等を総合的に勘案して、設置の適否を判断しています。
 また、道路管理者から横断歩道橋の撤去に関する問合せ等があった場合は、交通の安全と円滑を確保するため、交通安全施設の整備・運用等について検討を行います。

質問事項
二の3 都では、既設横断歩道橋のうち、高齢者や障害者などの利用が多く、エレベーターやスロープの設置を優先的に実施する必要が特に高い歩道橋を対象に、歩道における空間が確保できるなど構造規準を満たせる箇所において、バリアフリー法などに基づき対策を実施しているとのことだが、具体的には過去15年において、都がバリアフリー法などに基づいて対策を実施した既設横断歩道橋は何箇所か、具体的な場所と対策について伺う。

回答
 杉並区の環状八号線に設置されている高井戸駅前歩道橋において、地元区等からエレベーターの設置場所の確保や維持管理の協力を得て、都がエレベーターを設置した事例が1箇所あります。

質問事項
二の4 既設横断歩道橋にエレベーターを設置する場合、その場所の確保、エレベーターの設置、維持管理等は、全て都の責任で行うものなのか。都として設置が困難と判断した場合でも、その地域でどうしてもエレベーターの設置が必要だと判断した場合、例えば地元自治体が、エレベーター設置場所の確保や維持管理を行うということで、都が設置した事例はあるのか、現在、既設横断歩道橋に設置した都所有のエレベーターのうち区市町村が維持管理しているエレベーターは何箇所あるのか、伺う。

回答
 都では、既設横断歩道橋のうち、高齢者や障害者などの利用が多く、エレベーターの設置を優先的に実施する必要が特に高い歩道橋を対象に、歩道における空間が確保できるなど、構造基準を満たせる箇所において、交通管理者や地元とよく調整をした上で、対策を実施しています。
 杉並区の環状八号線に設置されている高井戸駅前歩道橋において、地元区等からエレベーターの設置場所の確保や維持管理の協力を得て、都がエレベーターを設置した事例が1箇所あります。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 都営住宅の「移転料」について
二 都立狭山公園・八国山緑地について

一 都営住宅の「移転料」について
 都営住宅の建て替えにともない、居住者への移転料が支払われています。しかし、居住者からは「荷物の処分や引越し費用などが多くかかる。移転料をもう少し引き上げてほしい」との要望が寄せられています。
 そこで、いくつか質問します。
1 都営住宅の移転料は、現在、いくらですか。
2 移転料の料金の推移について、変更になった年度と金額について伺います。
3 都営住宅の移転料の根拠について、伺います。
4 国の公営住宅等整備事業対象要綱で「移転件数1件につき176千円を限度とする」となっています。都も国の上限まで「移転料」を引き上げるべきですが、いかがですか。
5 国の公営住宅等整備事業対象要綱の第13条2に「移転件数1件につき、176千円を限度とする」となっています。国が176千円に改定した理由について、伺います。
6 国土交通省の住宅局、住宅総合整備の担当者から話を聞きました。176千円に引き上げた時期は、消費税を5%から8%に増税された時だということでした。そして、安倍政権は今年10月から消費税増税を行おうとしています。それにともない国は「公営住宅等整備事業対象要綱」の移転料の引き上げを検討していることがわかりました。都としても消費税増税が行われた場合、「移転料」の引き上げが必要だと思いますが、いかがですか。

二 都立狭山公園・八国山緑地について
 東村山市から東大和市にかけての狭山公園は、緑豊かな市民の憩いの場となっています。園内全体にはコナラ、クヌギ、スギ等の雑木林になっており、さまざまな野鳥や昆虫が見られる貴重な公園です。
 しかし、昨年の台風で老木が倒れ、そのままになっているところもあり、住民の方々から「放置しておくのは、不安だ」などの声も寄せられています。そこで、いくつか質問します。
1 台風の被害によって老木が倒れたものは、どう処理されていますか。進ちょく状況について、伺います。
2 先日、狭山公園パークセンターに行き、お話しを聞きました。今年度中に、台風の被害による老木は処理をするということでした。残っているものがあれば、今後の計画について、伺います。
3 東村山市諏訪町3丁目、八国山緑地の周辺では、東京都の土砂災害特別警戒区域に2か所が、2018年1月30日に指定されました。付近には、病院や民家があります。八国山緑地は都立公園です。都は安全確保の責任があると思いますが、都の認識を伺います。
4 八国山緑地の周辺の土砂災害特別警戒区域指定になった2か所の部分は、都が安全性の調査、のり面の整備などを行うべきです。調査及び整備の必要性について、それぞれ都の認識を伺います。

平成31年第一回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅の「移転料」について
1 都営住宅の移転料は、現在、いくらか。

回答
 都営住宅の建替えに伴う移転料は、現在、1回の移転につき17万1,000円です。

質問事項
一の2 移転料の料金の推移について、変更になった年度と金額について伺う。

回答
 平成15年度までは、建替え後の団地に戻ることが前提の仮移転の場合、約17万7,000円、移転先の団地に住み続ける本移転の場合は約20万3,000円でした。平成16年度からは、一律、現行の17万1,000円としています。

質問事項
一の3 都営住宅の移転料の根拠について、伺う。

回答
 公営住宅法及び東京都営住宅条例等に基づき、建替事業により移転した居住者には移転料を支払うこととしています。

質問事項
一の4 国の公営住宅等整備事業対象要綱で「移転件数1件につき176千円を限度とする」となっている。都も国の上限まで「移転料」を引き上げるべきだが、見解を伺う。

回答
 国が公営住宅等整備事業対象要綱で示している額は、移転に係る補助対象額の上限であり、都においては、通常の移転に必要な額を支払っているものと認識しています。

質問事項
一の5 国の公営住宅等整備事業対象要綱の第13条2に「移転件数1件につき、176千円を限度とする」となっている。国が176千円に改定した理由について、伺う。

回答
 国からは、消費税及び地方消費税の税率が5%から8%に引き上げられたことを契機に、上限額を17万6,000円に改定したと聞いています。

質問事項
一の6 国土交通省の住宅局、住宅総合整備の担当者から話を聞いた。176千円に引き上げた時期は、消費税を5%から8%に増税された時だということだった。そして、安倍政権は今年10月から消費税増税を行おうとしている。それにともない国は「公営住宅等整備事業対象要綱」の移転料の引き上げを検討していることがわかった。都としても消費税増税が行われた場合、「移転料」の引き上げが必要だと思うが、見解を伺う。

回答
 国が公営住宅等整備事業対象要綱で示している額は、移転に係る補助対象額の上限であり、都においては、今後とも、通常の移転に必要な額を支払っていきます。

質問事項
二 都立狭山公園・八国山緑地について
1 台風の被害によって老木が倒れたものは、どう処理されているか。進ちょく状況について、伺う。

回答
 平成30年9月30日から10月1日にかけての台風24号により、都立狭山公園及び八国山緑地では、多くの倒木被害が発生しました。
 平成31年4月1日現在、これらの倒木は、全て処理を完了しています。
 倒木の一部は、狭山公園や八国山緑地で、木柵や丸太を利用したベンチに再利用し、残りは再資源化施設に搬出しました。

質問事項
二の2 先日、狭山公園パークセンターに行き、話しを聞いた。今年度中に、台風の被害による老木は処理をするということだった。残っているものがあれば、今後の計画について伺う。

回答
 平成31年4月1日現在、台風24号による倒木は、全て処理を完了しています。

質問事項
二の3 東村山市諏訪町3丁目、八国山緑地の周辺では、東京都の土砂災害特別警戒区域に2か所が、2018年1月30日に指定された。付近には、病院や民家がある。八国山緑地は都立公園である。都は安全確保の責任があると思うが、都の認識を伺う。

回答
 平成30年1月、八国山緑地周辺では、土砂災害特別警戒区域に2か所が指定され、1か所は公園用地内、1か所は公園用地の外です。
 今後とも、公園用地については、管理者として適切な維持管理を行っていきます。

質問事項
二の4 八国山緑地の周辺の土砂災害特別警戒区域指定になった2か所の部分は、都が安全性の調査、のり面の整備などを行うべきである。調査及び整備の必要性について、それぞれ都の認識を伺う。

回答
 八国山緑地の管理者である都は、区域の指定の有無にかかわらず、関係法令に基づき、公園用地については、適切な管理を行っています。
 御指摘の箇所のうち公園内にある1か所については、安全を確認しています。
 引き続き、地元市と連携し、適切な管理に努めていきます。

平成31年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 都道に関わる橋梁のバリアフリー化について

一 都道に関わる橋梁のバリアフリー化について
 本格的に高齢化社会を迎えた今日、地域社会では高齢者が安心して社会生活が営めるように、必要とされる様々な対策が急がれていることは、言うまでもありません。
 また、障がい者が障がいのない人と同じように自分の意思で考え、決定し、行動できる共生社会の実現も強く求められています。
 そのために、これまでも様々な取り組みがなされてきたのですが、平成18年(2006年)に、それまでのハートビル法と交通バリアフリー法を統合、拡充して「高齢者・障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」が制定されました。
 それは、バリアフリー法が別々につくられていることで、バリアフリー化自体が施設ごとに独立して進められ、連続的なバリアフリー化が図られていない問題や、バリアフリー化が駅など旅客施設を中心とした地区に留まっている問題など、一般住民の生活、日常の視点にたったバリアフリー化が十分でないことが明らかになったからです。
1 そのため、バリアフリー新法は生活空間の一体的、総合的なバリアフリー化を推進することが目的とされ、バリアフリー化の義務を負う対象者として、ハートビル法の建築主や、交通バリアフリー法での公共交通事業者等に加えて新たに道路管理者・交通管理者つまり自治体が規定されたのです。
 したがって、バリアフリー新法の目指すバリアフリー社会の実現に当たっては、多くの道路の管理者である東京都の責任が極めて大きいと思いますが、まず都としての基本的な姿勢と決意を明らかにしていただきたい。
2 葛飾区は全体として平坦な地形で荒川、中川、江戸川の三つの河川に囲まれています。葛飾区民の悩みは、徒歩または自転車で移動する場合は橋を渡らなければならないことが多く、橋を渡るためにはかなりの坂を上り下りしなければならないことです。橋は、高く築かれた堤防を越えて造られているだけでなく、堤防上に造られている河川管理用道路をまたぐ形で造られているために勾配もきつく、スロープも長くなっています。
 都道環状7号線は葛飾区高砂1丁目から、葛飾区青戸2丁目までの中川を渡る長さ640メートルの青砥橋で結んでおります。勾配は北側(青戸2丁目側)が6%で南側(高砂1丁目側)が2.185%となっています。青戸側から橋を見ると長大な坂を自動車群が駆け下ってくる光景が眺められます。橋自体が巨大な太鼓橋になっているのです。
 これを徒歩で渡ろうとすると、高砂1丁目側では58段(右側)か、69段(左側)の階段を上り、青戸2丁目側でまた、58段の階段を下りなくてはなりません。自転車の場合は8%勾配のスロープをじつに150メートル押して、やっと橋にたどり着くことができます。車椅子の人は単独ではほとんど橋詰に到着することは無理です。
 問題は高砂1丁目側の住民にとって最寄の鉄道駅が京成青砥駅であることです。通勤、通学のために青砥橋を渡らなくてはなりません。高砂1丁目には商店が一軒もないので、毎日の買い物も青砥駅近辺の商店を利用するためには青砥橋を渡らなくてはなりません。
 つまり、青砥橋は環七という幹線道路であるとともに日常的生活道路なのです。住民は640メートルもの距離を荒天のときは風雨をしのぎながら歩いて橋を渡りますが、その橋にたどりつくのも大変な思いをしているのが現状です。
 そこで、環七青砥橋の南側、北側にエレベーターを早急に設置するよう強く求めます。お答えください。
3 また、青砥橋だけでなく、葛飾区内には都道に関わる橋梁で高齢者、障がい者が利用しにくいものが多くあります。例えば、堀切橋(橋長874メートル)は、自転車斜路階段はあるものの傾斜がきつく、利用者に支障をきたすばかりか、車椅子では渡れません。バリアフリー新法が施行されて12年以上が経ち、高齢者・障がい者等の自立した日常生活、社会生活を確保することの重要性を考えるならば、都は川の水面よりも地面が低く、どの橋も太鼓橋となっている東部低地帯の都道の橋梁のバリアフリー化に向けて、エレベーターの設置を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

平成31年第一回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都道に関わる橋梁のバリアフリー化について
1 バリアフリー新法の目指すバリアフリー社会の実現に当たっては、多くの道路の管理者である東京都の責任が極めて大きいと思うが、まず都としての基本的な姿勢と決意を伺う。

回答
 高齢者や障害者を含めた全ての人が安全で円滑に移動するため、道路のバリアフリー化を一層進めていくことが重要です。
 都はこれまで、駅や官公庁、福祉施設などを結ぶ都道において、段差解消や勾配改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置など、道路のバリアフリー化を進めてきました。また、道路の新設や拡幅、無電柱化などの際にもバリアフリー化に取り組んできました。
 現在は、平成28年3月に策定した「東京都道路バリアフリー推進計画」に基づき、これまでの取組に加え、東京2020大会競技会場や観光施設周辺等の都道において、道路のバリアフリー化を進めています。

質問事項
一の2 環七青砥橋の南側、北側にエレベーターを早急に設置するよう強く求めるが見解を伺う。

回答
 既設の道路橋にエレベーターを設置するためには、設置場所の確保やこれに伴う橋梁への影響など、解決すべき困難な課題が多いことから、慎重な検討が必要です。

質問事項
一の3 バリアフリー新法が施行されて12年以上が経ち、高齢者・障がい者等の自立した日常生活、社会生活を確保することの重要性を考えるならば、都は川の水面よりも地面が低く、どの橋も太鼓橋となっている東部低地帯の都道の橋梁のバリアフリー化に向けて、エレベーターの設置を検討すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 既設の道路橋にエレベーターを設置するためには、設置場所の確保やこれに伴う橋梁への影響など、解決すべき困難な課題が多いことから、慎重な検討が必要です。

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