平成三十一年東京都議会会議録第五号

   午後四時五十分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行します。
 八番森澤恭子さん。
〔八番森澤恭子君登壇〕

○八番(森澤恭子君) 私は東京大改革の先にある東京の未来を見据え、東京の稼ぐ力を高めるという観点から一般質問を行います。
 高度経済成長のような画一的な経済発展でなく、東京の持つリソース、多様な人々のポテンシャルを最大限引き出すことで、世界から人、物、お金、情報を引きつける磁力につなげていく。朝から晩まで休みなく画一的に働く企業形態から、時間や場所にとらわれず、個性を生かした働き方へ。仕事か家庭かを選ぶ人生から、仕事も家庭も大切にできる生き方へ。生まれながらに機会と役割が固定化された社会から、全ての人に等しい機会と自分らしい役割があり、誇りと意欲を持って生きられる世の中へ。次の時代の豊かさの新機軸を打ち立て、これまで当たり前とされていた価値観を変えることが東京大改革の柱の一つであり、その活力の源泉は人であります。
 東京大改革の先にある東京の未来、すなわちそれは、多様性に支えられた、世界から選ばれる活力ある東京だと考えます。その実現に向けては、予算の選択と集中により真の稼ぐ力をつけることで、民間の力を生かした持続的な成長を遂げ、東京のプレゼンスを高めることが重要です。
 本年度の東京都予算においては、稼ぐ力の強化に向けた施策に七百四億円、人の活力を生み出す施策に二百六十億円が計上されています。次の時代を見据えたとき、どのような観点から稼ぐ力を伸ばしていくべきと考えるか、知事の見解を伺います。
 東京には課題先進都市としての一面もあり、東京都の課題は早晩日本全国で起きる課題であるといわれています。率先して課題解決に取り組み、全国のモデルとなる必要があります。その意味で、行政の課題を民間の視点で捉え直し、企業的手法で解決するキングサーモンプロジェクトに期待をしています。
 この事業のポイントは、スタートアップを支援して終わりではなく、新たに生まれた経済的価値、課題解決のノウハウなどの果実を評価し、横展開していく点です。
 本事業の狙いについて、これまでの創業支援との違いを踏まえ、都の見解を伺います。
 稼ぐ力を高めるには、イノベーションが必要であり、そのために先端技術の開発への投資が予算化されている点は重要です。
 先端技術は、ややもすれば危険性や不安が先に立ってしまいます。昨年の六本木、大手町の自動運転タクシーや、先日、多摩ニュータウンでの自動運転バスの実証実験に参加し、私自身も技術の高さやその利便性を実感しました。地域で暮らす皆様にご乗車いただくことで、身近な困り事を解決してくれるすばらしいものであると実感いただけたのではないかと思います。
 なお、来年度の実証実験では、さらに距離を延ばし、臨海部と羽田空港をつなぐような実証実験を行っていただきたいと願うところです。
 実証実験により技術の精度等を高めると同時に、そのメリットをわかりやすく示すことで、都民の皆様にその意義を理解してもらい、民間事業者のさらなる参入意欲を喚起し、社会実装を推進していくことが重要です。
 自動運転をさらに推進していく上で、バスやタクシー業界の運転手不足等の社会課題解決への寄与や住民の利便性の向上、そして稼ぐ力、すなわち経済波及効果などを見える化すべく、調査分析していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 成長の伸びしろが期待され、東京の稼ぐ力を担う大きなポテンシャルを秘めているものの一つが夜間帯の観光、ナイトライフ観光です。
 ニューヨーク市ではナイトライフ局、アムステルダムやロンドンではナイトメイヤーを置き、世界各都市で夜間帯の文化、経済を活性化していこうとする動きがあります。世界各都市が切磋琢磨している一方で、東京はその機会を逸しているともいわれます。
 観光における消費拡大に向けて、日本、東京ならではのユニークなナイトライフコンテンツが必要で、例えば日本の伝統文化や最先端テクノロジーもその一つになり得ます。
 都は、今年度調査を実施し、来年度予算ではナイトライフ観光振興助成金に三億円を計上しています。補助金頼みのイベントではなく、ナイトライフ観光の拠点をつくるべく、夜間帯の課題である移動手段の確保や治安向上の観点も検証しながら、短期だけでなく、中長期的な視点から、どれだけ稼ぐ力につながるかを見える化することが、さらなる投資を呼び込むことと考えます。
 新たに開始する助成事業においては、持続性、交通アクセス、経済波及効果等の観点を踏まえ、ナイトライフ観光を推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 平成二十七年三月に策定された東京文化ビジョンには、文化から東京の未来を切り開くという思いが込められています。
 文化の醸成には時間がかかり、文化の振興にはお金がかかります。今後、東京を世界のどこにもない文化都市にするために重要なのは、世界で活躍するアーティストやプロデューサー、そして世界の文化ファンを呼び込み続ける持続可能な文化振興のあり方を確立すること、そして文化に触れる裾野を広げるとともに、都民自身の文化に対する価値観を成熟させていくことです。
 文化に対する適切な対価は幾らかといった視点も含め、都民自身が文化を見る目を養うことが、東京に一流の文化的要素を集め、ひいては東京を世界から選ばれる文化都市へと成長させていくと考えます。
 長期的に二〇二〇年以降も世界から人を呼び込み続けていくためにも、海外の観光客やアーティスト等がこぞって東京を訪れたくなるような取り組みを推進していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 東京大改革の目的の一つに、東京の持続可能性を高めることがありますが、その中心となるのは人であり、人材育成は最も重要なテーマです。
 昨年、文科省がソサエティー五・〇に向けた人材育成を発表しましたが、AI等と共存していく社会の中では、これまでの一斉教育のみならず、個人の能力等に応じた学びの場や、異年齢、異学年集団での協働学習の必要性が述べられています。
 その実現のためには、個々の学習状況に見合った学びのポートフォリオの活用や、エドテックと呼ばれる新しいテクノロジーの活用が重要であり、技術革新と人材育成は切っても切れない関係になりつつあります。
 都は来年度、ソサエティー五・〇の実現に向けた有識者による検討会を設置するとのことです。次の時代の東京をより豊かにするためには、学校教育のみならず、より広い意味での人材育成が核となると考えます。
 この検討会においては、次の時代にどのような人材育成を進めるべきか、教育分野の有識者などを加えて、現場に即した議論をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 人材育成の中心となるのはやはり学校です。しかし、学校現場では、生徒や教員が抱える課題は、近年、多様化、複雑化の一途をたどっています。
 都ではこれまで、スクールサポートスタッフを配置し、教員の負担軽減を図るなどしてきましたが、教員の業務はいまだに膨大で、児童生徒に向き合う余裕を取り戻すためには、さらなる外部人材の活用が必要です。
 都では来年度、新財団を設立するとしており、この財団の機能の一つに多様な外部人材を安定的に供給することを挙げています。
 無所属東京みらいでは、調査会社を活用し、インターネット世論調査を実施した結果、学校に必要な外部人材について、都が一例として挙げている教員OB、地域の元気高齢者と並び、教員を目指す大学生も上位に挙がりました。また、稼ぐ力の向上には、教育の質の向上が重要であるとの結果も出ています。広く若者や大学生から、起業家、地場産業に従事する方々など、多様な人材が適材適所で活躍できる教育環境が求められています。
 教育の質の向上に当たり、広く多様な人材が教育に携わり、授業等への学習指導などにおいても、その知見を十分に発揮いただけるようにしていくべきであり、そのための仕組みづくりをするべきと考えます。教育長の見解を伺います。
 さて、私は常々、早く女性活躍という言葉がなくなってほしいと思っています。もう女性は家事に、子育てに、そして仕事に十分活躍していると考えます。
 都内の育児休業取得率は男性一二・三%、女性九三・九%です。男性の取得率はまだ少なく、その期間も短いのが現状です。
 女性に家事、育児の負担が大きい中で、真のダイバーシティー社会を実現し、女性が働き続けていくためには、男性の家事、育児への参画が必須で、ある意味、家事、育児での男性活躍が求められています。
 内閣府の調査によると、育児休業を取得した男性の方が、取得していない男性に比べて、家事、育児への参画がより一層進む傾向が見られます。また、男性の家事、育児参加の進んでいるスウェーデンは、一人当たりのGDPや出生率も上向きです。
 一方、男性の育休取得は、啓発レベルではなかなか根づかないように考えます。男性側が育休をとることに対して、社会全体ではまだまだ抵抗感が強いように感じていますが、男性の育休を一カ月義務化した企業のような先進事例もあり、一斉で始めることで、気兼ねなく育休を取得し、そのメリットを感じることができるはずです。
 私たちのインターネット世論調査では、男性の育休義務化について、七割を超える方が賛成とのことでした。
 都は今年度より、働くパパママ育休取得応援事業のパパコースで、男性の育休取得を推進していますが、なかなか取得が進んでいない現状もあります。男性の育休取得について、さらに取得を加速するための取り組みを行っていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 働き方の多様性は、雇用形態のみならず、休日、夜間など働く時間の多様性も生んでいます。医師、看護師、介護施設で働く方などの夜勤対応や、飲食店、商店やシフト勤務のサービス業など、多岐にわたります。
 都はこれまで、多様な保育を推進し、多様な働き方に応えてきましたが、休日や夜間帯はまだまだ手薄であり、潜在的なニーズがあると考えます。
 一方で、夜間帯の保育はこれまで、認可外施設が主な担い手で、二〇一七年十月の時点で午後十時以降に対応しているベビーホテルは、都内に五十七カ所あると聞いています。残念ながら、一部には行政の目が行き届かないがゆえに、保育の質が疑われるような事例も起きています。
 私は、夜間保育を行う認可保育所のうち、唯一深夜帯に保育を行っている認可保育所を視察しましたが、子供をただ預かるだけでなく、先生が共働きやひとり親家庭の親の悩みや課題に寄り添い、フォローするという姿勢がとても印象的でした。
 来年度、都では、夜間帯保育事業を新規に開始する予定ですが、その狙いと、都がこれまで行ってきた認証化移行支援事業も活用し、質の向上を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 本定例会には、東京都児童虐待防止条例案が提出されました。現在、国会では、児童福祉法の改正案の提出が議論され、両親などによる体罰禁止の規定をすることや、アドボケート制度構築の検討も盛り込むとされ、特に体罰禁止の対象は、親権を持つ両親のほか、子供への懲戒が法的に認められている児童福祉施設長や里親も検討されています。加えて、そもそも親が子を戒めることを認める民法の懲戒権の規定の削除も検討されており、国の動きが加速しています。
 児童虐待防止法では、何人も、児童の健全な成長のために、良好な家庭的環境及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならないと記されています。家庭内の虐待は、保護者からの体罰だけではありません。保護者自身も、同居人や交際相手のDVの被害者であることも多く、保護者に対する支援なくして体罰や虐待の防止は不可能です。また、民法で規定のない保育士等の児童虐待への対応が抜け落ちている点も憂慮すべきです。
 今般の条例案では、保護者に対し、体罰の禁止を明記していますが、体罰の禁止は、児童を取り巻くあらゆる構成員を対象とすべきと考えますが、国の動向も踏まえた都の見解を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森澤恭子議員の一般質問に一問お答えをいたします。
 稼ぐ力の強化についてでございます。
 人口減少とさらなる高齢化という二重のうねりが押し寄せて、国際的な都市間競争が熾烈をきわめる中で、東京、日本の明るい未来を切り開く、そのためには確かな成長を創出する稼ぐ力を強化するとともに、都市の活力の源泉であります人の力を高める必要がございます。
 そこで、平成三十一年度の予算案で、東京の稼ぐ力を高めるために、外国企業誘致の加速、東京の多彩な観光資源の活用を一層進めてまいります。民間のイノベーションを後押しし、ビッグデータやAIを初め、先端技術の活用や、世界から人と金を呼び込んで、東京の発展につながる新たな価値、富、資源を生み出す投資を積極的に行っております。
 発展の原動力となる人でありますが、力を存分に発揮できる環境をつくるために、テレワークの導入やICTの活用で、ライフワークバランスの充実などを進めてまいります。
 時代の潮流を踏まえながら、人の持つ無限の可能性を生かして、東京の稼ぐ力を育む、そのための施策を積極果敢に展開して、東京と日本の確かな成長へとつなげてまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 新財団による多様な人材の活用についてでございますが、新財団に設置する人材バンクでは、学校が必要とする多様な外部人材の情報を集約する必要がございます。
 そのため、財団スタッフの知見の活用に加え、企業や大学、学校を支援するNPO法人などの関係団体に対して緊密な連携を働きかけ、ネットワークを構築してまいります。
 これを活用した人材バンクが専門的に幅広い人材情報を学校に提供することで、個々の教員や学校における人材確保の負担を軽減してまいります。また、専門知識や特殊な技能を有した人材の紹介を行うことで、教育課題への対応を充実させてまいります。
 今後、新財団を利用する学校や区市町村教育委員会の意見等を踏まえつつ、人材バンクの取り組み内容を具体化し、学校教育の質の向上につなげてまいります。
〔政策企画局長梶原洋君登壇〕

○政策企画局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、先端事業普及モデル創出事業、いわゆるキングサーモンプロジェクトについてでありますが、東京の成長と社会課題解決の両立を図っていくためには、先端的な技術やサービスを有するスタートアップ企業を発掘した上で、集中的に支援し、育てていくことが重要でございます。
 そのため、本事業では、創業する多くの企業の中から、将来大きく成長することが期待できるスタートアップ企業を選定し、都政の現場を活用した技術やサービスの実証実験を支援することなどにより、社会課題の解決に資する先端事業を東京から生み出してまいります。
 こうした取り組みの過程や成果をモデル化し、広く展開することで、後続の起業家の輩出を促す起業のサイクルをつくり上げてまいります。
 次に、自動運転が経済社会に与える便益に関する調査分析についてでありますが、自動運転技術に対する都民や関係機関の理解を深め、これを活用した交通サービスの裾野を拡大していくためには、自動運転技術の実用化により得られるメリットを具体的に示していくことが重要でございます。
 このため、自動運転技術を活用した交通サービスが導入された際に実現する、職業ドライバーの不足解消といった社会課題の解決に係る効果や、住民や観光客などの交通利便性の向上に係る効果などについて、都独自の調査分析を実施いたします。
 この調査結果につきましては、都民向けの講演会のほか、民間事業者や他自治体等が参加する会議などで発表し、自動運転技術の実用化をさらに促進してまいります。
 最後に、ソサエティー五・〇の実現に向けた検討会についてでありますが、ソサエティー五・〇は、AIやビッグデータなどの第四次産業革命技術を活用した社会モデルであり、経済の発展と少子高齢化などの社会的課題の解決を同時に進めることを可能とするものでございます。
 そのため、来年度設置するソサエティー五・〇の実現に向けた有識者による検討会におきましては、東京の将来のあるべき姿や先端技術を活用した今後の施策展開の方向性などについて検討をしてまいります。
 検討に当たりましては、ご指摘の観点も含め、さまざまな分野の有識者や専門家等から多様な意見を伺うことで、実態に即した議論を行っていく予定でございます。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、ナイトライフ観光の推進についてでございますが、夜の時間帯は、さらなる活用を図ることで、旅行者の滞在時間の延長等による高い消費拡大の効果が期待されます。
 このため、都は、ライトアップ等を活用して、夜間の集客に結びつける地域の取り組みを支援するとともに、東京の観光公式サイト等により、夜間の観光情報の発信に取り組んでいるところでございます。
 来年度は、これらの充実に加え、年間を通じて実施する集客イベント等への支援を新たに開始し、さらなる観光資源の創出に取り組んでまいります。
 支援に当たりましては、集客目標の設定や、翌年度以降の事業継続に向けた計画の策定、地域の理解を得た取り組みとするための自治体の推薦を要件といたしますとともに、宿泊施設までのシャトルバスの運行等も対象にすることなどにより、今後のモデルとなる成功事例を生み出してまいります。
 次に、男性の育休取得促進についてでございますが、男性が育児休業を取得しやすい環境づくりを進めるためには、企業への働きかけを行うこととあわせて、社会全体の機運を高めていくことが重要でございます。
 そこで都は、今年度から、働くパパママ育休取得応援事業を開始し、男性従業員に育児休業を取得させる企業を支援しております。また、ライフ・ワーク・バランスEXPOや都の専用ウエブサイトなど、さまざまな場面で先進企業の事例等も紹介をしております。
 来年度は、男性の育休取得を促すPR動画を新たに作成し、トレインチャンネルや駅前の大型ビジョン等で放映いたしますとともに、広く都民を対象とした啓発イベントを開催いたします。
 こうした取り組みを多面的に展開し、男性の育休取得を促進してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 海外から観光客やアーティスト等を呼び込むための文化振興の取り組みについてでございますが、都はこれまで、六本木アートナイトや東京芸術祭など、世界で活躍する国内外のさまざまな芸術家の作品を鑑賞できるフェスティバルを行い、誰もが多彩な芸術文化に触れられる機会を提供してまいりました。
 来年度は、世界から注目されるフェスティバルとするため、六本木アートナイトでは、海外の有名アーティストを初めてメーンプログラムに起用するとともに、四回目となる東京芸術祭では、新進気鋭の演出家による演劇コンペティションを新たに開催いたします。
 今後も、世界にアピールできる取り組みを充実させ、都民はもとより、国内外からの来訪者やアーティストを引きつける文化都市東京を目指してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、夜間帯保育事業についてでございますが、現在、夜間帯の保育サービスは、主にベビーホテル等の認可外保育施設で行われております。
 都は来年度、保護者が夜間にも安心して保育サービスを利用できるよう、一定の質が担保されている認証保育所に対しまして、午後十時以降の運営費を支援する事業を創設いたします。
 また、今年度から、認可外保育施設が認証保育所に移行するに当たって必要となる改修費等を補助する事業を開始しており、質の向上に意欲的に取り組むベビーホテル等に対しまして、この事業の活用を働きかけてまいります。
 こうした取り組みにより、安心して利用できる夜間帯の保育サービスの整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、体罰等の禁止についてでありますが、体罰等は児童虐待にエスカレートする可能性のある行為であり、虐待行為そのものである場合もございます。また、医学的に、子供の脳の発達に深刻な影響を及ぼすこともあるとされております。
 しかし、日本では、しつけとしての体罰を容認する風潮もあり、子供が独立した人格と尊厳を持つ存在であるという考え方が、必ずしも浸透しているとはいえない状況にあると認識しております。
 今回提案した条例案では、子供の権利利益の擁護と健やかな成長のため、保護者による体罰等の禁止や、体罰等によらない子育てを推進する都の責務について盛り込んでおります。
 なお、都といたしましては、今後、国の議論も注視してまいります。

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