平成三十一年東京都議会会議録第五号

○議長(尾崎大介君) 十四番藤井とものり君。
〔十四番藤井とものり君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○十四番(藤井とものり君) 都議会立憲民主党・民主クラブの藤井とものりでございます。都議として初めての一般質問の機会となります。知事並びに理事者の誠意ある答弁を求めるものであります。
 一点目に、財政の長期計画について伺います。
 都は、今後二十五年間で、社会保障費は累計十・四兆円、社会資本ストックの維持更新経費は累計三・二兆円増加すると試算しております。人も都市インフラも急速に老いていくことの影響は甚大であり、現在の都税収入では到底賄い切れない水準にあるといえます。
 都は、将来がはっきりしないので計画はつくれないとの見解を示していますが、将来がはっきり見通せないからこそ、計画が必要であるはずでございます。改めて財政の長期計画をつくることを提案しますが、都の見解を伺います。
 二点目に、職員定数について伺います。
 平成三十年度現在、東京都には十六万八千百六人の職員がいます。都庁二十万人体制といわれた時代からは職員数は減少したものの、直近五年間で二千六百八十一人増加するなど、再び肥大化する傾向にあります。職種別でも、微減した公営企業を除き、一般行政職、教育、警察、消防と押しなべて増加しております。
 英国の政治学者パーキンソンは、役人の数は仕事に無関係に増加するという法則を世に提唱いたしました。競争原理にさらされていない役所の仕事は、職員一人でやるべき仕事を二人でやる、三人でやるということが往々にして起こりがちです。また、本来は民間や基礎自治体に任せるべき仕事であるにもかかわらず、行政が抱え込む原因にもなります。
 事実上の終身雇用制度を採用する公務員組織では、一人の職員を採用することは、四十年近く、年平均八百万円余の人件費を負担することにもなります。
 行政改革成功の要諦は職員定数の厳格な管理にありといわれますが、職員定数に対する都の見解を伺います。
 三点目に、監理団体改革について伺います。
 昨今、監理団体についても肥大化する傾向にあります。監理団体の職員数は、平成二十二年度の九千五百二十八人から平成三十年度一万二千三百四十五人へと増加しております。都は、監理団体を積極的に活用した結果と説明していますが、外形的には焼け太りとの印象はぬぐえません。
 監理団体に対しては、駐車場や不動産の管理など民間でできる仕事を独占し、民業を圧迫しているとの批判は絶えません。特に平成二十九年度、都と監理団体との間では、四百五十五件、千三百六十億円もの特命随意契約が締結されています。
 さらに、直近五年間で、課長級以上の退職者が監理団体に対して百四十九名再就職し、役員の約六割を都庁OBが占める、いわゆる天下りの問題もあります。
 特命随意契約と天下りは一体の問題であると考えますが、都の問題意識と改善策について見解を伺います。
 この項の最後に、今般の監理団体改革について伺います。
 水道サービスとPUCの統合は、団体の看板を一つにしただけで何ら実態は変わらないのではないか、教員の働き方改革を推進する団体の新設については、教育庁の天下り先をふやすだけではないか、率直に懸念しております。都民納得の監理団体改革を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 四点目に、二〇二〇改革プランについて伺います。
 当プランは、東京大改革を目指すという小池知事の思いを形にしたものですが、明らかに後退した感は否めません。当初は、工業用水道の廃止、電力事業の見直しに言及するなど、事業のあり方そのものに踏み込む提案がなされていましたが、いつの間にか、日常業務の改善レベルの話ばかりになってしまいました。
 工業用水道をめぐっては、賛否両論さまざまな議論がありましたが、改革を進めていこうとすれば必ず反発や批判が生じるものでもあります。既得権益の見直し、利権の一掃を諦め、改革を妥協してしまえば、都政は何も変わりません。
 改革が後退しているのではないかという私の懸念に対する知事の見解と、今後の対応について答弁を求めます。
 五点目に、待機児童問題について伺います。
 知事は、来年度末、二〇二〇年三月末までの待機児童ゼロを明言されていますが、果たしてゼロは実現可能な目標なのでしょうか。
 私の地元練馬区では、昨年の待機児童数を七十九名と公表しています。意外に少ないなと感じた方も多いと思いますが、区が定義する待機児童は非常に限定的なものにすぎず、認可保育所等に入れなかった子供のうち、認可外保育施設に預けられた子供や育休中の子供などは隠れ待機児童とされ、その八百九十九名は待機児童数には含まれません。
 さらに、初めから入園を諦めて申し込み自体を行っていない、見えない待機児童がその何倍も存在することが想定されます。待機児童は氷山の一角にも例えられますが、行政が行う対策は海上の氷を削り取る作業にすぎず、再び海面下の氷が浮上し、さらなる対策が必要になります。
 そこで伺いますが、隠れ待機児童、見えない待機児童を含めた潜在的な保育需要をどの程度であると見込んでいるのか、また、来年度末の待機児童ゼロ実現の見通しもあわせ、知事の見解を伺います。
 六点目に、幼児教育、保育無償化の影響について伺います。
 本年十月から、国による幼児教育、保育無償化が実施されます。主に三歳児からを対象とする無償化は、待機児童問題にさほど影響を与えないようにも思えます。しかし、無償になった三歳から預けようとしても、二歳から持ち上がる子供が多過ぎて入りにくいために、前倒しで動く人がふえることが想定されます。
 単純に、保育園がただになったのであれば、預けて働きたいと思われる方もふえるはずです。
 国に先駆け無償化を実施した兵庫県明石市では、結果、全国最多の待機児童数になりました。無償化よりも全入化を優先すべきであったのではないでしょうか。
 そもそも保育料の無償化は、保育園に預けられなかったご家庭にとってはメリットのない制度です。政治が子育て世代の歓心を得ようとして保育料を無償にした結果、保育園を利用したい人々が殺到し、待機児童がふえ、結果、困る人がふえるという、皮肉なことにもなりかねません。
 保育の無償化は、爆発的に保育需要を喚起する可能性も指摘されていますが、待機児童に与える影響と保育の受け皿づくりについて都の見解を伺います。
 また、都独自の取り組みとして、児童が二人以上いる世帯では第二子は利用者負担半額、第三子は無償化を予定していますが、保育需要に与える影響をどのように分析されているのか見解を伺い、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 藤井とものり議員の一般質問にお答えいたします。
 二〇二〇改革プランについてお尋ねがございました。
 二〇二〇改革につきましては、昨年四月、都政改革本部におきまして、各副知事をトップに推進部会を設置いたしまして、新たな体制のもとで仕事、見える化、仕組み、この三つの改革に着実に取り組んでおるものでございます。
 各局の主要事業の総点検を実施した見える化改革でも、職員にこれまで培われた改革マインドが発揮されて、民間活力の導入や事業の運営形態の見直しなど、これまで以上に踏み込んだ検討が行われております。
 また、先月、今年度の取り組み成果や新たな取り組みを追加いたしました二〇二〇改革プランの改定素案を公表いたしまして、現在パブコメを行っているところであり、三月末を目途に策定をする予定となっております。
 引き続き、都政改革アドバイザリー会議を通じまして外部の視点も取り入れながら、手綱を緩めることなく改革は推し進め、生産性の高い、筋肉質な都政を構築してまいります。
 もう一点、待機児童の解消に向けた取り組みについてお答えいたします。
 私は、ご指摘のように、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけておりまして、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱として保育サービスの拡充を図ってまいりました。
 都は、昨年度実施いたしました保育ニーズ実態調査の結果や、就学前の児童人口推計などに基づきまして、二〇一七年度からの三年間で保育サービスを六万人分拡充する目標を設定いたしております。
 この目標は、保育需要の伸びを見込みまして、二〇一九年度末の就学前児童人口に対して五二%が保育サービスを利用するため、必要な整備量を見積もったものでございます。
 引き続き、二〇一九年度末までの待機児童の解消に向けまして、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村の支援を努めてまいります。
 その他のご質問は、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 財政の長期計画の策定についてでございますが、都財政は、大規模災害や少子高齢、人口減少社会の到来、社会資本ストックの急速な老朽化への対応など、膨大な財政需要を抱えております。
 一方、歳入面では、都税収入が過去に一年で一兆円の減収をこうむるなど、景気の荒波に翻弄されやすく、地方交付税の不交付団体でもあるなど、不安定な構造にあり、長期的な収入の見通しを立てるに当たりましては、丁寧な検討、検証が不可欠でございます。
 都は、平成三十一年度予算におきましても、事業評価の取り組みにより無駄の排除を徹底するほか、基金、都債の計画的かつ戦略的な活用に努めるなど、中長期的視点に立った取り組みを進めており、引き続き社会構造の変化に適応し得る、持続可能な財政運営を行ってまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず職員定数についてでございますが、都ではこれまでも、徹底した事務事業の見直しや内部努力により、簡素で効率的な執行体制を構築し、職員定数の削減、抑制に努めてまいりました。
 平成二十六年度以降、児童生徒数の増や東京二〇二〇大会の開催に対応するため、職員定数は増加に転じているものの、人員の措置は必要最小限にとどめているものでございます。
 同時に、こうした行政需要の変化に柔軟に対応する一方で、既存体制を徹底して見直すとともに、東京二〇二〇大会後を見据え、任期付き職員の活用や採用数の抑制を行っているところでございます。
 引き続き、事業動向や職務内容等を精査し、職員定数を適正に管理してまいります。
 次に、監理団体への契約及び再就職についてでございますが、複雑化、高度化する都民ニーズに的確に対応していくためには、都のみならず都庁グループの一員である監理団体の活用が欠かせないものと認識しております。
 そのため、公的サービスの担い手として、都政との関連性が高い事業を担う監理団体に対しまして、事業の委託や都職員の推薦等を行っております。一方で、その妥当性や透明性の確保はもとより、社会情勢の変化に合わせた検証や見直しを不断に行っていくことが必要でございます。
 現在、業務委託のあり方を含めました、各団体の役割の再整理や、常勤役員に占める都関係者割合の見直しを進めております。
 今後とも、都が掲げる政策の実現に向けまして改革を進め、都庁グループ全体の機能強化を図ってまいります。
 最後に、監理団体改革についてでございますが、監理団体については、社会情勢の変化に応じ、団体が担うべき役割や機能等について常に見直しを図っていく必要がございます。こうした認識のもと、監理団体改革の実施方針に基づき、具体的な検討を進めてまいりました。
 その結果、団体常勤役員のポスト等を見直し、常勤役員に外部人材等の登用を促進していくとともに、全ての団体が経営情報のさらなる見える化や経営改革プランのブラッシュアップを図っていくことといたしました。
 また、水道事業を包括的に担うことができる体制の構築を目的とした水道局所管の二団体の統合や、教員の働き方改革を推進する団体の設立など、団体の統廃合、新設等を行ってまいります。
 今後とも、不断の見直しを進め、総合的な監理団体改革に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、幼児教育の無償化と保育需要についてでありますが、本年十月から開始となる国の幼児教育の無償化につきましては、三歳から五歳までの子供がいる全ての世帯及びゼロ歳から二歳までの子供がいる住民税非課税世帯が対象となっております。
 昨年四月現在の都内における待機児童数五千四百十四人のうち、ゼロ歳から二歳までの割合は全体の約九五%、三歳から五歳までは約五%となっておりまして、国の幼児教育の無償化が都の待機児童数に及ぼす影響は、限定的であると認識しております。
 引き続き、二〇一九年度末までの待機児童解消に向け、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
 次に、多子世帯の保育料軽減と保育需要についてでありますが、二〇一九年度までを計画期間とする東京都子供・子育て支援総合計画では、就学前児童の人口の約五二%が保育サービスを利用すると見込み、必要な整備量六万人を目標として設定してございます。
 都が新たに実施する多子世帯に対する保育料負担軽減は、子供を二人以上持ちたいと願う方が、希望どおり子供を産み育てられるよう支援することを目的としているものでございます。
 二〇二〇年度以降の保育サービスの利用見込みにつきましては、区市町村が地域の保育需要に基づき策定する計画を踏まえまして、二〇二四年度までを計画期間とする第二期東京都子供・子育て支援総合計画におきまして定める予定であるとしております。

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