平成三十一年東京都議会会議録第五号

○副議長(長橋桂一君) 二十番森口つかさ君。
〔二十番森口つかさ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○二十番(森口つかさ君) 私からは、行財政改革、防災対策の視点で質問をいたします。
 まず、都の組織改革について伺います。
 東京を取り巻く環境が変化をする中、主要課題を明確にし、効率的に都政を執行するべく、組織の再編を行うことは大変重要であります。
 都は、東京二〇二〇大会後、本格的な人口減少社会を迎えることから、東京の将来を見据えた組織改正に取り組むとのことであります。新たな組織のあり方について議論を重ねていくには、都の組織の成り立ちや現状、課題をしっかりと把握をし、未来へとつなげていくことが大変重要であります。
 かつて地方自治体は、組織の骨格である局の数が法律で定められ、組織の改正には国との協議が必要になるなど、厳しく管理がされてきました。
 現在は、地方分権のもと各自治体の判断で内部組織が編成できる一方、組織の簡素化、効率化、能率化の原則が基本とされていることは何ら変わりがなく、組織再編においては身を律していく姿勢が必要と考えます。
 都は来年度、喫緊の課題への迅速な対応として、戦略政策情報推進本部、住宅政策本部といった本部組織の設置を予定しております。
 議会に諮ることなく設置が可能ではありますが、局相当の組織を際限なくふやしていけるとすると、歯どめが必要と考えます。
 過去の大規模な組織改正の際には、行政改革の一環として、局の統合や事業所の廃止など、組織のスリム化、効率化に取り組んできました。将来、都税の減収が予想されている中、組織改正は少なくともスクラップ・アンド・ビルドを基本とするべきではないでしょうか。
 今後の都庁組織全体の見直しに当たっては、行政組織の効率化という観点をより一層重視すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 行政組織は、行政サービスを支える基盤であります。分掌事務や権限、責任が明確で、都民にわかりやすいことも重要と考えます。
 都の行政分野の基本的なくくりである局の所管する範囲も、時代の変化に伴い変わることが考えられます。
 過去の組織再編の際には、都民の声を参考にしたとも伺っております。都庁の組織に何が求められ、どう変わっていくべきか、専門家も含め多方面から意見が必要です。
 今後の大規模な組織再編に向けて、二〇一九年度中に有識者や都民からの意見を含めた検討を進め、東京二〇二〇大会終了後、速やかに実現するよう進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、市場会計について伺います。
 今回の築地跡地の有償所管がえにより、一般会計から約五千四百億円が市場会計に投入されます。
 これは一般会計が用地を取得する対価でありますが、そもそも市場会計は、みずからの収入でみずからの経費を賄う独立採算の公営企業会計であり、都の一般会計の資金を当てに経営を行うべきではありません。
 こうした中、市場の運営費についても、国の基準のもと、一般会計から市場会計に毎年数十億円もの資金が投入がされております。
 今後、市場会計の財務体質改善に向けて、経営計画の策定を行うとのことでありますが、あわせて、一般会計からの資金投入のあり方についても検討すべきと考えます。財務局長の見解を求めます。
 オリンピック・パラリンピックまで五百日余りとなります。大会期間中、この東京に訪れる一千万人の人々とともに、この東京は熱狂に包まれます。世界一のスポーツの祭典を通じて、この東京に住み暮らす大人も子供も、みずからの将来にさらなる夢と希望を抱き、家族の将来に新たな希望と夢を抱き、そして東京のさらなる発展を願うのではないでしょうか。
 東京二〇二〇大会にかかわるさまざまな取り組みや事業の記録について、貴重なレガシーとして、次の大会や東京の将来の発展に生かされるよう、引き継いでいくことは大変重要と考えます。
 都の取り組みはもちろん、大会運営を担う組織委員会に関しても、記録や資料についてその経費なども含め大会後も精査できるよう、適切に管理していく必要があります。
 組織委員会のさまざまな事業について、解散後も重要な資料が失われることのないよう、都からも求めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 一九九五年、阪神・淡路大震災の際、家屋の倒壊で私の兄は亡くなりました。
 東京の将来にわたる持続的な発展には、都民の命を守るセーフティー東京の実現が必要不可欠であります。
 ことし五月には、私の地元区である、ここ新宿にて世界の都市型災害への取り組みと、その課題が話し合われる国際会議が開催となります。
 東京二〇二〇大会のホストシティーとして、大都市における災害対策の重要性を世界に訴え、東京の防災力、災害対応力を世界に発信する大変重要な機会と考えますが、都市の防災フォーラムTokyoを開催する意義について知事の所見を伺います。
 災害時の非常用電源の確保について伺います。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、災害時における区市町村庁舎の非常用電源の重要性を訴えてまいりました。
 平成三十一年度予算案に整備がおくれている区市町村に対する支援が盛り込まれたことは大きな前進です。区市町村に対する専門家の派遣も、整備の後押しにつながります。
 既に実施された区市町村へのヒアリングの状況を踏まえ、区市町村の非常用電源の支援を一層進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨今の自然災害や東京二〇二〇大会開催を見据え、スピード感ある防災対策の推進が今求められています。
 都は、さまざまな災害対策について、都民へわかりやすく伝えるとともに、都民の自助、共助の推進を目的としたセーフシティ東京防災プランを策定し、その進捗を毎年報告をいたしております。
 都市型災害である阪神・淡路大震災において、倒壊した建物から救出された被災者の約八割は自助や共助によります。
 阪神・淡路大震災においては、私も家の下敷きとなり、地域の方々に助け出されました。
 東京においても、いつ発生してもおかしくない自然災害に対して、都民一人一人の防災意識の向上や自助、共助の推進が課題と考えます。
 都はこれまでも、防災ブックや防災アプリを作成するなど、広く普及啓発を進めてきましたが、自助、共助のさらなる推進には、よりきめ細やかな対象別の取り組みを進めていくことも重要と考えますが、都の見解を伺います。
 都民一人一人の災害に対する備えや災害時の的確な避難行動につながる有効な取り組みと期待されるのが、マイタイムラインの作成であります。
 都は来年度、学校教育や防災イベントを通じて、都民一人一人のタイムラインの作成の支援を行います。家族全員で災害に対する行動計画をつくり、みずからの生活に落とし込むことで、災害に対する備えや発災時の適切な行動につながると考えます。
 風水害に限らず、いつ発生するかわからない巨大地震や火災に対しても、都民一人一人の防災行動計画の作成を支援することで、災害、防災意識の向上や被害の軽減につながると考えますが、都の見解を伺います。
 都市の防災機能の強化には、無電柱化の取り組みが重要です。
 新年度予算案には、防災拠点につながり、防災に寄与する区市町村道の無電柱化に対する事業の補助率を上げるなど、区市町村への支援を拡充しております。
 今後も、都道はもとより、区市町村道を含めた都内全域における無電柱化を計画的に推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後の質問です。
 都市の防災機能の強化とともに、高齢者、障害者に配慮をした都市環境の整備は大変重要です。
 都は、昨年三月の予算特別委員会における我が党の締めくくり総括に対する答弁にて、今後、都道のバリアフリー化を進めていく上で、設計段階から、障害者や高齢者と意見交換を行い、きめ細かい道路のバリアフリー化事業を検討していくとのことでありましたが、現在の状況と今後の取り組みについて伺い、以上で私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森口つかさ議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の都庁組織全体の見直しについてのご指摘でございました。
 行政における組織とは、行政目標の達成に向けまして、経営資源を統合、活用するという、いわば行政運営の根幹をなすものでございまして、経営効率の観点は極めて重要でございます。
 都はこれまでも、行政改革を不断に進めて、類似事業の集約化や組織の再編統合等を行うことで、行政需要に的確に対応した簡素で効率的な執行体制を整備してきたところでございます。
 今回の本部設置等の組織改正に当たりましては、事業実施部門を強化しながら、局長級ポストの設置や、内部管理部門の定数措置を厳しく抑制したところでございます。
 東京二〇二〇大会後の組織全体のあり方につきましては、都庁組織の生産性を一層高めていけるように、スクラップ・アンド・ビルドを基本としながら、管理スパンや決定権限などのさまざまな観点から、効率的でかつ効果的な執行体制の構築に向けまして検討してまいります。
 二つ目、都市の防災フォーラムTokyoについてのお尋ねでございました。
 国連の報告によりますと、過去二十年間に自然災害による死者が百三十万人に上っている、そして被災による経済的損失は約三百三十兆円とされております。
 災害から住民の生命、財産を守るということは、世界の都市の首長が果たすべき大きな責任でございます。
 東京も、首都直下地震や大規模水害など、さまざまな自然災害のリスクに直面をいたしております。これに備えまして、災害に強いまちづくりや防災対策の充実など、セーフシティーの実現に向けて取り組んでおります東京で防災の国際会議を開催することは、大変意義のあることと考えております。
 さらに、この本会議は、G20に対しまして提言を行う、U20メイヤーズ・サミットとの同時開催になっておりまして、より多くの都市の参加を促しております。そして、防災や減災の取り組み、知見を直接共有することで、都市の連帯を高めまして、参加都市共通の財産としてまいります。
 また、会議の模様はインターネットを通じまして映像配信をいたすこととしておりまして、都民や世界の多くの方々の防災に対する意識の向上につなげてまいります。
 世界的に都市災害が一層頻発化、激甚化しております。その中で防災施策の充実を進める東京の安全性を実感していただくとともに、レジリエンスの強化に向けました施策を、それぞれの都市が着実に進めていく重要性を強く世界に訴えます、そんな機会としてまいりたいと考えております。
 残余のご質問は、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、無電柱化の計画的な推進についてでございますが、都は、東京二〇二〇大会を見据え、無電柱化をさらに推進するため、第七期の東京都無電柱化推進計画改定の素案を作成いたしまして、現在、都民から意見を募集しております。
 素案では、国道、都道、区市町村道合わせまして二百三十八キロメートルを加えまして、都内全体で千百五十四キロメートルを整備対象といたしました。
 特に、区市町村道の無電柱化につきましては、事業費を全額補助する無電柱化チャレンジ支援事業を引き続き活用いたしますとともに、頻発する自然災害に備えるため、防災に寄与する路線につきまして、補助率を四分の三から四分の四に引き上げ、財政負担を軽減することで、区市町村の取り組みを一層加速してまいります。
 こうした取り組みによりまして、都内全域での無電柱化を積極的に推進してまいります。
 次に、道路のバリアフリー化についてでございますが、都はこれまで、東京都福祉のまちづくり条例等に基づきまして、歩道の段差解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置等を進めております。これに加えまして、より利用者目線に立った、きめ細かいバリアフリー化を図るため、障害者団体等と連携した事業に取り組むことといたしました。
 平成三十年度は、モデル事業といたしまして、北区のJR浮間舟渡駅駅前広場を選定し、高齢者、障害者団体及び地元区等が参画した検討会を立ち上げまして、意見交換やまち歩き点検を実施しております。
 平成三十一年度には、障害者団体等からのさまざまな意見を検討会で調整し、これを設計に反映させまして、整備に着手いたします。
 今後は、このモデル事業で得た知見を生かし、きめ細かいバリアフリー化を進めまして、誰もが安全・安心、快適に利用できる歩行空間の整備に積極的に取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都庁組織の見直しについてでございますが、今後の都庁組織全体の見直しにおいては、社会情勢や都に求められる役割の変化を見据えつつ、中長期的な視点に立って幅広く検討することが重要でございます。
 平成十六年度には、大規模な条例局の再編案を含む行政改革プランの中間のまとめに関しまして、都民の意見を募集した例もございます。
 今後の見直しに向けましては、国、他自治体や民間企業の組織形態等も参考とし、二〇二〇改革プランの改定などとあわせまして、外部有識者や都民の意見を聞きながら検討を進めてまいります。
 来年度中をめどに、東京二〇二〇大会以降の組織全体のあり方について、その方向性を示してまいります。
 次に、区市町村への非常用電源の整備支援についてでございますが、災害対策本部が設置される庁舎の非常用電源の整備は、都が大規模災害時に応急対策を的確に行う上で極めて重要であることから、本年度より、継続稼働七十二時間未満の区市町村を主たる対象として補助制度を開始いたしました。
 一方、区市町村へのヒアリングを通じ、適切な設備の選択や設置スペースの確保等の課題解決に向けたノウハウが不足している現状も明らかとなったため、来年度は希望する自治体に専門家を派遣し、技術的助言を行ってまいります。
 具体的には、建築や電気の専門家が設備の状況や建物の構造等を確認して、各自治体の実態に即した改善プランを提示することにより、その後の整備へとつなげてまいります。
 今後とも、区市町村のニーズを一層丁寧に把握しつつ、都全体の災害対応力を強化してまいります。
 次に、自助、共助のさらなる推進についてでございますが、大規模災害への備えを強化するには、都民一人一人がみずからの命を守り、地域で助け合うことが必要であり、都はこれまで、「東京防災」の作成、配布などを通じて普及啓発を行ってまいりました。
 これに加え、今後は防災への取り組みが弱いといわれている子育て世代や女性、外国人などに主体的な防災行動を起こしてもらうため、対象者の特性に応じた普及啓発を展開してまいります。
 具体的には、子育て世代を対象としたイベントでの普及啓発の促進や、女性を対象とした地域や職場における防災人材の育成研修の充実、さらに防災アプリの多言語化の拡充による外国人への普及を進めてまいります。
 今後も、きめ細やかな普及啓発により、自助、共助の取り組みを積極的に推進してまいります。
 最後に、地震等に対する防災行動計画の作成支援についてでございますが、首都直下地震等の被害を最小限に抑えるには、都民が発災時に適切な行動をとることが重要でございます。
 このため、都は、発災時に起こり得る事態を想定いたしまして、平時から備蓄すべき水や食料等の品目や量、これに関しますチェックリスト、あるいは事前に確認した避難場所や避難経路、家族との連絡手段の確保等の対策を記載しまして、携行するためのメモなどを防災ブックや防災アプリ等を通じて都民に提供しております。
 今後も、防災訓練や防災イベント等を通じまして、こうしたリスト等の普及に努め、地震等の災害に対する都民一人一人の計画的な準備について支援をしてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 一般会計から市場会計への資金繰り入れについてでございますが、地方公営企業の経営に要する経費は、その収入をもって充てることが原則とされておりますが、一部の経費は、地方公営企業法に基づく基準により、一般会計からの繰入金を充てることが認められておりまして、この基準の範囲内で、毎年度、市場業者の指導や監督に要する経費などを繰り入れております。
 都における一般会計からの繰り入れは、市場会計の資金状況などを勘案し、継続的に見直し、抑制を図っておりまして、繰入金の割合は他自治体よりも低い水準となっております。
 独立採算を原則とする市場会計の持続可能性の確保に向けまして、今後も、市場経営のあり方や社会経済情勢の変化などを踏まえながら、経費負担のあり方について引き続き検証を重ねてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 東京二〇二〇組織委員会解散後の資料の取り扱いについてでありますが、都が経費を負担している共同実施事業に関しましては、都が内容を確認し、必要な文書を保存しております。
 また、組織委員会のさまざまな事業に係る資料については、法人として適切に保存していく必要があり、関係法令では、会計資料などの重要な資料は、解散後の清算の結了から十年間、清算人が保存することと定められております。
 このほか、開催都市契約等に基づき、組織委員会は、関係者と合意の上、さまざまな記録を保存し、将来に引き継ぐための計画を策定することとされており、現在、関係者間で協議を進めているところでございます。
 こうした取り組みを通じ、解散後におきましても、組織委員会の活動記録などの重要な資料が適正に保存され、貴重なレガシーとなりますよう働きかけてまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十七分休憩

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