平成三十一年東京都議会会議録第四号

○副議長(長橋桂一君) 五十一番大場やすのぶ君。
〔五十一番大場やすのぶ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○五十一番(大場やすのぶ君) 私が政治活動に身を投じましたのは、平成七年でございます。
 この平成という一つの時代を通じまして、私は一貫して、子供の安心、暮らしの安心、老後の安心の三つの安心を区民、都民のために追求し、実現することを政治信条としてまいりました。
 本日は、その視点からの一般質問を小池知事初め関係局長にさせていただきます。
 初めに、子供の安心についてお尋ねします。
 ここ数年、まちでお母さんやお父さん、おばあちゃんやおじいちゃんから、子供の風疹やはしかに対する強い不安の声を耳にいたします。特に、風疹につきましては、都内でも多くの患者発生が報告されています。
 さらに、この九月から開催されるラグビーワールドカップなどにより、日本を訪れる外国人が一層増加することが見込まれていることから、海外で流行する感染症が国内に侵入するリスクが高まることが危惧されます。
 都は、万全の体制で感染症対策に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、先月、たまたま新聞記事で、運動を小学校の学習に取り入れるというフィンランドの取り組みに接しました。軽い体操により脳を活性化する、子供が椅子に座る時間を減らして、身体活動の時間をふやし、脳にもよい影響を与える、記憶力を増進するなどでした。
 東京においても、来年のオリンピック・パラリンピック開催を契機として、将来の日本の宝である子供たちに何かプラスとなること、何がしかの身体活動によって児童の成長を促すようなことを小学校教育でも採用していくべきと考えます。見解をお伺いいたします。
 次に、暮らしの安心についてお尋ねします。
 近年の異常気象に伴う集中豪雨などによりまして、日本全国において、斜面の崩落による道路の通行どめなどの被害が見られています。
 多摩の山間部や島しょ地域の都道は、地域の方々の暮らしや経済活動を支える重要な社会基盤でありますが、急峻な地形を通っていることから、一たび災害が発生した場合、通行どめなどによる日常生活への影響が甚大になるだけでなく、孤立集落の発生を招くおそれもあります。
 これまで都は、これらの被害を未然に防ぐために、状況に応じて山岳道路斜面にさまざまな防災対策を講じてきております。しかしながら、過去には、モルタルにより一度対策をした斜面が崩壊したこともあると聞いております。
 このため、こうした斜面において、経年劣化対策を適切に行うことが極めて重要であると考えますが、これまでの取り組みと今後の対応について都の所見を伺います。
 続きまして、首都圏三環状道路の一つである外環道につきまして、知事にお尋ねいたします。
 交通渋滞の解消や、迅速かつ円滑な物流に資するとともに、災害時に救命、復旧活動を支える道路となるなど、都が国際都市として成長し防災力を高める上で、外環道は大変重要な高速道路でございます。
 昨年六月には、その千葉区間が開通し、東関道から関越道までの四つの放射道路が外環道で結ばれ、首都高速中央環状線の交通量が東側で約一割減少するなど、整備効果が発揮されております。都内の関越─東名間についても、早期整備に向け着実に事業を進めていく必要があります。東名─湾岸道路間については、ルート等が未定であり、早期の計画具体化が必要といわれております。
 私は、地元への十分な説明を行った上で、その理解と協力のもと、外環道の早期整備に向け、都は積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 都民の暮らしを支える産業、その中核的役割を果たしているのは中小企業であるということは、今この議場にいらっしゃる全ての皆さんの共通認識でありましょう。
 しかしながら、深刻な人手不足や受注の低迷などにより、中小企業を取り巻く経営環境は厳しい局面が続いております。
 そうした状況を乗り越えるため、生産性の向上や売り上げの拡大等に取り組む必要がありますが、経営資源の乏しい中小企業が、みずからの力だけで自社の抱える問題の所在やそれを解決する術を見出すことは容易ではありません。
 そこで、都は、中小企業に対して、知見の豊富な外部の専門家を活用した経営支援の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 中小企業が安定した経営を続けていくためには、一層の技術力の向上や新たな販売ルートの確立も重要ですが、これらに要する費用負担が重いことが課題となっています。
 都は、下請中小企業向けの補助制度のほか、展示会への出展費用の支援などを実施してきており、これらの事業拡充や継続には大きな期待が寄せられています。都の三十一年度の取り組みについて伺います。
 三番目に、老後の安心の確保についてお聞かせいただきたいと思います。
 高齢化の進展に伴い、認知症高齢者への対策は、行政にとって喫緊の課題とされてきております。私の地元であります世田谷区におきましては、見守り、または支援の必要な認知症高齢者の方の割合は、ここ五年は一一%から一二%の範囲の中で推移しておりまして、今後、高齢化率は横ばいながらも、認知症高齢者は増加していくという推計もございます。
 東京都全体では、見守り、または支援の必要な認知症高齢者の数は、二〇二五年には約四十二万人となると見込まれております。こうした中、認知症になっても、住みなれた場所で、必要な医療や介護などを受けながら住み続けられるようにしていくことが重要です。
 都は、地域において認知症の専門医療を提供できる体制を確保するとともに、医療と介護の連携を推進するため、認知症疾患医療センターの整備を進めています。
 地域において、連携の推進役となる認知症疾患医療センターの取り組みは大変重要なものであると考えますが、見解を伺います。
 また、六十歳未満の、いわゆる現役世代で発症する若年性認知症になられる方もいらっしゃいます。仕事や子育てに現役で取り組んでいる中での発症となり、ご本人やご家族が受ける心理的な影響ははかり知れないものであります。
 さらに、生活費や子供の教育費などが多くかかる時期に経済的な問題に直面するといった、高齢期に発症する認知症とは異なるさまざまな問題を抱えています。
 そのような若年性認知症の人への支援の充実も必要と考えますが、平成三十一年度の取り組みと方向性についてお尋ねいたします。
 なお、先ほど指摘いたしました軽い体操などは、日常的に行いますと脳への刺激となり、記憶力の維持向上には大層効果的であるとの研究もあるようで、子供だけではなく大人にも有効なのではないかと考えております。
 また、認知症高齢者が徘回等により鉄道事故などに巻き込まれ、その結果、残されたご家族が多額の賠償金の負担を求められるということがありました。神戸市では、認知症事故救済制度を本年四月から導入するとのことで、都内自治体でも検討を始める動きがあるようです。
 都において、今すぐに同じように導入することが望ましいとまでは考えませんが、将来的には大きな課題となる可能性があると指摘させていただきます。
 最後に、リーダーシップについてお尋ねいたします。
 世田谷区では、無責任きわまりない現区長により、九十万区政が停滞しています。ふるさと納税による減収が四十億円ともいわれ、区の自主財源が大きく削られていることについて、ツイッターなどできれいごとばかり述べていながら、その行動には何ら実行力を伴っておりません。
 二カ月もしますと統一地方選挙を迎えますが、私も一区民といたしましては、責任を全く果たせていない現区長には、とても区政を任せられない現状です。
 私は、住民にとって最も身近な基礎的自治体においては、責任ある政党との強いパイプを持つ人物こそが、首長としての任を担うべきと考えます。知事は、国政第一党である我が自由民主党の幹事長と大変お親しいと聞いておりますが、見解を伺います。
 先般、知事が任命した特別秘書がほとんど都庁舎に姿を見せていないとの週刊誌報道がありました。
 ほとんどなのか、全くなのか、今もないのか、私自身は確認しようがありませんが、事実だとすると、ゆゆしき問題です。
 かつて、我が党に所属していたころと違い、全身全霊で都民のために尽くすべき責務を怠っています。そのような特別職に都民のお金が使われていることが、ワイズスペンディングなのでしょうか。
 当初は、私もその方向性に賛同しておりました東京大改革を掲げられた小池知事ですが、結果的には多くの都民の期待を裏切っているのではないでしょうか。ご認識をお伺いいたしまして、平成最後の定例会における私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、外環の整備推進についてのご質問ございました。
 国及び高速道路会社が整備を進めているのが外環の工事でございます。経済の血液ともいうべき人と物の流れをスムーズにして、国際競争力の強化を図るとともに、首都直下地震など災害時の避難、救急活動のルートを確保するなど、極めて重要な道路でございます。
 都内の関越─東名間につきましては、東名側に続いて、先月、私も式典に出席をいたしまして、関越側からもシールドマシンが発進をいたしました。つまり、全線で工事が本格化しているというところでございます。
 今後とも、工事の安全を最優先にいたしまして、一日も早い開通を国に求めるとともに、都といたしましても受託いたしております青梅街道のインターチェンジの用地取得を推進するなど、積極的に支援をしてまいります。
 残る東名─湾岸道路間でございますが、首都圏三環状道路のいわば総仕上げの区間でございます。計画の早期具体化に向けまして、引き続き国や関係機関とともに取り組んでまいります。
 次に、自治体の首長についてのお尋ねがございました。
 各自治体において、誰が首長としてふさわしいか、それぞれの地域にお住まいの有権者の皆様お一人お一人の総合的な判断によるものだと考えております。
 特別秘書についてのご質問がございました。
 地方公務員法上の特別職として、場所、時間を問わず都政の運営全般について知事を補佐するというのが特別秘書でございます。現在任命しておりますのが二人おりまして、いずれも私を補佐し、都民の皆様のためにその職責を果たしている、このように認識をいたしております。
 二階幹事長とは、長年親しくさせていただいております。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 児童の成長を促す身体活動の取り組みについてでございますが、体力は、知力や気力の源であり、幼少時から基本的な生活習慣を身につけるとともに、運動に親しむ習慣を育むことは重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、平成二十八年度から三年間、小学校二十校をアクティブライフ研究校に指定し、食育の一環として、よくかむことで脳の働きを活性化させる取り組みや、休み時間における運動遊びの習慣づくりなど、相乗的な効果を狙った教育活動の推進を図ってまいりました。
 研究校では、学習意欲や体力の向上が見られ、こうした取り組みや成果を報告会や実践事例集を通して全都に周知したところでございます。
 今後、全公立小学校を研究実践校に指定し、学校の実態に応じて運動に親しみ、心と体の成長を促す取り組みを一層推進し、東京二〇二〇大会のレガシーにつなげてまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 山岳道路の安全対策についてでございますが、多摩山間部や島しょ地域の山岳道路では、斜面の崩落や落石などによる通行どめや孤立集落の発生などの被害を未然に防ぐため、道路斜面の安全対策は重要でございます。
 都はこれまで、落石防護ネットの設置など、道路の安全対策を適宜進めるとともに、石積み擁壁やモルタル吹きつけ斜面の経年劣化対策を平成三十年度中に完了させるなど、道路災害防除事業に継続的に取り組んでまいりました。
 さらに、地中に設置されているため健全性が把握されにくいグラウンドアンカーにつきましても、経年劣化の調査を進めておりまして、今後、機能低下が確認された箇所から、予防的な措置として、順次対策工事に着手してまいります。
 引き続き、道路災害防除事業を全力で推進し、多摩山間部、島しょ地域の安全・安心の確保に努めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症対策についてでありますが、都は、法に基づく感染症発生動向調査を実施し、地域別に感染症の発生状況を分析いたしまして、これをもとに広く都民に流行状況や予防策等の情報を発信しております。
 また、海外渡航者や訪日外国人等に対しまして、注意喚起や発症した場合の対応等の周知を行っているところでございます。
 さらに、中東呼吸器症候群など、これまで国内で発生していない感染症につきまして、都独自のサーベイランスを実施し、発生時に迅速に対応する体制を構築しております。
 来年度からは、感染症の診療経験が豊富な医師や感染症対策の専門家を感染症対策アドバイザーとして委嘱し、感染症の発生時等に、迅速的確に対応できるよう技術的助言を得られる体制を整備いたしまして、感染症への備えに万全を期してまいります。
 次に、認知症疾患医療センターにおける地域連携の取り組みについてでありますが、都が二次保健医療圏ごとに設置いたしました地域拠点型のセンターでは、医療、介護従事者等に対する研修を実施するほか、地区医師会や地域包括支援センター、区市町村等で構成する連携協議会を開催し、地域で認知症の人を支えるための人材育成やネットワークの構築に取り組んでおります。区市町村ごとに設置した地域連携型のセンターは、この協議会に出席するとともに、地域の関係機関や家族介護者の会等との連携を図っております。
 来年度からは、全てのセンターにおきまして、認知症の人や家族介護者等を専門職がサポートする取り組みを実施するとともに、拠点型に加え、連携型のセンターにおきましても多職種による事例検討会などを通じまして人材育成に取り組むなど、医療と介護の連携を推進してまいります。
 最後に、若年性認知症の人への支援についてでありますが、若年性認知症は働き盛りの世代が発症することから、都は、医療や介護だけでなく、就労の継続など多岐にわたる相談にワンストップで対応する若年性認知症総合支援センターを区部と多摩の二カ所に設置し、本人や家族の状況に応じた支援を行っております。
 また、地域包括支援センターの職員等を対象に、知識や技術の習得に向けた実践的な研修を行い、身近な地域での対応力の向上を図っているところでございます。
 来年度は、新たに介護事業者等が若年性認知症の特性を踏まえた支援ができるよう、マニュアルを作成することとしております。
 また、職場の理解を深め、若年性認知症の方が働き続けられるよう、企業の人事労務担当者を対象にセミナーを開催するなど、その支援の充実を図ってまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の課題解決に向けた支援についてでございますが、中小企業の発展を図るためには、経営上の課題に関する気づきを促すとともに、その解決に向け効果的で継続的な取り組みが進むよう支援を行うことが重要でございます。
 都はこれまで、商工会議所等と連携し、専門家が会社に出向き経営診断を行い、それを踏まえた事業改善の計画づくり等へのサポートを行ってきたところでございます。
 新年度からは、経営上の課題について、生産性の向上のほか人材の確保や販路開拓を重点テーマとして診断を行ってまいります。
 また、経営の改善に向け作成した計画をより効果的に実現できるよう、専門家がフォローを行う新たな仕組みを導入いたします。
 こうした取り組みにより、中小企業の経営力の向上を的確に後押ししてまいります。
 次に、中小企業の経営の発展に向けた支援についてでございますが、東京の経済の持続的な成長を図るためには、中小企業がすぐれた製品等を生み出す技術力を高めるとともに、新しい販路を開拓する取り組みをサポートすることが必要でございます。
 都は、中小企業がより多くの受注を確保できるよう、製品やサービスの高度化等に向け、技術開発に取り組む際の経費に対し助成を行っております。
 こうした支援へのニーズが高いことから、新年度には助成規模の拡充を図ってまいります。
 また、都では、中小企業の販路開拓を支援するため、展示会への出展費用に対し補助を行っております。取引先をふやすためには、インターネット上でPRを行うことが不可欠でございまして、今後は、展示会の出展助成を受ける企業に対して、ウエブサイトの作成コストにも補助を実施いたします。
 これらにより、中小企業への支援を進めてまいります。

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