平成三十一年東京都議会会議録第三号

   午後八時十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十五番清水ひで子さん。
〔百二十五番清水ひで子君登壇〕

○百二十五番(清水ひで子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、築地市場の跡地をめぐる問題です。
 この問題をめぐり、今定例会は波乱の幕あけになりました。財政委員会は、強引な委員会運営が繰り返され、休会に次ぐ休会が続きました。財政委員会も経済・港湾委員会も、議案の事前説明も資料要求もできないまま開会日を迎えました。
 開会日の議会運営委員会理事会は、与党の二会派が理由もいわずに出席を拒み、長時間の空転が続きました。開会は、多くの傍聴者を待たせたままおくれにおくれ、日をまたいで、閉会したのは夜中の二時でした。
 都議会の混乱を招いたそもそもの原因は、築地市場跡地をめぐる小池知事の対応にあります。知事は混乱の原因をつくったみずからの責任を自覚していますか。
 知事は、一昨年の都議選の告示三日前、六月二十日に、市場移転問題の基本方針を発表しました。その中で小池知事は、築地は守ると明言し、市場としての機能を確保する、新たな市場として東京を牽引する一大拠点とする、事業者が築地に復帰する際のお手伝いはさせてもらうという発言を繰り返しました。
 東京新聞は社説で、このときの発言は実質的に選挙公約だと指摘しています。
 ところが、知事がことし一月二十三日に発表した築地のまちづくり方針素案では、基本方針での知事の言明がことごとく覆されています。
 東京新聞の社説は、これでは話が違う、非があれば認めて丁寧に説明するのは最低限の義務だと書きました。
 朝日新聞の社説は、一昨年の基本方針のときの発言は、今なお公式に撤回されていない、方針を変えたのであれば変えたとはっきり認め、理由を丁寧に説明し、理解を得るのが筋だと書きました。
 知事は、二つの社説による厳しい批判をどう受けとめていますか。
 築地は守るという公約を知事が投げ捨てた問題について、我が党は、繰り返しただしてきました。しかし、知事は、非を認めず、言を左右にしてごまかしてきました。もはや、そういう態度は許されません。
 実際のところ、一昨年の都議選投票日から十九日後の七月二十一日に開かれた市場移転問題に関する関係局長会議で、知事が早くも、事実上、築地は守るの公約を撤回したことは明白です。知事、その事実をはっきり認めるべきです。いかがですか。
 築地市場の跡地を市場会計から一般会計が買い取る有償所管がえの予算五千六百億円を、今年度最終補正予算案に計上したのも納得できません。金額が大きい上、この間、都政を揺るがせてきた市場移転についての知事の公約に深くかかわる問題です。
 それにもかかわらず、知事は、基本的に予算特別委員会に付託されず都議会の審議時間が十分とれない今年度最終補正予算案に、あえて有償所管がえ予算を計上したのではありませんか。都民と都議会への説明責任を軽視したといわれて仕方ないと思いますが、知事、いかがですか。
 一昨年六月の基本方針の会見で、知事は、税金を新たに投入することのないような方策を検討させたと述べていました。この点でも、公約違反ではありませんか。
 五千六百億円の予算の根拠となる築地市場跡地の土地鑑定書が公表されていないことも重大な問題です。
 我が党は、一月に土地鑑定書の情報開示請求をしましたが、都議会閉会日の三月二十八日まで開示を二カ月も延長する、小池知事名の通知が届きました。知事、議会終了まで情報を隠そうという意図的な情報隠しではありませんか。土地鑑定評価書は予算審議に必要不可欠です。速やかに都議会に提出すべきです。いかがですか。
 我が党の代表質問に知事は、築地の再開発については、仲卸業者の要望等を踏まえながら検討すると答弁していました。しかし、築地まちづくり方針素案をまとめるに当たり、仲卸業者の要望を踏まえた形跡はありません。
 朝日新聞の社説は、築地を育ててきた業者や住民の声も取り入れて構想を詰めなければ、この先、よいまちづくりは期待できない、不実な政治姿勢は、築地開発の行方だけでなく、都政運営全般にも影を落とすと肝に銘じるべきだと指摘しています。
 不実な政治姿勢は都政運営全般にも影を落とすという指摘を知事はどう受けとめていますか。厳しく反省すべきと思いますが、いかがですか。
 素案発表後にパブリックコメントをしているからよいというものではありません。築地市場の解体工事は速やかに中止し、仲卸業者を初め、築地を育ててきた業者や住民の声を十分に取り入れて、築地まちづくり方針素案を一からつくり直すべきです。知事の答弁を求めます。
 日本共産党都議団は、中央区議団とともに、築地の場外で商売をしている方々へのアンケート活動を行いました。
 その中で、築地のまちづくりについて、自分たちの意見も聞いてほしいという要望がありました。砂漠で商売しているようだ、売り上げが二割から三割減って、豊洲市場も築地も共倒れしそうだとの不安も寄せられました。知事、場外の人たちの要望も踏まえることを求めますが、いかがですか。
 豊洲市場の地下水調査について、専門家会議にかわって検証を行うことになった豊洲市場における地下水等管理に関する協議会は、地下水を毎月調査から、三カ月に一回の調査に減らすことを決めてしまいました。とんでもないことです。
 協議会の専門家は、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できない、市場の運営に支障はないとしていますが、その根拠は極めて不明確です。
 昨年十一月、十二月、ことし一月の地下水調査で、最大で環境基準の百三十倍のベンゼンが検出されています。環境基準を超えた調査箇所は、これまでよりふえています。環境基準では出てはならないシアンも依然検出されています。
 このような状況で調査を減らすことは許されません。毎月調査を行うべきです。知事の答弁を求めます。
 協議会の専門家三人のうち二人は、失敗して追加対策工事が必要になった地下水管理システムを日水コンが設計したときに、日水コンに対する都の技術アドバイザーをしていました。そのうち一人は、地下水管理システムが稼働する直前、すばらしいものができた、世界中に胸を張って宣伝すべきだと天まで持ち上げていました。
 東京都は、地下水管理システムが順調に機能することで、地下水がいずれ浄化されるだろうと説明しています。地下水管理システムの利害関係者が、地下水モニタリングの検証を担当するのは適切ではありません。第三者の立場の専門家による検証を行うべきです。知事、いかがですか。
 二〇二〇年東京五輪招致をめぐる疑惑と膨れ上がる大会関連経費について質問します。
 知事が施政方針で、五輪開催の根本にかかわる贈賄疑惑にも、知事の公約である経費の縮減、透明化にも一言も触れなかったことは重大です。
 贈賄疑惑は、招致に向け、アフリカのIOCメンバーの支持を取りつけるために、竹田恆和、当時の招致委員会理事長が裏取引にかかわったという疑惑です。
 招致委員会は、五輪の東京開催が決まった二〇一三年九月の前後二回にわたり、シンガポールのコンサルタント会社の口座に計二億三千万円を振り込み、それが当時IOC委員で国際陸連前会長のラミン・ディアク氏とその息子に流れて、五輪招致の集票資金に使われた可能性があるとされています。
 ことし二月八日付の都政新報は、世界から金が買った五輪なのではとの疑惑が持たれている、政府も都も問題発覚から三年近くも放置し続け、疑惑を払拭する努力を示さないのだから、国際的に汚職があったと見られてしまうのは仕方がないと指摘しています。
 さらに、小池知事は一月十八日の記者会見で、とても心配している、さあこれからだといったときにかなり残念だと、まるで人ごとのようなコメントをしている、都は、五輪の開催都市であり事実上の主催者である、それにもかかわらず事実関係を究明しようとしない姿勢は理解に苦しむと書いています。
 的確な批判だと思いますが、知事はどう受けとめていますか。
 二〇一一年九月の我が党の代表質問に対し、当時の石原知事は、五輪招致について、とにかく裏の裏の裏があるどろどろしたもので、きれいごとでは勝てないと答弁しています。
 また、同年八月には新聞紙上で、招致を成功させる決め手はと問われたら、それはわけのわからない金をつくることですよと発言しています。
 当時の知事によるこのような発言が、手段を選ばない招致活動につながった可能性があります。知事、そう思いませんか。
 開催都市の知事として、招致委員会が振り込んだ二億円余が誰に流れ、どのように使われたのか、ブラックボックスの状態を放置することは許されません。当時の知事、副知事を初め、関係職員から状況を聞くなど、真相解明の努力をすべきです。知事、いかがですか。
 小池知事が編成した新年度予算案では、東京二〇二〇大会経費と関連経費で五千三百三十億円、今年度の二倍にもなっています。
 組織委員会との共同実施事業は、二〇二〇年までに四千五十億円もの公金が投入されるにもかかわらず、中身は極めて不透明です。昨年末の経費の精査でも、何と五十億円単位の増減しか公表されていません。これほどの丼勘定は聞いたことがありません。
 知事、現状のままでよいと思っているのですか。少なくとも、新年度予算案で、千五百九十三億円の都財政が投入される共同実施事業の内訳を詳細に明らかにすべきです。いかがですか。
 組織委員会は、共同実施事業のパートナー企業との契約金額は公表しないという守秘義務の契約をしています。そのため、巨額な税金が投入されているのに何に使われたのかわかりません。今のままパートナー企業との契約金額を公開できないなら、共同実施事業の契約金額のかなりの部分が非公開ということになってしまいます。
 都は、契約後の公開を求めていますが、組織委員会はパートナー企業と調整中として、いまだ公開に至っていません。
 都民の貴重な税金が、どこに、何のために、幾ら投入され、どう使われたのか明らかにされないのであれば、公金を投入することは許されないと思いますが、知事の認識を伺います。
 新国立競技場整備は、本来、国が責任を負うべきであるにもかかわらず、三百九十五億円もの都負担を新年度予算案に計上したことは認められません。
 その上、公益財団法人の日本武道館改修費まで、国負担以上の二十五億四千万円を都が負担するのも納得できません。知事の見解を伺います。
 組織委員会は、開会式、閉会式にかかる費用が、これまでの九十一億円から百三十億円に膨らむことを公表しました。それに対して知事は、一定の負担はし、組織委員会とも協議するといいました。
 一定の負担とはどういうことですか。大会の諸行事のために、既に都が負担することになっている四十億円の枠内で支出するのですか。また、幾らを想定しての発言ですか。知事、明らかにしてください。
 あれもこれも都が負担して、中身も不明確というのでは、大会経費の縮減、透明化という知事の公約に反しているのではありませんか。この知事の公約は今どうなっているのですか。守る気があるのですか。
 持続可能なオリンピック・パラリンピックとして成功させるために、さらなる経費縮減と透明化が必要です。そして、国と組織委員会に応分の負担をするよう、広く都民にも訴えて強く働きかけるべきです。知事の見解を伺います。
 次に、切実な都民要望の実現について質問します。まず、高齢者福祉です。
 舛添都政最後の二〇一六年度予算と二〇一九年度予算案を比べると、保育予算は倍増している一方、高齢福祉費の伸びは一・一倍にとどまります。高齢者人口は急速にふえていることもあり、高齢者一人当たりの高齢福祉費は、二〇一六年度の一万二千七百円から二〇一八年度は一万千六百円に減っています。
 知事は、施政方針で、世界に類を見ない規模と速度で進む高齢化への対策は待ったなしだと表明しました。そのためには、高齢者福祉に光を当てて、予算を思い切ってふやし、高齢者施策を抜本的に拡充していくことが必要です。知事の認識と対応を伺います。
 石原元知事は、知事に就任した直後、何がぜいたくかといえば、まず福祉だと公言し、老人医療費助成や老人福祉手当の廃止、シルバーパス全面有料化など、高齢者福祉を次々切り捨てました。
 高齢者一人当たりの老人福祉費は、石原都政以前に全国一位だったのが、三十位まで低下しました。決算総額に占める老人福祉費の割合は、全国二位から最下位の四十七位になりました。今大きく落ち込んだところからの回復の途上です。思い切った増額、拡充を求めるものです。
 特別養護老人ホームの増設はとりわけ切実な課題です。しかし、整備のテンポは保育園のようには引き上がらず、新年度の特養ホーム整備費補助の予算は、今年度に比べ八十四億円、三四%もの減額となっています。
 保育園は、小池知事が二〇一六年九月に公表した緊急対策と補正予算が増設に向けた新たな契機になりました。特養ホームについても、用地の確保、人材の確保、定着、利用者支援などを具体化した緊急対策を明らかにし、東京都の姿勢をはっきり示すことが必要です。知事の見解を伺います。
 公共工事設計労務単価は上がるのに、新年度予算案で、特養ホームの整備費補助の単価は上がっていません。少なくとも、設計労務単価の引き上げに合わせて改善すべきです。いかがですか。
 認知症対策も切実な課題です。都が健康長寿医療センターに委託して、UR高島平団地で行った調査によると、認知症の状態にある高齢者のうち五割以上が、必要な介護保険サービスを利用しておらず、医師の診断や生活支援、家族支援などの社会資源が確保されていないことが明らかになりました。
 一方で、認知機能の低下した高齢者は、経済的困窮や社会的孤立、身体的、精神的な健康状態の悪化など、複合的な困難を抱えていることが報告されています。
 知事は、認知症の高齢者をめぐるこうした実態をどう認識していますか、総合的な支援の拡充が必要です。どう取り組むのですか。
 世界的な認知症対策の先進地スコットランドの大学では、認知症の方が生活しやすい建物や、地域のデザインについての研究が進んでいます。建物や地域のデザインの工夫で、認知症の高齢者が安心して生活し、外出を楽しめるようになり、自立心や自尊心を大きく高めることに役立っています。
 このような世界的な研究の到達点を、東京の現状を踏まえた上で、福祉のまちづくりなどに生かしていくことが重要だと思います。いかがですか。
 七十歳以上の高齢者の半数は、加齢性の難聴と推定されています。難聴になると、家庭の中でも社会的にも孤立しやすく、人との会話や人と会う機会が減り、ひきこもりやすくなります。認知症との関連も指摘されています。
 知事は、昨年の予算特別委員会で、聞こえのバリアフリーに取り組むと答弁しました。高齢者に対する聞こえの支援の重要性をどう認識し、対策を進めるのですか。
 日本補聴器工業会の調査によると、日本では、欧米諸国と比べて補聴器の普及が大きく立ちおくれています。工業会から話を伺いましたが、経済的な負担の重いことが最大の原因だとのことでした。
 補聴器の利用により生活の質が向上します。また専門医の診断を受け、できるだけ早期に利用を始めることが効果的です。補聴器購入費助成など、利用促進対策の拡充を提案するものです。いかがですか。
 次に、都民の四人に一人が加入している国民健康保険料の負担軽減です。
 国民健康保険の加入者の多くは、年金生活の高齢者、中小零細業者、低賃金の非正規雇用者です。加入者の一人当たりの所得は百二十三万円にすぎません。都内では高齢者が加入者全体の三割を超え、年々ふえています。
 知事は、加入者の医療費が高い一方、取得は低いという国保制度の構造的問題をどのように認識していますか。
 全国で、今年度に国保料を値上げした自治体は全体の二三%ですが、都内では大半の自治体が値上げしています。二十三区の均等割は、全国二十の政令指定都市と比べ第二位の高額です。
 ところが、特別区長会が先日確定した二〇一九年度特別区基準国保料率によれば、一人当たりの保険料は、今年度比で三千百八十六円の値上げとなり、一人当たり十二万五千百七十四円の保険料となります。
 八王子市の国保税は、三十代夫婦、年収四百万円の子供二人世帯の場合、二万千三百円の値上げとなる案が出されています。値上げの背景には、国と都が一般財源繰り入れをなくしていく方針があります。全国で最も国保料が値上げされているのが東京都内の自治体です。知事、都民の暮らしを守る立場に立って、負担軽減の検討が必要ではありませんか。
 武蔵村山市では、新年度から、子供の均等割の減免制度を多子世帯に広げ、負担軽減を図る取り組みが開始されます。子供の均等割の負担軽減を実施する自治体は都内では四自治体に広がっています。
 そもそも、収入のない子供に均等割を払えというのはおかしな制度です。子供がふえると収入がふえるわけではなく、むしろ子育ての支出がふえるのに、均等割保険料が確実にふえるというのも不合理です。特別区長会も子供の均等割軽減を国に求めています。
 自治体が独自に多子世帯を初めとした子供の均等割の負担を軽減していることの重要性を、知事はどのように認識していますか。
 次に、児童虐待対策です。
 目黒区で昨年三月に起きた事件など、児童虐待で命を落とす子供が相次いでおり、多くの人が心を痛めています。対策の抜本的強化が必要です。
 子供があらゆる場面で権利の主体として尊重される必要があることが、今定例会に提出される児童虐待防止条例案の前文に明記されたことは重要です。
 知事は、子供が権利の主体であることの重要性についてどのように認識し、この理念をどのように政策に反映していくのですか。
 先日、国連子どもの権利委員会は、日本に対し、体罰の禁止を法で明文化すべきだと勧告しました。日本は、これまでも体罰の禁止について何度も国際社会から勧告を受けてきました。しかし、歴代の政権は応じる姿勢がありませんでした。
 体罰は、子供の尊厳を損なう行為であり、発達にも悪影響を与えるとされており、明確に禁止することが重要です。体罰の禁止を条例で定めることの意義について、知事はどう考えていますか。
 同時に、体罰をなくすためには、保護者が体罰によらない子育てを学び、実践するための支援が必要です。どう取り組むのですか。
 東京都の一時保護所は、入所する子供の数が定員を超過し、子供たちへの十分な支援が困難な状況が続いています。虐待を受けた子供と非行などが理由で入所した子供が一緒になることも、落ちついた環境をつくることを難しくしています。
 そうした中、都の児童福祉審議会の専門部会で、一時保護児童への支援体制の強化が検討事項として示されたことは重要です。子供が権利の主体であることを体現した一時保護所のあり方を検討するとともに、それを実現するため、施設整備と職員配置の抜本的拡充を進めることを求めますが、いかがですか。
 保育予算は、舛添知事のときに、都民世論と我が党の都有地活用などの提案の中で、それまでの三倍に増額されました。そして小池知事のもとで、さらに倍増しました。しかし、さらなる拡充が必要です。
 我が党は、四月からの保育園を希望し、入園申請をした結果を調査しました。現時点で把握できる都内の申請不承諾者数は、回答があった三十三区市町村で約一万五千人に上っています。十月から始まる無償化で、今後、入園希望者がさらにふえることも予想されています。
 知事は、二〇一九年度末までに待機児童ゼロを実現する目標を掲げています。残り一年ですが、新年度予算案で実現の展望は示されていません。知事、あと一年で待機児童ゼロをどのようにして実現するのですか。
 公立保育園を含め、認可保育園の増設を中心に、量の確保と質の向上の両方を同時に進めることが重要です。知事の認識を伺います。
 十月から始まる三歳以上の幼児教育、保育の無償化に伴い、東京都が対象とならないゼロから二歳児などへの保育料軽減を都独自で実施することは重要です。
 しかし、重大な問題は、国が給食費を無償化の対象から外し、新たに実費徴収することです。
 無償化を議論した子ども・子育て会議のメンバーからは、給食は、食の知識や大切さを伝える場、単なる食事の提供ではない、保育所の生活を豊かにする視点から乖離しているなどの反対意見が相次ぎました。それは、給食は保育の一環であることは明白だからです。保育園給食が保育の一環であることを知事はどう認識していますか。
 知事は、東京都民間保育園協会からの予算ヒアリングをしています。そこで、今まで五十年間続けてきた保育園の完全給食の実施が変わってしまう、無償化によって保護者に給食費という新たな負担をふやすことになりかねないなどの心配を直接聞かれたと思います。知事、この訴えを受けとめ、国に対し、給食食材費も無償化することを強く働きかけることを求めておきます。
 次に、学校給食の無償化です。
 学校給食は、一九四六年十二月の文部省通達以来、教育活動の一環として位置づけられてきました。文部科学省が策定した食に関する指導の手引では、給食の時間における指導は、極めて重要な学校教育活動ですと述べられています。給食は、重要な学校教育活動だという文部科学省の位置づけを知事はどう認識していますか。
 憲法二十六条第二項は、義務教育は、これを無償とすると規定しています。給食は重要な教育活動として実施されているのですから、無償となるよう努めるべきではありませんか。知事、いかがですか。
 憲法に照らして無償とすべき学校給食の費用が、ほとんどの自治体で保護者負担とされています。このため、給食の質を上げようとしたら、保護者負担がふえる、保護者負担を抑えようとしたら質が下がるという深刻な問題が生じています。
 近年、食材費が高騰し、栄養士さんたちは必死の努力をしていますが、季節ごとの野菜をやめて、安いキャベツやもやしをまぜる、魚の切り身をちくわに変えるなどとせざるを得ず、食の体験が狭められています。
 定められた栄養基準を満たせない日が生じることもあるそうです。全国的にも、食材費の高騰により栄養基準を満たせない自治体があることが報道されています。さらに安くカロリー量を満たせといわれれば、砂糖と油をふやさざるを得ないと栄養士さんは訴えます。子供の成長、発達、教育上の観点から見て大きな問題だと思いませんか。
 一カ月の給食費の保護者負担は、区市町村により約千円もの差があります。給食の質や保護者負担の自治体間格差をなくし、都内の全ての子供たちが、重要な教育活動というにふさわしい、献立が豊富で栄養バランスのよい学校給食を食べることができるように支援することが東京都の重要な役割です。
 今、多くの自治体に、学校給食の無償化が広がりつつあります。全国七十六自治体が小中学校とも無償化を実施しています。都道府県の中で、東京都が先駆けて実施に向け一歩踏み出すことを求めるものです。知事の答弁を求めます。
 都が新年度予算案で、屋内体育館への空調設置補助を拡充し、都の三分の二補助の継続、国庫補助がつかなかった場合の都の支援、さらにリース契約に対する都の独自補助や推進のための職員の増員など、予算計上したことは重要です。
 一方、エアコンの設置対象となっていない校内施設も残されています。例えば、PTAなどから、中学や高校の武道場や専門高校の実習室へのエアコン設置が要望されています。
 こうした都立学校施設も設置対象として、また、区市町村への補助も柔軟に対応すべきです。いかがですか。
 住宅政策及び防災対策について提案します。
 我が党は、都が住宅政策本部を都市整備局から切り離し、住宅の専管組織をつくったことを歓迎するものです。
 住まいは人間の暮らしの基盤です。第二回国連人間居住会議のイスタンブール宣言では、人間にふさわしい住まいは、命の安全、健康、福祉、教育や本当の豊かさ、人間としての尊厳を守る基礎であり、安心して生きる社会の基礎であるとして、適切な居住への権利は、基本的人権であることが宣言され、日本も署名しました。
 知事は、この宣言が掲げた、住まいは人権であることをどう認識していますか。
 本部の設置を機に、住宅政策を抜本的に拡充することが重要です。知事、いかがですか。その中で、さらに住宅局へと発展させることを求めるものです。知事の見解を伺います。
 住宅耐震改修助成は、今年度、対象地域が都内全域に拡大され、予算も大幅にふやされましたが、実績が伸びていません。改善に向けて学ぶべきは、耐震改修助成件数を年間八十六件から千五百六十八へと十年間で十八倍にふやした高知県の取り組みです。
 高知県は、住宅の耐震対策は、さまざまな地震対策の入り口であり、命に直結する公共事業と位置づけています。地震によって多数の住宅の倒壊は、地震火災の発生、救急活動の阻害、家を失った被災者に対する膨大な公的支援の必要など、さまざまな問題を引き起こすからです。
 一方、東京都は、住宅耐震は所有者みずからが主体的に取り組む課題という姿勢に長年にわたって固執し、住宅耐震に本腰を入れた旗振りをしてきませんでした。基本姿勢に高知県との大きな違いがあります。
 施政方針で表明した耐震改修促進計画の改定に当たっては、住宅の耐震対策は、地震対策の入り口というような重い位置づけをすることが大事です。知事の認識を伺います。
 高知県は、手厚い補助とコスト削減を柱に、住宅所有者の負担軽減を徹底して進めているところに特徴があります。手厚い補助という点では、九十二万五千円までは行政が全額負担するという定額助成に取り組んでいます。
 コスト削減という点では、工務店への講習会で低コストでできる補強工法を普及し、三年間で平均改修費用を二十万円以上も減らしています。これにより改修費が補助金の範囲で済んだり、持ち出しが十万円、二十万円におさまるケースがふえ、耐震改修のハードルが抜本的に下がりました。都としても、定額補助を核とした手厚い補助と、コスト削減による住宅所有者の負担軽減の抜本強化を図るべきです。いかがですか。
 高知県は、市町村に対して、個別訪問を推奨しており、ほぼ全ての市町村で取り組まれています。専任の臨時職員を雇っている自治体もあり、その人件費も県の補助対象としています。悩みや疑問に答える、きめ細かな説明が高い効果を上げているといいます。
 都としても、区市町村と協力し、個別訪問活動を抜本的に強化できるようにすべきと思いますが、いかがですか。
 多摩地域の課題について提案します。
 まず、市町村消防団への支援です。
 市町村は、財政の仕組みが二十三区と異なるため、消防団の装備が各市町村の財政力に左右されてしまいます。
 一方で、多摩地域は二十三区に比べ面積は広く、山岳地帯、丘陵地帯、平野部など地形的にも多様性があります。また、歴史的にも、東京市以来一体性を持っていた二十三区に比べ、二十六の市町村がそれぞれ基礎自治体としての独自の歴史を重ねています。
 そのため、市町村の消防団に対する装備、資機材などの支援は、二十三区の消防団を基準にするだけではなく、それぞれの市町村、消防団の特性に応じたきめ細かな対応が必要です。いかがですか。
 そのためにも、市町村総合交付金などの予算をさらに増額し、制服などの市町村負担を軽減すること、消防団員をふやすために市町村が行う研修などの実施に予算を充てられるようにすることが重要です。いかがですか。
 次に、多摩都市モノレールの延伸と通学定期券の値下げです。
 知事は、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸について、計画の熟度を上げると表明しました。いつまでにどのように取り組むのですか。
 多摩都市モノレールについては、通学定期券の値下げが沿線の大学生、高校生から強く要望され、繰り返し署名が集められ、議会に請願陳情として出されています。
 我が党は、通学定期券の値下げを三年前に実施した神戸新交通株式会社を訪ねて調査しました。市の第三セクターですが、子育て支援策の一環として、通学定期券の大幅値下げを市と相談の上、実施したとのことでした。その結果、通学定期券で乗る学生が一日約千人もふえる結果となっています。
 より多くの沿線学生が気軽に多摩都市モノレールを利用できるよう、都と多摩都市モノレール株式会社が協力して通学定期券の値下げに踏み出すことは大きな意義があると思います。見解を伺います。
 以上、述べてきた切実な都民要求を実現するには、予算の抜本的見直しが必要です。
 小池知事の新年度予算案は、都民の要望を反映した重要な前進がありますが、都の財政力に比べれば端緒的です。同時に、高齢者福祉を犠牲にして大型開発を推進した石原都政以来の予算配分の基本は変わっていません。
 東京都の予算規模は、全会計ではスウェーデンの国家予算を超えるものです。不要不急の大型道路建設などを大胆に見直し、地方自治体本来の役割である都民の暮らし、福祉充実を進める必要があります。知事の見解を伺います。
 社会経済状況の変化などにより必要性が失われている都市計画道路はもとより、必要性が確認されたとされる路線についても、住民合意がない、巨額の費用がかかるなど見直すべきものが多く残されています。こうした路線についても、計画の廃止を含めた方向性を検討していくことが重要です。知事、いかがですか。
 最後に、基地対策です。
 横田基地に配備された米軍の特殊作戦機CV22オスプレイは、ホバリングや低空飛行、夜間の無灯火飛行など傍若無人の激しい訓練を、土日、休日も構わず繰り返しました。そして今、五機のうち四機が沖縄の嘉手納基地に移動しています。ベトナムに飛来したとの情報もあります。
 横田基地は輸送拠点だとされてきましたが、今では、オスプレイなど米軍機の出動と訓練の拠点として、軍事的役割が格段に強化されています。
 極めて重大で危険なことだと思いますが、知事の認識を伺います。
 防衛省北関東防衛局は、周辺自治体や住民の強い不安を受けて、上陸以来、オスプレイの横田基地離着陸状況を連日目視で調査し、日報で自治体に提供してきました。それを昨年末に突然中止してしまいました。
 事故やトラブルの不安におびえる住民に対して、余りにも不誠実です。知事の認識と対応を伺います。
 ことし一月には、横田基地で、米軍のパラシュート降下訓練中、パラシュートが開かず、予備のパラシュートで降下する事故が発生しました。しかも、翌日、都が当面の訓練中止を申し入れている最中に、米軍が訓練を一方的に再開し、再び同じ事故を起こしたのです。
 事故が連続しても、原因究明も不十分なまま、地元の声など無視して、訓練をやめない米軍の姿勢は断じて許されません。知事の認識を伺います。
 アメリカ本国では人口密集地域ならずとも、人が住んでいる地域では認められていないパラシュート降下訓練の中止を国と米軍に求めるべきです。知事、いかがですか。
 清瀬市の米軍大和田通信基地においては、昨年七月二日と十一日にオスプレイが飛来、着陸し、旋回訓練して以来、毎月のように軍用のヘリが夜間に旋回飛行し、ことし一月には六回も夜間低空訓練を行いました。都は実態を把握していますか。
 都心の港区の市街地にも、米軍のヘリポート基地があります。米軍ヘリコプターによる事故が相次いでいる中、住民は事故発生の不安を抱えています。
 都は、地元自治体や住民と力を合わせて、赤坂プレスセンター、横田基地、大和田通信基地など都内七カ所の米軍基地の整理、縮小、返還を強力に進めるべきです。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水ひで子議員の代表質問、三十五問にお答えをいたします。
 都議会の混乱についてのご指摘でございますが、議会の運営は、議会の皆様がお決めになることでございます。
 なお、築地のまちづくりに対する考え方、施政方針において申し述べたところでございまして、また引き続き、しっかり説明を尽くしてまいります。
 基本方針についてのお尋ねでございました。
 私は、基本方針におきまして、築地が培ってきた大切なものを守り発展させていくという思いで、築地は守ると述べたところでございます。その思いをもとに、再開発の一つの考えとして、さまざまな内容を示させていただきました。
 この基本方針の考え方をベースに、行政の取り組みといたしまして具体化を図るための検討を行い、築地につきましては民間主導で再開発を進めていくこと、その後、有識者の意見もいただきながら検討を重ねてきたところでございます。
 まちづくり方針の素案におきましては、再開発の考え方として、地域のポテンシャルを生かしつつ、新たな東京ブランドを創造、発信する国際的な交流拠点を形成することといたしておりまして、都民の皆様からの意見も踏まえまして、年度内にまちづくりの方針を取りまとめていく考えでございます。
 こうした築地まちづくりの方針の内容につきましては、都民の皆様にご理解いただけますよう、引き続き、丁寧に説明を行ってまいります。
 お話の社説でございますが、こうした説明をしっかりと行うよう求めているものと受けとめております。
 関係局長会議についてのご質問がございました。
 一昨年の六月二十日の基本方針でお示しをいたしましたのは、豊洲と築地の両方を生かすということを趣旨とする大きな方向性でございます。
 この基本方針の考え方をベースといたしまして、行政の取り組みとして具体化を図るための検討を行って、同じ年の七月二十一日、市場移転に関する関係局長会議におきまして、具体的な取り組み内容を取りまとめました。
 内容でございますが、豊洲市場は中央卸売市場として継続的に運営をしていくとともに、千客万来施設も含めまして、市場業者の方々や地元の皆様とともに豊洲地区のにぎわいも創出することといたしました。
 一方、築地につきましては、そのポテンシャルを生かして、民間主導での再開発を進めていくことといたしております。
 豊洲と築地の両方を生かすという大きな方向性につきましては、何ら変わっておりません。
 有償所管がえに関する説明責任についてでありますが、築地市場跡地につきましては、昨年十一月、市場移転に関する関係局長会議におきまして、中央卸売市場会計の収支の試算を行う中で、築地まちづくりの検討状況を踏まえて、一般会計への所管がえも視野に入れて検討を進めることといたしたものでございます。
 その後の第四回定例会におきましても、一般会計への有償所管がえを軸として検討を加速する旨を表明いたしておりまして、それぞれの段階において状況を明らかにしながら、検討を進めてまいりました。
 その上で、本年一月の関係局長会議におきまして、東京全体としての価値の最大化を目指すまちづくりを見据えまして、市場会計の収支試算も踏まえて、市場会計から一般会計へと公有財産規則に基づいた有償所管がえを行うことといたしております。
 一般会計への移しかえでございますが、いち早く着手することで、民間事業者の参画意欲を早期かつ最大限に引き出すことができ、都といたしましても、円滑にまちづくりの具体案を検討することが可能となるわけでございます。
 また、再来年度以降でございますが、今般の国による税制の見直しで税収減が見込まれておりまして、将来の財政支出を可能な限り軽減する必要もございます。
 こうした中で、今年度、決算剰余金、予算執行状況の精査などによりまして財源の目途を立てられたことから、補正予算案を本定例会に提案したところでございます。
 予算案は、議会に対してしっかりと説明を行いまして、ご審議いただいた上で議決をいただく事項でございます。その意味において、当初予算案も補正予算案も同じことでございます。
 市場移転に関する公約についての話がございました。
 今回の有償所管がえでございますが、築地まちづくりの素案に基づくまちづくりのために必要となる用地を、関係規則にのっとって、適正な対価のもとで、一般会計に移しかえるものでございます。
 税金を新たに投入することのないような方策という発言でございますが、市場会計の赤字を補填するために一方的に税金を投入するようなことがあってはならないという意味で申し上げたもので、今回の補正予算案は、これと矛盾するものではございません。
 仲卸業者の要望につきましてですが、築地のまちづくりにつきましては、水産仲卸業者の団体に対しまして情報提供やご説明を行っております。
 築地再開発では、長期的な観点から、経済合理性を考慮しながら民間の力を最大限に活用して、段階的な整備を進めることといたしております。
 まちづくり方針の策定後、民間事業者からの提案を受けながら、まちづくりを具体化いたしてまいります。
 市場の機能については、かねて申し上げてきましたとおり、都が中央卸売市場として運営するのは豊洲市場でございます。築地再開発において都が改めて卸売市場を整備することはないと考えております。
 一方で、築地にとりまして食文化は重要な要素の一つでありまして、築地に思いを寄せる仲卸業者の意見を聞きながら丁寧に対応してまいります。
 築地の再開発についてでございますが、一昨年七月、関係局長会議におきまして、将来、築地に戻ることを希望する仲卸業者に応えるための方策に関する検討を、豊洲市場の移転後の状況を踏まえながら行うといたしておりました。
 築地のまちづくりにつきましては、水産仲卸の業界団体に対しまして、築地再開発検討会議での検討状況などについて情報提供を行ってきておりまして、築地まちづくり方針の素案でも丁寧にご説明を行っております。
 旧築地市場の解体工事についてでございますが、築地市場の跡地は、環状第二号線及び東京二〇二〇大会の車両基地整備を行うことといたしておりまして、建物につきましては速やかに解体をしてまいります。
 先ほど申し上げましたとおり、仲卸業者の意見は丁寧にお聞きしていきたいと考えております。
 場外市場の要望についてでございます。
 築地まちづくり方針の素案におきましては、築地再開発の検討会議で、築地まちづくりの大きな視点を踏まえまして、築地場外市場とのつながりにも配慮しながら、にぎわいを創出することといたしております。
 都民の皆様からのご意見も踏まえまして、まちづくりの方針策定後、事業者募集の時期などについての検討なども行いまして、事業の実施方針などを作成、そして民間事業者からの提案を受けながら、まちづくりを具体化いたしてまいります。
 その際、築地の場外市場でございますが、区とも連携し、適切に対応してまいります。
 東京二〇二〇大会招致に係る疑惑についてのご指摘がございました。
 招致活動は、都と招致委員会が役割分担の上で行い、いわゆるロビー活動などにつきましては招致委員会が担当し、公費も支出していなかったと聞いております。
 本件につきましては、JOCが弁護士などから成る調査チームを設置して、都の職員もオブザーバーとして参加した上で詳細な調査を行っております。その結果、我が国の法律やフランス刑法、IOC倫理規程への違反を見出すことはできないとの結論が示されたものでございます。
 竹田会長は、疑念を払拭するために今後とも捜査に協力すると発信されておられ、その推移を見守ってまいりますが、今後の状況に応じて必要な対応を行っていくことには、変わりはございません。
 また、招致活動につきましての当時の石原知事の発言についてのご質問でございますが、発言の意図については、はかりかねるとしか申し上げられません。
 疑惑に関する都としての真相究明でございますけれども、先ほどお答えしたとおり、招致活動につきましては、いわゆるロビー活動などは招致委員会の担当となっており、公費も支出していなかったと聞いております。
 JOCが調査チームを設置して詳細な調査を行うに当たって、都の職員もオブザーバーとして参加するなど、都としても協力を行った旨、先ほどもお伝えしたとおりでございます。
 本件について、竹田会長がフランス司法当局の捜査に協力すると発言されておりますので、その推移を見守っていきますが、今後の状況に応じて必要な対応を行っていくということは、重ねて申し上げておきます。
 共同実施事業の透明性の確保でございます。
 共同実施事業につきましては、組織委員会が契約、実施するものの、都の公費を投入する事業でございますので、その使われ方などについて、都民に明らかにしていく必要はございます。
 このため、契約につきまして、基本的に、その相手方及び金額を公表しているところでございますが、一方で、スポンサー供給契約におきましては、スポンサーが一定の条件のもとで、最低価格で優先的に提供するなど、一般的な契約と異なることから、あらかじめ守秘義務が課されているところであります。
 こうした契約につきましても、都といたしまして、組織委員会に公表を働きかけており、組織委員会では、順次、契約の相手方と法的課題について具体的な検討に着手するなどの調整を行っているということでございます。
 今後とも、組織委員会初め関係機関と連携をいたしまして、共同実施事業の透明性の確保に取り組んで、大会に向け万全の準備を進めてまいります。
 次に、新国立競技場、日本武道館の整備費の都負担についてのご質問がございました。
 新国立競技場は、大会のメーンスタジアムとしてなくてはならないものでございます。そしてその整備費の一部都負担につきましては、議会でのご審議、関係閣僚会議での決定などを経まして、根拠となる法改正もされているところでございます。
 日本武道館の増改修工事費につきましては、都は、一九六四年大会の会場を活用するための再整備を着実に進めることで、大会後はレガシーとしていく補助制度を創設いたしております。国におきましても、スポーツ振興くじ助成を活用して、今回の日本武道館の整備に対し支援をすることを決定したものと認識をいたしております。
 東京二〇二〇大会の開閉会式の費用についてのご質問でございます。
 過去の大会におきましては、開閉会式の経費が増加する傾向があることから、このたび、予算の上限額を組織委員会において設定をしております。
 都としては、これを上限額に厳しくキャップをはめるだけでなく、抑制的ながら効果の高い目標を定めて、さらに経費の執行管理を徹底する必要があると認識をいたしております。
 開閉会式の演出には、開催都市東京のPRも含まれることから、都として一定の負担をするということとしておりますが、負担金額については、今後具体的な事業費が固まっていく中で、組織委員会と協議をしてまいります。
 また、その執行につきましては、共同実施事業管理委員会を通じまして、都としてもしっかりとチェックをしてまいります。
 開催都市東京の魅力を世界に発信しつつ、都民の納得も得られるように、引き続き取り組んでまいります。
 大会経費の縮減と透明化についてでございます。
 都民に支持され喜ばれる大会とするためには、経費の抑制は極めて重要でございます。
 そのため、これまでも都立の新規恒久施設の整備費用の削減や、組織委員会と連携してIOCに対しまして放送用回線の二重地下化などの要件緩和を求めるなど、大会経費の縮減に取り組んできたところでございます。
 今後、大会本番の運営などさまざまな業務が具体化する中で、新たな需要が発生する可能性もございますが、必要な予算は確保しつつ、引き続き、効率化に向けた精査を組織委員会とともにしっかりと行い、めり張りをつけて大会経費の枠組みを維持してまいります。
 また、経費の精緻化の状況も踏まえまして、都民の皆様にわかりやすい情報提供を行ってまいります。
 大会に係る経費の国と組織委員会の負担についてのご質問がございました。
 都は、平成二十九年の五月に組織委員会や国、関係自治体との間で、大会の役割、経費分担に関する基本的な方向について合意をしております。
 この中で、国におきましては、新国立競技場の整備やパラリンピック経費の負担のほか、国として担うべきセキュリティー対策、ドーピング対策などを実施することとなっております。
 また、組織委員会におきましては、できる限りの増収努力を行って、既に一千億円の増収を見込んでいるほか、負担につきましても一千億円ふやして、大会運営の主体として業務全般の役割を担うこととなっております。
 都、国、組織委員会、それぞれがしっかりと責任を果たし、大会を成功に導いていきたいと考えております。
 高齢者施策についてのご質問がございました。
 多くの高齢者は、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で暮らしたいと望んでいるものでございます。
 こうした思いに応えるために、適切な住まいや医療、介護、生活支援サービス等を地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が必要でございます。
 都は、昨年三月に策定いたしました第七期東京都高齢者保健福祉計画に基づきまして、介護サービス基盤の整備、認知症の対策、介護人材対策など、総合的に推進をしておりまして、来年度も、高齢者施策のさらなる充実を図ってまいります。
 特別養護老人ホームについてでございます。
 都は、高齢者人口の将来推計や区市町村のサービス見込み量を踏まえまして、二〇二五年度末までの特別養護老人ホームの整備目標を六万二千人分に引き上げておりまして、施設整備費の補助や土地賃借料の負担軽減など、さまざまな独自の支援策を講じております。
 また、サービスを担う介護人材の確保、定着を図るために、職場体験や介護事業者の職員宿舎借り上げへの補助など、さまざまな取り組みを実施いたしております。
 平成三十一年度の予算案には、整備用地の確保や施設職員の負担軽減なども盛り込んでおりまして、今後とも、多様な手だてによりまして、特別養護老人ホームの整備を促進いたしてまいります。
 高齢者に対する聞こえの支援についてのご質問でございます。
 高齢者や障害者を初め、全ての人が必要な情報を容易に入手できる環境を整備することが重要でございます。
 都は、情報バリアフリーガイドラインを策定いたしまして、聴力の弱い高齢者や聴覚障害者などにとりまして聞こえやすい環境の整備を行う事業者等の取り組みを促進いたしております。
 今後とも、聞こえのバリアフリーに取り組み、高齢者の聞こえの支援を推進してまいります。
 国民健康保険についてのお尋ねでございます。
 国民健康保険制度には、医療費が高い高齢者や失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難であるなど、構造的な問題がございます。
 国は、今回の制度改革におきまして、財政上の構造的な課題の解決に向けて、財政基盤の強化のために、全国で毎年三千四百億円の財政支援の拡充を行っております。
 国保制度の安定化に向けましては、制度設計者である国が制度の運営状況を検証いたしまして、財源の確保など、必要な措置を講じるべきでございます。
 都は、今後とも、国に対しまして、持続可能な制度となるように要望してまいります。
 同じく保険料についてでございますが、国民健康保険は、相互扶助の考えに立った社会保険制度であって、その財源は、保険料が二分の一、公費が二分の一が基本とされているわけでございます。
 各区市町村の具体的な保険料、保険税の賦課方式や料率、法定外繰り入れでございますが、それぞれの議会で十分な審議が行われて決定されているものと認識をいたしているところでございます。
 都といたしまして、国保制度の健全かつ安定的な運営を図るために、法令等に基づきまして財政支援を行っております。
 子供が権利の主体であることの重要性についてのお尋ねでございます。
 児童福祉法の第一条で、全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとって、福祉をひとしく保障される権利を有するとされておりまして、子供は権利の主体でございます。
 今回提案いたしました東京都子供への虐待の防止等に関する条例案におきましては、子供の権利利益の擁護と健やかな成長を図ることを目的に、子供の年齢及び発達の程度に応じた意見を尊重することや、子供の最善の利益を最優先することを基本理念といたしました。
 都は現在、相談員や弁護士などが子供本人から直接相談を受ける取り組みなど、子供の権利擁護に関しますさまざまな取り組みを実施いたしております。この条例を礎にして、今後とも、都、都民、関係機関等が一体となりまして、社会全体で児童虐待防止に取り組んでまいります。
 体罰等の禁止についてでございます。
 体罰等は、児童虐待にエスカレートする可能性のある行為でございまして、虐待行為そのものである場合もございます。また、医学的に、子供の脳の発達に深刻な影響を及ぼすこともあるとされております。
 子供はあらゆる場面におきまして権利の主体として尊重されるべき、かけがえのない存在でございます。
 今回提案いたしました条例案では、子供の権利利益の擁護と健やかな成長を図ることを目的といたしまして、保護者による体罰等の禁止を明記するとともに、都として、体罰等によらない子育てを推進することといたしました。
 待機児童の解消に向けた取り組みについてであります。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけており、保育所等の整備の促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱といたしまして保育サービスの拡大を図ってまいりました。
 来年度は、区市町村が取り組む保育所等の整備をさらに後押しをするとともに、多様化する保護者の働き方を踏まえまして、夜間、休日保育に取り組む認証保育所への支援を開始いたします。
 引き続き、東京都待機児童対策協議会なども活用いたしまして、区市町村としっかり連携しながら、二〇一九年度末までの待機児童解消に向けて保育サービスの整備を進めてまいります。
 保育サービスの拡充についてでございますが、保育サービスは、保育の実施主体であります区市町村が、公立、私立の認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 都は、今後とも待機児童解消に向けまして、認可保育所を初めとする多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
 保育所での給食についてでございますが、食育基本法では、子供たちが豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくためには、何よりも食が重要であるとされております。
 保育所保育指針では、これを踏まえまして、保育の内容の一環として食育を位置づけていると認識をいたしております。
 学校教育における給食の位置づけでございますが、ご指摘のとおり、文部科学省が策定した食に関する指導の手引におきましては、給食の時間における指導は、標準授業時数には含まれないものの、重要な学校教育活動であるとされていることは承知をいたしております。
 給食に関する指導は、子供たちのよりよい食習慣を形成するとともに、食事を通して良好な人間関係を構築し、心身ともに健全な発達を図ることを目的といたしておりまして、極めて重要なものと認識をいたしております。
 学校給食の無償化についてのお尋ねでございます。
 学校給食法では、学校給食は学校設置者が実施をし、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 憲法第二十六条の第二項は、義務教育は、これを無償とすると規定をいたしておりますが、一方で、公立小中学校における学校給食費は、学校設置者である区市町村が、地域の実情や特性を考慮して決定をしておりまして、就学援助を含む保護者負担の軽減策等についても、区市町村の判断により行われていると認識をいたしております。
 住まいに関する認識についてでございます。
 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素でございます。都民生活の安定と東京の持続的な発展のためには、経済的活力や文化的魅力と相まって、居住の場としての東京の魅力を高めていくことは重要であります。
 このため、良質な住宅ストックと良好な住環境の形成や、都民が適切に住宅を選択できる市場の環境整備とともに、少子高齢化の進行や単身世帯の増加などを踏まえまして、都民の居住の安定を図ることが重要であります。
 都は、こうした認識のもとで住宅基本条例で定める住宅政策の目標を踏まえて、住宅マスタープランの基本方針であります豊かな住生活の実現と持続に基づいて、今後とも、着実に施策を展開してまいります。
 なお、お話の人間居住に関するイスタンブール宣言が、日本政府も出席した第二回国連人間居住会議で採択されたことは承知をいたしております。
 住宅政策本部の設置と住宅政策についてのお尋ねでございます。
 少子高齢化や住宅ストックの老朽化など、住宅行政を取り巻く環境は大きく変化をいたしております。
 そのため、都は、老朽マンションや空き家への対策、都営住宅等重層的な住宅セーフティーネットの構築など、施策を迅速に進めていくため、住宅政策本部を設置することといたしました。
 これまでの都市づくり政策との連携をさらに発展させながら、住宅行政の体制を強化し、都民の豊かな住生活の実現と持続に向けて着実に施策を展開してまいります。
 なお、都の抱えるさまざまな課題を解決するため、中長期的な組織全体のあり方につきましては、二〇二〇年以降を見据えて検討を進めてまいります。
 耐震改修促進における住宅耐震化についてのお尋ねでございます。
 首都直下地震の発生が懸念される東京におきましては、住宅を含む建築物の耐震化は喫緊の課題であります。
 地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守ることだけでなく、都市の防災力の向上にもつながってまいります。
 このような考えのもとで、促進計画には住宅の耐震化を重点施策の一つとして位置づけております。
 引き続き、住宅を含む建築物の耐震化を促進して、都民が安心して生活できるセーフシティーの実現に取り組んでまいります。
 財政運営についてのお尋ねでございます。
 東京の都市機能を支えるインフラ整備への投資は、東京の持続的発展の基盤となりまして、都民生活の質の向上にも不可欠であることから、見直すべきものは見直しを行った上で、真に必要な取り組みを着実に進めていく必要がございます。
 こうした観点から、平成三十一年度予算案におきましても、中長期的な視点を踏まえて必要な投資は積極的に行うとともに、執行状況を踏まえまして、特定整備路線の整備などに係る予算額を前年度比で減とするなど、賢い支出を徹底しているところでございます。
 また、都はこれまでも、人に焦点を当てて、待機児童の解消に向けた取り組みや高齢者や障害者の暮らしへの支援など、都民の福祉向上に全力を注いでおりまして、平成三十一年度予算案におきましても、福祉と保健予算の充実を図っております。
 今後とも、必要な施策には的確に財源を振り向けながら、あらゆる人が安心して暮らして、存分に力を発揮できる社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、都市計画道路の見直しについてのご質問をいただきました。
 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
 これまで、都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるために、事業化計画を策定して、合わせて見直しを適宜行ってきているところでございます。
 平成二十八年三月に策定した現行の計画におきましても、廃止、縮小など計画を見直すべき路線や、計画内容を再検討する路線を示しております。このうち、補助第九八号線や青梅三・五・二九号線などの三路線の廃止、立川三・四・一五号線について、その手続中でございます。
 加えまして、現在必要性が確認された路線のうち、優先的に整備すべき路線を除きます未着手の都市計画道路を対象といたしまして、既に必要な交通機能等が確保された道路の拡幅や立体交差計画の必要性など、新たな検証項目を設けまして、幅員の縮小や計画の廃止を含めて、区市町とともに都市計画道路のあり方についての検証を進めております。
 今後とも、見直すべきものは大胆に見直す一方で、地元の理解と協力を得ながら必要な都市計画道路を精査した上、着実に整備を進めてまいります。
 次に、基地関係でございます。
 横田基地の役割についてのお尋ねであります。
 二回目の米朝首脳会談があすからハノイで開催されるわけでありますが、アジア太平洋地域の安全保障環境については、依然として不透明な状況が続いていることには変わりはありません。そうした中、日米安全保障体制は、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定のために重要な役割を果たしております。
 横田基地は、西太平洋地域の米軍の空輸ハブとしての役割を担っておりまして、輸送部隊が駐留をいたしております。
 国は、横田基地へのオスプレイ配備は、こうした輸送拠点としての機能の範囲内で行われたものとしておりまして、横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識をいたしております。
 そして、米軍のパラシュート降下訓練でございますが、安全保障に関することはそもそも国の専管事項ではございますが、訓練を含む米軍の運用に当たりましては、周辺住民の生括に最大限の配慮が払われなくてはなりません。
 横田基地のパラシュート降下訓練ですが、空輸基地としての能力を維持するために実施していると聞いておりますが、危険物の落下事故は、人命にかかわる重大な事故につながりかねず、いうまでもなくあってはならないことでございます。
 都は、本年一月のパラシュート事故に際しまして、地元自治体とともに、国や米軍に対しまして、徹底的な原因究明を行うとともに、再発防止策を講じるまでは同様の訓練を実施しないように要請をいたしております。
 これを受けまして、米軍は、今回の訓練で使用した型のパラシュートを使用停止するとともに、パラシュート整備士の再訓練を行うことといたしていると聞いております。
 今後も、都民の命、安全・安心を守る立場から、地元自治体とともに国や米軍に対しまして安全対策の徹底を申し入れてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、学校給食の栄養基準についてでございますが、学校給食の実施方法については、区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定しており、学校給食の質の確保についても、文部科学省が定める学校給食摂取基準に基づき、各教育委員会の責任と判断により行うこととされております。
 次に、他の道府県に先駆けた学校給食の無償化についてでございますが、学校給食法では、学校給食は学校設置者である区市町村が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 公立小中学校における学校給食の実施方法や学校給食費は、区市町村が地域の実情や特性を考慮して区市町村の判断により決定しております。
 学校給食の無償化については、法改正や財源確保などさまざまな課題があり、国の責任と負担によるべきものと考えております。
 最後に、学校施設への空調設備設置の対象についてでございますが、都教育委員会では、現在、都立高校の体育館への空調設置を進めており、その完了後、武道場へも設置することを検討してまいります。
 なお、専門高校の実習室などに関しては、その使用実態を踏まえ、空調設置の必要性を個別に判断しているところでございます。
 また、区市町村立学校については、学校体育館とともに、武道場の空調設置に対しても補助をしてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、旧築地市場跡地に係る鑑定調査報告書の情報開示等についてでございますが、調査報告書を東京都以外の第三者に開示する場合には、契約上、調査受託者及び調査した担当不動産鑑定士の承諾を得ることとなっております。
 開示請求受理後、速やかに調査受託者に対して意見照会を行っておりまして、協議が調ったところでございます。二カ月の延長期限にかかわらず、今後、情報公開条例の規定に基づき開示する予定でございます。
 また、都議会への提出につきましては、調査受託者との契約上、第三者へ開示する場合に該当しないため、既に対応したところでございます。
 次に、豊洲市場の地下水調査についてですが、平成二十九年五月以降、二十カ月にわたりまして現行の地下水調査を実施してまいりました。この間の調査結果から、地下水につきましては、全体的に見れば、汚染状況が大きく変化した傾向にないということを専門家により確認していただいております。
 こうした専門家の見解等を踏まえまして、今月十六日に開催いたしました豊洲市場における地下水等管理に関する協議会では、地下水調査の方法等に関し報告を行ったところでございます。専門家からは、調査頻度等は国のガイドライン等に即した妥当なものと評価をいただいており、また、他の委員の皆様からのご理解もいただいているところでございます。
 都といたしましては、引き続き、協議会において丁寧に説明しながら、地下水調査を適切に実施してまいります。
 最後に、協議会の専門家についてですが、豊洲市場における地下水等管理に関する協議会の専門家につきまして、土壌汚染や地下水流動等に関する専門的な知見を有しており、国の審議会等の委員や地下水学会の会長を歴任されるなど、知識と経験を有する方々を委員として選任しております。
 地下水の測定結果につきましては、客観的なデータに基づいた評価をいただいているものと認識しておりまして、都といたしましては、引き続き、専門的な知見を有する委員に適宜助言をいただきながら、適切に地下水管理を行ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大会経費の公表単位についてでありますが、大会経費につきましては、単年度の予算ではなく、平成三十二年度までの大会経費全体を大枠で示すものであり、事業によって具体化の進捗が異なりますことから、精緻化が異なる経費が混在しております。
 これまでのバージョンワン、バージョンツーでは、仮設等やオペレーションといった大きな区分で金額単位を五十億円単位としておりましたが、今般のバージョンスリーでは、大きな区分は同様としつつ、さらに区分を分け、十億円単位でお示ししたところでございます。
 なお、都、組織委員会ともに、各年度の予算においては千円単位、決算においては円単位で公表してございます。
 今後とも、経費の精緻化の度合いも踏まえながら、金額単位について組織委員会と調整してまいります。
 次に、共同実施事業の予算案の内訳についてでありますが、これまでも、仮設等やオペレーションといった大きな区分でお示ししてまいりましたが、今後も、予算案の審議などに当たりましては、契約発注において競争性を阻害するなどの影響を及ぼさないよう、事業執行に支障のない範囲で可能な限り明らかにしてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別養護老人ホームの整備費補助についてでありますが、都はこれまで、二〇二五年度末までの整備目標六万二千人分の達成に向け、整備率が低い地域の整備費補助に対する加算や都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減など、さまざまな独自の支援策を講じております。
 また、建築価格の高騰に対応し、一床当たり最大百五十万円の加算を行っており、今後とも、目標達成に向け区市町村や事業者を支援してまいります。
 次に、認知症高齢者への支援についてでありますが、東京都健康長寿医療センターが板橋区で実施した調査では、認知症の症状があるにもかかわらず、必要な支援につながっていない方が相当数いることがわかっており、都は、認知症の人とその家族が、住みなれた地域で安心して生活できるようにするため、認知症の容態に応じて適切な医療、介護、生活支援等を受けられる体制の構築に取り組んでおります。
 具体的には、都内五十二の医療機関を認知症疾患医療センターに指定するとともに、地域で認知症の方を支えるため、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村を支援しているほか、医療、介護従事者の認知症対応力の向上に向けた研修などを行っており、今後も、認知症施策の充実を図ってまいります。
 次に、認知症の方が生活しやすいまちづくりについてでありますが、都は、学識経験者、高齢者など地域の福祉関係者、民間事業者等が参加した福祉のまちづくり推進協議会の意見を踏まえて策定した東京都福祉のまちづくり推進計画に基づきまして、ユニバーサルデザインの理念に基づく取り組みを推進しております。
 この計画には、公共交通や建築物などのハード面に加え、公共施設等におけるピクトグラムで表記したわかりやすい案内サインの整備やヘルプマークの普及啓発の促進など、ソフト面の取り組みを盛り込んでおります。
 認知症の方を含めた高齢者など全ての人が、安心・安全、快適に暮らすことができるよう、国内外のさまざまな知見も参考としながら、福祉のまちづくりの取り組みを進めてまいります。
 次に、補聴器の購入費助成についてでありますが、身体障害者福祉法により、高齢者も含め、聴覚障害の認定を受けた難聴者に対しましては、区市町村が、障害者総合支援法の補装具費支給制度に基づいて補聴器の購入に係る費用を支給しておりまして、国及び都がその経費の一部を負担しております。
 また、高齢者に対し、補聴器の支給等を行う事業を独自に実施している区市町村を包括補助で実施しておりまして、引き続き、聞こえの支援など、高齢者を支える区市町村の取り組みを支援してまいります。
 次に、子供の均等割保険料についてでありますが、法令では、災害等の特別の理由や事情がある場合、区市町村の条例の定めるところにより保険料、保険税を減免することができるとされており、子供の均等割の減免の必要性についても、各区市町村が条例に基づき、個々の世帯の状況を踏まえて判断するものと認識しております。
 国民健康保険は全国統一の制度であり、子供に係る均等割保険料の軽減措置を含め、その制度上の課題につきましては、国が責任を持って対応すべきものと考えております。
 都は、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、子供に係る均等割保険料を軽減する措置を講ずるよう、国に対して提案要求をしております。
 次に、体罰によらない子育ての推進についてでありますが、都は、国のリーフレットを活用し、両親学級、育児相談等の機会を捉えまして、体罰等によらない子育てについて啓発を行うよう、区市町村に周知しております。
 また、育児に自信が持てない保護者等を対象に、育児不安の軽減を図る親支援プログラムなどを実施する区市町村を支援しており、こうした取り組みによりまして、体罰等によらない子育てを推進してまいります。
 最後に、一時保護所の体制強化についてでありますが、都の一時保護所では、児童の権利を尊重し擁護することを基本方針に、児童が安心して生活できるよう、個々の状況に配慮した支援を行っております。
 保護所の建てかえ等に当たりましては、国のガイドライン等も踏まえ、個人としての生活空間の確保や個別的なケアが行えるよう、居室を原則個室化することとしております。
 来年度は、一時保護所の定員拡充を図るとともに、夜間の見守りや心理ケアの体制を強化するため、専門職を増員することとしております。
 また、児童福祉審議会の専門部会におきまして、今月開始した一時保護児童への支援体制の強化策等の検討も、引き続き進めてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅耐震化の負担軽減についてでございますが、住宅の耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識し備えることが不可欠であり、費用負担の軽減に加え、所有者が主体的に取り組むよう働きかけることが重要でございます。
 都は既に、所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象に、耐震診断や改修等に対する助成などを実施しております。
 また、アドバイザーを派遣するなどにより、住宅の所有者への働きかけを行う区市町村の取り組みを支援しております。
 今後も、区市町村と連携しながら、こうした取り組みを通じて住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、個別訪問の強化についてでございますが、都は、かねてから普及啓発の取り組みを進めており、アドバイザー派遣などにより、住宅の所有者に働きかけを行う区市町村の取り組みを支援しております。
 これに加え、昨年度からは、対象区域を定め戸建て住宅への全戸訪問を行う区市町村に対する支援を拡充いたしました。
 今後も、区市町村と連携しながら、こうした取り組みを通じて住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸についてでございますが、本路線の実現により、開業区間と一体となって南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
 事業化に向けては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況を踏まえるとともに、収支採算性の確保に向けたコスト縮減策や収入確保策などの検討を行うことが必要でございます。
 都は、沿線市町、多摩都市モノレール株式会社とともに、これらの課題について検討を進めております。
 地元のまちづくりの進捗を踏まえて計画の熟度を上げるなど、引き続き、関係者との協議、調整を進め、多摩地域における交通インフラの充実強化に取り組んでまいります。
 次に、多摩都市モノレールの通学定期券の値下げについてでございますが、多摩都市モノレールは、地域に密着した交通機関として、安全を最優先に、利用者に対し正確で快適なサービスを提供し、地域の発展に寄与することが使命でございます。
 これを運営する多摩都市モノレール株式会社では、これまで十年連続で黒字を計上する一方、開業後二十年が経過し、老朽化した施設や設備の大規模改修を進めるとともに、多額の長期債務を確実に返済することなどが課題となっております。
 このため、同社では、昨年六月に策定した中期経営計画におきまして、将来にわたり地域の公共交通機関としての使命を果たしていくために、経営基盤の強化を目標の一つに掲げており、都としても、こうした取り組みがまずは重要であると認識しております。
 次に、横田基地におけるオスプレイの情報提供についてでございますが、米軍の運用に関する情報は、国の責任において提供されるべきものでございます。
 国は、横田基地におけるオスプレイの離着陸情報の提供を、従来の日報から月一回の集計情報に変更する見直しを行いました。
 しかしながら、オスプレイの正式配備後、間もないことから、見直しを行うには時期尚早であり、都は、本年一月九日、国に対し、日報による情報提供を継続するよう要請いたしました。
 今後も、国に対して、適切に情報提供を行うよう求めてまいります。
 次に、横田基地におけるパラシュート降下訓練の中止についてでございますが、横田基地は西太平洋地域の米軍の空輸ハブとしての役割を担っており、輸送部隊が駐留しております。
 国からは、人員や物資を空輸する能力を保持することが不可欠であり、パラシュート降下訓練はそのための通常訓練として行われていると聞いております。
 安全保障に関することは国の専管事項ではございますが、米軍の運用に当たっては、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地元住民に影響を与える事柄については、適切に情報提供を行うべきでございます。
 都はこれまでも、地元自治体とともに、国や米軍に対し、安全対策の徹底等を求めてきており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。
 次に、米軍ヘリコプターの訓練の実態把握についてでございますが、米軍の運用に関する情報は、国の責任において取得し、提供される必要がございます。
 このため、都は、国への提案要求等を通じ、お話の大和田通信基地を含め、都内米軍基地において周辺住民に影響を及ぼすような米軍の訓練や飛行の実施等に関する情報を、地元自治体に提供するよう国に要請してまいりました。
 今後も引き続き、訓練等の情報提供を国に求めてまいります。
 最後に、米軍基地の整理、縮小、返還についてでございますが、米軍基地は日米安全保障体制の一翼を担うものであり、日米地位協定では、必要でなくなった場合は我が国に返還しなければならず、そのために必要性を絶えず検討する旨が定められております。
 都は、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進する観点から、お話のありました赤坂プレスセンターを初めとする都内米軍基地の返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されるよう、提案要求を通じて国に要請しております。
 今後も引き続き、基地の整理、縮小、返還に向けて取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、市町村消防団の装備への支援についてでございますが、発災時の初期消火や救出救助活動など、地域における防災活動の中核となる消防団は重要な存在であり、都は、消防団の装備拡充のため、管理運営を担う市町村の実情に応じて主体的に配備を進めていくための支援を行っております。
 引き続き、市町村と連携し、消防団員に対する装備の支援を進めてまいります。
 次に、市町村総合交付金による消防団支援についてでございますが、市町村総合交付金は、防災対策、インフラ更新、産業振興など、地域が抱えるさまざまな課題の解決に向け、市町村が取り組む各種施策に要する一般財源の補完としての役割を果たしており、消防団の装備や研修実施経費については、従来から、市町村の判断により充当することが可能となっております。
 また、平成三十年度から、特別区消防団の装備を念頭に置き、市町村による装備の充実が円滑に進むよう政策連携枠を設定いたしました。
 引き続き、市町村総合交付金により、多摩・島しょ地域の消防団の装備の充実などを支援してまいります。
〔百二十五番清水ひで子君登壇〕

○百二十五番(清水ひで子君) 市場移転問題で知事に再質問します。
 私は、知事が一昨年六月の基本方針で、築地は守る、市場としての機能が確保できるための方策を見出していきたいと言明したことが、築地まちづくり方針素案でことごとく覆されていると質問し、見解を求めたのです。
 これに対して知事は、築地が培ってきた大切なものを守り発展させていくという思いで、築地は守ると述べたと答弁しました。
 ごまかさないでください。築地が培ってきた一番大切なものは市場機能ではありませんか。だからこそ、知事は、市場としての機能が確保できるための方策を見出していきたいと言明していたのです。
 市場としての機能を確保するという約束は守るのか否か、ごまかさずに答えてください。
 二問目です。有償所管がえの目的について伺います。
 知事の答弁を聞いて、有償所管がえの目的は、一つは市場会計の赤字の穴埋め、いま一つは民間による自由な開発ができるという二点かと思いました。この二点で間違いありませんか。知事、いかがですか。
 市場会計から一般会計に有償所管がえをすれば、市場とは無関係な民間開発がやりやすくなるのではありませんか。知事、いかがですか。
 四問目です。築地のまちづくりについて、知事は、築地に思いを寄せる仲卸業者の意見を聞きながら丁寧に対応していくと答弁しました。
 仲卸業者の意見を、いつ、どのように丁寧に聞くのですか、具体的にお答えください。
 以上四点の質問に、知事、お答えください。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 改めてお答えを申し上げます。
 先ほど基本方針について申し述べさせていただきました。私が基本方針で示しましたのは、豊洲と築地の両方を生かすということを趣旨とする大きな方向性でございまして、日本の中核市場としての可能性を持つ豊洲、そして都心に近くさまざまなポテンシャルを有する築地、この両方を生かすということで、東京全体の価値を高めていくものでございます。
 その中で、築地の食に根差した歴史やポテンシャルなどを踏まえまして、貴重な都民の財産である築地市場の跡地はしっかりと生かすというべきことを申し上げたところでございます。
 よって、こうした基本方針、方向性は何ら変わってはおりません。
 そしてまた、築地のまちづくりについて、水産仲卸の業界団体に対しましても、検討会議の状況など情報提供を行ってきておりまして、この築地、今後のまちづくりの方針の素案についても、丁寧に説明を行っているところでございます。
 基本方針でお示しをいたしました大きな方向性については変わっておりません。改めて申し上げさせていただきます。
 残余のご質問につきましては、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 有償所管がえの目的について、民間開発につきまして、二問の再質問にまとめてご回答申し上げます。
 今回の有償所管がえは、公共的、公益的なまちづくりに留意するとともに、経済合理性を考慮しながら、都民の貴重な財産であります築地市場跡地を有効活用し、東京全体としての価値の最大化を図っていくためのものでございます。
 このため、民間への単なる売却でもなく、また民間の自由な開発を促すものでもなく、あくまでも東京都が所有し有効活用することとしておりまして、今回の有償所管がえは、関係規則にのっとり、市場会計と一般会計との間でそれぞれが保有する資産を等価で交換するものでございます。
 したがいまして、市場会計の赤字を補填するために一方的に税金を投入するものでもなく、かつ、単なる民間開発を進めるものでもございません。

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