平成三十一年東京都議会会議録第三号

   午後六時十分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君。
〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 去る一月二十三日にご逝去されました名誉都民山田禎一氏並びに二月二十四日にご逝去されましたドナルド・キーン氏のご生前のご功績をたたえますとともに、謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 都議会公明党を代表して、質問を行います。
 初めに、財政運営についてであります。
 先般発表された平成三十一年度予算案は、一般会計の規模で約七兆四千六百十億円、全会計の合計で約十五兆円と、都政史上過去最大となりました。
 一方で、さきの平成三十一年度税制改正では、地方法人課税のいわゆる偏在是正について新たな措置が講じられ、今後、都の毎年の減収額は約八千八百億円に上ります。
 加えて、頻発、激甚化する自然災害、人口減少や少子高齢化の進展など、東京が直面する課題は山積しており、都民生活を守るための財政需要は、今後ますます増加することが見込まれています。
 将来にわたって都の必要な取り組みを堅持するため、我が党が推進してきたバランスシートや行政コスト計算書を活用した事務事業の評価や起債、基金を創意工夫して活用する財政運営を行うべきであります。知事に見解を求めます。
 次いで、防災、減災について質問します。
 まず、災害時の避難所ともなる公立の学校体育館への空調設置について、我が党が提案した都独自の補助制度を盛り込む補正予算が昨年十二月に成立したことによって、迅速に整備が開始されています。
 加えて我が党は、市区町村からの要望があるリース契約に都が補助するよう主張し、その点も新年度予算案に盛り込まれています。
 今後の空調整備を促進するには、市区町村が活用しやすい、こうした整備方法を丁寧に説明し、空調設置を強力に後押しすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、国庫補助について質問します。
 都は、我が党の強い要請に応え、国の交付金が獲得できなかった場合は、臨時措置として都がその分を補助するという方針を示しました。整備促進を図るための必要な措置であり、高く評価します。
 実際に国の補正予算では、都内で交付金は採用されませんでした。市区町村がこうした事態でも断念することなく、来年度も着実に空調の整備を進めることができるよう、都の支援策を明確に打ち出すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 一方、市区町村においては、中学校の授業において武道が必修科目となったことから、武道場の新設を図り、空調設置を検討しているところがあります。武道場に敷かれた畳が避難所に適しているとの考え方もあるそうです。
 そこで、武道場についても、体育館と同様に都の補助スキームを活用できるようにすべきと考えます。
 また、都立学校においても武道場は設置されており、都立学校の武道場にも空調設備を設置すべきです。あわせて都の見解を求めます。
 また、多摩地域においては、市民センターや公民館に体育室を設置し、避難所として活用している市町村もあります。
 そこで、これらの体育施設については、我が党の提案で十億円の増額となった市町村総合交付金の積極的な活用を図るなど、都として支援していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、防災、減災対策を進める上で重要な都民の防災意識の強化について質問します。
 昨年、全国各地で発生した自然災害の教訓を踏まえ、都議会公明党は、第三回と第四回の定例会において、行政が事前に発信しているハザードマップなどの防災情報や発災時に発信する臨時情報が住民の避難行動に結びついていない課題を取り上げ、都民の自主的な避難行動につながるマイタイムラインの作成や水害リスクを肌で実感できる映像などの活用を提案しました。
 これに対し都は、マイタイムラインの作成を都が独自に支援することや、VRを活用した水害の疑似体験、浸水時の深さを視覚的に確認できるスマートフォンアプリの導入などの方針を明らかにしました。
 国交省は現在、平成二十七年の関東・東北豪雨による鬼怒川決壊被害を教訓に、マイタイムラインの普及を図っています。これをさらに進化させ、都が独自にマイタイムラインの作成を支援していけば、より都内の立地に適した避難行動に結びつきます。都の取り組みの特徴を明らかにするとともに、迅速かつ幅広く普及を図るべきです。
 こうした取り組みを通じて、都民が日常的に災害を意識する防災意識社会への転換を図ることについて、知事の見解を求めます。
 その上で、迅速な避難行動を確実なものとするためには、災害時にとるべき避難行動を我が事として模擬体験できることが重要です。ワークショップでマイタイムラインの作成に取り組むなど、地域ごとの防災力の強化を図る取り組みを進めるべきです。
 加えて、こうした取り組みの際に中核となる人材が不可欠です。都が積極的に養成を図り、確保するべきと考えます。あわせて都の見解を求めます。
 次に、ドクターヘリについて質問します。
 現在、都の救急医療では、消防庁のヘリコプターを活用した東京型ドクターヘリが活躍しています。これは、都議会公明党が平成十八年の第四回定例会で提案し、実現に導いたものです。これが契機となり、全国で病院から直接離発着するドクターヘリが普及し、今では四十三道府県に五十三機が導入され、救命率の向上に大きな成果を上げています。
 一方、東京オリ・パラ大会の際には、救急要請が錯綜する事態が予想されます。
 そこで、既に災害時向けに整っている隣県との協力体制を今後は平時にも拡大し、隣県のドクターヘリと東京型ドクターヘリとの連携による、より重層的な救急医療体制の整備に向け、協定を締結すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次いで、東京オリ・パラ大会について質問します。
 昨年十二月、大会経費V3予算が公表されました。総額は一兆三千五百億円で、V2と同額になっています。しかし、中身を見ると、輸送、オペレーション、管理、広報で計二百億円の増額となっており、そのうち百五十億円の増額を調整費で補っています。
 今後、大会本番に向けてさまざまな契約等が本格化する中で、経費増の圧力がますます強まると想定されます。事実、今月十五日の組織委員会理事会では、開会式、閉会式の契約金額の上限が九十一億円から百三十億円に増額変更されています。
 本年末に公表されるV4予算でもさらに経費が追加され、増額となる可能性を否定できません。
 今後とも、経費の見直しをしっかりと進めながら、都の追加負担にならないよう、大会経費一兆三千五百億円の枠組みを堅持すべきであります。知事の見解を求めます。
 V3予算で都の負担は六千億円となっています。この六千億円のうち、恒久施設を除く三千七百五十億円は、都と国と組織委員会との共同実施事業における都側の負担となります。共同実施事業に対し、都の支払いは平成二十九年度末の時点で四十七億円にとどまっていますが、共同実施事業の多くは、むしろこれからの契約締結となります。
 既に現時点で七件の契約が守秘義務を理由に契約金額すら伏せられています。スポンサー企業には優先的に契約を結ぶ権利が保障されているとはいえ、都の公費が投入されていることを踏まえれば、組織委員会が守秘義務を負う契約分も含め、全ての契約内容を開示し、透明性を確保するべきであります。知事の見解を求めます。
 このほど、東京オリ・パラ大会のチケットの価格や販売時期等が公表されました。IOCやスポンサー企業による開会式なども含めたチケットは、今後、IOC、国際競技団体、各種のスポンサー企業に配分されますが、その際、できる限り多くのチケットが一般参加者向けに確保されるよう努めるべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、都議会公明党がかねてから要望してきた東京オリ・パラ大会に子供たちを招待する事業について質問します。
 会場での観戦を通じて、ボランティアマインドや障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚などを育成し、レガシーとしていつまでも子供の心に刻まれることを期待します。
 その上で、子供たちが安全に観戦できるためには、会場までの交通費や必要な引率者に対するチケットやトイレの確保などが重要です。特に幼稚園児や低学年の児童については、十分な暑さ対策に努めるべきです。さらに、特別支援学校では、より多くの付添者が必要であり、バスの手配を含め、周到な準備が求められます。
 また、現在、都は、オリンピックかパラリンピックのどちらかの機会に一回は参加できるようにするとしていますが、都議会公明党としては、オリとパラのそれぞれの機会に子供たちが観戦できることが望ましいと考えております。
 今後、平成三十一年度中に学校ごとにチケットの希望数を募るそうですが、以上のような課題に解決のめどが立たなければ、観戦する競技の選択も、チケットの希望数を学校として確定することも困難です。
 こうした課題に都は早急に対処し、希望する全ての子供たちが観戦できるようにするべきです。知事の見解を求めます。
 次に、東京オリ・パラ大会の文化プログラムについて質問します。
 我が党は、さきの定例会で、オリンピックにおける文化プログラムの重要性について、大会そのものの成否が問われるほど重要な位置づけにあり、党として東京オリ・パラ大会招致に全力を挙げた理由の一つも、スポーツにとどまらない平和と文化の祭典だからであると強調いたしました。
 あわせて、文化プログラムは認知度が低く、盛り上がりに欠けていると指摘いたしました。文化の祭典の成功には、子供たちを含め都民が主役となり、文化プログラムを実感できる取り組みを進めていく必要があります。
 そこで、以下の二点の改善を提案いたします。
 第一に、文化プログラムの推進によって、都民の草の根の文化活動を支援する仕組みを構築し、都内各地域の文化振興を図るべきです。
 第二に、都内の子供たちにも芸術文化に接する機会を提供して、学校と連携して文化プログラムを推進するなど、学校教育の活動の中で未来の文化都市東京の礎となる取り組みを進めるべきです。
 この二点に対する新年度の取り組みについて、具体的な答弁を求めます。
 次に、東京オリ・パラ大会における被災地とのスポーツ交流について質問します。
 復興支援の充実を求めてきた我が党の提言を踏まえ、今回都が、被災地の子供たちを競技観戦に招待する方針を打ち出したことは大変意義あることだと高く評価いたします。
 特に都は、都議会公明党の提案を受け、東日本大震災直後の夏休みから八年間、被災地の子供たちと東京の子供たちとの野球やサッカーなどのスポーツ交流事業を実施し、スポーツの力で被災地を応援してきました。
 これまでの積み重ねを生かして、競技観戦だけでなく、都内の子供たちとの交流の機会を設けることができれば、東京オリ・パラ大会がさらに貴重な思い出となるものと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、被災地支援について質問します。
 被災地の声を受けて都議会公明党が提案し、東日本大震災直後から始まった被災地応援ツアーも平成三十年度で八年目を迎えます。都は今年度も、宿泊については二万泊、日帰りについては一万五千人を計画し、福島県の震災からの復興に継続的に取り組んでいます。
 今年度は特に宿泊旅行が好調で、昨年十二月末時点で前年度に比べ二、三割増加して推移していると聞いております。この間の取り組みの成果が少しずつあらわれているといえます。
 しかし一方で、浜通り地方では、依然として震災前と比べ観光客数の回復がおくれております。福島県からは、浜通り地方の振興に向け、県が推進するホープツーリズムも被災地応援ツアーの対象に加えていただきたいという強い要望が寄せられています。
 このホープツーリズムも被災地応援ツアーの対象とし、来年度も引き続き福島県の復興にしっかり貢献していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、交通政策について質問します。
 現在、東京オリ・パラ大会の交通需要マネジメントとして、首都高速道路のロードプライシングなどが検討されています。その上で、さらに検討を要するのが現時点でも問題となっている首都圏の高速道路の渋滞です。
 圏央道の内側は、建設時の経緯などから、首都高速道路、東日本高速道路、中日本高速道路の各社の高速道路に分かれ、その境目となる本線道路上の地点に二十九カ所もの料金所が存在し、これがボトルネックとなって渋滞が発生しています。
 その中でも特に渋滞が激しいのが、羽田空港から都心に向かう大井本線と平和島本線の料金所と、多摩地域から都心に向かう永福料金所であります。
 現在、首都高速道路内にある大井本線と平和島本線の料金所は既に運用を停止し、撤去工事が始まっていますが、永福料金所については、中日本高速道路と首都高速道路にまたがっているため対策が進んでいません。
 昨年十一月現在、首都高でのETCの普及率は、普通車で九六・一%、大型車で九九・四%に達しています。この状況を踏まえて都は国と協議し、渋滞の解消に向けて高速道路上の本線料金所を撤去すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、鉄道路線の整備について質問します。
 東京が稼ぐ力をつけるためには、海外から人、物、金を呼び込むための国際競争力の向上が不可欠であります。東京と日本の成長を考える検討会においては、東京の国際競争力強化のために必要となる六つの分野の取り組みが提言されており、その一つが鉄道ネットワーク等の強化です。
 平成二十八年の国の交通政策審議会においては、東京の空の玄関口である羽田空港へのアクセスや、通勤通学時の混雑緩和、時間短縮、さらには多摩地域の鉄道空白地域へのアクセスなど、整備を優先すべき六路線が示されました。この総事業費は一兆円に上り、東京の経済波及効果は約一・六兆円、税収効果は約百八十億円、雇用創出は約十・四万人と試算されています。
 そこでまず、この優先すべき六路線それぞれの進捗状況と今後の見通しについて、都の見解を求めます。
 また、鉄道ネットワーク等の強化は、国と東京都の実務者協議会の重点協議事項の一つとなっています。
 そこで、都は、この優先すべき六路線に対して、具体的にいかなる支援を求めていくのか、知事の見解を求めます。
 次いで、都庁の執行体制の強化について質問します。
 我が党ではこれまでも、多岐にわたる住宅施策をより強力かつ機能的に進めていくため、一貫して住宅局の設置を提案してまいりました。
 また、青少年・治安対策本部と福祉保健局にまたがっていたひきこもり支援についても、八〇五〇問題といわれるひきこもりの長期化、高齢化の問題を踏まえ、早期に対象年齢を撤廃し、局横断的な体制を整備すべきと要望してまいりました。
 こうした提案が実を結び、四月からは、都市整備局から住宅部門を独立させ、住宅政策本部を設置するとしています。今定例会において、マンションの適正管理にかかわる条例案が提出されたこともあり、まさに今が住宅行政を刷新するよい機会と考えます。
 加えて、ひきこもり支援についても福祉保健局に一元化することになり、切れ目のない事業が実現します。
 また、持続的な活力ある東京を目指して、新たに戦略政策情報推進本部を設置するなど、時代の様相が大きく変化する中、それぞれの施策に集中できる体制が整備されたことは大いに評価するところであります。
 そこで、今回の組織改正の考え方について、知事の見解を求めます。
 次いで、住宅政策について質問します。
 住宅政策は、あらゆる住民福祉の根幹であります。さらに、ひいては社会全体の活性化や経済の発展にもつながることから、我が党は、その進展を大いに期待するものであります。
 そこで、何点か質問します。
 まず、都営住宅における管理制度の見直しについてであります。
 都営住宅の入居については、名義人が七十五歳以上の世帯は全体の四割を超え、単身者はその半数の約五万人となっており、今後も高齢化、単身化が進むことから、自治会活動の持続可能性などが問われています。
 この点、子育て世帯への支援策として期待されているのが、期限つき入居制度であります。
 しかし、ひとり親世帯は対象とされていないなど、住民ニーズとミスマッチが指摘されています。
 さらに、低収入で住宅に困窮する就職氷河期世代の人々などの若者単身者などからは、そもそも入居資格がない現状の根本的な見直しを求める声が上がっています。
 一方、住宅政策審議会が取りまとめた中間のまとめでは、期限つき入居期間を同居する子供の就学期に注目して、定期使用住宅の入居期間を高校修了期まで延長することが検討されています。
 そこで、今後の都営住宅の管理制度のあり方については、入居制度の見直しにより、多世代共生の実現を目指すとともに、期限つき入居期限の延長や単身者入居の年齢制限の変更など、福祉政策の視点からも見直すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、民間住宅を活用したセーフティーネット住宅について質問します。
 都内の賃貸住宅のストックは豊富であり、これを活用して高齢者や障害者、ひとり親家庭などの住宅確保要配慮者の住環境の整備を図ることは、幾重にも効果の発揮が期待される取り組みであります。都議会公明党はこの推進を訴え、都独自の補助制度の実現などを導いてまいりました。
 その上で、今後は居住支援法人を活用すべきです。居住支援法人は、困難を抱える居住者に寄り添ったケアを日ごろから実践しており、貸し主との間に立って、不安の軽減やトラブルの発生を防ぐことが期待されています。
 新年度予算では、その活動を促進するためのインセンティブの付与などの措置を講じるべきであります。都の見解を求めます。
 また、住宅確保要配慮者の中で大きな割合を占めているのが高齢者であり、貸し主の多くも高齢入居者がお亡くなりになった際への対応などに不安を抱いています。関係者が利用しやすく、安心感を醸成できる新たな支援策を構築すべきです。都の見解を求めます。
 次に、東京都住宅供給公社が設置し、管理する一般賃貸住宅、いわゆる公社住宅の室内修繕について質問します。
 公社住宅では、フローリングや畳床、ふすまや障子などの室内設備の老朽化に伴う修繕について、居住者負担の緩和が長年課題とされており、都議会公明党は再三その見直しを求めてきたところであります。
 こうした中、昨年末には石井国土交通大臣が、都市再生機構が管理するUR賃貸住宅において居住者負担を大きく軽減する新たな方針を発表しました。居住者に負担が求められる修繕内容が八十一項目から十一項目に削減され、大きな反響を呼んでいます。
 これを受け、我が党は改めて十二月二十八日、東京都住宅供給公社に国の取り組みに沿った改善を申し入れました。公社住宅居住者の負担軽減の方針を早急に表明するべきであります。都の見解を求めます。
 次いで、都営住宅の浴室設備の取りかえに関する居住者負担の緩和について質問します。
 都営住宅の浴室設備は、社会情勢の変化を踏まえ、家主である東京都側で設置することが昭和五十七年度から標準仕様に組み込まれ、故障や老朽化による取りかえも都側で対応しているところであります。
 しかし、現在の仕様が整う前の昭和五十六年度以前からの入居者は、もともと自費で風呂釜や給湯器などを購入している上に、故障や老朽化の際にも自費での対応を余儀なくされています。従前居住者の多くは、既に現役を終えて年金生活に移行しており、自費での対応は大きな経済負担となっています。
 隣室の新規入居者には都から新品の浴室設備が提供されるのに、自分たちは自費での対応を求められるという不公平感に強い不満を抱いています。この点、既にURの賃貸住宅や公社住宅では是正が図られ、家主側の負担とされています。住宅政策審議会でも高齢世帯の暮らしの安心は課題となっています。
 住宅政策本部が立ち上がる新年度以降は、この点の改善を図る計画を立案し、不公平な取り扱いの確実な解消を図るべきであります。知事の見解を求めます。
 次いで、バリアフリーについて質問します。
 都は、今定例会に高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例案を提出し、ホテル等の宿泊施設における車椅子対応の進展を図るとしています。
 今回の条例改正は、一千平米以上の宿泊施設における一般客室を対象に、建築確認申請にかかわる義務規定を全国で初めて設ける画期的なものであります。
 その上で、都議会公明党には、障害者団体などから条例改正の機を捉えたさらなる改善を求める声が寄せられており、我が党は二月四日、当初案の見直しを求め、直接知事に申し入れを行いました。
 その結果、提出案では、我が党の要望に全て応える改善がなされており、迅速な対応と高く評価します。
 例えば、JIS規格上限の七十センチメートルに近い幅広の車椅子でも出入りできるよう、バスルーム等の間口で七十五センチメートル幅への対応を目指す必要がありました。この点は、我が党の申し入れで、七十五センチメートル幅への対応も努力義務として条例本文に反映されています。
 また、今後、条例に基づく望ましい客室整備が進むよう、環境整備を都知事の努力義務とする規定が明記されています。
 さらに、さまざまな改善を見据えた三年後の見直しの検討が、条例本文の附則として追加されています。
 今後は、この改正条例に基づく新たな宿泊施設の建設や改修が具体的に進むよう、客室設計の発注者であるホテルのオーナー企業などに対し、理解の促進を図ることが重要です。条例改正の実効性を高めるべく、知事が積極的にリーダーシップを発揮すべきであります。知事の見解を求めます。
 また、条例に対応した客室整備には、新築だけでなく既存ホテルにおいても、客室リフォームの際に条例対応を促すためには、補助など都による特別な支援が必要であります。知事の見解を求めます。
 次いで、子育て支援について質問します。
 先般、幼児教育、保育を無償化する法改正が閣議決定され、本年十月より実施されることとなりました。
 公明党は、平成十八年に発表した少子社会トータルプランで幼児教育の無償化を提言し、その実現に取り組んでまいりました。
 今回の国の無償化方針は大きな前進でありますが、三歳児以上は全世帯が対象であるにもかかわらず、ゼロ、一、二歳は非課税世帯だけが対象となっています。少なくとも二人目、三人目以降の多子世帯にあっては、都独自に課税世帯を補助の対象に加えるべきです。都の見解を求めます。
 また、学校教育法で定められた幼稚園には該当しないものの、自治体が認めた施設で幼児教育を行う幼稚園類似施設、いわゆる類似園の関係者から、類似園も無償化の対象に加えるよう、強い要望を頂戴しました。内閣府や文部科学省に要望してまいりましたが、残念ながら対象外となっています。
 都内には十五園の類似園があります。大規模幼稚園になじめない子や障害児を受け入れるなど、長年、地域に貢献してきたとの評価があり、都としてその必要性を認めてきた経緯もあります。
 無償化の流れが進む中、支援に差が生じないよう、類似園保護者の負担の軽減に取り組むべきであります。都の見解を求めます。
 次に、新生児の聴覚検査について質問します。
 先天性の聴覚障害であっても、出産直後の早期発見とその後の早期療養により、音声言語の発達などへの影響を最小限に抑えることができるといわれています。
 しかし、その一方で、検査機器が導入されていない医療機関もあるという現状があります。新生児聴覚検査の情報を妊産婦に周知するとともに、検査できる医療機関の拡充や、障害を発見した後に早期療育に結びつける支援の充実などが重要です。
 新生児聴覚検査については、かつて公明党が都内で行った署名運動で約十七万人の賛同が寄せられ、都の助成金によるモデル事業となった経緯があります。
 その後、平成二十九年の第三回定例会における我が党の提案を受けて、都は市区町村及び東京都医師会との間で同年十二月から、新生児聴覚検査の公費負担制度の導入について協議に取り組んでいます。
 また、昨年の第一回定例会での我が党の強い主張により、市区町村における検査結果の把握方法や、療育の早期開始に向けた対応、保護者への支援など、関係機関との協議や専門家等による検討が始まっています。
 そこで、全ての新生児が都内全域で新生児聴覚検査を受けられるための体制の整備と、早期療育に向けた取り組みの充実を期すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、児童虐待の根絶に向けた対策について質問します。
 昨年三月に、都内で五歳児の船戸結愛ちゃんが虐待死する痛ましい事件が発生し、都議会公明党は、子供を虐待から守るための条例の制定と児童虐待の防止を図る全庁横断的なプロジェクトチームの設置を要望しました。
 その結果、プロジェクトチームが立ち上がるとともに、今定例会への体罰禁止規定を盛り込んだ条例案の提出につながっています。
 しかし、我が党は昨年十一月、厚生委員会で、その時点での条例骨子案に警察との連携についての言及がない点などの課題を指摘し、安否確認について警察との連携を明記するよう改善を求めたところであります。
 そこで、この点、条例案ではいかなる改善が施されたのか、知事の見解を求めます。
 先月には、船戸結愛ちゃんの教訓が生かされず、千葉県の小学四年生の栗原心愛ちゃんが虐待死する痛ましい事件が発生しました。
 政府は、八日に緊急の総合対策を決定し、安全確認や新ルールの設定、児童相談所の体制強化、職員の資質向上などの方針を示し、今国会に児童福祉法改正案を提出するとしています。
 そこで、国の方針決定を受け、都としても緊急対策を打ち出すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、特別区においては、二〇二〇年度に世田谷区、荒川区、江戸川区の三区で児童相談所の設置が予定されていますが、児童相談所では一時保護や施設入所など、地域を越えた広域的対応が求められる場合があります。したがって、今後、都と区との連携強化は一層重要性を増していくことになります。
 都の児童相談所や子供家庭支援センターの強化を含め、東京の児童相談行政は大きなターニングポイントに差しかかっています。悲惨な児童虐待の根絶に向け、この機を捉えて、東京全体で中長期的な視点から児童相談所体制を強化していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次いで、教育政策について質問します。
 都は来年度、学校を多角的に支援する新たな財団を設立するとのことであります。
 我が党はこれまで、教員を支援するスクールサポートスタッフや部活動指導員の導入など、教員の働き方改革と教育の質の向上の両立を図るために、学校をサポートする対策の充実を提案してきました。
 教育現場においては、いじめの未然防止や不登校対策、プログラミング教育や部活動の充実など、多岐にわたる教育課題に対応する必要があり、教員の負担やその力量だけに頼る解決方法には限界があります。
 こうした状況の中で、新財団の設立でこれらの問題は解決していくのか、この点について都教育委員会の見解を求めます。
 次に、特別支援学校での給食のあり方について質問します。
 現在、都立特別支援学校では、口から食事をとれない胃瘻などの児童生徒に対して、栄養剤を経管摂取させる方法で食事の提供を行っています。しかし、こうした子供たちに対し、通常の食事をミキサーでペースト状にした、ミキサー食を取り入れている病院や家庭がふえています。
 神奈川県では、ミキサー食が既に県内の全特別支援学校で実施されており、我が党は保護者からの要望を受け、県立相模原中央支援学校を視察してまいりました。同学校では、他の子どもたちに提供するのと同じ食事をお盆に乗せて子供たちに見せた上で、そのにおいや色合いを確かめさせてからミキサーにかけ、経管栄養食として提供しています。
 栄養剤と比べてミキサー食は、より通常の食事に近い状態のため、胃や腸の働きがよくなるほか、子供の栄養状態が改善するケースが多く、風邪を引く子供が減るなど、病気に対する抵抗力も増しているとのことでありました。
 都立の特別支援学校においても、必要とする児童生徒に対しては給食にミキサー食の導入を検討すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、障害者グループホームへの支援について質問します。
 都議会公明党は、障害者グループホームの都の報酬加算の見直しについて、事業者からの数回のヒアリングの結果に基づき、昨年七月、知事宛てに障害者グループホームへの支援の充実を求める要望書を提出しました。
 加えて、その後の第三回定例会の代表質問でも支援の充実を求めたところであります。
 我が党の申し入れにより、事業者の準備期間が考慮され、都の加算の見直しの実施は本年一月に延期されましたが、特別な支援を要する重度障害者を積極的に受け入れる事業者は、依然として経営が厳しい状況にあることは変わりありません。
 都は、特別な支援を必要とする重度障害者が、安心して今後もグループホームで生活できるよう、早期に事業者の経営を支える支援策を実施すべきであります。都の具体的な対策について見解を求めます。
 次に、地域包括ケアについて質問します。
 東京オリ・パラ大会終了後の二〇二五年、我が国においては団塊の世代が一斉に七十五歳以上となり、人口の五人に一人が後期高齢者になるという超高齢社会が訪れます。国はその際、増大する社会保障費を抑制するために、在宅で医療、介護が受けられるようにする地域包括ケアを強力に推進しています。
 その際に直面する課題の一つが、認知症の問題と老老介護のレスパイトケアの問題です。
 まず、認知症の問題です。
 認知症が重症化しても家族のもとで生活できることは、大変にすばらしいことです。反面、家族の負担ははかり知れないものがあり、本人にとっても徘回などで悲しい結末を迎えることもあります。
 こうした中、住みなれた地域で家庭的な雰囲気の中で暮らすことのできる認知症グループホームは、これからますます重要な役割を担うことになります。
 しかしながら、認知症グループホームの最大の課題は、低所得の方でも利用料が十五万円から二十万円ほどかかり、特別養護老人ホームと比べて利用料が高いということであります。
 認知症グループホームの場合、特別養護老人ホームと異なり、宿泊コストや食費が介護保険の補足給付の対象外であり、所得に応じた利用料の軽減もないからであります。したがって、国民年金で生活をする方は、あきがあっても経済的な理由で入所できません。
 このような状況を踏まえ、現在、都内の八つの市区町で家賃や食費の助成制度が実施されていますが、広がりがないのが実情であります。
 そこで、都は、認知症グループホームの利用料の負担軽減に取り組む市区町村を財政的に支援すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、老老介護のレスパイトケアの問題です。
 介護現場の声を聞く中で必ず出てくるのが、老老介護の中で介護をする方が病気等になった場合、要介護者の受け入れ先がないという問題です。
 このような実情を解決するために、都議会公明党は代表質問等で、ショートステイも実施している介護老人保健施設を活用して、レスパイトケアを実施することを提案いたしました。
 都は、この提案を受け、昨年十二月に老健ショートステイ機能活用促進事業を立ち上げ、東京都老人保健施設協会のホームページにショートステイ空室情報を表示できるようにしました。二月二十一日時点で百二十四の東京都の老人保健施設がこの空室情報に登録をしています。
 大事なことは、この仕組みを広く都民に周知するとともに、現場のケアマネジャーが理解をし、活用できるように都が取り組んでいくことであります。都の見解を求めます。
 次に、高齢者の運転免許の更新に伴う認知機能検査の実施体制について質問します。
 我が党は、平成二十八年の第四回定例会の代表質問で、高齢運転者による交通事故を防ぐため、高齢者の免許更新に伴う講習の受講待ち状態を改善するための工夫と免許の自主返納を促す取り組みの充実を求めました。
 これに対し、当時の警視総監は、民間教習所での実施に加え、新たに府中と鮫洲の両試験場でも講習を開始すると答弁し、翌年にはその改善が実現され、現在に至っています。
 しかし、その後の高齢人口の増加は一層著しく、特に七十五歳以上の免許更新で必要な認知機能検査は、都内四十六カ所の民間教習所の多くで数カ月先まで予約がとれない状態にあり、検査後の高齢者講習においても長い受講待ちが余儀なくされています。
 高齢者講習の通知は免許の有効期限の六カ月前に伝達されますが、検査や講習をスムーズに利用できないことに不満が高まっています。
 また、七十五歳以上の都内の免許保有者数が二十九万人余りであるのに加え、六十五歳から七十歳までの免許保有者は五十一万人余りという状況にあり、今後、認知機能検査の満杯状態がさらに悪化することは、まさに明らかであります。
 その点、埼玉県では、民間教習所を中心とする認知機能検査体制の限界を認め、県警察署や県警が借り受けた会場での警察官OBを活用した実施体制中心に切りかえています。
 そこで、警視庁においても、五年先、十年先を見据えて、認知機能検査は公的機関中心の体制に切りかえ、民間教習所が高齢者講習に可能な限り専念できるよう改善を早期に実施すべきと考えます。警視総監の見解を求めます。
 次いで、環境対策、特に廃プラスチック対策について質問します。
 我が国は、国民一人当たり年間百九十本を消費するペットボトル大国であり、年間百五十万トンの廃プラスチック等を主に中国に輸出してきました。
 しかし、昨年一月から中国が廃プラスチックの輸入を禁止したため、都内の事業系廃プラスチック類が行き場を失い、処理問題に直面しています。
 そこで、何点か質問します。
 まず、中国の輸入規制への対応策として、新たな処理ルートを開拓すべきであります。今、セメント業界は主に石炭を燃料としていますが、今後、石炭にかわり、分別された質の高い廃プラスチックの活用を進めていけば、リサイクルの受け入れ量が拡大されます。
 加えて、製鉄業でも燃料として利用するなど、新たな処理ルートの開拓をすべきと考えます。具体的な対応策について都の見解を求めます。
 また、廃プラスチックは、分ければ資源、まぜるとごみとなります。排出事業者がしっかり分別することが重要であり、都は、排出事業者に対して分別指導を徹底すべきであります。都の見解を求めます。
 さらに都は、廃棄物処理とリサイクルを進めるために、城南島にスーパーエコタウン施設を整備しました。そこで、都の広がりを考えれば、多摩地域にも都有地を活用して、中国の輸入規制への対応にも資するスーパーエコタウン事業を展開すべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、中小企業振興について質問します。
 先月、都は、今後おおむね十年間の中小企業振興のビジョンを取りまとめました。イノベーションや海外展開などの施策の方向性を示しておりますが、大事なことは、都内中小企業に真に役立つ施策をきめ細かく展開していくことにほかなりません。こうした観点から、四点質問します。
 初めに、ロボット産業についてであります。
 我が党は、東京オリ・パラ大会を見据え、来訪者に案内サービスなどを提供するおもてなしロボットの実用化支援の重要性を主張してまいりました。観光や介護などさまざまな分野で活躍が期待できるロボット産業は、中小企業にとっても大きなビジネスチャンスです。
 都は、産業技術研究センターのロボット産業支援プラザなどにおいて中小企業のロボット開発を支援しておりますが、この取り組みをさらに加速させていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 二点目は、知的財産活用への支援です。
 経営資源を持たない中小企業にとって、知的財産をしっかりと守り、そして活用していくことは、まさに事業継続の生命線であります。十年先を見据えた場合、海外市場での活動機会がさらにふえ、また技術進歩のスピードも増していくことが確実です。
 都はこうした変化も見据えながら、中小企業の知的財産戦略の推進に向け、支援の充実を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
 三点目は、伝統工芸品産業の振興です。
 東京の伝統工芸品について、代々受け継がれてきたたくみのわざを絶やすことなく未来に引き継いでいくため、熟練職人のわざを映像に記録するなど、ICT機器を活用した取り組みを促進していくべきであります。
 加えて、伝統工芸品のつくり手の多くは小零細の職人であり、独力で新しい商品を生み出し、販路を切り開くことは容易ではありません。東京オリ・パラ大会を目前に控えた好機を逃がすことなく、購買層の一層の拡大に向けた支援の強化を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
 四点目は、女性の人材確保であります。
 出産や育児等を理由に一旦離職する女性は今も少なくありません。こうした女性が手に職をつけて再就職を目指すためには、職業訓練が有効な手段だと考えますが、子供を保育園に預けて職業訓練を受けようとしても、就労中の人よりも入所の優先度が低く、預けるのが困難な実態があります。
 我が党は以前、予算特別委員会において、保育つき職業訓練の実施を提案し、都はこれを受け、民間教育機関を活用した委託訓練と保育サービスを合わせて行う事業を開始しました。
 今後、女性が安心して職業訓練を受けられる環境をさらに整えていくには、都の職業能力開発センターで行う職業訓練においても保育サービスの提供に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。
 最後に、監理団体の経営改革について質問します。
 東京は現在、三十三の監理団体を有していますが、そもそも監理団体は、都の行財政改革の職員定数削減の流れの中で、都が担っている職務から現場に近い事業を独立させたものであります。したがって、企業が追い求める利潤の追求とは一線を画すべきであります。
 しかしながら、平成二十五年度から平成二十九年度までに国に支払った税金の総額は百二億円で、うち株式会社が国に支払った税金の総額は九十一億円であります。
 例えば、多摩都市モノレール株式会社のこの五年間の税引き前利益の累計は七十一億円です。また、東京臨海高速鉄道株式会社も、この五年間の税引き前利益の累計は百六十億円です。
 この二社については、長期借入金の返済や設備更新なども想定されますが、そのような中でも高いといわれている運賃を値下げするなど、都民に利益を還元すべきです。
 さらに、東京都下水道サービス株式会社のこの五年間の税引き前利益の累計は七十八億円で、国に支払った税金の総額は二十億円であります。これだけの利益を上げるのであれば、都から支払っている委託費を減額すべきであります。
 いずれにせよ、都が国に税金を吸い上げられている中で、五年間で監理団体が百二億円の税金を国に支払っているというこの構造を、監理団体による都民サービスのさらなる向上などを通じて見直していくべきときであると考えますが、知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、財政運営についてでございます。
 都民の安寧を脅かす自然災害、世界に例を見ない規模と速度で進む高齢化など、都政を取り巻く状況は厳しさを増しております。加えまして、都税収入は平成三十二年度以降、今般の税制度の見直しによる減収が見込まれておりまして、その先行きは予断を許さないところでございます。
 しかしながら、いついかなる状況下におきましても、一千三百万都民の生活を守り続けることこそ、都政を預かる都知事としての重要な責務でございます。
 そのため、議員がお詳しい複式簿記・発生主義による新公会計制度を事業の分析ツールとして活用し、事業評価の取り組みにさらなる工夫を凝らすなど、無駄の排除を一層徹底してまいります。
 あわせまして、予算規模が過去最大となる中でも都債の発行額を抑制いたしまして、将来の発行余力を培うほか、基金の戦略的な活用を行うなど、財政対応力を強化してまいります。
 さらに、日本経済の牽引役として世界から人と金を呼び込む施策やイノベーションを創出する施策を展開することなどによりまして、東京、日本の持続的成長の礎となり、税収の増加にもつながる稼ぐ力を高めてまいります。
 このように、攻めと守り、その両面におきまして中長期的な視点に立った備えを講じるなど、将来にわたり都民の負託に応えるための財政運営にさらなる磨きをかけまして、積極果敢な施策展開を図ってまいります。
 学校体育館の空調設備設置の促進についてでございます。
 学校体育館は、体育の授業や学校行事、部活動など、我が国の将来を担う子供たちが安全に安心して活動を行う場であるとともに、非常災害時には地域住民の避難所等としての役割も果たす、そんなことから、安全性の確保や防災機能の強化は極めて重要でございます。
 このため、区市町村立学校の体育館への空調設置に対しましては、都独自の補助制度を創設いたしまして、区市町村を支援することとし、既に取り組みが開始されております。
 また、これまで国庫補助事業の対象外とされておりましたリースによる学校体育館への空調設備につきましても、多数の区市町村がこの方式での取り組みを希望していたことなども踏まえまして、都が直接リース業者に補助をすることで、区市町村を支援することといたしました。
 今後、学校体育館の空調設置に取り組む区市町村に対しまして、補助制度の内容や運用方法等を丁寧に説明しながら、引き続き、スピード感を持って支援を行ってまいります。
 空調設備の設置に対しましての国の交付金に関する対応でございます。
 国は、熱中症対策として、学校施設への空調設置を平成三十年度の補正予算で支援することといたしましたが、全国的に学校体育館への補助金交付は認められませんでした。
 区市町村では、学校体育館の空調設置に国と都の補助制度を活用することで、早急に取り組むこととしていたことから、国の補助金交付が認められなかったことは、子供たちの安全性の確保や防災機能の強化が停滞しかねない重大な問題でございます。
 このようなことから、国の平成三十年度の補正予算に加えて、平成三十一年度予算におきましても補助金が交付されない場合には、国の補助金相当分を都が負担することといたします。
 区市町村が計画的に学校体育館への空調設置を行うことができますよう、必要となる財源を十分に確保しつつ、区市町村の取り組みをしっかりと支援をしてまいります。
 次に、市町村総合交付金を活用いたしました体育施設の空調整備についてでございます。
 市町村総合交付金につきましては、市町村が取り組む各種施策に要します補完財源としての役割を十分に果たしていくことが必要と認識をいたしております。
 平成三十一年度予算におきましては、各市町村の課題解決に向けました自立的、主体的な取り組みを後押しいたしまして、多摩・島しょ地域のさらなる振興を図っていくために、十億円増の五百六十億円を計上しているところであります。
 近年、異常高温や豪雨、地震などの自然災害が頻発している中で、防災力の向上に取り組むことが喫緊の課題であると考えまして、先般、防災をテーマに全ての市町村長の皆様と意見交換を行いました。
 その中で、避難所となる体育館等では暑さが原因で体調不良となる避難者が出ることが懸念され、早急な対応が必要であるなど、多くのご意見、ご要望を伺ったところであります。改めて、避難地におけます生活環境改善は重要な課題であると認識をした次第でございます。
 こうした課題認識を踏まえまして、避難所となる公民館などの体育施設への空調整備につきましては、市町村総合交付金を活用することで、各市町村の財政負担の軽減が図られますように適切な支援に努めてまいります。
 次に、マイタイムラインの普及についてのお尋ねでございました。
 我が国は、昨年の西日本での豪雨を初め、今までに経験したことのない局地化、激甚化した大雨に襲われるようになっております。
 東京におきましても、このような豪雨にいつ見舞われるとも知れません。水害が発生する前に都民が確実に避難できるようにするためには、一人一人が家族の状況やみずからを取り巻く環境を踏まえたマイタイムラインを作成することは、極めて有効でございます。
 そこで、都といたしまして、洪水、高潮、土砂災害など幅広い水害に対応いたしました都独自のマイタイムライン作成セットの開発を進めております。この作成セットを区市町村や防災イベントなどを通じまして、都民に提供してまいります。
 とりわけ、将来の防災の担い手となります都内の児童生徒に対しましては、出水期を迎えます本年六月までに全員に配布をいたしまして、家族とともに考えながらマイタイムラインの作成をするように促してまいります。
 こうした取り組みを展開することで、マイタイムラインを地域全体へと広く浸透させまして、都民の防災意識を一層高めることで、防災意識社会の構築を目指してまいります。
 ドクターヘリについてであります。
 重篤な患者に一刻も早く適切な医療を提供できる体制をつくることが、救急医療の基本でございます。
 このため、都は現在、東京消防庁と連携いたしまして、医師が医療処置を行いながら救急患者を医療機関まで搬送する東京型ドクターヘリを多摩や島しょ地域等で運用しております。
 また、災害時に加えまして、交通事故や鉄道事故の際に現場で救命処置などを行えますように、専門研修を受けた医師等で構成いたします東京DMATを編成しております。
 さらに、大規模災害発生時に他の自治体からの医療チームを円滑に受け入れられるよう、他の道府県や九都県市間で広域応援や相互応援に関する協定を締結いたしております。
 今後、東京二〇二〇大会の開催を見据えまして、災害発生時及び平時におきましても限りある医療資源を有効に活用できるよう、近隣県とのドクターヘリの受け入れを含めました具体的な連携について検討し、救急災害医療体制の強化を図ってまいります。
 次に、二〇二〇大会の大会経費の抑制についてのお尋ねがございました。
 いよいよオリンピック・パラリンピックの開催を来年に控えております。組織委員会や国、関係自治体などさまざまな関係者との連携のもとに、大会準備の総仕上げの段階に来ております。
 もとより、都民に支持され喜ばれる大会とするためには、経費の抑制は極めて重要でございます。
 そのため、これまでも都立新規恒久施設の整備費用の削減、組織委員会と連携してIOCに対し放送用回線の二重地下化などの要件緩和を求めるなど、大会経費の縮減に取り組んできたところでございます。
 今後、大会本番の運営などさまざまな業務が具体化していく中で、新たな需要が発生する可能性もございますが、必要な予算は確保しつつ、引き続き、効率化に向けた精査を組織委員会とともにしっかりと行って、めり張りをつけ、大会経費の枠組みを維持してまいります。
 開催都市としての責任をしっかりと果たして、大会の成功とともに、大会を契機とした確かなレガシーが都民、国民に残りますよう、全力で取り組んでまいります。
 共同実施の透明性の確保についてのご指摘がございました。
 共同実施事業につきましては、組織委員会が契約、実施するものの、都の公費を投入する事業でありますので、その使われ方、契約金額などにつきましては、都民に明らかにしていく必要がございます。
 このため、契約につきましては、基本的に、その相手方及び金額を公表いたしております。
 一方で、スポンサー供給契約におきましては、スポンサーが一定の条件のもとで、最低価格で優先的に提供するなど、一般的な契約と異なることから、あらかじめ守秘義務が課されているところでございます。
 こうした契約につきましても、都といたしましては、組織委員会に公表を働きかけてきておりまして、組織委員会では、順次、契約の相手方と法的な課題について具体的な検討に着手するなど、公表に向けた調整を行っているところでございます。
 今後とも、組織委員会を初め関係機関と連携をいたしまして、共同実施事業の透明性の確保に取り組んで、大会に向け万全の準備を進めてまいります。
 東京二〇二〇大会のチケットについてでございます。
 東京二〇二〇大会を盛り上げ、都民、国民の記憶に刻まれる大会とするためには、直接観戦いただける機会を広く提供いたしまして、大会の感動を皆で分かち合えることが大切でございます。
 過去の大会におきましては、開閉会式や人気競技についてはチケットがなかなか入手ができないという声があったと聞いております。
 このため、都といたしましても、さまざまな方が観戦できるように組織委員会に働きかけまして、このたび、車椅子の方が介助者と一緒に観戦できるチケットや、子供や高齢の方、障害のある方がグループで観戦できる低価格のチケットが、全ての競技において実現をしたところでございます。
 さらに、将来を担う子供たちに大会の感動を直接体験してもらうことが重要でございます。都は、観戦を希望する都内の全ての公立、私立学校を対象といたしまして、人生の糧となる忘れ得ぬ記憶、レガシーを残すため、大会を直接観戦する機会を提供いたします。
 また、被災地の子供たちにも大会の感動を深く心に刻んでもらえるよう、競技の観戦に招待をする方針でございます。
 多くの皆様とともに、満席の会場で選手と一体となって感動を共有し、大会を盛り上げていけますよう、引き続き、組織委員会と連携して取り組んでまいります。
 東京二〇二〇大会の子供たちの観戦でございます。
 オリンピック・パラリンピック教育でさまざまな学習や体験を積み重ねてきた子供たちにとって、世界のトップアスリートが最高峰の競技を繰り広げる姿を目の当たりにすることは、その後の人生の糧ともなる貴重な経験でございます。
 このため、希望する都内の全公立、私立学校の子供を対象にいたしまして、観戦の機会を提供することといたしましたが、ご指摘のとおり、暑さ対策、会場への移動などさまざまな課題もございます。
 この間、区市町村教育委員会や学校から意見や要望を聞いております。
 今後、それらも踏まえまして、子供の安全の確保などに向けて早期に対応を進めて、希望する全ての子供が観戦し、心のレガシーを残せるように、引き続き、関係機関と密接に連携を図りながら、精力的に取り組んでまいります。
 東京二〇二〇大会におけます被災地とのスポーツ交流についてのお尋ねでございます。
 復興オリンピック・パラリンピックを実現して、東京二〇二〇大会を被災地にとって真に実りあるものとするために、都は、被災地の子供たちを都内で実施される競技の観戦に招待する方針でございます。
 招待の際には、被災地の子供たちに大会の思い出を深く心に刻んでもらえるよう、競技の観戦に加えまして、ボランティア体験やアスリートと交流する機会を設けることも検討いたしております。
 ご提案のありました被災地の子供たちと東京の子供たちとのスポーツを通じた交流でございますが、双方の子供たちにとって大切な心の宝になると考えます。
 東京二〇二〇年大会が子供たちの心のレガシーとなりますよう、競技観戦招待の内容や、招待の際に実施するさまざまな取り組みにつきまして、今後、組織委員会や被災県などと連携をしながら、具体的な検討を進めてまいります。
 次に、高速道路上の本線料金所の撤去についてご質問がございました。
 高速道路の渋滞対策といたしましては、道路ネットワークの整備とともに、一体的でわかりやすい料金体系の導入も進められているところでございます。
 これらに合わせて、本線料金所につきましては、交通の円滑化や安全性の向上などに向けた取り組みが進められており、お話の首都高道路内の二カ所の料金所が既に運用を停止いたしまして、東京二〇二〇大会までの完全撤去を目指しての工事が進められております。
 一方、異なる高速道路会社間の境目にある本線料金所の撤去に当たりましては、現金で利用する方々、現金利用者の料金徴収方法などの課題が残っておりまして、高速道路会社では、ETCの普及促進に向けた取り組みを行っているところであります。
 お話のとおり、首都高速道路の普通車のETC普及率でございますが、現在約九六%に達しているところではございます。
 都といたしましても、このETCの普及は重要と認識をいたしておりまして、こうした取り組みをさらに推進することで、高速道路の渋滞解消はもとより、利用者にとって使いやすい高速道路となりますよう、引き続き、国や高速道路会社にしっかり働きかけを続けてまいります。
 鉄道ネットワーク等の強化についてのご質問がございました。
 東京は、これまで世界に類を見ない高密度で安全な鉄道網を構築して、世界有数の大都市へと発展してまいりました。将来にわたり東京が持続的に発展をして、日本全体の成長を牽引するためには、活発な都市活動を支える鉄道網のさらなる充実は不可欠でございます。
 今年度、都は、基金を創設することで、事業の裏づけとなる財源をあらかじめ確保いたしまして、都の取り組み姿勢を明確に示しているところであります。
 現在は、国の答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされております六路線、これを中心に、鉄道事業者を初めとする関係者との協議、調整を加速させております。
 国に対しましては、東京の活力の増進によって、我が国全体の発展を促進する観点から、国と東京都の実務者協議会の場も活用しながら、各路線の事業化に対します制度面、財政面での支援を求めてまいります。
 こうした取り組みで、鉄道ネットワークのさらなる充実を図ってまいります。
 今回の組織改正の考え方でございますが、組織の見直しに当たりましては、本格的な人口減少社会の到来など、東京の未来の姿を見据えまして、中長期的な視点から検討していくことが重要でございます。
 一方で、住宅政策や、ご指摘のひきこもり支援など、喫緊の課題につきましては、この機を逸することなく、機動的に執行体制を整備していく必要がございます。
 そこで、今回の組織改正でございますが、ますます深刻化する老朽マンションや空き家対策、都営住宅等、重層的な住宅セーフティーネットの構築など一層加速するために住宅政策本部を、また、東京の成長戦略を強力に推進し、熾烈な都市間競争に勝ち抜くため、戦略政策情報推進本部を設置することといたしました。
 さらに、ひきこもり状態の長期化という切迫した課題に対応するためには、切れ目のない、より効率的な支援が可能となるよう、執行体制の強化を図ってまいります。
 今後も、都が直面する喫緊の課題を迅速に解決していくため、社会情勢の変化を踏まえまして、時期を捉えて事業動向に即した執行体制を整備してまいります。
 次に、都営住宅の浴室の整備についてのお尋ねがございました。
 都営住宅のうち、お話の昭和五十六年度以前の住宅につきましては、当初の建設時、都といたしましては浴室の設備を設置しておりませんでした。
 これらの住宅につきましては、建てかえ時や空き家修繕の際、浴室の設備を設置してきておりまして、この十年間で約十二万一千戸から約六万八千戸まで減少しているところでございます。
 一方、居住者がみずから設置された入居中の住宅における設備の更新でございますが、財源の確保や住棟全体におけるガス供給能力の検証などの課題がございます。
 今後、引き続き、建てかえや空き家修繕の際に設置を進めるとともに、今回の住宅政策本部の設置によります執行体制の整備を機に、計画的、効果的な進め方について検討してまいります。
 宿泊施設のバリアフリー化についてでございます。
 将来の超高齢社会の進展を見据えまして、誰もが利用しやすい宿泊環境を整えていく必要がございます。
 そのため、法で設置が義務づけられております車椅子使用者が円滑に利用できる客室につきまして、都は引き続き、国を上回るバリアフリー基準によりまして、整備の拡大を図ってまいります。
 さらに、東京二〇二〇大会に向けまして、都は法の義務対象ではない一般客室を対象にバリアフリー条例を改正いたしまして、全国で初めて段差の解消や出入り口の幅などに関する基準を設けるなど、早期に宿泊環境を整えていくことといたしました。
 例えば、浴室等の出入り口の幅でございますが、最低限の義務基準に加えまして、望ましい基準を示すとともに、容積率の緩和制度の活用などによりまして、建築主等の取り組みを支援してまいります。
 また、将来的な望ましい整備のあり方でございますが、条例の施行状況や、東京二〇二〇大会時の宿泊施設の利用状況などを勘案いたしまして、関係者と協議しながら検討を行ってまいります。
 障害者や高齢者など、あらゆる方々が利用しやすい宿泊環境の実現に向けまして、建築主など関係者の間の調整を図れますよう、都がリーダーシップを発揮してまいります。
 宿泊施設の客室改修への財政支援でございます。
 都はこれまで、障害者や高齢者などが宿泊施設を安全かつ快適に利用できますように、客室等のバリアフリー化に取り組む宿泊事業者を財政面から支援しております。
 東京二〇二〇大会に向けまして、都内の宿泊施設のバリアフリー環境を整えるためには、既存の宿泊施設の客室の改修を促して、条例で定める新基準に誘導していくことが不可欠でございまして、来年度、補助制度を拡充いたします。
 具体的には、宿泊施設が車椅子の使用者用客室に加えて、条例で新たに定めるバリアフリー基準に適合する一般客室への改修等を行う場合も補助をする。補助率を従前の最大三分の二から五分の四に引き上げる。
 また、より使いやすい客室の整備を進めるために望ましい基準として示された、浴室等の出入り口幅が七十五センチメートル以上の一般客室を整備した場合には、補助率を十分の九にまで引き上げるとともに、補助限度額も引き上げまして、支援内容の充実を図ってまいります。
 さらに、改修などに加えて、備品の購入などについても、補助率、補助限度額を引き上げるということで、車椅子使用者のみならず、視覚や聴覚などに障害のある方にも使いやすい客室の整備を促進いたします。
 こうした取り組みによりまして、障害者や高齢者を初め、あらゆる方々が宿泊施設を快適に利用できる環境整備を加速してまいります。
 次に、新生児の聴覚検査についてのお尋ねがございました。
 新生児の聴覚検査は、先天性の聴覚障害を早期に発見をいたし、その後の支援につなげる上で重要なものでございます。
 これまで都議会公明党の皆様方からも、さまざまなご提案をいただき、都といたしましても、検査体制の整備に向けて準備を進めてきたところでございます。
 平成二十九年の十二月から、都、区市町村、東京都医師会との間で協議を行ってまいりまして、本年四月から都内の全区市町村で新生児聴覚検査の公費の負担制度を導入することとなり、また、都は、制度を円滑に実施するために、区市町村や専門家などと検討を行って、検査を受けられる医療機関の情報を集約してリスト化、難聴と疑われる場合の医療機関から区市町村への連絡方法や、専門的な相談や療育につなげる対応など、都内共通の運用ルールを定めたところでございます。
 来年度ですが、検査機器を購入する医療機関や相談支援を担う保健師さん等を配置する区市町村に対しての支援を新たに実施いたします。
 こうした取り組みを通じまして、全ての新生児が安心して聴覚検査を受けられる体制の整備を推進してまいります。
 児童相談所と警察の連携についてでございます。
 都は現在、子供の安全確認で必要があるときは警察と同行して訪問するほか、警視庁からの現職警察官の派遣や、警察官OBの児童相談所への複数配置などの連携強化を図っているところでございます。
 また、昨年九月、警察との情報共有につきましては、児童相談所が対応した事案のうち、虐待に該当しないケースや児童相談所の助言指導で終了したケースなどを除きまして、リスクが高いと考えられるケースを全て共有することといたしております。
 子供の安全確認を行う上で警察と連携することは重要と考えておりまして、今回提案いたしました東京都子供への虐待防止等に関する条例案では、都民、区市町村の意見や都議会での議論も踏まえまして、必要な情報の共有や、子供の安全確認などを行う際の警察への迅速かつ適切な援助要請について明記をしたところでございます。
 条例制定を機に、警察との連携を一層強化しまして、虐待防止に全力で取り組んでまいります。
 同じく、児童相談体制についての強化であります。
 児童虐待は、子供たちの輝きをいや応なく奪うものでございます。何としてでも防がなければなりません。
 都は、昨年の三月に発生いたしました虐待死亡事件を受けまして、児童相談体制の強化に取り組んでおり、来年度は、児童福祉司や児童心理司などの増員、子供家庭支援センターへの支援の充実を図っております。
 さらに、専門的、広域的な業務などを担う児童相談所と、地域の身近な相談窓口であります子供家庭支援センターがそれぞれの強みを生かしまして、新たな連携強化策を検討する、そのための全ての区市町村が参画いたします合同検討会を立ち上げます。
 検討会におきましては、人材の活用策や虐待のリスクに対する評価方法、効果的な情報共有方法などを検討するとともに、二〇二〇年度に児童相談所の設置を計画している三区の状況につきましても、全体で共有をいたしてまいります。
 今後、子供たちの安全・安心を守ることを最優先といたしまして、区市町村と連携して東京全体の児童相談体制を強化いたしてまいります。
 次に、都有地を活用したリサイクル施設の整備についてでございます。
 お尋ねのスーパーエコタウン事業でございますが、東京臨海部におけます都有地を活用して、民間事業者等が主体となって、先進的で信頼性の高い廃棄物処理、リサイクル施設を整備してきたものであります。
 平成二十九年の六月に全施設の整備が完了いたしまして、廃棄物の都内処理率の向上や最終処分量の削減、循環型社会の推進などに貢献してまいりました。
 昨今のアジアの諸地域におけます廃プラスチックの輸入規制による影響に対しましては、喫緊の措置といたしまして、来年度予算案に、プラスチックリサイクルの市場動向に関する情報提供や、相談体制を構築する緊急対策事業を盛り込んだところでございます。
 都有地を活用した新たな施設整備につきましては、この緊急対策を進めた上で、国の資源循環戦略の方向性や、中長期的な再生資源の需給バランスの動向など、さまざまな状況を総合的に勘案しながら検討してまいります。
 監理団体の経営改革について、最後にご質問いただきました。
 国によります不合理な税制度の見直しによって、巨額の財源が国に奪われる状況を鑑みますれば、今後とも、将来にわたって都民生活を守るため、無駄を徹底して排除して、都民サービスの質を高めていくことこそ、東京大改革の要諦と存じます。
 都といたしましても、都庁グループの一員である監理団体でも、この認識に立って改革を進めていくことは重要であります。
 そこで、現在、全ての監理団体におきまして、個々の経営課題とその内容に向けた経営戦略を掲げた経営改革プランに基づいて、都民サービスの向上や効率的な事業運営に向けた改革に精力的に取り組んでおります。
 また、外部有識者の意見も踏まえながら、PDCAサイクルを徹底させて、毎年度、各団体の取り組みに磨きをかけてまいります。
 監理団体個々の特性や都以外の出資者などとの関係にも配慮しながら、公益性、公共性の観点から、その経営活動を通じて、これまで以上に都民サービスの向上に資する改革を進めてまいります。
 なお、ご指摘の点でございますが、何がどのようにしてできるのか検討してまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問でございますが、警視総監、教育長及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 運転免許の更新に伴う認知機能検査についてでありますが、警視庁では、認知機能検査の受検待ちを緩和するため、本年一月から、鮫洲運転免許試験場と府中運転免許試験場において認知機能検査を実施しております。
 将来的に高齢運転者がさらに増加することを見据えた対策といたしましては、まず、江東運転免許試験場において新たに認知機能検査を実施することとし、その他の施設についても実施可能か検討を進めているところであります。
 今後も、警視庁による認知機能検査の実施枠の拡大を図り、各教習所が高齢者講習の受講人員枠を拡大できるよう努めてまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立学校の武道場の空調設備設置についてでございますが、都教育委員会は、平成三十三年度までに学校体育館への空調設置を進める区市町村を支援するため、国が定める補助単価までは六分の一、都が定める補助単価までは整備計画の提出を条件に三分の二を補助する制度を設けました。
 また、国への申請にもかかわらず補助金が交付されない場合には、都が国にかわって支援を行うことといたしました。
 加えて、リース契約により整備する場合にも、整備費用の二分の一を補助することとしております。
 武道場につきましては、体育館とともに屋内運動施設と定められておりますことから、区市町村立中学校の武道場に対しても補助してまいります。
 また、都立高校の屋内運動施設については、現在、体育館への空調設置を精力的に進めており、その完了後、武道場へも設置することを検討してまいります。
 次に、子供たちが芸術文化に接する取り組みについてでございますが、東京二〇二〇大会に向けて、芸術文化のすばらしさを次代を担う子供たちが体験する機会を設けることは、さまざまな観点から非常に意義がございます。
 このため、都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育で文化をテーマの一つとして位置づけ、各学校において、地域特性等に応じ、地域の専門家等を講師に招聘するなどして、茶道体験、琴の鑑賞、演劇鑑賞など多様な取り組みを行うことを支援しております。
 今後、各学校の取り組みを一層充実させるため、広域的に芸術文化を振興する団体や各地域で活動する芸術文化団体と連携して、都の文化プログラム等を学校の教育活動として実施する計画を新たに策定し、子供たちが芸術文化に触れる機会をさらに拡充してまいります。
 次に、新財団設立による教育課題の解決についてでございますが、新財団が設置する人材バンクでは、個々の学校の教育課題に応じて、学校の希望に合致する最適な外部人材を紹介してまいります。
 さらに、児童生徒への接し方等の事前研修や、活動後に実施状況を把握し、改善を検討することで、学校の負担を軽減しつつ、人材の活躍を促進してまいります。
 これに加え、教員の負担軽減のため、学校で生じた問題に対し、経験豊富な退職校長等が対応方法の相談に応じたり、必要な専門的知見を助言する窓口を新たに設置し、また、海外機関との連携を深め、国際交流に係る交渉の代行を行うなど、学校が必要とする支援を担ってまいります。
 都教育委員会は、パートナーとなる新財団と緊密に連携し、学校をきめ細かく支援していくとともに、みずからもさまざまな教育課題の解決に向け、不断に取り組んでまいります。
 最後に、胃瘻からのミキサー食による給食についてでございますが、胃瘻からの注入は医療的ケアに該当し、安全を確保する観点から、都立特別支援学校では、現在、市販または処方された栄養剤の注入に限って実施しております。
 口から食事をとる経験が少ない子供に、さまざまな食材から成る給食を注入する場合には、アレルギーの有無や、エネルギー量及び栄養素の過不足の確認といった実施に当たっての条件整理のほか、さまざまな安全対策の検討が必要でございます。
 このため、都教育委員会は、来年度、モデル事業などに取り組み、ミキサー食の注入による給食の提供を安全に実施するための検証を進めてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) マイタイムラインの実効性の向上や人材養成についてでございますが、本年六月までに、GPSと連動して浸水の深さなどの水害リスクをスマートフォンで確認できるコンテンツを開発いたしまして、これを搭載したアプリをマイタイムラインを作成する際に活用してまいります。これによりまして、マイタイムラインのリアリティーを高め、確実な避難行動へとつなげてまいります。
 また、今後、区市町村と共催で実施する住民向けワークショップにおきまして、マイタイムラインの普及を進める中で、その作成と活用について指導的な役割を担う人材の育成を図ってまいります。
 こうした取り組みを重層的に進めることによりまして、災害発生時に住民同士が相互に協力して速やかに避難できるよう、地域の防災力を高めてまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民の草の根の文化活動を支援する仕組みについてでございますが、東京都は、文化プログラムをTokyo Tokyo FESTIVALと銘打って、さまざまな事業を実施してまいりました。
 今後は、都内の区市町村が実施する地域の文化事業につきましても、Tokyo Tokyo FESTIVAL事業として展開していただけるよう、現在働きかけを進めているところでございます。
 あわせて、地域の文化団体等が参加する区市町村のイベント等への助成も行うことで、地元の文化団体を初め、さらに多くの方が文化プログラムを身近に感じられるようにしてまいります。
 こうした取り組みにより、今まで以上に多くの方にTokyo Tokyo FESTIVALに参加していただき、二〇二〇年以降の地域の文化活動の活性化にもつなげてまいります。
 続きまして、幼稚園類似の幼児施設への対応についてでございます。
 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございます。
 幼稚園類似の幼児施設は、これまで都が独自に認定してきたものでございますが、国の幼児教育無償化では、制度の対象外とされております。
 そのことが明らかになったのは昨年末のことでございまして、この段階で急に無償化に大きな差異を設けることは、施設を利用する保護者に大きな影響を与えることになります。
 このため、保護者の方々への影響等に鑑み、当面、都独自に補助をするとともに、地域の実情や施設の意向なども踏まえながら、無償化対象施設への移行の可否等の相談などにつきまして、区市と綿密に連携し、適切に対応してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、被災地応援ツアーについてでございますが、都は、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月から実施しており、来年度も継続して実施してまいります。
 来年度は、福島県が浜通り地方などの振興のために推進する、農業や漁業、商工業等で復興に向き合う人との出会いや現地視察を通じて福島のありのままの姿に触れる、ホープツーリズムへの参加費用も助成の対象といたします。
 今後とも、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望を十分に踏まえ、宿泊旅行、日帰り旅行、教育旅行を支援することで、福島県の震災からの復興に結びつけてまいります。
 次に、中小企業のロボット開発への支援についてでございますが、社会の幅広い分野においてロボットの有用性が一層高まる中、その開発において中小企業が力を発揮し、成長できるよう支援することは重要でございます。
 これまで都は、中小企業によるロボットの開発や事業化を効果的に実現できるよう、産業技術研究センターにおいて共同研究を実施し、試作したロボットの実用化に向け、商業施設等で短期の実証実験を行ってまいりました。
 新年度は、試作した複数のロボットを同センター内のさまざまな場所で常時動かし性能を調べますほか、大規模な集客施設で数カ月間にわたる実証実験を行うことにより、実用性の一層の向上を後押ししてまいります。
 こうした取り組みの成果を幅広く発信しながら、中小企業のすぐれた技術をロボット開発に生かしてまいります。
 次に、中小企業の知的財産の活用への支援についてでございますが、中小企業が国内外において事業の基盤を固め成長を図るためには、自社の持つ知的財産の保護や、他社の特許等の活用が鍵となります。
 このため、都は、中小企業が外国で特許等を取得する経費に助成を行いますとともに、知的財産をめぐるトラブルの解決に向けた相談を実施しております。
 新年度からは、海外で商標の登録や活用が妨げられた場合に、専門家が助言を行いますほか、裁判の費用等に助成を実施いたします。
 また、都では、中小企業に対し技術開発に役立つよう、大企業の持つ未利用特許を紹介する取り組みを行っております。そうした特許を活用する中小企業に対し、新年度からは、専門家が技術面から助言し、開発経費への助成も行ってまいります。
 これらにより、中小企業の知的財産の活用を支援してまいります。
 次に、伝統工芸品に係る産業の振興についてでございますが、伝統工芸品産業の発展を図るためには、外国人などの新たな購買層をふやす工夫のほか、顧客のニーズにより的確に対応した商品開発を支援することが必要であります。
 都は、外国人や若者、子供たちが伝統工芸品に関心を持てるよう、夏休み期間に羽田空港で商品の展示や職人による実演等のPR活動を行ったところでございます。
 新年度は、こうした取り組みを空港以外の集客施設等でも行い、購買層を広げてまいります。
 また、都では、職人とデザイナーの連携による新たなニーズを掘り起こす商品開発を支援しております。
 今後は、百貨店と協力し、伝統工芸に関心を持つ消費者ニーズに対応した商品の開発や、販売を行う職人の取り組みをサポートしてまいります。
 これにあわせ、熟練の技術を動画を通じ若い世代の職人に伝える工夫を行い、伝統工芸品産業の振興につなげてまいります。
 最後に、保育つき職業訓練の充実についてでございますが、都は、子育て中の女性が安心して職業訓練を受けられるよう、託児サービスを受けながらパソコンの基礎を学ぶ訓練や、自宅において経理事務やIT関連の技術をeラーニングにより学ぶ訓練等を実施しております。
 また、今年度からは、社内に保育施設を有する企業に委託し、その企業への就職に結びつく職業訓練と保育がセットになった事業を開始いたしたところでございます。
 来年度は、さらに、都の職業能力開発センターにおきましても、生徒の自宅またはセンターの近隣の保育施設に子供を預けて訓練が受講できる環境を整備してまいります。
 子育て中であっても、センターの多様な訓練科目の中から希望に合ったものを選択し、必要なスキルを習得できるようサポートすることで、女性の再就職を後押ししてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、鉄道ネットワーク等の強化についてでございますが、国の答申において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた六路線を中心に、鉄道事業者等の関係者と連携し、需要や採算性の検証などを実施しております。
 具体的には、羽田空港アクセス線については、鉄道事業者が中心となり、事業スキームの構築に向けて検討を進めるとともに、田町駅付近から空港に接続するルートについて、環境影響評価手続の実施に向けた準備を進めております。
 新空港線につきましては、地元区や鉄道事業者が中心となり、計画の検討の深度化を図るとともに、費用負担のあり方などの合意形成に向けて調整を行っております。
 地下鉄八号線の延伸については、今年度、国が立ち上げた検討会に参画し、新たな需要予測を行うとともに、事業スキームの構築に向けて、国や鉄道事業者などと検討を進めております。
 大江戸線の延伸については、収支採算性の確保などの課題について、交通局や地元区が中心となり検討を進めております。
 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸については、昨年、沿線市町が策定したモノレール沿線まちづくり構想を踏まえ、計画の検討の深度化を図っております。
 町田方面への延伸については、連絡調整会議の場も活用し、導入空間や収支採算性の確保について検討を進めております。
 引き続き、関係者との協議、調整を加速し、鉄道ネットワークの充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、今後の都営住宅の管理制度のあり方についてでございますが、入居者の高齢化、単身化が進行する中、都営住宅ストックを有効活用して、子育て世帯の入居促進や高齢者が安心して暮らせる環境整備等を進め、多世代共生を実現することが求められております。
 こうした認識のもと、住宅政策審議会答申の中間のまとめでは、子供の安定した就学環境を確保するための期限つき入居の延長など、子育て世帯への支援の充実が提言されております。
 また、就労支援策と連携して、就職氷河期世代の都民に安定した住宅を提供する入居制度、さらには、高齢者に対する地域福祉や民間事業者等と連携した多様なサービスの充実と拡大なども提言されております。
 都は、五月に予定する答申を踏まえ、福祉との連携も図りながら、多世代共生の実現に向け、施策を推進してまいります。
 次に、居住支援法人の活動促進への取り組みについてでございますが、高齢者等、住宅確保要配慮者の入居に係る貸し主の不安軽減のためには、居住支援法人等が行う見守りなどの生活支援の取り組みを促進することが重要でございます。
 都は来年度から、二カ年のモデル事業として、必要とされるサービスの内容の検証などを目的とし、居住支援法人がセーフティーネット住宅の入居者を対象に行う見守り業務に対し、補助を実施する予定でございます。
 具体的には、電話や訪問等による見守りの費用について、一戸当たり月千円を限度に二分の一を補助いたします。
 このモデル事業を通じて、効果的な見守り業務や行政の支援のあり方を検討し、居住支援法人の活動を促進することで、住宅確保要配慮者の居住の安定を図ってまいります。
 次に、高齢者の入居に対する貸し主への支援についてでございますが、高齢者の民間住宅への円滑な入居を促進するためには、孤独死などの入居中の事故に対する貸し主の不安感を軽減する取り組みが重要でございます。
 都は来年度から、セーフティーネット住宅に入居する高齢者が死亡した場合に、居室内の修繕や残存家財の整理の費用等を補償する保険商品を貸し主が利用する際、その保険料に対して補助を行う予定でございます。
 具体的には、高齢者の入居に当たり、貸し主が支払う保険料について、一戸当たり年三千円を限度に、区市町村が補助する額の二分の一を助成いたします。
 今後、区市町村に対し、本制度の活用を働きかけ、貸し主、借り主双方が安心できる環境を整備してまいります。
 最後に、公社住宅の修繕負担区分の見直しについてでございますが、東京都住宅供給公社は、公社住宅の住戸等で修繕の必要がある場合について、その費用負担区分を入居者に契約時に交付する修繕費等の費用負担区分一覧表で定めており、これまでも必要に応じて負担区分の見直しを行ってきております。
 今般の民法改正や国土交通省の賃貸住宅標準契約書の改定に伴い、公社では現在、URの取り組みや賃貸住宅標準契約書の考え方などを参考に、負担区分の見直しについて、実施体制や財源も含め、可能な限り早期に取り組みを開始できるよう検討を進めております。
 都といたしましても、法令等の趣旨を踏まえ、公社が円滑に対応できるよう支援してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、多子世帯への保育料の負担軽減についてでありますが、現在の国の制度では、認可保育所や小規模保育事業等に対象が限定されており、世帯収入や第一子の年齢によっても支援内容に差がございます。
 このため、都は、多子世帯に対する独自の支援を、幼児教育無償化の開始時期に合わせまして、本年十月から開始いたします。
 具体的には、対象施設を職員配置や設備等の基準を満たす認可外保育施設に拡大するとともに、世帯に係る要件を緩和し、収入や第一子の年齢にかかわらず、第二子の保育料は半額、第三子以降の保育料は無償とすることとしております。
 あわせて、今後、国に対しまして、保育サービスの利用者負担軽減の対象となる多子世帯を拡大するよう提案要求してまいります。
 次に、児童相談所の体制強化についてでありますが、都では、国の緊急総合対策を受け、児童相談所が在宅指導している虐待ケースについて、一カ月以内の緊急安全確認を開始するとともに、通告元を明かさないという原則等につきまして、全ての児童相談所に改めて周知徹底いたしました。
 また、児童相談所の体制強化と職員の資質向上のため、来年度には、児童福祉司を二十九名、児童心理司を十八名、人材育成等を担う専門課長を二名、一時保護所職員を十六名、合計で六十五名増員することとしております。
 さらに、複雑、困難化する虐待ケースへの法的対応力を強化するため、非常勤弁護士の勤務日数を拡大するほか、協力弁護士の一層の活用を図るなど、児童相談所のさらなる体制強化を図ってまいります。
 次に、障害者グループホームへの支援についてでありますが、都は、障害者の地域居住の場であるグループホームの事業者が質の高いサービスを提供できるよう、国の報酬に上乗せし、独自の補助を実施しております。
 来年度からは、身体や行動特性上、特別な支援を必要とする重度の障害者の受け入れが進むよう、事業所全体で利用者四人に対して世話人一人の配置を最上位とする国の基準以上に職員を手厚く配置する事業者への支援を開始いたします。
 具体的には、日常生活を送る単位であるユニットごとに、おおむね利用者三人に対して世話人一人を配置する場合には年間で百十五万円、また、おおむね利用者二人に対して世話人一人を配置する場合には年間二百七十三万九千円を基準額として補助を行い、障害者グループホームの体制強化を支援してまいります。
 次に、認知症高齢者グループホームについてでありますが、都は、国の整備費補助に加え、独自の補助によりグループホームの整備を進めており、初期投資を軽減することで家賃負担の軽減も図ってまいりました。
 また、区市町村に介護保険の地域支援事業による家賃助成を働きかけるとともに、国に対しまして、家賃等の負担を軽減し、所得にかかわらず利用しやすい仕組みとするよう提案要求しております。
 来年度は、初期投資をさらに軽減するため、オーナー型整備への補助額を増額するほか、区市町村が低所得者の家賃助成を行う場合には、整備費補助に加算する制度を創設いたします。家賃助成につきましては、九カ所の自治体が実施する予定であり、今後も都民が安心して利用できるようグループホームの整備を進めてまいります。
 最後に、介護老人保健施設の短期入所についてでありますが、介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す要介護高齢者に対し、日常生活で必要な介護、医療的管理や看護、機能訓練等のサービスを実施しており、施設の短期入所を利用することは、介護者のレスパイトに加え、医療を必要とする高齢者の在宅生活の継続にも効果的であります。
 このため、今年度は、施設ごとに対応可能な医療サービスや空床情報を提供するホームページの作成、介護支援専門員等を対象とした研修など、短期入所の利用促進に向けた事業者団体の取り組みを支援してまいります。
 今後は、このホームページがより有効に活用されるよう、都の広報媒体で広く周知するとともに、事業者団体と連携いたしまして、介護支援専門員に情報提供するなど、在宅で暮らす高齢者を支援してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、廃プラスチックの新たな処理ルートについてでございますが、アジアの多くの地域における輸入規制の強化に伴って、リサイクル施設への受け入れ条件が厳しい国内では、処理費の上昇、在庫の増加などの状況が生じており、廃プラスチックの不法投棄を未然に防止し、適正なリサイクルを進めることは喫緊の課題でございます。
 排出段階での分別を徹底することで、質の高いプラスチックが回収できれば、お話のセメント工場での利用や製鉄所での高炉還元材などにも有効利用が可能となります。
 そこで、都では、先ほど知事がご答弁いたしました緊急対策として、関係事業者団体等と情報共有を図りながら、受け入れ可能なリサイクルルートなどリサイクル市場の動向を把握の上、逐次その情報を提供するとともに、相談体制を構築し、さらなるリサイクルを推進してまいります。
 次に、排出事業者に対する分別指導についてでございますが、これまでの廃プラスチックの処理費用は、アジアの諸地域に未選別、未洗浄の状態で輸出できたことによって低廉になっていた可能性がございます。
 安易に輸出に依存するのではなく、国内において質の高いリサイクル実現していくためには、排出事業者が適正なリサイクル費用を負担するとともに、さらなる分別排出に努めることが必要でございます。
 そこで、都としては、排出事業者に対するセミナーの場などを活用しまして、処理費用の現状などリサイクルの実情を紹介するとともに、区市町村による事業者指導とも連携して、さらなる分別の徹底とリサイクルの推進を働きかけてまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後七時五十六分休憩

ページ先頭に戻る