平成三十一年東京都議会会議録第三号

   午後三時五十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番吉原修君。
〔百二十二番吉原修君登壇〕

○百二十二番(吉原修君) 平成三十一年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問を行います。
 二月二十四日、政府主催の天皇陛下ご在位三十年記念式典が天皇陛下、皇后陛下をお迎えして開催されました。
 都議会自民党は、両陛下のいや増してのご清安と、このたびの佳節をことほぎ申し上げます。
 ことしは改元の年となります。新しい元号のもと、日本が新たな一歩を踏み出す年です。そして来年、待ちに待った二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されます。
 本定例会は、ことし九月のラグビーワールドカップの開催、来年二〇二〇年の東京大会準備の総仕上げ、さらに、その先の東京の発展に向けて、大会のレガシーの基礎を固める大事な予算となります平成三十一年度予算を審議する大事な議会であります。
 何よりもまず、九月のラグビーワールドカップの成功、そして、二〇二〇年大会に向けた輸送体制の整備、ボランティア、市区町村との連携など、万全の体制を整えなくてはなりません。
 そして、災害が相次いだ昨年の教訓を踏まえた各種防災対策、東京の経済を支える中小企業振興、農林業の振興、そして島しょ振興、都民の健康を支える医療、福祉への取り組みも欠かせません。
 さらに、都市基盤の整備を着実に推進していくとともに、少子高齢化への対応、女性の社会進出への後押し、幼児教育無償化などにもしっかりと対応していかなければなりません。
 東京は今、こうした重要な局面を迎えています。
 しかし、小池知事のこれまでの都政運営では、オリンピック競技会場見直しをめぐる混乱で被災県にご迷惑をかけ、延期した豊洲移転は二年の時間と経費を浪費して、結局移転、千客万来施設は先送り、環状第二号線はオリンピックには間に合わず、都事業を遅滞させただけの入札契約制度改悪も都内事業者の批判の声に押されて、結局、ほぼもとどおりになりました。
 小池知事はこうした朝令暮改とどたばた劇を続ける一方で、事前の調整や準備もないまま、理念条例を矢継ぎ早に提案するだけで、実効性のある政策は一向に打ち出せておりません。派手に始めたLED電球交換事業は、惨たんたる結果に終わっています。
 このように、都政が迷走を続ける中、予算議会を迎えることになったのですが、この大事な議会の開会が大幅におくれてしまいました。
 その原因は、小池知事が平成二十九年六月二十日、我々の都議会議員選挙の告示三日前に突如発表いたしました市場移転基本方針を、みずからほごにしたことによるものであります。
 小池知事は当時、築地は守る、築地へまた復帰される際のお手伝いはさせていただくとして、食のテーマパーク、市場機能を築地に残すと、都民、そして事業者の皆様に公約をいたしました。ところが、今定例会で審議する予算案の中に、築地跡地の所管をかえる、つまり、市場用地ではなくなるという予算が、平成三十年度の補正予算という位置づけで提案されてまいりました。この小池知事の突然の変節を受け、都議会はその対応に追われ、現在も調整が続いております。
 そこでまず、築地まちづくりについて知事に伺います。
 我が党は、築地跡地は都の一般会計に有償所管がえし、豊洲移転に伴う市場会計の財政負担を改善し、その後、都有地となった跡地は民間に売却すべきであると主張してまいりました。
 しかし、小池知事は、築地跡地は市場として利用するとの発言を繰り返し、所管がえへの言及を避け、我が党が主張する一般会計への有償所管がえを二年の間、曖昧なままにしてきました。
 ところが、知事はご自身の方針とは真逆の、築地跡地を一般会計へ有償所管がえするという補正予算を突如提案をしたのであります。
 都はこれまで、有識者会議や庁内検討会など、築地跡地利用を二年近くかけて検討してきましたが、用地の所管という根本的な問題に触れることはありませんでした。そして、一月二十三日、築地まちづくり方針素案を発表した際にも、所管がえについての説明は一切ありません。
 しかしながら、素案発表の翌日に、補正予算案に含ませるといった手法を用いて、唐突に所管がえを発表いたしました。
 まちづくり方針発表まで所管がえをひた隠しにしてきた理由と、一体いつ所管がえを決断したのか、知事に伺います。
 ことし一月に発表された築地まちづくり方針素案には、食のテーマパークも市場機能の一言もありません。
 知事は何の説明もせずに、このような方針を発表することで、やすやすと都民、そして事業者への約束をほごにいたしました。どのような事情があったのか、知事の明解な説明が必要です。知事の見解を伺います。
 知事は、先週の記者会見で、大切なことは変わっていないとも発言されております。築地跡地が市場用地なのか、一般行政財産なのかという土地の所有関係は、今後のまちづくりを進める上で極めて重要な問題です。知事の公約を支える土台をひっくり返すということであります。それをいきなり変更しておきながら、大切なことは変わっていないということはどういうことなのか、全く理解できません。
 これまでの知事の方針と今回の予算案が抱える矛盾を、都民の前で明確に説明していただく必要があります。知事はみずからの方針変更を認めず、その一方で、方針を否定する予算を提案しています。都議会は、知事の方針と矛盾する予算案を審議することになってしまいます。この矛盾が解消されない限り、予算の審議を前に進めることはできないと考えています。
 築地に市場機能を残すといった知事の基本方針は変更されたのか、されていないのか、知事に伺います。
 そして、補正予算では、基金を一千億円取り崩して財源を確保し、五千四百億円を投じて一般会計で用地を取得しようとしています。
 都の一般会計が築地跡地を市場会計から取得し、都有地として開発を進めるというのであれば、当然のことながら、都有地とする理由、目的が明らかにされなければなりません。ことし一月二十三日に発表された、将来のまちづくりのレイアウトを示しただけの素案は、五千四百億円の所管がえの根拠としては余りに貧弱であり、不十分です。
 素案という形で簡単な概略図が示されただけの段階で、五千億円を超える有償所管がえを予算化することは、都の財政運営の観点から適正な判断といえるのか、都財政の責任者である知事の見解を伺います。
 この築地まちづくり方針素案では、浜離宮恩賜庭園に隣接するエリアの全体の三分の一は、おもてなしゾーンとして国際会議場やホテルを設けるとしています。
 しかし、世界では国際会議や展示会は大規模化の傾向にありまして、延べ床面積二十五ヘクタールの東京ビッグサイトさえ世界のトップレベルにはるかに及ばず、国際競争力向上どころか、既に誘致競争を争う立場にもありません。迷走を重ねた二年の末に出てきた案は、稼ぐ力を生み出すどころか、赤字を生み、税金による補填を余儀なくされ、都民に大きな負担をかけるものであるといわざるを得ません。
 我が党は、市場移転後は速やかに有償所管がえして、民間に売却し、民間の創意工夫に委ねるべきだと折に触れて言及してきました。
 改めて伺いますが、稼ぐ力を発揮させるとして、都が長期にわたり財政的責任を負うリスクを抱えて、築地再開発を進めることが本当に都民にとってメリットがあると考えているのか、知事に伺います。
 そして、そもそもこの予算案を平成三十年度の補正予算として計上したのはなぜなのでしょうか。平成三十一年度予算として、予算特別委員会にかけることもなく、三月六日には中途議決という短期間で都税収入の一割に相当する五千四百億円もの予算の決定を急ぐのか、その理由がはっきりいたしません。しかも、再開発の具体的な検討は全てこれからです。
 そして、この築地跡地は、オリンピックの輸送基地としての活用が終わってからの開発になりますので、現在、都が計画している賃料収入などが実際に入ってくるのは、少なくても十年程度先になることが想定されます。
 都は、かつて神田市場を廃止し、その用地を一般会計に有償所管がえする際には、少なくともその三年前から都議会に説明し、所管がえに要する経費、三千七百億円を昭和六十三年から平成四年の五年間の分割で一般会計から市場会計に支払っています。
 今回は、一月二十四日に補正予算での有償所管がえを突然発表し、二カ月もたたないうちに、三月六日には議決という余りにも早いスケジュールになっています。しかも、五千億を超える経費を一括して市場会計に支払うことになっています。都税収入が上向いているときだからこそ、慎重な財政運営が求められます。
 このような短期間で決定し、しかも一括で今年度内に支払う必要性について具体的に都民に説明する必要があると考えます。知事の見解を伺います。
 もう一点、お尋ねしたいことがあります。
 都議会が空転し、都民ファースト、公明党を除く都議会六会派合同で尾崎議長に申し入れを行った日に、知事は都庁の目と鼻の先のホテルで政治資金パーティーを開いていました。多くの都議会議員、そして都職員がまさに連日連夜、深夜に至るまで奔走しているとき、知事は会費二万円のパーティーを開き、大変失礼ですけれども、カレーライスを提供し、ご自身の選挙に向けた資金集めに没頭していたのではないかなと思わざるを得ません。
 その日は本会議開会の前日であります。結果的に開会は深夜にずれ込んでしまいましたが、何とか本会議を開会できるようにと、ぎりぎりの調整をしていました。
 まさにその日、知事は政治資金パーティーを開いていたんです。本来、開かれた形で多くの方々の声を聞くはずが、都民の批判をおそれたのか、報道陣をシャットアウトして開催されたようですが、なぜ中止されなかったのでしょうか。都議会がお決めになることだから、都知事の私には関係ありませんというお考えなのでしょうか。もとをただせば、知事ご自身の突然の変節が今回の混乱の元凶であります。
 都政が始まって以来ともいわれるこの混乱の中で、混乱の原因をつくった知事が政治資金パーティーを強行したことについて、知事の見解を伺います。
 また、このパーティーの招待状が多くの都内の各種団体にも送られたと伺っております。
 知事は昨年同様、予算大綱発表の前日、都議会への説明前に、予算査定情報を都内の各種団体に対してみずから通知されました。
 知事は、予算編成プロセスの一つであると釈明していますが、予算内容の追加、修正という予算編成作業とは全く無縁の、ただ単に、都知事として、議会よりも先に、各種団体に査定情報を伝えることだけが目的だったのではと思うくらいであります。
 団体の要望を通じて、都民ニーズを酌み取り、予算に反映することは重要であります。しかし、既に予算編成を終え、あす発表するという時点で査定内容を伝える行為は、予算編成プロセスではなく、査定情報の事前リークでしかありません。
 そして、この情報漏えいは一切がブラックボックス、非公開で行われました。まさに密室でのやりとりであります。
 知事がこの密室で話されたのは、予算査定に関することだけだったのか、それ以外にどのような話をなされたのか、私たちには知る由もありません。
 知事はこの密室での情報漏えいから一カ月後、各種団体も招いて、政治資金パーティーを、くどいようですが、開催をしたわけであります。
 職権で知り得た査定情報を、政治家としての人気取り、そして票集めに利用しているのではないか、こうした疑惑を持たれても仕方のない、おかしな振る舞いであります。
 李下に冠を正さずといいます。知事としての権限を持っている方は、その行動に責任を持つべきであります。
 少なくとも知事のこうした行為は、都民の負託に応えることを目的としたものとは到底思えません。予算編成プロセスというごまかしは通用いたしません。
 知事は、都民、そして都議会の信頼を裏切る、疑惑だらけの査定情報事前リークは即刻中止すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 知事就任から三年目を迎えています。この間の小池知事の都政運営では、東京都と都内市区町村が互いの自治権を尊重しながら地方行政を進めていくという、地方分権の基本がおろそかにされていると強い懸念を抱いています。
 東京の人口は一千三百万人を超え、一般会計は七兆円を超えます。東京の動きは、都内市区町村はもとより、他の自治体、時には国にも影響を与えます。そして、東京の行政は、都内市区町村との協力連携の上に成り立っています。各種施策を進めていくとき、このことを決して忘れてはなりません。
 ところが、小池都政では、実務を担うことになる都内市区町村との事前調整もそこそこに、受動喫煙防止条例の制定を強行いたしました。
 市区町村の自治事務である非常用電源設備の整備では、自治体の財政規律などお構いなしに、都税を投入するとしています。
 市町村総合交付金は、昨年いきなり五十億円増額されました。ことしも、所管局から増額要求がなかったにもかかわらず、知事査定で十億円が上積みされましたが、増額分はいわゆるひもつきであり、交付金の本来の趣旨の変質が危惧をされています。
 市区町村事務に大きな影響を与える条例を制定する場合には、市区町村と事前に十分な調整を行うべきです。そして、交付金や補助金をただふやすことが市区町村行政ではありません。
 こうした観点からすると、現在の都政には、広域自治体として、都内市区町村と連携して地方分権を推進していくという姿勢が欠落していると感じます。地方分権の推進に資する市区町村行政のあり方に関する知事の見解を伺います。
 行政施策が経済状況や住民ニーズの動向などの変化に対応するため、常に変動していくのは当然です。
 しかし、今の都政の動きは、知事の発言や意向をそんたくして、事業がとまったり再開したり、やめたはずがもとどおりになったり、予算がいきなり増額されたりと、余りにもちぐはぐであります。
 今年度事業では、最終的に単なる電球の物々交換に終わったLED電球の交換事業、そして、五十億もかけたベビーシッター利用支援事業は、実績の余りの低さに、本格実施のことし、予算は半分以下に削減されています。
 こうした対応の全てが場当たり的で、何よりこれまでの失政の反省が全く生かされていません。新しいことを矢継ぎ早に発表することで、知事の失政から都民の注意をそらしているだけであります。
 知事は、このような姿勢を改め、堅実な都政運営に腰を据えて取り組んでいくべきであります。責任ある答弁を求めます。
 そして、都の施策を実際に動かしていくのは、都の組織、都の職員であります。その組織の改正には、都政運営のあり方に直結するため、都議会としっかり議論し、都民に開かれた形で検討を進めることが必要不可欠であります。
 石原都政の時代、平成十六年度に行われた福祉保健局と都市整備局などの組織再編では、まず、都庁改革アクションプランの中に明示し、都民の意見を募集し、所属委員会で審議した後、本会議に提案されました。
 今回の住宅政策本部等の設置は、局の新設、再編とは異なり、本会議に提案する案件には該当しないことは承知しています。
 しかし、都市整備局における住宅政策本部の設置は、平成十六年に統合したものをもとに戻すのに等しく、前回同様、慎重な対応が必要であろうかと考えています。
 しかも、突然の報道発表で、幹部職員の中にも、みずからの組織再編を報道で知った方もいると聞いています。あきれた話だと思います。
 組織再編は、実際にそこで働く職員による日々の業務に根差した建設的な意見交換と議論を基本に進めることが、再編の目的の効果的かつ効率的な実現につながると思います。
 その意味で、今回のように職員も知らない間に再編を決めてしまうのは、組織運営のイロハをわきまえない軽はずみなものであります。何よりも、都議会や都民に事前の説明もなく、ブラックボックスの中で都政運営の基本である都の組織再編が行われたことは、都民への説明責任の放棄でありまして、議会軽視そのものであります。
 今回の組織再編は、都民、都議会を置き去りにした拙速なものであると考えますが、知事の見解を伺います。
 首都東京のさらなる発展のためには、政治と行政の双方が、国とのパイプをしっかり構築し、国と連携を図っていくことが重要であることはいうまでもありません。
 昨年十二月十九日、我が党からの要望を踏まえ、菅官房長官より、東京の重要な政策について国が最大限に協力し、その具体的な推進を図るべく、国と都の実務者協議会を設置するとの発表がありました。
 これを受けて、先月二十八日、協議会の初会合が開かれ、都側は、長谷川副知事をトップに、関係局長一同が出席し、羽田空港の国際線増便や外環の整備促進など、都の重要施策八項目を国が協力して進めていくことで一致いたしました。
 国と都の実務者同士が協力し合いながら、真に都政を前に進めていくための大事な一歩が踏み出せました。しかしながら、国との協力体制が構築されたからといって、一息つくいとまはありません。
 いかに国から早期かつ具体的な協力を引き出せるのか、本当に大事なのはここからの取り組みであります。
 今後、テーマごとに、国と都の担当者間で詳細を詰めながら、本協議会を年に一、二回程度開き、進捗状況を報告するとのことであります。事実上、各省庁による概算要求に協議事項が盛り込まれているかどうかを確認する場になるともいわれております。
 もし、このとおりなら、都の取り組み姿勢に対して、正直、不安を覚えます。国の施策と予算に対する都の提案要求は、六月と十一月の年に二回、今も毎年行っております。
 もし同じことをするのであれば、せっかくの協議会が形式的なセレモニーの場になってしまい、元も子もありません。
 鉄は熱いうちに打てのとおり、首都東京の発展に向けて、国から最大限の協力を引き出すべく、都の本気度を示すには、スタートダッシュが肝心であります。
 今後、全国の自治体、首長からも国に対するさまざまな要望、あるいは陳情が届けられることは想像にかたくありません。国政選挙を控える中、国にとって見れば、都と同様、むしろそれ以上に地方は重要な存在であります。
 このような中で、都はいかなる戦略を持って、国の協力を早期かつ具体的に引き出す道筋をつけていくのでしょうか。
 勝負はこの一年であります。首都東京の機能強化に国の協力は不可欠であります。その命運がかかっているといっても過言ではない協議会の都側のトップは、小池知事ではなく、長谷川副知事であります。
 それでは、長谷川副知事にお聞きいたします。
 国の具体的な協力を早期かつ最大限に引き出すべく、来年度どのような戦略を持って協議会を進めていくおつもりなのでしょうか、見解を伺います。
 未来の東京のポテンシャルを最大限に引き出すためには、陸海空のインフラを世界で一番の都市のレベルまで引き上げていくことが非常に重要であります。
 実務者協議会の協議項目のうち、重点事項としている、首都圏空港港湾機能の充実、幹線道路の整備促進による道路ネットワークの早期完成、首都圏鉄道網の拡充の三項目は、東京の国際競争力を強化する上で、特に重要なインフラ整備に関する施策です。
 とりわけ、首都圏鉄道網の拡充は、鉄道事業者など関係者との調整も必要であり、権限を持つ国の力を最大限に引き出し、スピード感を持って進めていかなければなりません。
 国の答申に示されている六路線を中心とした首都圏鉄道網の拡充の実現に向け、国と都の実務者協議会においてどのように協議を進めていくのか、所見を伺います。
 知事による入札制度改悪は、無駄な時間を費やした上に、業界団体や現場に大きな混乱を招き、本来なすべき改革に大きくブレーキをかける結果となりました。
 自民党内の入札・契約制度改革PTでは、多くの業界団体との意見交換を重ね、真の意味での改革を提言し続けており、今回もまた、新たな問題意識を持って質問をさせていただきます。
 改正品確法が掲げる品質確保と、事業者の適正な利潤確保を通じた担い手確保など、その根底にある理念は、工事のみならず、業務委託などの他の契約においても踏まえるべきことは当然のことと考えます。
 業務委託における品質確保は、総合評価方式を活用することなどで担保しておりますが、業務履行に必要な経費について一定の基準を設けるなど、適切な積算がなされているかを確認することは非常に重要であります。
 今後、都民生活にも直結する業務委託契約における品質確保に向け、どのように取り組まれるのか、都の所見を伺います。
 次に、知事が取得意向を表明し、来年度予算案に六百九億円が計上された旧こどもの城について伺います。
 この国有地は、周囲を三つの都有地に囲まれた都心の一等地であります。平成二十七年にこどもの城が閉館して以降、我が党は一貫してその取得を強く主張し、広尾病院の移転先としてその購入が決まっていました。当時、用地取得に係る予算は議会にて全会一致で可決成立していました。
 ところが、小池都政が誕生すると、知事は広尾病院の移転、そして国有地の取得を白紙撤回してしまいました。
 その結果、三百七十億円で取得できたはずの土地が、この間の地価上昇により六百億円にも膨らんだのであります。これは紛れもない事実です。
 この二年間、知事は一体何をしていたのかといわざるを得ません。豊洲移転の延期と撤回と同じ構図です。
 もとより、都政百年の計を見据えて、東京の将来のために投資を行うことについて、我が党は反対するものではありません。
 そのため、我が党は、さきの第四定例会、そして知事への予算要望の場において、都民が予算の妥当性をきちんと判断できるよう、早急に具体的な利用形態を明示すべきと、繰り返し知事に強く要望してきたわけであります。
 こうした我が党の主張を受けて、先般、こどもの城活用の基本的方向が示されたところでございますが、六百億円を投入して国から用地を取得することとなる以上、ここで実施する事業については、各局の事業のみならず、首都東京としてのメッセージを指し示す内容を盛り込むべきだと思います。
 すなわち、それは東京と地方の新しい連携のあり方です。知事は常々、地方との共存共栄という言葉を口にしていますが、具体の施策として示すべきではないでしょうか。
 東京がいかに地方のために汗をかくか、地方に貢献できるかが今、真に問われています。
 そこで、旧こどもの城に、地方との連携、そして地方への貢献に向けた機能を持たせるべきだと考えています。
 こうした取り組みこそが、今、首都東京ができる真の地方への貢献であると考えますが、知事の見解を伺います。
 日本全体の発展のためには、東京対地方といった構図ではなく、共存共栄を図ることであるとの提言を我々は繰り返し行ってきました。
 知事は、全国知事会の場で、国産材の活用を呼びかけ、多くの賛意を受けたといって共存共栄の好例のように発信しておりますが、果たしてそうなのでしょうか。
 産業労働局と政策企画局によって、全国行脚を実施し、地方のニーズの把握に努めてきましたが、信頼関係を構築するとともに、東京が率先して地方に貢献することこそが、東京がなすべき共存共栄の第一歩ではないでしょうか。
 政策企画局は、四十を超える道府県に足を運び、意見交換を行ってきた中で、その成果を今後どのように生かして、地方への貢献を果たしていくのか、見解を伺います。
 産業労働局は、他の道府県と連携の中で、観光振興を進めてきました。東京から地方へと橋渡しをする、この観光施策は地方からも大きな評価を受けています。
 本年は、ラグビーワールドカップが全国十二都市を結んで開催されます。このことを踏まえ、より一層の観光施策の展開に取り組んでいくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 二〇二〇年大会の課題の一つに、道路における交通渋滞緩和策があります。現在、都では、TDM推進プロジェクトの説明会などを実施し、大会に向けた準備を促していますが、参加した企業からは、都が公表している大会輸送影響度マップについて、わかりづらいといった声が聞こえてきます。
 こうした声に応え、いち早く使い勝手を改善しなければ、企業の参画意欲も盛り上がらないのではないかと心配しています。また、物流は荷主の意向が強く、一つの企業だけでは解決できないことが多いのです。
 こうした中でも、ドライバーの確保や、混載によるトラックの積載効率の向上などを目指し、翌日配送を翌々日配送に変える取り組みを始めた企業も出てきたと聞いています。こうした企業の努力が広がるように、都も取り組みを進めるべきと考えます。
 都は先日、夏の試行のスケジュールを発表いたしました。この試行は、大会本番に向けてさまざまな施策の検証ができる残された唯一の機会であり、これまでの企業の声や動き始めた対策などを反映し、また後押しすることも必要であります。
 そこで都は、これまでのTDMの取り組みをどのようにことしの夏につなげていくのか、所見を伺います。
 また、都は先般、スムーズビズとして、交通需要マネジメント、TDMと時差ビスを一体的に推進していくと発表しました。
 しかし、TDMとは交通需要をどのように調整していくかの取り組みの総称であり、その手段となるテレワークや時差ビズと同列に扱うことには違和感があります。
 我が党が、第四回定例会でも質問したとおり、都が国や大会組織委員会と発足させた二〇二〇TDM推進プロジェクトにより、業界団体や企業に働きかけを行ってはいるものの、相変わらず企業や都民から何をしたらよいのかわからないという疑問の声は多く、活動の浸透はとても十分といえません。
 どのような方策で交通量を削減するのか、企業や都民の協力を仰がねばならない事項を具体的に示すなど、TDMの強化が必要な状況にあって、テレワークや時差ビズなどと一くくりにして進めるというのは非常にわかりづらく、逆にTDMへの理解や協力の機運が薄れてしまうのではないかと危惧しています。
 二〇二〇年東京大会の五百日前になって、なぜ今スムーズビズを進めることにしたのか、なぜ初めの段階で計画性を持って打ち出すことができなかったのか、見解を伺います。
 二〇二〇東京大会を契機としたさまざまな取り組みは、大会のレガシーとしてしっかり残していくことが重要です。スムーズビズも、未来の東京に向けて真に必要とされる取り組みとして、大会後に引き継がれる施策でなければなりません。
 しかし、鉄道の混雑緩和対策には、戦略的な鉄道ネットワーク整備があってしかるべきです。
 また、中小企業のテレワーク導入は、企業の業種や資金力などによって進め方は異なり、企業の実態を踏まえた支援も必要です。
 これら異なる課題をスムーズビズとしてまとめてしまうと、具体的な施策として、実効性の乏しいパフォーマンスに終わるのではないかと危惧しています。
 各課題の抱える問題を、実態に即して解決するという地に足のついた施策を展開していかなければ、大会を契機としたレガシーとして残していくことは難しいと危惧しています。
 都は、このスムーズビズの展開により、大会のレガシーとしてどのようなものを残そうとしているのか、所見を伺います。
 新聞などでも報道されている、二〇二〇大会期間中の首都高速道路の通行料金の上乗せ、いわゆるロードプライシングについて伺います。
 仮に、ロードプライシングで料金の値上げをするということは、経済的にも相当な影響があるということは都も承知していることと思います。
 こうした施策を実施する場合、首都高などの関係機関に知事みずから出向いて、都内の物流事業者など多くの首都高利用者を守るためのお願いをすべきだと思います。
 首都高を走る車の約半分が物流車両であるというデータもあり、また、物流は荷主の意向によって動くので、首都高の料金が上がっても通行せざるを得ない事情もあります。さらに、値上げ分をそのまま物流事業者が負担せざるを得ないような状況にもなりかねません。
 こうした状況を勘案し、物流事業者など、首都高を利用せざるを得ない利用者の方々への課金の減免対策など、同時に検討すべきと考えます。ロードプライシングに対する知事の見解を伺います。
 都は、二〇二〇大会には、大会関係者や観客の円滑な輸送と都市活動の安定の両立を図るとしています。こうした中において、都内の工事はどのようにコントロールしていくのでしょうか。
 大会期間の前後にわたり、制約を受けることを危惧する声がさまざまな業界から挙がってきています。大型トラックなど工事関係車両の通行とともに道路掘削を伴う工事の規制は少なからず行われ、工事休止を余儀なくされることが考えられます。
 規制される期間、エリアは決定しているのか伺います。
 関係業者への影響は最小限に抑えるべきですが、都が発注する工事についてはどう対応していくのか伺います。
 また、公共工事においては都のみならず、都内の市区町村、近隣他県、また、民間事業者への協力を仰ぐ必要があります。どのように対応されるのか伺います。
 都発注の工事においては、工事抑制の影響を見込んだ対応が必要であり、工期や契約金額などの変更等が生じる可能性もあり、受注者への負担がないように対処する必要があります。契約面での対応について財務局にお尋ねいたします。
 オリンピック・パラリンピックの開催により、都が進めるべき震災対策を初めとする重要施策におくれがあってはなりません。発注の前倒しや先送りなどを行い、対処することになると思いますが、工事の平準化もあわせて考えれば、来年度から計画的に管理していく必要があります。
 建設局を初め、幾つかの事業局にかかわることではありますが、どのように工事を進めていくのか、東京都技監に伺います。
 二〇二〇大会は、競技会場の多くが臨海部に配置されており、会場へのアクセスでは、道路も鉄道も混雑することは容易に想像できます。TDMやTSMにより、車が規制されることを考えれば、公共交通機関による移動が求められることとなりますが、例えば海の森競技場では、周辺に鉄道駅はなく、バスのみでは到底輸送力は足りません。
 その代替案として有効なのが、舟運による輸送となります。港運業界や遊漁船業者などに協力を仰ぎ、活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京港に集積されるコンテナは増加し続け、ターミナル周辺では交通混雑が慢性的な課題となっています。
 都は、混雑緩和の施策を行っていますが、抜本的な解消策には残念ながら至っておりません。
 こうした中で開催される二〇二〇大会は、競技会場の多くが臨海部に配置され、さらなる交通混雑が懸念されます。
 大会運営と円滑な港湾物流を両立させるためには、一歩進んだ取り組みが不可欠であり、都は、ストックヤードの増設など、車両の分散化を促進していくとしていますが、こうした取り組みを一過性のものではなく、大会後の交通混雑対策につなげていくことも重要であります。今後の対応についてお尋ねいたします。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九のファンゾーンについて伺います。
 本年九月に開催が迫ったラグビーワールドカップ二〇一九日本大会では、都は、交通、警備などの公共機能の提供や、大会のPR活動とともに、ファンゾーンの設置、運営という重要な役割を担っています。
 二〇一五年に開催されたイングランド大会のファンゾーンでは、単純にパブリックビューイングを行っているのではなく、大会を盛り上げるために、各所に工夫をして、老若男女が大会に対して期待を膨らませるような雰囲気をつくって、入場券を持っている方も、持っていない方も、誰もがわくわく感を持つことができるものとなっていました。
 このように、ファンゾーンは試合会場に行くことができない方も含め、さまざまな人々に大会の興奮と感動を共有してもらうことができる場でありまして、ラグビーワールドカップを成功に導くための重要な要素であります。
 都が検討を進めているファンゾーンの区部会場は、有楽町の駅前に設置されるものであり、隣接する東京駅からは、熊谷、豊田、静岡、大阪、神戸、新横浜などの開催都市に簡単に行くことができます。まさに日本の中心に設置されるファンゾーンであり、東京のファンゾーンが果たすべき役割には大きなものがあります。
 現在検討中の案では、東京スタジアムでの試合開催日を中心として、十五日間ファンゾーンを開催するとしていますが、それでは不十分だと思います。
 東京だけでなく、全国全ての試合のパブリックビューイングや、全国の開催都市のPR、日本の伝統文化の発信など、組織委員会やスポンサーとも連携しながら、日本のファンゾーンとして大いに盛り上げ、これを日本全国へ波及させていくべきであります。
 東京都のファンゾーンは、開催都市の一つとしてだけではなく、日本全国の代表として、ファンゾーンを開催していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例、このことについて伺います。
 二度目のパラリンピックを開催する世界で初めての都市として、開催時に世界各国から訪れる選手や関係者及び旅行者に対して環境を整え、さらに、将来を見据え、お年寄りや障害者に優しいまちづくりを目指すため、全国に先駆けて宿泊施設の一般客室を対象としたバリアフリーに取り組むことについては高く評価するものです。
 この施策を実効性あるものとするために、我が党も、障害者団体、ホテル業界、メーカーなど、利用者や事業者などさまざまな関係者の現場の要望を受けとめ、出入り口幅の基準のみならず、改修費用への支援や容積率緩和の許可基準の見直しなどについて、知事へ要望いたしました。
 利用者の声を十分に受けとめる一方で、宿泊環境を整備していくホテルや旅館などの事業者によるバリアフリー化の取り組みへの支援策も重要であると考えています。
 また、世界有数の観光都市を目指すため、基準改正後も関係団体との協議を進め、必要に応じて見直しを行うなど、レガシーとして将来に誇れる取り組みを進めるべきであります。
 よって、このたびの改正により、最低限のバリアフリー基準に加えて、より望ましい基準も努力規定として盛り込んでいますが、都の取り組みは単なるかけ声倒れとならぬように具体的にどのように促進していくのでしょうか。都の見解を伺います。
 聖火リレーについて伺います。
 一九六四年の東京大会の聖火リレーは、走者一名に加え、副走者二名、伴走者二十名によるリレー隊を編成して行われました。
 しかし、私はリオ大会で見てきましたが、最近の聖火リレーは様子が大きく変わっていました。
 ランナーは一人のみで、その周りを警察官などが取り囲み、さらにその前後をスポンサーなどの大きな車両が並んでいました。
 二〇二〇大会では、六四年大会と異なり、聖火リレーは都内全ての市区町村を回ることとしており、大変喜ばしいことで、地元の期待も大きく膨らんでいます。
 二〇二〇大会を実感し、地域から盛り上げていくためには、ランナーや応援する人、ボランティアや地元でのイベントなど、多くの人が一体となってかかわり、つくり上げていくことが重要であります。
 そのためにも、東京で開催される二〇二〇大会においては、組織委員会とも協力し、一人でも多くの人が聖火リレーに参加できるよう、ランナーをふやすなど、環境づくりを行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京を世界で一番の都市にするためには新たな都市づくりが必要です。関東大震災後の帝都復興計画を例に示し、二〇四〇年代以降の人口減少社会に見合ったスペックで都市計画を見直すべきであり、我々自民党は、五年前から提言を行ってきました。
 この提言を受けて策定されたのが東京のグランドデザインです。東京が持続的に発展し、活力あふれる成熟した都市を目指して都市づくりをするためには、当初の基本的な方針を見失うことなく進めなければなりません。
 そこで、都がこのグランドデザインで示す都市像について改めて伺います。
 また、今般、都市計画審議会から、東京における土地利用の基本方針について答申がなされましたが、これはグランドデザインを実現させるための一つの方向性が示されたものと理解しています。
 都は、この答申を受け、東京の土地利用に関し、どのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。
 昨年十月より、住宅政策審議会で審議されてきた都営住宅における管理制度等の在り方についての中間まとめが公表されました。
 増加傾向にある高齢者の単身世帯や住宅困窮の子育て世帯、若年単身者が存在する状況下で諮問がなされ、期限つき入居期間の延長や単身向け住居、あっせん基準の弾力化など、それぞれ諮問内容に対して的確に施策展開の方向性が示され、答申に生かされてくることと思われます。
 加えて、引き続き検討を要する課題の中にも、大変示唆に富んだ指摘が数多くされております。
 中でも、多世代共生に配慮した都営住宅の整備として、宅配ボックスや防災用資機材の保管場所の設置には実現可能性が高い案件と考えます。
 そこで、この件については、中間まとめの次期住宅マスタープランの策定時を待たずして、できることから実施していくべきと考えますが、所見を伺います。
 我が国の分譲マンション建設や供給は、昭和四十年代後半から急激に拡大し、現在都内では、実に百八十万戸を超え、総世帯数の四分の一を占めるまでになっています。
 マンションが本格的に普及し始めて半世紀を経て、取り巻く状況は大きく変化する中、管理をめぐる諸問題が顕在化し、マンション施策は、都の住宅施策の中でも重要な取り組みとなっています。
 このたび提案された東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例案を見ると、管理組合に管理状況の届け出を義務づけるとともに、都がその状況に応じた助言や支援、指導を行い、管理不全の予防、改善を図るとしていますが、優良な管理体制や管理上の取り組みが、マンションの資産価値に好影響をもたらすことも重要な視点です。
 我が党は、こうした優良管理物件の奨励制度が必要と考えており、都においても、適正な維持管理の促進と流通市場の活性化を目的として、東京都優良マンション登録表示制度を平成十五年度から実施しています。
 以前から、我が党はその普及促進に向けた取り組みについて質問してきたところでございますが、意義のある制度でありながら、その登録数は、昨年時点で百九十四件と、まだまだ道半ばであり、今後一層の取り組みが必要であります。
 制度の目標を実現させるためにも、不動産関係団体に働きかけるなど、市場において優良マンション登録表示制度が周知されるよう、この制度の改善を図ることが重要と考えます。都の見解を伺います。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化について伺います。
 震災時には、都民の安全確保とともに、首都機能を維持するため、都は、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を重点的に進めてきました。
 また、本定例会において条例改正を提案するなど、所有者の取り組みをさらに後押ししていくこととしています。
 市区町村や関係団体と連携して、こうした取り組みを改修や建てかえに確実につなげていくためには、共有すべき目標を明確に示すことが重要であります。
 都は、耐震化の取り組みをより効果的に推進すべく、耐震改修促進計画の改定に着手するということでありますが、今後の取り組みについて伺います。
 我が党は、災害に強いまち東京を実現するために、木密地域の改善に向けた提言を行ってきました。
 その結果、延焼遮断帯の形成や、不燃化特区における老朽建築物の除去や建てかえの支援、災害時の救援活動に必要な防災生活道路の整備や沿道の不燃化が行われ、改善が着実に進んでいます。
 一方で、地域によっては、古い木造建物の建てかえがなかなか進まない状況が散見されます。
 平成三十二年度の目標時期が近づいていますが、知事は施政方針表明において、不燃化の取り組みをより効果的に展開するべく、防災都市づくり推進計画の改定に着手すると表明されました。
 そこで、木密地域の改善に向けてどのように取り組むのか伺います。
 昨年七月に発生いたしました西日本豪雨を初め、近年、全国各地で水害が多発しています。
 水害の被災者からも、今まで経験したことがないという言葉が聞かれ、今後、地球温暖化に伴う気候変動により、東京においても、極端な大雨の頻度がますます高まることが想定されます。東京は、地下空間が地下街や地下鉄といった形で高度利用されており、水害に対して脆弱です。
 こうした状況において、荒川の氾濫のような大規模水害も見据え、被災した場合に早期に都市機能を回復する上で、人々の移動を支える地下鉄の早期復旧は重要な課題であると、委員会において、我が党議員から強く指摘させていただいたところであります。
 そこで、都営地下鉄における大規模水害時の早期復旧対策について、交通局の見解を伺います。
 昨年三月に発生した目黒区の女児虐待死亡事件を契機に、国や都で緊急対策を実施するなど、児童相談所体制のさらなる強化が求められております。
 今回、都として、独自の条例案が提出されていますが、大事なのは理念だけでなく、現場の第一線で子供の命にかかわる専門職や関係機関の連携です。
 本来、児童相談所は、児童の福祉の観点から広域的な対応が必要なものと考えますが、今、特別区においても児童相談所の設置が検討されています。
 こうした状況の中、今後、児童相談所と子供家庭支援センターのさらなる連携強化について、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 待機児童対策として、この十年間、我が会派としても、手厚い施設整備費の補助、保育士の処遇改善等を通じて、認可保育所や認証保育所等の整備を着実に推進してきました。
 しかし、昨年度、知事の提案で、突如、五十億円という大きな看板を掲げ、ベビーシッターへの補助事業がスタートをいたしました。
 ベビーシッターについては、閉鎖的な空間に子供と二人きりになるという性質からも、我が会派はこれまで、その質と保育の安全の確保の必要性を強く訴えてきました。
 また、こうした懸念の声は、保育の実施主体である市区町村からも聞いております。
 都ではこれまでの間、質を確保したサービスを提供するために、研修の実施により約三百人のベビーシッターを養成しています。
 しかし、ベビーシッター利用支援事業の実績は低調であります。ベビーシッターは、保育の受け皿の一つではありますが、本来、認可保育所、認証保育所等の施設型の保育サービスのすき間を埋めるためのものであると考えます。
 保育サービスの一つであるベビーシッター利用支援事業についての考え方を改めて伺います。
 障害の種別にかかわらず、また、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害者本人が希望する地域で安心して暮らせる社会を実現することは重要です。
 地域居住の場である障害者グループホームは、自宅で生活する障害者の親元からの自立や、入所施設、あるいは精神科病院から地域生活への移行を進めるために、積極的に整備を進める必要があります。
 都はこれまでも、グループホームの整備促進のため、さまざまな取り組みを進めてきましたが、近年、障害の重度化など、グループホーム利用者の状況の変化にも対応できる手厚い支援が求められています。
 こうした状況に対応するため、手厚く職員を配置したり、職員の育成に積極的に取り組んでいる事業者に対して支援を充実すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 中小企業の省エネ対策について伺います。
 中小企業では、不要な照明の消灯や、空調の二十八度設定など、省エネは既に実施済みであると認識しているところが多いようです。
 しかし、専門家がエネルギーの利用状況を精査し提案する、省エネの運用改善を行えば、期待以上のコスト削減効果が得られ、ひいては経営の効率化にもつながる場合があるとのことです。
 中小企業の省エネを推進するためには、中小企業の認識と実際の運用改善による効果とのギャップをなくしていくことが重要であると考えます。
 加えて、日ごろから中小企業の経営状況を把握し、経営サポートを行っている地域金融機関がこうした運用改善のメリットを十分認識していくことが重要であると考えます。
 都は、このような現場の実態を十分に把握し、中小企業の省エネ対策を促していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック教育について伺います。
 東京二〇二〇大会本番まで残り五百日余りとなり、平成二十八年度から都教育委員会が全公立学校で実施しているオリ・パラ教育についても、さらに取り組みを加速させ総仕上げを行うべき段階となりました。
 都内の学校の中には、子供たちだけにとどまらず、保護者や地域住民も参画することにより、さらなる展開の広がりを見せている取り組みがあるとお聞きをしております。
 こうした、地域と一体となった取り組みを都内全体に波及させていくことが、東京二〇二〇大会の理解を醸成し、成功を支えていくことになります。
 その上で、子供たちにとって一生に一度の貴重な体験となるよう、二〇二〇大会本番には多くの子供たちが大会にかかわることができる取り組みを行うとともに、そうした体験を通じて、大会後もそれぞれの学校にオリ・パラ教育のレガシーを残していかなければなりません。
 オリンピック・パラリンピック大会開催が迫る中、今後のオリンピック・パラリンピック教育の取り組みの充実について、都教育委員会の見解を伺います。
 教育庁における新財団設立について伺います。
 教育庁は、学校をきめ細かくサポートする多角的支援機関として新財団を設立し、学校教育の質の向上を目指すとしています。
 東京の未来を担う子供たちを育てる学校には、常に多くの期待が集まります。
 教員は、学校現場で何を最も大事にしなくてはならないか、その観点がぶれるようでは、東京の教育の質の確保はできません。教員が担うべき役割が何なのかを踏まえた上で、教育の質の向上に新財団はどう寄与していくのか、このことを語らずして、財団を設立する意義はありません。都の見解を伺います。
 都は、教育の新財団において人材バンクを設置して学校を支援していくとのことですが、学校の状況によって必要とされる人材は千差万別です。
 市区町村では、地域との連携に力を入れて人材確保に取り組んでいるところもありますが、都全体では、外部人材の確保に課題もあると聞きます。
 学校で教育活動に携わる人材である以上、ただ数を集めるのだけではなく、ふさわしい人材か否かを見きわめなくてはなりません。真に学校支援をうたうのであれば、広域行政を担う都は、市区町村の希望や状況を踏まえた上で、必要な市区町村に対し、不足することなく、人材をきちんと確保できる見込みを立てて進めるべきであります。
 屋上屋の施策とせず、市区町村の取り組みを阻害する押しつけの策となることのないよう、また、学校や子供たちのためになるようふさわしい人材を見きわめるスキームとする必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、中央卸売市場長に伺います。
 都は、都内十一カ所の中央卸売市場について、一九年度以降、市場法改正を踏まえ、民営化、統合を含め、検討を進めていくとのことであります。豊洲市場が二年おくれでようやく開場したばかりの発表で驚いています。
 現在も豊洲移転延期のあおりを受けた他の市場では、施設改修もままならず、営業を続けております。ようやく開業にこぎつけた豊洲市場の方々、二年間、置き去りにされ、厳しい経営環境を耐えてきた他の市場の方々は、今回の突然の発表を到底納得されないことと思います。またしても、市場業者、都民不在の議論であります。
 そこで、今回の発表と、第十次市場整備計画との整合性はどうなるのかお伺いをさせていただきます。
 都政は、ワールドカップの開催、二〇二〇東京大会の準備、築地再開発をめぐる都民の不信感の払拭など多くの課題を抱えています。ところが、肝心の知事は、防災施設の落書きの前で写真を撮って、SNSに投稿し、都有施設を使って落書きを保管させ、都民からは批判や疑問の声が聞こえてきます。
 また、多摩の視察と称して、テレビ番組でバイクに乗っておりましたが、知事視察があると仄聞し、準備していた地元自治体では肩透かしに遭い、少なからず不愉快な思いをされていたようであります。
 この一連の出来事で明らかなように、小池知事には、都知事としての職責を改めてご認識いただき、ご自身の行動が多くの方々に与える影響を念頭に置いて行動していただく責任があります。都政が重要な局面にある今、余りにのうてんきな行動は厳に慎むべきであると申し上げておきます。
 これまで、小池知事の都政運営、二〇二〇東京大会の輸送体制、築地まちづくりと築地跡地の有償所管がえなど、都政の課題について、我が党として代表質問をさせていただきました。
 冒頭申し上げたとおり、三十一年度は二〇二〇年の東京大会、その先の東京の発展に向けた基礎をしっかりと固める大事な年であります。
 知事と議会が一丸となって、都民とともに、夢と希望にあふれた東京大会を成功させ、その先の東京の発展に向けて力強く歩んでいかなければなりません。
 そのためには、二元代表制のもとでの健全な都政運営に向けて、緊張感を持って、知事と議会が率直な議論を行うことが大事だと考えています。
 本日の代表質問、あすからの一般質問、そして、予算特別委員会、知事がご出席いただく経済・港湾委員会での質疑など、それぞれの場面で、知事、理事者の皆様としっかりと議論をさせていただきたいと思います。
 知事、そして理事者の方々の誠意あるご答弁を期待いたしまして、代表質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 吉原修議員の代表質問にお答えをいたします。項目のみのご通告などもありましたが、誠意を持ってお答えしたいと存じます。
 有償所管がえの決定までの経緯についてのご質問がございました。
 築地市場の跡地につきましては、まず、昨年十一月に市場移転に関する関係局長会議を開いておりまして、そちらで中央卸売市場会計の収支試算を行う中で、築地のまちづくりの検討状況を踏まえまして、一般会計への所管がえも視野に入れて検討を進めるということを明らかにいたしております。
 その後ですが、第四回定例会におきましては、一般会計への有償所管がえを軸に検討を加速する、その旨を表明いたしまして、各段階において状況を明らかにしながら検討を進めてまいったところでございます。
 その上でですが、本年一月、関係局長会議で、東京全体としての価値の最大化を目指しますまちづくりを見据えまして、市場会計の収支試算も踏まえまして、市場会計から一般会計への公有財産規則に基づいての有償所管がえを行うと、このような流れとなっております。
 次に、基本方針についてのお尋ねがございましたが、私が基本方針でお示しをいたしましたのは、豊洲と築地の両方を生かすということを趣旨とした大きな方向性でございます。
 日本の中核市場としての可能性を持つ豊洲、そして都心に近くさまざまなポテンシャルを有する築地と、この両方を生かすということから、東京全体の価値を高めようというものでございます。こうした基本方針の方向性については何ら変わっているものではございません。
 基本方針の中では、築地の歴史、ポテンシャルなどを踏まえておりまして、再開発の一つの考えとして、食のテーマパークなどの内容もお示しをし、貴重な都民の財産である築地市場の跡地をしっかりと生かしていくべきだということを申し述べたところでございます。
 年度内に築地のまちづくり方針を取りまとめることといたしておりまして、都民の皆さんのご意見も踏まえて、基本方針をさらに進化、発展させるものとしていきたいと考えております。
 市場機能についてのご質問がございました。
 基本方針で図で示した競り、市場内取引などでございますが、市場業者を初め、東京の食文化を担う多くの方々の努力によって長い歴史の中で育まれてきた築地ブランドがございます。その築地ブランドをさらに発展させていきたいとの思いで述べたものでございます。
 この基本方針をベースといたしまして、都として検討を行い、一昨年七月、市場移転に関する関係局長会議で、築地については、民間主導での再開発、このことを申し上げ、その後の有識者の意見もいただきながら検討を重ねてきたものでございます。
 市場機能につきましては、かねて申し上げてきたとおり、市場も、卸売から多々ございますが、都が中央卸売市場として運営するのは豊洲市場であって、豊洲との近接性を考えますれば、築地再開発において都が改めて卸売市場を整備することはないと考えております。
 一方で、築地にとりましての食文化は重要な要素の一つでございまして、まちづくり方針の素案でも、こうした歴史的、文化的なストックも十分に生かすことを示しております。
 民間のさまざまな知恵も活用しながら、築地を先進性、そして国際性を備えました東京の顔として育てて、築地に期待を寄せる人々に応えていきたいと考えております。
 次に、有償所管がえの予算措置についてのご質問があったかと存じます。
 今回の有償所管がえですが、築地まちづくり方針の素案が固まりました。そして、そのまちづくりのために、築地の用地が必要となっていることから、関係規則にのっとって、適正な対価のもとで一般会計に移しかえるものでございます。
 一般会計への移しかえにいち早く着手するということで、民間事業者の参画意欲を早期かつ最大限に引き出すことができますし、また、都といたしましても、円滑にまちづくりの具体案を検討することが可能となり、これも、中長期を見据えた財政運営の一環ということでございます。
 再開発を進めることについてのメリットは何だということで、ご質問をいただいたかと存じます。
 築地の再開発では、長期的な観点から、東京の持続的な成長につなげていくことといたしております。都心の大規模な土地を効果的に活用し、そして民間の力を最大限に生かし、段階的に整備を進め、短期的な利益ではなくて、東京全体としての価値の向上を図っていくものといたしております。
 整備を進めるに当たりましては、土地を民間に売却することはなく、都が所有をし有効に活用することで、中長期的に、東京、そして都民にとっての価値を向上させることが可能になると考えております。
 例えば、都が土地を持ち続けることで、長期的な時間軸を意識して、地下鉄などのインフラの整備状況も勘案しながら段階的な開発を進める、そして、周辺地域の付加価値の向上など波及効果をもたらしながら価値の最大化を図るということが可能になってまいります。
 こうしたことから、築地の再開発というのは、稼ぐ東京をまさしく実践するものでありまして、都民の負託に応えるものとなると考えております。
 それから、都政の運営についてでありますが、その流れのご質問でございました。所管がえの決定までの検討期間、それから、年度内に着手する必要性についてお尋ねがあったかと存じます。
 築地市場跡地の取り扱いですが、先ほども申し上げました築地市場跡地の取り扱いにつきましては、おととしの六月に、市場のあり方戦略本部の中で、一般会計に有償所管がえした場合と長期貸し付けした場合、その収支試算を行っております。
 また、豊洲市場への移転、それから築地の再開発に向けた具体的な取り組みを進めてきた中で、これまでの都議会においてもご議論をいただいてきたと承知をしております。
 こうした議論を積み重ねた上で、ことし一月、関係局長会議で、東京全体としての価値の最大化を目指すまちづくりを見据えて、改めて行いました市場会計の収支試算も踏まえて、一般会計への有償所管がえを行うと、このように決めたものでございます。
 今般、有償所管がえの方針を固めた中で、今年度、決算の剰余金であるとか予算執行状況を精査いたしまして、財源のめどが立てられるということからの補正予算の計上としております。
 再来年度以降に税収減を迎える中で、今回の措置は、今後の継続的、安定的な都民サービスの提供にも資すると、このように考えております。
 さらには、ご質問で、私が先日開催いたしました昼食勉強会についてのお尋ねがございました。
 ご支援をいただいている皆様方からのご要望もあり、都政運営について説明責任を果たす一環として、東京の持続可能な成長に向けた勉強会を開催したものでございます。議会運営は議会でお決めになっていただくものと承知をいたしております。
 平成三十一年度の予算編成での各種団体との面会についてのご質問があったかと存じます。
 知事就任しましてから、都民が第一、都民ファーストの都政の実現に向けてさまざまな予算編成プロセスの見直しを進めてきております。
 その一環といたしまして、政策現場の最前線で活躍されます各種の団体とのヒアリング、そして意見交換を行ってまいりました。現場の声を聞き、都民の声をしっかりと受けとめるということで、よりよい予算づくりに役立てさせていただいております。
 平成三十一年度の予算編成でございますが、昨年の十月から十二月にかけまして、五十九団体とのヒアリングを行っておりまして、実にさまざまなご意見、ご要望を直接いただいたところでございます。
 そして、昨年度と一昨年度、同様に実施をいたしておりますが、予算案発表前の各種団体との意見交換については、いただいたご意見やご要望、それぞれの個別の事項に関しましては、知事査定の場で一つ一つ議論をして判断をした、その内容についてお伝えをいたしておりまして、予算案発表に至るまでの重要な予算編成プロセスの一つと考えております。
 都民を代表する皆様、都議会各会派の皆様に対しましては、予算案の発表の前に、その全体像をイの一番にご説明をいたしておりまして、これを機に、本定例会におきまして議会の皆様と真摯に議論を重ねていくということで、二元代表制の趣旨にのっとった対応と、このように認識をいたしております。
 区市町村の行政のあり方についてのご指摘がございました。
 人口減少、超高齢社会を迎えるという、この日本でございます。そして、この後は東京ということになります。限りある行政資源を有効に活用いたしまして、住民の利益を最大化していく、そのためには、地方分権を推進して、地方自治のさらなる充実を図るということは極めて重要でございます。
 私は知事に就任してからも、都内の区市町村に積極的に足を運んでおります。そして、その実情を把握し、区市町村長との意見交換などにおきましても、各自治体が抱えておられるさまざまな課題、そして具体的な取り組みの実態を伺ってまいりました。
 そして、区市町村は、その地域に暮らす都民のニーズに合ったきめの細かい行政サービスを提供する、東京の行政を担う重要なパートナーでいらっしゃいます。
 都といたしまして、広域自治体として、区市町村に対しましては技術的、そして財政的な支援を行いまして、相互に緊密に連携協力しながら、引き続き、東京の発展をともに推し進めていくということでございます。
 それから、都政運営についても改めてご質問があったかと存じますが、子や孫の世代、つまり次世代にも次々世代にも持続可能な成長を続け、世界に輝く東京、そして日本、何としても引き継いでいく、これは私の揺るぎない決意でございます。
 そして、知事に就任してからも、そのための施策を一つ一つ堅実に進めてきたと、このように存じます。
 人口減少、そして、さらなる高齢化を控えておりますので、世界の都市間競争の熾烈をきわめる中でも、ただ、これまでの延長線上の発想にとらわれているだけではなく、東京が未来に向けて成長を続けるということが必要でございます。
 これまでの延長線上の発想にとらわれていては、逆に申し上げれば、東京は未来に向けて成長を続けることはできないということでございます。
 よって、変えるべきは変え、守るべきは守るというのが私の信条でございます。こうした信条のもとで、都民の皆様や専門家や大学研究者の皆様のご提案なども踏まえながら、新たな発想のもとで、丁寧かつ大胆に政策を進め、その一つ一つが東京の持続的な発展につながると、このように確信をいたしております。
 引き続き、都民の皆様への説明を果たしながら、東京大改革の旗印のもとで、東京の明るい未来を切り開くための政策を着実に推進をしてまいりたいと考えております。
 次に、今回の組織改正についてのご質問があったやに思います。
 都は従来から、地方自治法で与えられました知事の権限の範囲の中で、組織の改正を着実に実施をしてまいりまして、その時々の行政課題に応じた執行体制の確保に努めてまいりました。
 これまでも、迅速に取り組むべき喫緊の課題につきましては、定数の措置等により体制の強化をするほか、青少年・治安対策本部を初めとして本部組織を設置するなど、課題解決に向けて執行体制を整備し、機動的に対応をしてまいりました。
 今回の組織改正につきましても、超高齢社会の到来を初め、グローバル化、ICTの進展などなど、社会経済の情勢の著しい変化を踏まえまして、より一層迅速な対応が必要でございます。そういったことから、執行体制を整備するということでございます。
 今後もこうした考えのもとで、都が抱えております課題にスピード感を持って対応する、そのためには、二〇二〇年以降も見据えまして、中長期的な組織全体のあり方について検討を進めてまいります。
 旧こどもの城についてのご質問がございました。
 この敷地は、都のさまざまな政策実現にも資するという可能性を有した土地である、そして、これを取得することは東京の未来にとって重要な投資である、このように確信をいたしております。
 こうした考えに立ちまして、この施設の利用形態の具体化を進めており、現時点での検討内容を取りまとめながら、旧こどもの城活用の基本的な考え方としてお示しをしたところでございます。
 お話の地方との連携や地方への貢献でございますが、東京が他の地方とともに知恵を絞って、それぞれの個性や強みを生かして共存共栄を図るということで、日本の持続的成長、これを実現していくことが重要と認識をいたしております。
 都民の城で実施する事業の詳細につきましては、来年度から庁内検討組織を立ち上げることといたしまして、その中で具体化を図ってまいります。
 いずれにせよ、誰もが利用できる場といたしまして、都民の皆様にとって有益な施設としてまいります。
 最後に、ロードプライシングについてのご質問がございました。
 東京二〇二〇大会を成功に導くためには、交通量の抑制、分散で円滑な大会輸送の実現、そして経済活動の維持の両立を図ることが極めて重要であることはご存じのとおりであります。
 そこで都は、大会期間中の交通混雑の緩和に向けまして、交通量を抑制する交通需要マネジメント、TDM、そして時差ビズ、テレワークの取り組みをスムーズビズと総称して一体的に進めているところでございます。
 ご指摘のロードプライシングにつきましては、学識経験者などからも、高速道路の渋滞を緩和するための追加対策の一つとして、その検討が提案されているところでございます。
 こうした施策の導入でございますが、交通量の低減だけでなく、物流事業を初め、東京の経済活動への影響など、さまざまな観点から、国などの関係機関とともに実現可能性の検討をする必要があると考えております。
 東京二〇二〇大会の成功に向けましては、引き続き、交通混雑の緩和の方策につきまして、関係機関と連携して幅広く検討を進めてまいります。
 もう一つありました。聖火リレーでございます。
 オリンピックの聖火リレーでございますが、シンボルである聖火を掲げることで、大会の関心と期待を呼び起こすものでございます。ランナーや観衆、地域住民やボランティアなど、多くの人々が大会に参加できる貴重な機会でございます。
 聖火リレーのランナーの走り方でございますが、近年の過去大会では、一人の走行となっておりまして、二〇二〇大会におきましても、それが準用されるものと考えております。
 大会開催前ですが、聖火リレーによって、都民の機運醸成を図るということは重要であって、都は、都内全域で開催の機運を盛り上げていくということから、島しょの地域を含みます六十二区市町村全ての自治体をめぐるルートにつきまして、現在、実行委員会で検討を行っているところでございます。
 十五日間にわたる都内での聖火リレーの中で、さまざまな人が参画できるような演出など、知恵や工夫を重ねまして、今後、区市町村とも十分連携をして、多くの都民が参加して、記憶に残る聖火リレーを実現してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
〔副知事長谷川明君登壇〕

○副知事(長谷川明君) 国と東京都の実務者協議会についてでございますが、東京の活力増進により、我が国全体の発展を促進する観点から、国と連携が必要な重要な施策を具体的に推進していくため、先月、第一回会合を開催いたしました。
 内閣総理大臣補佐官を議長に、国からは内閣官房副長官補及び各省の局長級、都からは三副知事及び関係局長が出席し、首都圏空港港湾機能の強化、道路ネットワークの早期完成、首都圏鉄道網の拡充など八項目二十施策を協議事項といたしております。
 いずれの施策も、財源の確保や制度改正など、実現に向けて難しい調整を伴うものでありまして、都として戦略的に協議を進める必要がございます。
 このため、まずは、夏に行われる政府の概算要求に向け、現在、各局と国の各府省との間で、解決すべき課題の整理や到達目標の設定など、具体的な協議を開始したところでございます。
 今後、実質的な成果を得られますよう、私自身も先頭に立ち、都議会自民党のお力添えもいただきながら、都一丸となって精力的に協議を進めてまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピック教育についてでございますが、東京二〇二〇大会時に、それまでの取り組みが実を結び、子供たちにかけがえのないレガシーを残すには、学校だけではなく、地域等を含めた広範な取り組みが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、学校に対し、アスリートや大使館との交流等が地域住民の参画により、一層充実した事例等を周知するとともに、保護者等に本教育への積極的な参加を呼びかけるよう働きかけてまいります。
 こうした学校と家庭、地域が連携した取り組みを推進し、本教育の集大成として実施する大会時の競技観戦やボランティア活動等の取り組みをより意義のあるものとしてまいります。
 さらに、大会後も続けていく教育活動を学校二〇二〇レガシーとして構築し、子供たちが共生社会の将来の担い手となるよう取り組みを発展させてまいります。
 次に、教員の役割と新財団設立の意義についてでございますが、学校教育は、児童生徒の全人格的な完成を目指すものであります。現在、学校に対するさまざまな社会の期待が大きくなる中にあっても、教員の職務の中核は児童生徒の発達段階等を踏まえた学習指導や生活指導等にございます。
 そのため、都教育委員会には、教員がそれぞれの学校の実態に即して、授業や生活指導など、教員としての専門性が求められる中核業務に、より一層注力できるよう環境整備を推進していく責務がございます。
 今後は、教員の専門範囲を超える法律等に関する相談対応や、教員をサポートする外部人材の確保等の側面支援を行う新財団を通じて、教員がその職責をより一層全うできるようにするとともに、学校が社会から期待される役割をしっかりと果たせるよう取り組んでまいります。
 最後に、新財団の人材バンクについてでございますが、人材バンクにおいては、区市町村教育委員会や学校のニーズなど個別の実情を踏まえた支援を実施していくことが重要でございます。
 そのため、新財団では、経験豊富な退職校長等が学校の希望を正確に把握するための聞き取りを行い、求める人材像を明らかにした上で、面談を行うなどにより、最も適切な人材を判断し、紹介してまいります。
 また、学校がみずから確保することが困難である人材を紹介することで、学校が真に必要とする支援を行ってまいります。
 さらに、他校の取り組みの好事例を踏まえた助言を行うことなどにより、子供たちの教育環境が一層充実するよう学校を支援してまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 東京二〇二〇大会期間中におけます都発注工事の実施についてでございますが、安全・安心で魅力ある東京を築き、日々の都民生活や都市活動を支えるため、大会期間中におきましても、道路、河川、港湾、上下水道等の一定の公共工事を実施することが不可欠でございます。
 一方、大会時の交通混雑緩和が求められますことから、工事実施に伴います関係車両の抑制に努めることが重要であると認識しております。
 このため、今後策定されます工事調整の取り組み方針に基づき、工事内容や地域特性に応じまして、発注時期の前倒しや後ろ倒し、施工時間の設定などを工夫することで、工事を適切に進めてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、大会時の円滑な輸送に配慮しつつ、都市基盤整備や維持管理を着実に推進してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 十点の質問にお答えいたします。
 まず、鉄道ネットワークの充実についてでございますが、首都東京の国際競争力を強化し、将来にわたり持続的に発展させるためには、東京の強みである鉄道網のさらなる充実が不可欠でございます。
 現在、都は、国の答申において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた六路線を中心に、国や鉄道事業者等の関係者と連携し、需要や採算性等の検証、事業スキームの構築に向けた検討などを実施しております。
 国と東京都の実務者協議会では、六路線等の整備促進に向けて、事業スキームの早期構築や補助制度の積極的な活用、財源の確保などについて協議してまいります。
 こうした場も最大限活用しながら、関係者との協議、調整を加速し、鉄道ネットワークの充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、スムーズビズの取り組みについてでございますが、東京二〇二〇大会の成功には、円滑な大会輸送の実現と、経済活動の維持の両立が極めて重要でございます。
 これまで都は、交通混雑緩和に資する交通需要マネジメントとともに、働き方改革につながるテレワーク、快適通勤の実現を図る時差ビズなどをそれぞれ推進してまいりました。
 大会を来年に控え、今後はこれらの施策をスムーズビズと総称して、広報やイベントなどを一体的に実施することで、企業や都民にわかりやすく、効果的に訴えかけてまいります。
 あわせて、スムーズビズ推進期間として、一年前の試行を着実に実施するなど、より実効性を高めるよう努めてまいります。
 次に、スムーズビズによる大会のレガシーについてでございますが、スムーズビズは大会期間中の交通混雑緩和だけではなく、働き方改革の推進や物流の効率化、ひいては企業の生産性の向上にも資する取り組みであり、これを定着させることが重要でございます。
 都は、交通需要マネジメントやテレワーク、時差ビズなどの取り組みをスムーズビズとして一体的に推進し、都民や企業による交通行動の工夫やテレワーク環境の整備、多様な働き方の実践などを後押ししてまいります。
 大会を契機に、こうした取り組みの輪を広げ、新しいワークスタイルや企業活動の東京モデルを確立することで、全ての人々が生き生きと働き、活躍できる社会の実現を目指してまいります。
 次に、宿泊施設のバリアフリー化についてでございますが、今回の条例改正では、法で設置が義務づけられている車椅子使用者用客室とは別に、法の義務対象ではない一般客室を対象に、全国で初めてバリアフリー基準を設けるなど、早期に宿泊環境を整えていくこととしております。
 例えば、浴室等の出入り口幅について、最低限の義務基準を規定するとともに、望ましい基準を示しました。ホテルなどの建築主などに望ましい基準による整備を促すため、建築基準法に基づく容積率緩和の許可基準を年度内に見直し、速やかに周知してまいります。
 また、バリアフリー改修の補助金について、補助率を最大三分の二から十分の九に拡充するなど、支援策を強化してまいります。
 これらの取り組みにより、誰もが利用しやすい宿泊環境の実現を目指してまいります。
 次に、グランドデザインで示す都市像についてでございますが、グランドデザインでは、二〇四〇年代を見据え、東京を活力とゆとりのある高度成熟都市として生まれ変わらせ、新たな価値を生み続ける活動の舞台として、世界中から選択される都市とするとともに、ライフスタイルの多様化に柔軟に対応できる都市とすることを目指しております。
 この都市像の実現に向け、長期的な観点から、国際ビジネス拠点の育成、三環状道路や鉄道などインフラの充実と、その最大限の活用、燃えない、倒れないまちづくりの加速、緑を減らさない取り組みなどを進め、東京が持つ強みを伸ばしながら、世界をリードする都市の実現を目指してまいります。
 次に、東京の土地利用に関する今後の取り組みについてでございますが、都市計画審議会の答申では、拠点ネットワークの充実強化と緑の拡充を一体的に進め、東京の魅力や活力を向上させていくべきとしております。
 この方向性を実現していくため、都は、答申を踏まえ、都市計画に関するさまざまな基準等の改定を順次進めてまいります。
 まず、個性ある多様な拠点の形成に向け、容積率の緩和が可能となる都市開発諸制度の活用方針等を年度内に改定し、民間開発の機会を捉え、地域特性に応じた望ましい機能の導入を誘導してまいります。
 さらに、来年度、用途地域等の指定方針、指定基準を改定し、農地を保全、活用するための田園住居地域の指定等を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、区市等と連携しながら、グランドデザインで示す望ましい都市像の実現を図ってまいります。
 次に、多世代共生に配慮した都営住宅の整備でございますが、都営住宅においては、日常的なかかわり合いや近隣との交流を通じて、地域社会のつながりが育まれてまいりました。
 そのため、都は、都営住宅の建てかえに当たり、地元自治体のまちづくりの方針と整合を図るとともに、創出した用地に、地域のニーズに応じた福祉施設や生活施設を誘致して、周辺地域との交流を図る空間の形成を進めてまいりました。
 あわせて、今回の住宅政策審議会答申の中間のまとめでは、多世代共生に配慮した都営住宅の整備を進めるため、引き続き検討を要する課題の中で、ご指摘の入居者の利便性向上や自治会活動の活性化に資する設備の設置、保安、防犯や見守りにおけるICTの活用なども提言されております。
 今後、五月の答申を踏まえながら、速やかにその提言について検討してまいります。
 次に、優良マンション登録表示制度についてでございますが、分譲マンションの取引においては、管理が良好で適切な改修等が行われたマンションが高く評価されるものであり、みずから努力する管理組合が報われるような仕組みが必要でございます。
 これまで都は、既存マンションの流通市場の活性化を目的として、東京都優良マンション登録表示制度を平成十五年度から実施しており、マンションポータルサイトやセミナーなどで周知を図っておりますが、市場に十分定着していないなどの課題がございます。
 このため、今回の条例による適正な管理の促進に向けた取り組みに合わせて、優良マンション登録表示制度の登録のインセンティブとなる方策についても検討するなど、その改善に努めてまいります。
 次に、耐震改修促進計画の改定についてでございますが、本計画は、都内の建築物の耐震化を計画的、総合的に促進するための目標や施策を示すものであり、その実施状況等を踏まえ、おおむね三年ごとに見直すこととしております。
 都は、この計画に基づき、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を重点的に進めており、個別訪問等のこれまでの取り組みに加え、このたび条例を改正し、建物占有者への働きかけを強化するなど、耐震化を加速することとしております。
 これらの施策をより効果的に推進し、震災時における緊急輸送道路の必要な通行機能が確保できるよう、計画を見直してまいります。
 これまでの達成状況や施策の効果などの検証も行いながら、施策を特に重点化すべき路線などの検討も進め、計画素案を取りまとめ、本年秋ごろに示してまいります。
 最後に、木密地域の改善についてでございますが、これまで都は、防災都市づくり推進計画に基づき、特定整備路線の整備とあわせて、不燃化特区などを活用した木密地域の不燃化に取り組んでまいりました。
 道路沿道を中心に不燃化が着実に進む一方、道路に面していない敷地が多い街区などでは、老朽建築物の建てかえが進まず、改善がおくれております。不燃化の一層の促進に向けて、都は、都有地を活用した民間による魅力的な移転先のさらなる展開や、公有地を活用した無接道敷地の整序など、一歩踏み込んだ方策を実施する必要がございます。
 このため、これらの方策をより効果的に展開できるよう、幅広く検討を行い、推進計画を改定してまいります。本年秋には計画の基本的な考え方を示し、区市町と連携しながら、平成三十二年度に整備プログラムを取りまとめてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、業務委託契約における品質確保についてでございますが、業務委託の品質確保には、業務内容を仕様書等に明確に示すことのほか、適切な業務の履行を担保するに足る予定価格を設定することが重要と認識をしております。
 これまで財務局では、必要な予定価格が確保されるよう、予算要求の時期に、適正な積算及び予定価格の設定を求める通知を各局に発出してまいりました。業務委託の内容は多岐にわたるほか、単年度限りのものや反復継続するものなどさまざまでありまして、全ての業務に共通した基準を設定することには課題がございます。
 今後とも、業務委託の品質確保という観点から、業務の種類や内容に応じた基準の検討なども含め、適切な予定価格の設定に向けて取り組んでまいります。
 次いで、東京二〇二〇大会時の公共工事に係る契約面での対応についてでございますが、都発注の工事について、工事期間等の調整の影響が見込まれる場合には、契約という観点からも、適切な対応が求められると認識をしております。
 例えば、既に契約している案件の一時中止等が発生する場合には、契約約款に基づき、必要に応じ、工期や契約金額の変更といった対応が想定されます。
 今後、発注する案件につきましては、工期の制約等を明示するほか、事業の計画的な推進に加え、発注時期等の平準化などの点も勘案しながら、発注時期を検討する必要があります。
 東京二〇二〇大会の円滑な大会運営に向けまして、オリンピック・パラリンピック準備局の取り組みに工事発注局とともに協力してまいります。
〔政策企画局長梶原洋君登壇〕

○政策企画局長(梶原洋君) 東京から地方への貢献についてのご質問にお答えをいたします。
 都はこれまで、産業、観光振興など、全国各地と連携した取り組みを進めますとともに、全国の道府県を訪問し、具体的な東京への要望など、幅広くご意見を伺ってまいりました。
 また、いただいた各道府県からの声は、外国人旅行者の誘致や地元産品のPRに向けた連携施策の強化、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇大会の各地域での機運醸成につながる取り組みなどに結びつけてまいりました。
 来年度は、政策企画局に他の地域との連携推進を担うポストを新設し、全国各地のニーズと各局の事業をつなぐ、よりきめ細かい対応を行う考えでございまして、東京に集まる情報、資金と、他の地域の資源、技術などを結びつけ、双方でより多くの付加価値を生み出していけるよう、都みずから汗をかき、全国各地との協力関係を一層進化させてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 日本各地と連携した観光振興についてでございますが、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇大会を契機に日本各地の一層の観光振興を図るため、都は、平成二十七年の東北から、中国、四国、九州、北陸へと毎年連携する地域を広げるとともに、各地域の自治体等と協議会を設置し、都内と各県を結ぶ観光ルートに海外メディア等を招聘するなど、観光の魅力を発信しているところでございます。
 来年度は、これらの取り組みの充実に加え、今年度から実施しておりますラグビーワールドカップ開催都市と連携したウエブサイト等による情報発信をさらに進め、大会期間中はリアルタイムで観光情報を発信してまいります。
 また、東京二〇二〇大会の競技会場がある地域の観光PRを新たに開始いたします。
 今後も、地域の意見を踏まえ、東京と日本各地が協力した観光振興に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、この夏に向けたTDM、いわゆる交通需要マネジメントの取り組みについてでありますが、都はこれまで、経済団体などを通じた説明会を実施するほか、個別の企業の相談に応じるなど丁寧に対応し、混雑回避に向けた準備を促してまいりました。
 ことしの夏は、こうした取り組みの課題を洗い出すことができる最後の機会であるため、スムーズビズ推進期間として、多くの企業の参画を呼びかけ、混雑緩和に向けたトライアルの実施と検証を行う予定であります。
 このため、都では、大会輸送影響度マップの改善など、これまで寄せられた意見をTDMの取り組みに生かすことや、物流の現場の声を多くの荷主の企業にも伝えてまいります。
 さらに、コンサルタント派遣なども加えまして、より多くの企業の方々に本トライアルに参画していただけるよう、関係機関と連携した取り組みを進めてまいります。
 次に、大会時の工事調整の期間、エリアについてでありますが、円滑な大会輸送の実現と都市活動の両立を図るため、TDMへの取り組みが重要であり、大会期間中に都内で実施される工事におきましても、交通環境への影響を最小限に抑えるため、実施期間等の調整をすることが必要でございます。
 昨年末、都は、大会時の都内工事の進め方につきまして、関係各局による具体的な議論を行いまして、工事の一律休止ではなく、実施時期や時間の分散、対象とするエリアなどを検討しております。
 引き続き、交通管理者や道路管理者等と連携を図りまして、都内工事の発注者や関係業界に対する影響が最小限となるよう、期間やエリアの調整を行ってまいります。
 次に、都が発注する工事への対応についてでありますが、都発注工事におきましても、交通環境への影響を最小限に抑えるため、計画的に取り組むよう調整することが肝要であります。
 一方で、公共工事はインフラの維持や経済活動に必要不可欠であることから、その年に必要な工事を着実に実施することを前提に、工事を実施する期間やエリア等のきめ細かな設定、工事の実態に合わせた多様な調整手法の選択などを検討しているところであります。
 今後、都は、これらの検討を踏まえた工事調整の取り組み方針を定め、工事を担う業界関係者に丁寧に説明するとともに、各局で具体策を検討、実施することで経済活動への影響を最小限に抑え、円滑な大会輸送を実現してまいります。
 次に、工事調整の関係自治体等への協力依頼についてでありますが、工事の実施による交通環境への影響を最小限に抑えるためには、都のみならず、国や関係自治体等、工事を発注する機関の理解と協力が不可欠であります。
 このため、庁内での議論を踏まえて、国等との協議を始めたところであります。
 今後、都は、みずからの取り組み方針を定め、工事を担う業界関係者に丁寧に説明するとともに、国や都内市区町村はもとより、都外関係自治体、民間事業者等にも同様の取り組みへの協力を求めるなど、円滑な大会輸送の実現と都市活動の両立に取り組んでまいります。
 次に、大会時の舟運の活用についてでありますが、舟運は道路や鉄道の混雑緩和策の一つとして、競技会場によっては会場へ直接アクセスできる有効な手段になり得ると認識しております。
 海の森水上競技場及びクロスカントリーコースについては、最寄りに鉄道駅がなく、バス輸送の負担が大きくなることから、とりわけ舟運による輸送が効果的であると考えております。
 このため、海の森公園に整備が計画されております船着場を大会時にも活用いたしまして、舟運による観客輸送を実施する方向で調整してまいります。
 今後、組織委員会や舟運事業者等と密接に連携し、悪天候に伴う強風や波の影響を受けやすい面もあることにも配慮しつつ、舟運の効果的な活用方法を検討してまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップのファンゾーンについてでありますが、都におけるファンゾーンは、全ての人が大会の興奮と感動を共有し、その輪を広げていく場となることを目指しております。
 特に、区部会場は交通至便な都市部に設置されていることから、多くの方々にご来場をいただき、そこでの盛り上がりを日本全国へ波及させていくことが期待されております。
 このため、これらの特性を生かし、より魅力的なファンゾーンとなるよう、他開催都市、組織委員会、スポンサーとも連携を図りながら、コンテンツや会場のあり方などの検討を深めまして、速やかに具体化に努めてまいります。
 今後とも、都のファンゾーンが二〇一九年大会の盛り上がりを牽引し、それが東京二〇二〇大会へとつながっていくよう、全力で取り組んでまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 臨海部の交通混雑対策についてでございますが、大会期間中の交通混雑対策に取り組むに当たりましては、大会後も見据えて貨物の流れの円滑化を図るなど、将来の物流効率化につなげていくことが重要でございます。
 そのため、具体的には、二十四時間利用可能な貨物の一時保管場所を大会までに三カ所増設し、その一部については大会後も運営を継続することで、交通量の少ない時間帯における貨物配送を積極的に促進してまいります。
 また、特に混雑が著しく、かつ多くの競技会場に近い青海ふ頭について、取扱貨物の一部を大会までに他のふ頭へ移転させて交通混雑の緩和を図るとともに、大会後は移転により生じた空き地を活用して、東京港の抜本的な機能強化に向けた整備を進めるなど、今後の港湾物流のさらなる効率化に資する取り組みを積極的に進めてまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 大規模水害時の早期復旧に向けた取り組みについてでございますが、都営地下鉄では、荒川氾濫のような大規模水害のおそれがある場合は、防災関係機関等との連携を密にし、車両を安全な場所へ退避させますとともに、駅やトンネルへの止水措置等を行うこととしてございます。
 今般、さらなる早期の復旧に向け、局内にプロジェクトチームを設置し、より実効性の高い対策の検討を進めることといたしました。
 具体的には、運行に不可欠な重要設備ごとに被害を精査し、これらの保護や移設などの有効な対策につきまして、専門家の知見等も活用しながら検討してまいります。
 また、早期復旧に必要な資機材や復旧要員の提供を受けられる協力先につきまして拡大を図ってまいります。
 今後とも、大規模水害時の早期復旧に向けた取り組みを着実に進め、災害に強い都営地下鉄を実現してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談に係る都と区市町村との連携についてでありますが、昨年三月に発生した虐待死亡事件の検証報告書では、児童相談所間の引き継ぎ時の認識の相違や関係機関の連携不足など、課題が指摘されました。
 こうした課題を解決するためには、専門的、広域的業務を担う児童相談所と地域の身近な相談窓口である子供家庭支援センターがそれぞれの強みを生かし、連携を強化していく必要があると考えておりまして、都は来年度、区市町村と合同で児童相談体制に係る検討会を立ち上げてまいります。
 この検討会では、現状と課題を踏まえ、情報共有を初めとした効果的な連携方策等を検討するほか、二〇二〇年度に児童相談所の設置を計画している三区の状況も全体で共有することとしており、都と区市町村で緊密に連携し、東京全体の児童相談体制の強化に取り組んでまいります。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてでありますが、都は、待機児童解消に向け、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育等、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を積極的に支援してきております。
 待機児童は、ゼロ歳から二歳児までが九割以上を占めること、また保護者が育児休業を一年間取得した場合、年度途中での入所が難しいことなどから、こうした児童が保育所等に入所するまでの間、認可外のベビーシッターを利用した場合に支援する事業を今年度から開始したところでございます。
 来年度は、利用時間の上限の拡大など、区市町村の意見も踏まえて事業内容を充実させる予定であり、保育の質を確保しながら、多様な保育サービスの一つとして本事業の活用を促進してまいります。
 最後に、障害者グループホームへの支援についてでありますが、都は、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを策定し、平成三十年度からの三年間でグループホームの定員数を二千人分ふやす目標を掲げ、国の制度に加え、整備費や運営費を独自に補助しております。
 来年度からは、身体や行動の特性上、特別な支援を必要とする重度の障害者を受け入れられるよう、利用者四人に対して世話人一人の配置を最上位とする国の基準以上に、職員を手厚く配置する事業者への支援を開始いたします。
 あわせて、世話人等に対しまして、重度障害者の特性を踏まえた支援方法等について学ぶ研修を実施することとしており、これらの取り組みを通じまして、利用者に対して、より質の高いサービスが提供されるよう、グループホームを支援してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 中小企業の省エネ対策についてでございますが、中小企業のさらなる省エネを推進するためには、省エネの運用改善を適切に行うことで得られる経営効率化の具体的な効果を認識していただくことが重要でございます。
 このため、都は、地域金融機関と省エネコンサル事業者との連携を促しながら、中小企業が空調や生産設備等の省エネ運用改善に関する提案や助言を無料で受けられるモデル事業を来年度から新たに実施をいたします。
 今後、本事業で得られました知見をもとに、金融機関が中小企業に対し経営サポートを行う際、省エネの運用改善が一つのツールとして位置づけられるよう、都から働きかけを行ってまいります。
 こうしたモデルを普及していくことにより、さらに多くの中小企業への省エネ対策を促していきます。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 第十次東京都卸売市場整備計画と今後の市場経営についてでございますが、都内の中央卸売市場は、都民に生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給するための基幹的インフラという重要な役割を担っており、引き続きこうした役割を着実に果たしていく必要がございます。
 このため、第十次整備計画に基づきまして、十一市場の機能維持に必要な施設設備の更新を図っているところでございます。
 一方、卸売市場法の改正や市場を取り巻く環境は大きく変化しております。こうした変化の中におきましても、卸売市場の役割を引き続き果たしていかなければならないと考えております。
 そのため、一月二十三日の関係局長会議では、当面の経営改善に加え、長期的な視点から戦略的な経営と強固な財務体質の確保に向けた経営計画の策定に取り組むということといたしました。
 市場経営の抜本的な改善を図るための実効ある計画の策定に向け、企業経営や財務、会計の専門家などの知見を最大限に活用し、コスト縮減や収益向上に向けた経営の合理化、民間経営手法の導入など、今後、さまざまな観点から経営の検討を進めていくこととしております。
 現時点で十一市場の民営化や経営統合について、具体的な検討を進めている事実はございません。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十二分休憩

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