平成三十一年東京都議会会議録第三号

○議長(尾崎大介君) これより質問に入ります。
 百十六番増子ひろき君。
〔百十六番増子ひろき君登壇〕

○百十六番(増子ひろき君) 東京都議会第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び警視総監、教育長、都技監、関係局長に質問します。
 一月二十三日、名誉都民である山田禎一さんが逝去されました。また、二月二十四日、同じく名誉都民であるドナルド・キーンさんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 本定例会は、平成最後の都議会定例会となります。平成の三十年間は、まさしく激動の時代でした。日本経済の長期的停滞、平成の三十年間で四・五倍超に膨れ上がった国の借金に代表される財政負担の将来への先送り、世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ指数においてG7で最下位とされる男女間格差の放置、そして、人口減少、少子高齢化。
 このような日本、東京のあり方を根本から変える課題に対して、国は、この平成の三十年間、本質的な解決策を見出せぬまま、近視眼的な対応を繰り返してきました。
 その結果、失われた十年が二十年に、そして平成の三十年間そのものが、後世から、失われた時代と評価されてしまわないか、国は改めてみずからを省みる必要があります。
 平成の次の時代の都政に求められるのは、国が対応できていない課題に真正面から取り組み、東京を皮切りに日本全体を改革していく姿勢です。小池知事の誕生、そして私たち都民ファーストの会東京都議団が都議会最大会派となり、これまでの都政では光が当てられてこなかった課題に大きな変化が生まれています。
 しかし、私たちが都民に期待されている東京大改革は、まだまだこの程度のものではありません。平成最後の都議会だからこそ、新時代にふさわしい都議会の姿を都民に示し、しっかりとした歩みを一歩一歩、着実に継続していかなければなりません。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、多様性を成長の源泉と捉え、熾烈をきわめる世界の都市間競争の中においても、持続的成長を続ける東京の未来を創造することがその使命と考えています。東京の未来を切り開くため、平成三十一年度予算案について、以下質問をいたします。
 平成三十一年度予算案について伺います。
 アジア諸国の目覚ましい経済成長の一方で、東京の経済成長率は〇・六%にとどまっており、東京の国際競争力は相対的に低下しています。
 さらに、国内の状況に目を向ければ、東京は今後、他道府県をはるかに上回るペースで高齢化が進行する見込みです。加えて、国の平成三十一年度税制改正により、今後、都から巨額の財源が失われることとなってしまいました。
 近視眼的な対応を繰り返した平成時代の国の財政運営の失敗を、健全な財政運営に努めてきた東京都に押しつけるような措置は、東京のみならず日本全体を沈没させる、平成の次の時代に対する大きな負のレガシーといわざるを得ません。この点について改めて申し上げておきます。
 こうした内憂外患ともいうべき厳しい状況の中、本予算案は、この難局を乗り切り、まさしく未来を切り開くためのものである必要がありますが、本予算案における基本的な考え方について知事の見解を伺います。
 私たちは、未来の担い手である子供たち、そして東京で働き、子育てをする現役世代をしっかりと支援し、子育てを楽しめる環境を整備することが、東京の未来を切り開くことにつながると考えています。
 待機児童対策について伺います。
 知事は就任以来、待機児童対策を最重要課題と位置づけ、取り組んできました。本予算案にも千七百四十五億円が計上されていますが、これは、舛添都政時代と比較すると約一・八倍に相当し、女性の活躍推進、少子化対策など、東京の未来を切り開く取り組みです。
 待機児童数は、平成三十年四月時点で三千百七十二人、前年度比で三七%も減少したと発表されており、これだけの数の待機児童数が減少したことは大きな成果ですが、待機児童はいまだ五千人以上存在しており、今後も待機児童解消に向け、施策をさらに加速していく必要があります。
 私たちは、会派要望において、各種施策を総動員して、引き続き待機児童解消に向けて全力で取り組むべきことを求めました。
 今回の過去最大の保育関連予算は、私たちの保育関連の要望の多くが反映された結果と受けとめていますが、これまでの待機児童対策の取り組み結果を踏まえた、平成三十一年度における保育サービスの拡充に向けた取り組みについて知事に伺います。
 多子世帯に対する支援について伺います。
 国が現在進める幼児教育無償化では、一般的に保育料が高額であるゼロ歳から二歳児の大半がその対象外とされており、子育て世代の経済的負担の軽減は十分ではありません。
 今般、私たちの要望を受け、予算案には、第一子の年齢にかかわらず、第二子は保育料半額、第三子以降は無償化とする都独自の支援策が盛り込まれました。
 保育の経済的負担を軽減することは、これまでOECD平均を大きく下回る子育て支援の支出しか行ってこなかった日本全体のあり方を変えるものであり、まさしく未来を切り開くための施策です。
 少子化、人口減少は、東京都だけの課題ではありません。日本のみならず世界的にも少子化、人口減少が重要な課題となる中、東京都はこの課題に対して積極的に取り組み、希望すれば、多くの子供を安心して育てることができる都市東京を実現すべきです。
 その観点からは、今回の都独自の支援は非常に大きな意義を有しており、今後は、都の先進的取り組みが日本全国へ拡大されるよう、国にも働きかけていくべきと考えますが、今回の制度の意義と今後の展開について、知事の見解を伺います。
 また、国の幼児教育無償化案では、認可外保育施設等に関して、月額三・七万円が支援の上限とされています。しかし、都における認可外保育施設の利用料の水準に照らすと、認可外保育施設に入ることになった家庭にとっては、大きな負担となることが想定されます。
 今般、私たちの要望を受け、予算案には、認証保育所等については、認可保育所と同水準まで保育料を引き下げるという考え方に基づく都独自の支援が盛り込まれたことは、東京における子育て支援として意義深いものです。
 幼稚園類似施設に対する支援について伺います。
 都が認定している都内の幼稚園類似施設は、このたびの国の幼児教育無償化の対象外とされています。幼稚園類似施設は、特色ある教育を施し、また障害児の受け入れなども積極的に行うなど、長年にわたり地域において重要な役割を担ってまいりました。幼稚園類似施設に通所する児童、親を支援するため、今般私たちの要望を受けて、予算案に、都内私立平均保育料を目安にした都独自の支援策を四年間実施することが盛り込まれました。
 今後、このような地域でも重要な役割を担っている幼稚園類似施設と、そこに通う子供たちへの国の制度による影響を抑えるために、区市町村と都で支援策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 待機児童や子育ての経済的負担以外にも、東京の夫婦を取り巻く環境にはさまざまな問題があります。
 総務省の調査によれば、都内夫婦の家事、育児時間について、妻は夫の三・五倍の時間を家事、育児に費やしている状況です。男性の家事、育児参加を推進することは、女性の活躍、ワンオペ育児の解消、柔軟な働き方の推進など、東京が抱えるさまざまな課題を一挙に解決する大きな鍵となるものであり、さらなる取り組みの強化が必要です。
 さらに、私たちは、会派の三割を占める十五名の女性議員を中心に、不妊治療等の経済的負担の軽減措置等を求めてきました。今回の予算案では、東京都で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊検査等の年齢制限と不妊治療費の助成の所得制限の緩和が盛り込まれました。今回の措置は、東京で働く夫婦の実情に寄り添ったものといえます。
 今後は、医療機関等との連携を深め、効果的、先端的な治療や治療実績等に関する情報収集、公開も重要な視点であることを指摘しておきます。
 児童虐待対策について伺います。
 またしても大変痛ましい事件が起きました。千葉県野田市で小学四年生の女の子が亡くなり、その両親が虐待の容疑で逮捕されました。報道では、市や児童相談所等の対応についてさまざまな指摘がなされています。千葉県で起きた事件ですが、都においても教訓とすべき点は改善につなげていただきたいと思います。
 さて、昨年発生した目黒少女虐待死事件などを受け、私たちは、児童虐待対策に関する条例づくりを提案し、本定例会に東京都子供への虐待の防止等に関する条例案が上程されました。私たちは、さまざまな場面で、未然防止と早期発見、早期対応の視点の重要性を指摘してきました。
 今回の条例案では、都道府県で初として保護者の体罰禁止規定が盛り込まれています。また、健診受診の勧奨に応じる保護者の努力義務や児童相談所間の的確な引き継ぎの実施の徹底等が盛り込まれており、私たちの指摘の趣旨が盛り込まれたものと受けとめています。この条例案の狙いと基本的な考え方、重要な視点について、知事の見解を伺います。
 児童相談所への虐待や障害、育成相談などの相談件数は、年々増加しています。都も増員に取り組んでいますが、対応する児童相談所の職員数は、十分なものにはなっていないのが現状です。児童福祉司、児童心理司などの増員や育成に取り組むとともに、困難事例対応や職員指導のために、スーパーバイザーをふやすことが必要です。
 児童虐待を早期発見、早期対応していく上でも、また、今後、区における児童相談所設置を支援していく上でも、児童相談所と子供家庭支援センターの体制を強化するとともに、連携を強化していくことが重要です。
 今後、どのように体制強化と連携強化を進めていくのか伺います。
 また、私たちの代表質問を受け、都は十一月に、都民に身近なLINEを活用した児童虐待についての相談体制を試験的に開始しました。本予算案に、本格実施として児童虐待防止のためのSNSを活用した相談事業が盛り込まれたことは、一人でも多くの児童を救うことにつながるものです。
 性教育について伺います。
 次の時代を担う子供たちが、時代の変化に対応した教育を受ける環境を整備するため、私たちは、小学校における英語教科化に向けた専科指導教員の配置促進、プログラミング教育必修化に向けたICT環境の整備などを求めてきました。本予算案にこれらの取り組みが盛り込まれたことは重要であり、今後も実施事業の成果、課題を踏まえた積極的な展開が必要です。
 時代の変化と教育内容の隔たりが大きいものの一つが性教育です。私たちは、昨今の情報化社会にさらされる児童生徒たちに適切な命の教育を行うため、産婦人科医等の専門家を活用した性教育の推進を求めてきました。
 これを受け、都教育委員会が平成三十年度中に、中学校等五校において外部講師による性教育のモデル授業を実施したことは、性教育の推進の第一歩として画期的です。
 今後は、このモデル授業の取り組みを生徒の年齢や地域性を考慮した授業の内容、保護者理解を得る手法などの諸課題に対する知見を深める貴重な機会とし、性教育の推進につなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 インクルーシブ教育について伺います。
 文部科学省は、インクルーシブ教育について、同じ場でともに学ぶことを追求するとしつつも、通常の学級、通級による指導、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場を用意しておくことが必要としています。
 今般、私たちの要望により、インクルーシブ教育システムに関する調査研究予算が計上されたことを評価しますが、インクルーシブ教育の中身として、同じ場でともに学び、生きることという本来の趣旨を踏まえつつ、どのような教育手法が適切か、しっかりとした議論、検討を行うべきです。
 今後の東京都におけるインクルーシブ教育システムのあり方について、知事の見解を伺います。
 学校における働き方改革について伺います。
 都教育委員会は、先般、学校における働き方改革の成果と今後の展開を公表しました。教員の在校時間は、昨年度と比較して改善が見られますが、依然として長時間に及んでいます。教員の長時間労働の改善が求められる中、国においては、教員の勤務時間の上限に関するガイドラインが新たに策定されました。
 ガイドラインでは、時間外労働の上限を一カ月で四十五時間以内、一年で三百六十時間以内としていますが、教員の現状とは大きく乖離しています。
 今後、都では、国のガイドラインを踏まえた方針等を策定する必要がありますが、教員の現状とは大きく乖離している状況においてどのように対応していくのか、教育庁の見解を伺います。
 また、都内公立学校においては、ベテラン教員の大量退職が続く一方で、経験の少ない若手教員が増加しています。教員の在校時間が長くなる傾向にある中で、都においては、これまでも専門の能力を持った外部人材を学校運営に登用してきています。
 しかし、学校における働き方改革を一層加速させ、教員が児童一人一人に向き合うことができる教育環境を整備するためには、教員本来の業務にも踏み込んだ取り組みが必要と考えますが、都の見解について伺います。
 教育新財団について伺います。
 本予算案には、多様な外部人材の安定的確保、教員サポート機能、学校の事務センター機能などの面で、学校をきめ細かくサポートする新財団の設立が盛り込まれています。教員の働き方改革が大きな社会課題となる中で、学校をサポートする業務を充実させることは、学校教育の質の向上につながり、積極的意義が認められるものです。
 他方で、新財団の設立という手法をとるのであれば、それが効果的かつ効率的なものでなければなりません。また、校長OB、都職員等の活用に関しては、都民から新財団の設立が天下り先の確保ではないかとの疑念を万が一にも抱かれないようにしなければなりません。
 このような懸念にも十分に配慮した上で、新財団の学校支援機能を生かした教員の働き方改革を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 子育て応援車両について伺います。
 私たちは、子供は東京都、そして社会全体の宝と考えており、社会全体で育てるための取り組みを一層推進していく必要があると考えています。ベビーカーや小さい子供を連れている親からは、都内で電車を自由に利用することが困難との声が多く聞かれています。
 具体的には、満員電車の中では、体が小さい子供はけがをするおそれもあり、危険です。また、電車に乗って保育園に連れていくことが容易であれば、企業内保育所の増加、女性活躍の推進や孤立した子育ての回避にもつながります。
 私たちは、子供、子育て世代が専用に利用可能な子育て応援車両を都営地下鉄で導入すべきと提案し、今回、関連施策が盛り込まれました。今回の取り組みは非常に社会的意義の大きいものであり、多くの賛同の声が都庁に届いているとの話も聞いています。具体的な施策の展開に当たっては、ベビーカー専用スペースの設置にとどまらない、より踏み込んだ取り組みが必要です。
 反発や物議を恐れず、子育て応援車両の取り組みを今の東京における子育てのしづらさを変えていくための取り組みにつなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、人生百年時代を都民一人一人の人が自分らしく過ごすことができるための施策について伺います。
 受動喫煙対策について伺います。
 昨年六月に制定された東京都受動喫煙防止条例が、ことし一月に第一段階目の施行を迎えました。その後段階的な施行を経て、来年四月一日に全面施行を迎えますが、条例の実効性確保の観点からは、今後さらなる条例の周知徹底が必要です。
 昨年、議員提案で成立した東京都子どもを受動喫煙から守る条例の施行後、例えば渋谷区では、区内の公園に大々的に黄色の目立つのぼりを立てて、公園内禁煙が一目でわかる周知活動を実施しています。都においても、都立公園、その他の都立施設において、ポスターだけでなく、のぼりや横断幕などを設置して、条例及び受動喫煙防止の周知を図っていくべきです。
 さて、国の健康増進法が、既存飲食店について大幅な例外を設け、規制対象が二割程度と推計されるのに対して、都条例では、規制対象店舗は八三・七%に及ぶと推計されており、国以上に中小飲食店に向けた普及啓発や理解促進に力を入れる必要があります。
 また、都条例では、今夏予定の第二段階施行で飲食店の出入り口に禁煙、喫煙、分煙がわかる標識を掲示する義務が定められています。
 こうした都条例による独自の規制について、効果的な周知を図る必要があり、飲食店組合への働きかけのみならず、区市町村と連携して飲食店舗を訪問するなどの周知活動やキャンペーンも行うべきです。
 また、条例施行によって、都民生活がいつからどのように変化するのかをわかりやすく、効果的に伝える動画も作成すべきであり、さらにテレビCM等を活用して効果的な啓発を実施していくべきです。
 条例の実効性を高めるため、さまざまな普及啓発の方法を重層的かつ複合的に駆使して周知を図っていくべきと考えますが、今後の取り組み方針について都の見解を伺います。
 フレイル予防について伺います。
 私たちは、昨年度の予算特別委員会等を初め、繰り返しフレイル対策の重要性を説いてきました。健康と要介護の中間で、可逆性のあるフレイルに対して、健康を維持する予防の観点から対策を講じることは、非常に重要です。
 本予算案において、介護予防、フレイル予防の拡充強化が図られ、これまで私たちが要望してきたフレイル対策の具体化及び所管の明確化がなされたことを高く評価します。
 私たちは、フレイル対策の第一人者である東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授をお招きして、フレイルに関する勉強会を開催しました。
 各区市町村において、五十万円ほどの予算でフレイルサポーター養成及び市民へのフレイルチェック講座の導入が可能とのことであり、現在都内では、知事が先日視察された西東京市を初め、杉並区、江戸川区、国立市がフレイル対策事業を導入し、来年度から文京区、豊島区、板橋区、東村山市が導入するとのことです。
 都内の全区市町村にフレイル対策事業の導入がなされるよう、東京都として積極的に働きかけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 フレイル対策においては、よく食べ、よく運動し、社会とのつながりを維持するという三位一体の取り組みをスピード感を持って進める必要がありますが、特に社会的フレイルに注目する必要があります。
 例えば、定年退職し、家から出なくなった等をきっかけに、人や社会とのつながりが希薄になるという社会的フレイルに対して、孤食をやめ、カラオケや将棋などの活動を通じて社会との接点を持ち続けることが重要です。
 平成三十一年度の新規事業に、フレイルの啓発や高齢者の中食への低栄養予防としての支援策、働く世代へのフレイルの周知などが盛り込まれました。
 今後は、社会とのつながりを維持することやオーラルフレイル対策、健康に関心が薄い層へのアプローチも重要と考えますが、都はフレイル対策にどのように取り組むのか伺います。
 人手不足が叫ばれる中、意欲あふれるシニアに仕事の場で力を発揮していただくことは非常に重要です。一昔前の高齢者像とは異なり、現在のシニアは定年を迎えても非常にお元気であり、定年後も仕事を通じて社会との接点を持ち続けることは、健康寿命を延ばす観点からも意義があります。
 シニアの力を発揮していただく場面で大きな役割を果たしているのが、シルバー人材センターです。
 とりわけ都内基礎自治体のシルバー人材センターが、高齢者、障害者、母子家庭等を対象に、短時間で完了する簡易な作業を安価で行うシルバーお助け隊事業については、公共的意義を有する仕事をシニアの力で解決するという点で非常に重要であり、私たちは会派要望でその支援を求めました。
 今回の予算案には、シルバーお助け隊事業を含め、シルバー人材センターに対する支援が増額されたことを評価します。
 また、ホワイトカラーのシニアに向けた就労支援プロジェクトとして、企業とのマッチングや派遣、セカンドキャリアなど、新たな取り組みも企業勤務後に退職されたシニアから望まれていた支援であり、今後、より大規模な展開が期待されています。
 今後もさまざまなタイプのシニアの就業をきめ細かく支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 介護におけるICT活用について伺います。
 東京では、今後深刻な介護職の不足状態に陥ることが予想されており、私たちは繰り返し介護人材への支援を求めてきました。今回の予算案には、特別養護老人ホーム等におけるICT環境の整備等に関する支援が盛り込まれ、また、ICT活用が現場の実態に即していないとの指摘もある中で、介護事業所での次世代介護機器の効果的な使用に対する支援も盛り込まれており、介護人材不足に対する対応として評価します。
 今後は、これらの事業を着実に展開するとともに、例えば北九州市で国家戦略特区制度を活用し、介護ロボット等を活用した先進的介護の実証実験を行っていることなども参考に、東京都でもICTの活用のモデルとなるような積極的な取り組みを行うべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 建築物バリアフリー条例の改正案について伺います。
 本定例会には、建築物バリアフリー条例の改正案が示されています。そこで示されている車椅子使用者用客室のみならず、全ての一般客室を対象にバリアフリーの考え方を取り入れ、義務化を目指す都の積極的な取り組みを評価します。
 一方で、一部の方からは、浴室の出入り口幅が狭いため、より使いやすい基準を定めるべきとのご意見をいただいており、私たちも一般客室について、浴室等の出入り口幅を国の望ましい基準である七十五センチメートル以上を努力義務として定めることを求めました。今回、私たちの要望を受け、この努力義務が盛り込まれたことについては、多くの方々から歓迎の声をいただいています。
 今後は、このバリアフリー基準の実現に向けて、容積率の緩和や新築時の補助金の引き上げ等の支援策を積極的に講じ、また、改正条例の実施状況等や社会情勢等を踏まえた見直しも行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 地域医療体制の確保について伺います。
 多摩地域の医療資源を見ると、人口当たりの医師数は全国を下回っており、区部に比べて、高度、専門的な医療を提供できる総合病院が少ない状況にあります。
 多摩地域では、公立病院が急性期医療を支える大きな役割を担っていますが、経験豊富で中核となる医師の確保に苦戦している状況にあると聞いており、地域の医療水準が低下してしまうおそれがあります。
 地域医療の充実への貢献という都立病院の新たな役割を踏まえ、都立病院の持つ医療資源を活用して、地域医療を担う医師の育成を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 医療的ケア児の支援について伺います。
 長期に入院した後、引き続き人工呼吸器等を使用し、日常的に医療的ケアが必要となる子供は増加傾向にあります。
 一方、経験、知識がないなどの理由により、小児の在宅医療を行っている病院、診療所はごくわずかで、地域の受け皿が不足しています。
 医療的ケア児が必要な支援を地域で円滑に受けられるように進めるためには、支援や調整を行う人材の育成が極めて重要です。
 都は、小児総合医療センターが有する高い専門性やノウハウを生かし、医療的ケア児を支える地域の人材の育成に貢献すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 骨髄移植ドナー登録について伺います。
 昨年末の会派要望に引き続き、先日私たちは、白血病患者の方々を救うことができるよう、骨髄移植ドナーについての正しい理解の促進や、助成金制度を導入する基礎自治体を支援する都の費用負担制度の周知を行うとともに、国に対して、企業等のドナー休暇の制度化などの働きかけを求める要望書を小池知事に提出しました。
 二〇一九年一月末現在、国内の骨髄移植希望者は千三百七十二人おり、一人でも多くのドナーが必要とされています。
 骨髄移植ドナー登録を促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、安全・安心の確保について伺います。
 防犯カメラの設置促進について伺います。
 東京都では、町会、自治会、商店街等の皆様のご尽力により、地域の防犯カメラの整備が着実に進んでおり、今や必要不可欠な公的インフラの一つになっています。
 今般、私たちの提案を受け、予算案に防犯カメラの保守点検費、修繕費に対する新たな都の補助制度が盛り込まれました。特に、その補助率は、現在の設置補助の補助率と同じく、町会、自治会等に対しては十二分の七、商店街等に対しては二分の一という高い水準であり、意義深いものです。
 今後は、多摩地域を初め、区市町村の地域団体担当部署とも連携し、防犯カメラの意義や補助制度を周知するなど、設置促進に向け、都が積極的に働きかけを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 去る一月三十一日、八王子市内で発生した住宅火災におきまして、消防士が消火活動中に殉職をされました。故人のご冥福をお祈りし、謹んで哀悼の意を表します。
 防火対策について伺います。
 本年一月二十九日の時点で、都内の住宅火災の死亡者は二十人に上り、去年の同時期に比べて倍増しています。
 これまでも都は、木造住宅密集地域の不燃化に取り組んできました。加えて今回、早期災害対応を目的に、狭隘地域での到着時間の短縮を目的とした対策に力を入れるとともに、都内の火災の過去データをベースにした火災発生予測にも取り組むとしています。
 そこで、東京消防庁では、住宅火災から都民の命を守るための住宅防火対策に一層力を入れるべきと考えますが、消防総監の見解を伺います。
 早期災害対応について伺います。
 首都直下地震の発生が危惧される中、都民を震災など全ての災害から守る観点からは、特に二十三区においては、道路の狭隘地域が数多いという地域事情を考慮する必要があります。
 さらに、今後進行する高齢化社会に伴う、高齢者や瞬時に行動ができない障害者などに対する災害対応は喫緊の課題です。
 高齢化社会が進む中、都民からの一一九番通報内容に応じ、今まで以上に迅速に現場へ到着できる消防活動体制が求められていると考えますが、東京消防庁の取り組みについて伺います。
 救急活動体制の強化について伺います。
 高齢化社会の進展に伴い、東京消防庁管内の救急出場件数は、平成二十二年度から増加しています。そこで、東京消防庁は、増加する救急車の出場に対応するため、救急車の適正利用の徹底を都民に促すことで、一分一秒でも早く利用者のところへ到着することが、一人でも多くの命を救うことと認識し、日夜活動をしているものと思います。
 東京の人口増加や海外からの来訪者の増加等により、救急需要は今後も引き続き増加することが予想されますが、東京消防庁では、救急隊の現場到着時間短縮に向けどのように取り組むのか、見解を伺います。
 あおり運転対策について伺います。
 現在、警視庁においては、歩行者の交通事故防止を重点に掲げ、各種対策の推進や関係機関、ボランティア等と連携した地域ぐるみの活動を展開し、平成三十年中における都内の交通事故死者数が戦後最少の百四十三人となるなど、大きな成果をおさめていると認識しています。
 他方、いわゆるあおり運転に関し、全国各地でトラブルの発生が相次いで報告され、あおり運転に対し、厳正な対処を望む国民の声が高まるなど、大きな社会問題となっています。
 私たちも、あおり運転などの悪質、危険な運転については、警視庁による検挙、取り締まりの徹底等を強く望むとともに、交通秩序が維持され、都民が危険や不安を感じることがないように徹底を図っていただきたいと考えています。
 そこで、あおり運転等の悪質、危険な運転の根絶に向け、警視庁においていかなる対策を講じていくのか、警視総監に伺います。
 犯罪被害者支援について伺います。
 犯罪被害に遭われた方は、精神的、肉体的、経済的な困難に突如直面することになり、都として適切な支援策を講じることが、安全・安心な東京の実現に資するものです。
 都議会において、犯罪被害者支援に関する陳情の趣旨採択が行われましたが、私たちもこれに向けては、多くの検討を主体的に進めてきました。
 東京都のこれまでの施策については、一定程度評価しますが、犯罪被害者支援の現状に鑑みれば、東京都がその取り組みを、一歩さらに踏み出す時期に来たことに間違いありません。
 犯罪被害者支援条例の策定に向けた知事の見解を伺います。
 さらに、犯罪被害者支援条例の制定に向けては、区市町村や関係団体との協議など、さまざまな調整も必要となりますが、今後の犯罪被害者支援に向けた条例制定の具体的なロードマップについて、都の見解を伺います。
 次に、都市環境の整備について伺います。
 都立公園改革について伺います。
 国内外の都市を見ると、公園や緑を都市づくりの中核に据えて、治安や魅力が大きく向上した例が見られ、小池知事が都立公園の大改革を打ち出したのを評価します。
 都としても、公園や緑とその活用に向けた総合的な長期計画を策定し、取り組みを進め、都市の魅力を高めることが重要です。
 一方で、現在の東京は、都立公園、国や区市町村の公園、民間の創出する緑や都市農地など、多様な公園や緑がありながら、活用方法やその連携において、十分に総合力を発揮できているとはいえない状況です。
 その中でも、東京の都市力の向上を図る上で、都立公園を都市戦略の中核に明確に位置づけ、地域や都民が活用できる仕組みを整え、都民のサードプレースとなる機能を持たせていくべきと考えますが、都立公園大改革をどのような視点で進めていくのか、知事の見解を伺います。
 道路の維持管理について伺います。
 事業提案制度も二年目となり、提案の深みが大きく増しています。特にICT、AIを活用した市民協働によるインフラ維持管理のプラットホームの構築は、さらなる都民の参画とともに行政の効率化を促すものです。
 ニューヨークでも同様の取り組みが行われており、市民生活が大きく向上したと聞いています。
 ICTを活用した行政の効率化、生産性の向上に向け、ニューヨークの取り組みを超える事業を育てていくためには、同事業を主管する建設局だけで事業展開を行うのではなく、ICT、AIの先端技術活用が期待される新設の戦略政策情報推進本部との連携を強化した事業展開をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 伊豆諸島の交通アクセスについて質問します。
 島しょ地域では、島民生活や産業、観光を支える重要な基盤として、港湾や空港などの整備が進められてきました。一方で、観光客数がほぼ横ばいで推移しており、一層の観光振興が必要です。
 私たちが八丈島や大島を視察した際に、地元からプレジャーボートの漁港利用を望む声があり、都に継続して要望を行ってきました。
 そこで、多様なアクセス手段の検討について、都の見解を伺います。
 次に、空の交通アクセスについて伺います。
 伊豆諸島と本土を短時間で移動できる航空路線は、島の住民の暮らしを支える生命線であり、航空路線を確実に維持していくことが重要です。
 都は、島の住民向けに航空運賃の割引制度を実施していますが、空港のない利島、御蔵島の住民については、現在の制度では最寄りの空港を利用するときにしか割引対象になっていません。
 そこで、空港が設置されていない島の住民がより航空機を利用しやすいよう、利便性を高める対策を図っていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、東京の稼ぐ力の向上策、そして東京二〇二〇大会について伺います。
 イノベーション促進策についてまず伺います。
 都はこれまでも、さまざまなイノベーション促進策に取り組んでおり、本予算案においても、フィンテック企業、創薬系オープンイノベーション支援、自動運転、ロボット等の外国企業誘致に関する予算が盛り込まれています。
 これまでの支援策により大きく成長したベンチャー企業や、日本に進出した外国企業の数も着実にふえてきましたが、世界の先進都市と比較すれば、必ずしも十分ではありません。
 先般、都は、我が会派議員の提案を受け、イノベーションエコシステム形成促進のため、産官学の協議会を設置する考えを示しました。
 今後は、東京が世界中の起業家、大手企業、投資家、研究機関等から選ばれる魅力的な集積地となることが求められます。
 このように東京に成熟した新産業エコシステムが構築されていくことが、東京への新たな投資や進出を生み、さらなるイノベーションを創出することにつながると考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、東京二〇二〇大会において、国内企業、海外企業を一体的にプロモーションするなどにより、東京がイノベーションを強く後押しする都市であることを世界に発信することが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 東京都と他の地域との共存共栄策について伺います。
 私たちは、東京と日本の成長を考える検討会報告書の提言も踏まえつつ、東京と他の地域がともに栄える共存共栄策を一層推進すべきと求めてきましたが、本予算案に、日本各地と連携し、産業、観光振興、国産木材の活用、被災地支援等が盛り込まれたことは、共存共栄の重要な第一歩です。
 今後は、これらの取り組みの推進とあわせて、日本各地の具体的なニーズを探りながら、東京と地方がともに成長していくための取り組みを進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 スムーズビズについて伺います。
 今般、テレワーク、時差ビズ、交通需要マネジメントなどの取り組みを一体化し、新しいワークスタイルや企業活動の東京モデルをスムーズビズとすることが予算案に盛り込まれました。
 私たちは時差ビズの一層の進展を求めており、今回、東京二〇二〇大会のレガシーとして、一体的な取り組みが盛り込まれたことは重要です。
 今回、スムーズビズとして一体的に取り組むことにより、東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和、大会を契機とする多様な働き方の定着に向けて、各取り組みを一層効果的に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 テレワークについて伺います。
 東京都は、従業員三十人以上の都内企業の二〇二〇年度のテレワーク導入率三五%を目標に、さまざまな施策を実施してきました。
 その結果、テレワーク導入率は、二〇一七年の六・八%から、二〇一八年は一九・二%に大幅増加しました。
 二〇一二年のロンドン大会をきっかけにロンドンでもテレワークが大きく普及しており、通勤混雑の緩和や、例えば育児と介護のダブルケア等による離職を防ぐためにも、テレワークによる柔軟な働き方の実現を東京二〇二〇大会の一つのレガシーとしなければなりません。
 本予算案に、企業によるテレワークのトライアル導入に必要な経費助成や、業界団体と連携したテレワーク導入促進事業など取り組みの大幅な拡充が盛り込まれたことは、意欲的な取り組みです。
 今後は、いかに都の施策を企業に浸透させ、具体的な導入につなげていくかが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 交通需要マネジメントについて伺います。
 混雑度マップの整備、公表は、ロンドン・オリンピックでも効果が上がった前向きな取り組みです。
 今後、東京二〇二〇大会に向けた企業の取り組みをさらに加速させていくためには、現在の大会輸送影響度マップの使い勝手の向上が必要です。
 ロンドン大会では、公共交通機関の乗りかえ検索や現在の運行情報、そして、そのバリアフリー状況に関する情報が入手できる環境が整備されていたと認識しており、今後、影響度マップを実際の都民の行動につなげるため、民間の各種取り組みとの連携も視野に入れることが重要です。
 円滑な大会輸送と経済活動の維持との両立を図るため、混雑、混乱を避けてスムーズに移動するための情報提供など、マップ機能の充実や、さらなる活用を図ることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 また、東京二〇二〇大会の期間中、臨海部では大会関係車両が多数走行する予定です。円滑な港湾物流を維持するとともに、深刻な交通混雑の発生を防ぐためには、港湾関係車両の交通量を時間的に平準化させることが重要な鍵となり、荷主やトラック事業者の協力が不可欠です。
 そのためには、都の交通混雑対策を加速するとともに、荷主等が必要となる情報を積極的に提供していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多摩振興について伺います。
 私たちは、区部に多くの働き手を供給するなど、東京全体の発展に寄与している多摩地域の振興は大きな政策課題と考えており、市町村総合交付金の拡充を継続的に要望してきました。本予算案においても増額され、過去最高の五百六十億円とされたことを評価します。金額に加えて、市町村が戦略的な活用ができるような柔軟な制度改善も引き続き検討していただきたいと思います。
 多摩振興の観点からは、東京二〇二〇大会の多摩地域における機運醸成が大きな課題です。私たちの要望を受け、今回の予算案にコミュニティライブサイトやシティードレッシング等の区市町村が実施する事業への補助制度が新たに創設、拡充され、さらに、ライブサイトの多摩地域での拡充も新たに検討されており、評価します。
 今後は、東京二〇二〇大会の開催に向けて、多摩地域の市町村に対し、都の支援の積極的周知を行い、広く都民が東京二〇二〇大会を体感できる機会を創出すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会直前期等の公共工事の受注機会確保について伺います。
 一九六四年の東京大会では、首都高速道路など各種インフラの整備が進みましたが、大会開催のころから景気後退の兆しが見えており、翌六五年には株価急落や戦後初の赤字国債の発行にも至りました。東京二〇二〇大会の開催が同様の事態を招くことがないよう、都としても開催前から可能な対策を検討、準備する必要があります。
 景気後退の一つのあり得る要因として、東京二〇二〇大会関連施設の整備が大会開催前に終了する点です。消費の冷え込みや景気の悪化が、日本経済をリードする東京における都民の生活や中小企業の経営等に深刻な打撃を与え、大会の盛り上げに水を差すような事態があってはなりません。
 例えば、実施競技会場が区部と比較して少ない多摩地域において、必要なインフラ更新の工事を実施するなど、東京二〇二〇大会直前期や大会期間中、大会後における公共工事の受注機会を確保すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、このような対策を行うに当たっては、警備関係など、大会開催時に多くの需要が見込まれる産業への配慮も必要であり、その点に対する対応も要望しておきます。
 さて、先日、東京二〇二〇大会の組織委員会予算V3が公表されました。その中で支出は、関係者からの要望の具体化による支出すべき内容の明確化や新たな需要への対応を理由に、百五十億円の増額とされています。
 大会経費については、これまでも、その膨張傾向の妥当性や情報公開の質が問われてきました。開催が近づくにつれ、不合理な経費の膨張が生じないよう、組織委員会に対してしっかりと働きかけを行っていくべきです。
 次に、東京二〇二〇大会の招致の経緯について伺います。
 昨年十二月、フランス司法当局が日本オリンピック委員会の竹田会長に対して、東京五輪パラリンピック招致委員会とシンガポールのコンサルティング会社、ブラック・タイディングス社との間の契約に関して事情聴取を行いました。
 本件については、二〇一六年にJOCが調査を行い、違法性がないと結論づける調査報告書を公表しており、東京都も当時のJOCの調査状況を把握していたと伺っています。
 しかし、ホストシティーである東京都としても、調査チームを設けるなど、事態の展開に応じて必要な対応を適時に行う体制を整備する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、本件の大きな問題点の一つとして、招致委員会が既に解散しており、当時の関係資料がなく、事後的な検証ができない点があります。このような招致委員会のあり方についても、強く今後の改善を求めていかなければならないということも指摘しておきます。
 次に、行財政改革について伺います。
 水道事業の監理団体の統合について伺います。
 全国の水道事業は、人口減少に伴う料金収入の低迷、職員の減少や高齢化などにより、技術の維持、継承が困難な状況に直面しています。国の水道法改正も踏まえ、今後は全国の水道事業体で広域連携や官民連携の拡大が見込まれます。
 先日の都政改革本部会議では、東京水道サービスとPUCを統合させる方針が示されました。水源や浄水施設の保全から料金徴収やお客様センターなどの業務を一体化することで、コスト削減やサービス向上を目指すとともに、監理団体が持つ技術系と営業系の強みを生かして、官民連携の受け皿としての事業展開を検討し、国内水道事業体の事業運営に貢献することが期待され、この二団体の統合は評価します。
 特に東京都は、多摩地区水道事業の都営一元化のノウハウを活用した事業統合、広域連携の支援に強みがあると考えられ、全国の自治体のニーズについても調査研究を重ねながら、都の強みを生かし、他の自治体の課題解決に資する事業展開を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 水道局のコンプライアンス体制について伺います。
 東京都水道局発注の業務について、水道局が公正取引委員会の立入検査を受けた件に関し、都の調査特別チームの中間報告によれば、都職員が入札に関する情報を漏えいしていたことを認めています。
 さらに、都の特別監察により、水道局と一体的に水道事業を行ってきた東京水道サービス株式会社において、巡回点検業務の不履行、虚偽報告、工事受注者への竣工写真改ざん指示などが行われていたことが新たに判明しました。これらの行為は、東京都への信頼を大きく損なう行為であり、断じて許されるものではありません。たび重なる不祥事について、水道局は非常に重く受けとめるべきです。
 そこで、私たちは会派内に検証チームを設置し、まずは、今回明らかになった水道局を含む東京水道グループ全体の事務事業や組織等について検証を行い、二度と不祥事が生じないよう提言を行うことといたしました。
 今回の事案でも明らかなとおり、東京都の水道事業は、監理団体へ委託されている部分も多く、コンプライアンス体制の抜本的改善のためには、監理団体も含めた検討が必要不可欠です。
 入札情報漏えいに関して、今後設置される有識者による第三者コンプライアンス委員会における検討に当たっては、東京水道サービス株式会社の新たな不祥事も踏まえ、監理団体その他、東京の水道事業に関連する団体等も広くその対象にし、東京の水道事業の全体像を踏まえた上で、コンプライアンス体制の検証、改革が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、国においては厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正問題が注目を集めています。国だけでなく、実際に調査を行う地方自治体においても、基幹統計に関する調査員による不正が明らかになっています。
 厚労省の毎月勤労統計調査の不正に関しては、都は独自調査を行い、二月六日に中間まとめを発表していますが、今後、国や他自治体の動向を注視し、都においても随時必要な対応をとることを求めます。
 東京二〇二〇大会後の都庁組織のあり方について伺います。
 現在、組織委員会には東京都の職員が多く派遣されていますが、東京二〇二〇大会後には都庁に帰ってきます。また、二〇一〇年にスポーツ振興局として設立されたオリンピック・パラリンピック準備局の大会後のあり方、市場法改正を踏まえた中央卸売市場のあり方についても本格的な検討が必要です。
 国の都税収奪により東京都の税収が減少し、加えて人口減少、少子高齢化により、都民が必要とする政策ニーズにも変化が見込まれます。これまでの組織では、局と局の縦割りにより拾われてこなかった政策課題への対応、国のデジタルファースト法案も踏まえたICTの戦略的活用などにより、税収減、超高齢社会に耐え得る東京二〇二〇大会後の都庁の生産性向上を徹底的に推進しなければなりません。
 平成の次の時代のあるべき都庁組織の検討に当たっては、長期的視点に立った本質的な議論が必要です。東京二〇二〇大会後の都庁組織のあり方に関し、今からしっかりと議論の積み重ねを行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 旧こどもの城について伺います。
 私たちの第三回定例会における代表質問において、国有財産である旧こどもの城を取得し、ダイバーシティーの実現に向けた複合拠点としていく方針が示されました。今後、周辺都有地とあわせた長期的活用のあり方も検討される予定です。
 そして、先般、旧こどもの城活用の基本的考え方が示されました。この中では、こどもの城がかつて担ってきた子供のための機能や劇場機能にも言及していることから、都民の期待と関心は大いに高まっているところです。こどもの城のレガシーを尊重しつつ、そこにダイバーシティーの観点を盛り込んで、あらゆる人が利用できる施設にしていく方向性は、広く都民のニーズにかなうものと考えます。
 一方で、閉館から四年近くが経過し、その間全く使われていなかった施設を活用するとなると、想定以上に費用がかかることも考えられるため、改修に当たってはコストの面にも留意することが重要です。
 また、都民の城としての活用以外にも、旧こどもの城の取得は東京都にとって大きな意義を有しています。新国立競技場等に近く、東京二〇二〇大会の運営に当たり、さまざまな用途に利用可能です。
 さらに、将来的には、周辺都有地と合わせて合計四敷地を一体で、まとまった広さを有する土地としての活用も見込めるところです。
 そこで、旧こどもの城を取得し、都民の城へとリノベーションしていくことに対する知事の基本認識とあわせ、今回の土地取得の合理性を確保する視点から、長期的な視点に立って四敷地一体活用を図っていくことに対する知事の見解について伺います。
 市場について伺います。
 昨年十月十一日、ついに市場移転問題に終止符が打たれ、豊洲新市場が開設されました。築地市場が八十三年の歴史に幕をおろし、元号が新たになることしから、築地市場跡地の将来像が具体的に描き始められることになりました。新たな時代の幕あけの象徴ともいえます。
 今般、都から、築地市場跡地の有償所管がえに伴い、一般会計から市場会計に五千四百二十三億円が投入される方針が示され、また、築地まちづくり方針の素案も示されました。
 二十三ヘクタールという広大な築地市場跡地の再開発は、周辺地域のみならず、東京全体の未来を左右するものです。それだけに、その再開発は近視眼的なものではなく、豊洲新市場も含め、東京全体を俯瞰して、未来の要請にこたえるものでなければなりません。
 また、一般会計から市場会計に投入される五千四百二十三億円の原資は都民の税金であり、有償所管がえの意義、合理性が正確に都民に理解される必要があります。
 これまで小池知事は、築地は守る、豊洲は生かすを基本的な方針に掲げ、築地、豊洲の問題に対処してきました。これまで一貫して、築地の土地としての希少性、食の伝統文化に代表される築地ブランド等を守りつつ、豊洲新市場が持つ最先端の市場機能を生かしながら、築地と豊洲の双方の価値の最大化を目指して検討を重ねてこられたものと理解しています。
 改めて、築地市場跡地と豊洲新市場が有するそれぞれの特徴を踏まえ、双方の価値の最大化を図る観点からの今回の有償所管がえと、その後の築地再開発の基本的方針の意義について、知事に伺います。
 有償所管がえについて伺います。
 築地市場跡地の再開発に当たっては、現在の市場会計のもとで行うか、それとも市場会計から一般会計へと移しかえて開発を行うかが選択肢としてあります。
 独立採算を原則とする市場会計のもとでは、経済合理性が優先され、東京全体を俯瞰した開発が困難となるおそれがあり、一般会計のもとで、民間の知恵を生かしながら再開発を行う方が、都民の利益にかなうものと考えられます。
 また、市場会計の現状を鑑みると、有償所管がえが行われない場合、豊洲新市場関連の膨大な債務等により、平成三十二年に資金ショートを起こすことが想定されています。仮に市場会計が資金ショートした場合、豊洲新市場を初め都内各地で、生鮮食料品、青果など、都民の食の安全を担っている市場の機能が停止し、都民生活に重大な影響を及ぼすことが想定されます。
 もっとも、築地市場跡地は、市場会計が地方公営企業法に基づいて公営企業会計に移行した一九六四年、今から五十五年前に、一般会計から現物出資された土地という経緯があります。
 都が、今、市場会計から一般会計に所管がえを行う際に、それを有償で行わなければならない理由を都民に明確に説明する必要があります。
 なぜ築地市場跡地の所管がえを有償で行わなければならないのか、都の見解を伺います。
 築地市場跡地の鑑定評価額について伺います。
 平成二十九年五月に行われた都の内部職員による価格調査では、築地市場跡地の鑑定評価額は四千七百九十六億円でした。その後、平成三十年十月に行われた外部鑑定による鑑定評価額は五千六百二十三億円であり、前回から約八百億円近く大きい金額です。外部鑑定先を選定するに当たっては、鑑定者の専門性や過去の実績などを考慮して、都として、客観的な鑑定内容となるように慎重な検討が必要です。
 外部鑑定者の専門性や過去の実績等を踏まえた選定の妥当性と、平成二十九年の価格調査から金額が約八百億円大きくなった点の妥当性について、都の見解を伺います。
 有償所管がえの実施時期について伺います。
 築地市場跡地の再開発については、そのポテンシャルの高さから、早期の着工が求められていることはいうまでもありません。一般会計の財政状況は当然ですが、平成三十二年には市場会計の資金ショートも想定されており、市場機能の維持の観点からも、有償所管がえの実施時期は検討される必要があります。
 平成三十年度最終補正予算として、有償所管がえの予算措置がとられた理由を伺います。
 築地市場跡地の再開発について伺います。
 外部の不動産鑑定結果によれば、築地市場跡地を貸し付けることにより、年間約百五十四億円の賃料収入が見込まれるとされています。この算定を前提とすると、単純計算では、市場会計に投入される五千四百二十三億円は三十五年程度で回収できることになります。
 民間企業ではなく東京都が行う再開発である以上、経済合理性だけにとらわれるのではなく、公益性を考慮した、東京全体の価値の最大化の要請に応えるものでなければなりません。多額の都税が関係する以上、築地市場跡地の再開発に当たっては、現在の算定結果である百五十四億円が絶対の基準ではありませんが、一定の賃料収入の確保等の収益性も十分考慮される必要があります。
 築地まちづくり方針を踏まえた再開発については、公益性のみならず、収益性にも十分配慮した形で進めることができる体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 市場の今後のあり方について伺います。
 一月二十三日の関係局長会議の発表によれば、有償所管がえの実施により、仮に五千四百二十三億円が市場会計に投入されたとしても、五十年後には市場会計の資金は底をつく予測が示されていました。いかに公益性のある市場の事業とはいえ、民間感覚からすれば、到底容認できるものではありません。
 そもそも、豊洲新市場の建設、経営計画は、その合理性に多くの疑問があるものです。豊洲市場移転前の十一市場の市場会計の決算額の収益と費用を見ると、平成二十七年度では減価償却を含めて、収益が百五十九億円、費用が百五十七億円であり、収益が二億円上回るという健全性を有していました。
 しかし、豊洲新市場の開場後は、豊洲新市場関連の多額の企業債と赤字を生じさせ続けるランニングコストにより、先ほど述べたとおり、五千億円以上が投入されても五十年後には消費してしまう計画になっています。
 そもそも、豊洲新市場の建設計画が始まった平成二十三年時点での総事業費は約三千九百億円と見込まれていましたが、最終的には約五千七百億円と、当初の費用を大きく上回ることになったという事実を歴代の都知事、都庁、そして当然都議会も重く受けとめる必要があります。
 私たちは、このような、有償所管がえなしでは近いうちに資金ショートを起こしてしまうという中央卸売市場の経営、財務のあり方が大きな問題であると考えています。
 都の現状案でも、当面の経営改善策の着実な実行と卸売市場法の改正を踏まえた経営計画の策定がうたわれていますが、当面の経営改善策の効果は年間十から二十四億円と、投入される五千四百二十三億円に比較すると余りに少額です。
 有償所管がえにより、一般会計から市場会計に約五千四百億円の巨費が繰り入れられる以上、市場は、将来的には民営化をも視野に入れ、また定期的な外部監査等を実施するなどの手法もあわせ、抜本的な経営改革にスピード感を持って取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上をもちまして、都民ファーストの会東京都議団の代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えする前に、一言弔意を申し上げます。
 去る二月二十四日、名誉都民のドナルド・キーンさんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 それでは、質問にお答えいたします。
 まず、三十一年度の予算案の基本的な考え方についてのご質問がございました。
 本年は、平成の時代が終わりを告げ、次なる時代の幕あけとなる年であります。そして都政におきましても、確かな未来を描くためのさらなる進化が求められております。
 一方、世界の激しい都市間競争、迫りくる人口減少社会、頻発、激甚化する自然災害、さらには、今般の不合理な税制度の見直しなど、都政を取り巻く環境は、刻一刻と厳しさを増しているところでございます。
 こうした危難を乗り越えて、東京が成熟都市として持続的成長を実現できるよう、未来に向けた道筋をつけることこそ、知事として果たすべき使命であり、こうした思いから、平成三十一年度予算案を都政の課題に果敢に対応する予算とすべく練り上げたところでございます。
 具体的には、気候変動等に対します都市力の強化、日本の持続的成長に不可欠な稼ぐ東京、そして都市の活力の源泉である人と人とをつなぐ、この三点を軸にいたしまして、三つのシティーを実現するための施策を展開し、過去最高の四百十一件の新規事業を立ち上げるなど、積極的な施策展開を図ることといたしました。
 同時に、事業の実施に必要な経費と事業の効果をエビデンスベースで比較検証する新たな評価を導入するなど、事業評価の取り組みを強化するとともに、都債の発行を抑制し、将来の発行余力を培うなど、財政対応力の向上にも努めたところでございます。
 この三十一年度予算案をてこに、東京二〇二〇大会を推進力として、将来にわたり進化、成長し続ける東京の実現に向けて、都議会の皆様のご協力もいただきながら、しっかりと歩みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、保育サービスの拡充についてのご質問がございました。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱といたしまして保育サービスの拡充を図ってまいりました。
 来年度は、区市町村が取り組む保育所等の整備をさらに後押しするとともに、多様化する保護者の働き方を踏まえまして、夜間、休日保育に取り組む認証保育所への支援を開始いたします。
 また、フルタイムや早朝、夜間の就労時にもベビーシッターを活用できるよう、利用者への支援を充実いたします。
 さらに、幼児教育の無償化でございますが、国の制度の開始時期に合わせまして、都独自の支援策を講じてまいります。
 今後とも、手綱を緩めることなく、二〇一九年度末までの待機児童解消に向けまして、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
 多子世帯への保育料負担軽減についてのご質問がございました。
 誰もが生き生きと生活し、活躍できる都市を実現するためには、子供を持ちたいと願う全ての人々が、安心して子供を産み育てることができる環境を整備していかなければなりません。
 しかし、国の調査によりますと、夫婦が理想とする子供の数と実際に持つ予定の子供の数には隔たりがございます。
 都は、子供を二人以上持ちたいと願う方が希望どおり子供を産み育てられるように、幼児教育の無償化が開始される時期に合わせまして、本年十月から独自の支援策を講じるところでございます。
 具体的には、国制度による多子世帯に対する保育サービスの利用者負担軽減措置につきまして、認証保育所の利用者など、現在対象となっていない世帯にも拡大をいたします。
 国に対しましては、保育サービスの利用者負担軽減の対象となる多子世帯を拡大するよう働きかけてまいります。
 子供への虐待の防止等に関する条例についてでございます。
 まずは、昨年三月に都内で、また、先月千葉県におきまして、虐待により亡くなられたお子様方に対しまして、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 子供たちにとりまして、安全・安心のとりでであるはずの家庭におきまして、後を絶たない虐待を断固防ぐ、そうした強い決意のもとで、今回条例案を提案いたしました。
 条例案では、子供の権利利益の擁護、健やかな成長を図る、そのことを目的といたしまして、保護者等の責務として、体罰等の禁止、健康診査の受診勧奨に応じる努力義務を明記したところでございます。
 また、子供と家庭を一層支援するため、都として体罰等によらない子育てを推進するほか、児童相談所と警察や区市町村の子供家庭支援センターとの連携を強化するとともに、里親等への委託の推進など、社会的な養護を充実することといたしました。
 虐待を防止するためには、都、都民、関係機関等が一体となりまして、社会全体で子供を守ることが必要でございます。
 今回の条例を機に、児童相談所の体制強化や関係機関等との連携を一層進めまして、児童虐待防止に向けて全力で取り組んでまいります。
 インクルーシブ教育システムのあり方についてのご質問がございました。
 教育を行うに当たりましては、障害の有無を問わず、それぞれの子供が授業内容を理解し、学習活動に参加している実感、達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしていく、そのことが重要でございます。
 その一方で、就学先を決める際には、障害の状態や本人の教育的ニーズ等を踏まえながら、保護者の意向を尊重することも大切であります。
 医療の進歩によって、従来は退院できなかったような障害のある子供の通学が現実的となる中で、今まで以上に多種多様な障害の状態に学校は向き合う必要があり、個々の教育的ニーズに最も的確に応える多様で柔軟な仕組みを備えた教育環境の整備が求められております。
 今後とも、障害のある子供が障害のない子供とひとしく充実した教育を受けられますよう、教育環境の一層の改善に教育委員会とも連携をして取り組んでまいります。
 フレイルの予防についてのご質問がございました。
 人は年齢を重ねますと、だんだんと体の力が弱くなり、外出する機会も減り、病気にならないまでも手助けや介護が必要となってくるものでございます。
 先日、西東京市の取り組みを視察いたしました際に、住民が集い、また交流しながら、健康状態をチェックしている様子を拝見いたしまして、地域でのフレイル予防の重要性を改めて認識したところでございます。
 来年度は、こうした取り組みが一層進みますよう、地域で健康づくり対策を担う人材に対しましてフレイル予防に関する研修を行うほか、地域の実情に応じましてフレイル予防を進める区市町村を支援してまいります。
 また、フレイル予防の重要性や都内のさまざまな取り組み状況等につきましては、ホームページやリーフレットなどを活用いたしまして、広く都民に普及啓発してまいります。
 年齢を重ねましてもいつまでも健康で暮らしたい、そうした都民の願いに応えるためにも、区市町村と連携しながら、フレイルの予防に取り組んでまいります。
 犯罪被害者等支援条例の制定についてのご質問でございます。
 犯罪に遭われた方やそのご家族は、犯罪による直接的な被害にとどまらず、その後も身体的、精神的、経済的に苛酷な状況に置かれており、一日でも早く穏やかな日常を取り戻すための支援を実施することが非常に重要でございます。
 都はこれまでも、三期にわたる支援計画に基づきまして、東京都総合相談窓口の機能強化や、性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援事業を初めといたしまして、被害者の方々に寄り添った支援に幅広く取り組んでまいりました。
 一方、刑法犯の認知件数は減少傾向にございますが、都内での認知件数は、依然として全国の約一割を占めておりまして、被害者や家族の方々に対する支援を社会全体でより一層進めていくことが強く求められております。こうしたことから、犯罪被害者等を支援するための条例を、来年度内の制定に向けて検討に着手をいたします。
 今後とも、犯罪被害者等支援施策を総合的かつ計画的に推進していくことによりまして、誰もが安心して暮らすことができる都市、東京の実現に努めてまいります。
 都立公園大改革についてでございます。
 都立公園というのは都民の財産であり、より親しみ、楽しみを感じる公園に生まれ変わらせて、東京の魅力を一層高めていくことが重要でございます。
 このため、改革を進めるに当たりまして、三つの視点を定めております。
 一つ目は、新たな発想でこれまでにない魅力を引き出すこと、二つ目は、公園を主役とした地域と都民との連携、三つ目は、自宅、会社以外のいわゆるサードプレースなど、まちの中の心地よい場所を創出すること、これらの視点で都立公園大改革に取り組んでおります。
 これまでも、歴史的価値の高い日比谷公園では、そのポテンシャルを最大限に発揮すべく、グランドデザインを昨年十二月に策定をいたしました。
 今後は、民間独自のノウハウと資金を活用いたしまして、新たな公園整備手法の検討を進めまして、拡張する代々木公園や明治公園において、緑の中のにぎわいを創出してまいります。
 さらに、まちと公園がその価値を相互に高め合うことができるように、エリアマネジメント団体など、地域との連携を強化してまいります。
 引き続き、各公園の個性や特性を深化させて、都立公園の大改革を強力に推進してまいります。
 東京と他の地域の共存共栄についてですが、東京と他の地域がそれぞれの魅力を高めて互いに協力し合うことで、ともに栄え、成長し、日本全体の持続的発展へとつながっていく共存共栄こそが、都の考える真の地方創生でございます。
 こうした考えのもとで、都はこれまで、全国の中小企業の販路の拡大、日本各地と連携した観光ルートの発信、全国知事会に設置されたプロジェクトチームでの国産木材活用に向けた取り組みなど、共存共栄に向けました取り組みを展開してまいりました。
 また、先週でございますが、東京二〇二〇大会から二〇二五年の大阪・関西万博に成功のバトンをつなぎ、互いの知を結集しながら都市力を強化して、日本全体の成長を牽引していくために、大阪府、大阪市との連携会議を立ち上げたところでございます。
 来年度は、地方の課題の解決を目指すベンチャー企業の支援や、世界自然遺産を有する自治体と連携した観光PRなど、新たな事業を展開しまして、共存共栄に向けた取り組みをさらに強化してまいります。
 また、政策企画局に他の地域との連携推進を担うポストを新設いたしまして、全国各地のニーズと各局の事業をつなげてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、全国知事会などの場も十分に活用しながら、東京と全国各地が共に発展するウイン・ウインの関係を一層進化させてまいります。
 次に、スムーズビズの推進についてでございます。
 東京二〇二〇大会を成功に導くためには、交通量の抑制や分散によりまして、円滑な大会輸送の実現と経済活動の維持との両立を図ることは極めて重要でございます。
 これまで都は、大会期間中の交通混雑の緩和に向けまして、交通需要マネジメントや働き方改革にも資する取り組みとして、テレワーク、時差ビズなどを推進してまいりました。
 今後、これらの施策をスムーズビズと総称いたしまして、一体的に進めることで、大会時の交通混雑の緩和はもとより、新しいワークスタイルや企業活動の東京モデルの確立を目指してまいります。
 具体的には、企業の皆様に対しまして、通勤や業務による人の移動を減らすため、休暇の取得やテレワーク、時差出勤など、柔軟な働き方の導入をお願いしてまいります。
 あわせまして、物の移動につきましても、製造、配送の工夫や、それに伴います物流の効率化などをお願いしてまいります。
 大会の一年前となることしの夏には、取り組みの試行を行いまして、より実効性を高めるように努めてまいります。
 こうした取り組みを総合的に進めることで、大会のレガシーとしてスムーズビズを社会に定着させて、全ての人々が生き生きと働き、活躍できる社会の実現を目指してまいります。
 次に、景気対策としての公共工事の受注機会の確保についてのご指摘がございました。
 都内中小企業や小規模事業者の受注機会の確保を図ることは、経営の安定に資する効果が大きいことから極めて重要でございます。
 都政の将来を展望いたしますと、佳境を迎える東京二〇二〇大会の開催準備に加えて、大規模災害に備えた防災対策、社会資本ストックの維持更新など、膨大な公共事業が見込まれております。
 これらの事業を着実に前に進めていくには、受注者側の体制や地域特性、発注時期の前倒しなど、発注規模の年度間の平準化なども考慮しながら、計画的かつ安定的に発注を行いまして、受注機会を確保することが必要と認識をいたしております。
 とりわけ、東京二〇二〇大会期間中は、都内の交通量が大幅に増加すると見込まれておりますことから、大会運営に支障を来すことのないように工夫を凝らしながら、都民生活に密着した公共工事を維持していく考えでございます。
 円滑な公共事業の実施には、建設業界の協力が不可欠でございます。ご指摘の点も踏まえまして、主要な業界団体との意見交換も積極的に行ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、東京二〇二〇年大会から続く受注の機会を絶やすことなく、都民生活を支える都市インフラの整備を着実に前進させてまいります。
 東京二〇二〇大会の招致に係る疑惑についてのご質問がございました。
 招致活動は、都と招致委員会が役割分担の上に行い、いわゆるロビー活動につきましては招致委員会が担当し、公費も支出していなかったと聞いております。
 本件ですが、JOCが弁護士などから成る調査チームを設置して、都の職員もオブザーバーとして参加した上で詳細な調査を行ったものでございまして、その結果、我が国の法律やフランスの刑法、IOCの倫理規程への違反を見出すことはできないとの結論が示されたところではございます。
 竹田会長は、疑念を払拭するために今後とも捜査に協力すると発言をしておられます。その推移を見守ってまいりますが、今後の状況に応じましては、ご指摘も含めまして、必要な対応を行っていくことには変わりがございません。
 水道事業のコンプライアンス体制についてのご指摘がございました。
 このたび都の特別監察におきまして、水道局所管の東京水道サービス株式会社が過去の不適正事案の原因分析や対策が不十分で、内部統制に改善が必要であるとの報告がございました。先般の水道局での情報漏えい事故に続きまして、こうした不祥事が明らかになったことに対しまして、大変重く受けとめているところでございます。
 東京水道サービス株式会社は、都政改革本部での議論も踏まえまして、来年度中に株式会社PUCとの統合が予定されております。
 この監理団体二社の統合に合わせまして、抜本的な組織構造改革を実施するように、指導監督する立場である水道局に対しまして指示を行いました。
 水道局では、本年四月、第三者コンプライアンス委員会を設置して、外部の視点から東京の水道事業全体を検証していくこととしております。
 この委員会におきまして、監理団体への適正な監視のあり方や人材戦略、育成を通じた内部統制体制の改善などについて、必要なご提言をいただきます。
 こうした取り組みによりまして、水道事業におけます適正な執行体制の確立とコンプライアンスの強化を図りまして、都民の信頼回復に向けて全力を尽くしてまいります。
 次に、東京二〇二〇大会後の都庁組織のあり方についてのご質問でございます。
 都におきましては、これまでも徹底した事務事業の見直しや内部努力によりまして、簡素で効率的な執行体制を整備してまいりました。
 今回の戦略政策情報推進本部を初めとする組織改正は、激変する社会環境の変化に迅速かつ集中的、機動的に対応するために行うものでございます。
 一方、大規模な条例局の再編につきましては、平成十六年度に都市整備局や福祉保健局などを設置して以降、実施しておりません。
 近年、都政を取り巻く環境は急激に変化していることに加えまして、東京二〇二〇大会後には、本格的な人口減少社会を迎えます。そして、都政に求められる役割や都庁の職員構成も大きく変化する見込みでございます。
 そのため、東京二〇二〇大会後の組織全体のあり方につきましては、将来的な東京のあるべき姿を見据えまして、十分に検討、議論しながら、来年度中を目途に方向性をお示ししてまいりたいと考えております。
 今後とも、都庁組織の生産性を最大限に高めて、都政の課題に的確に対応できる執行体制を構築してまいります。
 旧こどもの城についてのご質問がございました。
 長年にわたって、子供から大人まで、あらゆる世代の多くの人たちに親しまれてきた施設でございます。その歴史や果たしてきた役割の重要性は、十分に認識をいたしております。
 一方で、青山通りに面したこの敷地は、都のさまざまな政策実現にも資する可能性を有した土地でございまして、都といたしましても最大限に活用していくことも考える必要がございます。
 だからこそ、かつてのこどもの城が担ってきた役割を十分に踏まえまして、その機能を生かしながら、誰もが利用できる施設へとリノベーションをしまして、ダイバーシティーの実現に向けた複合拠点を創出していくべきだと考えております。
 ただし、こうした施設を整備するに当たりましては、ご指摘のとおりコストについても十分に見きわめていくことが必要でございます。既存の建物を限りなく可能な限り生かすことで、費用を最小限に抑えるべく、改修内容などの精査も今後入念に行ってまいります。
 さらに、長期的には、周辺の都有地と合わせまして、広大な敷地を都心部に残された東京の成長を支える用地といたしまして、生かしてまいります。
 こうした視点に立ちまして、用地取得後、速やかに地元区やまちづくりの専門家、文化関係者などを含めました有識者の検討会を立ち上げまして、具体的な活用案を描いてまいります。
 まずは、国から取得することが第一でございます。来年度、国の審議会を経て、夏ごろに取得できますよう鋭意交渉を進めてまいります。
 いずれにいたしましても、東京の未来にとりましては重要な投資となるものと確信をいたしておりまして、中期的、長期的、それぞれの視点から有益に活用してまいります。
 次に、築地再開発の意義と市場跡地の有償所管がえについてのご質問がございました。
 約二年半前に移転延期を決断して以降、一連の検証を進める中で、私は、知事就任以前の都庁内の議論におきましては、築地市場跡地を売却して豊洲市場の整備費の償還に充てるとするのみで、その後の築地を一体どうしていくのか、具体的なビジョンや方針が十分に示されていない点は、課題、問題であると考えておりました。
 築地ブランドは、市場業者を初め、東京の食文化を担う多くの方々の努力により、長い歴史の中で育まれてきたものでございまして、単純に売却しては築地の魅力を失ってしまうことになりかねません。
 そのため、一昨年六月、豊洲と築地の両方を生かすという趣旨の基本方針を示しまして、日本の新たな中核市場としての可能性を持つ豊洲、都心に近くさまざまなポテンシャルを持つ築地、この両方を生かすことで、東京全体の価値を高めていくことといたしました。
 とりわけ、築地の食に根差した歴史やポテンシャルなど、築地が培ってきた大切なものを守って、さらに発展させていくという思いで、築地は守ると述べたところでございます。
 この基本方針をベースに、行政の取り組みといたしまして具体化するために、市場移転に関する関係局長会議を設けまして、豊洲市場は中央卸売市場として継続的に運営をして、築地はそのポテンシャルを生かし、民間主導で再開発を進めていくということとし、その後、有識者の意見もいただきながら、検討を深めてきたところでございます。
 まちづくり方針の素案では、新たな東京ブランドを創造、発信する国際的な交流拠点を形成することといたしておりまして、都民の意見も踏まえました上で、年度内に方針を取りまとめてまいります。
 また、市場機能につきましては、かねて申し上げてきたとおり、都が中央卸売市場として運営するのは豊洲市場であり、豊洲との近接性を考えれば、築地再開発において、都が改めて卸売市場を整備することはないと考えております。
 一方で、築地にとりまして、食文化は重要な要素の一つと考えておりまして、民間のさまざまな知恵も活用しながら、築地を先進性と国際性を兼ね備えた東京の新たな顔として育て、築地に期待を寄せる人々に応えていきたいと思います。
 こうしたことを受けまして、東京全体の価値の最大化を目指すまちづくりを見据えるとともに、改めて行いました収支試算の結果も踏まえまして、築地市場跡地を一般会計へ有償所管がえすることとしたものでございます。
 これは、民間への売却ではなく、都民の貴重な財産であります築地市場跡地を有効活用するために、市場会計と一般会計との間で、それぞれが保有する資産を等価で交換するものでございまして、このような財務面からの整理も行った上で、市場運営と築地のまちづくりを着実に進めて、東京、ひいては日本の確かな成長につなげてまいります。
 有償所管がえの予算措置についてのご質問でございます。
 築地市場跡地につきましては、今般、再開発の将来像を示す築地まちづくり方針の素案を取りまとめまして、都として再開発を進める方針を固めたところでございます。
 今後、この方針に基づきましてまちづくりを行っていくわけですが、本跡地、この跡地について、いち早く一般会計への移しかえに着手することで、民間事業者の参画意欲を早期かつ最大限に引き出しまして、都としても円滑にまちづくりの具体案の検討が可能となります。
 また、再来年度以降ですが、今般の国による税制の見直しによりまして、税収減が見込まれておりますことから、将来の財政支出を可能な限り軽減する必要もございます。
 こうした中で、今年度、決算の剰余金、予算執行状況の精査によりまして、財源の目途を立てられたということから、最終補正予算で有償所管がえの予算措置を速やかに行ったところでございます。
 再開発の体制の構築についてのご質問がございました。
 築地再開発では、長期的な観点から、東京の持続的成長につなげていくことといたしております。公共的、公益的なまちづくりにも留意するとともに、経済の合理性を考慮しながら、民間の力を最大限に活用して段階的に整備を進めて、東京全体としての価値の最大化を図ってまいります。
 浜離宮や隅田川、食文化など、地域のポテンシャルを最大限に生かしていく、都心の大規模で貴重な土地でございます。収益性も勘案しながら、効果的に活用してまいります。周辺地域の付加価値の向上など、波及効果をもたらしながら、中長期的に東京及び都民にとりましての価値の向上に向けて、開発を進めてまいります。
 こうしたまちづくりが適切に進められますよう、築地まちづくり方針を踏まえまして、各段階の開発整備を通じて、まちづくり、財務、会計など、外部の有識者を交えながら、中長期にわたりまして一貫してコントロールする仕組みを構築していくとともに、議会に対して適宜ご報告をしてまいります。
 今後の市場経営でございます。
 都内十一カ所の中央卸売市場、都民に生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給するための基幹的インフラとしての役割を担っています。
 大胆な規制緩和を盛り込んだ卸売市場法の改正も控えておりまして、市場を取り巻く環境の変化などを踏まえた上で、今後も市場の活性化に取り組みまして、産地、そして実需者に支持される市場としていかなければなりません。
 そのためには、戦略的な経営と強固な財務体質の確保、とりわけ公営企業会計としての市場会計の持続可能性の確保が必要でございますが、豊洲市場の減価償却費等の影響によりまして、今後、経常収支が大幅な赤字で推移する見通しでございます。
 都といたしましては、市場当局の人件費の削減や維持管理経費の圧縮など、経営改善を図ることといたしておりますが、こうした取り組みに加えまして、長期的な視点から、市場経営のあり方について抜本的な検討が必要であるということは認識をいたしております。
 このため、民間企業経営の目線からのチェック機能を働かせるため、外部有識者による市場運営の検証を改めて行います。
 また、実効ある経営計画の策定に向けましては、企業経営や財務会計の専門家などの知見を最大限に活用しまして、コストの縮減や収益向上に向けた経営の合理化、民間経営手法の導入など、本質的な課題に切り込んで、スピード感を持って市場経営の抜本的な改善を図ってまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) いわゆる、あおり運転等の悪質、危険な運転の根絶についてでありますが、あおり運転等に対しては、道路交通法を適用するだけでなく、あらゆる法令を駆使した取り締まりを徹底しております。
 さらに、悪質性が高く、道路交通において危険を生じさせるおそれがある場合には、運転免許の効力を停止する行政処分も行っております。
 また、運転免許証の更新時講習で、あおり運転の危険性や違法性について説明しているほか、道路管理者等の関係機関と連携して、抑止に向けた広報啓発活動も推進しているところであります。
 今後も、世界一の交通安全都市東京の実現に向け、悪質、危険な運転を根絶すべく、厳正に対処してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、性教育の推進についてでございますが、都教育委員会は今年度、産婦人科医を外部講師として招聘したモデル授業を中学校五校で実施し、学習指導要領に示されていない内容を含む授業や、保護者の理解を得る方法等について検証をしてまいりました。
 実施した学校の生徒からは、命の尊さを実感することができた、保護者からは、今回の授業をきっかけに家庭でも性に関する話をしてみたいなどの感想が寄せられております。
 これらの成果を踏まえ、今年度内に性教育の手引を改定して、全公立学校に配布してまいります。
 また、来年度は、モデル授業の実施を中学校十校に拡大し、その取り組みを広く他の学校に周知するなどして、児童生徒が正しい知識を身につけ、適切に意思決定や行動選択ができるよう、区市町村教育委員会等と連携して各学校を支援してまいります。
 次に、国のガイドラインを踏まえた対応についてでございますが、昨年二月に策定した学校における働き方改革推進プランでは、教員の勤務実態を踏まえ、まずは過労死ライン相当にある教員をゼロにすることを当面の目標として設定いたしました。
 都教育委員会は、本プランに基づき、スクールサポートスタッフや部活動指導員等の配置を促進するとともに、ICTの活用などを図ってまいりましたが、その結果、教員の在校時間の状況には一定の成果が見られております。
 今後、先般国から示されたガイドラインにおける勤務時間の上限の目安時間等を踏まえつつ、都としての方針等を策定し、多様な取り組みを一層推進して、長時間労働のさらなる改善に全力で取り組んでまいります。
 次に、働き方改革推進のための取り組みについてでございますが、都内公立学校においては、教員の世代交代が進む中、若手教員が授業準備等に時間を要していることや、一部の中堅教員に校務事務の負担が集中していることなどが、長時間労働の一因となっております。
 このため、都教育委員会は、平成三十一年度から中核的な業務を担う教員の授業受け持ち時数の軽減拡大を進め、こうした取り組みの中で経験豊富な退職教員等を積極的に活用し、さまざまなノウハウを若手教員等に継承しながら、授業や校務を分担することとしております。
 今後、教員に対して、退職後も長く働き続ける意識を一層醸成するとともに、勤務条件等を整備するなどして、意欲と能力のある人材の活用を推進し、教員の負担軽減を図ってまいります。
 最後に、新財団のあり方についてでございますが、教員の働き方改革を推進するためには、あらゆる取り組みを重層的に行う必要がございます。新財団では、外部人材の安定的な確保、教員のサポート、学校の事務センターの機能を果たし、教員の負担軽減と教育の質の向上を図ってまいります。
 また、専門的なノウハウに基づく継続的できめ細かい支援等が学校から求められており、その実現に向け、退職教員のほか、人材紹介のコーディネーター経験のある民間や地域の方など、財団業務に適した人材を活用してまいります。
 さらに、経営を担う理事長については、財団設立に際し、外部の人材を登用し、他の常勤役員については、現役都職員の派遣で対応することを考えております。こうした体制により、団体内部のガバナンス等の確立強化、柔軟な組織運営等に積極的に取り組んでまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 住民協働による道路の維持管理についてでございますが、都は、道路巡回によりまして道路の状況を的確に把握し、必要な対策を講じるなど、適切な維持管理に努めております。
 これに加えまして、道路利用者からより多くの情報を迅速に受けることによりまして、きめ細やかな道路状況の把握が可能となりますことから、住民協働による維持管理について検討してまいりました。
 このたび、事業提案制度におきまして、大学研究者からICTを活用した住民協働システムの提案がございました。これと連携いたしまして、スマートフォンで道路状況を撮影して、簡易に通報する仕組みの導入に向け取り組んでまいります。
 また、最先端ICT利活用の観点から、新たに設置されます戦略政策情報推進本部とも連携いたしまして、より効果的な仕組みとなりますよう検討を進めてまいります。
 今後とも、道路を常に良好な状態に保ちまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 幼稚園類似の幼児施設についてでございますが、この施設は、昭和四十年代後半における幼稚園の不足に対応するため、都が独自に認定してきたものであり、これまで地域における幼児の受け入れに一定の役割を果たしてきたものでございます。
 一方、今回の国の幼児教育無償化では、幼稚園類似の幼児施設は無償化の対象外とされております。
 こうしたことから、都は当面、独自に補助を行うとともに、幼児の健やかな成長に資する良好な環境を確保するため、地域の実情や今後の運営に関する施設の意向などを踏まえて相談に応じるなど、区市と綿密に連携し、適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談体制についてでありますが、都は、児童虐待に的確に対応するため、来年度、児童福祉司、児童心理司等を増員し、児童相談所の体制を一層強化いたします。
 また、区市町村の虐待対応力を向上させるため、経験豊富な虐待対策ワーカーの配置や、土日、夜間の相談体制整備に取り組めるよう、子供家庭支援センターへの支援を充実してまいります。
 さらに、専門的、広域的業務等を担う児童相談所と地域の身近な相談窓口である子供家庭支援センターのそれぞれの強みを生かした、新たな連携強化策を検討するため、区市町村との合同検討会を立ち上げます。
 この検討会では、人材の活用策や効果的な情報共有方法等を議論することとしており、今後、区市町村と緊密に連携しながら、東京全体の児童相談体制を強化してまいります。
 次に、受動喫煙防止条例の普及啓発についてでありますが、都は、条例の趣旨や目的について、都の広報紙やホームページ、SNS等を活用した普及啓発を行うとともに、区市町村や事業者向けの説明会を開催するなど、具体的な内容に関する周知を行っております。
 今後は、こうした取り組みに加え、区市町村等とも連携して啓発イベントを開催するとともに、条例の解説動画を制作し、多くの都民が日ごろ目にすることの多い街頭ビジョンなどの媒体を活用して周知を図るほか、東京都提供テレビ番組など、新たな放送枠でのCM放送も検討してまいります。
 二〇二〇年四月の条例の全面施行に向けて、効果的な普及啓発ときめ細かな情報提供を行い、都民や事業者の理解促進や機運の醸成を図り、受動喫煙防止対策の取り組みを一層推進してまいります。
 次に、フレイルの予防についてでありますが、都は来年度、高齢者が低栄養に陥らないよう、コンビニエンスストアと連携し、弁当や総菜の使用食材を表示し、多様な食品の摂取を勧めるなど、その普及啓発を実施してまいります。
 また、軽微な口腔機能の低下から始まるといわれる、いわゆるオーラルフレイルにつきまして、歯科医療従事者に向けた研修会等を実施してまいります。
 さらに、高齢期になる前からフレイル予防についての基礎知識を得られるよう、運動や社会参加など、高齢期の健康管理のポイント等を掲載したホームページを新たに作成するほか、企業と連携して退職前の方を対象とした出前講座を実施し、フレイルの予防に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、介護職場におけるICTの活用についてでありますが、都は現在、訪問介護事業所における業務の効率化を図るため、介護記録の作成に要するタブレット端末等の導入を支援しております。
 また、施設等における介護従事者の身体的な負担を軽減するため、利用者の移動等を支援する次世代介護機器の導入を支援しており、来年度は、より現場の状況に合った機器の導入や効果的な活用が進むよう、実践的な研修を新たに実施いたします。
 さらに、特別養護老人ホーム等において、夜間の見守りを支援するセンサーの導入や申し送りを効率化するための介護記録の電子化など、施設業務全般にわたりICT環境を一体的に整備するための支援を開始いたします。
 こうした取り組みによりまして、介護職場におけるICT活用を促進し、業務の効率化や職員の負担軽減を図ってまいります。
 最後に、骨髄移植についてでありますが、都は、骨髄バンクのドナー登録や骨髄移植の推進を図るため、ポスターやパンフレットで普及啓発を行うとともに、骨髄の提供に必要な検査や入院等に要した日数に応じて、ドナー等に助成を行う区市町村を包括補助で支援しております。
 また、ドナー休暇制度の導入の促進や休業補償制度の創設など、国に対して提案要求しております。
 骨髄を提供できる年齢は五十五歳以下に限定されていることから、若年層のドナー登録を促進することが重要であり、来年度は、事業主団体と連携いたしまして、十月の骨髄バンク推進月間を中心に現役世代へ働きかけるなど、骨髄移植等に関する普及啓発の強化を検討してまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 鉄道における子育て支援の取り組みについてでございますが、都営地下鉄ではこれまでも、車両の車椅子スペースにベビーカーマークを掲示してまいりました。
 来年度からは、小さなお子様連れのお客様に安心して気兼ねなく電車をご利用していただけますよう、大江戸線で新たに導入する車両三編成に子育て応援スペースを試験的に設置いたします。
 具体的には、一編成中二カ所のフリースペースを改装し、他のお客様にもわかりやすいよう、付近の壁や手すり等にお子様が親しみやすい装飾を施すなど、工夫を凝らしてまいります。加えて、駅構内放送やポスターの掲示等を通じまして普及啓発に努め、小さなお子様連れのお客様に対する周囲の理解を求めてまいります。
 今後、お客様からのご意見等を踏まえつつ、首都東京の公営交通事業者として子育て支援に貢献をしてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、シニアの就業支援についてでございますが、高齢者の就業を推進するためには、高齢者それぞれの希望や経験、スキルに合わせて支援を行うことが重要であります。
 都は、身近な地域で働くことを目指すシルバー人材センターに対し、来年度、保育人材の育成など、新たな職域の開拓を支援するとともに、センターでの仕事の魅力を広く発信するイベントを都内七カ所で開催をいたします。
 また、本格的な就業を希望する高齢者に対しましては、現在、さまざまな職業経験を持つ受講生が交流しながら新たなスキルを学ぶ講座を実施しております。
 さらに、企業への派遣による就業体験も行っており、来年度からは、派遣先の企業をアドバイザーが訪問し、高齢者を雇用するための環境整備を支援いたします。
 こうした取り組みにより、高齢者と企業を後押しし、多様なニーズに応じた就業につなげてまいります。
 次に、イノベーション基盤の整備とその発信についてでございますが、東京の産業の力を高めるためには、イノベーションを促進する基盤を整備するとともに、その取り組みを発信し、海外企業との連携等を活性化することが重要でございます。
 都では、海外からの来場の多い展示会にベンチャー企業が出展するための支援を行うほか、中小企業が研究機関等と協力し、技術開発を行うプロジェクトを支援しております。
 加えまして、今後は、東京二〇二〇大会の開催時に国内外からの来訪者へ中小企業のすぐれた製品や技術等をアピールする新たなプロモーションの展開を図ってまいります。
 また、先端の自動運転技術等を活用した実証実験を支援し、国内外へ向けその取り組みの発信を開始いたします。
 これらにより、東京の産業のイノベーション基盤と発信力を効果的に高めてまいります。
 最後に、テレワークの効果的な普及促進についてでございますが、都はこれまで、東京テレワーク推進センターを拠点に導入相談やセミナー等を実施するとともに、建設や小売などの業界別に導入事例をまとめたハンドブックを作成し、配布するなど、幅広く普及啓発に取り組んできたところでございます。
 来年度は、企業において具体的な導入が進むよう、金融機関や経済団体等と連携して都内各地に推進デスクを設置し、都の支援策への誘導を図ってまいります。
 また、業界団体を通じたコンサルティングを実施し、傘下の各企業に、業界や企業の実情を踏まえた具体的な導入方法を提案いたします。
 さらに、市町村部のサテライトオフィスの設置を推進するとともに、その活用策を紹介してまいります。
 これらにより、企業のテレワーク導入を加速し、社会に広く普及させてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 宿泊施設のバリアフリー化についてでございますが、今回の条例改正では、法で設置が義務づけられている車椅子使用者用客室とは別に、法の義務対象ではない一般客室を対象に、全国で初めてバリアフリー基準を設けるなど、早期に宿泊環境を整えていくこととしております。
 例えば、浴室等の出入り口幅について、最低限の義務基準に加え、望ましい基準を示すとともに、その誘導のために容積率の緩和制度の活用のほか、新築時の補助率を最大十分の九に拡充するなど、建築主等の取り組みを支援してまいります。
 また、将来的な望ましい整備のあり方についても、東京二〇二〇大会時の宿泊施設の利用状況等を勘案し、関係者と協議しながら検討を行ってまいります。
 これらの取り組みにより、誰もが利用しやすい宿泊環境の実現を目指してまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 二点のご質問にお答えいたします。
 地域医療を担う医師の育成支援についてでございますが、都立病院がこれまで培ってきた高度な技術やノウハウ、専門性の高い人材などの医療資源を活用することにより、地域の医療水準の向上に貢献することは重要であると考えております。
 そのため、平成三十一年度から多摩地域における公立病院の診療体制の強化に向け、都立病院から指導医クラスの医師を派遣し、診療支援だけでなく、若手医師を育成する取り組みを新たに実施いたします。
 具体的には、多摩総合医療センターと日野市立病院との間でモデル的に事業を開始し、その後は、モデル事業の結果を検証した上で、他の公立病院のニーズや都立病院の診療体制の状況などを踏まえ、取り組みの拡大について検討してまいります。
 次に、小児総合医療センターにおける医療的ケア児を支える人材の育成への貢献についてでございますが、医療的ケア児に対応可能な地域の医療機関は限られておりますことから、医療的ケア児が地域で適切な支援を受けるためには、小児の在宅医療に関する十分な知識や技術を有する人材が不可欠でございます。
 このため、都の小児医療の拠点である小児総合医療センターにおきまして、診療所等に対する小児在宅医療に関する勉強会や、地域で医療的ケア児の支援を総合調整するコーディネーターの育成研修を実施しております。
 今後は、これらの取り組みに加えまして、地域の病院や訪問看護ステーションの看護師等の受け入れ研修を新たに実施するなど、医療的ケア児が地域で安心して暮らせる体制づくりをさらに強化してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 防犯カメラの設置促進についてでありますが、都は、区市町村とともに、町会、自治会等が設置する防犯カメラの整備費用の補助を行ってきており、現在は、新規設置に係る都の補助率を引き上げ、町会、自治会等の負担を軽減するなど、設置促進を図っております。
 来年度には、地域の防犯力の維持向上に取り組む町会、自治会等をさらに支援するため、お話の防犯カメラの継続利用に資する保守点検費、修繕費への補助を新たに実施いたします。
 また、多摩地域を初め区市町村の地域団体担当部署などとも連携しながら、防犯カメラの意義や維持管理も含めた補助制度を周知するなど、設置促進に向け積極的に働きかけてまいります。
〔消防総監村上研一君登壇〕

○消防総監(村上研一君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、住宅防火対策の取り組みについてでございますが、東京消防庁では、住宅火災による死者発生防止に向け、これまで、住まいの防火防災診断やホームページ、SNSを活用して、住宅防火の啓発に取り組んでまいりました。
 しかし、本年に入りまして、住宅火災による死者が急増いたしましたことから、緊急対策推進本部を設置し、各種広報媒体を活用して、死者が発生した火災の主な原因となっているたばこや電気ストーブについての注意喚起を幅広く展開するとともに、各消防署において、消防団や町会、自治会等と連携した巡回警戒活動、要配慮者への住まいの防火防災診断などをより一層強力に推進しております。
 引き続き、火災発生危険の高い季節が続いておりますので、三月一日に始まる春の火災予防運動を契機といたしまして、全庁を挙げて住宅防火の啓発に取り組んでまいります。
 次に、より迅速な消防活動体制への取り組みについてでございますが、一人でも多くの都民の命を守るためには、消防隊が一分一秒でも早く現場に到着し、必要な処置を講じることが重要であると認識しております。
 東京消防庁ではこれまで、狭隘道路の多い地域への小型消防ポンプ車の配置や、救急要請への必要に応じたポンプ車の出場など、地域特性や通報内容に応じて迅速に現場到着できる体制の整備に努めてまいりました。
 来年度は、AEDや消火器具など各種資器材を積載した、小型で環境性能にすぐれた電動車両で出場するファーストエイドチームを新たに創設し、現場へのファーストタッチをより一層迅速化してまいります。
 今後とも、セーフシティーの実現のため、多様な要請に迅速に対応できる消防活動体制を整備してまいります。
 最後に、救急隊の現場到着時間短縮に向けた取り組みについてでございますが、都民の命を救うためには、救急隊の一分一秒でも早い到着が重要であると認識しております。
 当庁では、現場到着時間の短縮に向け、これまで救急隊の計画的な増強、需要に応じて機動的に運用する救急機動部隊の創設、救急車の必要性を相談できる救急相談センター、シャープ七一一九の普及などに取り組んでまいりました。
 来年度は、救急隊六隊、救急機動部隊一部隊の増強や、救急相談センターの相談員の増員など、これまでの施策を一層強化するとともに、新たに、救急需要の多い日中の運用に特化し、育児休業復帰後の職員の活躍も可能とするデイタイム救急隊を創設いたします。
 今後とも、救急需要に的確に対応した施策を積極的に展開し、現場到着時間の短縮に取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 犯罪被害者等支援条例制定のロードマップについてでございますが、犯罪被害者等を支援するための条例の制定に向けた検討に当たりましては、まず、被害者やそのご家族の方々のニーズを十分に把握することが必要であり、そのための実態調査を実施いたします。
 また、学識経験者や支援団体などの専門家から、現状の課題や問題点等についてヒアリングを実施し、あわせて、日常生活支援の主たる担い手である区市町村や警視庁、医療機関等の関係機関との役割分担や連携の強化に向けて協議を行ってまいります。
 今後、条例の制定に向けまして、具体的な調整、検討を進めてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 伊豆諸島へのアクセス手段の多様化についてでございますが、伊豆諸島への交通アクセスにつきましては、定期便の就航率向上に引き続き取り組んでいく必要がございますが、観光需要の喚起という観点からは、アクセス手段の多様化も重要でございます。
 今年度、有識者や庁内各局から成る検討委員会で幅広く課題を取り上げており、その中で、クルーズ船、チャーター便、プレジャーボートなどを活用した需要喚起策が提案されております。
 これを踏まえ、来年度は、チャーター便の誘致に必要な方策の検討や、プレジャーボートの受け入れ環境の整備に向けた調査を実施する予定でございます。
 今後とも、島しょ地域の振興に資するアクセス手段の充実のため、関係局とともに幅広く取り組んでまいります。
 次に、航空機利用の利便性を高める対策についてでございますが、これまで都は、伊豆諸島において航空運賃の水準を維持し、島の住民の利便性を高めるため、航空会社に対する運航費補助などを実施してまいりました。
 また、島の住民向けに、普通航空運賃の約四割を割り引く、島民運賃割引制度を導入しております。
 空港を設置していない利島、御蔵島の住民につきましては、それぞれ最寄りの島の空港を経由した一ルートを対象に運賃割引を運用してまいりましたが、空港までの乗り継ぎ時間等を考慮した場合、最寄りの空港経由ではないルートの方が効率的に移動できることがございます。
 そのため、来年度から、利島、御蔵島の住民が複数の空港を利用できるよう、島民運賃割引の対象路線を各二ルートに拡充し、さらなる利便性の向上を図ってまいります。
 最後に、大会運営と円滑な港湾物流の両立についてでございますが、大会期間中の交通混雑を緩和させるためには、東京港を利用する荷主やトラック事業者に対して交通渋滞等の情報を的確に提供し、交通量が少ない時間帯への配送時間の変更等を働きかけていくことが重要でございます。
 具体的には、来年度早期に、臨海部における主要道路の路線別、時間帯別の混雑予測を新たに公表するとともに、交通状況をリアルタイムで配信するウエブカメラの増設やモバイルサイトの刷新を行い、これらの情報を積極的に発信することで、交通混雑を回避する利用者の行動につなげてまいります。
 また、現在一カ所で運営している二十四時間利用可能な貨物の一時保管場所をさらに三カ所増設するなど、早朝、夜間における貨物配送の促進等の取り組みを進めてまいります。
〔政策企画局長梶原洋君登壇〕

○政策企画局長(梶原洋君) エコシステムの構築についてのご質問にお答えをいたします。
 先端技術を有する有望な外国企業の誘致や革新的なイノベーションを創出するためには、企業、投資家、大学等の研究機関などが、必要なときにいつでも連携し、協働する機会を得ることができる環境、いわゆるエコシステムを構築することが重要でございます。
 そのため、来年度から、都は地域ごとに、お話しの産官学の協議会を設置し、コミュニティマネジャーの派遣を通じてネットワーク形成を促進するほか、地域内で多様な主体が連携して新規事業を立ち上げる際の支援を行ってまいります。
 また、その成果は国内外に向けて発信し、東京への新たな投資や進出を促すことで、東京の持続的な経済発展やイノベーションの創出を促してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大会輸送影響度マップの充実についてでありますが、影響度マップは、大会輸送と経済活動の維持との両立を図るため、企業等が大会時の影響を把握し、混雑回避などを検討していただくことを目的に作成したものでございます。
 現在、このマップ等を活用した大会時の交通状況に関する説明会や個別相談会などを実施しており、多くの企業や団体の皆様にご参加をいただいております。
 今後、大会関係情報に合わせまして、最新の情報を更新するとともに、時間区分の細分化を行うなど、よりわかりやすいマップとなるよう内容を充実させてまいります。
 これらを活用し、大会時の混雑回避のための行動計画策定などを皆様に広く呼びかけるほか、来年度からは、コンサルタントを直接派遣することも加えまして、企業の方々が大会に向けた準備を具体的に進められる環境を整えてまいります。
 次に、多摩地域におけます機運醸成についてでありますが、大会の開催機運を盛り上げるため、都は、多摩地域におきまして、パブリックビューイングを核とする盛り上げ会場の追加やマスコット像の配置、聖火リレーの実施等、さまざまな取り組みを行うこととしております。
 そうした都の取り組みに加えまして、住民に身近な市町村による取り組みも重要でありますことから、市町村が行うコミュニティライブサイトやシティードレッシング、聖火リレーの実施に係る機運醸成等の取り組みに対しまして、補助制度を創設いたします。
 これらを活用して、広く都民が大会の開催を体感できるよう、市区町村に対し、事業実施に当たっての留意点等を説明するなど、さまざまな機会を捉えて丁寧に対応してまいります。
 今後、都と市町村とが十分連携して多摩地域の開催機運を盛り上げ、大会の成功につなげてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 水道局所管の監理団体の統合についてでございますが、都の水道事業は、今後、人口減少に伴い給水収益が減少する一方、大規模施設の更新を初め、支出の増大が見込まれるという課題を抱えており、将来にわたり持続可能な事業運営を実現するためには、経営基盤を強化する必要がございます。
 その一環として、このたび、技術系業務と営業系業務をそれぞれ担う監理団体二社を二〇一九年度中に統合することといたしました。これにより、水道事業を包括的に担える団体が新設されることとなり、この新団体への業務移転を一層進めることで、都の広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、さらなる効率化と経営基盤の強化を図ってまいります。
 さらに、水道法改正を踏まえ、同様の課題を抱える全国の水道事業体が今後取り組む広域連携や官民連携に対し、そのニーズを把握した上で、当該団体が東京水道で培った技術、ノウハウを活用した支援を進めてまいります。
 こうした取り組みにより、持続可能な東京水道を実現するとともに、監理団体における経営の自主性を向上させ、全国の水道事業の課題解決にも貢献してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 築地市場跡地に関する二問のご質問にお答えをいたします。
 まず、所管がえを有償で行う理由についてでございますが、築地市場の用地は、昭和三十九年に中央卸売市場会計を地方公営企業会計として設置するため、一般会計から現物出資したものでございます。
 今後、まちづくりを行っていくに当たりまして、本跡地を市場会計から一般会計に所管がえすることになりますが、会計間における土地の所管がえにつきましては、現行の公有財産規則において有償とすることが規定されていることから、今回も規則にのっとり、有償で所管がえをするものでございます。特別会計の独立性を乱さぬよう、依命通達、公有財産関係の条例及び規則の施行についてによりまして、適正な評価価格とすることが定められております。
 さらに、当該跡地の価格算定に当たりましては、不動産鑑定業者に鑑定評価を求める運用基準に該当するため、外部の不動産鑑定機関が実施した鑑定評価をもって評価価格としているものでございます。
 次いで、不動産鑑定評価の妥当性についてでございますが、今般の不動産鑑定機関の選定に当たりましては、平成二十七年度以降、東京二十三区内において地代の評価実績及び十万平方メートル以上の土地の価格評価実績を有していることなどを参加条件に付して競争入札を行い、選定をいたしました。
 その選定した鑑定機関によりますと、鑑定額の算定においては、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準に基づく手法や手順により、近隣の取引事例との比較や土地の収益性、開発による投資採算性などを考慮して評価を行っているとのことでありまして、専門的見地からも適正な評価であると受けとめております。
 また、この鑑定評価に基づく土地価格につきまして、平成二十九年度に試算した金額からの伸び率は、当該跡地周辺の地価上昇率と同程度でありまして、こうした観点から、今回の土地価格は妥当であると考えております。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩