平成三十一年東京都議会会議録第二号

平成三十一年二月二十一日(木曜日)
 出席議員 百二十四名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
六番滝田やすひこ君
七番藤井あきら君
八番森澤 恭子君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番森口つかさ君
二十一番内山 真吾君
二十二番もり  愛君
二十三番龍円あいり君
二十四番あかねがくぼかよ子君
二十五番保坂まさひろ君
二十六番斉藤れいな君
二十七番おときた駿君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番柴崎 幹男君
三十一番舟坂ちかお君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番関野たかなり君
四十一番福島りえこ君
四十二番つじの栄作君
四十三番米川大二郎君
四十四番清水やすこ君
四十五番白戸 太朗君
四十六番増田 一郎君
四十七番佐野いくお君
四十八番奥澤 高広君
四十九番やながせ裕文君
五十番清水 孝治君
五十一番大場やすのぶ君
五十二番小宮あんり君
五十三番鈴木 章浩君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番細谷しょうこ君
六十四番両角みのる君
六十五番石川 良一君
六十六番後藤 なみ君
六十七番平  慶翔君
六十八番鳥居こうすけ君
六十九番菅原 直志君
七十番木下ふみこ君
七十一番ひぐちたかあき君
七十二番入江のぶこ君
七十三番森村 隆行君
七十四番早坂 義弘君
七十五番高橋 信博君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番秋田 一郎君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番村松 一希君
八十九番栗下 善行君
九十番中山ひろゆき君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番本橋ひろたか君
九十三番田の上いくこ君
九十四番おじま紘平君
九十五番馬場 信男君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番中屋 文孝君
九十九番宇田川聡史君
百番神林  茂君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番たきぐち学君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番三宅 正彦君
百二十一番山崎 一輝君
百二十二番吉原  修君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 二名
五番   西郷あゆ美君
五十九番 遠藤  守君
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
副知事多羅尾光睦君
教育長中井 敬三君
東京都技監建設局長兼務西倉 鉄也君
政策企画局長梶原  洋君
総務局長遠藤 雅彦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監三浦 正充君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
都市整備局長佐藤 伸朗君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長藤田 裕司君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長代理管理部長野口 一紀君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長小山 哲司君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長堤  雅史君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長澤   章君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

二月二十一日議事日程第二号
第一 天皇陛下御在位三十年にあたり賀詞を奉呈することについて
第二 第一号議案
平成三十一年度東京都一般会計予算
第三 第二号議案
平成三十一年度東京都特別区財政調整会計予算
第四 第三号議案
平成三十一年度東京都地方消費税清算会計予算
第五 第四号議案
平成三十一年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第六 第五号議案
平成三十一年度東京都国民健康保険事業会計予算
第七 第六号議案
平成三十一年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第八 第七号議案
平成三十一年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第九 第八号議案
平成三十一年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第十 第九号議案
平成三十一年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十一 第十号議案
平成三十一年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十二 第十一号議案
平成三十一年度東京都と場会計予算
第十三 第十二号議案
平成三十一年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十四 第十三号議案
平成三十一年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十五 第十四号議案
平成三十一年度東京都都市開発資金会計予算
第十六 第十五号議案
平成三十一年度東京都用地会計予算
第十七 第十六号議案
平成三十一年度東京都公債費会計予算
第十八 第十七号議案
平成三十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十八号議案
平成三十一年度東京都病院会計予算
第二十 第十九号議案
平成三十一年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十号議案
平成三十一年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十一号議案
平成三十一年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十二号議案
平成三十一年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十三号議案
平成三十一年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十四号議案
平成三十一年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十五号議案
平成三十一年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十六号議案
平成三十一年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十七号議案
平成三十一年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十八号議案
平成三十一年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第二十九号議案
行政不服審査法施行条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十一号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十二号議案
職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十三号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十四号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十五号議案
住民基本台帳法関係手数料条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十六号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの都道府県知事保存本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十七号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十八号議案
平成三十年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第四十 第三十九号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十号議案
東京都防災会議条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十一号議案
東京都国民保護協議会条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十二号議案
東京都選挙管理委員会関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十三号議案
土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十四号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十五号議案
東京都固定資産評価審査委員会関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十六号議案
東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十七号議案
東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十八号議案
東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第四十九号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十号議案
東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十一号議案
東京都体育施設条例及び東京都体育施設条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十二号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十三号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十四号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十五号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十六号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十七号議案
東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例
第五十九 第五十八号議案
東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例の一部を改正する条例
第六十 第五十九号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十号議案
東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十一号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十二号議案
東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十三号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十四号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十五号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十六号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十七号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十八号議案
東京都貸切自動車条例の一部を改正する条例
第七十 第六十九号議案
東京都地下高速電車条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十号議案
東京都日暮里・舎人ライナー条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十一号議案
東京都給水条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十二号議案
東京都工業用水道条例を廃止する等の条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十三号議案
東京都が設置する水道の布設工事監督者に関する資格等を定める条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十四号議案
東京都下水道条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十五号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十六号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十七号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十八号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第八十 第七十九号議案
都営住宅三十H─一〇二東(足立区新田一丁目)工事請負契約
第八十一 第八十号議案
都営住宅三十H─一〇三東(江東区東砂二丁目第二)工事請負契約
第八十二 第八十一号議案
都営住宅三十H─一〇六西(多摩市諏訪五丁目)工事その二請負契約
第八十三 第八十二号議案
都立竹台高等学校(三十)改築工事請負契約
第八十四 第八十三号議案
立川駅南口東京都・立川市合同施設(仮称)(三十)新築工事請負契約
第八十五 第八十四号議案
谷沢川分水路工事請負契約
第八十六 第八十五号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第八十七 第八十六号議案
公立大学法人首都大学東京中期目標の変更について
第八十八 第八十七号議案
包括外部監査契約の締結について
第八十九 第八十八号議案
平成三十一年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第九十 第八十九号議案
平成三十年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第九十一 第九十号議案
多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第九十二 第九十一号議案
多摩川流域下水道秋川処理区の建設に要する費用の関係市町村の負担について
第九十三 第九十二号議案
多摩川流域下水道野川処理区、北多摩一号処理区、北多摩二号処理区、多摩川上流処理区、南多摩処理区、浅川処理区及び秋川処理区並びに荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
第九十四 第九十三号議案
平成三十年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第九十五 第九十四号議案
平成三十年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第九十六 第九十五号議案
平成三十年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第九十七 第九十六号議案
平成三十年度東京都用地会計補正予算(第一号)
第九十八 第九十七号議案
平成三十年度東京都中央卸売市場会計補正予算(第一号)
第九十九 第九十八号議案
高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例
第百 第九十九号議案
東京都子供への虐待の防止等に関する条例
第百一 第百号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二 諮問第一号
地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第百三 諮問第二号
地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について

   午前零時五分開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) まず、書類の日付等の変更について申し上げます。
 お手元に配布してあります書類のうち、議事日程に二月二十日午後一時とあるのは二月二十一日午前零時五分に、第一号とあるのは第二号にそれぞれ読みかえて使用させていただきます。

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程第一を先議されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(尾崎大介君) 日程第一、天皇陛下御在位三十年にあたり賀詞を奉呈することについてを議題といたします。
 天皇陛下におかせられましては、本年をもって御在位満三十年をお迎えになられました。まことに慶賀の至りにたえません。
 つきましては、東京都議会として、天皇陛下に賀詞を奉呈し、慶祝の意を表したいと存じます。

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本件は、二十三人の委員をもって構成する賀詞起草特別委員会を設置し、案文を起草されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する賀詞起草特別委員会を設置し、案文を起草することに決定をいたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
〔賀詞起草特別委員名簿は本号末尾(一七ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) これより直ちに、議会運営委員会室に委員会を招集いたします。委員におかれましては速やかに起草を終了し、報告されるよう希望いたします。
 委員会開会のため、暫時休憩いたします。
   午前零時七分休憩

   午前零時三十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 賀詞起草特別委員長の報告を求めます。
 賀詞起草特別委員長増子ひろき君。
〔百十六番増子ひろき君登壇〕

○百十六番(増子ひろき君) 天皇陛下の御即位三十年に当たり、天皇陛下に差し上げるべき賀詞起草の特別委員会の経過並びに結果についてご報告を申し上げます。
 先ほど議長より指名されました我々二十三名の委員は、直ちに委員会を開催し、委員長の互選を行いましたところ、不肖私が委員長の重責を担うことになりました。
 委員一同、終始心からの敬意の念を持ちまして賀詞の起草に当たりましたところ、その成案を得ました。
 ここに案文を朗読いたします。
     賀詞
  天皇陛下におかせられましては
  御即位三十年を
  お迎えになられましたことは
  都民ひとしく
  慶賀にたえないところであります
  ここに東京都議会は 都民を代表して
  天皇皇后両陛下の
  益々のご健勝と皇室の弥栄を
  お祈りするとともに
  謹んでお祝いを申し上げます
    平成三十一年二月二十一日
東京都議会議長 尾崎 大介
 以上、謹んでご報告を申し上げます。
 満場の皆様のご賛同を心からお願い申し上げ、委員長報告といたします。
 どうもありがとうございました。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって、賀詞起草特別委員長の報告は終わりました。

○議長(尾崎大介君) これより採決を行います。
 本件は、特に敬意を表するため、起立により採決いたします。
 ただいまの委員長報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕

○議長(尾崎大介君) 起立総員と認めます。よって、本件は、委員長報告のとおり決定いたしました。
 なお、本件は、議長において、皇室へ奉呈の手続をとりますので、さようご了承願います。

○議長(尾崎大介君) 謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民山田禎一氏には、去る一月二十三日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(櫻井和博君) 平成三十一年二月十三日付東京都告示第百四十号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案百二件の送付がありました。
 次に、知事及び教育委員会教育長並びに監査委員外五行政委員会より、平成三十一年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、都議会説明員について、会計管理局長土渕裕は、病気療養中のため本日の本会議を欠席し、管理部長野口一紀が代理出席するとの通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成三十一年二月十三日付で、平成三十年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成三十年工事監査、平成三十年財政援助団体等監査及び平成三十年行政監査の結果について、それぞれ報告がありました。
 次に、包括外部監査の結果に基づき知事等が講じた措置の通知内容について、提出がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成三十年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一八ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
〔常任委員所属変更名簿は本号末尾(一三四ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。
〔議会運営委員辞任・選任名簿は本号末尾(一三四ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。
〔オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員辞任・選任名簿は本号末尾(一三五ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) この際、知事より、平成三十一年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 平成三十一年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を述べさせていただきます。
 天皇陛下におかせられましては、本年、御在位満三十年を迎えられました。来る二十四日には、天皇皇后両陛下ご臨席のもとに記念式典が挙行されるところであり、首都東京の知事として、一千三百万都民とともに、心よりお祝いを申し上げます。
 一月二十三日、名誉都民である山田禎一さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位を控え、平成時代も残すところ二カ月余りとなりました。この時代が幕をあけたころ、世界では、ベルリンの壁の崩壊やソビエト連邦の解体などにより、人、物、金の移動が東西の壁を越えて地球規模へと広がろうとしておりました。
 当時、私は、報道に携わる身といたしまして、こうした激動の現場を取材し、日々刻々と変化する状況を伝えて、世界のダイナミックな動きを体感したことを思い出します。
 それから約三十年、国境を越えた経済交流は、情報技術の進展と相まって劇的に進み、グローバル化とデジタル化という時代の潮流は、いわゆる巨大IT企業やユニコーン企業を生み出すなど、世界経済の成長を力強く推し進めてまいりました。
 そして、我が国にとって平成は、幾度かの大きな災害に見舞われながらも、人のきずなで、一歩一歩その苦難を乗り越えてきた時代でありました。また、我が国がこれまでオリンピックで獲得した夏季、冬季合わせて四百九十九個のメダルのうち、半数は平成においてのものであるほか、ノーベル賞受賞者は昭和の約三倍となるなど、平成は日本の人の力を広く示してきた時代でもありました。
 一方で、世界における日本のGDPシェアは、平成の初めにはアメリカに次ぎ一五%前後を占めていたものの、今では世界第二位の座を中国に明け渡し、約六%にまで落ち込んでいます。我が国の経済は国際的にグローバル化とデジタル化が進んだ時代におきまして、バブル崩壊や金融危機の後遺症を引きずりながら、デフレの中であえぐ厳しい時期を延々と送ってきたのであります。
 現在、我が国は、戦後最長の景気回復期間のただ中にあるとされます。しかし、その成長は緩やかなものである上、中国経済の減速やイギリスのEU離脱問題の混迷など、海外動向も不透明さを増しており、経済の先行きは明るいものではありません。
 加えて、東京には間もなく、人口減少とさらなる高齢化という二重のうねりが確実に押し寄せてまいります。私たちは、こうした現実を直視しながら、次の時代の新たな成長モデルを大胆に描き、かつ着実に推進しなければならないのであります。
 ここで、東京が立ちどまったり、うずくまるようではいけません。高度経済成長期のように、右肩上がりの人口を成長のよすがとすることができない、そんな中でも、我が国が発展を続けていく。そのためには、女性も、高齢者も、障害のある方も、誰もが生き生きと活躍できる活力ある社会をつくるとともに、時代を捉えた成長戦略を推し進めることで、東京が多くの付加価値を生み出すことが肝要であります。
 東京は、私たち日本の首都として、引き続き我が国を牽引していかなければなりません。先月、初の会合を開催した国との実務者協議会においても、東京の活力の増進が我が国全体の発展を促進するとの認識を改めて共有をいたしました。国とも連携しながら、東京の国際競争力の強化や日本経済全体のパイの拡大を図り、全国との共存共栄をなしていく。子や孫の世代に、世界に輝く東京と日本があってよかったと思ってもらえるように、この大切な引き継ぎを何としてでもやっていかなければならないと、いま一度強く決意する次第であります。
 二〇二〇年を超えたその先の東京、日本の持続的な発展。その土台を固めるべき本年は、都市力の強化、稼ぐ東京、人と人をつなぐの三点を柱に、未来を見据えた施策を展開してまいります。
 全国で相次ぐ地震への対策を強化するとともに、災害級の猛暑や頻発する豪雨の一因とされる気候変動に対して、今こそ緩和と適応の両面からしっかりと手を打っていく。脅威への備えを不断に固め、都市の力を高めることは東京の持続可能な成長の大前提であります。都市の機能や魅力の向上も含め、幅広く都市力の強化を進めてまいります。
 近い将来、人口減少やさらなる高齢化を迎え、国際的な都市間競争も熾烈をきわめる中で、東京は稼ぐ力を戦略的に高めなければ、日本全体の持続的な発展を主導することはかないません。東京の産業力の源泉である中小企業の活性化や、世界から投資を呼び込む成長戦略の展開など、稼ぐ東京に向けた施策を積極的に講じてまいります。
 これまでも、そしてこれからも、東京の発展の原動力は人であります。あらゆる人が存分に力を発揮できる環境こそが東京の活力を持続的に向上させる。そして、人の力は人とつながることでより一層高まっていく。こうした確信のもとで、人と人をつなぐ取り組みを進めることで、多様な人々の活気にあふれる成熟都市東京を築いてまいります。
 先日、急逝された作家の堺屋太一さんには、経済企画庁長官を務められました当時、政務次官として鍛えていただきました。鳥の目で大きく時代を捉え、虫の目で一人一人の生活や消費者心理を見分けるなど、その的確な分析は今改めて高く評価されています。
 その堺屋さんは、現代日本の最大の危機は、三つのYにあると指摘をされておられます。すなわち、欲ない、夢ない、やる気ないと。だからこそ、人の力を生かし、意欲があり、夢が抱け、やる気が出る東京を築かねばと考えております。
 ただいま申し上げました三つの柱に基づき施策を進めることは、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの実現に結びつきます。それをより確かなものとするため、先月、「三つのシティ」の実現に向けた政策の強化を公表いたしました。
 二〇二〇年に向けた実行プランの政策につきまして、昨年度に続き、さらなる強化を図ったものでありまして、全国の中小企業の受注機会の拡大や国産木材の活用など、全国との共存共栄に向けた取り組みも掲げております。
 また、実行プランの政策の推進は、国連で採択された持続可能な開発目標であり、都も率先して取り組んでおりますSDGsの達成につながることもわかりやすく明示しております。まさに大義と共感にあふれる政策を精力的に推し進め、三つのシティーの実現を着実に図ってまいります。
 そして、東京のさらなる進化の跳躍台となる東京二〇二〇大会を来年に控えた今、その後の東京が歩むべき道のりについても具体的に示していく段階を迎えております。二〇二〇年のその先の明るい未来を、都民の皆様とともに切り開く大きな方針として、新たな長期計画の検討を進めてまいります。大会後の東京の目標となります具体的な姿を描くべく、全庁で知恵を絞り、年内を目途に策定をしてまいりたいと思います。
 三つのシティーを実現するための戦略的な施策や、東京二〇二〇大会の開催準備の総仕上げを着実に推進する。あわせて、賢い支出の視点により、健全な財政基盤を堅持する。こうした観点から、平成三十一年度予算はこれまで以上にめり張りをつけた編成を行いました。
 四百十一件の新規事業を計上し、一般会計の規模は過去最大七兆四千六百十億円としております。一方で、施策の見直しも徹底いたしまして、同じく過去最高となる一千二百八件の事業評価の公表によりまして、約九百億円の財源を確保いたしました。
 都議会の皆様や各種団体からのご要望、都民の皆様や大学研究者の皆様によるご提案も反映をいたしまして、まさに東京の知恵を結集して、未来に向けた道筋をつける予算に仕上げることができたと考えております。
 都の予算は、このたびの税制の見直しにより、二〇二一年度以降、毎年約八千八百億円の減収が見込まれております。この不合理な措置に対しましては、都議会の皆様とも一丸となって断固たる反対を唱えてきたところであり、この間の皆様のご活動に対し、改めて御礼を申し上げます。
 都はこれまでも、不断の努力により財政規律を確保してきましたが、元来、税収構造が不安定である上、今般の税制の見直しや不透明な世界経済の動向など取り巻く状況は厳しさを増しております。引き続き、無駄の排除を徹底するなど健全な財政を堅持する一方で、未来を切り開く効果的な投資を展開して、持続的かつ戦略的な都政運営を図ってまいります。
 二〇二〇改革プランに基づき、着実に進展している都政改革につきましては、来年度、都の行政手続などのデジタル化を加速するデジタルしごと改革や、恩賜上野動物園におけますQRコードを活用したキャッシュレス決済の実証実験を進めるなど、都民の皆様の利便性を一層向上させてまいります。
 また、見える化改革による分析を終えた各局主要事業につきまして、自律的、総合的な見直しを継続して行うための政策評価を導入するなど、改革の質も不断に高めてまいります。
 都庁グループの一員として、都とともに政策実現を目指す監理団体につきましては、水道事業を担う二つの団体の統合と都政の新たな課題を踏まえた団体の新設を行います。あわせまして、常勤役員への外部人材の登用を倍増するなど、都庁グループの機能を高めて政策展開をさらに加速する体制を築いてまいります。
 加えまして、今後、都政を取り巻く状況が大きく変化する中、都の組織の再構築につきましても、来年度を目途に方向性を示してまいります。まずはその第一歩としまして、成長戦略、住宅政策、青少年問題について新たな本部を設置するなど執行体制を強化してまいります。
 そして、改革マインドが根づきました生産性の高い組織と未来への道筋をつける予算をてこにして、強化した政策を果敢に展開する。今はもとより、未来にも目を向けながら、希望と活力にあふれた新しい東京をつくり上げる東京大改革に引き続き全力で邁進してまいります。
 これより主要な政策について申し述べてまいります。
 まずは、喫緊の課題として取り組むべき児童虐待の防止についてであります。
 子供たちの安全・安心のとりでであるはずの家庭におきまして、後を絶たない虐待を断固防ぐ。強い決意のもと、本定例会には、専門家や都民の皆様のご意見を踏まえながら検討してまいりました、子供への虐待の防止等に関する条例を提案いたしました。保護者による体罰を禁止し、都の責務として、体罰によらない子育てを推進するとともに、虐待事案に的確に対応するため、警察と必要な情報を共有することなどを明確にいたしております。
 本条例に基づいて、虐待の未然防止や早期の発見、対応のための取り組みを効果的に進めるほか、東京全体の児童相談体制の連携強化に向けて、区市町村との合同検討会を立ち上げてまいります。子供は、あらゆる場面において、権利の主体として尊重されるべきかけがえのない存在であります。その権利利益の擁護と健やかな成長のため、対策を総合的に推進をしてまいります。
 次に、災害対策、気候変動対策を初め、安全・安心で魅力ある東京を築く都市力の強化のための取り組みであります。
 東京を地震に強い都市へと強靭化するためには、震災時の救援、復旧の生命線となる緊急輸送道路の沿道建築物について耐震性を着実に高めねばなりません。
 本定例会に提案いたしました耐震化を推進する条例の改正によりまして、新たに建物の占有者の責務等を定め耐震化を促進してまいります。また、耐震改修促進計画及び防災都市づくり推進計画の改定に着手をいたしまして、耐震化や不燃化をより効果的に展開することで、倒れない、燃えないまちづくりを推し進めてまいります。
 昨年の台風二十一号により、多くの電柱が倒壊した関西におきましては、道路閉塞や大規模な停電が発生しまして、無電柱化の必要性、改めて痛感をいたしました。年度内に無電柱化推進計画を改定いたしまして、区市町村による施策の拡大や島しょ地域での新たな取り組みを図ることで、都内全域で無電柱化を推進してまいります。
 救急救命体制の充実も図ってまいります。災害時、進入困難な現場におきまして、早期の実態把握や救助を行う即応対処部隊を東京消防庁に新設をいたします。また、日中の救急需要に対応するとともに、育児休業後の職員が復職しやすい環境を整えるべく、日中に運用するデイタイム救急隊を新たに創設をいたします。EV救急車の配備により省エネルギーを推進するなど、幅広い効果につなげてまいります。
 身近に迫る脅威への対策も強化をいたします。認知件数及び被害額が急増しております特殊詐欺につきましては、抑止効果の高い自動通話録音機の設置の促進を初め、多角的な対策で撲滅を目指します。また、町会、自治会や商店街等の防犯カメラにつきましては、維持管理経費の支援を開始するなど、都民の安全確保に向けました取り組みを一層充実させてまいります。
 増加する空き家は、地域の安全・安心を脅かすリスクとなりかねません。区市町村によります対策の後押しや空き家の連鎖的な活用、リフォームした住宅の魅力発信など、適正管理、有効活用、発生抑制、この三つの視点から対策を加速いたします。また、今後急増する老朽化マンションにつきましては、管理組合の機能強化に向けた新たな条例案を本定例会に提案いたしました。都、管理組合、事業者等の責務を明示するとともに、管理状況の届け出制度を創設し、状況に応じた助言、支援を行うなど適正管理の促進と良好な居住環境の形成を図ってまいります。
 加えて、都民の安定した居住を確保するためには、都営住宅の有効活用が欠かせません。先日、都営住宅の管理制度等のあり方について、住宅政策審議会より答申の中間まとめが公表されました。子育て世帯や高齢者への支援の充実等、施策の方向性が示されたところでありまして、今後五月に予定される答申を踏まえて新たな取り組みを検討してまいります。
 次に、気候変動による脅威から命を守る取り組みについてであります。
 水害からの守りを固める調節池につきましては、八つの河川を対象に新たな整備を検討するとともに、環状七号線地下広域調節池について延伸等の検討を進めます。また、土砂災害警戒区域等の指定を前倒しするほか、災害時の行動を都民みずからが時系列で整理、確認するマイタイムラインの普及を図るなど、的確な避難を促す取り組みも推進をいたします。
 苛酷な暑さから児童生徒や災害時の避難者等を守るため、さきの定例会では、区市町村立学校の屋内体育施設について空調設置を進めるための補正予算を可決いただきました。来年度予算案におきましては、リースによる設置や新たに給食調理室への設置等を支援する経費を計上しておりまして、対策をさらに促進してまいります。
 気候変動による影響を緩和するため、ゼロエミッション東京を目指した取り組みも加速いたします。エネルギー消費量が増加している家庭部門について、省エネ性能の高い冷蔵庫やエアコン等への買いかえを促す仕組みを創設いたします。この取り組みによるCO2削減相当分は、東京二〇二〇大会のカーボンオフセットに活用するほか、買いかえの促進により、消費税率引き上げ時の消費の活性化も図りたいと考えています。
 走行時にCO2を出さない次世代自動車の普及に向けましては、中小企業に対するEV、PHVの購入補助を個人及び大企業にも広げます。あわせて、充電設備導入の一層の促進、電気自動車のF1といわれるフォーミュラEのような大規模イベントによる普及啓発の検討を行います。都内での乗用車新車販売におけるゼロエミッションビークルの割合を、二〇三〇年度までに五割とする目標に向けて、多彩な取り組みを展開をしてまいります。
 東京の都市力を強化する上での重要な取り組みが、渋滞解消や防災性向上など幅広い効果を生む外環道の整備であります。都内の関越道─東名高速間につきましては、先月、関越側からの掘進の開始により全線での工事が本格化し、都としても積極的に整備を支援してまいります。
 同じく、都市力の強化につながる鉄道ネットワークの充実につきましては、来年度予算におきましても、六路線等の検討に要する調査費を計上いたしました。
 例えば、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸につきましては、地元のまちづくりの進捗を踏まえて計画の熟度を上げるなど、引き続き六路線を中心に、関係機関との協議、調整を深めたいと思います。
 また、日本橋周辺の首都高地下化につきましては、昨年七月に国などと計画案をまとめて以降、具体的な検討を進め、今般、都市計画の手続に着手いたしました。今後とも、周辺のまちづくりと連携を図りながら、事業化へ向けて着実に取り組んでまいります。
 都市の力を高める一環として、都立公園の魅力向上にも力を入れてまいります。昨年末、グランドデザインを策定いたしました日比谷公園に続いて、明治公園及び代々木公園につきましても、民間の発想を積極的に取り入れた整備、管理を図るべく、新たな計画の策定を進めております。都民の皆様が都市における豊かなライフスタイルを享受できるよう、これまでにない公園の魅力を引き出してまいります。
 次に、日本経済を牽引する、稼ぐ東京の実現についてであります。
 東京の産業の基盤を支える中小企業の振興につきましては、さきの定例会で可決いただいた条例の理念を踏まえ、先月、中小企業振興ビジョンを策定いたしました。多くの企業が経営環境の変化に的確に対応し、未来に向けて輝けるよう、有識者の皆様との議論を踏まえた骨太の方向性を示しております。中小企業の目指すべき十年後の姿に向け、意欲的な数値目標のもと、力強く施策を展開してまいります。
 アメリカのGAFAや中国のBATなど、グローバル企業が躍進する世界を舞台に活躍し、東京の成長を牽引するベンチャー企業を数多く生み出したいと思います。来年度は、一千社を対象に企業の発展の段階に応じまして、経営、技術、資金の面から多彩な支援を展開をいたします。あわせまして、児童生徒向けの起業家教育やシニアを対象としたセミナーなどによって、幅広い層において創業への関心を高めてまいります。
 また、女性ベンチャー育成プログラムの実施規模の拡大や女性経営者の活躍につなげる会議の開催などによりまして、女性の新たな視点による事業経営を後押しをし、東京の産業の一層の発展へと結びつけてまいります。
 国際金融都市東京の実現に向けましては、成長分野であります資産運用やフィンテックを手がける海外企業の誘致について、年間目標を十五社へと拡大をし、さらなる推進を図ります。その起爆剤となるのが、我が国で初めて立ち上げる金融プロモーション組織であり、東京の金融市場としての魅力を、官民連携のもと効果的に発信したいと思います。
 東京の稼ぐ力を高めるためには、ビッグデータやAIなど、第四次産業革命を牽引する技術について、民間のイノベーションを後押しすることが欠かせません。その先に先端技術を活用し、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会、ソサエティー五・〇を実現いたします。そのための今後の方向性などにつきましては、有識者の皆様との検討を始めてまいります。あわせて、キャッシュレス決済の普及につながるデジタル地域通貨や次世代の移動サービスとして注目されるMaaSの実証実験を行うとともに、こうした先進的なサービスを支えるデータ基盤の構築の調査検討を進めます。我が国が目指すべき未来社会の実現に向けた取り組みを、東京が先駆的に実施していきたいと思います。
 このほか、産業の活性化に向けましては、東京のファッションの魅力を広く発信する民間の取り組みを支援してまいります。これを機に、パリやミラノのような世界有数のファッション都市として東京のプレゼンスを高め、新たなビジネスチャンスへとつなげたいと思います。
 また、東京の農業の持続的な発展を図るべく、多様な担い手を育成する東京農業アカデミーを二〇二〇年度に開設いたします。これに先駆け、来年度は就農希望者を支援する研修農場を整備するなど、新たな担い手の確保、育成を推進してまいります。
 大いなるポテンシャルを生かし、東京の持続的な成長につなげるべき築地の再開発につきましては、先月、まちづくり方針の素案を公表いたしました。国際会議場等の機能を中核に、新たな東京ブランドを創造、発信する交流拠点の形成等をうたっております。
 都民の皆様のご意見も踏まえながら、年度内には方針を取りまとめまして、築地を先進性と国際性を兼ね備えた、東京の新たな顔として育てていきたいと思います。
 そして、旧築地市場の跡地につきましては、東京全体としての価値の最大化を目指すまちづくりを見据え、外部の鑑定価格により行った収支試算を踏まえまして、中央卸売市場会計から一般会計へと、公有財産規則に基づく有償所管がえを行うことといたしました。築地のまちづくりに対します民間事業者の参画意欲を早期かつ最大限に引き出すため、事業実施に向けた具体的な検討に着手してまいります。
 また、決算剰余金や予算執行状況の精査によりまして、財源の目途を立てられたことから、本定例会に有償所管がえのための補正予算案を提案いたしております。
 市場会計におきましては、これにより当面の持続可能性を確保する一方で、卸売市場の戦略的な経営と強固な財務体質の確立に向けた検討を進めてまいります。
 都内各地におきましても、東京の成長を支えるまちづくりに取り組みます。例えば、羽田空港に近接し、リニア中央新幹線の開業等により国際的なビジネス交流がますます活発化する品川。駅前広場や駅ビルを一体的に再編し人を中心としたまちの実現を目指す新宿。東京と日本の成長をつくり出す最先端のまちづくりに向けビジョンの検討が進むベイエリアなど、それぞれの特性を生かした拠点形成を推進してまいります。
 次に、安心して生き生きと暮らせる東京に向けた、人と人をつなぐ取り組みについて申し上げます。
 世界に類を見ない規模と速度で進む高齢化への対策は待ったなしであります。来年度は、介護サービス基盤の整備、介護人材の確保等のほか、今後増加が見込まれます認知症高齢者への対策や、介護及び生活機能全般が衰えるフレイルの予防に力を入れてまいります。
 認知症は早期の対応が重要であります。早期発見のための区市町村の取り組みの後押しや、本人、家族への支援の充実など、症状の初期段階から適切なケアへとつなげる体制を構築いたします。また、介護、フレイルの予防に向けましては、コンビニエンスストアと連携した低栄養の防止や五十歳以上の方々への普及啓発等を進めます。
 先日、西東京市におきまして、地域の方々とともにフレイルチェックを体験した中で、都民の皆様一人一人にみずからの健康について考えていただくことの重要性を改めて実感いたしました。地域におけるこうした積極的な取り組みも発信をしながら、人生百年時代の暮らしの安心を支える施策を多面的に講じてまいります。
 障害者の地域生活を支える取り組みも欠かせません。重度の障害がある方を受け入れるため、体制強化に取り組むグループホームを後押しします。また、児童発達支援センターについて、障害がある子供を地域で支える体制の整備を促進するほか、医療的ケアを要する児童生徒の通学支援のため、特別支援学校におけます看護師添乗のスクールバスの運行拡大を図ります。多彩な取り組みを通じまして、誰もが地域とのつながりの中で生き生きと暮らせる社会をつくり上げてまいります。
 暮らしの安心を支える一方、意欲あふれる人の活躍も後押しをいたします。誰もが希望や適性に応じて働けるよう、高齢者と地元企業のマッチングや、出産等で離職した女性の再就職につなげるリカレント講座等を実施いたします。また、ソーシャルインクルージョンの考え方のもとで、全ての都民の就労を応援する新たな条例の制定に向けましては、十月を目途に、有識者会議より提言をいただく予定であります。
 さらに、地域での活動を望む高齢者に対しまして、情報提供、機会創出に取り組む区市町村を支援するほか、多くの高齢者の心豊かな生活を応援する一環といたしまして、シニアコミュニティ交流大会を開催いたします。
 シニアが学びと交流を深める場として、この四月、首都大学東京に開講いたしますTMUプレミアム・カレッジにも多くの入学希望をいただきました。あらゆる人が生涯現役で希望に応じて働き、学び、輝くことができる東京の実現を目指しまして、幅広い取り組みを進めてまいります。
 これまでの名刺やビジネスカードにかえて、学生証を保有するだけで、どんなに人々のやる気が高まることでありましょう。
 安心して子供を産み育てることができるまちの実現に向けては、切れ目のない支援を展開してまいります。妊娠、出産を希望する方々に向けては、ポータルサイトを開設し、出産までの段階に応じた情報提供を行います。また、不妊の検査や治療に対する費用助成の対象者を拡大するとともに、不妊治療と仕事の両立を後押しする企業への支援を拡充するなど、子供を持ちたいと望む方々へのサポートをさらに充実させてまいります。
 子育て支援につきましては、来年度末までの待機児童解消を見据えて、受け皿の整備を進める量の確保、そして安心して預けられる質の向上の両面に対しまして、引き続き大胆に予算を配分いたしました。認証保育所におきまして、多様化する保護者の働き方を踏まえた夜間、休日の保育を実施するなど、きめ細かな施策も展開をいたします。また、幼児教育の無償化につきましては、国の制度の開始に合わせまして、都独自の支援策を講じるなど子育て世帯を力強く支えてまいります。
 子供たちを地域で守り、健やかに育てる環境づくりも推進をいたします。放課後の居場所となる子供教室の機能拡充、学校と地域の連携を促進するコーディネーターの配置、学校の敷地内への地域交流拠点の設置といった一連の取り組みを、Tokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトとして推し進め、人と人のつながりの中で、子供の学習や体験の幅を広げるとともに、地域における高齢者の活躍促進にもつなげてまいります。
 新たな時代を担う子供たちの育成に向けましては、教員の働き方改革について、意欲ある教員OB等を活用したワークシェアリングの推進や、授業準備、副校長業務などをサポートする外部人材の配置拡大を図ります。
 また、全国初の取り組みとして、教員を補助する人材の確保や共通処理が可能な学校事務等を担う財団法人を設立するなど、教員の負担軽減と教育の質の向上のため、多様かつ重層的な取り組みを講じてまいります。
 先週、教育委員会におきまして、都立高校改革の新たな展望を示す都立高校改革推進計画新実施計画(第二次)を公表いたしました。大学や企業との連携によりまして、教育内容のさらなる充実を図るほか、生徒や保護者に選ばれる学校を目指し、全校が戦略的な広報を実施するなど、都立高校の魅力の向上と発信に向けた取り組みを推進してまいります。
 年度末には、同じく教育委員会におきまして、来年度からの五年間の基本的な方針となる教育ビジョン(第四次)を策定いたします。激動の社会を主体的、創造的に生き抜く子供の力を育む確固たる羅針盤となるよう、都民の皆様のご意見を踏まえまして検討を進めてまいります。
 人口減少を迎える中にありましても、生産性を高め、多様な人の活躍につながる施策を加速することで、東京を持続的な成長へと導く。そのために、今後、テレワークや時差ビズなどの新たなワークスタイルと、交通量の抑制、分散に向けた交通需要マネジメントの取り組みをスムーズビズと総称し、一体的かつ効果的に推し進めてまいります。
 テレワークの普及に向けましては、専門家によりますコンサルティングを強化し、試行のための経費を助成するなど、企業の取り組みをさらに後押しいたします。
 交通混雑の緩和につきましては、先月、東京二〇二〇大会に向けた都みずからの取り組み項目を設定し、今後、具体的な内容や実施時期を取りまとめるほか、企業等にも対策の推進について協力を求めてまいります。
 先日には、労働団体、経済団体のトップと一堂に会しまして、スムーズビズにともに取り組む共同宣言を行いました。公労使が緊密に連携しながら、多様な働き方や企業活動の東京モデルを確立し、大会のレガシーとして根づかせてまいります。
 さて、いよいよラグビーワールドカップイヤーを迎え、東京二〇二〇大会も来年に迫ってまいりました。世界の期待に応える大会を実現し、東京のさらなる進化へとつなげるため、準備の総仕上げに邁進してまいります。
 先月より始まったラグビーワールドカップ二〇一九の一般向けチケット先着販売では、日本代表戦や決勝戦のチケットが即日完売となるなど、大会機運は着実に高まっております。この機運を最大限に盛り上げていくべく、フラッグによる試合会場周辺や商店街等の装飾、百日前イベントの開催など、幅広いプロモーションに力を入れてまいります。
 また、大会期間中には、パブリックビューイングや東京のPRなどを行うファンゾーンを区部と多摩地域にそれぞれ設置します。国内外からの来場者をもてなし、試合への期待を高め、試合後は余韻を創出するなど、誰もが大会を楽しみ、盛り上げる場としてまいりたいと思います。
 東京二〇二〇大会につきましては、今月、夢の島公園アーチェリー場の工事が完了し、今後、他の競技会場も順次竣工いたします。競技のテストイベントも本格化する中、最寄り駅から会場までのラストマイルにおける安全対策等、円滑な競技運営のための取り組みを着実に進めてまいります。
 大会に向けた暑さ対策の実効性を高める上で、ことしの夏は最後のチャンスとなります。微細ミストのような高度な技術と、そして、うちわや帽子などの身近なグッズを組み合わせて、テストイベントにおいて対策の試行、検証を進めてまいります。あわせまして、道路の遮熱性舗装につきましても、都心部や競技コースを中心に、引き続き整備を推進してまいります。
 このほか、約二万人の募集に対しまして三万六千人を超えるご応募をいただき、名称もシティキャストと決まった都市ボランティアの運営や、島々を含め、都内全六十二区市町村をめぐる聖火リレールートの検討など、多岐にわたる大会準備に万全を期してまいります。
 大会開催や、その先のさらなる高齢化を見据え、宿泊施設のバリアフリー化を加速いたします。都はこれまで、いわゆる建築物バリアフリー条例におきまして国を上回る基準を定め、補助制度により事業者の取り組みを支えながら、宿泊施設における車椅子使用者用の客室の整備を促進してまいりました。
 今般、新築、増築等を行う一千平方メートル以上の施設を対象に、全国で初めて一般客室につきましても段差解消を求め、出入り口の幅に守るべき基準を設ける条例改正案を提案いたしました。浴室等の出入り口の幅につきましては、努力義務としての望ましい基準も明記しております。
 あわせまして、事業者への補助の拡充や相談員の派遣、施設のバリアフリー情報の発信強化などによりまして、車椅子を使用される方を初め、誰もが利用しやすい宿泊環境を民間との連携のもとで築いてまいります。
 また、歩道の段差解消、鉄道駅におけるホームドアやエレベーターの設置、トイレの洋式化などを進めるほか、大江戸線の一部の車両に、小さな子供と一緒に安心して利用できる子育て応援スペースを導入いたします。多彩な取り組みにより、誰もが快適に滞在しスムーズに移動できるまちを実現し、洗練された都市の品格を世界にも示していきたいと思います。
 都民、国民の皆様とともに大会を成功へと導くための機運醸成に向けましては、大会五百日前とフラッグツアーの全国一巡を記念するイベントを来月、東京駅前にて開催をいたします。春にはオリンピック、夏にはパラリンピックの公式チケットの販売が始まる中で、来年度は各道府県と連携した大会PRを展開するなど、引き続きオールジャパンで大会への一体感を高めてまいります。
 また、大会準備による東京の進化の過程や大会時の高揚感などの記録は、東京の歴史における貴重な財産となります。開催都市としての記録映像を制作し、世界へ発信するとともに、次世代へと語り継いでいきたいと思います。
 子供たちの心に大きなレガシーを残すオリンピック・パラリンピック教育につきましては、来年度、パラリンピック競技応援校の規模をさらに拡大するほか、ボッチャなどを通じた子供たちの交流を促進しまして、パラスポーツや障害のある方々への理解を一層広げてまいります。
 加えまして、大会の文化プログラムでありますTokyo Tokyo FESTIVALへの参加を推進し、子供たちの芸術文化への関心を高めるなど、文化面を含め、教育内容のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、多摩・島しょ地域の振興についてであります。
 多摩地域の魅力と活力を高めるためには、人と物の移動の利便性を向上させ、地域の内外の交流をさらに活発にすることが重要であります。多摩の骨格を形成する南北及び東西方向の幹線道路や南多摩尾根幹線等の整備を着実に進めるなど、多摩地域の発展を支える交通、物流ネットワークを一層充実させてまいります。
 大学や研究機関が集積する多摩地域の強みを産業の活性化へとつなげていくため、新たに立川に創業支援拠点を設置いたします。起業希望者への多彩な支援により、開業率の向上を図ってまいります。
 多摩ニュータウンの再生も、地域の活性化に向けた重要な課題であります。団地の空き店舗の活用、タウン内の都市機能の再配置、先端技術による移動の円滑化など、全国のニュータウンの再生モデルともなる取り組みにより、多様な世代が豊かに暮らす活力あるまちをつくり上げてまいります。
 島しょ地域につきましては、観光振興にさらに力を入れてまいります。魅力を高めるブランド化の取り組みを加速するとともに、キャッシュレス化に向けたモデル事業の実施、上質な宿泊施設の整備促進など、旅行者の利便性や満足度の向上を図って、多くの人でにぎわう島々を実現したいと存じます。
 また、小笠原諸島への交通アクセスにつきましては、来年度予算案におきまして、洲崎地区での飛行場建設に関する地質、気象、環境への影響等の調査経費を計上しておりまして、検討を前へと進めてまいります。
 関東大震災からの復興事業を手がけた時の内務大臣後藤新平は、東京は帝国の首都にして国家政治の中心、国民文化の淵源であり、東京の復興は、帝国の発展、国民生活改善の根基を形成するものだと述べています。
 こうした大きな理念のもとに進められ、幅広の幹線道路、近代的な橋梁、数々の公園など、現在の東京の骨格を形成したさまざまな事業は、震災への備えの強化や来るべき自動車時代への対応など、先見性を持って首都である東京の都市力を高めるものでありました。
 今の東京におきましても、先々を見据え、東京の力を高めていく視点が欠かせません。都市力を強化し、稼ぐ力を高め、人と人をつないで都市の活力を引き出していく。まさしく東京の地力を底上げすることで、二〇二〇年のその先において、東京と日本が成長を続けていく礎を築くことが、今、私たちに課せられている使命であります。この使命を果たすため、引き続き、東京のあらゆる力の源である人を要諦とした都政を展開し、新しい東京を築く東京大改革の成果を積み重ねてまいります。都議会の皆様、都民の皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案三十三件、条例案五十三件など、合わせて百二件の議案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の施政方針表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎大介君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(尾崎大介君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
 警視総監三浦正充君。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 都内の治安状況についてご報告いたします。
 警視庁では、昨年、特殊詐欺を初めとする犯罪抑止総合対策、人身安全関連事案への対応、サイバー空間の脅威に対する総合対策など、さまざまな治安課題に取り組み、首都東京の治安維持に努めてまいりました。
 以下、その状況と対策についてご説明いたします。
 第一は、犯罪抑止総合対策の推進状況についてであります。
 昨年の都内における刑法犯認知件数は十一万四千四百九十二件で、本対策を開始した平成十五年以降、十六年連続で減少し、戦後最少を記録いたしました。戦後最悪であった平成十四年と比較すると約六割も減少したことになります。
 しかしながら、課題も残されており、その代表的なものが振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺対策であります。
 以下、課題も含め、三点申し上げます。
 その一は、特殊詐欺対策の推進状況についてであります。
 昨年の特殊詐欺の認知件数は、過去最悪であった平成二十年を超える三千九百十三件で、被害額は約八十四億五千万円に上るなど、極めて厳しい状況が続いております。また、その犯罪収益は、暴力団等犯罪組織の重要かつ継続的な資金源となっている実態があります。
 当庁では、昨年一月に、特殊詐欺根絶に向けた体制を一層強化するため、特殊詐欺対策プロジェクトを発足させました。
 その結果、一昨年を大幅に上回る八百三十一人の被疑者を検挙し、組織の上層部への突き上げ捜査などの徹底により、このうちの三割に当たる暴力団構成員等二百七十一人を検挙いたしました。改めて、暴力団が特殊詐欺に関与していることが裏づけられたところであります。
 さらに、昨年十月には、六代目山口組傘下組織幹部を首謀者として検挙し、六代目山口組総本部を家宅捜索したほか、十二月に、住吉会傘下組織の事務所についても家宅捜索を行い、組織の上層部に打撃を与えるなど、検挙に関しては成果が上がってきております。
 今後も、突き上げ捜査を徹底し、犯行グループの壊滅を図るほか、背後にいる暴力団、準暴力団の実態を解明し、あらゆる法令を駆使した取り締まりを強化してまいります。
 一方、被害防止対策については、犯人からの電話に出ないための対策、無人ATM対策、コンビニ対策の抑止三対策に重点的に取り組むとともに、被害に遭いやすい高齢者だけでなく、子、孫世代に対しても、ツイッターや防犯アプリ、Digi Policeを活用し、広報啓発活動を推進しているところであります。
 当庁では、特殊詐欺対策は治安対策上の最重要課題と位置づけ、今後も、検挙と防犯の両面から各種対策に全力を尽くしてまいります。
 その二は、重要特異事件の検挙状況についてであります。
 昨年、特別捜査本部を開設した事件は、多摩市諏訪二丁目マンション敷地内女性殺人事件など三事件で、この事件を含む二事件を解決いたしました。
 このほか、西五反田の旅館跡地に係る地面師グループによる多額詐欺事件や、ことしに入って茨城県神栖市内女子大生殺人死体遺棄事件の被疑者を検挙するなど、社会的反響の大きい事件も検挙、解決したところであります。
 しかしながら、平成十二年発生の上祖師谷三丁目一家四人強盗殺人事件などは、いまだ被疑者の検挙に至っていないことから、引き続き事件の解決に向け捜査を尽くしてまいります。
 その三は、少年少女の犯罪被害を防止するための取り組み状況についてであります。
 近年、少女がインターネット上の違法、有害情報にアクセスしたことをきっかけとした児童買春や児童ポルノ事件が増加しているほか、いわゆるJKビジネスにおいて、性的被害に遭う事案もいまだ後を絶たず、憂慮すべき状況にあります。
 当庁では、特定異性接客営業等の規制に関する条例に基づく、JKビジネス店舗への立ち入りや違法営業の取り締まりに加え、昨年二月に改正された東京都青少年の健全な育成に関する条例を適用し、いわゆる自画撮りなどの被害防止に向けた取り締まりを強化しているところであります。
 引き続き、学校を初めとする関係機関と連携し、少年少女の犯罪被害防止に努めてまいります。
 第二は、人身安全関連事案総合対策の推進状況についてであります。
 ストーカー、DV等の人身安全関連事案に係る相談等の件数、児童虐待における児童相談所への通告人数はともに増加しており、人身安全関連事案を取り巻く情勢は依然として厳しい状況にあります。
 ストーカー、DV事案に関しては、事態が急展開し重大事件に至る可能性があることを踏まえ、前兆となる事案の段階から、あらゆる法令を適用し、積極的な事件化を図っており、昨年は千百二十八件を検挙したところであります。
 とりわけ、過去の重大事案が多摩地域で発生していることなどに鑑み、昨年六月、多摩総合庁舎内に人身安全関連事案総合対策本部多摩分室を開設いたしました。これにより、多摩地域の警察署の支援体制が強化され、ストーカー、DV事案等に対し、相談者、被害者の安全を最優先とした対応を徹底しております。
 また、児童虐待事案については、児童虐待の可能性を念頭に置いた各種警察活動を行うとともに、関係機関と緊密な連携を図っているところであります。こうした中、昨年九月には、東京都福祉保健局との間で、情報共有範囲の拡大等を内容とする協定を新たに締結し、運用を開始いたしました。
 引き続き、人身安全関連事案への的確な対応を図ってまいります。
 第三は、テロ等不法事案の防圧検挙状況についてであります。
 昨年も、世界各地において車両や刃物、手製爆発物を使用したテロ事件が発生しているほか、国際テロ組織が邦人に対するテロを呼びかけるなど、我が国でも同種テロ事件が発生する可能性は否定できません。
 都内においては、右翼が、二月に朝鮮総連中央本部に対する銃撃事案、五月に外国公館に対する器物損壊事案を引き起こし、いずれも検挙いたしましたが、改めてその危険性が認識されたところであります。
 こうした中、当庁では昨年、中核派活動家の大坂正明の逃亡を支援したと見られる非公然活動家や、大学敷地内に無断で侵入した中核派系全学連活動家など三人、右翼団体構成員等七十三人を検挙いたしました。
 本年は、皇位継承に伴う皇室関連行事を初め、G20大阪サミット、ラグビーワールドカップなど重要な行事が控えております。今後も、テロ関連情報の収集、分析や、テロリスト等の入国を阻止するための水際対策を強化するほか、皇室及び政府関連施設等重要施設に対する警戒警備を強化するなど、テロ等不法事案の防圧検挙に万全を尽くしてまいります。
 第四は、サイバー空間の脅威に対する総合対策の推進状況についてであります。
 昨年は、仮想通貨の不正送信事案や企業から顧客情報が流出する事案が発生したほか、IoT機器の脆弱性を悪用した大規模なサイバー攻撃の発生が懸念されるなど、サイバー空間の脅威は深刻化しております。
 こうした脅威に対処するため、当庁では昨年四月、都内に分散していたサイバー関連部署を一カ所に集約した上で、部門横断的な事案対処チーム、解析支援チーム、サイバー犯罪捜査官チームを編成するなど、捜査体制を強化いたしました。
 その結果、インターネット上で不正に入手した他人のID、パスワードを使用して携帯電話機を窃取した中国人グループを検挙するなど、手口が巧妙化するサイバー犯罪への対策についても成果を上げております。
 このほか、昨年末現在で約九割の区市町村、商工会議所等とサイバーセキュリティー協定の締結に至ったほか、通信事業者とのフィッシング詐欺被害防止対策訓練や、重要インフラ事業者とのサイバー攻撃共同対処訓練を実施するなど、官民連携による被害防止対策を推進しております。
 今後も、官民連携、広報啓発活動、人的基盤の強化を進め、サイバー空間の安全・安心の確保に努めてまいります。
 第五は、総合的な組織犯罪対策の推進状況についてであります。
 暴力団情勢については、山口組が三つに分裂した後、対立状態が継続しており、その動向は予断を許しません。都内においても、暴力団がかかわるトラブルのほか、準暴力団の台頭による利権をめぐるあつれきが懸念されております。
 こうした中、当庁では、暴力団、準暴力団が関与する特殊詐欺や金塊密輸等の資金獲得犯罪の取り締まりを強化し、昨年は、中枢幹部を含む暴力団員等三千四百十八人を検挙いたしました。
 外国人犯罪情勢については、偽装結婚を初めとする犯罪インフラ事犯や、一部の不良外国人らによる強盗等の凶悪事件が発生する中、当庁では昨年、外国人被疑者四千五百三十人を検挙いたしました。
 入管法改正等により、今後ますます外国人労働者の増加も予想されることから、偽装滞在者や犯罪インフラ事犯の取り締まりを強化するとともに、不法就労及び不法滞在を防止するため、事業者等に対する指導啓発活動を推進してまいります。
 銃器情勢については、先般、新宿歌舞伎町で拳銃使用殺人事件が発生し、都民に大きな不安を与えたところであります。当庁では、銃器の取り締まりを強化しており、昨年七十丁の拳銃を押収いたしました。
 また、薬物情勢についても、密輸、密売事犯の摘発や末端乱用者の取り締まりを強化し、被疑者二千四百九十八人を検挙するとともに、違法薬物約六百四十九キログラムを押収いたしました。
 今後も、関係機関と連携して、総合的な組織犯罪対策を推進してまいります。
 第六は、交通事故防止対策の推進状況についてであります。
 昨年は、世界一の交通安全都市東京を目指してのスローガンのもと、歩行者の交通事故防止対策を重点に、横断方法に関する交通安全教育、交通ルールの周知徹底に努めたほか、悪質、危険な交通違反の指導取り締まり、生活道路における交通環境の整備、官民一体となった広報啓発活動など、交通事故防止対策を推進してまいりました。
 その結果、交通事故発生件数、死者数、負傷者数、いずれも減少しており、とりわけ死者数は百四十三人と、前年より二十一人減少し、戦後最少となりました。
 本年は、第十次東京都交通安全計画の目標を見据え、引き続き関係機関やボランティアの方々と連携した地域ぐるみの活動を展開するなど、都民一人一人の交通安全意識の高揚を図るとともに、交通事故防止対策を推進してまいります。
 第七は、災害警備諸対策の推進状況についてであります。
 昨年は、全国各地で命に危険がある災害級の猛暑が続く一方で、台風や豪雨により土砂崩れや河川が氾濫したほか、大阪府や北海道で地震が発生するなど、甚大な被害が発生いたしました。都内においても、首都直下地震を初めとする大規模災害の発生が懸念されております。
 当庁では、こうした災害に対応するため、昨年四月、警視庁・東日本災害警備訓練施設を開設いたしました。この施設は、これまで発生した災害の特性を踏まえた多種多様な災害対応訓練を実施することができ、職員の救出救助技能の向上に大いに役立っているところであります。
 また、都内での活動はもとより、西日本における平成三十年七月豪雨や北海道胆振東部地震の災害発生時には、当庁から広域緊急援助隊や自動車警ら隊、航空隊を現地に派遣して、被災者の救出救助活動や行方不明者の捜索を行ったところであります。
 今後も、自治体、町会の防災組織との連携強化や災害対応力の向上を図るなど、災害対策の万全を期してまいります。
 第八は、当面の最重要課題である東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた諸対策の推進状況についてであります。
 東京二〇二〇大会開催まで一年半を切り、当庁では、大会の安全で円滑な開催に向けた諸対策を一段と加速させております。
 大会の最重要課題の一つであるテロ対策については、大会関連施設及びその周辺における安全対策を進め警戒を強化しているほか、東京都を初め関係機関と合同訓練を実施し、不法事案発生時の対処能力の向上を図っております。
 また、都内全域をめぐる聖火リレーの実施に向けた検討や、都民生活の安定と円滑な輸送を両立させるため、関係機関と連携して交通総量の抑制への取り組みを進めているところであります。
 このほか、大会開催に向け、都内に多くの外国人や観光客が訪れることが予想されることから、新宿歌舞伎町等の盛り場二十二地区を中心に、悪質な風俗店や客引き、暴力団の取り締まりを行うとともに、合同パトロールの実施など、官民一体となった環境浄化対策を推進しております。
 今後も、大会に訪れる方々を初め、全ての方々に世界一安全な都市東京を体感していただけるよう各種対策を推進してまいります。
 以上、都内の治安状況について申し上げましたが、現在、警視庁では、昨年制定していただいた東京都水上安全条例に基づき、水上における船舶交通に関する秩序の確立に向けた取り組みを推進しているほか、改正迷惑防止条例など、都民生活の安全・安心を守るための法令を駆使し、さらなる体感治安の向上に努めているところであります。
 また、本定例会では、東京二〇二〇大会に向け、円滑な交通を確保するための交通情報板や交通情報カメラの整備、多言語音声翻訳システムの構築のほか、人的基盤を強化するための定員外措置などについて、所要の予算確保をお願いしているところであります。
 警視庁といたしましては、引き続き組織の総力を挙げて首都東京の治安維持に全力を尽くしてまいります。
 東京都議会の皆様には、今後とも一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況報告を終わらせていただきます。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

○議長(尾崎大介君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。
 監査委員清水やすこさん。
〔四十四番清水やすこ君登壇〕

○四十四番(清水やすこ君) 監査委員の清水やすこと申します。監査委員を代表いたしまして、平成三十年一月から十二月までの一年間に実施した監査の結果についてご報告申し上げます。
 監査委員の役割は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう、各局の事務事業を監査し、都民の信頼を確保していくことでございます。
 平成三十年は、リスクの重要度に応じた効率的かつ効果的な監査を都民の視点に立って実施するという方針のもと、定例監査、工事監査、財政援助団体等監査及び行政監査の四つの監査を有機的に連携させ、また、監査事務局の事務部門と技術部門が相互協力して監査品質の向上を図りました。
 この一年間に都庁や事業所の六百四十カ所で監査を実施し、二百七十件の指摘及び意見、要望を行いました。
 第一に、定例監査について申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査です。平成三十年は、全庁重点監査事項として、都の施設の管理運営において、都民や利用者のニーズに応えるものとなっているか各局を横断的に検証しました。また、局別重点監査事項として、局ごとにリスクを捉え、重要と考えられるテーマを設定し、監査を行いました。
 その結果、海底トンネルにおいて、道路の舗装表面が陥没してできた穴、いわゆるポットホールが同一箇所で頻繁に発生しているにもかかわらず、発生要因の調査等を行わなかったというものや各施設の消防用設備について、点検でたびたび不備が明らかになっているにもかかわらず対応を行っていなかったものなど、百十五件の指摘及び意見、要望を行いました。
 第二に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は、都が実施した工事等について、技術面から検証する監査です。平成三十年は、施設工事等の安全管理を重点監査事項として設定し、監査を行いました。
 その結果、擁壁の安定計算において地質の設定を誤り、擁壁が転倒するおそれのある設計となっていたものや、ブロック塀の施工において基礎が設置されておらず倒壊のおそれがあったものなど、二十九件の指摘を行いました。
 また、大規模工事については、事務部門が技術部門をサポートする仕組みを構築して、定例監査においても計画や契約手続などを確認し、実施件数や内容の充実を図りました。
 第三に、財政援助団体等監査について申し上げます。
 財政援助団体等監査は、都が出資や補助金の交付等を行っている団体や、公の施設の指定管理者を対象とする監査です。
 監査の結果、学校法人や社会福祉法人などに交付している補助金について、算定の根拠となる人数の誤りなどが原因で過大に交付されていた分を都に返還するよう求めたものや、都の監理団体である会社において、搬送業務委託やリース契約など複数の契約で入札参加者の辞退、失格が多く、実際には限られた事業者間での受注となっており、実質的に競争性が確保されていなかったものなど、七十件の指摘及び意見、要望を行いました。
 第四に、行政監査について申し上げます。
 行政監査は、特定の事務や事業を対象として行う監査であり、学識経験者である監査専門委員などの助言を得て、二つのテーマで監査を実施いたしました。
 一つ目は、公の施設の指定管理についてです。
 本テーマでは、指定管理者制度の定着に伴い、各局に当事者意識の希薄化が生じているのではないかという問題意識のもと、初めての取り組みとして、利用者ニーズに応える先駆的なサービスを行っている都内外の民間や国公立の二十四施設をあらかじめ実地訪問等により調査した上で、それらと都の指定管理者の取り組みとを比較検討して提案型の監査を行いました。
 その結果、指定管理者が選定時に企画提案したサービスが実施されていなかったため、その着実な実施を求めたものや、局が目標値の明確な要求水準や管理指標を示さず、指定管理者にそれらの設定が委ねられている状況が認められたため、制度所管局に対して、各局に要求水準や管理指標を明確にさせるよう求めたものなど二十九件の意見、要望を行いました。
 二つ目は、情報システムの効率的かつ効果的な運用についてでございます。
 本テーマでは、平成二十九年に、都のシステムの中央管理部門である総務局が行う各システムの企画開発等の段階における評価の仕組みを検証したことを踏まえ、今回は、各局におけるシステムの運用段階における検証を実施し、十一件の指摘を行いました。
 最後、第五に、決算審査等について申し上げます。
 平成二十九年度の決算について、数値の正確性や予算執行の適正性、効率性などを審査した結果、会計処理及び財産に関する調書の計数の一部誤りについて十六件の指摘を行いました。
 また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づいて算定、公表が義務づけられている健全化判断比率及び公営企業など十二会計の資金不足比率の審査も行いました。
 その結果、実質赤字比率等は良好であり、資金不足についても生じていないことが認められました。
 ここで、監査結果に対する措置状況について申し上げます。
 監査は、指摘した問題点が改善されて初めて効果を発揮します。そこで、監査の実効性を担保するため、年二回、各局に指摘や意見、要望の改善状況の報告を求め、その内容を確認しています。
 過去三年間に行った指摘や意見、要望については、九〇%以上の案件が改善済みとなっておりますが、残りの案件についても早期の改善を促しております。
 主な改善事例ですが、報告団体において、自動改札機等の廃棄処分の契約を見直したものがございました。この団体は、装置内の個人情報の漏えいを防止するため、長年にわたり同じ条件で特定の事業者と特命随意契約を結び、費用をかけて自動改札機等を処分していましたが、改めて調査したところ、個人情報を消した上で競争により売却できることが判明しました。逆に収入を得ることができるようになりました。
 また、平成二十九年のシステム監査において、全庁の情報資産を一元的に把握できる情報システム台帳の整備を求めた意見、要望について、事業評価において改善内容の検証が行われ、必要な経費が予算案に計上されました。この台帳に基づき、システムのライフサイクルを踏まえた見直しを進めることで、全庁的な情報システムの最適化が図られるものと期待いたします。
 このほかに、都民から八件の住民監査請求があり審査を行いました。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりました。
 監査の結果、契約の競争性が担保されていないものや契約履行の確認不足、積算や補助金の算定誤りなど、複数の局で繰り返し発生している事例が多く見受けられました。
 各局長及び管理者においては、組織の責任者として先頭に立ち、指摘事項の是正改善のみならず、他局の監査、改善措置の事例も参考に、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直しなど再発防止に取り組み、都民サービスのさらなる向上に努められるよう望みます。
 平成二十九年の地方自治法の改正に伴い、都は、内部統制体制の整備、運用状況について評価報告書を取りまとめ、監査委員がこれを審査することになりました。
 私ども五名の監査委員は、都の内部統制の強化に資する監査を行うとともに、監査結果、改善措置の庁内フィードバックを充実させ、再発防止の徹底や事務事業の改善を後押ししてまいります。
 また、監査品質を向上させるため、ICTを積極的に活用して、都が保有する財務や財産などのデータを多角的に分析する手法を導入し、監査の着眼点の発見や対象案件の抽出の端緒とするほか、ベテラン職員のスキルを若手に承継するため、職員研修の充実を図ります。
 都民への情報発信につきましては、ホームページに監査結果の検索システムを新たに設け、利便性の向上を図りました。さらに、SNSなどの広報媒体を活用し、社会動向や都民ニーズに応える積極的な発信に努めてまいります。
 今後とも、都政の公正かつ効率的な運営のため、監査委員の使命を全力で果たし、都民の信頼と期待に応えていく決意であることを申し上げ、報告を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十二日から二十五日まで四日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十二日から二十五日まで四日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十六日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午前一時五十六分散会


文書質問趣意書及び答弁書

30財主議第535号
平成31年2月12日
東京都議会議長
尾崎 大介殿
東京都知事 小池百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成30年第四回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

上田令子議員
山内れい子議員
池川友一議員
おときた駿議員
原田あきら議員
藤田りょうこ議員
西沢けいた議員
原のり子議員
とや英津子議員
山口拓議員
河野ゆりえ議員
米倉春奈議員
里吉ゆみ議員
中村ひろし議員
とくとめ道信議員
和泉なおみ議員

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 子どもへの虐待・暴力防止対策について
二 ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)について
三 医療政策について
四 小池知事の学歴を巡る報道について
五 国による税源収奪について

一 子どもへの虐待・暴力防止対策について
1 虐待防止緊急対策について
 本年9月4日に「児童相談所体制の強化に向けた緊急対策」が発表されました。そこには児童相談所の体制強化がうたわれ児童福祉司・児童心理司等41名の追加増員が示されております。私は、本年5月に新宿区東京都子供家庭総合センター(児童相談センター)、9月に足立児童相談所を視察し、どちらの施設においても、ここ数年、増員された職員がひしめき合って働いている事務室をこの目で確認しております。今後、足立児童相談所・立川児童相談所では庁舎の建て替え計画がありますが、全児童相談所における事務所スペースの物理的確保が急がれます。OBも含め広く専門的人材確保に福祉保健局も奔走していますが、まず、他の部署から異動して数年経って自動的に福祉司になるという慣習は見直して頂きたいと考えます。相談員は、まさに子どもの命と、子どもの人生を預かる責任の重いプロフェッショナルの仕事だからです。建設局のように技術者を採用・要請し専門部署で長期的に働き続けるような採用、人的運用が望まれます。専門性を評価されそれを活かせるということであればなり手は増えて、量も質も確保できてくると考えます。
ア 人材育成と確保について
 現状の人材育成・スキルアップの状況と今後適した人材をどう採用し増員していくのか具体的にお示しください。
イ 職員労働環境について
 物理的スペースを確保し、職員の労働環境をどう整備するのか、これまでの課題とその解決に向けた今後の取り組み、ご所見をお示しください。
ウ 警視庁との情報共有範囲の拡大について
 本年9月7日に、東京都と警視庁の間で「児童虐待対応の連携強化に関する協定書」が締結され、これまでより児童相談所から警察に情報提供される対象が拡大されました。これは喜ばしいことですが、まず、新協定に基づき提供した、本年10月、11月、12月の児童相談所から警察への件数はそれぞれ何件ですか。また、旧協定に基づき提供した、前年同月の警察への件数は何件か、伺う。
エ 虐待に該当しないケースについて
 拡大されたとはいえ、やはり全件つまり100%はなく、ある一定数に限定されています。それは、協定書では、児童相談所が「虐待に該当しないと判断したケースや児童相談所の助言指導で終了したケース」は提供しないとされているからです。しかし、「虐待に該当しないケースや児童相談所の助言指導で終了したケース」でその後子どもの命を脅かす事態にならないという確証はありません。葛飾区愛羅ちゃん虐待死事件では「父親は子煩悩で虐待の可能性は考えなかった」と、足立区玲空斗ちゃん虐待死事件では「虐待を疑う情報はなかった」と、虐待死の後に児童相談所は弁明しています。要するに児童相談所は虐待死させられるまで虐待ではないと思っていたということなのです。1回や2回家庭訪問しただけで、正確な虐待リスクなど誰にも分かりません。ですから、この度警察に情報提供する案件から、児童相談所が「虐待に該当しない」と判断するケースを除いてしまうのでは、このような事件の再発防止は図ることができないことは明らかです。貴重な虐待死事件を全く教訓としていないのです。まずは、児童相談所が虐待に該当しないと判断し、警察に連絡しないケースで虐待死が起こっていることを認めるか、認めないかどちらか明確にお答え下さい。
オ 虐待リスクの判断について
 そもそも親は虐待を隠そうとするのが通例で、また、その家庭に関する全ての情報を短期間で得ることなど到底できませんから、一度や二度の家庭訪問で虐待の正確なリスクの判断は神ならぬ人間の身でできるはずがありません。一度や二度で「この案件は虐待ではない、だから警察とも連携しなくていい」という判断をすることは子どもたちに極めて大きなリスクがあると考えますが、この点はいかがですか。ちなみに、高知県や大分県、大阪府、愛知県、神奈川県など10以上の自治体では、1回や2回の家庭訪問で虐待リスクの正確な判断など不可能だという謙虚な認識に立ち、全件警察と情報共有しています。しかし、東京都の児童相談所の職員は、大丈夫、自分たちは間違いなく虐待リスクの判断ができるとお考えなのか、ご説明下さい。
カ 警察との連携について
 私は東京都の児童相談所に徹底的に欠けているのは、起こった悲惨な事件を教訓に再発防止策を講じる姿勢だと思います。葛飾区愛羅ちゃん事件、足立区玲空斗ちゃん事件とも、児童相談所が虐待ではないと軽信し警察と情報共有しないままでいたことが、子どもたちの命を救えなかった原因です。高知県や大分県ではそのような事件を教訓に直ちに警察との全件共有を実現しているのです。ところが東京都では10年間に26件も、児童相談所が関与しながら救うことができなかった事件を引き起こしながら、結愛ちゃん事件もそうですが、母親から面会拒否されたときに警察に電話一本すれば、警察が家庭訪問し結愛ちゃんを救うことができたのですが、このような事件をどれほど引き起こしても有効な再発防止策(それは警察との連携なのですが)を他県のように講じようとしません。是非、他府県のように、一度や二度の家庭訪問で虐待リスクの正確な判断など不可能だという謙虚な姿勢に立ち、警察と全件共有し連携して子どもたちを守る活動に取り組むべきと考えますが、見解をお示し下さい。
キ 「児童虐待対応の連携強化に関する協定書」について
 「4 要保護児童対策地域協議会における連携の促進」において「東京都福祉保健局少子社会対策部と警視庁生活安全部少年育成課は、各地域で開催される要保護児童対策地域協議会における代表者会議、実務者会議及び個別ケース検討会議において児童相談所と管轄警察署がともに参画し、関係機関において、情報交換、意見交換が積極的に行われるよう必要な働きかけを行うものとする。」とあります。「必要な働きかけ」について誰が「必要」と判断しどのような「働きかけ」をするのか具体的にご説明下さい。
ク 「安全確認行動指針」について
 「立入調査」でようやく「警察への援助要請」では遅すぎないか危惧するものです。目黒区5歳女児も本来の運用の中で子どもの現認が最初にできなかった時点で、地元の所轄の警察官が状況を把握し、援助に向かっていれば児童虐待容疑で二度も書類送検されたことや、もしかしたら大麻所持していたことが判明し即現行犯逮捕、女児の保護ができたはずなのです。少なくとも、この「安全確認の流れ」では、13年足立区のウサギ用ケージ監禁玲空斗君事件や、14年警官が立ち寄ったにもかかわらず、情報を児相と共有していなかったため対処できず、父親におなかを踏みつけられて亡くなった葛飾区愛羅ちゃん事件を解決することは難しかったと考えます。また、ここでいう「立ち入り」に関してですが、今般の指針にかかわらず、そもそもの児童相談所機能である「法的対応と手続き」に基づいた措置をまず迅速に徹底することが必要ではないでしょうか。この運用が常に徹底されていれば本来問題は解決できたはずです。これら法的措置を即座に講じるために兵庫県明石市は正規職員として採用した常駐弁護士を配置しました。まず、なぜこれまでの体制では機能しえなかったのかお示し下さい。その上で、東京都は、具体的にどのような体制をもってこの指針を実現するのか、弁護士等専門家を含む人員体制、事案発生から解決へむけての時系列の運用体制と実績を示しご説明ください。
2 要保護児童対策地域協議会について
 子どもに一番身近な基礎自治体の初動体制が、虐待死・虐待防止には重要かつ不可欠です。この点を憂慮し、練馬区を除く22区は児童相談所の早期移管を切望しております。そのカギとなる組織が要保護児童対策地域協議会でなければならないと考えます。
ア 現状の要保護児童対策地域協議会における東京都の責務と情報共有、連携体制につきご説明下さい。
イ 各区市町村における、代表者会議、個別ケース検討会議、実務者会議の開催状況と出席者について実績をお示しください。
ウ 「児童虐待対応の連携強化に関する協定書」にある「働きかけ」止まりが必ずや、重大事件を引き起こす盲点となるのではないかと危惧しております。今後「個別ケース検討会議においては警視庁と全件共有する」と定義するべきではないでしょうか。ご所見を伺います。
エ 広島県等、個別ケース検討会議にて地元警察署も参加し全件共有をしております。各警察署が積極的に全件共有にむけて協力するよう警視庁本庁へ要請すべきと考えますが、現時点での出席の有無、出席してどのような情報共有をしているのかお示しください。
3 児童相談所について
ア 特別区への移管について
 江戸川区では、子ども家庭支援センターを有効活用しながら、アットホームで居心地の良い江戸川区らしい児童相談所を目指し現在、東京都の指導・助言を頂きながら移管に向けて順調に準備が進んでいます。荒川区も一体型で移管をすすめています。一方、世田谷区は子ども家庭支援センターと児童相談所は一体化せずに移管するとのことです。長年、地域に密着して実績を残し、人材も育っている子ども家庭支援センターと児童相談所は、一体化する方がより合理的で効率的・機能的と考えますし、当然、各区もそれを望むものと考えます。都はこの点に関して区の方針を尊重しているのか、また子ども家庭支援センターと連携させつつ児童相談所の移管につきどのようなご所見をもっているのか伺います。
イ 「介入」と「支援」について
 児童相談所は、介入と支援という二つの一見相反する責務があります。子どもにとってはどちらも重要で必要な支援と考えます。保護者に配慮するあまり対処が遅れて重大事案に発展する事例が後を絶たないことから、まず、誰のための介入であり、誰のための支援なのかご所見を伺います。その上で、相反する機能をどう調和しながら機能させて、子どもと保護者が児童相談所を信頼するために工夫をしているのか、よもや同一部署・同一職員が担当を兼務・併任していないか懸念をすることからも、ご説明下さい。
4 一時保護所について
 本年も一時保護所を二か所視察いたしました。職員の皆様の努力は重々承知しておりますが、率直に子どもにとって安心して居心地の良い場所であるか毎々考えさせられる次第です。
ア 入所定員、新規入所数、平均入所期間、90日以下、90日超の入所者数、最長入所期間と長期になった理由、過去3年の事故件数と主な内容、職員研修の実施状況、心理専門職の配置状況について伺います。
イ 児童・生徒の、進学時期、受験指導も含めた教育体制・運動能力の維持をどのようにしているか、取組状況、現状の問題点と課題を伺います。
ウ 虐待を受けた子どもと、非行の子どもが同一環境にいる問題点と課題、解決に向けて対応、条例制定に向け、今後子どもにとって望ましい一時保護所の環境づくりについて伺います。
エ 子どもへの対応について
 足立児童相談所では、着替えをする服も自分で選べず、おやつも全員前を向いて机に座ってなんの会話もなく黙々と食していました。また、かなり厳しい口調で職員に指示されながら子ども達が掃除をする姿も見ました。アイコンタクトをするからと食堂の鏡に目張りがされている一時保護所もありました。徹底管理するのは、子ども同士が連絡をとりあったりして虞犯行為を重ねないための配慮、自分で服を選ばせたら際限がなくなるとの説明を受けましたが、全く納得がいきませんでした。虐待児と非行の子どもは、いずれも家庭環境に恵まれていないという意味では被害者であり社会的弱者です。一時保護所は「保護」する場所ですから、安心・安全で愛情にあふれた温かい居場所であるべきだと考えます。生活上の自由をかなり制限され、所属校があっても通学もできない子ども達が密室で徹底管理され、以前も質疑しましたが保護所内で何か辛いこと・問題があってもSOSを外部に発することは事実上無理な状況の中、子ども達の人権の保障が大変気にかかるところです。江戸川区は児相移管にあたって、なによりもアットホームな場を作ろうと一丸となって取り組んでおります。東京都として、今の一時保護所の在り方でよいのか、子どもたちの視点からの問題意識はないのか、ご所見を問います。課題認識があればその解決に向けてどう取組むかもお示し下さい。
5 東京都子供への虐待の防止等に関する条例(仮称)骨子案について
ア 骨子案策定にあたって
 東京都児童福祉審議会での審議、9月の意見募集を骨子にどのように反映したのか。取捨選択の判断は誰がどう、何を基準におこなったか時系列で具体的にご説明下さい。11月30日から12月29日まで行う意見募集もどう反映していくかのご所見も伺います。
イ 警視庁との連携について
 「虐待相談のあらまし(2018年度版)」によれば、虐待相談の経路の実に半数の48.8%が警察等となっております。にもかかわらず、骨子案に「警視庁」「警察」が明記されておりません。警視庁との連携を明示なくして虐待防止は不可能と考えますが、なぜ明記しないのかご所見をお聞かせ下さい。
6 平成30年度東京都若年被害女性等支援モデル事業について
 繁華街を徘徊する女子中高生、若年女性支援のための「夜間巡回バス」の取り組みと成果、現状の課題と今後継続の可能性、開始して得た少女たちを取り巻く新たな問題発見等、成果の出る事業となるための都の役割とご所見を伺います。

二 ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)について
 「東京都居宅訪問型保育基礎研修」及び「ガイダンス研修」の受講状況及び、事業者の応募、参画状況、本年12月を予定していた事業運用開始状況について数字を示し具体的にご説明下さい。

三 医療政策について
1 開業医への管理監督について
 全国的に、診療所の精神科医による強制わいせつ事案の頻発が指摘されております。つきましては、福祉保健局における、医師による強制わいせつ等への対応状況と再発防止に向けた全体的な取り組み状況を伺います。
2 精神医療について
ア 発達障がい児支援について
 発達障がい児支援の取り組みと施策の方向性につき、子どもへの向精神薬投与についてもふくめ都の基本的な考え方をお示しください。
イ 子どもへの向精神薬投薬について
 現時点の都の見解を確認いたします。
ウ 新薬ビバンセ(S-877489)の治験について
 12月3日の厚生労働省の薬事・食品衛生審議会にて決議延期された新薬「ビバンセ」は、墨東病院で治験を実施しています。成分であるリスデキサンフェタミンは、デキストロアンフェタミンという物質のプロドラッグとされ、リスデキサンフェタミンを服用すると、吸収されたのちに肝臓で代謝され、デキストロアンフェタミンという物質になるとされています。つまり、ビバンセ(リスデキサンフェタミン)は、作用が比較的弱いながらも、その実態はアンフェタミンであり、所謂覚醒剤の一種であることには変わらないという指摘がされており、危惧しています。前述したような精神科医の不祥事、一昨年の都立松沢病院の医師を含む精神保健指定医の不正取得事案もあり、果たして医師による適正処方がなされるかどうかまず懸念するものです。仮に流通管理を厳しくしても、資質の無い精神科医が登録医となることを防げません。既にリタリンやコンサータは厳しい流通管理をされていますが、それでも今年3月神奈川県では精神科医による横流し事件が明らかになっています。
 まず、墨東病院で実施している薬剤の治験について、どのような取り組みなのか企図を含め詳細を説明ください。その上で、S−877489の治験の状況につきご説明ください。
エ 製薬会社と東京都職員(公衆衛生医師)との関係性について
 12月6日福祉保健局課長(公衆衛生医師)に調査事案を確認していました。ふと彼の手元をみるとL社(イーライリリー)神経系薬剤「Z」(ジプレキサ)の名前が入ったペンを使用しているのが目に入りました。同社から200万円もの報酬を得ながら利益相反自己申告手続を怠った小児総合医療センター元顧問医(市川宏伸氏)について、一昨年手続き違反を私、上田が指摘をし退陣したという経緯があるのになぜ、東京都職員が製薬会社のペンを持っているのか、どこで入手したのか、利益相反及び地方公務員法違反に当たるのではないか?説明および見解と対策を伺います。
3 監察医制度について
 かねてより三多摩格差を指摘してきましたが、去る11月27日より都死因研究推進協議会にて全都展開に向けた検討に入ったとのことです。特別区内のものは監察医務院にて検案・解剖を実施していますが、多摩・島しょ地域では医師会や大学に検案解剖を委託していた登録検案医の高齢化や医師の偏在が課題となっていました。以前、三多摩地区での設置を求めた際、「政令では、監察医を置く地域は東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市の5つの地域と定められており、監察解剖を実施。医務院を設置。政令で定められていない多摩・島しょは医師会や大学などの協力を得て検案を実施。死因究明の体制は、本来国が必要な法整備を行い、地域を限定せずに整えることが必要。都は、監察医務院制度が都全域に適用できるよう、繰り返し国に求めている。」との答弁を得ています。ついては、以下、伺います。
ア 三多摩地区の課題について
 医師の不足、高齢化なども指摘されていますが、具体的に説明下さい。
イ 制度全体の課題と解決策について
 これまでの東京都全体の監察医制度の取り組みと課題につき説明の上、その課題について、何がハードル・原因となってきたか、その結果、今般の検討にどう至ったのか、今後の見通しも含め時系列でご説明下さい。
ウ 乳幼児の不自然死について
 虐待が潜在している可能性はないのか懸念をするものです。監察医による検案・解剖の必要性につきご所見を伺います。
エ 薬物中毒死における監察医務院での向精神薬が原因による死亡事例について過去5年間の状況を数字を含め具体的にお示しください。
4 創薬系ベンチャー支援について
 平成30年第四回定例会知事所信表明において「ベンチャーの持つ有望な技術を医薬品や治療方法の開発に活かすという観点から、今年度より、自治体初となる創薬系ベンチャーの育成支援を開始するなど、幅広い分野で起業・創業を力強く後押しをしてまいります。」と明言しました。また、舛添前知事時代に都立広尾病院の移転先として370億円で購入を進めた「こどもの城」を「学習やスポーツ、創業や人材育成の場となる総合拠点」とし1.5倍にも膨らんだ609億円での購入を小池知事は突如9月に表明しました。長谷部健渋谷区長は、寝耳に水とし、11月の区議会で「創業支援施設は多数あり、必要性があるのか疑問」と苦言を呈しております。すでに産業労働局事業ではインキュベーション、ベンチャー、青山創業促進センターなどの施設を伴う創業支援者事業も展開しており、平成29年度決算特別委員会において費用対効果を指摘したところであり長谷部渋谷区長の指摘は首長としては当然の見解と言えます。小池知事は創薬事業で資産を築き、「米国で最も成功した女性50人の1人」に名を連ねたスキャンポ・ファーマシューティカルズ共同創業者兼最高経営責任者(CEO)S&R財団CEO久能祐子氏との交友関係を、衆議院議員時代の2016年4月13日付のSNSで「ワシントン・ジョージタウン、EVERMAY Estateにて安全保障の講演。クローニン氏、ケント・カルダー氏らと意見交換。館の主で主催者の久能さちこさんはアメリカで最も成功した日本女性です。」と紹介しており、知事当選後、久能氏は東京都女性ベンチャー成長促進事業APTで講師を担っています。私は都立小児総合医療センターの顧問医が、製薬会社2社から年間350万円(2年で700万円)の報酬を得ながら利益相反自己申告をしていなかった点を突き、日本発達障害ネットワークの理事長でもある同医を退陣に追い込んだ事例より、特定会社と都政の癒着を懸念するものです。また薬に関しては医師による多量多剤投与を問題視しており、深く取り組んできました。なお、発達障がい等子どもへの早期支援に名を借りた安易な向精神薬投与について警鐘を促し東京都より、「児童精神医療については投薬以外が第一」という言質を取っております。創業支援を目的としたこどもの城購入、突如の創薬系ベンチャー支援、久能祐子氏と小池知事との長年の交友関係の点と点を繋げていきますとそこには、すでに支援するベンチャー起業を想定した既定路線が敷かれていないか大きな懸念を抱くものです。つきましては以下、伺います。
ア 民間に任せておけばよい、創薬系ベンチャーのマーケット拡大をなぜ東京都がしなければならないのか、どのような創薬を想定しているのか起案から決定までの経緯と想定予算額を含め時系列で具体的にご説明下さい。
イ 創薬系ベンチャー支援とこどもの城購入、久能祐子氏と小池知事との関係について相関関係などないか、これまでの経過を踏まえご説明下さい。
ウ 創薬系ベンチャー支援においては、向精神薬等神経系の薬剤については、これまで私が指摘して来た問題、精神科医の不祥事も多数発生していることから東京都の事業とすべきではないと考えます。ご所見を伺います。

四 小池知事の学歴を巡る報道について
 先の第三回定例会にて、私は「知事においては、知事選よりカイロ大卒業につき疑惑がもたれております。オリパラを踏まえ、ホストシティの知事が公職選挙法235条に抵触する学歴詐称を疑われていることは東京都、都民にとって大変に不名誉なことです。日本の首都東京の信頼回復のため、知事ご自身で説明責任を果たされ名誉回復をされ、堂々と卒業証明書と卒業証書の提示をお願いいたします。知事は「エビデンス・ベースによる評価」を重要視されていることからも卒業を示す「エビデンス」を都民に提示されない場合は、理由を明快にお示しください。」と質したところ、知事は「先の定例会でも申し上げました通り、私は1976年の10月にカイロ大学を卒業いたしております。大学の発行した卒業証書および卒業証明証書につきまして、これまでも公にしております。また、大学側も正式な卒業について、いくども認めている。」とし、証明書類の議場での明示を避けられたことから「メディア等の学歴報道が正しくないのであれば法的措置も含めて、毅然とした態度をとられるのが政治家として本懐です。どのような対応をされ今後疑惑を晴らしていくのか先の知事選で支援した都議として改めてお答えいただくよう強く求めます。」と再質問しましたところ、「度々のご質問でございますが、先ほど申し上げました通り、私のカイロ大学卒業は、すでに大学側も、正式な卒業について、いくども認めているところでございまして、それ以上でも、それ以下でもございません。」との答弁でした。また、知事は自身の著書「振袖ピラミッドを登る」では「1976年10月、日本人として二人目、女性では初めて、しかも主席で(カイロ大学)を卒業」と著者紹介されており、本年第二回定例会では自民党代表質問にてその真偽を質されると「主席につきましては、当時の担当教授の言葉をうのみにしたということでございまして、そのことでうれしくなって、その旨を記述したということでございます。」と答弁しています。カイロ大学といえば日本でいえば東京大学に匹敵するエジプトの最高学府なはずですが、日本の首都東京の1300万都市の東京都知事がその大学の成績を「うのみ」にして安易な発言をするようなことがあっていいのかと耳を疑いました。これだけ疑義が出ている学歴問題に関して、東京都と都民の信頼回復のために本会議場でなぜ提示することができなかったのか、拒否する意味があったのか、とても理解ができませんことから以下の確認をさせて頂きます。
1 1972年10月にカイロ・アメリカン大学に入学したということですが、取得学位は何か、修了証書は存在しているのか、卒業年月日はいつか、それぞれご説明下さい。
2 1972年10月に国立カイロ大学に入学し1976年10月に卒業したとされていますが、間違いはないか、1年生から入学をしたのか、また学部・学科はどこで何を専攻したのかご説明下さい。
3 ご著書の中で「1年目は落第し」とありますが、1年留年したのであれば、卒業は1977年となるはずですが、この点につきまして経緯を時系列でご説明ください。
4 もしも一年留年して1976年に卒業したのであれば3年分の教育しか受けていないことになります。にわかに主席で卒業とは考えにくく思われます。代表質問への答弁では、「主席につきましては、当時の担当教授の言葉をうのみにした」とのことですが、これは主席で卒業していなかったという意味にも取れます。過去に公表した「卒業証書」には「1976年10月に文学部で行われた試験結果『良』の成績を収めたので大学議会はリセンス(文学士)学位を授与することを決定した」と書いてあったと報道されています。主席で卒業したのか、していないのか、それを証明する書類は存在しているのか事実をご説明下さい。
5 「卒業証書」で記された試験を受けたという1976年10月はサダト大統領夫人のアテンドのため10月9日以降を日本で過ごし当時の東京新聞インタビューでは「9月に卒業した」と語り、産経新聞では「卒業式を終え」帰国したと書かれています。大学の卒業時期は、社会通念上本人が間違うわけがないのに齟齬が生じていることを不可思議に思います。試験はいつ行われたのか、真の卒業はいつなのか事実をご説明下さい。
6 小池知事は、情報公開を一丁目一番地として政策を掲げたことで都民の絶大なる信頼と支持を得て、都知事当選を果たし都民ファーストの会の代表として都議選も大勝をしました。「卒業証書」と「卒業証明書」を、これまでも公にしてきたといっても、マスメディアに示すにとどまります。学歴は、詐称をすれば公職選挙法の虚偽事項の公表罪にあたる疑いがもたれています。「口頭でいくども認めていればよく、それ以上でも、それ以下でもない」という軽々しいものではありません。都庁の職員試験も、国政政党の公認申請においても証明書類提出が義務付けられるものです。東京都民の税金で報酬を頂く都知事なのですから、「大学側も、幾度もこの卒業を認めている」にとどまらず、都民が認めるように努め、都民の代表が質疑をする都議会及び東京都ホームページ、広報等にてノーエクスキューズのエビデンス・ベースの一目瞭然の現物の「情報公開」をしていただきたいと考えます。今後都民へ向けてのカイロ・アメリカン大学の修了書、カイロ大学の「卒業証書」と「卒業証明書」の情報公開をする予定はないか、しない場合はその理由を述べてください。

五 国による税源収奪について
 国直轄事業において、国と東京都との事業連携と役割分担については、道路法などの関係法令に基づき、その経費の一部を地方公共団体が負担することとなっていますが、事業選定や負担額について、都は決定権を持っていません。国に対し、東京都の意思が反映されるよう、都と国は、毎年、一般に公開の上「事業連絡協議会」を開催し、国が実施する事業の内容や進捗状況などの情報提供とともに、意見交換などを行っています。東京都としては「相互の連絡調整が図られ、事業の円滑な推進に寄与していると認識している。」とのことですが、かつて、国直轄の公共事業費の一部を明細書もないまま負担金に紛れて自治体側が支払わされている負担金制度に対して当時の橋下徹大阪府知事が「ぼったくりバー」と批判し、国と対峙しました。例えば建設局の平成29年度決算においては、国直轄事業の支出済額は326億38万3,463円だが、国庫支出金は366億3,631万1,000円、差し引きプラス40億3,592万7,537円となっており、マイナスの場合は全て都民の負担として回っています。
 また、政府与党による税制調査会が大都市と地方の税収格差解消のための「偏在是正」措置を2019年度税制改正により、東京都の法人2税の税収の内9千億円が他道府県へ回ることになっています。いずれも地方分権に逆行する国による税収奪と思えてなりません。ついては以下、伺います。
1 平成30年6月8日付で自由民主党東京都連から再照会があった「「国の施策及び予算に対する提案要求」にかかる協力要請会について」「国の税制改正に向けた協力要請会の実施について」への知事からの回答が11月8日までずれ込んだ理由を具体的にお示し下さい。
2 交渉の甲斐なく結果的に9千億の税源収奪となった原因と東京都知事の責任について、ご所見をお示しください。
3 1995年の地方分権推進法制定以来、国からの地方分権が進む中、少子高齢化や過疎の問題など複雑化する地域課題は山積しております。国と都道府県・区市町村との関係においては、中央集権体制を地方分権に改める2000年4月の地方分権一括法の施行により、機関委任事務制度が全面廃止され、国と地方自治体が「上下・主従」から「対等・協力」の関係が実現するとともに、地方自治体は自己決定・自己責任の原則に基づいて地域の実情に応じた行政運営を行うことが求められることになりました。それにも関わらず、知事が閣僚であった小泉政権下での三位一体改革では、税財源の移譲が不十分なまま、現在に至っています。それにもかかわらず、今回は大都市を狙い撃ちし、地方との軋轢を生じさせて、有無を言わさず、都民の税金は事実上収奪されております。知事をトップとして、各局で国に言うべきことを言い、議会を含め、不断の努力を続けていくべきと考えます。東京都の今後、国への働きかけ及び東京都の負担増・歳入減を防ぐため、今後、いかなる姿勢でどう取り組まれていくか、ご所見、ご覚悟を伺います。

平成30年第四回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 子どもへの虐待・暴力防止対策について
1 虐待防止緊急対策について
ア 現状の人材育成・スキルアップの状況と今後適した人材をどう採用し増員していくのか具体的に伺う。

回答
 児童福祉司の育成については、研修とOJTを組み合わせながら実施しています。
 研修については、毎年度策定する研修計画に基づき、職員の経験年数等に応じた内容で行っています。
 OJTについては、新任職員の個別指導等を担う児童福祉司OBやベテラン児童福祉司が、面接への同席や家庭訪問への同行などにより指導をきめ細かく行い、実務能力の向上に取り組んでいます。
 また、児童福祉司の採用については、児童福祉に関する職務等で培った専門的な知識や経験を有する人材を一定期間任用する任期付職員制度や、民間経験者等を採用するキャリア活用採用制度も活用するなど、人材の確保に努めており、今後とも、児童相談所の体制強化を図っていきます。

質問事項
一の1のイ 物理的スペースを確保し、職員の労働環境をどう整備するのか、これまでの課題とその解決に向けた今後の取組について所見を伺う。

回答
 都は、児童相談所の体制強化に伴い執務室が狭隘(きょうあい)化した場合には、改修工事や移転により拡張するほか、室内のレイアウトの工夫や備品の買替えなどにより執務スペースを確保しており、今後とも、各児童相談所の状況に応じて、必要な対応を行っていきます。

質問事項
一の1のウ 新協定に基づき提供した、本年10月、11月、12月の児童相談所から警察への件数はそれぞれ何件か。また、旧協定に基づき提供した、前年同月の警察への件数は何件か、伺う。

回答
 新たな「児童虐待対応の連携強化に関する協定書」に基づき、平成30年10月、11月、12月に児童相談所から警察へ情報提供した件数は、それぞれ82件、90件、120件であり、旧協定に基づき提供した前年同月の件数は、それぞれ36件、48件、55件となっています。
 なお、警察からの通告により受理したケースや、警察が児童虐待の疑いがあるとして調査したが通告に至らなかったケースについても情報共有しています。

質問事項
一の1のエ 児童相談所が虐待に該当しないと判断し、警察に連絡しないケースで虐待死が起こっていることを認めるか、認めないかどちらか明確に伺う。

回答
 平成19年の児童虐待の防止等に関する法律の改正を受け設置した東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会の報告書で対象とした児童虐待死事例のうち、児童相談所が虐待通告を受け、虐待に該当しないと判断した事例はありません。

質問事項
一の1のオ 一度や二度で「警察と連携しなくていい」と判断をすることは子どもたちに極めて大きなリスクがあると考えるが、この点について伺う。ちなみに、高知県など10以上の自治体では、全件警察と情報共有しているが、東京都の児童相談所の職員は、間違いなく虐待リスクの判断ができると考えるのか、見解を伺う。

回答
 児童相談所は、区市町村の子供家庭支援センター、保健所、学校、警察、医療機関などの関係機関からの意見や情報を踏まえ、児童相談所長をはじめ、児童福祉担当、心理指導担当、管理担当の職員などで構成する緊急受理会議や緊急安全確認会議など、所内協議を通じてリスクアセスメントを適時、的確に実施し、対応方針を決定しています。

質問事項
一の1のカ 是非、他府県のように、一度や二度の家庭訪問で虐待リスクの正確な判断など不可能だという謙虚な姿勢に立ち、警察と全件共有し連携して子どもたちを守る活動に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は現在、児童の安全確認等で必要があるときは、警察と同行して訪問するほか、警視庁からの現職警察官の派遣や警察官OBの児童相談所への複数配置など、警察との連携強化を図っています。
 また、平成30年9月に警視庁との協定を見直し、児童相談所が対応した事案のうち、虐待に該当しないケースや助言指導で終了したケースなどを除き、リスクが高いと考えられる全てのケースを共有しています。
 個々のケースの援助方針については、警察をはじめ、子供家庭支援センター、学校、医療機関等の地域の関係機関からの情報も踏まえ、決定しています。

質問事項
一の1のキ 「児童虐待対応の連携強化に関する協定書」では、「東京都福祉保健局少子社会対策部と警視庁生活安全部少年育成課は、各地域で開催される要保護児童対策地域協議会における代表者会議、実務者会議及び個別ケース検討会議において児童相談所と管轄警察署がともに参画し、関係機関において、情報交換、意見交換が積極的に行われるよう必要な働きかけを行うものとする。」とある。「必要な働きかけ」について誰が「必要」と判断しどのような「働きかけ」をするのか具体的に伺う。

回答
 「「児童虐待対応の連携強化に関する協定書」4要保護児童対策地域協議会における連携の促進」にある「必要な働きかけ」は、福祉保健局少子社会対策部と警視庁生活安全部少年育成課が行うものとしています。
 都は、東京都要保護児童対策地域協議会や子供家庭支援センターとの意見交換会など様々な機会を通じて、関係機関に対し、警察との連携について理解促進を図っています。

質問事項
一の1のク 「安全確認行動指針」について、「立入調査」でようやく「警察への援助要請」では遅すぎないか危倶するものである。今般の指針にかかわらず、「法的対応と手続き」に基づいた措置をまず迅速に徹底することが必要ではないか。まず、なぜこれまでの体制では機能しえなかったのか伺う。その上で、東京都は、具体的にどのような体制をもってこの指針を実現するのか、弁護士等専門家を含む人員体制、事案発生から解決へむけての時系列の運用体制と実績を示し、説明を伺う。

回答
 児童相談所は、通告を受けた事案のうち、児童との面会ができず、安全確認ができない場合には、必要に応じて児童虐待の防止等に関する法律第9条に基づく立入調査等の法的対応を行っています。
 今般、平成30年3月に起きた事件を受け、都内全ての児童相談所で、児童の安全確認をより適切に行えるよう、安全確認の手法や立入調査を行う判断基準等を定めた独自の安全確認行動指針を策定しました。この指針に基づき、通告後48時間以内に児童の安全確認ができなかった場合には、緊急安全確認会議を速やかに開催し、立入調査の実施を決定の上、警察への援助要請を行うこととしています。
 立入調査に当たっては、虐待対応を専任で行う虐待対策班をはじめ、警察官OBや保健師の資格を有する医療連携専門員など、複数の職員で対応しています。
 また、必要に応じて、非常勤医師や非常勤弁護士等の同行も検討しています。
 立入調査の件数は、平成29年4月から平成30年12月末までの間で、5件となっています。

質問事項
一の2 要保護児童対策地域協議会について
ア 現状の要保護児童対策地域協議会における東京都の責務と情報共有、連携体制について伺う。

回答
 都は、児童福祉法に基づき、要保護児童の適切な保護等を図るため、東京都要保護児童対策地域協議会を設置しています。
 また、区市町村においても60自治体が、同法に基づき、要保護児童対策地域協議会を設置しています。
 協議会では、児童相談所、区市町村の子供家庭支援センター、保健所、学校、警察、医療機関など各構成機関が必要な情報交換や支援内容に関する協議を行うなど、連携強化を図っています。

質問事項
一の2のイ 各区市町村における、代表者会議、個別ケース検討会議、実務者会議の開催状況と出席者について実績を伺う。

回答
 平成29年度に国が実施した調査によると、要保護児童対策地域協議会を設置している都内60区市町村の平成28年度の各会議の開催状況は、代表者会議70回、実務者会議536回、個別ケース検討会議5,759回、代表者会議と実務者会議を併せ持った会議3回、実務者会議と個別ケース検討会議を併せ持った会議173回となっています。
 出席者についての統計はありませんが、同調査によると、主な構成員は、児童相談所、区市町村児童福祉主管課・母子保健主管課、警察署、保育所、幼稚園、小学校、中学校、教育委員会、民生児童委員協議会、社会福祉協議会、保健所、病院・診療所などとなっています。

質問事項
一の2のウ 「児童虐待対応の連携強化に関する協定書」にある「働きかけ」止まりが必ずや、重大事件を引き起こす盲点となるのではないかと危倶している。今後「個別ケース検討会議においては警視庁と全件共有する」と定義するべきではないか。所見を伺う。

回答
 要保護児童対策地域協議会における個別ケース検討会議では、具体的な支援の内容等を検討するため、協議会が個別の事例の支援内容に応じて、警察にも参画を求めています。

質問事項
一の2のエ 広島県等、個別ケース検討会議にて地元警察署も参加し全件共有をしている。各警察署が積極的に全件共有にむけて協力するよう警視庁本庁へ要請すべきと考えるが、現時点での出席の有無、出席してどのような情報共有をしているのか伺う。

回答
 要保護児童対策地域協議会における個別ケース検討会議では、具体的な支援の内容等を検討するため、協議会が個別の事例の支援内容に応じて、警察にも参画を求めています。
 なお、個別ケース検討会議への警察の出席の有無等に関する統計はありません。

質問事項
一の3 児童相談所について
ア 長年、地域に密着して実績を残し、人材も育っている子ども家庭支援センターと児童相談所は、一体化する方がより合理的で効率的・機能的と考えるし、当然、各区もそれを望むものと考える。都はこの点に関して区の方針を尊重しているのか、また子ども家庭支援センターと連携させつつ児童相談所の移管について所見を伺う。

回答
 都は、現在、世田谷区、荒川区及び江戸川区と個別に児童相談所設置計画案の確認を行っています。
 具体的には、各区の計画案を基に、子供達の安全や安心の確保の観点から、相談援助活動の流れや人材の確保・育成、一時保護所の整備などを確認しています。
 各区の計画案では、児童相談所と子供家庭支援センターを一体化させる予定の区もあれば、児童相談所を子供家庭支援センターとは別に設ける予定の区もあります。
 いずれの場合においても、子供を虐待から守るためには、住民に身近なところで支援を行う子供家庭支援センターの機能を担う部門と、専門的な知識や技術が必要となるケースに対応する児童相談所とが連携・協働していくことが必要です。

質問事項
一の3のイ 児童相談所は、保護者に配慮するあまり対処が遅れて重大事案に発展する事例が後を絶たないことから、まず、誰のための介入であり、誰のための支援なのか所見を伺う。その上で、相反する機能をどう調和しながら機能させて、子どもと保護者が児童相談所を信頼するために工夫をしているのか、よもや同一部署・同一職員が担当を兼務・併任していないか懸念をすることからも、説明を伺う。

回答
 児童相談所は、18歳未満の児童に関するあらゆる相談に対応しており、相談に当たっては、児童や保護者等の意向を尊重し、プライバシー保護への留意など、児童や保護者等の人権に十分配慮しながら行うとともに、常に児童の最善の利益を図ることを最優先に行っています。
 また、児童相談所には、一時保護や立入調査など法的対応が求められる一方で、保護者に寄り添いながら支援を行う必要もあるため、都は、要保護児童の家庭等への介入と支援を担当する児童福祉司をそれぞれ別に配置し、相互に連携しながら、虐待への対応を行っています。

質問事項
一の4 一時保護所について
ア 入所定員、新規入所数、平均入所期間、90日以下、90日超の入所者数、最長入所期間と長期になった理由、過去3年の事故件数と主な内容、職員研修の実施状況、心理専門職の配置状況について伺う。

回答
 平成30年4月1日現在の一時保護所の入所定員は213名となっており、平成29年度の新規入所児童数は2,044名、退所児童の平均入所期間は41.9日、退所児童のうち入所期間が90日以下の児童数は1,826名、90日を超える児童数は192名となっています。
 最長の入所期間は243日であり、その理由としては、親権者が一時音信不通となったことなどが挙げられます。
 平成27年度から平成29年度までの事故件数(被措置児童等虐待件数)は合計で2件です。
 職員の研修は、毎年度策定する研修計画に基づき、経験年数等に応じた研修を実施しています。
 平成30年度の非常勤心理職の設定数は、各一時保護所2名となっています。

質問事項
一の4のイ 児童・生徒の、進学時期、受験指導も含めた教育体制・運動能力の維持をどのようにしているか、取組状況、現状の問題点と課題を伺う。

回答
 一時保護所には、学習の習慣が身についていない児童や学習に遅れのある児童も入所しているため、国通知である「一時保護ガイドラインについて」等を踏まえ、教員免許を有する非常勤の学習指導員を配置し、学年や学習の習熟度などに応じた学習指導を実施しています。特に進学時期の児童に対しては、在籍校との緊密な連携を図り、受験対策も行っています。
 また、児童の運動については、あらかじめ設定した日課の中に、運動の時間を設け、年齢や健康状態に応じて実施しています。
 保護所に入所する児童の課題や養育環境は様々であるため、児童たちが健やかに育ち、自立できるよう、それぞれの状況や課題に応じ、総合的に支援していくことが重要と認識しています。

質問事項
一の4のウ 虐待を受けた子どもと、非行の子どもが同一環境にいる問題点と課題、解決に向けて対応、条例制定に向け、今後子どもにとって望ましい一時保護所の環境づくりについて伺う。

回答
 虐待を受けた児童と、非行の児童が同一の環境にいることについては、例えば、主訴が「虐待」で、児童自身が情緒的な問題を抱えている場合や、保護者が疾病や障害を抱えている場合もあり、また、主訴が「非行」で、過去に虐待を受けていたなど、児童の抱える課題や養育環境は様々です。
 現在、都の一時保護所においては、児童の権利を尊重し、擁護することを基本方針に、必要に応じて個室を活用するなど、個々の児童の状況や課題に配慮した支援を行っています。
 また、一時保護所の建替え等に当たっては、個人としての生活空間の確保や、個別的なケアが適切に行えるよう、居室を原則個室化することとしており、今後とも、児童の安全・安心を確保し、一人一人の状況に応じた丁寧な支援を行っていきます。

質問事項
一の4のエ 江戸川区は児相移管にあたって、なによりもアットホームな場を作ろうと一丸となって取り組んでいる。東京都として、今の一時保護所の在り方でよいのか、子どもたちの視点からの問題意識はないのか、所見を伺う。課題認識があればその解決に向けてどう取組むかも伺う。

回答
 都の一時保護所では、児童の権利を尊重し、擁護することを基本方針に、児童が安心して生活できるよう、個々の状況に配慮した支援を行っています。具体的には、多様な経験を通して、達成感や大人への信頼感が得られるよう、工作やスポーツなどの活動、夏祭りやクリスマスなど季節に応じたイベントを実施するほか、食事の提供に当たっては、郷土料理や外国料理、誕生日に合わせた特別メニューなど、児童が楽しめるよう工夫しています。
 また、一時保護所に入所する児童の権利擁護と施設運営の質の向上を図るため、全ての一時保護所で毎年外部評価を受審しているほか、一時保護された児童が児童相談所職員以外の第三者に相談できるよう、平成30年度から第三者委員を設置しており、弁護士に委嘱しています。
 今後とも、外部評価の結果や第三者委員からの意見等も踏まえ、一時保護所を適切に運営していきます。

質問事項
一の5 東京都子供への虐待の防止等に関する条例(仮称)骨子案について
ア 東京都児童福祉審議会での審議、9月の意見募集を骨子にどのように反映したのか。取捨選択の判断は誰がどう、何を基準におこなったか時系列で具体的に伺う。11月30日から12月29日まで行う意見募集もどう反映していくかの所見を伺う。

回答
 都は、東京都子供への虐待の防止等に関する条例(仮称)の制定に向けて、平成30年7月から東京都児童福祉審議会において、専門家による検討を行ってきました。
 審議会では、保護者による体罰について、明確に禁止すべきとの意見や、規定の仕方は慎重に検討すべきとの意見が挙げられたほか、乳幼児健診の受診義務、通告しやすい環境づくり等の内容を条例案に盛り込むべきとの意見を頂いています。
 同年9月には条例の基本的な考え方を公表し、パブリックコメントを実施した結果、「体罰の禁止を明記すべき」、「定期健診を義務化すべき」、「通告をためらわない工夫が必要」、「民間事業者が児童相談所に情報提供しやすくなるような規定を設けるべき」など、都民から様々な意見が寄せられました。
 これらの意見も踏まえ、同年11月19日の児童福祉審議会で審議した上で、都として総合的に判断し、条例骨子案を取りまとめ、同月30日に公表しました。
 条例骨子案に対するパブリックコメントでは、「子供は権利の主体として尊重されるべきことを明記してほしい」、「保護者や子供が困ったとき、すぐに相談できるような体制を整備するべき」などの意見が寄せられました。こうした意見や、区市町村との意見交換の結果も踏まえ、条例案を作成します。

質問事項
一の5のイ 「虐待相談のあらまし(2018年度版)」によれば、虐待相談の経路の実に半数の48.8パーセントが警察等となっている。にもかかわらず、骨子案に「警視庁」「警察」が明記されていない。警視庁との連携を明示なくして虐待防止は不可能と考えるが、なぜ明記しないのか、所見を伺う。

回答
 都は、平成30年9月に警視庁との協定を見直し、児童相談所が対応した事案のうち、虐待に該当しないケースや助言指導で終了したケースなどを除き、リスクが高いと考えられる全てのケースを共有しています。
 条例骨子案には、「児童相談所が要保護児童対策地域協議会を活用し、子供と家庭に関する必要な情報を共有する」ことを盛り込んでおり、当該協議会の構成員には、警察が含まれています。
 条例案については、パブリックコメントや区市町村の意見等も踏まえ、作成します。

質問事項
一の6 平成30年度東京都若年被害女性等支援モデル事業について
 繁華街を徘徊する女子中高生、若年女性支援のための「夜間巡回バス」の取組と成果、現状の課題と今後継続の可能性、開始して得た少女たちを取り巻く新たな問題発見等、成果の出る事業となるための都の役割と所見を伺う。

回答
 都は、様々な困難を抱えた若年女性の自立を図るため、公的機関と民間団体が密接に連携しながら、アウトリーチ支援、居場所の提供に関する支援、自立支援を行う若年被害女性等支援モデル事業を、平成30年10月から実施しています。
 事業の実施に当たっては、企画提案により、支援のノウハウを持つ3団体を選定し、委託しており、委託料の上限は、1団体あたり10,519千円です。
 アウトリーチ支援では、事業者がそれぞれのノウハウを生かし、繁華街等を巡回し、家に帰れずにいる若年女性等に声掛けや相談を行うほか、電話、メール、SNS等による相談や、面談を実施しています。
 都は、警察や福祉事務所等からなる関係機関との連携会議を開催するなど、具体的な支援内容や課題等に係る情報共有等を行いながら、事業者等と円滑な事業実施を図っています。
 引き続き、国の動向を踏まえて、本事業を着実に推進していきます。

質問事項
二 ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)について
 「東京都居宅訪問型保育基礎研修」及び「ガイダンス研修」の受講状況及び、事業者の応募、参画状況、本年12月を予定していた事業運用開始状況について数字を示し具体的に伺う。

回答
 ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)は、待機児童の保護者や育児休業を1年間取得した保護者が、子供が保育所等に入所するまでの間、認可外のベビーシッターを利用する場合の利用料の一部を助成するものです。
 都は、事業の実施に当たり、保護者が安心してサービスを利用できるよう、参画する事業者の認定基準を定めており、平成30年12月末現在、20事業者から応募があり、11事業者を認定しました。
 また、保育の質を確保するため、従事するベビーシッターについては、原則として「東京都居宅訪問型保育基礎研修」及び「ガイダンス研修」の受講を義務付けています。
 平成30年12月末現在、「東京都居宅訪問型保育基礎研修」は延べ205名が、「ガイダンス研修」は186名が受講しました。
 本事業については、平成30年12月から新宿区、台東区及び中野区が、平成31年1月から目黒区及び府中市が、対象者への利用案内を開始しています。

質問事項
三 医療政策について
1 全国的に、診療所の精神科医による強制わいせつ事案の頻発が指摘されている。ついては、福祉保健局における、医師による強制わいせつ等への対応状況と再発防止に向けた全体的な取り組み状況を伺う。

回答
 診療所に関する相談への対応、医療法に基づく報告の徴収等は、診療所の所在地を管轄する保健所が担当しています。
 都は、必要に応じて保健所と診療所に関する情報を共有するほか、特別区、保健所設置市及び東京都保健所の医務担当者会等において情報提供を行い、適切な医療提供体制の確保に努めていきます。

質問事項
三の2 精神医療について
ア 発達障がい児支援の取組と施策の方向性につき、子どもへの向精神薬投与についてもふくめ都の基本的な考え方を伺う。

回答
 都は、発達障害児者に対する支援を総合的に行う拠点として、東京都発達障害者支援センターを設置し、家族等からの様々な相談に対し、助言や医療機関等についての情報提供を行うとともに、地域における支援体制の整備についての助言や、発達障害のある子供を持つ保護者が自らの経験を通じて支援を行うペアレントメンターを養成し、地域に派遣する取組を行っています。
 また、医療機関等の従事者を対象とした専門研修等を実施し、環境調整や対応改善が第一選択であり、薬物は補助手段であることを周知するとともに、発達障害児者への支援に必要な知識や技術の習得を図っています。
 さらに、発達障害児の早期発見・早期支援のため、心理職員等による専門相談や保育所等への巡回指導を行う拠点の設置などに取り組む区市町村を包括補助で支援しており、今後とも、発達障害児や家族の支援に取り組んでいきます。

質問事項
三の2のイ 子どもへの向精神薬投薬について、現時点の都の見解を伺う。

回答
 小児に対する精神科薬物療法では、精神科医師が患者の症状や成長発達の状態、現在得られている医学的知見等も踏まえた専門的な判断に基づき、個々の事例に即して慎重かつ適切に選択するものです。
 精神科医師が投薬の必要性を判断した際には、患者や保護者に症状や病態の説明を行った上で、それに対する投薬内容や効果、情緒や行動面の変化を含め予想される副作用の説明を十分に行い、同意を得た上で、投与量も含め適切な処方が行われるものと認識しています。

質問事項
三の2のウ 墨東病院で実施している薬剤の治験について、どのような取組なのか企図を含め詳細を伺う。その上で、S−877489の治験の状況につき伺う。

回答
 薬剤の治験は、新薬を開発する過程において、人を対象として有効性や安全性を評価することを目的として、製薬企業等が関係法令を順守し、医療機関に実施を委託する試験であり、墨東病院では、病院が有する豊富な症例や希少疾患の診療実績を活用し、医療の向上に寄与するため治験を受託しています。
 墨東病院において実施した小児注意欠如・多動症の患者を対象としたS−877489の治験は2件です。
 当該治験の一つは、薬剤の有効性を評価する治験であり、院内の治験・受託研究審査委員会において、平成26年12月に実施が承認され、平成28年5月に終了報告がなされました。
 また、当該治験のもう一方は、薬剤を長期投与した際の安全性を評価する治験であり、同委員会で平成26年12月に実施が承認され、平成29年3月に終了報告がなされたものです。

質問事項
三の2のエ 12月6日福祉保健局課長(公衆衛生医師)に調査事案を確認していた。彼の手元をみるとL社(イーライリリー)神経系薬剤「Z」(ジプレキサ)の名前が入ったペンを使用しているのが目に入った。利益相反自己申告手続を怠った小児総合医療センター元顧問医について、一昨年手続き違反を指摘をし退陣したという経緯があるのになぜ、東京都職員が製薬会社のペンを持っているのか、どこで入手したのか、利益相反及び地方公務員法違反に当たるのではないか。説明および見解と対策を伺う。

回答
 御指摘の筆記用具については、入手の時期や方法等は定かではないものの、当該企業から直接受領したものではないことを、本人に確認しています。
 また、地方公務員法に定める服務の根本基準に基づき、東京都職員服務規程では、利害関係がある者との接触を規制していますが、当該職員が所属する部署の所掌事務において、当該企業との利害関係はなく、本件については、これらに抵触していません。
 今後とも、職務において、利害関係がある者との関係について都民の誤解を招くことがないよう、職員への注意喚起を図っていきます。

質問事項
三の3 監察医制度について
ア 三多摩地区の医師の不足、高齢化なども指摘されているが、具体的に伺う。

回答
 平成30年12月現在、多摩地域において登録している検案医は、大学に所属する医師2名を含む48名で、このうち、65歳以上の割合は3割を超えています。検案医の確保が困難な地域では、都が、東京都医師会や東京慈恵会医科大学及び杏林大学の協力を得て検案医を派遣し、多摩地域全体の死因究明体制を確保しています。

質問事項
三の3のイ これまでの東京都全体の監察医制度の取組と課題につき説明の上、その課題について、何がハードル・原因となってきたか、その結果、今般の検討にどう至ったのか、今後の見通しも含め時系列で伺う。

回答
 多摩地域は、政令で監察医を置くべき地域に定められていませんが、都は、東京都医師会や大学の協力を得ながら、特別区と同じレベルで死因を究明できるよう体制整備を進めています。
 死因究明体制は、本来国が必要な法整備を行い、地域を限定せずに整えることが必要なことから、都は、国に対し監察医制度が都内全域に適用できるよう、繰り返し求めています。
 また、平成27年4月に死因究明推進協議会を設置し、都における死因究明に係る体制の課題等について検討し、同年10月に「東京都における死因究明のあり方報告書」を取りまとめ、平成30年11月からは、解剖体制の確保や専門人材の育成など、東京都全域における安定的かつ持続可能な死因究明体制の構築に向けた検討を進めています。

質問事項
三の3のウ 乳幼児の不自然死について、虐待が潜在している可能性はないのか懸念をするものである。監察医による検案・解剖の必要性につき所見を伺う。

回答
 死因が不明な場合は、特別区では監察医務院の監察医が、多摩地域では東京都医師会や大学の検案医等が、乳幼児を含む全ての御遺体について検案を行い、検案によっても死因が判明しない場合には解剖を行っており、医学的な死因の究明に努めています。

質問事項
三の3のエ 薬物中毒死における監察医務院での向精神薬が原因による死亡事例について過去5年間の状況を数字を含め具体的に伺う。

回答
 監察医務院では、御遺体から薬物が検出された場合、検出された薬物を「催眠剤・向精神薬等」、「麻薬・精神変容薬」、「その他の薬物・薬剤・製剤」の三つに分類しています。
 このうち「催眠剤・向精神薬等」による薬物中毒死の件数は、平成25年36件、平成26年26件、平成27年18件、平成28年18件、平成29年27件です。
 また、「催眠剤・向精神薬等」による自殺の件数は、平成25年48件、平成26年49件、平成27年41件、平成28年38件、平成29年34件です。

質問事項
三の4 創薬系ベンチャー支援について
ア 民間に任せておけばよい、創薬系ベンチャーのマーケット拡大をなぜ東京都がしなければならないのか、どのような創薬を想定しているのか起案から決定までの経緯と想定予算額を含め時系列で具体的に伺う。

回答
 創薬関連産業の育成は東京の成長戦略として重要であるとともに、革新的な医薬品や治療手法の創出は、都民・国民の健康の維持や、健康寿命の延伸に資するものです。
 創薬については、日本は、研究機関の基礎研究水準は高いものの、イノベーションの牽引役である創薬系のベンチャーが不足しており、実用化につなげる流れが弱いと言われています。
 東京は、製薬企業、投資家、大学等の研究機関など多様な主体が集まる強みを有していることから、平成30年度から、政策企画局において創薬系ベンチャーの育成を支援するプログラムである「Blockbuster TOKYO」を開始しました。
 本事業は、公募により募った参加者に対し、必要な知識を身に付けることができるセミナーや、創薬分野や事業運営などの専門家による指導・助言、事業会社等とのマッチングなどの支援を行い参加者の成長につなげるもので、平成30年度の予算額は8千万円です。

質問事項
三の4のイ 創薬系ベンチャー支援とこどもの城購入、久能祐子氏と小池知事との関係について相関関係などないか、これまでの経過を踏まえ伺う。

回答
 創薬系ベンチャー支援とこどもの城購入、久能祐子氏と知事との関係に相関関係はありません。

質問事項
三の4のウ 創薬系ベンチャー支援においては、向精神薬等神経系の薬剤については、これまで指摘して来た問題、精神科医の不祥事も多数発生していることから東京都の事業とすべきではないと考える。所見を伺う。

回答
 創薬系ベンチャー育成支援プログラム「Blockbuster TOKYO」では、例えば、効果的な治療手法が見つかっていない疾患に対する治療手法や医薬品の開発の重要な担い手であるベンチャー等を支援することで、都民・国民の健康長寿に寄与することを目的としています。

質問事項
四 小池知事の学歴を巡る報道について
1 1972年10月にカイロ・アメリカン大学に入学したということであるが、取得学位は何か、修了証書は存在しているのか、卒業年月日はいつか、それぞれ伺う。

回答
 1971年10月にカイロ・アメリカン大学へ入学し、1年間、アラビア語を学びました。その後、1972年10月にカイロ大学へ入学したことから、カイロ・アメリカン大学の修了証書等は存在しません。

質問事項
四の2 1972年10月に国立カイロ大学に入学し1976年10月に卒業したとされているが、間違いはないか、1年生から入学をしたのか、また学部・学科はどこで何を専攻したのか伺う。

回答
 1972年10月にカイロ大学の第1学年へ入学し、1976年10月に、文学部社会学科を卒業しました。

質問事項
四の3 著書の中で「1年目は落第し」とあるが、1年留年したのであれば、卒業は1977年となるはずであるが、この点について経緯を時系列で伺う。

回答
 大学当局の指導の下、最終的には追試を経て、1976年10月、カイロ大学の卒業に必要な条件を満たし、卒業しました。

質問事項
四の4 もしも一年留年して1976年に卒業したのであれば3年分の教育しか受けていないことになる。にわかに首席で卒業とは考えにくく思われる。首席で卒業したのか、していないのか、それを証明する書類は存在しているのか事実を伺う。

回答
 カイロ大学の卒業時に、教授の一人から、成績はトップだと言われました。このまま大学院に進んだらどうかと言われ、そのことを著書に記したものです。

質問事項
四の5 「卒業証書」で記された試験を受けたという1976年10月はサダト大統領夫人のアテンドのため10月9日以降を日本で過ごし当時の東京新聞インタビューでは「9月に卒業した」と語り、産経新聞では「卒業式を終え」帰国したと書かれている。大学の卒業時期は、社会通念上本人が間違うわけがないのに齟齬が生じていることを不可思議に思う。試験はいつ行われたのか、真の卒業はいつなのか事実を伺う。

回答
 大学当局の指導の下、時期は明確に記憶していませんが、追試を経て、1976年10月にカイロ大学を卒業しました。卒業の時期は、卒業証書や卒業証明書が示すとおりです。

質問事項
四の6 今後都民へ向けてのカイロ・アメリカン大学の修了書、カイロ大学の「卒業証書」と「卒業証明書」の情報公開をする予定はないか、しない場合はその理由を伺う。

回答
 カイロ大学が発行した卒業証書及び卒業証明書は、これまでも公にしており、改めて公開する予定はありません。

質問事項
五 国による税源収奪について
1 平成30年6月8日付で自由民主党東京都連から再照会があった「「国の施策及び予算に対する提案要求」にかかる協力要請会について」「国の税制改正に向けた協力要請会の実施について」への知事からの回答が11月8日までずれ込んだ理由を具体的に伺う。

回答
 平成30年6月8日付けで自由民主党東京都連から再照会のありました「「国の施策及び予算に対する提案要求」に係る協力要請会について」に対しては、同年6月11日付けで再回答をしています。
 同年11月8日付けの文書は、国の税制改正に向け、改めて、再々回答するとともに、「国の税制改正に向けた協力要請会の実施」を依頼したものです。

質問事項
五の2 交渉の甲斐なく結果的に9千億の税源収奪となった原因と東京都知事の責任について、所見を伺う。

回答
 平成31年度税制改正は、都政の今後を左右する重要な課題であることから、与党税制調査会メンバーや東京選出の国会議員などへの働き掛けを積極的に行ってきました。
 加えて、都議会各会派の皆様にも御参加いただいた「東京と日本の成長を考える検討会」において、地方税財政制度の抜本的な改革の必要性など、日本全体の成長を見据えた議論を深めるとともに、あらゆる機会を捉え、不合理な税制度の見直しに対する都としての見解を発信してきました。
 今般の税制改正において、都に先々大きな減収をもたらす、対症療法的な手法が繰り返されようとしていることは誠に遺憾です。
 いついかなる状況下においても、都民の生活を守ることが都知事としての責務であり、無駄の排除を更に徹底するとともに、基金や都債を戦略的に活用することに加え、産業の活性化等東京の「稼ぐ力」を強化することで、将来にわたり都民生活を守るよう努めていきます。
 また、こうした都の財政運営について、「東京都予算案の概要」などの資料を活用しながら、都民の理解を得られるよう、今後とも積極的な情報発信に努めていきます。

質問事項
五の3 知事をトップとして、各局で国に言うべきことを言い、議会を含め、不断の努力を続けていくべきと考える。東京都の今後、国への働きかけ及び東京都の負担増・歳入減を防ぐため、今後、いかなる姿勢でどう取り組まれていくか、所見、覚悟を伺う。

回答
 地方自治体が、自らの権限と責任の下、地域の課題解決と発展に取り組むためには、地方の自主的・自立的な行財政運営を支え得る地方税財政制度の確立が必要不可欠です。
 こうした中にあって、今般の税制改正において国が新たに講じるいわゆる「偏在是正措置」は、地方税の国税化を推し進めるものであり、地方の自主財源を充実させるどころか、地方の真の自立に資する「地方分権」の実現に逆行するものです。
 日本全体の持続的発展を目指す上で重要な役割を担う都は、国と地方の役割分担や、国・地方間の税財源の配分の見直しなど、地方税財政制度の抜本的な改革に、本腰を入れて取り組むよう、国に対し、引き続き訴えていきます。
 また、首都東京が日本経済の牽引役としての役割を果たし、地方が各々の個性や強みを生かして地域を活性化する「共存共栄」の実現に向け、東京と地方が互いに高め合い、日本経済の活性化につながる取組を展開できるよう、財政面からしっかりと支えていきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 困難を抱える妊娠女性と出産・育児への支援について
二 児童相談所の区設置について
三 単身者向け住宅の確保について

一 困難を抱える妊娠女性と出産・育児への支援について
 生活者ネットワークはこれまで、未受診妊婦や高校生の妊娠など、困難を抱える妊娠女性と出産・育児への支援を求めてきました。どんな状況にあっても、妊産婦と生まれた子どもが健やかに育つような支援が必要です。
 熊本市にある慈恵病院が「こうのとりのゆりかご」を始めて10年になります。養育ができなくなった赤ちゃんを委ねるベビーボックスを備えており、「赤ちゃんポスト」と呼ばれ、そればかりが取りざたされていますが、赤ちゃんの命を救うことを第一に考え、妊娠期からの相談・サポートに力を入れています。相談に乗り寄り添いながら、安全な出産と特別養子縁組を含めて母子への支援を実施しています。出産後の子どもについては、特別養子縁組の場合、少しでも早く関わることが愛着形成に重要という観点から、出産と同様に養母も入院し、生まれた直後から育児を始めます。
1 妊娠相談ほっとラインでは、さまざまな妊婦の相談に応じています。相談の実情および、その後医療機関への連携や支援などはどのようにしているのか伺います。
2 都の特別養子縁組は、養子縁組里親へ委託した後特別養子縁組されると聞いています。委託するまでの流れと年齢別の委託児童数および成立件数を伺います。
3 特別養子縁組では、生まれてからなるべく早く養親につなげる必要があります。都が昨年度から始めた「新生児委託推進事業」の実績について伺います。
4 予期せぬ妊娠で妊婦が抱えている困難の中には出産にまつわる金銭負担の問題も大きく、相談や受診をためらう一因になっています。養育が不可能な妊婦にとって妊娠中から寄り添い、特別養子縁組まで一貫してサポートしている民間団体もあります。養親になる人の費用負担については、あっせんが児童相談所の場合は、生まれてから養子縁組里親として対応するため負担はありませんが、民間団体の場合は、必要経費を負担している実態があります。新規の「養子縁組民間あっせん機関助成事業」は、こうした課題に対応するものと期待するところです。
 養子縁組を目的として児童相談所から子どもの養育を委託された養子縁組里親に対して、どのような支援をしているのでしょうか。また、今年度から開始する「養子縁組民間あっせん機関助成事業」の内容についても伺います。
5 生んだ赤ちゃんを引き受けてくれるベビーボックスは、全国で1か所しかなく、東京からも熊本の「こうのとりのゆりかご」に委ねられています。こうした場所がなければ命を落としてしまうこともあるため、都立病院等で受け入れる場が必要と考えます。
 都はベビーボックスについてどのように認識しているか伺います。

二 児童相談所の区設置について
 子どもへの虐待が増加し、悲惨な事件も相次いでいます。2016年の児童福祉法改正によって、特別区でも児童相談所を設置できるようになり、22区が地元に児童相談所を設置する方針を出し、具体的な検討を始めています。まず、世田谷、荒川、江戸川の3区が2020年度開設をめざし、先行して準備を進めています。
1 区が設置する児童相談所に必要な機能は何ですか。
2 虐待への対応は、さまざまな機関が入った要保護児童対策地域協議会で連絡調整し、連携して事案にあたっており、その中で各区にある子ども家庭支援センターは大きな役割を果たしています。都立児童相談所と子ども家庭支援センターでは役割分担をしていますが、それでも両者の隙間で対応が遅れる事態も指摘されています。地域の子どもを地域で育てるという姿勢から、地元のネットワークをいかして相談体制を充実させるとともに、身近な地域で一時保護や施設入所などまで一貫して対応することは重要です。都は、区が児童相談所を運営していけるよう、積極的にバックアップする必要があります。現在の準備状況について伺います。
3 都は「移管」ではないからという考え方のもと、設置区に対して自前でフルセットを要求していますが、例えば保健所に都任用医師がいたり、小中学校の給食を担当する栄養士が都任用だったりと、参考にできる例があります。都の役割として、職員となる人材の育成や、児童養護施設への入所、里親への委託など広域的な取り組みを強化するとともに、人材と財源を確保し、区への支援を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
4 虐待を疑われる場合、児童相談所は、子どもを親から引き離し一時的に保護する取り組みを実施しています。区設置の児童相談所でも一時保護の施設や人員も必要になります。一時保護をする子どもの年齢はまちまちであり、けがなどで入院している子どもは保護しやすいと聞いています。小児脳神経外科の専門医によると、乳児が頭を打って病院に運ばれた場合、転倒や転落など事故によるけがであっても虐待と判断されることがあり、入院中に突然一時保護となり親子分離、長期にわたって親が面会することもできない事態が起こっているということです。乳児の面会謝絶は、その子の育ちにも影響を与えかねず、子どもの安全が最優先としても、第三者の目がある場所での面会を認める必要があると考えます。
 都児童相談所では、こうした医療機関で対応した乳児の一時保護について、どのように実施しているのか、保護に至るまでの経緯や期間中の対応について伺います。

三 単身者向け住宅の確保について
 都営住宅の応募状況を見ると、単身者向けの倍率は世帯向けの2倍以上になっており、住宅に困っている単身者がいかに多いかを物語っています。
1 都営住宅における現在の単身者向けと世帯向けの戸数およびそれぞれの募集戸数はどれだけですか。
2 都営住宅建て替えの際に、単身者向け1DKの住宅を建設していますが、その戸数を決める考え方について伺います。また、公社住宅についてはどうなっているのか伺います。
3 高齢単身者が増加しており、2015年には全世帯数の1割以上が65歳以上の単身世帯です。今後の世帯動向を考えると、単身者向け住宅はますます必要になると予測されます。これまで都営住宅の総数を増やさない方針を掲げていますが、高齢単身者には低所得の人も多く、単身者向け住宅の割合について方針を持つべきと考えます。見解を伺います。
4 逆に、ソーシャルミックスのまちづくりという観点から、都営住宅が高齢単身者ばかりになるという懸念も生じています。若年ファミリー向けの定期使用住宅は、誘導策として有効と考えます。さらに、世帯向け住宅については、ルームシェアを可能にし、学生などの若者の居住を促す、またDV被害者のステップハウスとして使えるようにするなど、公営住宅として必要な機能をつくり出すことも重要と考えますが、見解を伺います。
5 高齢単身者が居住することを考えると、車いすを使用したり介護が必要になったりすることが予想されます。現在つくっている単身者向け住宅は、廊下の幅や段差など、容易にバリアフリー化できるものになっているのでしょうか。
6 改正住宅セーフティネット法により、所得の低い高齢単身者についても住まいへの家賃補助も含めたサポートが開始されつつあります。この制度では、高齢者を含めた住宅確保要配慮者に向けて、入居を拒まない賃貸住宅の登録や入居後の居住支援も行うことになっています。登録住宅の数や居住支援法人の指定数および家賃補助に関して、現在の取り組み状況について伺います。

平成30年第四回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 困難を抱える妊娠女性と出産・育児への支援について
1 妊娠相談ほっとラインでは、さまざまな妊婦の相談に応じている。相談の実情および、その後医療機関への連携や支援などについて伺う。

回答
 「妊娠相談ほっとライン」では、妊娠や出産に関する悩みを抱える女性の相談に対し、看護師等の専門職が電話やメールで助言等を行っており、平成29年度の相談件数は2,739件となっています。
 この窓口では、相談内容に応じて、医療・保健・子育て支援などの関係機関を紹介するとともに、特に継続的支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげています。
 また、区市町村は、妊娠届出時の面接等、様々な機会を通じて、悩みを抱える妊婦を把握し、関係機関と連携しながら支援につなげる取組を行っており、都は「ゆりかご・とうきょう事業」や包括補助で支援しています。

質問事項
一の2 都の特別養子縁組は、養子縁組里親へ委託した後、特別養子縁組されると聞いている。委託するまでの流れと年齢別の委託児童数および成立件数を伺う。

回答
 養子縁組里親への委託に当たっては、児童の福祉を第一に考え、心身の発達状況、保護者の家庭引取りの可能性など、児童一人一人の状況を総合的に勘案して決定しています。
 具体的には、児童を乳児院等へ措置している段階から、里親に対し児童の状況を説明した上で、面会を開始し、里親の状況、児童の様子をきめ細かく把握しながら、外出、外泊等の交流を重ね、委託につなげています。
 都に登録されている養子縁組里親への、平成29年度の年齢別新規委託児童数は、1か月未満の0歳児は2人、1か月以上の0歳児は14人、1歳児は11人、2歳児は5人、3歳児は2人、4歳児は1人、5歳児は1人となっています。
 また、平成29年度の特別養子縁組成立による委託解除件数は、32件となっています。

質問事項
一の3 特別養子縁組では、生まれてからなるべく早く養親につなげる必要がある。都が昨年度から始めた「新生児委託推進事業」の実績について伺う。

回答
 都は平成29年度から、児童相談所と乳児院に専任の職員を配置し、養子縁組が最善と判断した場合には、できる限り新生児のうちに委託する新生児委託推進事業を開始しました。
 本事業では、委託を希望する里親に対し、乳児院において沐(もく)浴や体調管理など新生児の養育に関する実践的な研修を実施するとともに、交流開始後は、里親の養育不安を軽減するための助言や里親子関係のアセスメントを集中的に行い、早期に委託につなげています。
 事業開始から平成30年12月末までに、15家庭が研修を受講しており、6名の乳児を委託しています。

質問事項
一の4 養親になる人の費用負担について、あっせんが児童相談所の場合は、生まれてから養子縁組里親として対応するため負担はないが、民間団体の場合は、必要経費を負担している実態がある。新規の「養子縁組民間あっせん機関助成事業」は、こうした課題に対応するものと期待するところである。養子縁組を目的として児童相談所から子どもの養育を委託された養子縁組里親に対して、どのような支援をしているのか。また、今年度から開始する「養子縁組民間あっせん機関助成事業」の内容についても伺う。

回答
 都では、養子縁組が成立するまでの間、国が定めた基準額に独自の加算を行い、養子縁組里親に対し、子供の日常生活に必要な経費を支給しています。
 また、関係機関が連携しながら、それぞれの役割に応じた専門的な支援を行うチーム養育体制を整え、養子縁組里親が地域で孤立しないよう支援するとともに、里親支援機関事業では、互いに養育の悩み等を話し合う里親サロンの開催や心理カウンセリング等を実施しています。
 養子縁組民間あっせん機関助成事業は、効果的な支援体制の構築を図ることを目的としており、関係機関との連携体制の構築や養子縁組成立後の相談支援等、養親希望者等の負担軽減に向けた支援の在り方を検証するための取組を実施する事業者に対し、財政支援を行うものとなっています。

質問事項
一の5 都はベビーボックスについてどのように認識しているか伺う。

回答
 熊本市内の民間医療機関が実施する「こうのとりのゆりかご」について、市が要保護児童対策地域協議会の中に設置した専門部会による平成29年9月の第4期検証報告書では、生後間もない子供を預け入れることの安全上の問題に加え、匿名で預け入れた場合に子供の出自が不明となること及び悩みを抱える実父母が支援につながらないことなど、多くの課題が指摘されています。
 都では、「妊娠相談ほっとライン」において、妊娠や出産に関する相談に看護師等の専門職が助言等を行っており、特に継続的支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげています。
 また、区市町村は、妊娠届出時の面接等、様々な機会を通じて、悩みを抱える妊婦を把握し、支援につなげる取組を行っており、都は「ゆりかご・とうきょう事業」や包括補助で支援しています。

質問事項
二 児童相談所の区設置について
1 区が設置する児童相談所に必要な機能について伺う。

回答
 児童相談所は、虐待や非行、障害相談など、あらゆる相談に対応するとともに、一時保護や施設入所、里親委託等の法的対応、虐待で傷つき情緒的な問題を抱えた子供たちへのケア、親子関係を修復し家庭へ復帰させる取組などを行っており、困難事案に対応できる専門性と、施設への広域的入所調整ができる体制が不可欠です。
 特別区が児童相談所を設置する場合は、それぞれの区で一時保護所を整備するとともに、児童福祉司や児童心理司をはじめ、保健師、医師、弁護士などの専門人材を確保、育成する必要があります。
 また、児童養護施設や児童自立支援施設等の入所調整には、新たに、都と特別区及び、特別区相互間での連携、協力が必要となります。

質問事項
二の2 都は、区が児童相談所を運営していけるよう、積極的にバックアップする必要がある。現在の準備状況について伺う。

回答
 平成28年の児童福祉法改正により、市と同様に特別区も、個別に政令指定を受け、児童相談所を設置できるようになりました。その指定に当たっては、児童相談所設置後も、児童福祉行政の円滑な実施が見込まれることを都道府県が確認することが必要とされています。
 都は、特別区長会から、練馬区を除く22区が設置を希望していると伺っており、現在、世田谷区、荒川区及び江戸川区と個別に児童相談所設置計画案の確認を行っています。
 具体的には、子供達の安全や安心の確保の観点から、相談援助活動の流れや人材の確保・育成、一時保護所の整備などを確認しています。
 都と3区との調整状況や提供した資料等は、特別区長会事務局を通じて他の設置希望区に周知しているほか、各区の求めに応じ、児童相談所の設計図面等について意見交換を行っています。

質問事項
二の3 都の役割として、職員となる人材の育成や、児童養護施設への入所、里親への委託など広域的な取組を強化するとともに、人材と財源を確保し、区への支援を実施していくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 特別区が児童相談所を設置する場合は、それぞれの区で児童福祉司や児童心理司などの専門人材を確保、育成する必要があります。
 都は、特別区の求めに応じ、平成29年度は特別区職員の研修派遣を35名受け入れ、平成30年度は66名に拡大しました。
 また、児童相談所の運営について理解が深まるよう、虐待相談や非行相談、一時保護等に関する勉強会を開催するとともに、都区間で、児童養護施設や一時保護所等の広域利用に関する検討を行っています。
 各区では人材の確保や育成、一時保護所の運営等をはじめとした設置に係る課題について検討が進められており、今後とも、子供達の安全や安心の確保の観点から、特別区の取組を支援していきます。

質問事項
二の4 都児童相談所では、こうした医療機関で対応した乳児の一時保護についてどのように実施しているのか、保護に至るまでの経緯や期間中の対応について伺う。

回答
 児童相談所が医療機関からの虐待通告を受理した場合、児童の安全確保の状態を確認した上で、児童福祉司等が速やかに医療機関に赴き、医師や保護者等から、病状や受傷の状況等に関する情報を総合的に収集します。
 初期対応に当たっては、児童の治療を最優先するとともに、児童の状態が安定し、受傷に至る経過の解明の中で、乳幼児揺さぶられ症候群など虐待が疑われる場合には、児童の安全確保のために一時保護を行います。
 保護先としては、医療的ケアが必要な段階では医療機関等となりますが、保護者の対応により児童の安全を守ることができないと判断した場合には、保護者の面会を制限することもあります。
 その後、家族構成、健康診査の受診状況、保育所など関係機関の関わりなど必要な調査を行い、虐待のリスクの有無を確認の上、援助方針を検討します。

質問事項
三 単身者向け住宅の確保について
1 都営住宅における現在の単身者向けと世帯向けの戸数およびそれぞれの募集戸数について伺う。

回答
 平成30年3月31日時点の都営住宅管理戸数は、251,693戸です。
 このうち2人以上の世帯が応募可能な住戸数は、250,810戸となっており、このうち82,109戸は、単身者も応募が可能です。これに加えて、単身者のみ応募可能な住戸数は、883戸となっています。
 一方、平成29年度における募集戸数は、9,499戸です。
 このうち2人以上の世帯が応募可能な募集戸数は、8,536戸となっており、このうち1,137戸は、単身者も応募が可能です。これに加えて、単身者のみ応募可能な募集戸数は、963戸となっています。

質問事項
三の2 都営住宅建て替えの際に、単身者向け1DKの住宅を建設しているが、その戸数を決める考え方について伺う。また、公社住宅についても伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ち、基準を設け、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しています。
 また、公社住宅の建替えに当たっては、入居者は多様な間取りの選択が可能であることから、賃貸住宅市況の将来需要予測、従前居住者の世帯構成や希望する間取り等の状況を踏まえ、型別(面積帯・間取り)ごとの供給戸数を決定しています。

質問事項
三の3 これまで都営住宅の総数を増やさない方針を掲げているが、高齢単身者には低所得の人も多く、単身者向け住宅の割合について方針を持つべきと考える。見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ち、基準を設け、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しています。
 また、都営住宅の募集に際しては、この基準を踏まえながら、単身者向けに適した間取りの住宅の提供に努めています。

質問事項
三の4 ソーシャルミックスのまちづくりという観点から、都営住宅が高齢単身者ばかりになるという懸念も生じており、若年ファミリー向けの定期使用住宅は、誘導策として有効と考える。さらに、世帯向け住宅については、ルームシェアを可能にし、学生などの若者の居住を促す、またDV被害者のステップハウスとして使えるようにするなど、公営住宅として必要な機能をつくり出すことも重要と考えるが、見解を伺う。

回答
 平成30年10月、東京都住宅政策審議会に、様々な世代が共に暮らせる都営住宅の実現に向け、都営住宅における管理制度等の在り方について諮問しました。現在、審議をしていただいており、平成31年5月頃、同審議会から答申を頂く予定となっています。
 また、DV被害者等世帯に対しては、5倍の優遇抽せんを実施しているほか、都営住宅の特別割当を実施しており、平成30年度の割当戸数は、婦人保護施設退所者向けに5戸、母子生活支援施設退所者向けに52戸となっています。

質問事項
三の5 現在つくっている単身者向け住宅は、廊下の幅や段差など、容易にバリアフリー化できるものになっているか伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、国が示している公営住宅に求められる基準に基づき、住戸内は介護用車椅子による利用を想定した仕様としています。具体的には、玄関扉や廊下幅は85センチメートル以上とすることを原則としており、また、住宅内は通行に支障のある段差をなくし、車椅子の通行を可能としています。
 さらに、身体障害などのやむを得ない事情があり、住宅管理上支障がないと認められる場合は、手すりを設置するほか、畳の部屋をフローリングに張り替えること等ができることとしています。

質問事項
三の6 改正住宅セーフティネット法により、所得の低い高齢単身者についても住まいへの家賃補助も含めたサポートが開始されつつある。この制度では、高齢者を含めた住宅確保要配慮者に向けて、入居を拒まない賃貸住宅の登録や入居後の居住支援も行うことになっているが、登録住宅の数や居住支援法人の指定数および家賃補助に関して、現在の取組状況について伺う。

回答
 都は、改正住宅セーフティネット法に基づき、平成29年10月から住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度を、同年12月からは住宅確保要配慮者の生活を支える居住支援法人の指定申請の受付を開始しました。
 平成30年12月末現在、入居を拒まない住宅の登録戸数は280戸に、居住支援法人の指定数は15法人になっています。
 家賃低廉化に係る取組については、国が創設した補助制度を活用して、平成30年度から、区市町村が住宅の貸主等に対して行う補助の2分の1を都が助成することとし、4区市において予算措置がなされ、順次入居が始まっています。
 今後とも、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録促進や補助制度の活用に努めていきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 池川友一

質問事項
一 障害者への差別解消と理解促進について

一 障害者への差別解消と理解促進について
 東京都のパラスポーツを応援する人を増やすプロジェクト「TEAM BEYOND」の一環として行われた「BEYOND FES 丸の内」で掲示されたポスターの中に、「障がいは言い訳にすぎない。負けたら、自分が弱いだけ。」という言葉があったことに、多くの批判の声が寄せられました。
 東京都は、「頂戴したお声を重く受け止め、東京駅構内の当該ポスターを撤去し、「TEAM BEYOND」ウェブサイト内の当該ポスター画像を削除いたしました」と発表しましたが、今後にどういかしていくのかが重要です。
1 こうした事態が発生した原因をどのように考えていますか。決定過程についても明らかにしてください。
2 また、こうした事態をくり返さないためにどのような対策を行うのでしょうか。
 「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」の前文には、「今なお、障害及び障害者への誤解や偏見その他理解の不足により、障害者は、日常生活や社会生活の様々な場面において、障害を理由とする不当な差別的取扱いを受け、自立や社会参加が妨げられている」「これら障害者が日常生活や社会生活で受ける差別や制限は、心身の機能の障害のみならず、社会における様々な障壁によって作り出されているのであって、障壁を取り除くことは社会全体の責任である」と書かれており、障害者の理解促進と差別解消のためには社会的障壁を取り除くことが必要だとしています。
 そして、「障害者の権利に関する条約、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等の理念の下、東京に暮らし、東京を訪れる全ての人が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、この条例を制定する」と謳っています。
3 「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」について理解を深めるべきだが、都庁内においてどのような取り組みをしていくのか伺います。

平成30年第四回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 障害者への差別解消と理解促進について
1 東京都のパラスポーツを応援する人を増やすプロジェクト「TEAM BEYOND」の一環として行われた「BEYOND FES 丸の内」で掲示されたポスターの中に、「障がいは言い訳にすぎない。負けたら、自分が弱いだけ。」という言葉があったことに、多くの批判の声が寄せられた。こうした事態が発生した原因をどのように考えているか。決定過程についても伺う。

回答
 「BEYOND FES 丸の内」では、障害者スポーツの選手や競技を覚えていただき、競技会場での観戦・応援を促進するため、23競技の選手について、競技中の写真とともに競技に向き合う強い気持ちを添えたポスターを、競技団体や選手の御協力の下で制作し、山手線内・東京駅構内等に掲示しました。
 御質問の言葉は、選手自身が競技に向き合う姿勢を表したものであり、決して他の方に向けられたものではありませんが、都のデザイン及び掲示方法が不適切であったため、不快な思いをされる方が生じる事態となりました。
 頂戴した声を重く受け止め、東京駅構内の当該ポスターを撤去し、「TEAM BEYOND」ウェブサイト内の当該ポスター画像を削除しました。あわせて、経緯、対応及び御不快な思いをされた方々に対するお詫(わ)びをウェブサイトに掲載しました。

質問事項
一の2 こうした事態をくり返さないためにどのような対策を行うのか伺う。

回答
 展示物等の趣旨・目的が適切に伝わるよう、より一層慎重な制作・掲示を心掛け、多くの方に障害者スポーツや選手の魅力をお伝えしていくよう努めていきます。

質問事項
一の3 「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」について理解を深めるべきだが、都庁内においてどのような取組をしていくのか伺う。

回答
 「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」第3条では、障害を理由とする差別の解消は、障害及び障害者に対する誤解、偏見その他理解不足の解消が重要であり、障害、障害者及び障害の社会モデルに関する理解を深めることを基本として推進することと規定しています。
 都は、これまで、理解すべき障害特性や配慮すべき事項をまとめたハンドブックを作成し、職員が障害のある人に適切に対応できるよう、都庁内への周知を図っており、平成30年10月の条例の施行に合わせて、このハンドブックを改訂し、あらためて都庁内に周知しました。
 また、障害者差別解消に向け、法令等の正確な理解促進などのため、全職員を対象としてe−ラーニング研修を行うとともに、職員が知っておくべき情報をメールで提供するほか、講演会等も開催しており、今後ともこうした取組を通じて、都庁内への普及啓発を図っていきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた駿

質問事項
一 分身ロボット技術による難病患者・重症心身障害者の社会参画について
二 医療的ケア児に対するスクールバスについて
三 警察官の被害届の取り扱いについて
四 都庁組織改編における「デジタルイノベーション本部(仮称)」設立について

一 分身ロボット技術による難病患者・重症心身障害者の社会参画について
 2018年11月末から12月初旬にかけて、日本財団ビルで「分身ロボットカフェ」という企画が行われました。遠隔操作されたロボットがカフェにてオーダーやサーブなどの作業を行うというものですが、驚くべきことは、このロボットを操作したのは難病や障害などでいわゆる「寝たきり」状態の方々であったことです。ある方は指先で、ある方は顎で、ある方は目の動きだけで。彼らのために開発された分身ロボットによって、ついに「寝たきり」状態にある人でも、自宅から遠隔操作によって「仕事」をすることが可能になりました。これはあらゆる人の社会参画の可能性を切り開く、非常に大きな一歩であったと考えます。そして、この分身ロボット技術を都が積極的に活用することで、多くの方々に極めて大きな機会を与えられることは疑いありません。そこで、以下の2点についてお伺い致します。
1 今回の分身ロボットカフェで勤務した方から「ぜひオリンピック・パラリンピックにボランティアとして参加をしたい」との要望を直接いただきました。分身ロボットはネット回線を通じて会話することもでき、会場内における道案内などのガイダンスであれば、技術的に十分に務めることが可能です。仮に分身ロボットでいわゆる「寝たきり」状態の方がボランティア参加を実現したとすれば、東京大会における「技術の進化」「多様性」を示すシンボルになることは間違いなく、社会に対して強いメッセージを発信できることになります。そこで、2020オリンピック・パラリンピックにおける都市ボランティアには、分身ロボットを使用して難病患者や重症心身障害者にも参加の機会を特別に設けるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
2 また、すでに現存する分身ロボットを用いて、民間企業に雇用されて勤務をしている事例も存在します。テレワークは「単純作業に向かない」「コミュニケーションが取りづらい」などの欠点がありましたが、分身ロボットによってそのいくつかの課題は解決に向かいつつあります。行政における障害者雇用率未達成が問題視されている今、都も積極的に分身ロボットを活用していわゆる「寝たきり」など、様々な状況下にある方々への就労機会を開くべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

二 医療的ケア児に対するスクールバスについて
 本年度から都内の特別支援学校において、医療的ケアを必要とする児童・生徒が「スクールバス」を利用して通学するための制度がスタート致しました。多くの保護者から熱望されていた専用スクールバスがようやく実現したことは喜ばしい反面、導入は段階的に行われており、希望する方々すべてが利用する段階には、まだまだ到達できていない状況であると仄聞しています。そこで、以下3点についてお伺いいたします。
1 医療的ケア児が利用できる専用スクールバスの現時点での導入台数や、今後の導入予定の計画をお示し下さい。
2 スクールバスが機動的に増便できない理由の一つは、同乗する看護師が不足しているためだと伺っておりますが、その現状について見解をお伺いいたします。
3 スクールバスの看護師不足を聞いたNPO団体が、医療的ケアに対応できる看護師の紹介を提案したところ、特定の登録団体以外の看護師でなければ対応できないと断られた旨の相談を受けました。看護師不足がスクールバス拡張の課題になっているのであれば、同乗看護師も幅広く受け入れて対策を講じるべきと考えますが、現状と今後の対応について所見をお伺いいたします。

三 警察官の被害届の取り扱いについて
 犯罪により害を被った者は、告訴権があると同時に、被害届を出す権利も有しています。なぜなら、「被害届」には虚偽告訴罪の適用もあるからです。そして、被害届は捜査の端緒となるものであり、これにより、刑事訴訟法189条2項により捜査が開始されます。「被害届」は犯罪被害者にとっても、事案の真相解明、侵害された法秩序の回復という社会正義のためにも重要な手段の一つということが言えます。そうであるならば、警察官が恣意的に被害届の受理・不受理を決めたり、あるいは、被害者が持ってきた「被害届」を取り下げさせるような言動をとるなどの誘導をすることは厳に慎むべきと解されます。この法理は、犯罪捜査規範61条に警察官の被害届の受理義務として規定されています。
 しかしながら、現実は警察官の被害届に対する態度は非常に不可解なものが多く散見されています。例えば、被害届の受理を千葉県警が先送りにしたことで、ストーカー殺人事件に発展した痛ましい事件はセンセーショナルに報道されました。東京都においても、いじめの被害届を警視庁東村山署が数回拒否したことが2012年に報道されました。そして、私自身も現に、ある被害について警視庁管轄の警察署に被害届を提出しようと訪れた際、提出者側の不利益を力説されて受理を拒否される態度を取られたことがあり、その際の記録を聞き返してみても、改めて対応に強く疑問を持っているところです。そこで、警察官の被害届の取り扱いについて、以下二点お伺いいたします。
1 警察官は、内部規範であるが、犯罪捜査規範61条により被害届の受理義務があるとされ、また、警察庁も2012年に全国の警察本部へ通達として、「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」を定め、被害届について「明白な虚偽または著しく合理性を欠く」ケースを除き「即時受理を徹底する」と明記し、受理しなかった場合、上司への報告を義務付けています。こうした規範や通達は警視庁において今なお有効であり遵守されているのか、すなわち、被害届について原則としての受理義務と即時受理徹底の運用が警視庁所属の警察官にあるのか伺います。
2 受理義務や即時受理徹底の運用が存在したとしても、現実には警察官が被害届の取り下げ誘導や受理の先送りをする余地が残されていると考えますが、一切こうした行動や態度を警視庁の警察官が取ることはないのか、そのような事例を警視庁は把握しているのか、見解をお伺いいたします。また、こうした誘導行為や先送りの態度を防ぐような指導や方針を改めて今後、内外に示すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

四 都庁組織改編における「デジタルイノベーション本部(仮称)」設立について
 第四回定例会の代表質問において、小池知事は都庁改編の必要性について初めて言及されました。直近では知事本局が政策企画局と改名された以外に大きな組織改編はなく、仮にこれが行われれば、大きな方向転換となり都政を動かすきっかけとなることは間違いありません。その際に必要になるのは、行政改革、とりわけ都庁内のIT改革を専門に担う組織の新設です。現在は総務局の中にIT化や行政改革を主導する部門が一分野として存在するものの、組織横断的に指導力やイニシアティブを発揮できる権限はなく、都庁内のIT化やデジタル改革は他の自治体と比べても大きな遅れを取っているのが実情となっています。
 そこで、都庁内のデジタル化を推し進めるために「デジタルイノベーション本部(仮称)」といった時限的な組織を立ち上げ、そのトップとなるCDO(チーフデジタルオフィサー)は民間人を登用するなどして、短期間に集中的に都庁改革を進めていくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。

平成30年第四回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 分身ロボット技術による難病患者・重症心身障害者の社会参画について
1 2020オリンピック・パラリンピックにおける都市ボランティアには、分身ロボットを使用して難病患者や重症心身障害者にも参加の機会を特別に設けるべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 東京2020大会では、都民一人一人が大会の担い手であると実感し、大会をより身近に感じていただくため、障害の有無などにかかわらず、多くの都民にボランティアとして活躍いただけるよう取り組んでいます。
 障害者等の方々による都市ボランティアとしての活動に当たっては、応募申込時に配慮や支援を要する内容をお伺いしています。今後、面談等の機会を通じ、補助具等の使用や適切な配置、介助者と一緒の活動などそれぞれの状況について把握していきます。

質問事項
一の2 行政における障害者雇用率未達成が問題視されている今、都も積極的に分身ロボットを活用していわゆる「寝たきり」など、様々な状況下にある方々への就労機会を開くべきだと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 誰もがいきいきと活躍できる社会の実現のため、障害者が能力や適性に応じて働くことができるよう、都が率先して取り組むことは重要と考えています。
 そのため、都では昭和56年度から身体障害者を対象とした採用選考を実施しており、また、平成29年度からは精神障害者、知的障害者にも対象を拡大しています。さらに、平成30年度から新たに知的障害者を対象とした一般就労の非常勤職員の雇用を開始し、障害の特性や職務内容を検証しながら、職域の拡大を図っています。
 分身ロボットを活用した業務には適性や限度があり、都が現在設定している職での採用は困難と考えますが、都の障害者雇用における職域拡大においては、民間の先進事例や新たな技術の動向も注視しつつ、必要な検証を重ね、今後も障害者の雇用促進に努めていきます。

質問事項
二 医療的ケア児に対するスクールバスについて
1 医療的ケア児が利用できる専用スクールバスの現時点での導入台数や、今後の導入予定の計画を伺う。

回答
 平成31年1月時点で、医療的ケアを要する児童・生徒が在籍する都立肢体不自由特別支援学校全17校において専用通学車両を運行しており、導入数は30台です。
 乗車できていない児童・生徒の乗車に向け、2月当初にさらに9台の増車を行いました。
 今後も、児童・生徒の安全を第一に、運行の準備が整ったところから順次運行を拡大していきます。

質問事項
二の2 スクールバスが機動的に増便できない理由の一つは、同乗する看護師が不足しているためだと聞いているが、その現状について見解を伺う。

回答
 専用通学車両の運行に当たり、車両に同乗する非常勤看護師の確保は喫緊の課題です。
 都教育委員会は、学校の非常勤看護師を確保するため、乗車業務に特化した看護師募集の新聞広告を掲載するほか、募集チラシの配布に併せて、保護者や看護師などを通じた有資格者への周知に努めています。
 また、重症心身障害児のケアや車両内での医療的ケアの実績がある訪問看護師の活用を図るため、都内で唯一の訪問看護に係る職能団体の協力を得ながら看護師を確保しています。
 これらの取組により人員の確保が進み、平成31年1月時点で運行している専用通学車両30台中25台に看護師が同乗しています。
 今後とも、必要な人員の確保に努めていきます。

質問事項
二の3 看護師不足がスクールバス拡張の課題になっているのであれば、同乗看護師も幅広く受け入れて対策を講じるべきと考えるが、現状と今後の対応について所見を伺う。

回答
 本事業は、学校に非常勤看護師を配置して専用通学車両に同乗させることにより、医療的ケアを要する児童・生徒の安全な通学手段を確保することを目的としています。
 学校の非常勤看護師については、募集に係る取組を強化した結果、車両に同乗する看護師は、事業開始当初の1名から1月現在42名に増加しました。
 訪問看護師については、児童・生徒の訪問看護の利用状況を踏まえ、学校の近隣にある訪問看護ステーションなどを中心に学校との調整を進めており、事業に関わるステーションは1月現在20事業所となっています。
 今後とも、非常勤看護師の採用と訪問看護師の活用を組み合わせながら、看護師確保の拡大に努めていきます。

質問事項
三 警察官の被害届の取り扱いについて
1 被害届について原則としての受理義務と即時受理徹底の運用が警視庁所属の警察官にあるのか伺う。

回答
 被害届の受理について、犯罪捜査規範第61条第1項は、「警察官は、犯罪による被害の届出をする者があったときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。」と規定しています。
 警視庁では、今後も、犯罪捜査規範の趣旨にのっとり、被害の届出に対しては、明白な虚偽又は著しく合理性の欠く場合を除き、迅速・確実な対応に努めていきます。

質問事項
三の2 受理義務や即時受理徹底の運用が存在したとしても、現実には警察官が被害届の取り下げ誘導や受理の先送りをする余地が残されていると考えるが、一切こうした行動や態度を警視庁の警察官が取ることはないのか、そのような事例を警視庁は把握しているのか、見解を伺う。また、こうした誘導行為や先送りの態度を防ぐような指導や方針を改めて今後、内外に示すべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 警視庁では、御質問にあるような事例の統計はとっていませんが、今後も、犯罪捜査規範の趣旨にのっとり、被害の届出に対しては、明白な虚偽又は著しく合理性の欠く場合を除き、迅速・確実な対応に努めていきます。

質問事項
四 都庁組織改編における「デジタルイノベーション本部(仮称)」設立について
 都庁内のデジタル化を推し進めるために「デジタルイノベーション本部(仮称)」といった時限的な組織を立ち上げ、そのトップとなるCDO(チーフデジタルオフィサー)は民間人を登用するなどして、短期間に集中的に都庁改革を進めていくべきと考えるが、都の所見を伺う。

回答
 都では、これまでも、その時々の行政課題に応じて組織の見直しを行うなど、適切な執行体制を確保してきました。
 都庁内のデジタル化を含むICT施策については、総務局に設置した専管部署において、「東京都ICT戦略」に基づき、全庁横断的に推進しています。
 また、推進に当たっては、高度な専門性を有する民間の人材を複数配置するとともに、ICT戦略担当理事を置くなど、事業展開に合わせて体制を整備しています。
 今後とも都政を取り巻く状況変化等を見据え、引き続き効率的・効果的な執行体制の構築に努めていきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原田あきら

質問事項
一 上野公園グランドデザインについて
二 シャンシャンの返還について
三 モノレールの改修・改築について
一 上野公園グランドデザインについて
 上野公園グランドデザインについてお聞きします。
 上野公園は2008年「上野公園グランドデザイン検討会報告書」に基づいて、『日本の顔となる「文化の森」の創造』と題して様々な改修改築、解体、軸道の整備などが進められてきました。しかし、その検討過程においては、必ずしも住民や利用者の幅広い意見が取り入れられたとは言えず、西洋美術館の景観を壊しかねない巨大ロータリーへの懸念、巨木を含む数百本にも及んだ樹木の伐採など問題を指摘する声も高まっています。
 策定から10年目を迎えようとしているグランドデザインですが、当時示された工事等はおおよそ完了したとも言われています。そこでお聞きします。
1 上野公園グランドデザインは10年目を迎えますが、今後あらたな方針の策定は検討されているのですか。
 そのような折、文化庁が主導する形で「世界に誇り得る日本の文化力を生かし、多彩な文化プログラムの展開を図ることによって、我が国が世界の文化交流のハブ(拠点)となる飛躍を目指す」と非常に大きな宣言とともに、上野『文化の杜』新構想推進会議が設置されました。「今後、上野地区において3000万人の集客を可能とするために必要なハード・ソフト両面にわたる整備方策について検討することを目的」とし、平成27年7月「上野『文化の杜』新構想 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会 日本の顔を世界に 」を発表しています。ここには東京都も参加をしていますが、その後の活動が見えてきません。そこでお聞きします。
2 「文化の杜」新構想にかかわって東京都は文化庁や推進会議、会議の実行委員会等とこの間どのようなやり取りをおこなってきたのですか。

二 シャンシャンの返還について
 上野動物園、ジャイアントパンダのシャンシャンが日本中の人気者となっています。しかし、シャンシャンは中国野生動物保護協会と東京都とのジャイアントパンダ保護研究実施の協定書により、来年度で中国に返すこととなっています。種の保存、研究などシャンシャンが「帰国」する相当の理由があるのはわかります。しかし、現在東京都上野動物園にシャンシャンがいてくれることはその人気を通して、単にかわいらしいというだけでなく、世界には様々な動物がいること、生物多様性を守る上で国際的な自然保護活動がいかに大事なことかを学ぶ、重要な機会の提供となっています。親であるシンシン、リーリー、そしてシャンシャンの親子がそろって暮らす姿は、都民に安らぎを与えており、家族そろっての返還期限の延長を求めることはできないのか、都民の関心は非常に高まっています。そこでお聞きします。
1 中国野生動物保護協会との協定書に基づく協議において、現在、都としてはどのような姿勢、方針で臨むのですか。シャンシャンやシンシン、リーリーの返還については、以上の観点から返還期限の延期について協議をすべきと考えるがいかがですか、お答えください。

三 モノレールの改修・改築について
 上野動物園にはモノレールがあります。これは全国初、世界2例目という国内最古のモノレールであり、片腕懸垂式という日本で唯一の型です。祝日や夏休みなどは30分待ちなど満員となり、乗客数はなんと年間100万人を超え、運行経費は運賃でほとんど回収できるほどの人気です。
 しかしながら、このモノレールは2001年製で更新時期を迎えています。これまでは宝くじ事業から車両建設費の満額(2両4億円)ほどを受け取ってきましたが、事業仕分けによってこの資金の公共事業への分配がなくなっている状況です。車両とともに橋脚の耐震化など大掛かりな工事も必要性が増していると聞きます。そこでお聞きします。
1 上野動物園のモノレールの老朽化対策にかかわる検討が建設局内で行われているのか、現在の検討状況、および今後どのように検討を進めるのか、お答えください。
2 歴史的にも、アトラクションとしても上野動物園の欠かせない一部となっているといって過言ではないモノレールについては、国内唯一となる片腕懸垂式を維持し、存続すべきと考えますがいかがですか。

平成30年第四回都議会定例会
原田あきら議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 上野公園グランドデザインについて
1 上野公園グランドデザインは10年目を迎えるが、今後あらたな方針の策定は検討されているのか伺う。

回答
 上野公園グランドデザインを踏まえ、平成21年9月に上野恩賜公園再生基本計画を策定しました。
 この再生基本計画に基づき、現在、公園の再整備を進めているところです。

質問事項
一の2 「文化の杜」新構想にかかわって東京都は文化庁や推進会議、会議の実行委員会等とこの間どのようなやり取りをおこなってきたのか伺う。

回答
 平成25年12月に上野地区の活性化を目的に、文化施設や民間企業、行政機関で構成される上野「文化の杜」新構想推進会議が設置され、平成27年7月に上野「文化の杜」新構想が発表されました。
 この構想の実現に向け、平成27年9月、博物館、美術館、音楽ホールや動物園等の関係機関により、上野「文化の杜」新構想実行委員会が設立されました。
 都は、文化庁とともに実行委員会のオブザーバーとして、必要な助言、調整等を行っています。
 また、実行委員会の下、上野公園周辺を舞台に、「文化の杜」として各機関・団体が相互に連携・協力して実施する、文化芸術発信力を高める活動等に対して、財政支援を行っています。

質問事項
二 シャンシャンの返還について
 中国野生動物保護協会との協定書に基づく協議において、現在、都としてはどのような姿勢、方針で臨むのか伺う。シャンシャンやシンシン、リーリーの返還については、以上の観点から返還期限の延期について協議をすべきと考えるが見解を伺う。

回答
 シャンシャンの返還に関して都民から様々な意見が寄せられていることは十分に認識しています。
 また、返還時期など協定に関する中国野生動物保護協会との協議については、適宜適切に対応していきます。

質問事項
三 モノレールの改修・改築について
1 上野動物園のモノレールの老朽化対策にかかわる検討が建設局内で行われているのか、現在の検討状況、および今後どのように検討を進めるのか、伺う。

回答
 これまで、上野動物園モノレールの安全運行のため、必要な対策に取り組んできました。
 具体的には、平成12年度にモノレール橋脚の耐震補強工事を行い、平成22年度からは、桁の塗装工事を順次実施してきました。
 一方、車両については、定期的に検査及び修繕を行ってきましたが、経年劣化が顕著に進んでいることから、平成31年10月末をもって運行休止とすることといたしました。
 今後のモノレールの在り方については、都民等の御意見を伺いながら、検討していきます。

質問事項
三の2 歴史的にも、アトラクションとしても上野動物園の欠かせない一部となっているといって過言ではないモノレールについては、国内唯一となる片腕懸垂式を維持し、存続すべきと考えるが見解を伺う。

回答
 上野動物園のモノレールについては、多くの方に御利用いただいている一方、国内唯一の片腕懸垂式のモノレールであり、車両メーカーの受注体制や、設備機器の更新など、様々な課題もあります。
 今後のモノレールの在り方については、都民等の御意見を伺いながら、検討していきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤田りょうこ

質問事項
一 都営浅草線西馬込駅周辺の自転車駐輪対策について

一 都営浅草線西馬込駅周辺の自転車駐輪対策について
 大田区内にある都営浅草線の西馬込駅前自転車駐車場において、利用者が増加し、平日の朝9時には満杯となり、自転車が駐車できない状態が多々あります。駅近隣の駐輪場は馬込特別出張所が所管しているこの1ヶ所のみで、収容台数は460台ですが、現在はこうした状況を鑑み、一時利用者の駐車場所として管理室わきのスペースに15台分、ライフコミュニティ利用者用を借用した30人分を加えて、現在505台の収容台数となっています。
 現在大田区では駐輪場の建設に向けて用地確保の検討を重ねてきていますが、土地取得にはいたっていません。このため、駅周辺では平日で40−50台前後の放置自転車が確認されています。西馬込駅は国道1号線沿にあり、歩道は人と自転車がすれ違うのも接触しそうなほど狭い幅であるため、放置自転車があることで通行の妨げになるばかりか、危険な状況となっています。
1 東京都交通局において、現在の西馬込駅周辺の自転車駐輪状況について、現状を把握されていますか?
 ライフコミュニティ西馬込の駐輪場は、260台が定期利用となっていて、その抽選を毎年行っています。今年の抽選倍率は3.53倍でした。単純計算で、この駐輪場を利用したい区民は918人です。駐輪場が不足している状況は、この数字から見ても明らかです。大田区は土地確保と同時に、道路わきなどで駐輪場の確保を警視庁にも相談していますが、設置が許可できるところはないとのことでした。
 大田区は、鉄道・バス網が発達していますが、鉄道駅から500メートル以遠で、かつバス停からも300メートル離れている地域、いわゆる交通不便地域があります。
 西馬込駅は、この交通不便地域にはさまれており、さらにその地域が広範であることから、近隣住民のみならず、遠方からも駅利用のために自転車を利用する区民が多くいることが想定されます。また、西馬込駅周辺は近年マンションの新規建設がすすみ、西馬込駅利用者は平成26年度から平成29年度までの4年間で4,371人増加しています。
2 平成26年度から29年度の間に、大田区から西馬込駅周辺の駐輪場整備に対する協力を求められたことはありますか?また、これまで大田区に対して、駐輪場整備のために土地の貸付などを行ったことはありますか?
 駅を利用する人では、働く子育て世帯が増加していることが保育園増設計画でもわかります。西馬込駅周辺では8園の認可保育園、定員482人分の増設・計画が進んでいます。今後も、保育園への送り迎えを行う駅利用者が増加することが見込まれており、これまでも子ども用の座席を設置した自転車が増えていましたが、今後もいっそう特殊な自転車が停められる駐輪場の整備が必要です。
3 こうした中、大田区は西馬込駅周辺で民有地の取得を試みましたが、決定には至りませんでした。地元区の駐輪場用地確保のために、交通局にも出来る限りの協力を求めますが、いかがですか?
4 西馬込駅周辺の駐輪場用地確保が地元区では非常に困難となっている実態から、東京都交通局として、大田区に対し馬込車両基地の土地の貸付を行うことも有効と考えますが、現在基地がどのように利用されているのか、伺います。
5 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律では、鉄道事業者は、駐輪場の設置に積極的に協力をしなければならないとされています。東京都は、都営地下鉄の運営者として、駐輪場の整備に対する責任をどう認識し、どう取り組んでいくのですか?

平成30年第四回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営浅草線西馬込駅周辺の自転車駐輪対策について
1 都交通局において、現在の西馬込駅周辺の自転車駐輪状況について、現状を把握しているか伺う。

回答
 都営浅草線西馬込駅周辺では自転車駐車場が不足していると、地元区から伺っています。

質問事項
一の2 平成26年度から29年度の間に、大田区から西馬込駅周辺の駐輪場整備に対する協力を求められたことはあるか。また、これまで大田区に対して、駐輪場整備のために土地の貸付などを行ったことはあるか伺う。

回答
 平成26年度から平成29年度までの間において、大田区から西馬込駅周辺の駐輪場整備に対する協力を求められたことはありません。
 なお、馬込駅A2及びA3出入口に隣接する局有地について、区に駐輪場としての使用を許可していましたが、エレベーター新設などに必要となったため、平成20年3月までに返還を受けました。

質問事項
一の3 地元区の駐輪場用地確保のために、交通局にも出来る限りの協力を求めるが、見解を伺う。

回答
 都では、これまでも、馬込駅出入口付近の局有地を使用許可するなど、駐輪場の整備に協力してきました。
 今後とも、可能な限り協力していきます。

質問事項
一の4 西馬込駅周辺の駐輪場用地確保が地元区では非常に困難となっている実態から、都交通局として、大田区に対し馬込車両基地の土地の貸付を行うことも有効と考えるが、現在基地がどのように利用されているのか伺う。

回答
 馬込車両基地では、浅草線のほか大江戸線車両の整備や保線作業を行う拠点などとして敷地を利用しています。

質問事項
一の5 都は、都営地下鉄の運営者として、駐輪場の整備に対する責任をどう認識し、どう取り組んでいくのか、見解を伺う。

回答
 都では、関係法令に基づき、地元区が行う駐輪場整備のために、駅出入口付近の局有地の貸付けなどを行っており、今後とも、これまでと同様、可能な限り協力していきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 西沢けいた

質問事項
一 宝くじの収益について
一 宝くじの収益について
 当せん金付証票、いわゆる宝くじは、全国の自治体の貴重な財源となっており、東京都においても、公共事業等の財源として活用されています。その収益の使途については、できる限り都民サービスの向上に寄与できるものとする必要があり、また、宝くじの収益が減った場合でも、必要な事業が縮小してしまうことがあってはならないと考えています。さらに、宝くじに対する都民の理解を得ていくためには都民に分かりやすく宝くじの財源充当についても説明をしていく必要があると考えています。そこで、以下の点について質問します。
1 宝くじの収益は、どのような事業に充てることができるのか伺います。
2 宝くじの収益は、予算編成の中でどのような考え方で各事業に充当しているのか伺います。

平成30年第四回都議会定例会
西沢けいた議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 宝くじの収益について
1 宝くじの収益は、どのような事業に充てることができるのか伺う。

回答
 宝くじの収益は、地方財政法第32条の規定により、公園整備などの公共事業のほか、総務省が定める省令により規定する12の事業に財源充当できるものとされています。
 例えば、省令第1号では、国際交流その他の地域の国際化の推進に係る事業が、省令第3号では、地域における人口の高齢化、少子化等に対応するための施策に係る事業が、省令第5号では、美術館、図書館、文化会館等芸術・文化活動の拠点となる施設の運営の充実その他の地域における芸術・文化の振興に係る事業が、それぞれ充当事業として規定されています。

質問事項
一の2 宝くじの収益は、予算編成の中でどのような考え方で各事業に充当しているのか伺う。

回答
 宝くじ収益については、公共事業及び省令により充当が可能な事業の中から、歳出予算に対する財源として、毎年度の発売計画額に基づく発売益金収益見込額に変動はあるものの、その時々の財政課題を踏まえ、他の財源も含めた財源充当の優先順位等を勘案して充当しています。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原のり子

質問事項
一 障害者の入院に際しての有料個室の扱いについて
二 島しょにおける救急ヘリコプターの運行等について
三 国の「農業次世代人材投資事業」について

一 障害者の入院に際しての有料個室の扱いについて
 知的障害のある方が入院する際に、個室へ入るように促され、多額の差額ベッド料金の負担に苦しんでいるケースがみられます。「希望したわけではないのに、個室に入るよう言われ、差額ベッド料金の負担が大変だった」「個室に入ることを拒否したら、入院させてもらえないのではないかと思い、断れなかった」「本来付き添いは必要ないうえ、個室に入ることにもなったのに、差額ベッド代は払い、親の付き添いまでしなければならなかった」「障害者を受け入れてくれる病院はあまりないので、我慢するしかない」「騒ぐとまわりに迷惑をかけるから個室へ、という場合、障害者本人の自己責任ということになるのか」などたくさんの声があります。障害者への合理的配慮という観点から、改善が必要ではないかと考えます。
 2018年3月5日、厚生労働省は、病院の特別療養環境室について、良い環境を求め、自ら選んで入るものであることや、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないことを明記した通知(保医発0305第6号)を新たに出しました。特別療養環境室とは、1部屋4床以下で、1人あたりの面積が6.4平方メートル以上で、病床のプライバシーを確保する設備がある、とされています。
 東京都は都立病院条例3条1項の4で、個室使用料(希望により使用する場合に限る。)1日28,000円以内で知事が定める額、と規定しています。
 改めて、東京都のこれまでのとりくみ、通知を受けての考え方についてうかがいます。
1 都立病院、公社病院での障害者の受け入れの現状を教えて下さい。昨年度、障害者の入院の状況、その内、有料個室利用数はどのようになっていますか。
2 そのなかで、有料個室を本人の希望ではなく利用したケースはどのぐらいありますか。
3 本人の希望でなく有料個室を利用する場合、有料個室使用料の負担は自己負担にすべきではないと思いますが、見解をうかがいます。
4 公社病院には有料個室の使用について、都立病院について条例で規定しているようなものが見受けられません。希望により使用する場合に限ることを都民に対して明示していく必要があると思いますが、見解をうかがいます。

二 島しょにおける救急ヘリコプターの運行等について
 東京都の島しょ人口は、2町7村で26,048人(2018年1月1日時点)、島によって大きな違いはあるものの、高齢化率は平均で30%を超えています。東京の離島は、本土から海を隔てて遠距離に位置しており、そのため医療機関は小児から高齢者までの全診療科、慢性疾患から3次救急まで対応することが求められています。近年、CTの設置も11島のうち7島にまですすみ、都立広尾病院と離島の医療機関との間で、画像伝送システムにより専門医の助言を受けられるように改善されてきています。しかし、それでも、島内で対応できない救急患者が発生した場合は、救急ヘリコプターにより都立広尾病院など島外に搬送することになります。毎年、200数十件が搬送されています。
 この救急ヘリコプターは、「生命に緊急を要する」と医師が診断する場合に運行されていると聞きます。島の方々からは、生命に緊急を要しない場合であっても、著しい苦痛があるときなどは運行してほしい、との要望が強くだされています。たとえば、骨折などで手術をおこなうが、生命に緊急を要しないと判断されれば、ヘリ搬送はされず、地力で船などにより島外の病院に行くことになります。一日かけて、大変な苦痛のなか移動を強いることは改善されるべきです。
 本土であれば、著しい苦痛があれば救急車での搬送があります。島しょ地域でも、本土と同じように対応すべきです。
1 島しょにおける救急患者の搬送について、救急ヘリコプターの搬送基準が示されているものがあれば、どこに、どのように書かれているのか明示してください。
2 救急ヘリコプターによる救急患者の搬送について、要請から搬送にいたるまでの手順を明らかにして下さい。
3 島外の病院に行くように診断された場合、時間と費用の負担は大きなものがあります。「たった20分の診察を受けるために、2日間かけている」、「骨折で付き添いの人がいないと島外の病院には行けない」などの声があります。「お金がかかるので、必要な医療をためらってしまう」との声もあります。島によっては、交通費の支援(例・利島7,000円×6回)を厳しい財政のなかで実施していますが、東京都としての支援が必要だと考えます。離島であるがゆえに、必要な医療を受けにくいという状態を少しでも改善していくために、交通費の補助制度を都として実施することを求めますがいかがですか?
4 島外への通院に要する住民負担を軽減し、必要な医療を受けられるようにすることは、各島にとって喫緊かつ重要な課題です。島しょ振興の観点から、各島の負担軽減を図るため、都としてでき得る支援策を幅広く検討すべきと考えますが、いかがですか?

三 国の「農業次世代人材投資事業」について
 国の青年の就農者に対する支援の一つである「農業次世代人材投資事業」(経営開始型)は次世代の農業を担う青年に対する支援で、年間最大150万円、最長5年間交付する制度です。しかし、5年間の間に怪我や病気等のやむを得ない理由で就農できない期間が発生すると、その期間の交付金は受けることができません。5年間という短くない期間では、誰にも怪我や病気が起こり得ます。
 都内は、都市農業、中山間地、島しょなど様々な条件で多彩な農業がおこなわれており、東京の魅力の一つにもなっていますが、農業従事者が高齢化し、減っていく中で、新規就農者を支援することは極めて重要です。
 次世代の農業者を支援するという制度の趣旨にたち、柔軟な対応が求められます。
1 都として、農業次世代人材投資事業について、怪我や病気の時など農業を休止せざるを得ない期間については5年間の期間から外し、再開時に休止前の残りの期間を交付対象とするような柔軟な対応を国に要請すべきと考えますが、いかがですか。
2 都としても、怪我や病気などやむを得ない理由で休業する農業次世代人材投資事業利用者に対し、休業中の期間の所得補償などの上乗せ補助を検討すべきと考えますがいかがですか。

平成30年第四回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 障害者の入院に際しての有料個室の扱いについて
1 都立病院、公社病院での障害者の受け入れの現状について、昨年度、障害者の入院の状況、その内、有料個室利用数はどのようになっているか伺う。

回答
 都立病院において平成29年10月に実施したワンデイ調査によれば、東京都の心身障害者医療費助成制度の利用並びに障害者総合支援法に定める更生医療及び育成医療により入院していた患者は合計123名であり、そのうち特別室を利用した患者は9名です。
 また、公社病院が都立病院と同日に実施したワンデイ調査によると、東京都の心身障害者医療費助成制度の利用並びに障害者総合支援法に定める更生医療及び育成医療により入院していた患者は合計48名であり、そのうち特別室を利用した患者は11名です。

質問事項
一の2 そのなかで、有料個室を本人の希望ではなく利用したケースはどのぐらいあるか。

回答
 都立病院の9名の患者のうち、治療上の必要で特別室を利用した患者は8名であり、残り1名の患者は本人の希望により特別室を利用しました。
 また、公社病院の11名の患者のうち、治療上の必要で特別室を利用した患者は1名であり、残り10名の患者は本人の希望により特別室を利用しました。

質問事項
一の3 本人の希望でなく有料個室を利用する場合、有料個室使用料の負担は自己負担にすべきではないと考えるが、見解を伺う。

回答
 都立病院及び公社病院において、本人の希望ではなく治療上の必要により特別室を利用した場合については、個室使用料は徴収していません。
 また、診療報酬改定に併せて発出される厚生労働省の通知においても、「患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。」とされており、適切に対応しています。
 なお、患者が特別室を希望する場合は、これまでもトイレ、シャワー浴室などの附帯設備や料金等について丁寧に説明し患者の同意を確認の上、利用いただいています。

質問事項
一の4 公社病院には有料個室の使用について、都立病院について条例で規定しているようなものが見受けられない。希望により使用する場合に限ることを都民に対して明示していく必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 特別室の使用については、厚生労働省の通知において患者の自由な選択と同意による場合に限られており、公社病院では、設備や料金等について丁寧に説明し、特別室使用申込書で使用の意思を確認の上、利用いただいています。
 また、各病院のホームページでも、特別室は患者の希望により利用できる旨、案内しています。

質問事項
二 島しょにおける救急ヘリコプターの運行等について
1 島しょにおける救急患者の搬送について、救急ヘリコプターの搬送基準が示されているものがあれば、どこに、どのように書かれているのか伺う。

回答
 都は、島しょ町村の救急業務を補完するため、総務局、福祉保健局、東京消防庁の3者による「島しょにおける救急患者等の搬送業務の役割分担に関する協定」を締結し、これに基づいて救急患者搬送に係る業務を行っています。
 島しょ町村長から救急患者の搬送要請があった場合には、本協定に基づき東京消防庁のヘリコプター等により、本土の医療機関に搬送しています。

質問事項
二の2 救急ヘリコプターによる救急患者の搬送について、要請から搬送にいたるまでの手順を伺う。

回答
 島しょの医療機関で対応できない救急患者が発生した場合、医療機関は町村長に通報します。
 通報を受けた町村長は、支庁を通じて都に救急患者の搬送を要請します。
 要請を受けた都は、東京消防庁のヘリコプター等により救急患者を搬送します。

質問事項
二の3 離島であるがゆえに、必要な医療を受けにくいという状態を少しでも改善していくために、交通費の補助制度を都として実施することを求めるが、見解を伺う。

回答
 島しょ町村の住民が、島外の医療機関へ通院等を行う際の交通費の一部助成については、住民の負担軽減のため、各町村が実情に応じて行っているところです。

質問事項
二の4 島外への通院に要する住民負担を軽減し、必要な医療を受けられるようにすることは、各島にとって喫緊かつ重要な課題である。島しょ振興の観点から、各島の負担軽減を図るため、都としてでき得る支援策を幅広く検討すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 市町村に対する総合的な財政支援制度としては市町村総合交付金がありますが、この交付金は、各団体が交付額の範囲内で充当先を判断する、市町村の一般財源を補完するものです。

質問事項
三 国の「農業次世代人材投資事業」について
1 都として、農業次世代人材投資事業について、怪我や病気の時など農業を休止せざるを得ない期間については5年間の期間から外し、再開時に休止前の残りの期間を交付対象とするような柔軟な対応を国に要請すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都はこれまで、国の「農業次世代人材投資事業」により、平成24年度から平成29年度までに39名の農業者の就農を支援してきました。
 国の実施要綱では、休止期間の対応について、災害や妊娠・出産により農業経営を休止した場合、休止から再開までの期間分の交付期間を延長することを可能としています。
 怪我や病気に伴う収入減少への備えについては、国が保険料の50パーセントを負担する農業者向けの収入保険制度が平成31年1月から開始されており、本制度により補償を受けることが可能となっています。
 引き続き、本制度の適正な運用に努めていきます。

質問事項
三の2 都としても、怪我や病気などやむを得ない理由で休業する農業次世代人材投資事業利用者に対し、休業中の期間の所得補償などの上乗せ補助を検討すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 国が平成31年1月から開始した農業者向けの収入保険制度は、病気や怪我により収入が減少した場合についても、補償の対象としています。
 このため都は、国と連携し、農業者による収入保険制度への加入を推奨していきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とや英津子

質問事項
一 城北中央公園調節池について

一 城北中央公園調節池について
 2018年7月の西日本豪雨による死者は200名を超え、避難者は4万2千人にのぼる大きな被害をもたらし、災害多発国日本の現実を改めて示しました。東京でも、同年8月末に世田谷区付近で1時間に110ミリメートル、練馬区では74ミリメートルの猛烈な雨を観測しています。日本は地震も起きやすく、台風の常襲コースに位置する地理的条件に加え、最近は豪雨の頻発のように従来と異なる様相をみせており、どの地域でも、あらゆる事態を想定し、備えを強めることが必要です。
 特に河川流域の市街化は雨水の流出形態に影響し、地球温暖化、異常気象と相まって集中豪雨や台風による洪水が頻繁に発生するようになっています。
 東京都は被害を最小限に抑えるため、河川の整備計画を策定してきましたが、練馬区内を流れる石神井川については新たな目標整備水準である時間75ミリの降雨に対応した調節池等を位置付けて「石神井川河川整備計画」(以下「計画」と言う)を変更し、2016年に国の認可を取得しています。
 石神井川は河川延長25.2キロメートル、小金井ゴルフ場付近に源を発し、小平市、西東京市から練馬区の三宝寺池、豊島園などから湧水を加え、板橋区から北区へと流れ、隅田川に合流する一級河川です。
 流域の歴史をみると、昭和初期には19.2%の市街地面積率であったのが、昭和30年代から40年代の10年間で急激に市街化が進み昭和40年代初期には78.5%に達しています。この流域では被害家屋100棟以上の浸水被害が出るなど対策が求められていました。
 そのため「計画」では、1時間あたり50ミリメートル規模の河道整備、公園整備等を活用した洪水を貯める調節池の整備、河川への流出を抑制する流域対策を位置づけています。調節池については、すでに上流部の西東京市に3ヶ所、練馬区の富士見調節池1ヶ所の4ヶ所において1時間あたり50ミリメートル対応の施設が整備されていますが、新たな目標整備水準に対応した調節池を6つの区間において整備していくこととしています。
 今回、都はその中の1つである新たな調節池を城北中央公園内に整備することとなり、2018年12月7日には地元住民への説明会が行われました。
 そこでお聞きします。
1 石神井川流域の調節池は、現在6つの区間で計画されていますが、城北中央公園調節池は、最も容量が大きく約25万㎥の規模です。この容量とした理由と調節池整備の効果についてお答えください。
2 「計画」では、「将来的には流域全体で1時間あたり100ミリメートル規模の降雨に対応できるよう治水水準の向上をはかる」とありますが、調節池以外の具体的な方法についてお答え下さい。
 城北中央公園調節池の工事はニューマチックケーソン工法で行うとの説明がありました。この工法は地下調節池をはじめ下水道処理場など幅広く用いられており、長い歴史と多くの実績を持つとのことです。
 一方、この工法は圧縮空気を鉄筋コンクリート製の函体であるケーソンの下部に送り込み、地下水圧と同じ圧力をかけながらケーソンを沈設する圧気工法です。そのため空気が漏出した場合、周辺の井戸や石神井川に酸欠空気が発生する恐れがあります。
 環境省によれば、酸欠空気は、吸入することによって息苦しさ、めまいなどの症状、末期には意識不明、呼吸停止、心臓機能停止など「酸素欠乏症」の症状がみられ、大変危険なものです。また、この酸欠空気が井戸、配管、壁面の割れ目を伝って周辺地域の地下室やトンネル、井戸等に漏出充満することで、住民に被害が生ずるとの見解を示しています。
 現在、外環本線シールド工事の影響で、世田谷区の野川では酸欠空気が発生したため、大問題になり、住民には不安が広がっています。
3 圧気工法を用いることによる、周辺の井戸や河川への影響についてお答えください。又、工事の計画に先立ち、工事区域の地質調査を行っていると思いますが、その結果の柱状図の提出を求めます。
4 酸欠空気の漏出が確認された場合の対応と健康への被害について具体的にお答えください。
5 工事にあたっては「法令の規定に基づき半径1キロメートル以内の範囲にある井戸・地下室の漏出の有無、その程度および酸素濃度を測定します」と述べていますが、1キロメートルの範囲の調査としている根拠と関係法令とは何をさしていますか。
6 1キロメートルの範囲以外で、住民が井戸の調査などを希望した場合調査はできますか。
 石神井川は、河川沿いに先土器時代以来の縄文、弥生、古墳、奈良、平安の時代まで遺跡をたどることができ、鎌倉時代以降は農地のかんがい用水として利用されてきたことが明らかになっています。また江戸時代には、石神井川以外の玉川上水、千川上水の用水も引かれ、石神井川流域の農業生産が飛躍的に増えたといわれています。
 この間の市街化に併せて河川整備が進められてきましたが、人工的なコンクリート護岸の連続が植物の生育を妨げ、街の景観特性との調和も難しくなったため、南田中団地付近や音無親水公園など、河道に入ることが可能な河川公園への整備や護岸の緩傾斜化による親水整備が行われてきました。
 都は、河川周辺の街並みや緑地等と一体となった河川景観・親水空間の保全・創出に努めると述べており、城北中央公園調節池の整備にあたっては、必要な治水機能を確保するとともに、公園と調和した親水整備を行うこととしています。
7 親水空間の整備にあたっては住民の声を直接聞く機会を設けるなどの対応を求めますが、いかがですか。さらに、石神井川の歴史も踏まえ、周辺環境とも調和のとれた親水空間を創出できるよう特段の努力を求めます。

平成30年第四回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 城北中央公園調節池について
1 石神井川流域の調節池は、現在6つの区間で計画されているが、城北中央公園調節池は、最も容量が大きく約25万㎥の規模である。この容量とした理由と調節池整備の効果について伺う。

回答
 新たな目標整備水準に対応した調節池の貯留量は、目標降雨により河川に集まる雨水を、下水道網や地形などを考慮して流域を分割したエリアごとに算定し、河川の流下能力を上回る部分を貯留するものとして計画しています。
 平成22年7月に板橋の雨量観測所で時間最大114ミリを記録した豪雨と同じ雨が降った場合でも、下流でのいっ水を防止するなどの効果を発揮します。

質問事項
一の2 「計画」では、「将来的には流域全体で1時間あたり100ミリメートル規模の降雨に対応できるよう治水水準の向上をはかる」とあるが、調節池以外の具体的な方法について伺う。

回答
 石神井川河川整備計画において、「将来的には流域全体で1時間100ミリ規模の降雨に対応できるよう治水水準の向上を図る」としており、現在は、時間75ミリの降雨に対処するため、護岸や調節池の整備を進めています。

質問事項
一の3 圧気工法を用いることによる、周辺の井戸や河川への影響について伺う。又、工事の計画に先立ち、工事区域の地質調査を行っていると思うが、その結果の柱状図の提出を求めるが、見解を伺う。

回答
 本工事の施工に当たっては、周辺の井戸や河川への影響がないよう、函(かん)体下部の刃先を地下水に水没させた状態で掘削するとともに、漏気回収装置を設置します。
 また、資料等の開示については、適切に対応します。

質問事項
一の4 酸欠空気の漏出が確認された場合の対応と健康への被害について具体的に伺う。

回答
 本工事の施工に当たっては、健康への影響がないよう、函(かん)体下部の刃先を地下水に水没させた状態で掘削するとともに、漏気回収装置を設置します。
 本工事で採用するニューマチックケーソン工法は、酸素欠乏症等防止規則第24条の対象となるため、規則にのっとり適切に対応します。

質問事項
一の5 工事にあたっては「法令の規定に基づき半径1キロメートル以内の範囲にある井戸・地下室の漏出の有無、その程度および酸素濃度を測定します」と述べているが、1キロメートルの範囲の調査としている根拠と関係法令とは何をさしているのか伺う。

回答
 労働安全衛生法に規定する「酸素欠乏症等防止規則」に基づき、調査範囲を決定しています。

質問事項
一の6 1キロメートルの範囲以外で、住民が井戸の調査などを希望した場合調査はできるか。

回答
 調査は、労働安全衛生法に規定する「酸素欠乏症等防止規則」に基づき、工事区域の周囲1キロメートル以内の範囲で実施します。

質問事項
一の7 親水空間の整備にあたっては住民の声を直接聞く機会を設けるなどの対応を求めるが、所見を伺う。さらに、石神井川の歴史も踏まえ、周辺環境とも調和のとれた親水空間を創出できるよう特段の努力を求める。

回答
 親水空間の整備に当たっては、地元区や公園管理者などと調整し、進めていきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山口拓

質問事項
一 非常用電源・自立電源確保について
二 東京の島しょ地域の振興方策について

一 非常用電源・自立電源確保について
1 災害時をはじめ、電源の確保が直近の災害でも大きな課題となりました。緊急時・災害時にその瞬間を凌ぐ大きな役割を担うのが非常用電気設備です。
 しかしながら、昨年都立病院においてまたつい先日も消防庁の多摩指令室の非常用電源が適正に作動せず、総合指令室に業務が移り難を逃れた事例も発生しました。
 そもそも非常用電源を利用する事態にならない限り、その稼動を確認ができない仕組みそのものに問題があり、入札時からこれを常に確認ができるようにしておくべきです。
 特に、病院や通信指令室など、稼動を止めて確認することができない施設においては当然のことと考えます。
 都の施設における非常用電気設備の設置と点検のあり方について、都の見解を伺います。
2 災害医療の中心を担う災害拠点病院や連携病院の一部では、自家発電設備が地下に設置されているため、水害時に機能しない危険性について指摘し、体制強化を図るよう提案してきました。
 さらに、7月の豪雨災害の現地にも赴き、施設が水没し機能を発揮できなくなってしまった惨状も目の当たりにしてきたところです。
 改めて、水害時にも機能する非常用電源の確保について、早急な改善を求めるものですが、都の見解を伺います。
3 さらには、熊本地震・大阪北部地震での教訓として、非常用電源が稼働しない、接続しないといった事例がありました。先般開かれた、東京都災害医療協議会では、災害拠点連携病院の非常用電源の機能について、ほとんどの連携病院が72時間の発電量をまかなう燃料を確保しておらず、機能不全に陥る実態が議論されたと聞いています。
 東日本大震災の電力不足を契機として、災害拠点病院・連携病院の非常用電源対策が充実・強化されてから7年。この間、震災時に最低限必要とされる電源確保に対する支援が行われず、放置されてきたことに、驚きを隠すことができません。
 72時間の電源確保に向け、早急に都の支援策等、必要な対応を行うべきと考えますが、見解を伺います。
4 72時間の電源確保に加えて、北海道地震で起こった長期にわたるブラックアウト対策も念頭に、さらなる自立電源確保策についても実行しなければなりません。
 すでに、都内自治体において、再生可能エネルギーや蓄電池等を組み合わせて、市庁舎はもちろん主要な公共建築物への自立電源配備を計画的に進めている自治体もあります。
 燃料供給の協定や計画があることは承知していますが、関係者が全力を尽くしても、震災時・水害時に、計画どおりに燃料が補給できるのか、確約できるものではありません。
 停電等電力供給の滞りが長期化した場合でも、災害拠点病院・連携病院がその機能を停止しないための再生可能エネルギーや蓄電池ほか、さまざまな方法による自立電源確保についても、早急に支援策を講ずるべきと考えますが、都の見解を伺います。
5 災害時の自立電源確保やCO2削減などを目的として、公共施設や避難所への太陽光発電設備・蓄電池を配備する自治体が増えています。IOTやAIなど新しい技術の進展により、気象の変化に適切に対応しながら需給バランスの調整や余剰電力の有効活用を図るなど、先進的な取組みも行われております。
 代表質問では、全避難所への太陽光発電設備・蓄電池の配備による災害時の自立電源確保策を早急に進めるよう求めたところですが、こうした設備をより効果的に活用し、防災力・環境への配慮効果を高めるために、さらに、VPP(バーチャル・パワー・プラント。仮想発電所)のように、複数の太陽光発電設備や蓄電池を組み合わせて最適制御する技術を活用した、地域防災力の強化を視野に入れた取組みについても推進すべきと考えますが、見解を伺います。

二 東京の島しょ地域の振興方策について
 私たちは、東京の島しょ地域における防災対策の強化・地域や産業の振興について、視察・調査し、現地において数多くの皆さまからご意見・ご要望を伺って参りました。
 これまでも継続的に島しょ地域の各島に訪問し、調査活動を重ねてきましたが、今回は、青ヶ島村、八丈町、三宅村にて、関係各位よりさまざまなご教示を頂き、調査活動を行わせて頂きました。
 もとより、東京の島々や周辺海域は、個性豊かな自然や文化的な価値だけでなく、水産物やレアアースといった資源を有するだけでなく、我が国の領海の約12%、排他的経済水域の約38%をもたらしており、国境離島としての役割なども含めると、我が国にとって非常に重要な位置を占めています。
 そうした東京の島しょ地域において、島で生れ育った方、島を愛して新しく移り住んだ方がこれからも安心して島の暮らしを続けられるようにするため、皆さんが日々直面する離島ゆえの諸課題への対処、震災・自然災害被害の低減、地域特性を活かした産業振興・観光振興を通じた地域活性化に対する取組みをしっかりと支援することは、我が国の権益保全等にも多大なる寄与をするものであり、町村、都、国が連携して、力強く進めていかなければなりません。
 数多くの課題がありますが、その中から今回の視察で得た課題認識に基づき、以下質問します。
1 平成29年に施行された、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法により、伊豆諸島南部地域(三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島)は、有人国境離島148島のうち71島のみが特定された、特定有人国境離島地域として、継続的な居住が可能となる環境整備が特に必要と認められる地域となりました。
 この法律の効力は、平成29年4月1日から平成39年3月31日までと定められています。この間に特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を最大限に活用し、人口減少・高齢化への対処、雇用機会の拡大、観光・ビジネス客の増加といった、島の生活・経済の持続可能性を高めるための取組みを推進すべきと考えます。
 そこで、まず東京都における島しょ振興関係予算の推移を伺うとともに、従来からの離島活性化交付金に加えて、新たな特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の交付・活用状況(輸送コスト低廉化、創業・事業拡大等、観光振興などの内訳)、さらには一層の活用に向けた都の見解を伺います。
2 青ヶ島では製塩事業所を視察致しました。村の支援により、ひんぎゃといわれる火山の噴気孔から得られる火山エネルギー、地熱を利用して製塩されており、全て手作業によって行われています。東京から南に358キロメートルの遙か太平洋沖の黒潮から作られる塩は、高品質の一方、コスト高の現状にあるとの説明がありました。販路の拡大が課題となっているとのことです。製塩所自身の努力はもちろんですが、都庁第一庁舎1階にあった販売店も閉鎖となっています。本土では竹芝に島しょ振興公社の売店がありますが、その他にも島しょや都内名産品のアンテナショップを都民が多く訪れる場所に設置するなど、自治体単体では難しい地場産品の盛り上げに都として取組むべきと考えますが、見解を伺います。
3 近年、島で深刻化しており、視察中にも多々見られた耕作放棄地・遊休農地対策については、再生事業の実施状況や新規就農者確保事業により給付を行った旨説明を受けました。しかし、八丈島では、30年4月1日現在で、昨年より65歳以上人口が1%増加し40%に達し、世帯数、人口ともに減少しています。
 農林業では、花卉園芸品で15億4,000万円、生産額の86%を産出しており、中でも斜面地でも容易に栽培でき、高齢者にも作業負担の少ないフェニックス・ロベレニーが205ヘクタール、作付面積の59.1%を占めており、価格もさることながら高齢化という観点からも島にとって有望な作物であるとのことです。
 しかし鮮度保持、安定出荷が課題であり、大田市場に多く出荷しているものの、天候不良や貨物便の欠航で出荷できない期間が多くなると、他の産地にその地位を奪われてしまうことを懸念しているとのことでした。
 保管設備を整備し、ある程度対応は進んだものの、貨物航空運賃、船の就航率向上などの課題が解決されないと、産地間競争で取り残されてしまう懸念もあるとのことです。
 ロベも年数が経つと樹高が高くなり、高所作業となってしまうため、高齢者には危険な作業となってしまい、やめてしまうこともあるとのことです。高齢者がやめてしまうと、遊休化してしまうため、植え替えなど農業継続のための対応も今後の課題です。
 そこで、こうしたことを踏まえ、島しょ地域の耕作放棄・遊休農地対策について、都としてどのように取組むのか、見解を伺います。
4 また、船便での出荷については、荒天による欠航が続くと市場に出荷できない期間が生じ、欠品リスクを嫌って取引が減ってしまう懸念があります。こうした事態に対処するためにも、船の就航率向上により一層取組むべきと考えますが、見解を伺います。
5 さらには、離島ゆえの課題として、輸送コストの高さが重しとなって、市場での競争力において不利になることが挙げられます。そのため、より一層の貨物運賃の値下げ、あるいは補助金の投入なども必要と考えますが、見解を伺います。
6 八丈町立病院においては、総合病院として運営しているが、医師・看護師不足がつづいているとのことです。都事業で募集を行うなど、現状でも支援を頂いてはいるものの、看護師については定員が充足されておらず、現在働いている方に負担がかかっているとのことです。
 その結果、大変な職場ということになり、なおさら人が集まらない状態に陥っているとのことです。こうした状況を打開し、厳しい職場環境の改善につなげるためには、島しょの看護師不足について、より一層の取組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。

平成30年第四回都議会定例会
山口拓議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 非常用電源・自立電源確保について
1 都の施設における非常用電気設備の設置と点検のあり方について、都の見解を伺う。

回答
 非常用電源設備は、災害発生など、緊急時に正常に稼働することが重要です。
 都の施設における非常用電源装置については、緊急時の業務継続の観点から、各施設管理者が法令上の義務や所管する業務の内容、設備の安全性などの様々な要素を検討した上で設置すべきものであり、また、法令や東京都業務継続計画等に基づき、各施設管理者が適切にその点検を行わなければならないと考えています。

質問事項
一の2 改めて、水害時にも機能する非常用電源の確保について、早急な改善を求めるが、都の見解を伺う。

回答
 都は、防災訓練説明会等の機会を活用し、都内の病院に対して、水害発生時においても必要な電源が確保できるよう、BCPの改定を働き掛けるとともに、自家発電機等の浸水対策に関する事例を紹介しています。
 また、国土交通省の洪水浸水想定区域データに基づき、浸水が予想される地域で自家発電機等を地下に設置している災害拠点病院に対し、ヒアリングを行うとともに、適切な場所への移設などの対策をとるよう助言を行っています。
 今後とも、水害等の発生時においても災害拠点病院等が医療機能を継続できるよう、様々な機会を通じ、自家発電機等の浸水対策について働き掛けを行っていきます。

質問事項
一の3 72時間の電源確保に向け、早急に都の支援策等、必要な対応を行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 災害拠点病院は、国の指定要件において通常使用する電力の6割程度の発電容量がある自家発電機等の保有や3日分程度の燃料確保が規定されており、都は施設整備等を支援してきました。
 また、災害拠点病院を補完し、主に中等症患者等の収容・治療を行う災害拠点連携病院を都独自に指定しており、自家発電機等の保有を求めています。
 近年の災害では、大規模な停電や浸水被害等が発生し、医療機関も大きな影響を受けており、そうした状況も踏まえ、有識者等で構成される災害医療協議会において、災害拠点病院、災害拠点連携病院の機能強化に向けた支援について検討を進めています。

質問事項
一の4 停電等電力供給の滞りが長期化した場合でも、災害拠点病院・連携病院がその機能を停止しないための再生可能エネルギーや蓄電池ほか、さまざまな方法による自立電源確保についても、早急に支援策を講ずるべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 都は、有識者や医療関係者等で構成する災害医療協議会を開催し、電源の確保などに関する課題や今後の取組について協議を行い、協議会の下に、災害医療コーディネーターや災害拠点病院の医師等のほか、ライフライン等について専門的な知見を有する委員を加えた検討部会を設置し、現在、災害拠点病院及び災害拠点連携病院の機能強化に向けた支援について検討しています。

質問事項
一の5 VPP(バーチャル・パワー・プラント。仮想発電所)のように、複数の太陽光発電設備や蓄電池を組み合わせて最適制御する技術を活用した、地域防災力の強化を視野に入れた取組についても推進すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、家庭や事業所等に対し、助成制度等により再生可能エネルギーや蓄電池の導入を促進しています。
 国では現在、IoTなどの新技術を活用して家庭や事業所等が保有する発電設備や蓄電池等を遠隔で統合制御し、一つの発電所のように機能させる仕組みであるVPPの実証事業に支援を行い、技術の構築や実用化を目指しています。
 都としては、引き続き災害時の自立性の向上にも資する再生可能エネルギーや蓄電池の導入拡大を図るとともに、余剰電力の有効利用などが期待される新技術を活用したエネルギーマネジメントの動向についても注視していきます。

質問事項
二 東京の島しょ地域の振興方策について
1 東京都における島しょ振興関係予算の推移を伺うとともに、従来からの離島活性化交付金に加えて、新たな特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の交付・活用状況(輸送コスト低廉化、創業・事業拡大等、観光振興などの内訳)、さらには一層の活用に向けた都の見解を伺う。

回答
 都は、島しょにおける個性と魅力あふれる地域づくりのために、平成29年度には284億円、平成30年度は251億円の予算措置を行い、インターネット環境の改善や漁港・空港の整備、観光振興等に取り組んでいます。
 また、離島振興法に基づく国の離島活性化交付金は、これまで観光PRや広報物作成等の交流促進事業、防災拠点としてのヘリポート整備などに活用されており、平成30年度は、6町村において、10件が申請され、127,644千円が交付される予定です。
 さらに、有人国境離島法に基づく特定有人国境離島地域社会維持推進交付金は、特定有人国境離島地域を離発着する航空機やヘリコミューターの島民向け運賃の引下げ、島内事業者の雇用機会拡充事業などに活用されており、平成30年度は、都を含めた5団体において、7件が申請され、83,432千円が交付される予定です。
 都は今後とも、こうした交付金の活用を働き掛けるなど島しょ町村と連携を図り、島しょ地域の自立的発展に向けた振興策を展開していきます。

質問事項
二の2 本土では竹芝に島しょ振興公社の売店があるが、その他にも島しょや都内名産品のアンテナショップを都民が多く訪れる場所に設置するなど、自治体単体では難しい地場産品の盛り上げに都として取組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 特産品の販売は、地域の魅力を旅行者に伝えるとともに、地域の活性化につながるため、島しょ地域の観光振興に活用することは効果的です。
 都はこれまで、毎年9月に東京ビッグサイトで開催される日本最大級の旅行博に全区市町村の特産品を出品し販売を行うとともに、地域の特産品の開発やこれを活用した観光振興の取組を支援しています。
 また、平成30年度には、羽田空港で日本全国の物産を集めた物産展を実施し、島しょ地域の特産品の販売も行っています。
 今後は、東京の特産品等を展示・販売する場の確保に向けて、東京観光情報センターを活用した取組を検討するなど、島しょ地域の観光振興につなげていきます。

質問事項
二の3 島しょ地域の耕作放棄・遊休農地対策について、都としてどのように取組むのか、見解を伺う。

回答
 都はこれまで、島しょ地域の耕作放棄・遊休農地対策として遊休農地の再生や、農地の貸借の促進を図ることで、新規就農や、農業者の規模拡大の取組を支援してきました。
 具体的には、遊休農地を再生するため、樹木の伐採・抜根といった障害物の除去や整地に要する経費に対して助成を行い、平成30年度は12月末時点で新島村や八丈町等、島しょ地域の遊休農地約2.8ヘクタールの再生を支援しています。
 また、農地の貸借の促進に向けては、農地の貸し手と借り手のマッチング機能を担う農地中間管理機構として指定された東京都農業会議へ補助を行い、平成30年度は12月末時点で新島村、神津島村等、島しょ地域において新たに約2ヘクタールの農地の貸借が行われています。
 これらの取組により、あしたばやフェニックス・ロベレニーといった島しょの特産農産物の生産拡大に向け、農地の有効利用を図っていきます。

質問事項
二の4 船便での出荷については、荒天による欠航が続くと市場に出荷できない期間が生じ、欠品リスクを嫌って取引が減ってしまう懸念がある。こうした事態に対処するためにも、船の就航率向上により一層取組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 これまで都では、島の気象、海象状況や地形など、その島の特性に合わせた港湾整備を進め、就航率の向上に取り組んできました。
 八丈島など比較的大きな島では、一つの島に二つの港を整備する一方、青ケ島などの小さな島では、地形的な要因等から複数の港の整備が困難なことから一つの港に二つの岸壁を整備するなど、風向きなどにより使用する港や岸壁を使い分けることができるよう、整備を進めてきました。
 今後も就航率向上に向け、岸壁や防波堤等の整備を進め、風や波に強く、安定的に利用できる港を目指していきます。

質問事項
 二の5 より一層の貨物運賃の値下げ、あるいは補助金の投入なども必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都では、貨物輸送の大勢を占める海上貨物の運賃が島民生活に与える影響を考慮して、一部の貨物運賃の補助を行うことで、物価の抑制と島内産業の振興を図っています。
 今後とも引き続き、貨物輸送については、海上貨物運賃補助制度を着実に実施していきます。

質問事項
 二の6 島しょの看護師不足について、より一層の取組が必要と考えるが、都の見解を伺う。

回答
 都は、島しょ地域の実情を十分に踏まえ、平成20年度に東京都へき地医療支援機構に無料職業紹介事業所を設置し、看護師を島しょの医療機関へ紹介するとともに、島しょの医療機関への就業希望者を対象とした現地見学会を実施する町村に対する補助を行っています。
 また、「島しょ看護職員定着促進事業」により、島しょで勤務する看護職員を対象とした出張研修を実施するほか、研修等で短期不在時の代替看護職員の確保等を支援することにより、看護職員のモチベーションの向上やケアの質の向上、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
 今後とも、島しょの町村と密接に連携しながら、安定的な看護師の確保に取り組んでいきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野ゆりえ

質問事項
一 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」について

一 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」について
 今年11月7日、東京都建設局は「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」を発表しました。この基本構想は、「葛西臨海水族園のあり方検討会」が公表した“海と人をつなぎ、海を守る水族園をめざして”のサブタイトルがついた報告書に基づき、策定されたと考えます。葛西臨海水族園は、1989年の開園から約30年が経っています。今後のあり方について、様々な角度から検討が深められたことは貴重です。
 ラムサール条約の登録湿地となった葛西海浜公園や木々の緑が豊かな葛西臨海公園の東に広がる鳥類園など、多様な自然に恵まれた環境の中に立地する葛西水族園が、生物多様性を守り、持続可能な社会への一拠点になることを願って、以下、質問します。
1 葛西臨海公園の開園面積は80.6ヘクタールです。1970年代初めに、東京都が施行者となって、江戸川区葛西地域を中心とした住民が所有していた水没民有地など約380ヘクタールを、埋立事業と区画整理事業を行なって土地をうみだし、造成したのが葛西臨海公園です。その後も、地元の人達の大きな協力によって、海と陸の自然が豊かに息づく公園になりました。
 また、葛西沖の海は、1950年代まで豊富な漁場としても知られ、食文化の発展にも貢献してきた歴史があります。
 地元住民は、水族園に「葛西」という名称がついていることに誇りを持っています。明治時代に上野動物園内に設置された日本初の水族館「観魚室(うをのぞき)」を起源とする葛西臨海水族園ですが、1989年開園の際、「葛西」の名称を入れてネーミングしたことについて、ご説明をお願いします。
2 葛西臨海水族園が更新の時を迎えた際、もし新しいネーミングを検討することがあった場合には、これまでの歴史を踏まえて「葛西」の名称を残していただくよう求めます。現在の英語表記(Tokyo Sea Life Park)にも「葛西」の地にある水族園であることがわかるネーミングを望みます。いかがですか。
3 葛西臨海水族園は、展示生物数は約600種・約4万3,000点、飼育生物数は940種・8万5,000点の展示・飼育生物を有し、交通もJR葛西臨海公園駅から徒歩数分の所にあり、立地条件に恵まれているなどのことから、年間平均150万近い人が訪れています。重要なのは、幼児から中学生まで、子ども達の自然学習の場として、大きな役割を果たしていることです。
 現在、入園料は、一般700円、中学生250円、65歳以上は半額の350円、小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料となっています。同じ都立の上野動物園や井の頭自然文化園と比較すると、いくらか高い料金ですが、来園者にとっては、経済負担感が少ない料金設定であると思います。
 現在の入園料は、どのような考え方に基づいて設定されているのか、ご説明ください。
4 「葛西臨海水族園のあり方検討会 報告書」には、「葛西臨海水族園は都立の社会教育施設で、安価(小学生以下及び都内在住在学の中学生は無料)で健全なレクリエーションの場として、非日常空間を多くの人に提供している」とあります。こうした役割をはたしていることに鑑み、更新した場合にも、経済的負担については十分な配慮が必要と考えます。現行の入園料のしくみを維持されるよう求めるものですが、いかがですか。
5 葛西臨海水族園は、開園当時から、ドーナツ型の大水槽にクロマグロが周遊し、その迫力が話題になっていました。その他、多種類の魚類だけでなく、フンボルトペンギンやウミガラスなどの鳥類の繁殖も取り組み、希少種の保全にも力を入れて来ました。今後も、こうした取り組みを続けるとともに、展示のあり方も来園者に自然の生態系がよくわかる工夫をしていただくよう求めます。いかがでしょうか。
6 葛西臨海水族園は、静かな環境の中で淡水生物の観賞ができるので好評です。現在は、海洋魚などの展示場所と少し離れた場所にあるせいか、訪れる人が少ないと感じます。静かな環境を守りつつ、より多くの人が、淡水生物に親しめるような展示の工夫もしていただきたいと感じます。「川と海の結節点」にある葛西の地にふさわしい水族園になるよう、更新にあたって検討を要望するものですが、いかがでしょうか。
7 今年10月18日、葛西海浜公園がラムサール条約の登録湿地になりました。また、葛西臨海公園には水族園に隣接して鳥類園があります。淡水の「上の池」、汽水の「下の池」があり、数多くの鳥類が飛来し、生息しています。東京都がこれまでも、努力されてきたことは承知していますが、水族園と鳥類園が連携して生物保全の取り組みを進めていただくことが必要と考えます。そのためにも、やはり老朽化が進んでいる鳥類園の保全・改修や、淡水の上の池の水の浄化の努力を求めるものですが、いかがでしょうか。
8 葛西臨海公園の開園面積は80ヘクタールを超え、その中に位置する葛西臨海水族園は8.6ヘクタールの広さです。訪れる人が誰でも、葛西臨海水族園の内外で自然に親しみ楽しめるように、バリアフリー、ユニバーサルデザインの観点で整備を進めることが望まれています。水族園の更新に向けて、設計などについてのお考えをお示しください。
9 「葛西臨海水族園」は、江戸川区南端の海辺に面しており、太陽の光に恵まれています。更新にあたっては、景観に配慮しつつ、太陽光を中心とした自然エネルギー導入を進めていただくよう求めるものです。自然エネルギー導入促進については、どのような検討を進めているでしょうか。伺います。
10 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」はパブリックコメントが行なわれましたが、今後、都の「基本構想」策定にあたっては、専門家はもとより、より丁寧に地元自治体や、地域住民の意見、要望を聞き取っていただくよう求めます。いかがですか。

平成30年第四回都議会定例会
河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想素案」について
1 地元住民は、水族園に「葛西」という名称がついていることに誇りを持っている。明治時代に上野動物園内に設置された日本初の水族館「観魚室(うをのぞき)」を起源とする葛西臨海水族園であるが、1989年開園の際、「葛西」の名称を入れてネーミングしたことについて、説明を伺う。

回答
 葛西臨海水族園については、葛西臨海公園内の有料施設として、東京都立公園条例第3条第4項に基づき、名称を葛西臨海水族園、設置年月日を平成元年10月10日と告示しています。

質問事項
一の2 葛西臨海水族園が更新の時を迎えた際、もし新しいネーミングを検討することがあった場合には、これまでの歴史を踏まえて「葛西」の名称を残すよう求める。現在の英語表記(Tokyo Sea Life Park)にも「葛西」の地にある水族園であることがわかるネーミングを望むが見解を伺う。

回答
 葛西臨海水族園の名称検討については、現時点では未定です。
 「Tokyo Sea Life Park」という英語による表記については、屋内の水槽展示に加え、園地に池や川の自然を再現した「水辺の自然」を整備することによって、様々な環境に生息する生き物と出会えることなどから、採用しています。
 現在では、世界各国の水族館等との交流に使用するなど、広く親しまれています。

質問事項
一の3 現在、入園料は、一般700円、中学生250円、65歳以上は半額の350円、小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料となっている。同じ都立の上野動物園や井の頭自然文化園と比較すると、いくらか高い料金であるが、来園者にとっては、経済負担感が少ない料金設定であると思う。現在の入園料は、どのような考え方に基づいて設定されているのか伺う。

回答
 入場料は、受益者負担の考え方に基づき、施設の維持に必要な経費などによって算定した原価を基本として、社会情勢の変化、教育的な配慮や他公共団体の同種施設の料金などを参考に設定しています。

質問事項
一の4 「葛西臨海水族園のあり方検討会報告書」には、「葛西臨海水族園は都立の社会教育施設で、安価(小学生以下及び都内在住在学の中学生は無料)で健全なレクリエーションの場として、非日常空間を多くの人に提供している」とある。こうした役割をはたしていることに鑑み、更新した場合にも、経済的負担については十分な配慮が必要と考える。現行の入園料のしくみを維持されるよう求めるものであるが、見解を伺う。

回答
 受益者負担の考え方に基づき、施設の維持に必要な経費などによって算定した原価を基本として、社会情勢の変化、教育的な配慮や他公共団体の同種施設の料金などを参考に、新たに入場料を設定します。

質問事項
一の5 葛西臨海水族園は、開園当時から、ドーナツ型の大水槽にクロマグロが周遊し、その迫力が話題になっていた。その他、多種類の魚類だけでなく、フンボルトペンギンやウミガラスなどの鳥類の繁殖も取り組み、希少種の保全にも力を入れて来た。今後も、こうした取り組みを続けるとともに、展示のあり方も来園者に自然の生態系がよくわかる工夫をしていただくよう求める。見解を伺う。

回答
 基本構想は、外部有識者によるあり方検討会の報告書に基づき作成したもので、新たな理念や機能の再構築など、今後の水族園像を示したものです。
 この中で、収集・飼育・繁殖、環境保全への貢献、展示・空間演出などを水族園の機能としており、これらの機能が有機的につながるよう取り組んでいきます。

質問事項
一の6 静かな環境を守りつつ、より多くの人が、淡水生物に親しめるような展示の工夫もしていただきたいと感じる。「川と海の結節点」にある葛西の地にふさわしい水族園になるよう、更新にあたって検討を要望するものであるが、見解を伺う。

回答
 葛西臨海水族園は、荒川と旧江戸川の河口付近で東京湾に面するといった立地特性を有しています。
 基本構想では、淡水と海水の結節点という立地を生かし、河川や湖沼を含め、海の文化や歴史を伝えられるよう、取り組むこととしています。
 淡水生物を含めた展示水槽については、今後、検討していきます。

質問事項
一の7 水族園と鳥類園が連携して生物保全の取組を進めていただくことが必要と考える。そのためにも、やはり老朽化が進んでいる鳥類園の保全・改修や、淡水の上の池の水の浄化の努力を求めるものであるが、見解を伺う。

回答
 鳥類園は、平成6年の開園以来24年が経過し、ウォッチングセンターの老朽化が目立ってきています。
 そこで、平成30年度には、ウォッチングセンターの老朽化調査を実施しており、この調査結果に基づき、対応していきます。
 また、上の池については、平成29年度に泥土除去を行い、現在、定期的に水質調査を実施しています。

質問事項
一の8 訪れる人が誰でも、葛西臨海水族園の内外で自然に親しみ楽しめるように、バリアフリー、ユニバーサルデザインの観点で整備を進めることが望まれている。水族園の更新に向けて、設計などについての考えを伺う。

回答
 葛西臨海水族園は、子供から大人までの幅広い世代が、国籍や障害の有無を問わず楽しむ施設であり、バリアフリー等のアクセシビリティを確保することが重要です。
 新たな水族園が、誰もが使いやすく魅力的な施設となるよう、取り組んでいきます。

質問事項
一の9 更新にあたっては、景観に配慮しつつ、太陽光を中心とした自然エネルギー導入を進めていただくよう求める。自然エネルギー導入促進については、どのような検討を進めているのか伺う。

回答
 基本構想においては、再生可能エネルギーの導入等、環境負荷の低減に効果的な対策を講じることとしています。

質問事項
一の10 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想素案」はパブリックコメントが行なわれたが、今後、都の「基本構想」策定にあたっては、専門家はもとより、より丁寧に地元自治体や、地域住民の意見、要望を聞き取っていただくよう求める。見解を伺う。

回答
 基本構想は、外部有識者によるあり方検討会の報告書に基づき、お寄せいただいた都民意見も参考にしながら策定しました。
 今後とも、地元をはじめ、都民に対し丁寧に説明をしながら進めていきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 米倉春奈

質問事項
一 日本語指導が必要な生徒への支援について

一 日本語指導が必要な生徒への支援について
 日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は、毎年増加し、2016年度の調査では、都内に小学生1564人、中学生814人、高等学校生526人となり、2年前の調査と比べて都内だけでも約600人増加している状況です。また日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒も、同年度の調査では、小学生800人、中学生191人、高等学校生80人で、前回調査よりも増えています。
 都教育委員会は現在、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)案を公表し、今年度中には策定する予定ですが、今後も、日本語の支援が必要な児童生徒は増加することが見込まれる中、子どもたちの語学力に見合った日本語支援と就学の機会を保障する計画とすることが求められています。
 まず、都立高校の入学者選抜制度についてです。
 日本語の支援が必要な子どもたちにとって、日本語で日常会話ができることと、日本語で教科書を読んだり授業を受けたりして内容を理解することや、日本語の試験を受けることには大きな差があります。
 これまで都立高校では、在京外国人対象の入学枠を設け、その対象校と定員数を拡充してきたことは重要ですが、倍率は2倍をこえる状況の中、さらなる定員拡大が求められています。
 また、入国後の在日期間が入学日現在3年以内の外国籍の方に対しては、一般の入学者選抜の学力検査問題と在京外国人生徒対象の入学者選抜の検査問題にひらがなのルビを振る措置と、辞書の持込と時間延長を認める措置がとられています。しかし、子どもたちの語学力を踏まえると、この措置が在日期間3年以内に限られることは厳しく、子どもたちを支援する関係者や保護者からは、年限の引き上げが求められてきました。そうした実態を受けて2019年度入学者選抜からは、在日期間を6年以内へ拡充し、また国籍を問わず日本国籍の生徒についても、日本語指導が必要な方は対象とするとしたことは重要です。
 同時に、入学者選抜の内容についても関係者からは要望が出ています。現在、在京外国人対象の入学選抜方法は、日本語か英語の作文と面接です。本来、日本語が不十分な生徒のための枠ですが、この選抜方法では英語圏出身者と滞日期間が長く日本語の習得が進んだ生徒が有利になり、来日後の時間が短い生徒は、学力があっても合格が困難になるという指摘もあります。作文と面接または学力試験のどちらかを選ばせてほしいとの声もあります。
1 在京外国人枠の入試選抜について、英語、数学での学力試験を行うことを求める要望がありますが、都教育委員会はどう考えていますか。
2 平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書でも、在京外国人生徒対象の選抜に関する課題等のまとめとして、検査の内容について「面接等に加えて、学力検査の実施について、日程、教科等、更に十分な検討が必要である」と記載していますが、都教育委員会は今後どのような検討をするのですか。
 保護者等の都合により、日本語の準備をする間もなく突然に外国から日本に移転せざるをえない子どもにとって、日本の高校へ入学することは、非常に困難な状況となっています。現地の高校から都立高校へ編入する場合、国語、数学、英語の試験を受けなければなりません。こうした子どもたちの支援をする関係者から、現地ではきわめて優秀な学業成績を収めているにもかかわらず、単に言葉の問題で入学できないケースもあると聞いています。
3 新実施計画(第二次)(案)の中でも、「在京外国人生徒等のニーズに対応した教育環境を整備していくことが重要」、「都立高校に入学した外国人生徒等が、学校生活を円滑に送るため、引き続き適切な支援を行っていく必要があります」と指摘されています。
 都立高校に、外国の高校から編入する場合に、入試が日本語のみとなると、子どもの高校教育を受ける機会がなくなる危険性が生まれますが、都教委はどう考えているのですか。
4 外国の高校から都立高校へ編入する外国人生徒については、日本語での試験ではなく、中国語や英語などでの入学試験の機会を提供してほしいという支援に携わる方々からの要望について、都教委はどう考えていますか。
 都立高校に入学した後の支援も大切です。
5 都立高校には日本語指導が必要な生徒はどのくらいいるのですか。外国籍及び日本国籍の最新の生徒数について、それぞれ伺います。
6 日本語指導が必要な生徒に対してどのような支援をしているのですか。
7 来日したばかりの生徒を都立高校に受け入れ、入学後に集中的に日本語教育を行うことや、日本独自の知識が要求される歴史や日本の文化などを集中的に教える仕組みの整備が必要ですが、都はどう認識し取り組んでいくのですか。
8 在京外国人枠が設置されている都立高校では、日本語指導が必要な生徒数に対して、教員が1人加配されますが、それだけでは生徒一人ひとりの状況に応じた支援は限られます。せめて小中学校の日本語学級並みの教員配置が必要だと考えます。支援の拡充のために教員加配などの検討が必要ですがいかがですか。
9 在京外国人入試枠がない都立学校にも、日本語支援が必要な生徒は多数在籍しています。しかしそうした学校には、在京外国人入試のある学校で行われている教員の加配や、国語などの授業時間を日本語指導にあてる取り出し授業も行われていません。在京外国人入試を行う学校と同様の支援をすべきですがいかがですか。
 生徒たちの入学や学校での日本語などの支援とあわせて、学校と生徒・保護者とのコミュニケーションを支援することも重要です。
 三重県では児童相談所で24時間多言語に対応する電話通訳を導入し、日本語の話せない外国人からの相談内容を正確に把握することで体制を強化しました。
10 学校と生徒や保護者間のコミュニケーションと意思疎通が必要となる場合に、多言語の通訳支援がうけられるようにする必要がありますが、都教育委員会はどう取り組んでいくのですか。
 同時に、学校からの文書などをウェブ上で日本語に限らず多言語で周知し、必要な情報を保護者等に伝える支援も必要ですがいかがですか。

平成30年第四回都議会定例会
米倉春奈議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 日本語指導が必要な生徒への指導支援について
1 在京外国人枠の入試選抜について、英語、数学での学力試験を行うことを求める要望があるが、都教育委員会はどう考えているか伺う。

回答
 在京外国人生徒の入学者選抜については、一般の入学者選抜とは別に特別募集枠を設け、学ぶ意欲を重視し、学力検査を行わず、日本語又は英語の面接及び作文により選抜を行っています。
 また、当該都立高校長が必要と判断した場合は学力検査を実施することができることとしています。

質問事項
一の2 平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書でも、在京外国人生徒対象の選抜に関する課題等のまとめとして、検査の内容について「面接等に加えて、学力検査の実施について、日程、教科等、更に十分な検討が必要である」と記載しているが、都教育委員会は今後どのような検討をするのか伺う。

回答
 都教育委員会は、毎年、検討委員会を設置し、前年度の都立高校入学者選抜を評価・検証した上で、次年度以降の入学者選抜の改善を図っています。
 在京外国人を対象とした選抜に関しては、平成28年度に特別部会を設置し、応募資格など受検に関する様々な課題について検討し、平成29年度には、事前の応募資格確認の機会を都教育委員会が主催するなどの取組を行いました。
 また、平成30年度には、ルビを振る措置の対象を入国から6年以内の者に拡大するなどしました。
 現在、検討委員会の中で、学力検査の実施等を含めた課題について継続的に検討を進めています。

質問事項
一の3 都立高校に、外国の高校から編入する場合に、入試が日本語のみとなると、子どもの高校教育を受ける機会がなくなる危険性が生まれるが、都教委はどう考えているのか伺う。

回答
 転学・編入学募集は、各学校が定員を充たしていない場合に行うこととしており、外国籍を有する生徒の編入学については、第一学期転学・編入学募集を毎年3月に実施しています。
 外国の現地校から編入学を希望する生徒については、志願者の修得単位数に応じて相当の学年に出願することができます。
 編入学は全日制課程、定時制課程及び通信制課程の多くの都立高校で実施しており、入学後に適切な指導や配慮ができるよう日本語能力を把握し、生徒の高校教育を受ける機会の確保に努めています。

質問事項
一の4 外国の高校から都立高校へ編入する外国人生徒については、日本語での試験ではなく、中国語や英語などでの入学試験の機会を提供してほしいという支援に携わる方々からの要望について、都教委はどう考えているか伺う。

回答
 編入学の実施方法については、国籍を問わず、国語、数学、外国語(英語)及び面接を原則として、各都立高校長が適切に定めるとしています。
 実施方法の決定に当たっては、必要に応じて検査教科の厳選や作文等他の検査への差し替え、専門教科を課すなど、受検者の編入学後に必要な学力等を適切に測ることができる検査としています。
 現在、検討委員会の中で、学力検査の実施等を含めた課題について継続的に検討を進めています。

質問事項
一の5 都立高校には日本語指導が必要な生徒はどのくらいいるのか。外国籍及び日本国籍の最新の生徒数について、それぞれ伺う。

回答
 文部科学省では、日本語指導が必要な児童・生徒の受入状況等に関する調査を隔年で行っており、平成28年度の調査では、都立高校における日本語指導が必要な外国籍の生徒数は526人、日本国籍の生徒数は80人です。
 また、都教育委員会では、文部科学省の調査が行われない年度に、日本語指導が必要な外国籍の児童・生徒について独自に調査を行っており、平成29年度の調査では、都立高校における日本語指導が必要な外国籍の生徒数は736人です。

質問事項
一の6 日本語指導が必要な生徒に対してどのような支援をしているのか伺う。

回答
 都教育委員会は、日本語指導の必要な生徒が、早期に授業内容を理解することができるよう、日本語の習得に向けた支援を実施しています。
 具体的には、生徒の状況等に応じて、授業中に、教員が別室で学習内容の理解や日本語習得のための指導を実施したり、外部人材が生徒の母語を介して授業内容の理解を促すための補助を行ったりしています。
 また、放課後や夏季休業日等には、教員や外部人材が、日本語の習得のための個別指導を実施しています。

質問事項
一の7 来日したばかりの生徒を都立高校に受け入れ、入学後に集中的に日本語教育を行うことや、日本独自の知識が要求される歴史や日本の文化などを集中的に教える仕組みの整備が必要だが、都はどう認識し取り組んでいくのか伺う。

回答
 日本語指導が必要な生徒に対する日本語指導の際に、日本固有の生活文化様式や歴史的出来事を題材とするほか、学校生活の様々な場面においても、生徒が円滑な学校生活を送れるよう支援しています。
 今後とも、日本語指導が必要な生徒のニーズに対応した日本語指導や学校生活を円滑に送れるための支援に努めていきます。

質問事項
一の8 在京外国人枠が設置されている都立高校では、日本語指導が必要な生徒数に対して、教員が1人加配されるが、それだけでは生徒一人ひとりの状況に応じた支援は限られる。せめて小中学校の日本語学級並みの教員配置が必要だと考える。支援の拡充のために教員加配などの検討が必要だが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、在京外国人生徒対象枠を設定した都立高校に対して、教員1名を加配しており、平成30年度は6校6名の加配を行っています。
 また、各校の実情に応じて、日本語指導等のために必要な時間講師も配置しており、引き続き、適切に対応していきます。

質問事項
一の9 在京外国人入試枠がない都立学校にも、日本語支援が必要な生徒は多数在籍している。しかしそうした学校には、在京外国人入試のある学校で行われている教員の加配や、国語などの授業時間を日本語指導にあてる取り出し授業も行われていない。在京外国人入試を行う学校と同様の支援をすべきだが、見解を伺う。

回答
 在京外国人生徒対象の入学者選抜がない都立高校では、外部人材を活用して、授業中に、生徒の母語を介して講義内容の理解を促すための補助を行ったり、放課後や夏季休業日等を活用して日本語の習得のための個別指導を実施したりしています。
 今後とも、日本語指導が必要な生徒のニーズに対応した日本語指導ができるような教育環境の整備に努めていきます。

質問事項
一の10 学校と生徒や保護者間のコミュニケーションと意思疎通が必要となる場合に、多言語の通訳支援がうけられるようにする必要があるが、都教育委員会はどう取り組んでいくのか伺う。同時に、学校からの文書などをウェブ上で日本語に限らず多言語で周知し、必要な情報を保護者等に伝える支援も必要だが、見解を伺う。

回答
 在京外国人生徒対象募集枠を設置している都立高校については、翻訳機能を使用して、生徒や保護者とのコミュニケーションの際に活用できるよう、タブレット端末を配備しています。
 また、高等学校等就学支援金の支給手続に係るリーフレット等について、英語、中国語、韓国語及びタガログ語の4言語に翻訳し、学校が必要に応じて保護者等への説明に活用できるようにしています。
 今後とも、学校と日本語指導が必要な生徒や保護者との間で、円滑なコミュニケーションが図れるよう、必要な改善に努めていきます。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 里吉ゆみ

質問事項
一 大規模事業所におけるCO2排出量の総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)について

一 大規模事業所におけるCO2排出量の総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)について
 都は、東京都環境基本計画で掲げた2030年までの都内温室効果ガス排出量削減目標(2000年比30%削減)の達成とその先の「脱炭素社会」の実現を見据え、これまで、「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」など気候変動対策に係る主な制度の新たな取組について、専門家等の意見を踏まえた検討を進めています。しかし、その中心となるキャップ&トレード制度の到達点と成果については、それを図るための基準、排出係数、事業所数などの資料が不明確な状態にあります。到達点と成果が不明瞭では、今後の施策形成も難しいので、以下、質問します。
 キャップ&トレード制度は、総数でみれば都内事業所のごく一部を占めるに過ぎない大規模事業所が、CO2排出量でみれば都内の業務・産業部門の排出量の相当部分を占めることにかんがみ、大規模事業所に社会的責任を果たさせる立場から創設されています。このため、制度創設当時と現在で、都内の業務・産業部門のCO2排出量に占める大規模事業所の排出量の推移を正確につかむことが必要です。そこでお尋ねします。
1 都内の業務2008年3月の環境審議会答申は、「都内の排出実態を詳しく見ると、都内事業所数の1%に満たない大規模なCO2排出事業所からのCO2排出量が、都内の業務・産業部門の排出量の約4割を占めている」としていますが、この「大規模なCO2排出事業所」の定義、事業所数、排出量は明確にされていないなど詳細は不明です。2007年度から2008年度にかけておこなわれた「ステークホルダーミーティング」の第二回では、「都内大規模事業所数の温暖化ガス排出状況等」(資料3)として、都内業務・産業部門のCO2排出量約2660万トンに占める割合が4割である旨の円グラフがありますが、4割ならば約1000万トン程度となるにもかかわらず、その左の表では、大規模事業所の温暖化ガス排出量は基準排出量として1319万トンと大幅に上回る量が提示されていて、齟齬が生じています。
 2008年答申における「大規模なCO2排出事業所」の定義、事業所数(産業・業務ごと)及び、そのCO2排出量(産業・業務ごと)、用いられたCO2排出量係数をそれぞれ示してください。
2 また、2010年度のキャップ&トレードの創設当時、対象となった大規模事業所の事業所数(産業・業務ごと)及び、そのCO2排出量(産業・業務ごと)、産業・業務部門のCO2排出量に占める割合、用いられたCO2排出量係数をそれぞれ示してください。
3 直近の大規模事業所の事業所数(産業・業務ごと)及び、そのCO2排出量(産業・業務ごと)、産業・業務部門のCO2排出量に占める割合、用いられたCO2排出量係数をそれぞれ示してください。
4 都は、環境基本計画2008で2020年までに2000年比温暖化ガス25%削減、環境基本計画2016で、2030年までに2000年比30%のCO2排出削減をめざすとしている。いずれの計画でも、2000年度が基準年になっています。ところが、キャップ&トレードの対象となっている大規模事業所については基準年の排出量が明らかになっていません。大規模事業所のCO2排出量について、産業、業務ごとに示してください。
 都内では、都市再生を名目に超高層の業務ビルが制度創設後も、数多く建設されており、建設そのものにはコントロールが効いていないとの声が出されています。大規模事業所の排出量の実情を調べるためには、産業と業務をそれぞれ切り分けて、超高層ビルの建設による業務ビルの増大が、CO2排出量にどのような影響を与えているかをみることも大切です。
5 大規模排出事業所の事業所数、排出量、延べ床面積等の変遷について、業務・産業別に年度ごとに示してください。
6 第二計画期間の基準排出量を1650万トンとしていますが、基準排出量の対象となる大規模事業所がどのような事業所であるのか、定義などが不明瞭です。大規模事業所の対象(いつまでに制度に参加した事業所なのか、制度開始時点の事業所の基準排出量の総計か、別の時点での制度参加事業所の基準排出量の総計か)、産業・業務別の事業所数と基準排出量はいくつか、それぞれ示してください。
7 2016年度の制度対象事業所の総CO2排出量を1213万トンとしていますが、このケースでの制度対象事業所の対象(いつまでに制度に参加した事業所なのか、制度開始時点の事業所の基準排出量の総計か、別の時点での制度参加事業所の基準排出量の総計か)、産業・業務別の事業所数と総CO2排出量はいくつか、それぞれ示してください。
8 第1期の削減義務率について、「対策義務水準:2つの視点から検討」「視点〔1〕削減対策の実施による削減余地等」「視点〔2〕都の温暖化ガス削減目標の達成」、それぞれの視点が目標にどのように反映されたのか、具体的に示してください。
9 第2期の削減義務率の考え方と具体的な反映のされ方について示してください。
10 第3期の削減義務率の考え方と具体的な反映のされ方について示してください。

平成30年第四回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 大規模事業所におけるCO2排出量の総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)について
1 2008年答申における「大規模なCO2排出事業所」の定義、事業所数(産業・業務ごと)及び、そのCO2排出量(産業・業務ごと)、用いられたCO2排出量係数をそれぞれ伺う。

回答
 大規模なCO2排出事業所とは、環境確保条例に基づき平成17(2005)年度から平成21(2009)年度まで運用していた地球温暖化対策計画書制度(以下「旧制度」という。)の制度対象事業所で、燃料・熱・電気の使用量が原油換算で年間1,500キロリットル以上の大規模事業所です。
 対象事業所数等については、次のとおりです。
 部門 対象事業所数 CO2排出量
 (万トン) 電力のCO2排出係数
 (以下「電気の排出係数」という。)
 産業 298 441 0.318トン毎千キロワット時
 業務 976 714
 合計 1,274 1,155
 注1 平成17(2005)年度、平成18(2006)年度に旧制度の地球温暖化対策計画書を提出した事業所の集計(ステークホルダーミーティング第2回資料3作成時点での確定値。なお、当該資料における大規模事業所の基準排出量算定に用いた電気の排出係数は、旧制度で用いた0.386トン毎千キロワット時)
 注2 CO2排出量は、上記の集計を基に、都内産業・業務部門のCO2排出量算定に用いた電気の排出係数(0.318トン毎千キロワット時)で再算定した値

質問事項
一の2 2010年度のキャップ&トレードの創設当時、対象となった大規模事業所の事業所数(産業・業務ごと)及び、そのCO2排出量(産業・業務ごと)、産業・業務部門のCO2排出量に占める割合、用いられたCO2排出量係数をそれぞれ伺う。

回答
 対象事業所数等は、次のとおりです。
  産業 業務
 対象事業所数 180 1,178
 CO2排出量(万トン) 265 1,165
 都内の産業・業務部門に占める割合(パーセント) 39
  45 38
 なお、第一計画期間(平成22(2010)年度から平成26(2014)年度まで)の電気の排出係数は0.382トン毎千キロワット時ですが、第二計画期間との比較を容易にするため、CO2排出量は、第二計画期間の電気の排出係数(0.489トン毎千キロワット時)で再算定した値です。
 注 都内の産業・業務部門に占める割合は、都内の産業・業務部門のCO2排出量を、第二計画期間の電気の排出係数(0.489トン毎千キロワット時)で再算定した値に対する割合

質問事項
一の3 直近の大規模事業所の事業所数(産業・業務ごと)及び、そのCO2排出量(産業・業務ごと)、産業・業務部門のCO2排出量に占める割合、用いられたCO2排出量係数をそれぞれ伺う。

回答
 直近として、第二計画期間2年度目にあたる平成28(2016)年度の対象事業所数等は、次のとおりです。
  産業 業務
 対象事業所数 155 1,086
 CO2排出量(万トン) 202 1,012
 都内の産業・業務部門に占める割合(パーセント) 39
  41 39
 電気の排出係数
 (トン毎千キロワット時) 0.489
 注 都内の産業・業務部門に占める割合は、都内の産業・業務部門のCO2排出量を、第二計画期間の電気の排出係数(0.489トン毎千キロワット時)で再算定した値に対する割合

質問事項
一の4 都は、環境基本計画2008で2020年までに2000年比温暖化ガス25パーセント削減、環境基本計画2016で、2030年までに2000年比30パーセントのCO2排出削減をめざすとしている。いずれの計画でも、2000年度が基準年になっている。ところが、キャップ&トレードの対象となっている大規模事業所については基準年の排出量が明らかになっていない。大規模事業所のCO2排出量について、産業、業務ごとに伺う。

回答
 キャップ&トレード制度における大規模事業所の基準排出量は、平成14(2002)年度から平成19(2007)年度までのいずれか連続する3か年度の平均値で算定しています。

質問事項
一の5 大規模排出事業所の事業所数、排出量、延べ床面積等の変遷について、業務・産業別に年度ごとに伺う。

回答
 対象事業所数等の変遷は、次のとおりです。
 年度 対象事業所数
 (各年度末時点) CO2排出量
 (万トン) 延べ床面積
 (万平方メートル)
  産業 業務 産業 業務 産業 業務
 22(2010) 180 1,178 265 1,165 879 10,586
 23(2011) 182 1,210 247 1,036 874 10,331
 24(2012) 182 1,225 243 1,045 865 10,396
 25(2013) 171 1,213 237 1,038 871 10,395
 26(2014) 168 1,168 226 1,016 859 10,455
 27(2015) 163 1,108 209 1,015 846 10,524
 28(2016) 155 1,086 202 1,012 825 10,602
 注1 第一計画期間(平成22(2010)年度から平成26(2014)年度まで)の電気の排出係数は0.382トン毎千キロワット時ですが、第二計画期間との比較を容易にするため、第一計画期間のCO2排出量は、第二計画期間の電気の排出係数(0.489トン毎千キロワット時)で再算定した値
 注2 CO2排出量は、各年度の制度対象事業所のうち、規模縮小等により制度対象外となる事業所のCO2排出量を除外等した値

質問事項
一の6 大規模事業所の対象(いつまでに制度に参加した事業所なのか、制度開始時点の事業所の基準排出量の総計か、別の時点での制度参加事業所の基準排出量の総計か)、産業・業務別の事業所数と基準排出量はいくつか、それぞれ伺う。

回答
 対象は、制度開始(平成22(2010)年4月1日)時点で制度対象である事業所です。
 対象事業所数等は、次のとおりです。
  産業 業務
 対象事業所数 184 1,170
 基準排出量
 (万トン) 337 1,313
 注 第一計画期間(平成22(2010)年度から平成26(2014)年度まで)の電気の排出係数は0.382トン毎千キロワット時ですが、第二計画期間との比較を容易にするため、第一計画期間のCO2排出量は、第二計画期間の電気の排出係数(0.489トン毎千キロワット時)で再算定した値

質問事項
一の7 2016年度の制度対象事業所の総CO2排出量を1213万トンとしているが、このケースでの制度対象事業所の対象(いつまでに制度に参加した事業所なのか、制度開始時点の事業所の基準排出量の総計か、別の時点での制度参加事業所の基準排出量の総計か)、産業・業務別の事業所数と総CO2排出量はいくつか、それぞれ伺う。

回答
 対象事業所数等は、次のとおりです。
  産業 業務
 対象事業所数 153 1,071
 総CO2排出量
 (万トン) 202 1,012
 注 対象事業所数は、平成28(2016)年度の制度対象事業所のうち、規模縮小等により制度対象外となる事業所を除外等した値

質問事項
一の8 第1期の削減義務率について、「対策義務水準:2つの視点から検討」「視点〔1〕削減対策の実施による削減余地等」「視点〔2〕都の温暖化ガス削減目標の達成」、それぞれの視点が目標にどのように反映されたのか、具体的に伺う。

回答
 第一計画期間の削減義務率は、平成32(2020)年のCO2削減目標達成の観点から、平成32(2020)年における大規模事業所の目標排出量を算定した上で、最初の5年間はその後の大幅削減に向けた始動期と位置付け、これに基づく義務率8パーセントを算定しました。
 削減余地については、旧制度で蓄積していたデータなどに基づく検討を行い、運用対策の徹底に加え、照明や空調の高効率化など、現在利用可能な技術を十二分に活用することで、必要な削減量がおおむね達成できるものと試算しました。

質問事項
一の9 第2期の削減義務率の考え方と具体的な反映のされ方について伺う。

回答
 第二計画期間の削減義務率は、平成32(2020)年のCO2削減目標達成の観点から、平成32(2020)年における大規模事業所の目標排出量を算定した上で、第一計画期間に続く5年間について、より大幅な削減を定着・転換する期間として、17パーセントという見通しを第一計画期間の開始前に示しました。
 東日本大震災による節電後の状況を踏まえて、対象事業所の今後の削減余地について検討を行い、実施可能な一般的な省エネ対策によって、必要な削減量がおおむね達成できるものと試算しました。

質問事項
一の10 第3期の削減義務率の考え方と具体的な反映のされ方について伺う。

回答
 第三計画期間の削減義務率は、平成42(2030)年のCO2削減目標達成の観点から、平成42(2030)年における大規模事業所の目標排出量からバックキャスティングにより27パーセントと算定しました。
 また、事業所の省エネ余地などを分析するとともに、低炭素電力選択の仕組みを拡充することも検討しています。
 パブリックコメントでは、第二計画期間より10ポイント高い27パーセントで提示しました。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 オリンピック・パラリンピック大会の成功について
二 中小企業振興について
三 子育て施設の質の向上について
一 オリンピック・パラリンピック大会の成功について
 2020年のオリンピック・パラリンピック大会の成功に向けて取り組みが進められています。大会の成功は望むべくものですが、都民の中にも温度差があるため、熱心な方もそうでない方もいるのは実情です。そのため、大会の成功といえるものとするには、多くの方が望み、期待し、納得するものとなることが必要です。そのためにも、人類誰もが望む平和のための祭典であることが明確にされること、情報公開を積極的に進め経費が適切に使われていることを示す必要があります。以下の質問をします。
1 オリンピックは7月24日から8月9日まで開会されます。期間中に広島に原爆が投下された8月6日を迎え、最終日の閉会式の日である8月9日は長崎に原爆が投下された日にあたります。世界中から注目されるイベントの最中に、人類で初めて核兵器が使われた日から75年の節目の日を迎え、閉会式の日には、人類で最後に核兵器が使われた日にしなければならない日から75年を迎えます。オリンピック・パラリンピック大会はまさしく平和の祭典です。世界中から注目される大会に際して、唯一の被爆国である日本の首都である東京から世界に平和を訴える絶好の機会でもあります。都として2020年の大会において平和の理念をどのように訴えるのか伺います。
2 2020年大会において8月6日の広島の原爆の投下の日をどのように扱うのか伺います。とりわけ、8月9日には11時2分に長崎で原爆の日の式典もある中で、同日にオリンピックの閉会式もあり、どちらも世界中が注目するものであり、それぞれが無関係ということにはならないと考えます。8月9日の閉会式では、どのように平和を訴えていくのか、伺います。
3 オリンピック・パラリンピックについて情報公開が求められます。都には情報公開条例も、あらたに公文書管理条例も制定されましたが、大会開催に際して重要な役割を果たす組織が別団体として情報公開が十分とはいえません。そこで、まず、招致にあたって、招致委員会が、2016年大会と2020年大会、それぞれ設立されましたが、現在、その組織はどうなっているか伺います。また、その組織が保管していた文書はどのように保管されているか、また、どのように公開されるか伺います。
4 現在、2020年大会に向けて活動している組織委員会について適切な情報公開が必要です。多額の税金を使っている大会ですから、組織委員会には民間団体等も出資をしているとはいえ、情報公開は必要です。仮に今、個人情報や企業秘密などの理由で公開できなくても、将来、公開できるよう保存しておくことは、運営にあたって緊張感をもたらします。現在の組織委員会の文書の保管、公開については都と同等の扱いをするよう求めるべきですが見解を伺います。
5 大会が終了した後の組織委員会は解散することになりますが、多くの貴重な資料があるため、廃棄せず、すべて都に引き継がれるべきと考えます。大会後に考えるのでは、遅いため、今から決めておく必要があります。組織委員会が保管している文書について大会後は都に引き継がれて保存し将来公開することを求めるべきと考えますが見解を伺います。

二 中小企業振興について
 昨今、景気がよいかのような報道がなされていますが、大企業とは違い、中小企業にとってはなかなかその実感が伴わないとも言われています。今定例会では会派からの要望を受け中小企業・小規模企業振興条例を提案されたことは評価します。そのうえで、条例の実効性を高める、中小企業・小規模企業の振興を図るため、以下の質問をします。
1 中小企業・小規模企業の振興を図るため、社会的公正を実現していく取り組みが必要です。下請企業の経営を危うくする、親企業などによる一方的な製品の単価引き下げや代金の支払い拒否などは無くなりません。提案された条例では大企業への協力を求める条文が記載されましたが、その条文は、「取引の適正化」を実現するために協力を求めるものとの解釈が含まれていると考えられるか、見解を伺います。
2 都は、経済変動の影響を受けやすい下請中小企業の経営の安定と発展を図るため、下請取引に関する諸問題の解決や取引の適正化のための各種支援を行うとして、下請センター東京(下請取引紛争解決センター)を設置しています。相談件数の実績と主な相談内容とその対応について伺います。
3 下請企業への取引価格・単価引き下げなどの一方的決定に対して、都は下請センター及びその多摩支援室の専門相談員の増員を図るなど、下請センター東京での取り組みを充実させ、「取引の適正化」をより一層実現すべきと考えますが、見解を伺います。
4 都は毎年、東京ビッグサイトで産業交流展を開催し多くの中小企業が参加をしています。取り組みとしては重要ですが、これまで参加していた企業がメリットがないとして参加しなくなるところもあります。都として産業交流展の経済的効果を数値で示し、成果をあげることが重要です。産業交流展の実績を伺います。また、展示会において取引が行われ新たなビジネスが生まれるなどの成功事例があればよりPRすることも必要ですが見解を伺います。
5 昨今、製造業など大企業の都外への移転が進み、とりわけ多摩地域では都が以前掲げた「シリコンバレー構想」どころか多くの事業者が都外に移転してしまいました。都としては企業の流出を防ぐとともに、移転した場合には下請けの中小企業や近隣の商店街をはじめとする地域産業に影響が及ばないよう対策することが求められますが、見解を伺います。

三 子育て施設の質の向上について
 保育園の待機児童が問題になる中、その定員の拡充が求められていますが、同時に保育の質の保障がされなければなりません。毎年、保育に関して痛ましい事故により子どもが亡くなる事例が報道されます。保育園の待機児童解消に向けてさまざまな子育て施設が設立され、同時に保育士の不足も言われる中ではありますが、都として、保育の質を落とさず、安心して子どもを預けられるよう取り組むことが重要です。そのため以下の質問をします。
1 子育て施設に関する事故の件数について毎年、内閣府が発表していますが、都道府県別の数値は公表されていません。都として都内での事故件数を公表し、事実を踏まえた対策を講ずるべきと考えますが見解を伺います。
2 現在、都は認可外施設について指導監督を行っています。数多くの施設を担当している事情があるにせよ、調査を受けた施設の中には、書類は見ていても、実際の保育の状況を十分見ていなかったのではないか、との批判の声も寄せられました。どのような資格の職員が何人体制でどのような内容の検査を行っているのか伺います。
3 指導監督の徹底により、事故をなくすのは当然のこと、保育の質の向上につなげることになります。都では、保育施設全体での事故死ゼロを明確に掲げ、そのための指導監督の体制強化を図り、保育の質の向上を図るべきと考えますが、見解を伺います。

平成30年第四回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 オリンピック・パラリンピック大会の成功について
1 世界中から注目される大会に際して、唯一の被爆国である日本の首都である東京から世界に平和を訴える絶好の機会でもある。都として2020年の大会において平和の理念をどのように訴えるのか伺う。

回答
 オリンピック憲章に定めるオリンピズムの根本原則においては、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」とされています。
 大会開催準備の基本的な枠組みを示す大会開催基本計画においても、大会ビジョンの基本コンセプト「多様性と調和」の中で、平和の維持がうたわれ、これに「全員が自己ベスト」「未来への継承」を加えた三つのコンセプトを掲げています。
 さらに、招致の際の原点である復興五輪や二度目のパラリンピックの成功、持続可能な社会の実現など、平和な社会の推進も含め、様々な理念が掲げられており、これらを踏まえて、組織委員会において大会運営に取り組んでいくものと認識しています。

質問事項
一の2 2020年大会において8月6日の広島の原爆の投下の日をどのように扱うのか伺う。とりわけ、8月9日には長崎で原爆の日の式典もある中で、同日にオリンピックの閉会式もあり、それぞれが無関係ということにはならないと考える。8月9日の閉会式では、どのように平和を訴えていくのか、伺う。

回答
 東京2020大会の運営に当たっては、平和な社会の推進のほか、復興五輪の実現や二度目のパラリンピックの成功、持続可能な社会の実現など、様々な理念を踏まえて取り組んでいくものと認識しています。
 また、開閉会式については、平成29年12月に組織委員会が策定した東京2020大会開会式・閉会式に関する基本コンセプトにおいて、「平和」は、「共生」、「復興」、「未来」等の八つのコンセプトの一つに位置付けられています。
 なお、組織委員会は、平成30年7月、オリンピック・パラリンピック開閉会式の4式典に係る演出企画の実施体制を公表し、現在具体的な検討を進めています。

質問事項
一の3 招致にあたって、招致委員会が、2016年大会と2020年大会、それぞれ設立されたが、現在、その組織はどうなっているか伺う。また、その組織が保管していた文書はどのように保管されているか、また、どのように公開されるか伺う。

回答
 2016年大会の東京招致に当たり、平成19年2月に特定非営利活動法人東京オリンピック招致委員会を設立しました。リオデジャネイロに開催都市が決定した後、当招致委員会は特定非営利活動法人国際スポーツ東京委員会に名称変更し、2020年大会の東京招致に当たり任意団体として設立した東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会と統合して、平成24年4月に特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会を設立しました。
 その後、設立の目的である招致活動が終了したため、招致委員会は平成26年3月に解散しました。
 特定非営利活動促進法では、解散した特定非営利活動法人の文書の保存や公開に関して定められていません。文書については、それぞれの団体の責任において取り扱われているものと認識しています。
 なお、都は、2020年招致活動について総括するとともに、貴重な取組の記録を残すことを目的として、招致活動報告書を取りまとめ、公表しています。

質問事項
一の4 現在の組織委員会の文書の保管、公開については都と同等の扱いをするよう求めるべきだが見解を伺う。

回答
 組織委員会は公益財団法人として、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等に基づき、書類を適切に管理するとともに、事業計画書や収支予算書等の開示等を要する書類を一般に公開しています。
 また、東京2020大会という国内外の関心が高く、大規模かつ公共性の高いイベントの準備・運営を担っているという観点から、法令に基づく対応のほかに、意思決定機関である理事会の資料や議事録などについても、情報発信に努めています。
 都としては、大会の準備を万全にし、大会を成功に導くためには、都民・国民に丁寧な説明を行い、理解を得ていく必要があると考え、組織委員会に対して、情報公開を推進するよう働き掛けてきました。
 組織委員会は都とは別の法人格を持つ団体であり、個々の情報の取扱いはIOCをはじめ様々なステークホルダーとの関係を踏まえ、組織委員会が判断するものではありますが、組織委員会に対し、団体として可能な対応について引き続き働き掛けていきます。

質問事項
一の5 組織委員会が保管している文書について大会後は都に引き継がれて保存し将来公開することを求めるべきと考えるが見解を伺う。

回答
 組織委員会の重要な資料については、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づき、解散後の清算の結了から、清算人が10年間保存することと定められています。
 このほか、開催都市契約大会運営要件に基づき、組織委員会は、都、IOC、JOC等と合意の上、大会に関する記録を保存し、将来に引き継ぐための計画を策定することとされています。

質問事項
二 中小企業振興について
1 提案された中小企業・小規模企業振興条例では大企業への協力を求める条文が記載されたが、その条文は、「取引の適正化」を実現するために協力を求めるものとの解釈が含まれていると考えられるか、見解を伺う。

回答
 東京の中小企業の経営の持続的な成長を図るためには、適正な利益を確保できる公正な取引慣行を確立することが重要です。
 そのためには、経済の活性化や地域の発展に貢献するという中小企業の役割についての理解を促進し、取引を公正に行う共通の認識を広げていく視点が不可欠です。
 こうした考えの下、条例では、様々な主体に、中小企業が重要な存在であることについての理解と都の振興施策への協力を求めています。

質問事項
二の2 下請センター東京(下請取引紛争解決センター)における相談件数の実績と主な相談内容とその対応について伺う。

回答
 下請センター東京における相談件数の実績は、平成29年度は316件となっています。相談内容は、取引契約や代金回収に関するものが多く、弁護士を速やかに紹介し法律相談などを実施しました。

質問事項
二の3 下請企業への取引価格・単価引き下げなどの一方的決定に対して、都は下請センター及びその多摩支援室の専門相談員の増員を図るなど、下請センター東京での取組を充実させ、「取引の適正化」をより一層実現すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 下請センター東京では、中小企業の適正な下請取引を確保し、受発注を巡る様々な問題への対応を図るため、相談や助言などを実施しています。
 具体的には、窓口での相談対応により下請取引に係る苦情などの正確な把握を行い、解決につながるアドバイスを行うほか、同センターの相談員が企業の現場を巡回しながら、様々な助言や情報提供のほか、法律の内容などの普及啓発の活動も行っています。
 今後とも、こうした取引適正化の推進を図るための取組を着実に推進していきます。

質問事項
二の4 都として産業交流展の経済的効果を数値で示し、成果をあげることが重要。産業交流展の実績を伺う。また、展示会において取引が行われ新たなビジネスが生まれるなどの成功事例があればよりPRすることも必要だが見解を伺う。

回答
 産業交流展は、中小企業の販路開拓を効果的に促進するため、魅力的なイベントや著名な講師によるセミナーの開催などの工夫を重ねながら実施してきました。
 前回の平成29年度は884の企業と団体が出展し、3日間の開催期間中に約6万人の方に来場いただいた結果、延べで約8千件の商談が行われ、約4百件の成約に結び付きました。
 また、出展者の成果等について、報告書やウェブサイトにより発信しています。

質問事項
 二の5 製造業など大企業の都外への移転が進み、とりわけ多摩地域では都が以前掲げた「シリコンバレー構想」どころか多くの事業者が都外に移転している。都としては企業の流出を防ぐとともに、移転した場合には下請けの中小企業や近隣の商店街をはじめとする地域産業に影響が及ばないよう対策することが求められるが、見解を伺う。

回答
 多摩地域をはじめ、都内に集積する製造業等は地域の産業や雇用を支えており、大企業の転出等による影響から、こうした集積を守ることは重要です。
 このため都は、地域環境に配慮した工場の改修や都内での移転等を行う企業に対し、区市町村と連携した支援を行っています。
 また、中小企業と金融機関や大学など地域の様々な主体とのネットワーク構築や企業誘致の促進など、地域産業の活性化に取り組む区市町村の経費の助成等を行っています。
 こうした取組を通じて、地域の産業集積の維持発展を図っていきます。

質問事項
三 子育て施設の質の向上について
1 子育て施設に関する事故の件数について毎年、内閣府が発表しているが、都道府県別の数値は公表されていない。都として都内での事故件数を公表し、事実を踏まえた対策を講ずるべきと考えるが見解を伺う。

回答
 子ども・子育て支援法に基づく認可保育所や小規模保育事業などの特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業や、児童福祉法に基づく認可外保育施設などで発生した事故については、都道府県を通じて国に報告されています。国は、事故報告の集計結果及び事故防止に向けた取組を公表し、注意を喚起しており、都はこうした情報を、区市町村及び施設・事業者に対して周知しています。
 また、死亡事故等の重大事故が発生した場合には、認可保育所については区市町村が、認可外保育施設については都道府県が、個別に検証し、再発防止の取組を促進しています。

質問事項
三の2 認可外施設における指導監督について、どのような資格の職員が何人体制でどのような内容の検査を行っているのか伺う。

回答
 都は、児童福祉法に基づき、認可外保育施設に対して、立入調査等の指導監督を実施しています。
 立入調査では、常勤職員と認可保育所での勤務経験がある非常勤職員からなる9班23名体制で、職員配置等の運営面や保育内容など、認可外保育施設指導監督基準に規定された全ての項目について、基準に適合しているか確認し、基準を満たしていない場合は、文書で指摘し改善指導を行っています。
 また、平成29年3月から開始した巡回指導では、認可保育所の園長経験者や、行政機関等で社会福祉施設等の指導業務に従事した経験等がある非常勤職員が、1班2名のチーム編成による10班20名体制で、基準のうち、子供の安全に直結する項目について重点的に指導を行っています。
 なお、巡回指導で重大な問題が認められた場合、迅速に立入調査を行うなど、機動的に対応しています。

質問事項
三の3 都では、保育施設全体での事故死ゼロを明確に掲げ、そのための指導監督の体制強化を図り、保育の質の向上を図るべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、児童の安全確保や事故防止を含め、保育施設の質の確保と向上を図るため、指導監督を行っています。
 認可保育所・認証保育所については、都に加え、子ども・子育て支援法等に基づき区市町村も指導監督を行っています。都は、区市町村職員に対し、都の指導事例を通じて学ぶ研修や都が行う指導検査への立会い等を通じた技術的支援を行うほか、指導検査結果などについても区市町村と情報共有を図っています。
 認可外保育施設については、立入調査に加え、年1回全ての施設を訪問する巡回指導を実施するほか、認可外保育施設を対象とする講習会において、事故防止の留意点を周知するとともに、事故防止及び救急対応策の徹底を促す通知を全施設に発出し、併せて区市町村にも情報提供を行うなどの取組を実施しています。
 課題を把握した施設に対しては、年複数回にわたり立ち入り、重点的に改善指導を行うとともに、巡回指導チームや区市町村との連携等により指導監督体制の強化を図っています。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とくとめ道信

質問事項
一 「都営母子アパート」と併設になっている区立保育園について

一 「都営母子アパート」と併設になっている区立保育園について
 板橋区は、区内仲宿にある「都営母子アパート」について、東京都が、現在、今後の計画や方針を示していないことを理由にして、併設されている区立仲宿保育園を使用許可期限を迎える2020年3月末をもって、閉園するためとして、2019年度からの新規入園募集を停止、廃止するとの方針を明らかにしています。
 そのために、突然の説明を受けた保育園利用の保護者からは、「区の方針には納得できない」との声が寄せられ、区議会には陳情も提出されました。
 板橋区内では、希望する保育園に入園できない待機児童が、2018年4月時点で約800人もおり、待機児童解消にむけて、区自身も都有地や公有地を確保し、保育園増設を進める方針を示しているもとで、疑問や批判の声があがっています。
 そこで、都営母子アパートの今後と、板橋区立保育園に関連して、以下の内容について都の見解をうかがいます。
1 「都営母子アパート」の新規入居募集が、2015年度から停止されていますが、その理由とともに、現在、改築や解体などの計画があるのかについて、伺います。
2 板橋区は、区立仲宿保育園を運営するにあたり、「都営母子アパート」の使用について、東京都と5年ごとに更新する使用許可契約を行っていますが、次回の使用許可の更新について、都が許可しないか、または、許可しない可能性があるのでしょうか。それは、どのような場合でしょうか。伺います。
3 仮に「都営母子アパート」の使用が許可できないとなった場合は、いつ、どのようにして、板橋区に情報提供がなされるのでしょうか。また、情報提供にあたっては、区立保育園が、現在設置されていることについて、考慮されるのでしょうか。伺います。
4 板橋区から、区立仲宿保育園や「都営母子アパート」の今後について、都に対して相談や協議の申し入れ等が、行われているのでしょうか。また、行われているとしたら、それはどのような内容だったのでしょうか。伺います。
5 「都営母子アパート」に併設されている区立仲宿保育園の存続の可能性について、板橋区側から、都に対して、これまで相談があったのでしょうか。伺います。
6 今回の区立仲宿保育園の募集停止・廃止の方針について、板橋区の側から、都に対して、何らかの情報提供、説明があったのでしょうか。伺います。

平成30年第四回都議会定例会
とくとめ道信議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 「都営母子アパート」と併設になっている区立保育園について
1 「都営母子アパート」の新規入居募集が、2015年度から停止されているが、その理由とともに、現在、改築や解体などの計画があるのか、伺う。

回答
 都営仲宿母子アパートは、平成12年に都区協議会で決定された都区制度改革実施大綱において、移管対象団地とされています。都は、同アパートの今後の取扱いについて、平成27年度から板橋区との協議を行っていることから、新規入居者の募集を停止しています。現在、都が改築や解体を行う計画はありません。

質問事項
一の2 板橋区は、区立仲宿保育園を運営するにあたり、「都営母子アパート」の使用について、東京都と5年ごとに更新する使用許可契約を行っているが、次回の使用許可の更新について、都が許可しないか、または、許可しない可能性があるのか。それは、どのような場合か、伺う。

回答
 区立仲宿保育園の使用許可については、板橋区の申請に基づき、更新することは可能です。

質問事項
一の3 仮に「都営母子アパート」の使用が許可できないとなった場合は、いつ、どのようにして、板橋区に情報提供がなされるのか。また、情報提供にあたっては、区立保育園が、現在設置されていることについて、考慮されるのか、伺う。

回答
 区立仲宿保育園の使用許可については、板橋区の申請に基づき、更新することは可能です。

質問事項
一の4 板橋区から、区立仲宿保育園や「都営母子アパート」の今後について、都に対して相談や協議の申し入れ等が、行われているのか。また、行われているとしたら、それはどのような内容だったか、伺う。

回答
 区立仲宿保育園の今後については、板橋区から相談や協議の申入れはありません。都営仲宿母子アパートは、平成12年に都区協議会で決定された都区制度改革実施大綱において移管対象団地とされており、都は、同アパートの今後の取扱いについて、板橋区との協議を行っています。

質問事項
一の5 「都営母子アパート」に併設されている区立仲宿保育園の存続の可能性について、板橋区側から、都に対して、これまで相談があったのか、伺う。

回答
 区立仲宿保育園の今後については、板橋区から相談や協議の申入れはありません。

質問事項
一の6 今回の区立仲宿保育園の募集停止・廃止の方針について、板橋区の側から、都に対して、何らかの情報提供、説明があったのか、伺う。

回答
 平成30年7月に板橋区から、区立仲宿保育園の募集停止・廃止の方針について、区議会及び区立仲宿保育園の保護者に対し、今後説明していく旨の情報提供がありました。

平成30年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 公有地の拡大について

一 公有地の拡大について
1 「公有地は都市計画の基礎」といわれ、西ヨーロッパの諸都市では公有地の拡大が図られてきました。フランスの首都パリでは市域の60%が公共用地として確保されています。ドイツでは人口100万人以上の都市では40%以上が市の所有地となっていると聞きます。スウェーデンなど北欧諸国では4割から5割の土地はそれぞれの自治体の所有だといわれています。これと比べると東京の公有地は18.3%(平成27年度土地所有・利用概況調査報告書:国交省 土地・建設産業局)に過ぎません。
 特に戦後、高度経済成長期に急速に市街化が進んだ周辺区部は、まちづくりを進める上で公有地の拡大は切実なものがあります。
 まちづくりのための周辺区部地域における公有地の拡大について都は、その意義をどのように考えていますか。
2 かつて葛飾区は、工場の数では大田区に次いで都内第2位を占めるほどの工業集積地でした。しかし、近年は工場の移転・廃業が相次いでいます。葛飾区の工場集積は零細な町工場が多いのが特徴ではありましたが、それでも1973年には従業員100人以上の工場が63あったのに対し、2011年にはわずか5ヶ所にまで減少しました。工場跡地には、必ずと言っていいほどマンションかスーパーが建ち、まちが変わっていきました。多くの区民が「これでいいのか」という思いでいるのが現状です。
 今年2月1日、葛飾区奥戸1丁目にある森永乳業東京工場が、2021年3月をもって生産を停止すると発表しました。この工場は乳製品のほか焼きプリンや、ロングライフ豆腐などを作っている工場ですが、面積が61,060平方メートルあります。森永乳業は、まだ工場跡地を売却するかどうか態度を明らかにしていませんが、現実に森永乳業が進めている工場再編計画から予測すると、工場跡地が売却される可能性が高いと見られています。既成市街地の中に6ヘクタール以上の空き地が生まれるということは、葛飾区内ではもうないだろうと思われます。葛飾区も区議会で問われて「こうした広大な敷地は・・・区のまちづくりをすすめるうえで重要な資源であると考えております。」と述べて、すでにこの土地利用について検討を開始していることを明らかにしました。
 そこで伺いますが、東京都の立場からみても、こうした広大な空き地が既成市街地のなかに生まれる場合は、まちづくりのうえで貴重な資源となると考えますがどうですか。
3 問題は、現実にどうやって土地を公有地として取得するか、ということです。この点で、葛飾区長は区議会で「森永乳業と協議することはもちろんですが、東京都や地元、いろいろなところの意見も聞きながら・・・国や東京都からも補助金をもらいながらやっていく」と東京都との連携は不可欠であることを述べています。
 ついては、都は森永乳業東京工場の土地の取得について葛飾区と連携協力し、積極的に支援すべきと思いますが、いかがですか。
4 「公有地の拡大の推進に関する法律」つまり公拡法は、その第1条で「都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため」と目的をうたっており、地方公共団体が計画的に公有地を確保することができるように、自治体による先買い権を認めています。しかし、買い取りの目的をあらかじめ明確にしなければならず、具体的内容を示さず「あらかじめ買っておく」ことはできない、とされています。しかも、自治体が判断できる期間は、三週間と限られていますので、かなり事前に準備、検討しておかなければ実際には先買い権を行使することは難しいのが現状です。
 この点で、葛飾区には都も無関係ではない苦い経験があります。
 2001年に、葛飾区新宿6丁目にあった三菱製紙中川工場跡地18ヘクタールを、当時の都市基盤整備公団が取得した際、葛飾区は方針としてここに大学を誘致することを考えていました。都市基盤整備公団が取得した土地の開発計画検討委員会を立ち上げたとき、そのメンバーに葛飾区も東京都も幹部職員をそれぞれ4名ずつ参加させて土地利用開発構想をつくりあげました。開発構想は居住系、商業系土地利用としてまとめられ、大学誘致は認められませんでした。そのまま再開発促進区の地区計画都市計画決定が行われたあと、葛飾区はかねてからの大学誘致計画を具体化したのです。このため、都市計画決定は変更せざるを得なくなり、葛飾区はあらためて大学用地を買収することになったのですが、都市基盤整備公団が取得した1平方メートルあたり13万円の土地を1平方メートルあたり45万円と3倍の高値で買うことになったのです。
 この苦い経験を繰り返さないためにも、公拡法の先買い権を行使できるように東京都も最初から積極的な立場で、つまり都として土地利用の具体策をもって葛飾区との協力・連携に踏み出すべきと考えます。
 例えば、都は3月に「東京都スポーツ推進総合計画」を発表しましたが、「スポーツを身近でできる場の確保」を強調しながら、一方では「スポーツクラスターを核とした地域の活性化」ということで、新たにできる6つの都立スポーツ施設はすべて「臨海地域」にできることになっています。しかし、これではあまりに地域偏在ではないでしょうか。自治体らしくすべての地域にバランスをもって計画的にスポーツ施設を増設すべきではないでしょうか。
 6ヘクタールの森永乳業工場跡地取得をこうした都立スポーツ施設の地域偏在をただす機会として活かすことも考えてしかるべきではないでしょうか。見解を伺います。

平成30年第四回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 公有地の拡大について
1 戦後、高度経済成長期に急速に市街化が進んだ周辺区部は、まちづくりを進める上で公有地の拡大は切実なものがある。まちづくりのための周辺区部地域における公有地の拡大について都は、その意義をどのように考えているか、伺う。

回答
 都市計画マスタープランなどの上位計画に基づき、道路、公園などを計画的に整備するために必要な土地を確保することは、都市の健全な発展と秩序ある整備の促進に資するものと考えます。

質問事項
一の2 東京都の立場からみても、広大な空き地が既成市街地のなかに生まれる場合は、まちづくりのうえで貴重な資源となると考えるが、見解を伺う。

回答
 既成市街地における大規模な工場跡地等は、地域のまちづくりを適切に進める上で貴重な土地となり得ると考えます。

質問事項
一の3 都は森永乳業東京工場の土地の取得について葛飾区と連携協力し、積極的に支援すべきと思うが、見解を伺う。

回答
 当該土地について、葛飾区から具体的な相談があれば、その内容に応じて適切に対応していきます。

質問事項
一の4 6ヘクタールの森永乳業工場跡地取得を都立スポーツ施設の地域偏在をただす機会として活かすことも考えてしかるべきではないか。見解を伺う。

回答
 スポーツ施設の整備については、平成30年3月策定の「東京都スポーツ推進総合計画」において、政策指針の一つとして、「スポーツを身近でできる場の確保」を掲げています。その中では、2020年以降、新規都立スポーツ施設の整備計画はありませんが、都立大規模スポーツ施設のみならず、区市町村及び企業や学校等のスポーツ施設も有効活用していくことが必要であるとしています。
 このため、スポーツ施設整備費補助制度では、区市町村が整備するスポーツ施設についてスポーツ環境を拡大する工事やバリアフリー工事等(用地取得費は補助対象経費に含まず。)に対して支援を行っています。
 また、スポーツ施設を所有している大学や企業等とは、「TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業」に関する協定を締結し、都民が利用できるスポーツ施設の拡大を図っています。
 これらを含め、既存のスポーツ資源の有効活用について、様々な主体と連携しながら、新たなスポーツ活動の場を確保する取組を進めていきます。

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