平成三十年東京都議会会議録第十七号

○副議長(長橋桂一君) 十一番伊藤しょうこう君。
〔十一番伊藤しょうこう君登壇〕

○十一番(伊藤しょうこう君) それでは、防災対策について伺います。
 まず、多摩地域の災害拠点病院についてです。
 都は、この夏に防災事業の緊急総点検を行いましたが、都市型災害への備えとして、災害医療対策の充実も極めて重要です。
 都の対策については、災害現場近くの緊急医療救護所でトリアージなどを行い、その後、主に重症者の収容、治療に当たるのが災害拠点病院です。災害拠点病院は、二次医療圏ごとの適正配置に加えて、二十四時間緊急対応など、さまざまな運営施設基準を満たした病院です。
 そして、平成二十四年に、被害想定などをもとに、都全体で八十五病院の整備を目指し、多摩地域では目標の二十二カ所までふやし、区部でもあと二カ所で達成の見込みです。
 さて、災害拠点病院の必要数の根拠は、多摩直下型地震での最も甚大な被害想定となっており、多摩地域は必要数を満たしていると、都は現状では判断しています。
 しかし、区中央部の災害拠点病院である日本大学病院と三井記念病院の距離が約二キロメートルに対し、地元八王子で指定された二病院では、十キロメートル以上も離れています。また、市外から多数の被災者も想定される八王子駅周辺の中心市街地に災害拠点病院はなく、市民の不安は大きいと思います。
 よって、多摩地域の地理的な特性や交通事情など、地域の特性も踏まえ、再点検すべきであります。
 その上で、現在の被害想定は、試算から六年が経過しており、想定を超える災害も想定し、災害医療の役割を認識した上で、さらなる災害医療の充実を図ることが必要と考えますが、改めて災害拠点病院のあり方について、都の見解を伺います。
 続いて、土砂災害対策について伺います。
 ことしの各地の豪雨において発生した多数の土砂災害を踏まえると、都内の約一万五千カ所にも及ぶ急傾斜地に対して、都民が迅速な避難行動をとれる備えが重要です。その対応として、土砂災害ハザードマップのもととなる警戒区域の指定を都内全域で来年度前半に全て完了させることは評価します。
 その一方で、各地で起きた土砂災害では、避難指示を発令しても住民の避難に必ずしもつながらず、被害が拡大したこともあります。
 よって、都内で被災者を出さないためにも、警戒区域の指定にとどまらず、自治体からの適切な情報発信など、確実な避難へと結びつく対策が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、学校施設の猛暑対策について伺います。
 この夏に猛暑が続発した事態を直視し、我が党は、八月に知事と教育長宛てに、熱中症対策に関する緊急要望を行いました。そして、今定例会で、都立高校や市区町村立小中学校の体育施設の空調設備設置などの暑さ対策が補正予算として盛り込まれました。
 さて、猛暑対策は、まずは一人一人が熱中症に対する正しい知識と対応を知る自助努力が大切ですが、この夏には、都立高校の体育館において、授業などのときに生徒が熱中症により病院搬送された事態もあったと聞いています。
 そこで、都立高校では、体育館の猛暑対策として、生徒自身が熱中症から身を守るため、どのような対応や指導を行っているのか伺います。
 次に、体育館への空調機設置について伺います。
 教室など気密性の高い校舎内の冷房化と比べ、体育館への設置には技術的な課題もあると思います。天井も高く、大空間となる体育館は、全体を冷やすのか、また、一部のみなのか、また、災害時の避難所のあり方など、本来はしっかり検証してから全都で対応を検討すべきとも考えます。
 また、学校体育館の空調化は、猛暑対策としての教育環境の改善だけでなく、災害時の避難所機能も考慮し、電力や都市ガスが途絶しても自立運転可能なLPガスを動力とする空調機導入の適正配置の検討も提案をいたします。
 実際に大阪の箕面市では、避難所活用を考慮し、都市ガス供給区域であるにもかかわらず、LPガス空調機を全小中学校の体育館に導入したと聞いています。さらに、非常発電機能を備えたLPガス空調機を設置すれば、経産省の燃料備蓄補助金の対象ともなっています。
 以上のようなことを踏まえ、都立高校や小中学校体育館へのLPガスを動力とする空調機導入についての都の見解や取り組みを伺います。
 続いて、防犯カメラについて伺います。
 都は、二〇二〇年までに、安全・安心の体制を強化するため、町会、自治会や商店会等が新規に設置する防犯カメラへの補助率を引き上げ、促進を図っています。
 その結果、区部では設置が進む一方で、多摩地域では、補助実績のない自治体が多いのが実情です。
 その要因には、各自治体の意向、地域団体の維持管理経費への負担感、住民合意の難しさなどが考えられますが、都内全域に防犯カメラを普及させるには、多摩地域に対する改善策や新たな仕組みが必要とも考えます。
 よって、より有効な改善策とするため、まずは普及のための課題や要望をしっかりと踏まえることが必要ですが、都の見解を伺います。
 また、設置促進の補助制度を設けていても、知事が検討するという修繕などへの補助も利用してもらえなければ意味がありません。
 普及が進まない要因の一つに、維持のための負担感がありますので、だからこそ、東京都町会連合会の修繕費などの要望にも応える必要もあります。
 あわせて、多摩地域の町会、自治会にも、前向きに検討できるよう、積極的に周知、説明を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 続いて、都営住宅入居者の利便性向上のための宅配ロッカーの設置について伺います。
 物流業界では、人手不足が深刻になる中、ネット通販の拡大で荷物量がふえており、昨年度の宅配便の取扱個数は、全国で前年度比約六%増の約四十二億個となり、この十年間で三割以上も増加している一方で、そのうち約一五%が不在のため再配達となっているそうです。
 この不在時の商品の受け取りに対応するため、民間マンションでは管理組合が、また、宅配事業者側も駅やスーパーと提携して、宅配ロッカーを設置するなどの工夫を行っているそうです。
 さて、都内には、都営住宅が約二十六万戸、千六百団地あり、多くの都民が暮らしており、宅配ロッカーを設置すれば、再配達や宅配事業者へ取りに行く必要もなくなり、入居者の利便性が向上します。
 これらのことから、都営住宅においても宅配ロッカーの設置を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 続いて、八王子市内の都市計画道路の整備について伺います。
 中央道から東名までの圏央道区間が開通し、首都圏の円滑な移動に多大な効果を上げており、また、圏央道と多摩地域を東西に結ぶ八王子南バイパスの整備も急ピッチに進められています。
 そして、これらの道路ネットワークの整備効果を最大限に発揮するためには、地域を南北に結ぶ国道一六号とのアクセス向上が必要ですが、南バイパスは一六号と東側のみで接続する計画で、西側との接続には都道北野街道を活用する必要があります。しかし、当該区間は歩道も狭く、都市計画道路として位置づけられておりません。
 そこで、平成二十八年に都は、東京における都市計画道路の整備方針を策定し、この区間を都市計画道路として道路網の拡充を検討することとなり、現在調査中と聞いております。
 よって、早期に都市計画をすべきと考えますが、現在の取り組みと今後の方向について伺います。
 また、八王子市片倉町北部地域から中央道に向かうには、国道一六号を通り、中心市街地を通過しますので、南バイパスや中央道へのアクセス性の向上と円滑な交通を確保するためにも、南北方向の幹線道路に接続する都市計画道路の整備も重要です。
 そこで、都は平成二十八年に、八王子三・三・一〇号東京環状線のうち、緑町から台町一丁目区間の事業に着手しましたが、現在の取り組み状況についても伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 平成三十一年度税制改正において、地方法人課税の一部が国税化され、東京都は新たに巨額の財源を拠出することを余儀なくされると聞いています。
 税制改正大綱はいまだ発表されていませんが、我々都議会自民党は、都税の減収を最小限に食いとめ、地方自治の本旨に基づいた地方税財政制度の実現に向けて、引き続き政権与党とのパイプを最大限活用し、都民の与党として、いついかなるときも全力を尽くすことを都民の皆様にお約束し、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 伊藤しょうこう議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは二点のご質問にお答えいたします。
 まず、体育館における猛暑対策についてでございますが、生徒の健康や安全の確保は学校教育における最優先事項であり、校長のリーダーシップのもと、事故防止に向けて組織的な対応の徹底を図る必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、体育館における猛暑対策として、気温や湿度により教育活動を変更または中止することや、終業式等を空調設備のある教室で行うこと等について、通知や校長会等を通して注意喚起してきております。
 また、各学校では、生徒が睡眠状況や疲労などを自己点検し、活動に参加できるかを主体的に判断することや、参加する際には、適切な水分補給や休息をとることなどの重要性を日ごろから指導し、生徒みずからが熱中症の予防に向けて行動できるようにしております。
 次に、学校体育館におけるLPガスを動力とする空調機の導入についてでございますが、都教育委員会はこれまで、都立高校の空調機は電気や都市ガスを動力とするものを主に整備してまいりました。
 一方で、LPガスは、都市ガスに比べ、災害時における復旧が早いとの報告があり、また、電気や都市ガスが寸断されても運転が可能な機能を備えた空調機もございます。
 こうしたメリットがあることから、今後、体育館の空調整備を進めるに当たっては、電気や都市ガスに加え、LPガスを動力とする空調機の導入も視野に入れて調査を進めてまいります。
 また、区市町村立学校の体育館は、設置者の判断により空調設備整備を行っておりますが、これに係る都の補助制度では、LPガスによる空調機も対象としております。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 都市計画道路八王子三・三・一〇号線についてでございますが、本路線は、八王子市鑓水から同市滝山町一丁目に至る延長約十・八キロメートルの都市計画道路でございまして、八王子市内の南北交通の円滑化や地域の安全性向上などに資する重要な路線でございます。
 このうち、国道一六号の自動車交通の分散などに寄与いたします、八王子市緑町から同市台町一丁目までの延長約〇・八キロメートルの区間につきましては、平成二十八年二月に事業着手いたしまして、これまで約一割の用地を取得しております。
 また、本区間のうち、起伏のある地形となっております東側約〇・二キロメートルにつきましては、トンネル構造となる箇所の施工方法や交差する道路の機能確保などにつきまして検討を進めております。
 今後とも、地元市と連携を図りながら、着実に整備に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 災害拠点病院に関するご質問にお答えいたします。
 都は、都内で大規模な地震が発生した際の被害想定に基づき、災害拠点病院の必要数を検討し、二次保健医療圏ごとの医療資源の状況を踏まえて指定しているところでございます。
 また、近年の自然災害の多発を受けまして、防災事業の緊急総点検を行い、災害対策の強化を図っているところでもございます。
 災害時の医療体制の整備に当たりましては、従来の想定を超える事態の発生を考慮するとともに、お話の地理的条件の違いや、災害拠点病院の配置状況などの地域特性を踏まえて、万全な備えを講じていく必要があると考えております。
 そのため、今後、こうした観点も踏まえながら、災害時に傷病者への適切な医療が提供されるよう、専門家等で構成される災害医療協議会において、災害拠点病院のあり方を早急に検討してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 土砂災害対策についてでございますが、都民が土砂災害に対して適切な避難行動を起こすためには、市区町村が避難情報を的確なタイミングで発信することが重要であり、その際、各自治体が、災害発生までのみずからの行動を時間軸に沿って整理したタイムラインを整備しておくことが有効でございます。
 都は現在、市区町村のタイムラインの策定状況や、過去の災害における避難をめぐる課題の整理、分析を行っております。今後、これを踏まえ、住民への避難情報の内容や発信のあり方について検討を進め、地域の実情に応じたタイムラインが策定できるよう支援してまいります。
 また、市区町村と合同で、タイムラインを活用した風水害対策訓練を行うことにより、土砂災害の発生に備えた避難の実効性をより一層高めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 最初に、防犯カメラの設置促進についてでありますが、都は、地域の防犯力向上のため、これまで区市町村を通じて、町会、自治会、商店街等に対し、累計約一万二千台の補助を実施しており、設置した地域からは、治安が改善した、住民の防犯意識が向上したと好評をいただいております。
 一方、当該補助制度を活用している自治体は、都内で三十八団体であり、多摩地域では補助を活用している団体が少ないことは承知しております。
 このため、今年度中に、各自治体における課題、要望等を調査の上、対応を検討していくなど、地域の防犯力を強化すべく、地域の実情を踏まえた取り組みを進めてまいります。
 次に、町会、自治会等への防犯カメラ維持管理への補助についてでありますが、かねてより、東京都町会連合会からは、防犯カメラのさらなる普及及び地域防犯に力を尽くす町会、自治会の負担軽減に向け、維持管理経費に対する都としての補助制度を創設してほしいとのご要望をいただいております。
 地域の防犯力の維持向上のためには、防犯活動に取り組んでいただく町会、自治会等を支援していくことが最も重要であると認識しております。
 維持管理の補助制度の検討に当たりましては、修繕や保守点検等、負担の大きい経費を対象とするなど、より多くの町会等への実効性ある支援につながる制度となるよう、早急に検討を進めてまいります。
 さらに、来年度に、多摩地域はもちろん、区市町村の地域団体担当部署とともに、必要に応じて連携しながら、防犯カメラの意義や補助制度を周知するなど、設置促進に向け、積極的に働きかけてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅における宅配ロッカーの設置についてでございますが、宅配ロッカーの設置は、昼間不在にしているファミリー世帯を初め、入居者の利便性の向上に資するものと考えております。
 現在、宅配ロッカーについては、複数の民間宅配事業者がそれぞれ事業を展開しており、都営住宅に設置するためには、入居者の同意、セキュリティーやスペースの確保、設置管理費用の負担のあり方などの課題がございます。
 今後、宅配事業の動向や入居者ニーズの把握に努めながら、都営住宅における宅配ロッカーの設置について検討を進めてまいります。
 次に、北野街道の現在の取り組みと今後の方向についてでございますが、多摩地域の利便性を向上させ一層の発展を図るためには、道路ネットワークを強化し、拠点間の連携を促進していくことが重要でございます。
 都は、平成二十八年三月に、東京における都市計画道路の整備方針を策定し、道路網の拡充によるアクセス強化のため、八王子市内の国道一六号と八王子南バイパスとを結ぶ北野街道を新たな都市計画道路の検討箇所に位置づけました。
 これを踏まえて、現在、周辺交差点の現況交通量調査を行うとともに、北野街道の将来交通量の推計や、幅員などの道路構造の検討を進めております。
 今後、国などの関係機関と連携しながら、計画案の取りまとめに向けて取り組んでまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時十分休憩

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