平成三十年東京都議会会議録第十七号

○副議長(長橋桂一君) 六十八番菅原直志君。
〔六十八番菅原直志君登壇〕

○六十八番(菅原直志君) 厚生労働省の発表によると、平成二十九年にゼロ歳から十九歳の年齢層で失われた命は四千四百三人でございます。その内訳は、自殺が五百六十人。日本小児科学会は、児童虐待死は年間に三百五十人いるといっておりますから、合わせて九百十人となります。四千四百三人の二割に当たる九百十人の命が自殺と虐待で失われているという想定ができます。
 私は、自殺と虐待死は防げる死ではないかと考えています。子供の死亡例のうち、五人に一人は救える命ではないでしょうか。
 次の世代を担う子供たちにしなやかな強さを持つ日本を渡したいと思い、今回の質問を進めさせていただきます
 まずは、今年度に実施した二つのSNSの相談について伺います。
 教育庁は、夏にSNSによる教育相談を行いました。この成果について伺います。
 福祉保健局は、秋に児童虐待のLINE相談を行いました。アプローチをしたい年齢層に合わせて多様な展開が進んでいるのだと思います。この事業の取り組みについて伺います。
 不登校について取り上げます。
 不登校は、どの子供にも起こり得ることであり、不登校を問題行動として取り上げるのは過去の話となりました。平成二十九年度の都内の小中学校の不登校児童生徒は、一万一千九百八十八人、中学生の不登校の出現率は三・七八%です。各クラスに一人は不登校の生徒がいるということになります。
 都内の公立小中学校の不登校について、東京都の見解と取り組みを伺います。
 従来、文部科学省は、不登校児童生徒に対応する教育施設として、教育支援センター、適応指導教室という二つの言葉を並べて使ってきました。東京都もそれに倣っております。この適応指導という言葉は、不登校は問題行動であり適応指導しなければいけないと、そんな印象を受けます。
 国の最近の通知では、教育支援センターだけを使っているようです。東京都としての見解を伺います。
 教員が忙しくて、子供たちと向き合う時間が少ないということが指摘されます。都は昨年度、教員の勤務実態の調査をしております。教職員の働き方改革と子供たちと向き合う時間の確保は、表裏一体の課題です。教員の働き方改革に対する都の取り組みを伺います。
 高校の中退問題について伺います。
 平成二十九年度、都立高校生の中退は二千三百十八人です。高校を中退した子供たちの多くは、誰ともつながらない自分、所属感の欠如、ふわふわした自分と向き合わざるを得ません。区市町村では、高校中退以後の子供たちにアプローチすることが難しく、つながることができません。
 中途退学をした生徒への切れ目のない支援をどのように行っていくのか、東京都の見解を伺います。
 児童相談所の一時保護所について伺います。
 保護された子供たちは、一時保護施設で生活をいたします。子供は一人で自由に外出することができず、学校に行くこともできません。一時保護施設の平均滞在期間は四十日程度といわれております。
 都は、一時保護所の定員をふやしてきました。この十年間に百四十四名から二百十三名にふえて、今後もふやしていく予定です。
 幾つかの一時保護施設も視察をさせていただきました。職員の方々の真摯な取り組みや創意工夫が見られ、二十四時間体制で頑張っている現場、ひたすら子供たちを受け入れる現場の声を聞いてまいりました。第三者による外部評価を行い、入所している子供たちには定期的にアンケートも行い、子供たちに寄り添う姿勢を見せています。行政や現場は本当に頑張っているんだと感じました。
 しかし、その頑張りとは別に、一時保護所の評価は決して高くはありません。その原因の一つは、一時保護所の基本理念が、子供たちのニーズと合っていないのではないかと思うのです。
 一時保護施設には、虐待児童も、そして非行少年もいます。この子供たちに共通するのは、大切にされた経験が少ないということではないかと思うのです。一時保護施設の生活の中にあって、大切にされた経験、愛された経験、そんなことを子供たちが実感できるような取り組みが必要ではないかと思うのです。東京都の見解を求めます。
 子供の貧困の問題を取り上げます。
 私は、子供自身は豊かであり、貧困なのは子供の周りの環境なのだ、子供の環境は、政治と社会の責任だということを教わりました。
 子供の貧困には三つの要素があります。一つ目は経済的な貧困、二つ目は社会関係性の貧困、そして三つ目は文化の貧困です。これらの要素が絡み合って、子供たちの可能性を発揮することができなくなっています。
 子供の貧困は、保護者の経済的な貧困に端を発していますが、就労の問題、鬱病などの精神疾患の問題、働き方の問題、多重債務や消費者問題、地域社会のつながりやシルバーパワーの活用のあり方など、福祉保健の分野だけでは解決できない広がりが求められるのです。
 都は、いまだに子供・子育て支援総合計画の中で施策展開をしておりますが、私は、子供の貧困を一つのトピックとして、東京都全体で施策展開を進める必要があると思います。都知事の見解を求めます。
 都は、平成三十年三月に、東京都がん対策推進計画第二次改定を発表いたしました。この計画では、今後のがん対策を、一、医療、二、予防、そして三、共生、この観点から施策展開するとしています。医療と予防は大事な視点ですが、今回は、共生について質問をいたします。
 共生とは、がんとともに暮らすこと、闘病だけではなくて、仕事や地域社会ともつながりながら、生活の質を落とさずに生きることです。そして、残念ながら人生を終えるときにも、尊厳ある最期を保障することではないかと思うのです。
 今までのがん患者は、闘病のために地域社会や仕事、人生や夢とのつながりを断ち切ってきた部分があります。これからのがん患者は、地域や仕事、人生や夢とつながりながら闘病する、そんな社会にしたいのです。
 東京都は、この共生についてどのような施策展開を進めていくのか伺います。
 また、がん対策を進めていくために、福祉保健局でだけではなくて、産業労働局、教育庁、総務局、財務局などの東京都の関係所管、医療関係者や患者会などの団体、経済界などの協力も必要になります。知事のご答弁をお願いいたします。
 自殺対策について伺います。
 年間三万人の自殺者が十年も続き、日本は自殺大国といわれました。自殺対策基本法の制定以後、さまざまな施策が展開され、昨年の自殺者は二万一千三百二十一人、ことしは二万人を切る可能性もあります。
 しかし、ふえているのは子供の自殺です。また、九月には国立成育医療研究センターなどの調査により、過去二年間に死亡した妊産婦は三百五十七人、その二九%である百二人が自殺だったと、こんな報道もありました。
 自殺対策は生きる支援です。公衆衛生、教育、就労、多重債務、鬱病、不眠、自殺企図者への対応、ネット社会やいじめなど、幅広い総合的な施策展開が求められます。東京都の取り組みについて伺います。
 障害をお持ちの方の口腔ケアについて伺います。
 ふだんは、保護者や介護者が担っている口腔ケアですが、歯科医による衛生管理が必要な場合が多いと聞きます。しかし、障害をお持ちの方々の中には、歯科検診や治療などの理解が難しい場合があります。
 都は昨年度、障害者歯科保健に関する調査を行い、歯科保健推進計画の柱の一つに地域で支える障害者歯科医療の推進を掲げておりますが、これらを踏まえて、今後の取り組みを伺います。
 最後に、監察医制度について伺います。
 人生の最後に受ける社会的なサービスは死因の究明です。どのようにして亡くなったかを知ることは、本人にとっても、社会衛生上も重要となります。
 しかし、東京都では二つの制度で運営されており、昨年の一般質問でも問題提起をいたしました。また、先日の都政新報でも、監察医制度全都適用へという見出しの報道もされております。
 ことしの夏は、災害ともいえる酷暑の中、熱中症による死亡事例がありました。監察医務院では、平成二十二年度から二十三区の熱中症死亡の状況をホームページで公表をしております。監察医務院は、クーラーの使用状況までも調査をして報告しております。
 これまでも我が会派では、多摩でも公表するように求めてきましたが、状況を伺います。
 死因究明のあり方については、やっと具体的な議論が始まったと聞いております。死因究明に対する知事の見解を伺います。
 以上、命、そして生きることをテーマに、八項目について質問をいたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅原直志議員の一般質問にお答えいたします。
 議員が長年取り組んでおられます子供の貧困対策についてのご質問がございました。
 都は、子供・子育て支援総合計画を、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく都道府県計画として位置づけております。教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援の四つを柱として、さまざまな分野の関係機関が連携をしながら、子供の貧困対策を総合的に進めております。
 私は、先日、東京で開催されました子供の貧困対策全国キャラバンに参加いたしてまいりました。キャラバンでは、都内の自治体、企業、NPO法人、学生、そして議員みずからお集まりになられまして、子供食堂や学習支援などの子供の貧困対策について活発に議論するとともに、参加者同士が交流を深める機会となっておりまして、大変意義深いものだと感じたところでございます。
 子供の貧困は、すなわち親の貧困でございます。子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右されることがあってはなりません。
 都といたしまして、全ての子供が将来に希望を持って健やかに成長できるようにさまざまな施策を展開しまして、子供とその家庭を支援してまいります。
 次に、がん対策の推進についてであります。
 がんは、二人に一人がかかるといわれておりまして、都民の死亡者のおよそ三人に一人ががんで亡くなっております。今後、高齢化が急速に進む都におきましては、がん患者の一層の増加が見込まれております。
 こうした中で、東京都は、がん医療の専門家や患者団体等の意見もお聞きしながら、がん対策の総合的な計画であります東京都がん対策推進計画を策定いたしまして、本年三月に第二次の改定を行っております。
 この計画におきましては、科学的根拠に基づくがんの予防、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会の構築、この三つを全体目標として掲げております。
 この目標達成のため、がんの早期発見に向けました取り組み、患者及び家族が安心できる医療提供体制の整備、治療と仕事の両立支援、がん教育の推進等、局横断的に施策を進めております。
 今後とも、都民、医療機関、事業者等と連携を図りながら、総合的な施策を進めまして、がん患者を含めた都民が、がんを知って、がんの克服を目指す、そんな社会を実現してまいりたいと考えております。
 そして、死因究明のあり方についてのご質問がございました。
 医師が行います検案、そして解剖は、人が受ける最後の医療でございます。死因の究明体制は、本来、国が必要な法整備を行って、地域を限定せずに整えることが必要と考えます。
 死因が不明な死体を検案、解剖する、そのような監察医を置くべき地域は、政令によりまして、東京二十三区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市と定められているところでございます。
 現在、政令で定められていない多摩地域でございますが、東京都医師会や大学の協力を得ながら、特別区と同レベルで死因の究明ができますように環境整備を推進しておりまして、国に対しましては、監察医制度が都内全域に適用されるように、政令の改正を繰り返し求めているところでございます。
 都は、先月から死因究明推進協議会におきまして、解剖体制の確保や専門人材の育成など、多摩地域におけます死因究明体制の充実に向けた検討を開始しております。
 こうした取り組みを一層進めて、都におけます死因究明体制の充実を図ってまいります。
 残余のご質問は、教育長及び福祉保健局長からの答弁といたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、SNSを活用した教育相談の成果についてでございますが、子供の健全育成を推進するためには、学校における教育相談の充実に加え、悩みを抱える子供が相談しやすい多様な相談窓口の拡充を図ることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、都教育相談センターにおける電話や来所による相談以外の新たな方法として、多くの生徒が身近に活用しているSNSによる相談を、都立高校生を対象に本年八月末から二週間にわたり試行いたしました。
 その結果、同時期に高校生から寄せられた電話相談の約三倍に当たる一日平均約二十三件、合計三百十五件の相談があるなど、生徒にとって利用しやすい相談方法の一つであることがわかりました。
 この結果等を踏まえ、今後、来年度の本格実施に向け、具体的な相談体制のあり方などについて検討をしてまいります。
 次に、小中学校における不登校についてでございますが、不登校の要因は複雑多様化していることから、学校が子供の状況に応じてきめ細かく支援できるよう、教員の資質の向上や、学校全体で家庭や関係機関と連携して対応することなどが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、教員の経験に応じて、不登校の子供への対応のあり方等に関する研修を実施するとともに、全ての小中学校にスクールカウンセラーを配置するなどして、学校の相談体制の充実を図ってまいりました。
 今後、子供の状況を多面的に把握する手法や、学校と関係機関との具体的な連携のあり方等を示した都独自の教員向けガイドブックを年度内に全公立小中学校へ配布するなどして、一人一人の実態に応じた不登校対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、教育支援センターの名称についてでございますが、教育支援センターは、不登校の子供の学校生活への復帰や社会的自立を支援することを目的として、区市町村教育委員会が設置している施設であります。
 これまで都教育委員会は、教育支援センターの表記については、教育支援センター(適応指導教室)としてまいりましたが、国が表記を教育支援センターのみとしたことを踏まえ、都教育委員会としても、今般作成している児童・生徒を支援するためのガイドブック以降、教育支援センターのみの名称を用いることとしております。
 次に、教員の働き方改革についてでございますが、今日の学校現場においては、不登校やいじめ、特別支援教育など、教育課題が複雑化、多様化し、学校に求められる役割が拡大しており、このことが教員の多忙化の一因となっております。
 これまで都教育委員会は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門人材を活用し、チームとしての学校の体制を整備するとともに、今年度からスクールサポートスタッフや部活動指導員の配置を行うなど、一層の教員の負担軽減を図ってきております。
 今後は、こうした人材の安定的確保や資質向上を初めとする多様な取り組みを複合的に行うための新たな仕組み等について検討するなど、教員の働き方改革をさらに推し進めてまいります。
 最後に、都立高校の中途退学者への支援についてでございますが、都教育委員会は、都立学校自立支援チーム派遣事業を通じ、中途退学の意思を固めた生徒に対して、ユースソーシャルワーカーが面談を丁寧に行い、退学後も再就学や就労に関する相談ができることを伝えております。
 その際、相談窓口の連絡先を記した進路相談カードを配布するなど、切れ目のない支援に努めているところでございます。
 また、退学者本人や保護者から求めがあった場合には、それぞれの状況に応じて、区市町村就労部門や福祉部門、若者支援NPO等と連携しながら対応しております。
 今後もこうした取り組みを通じ、中途退学者が社会とのつながりを持ち続けられるよう支援をしてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童虐待を防止するためのLINE相談についてでございますが、都は先月、児童虐待防止推進月間に合わせて、子供や若い保護者になじみのあるLINEを活用した相談窓口を二週間、試行的に開設いたしました。
 相談対応件数は全体で五百七十六件あり、保護者からは、子供の行動にいらいらする、子供が友達とうまく遊べないなど、二百七十七件の相談がございました。子供からは、家に居場所がない、親との関係がうまくいかないなど、六十五件の相談があったところでございます。
 また、虐待が疑われたもののうち、児童相談所に対応を引き継いだものは八件ございました。
 今回の試行実施の状況を今後検証いたしまして、相談体制や児童相談所等との連携体制を整備した上で、来年度から本格的に実施する予定でございます。
 次に、一時保護された児童への支援についてでありますが、都の一時保護所では、児童の権利を尊重し、擁護することを基本方針に、児童が安心して生活できるよう個々の状況に配慮した支援を行っております。
 具体的には、多様な経験を通して達成感や大人への信頼感が得られるよう、工作やスポーツなどの活動、夏祭りやクリスマスなど季節に応じたイベントを実施するほか、食事の提供に当たりましては、郷土料理や外国料理、誕生日に合わせた特別メニューなど、児童が楽しめるよう工夫しているところでございます。
 また、保護所の建てかえ等に当たりましては、国のガイドライン等も踏まえまして、個人としての生活空間の確保や個別的なケアが行えるよう、居室を原則個室化することとしており、今後とも、児童の安全・安心を確保し、一人一人の状況に応じた丁寧な支援を行ってまいります。
 次に、がんとの共生に向けた施策展開についてでありますが、がんになっても本人や家族が自分らしく生きられるようにするためには、適切な医療や支援を受けながら、生き生きと暮らせる環境づくりが重要でございます。
 このため、都は、東京都がん対策推進計画において、地域共生社会の構築を全体目標の一つに掲げ、ライフステージに応じたがん対策の推進や、がんに対する正しい理解の促進、がんの診断時から切れ目のない緩和ケアの提供等の施策を総合的に展開しております。
 現在、医療機関や患者等の実態調査を実施しており、今後、調査結果も踏まえまして、がん患者の生活の質の向上や、多様なニーズに対応する相談支援体制の充実等を図り、がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる、地域共生社会の実現を目指してまいります。
 次に、自殺対策についてでありますが、都は、福祉、医療、経済、教育等の関係機関や関係団体との連携協力を強化し、総合的、効果的な自殺対策を推進するため、本年六月に東京都自殺総合対策計画を策定いたしました。
 計画では、若年層対策の推進や相談体制の充実等を重点施策に位置づけ、これに基づきまして、大学生と協働した講演会やSNSを活用した自殺相談など若年層に対する普及啓発の充実や、医療従事者や地域保健関係者向けの研修等を通じた関係機関の対応力の強化を図っております。
 また、地域での実践的な対策を推進するため、区市町村の計画策定に必要な支援を行っており、今後とも、関係団体等と連携して、自殺防止対策に総合的に取り組んでまいります。
 次に、障害者歯科医療についてでありますが、都は昨年度、地域における障害者歯科診療の実態を把握するため、都内全ての歯科診療所約一万施設を対象に、障害者歯科診療の実施状況等の調査を行いました。
 調査の結果、地域によって障害者歯科診療の実施率に差があることや、障害者の受け入れに当たっては、診療所におけるスタッフの育成や機器、設備等の整備などが課題であることが明らかになったところでございます。
 今年度は、この調査結果も踏まえながら、東京都歯科保健対策推進協議会のもとに設置いたしましたワーキンググループで、医療機関同士の連携方法や、地域の歯科診療所に対する支援策等について検討しており、今後、関係者とも連携いたしまして、障害者歯科医療を一層推進してまいります。
 最後に、多摩地域での熱中症による死亡者状況についてでありますが、お話のあった平成二十二年の記録的な猛暑により、熱中症による死亡事例が多数発生したことから、監察医務院でそれらを詳細に分析したところ、九割が六十五歳以上の方であり、その多くが住居内で発症していたことなどが判明いたしました。
 このため、二十二年度に、検案や解剖で得られた死亡者の年齢、クーラーの使用状況等に関する二十三区内のデータとあわせまして、小まめな水分補給や適切な室内環境の確保などの熱中症予防策をホームページに掲載し、それ以降毎年度、死亡者の状況を公表しております。
 今年度からは、多摩地域の状況についても集計し、今月からその結果を公表しており、引き続き、死因究明で得られた貴重なデータが有効に活用されるよう情報発信に努めてまいります。

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