平成三十年東京都議会会議録第十七号

○議長(尾崎大介君) 五十番清水孝治君。
〔五十番清水孝治君登壇〕

○五十番(清水孝治君) 初めに、国民健康保険制度の都道府県化後の取り組みについて伺います。
 改めて申すまでもなく、国民健康保険制度は、我が国における国民皆保険の基礎をなすものでありますが、他の医療保険に比べて被保険者の年齢構成が高く、一人当たり医療費も高いという大変厳しい状況があります。重ねて、被保険者の所得水準は低く、保険料負担が重いという課題も抱えております。
 このような状況の中で、国民健康保険を持続可能な制度とするため、平成三十年度から国の財政支援を拡充するとともに、都道府県単位化する制度改革が行われました。そこには、東京都は、財政運営の責任主体となり、国保運営の中心的な役割を担い、制度の安定化を図ることとされております。
 制度改革の主なものとして、都が区市町村の納付金、標準保険料等を提示し、区市町村はそれを参考に保険料等を決定することとなっています。また、都は、運営方針を示し、区市町村が担う事務の効率化、標準化等を推進することになっております。
 一方、都内の多くの区市町村は、以前から一般会計からの法定外繰り入れをしながら事業の運営をしており、その規模は九百十億円という全国の三分の一を超えております。しかし、国保財政健全化の観点から、法定外繰り入れの段階的な削減、解消を進めていくことが求められております。
 都も、区市町村と一体となって国保事業を運営するため、東京都国民健康保険連携会議で協議を行うなど、ご努力を続けていることと思いますが、このような改革を行い八カ月ほど経過いたしましたが、都として、今後も国民健康保険制度が安定的に運営されるよう、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、都内植木生産について伺います。
 知事、東京都が全国有数の植木生産地であることをご存じでしょうか。都内農地は減少傾向でありますが、農林水産省の統計によれば、都内約七千ヘクタールの農地が残存しており、うち植木畑は実に二百十ヘクタールに及んでおります。
 また、全国各地に存在する数少ない専門農協である植木農協の一つが、何と東京都にございます。いわば東京都は植木生産のメッカでございます。
 景気がよかったころは、植木農家は、人件費を販売価格に盛り込める数少ない農業経営体でございました。しかし、昨今の公共工事やゴルフ場建設など、民間土木工事の減少により植木の需要は低迷し、その経営は厳しさが増しております。また、都内植木の重要な流通取引の場である植木市場も、その会場確保に苦慮している現状でございます。
 他方、東京都は、コンクリートや木材など建設資源の循環の仕組みを構築するための建設リサイクル推進計画を平成二十八年四月に改定し、東京都発注工事における建設資材等の調達について方針を定めております。そこには、都内産緑化植物の利用促進のため、都内産の緑化植物の公共利用の目標を全体利用の三割とすると明記していただきました。
 しかし、実際の現場では、土木工事標準仕様書に環境物品調達方針により、環境負荷を低減できる材料の使用を積極的に推進するものとすると記されているものの、その環境物品調達方針には、可能な限り都内産の緑化植物を使用するとされ、つまり、直ちには都内産植木を使用しにくい表現にとどまっております。まさに、都内植木生産農家を取り巻く現状は、全く精彩を欠いたままでございます。
 他方、過ぐる本年十一月十八日には、調布市武蔵野の森総合スポーツプラザにて、全国育樹祭の式典が挙行されました。
 当日は、皇太子同妃両殿下のご臨席を仰ぎ、式典行事等を通じ、健全で活力ある森林を育て、次代に引き継ぐことの大切さを伝えただけでなく、改めて都内森林の整備、保全や多摩産材の活用の必要性を感じたわけであります。
 そこで伺いますが、植木の聖地東京として、都内産植木の利用拡大に向けて、庁内連携した取り組みを進めることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、JR南武線の矢川駅から立川駅付近の鉄道立体化について伺います。
 JR南武線の矢川駅から立川駅付近では、多摩地域における南北主要幹線道路で唯一未着手区間が残る都市計画道路立川三・三・三〇号線、通称芋窪街道が延伸、交差する予定であります。
 同路線は、立川広域防災基地と中央自動車道の国立府中インターチェンジのアクセスを強化し、人や物の流れの円滑化のみならず、防災性向上にも寄与する極めて重要な路線であり、この計画道路の整備推進には、JR南武線の鉄道立体化は避けては通ることのできない重要な事業となっております。
 また、同エリア内のJR西国立駅に近接する上野原第一踏切では、一日当たり一万人を超える歩行者等が利用しており、踏切事故の発生が常日ごろ心配されている状況でございます。
 そんな中、沿線市である国立市では、本年六月に、鉄道立体化を踏まえた都市計画マスタープランを改定し、立体化事業の促進による道路交通の整備方針等を明らかにしてまいりました。同じく、立川市ではJR南武線の鉄道立体化に合わせてJR西国立駅周辺に駅前交通広場を整備するなどの方針を定め、周辺地域のまちづくりに積極的に取り組んでおります。
 広域的な幹線道路ネットワークの形成や地域のまちづくりを進めるためには、本区間の鉄道立体化が不可欠でございます。
 そこで、JR南武線の矢川駅から立川駅付近の連続立体交差化事業の取り組み状況について伺います。
 最後に、東京二〇二〇大会のライブサイトについて伺います。
 都は、本年四月、大会期間中のライブサイトに関する開催都市東京の考え方を公表し、都内候補地として八カ所を挙げております。現時点では、区部七カ所と比べ多摩地域では井の頭公園のただの一カ所にとどまっております。
 そもそもライブサイトの考え方は、チケットを持たない方や競技会場の遠方に住んでいる方にも身近な場所で競技のライブ中継やスポーツ体験、文化の発信等大会の臨場感を体験してもらい感動を分かち合っていただくことでございます。
 したがいまして、オリンピック・パラリンピックの競技会場が少ない多摩地域におけるライブサイトの果たす役割は大変重要でございます。
 そこで、多摩地域の振興に資する都が実施するライブサイトは、複数会場に拡充すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、あわせまして、都が行うさまざまな機運醸成事業を駆使しまして多摩地域の盛り上げを図っていくべきと考えますが、都の見解を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 清水孝治議員の一般質問にお答えいたします。
 JR南武線の矢川駅から立川駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、この区間では、多摩地域における主要な幹線道路でございます南北方向の立川東大和線や東西方向の新奥多摩街道など、都市計画道路が四カ所で交差することとなりますほか、十四カ所の踏切があり、鉄道立体化が必要となっております。
 このため、都は国に対し、連続立体交差事業の着工準備に係る補助金を要望し、本年四月に新規着工準備箇所として採択され、事業化に向けまして具体的な調査を進める段階となりました。
 現在、鉄道立体化の構造形式や施工方法、また、交差する都市計画道路の構造等につきまして検討を進めております。
 引き続き、地元市や鉄道事業者と連携し、本区間の事業化に向けまして積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 国民健康保険に関するご質問にお答えいたします。
 国民健康保険制度を今後も安定的に運営していくためには、原則として保険料と公費により給付に必要な経費を賄い、収支が均衡していることが重要でございます。
 都の国民健康保険運営方針では、区市町村との共通認識のもと、一般会計からの法定外繰り入れの計画的、段階的な削減に取り組むこととしており、区市町村は、収納率の向上や適正な保険料率の設定による歳入確保とあわせ、歳出の伸びの抑制のため、保健事業や医療費適正化の取り組みを進めることとしております。
 都は、区市町村の取り組みに対し、必要な助言を行うとともに、医師会等と連携いたしまして、糖尿病の重症化予防や後発医薬品の普及など保険給付費の伸びの抑制に取り組むなど、財政運営の責任主体としての役割を果たしてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 植木の利用拡大に向けた庁内連携についてでございますが、東京の植木産業を振興するためには、街路樹や公園の植栽を初め、広く利用を促進していくことが重要でございます。
 これまで都では、公共工事での都内産植木の活用を進めるため、関係局や区市町村を対象とした新樹種の紹介や具体的な活用法を示す現地研修会等を開催してまいりました。
 今後は、道路や公園等を整備する事業者が植木の在庫状況を随時把握できるよう、都内の植木生産者団体が運営するホームページの改修を支援するなど、植木利用を促す環境整備を進めてまいります。
 また、夏の暑さ対策として実証実験を進めてまいりました都内産植木を用いた移動式の緑化コンテナについて、関係局と連携し、東京二〇二〇大会の競技会場となる都立公園等への設置を検討いたします。
 これらにより、都内産植木の利用促進を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇ライブサイトについてでございますが、オリンピックパークのない東京大会におきましては、競技会場周辺や国内外からのアクセスがよい場所において、都民のみならず国内外から訪れる多くの方々を広く受け入れる広域的なライブサイトが必要でありまして、現在のところ、多摩地域では、井の頭恩賜公園に設置することとしております。
 都といたしましては、ライブサイト等を一層効果的に展開するとともに、市区町村が地域におけるコミュニティライブサイト等に積極的に取り組んでいただけるよう、補助制度による支援のほか、各種相談対応等を丁寧に行ってまいります。
 今後とも、市区町村と十分連携し、多摩地域を初め都内全域の盛り上がりにつながる取り組みを進めてまいります。
 次に、東京二〇二〇大会の機運醸成についてでございますが、ライブサイト等の取り組みに加え、大会の祝祭感をさらに高めるため、子供たちに人気の高いマスコット像等を多摩地域を含めた都内各所に効果的に設置してまいります。それにより、より多くの方々に多摩地域に足を運んでいただき、多摩の魅力発信につなげてまいります。
 さらに、市区町村が、地域住民が多く訪れる地元の商店街や駅前、公共施設などを、大会ルックを使った統一的なデザインでシティードレッシングできるよう、都としてもしっかりと支援してまいります。
 今後とも、都は、さまざまな機運醸成事業を推進するとともに、市区町村とも十分連携し、創意工夫を凝らして、多摩地域を初め都内全域の盛り上げを図ってまいります。

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