平成三十年東京都議会会議録第十六号

○副議長(長橋桂一君) 百七番橘正剛君。
〔百七番橘正剛君登壇〕

○百七番(橘正剛君) 都議会公明党を代表して質問します。
 初めに、偏在是正を名目にした地方法人課税への、いわゆる新たな措置について申し上げます。
 公明党は、小池知事からの求めに応じて、我々も同席して、山口那津男党代表、太田昭宏前党代表、斉藤鉄夫幹事長などに対する要望の場を設け、国会議員も懸命に努力を重ねました。
 こうした精いっぱいの取り組みにもかかわらず、報道によれば、新たに約四千二百億円、先行実施部分を合わせれば、約九千二百億円もの貴重な都の税財源の収奪が、今後、半ば恒久化されるともいわれております。
 昼夜にわたり人口が集中する東京の行政需要を無視し、税収だけを奪い取ることは、納税の原理からしても断じて容認することはできません。まして、今回は課税の仕組みまで変更して、財源の奪い合いを地方自治体同士に仕掛けるものです。
 東京への一極集中は、東京の都合やわがままで生じているものではありません。長年の国策の結果であります。
 国は、みずからの非を認め、山口代表が記者会見で発言した、角を矯めて牛を殺すような国力を損なう大都市への狙い撃ちを改め、都市と地方が互いの個性と力を尊重し合い、国全体を元気づける正攻法の問題解決に立ち戻るべきと強く申し上げておくものであります。
 こうした事態を踏まえて、改めて知事に見解を求めます。
 次に、補正予算について質問します。
 小池知事は、今定例会に学校体育館への空調設置、ブロック塀の安全対策、行政庁舎の非常用電源の整備など、防災対策を柱とした平成三十年度補正予算案を提出しました。
 我が党の主張を受け、都民の命と安全を守るため、迅速に対応された知事の実行力を高く評価したいと思います。
 昨今は、全国で地震、風水害が頻発し、特に、災害級ともいわれている猛暑への対策については、教育の場であり災害時の避難所でもある学校体育館への空調設置が緊急課題となっています。
 我が党は、昨年十二月の第四回定例会代表質問や、ことし三月の第一回定例会一般質問で、都による新たな支援策を主張し、ことし九月の第三回定例会代表質問では、来年の夏までに第一陣の整備を行うべく補正予算の編成を主張しました。
 さらに、小池知事に直接申し入れた十月の緊急要望と十一月の追加要望で、区市町村の財政負担を極力抑制する支援策を提案したところであります。こうした対策をきめ細かく講じ、実効ある取り組みとしていくべきであります。
 そこで、区市町村立学校体育館の空調設置への具体的な支援策について質問します。
 一点目は、附帯工事への支援です。
 知事は、今定例会の所信表明で、断熱工事や設計費も補助の対象とし、来年度当初予算においてはリースによる対応についても支援するとの見解を示しました。我が党が行った要望への迅速な対応を評価したいと思います。
 空調設置に際しては、断熱工事のみならず、電源工事などさまざまな附帯工事が必要となるケースもあります。
 都は、補助単価の上限を引き上げることで、こうした工事に対応できると説明していますが、都の補助対象となる工事の範囲と補助単価の考え方について、知事の見解を求めます。
 二点目は、国の補助単価を上回る部分の都の補助率です。
 都は、平成三十年度補正予算に限り補助率を三分の二に引き上げるとしていますが、整備の促進を考えれば、三十一年度以降もこの補助率の引き上げを継続すべきと考えます。あわせて、現時点で国庫補助を申請していない自治体への対応も検討すべきです。知事の見解を求めます。
 三点目は、リースによる空調設置です。
 知事は、来年度当初予算による支援を表明しましたが、区市町村に積極的に活用してもらうためにも、速やかに具体的な支援の内容を明らかにする必要があります。同時に、リースによる整備については、他の手法による整備と同等に支援をすべきです。あわせて知事の見解を求めます。
 四点目は、国庫補助との関係です。
 今回の補正予算案は、都が、国庫補助を上回る補助単価や補助率加算を設定し、区市町村の財政支援を行うというものです。しかし、国のさきの第一次補正予算では、学校体育館への空調設置は補助対象となりませんでした。
 区市町村が来年夏までに契約、設計、工事を速やかに実施し、空調設置を間に合わせるため一刻の猶予もない中で、国の補助金が出ないという事態に際して、臨時措置として緊急的に都がその分を補うべきと考えます。知事の見解を求めます。
 五点目は、都立高校体育館への空調設置です。
 来年夏の第一陣を皮切りに速やかに整備を完了できるよう、計画を策定すべきと考えますが、都教育庁の見解を求めます。
 学校施設の空調設置では、今から二十七年前の一九九一年、港区議会の公明党議員団が、東京の過去の気温上昇を調査し、粘り強く空調の設置を主張しました。その懸命な訴えに、区は二〇〇二年に小中学校全普通教室への設置方針を表明し、二〇〇五年には整備を完了させました。これに呼応する形で、都内の各学校での整備が少しずつ進み始めたわけであります。
 我が党は、普通教室と特別教室に続いて、学校体育館への空調設置を進め、引き続き給食調理室への空調設置等にも力を入れていくことを表明し、次の質問に移ります。
 大規模水害に備えた避難行動体制について質問します。
 我が党は先日、西日本豪雨災害で多くの被害が発生した岡山県倉敷市を調査いたしました。
 真備町では、犠牲者の多くが自宅一階で亡くなっており、その大半は高齢者でありました。また、二年前に各戸配布された洪水・土砂災害ハザードマップでの想定とほぼ同じ範囲の地域が、想定どおりの深さの浸水被害に遭っていました。
 ハザードマップが現実感を伴って受けとめられていなかったことが、過去の体験に頼った対応につながったものと思われます。改めて、防災情報と避難行動を結びつける取り組みの重要性を実感した次第です。
 こうした課題を克服する一つの工夫として、視覚に訴えて迅速な避難行動の重要性を体感できる機器が開発され、既に一部で実用化されています。実際の景色や地形などの背景にコンピューター画像を重ね合わせて、水かさを増して押し寄せる洪水の規模を生々しく伝えるARと呼ばれる映像の技術です。
 我が党が第三回定例会でその重要性を指摘したマイタイムラインに基づく避難訓練において、水害リスクを肌で実感できる映像技術などを活用し、ワークショップなどを進めていけば、人々の関心を呼び、多くの地域で迅速な避難行動につながるものと考えます。広域行政を担う都として、普及を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、非常用電源整備について質問します。
 防災、減災を図る上では、停電時に対する備えが必要です。
 都は既に、我が党の第三回定例会の代表質問に応えて、災害拠点連携病院についても非常用電源装置の整備を図るべく、有識者会議を立ち上げるとしています。
 その一方で、ことしの北海道胆振東部地震では、いわゆるブラックアウトが発生し、人工呼吸器などの医療機器用の発電装置を求める情報交換がネット上で飛び交いました。
 こうした事態を踏まえ、厚生労働省はことし十月、都道府県に対し、福祉施設の非常用電源設備や災害備蓄の実態確認を求める通達を出しています。都内には約千四百カ所の福祉避難所があり、その多くを占める社会福祉施設全般について非常用電源整備のいち早い対応が必要です。知事の見解を求めます。
 都は現在、在宅の難病患者に対し、医療機関を通じ、人工呼吸器用の非常用電源を自宅に確保する支援を行っています。
 一方で、難病患者以外にも、電子医療機器によるケアを在宅で常時必要とする都民がおります。都は既に、該当者に向けた支援を開始していますが、補助スキームを採用している自治体は、わずか三つの区市にすぎません。
 これ以上の放置は許されず、難病患者以外の在宅の人工呼吸器使用者などが、災害時でも安心できる実効性の高い電源確保策を工夫すべきです。知事の見解を求めます。
 次いで、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化について質問します。
 特定緊急輸送道路に面し、高さがおおむね道路幅員の二分の一以上の建築物の耐震化率は八四・三%に達し、当面の目標である九〇%まであとわずかとなっています。
 しかし、残る建築物の多くが耐震化に着手できない事情を抱えており、困難に直面しています。
 こうした現状を打開するため、都は、来年早々の上程を視野に条例を改正し、ビル内のテナントなどに対する説明義務をビル所有者に課す方針を示しています。
 条例改正が実現すれば、次の課題は、ビルの所有者側からの説明が実際にどの程度進んでいくのかという点と、説明の中身の妥当性が問われることになります。
 区市や専門家に協力を求め、ビル所有者や管理者がテナントなどのビル占有者に説明や周知を行う際の助言、もしくは同行して説明に当たるなどの対策が必要です。急ぎ体制を構築し、条例改正の実効性を高めるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、社会の持続可能性に貢献する都政の推進を図る立場から質問します。
 十一月十四日、東京二〇二〇大会の組織委員会は、大会を通じて国連の持続可能な開発目標、すなわちSDGsに協力する基本合意書に署名しました。まさに、世界で初めてSDGsに貢献するオリ・パラ大会となります。
 知事は、ことしの第一回定例会において、我が党の代表質問に対し、都の政策はSDGsと軌を一にしており、今後もSDGsの視点を重視して政策を推進していくと答弁し、意欲を示しています。
 そこで、そうした意欲の具体的な表明の仕方として、都の実行プランとSDGsで掲げる十七のゴールとの関連性をわかりやすく整理して都民に示し、一層の推進を図るべきと考えます。知事の見解を求めます。
 また、持続可能性や社会の包摂性をとうとぶ視点は、現在都内の各公立学校で推進されているオリ・パラ教育でも考慮すべきです。各国の多様性を学び、尊重し合う気風を培うなど、SDGsに関する理解を深める学習の推進について、都教育庁の見解を求めます。
 次に、東京二〇二〇大会に向けた文化プログラムについて質問します。
 オリンピック憲章には、スポーツ競技大会のみならず、文化プログラムの実施が明確にうたわれており、近代オリンピックの創立者であるピエール・ド・クーベルタン男爵も、オリンピックはスポーツと芸術文化との融合であると、その理念を明らかにしています。
 オリンピックにおける文化プログラムは、大会そのものの成否が問われるほど重要な位置づけにあり、我が党がオリ・パラ招致に全力を挙げた理由の一つも、スポーツにとどまらない平和と文化の祭典であるからであります。
 インフラ整備など経済面でのレガシーの印象が強い前回の東京大会の経験を踏まえ、文化面の取り組みの強化が求められていました。
 一方、今大会の文化プログラムの実施期間は、前回リオ大会の終了後から東京大会終了までの四年間です。既に二年が経過する中、都が四月に発表した都民世論調査の結果では、七割近くが文化プログラムという言葉を知らないと回答しています。現状をどう認識しているのか、都の見解を求めます。
 文化プログラムの浸透が進まない要因の一つに、実施主体が東京都、国、大会組織委員会の三者に分かれ、プログラム名やロゴマークも異なり、大会エンブレムやオリンピックという名称使用にも制約があるなどの点が考えられます。課題を克服するべく三者の連絡会議が四月に設置されましたが、一回目の会合は半年を経過した先月でありました。
 このままでは文化プログラムが破綻しかねません。国、組織委員会との連携は本当に進んでいるのか、状況を明らかにしていただきたいと思います。答弁を求めます。
 この文化プログラムの成功例といわれるのが、二〇一二年のロンドン大会です。四年間に音楽や演劇、美術など国内で約十一万七千件が実施され、参加者は約四千三百四十万人に上りました。
 一方、我が国では、共同通信の調査によれば、文化プログラムの実施を検討していない自治体が全国で七割。都民でさえ文化プログラムに関心を持てていない状況下では当然の結果といえます。東京大会では当初、ロンドン大会を超える二十万件の文化プログラムを実施するという目標を掲げていましたが、いつしか消え去っています。
 東京大会の立候補ファイルでは、文化プログラムについて、最先端の芸術からコミュニティアートまで対象を幅広く捉えることが前提となっています。
 東京二〇二〇大会の成功とレガシーを残すためには、原点に立ち返り、都民の草の根の文化活動を支援する仕組みを構築して、都内各地域の文化振興を図るべきです。見解を求めます。
 なお、都内の子供たちにも芸術文化に接する機会を提供して、学校と連携した文化プログラムを推進するなど、学校教育の活動の中で未来の文化都市東京の礎となる取り組みを行っていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、東京二〇二〇大会の会場整備費について質問します。
 いうまでもなく、大会を成功させるには何よりも都民の理解が重要であり、とりわけ経費については透明性を確保しなければなりません。その中で、大会会場の一つとなる日本武道館の改修費用に都が補助することについては、公益財団法人とはいえ公の施設とは異なるため、十分な説明が必要です。
 そこで、この費用に対する都の考え方を明確に示すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、旧こどもの城について質問します。
 先般、知事より、旧こどもの城の土地建物を都が取得し、都民のための複合拠点を整備する旨の方針表明がありました。
 これを受けて、先月には、平成三十一年度予算編成に向けて、国有地の取得費等についての説明がありました。都心に残る数少ない一等地であり、この土地を購入する必要性については丁寧な説明が不可欠です。この点について、購入を予定する既存建物については、現状、ダイバーシティー拠点というコンセプトしか示されていません。
 加えて、土地については、経費の大半を占める以上、旧こどもの城に隣接する旧青山病院や土地信託ビルであるコスモス青山、国連大学の三つの都有地、計四・五ヘクタールの一体活用に向けた将来像を示すことが大事です。
 そこで、地元渋谷区の理解とともに、より中長期的な視点に立って、旧こどもの城建物の具体的な利活用方策と将来の周辺都有地を含めた一体的な活用の構想を明確にしていくことが取得に向けた必須条件であると考えます。知事の見解を求めます。
 次に、中央卸売市場について質問します。
 去る十月十一日、追加対策工事を完了し、専門家会議による安全性が確認された上で豊洲市場が開場しました。引き続き地下水の管理を徹底するとともに、地上部の大気の安全性のチェックを強く求めたいと思います。
 また、開場後に市場業者が実際に使用した際に明らかになった課題についても、迅速かつ丁寧に対応するよう要望します。
 今後、中央卸売市場会計を持続可能なものとするためには、豊洲市場を整備する際に発行した企業債約三千六百億円を着実に返済することが求められます。しかしながら、現状では、二〇二〇年度で六百億円を返済できず、資金ショートを起こす可能性があります。
 地方財政法では、資金繰り対策として三十年間は借りかえを行うことが認められていますが、中央卸売市場の経営の健全性を保つためには、期限を迎える段階で全額を返済しておくことが望まれます。
 しかも本年六月、卸売市場法の全面的な改定により、卸や仲卸を通さない取引が可能となるなど、今後、市場全体を取り巻く環境は、より厳しい方向に変化していきます。
 このようなことから、豊洲市場が開場した現段階において、築地市場の跡地を一般会計に有償所管がえし、中央卸売市場会計を持続可能なものとしていくべきであります。
 築地市場の跡地を一般会計で保有することにより、民間開発による短期的利益の追求ではなく、公共、公益的な観点も踏まえたまちづくりが可能となります。さらに、築地の場外市場の発展や地元中央区が望む再開発案などのまちづくりの視点からの弾力的な利活用も可能となります。
 そこで、築地市場の跡地の一般会計への有償所管がえについて、知事の見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 都は、今定例会に東京都中小企業・小規模企業振興条例案を提出しています。その上で、今後重要な点は、条例を契機に、具体策として、都がいかに本腰を入れて中小企業支援に取り組むかという点にあります。
 例えばPDCAサイクルによる見直しを進め、希望が多く寄せられる実用性の高い支援メニューへの転換を進めるべきです。
 また、中小企業経営者からは、都の支援メニューは種類が豊富過ぎて、分厚いパンフレットを渡されても困るという声があります。
 そこで、支援メニューが体系的に整理された一覧表を作成し、支援の各種窓口で配布するなど、支援メニューをよりわかりやすく周知、PRするための一層の工夫が必要と考えます。都の見解を求めます。
 また、東京二〇二〇大会が迫る中、中小企業が支援メニューを活用して、販路の拡大に結びつけることができるかどうかも重要です。
 その期待に応えるために実施されているのが、ビジネスチャンス・ナビ事業です。企業の利用登録は二万八千社まで進んでいますが、登録のメリットが都内の中小企業の間で話題に上るようになれば、さらに登録数は増加していくものと考えます。発注案件のさらなる掘り起こしや、わかりやすい成約事例の発信の強化など取り組みを充実させるべきです。都の見解を求めます。
 二〇二〇大会を迎えるに当たって、災害に対する備えの強化も不可欠です。被害を極力減らす事前の努力と合わせ、被害からの迅速な復旧や完全な復旧までの間の代替手段の確保などが大事な課題となっています。
 しかし、目前の経営課題に忙殺され、対応がおくれがちです。都は、都内中小企業の災害対応力を高めて経営の安定を図るため、事業継続計画であるBCPの作成、事業継続管理を行うBCMに役立つ支援を強化すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、働き方改革について質問します。
 本年六月に可決、成立した働き方改革関連法では、我が党が強く求めた残業時間の上限規制が罰則つきで規定されるなど、労働法規の遵守が進むことが期待されています。
 一方、人手不足が深刻な中小企業では、残業を減らしていく中で、繁忙期の受注に対応できるかなどの不安も聞かれます。
 こうした点に配慮し、法改正では中小企業の準備期間を確保するため、罰則つきの残業規制は二〇二〇年四月から、同一労働同一賃金の規定は二〇二一年四月からと、いずれも適用を大企業より一年おくらせています。
 都は、適用が始まるまでの間に中小企業側の準備が着実に進むよう、相談会の開催などの対策を強化すべきです。あわせて、TOKYO働き方改革宣言では、賛同数も中身も一層充実させていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 労働法規の遵守は働き方改革の前提です。しかし、雇い主側も働く側も労働法規に関する知識が不足しがちで、重大な不利益につながるトラブルが相次いでいます。
 この点、都の労働相談情報センターでは、他県とさほど変わらない人員体制のもと、相談数、あっせん数、解決数とも他県を圧倒する実績を残しています。都直営の相談業務だからこそ信用力が高まり、企業側もあっせんに応じるものと考えます。
 働き方改革に注目が集まるこれからこそ、都の労働相談情報センターの人員体制の整備と充実を期すべきと考えますが、見解を求めます。
 知事が先日の所信表明で言及した、自力での就労が困難な都民向けのソーシャルインクルージョン、すなわち社会的包容力の進展には、あらゆる都民の可能性を引き出す企業側の職場環境の改善を都が強く保障する枠組みが必要です。
 条例制定を視野に入れて取り組むとのことでございますが、その点に関する知事の見解を求めます。
 次に、障害者雇用について質問します。
 一昨年の予算特別委員会での公明党の提案を受けて、都は、昨年度の職員採用選考から、従来の身体障害者に加えて、それまで受験対象となっていなかった精神障害者、知的障害者を初めて受験対象としました。昨年度と今年度、特に精神障害者の採用が大きく進んだことは、非常に意義深いと考えます。
 今後は、より一層継続的に業務に従事し、組織の一員としてより重要な役割を担えるよう、職場環境の整備を進めていくことが重要です。そして、働く意欲の向上に向けて、障害者の非常勤職員についても処遇改善を図らなければなりません。これらの取り組みを通じて、知的障害者の雇用を促進すべきと考えます。都の見解を求めます。
 あわせて、都教育庁においても知的障害者を含めた、さらなる障害者雇用を促進すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、都庁グループの一員である監理団体についても、障害者雇用を拡大すべきです。法定雇用率達成に向けた計画の策定や環境整備を進めるなど、各団体が具体的な取り組みを行うよう、都として監理団体の障害者雇用促進の仕組みを構築すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次いで、教育施策について質問します。
 過労死ラインを超えるとも指摘される教員の長時間労働の改善は喫緊の課題です。
 我が党はこれまでも、専門家やサポートスタッフの活用などを通じて、学校現場が直面する問題の解決や教員の負担の軽減が進むよう、さまざまな提案を行ってきました。
 これからも、教員の働き方改革と教育の質の向上は、社会環境の変化に応じつつ、常に両立を図っていかなければなりません。
 来春には改正労働基準法が施行される予定であり、国は、教員の勤務時間についての新たなガイドライン案を提示しました。都においても、教員の働き方改革をさらに加速させていく必要があります。
 教員の一層の負担軽減を図るとともに、こうした中でも、学校現場が保護者や地域の期待に十分応えられるよう、サポートの仕組みについて、抜本的な対策を講じるべきと考えます。都の見解を求めます。
 不登校は、学校の重要課題の一つです。
 少子化が進む中、不登校の児童生徒は年々増加傾向にあり、文部科学省が十月二十五日に公表した調査結果では、都内の小中学校における不登校の児童生徒数は約一万二千人で、都も全国も過去最高になっています。
 そうした中、国は議員立法で二〇一六年十二月に、いわゆる教育機会確保法を成立させました。学校への復帰を大前提とした従前の不登校対策の方針を改め、民間のフリースクール、公立の教育支援センター、不登校特例校などの多様で適切な学習活動による対応を公式に評価する転換を行っています。
 加えて同法では、子供たちの居場所になるさまざまな学びの場の推進に必要な財政支援を国や自治体に求めています。
 都も積極的に応じていくべきであり、都議会公明党はその視点に立って、先日、全国に先駆けてフリースクールガイドラインを策定した大分県の取り組みを視察しました。県とフリースクールの運営者などが協働して県独自のガイドラインを作成したことにより、フリースクールの定義が明確になり、児童生徒が在籍する学校長を初め教員との連携が強化され、保護者やフリースクールとの間の情報共有も進んでいます。何よりも、元気や自信をなくしていた子供たちが、就労や進学などの目標に向かって生き生きと活動している姿が最大の成果といえます。
 都は、我が党の要請に応え、フリースクール運営者や区市町村との意見や情報の交換を行っていますが、さらなる取り組みとして東京版のガイドラインを示すなど、不登校の児童生徒が適切に相談、指導を受けられ、連携が強化される取り組みを進めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 関連して、ひきこもり対策について質問します。
 ひきこもり支援は、当事者や家族の多岐にわたる悩みや課題に的確に応えることが何よりも大事です。そのためには、局横断的に連携して支援するような体制の構築が求められます。さらに、当事者や家族の事情をきめ細かに受けとめることも大切です。
 これら抜本的な対策の強化に向けた取り組みについて見解を求めます。
 次いで、住宅政策について質問します。
 地価の高い都内では、マンションを選択する都民がふえ、都内の分譲マンションは約五万三千棟、百八十一万戸も存在しています。そのうち、老朽化といわれ始める築四十年以降のものは約二十五万戸に及んでいます。
 これらのマンションが経年劣化に対応できず、資産価値を失ったり、管理不全に陥ったりすれば、区分所有者にとっての損失であるだけでなく、防災や防犯上、戸建て住宅の老朽化以上に影響の大きい社会問題となります。
 国は既に法改正を行い、建てかえを市街地再開発事業として行う場合に必要な合意形成要件の引き下げなどを実施していますが、あくまでも合意は区分所有者や住民の自主努力によって進められていきます。
 この点、都は、我が党の求めに応じて、今年度より既存の分譲マンションの改修費補助を行う区市等に対し、国の制度を活用した補助制度を開始しました。また、近く新たに条例を整備し、管理組合などから管理状況の届け出制度の創設を図ろうとしており、他県に先駆けた対応と評価します。しかし、管理組合が機能していないマンションでは、届け出がなされず、取り組みが進みません。
 都は、今後の条例案において、管理組合が実質的に存在しない分譲マンションへの都の対応を明らかにすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 一方、都は既に公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターを通じて、管理と建てかえ・改修という二本立ての専門家派遣を実施しています。
 しかし、管理組合が実質休眠状態であったり、あるいは意欲的でなかったりするマンションでは、専門家派遣の調整も容易ではありません。
 そこで、課題解決の端緒を開く意味でも、入門的な派遣は無料にするなど利用しやすい制度とすべきです。加えて、区市等の協力を得て、管理組合の活性化、建てかえや改修に向けた機能強化を促す訪問事業を展開すべきと考えますが、あわせて見解を求めます。
 さらに、パブリックコメントには、さまざまな声が寄せられています。修繕積立金の目安や都補助の整備、マンション管理士等の育成と活躍の推進など多岐にわたっています。
 こうした課題に対する危惧を払拭するためには、条例を機に中長期的な視点を持って、都のマンション管理行政の基本計画、実施計画を定め、マンションの適正管理に取り組んでいくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 加えて、我が党が第三回定例会の代表質問で求めた都営住宅の指定管理者の選定に関する前提条件について、このたび特命で東京都住宅供給公社を次期指定管理者候補とする提案に至った目的について、見解を求めます。
 次に、環境対策について質問します。
 まず、温暖化と海洋汚染の原因でもある使い捨てプラスチックごみの問題です。
 現在、国の中央環境審議会においては、来年の六月に日本で開催されるG20に向けて、二〇三〇年までにプラスチック容器包装などを二五%排出抑制するといった目標について、検討を重ねています。今後、さらなるプラスチック対策を進めていくに当たっては、使い捨てというライフスタイルを見直す必要があります。
 例えば、買い物に行く際にマイバッグを持参していくほか、折り畳んだ風呂敷をポケットに入れて出かけることを心がけることで、わざわざ使い捨てにするレジ袋を受け取る必要がなくなります。都は、そうした都民の共感を得られる取り組みを積極的に推奨し、働きかけていくべきです。
 そこで、プラスチックを使い捨てにするライフスタイルの見直しとともに、プラスチックの3R対策を積極的に推進すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、幼児向けにとどまらず、高齢化の進展に伴い成人向けの需要が高まる紙おむつのリサイクルについて質問します。
 都議会公明党はこれまで、紙おむつリサイクルに取り組む先進自治体などを視察したほか、国会議員や区市町村議員との連携で、リサイクルの必要性や可能性を探り、都に積極的な対策を求めてきました。
 国においては、来年度、自治体に対し使用済み紙おむつのリサイクルを促すガイドラインを策定する動きが報じられており、我が党が提案した取り組みが進もうとしています。
 そこで、保育園でのおむつの処理や高齢化の進展も含めて、東京こそが環境先進都市としてリサイクルを推進していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、家庭の省エネ対策について質問します。
 都が掲げる家庭の省エネ目標達成に向け、家電製品の買いかえの際に、より省エネ性能の高い製品が選択されるようになれば、消費エネルギーの大きな削減につながります。しかし、省エネ性能が高い家電製品は、一般的な製品に比べて価格が高く、購入を断念することも考えられます。
 そこで、都は買いかえ時に、都民が省エネ性能の高い製品を選びやすくなるよう、家電エコポイントの付与などのインセンティブをつけ、家庭の省エネ対策をより一層進めていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、ラムサール条約湿地登録について質問します。
 我が党は、葛西海浜公園の貴重な自然を保全し、次世代に継承していくためには、ラムサール条約への登録を進めるべきと主張してきました。本年十月十八日の正式登録は、都内で初の快挙であり、地元の江戸川区の皆様や都の長年の努力や連携が実を結んだものと評価いたします。
 しかしながら、大事なのはむしろこれからです。今後もこの貴重な自然を保全、利活用していくためにも、登録された葛西海浜公園を国内外に広くPRすべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、これまで都は、同条約の理念であるワイズユース、すなわち賢明な利用の考え方にも沿う形で、地域の方々と一緒に自然環境の保全とともに、海水浴や潮干狩りなどの利活用を進めてきました。
 今後は、これまでのワイズユースの取り組みに加え、より多くの人々がこの公園の豊かな自然、魅力に触れ、交流できるようにすることが重要と考えます。都の見解を求めます。
 最後に、都庁の再編について質問します。
 例えば、ひきこもりの対策が不登校の延長の青少年事業としてのみ扱われていた時代と、親も子も年齢がかさみ、八十代の親が五十代の子を支える、いわゆる八〇五〇問題が顕著となっている昨今とでは、大きく様相が変化しています。青少年・治安対策本部という名称にも起因する制約から、事業対象者の年齢を絞る考え方自体の見直しが求められています。
 また、さきに触れた老朽化マンションといった住宅問題など、昨今の都政が直面する課題では、民間や区市町村との密接な連携や、専門の人材の計画的な育成への要請が一段と強まっています。
 こうした課題への適切な管理監督は、局長級の理事職の複数配置などの対応だけでは、もはや困難な状況にあります。東京二〇二〇大会以降の順調で健全な都政の発展のためにも、局体制を一人の局長がより的確に運営できる規模に再編すべきと考えます。
 まず、都市整備局からの住宅部門の独立です。住宅行政は、引き続き都市計画行政と連動しながら、人口減や高齢化、さらには単身化や少子化の克服など、さまざまな課題に対処する必要に迫られており、局に格上げをして調整力や専門性を高めるべきです。
 また、福祉保健局も、団塊の世代が一斉に後期高齢者に達する二〇二五年問題などの切迫性のみならず、児童虐待の根絶、真価が問われる障害者福祉、受動喫煙被害の防止や健康寿命の増進への対応など、先端医療や救急、災害医療体制の整備なども含め、課題は余りにも多岐にわたっております。分割する必要があると思います。
 青少年・治安対策本部は、緊急治安対策という当初の役割を果たしたことを評価した上で、福祉保健局、生活文化局などに発展的に解消すべきです。
 こうした局再編の刷新を断行することによって、従前事業のブラッシュアップの域を超えた都庁機能の向上を図るべきと考えます。知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 橘正剛議員の代表質問にお答えをいたします。
 いわゆる偏在是正措置についてのご質問が冒頭ございました。
 平成三十一年度税制改正に向けまして、これまで都議会各会派の先生方には、さまざまな場面で活動していただきまして、ともに戦っていただきました。
 また、東京選出の国会議員の皆様方には、首都東京の役割など、税制調査会などの場で連日ご発言をいただいたところでございます。
 とりわけ公明党山口代表には、東京が経済の牽引力になっているからこそ税収が生まれてくる、角を矯めて牛を殺す結果を招いてはならない、国全体でどうあるべきかもっと議論すべきだと、まさしく的を射たご発言をいただきました。
 東京の大きな課題に対しまして、まさにオール東京で声を上げていただいたことは、大きな支えとなっております。都議会公明党の皆様におかれましても、都民生活、東京の未来を守るため、一致団結して取り組んでいただきました。感謝申し上げるところでございます。
 税制改正をめぐる議論は大詰めを迎えております。近日中にも与党税制改正大綱が取りまとめられまして、都に大きな減収が発生するともいわれておりますが、このような対症療法的な手法が何度も繰り返されようとしていることは、まことに遺憾でございます。
 しかしながら、いついかなる状況下におきましても、一千三百万都民の生活を守ることが都知事の責務であります。無駄の排除をさらに徹底するとともに、基金や都債を戦略的に活用することに加えまして、産業の活性化など、東京の稼ぐ力を強化することで、将来にわたって都民の生活を守るように、強い決意で都政運営に臨む覚悟でございます。
 次に、学校体育館の空調設備設置への補助制度についてのご質問。学校体育館は、体育の授業や学校行事、部活動など、子供たちが安全に活動を行う場であるとともに、非常災害時には地域住民の避難所などとしての役割も果たすことから、安全性の確保や防災機能の強化は極めて重要でございます。
 この夏の連日の猛暑は、熱中症を初めとして都民の生活に大きな影響を与えたことから、区市町村立学校の体育館への空調設置を促進してまいります。
 都における学校施設整備に対します補助事業でありますが、国庫補助事業に準じて制度設計をしておりまして、国庫補助事業では、設計費、電源設備工事費、断熱工事費等、空調設置と一体となって行われる工事費が対象となっております。
 しかしながら、体育館は建物の構造上、断熱工事や電源設備工事など、附帯工事に係る経費がかさむということから、これまでの冷房化支援特別事業におけます都の補助上限額単価を一平方メートル当たり四万八千円から七万六千円に引き上げることとなります。
 都は、学校体育館の空調設置に必要となる財源を十分に確保することで、区市町村の取り組みをしっかりと支援をしてまいります。
 同じく、空調設備の設置に係る補助率などでございます。
 区市町村立学校の体育館への空調設置を来年の夏までに間に合わせるように、公明党からの強い要望を受けまして、今回の補正予算案を編成したものでございます。この中で、冷房化支援特別事業におけます単価差に対する補助率につきましては、二分の一から三分の二への引き上げを行います。
 来年度以降につきましては、学校体育館の空調設置の取り組みが早期に行われますように、区市町村のニーズを踏まえた上で検討をしてまいります。
 また、国庫補助事業への申請を行わずに、都の補助制度のみを活用する場合についても、あわせて検討してまいります。
 同じく、リースについてでございますが、都における学校施設整備に対する補助事業は、国庫補助事業に準じて制度設計をしており、国庫補助事業では、資産形成に当たらないリースによる施設整備は対象外となっております。
 しかしながら、この夏の災害級の猛暑を踏まえた暑さ対策につきましては、タイミングを逸することなく、かつ、現場の実態を十分に踏まえた効果的な施策を講じていくことが必要でございます。
 そこで都は、緊急対策の一環といたしまして、平成三十一年度の当初予算におきまして、リースによる対応につきましても支援できるように、工事等による設置への支援内容とのバランスも考慮しながら検討し、年明けには明らかにしてまいります。
 学校体育館の空調設備設置への国の補助金についてのご質問でございます。
 国は、今回の補正予算で熱中症対策として学校施設への空調設置を支援することといたしておりますが、全国的に学校体育館への補助金交付は認められなかったところでございます。
 区市町村では、国と都の補助制度を活用することで、早急な空調設置に取り組むこととしていたことから、国の補助金交付が認められなかったことは、こうした取り組みが停滞しかねない重大な問題だと考えております。
 都は、国に対しまして、今後予定されている二次補正予算での学校体育館への空調設置補助を再度要望するとともに、国の今後の動向等を踏まえながら、学校体育館の空調設置に積極的に取り組む区市町村をしっかりと支援をしてまいります。
 次に、社会福祉施設の災害時の電源対策についてのお尋ねでございます。
 お話のように、本年九月、北海道胆振東部地震におきましては大規模な停電が発生をいたし、社会福祉施設の電源を初めライフラインの確保の課題が改めて顕在化したところでございます。
 国は、こうした被害状況を踏まえまして、十月には都道府県等に対して、ライフラインが寸断された場合の社会福祉施設の対策状況を確認するように通知をいたしました。
 社会福祉施設は、高齢者や障害児者などが生活をして、災害時には地域で暮らす高齢者などを受け入れる福祉避難所にもなります。したがいまして、長期にわたって停電が続くような場合には、利用者や避難者の生命、生活に影響を及ぼすこととなります。
 都といたしましても、福祉避難所として指定されている社会福祉施設を中心に、今後、非常用自家発電機の整備状況などの実態を把握した上で、国の動向も見据えながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 在宅で人工呼吸器を使用している方の安全の確保についてのお尋ねでございます。
 都は、災害時に備えて、人工呼吸器の非常用電源の確保に取り組む区市町村を包括補助で支援をしておりますが、それぞれの自治体の取り組み状況はさまざまでございます。
 災害発生時の停電は、在宅で人工呼吸器を使用している方にとりましては生命の危険に直結するということから、電源の確保は不可欠でございます。
 このため、区市町村の取り組み状況等の実態を把握した上で、区市町村への支援を充実するなど、在宅で人工呼吸器を使用されている方の災害時における安全確保対策をさらに進めてまいります。
 実行プランとSDGsについてでございます。
 国連が採択した持続可能な開発目標、いわゆるSDGsでございますが、誰ひとり取り残さない社会の実現に向けて、環境、経済など、あらゆる分野におけます課題解決に向けた目標でございます。
 日本の首都である東京が、持続可能な都市として世界をリードしていくためには、こうした国際社会全体におけます課題を十分に認識をし、大都市としての政策を積極的に展開をしていくことが必要であります。
 東京の未来への航路を示しました二〇二〇年に向けた実行プランが示す政策の方向性は、まさにSDGsと軌を一にするものでございます。再生可能エネルギーの導入促進、資源の循環利用、女性の活躍推進、さらにはイノベーションの促進など、都におけます諸施策の推進はSDGsの達成につながっていくものでございます。
 二十一世紀は、大都市の活動が国家以上に大きな影響を及ぼす都市の時代であります。東京の成長をより豊かなものとしていくために、今年度策定いたします実行プランの政策の強化版におきましては、都の政策とSDGsとの関係をより明らかに示して、政策を一層強化してまいります。
 日本武道館の改修費への都の負担についてのご質問がございました。
 都は二〇一六年大会の招致の段階から、一九六四年大会のレガシーを活用した会場の整備を推進してまいりました。
 東京二〇二〇大会では、レガシーと持続可能性の重視を掲げております。そうした中で、一九六四年大会の会場を再整備して、大会準備を着実に進めるとともに、大会後はレガシーとして活用するために補助制度を創設しております。
 補助対象は、公益性の高い公益財団等としておりまして、日本武道館のみが対象となっております。
 具体的には、大会開催に必要なウオームアップエリアの整備やバリアフリー対応、耐震改修工事などに対しての補助を行うことといたしております。また、国におきましては、国の制度の中で補助が検討されてきたものと認識をいたしております。
 こうした内容につきまして、都民の理解が得られますように機会を捉えて丁寧に説明をしてまいります。
 なお、この事業は、今年度から実施したものでございまして、昨年公表した大会経費バージョンツーには含まれておりません。
 今月末のバージョンスリー公表に向けまして、現在、経費全般にわたって精査を行っており、日本武道館に係る経費につきましても、都民にわかりやすく説明できるように整理をしてまいります。
 旧こどもの城についてでございます。
 この敷地は、青山通りに面し、周囲の都有地との一体的な活用で、都のさまざまな政策実現にも資する可能性を有した土地であることから、これを取得することは、東京の未来にとりまして重要な投資であると確信をしております。
 仮に、一たびこの土地が第三者の手に渡ってしまうことがあれば、将来にわたりまして、これを取得するのは非常に困難でございます。この間、用地の取得に向けて、鋭意所有者である国との交渉を行ってきたところでございまして、時期を逸することなく必要な用地を取得してまいりたいと考えております。
 ご指摘のとおり、こうした多額の投資を行う以上、地元の理解とともに中長期的な活用のあり方を明確にすることは重要であると認識をいたしております。
 そのため、引き続き、関連の地元区に対しまして丁寧な説明を行っていく、既存建物を活用した形での施設のあり方については、この地でなじみのある旧こどもの城の機能にも留意しながら、子供から高齢者までが利用できる都民の城として、より具体的な利用形態を示してまいります。
 加えまして、正式に用地が取得できました段階で、周辺都有地と合わせました広大な敷地を、都心部に残されました東京の成長を支える用地としてどのように生かすことができるか、関連地元区やまちづくり専門家、そして文化関係者などの外部有識者にも検討に加わっていただき、そのあり方をしっかりつくってまいります。
 このように中期的、長期的、それぞれの視点から活用のあり方を検討いたしまして、都民の理解と納得を得るべく、その具体的な内容をお示しできるように議論を加速させてまいります。
 次に、築地市場跡地についてのご質問でございます。
 昨年六月、市場のあり方戦略本部で市場会計の持続可能性の検証に当たりましては、築地市場の跡地について、一般会計に有償所管がえを行った場合と長期貸付を行った場合の収支試算をお示ししたところでございます。
 その後、経済情勢の変化や築地再開発の検討状況、そして国の卸売市場法の改正、そして本年十月の豊洲市場の開場など、卸売市場を取り巻く環境には大きな変化が生じていることから、現在、改めて収支計算を行っているところでございます。
 築地再開発につきましては、短期的な利益の追求ではなく、将来の東京全体としての価値の最大化を目指しまして、中長期的な時間軸に立って、段階的に整備を行っていくことを検討いたしておりまして、その検討に当たりましては、ご指摘のとおり、公共的、公益的なまちづくりの観点も勘案しながら進めていくことも重要な視点だと認識をいたしております。
 こうしたことから、今後の市場会計の持続可能性の検証に当たりましては、民間への売却や長期貸付ではなく、一般会計への有償所管がえを軸といたしまして、検討を加速させてまいります。
 都民の就労を応援する条例の制定についてでございます。
 私は、社会全体で支え合う、いわゆるソーシャルインクルージョンの考え方に立ちまして、都民の誰もが自分らしく働ける環境をつくっていきたい、このように考えております。それがまさしく、私が目指すダイバーシティー、多様性が尊重され、誰もが生き生きと活躍できる社会へとつながってまいります。
 このためには、障害のある方など、就労を希望しながら、さまざまな要因から困難を抱え、仕事につけていない方々を社会全体で包み込んで支援するとともに、こうした方々を職場に受け入れる事業者を後押しすることも重要であります。
 そうした観点から、あらゆる人が社会で活躍できる活力あふれる東京の実現に向けまして、全ての都民の就労を応援する新たな条例の制定を目指すことといたしました。先月には、有識者会議を立ち上げまして、就労支援のあり方について議論を開始いたしております。
 就労が困難な方々の社会参加を進めるためには、一人一人の希望や個性に応じて能力を発揮できる職場環境を整備していくことが欠かせません。
 今後の議論に当たりましては、就労を希望する方々への支援はもとより、事業者におけます働きやすい職場づくりにつきましても力強く後押しできますよう、引き続き多様な視点から検討を進めてまいります。
 管理組合が機能していないマンションへの対応についてのご質問でございます。
 分譲マンションは都民の主要な居住形態であり、ついの住みかと考える方はふえております。
 しかしながら、高齢化の進行などに伴いまして、管理組合の機能が低下をし、管理不全に陥るマンションが増加すると、周辺の市街地環境にも悪影響を及ぼしかねません。
 マンションの適正な管理を促進するためには、都やマンション管理の主体である管理組合などの責務と役割を明らかにするとともに、これまでより踏み込んだ実効性ある施策が必要でございます。
 先月、有識者による検討会から、マンションの適正管理の促進に向けまして、管理状況の届け出制度の創設や行政等による助言、支援、管理組合が機能していない場合の指導などが提言されております。
 都は、この提言を踏まえまして、条例案の検討を進めて、次の第一回定例会への提案を目指してまいります。
 これによりまして、良質なマンションストック並びに良好な居住環境の形成につなげてまいります。
 次に、マンションの適正管理に向けた取り組みに関してでございます。
 マンションは、個人の私的生活の場にとどまらず、都市の活力や魅力、防災力の形成とも密接に関連した高い社会性を有しております。
 このために、公共性や公益性の観点からも、マンションの管理状況を把握いたしまして、管理組合に対して行政が継続的に指導や支援を行うことは重要であります。
 今回の検討会の提言におきましては、条例化に合わせて都がマンションの基本的施策を具体化いたし、これらを推進するための総合的な計画やマンションの管理の適正化に関する指針を定めることを求めております。
 この提言を踏まえまして、ご提案のような視点も生かしながら、都は今後、マンションの適正な管理の促進に向けました検討を進めてまいります。
 プラスチック問題についてのご質問でございます。
 使い捨てを前提としたプラスチックの大量消費によりまして、二〇五〇年には海洋中のプラスチックの量が魚の量を上回ってしまうといわれているだけではございません。プラスチックの多くは焼却処理されているため、CO2の排出削減も大きな課題となっております。
 海洋プラスチック問題の解決とともに、パリ協定に掲げられております今世紀後半のCO2排出実質ゼロを達成するためには、化石燃料由来のプラスチックをほぼゼロにして、資源を無駄なく活用するゼロウエースティングを目指す必要がございます。
 そのためには、これまでの使い捨て型ライフスタイルを見直すとともに、プラスチックの循環利用をさらに推進していくことは重要でございます。
 そこで、都といたしまして、隗より始めよとして、職員に使い捨ての象徴でありますレジ袋の辞退を求めているほか、チームもったいない参加事業者等と連携をいたしまして、一月に実施するイベントなどでは、マイバッグの持参や風呂敷の活用を呼びかけまして、レジ袋などの使い捨てプラスチックの削減を進めてまいります。
 また、現在、廃棄物審議会におきまして、十分な分別がされていない事業系廃プラスチックのリサイクルの徹底などについても議論をしておりまして、一月には中間のまとめ、そしてその後、パブリックコメントの募集を予定いたしております。
 今後とも、都民、事業者、区市町村に働きかけながら、使い捨て型のライフスタイルの転換やプラスチックの3R推進に取り組んでまいります。
 最後のご質問として、局の再編による都庁機能の向上についてのご指摘がございました。
 都におきましては、これまでもその時々の行政課題に応じて、適宜適切な組織の見直しを行って、常に効果的、効率的な執行体制の確保に努めてきたところでございます。
 平成十六年度以降、大規模な組織改正を行っておりませんが、今後、東京二〇二〇大会後には、本格的な人口減少社会を迎え、都政を取り巻く状況はもとより、職員構成についても大きく変化をすることから、東京の未来を見据えて、都庁の組織全体を再構築すべき時期に来ていると考えます。
 一方で、喫緊の課題でございますが、機を逸することなく、機動的に対応することで、組織の活力を最大限に引き出して、課題解決につなげていくことも重要でございます。
 とりわけ住宅政策につきましては、老朽マンションや空き家への対策、セーフティーネットの構築など、多岐にわたる施策を早急に進めていく必要がございます。
 また、ひきこもりにつきましては、従来の青少年施策の枠にとらわれず、福祉部門との連携を強化して、長期化、高年齢化に対応することも、より一層重要になっております。
 今後、都庁組織全体のあり方について、引き続き検討するとともに、迅速に解決すべき課題につきましては、必要な体制をスピード感を持って構築していく所存でございます。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校の体育館の空調整備についてでございますが、学校体育館は体育の授業や学校行事、部活動など、生徒が安全に教育活動を行う場であるとともに、避難所としての役割も担っております。
 都教育委員会では、都立高校の体育館の空調設備整備に向け、現在、各校の電気容量の調査等を行っており、今後、計画を策定した上で、着実に整備を行ってまいります。
 なお、早期に対応が可能な学校二十校については、来年の夏までに整備し、残りの学校についても、来年度から三年以内に整備することを目標に具体的検討を進めてまいります。
 次に、オリンピック・パラリンピック教育におけるSDGsの推進でございますが、多様性を尊重し、共生社会の実現を担う人材の育成を目指すオリンピック・パラリンピック教育と、誰ひとり取り残さないを基本理念とするSDGsは深く関連しております。
 都内全公立学校で推進しているオリンピック・パラリンピック教育では、平和、貧困といったSDGsに関連する内容を通して、世界の多様性を学んでいる学校があるほか、学校、家庭、地域の身近な資源を有効活用する、もったいない大作戦に全校が取り組んでおります。
 今後、都教育委員会は、先進校の事例を資料にまとめ、各学校へ配布することに加え、オリンピック・パラリンピック教育にSDGsを関連づけて取り組んだ事例を全公立学校教員対象の報告会で周知するなどして、持続可能な社会づくりに貢献できる人材の育成を図ってまいります。
 次に、子供たちが芸術文化に親しむ取り組みについてでございますが、東京二〇二〇大会に向けて、芸術文化のすばらしさを、次代を担う子供たちが体験する機会を設けることは、さまざまな観点から非常に意義があると考えております。
 このため、オリンピック・パラリンピック教育では、文化をテーマの一つとして設定し、各学校において、学校の意向や地域特性等に応じ、地域の専門家等を講師として招聘するなどして、茶道体験、琴の鑑賞、世界の音楽鑑賞やストリートダンス体験など多様な取り組みを行ってきております。
 今後、都教育委員会は、子供たちが芸術文化に親しむ活動を各学校が一層推進していけるよう、区市町村教育委員会等とも連携しながら、各学校へのさらなる支援の充実について検討してまいります。
 次に、知的障害を含む障害者雇用の促進についてでございますが、障害者が能力や適性に応じて働き、地域で自立した生活を送ることができる社会を実現することは重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、障害に配慮した教員採用選考や就労支援を目的とするチャレンジ雇用に加えて、新たに開設した教育庁サポートオフィスにおいて、障害種別を問わず、非常勤職として継続的に雇用する教育事務サポーターの採用を進めております。
 その採用選考に当たっては、チャレンジ雇用在籍者について、選考内容の一部免除を行うなど、知的障害者が比較的多いチャレンジ雇用との連携を図っております。
 今後も、チャレンジ雇用と教育事務サポーターの連携を進めるとともに、障害特性に応じた業務の拡大を図るなど、さらなる障害者雇用の促進に努めてまいります。
 次に、教員の働き方改革についてでございますが、都教育委員会は、本年二月に学校における働き方改革推進プランを定め、さまざまな取り組みを進めておりますが、労働基準法の改正などにより、求められる改革のレベルは今後ますます高いものとなると考えております。
 そのため、個々の教員や各学校が、保護者や地域の期待に応える教育を日々行う中で、専門的な知識と経験を持つ教員OBや地域の方々による支援等、さまざまな手法を活用し、一層の勤務時間の短縮を図る必要がございます。
 さらに、こうしたことを踏まえ、都教育委員会は今後、多様な取り組みを複合的に行うための新たな仕組み等について検討し、学校をよりきめ細かく支援することで、教育の質の向上と両立する教員の働き方改革を一層推進してまいります。
 最後に、フリースクール等との連携についてでございますが、学校復帰は不登校対策の重要な目的でありますが、状況によっては、子供や保護者の希望等に寄り添い、多様な学びの場において支援を行うことも必要でございます。
 これまで都教育委員会は、フリースクール等との意見交換会や不登校対策のモデル事業などにより、学校とフリースクール等による連携の具体的な事例を把握し、その成果と課題を明らかにしてまいりました。
 今後、その成果と課題を踏まえ、いわゆる教育の機会確保法の理念や、学校や家庭がフリースクール等と一層円滑に連携するために必要な留意点等を記載した資料を関係者と協議して新たに作成し、学校及び不登校の子供やその保護者に示すなどして、不登校の子供の学びの機会の保障と社会的自立に向けた取り組みを推進してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、水害対策の推進についてでございますが、水害による被害を最小限に抑えるためには、都民が水害の危険性をあらかじめ把握し、平時から水害の発生を意識しておくことが重要でございます。
 都はこれまで、水害リスクをわかりやすく示した動画を作成、公開するとともに、ホームページにおける防災情報のワンストップ化により、ハザードマップの入手を容易にするなど、水害への認識を高める取り組みを進めてまいりました。
 今後は、バーチャルリアリティーの技術を活用し、これまで経験したことのない水害の疑似体験や、スマートフォンを活用して外出先などで浸水の深さを視覚的に確認できる仕組みの導入など、都民一人一人がみずからを取り巻く水害リスクをより直感的に理解できるような取り組みを一層進めてまいります。
 次に、知的障害者の雇用促進についてでございますが、都では知的障害者の特性に合った職務内容や勤務条件を検証するため、今年度から総務局において、一般就労の非常勤職員であるオフィスサポーターの雇用を開始いたしました。
 採用した三名のうち二名は、就労支援を目的とした既存事業でありますチャレンジ雇用を経て採用された方々でございます。
 職場であるオフィスサポートセンターでは、経験豊富な支援員の助言のもと、各種庶務事務や軽作業を切り出すことにより、個々の能力や適性に応じた職務の創出を行うとともに、採用から段階的に勤務時間を延ばしていくなど、勤務条件の工夫を行っております。また、処遇面では、平成三十二年度から期末手当が支給されることになる予定でございます。
 こうした取り組みを踏まえ、勤務条件の検証と改善を行いつつ、職域の拡大を図り、知的障害者のさらなる雇用促進に努めてまいります。
 最後に、監理団体の障害者雇用についてでございますが、障害のある方がその能力や適性に応じて働くことができる社会の実現に向けて、都庁グループの一員である監理団体においても、障害者雇用に率先して取り組んでいくことは重要でございます。
 都はこれまでも、各団体に対して、障害者の雇用促進に向けたハローワーク等が行う各種事業の周知などを行うとともに、各団体の事業の特性を踏まえた業務内容の見直しによる新たな職務の創出や、ソフト、ハード両面における職場環境の整備等を促してまいりました。
 法定雇用率達成に向け、引き続きこれらの取り組みを着実に進めながら、今後、さらなる団体の障害者雇用促進に向けた実効性ある都としての取り組みについて、早急に具体策を検討してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、耐震化の推進には、建物所有者の主体的な取り組みに加えて、占有者の協力も不可欠でございます。
 このため、来年の第一回定例会への提案を目指している耐震化推進条例の見直しでは、占有者の責務とともに、占有者の協力を得るための所有者の努力義務を新たに定めることを検討しております。
 また、所有者が占有者に適切かつ的確な説明を行い、耐震改修等を円滑に進められるよう、アドバイザー派遣制度を拡充し、専門家が説明の場に同席できるようにするなど、所有者を支援する体制の強化もあわせて検討しております。
 こうした仕組みの充実を図りながら、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進してまいります。
 次に、管理組合の機能強化の促進についてでございますが、都が設置した検討会の最終報告では、管理組合からの届け出制度の創設によって確実に管理状況を把握し、その状況に応じた助言、支援などを行うことで、管理不全の予防、改善及び適正な管理を促進することが必要とされております。
 具体的には、届け出があったマンションに対して、アドバイザーの派遣などにより支援を行う一方、管理不全の兆候があるマンションに対しては、個別訪問を行うとともに、管理組合の設立支援など管理状況に応じた継続的な支援を行うことなどが提言されております。
 都は、この検討会の提言に基づき、きめ細かな支援を工夫するなど、ご提案のような視点も生かしながら、マンションの適正な管理の促進に向け取り組んでまいります。
 最後に、東京都住宅供給公社を指定管理者とする目的についてでございますが、都営住宅は高齢化に伴うサービスの充実が求められ、大規模災害時には仮設住宅として活用されるなど、都の政策としての連動性を持ち、また居住者の福祉的サポートや、適正、公平な管理など、管理運営の特殊性を有しております。
 公社はこれまで、確実な家賃徴収や高額所得者への対応、東日本大震災における都の指示への的確な対応などの実績、能力を有しております。また、安定した財政基盤を維持し、コスト抑制にも取り組んでおります。
 さらに、今回の選定に際しては、居住者の見守りや自治会支援の強化、災害発生時の工事店を活用した補修などを新たに提案しております。
 都は、指定管理者として公社を活用し、都営住宅の住宅セーフティーネットとしての機能を十分に発揮させてまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、文化プログラムの認知度についてでございますが、オリンピック・パラリンピックは文化の祭典でもあり、文化プログラムを多くの人に見ていただき参加していただくことが大会の成功にとって重要でございます。
 しかしながら、昨年度の都民世論調査では、文化プログラムに対する認知度は約三割にとどまっており、十分浸透しているとはいえないと認識しております。
 こうしたことも踏まえまして、都ではこれまで以上に文化面での盛り上げを醸成し、文化プログラムの発信力を強化するため、この秋からTokyo Tokyo FESTIVALのプロモーションを本格化させました。
 今後も、多彩で魅力的な文化事業を実施するとともに、プロモーションを充実させ、多くの方々にTokyo Tokyo FESTIVALがしっかりと認知され、参加していただけるよう取り組んでまいります。
 次に、文化プログラムにおける、国、組織委員会との連携についてでございますが、オリンピック・パラリンピックの重要な要素である文化プログラムの成功には、組織委員会、国との連携が必須と認識しております。
 そこで、都は一体となって機運を醸成するとともに、実務的な連携について協議することを目的とし、内閣官房、文化庁、組織委員会及び都による文化プログラム連絡会議を設置いたしました。
 実務者による三回の会議を経て、十一月に開催した連絡会議では、各主体の文化プログラムの情報共有を初め、相互の文化プログラムの効果的な連携策や共通の広報などについて協議をしたところでございます。
 今後も、会議の場を活用し、多くの人がさまざまな文化プログラムを楽しめるよう、実効性のある連携策を継続的に協議し、それぞれの取り組みを一体的に推進してまいります。
 最後に、都内各地域の文化振興についてでございますが、日常的な文化活動を通じて、生活の中に芸術や文化が根づくことは、都民の生活の質の向上だけでなく、芸術文化都市としての東京の魅力向上にも欠かせません。
 これまでも都は、より多くの都民が芸術文化に触れる機会をふやすため、文化団体に対する助成事業のメニューを充実させてきたほか、日ごろの練習の成果をステージで披露する都民参加型の事業などを実施してまいりました。
 一方で、大会まで六百日を切った今、Tokyo Tokyo FESTIVALをさらに都民に身近な存在とし、芸術文化に触れる機会をふやす一層の工夫が必要でございます。
 そのため、今後は、都内各地域の文化振興に向け、これまで以上に地域の文化事業との連携を進め、都民の文化活動を支援する文化プログラムの取り組みを検討してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業への支援効果を高める工夫についてでございますが、中小企業を支援する施策の効果を高めるため、事業の成果を確認し、内容の見直しを図るPDCAの仕組みの強化に今後取り組んでまいります。
 具体的には、これまでの自律的な事業見直しのプロセスに、経営者や関係団体等の意見を聞く仕組みを加えて、施策の検証を行っていくことといたします。
 また、都は現在、中小企業への支援事業を網羅して紹介するガイドブックを作成し、関係団体を通じて配布をいたしております。
 今後は、中小企業が自社にとって最も効果の高い支援メニューを速やかに選択し、利用できるよう、事業の内容を名称に合わせ、わかりやすく伝えるサブタイトルを活用するほか、多くの施策をコンパクトにまとめた一覧表を作成する等の工夫を行ってまいります。
 次に、ビジネスチャンス・ナビの利用促進についてでございますが、本ナビは、東京二〇二〇大会組織委員会を初め、十三の監理団体等が入札で用いており、都では引き続き、他の団体に導入の働きかけを行いますほか、民間からの発注案件の掘り起こしも進めております。
 また、ナビに登録している会社の商品を、ウエブ上で見本市の形式により、広く発信し、受発注の増加につなげる取り組みを実施しております。
 さらに、インターネットや業界の広報誌などを通じ、成約の事例をわかりやすく説明するPRを進めているところでございます。
 今後、ウエブ上で紹介する商品をふやしますほか、さまざまな業界の媒体を効果的に活用し、発信を行ってまいります。
 また、スマートフォンによるアクセスを可能とし、SNSによる発注案件の配信を開始するなど取り組みを強化し、ナビの利用の促進を総合的に進めてまいります。
 次に、中小企業の災害時の事業継続についてでございますが、中小企業では、自然災害等の発生時に事業を継続するためのBCPの導入が十分に進んでおらず、行政としての後押しが必要な状況にございます。
 都は現在、BCPの必要性の普及啓発に向け、セミナーの開催やパンフレットの配布を行っております。また、BCPの作成に取り組む中小企業に対し、コンサルタントがサポートを行いますほか、計画に基づく体制整備等に必要となる自家発電機などの導入経費を助成しているところでございます。
 今後は、BCPの作成に向けた機運醸成の取り組みや、計画に基づく準備に要する経費への助成の充実を検討してまいります。これらにより、中小企業のBCPの導入を着実に後押ししてまいります。
 次に、働き方改革関連法への対応についてでございますが、事業者の方々には、法改正の趣旨や内容をご理解いただき、それぞれの職場に応じた適切な制度整備等に取り組んでいただくことが必要となります。
 このため、都は、国と連携しながら企業に対するセミナーを開催して、制度のポイントと必要な対応を周知するとともに、トレインチャンネル等を活用し、幅広い広報に努めているところでございます。
 また、労働相談情報センターでは、法改正への対応に向けた相談に対する助言を行っております。今後、法改正に関する特別相談会の開催も検討してまいります。
 また、働き方改革に向けた企業のさらなる取り組みを促進するため、働き方改革宣言企業制度の支援規模の拡充や、休暇制度の充実に対する支援の強化についても検討し、法改正への対応を後押ししてまいります。
 最後に、労働相談情報センターの人員体制等の充実についてでございますが、法改正や社会情勢の変化に伴い、多様化、複雑化する労働相談に的確に対応するためには、相談員のスキル向上と専門的な内容にも対応できる体制が必要でございます。
 このため、都は、担当職員に対し、労働法制に関する基礎研修を行いますほか、相談の実務を通じたOJTにより、実践的な能力を養成しているところでございます。また、外部講師を招いた専門研修の実施や労働の研究機関が主催する研修会への派遣等により、最新の知識の習得にも努めております。
 今後も社会状況や相談者のニーズを踏まえて、相談員を適切に確保するとともに、相談スキルの向上に向けた研修の規模拡大や、担当職員に専門的な助言を行う弁護士等の配置の拡充を検討し、労働相談のさらなる充実を図ってまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) ひきこもりの方への支援についてですが、ひきこもりに係る悩みが、今日、多岐にわたってきていることを踏まえ、適切に応えることが重要です。
 このため、都では、庁内の関係部署が一体となり、支援する連携体制を強化することとしました。
 また、東京都ひきこもりサポートネットにおいて、電話やメールによる相談と同様に、訪問相談についても、年齢にかかわらず相談を受け付けることも含め、シームレスな相談体制となるよう検討していきます。
 さらに、ひきこもりの状態にある方やご家族がちゅうちょすることなく、気軽に相談や支援を受けられるような取り組みについても検討するなど、福祉、保健医療、雇用、教育等のさまざまな分野の関係機関が連携し、本人や家族に寄り添った支援に努めてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、紙おむつのリサイクルについてでございますが、現在国内では、使用済み紙おむつを固形燃料や段ボールに再生する取り組みのほか、オゾン滅菌し、パルプ繊維にまで再生する先駆的な実証実験も行われております。
 実際に職員を現地に派遣して確認をいたしましたが、現在は小規模な試行の段階であり、実用化に向けて、技術的な面や事業採算性など、多くの課題がございます。
 しかし、水分を多く含む紙おむつは焼却施設に負荷をかけ、最終処分量削減の観点からも、今後リサイクル技術を進展させる意義は十分にあると考えております。
 そこで、都は、都内における使用済み紙おむつの発生量予測や、先進事例を踏まえた大都市の特性等について調査を行い、区市町村とも連携しながら、紙おむつのリサイクルに向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、家庭の省エネ対策についてでございますが、現在販売されている省エネ性能の高い製品と十年前のものとを比較してみますと、例えば冷蔵庫を例にしますと、消費電力量が五割程度に削減されるなど、効率的な家電等への買いかえによる省エネ効果は高いと認識しております。
 こうしたことから、家庭部門対策をより一層進めていくためには、家庭の電力消費量の約三分の一を占めます冷蔵庫とエアコンなどについて、都民がより省エネ性能の高い製品に買いかえた場合にポイントが付与されるなどのメリットを享受できる仕組みを構築していくことが有効でございます。
 今後、こうした視点を踏まえまして、家庭の省エネ対策の強化に向け、具体的な事業スキームの検討を進めてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ラムサール条約湿地に登録された葛西海浜公園のPRについてでございますが、多摩から島しょ地域まで、多様な自然が広がる東京の中で、都心にほど近い同公園が国際的な基準に沿った湿地として認められたことは、大変意義のあることでございます。
 先月、現地で開催したイベントでは、知事から、ラムサール条約湿地への登録について報告を行い、参加された多くの都民の皆様や関係者とともに喜びを分かち合ったところでございます。
 この公園のすばらしい自然環境をより多くの人々に知っていただくため、まずは国内外の観光客が訪れる渋谷や新宿などの街頭ビジョンにおきまして、公園の魅力や、それを支える地元の方々の活動を伝える動画を配信することとしており、その後もさまざまな機会を捉えてPRに取り組んでまいります。
 次に、葛西海浜公園における今後の取り組みについてでございますが、ラムサール条約湿地に登録されたことを契機に、今後、自然環境の保全と利活用を着実に進めていくことがますます重要となってまいります。
 そのため、地元と連携したボランティアによる清掃活動、海水浴や潮干狩りなど、これまで積み重ねてきた取り組みを、新たに策定する管理保全計画に位置づけ、良好な自然環境の維持と幅広い利活用に努めてまいります。
 さらに、この大都市に残る貴重な水域環境の魅力を多くの方々に体感、理解していただくことが、長期的観点からの利用、保全に役立つとの考えから、環境学習や野鳥の観察などができる情報の提供、施設の整備に取り組んでまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時十六分休憩

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