平成三十年東京都議会会議録第十五号

平成三十年十二月四日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番西郷あゆ美君
六番滝田やすひこ君
七番藤井あきら君
八番奥澤 高広君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番森口つかさ君
二十一番内山 真吾君
二十二番斉藤れいな君
二十三番もり  愛君
二十四番龍円あいり君
二十五番あかねがくぼかよ子君
二十六番保坂まさひろ君
二十七番おときた駿君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番柴崎 幹男君
三十一番舟坂ちかお君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番関野たかなり君
四十一番福島りえこ君
四十二番つじの栄作君
四十三番米川大二郎君
四十四番清水やすこ君
四十五番白戸 太朗君
四十六番増田 一郎君
四十七番佐野いくお君
四十八番細谷しょうこ君
四十九番やながせ裕文君
五十番清水 孝治君
五十一番大場やすのぶ君
五十二番小宮あんり君
五十三番鈴木 章浩君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番両角みのる君
六十四番石川 良一君
六十五番後藤 なみ君
六十六番鳥居こうすけ君
六十七番平  慶翔君
六十八番菅原 直志君
六十九番森澤 恭子君
七十番木下ふみこ君
七十一番ひぐちたかあき君
七十二番入江のぶこ君
七十三番森村 隆行君
七十四番早坂 義弘君
七十五番高橋 信博君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番秋田 一郎君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番村松 一希君
八十九番栗下 善行君
九十番中山ひろゆき君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番本橋ひろたか君
九十三番田の上いくこ君
九十四番おじま紘平君
九十五番馬場 信男君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番中屋 文孝君
九十九番宇田川聡史君
百番神林  茂君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番たきぐち学君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番三宅 正彦君
百二十一番山崎 一輝君
百二十二番吉原  修君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 一名
五十九 番  遠藤  守君
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
副知事多羅尾光睦君
教育長中井 敬三君
東京都技監建設局長兼務西倉 鉄也君
政策企画局長梶原  洋君
総務局長遠藤 雅彦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監三浦 正充君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
都市整備局長佐藤 伸朗君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長藤田 裕司君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長小山 哲司君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長堤  雅史君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長澤   章君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

十二月四日議事日程第一号
第一 第二百一号議案
平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第二 第二百二号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第二百三号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百四号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第二百五号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六 第二百六号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百七号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百八号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百九号議案
東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程
第十 第二百十号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十一号議案
東京都児童育成手当に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十二号議案
東京都重度心身障害者手当条例の一部を改正する条例
第十三 第二百十三号議案
東京都心身障害者福祉手当に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十四号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第十五 第二百十五号議案
東京都中小企業・小規模企業振興条例
第十六 第二百十六号議案
東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百十七号議案
東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
第十八 第二百十八号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百十九号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百二十号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百二十一号議案
警視庁志村警察署庁舎(三十)改築工事請負契約
第二十二 第二百二十二号議案
都立久留米特別支援学校(仮称)(三十)改築及び改修工事その二請負契約
第二十三 第二百二十三号議案
都営住宅三十CH─一一〇東(江東区辰巳一丁目・江東区施設)工事請負契約
第二十四 第二百二十四号議案
産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築電気設備工事請負契約
第二十五 第二百二十五号議案
産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築空調設備工事請負契約
第二十六 第二百二十六号議案
産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築給水衛生設備工事その二請負契約
第二十七 第二百二十七号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十四)請負契約
第二十八 第二百二十八号議案
小名木川護岸耐震補強工事(その四)請負契約
第二十九 第二百二十九号議案
北十間川護岸建設工事(その三)請負契約
第三十 第二百三十号議案
神田川整備工事(その二百十一)請負契約
第三十一 第二百三十一号議案
当せん金付証票の発売について
第三十二 第二百三十二号議案
駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第三十三 第二百三十三号議案
東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第三十四 第二百三十四号議案
東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第三十五 第二百三十五号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百三十六号議案
東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開会・開議

○議長(尾崎大介君) ただいまから平成三十年第四回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   七番   藤井あきら君 及び
   六十四番 石川 良一君
を指名いたします。

○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(櫻井和博君) 平成三十年十一月二十七日付東京都告示第千六百一号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案三十六件の送付がありました。
 次に、平成三十年第三回定例会の会議において同意を得た監査委員及び公安委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、人事委員会より、平成三十年十月十二日付で、都の一般職の職員の給与についての勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例外一件の報告について並びに訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) この際、平成三十年十一月一日付をもちまして、全国都道府県議会議長会において、自治功労者として表彰を受けられました方々をご紹介いたします。
 在職二十五年以上、古賀俊昭君、大山とも子さん。
 在職十五年以上、大津ひろ子さん。
 ここに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。
〔拍手〕

○議長(尾崎大介君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一〇ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十一月二十七日付をもって、おときた駿君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、やながせ裕文君を指名いたしました。

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名をいたしました。
〔オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員辞任・選任名簿は本号末尾(一〇二ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 会期についてお諮りをいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十九日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定をいたしました。

○議長(尾崎大介君) この際、永年在職議員の表彰についてお諮りをいたします。
 七十六番古賀俊昭君には、東京都議会議員として多年にわたり地方自治の確立と都政の進展のために貢献せられ、その功績はまことに顕著であります。
 本議会は、その功労を多とし、表彰することにいたしたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本議会は、古賀俊昭君を表彰することに決定をいたしました。
 お諮りいたします。
 表彰文は議長に一任せられたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたしました。
 これより、議長において起草いたしました表彰文により表彰をいたします。
    表彰状
古賀 俊昭殿
 あなたは東京都議会議員として
 在職二十五年以上に及び
 都政の発展に努力された功績は
 まことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成三十年十二月四日
東京都議会
〔拍手〕
 なお、表彰状の贈呈については、議長において取り計らいたいと存じますので、ご了承を願います。
 ただいま表彰を受けられました古賀俊昭君よりご挨拶があります。
 七十六番古賀俊昭君。
〔七十六番古賀俊昭君登壇〕

○七十六番(古賀俊昭君) 歳月は永劫の一瞬との言葉どおり、月日の流れは早く、平成五年に東京都議会に参画以来、二十五年をけみし、本日、東京都議会議場の諸兄諸姉の議決をもって永年在職の表彰を賜りました。衷情より厚く御礼を申し上げます。
 このたびの栄誉を担わせていただくに当たり、三つのえにしと感謝の所懐を申し上げさせていただきます。
 まず、幾たびもの有為転変、会者定離の政局の中にあっても、今日まで一貫して私を支え続けてくださった地元日野市民の皆様に幾重にも御礼を申し上げます。
 次に、本年は明治維新百五十年。我が日野市の新選組や白虎隊、また、娘子軍の悲劇的なまでに純粋無雑な奮戦で知られる会津藩、加えて、二本松少年隊から見れば戊辰の役百五十年となります。往時、佐幕も倒幕も、ともに勤王の大和心をもとに、アジアに迫る白人欧米列強による植民地化の未曽有の国難に対抗する危機感から、新たな国づくり、維新を成功させて、近代国家への歩みを始めました。この国史の大きな節目での栄誉だけに、少なからず感動を覚えます。
 三点目は、瑞穂の国、桜の国、日本に生をうけたことです。そもそも日本に生まれなければ、私は今ここにはいないのです。ですから、私は、日本の国や日本の歴史を悪くいう人の気持ちがわかりません。
 さて、私は、初当選時の鈴木知事から、青島知事、石原知事、猪瀬知事、舛添知事、そしてただいまの小池知事と六人の知事の都政と、議会側から対峙してまいりました。
 この間、私が常に心がけて指針としてまいりましたのは、地方自治は、首長も議員も、ともに有権者から直接選挙で選ばれる二元代表制のもとで、両者が牽制し、緊張関係を保つことにより、議会は自治体の意志と政策を決定し、また行政監視の機能を果たすとの基本姿勢であります。
 向後も、この理念と気力をもって任期を務めてまいりたく存じます。
 本日の皆様の議決と発言の機会を与えていただきましたことに、改めて深い謝意を申し上げ、挨拶の結びといたします。
 まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎大介君) 以上をもって挨拶は終わりました。

○議長(尾崎大介君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 平成三十年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
 ただいま古賀俊昭議員は、はえある永年在職議員表彰をお受けになりました。都政の発展に尽くされた二十五年間のご功績に対しまして、深く敬意を表しますとともに、心からお喜びを申し上げたく存じます。
 なお、都議会議員候補としての最初の公認作業は、私自身が担当させていただきましただけに、今のお祝いのことは、しっかりと受けとめさせていただきたいと存じます。
 今般、水道局が公正取引委員会の行政調査を受けましたことは、知事として重く受けとめております。当該調査は現在も続いておりますが、都としても調査特別チームを設置して集中的に調査を進め、先日、その中間報告書を公表いたしました。職員が情報を漏えいした事実が認められたことは、都政への信頼を損なう重大な事態であり、都議会の皆様、都民の皆様には、心よりおわびを申し上げます。
 今後、全庁を挙げて、速やかに再発防止策に取り組むとともに、職員一人一人が全体の奉仕者としての原点に立ち返り、職責を全うすることで、都民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
 江戸が東京と改称されてから百五十年となる節目の年も残りわずかとなりました。東京は、さらなる未来への新たな一歩を踏み出そうとしております。この機を捉え、これからの東京が首都としていかなる役割を果たしていくべきか、改めて胸に刻まなければなりません。
 昨今、首都東京のあり方をめぐり、資源の集積が地方の活性化を阻害している主因であるかのような議論が繰り返されております。しかし、例えばイギリスでは、リーマンショックを契機に経済が低迷したものの、オリンピック・パラリンピック開催に向けた投資等により、ロンドンの都市力が大きく向上し、その経済効果が地方にも広がることで、一国の経済は早期の回復を見せました。その後も、ロンドンが経済を牽引し、イギリスは着実な成長を続けております。
 都議会各会派の皆様にもご参加いただきました、東京と日本の成長を考える検討会の報告書でもご指摘がありましたように、首都の発展、国際競争力の強化が、国全体の経済成長につながった好例であり、まさしく東京及び日本が倣うべきモデルであると思います。
 世界経済は今、米中の貿易摩擦等を背景に、国際通貨基金による最新の見通しが二年三カ月ぶりに引き下げられるなど不透明さを増しております。我が国の国内総生産の直近の速報値もマイナスとなっており、一時的な後退との見方もあるものの、不安定な海外の経済情勢に鑑みますれば、決して楽観はできません。ましてや今後、人口減少や高齢化がますます進む中にあっては、これまで我が国の経済を牽引してきた東京が力をそがれることで、日本の成長をとめるわけにはいかないのであります。
 こうした危機感のもと、東京は、首都の使命として稼ぐ力を強化し、全国との共存共栄を図りながら、我が国の発展を主導してまいります。そのためには、働き方改革の推進による生産性の向上、待機児童対策を初めとする女性活躍の推進、高齢の方々や障害のある方々が意欲と希望に応じて働くための支援など、誰もが、人と人とのつながりの中で力を発揮できる環境を築き、東京の活力を高めることが欠かせません。
 また、大規模地震に加え、年々激しさを増す豪雨や猛暑への対応として、防災事業や気候変動対策を一層進化させることで、都民の安全・安心を守るとともに、政治経済の中枢としての首都機能を強靱化することも求められています。
 さらには、熾烈な国際競争に打ち勝つための成長戦略の展開、それを支える交通、物流ネットワークの形成など、東京がこれからも日本の発展を牽引していくために進めるべき施策は枚挙にいとまがないのであります。
 これらは、まさに私が目指すセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの実現に向けた取り組みにほかなりません。三つのシティーを築く道しるべである二〇二〇年に向けた実行プランにつきましては、社会情勢の変化に的確に対応して、重点政策方針二〇一八に掲げた新たな戦略を具体化するため、政策のさらなる強化を図っているところであります。また、機能的かつ効果的な政策遂行に向けた二〇二〇改革につきましては、見える化改革による各局主要事業の点検、評価がおおむね完了したところでありまして、今後は、これらを踏まえた改革を具体的に実践、実行していく段階となります。引き続き、都民ファーストの視点による事業展開や賢い支出の徹底のため、手を緩めることなく改革に邁進をしてまいります。
 このほか都政改革におきましては、公園や動物園など、多くの都民が利用する施設におきまして、利用者目線によるサービス改善を進めるとともに、都庁グループの一員としての監理団体につきましても、そのあり方の見直しなど、戦略的活用に向けた取り組みを推進をしてまいります。
 都民のため、東京のため、そして首都として日本全体のため、なすべきことをなす。これこそが都政に臨む私の基本姿勢であると改めて申し上げておきます。
 だからこそ、東京を標的とした税制度の見直しは断じて認めることはできません。日本経済の牽引役である東京には、これからもインフラの強化など、日本全体の活性化につながる効果的な投資が必要であります。また、東京の高齢者人口は、二〇二五年には三百二十四万人と、今後、わずか七年で十六万人増加し、その後も世界に例を見ない規模と、そして速度でふえることから、高齢の方々が安心して暮らせるための施策に着実に取り組むことも欠かせません。
 こうした東京の将来を見据え、都は、事業評価の徹底により、この二年で約一千六百億円の財源を確保するなど、不断の見直しで健全な財政運営を確立してまいりました。まさしく努力のたまものである東京の財源を標的とするということは、東京の稼ぐ力をそぎ、日本全体にとってもマイナスとなる行為であるとともに、地方自治体による行財政改革を軽視するものであります。
 もとより、国がうたう地方創生の重要性につきましては、都としても異論はございません。しかし、我が国が真に地方創生を目指すのであれば、東京を含む地方が、それぞれの実情や住民の声を踏まえ、まさに地方自治の力で地域を活性化できますよう、地方税財政制度を抜本的に改革し、地方の権限と財源の拡充を図るべきではありませんか。
 地方自治の強みは、地域の活力を生む住民の声を、実効性のある施策へとつなげられることであり、例えば都におきましても、予算編成に向けた都民や大学研究者による事業提案制度、あるいは東京の課題解決などを目指した大学との定例懇談会など実施をいたしております。地方自治体と住民が協働し、知を結集して発揮する自治の力を最大限に生かしていく。その先にこそ、活力ある地域を築く地方創生も、それを基盤とした我が国の持続的な発展も、初めて実現できるのであります。
 そうした観点から、東京は、真の地方創生に向けて他の地方とともに知恵を絞り、それぞれの個性や強みを生かして共存共栄を図ることで、日本経済全体のパイの拡大を目指してまいります。都はこれまで、東京二〇二〇大会を契機とした全国の中小企業の受注機会の拡大、東京と各地を結ぶ観光ルートの設定、都内のアンテナショップと連携した各地の魅力発信など、全国との共存共栄に向けた具体的な取り組みをさまざま展開をしてまいりました。
 私が提案し、創設されました全国知事会のプロジェクトチームにおきまして、現在四十五の都道府県で進めている国産木材活用の取り組みもその一例であります。これらの取り組みもきっかけとしながら、地方こそがみずからの権限と財源で活力ある地域社会を築いて、日本の発展を牽引していくという気概を、いま一度全国の自治体と共有したいと存じます。
 この間、政府・与野党の幹部の方々を数多く訪問し、地方税財政制度に対する都の考え方を直接お伝えをしてまいりました。先月には、その考え方を都の見解としてまとめ、広くアピールするとともに、与党税制調査会幹部や国会議員の方々にも改めて要請を行うなど、都議会の皆様、区市町村の皆様とともにオール東京で、さらには大阪府などとも連携をいたしまして、このたびの税制度の見直しに断固たる反対を訴えてきたところでございます。東京、そして日本の成長を決してとめてはなりません。税制の議論は、大詰めを迎えておりますが、日本の将来を踏まえまして、国にはぜひとも賢明なるご判断をいただきたいと存じます。
 世界に目を向けますと、活力あふれる都市の勢いはとどまるところを知りません。群を抜く都市力を誇るロンドンやニューヨークはもとより、アジアにおきましても、北京、上海、深圳などでは、ユニコーンと呼ばれるベンチャー企業が数多く勃興し、新たな価値を次々と生み出しながら都市の躍進を主導しております。激化するばかりの都市間競争の中、我が国の玄関口として、世界から人と金を呼び込み、日本経済を牽引していくため、東京は世界を見据えた成長戦略を果敢に展開をしてまいります。
 東京の重要な成長戦略の一つが、昨年発表いたしました国際金融都市東京構想であります。その一環として、新たに創設した東京金融賞は、都民のニーズに応える画期的な金融サービスの開発やESG投資の普及に秀でた事業者を表彰し、東京の金融をさらに活性化する取り組みであります。今後、有識者による審査を経て、来年二月に表彰を実施してまいります。
 さきのロンドン出張では、伝統ある金融街、シティー・オブ・ロンドンの協力のもと、官民が連携して、アジアの金融拠点としての東京を強くアピールをいたしました。シティーのトップであるロード・メイヤーとの会談では、職員派遣を通じたさらなる連携強化にも合意したところでございます。引き続き、来年度には、官民一体の金融プロモーション組織を立ち上げまして、海外の金融系企業の誘致を一層加速するなど、アジアナンバーワンの国際金融都市に向けた施策をスピード感を持って展開をしてまいります。
 東京の持続的な成長には、経済と雇用を支える中小企業の活性化が欠かせません。有識者や関係団体代表等の皆様による現場に根差した議論を踏まえ、その基本理念や施策の方針を明らかにした中小企業・小規模企業振興条例を本定例会に提案いたしております。中小企業の重要性を踏まえた取り組みの推進や多様な機関との連携などを理念といたしまして、都の責務として、効果的な施策を総合的に実施をしてまいります。
 そして、その具体的な羅針盤となるのが、同じく有識者等の皆様にご検討いただいた中小企業振興に関する中長期ビジョンであり、先月、その中間まとめを公表いたしました。ビジョンが目指すべき姿を明確にし、その実現に向けた意欲的な数値目標を掲げております。年明け一月の策定に向けまして、引き続き、さまざまなご意見を踏まえながら、内容に磨きをかけてまいります。
 画期的なイノベーションを生み出すベンチャー企業の発展や、絶えず進化する先端技術の実用化に向けた取り組みも着実に進めてまいります。
 先週、決勝大会を開催した国内最大級のビジネスプランコンテスト、TOKYO STARTUP GATEWAYは、起業を目指す若手が都の支援のもとで、みずからのプランを磨きながら競い合う点を特徴としており、世界に通用する数多くの起業家の誕生につなげたいと存じます。
 また、ベンチャーの持つ有望な技術を医薬品や治療方法の開発に生かすという観点から、今年度より、自治体初となる創薬系ベンチャーの育成支援を開始するなど、幅広い分野で起業、創業を力強く後押しをしてまいります。
 社会における先端技術の実用化に向けましては、多摩地域においては多摩ニュータウンでの自動運転バスの運行、島しょ地域におきましては観光振興を見据えた三宅島での自動運転車両の運行、それぞれ実施するほか、都営地下鉄駅でのロボットによる案内、警備など、多様なフィールドで実証実験を進めてまいります。
 また、ロンドンでは、サディク・カーン市長から、民間と連携したオープンデータの活用事例を伺ったところでございますが、都におきましても、行政や民間が有するデータの分析、予測等により、都市運営における実効性の高い施策の展開につなげてまいります。
 先月、政府の未来投資会議等が示した経済政策の方向性では、AIやロボット、ビッグデータといった技術革新を取り入れて、労働生産性の向上を図る新たな社会、ソサエティー五・〇の実現が、成長戦略の柱の一つとして位置づけられました。
 都は、ただいま申し上げましたような多彩な取り組みによって、革新的な技術が秘める無限の可能性をどんどん引き出し、我が国が目指すべき新たな社会の実現を先導してまいりたいと思います。
 去る十月十一日、新たな都民の台所となる豊洲市場が開場いたしました。築地からの大規模な移転を整然と進めていただいた市場業者の皆様、円滑な開場にご協力をいただいた地元の皆様を初め、全ての関係者の方々に改めて感謝を申し上げます。
 開場後の市場の運営は、おおむね順調であり、先月、暫定開通した環状第二号線におきましても、概してスムーズな交通が確保できております。私も現地を二度訪れ、業者の皆様の強い意気込みや、それを象徴する新市場の大いなる活気を感じてまいったところでございます。
 引き続き、業者の皆様、地元の皆様とともに、豊洲ブランドの確立やにぎわいの創出に取り組んで、時代の変化にも柔軟に対応しながら、東京、日本の成長の一翼を担う中核市場へと育ててまいります。
 また、東京のさらなる魅力向上のための新しい役割が期待される築地におきましては、現在、まちづくり方針の検討を進めておりまして、今後、広く都民の皆様のご意見を伺った上で年度内に取りまとめる予定でございます。立地に恵まれた築地のポテンシャルを生かして、東京の持続的な成長へとつなげていけますよう、新たなまちづくりの具体化を図ってまいります。
 持続可能な東京を実現するためには、金融、経済のみならず、環境分野におきましても世界をリードしなければなりません。一昨日より、パリ協定のルール決定を目指すCOP24が始まるなど、脱炭素社会に向けた国際的な機運が高まる中、東京はゼロエミッション都市の実現を目指して、さらなる省エネルギーと再生可能エネルギーの利用拡充を軸といたしまして、気候変動対策の強化を進めてまいります。
 二〇一〇年度の開始以来、着実に成果を上げているキャップ・アンド・トレード制度につきましては、二〇二〇年度からの新たな計画期間において、オフィスビル等におけますCO2削減義務率を引き上げるほか、再エネ電力の利用拡大に向けた新たなインセンティブを導入し、制度の進化を図ってまいります。
 また、中小規模事業所のCO2排出量や省エネ対策の報告を求める制度におきましては、優良な企業を公表するとともに、再エネ利用状況の報告を新たに義務づけることで、企業の取り組みを一層促進してまいります。
 さらに、大規模建築物の省エネ性能を評価する制度では、最高ランクとなるゼロエネルギービルディングの基準を新設をし、評価対象も拡大するなど、建築物のさらなる省エネルギーを図ります。
 いずれの制度も、都民の皆様のご意見を踏まえた上で、二〇二〇年度からの実施を目指してまいります。
 東京のエナジーである人が輝き続けられるよう、引き続き、誰もが生き生きと活躍できる都市を築く施策を幅広く進めてまいります。
 安全・安心は人が輝く大前提であります。緊急性の高い防災事業やこの夏の災害級の猛暑を踏まえた暑さ対策のスピードアップを図るべく、本定例会に補正予算案を提案いたしました。
 本予算案によりまして、区市町村立、私立の学校及び民間による安全性に課題のあるブロック塀の撤去や、木製の塀の設置等を支援をいたします。また、災害対応の拠点となる区市町村庁舎につきまして、非常用電源の確保のための補助を行います。さらに、災害時の避難所ともなる区市町村立学校の体育館への空調設置を促進するほか、東京二〇二〇大会に向けた暑さ対策を集中的かつ効率的に実施するべく、監理団体を活用した対策チームを立ち上げます。
 なお、体育館への空調設置につきましては、断熱工事や設計費も補助の対象とするとともに、来年度当初予算において、リースによる対応についても支援したいと考えております。
 都民の皆様の命を守るため、時期を逸することなく、かつ現場の実態を十分に踏まえまして、効果的な施策を講じてまいります。よろしくご審議のほどお願いをいたします。
 いつ起きてもおかしくない地震から首都機能を守る。そのために震災時の復旧活動の大動脈となる特定緊急輸送道路の沿道建築物については、耐震化を推進する条例に基づいて、所有者による耐震化を後押しをしております。現在、八割を超える建物が耐震性を満たしておりますが、今後さらなる促進を図るべく、テナントなど建物の占有者の責務等を新たに定める条例改正案につきまして、来年の第一回定例会への提案を目指してまいります。
 木造住宅密集地域につきましては、住民が、人と人のつながりであるコミュニティを維持しながら転居できる魅力的な移転先を整備することで、不燃化を加速してまいります。その第一弾として、先月、足立区の江北地区における事業実施方針を公表し、年度内には同じく関原地区の実施方針をお示しする予定としております。各地域の実情を踏まえた創意工夫を凝らしながら、引き続き、市街地の不燃化や延焼遮断帯の形成を着実に推進してまいります。
 また、今後急増する老朽化マンションの適正な管理の促進も、安全・安心なまちづくりには欠かせません。その鍵となるマンションの管理組合の機能強化に向けましては、三月に設置した有識者検討会において幅広く議論をいただき、先週、制度の枠組みにつきまして最終報告を受けたところでございます。その内容を踏まえまして、取り組みを推進するための新たな条例案の検討を進め、同じく第一回定例会への提案を目指してまいります。
 あらゆる人が社会で活躍できる環境こそ、これからの東京の活力の基盤であります。とりわけ、就労についてさまざまな要因から困難を抱える方々を社会全体で包み込んで、雇用環境を整備していくことは欠かせません。
 こうしたソーシャルインクルージョンの考え方に基づいて、全ての都民の就労を応援する新たな条例の制定を目指し、先週、有識者会議を立ち上げ、就労支援のあり方について議論を開始いたしました。誰もが希望や個性に応じて就労し、活気みなぎる東京の実現に向けまして、引き続き多様な視点から検討を進めてまいります。
 次に、未来に輝く人を育む取り組みについてでございます。
 子供たちの読解力向上をテーマとした八月の総合教育会議の議論を踏まえまして、先月、教育委員会において、AI時代にますます重要となる読解力や、みずから学ぶ力を高めるためのプロジェクトを立ち上げました。効果的な指導方法について、専門家や現場の知見をもとに精力的に検討し、東京発の新たな教育プログラムをつくり上げていただきたいと存じます。
 また、来週十三日には、今年度二回目の総合教育会議を開催いたします。教育の質の向上と教員の負担軽減の両立を図るため、地域の高齢者や教員OBの力を学校に生かす取り組みをテーマとして、魅力的で多彩な学びの提供、待ったなしの課題である教員の働き方改革へとつながるよう議論を深めてまいります。
 なお、教員の働き方改革につきましては、このほかにも多様な取り組みを複合的に行っていくことが重要でありまして、そのための新たな仕組みについても検討を進めてまいります。
 都立高校改革につきましては、来年度からの三年間の展望を示す新実施計画(第二次)の骨子を先月公表いたしました。東京の産業を支えるマイスターの育成、理数教育の充実に向けた理数科の設置や大学との連携など、生徒、保護者に選ばれる学校づくりに向けた取り組みをまとめております。引き続き、教育委員会において、来年二月の策定に向けて検討を重ねてまいります。
 痛ましい虐待から子供たちを守るため検討を進めております都独自の条例案につきましては、九月に公表した基本的な考え方に対する都民や区市町村からの意見も踏まえまして、先週、骨子案を公表したところでございます。
 社会全体で子供を守るとの基本理念のもと、保護者の責務として、体罰等の禁止を明確に定めるなど、虐待の未然防止を図ってまいります。また、早期の発見、対応につなげるため、発見者が通告しやすい環境づくりや関係機関の連携強化を進めてまいります。
 さらに、虐待を受けた子供への的確な支援や、その保護者への必要な指導及び支援、児童相談所の適切な運営体制を確保するための人材育成など、子供の権利利益の擁護と健やかな成長に寄与するべく、幅広い内容を盛り込んでいるところでございます。
 引き続き、本案に対する都民の皆様のご意見を伺いながら、第一回定例会への条例案提案に向けて丁寧に検討を進めてまいります。
 誰もが生き生きと暮らせる都市の実現には、豊かな自然や多彩な文化に触れられる憩いの場の創出も欠かせないところであります。
 都心に近接しながら、冬場には二万羽以上の水鳥が飛来する葛西海浜公園は、十月に都内で初めてラムサール条約に基づく国際的に重要な湿地に登録をされました。世界の湿地が減少傾向にある中での登録は大変貴重であり、これを機に、都民の皆様に東京の水辺にもっと親しんでいただくとともに、東京二〇二〇大会のカヌー・スラロームセンターが隣接する立地を生かしまして、都市と自然が調和する東京の魅力を広く世界へ発信をしてまいりたいと存じます。
 豊かな緑や文化施設を有し、都心のオアシスとして親しまれる日比谷公園は、開園から百十五年を迎えた今、そのポテンシャルを最大限に発揮して、多様化する利用者ニーズに応えていくことが求められます。今後の公園のあり方につきましては、これまで有識者を交えた検討会で議論を重ねてまいりましたが、今月には、日比谷公園グランドデザインとして、その目指すべき将来像を明らかにしてまいります。
 現在、公園では、東京二〇二〇大会を見据え、バリアフリー化や大音楽堂の改修を進めておりまして、先月には、大会機運を高めるとともに、新たなライフスタイルを発信するSPORTS STATION&CAFEをオープンいたしました。今後、グランドデザインも踏まえながら、東京のセントラルパークとしてのさらなる魅力向上を図ってまいります。
 東京二〇二〇大会を契機に、東京を持続的な成長とさらなる成熟化へと導くためのレガシーの構築に向けまして、具体の取り組みを加速してまいります。
 テレワークや時差ビズといった働き方改革を一層推進し、社会全体のムーブメントへと高めていくことで、東京の成長の鍵となる生産性の向上や多様な人材の活躍に加えまして、大会期間中の交通混雑緩和にもつなげてまいります。
 十月、都内の金融機関等七団体と働き方改革の推進に向けました連携協定を締結をいたしました。先週には、都内企業を対象として、テレワーク推進に向けたセミナーをともに開催したところでございまして、中小企業の経営を支える金融機関等と強力に連携をしながら、多くの企業に働き方改革への賛同の輪を広げてまいります。
 時差ビズにつきましては、現在、約九百社にご参加いただいており、先週、すぐれた取り組みを行った企業を表彰いたしました。来月下旬からは、新たに冬の時差ビズも開始をし、今年度の目標である一千社の参加の達成と新たな常識としての時差ビズの定着を目指してまいります。
 大会中の交通混雑緩和に向けましては、十月に大会輸送影響度マップを公表して、交通対策を何ら行わなかった場合に生じる道路、鉄道等への影響をお示しをいたしました。今後は、交通量の抑制や分散などを行う交通需要マネジメントの推進に向けて、企業等の皆様に具体的な準備を進めていただく段階となります。先週からは、その加速のため、セミナー、相談会を開始をいたしました。円滑な大会運営と経済活動の維持の両立に向けまして、引き続き、きめ細かな対応を図るとともに、九都県市でも連携をして、広く協力を呼びかけてまいります。
 大会開催とその先の一層の高齢化を見据え、誰もが利用しやすい宿泊環境を民間の皆様とともに実現すべく、新たな取り組みを進めてまいります。
 まずは、車椅子を使用される方を初め、多くの方々が客室を利用しやすくなるよう、全国で初めて新築、増築などを行う一般客室のバリアフリー基準を条例に定めたいと存じます。先般実施したパブリックコメントの結果を踏まえまして、第一回定例会への提案を目指してまいります。
 また、視覚や聴覚に障害のある方や高齢の方などに配慮した客室の仕様を、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルに記載するほか、宿泊事業者向けの補助拡充の検討やセミナー開催などによる機運醸成を進めてまいります。さらに、バリアフリー化された客室情報の見える化を推進するなど、全ての人が快適に宿泊できるオープンステイ東京を実現すべく、多面的に施策を展開をしてまいります。
 大会成功に向け、その力が欠かせない大会ボランティア及び都市ボランティアにつきましては、ともに今月二十一日まで募集をしておりまして、幅広い世代の方々にご応募いただいております。
 都市ボランティアの応募数は、本日二万人を超えました。引き続き、多くの方々にご応募いただくことを期待をいたしております。
 アスリートと並ぶ大会の主役といたしまして、また開催都市東京の顔としてご活躍いただくことは、一人一人の心にも大きなレガシーを残すことになると存じます。世界中から訪れる方々に東京のおもてなしを実感していただき、まさしく記録と記憶に残る大会となるよう、ボランティアの皆様とともに力を尽くしていきたいと存じます。
 十月、インドネシアで開催されたパラスポーツの総合大会、アジアパラ競技大会では、過去最多のメダルを獲得するなど、日本選手がすばらしい活躍を見せてくれました。選手の皆さんに心から敬意を表するとともに、二〇二〇年に向けたさらなる飛躍にも期待したいと存じます。
 今月末、パラリンピック全二十二競技を楽しめる体験型イベント、チャレスポTOKYOを開催をいたします。バーチャルリアリティーを活用したダイナミックな競技体験など、新たなプログラムも取り入れておりまして、パラスポーツの魅力を多くの都民の皆様に体感していただきたいと存じます。
 先月には、パラアスリートを支える指導者や理学療法士等を東京パラスポーツスタッフとして認定をいたしまして、その活動環境の改善とアスリートの競技力向上につなげる取り組みを開始をいたしました。世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催する成熟都市といたしまして、引き続き、多様な取り組みでパラスポーツの一層の普及を図ってまいります。
 さきのパリ出張では、アンヌ・イダルゴ市長との間で、ともに開催を控えるオリンピック・パラリンピックの成功を初め、環境、文化、観光といったさまざまな分野での連携強化につきまして合意をいたしました。
 文化面では、アートとエコが融合する風呂敷をテーマとしたイベントをパリ市庁舎前で開催するなど、世界に冠たる東京の文化を広く発信する機会ともなり、二〇二〇年に向けて注目を集める東京への関心をさらに高めることができたと、このように考えております。
 先月には、大会に向けた文化プログラムTokyo Tokyo FESTIVALをさらに加速するべく、世界の人と文化が行き交う羽田空港におきまして、プロモーションイベントを実施をいたしました。引き続き、国内外への発信を強化するとともに、都内自治体によります文化事業との連携を深めるなど、大会を文化の面からも大いに盛り上げてまいります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九に向けましては、先日、世界最強と称されるニュージーランド代表とのテストマッチにおきまして、日本代表が健闘し、試合会場である味の素スタジアムはもとより、有楽町で開催した応援イベントも大変盛り上がりました。都内各地でも多彩なPRを展開をしておりまして、開幕まで二百九十日となったワールドカップにおける世界トップレベルの熱戦への期待を東京中で高めてまいります。
 さて、日本資本主義の父といわれた実業家、渋沢栄一翁は、東京商工会議所を初め、多様な企業の設立に携わる一方で、困窮者や孤児等の保護施設として、当時の東京府、東京市が運営した養育院の院長を半世紀にわたり務めるなど、約六百もの社会貢献活動に尽力されました。
 現在、国連では、誰ひとり取り残さない社会に向けた国際的な目標として、SDGsを掲げておりますが、渋沢翁は、まさに今から百年以上も前の東京において、そうした取り組みを既に実践をしていたといえると思います。その渋沢翁が残した言葉、次のような一節がございます。
 我も富み、人も富み、しかして国家の進歩発達を助くる富にして、初めて真正の富といい得る。この言葉になぞらえれば、東京が目指している富とは、東京も、その他の地方もともに栄え、日本全体が持続的に発展していくための富であります。そのような、まさしく真正の富を獲得し、日本経済全体を拡大していく。そのために、都は、創意工夫を凝らして人の活力を高めながら、世界の都市間競争に挑み、全国との共存共栄の取り組みを進めてまいります。
 都議会の皆様、都民の皆様のご理解、そしてご協力を賜るとともに、国には、改めて広い視野に立った大局的な判断をいただきますようお願いしたいと存じます。
 いま一度申し上げます。東京と日本の成長をとめてはならないと。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案一件、条例案二十一件など、合わせまして三十六件の議案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わりとさせていただきます。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明五日から十日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明五日から十日まで六日間、議案調査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十一日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十七分散会


文書質問趣意書及び答弁書

30財主議第417号
平成30年11月26日
東京都議会議長 尾崎 大介殿
東京都知事 小池百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成30年第三回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

山内れい子議員
池川友一議員
おときた駿議員
宮瀬英治議員
原のり子議員
河野ゆりえ議員
里吉ゆみ議員
中村ひろし議員
尾崎あや子議員
和泉なおみ議員
曽根はじめ議員

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 性教育について
二 森林保全とバイオマスについて
三 自転車走行空間の整備について

一 性教育について
 東京都教育委員会は、現在、「性教育の手引」を改訂するため作成委員会を設置し、議論を進めています。子どもたちが置かれている実態に即して、科学的な知識とリスクを含め、性の自己決定の重要性を伝える性教育が必要です。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を基盤とした人権教育が求められます。
1 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、「学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要」と回答した校長は約46%でした。学習指導要領に示されていない内容を、現場の教員の判断で柔軟に指導することができるようにすることが必要と考えますが、見解を伺います。
2 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、中学校学習指導要領に示されていない内容の授業での指導について、主な内容として「避妊法」「人工妊娠中絶」「コンドームの利用」「性交」「望まない妊娠」があげられています。中学校において、これらの内容を指導している理由とそれに対する都教育委員会の見解を伺います。
3 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、「保護者は家庭において子どもに対して性に関する指導を行っている」と回答した校長は、約15%であった。調査結果から、学校での性教育が重要であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
4 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、「性に関する授業は、医師等の外部講師を活用することが効果的である」と回答した校長は約89%でした。これまで、都教育委員会においては、都立学校を対象とした専門医派遣事業を実施していますが、産婦人科医による都立学校への派遣事業に関する実施内容と2016、2017、2018年度の実績について伺います。
5 秋田県では、十代の人工妊娠中絶率が全国平均より高い数値であったことから、秋田県教育委員会で県内の全高等学校へ性教育講座講師派遣事業を開始しました。また秋田県医師会でも秋田県の若年出産・中絶数の多さや、日本におけるHIV/AIDSの増加の現状を踏まえて、性教育プロジェクト委員会を立ち上げて性教育派遣講座への医師派遣の窓口となったと聞いています。その後、中学校、小学校でも性教育派遣講座を試験的に行い、2004年からは中学3年生を対象とする中学校性教育派遣講座を開始しています。中学校・高校での性教育講座では、生命の大切さ、性感染症、妊娠・出産、避妊、妊娠中絶などについて学校ごとの実態に合わせた講演などを行ってきており、これらの取り組みによって秋田県の十代の人工妊娠中絶率は減少したとのことです。
 都においても、高校だけでなく、都内中学校に、現場である学校の教員と協力・連携しながら、医師等の外部講師を活用した性教育を進めていく必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
6 性教育の手引の改訂にあたっては、産婦人科医や妊娠相談、性暴力被害支援、若者やSOGIの支援団体など、さまざまな専門家、関連機関・団体等から意見を聞き、妊娠と避妊、性感染症、セクシュアリティなどについて取り扱う必要があると考えますが、見解を伺います。

二 森林保全とバイオマスについて
 森林環境税や森林経営管理法など、森林に関する新たな制度ができています。森林保全のためこうした制度が有効に使えるのか、疑問の声も上がっているところですが、多摩地域に広がる森林の役割は大きく、自然が育む生物多様性やCO2削減など環境保全に寄与しているほか、治山・治水といった防災の観点や都民の憩いの場としても重要です。
 今回は、なかでも植林された人工林の活用について伺います。多摩産材を木材として活用することや、チップやペレットに加工したバイオマス利用などを進めるための施策が必要です。
1 これまで、多摩川上流水再生センターの汚泥焼却炉の補助燃料として年間約1300〜1500tの木材チップを使ってきました。チップ化した大半がこの水再生センターで使われています。ところが、焼却炉の更新に伴って、チップがほとんど不要となるということです。チップ化事業を今後どうしていくのか伺います。
2 森林環境税の徴収は2024年度からですが、森林環境譲与税が来年度から各自治体に配分されます。森林保全を目的とした税ですから、目的に沿った使い方がされる必要があります。都と都内の区市町村に配分される金額および使い道のルールについて伺います。
 また、区市町村が多摩産材やチップの活用など、都内の木材利用に資するように使うため、どのような支援を行っていくのか伺います。
3 森林経営管理法が施行されると、経営管理されていない森林について、森林所有者への支援や所有者が不明な森林についての対応など、域内に森林のある自治体の役割が非常に大きくなります。都内で影響を受ける自治体への支援をどのように行っていくのか伺います。

三 自転車走行空間の整備について
 国立市の大学通りの自転車専用通行帯いわゆる自転車レーンは、車道であり左側一方通行が定着してきています。現在、その一方通行を、双方向通行にする検討が行われていると聞いています。自転車ネットワークの連続性を考えると、都立国立高校、都立多摩障害者スポーツセンターの辺りから谷保駅に向けては自転車レーンがなく途切れており、双方向通行にした場合、連続性がないことによって生じうる車道での通行方法の混乱、逆走の増加、信号無視、事故の増加等が懸念されます。そこで安全性の確保の観点から、質問をします。
 2016年7月、国土交通省道路局、警察庁交通局が「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を改定しました。自転車道、自転車専用通行帯いわゆる自転車レーン、自転車専用道路など自転車通行空間を示す言葉がありますが、定義は定着していません。そのため、自転車道は双方向通行、自転車レーンは一方通行という捉え方がありますが、ガイドラインでは、分類が明らかにされています。
1 国土交通省道路局、警察庁交通局が改定した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」に記載されている、自転車道、自転車専用通行帯いわゆる自転車レーン、自転車専用道路それぞれの定義について伺います。
2 大学通りの自転車レーンには縁石やフラワーポットが特別に設置されていますが、道路交通法上車道であることに変わりはなく、軽車両である自転車は左側通行です。一方、自転車道について、これまでは通行方法は双方向も可とされていましたが、今回のガイドラインの改定で通行方法の基本が明記されたと聞いています。
 ガイドラインで明示された自転車道の通行方法の基本について、伺います。
3 また、通行方法には、双方向通行の適用についても示されており、既設の双方向通行の自転車道についても明記されています。双方向通行の適用条件がどのような条件か伺います。また、既設の双方向通行の自転車道について、どのように示されているか伺います。
4 道路交通法では、長さ190センチメートル、幅60センチメートルの自転車を「普通自転車」としており、道路構造令では自転車道の幅員は2.0メートル以上とされています。現在、電動アシスト自転車を利用する人が増え、「普通自転車」より幅のある自転車も増えており、追い越しをすると接触などの危険があります。
 「車道通行を基本とした暫定形態を考慮した整備形態選定フロー」によると、一方通行の自転車道の幅員はどのくらいとなっているのか伺います。また、双方向通行での幅員について、望ましいとされている幅員はどのくらいか伺います。
5 自転車レーンは左側一方通行は当然のことながら、自転車道についても一方通行を基本とすること、幅員についても配慮することが、ガイドラインに明記されました。安全性の確保のために重要と考えます。
 改定されたガイドラインを警視庁はどのように活用し、安全で快適な自転車利用環境に向けた対策を行っているのか伺います。

平成30年第三回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 性教育について
1 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、「学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要」と回答した校長は約46%である。学習指導要領に示されていない内容を、現場の教員の判断で柔軟に指導することができるようにすることが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 学校における性教育は、児童・生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、児童・生徒が性に関する正しい知識を身に付け、適切な行動を選択できるよう進めていく必要があります。
 そのため、全ての児童・生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、生徒や地域等の実態を踏まえ、学習指導要領に示されていない内容を指導する場合は、保護者の理解を得ながら、校長のリーダーシップの下、学校として組織的・計画的に個別やグループ等での対応を行うことも必要であると考えています。

質問事項
一の2 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、中学校学習指導要領に示されていない内容の授業での指導について、主な内容として「避妊法」「人工妊娠中絶」「コンドームの利用」「性交」「望まない妊娠」があげられている。中学校において、これらの内容を指導している理由とそれに対する都教育委員会の見解を伺う。

回答
 平成30年8月、中学校を対象に性教育の実施状況を調査したところ、中学校学習指導要領に示されていない内容を授業で指導している理由について「情報化社会の進展により、様々な情報が氾濫している状況で、情報を選択するための正しい知識を身に付けさせることが必要なため」「性感染症を教える中で、知っておいた方がよいため」「命の大切さを知り、望まない妊娠をさせないため」といった回答がありました。
 各学校において、社会状況の変化を踏まえた今日的な課題に対応するために、学習指導要領に示されていない内容を指導する場合は、保護者の理解を得ながら個別やグループ等での対応を行うことも必要であると考えています。

質問事項
一の3 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、「保護者は家庭において子どもに対して性に関する指導を行っている」と回答した校長は、約15%であった。調査結果から、学校での性教育が重要であると考えるが、都教育委員会の見解を伺う。

回答
 性教育は、児童・生徒の人格の完成を目指す人間教育の一環であり、学校においては、全ての児童・生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、生徒や地域等の実態を踏まえ、学習指導要領に示されていない内容を指導する場合は、保護者の理解を得ながら個別やグループ等での対応を行うことも必要であると考えています。

質問事項
一の4 性教育(中学校)の実施状況調査結果によると、「性に関する授業は、医師等の外部講師を活用することが効果的である」と回答した校長は約89%である。これまで、都教育委員会においては、都立学校を対象とした専門医派遣事業を実施しているが、産婦人科医による都立学校への派遣事業に関する実施内容と2016、2017、2018年度の実績について伺う。

回答
 都教育委員会では、生徒が抱える性に関する様々な問題に対応するため、都立高等学校・中学校・中等教育学校を対象に産婦人科医を派遣する、専門医派遣事業を実施しています。派遣した産婦人科医は、具体的事例に対する担任教諭や養護教諭への助言や、生徒、保護者向けの講演会などを行い、学校保健活動を支援しています。
 都立高等学校・中等教育学校(後期課程)に対する産婦人科医派遣の実績は、次のとおりです。
平成28年度 平成29年度 平成30年度
(見込み)
実施校数 27 30 35
協力医の実人数 16 16 18
派遣回数 45 52 60

質問事項
一の5 都においても、高校だけでなく、都内中学校に、現場である学校の教員と協力・連携しながら、医師等の外部講師を活用した性教育を進めていく必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、平成30年度新たに、産婦人科医を外部講師として活用したモデル授業を都内公立中学校において実施しており、今後、その成果を現在改訂している「性教育の手引」に示すことにより、都内全公立学校における性教育が適切に推進されるよう支援していきます。

質問事項
一の6 性教育の手引の改訂にあたっては、産婦人科医や妊娠相談、性暴力被害支援、若者やSOGIの支援団体など、さまざまな専門家、関連機関・団体等から意見を聞き、妊娠と避妊、性感染症、セクシュアリティなどについて取り扱う必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、平成29年度から、「性教育の手引」の改訂に当たって「性教育の手引」作成委員会を設置しており、公立学校長、保健体育科や養護教諭等の学校の代表者のほかに、学識経験者、医師等の外部有識者を委員に委嘱しています。
 さらに、平成30年度からは、小・中・高等学校及び特別支援学校の保護者の代表者を委員に加え、今日的な課題も含め、様々な立場から多角的に意見交換を行っています。

質問事項
二 森林保全とバイオマスについて
1 これまで、多摩川上流水再生センターの汚泥焼却炉の補助燃料として年間約1300トンから1500トンの木材チップを使ってきた。チップ化した大半がこの水再生センターで使われている。ところが、焼却炉の更新に伴って、チップがほとんど不要となるということである。チップ化事業を今後どうしていくのか伺う。

回答
 都では、花粉発生源対策で発生する、曲がりや傷があり建築材等に利用することが困難な低質材について、製紙原料としての原木販売や、チップ化し多摩川上流水再生センターの汚泥焼却炉等で焼却時の補助燃料とするなど、様々な手法で有効活用してきました。
 今後、同センターにおいて、補助燃料を必要としない効率の良い焼却炉が新たに稼働することを踏まえ、低質材の有効活用の方策について検討を行っています。

質問事項
二の2 森林環境税の徴収は2024年度からであるが、森林環境譲与税が来年度から各自治体に配分される。森林保全を目的とした税であるから、目的に沿った使い方がされる必要がある。都と都内の区市町村に配分される金額および使い道のルールについて伺う。
  また、区市町村が多摩産材やチップの活用など、都内の木材利用に資するように使うため、どのような支援を行っていくのか伺う。

回答
 平成31年度に交付予定の森林環境譲与税額(仮称)は、都の試算によると、都に対して約1億円、都内の区市町村に対して約6億円となります。
 また、平成29年12月に閣議決定された「平成30年度税制改正の大綱」では、税の使途について、都道府県は、森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用、区市町村は、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされています。
 都は、区市町村に対し、譲与税の使途についての説明会を実施するとともに、今後、区市町村における多摩産材等の木材利用の拡大を進めるための支援の充実などについて検討を行っていきます。

質問事項
二の3 森林経営管理法が施行されると、経営管理されていない森林について、森林所有者への支援や所有者が不明な森林についての対応など、域内に森林のある自治体の役割が非常に大きくなる。都内で影響を受ける自治体への支援をどのように行っていくのか伺う。

回答
 平成31年4月1日に施行される森林経営管理法では、「市町村は、責務として、その区域内に存する森林について、経営管理が円滑に行われるよう努めるもの」とされており、市町村が森林整備の重要な役割を担うこととなります。
 今後は、法に基づく森林経営管理システムを運用する市町村に対して専門的な助言、ノウハウの提供等を検討していきます。

質問事項
三 自転車走行空間の整備について
1 国土交通省道路局、警察庁交通局が改定した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」に記載されている、自転車道、自転車専用通行帯いわゆる自転車レーン、自転車専用道路それぞれの定義について伺う。

回答
 「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」において、自転車道は、「道路構造令第2条第1項第2号に規定される、専ら自転車の通行の用に供するために、縁石線又は柵その他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう。なお道路交通法上も、自転車道として扱われる。」と定義されています。
 また、自転車専用通行帯は、「道路交通法第20条第2項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において、普通自転車が通行しなければならない車両通行帯として指定された車両通行帯をいう。」と定義されています。
 さらに、自転車専用道路は、「道路法第48条の14第2項に規定される、専ら自転車の一般交通の用に供するために、独立して設けられる道路をいう。」と定義されています。

質問事項
三の2 ガイドラインで明示された自転車道の通行方法の基本について、伺う。

回答
 「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では、「自転車道は一方通行を基本とするものとする。」とされています。
 その理由としては、「自転車道については、普通自転車に当該自転車道を通行する義務があるため、一方通行規制を実施する場合は、目的地へ向かうのに遠回りになることで沿道施設への出入りが不便となり沿道の地域住民や自転車利用者等の理解が得られにくい場合はあるが、双方向通行の場合は、自動車と逆方向に通行する自転車の出会い頭事故の危険性、交差点内での自転車同士の交錯の危険性、単路部における快適性の確保などの課題がある。」とされています。

質問事項
三の3 また、通行方法には、双方向通行の適用についても示されており、既設の双方向通行の自転車道についても明記されている。双方向通行の適用条件がどのような条件か伺う。また、既設の双方向通行の自転車道について、どのように示されているか伺う。

回答
 「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では、双方向通行の適用条件について「自転車道は一方通行を基本とするが、下記〔1〕から〔4〕の全ての条件を満たす特別の場合に限り、暫定的に双方向通行を適用できるものとする。」とあり、その条件は、
 〔1〕 一定の区間長で連続性が確保されていること
 〔2〕 区間前後・内に双方向通行の自転車道が交差しないこと
 〔3〕 区間内の接続道路が限定的で自転車通行の連続性・安全性が確保できること
 〔4〕 ネットワーク区間概成段階で一方通行の規制をかけることができること
とされています。
 また、既設の双方向通行の自転車道についても、「可能な限り一方通行に変更を行うものとする。」とされています。

質問事項
三の4 「車道通行を基本とした暫定形態を考慮した整備形態選定フロー」によると、一方通行の自転車道の幅員はどのくらいとなっているのか伺う。また、双方向通行での幅員について、望ましいとされている幅員はどのくらいか伺う。

回答
 「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の「車道通行を基本とした暫定形態を考慮した整備形態選定フロー」においては、一方通行の自転車道の幅員は2.0メートル以上と記載されています。
 また、双方向通行の自転車道の幅員は、自転車相互のすれ違いの安全性を勘案し、2.0メートルよりも余裕をもった幅員構成とすることが望ましいと記載されています。

質問事項
三の5 改定されたガイドラインを警視庁はどのように活用し、安全で快適な自転車利用環境に向けた対策を行っているのか伺う。

回答
 警視庁では、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の趣旨を踏まえ、道路管理者と連携を図りながら、道路状況や交通状況に応じた自転車通行空間の整備を進めています。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 池川友一

質問事項
一 学校体育館等のエアコン設置について
二 「ブラック校則」について
三 「学力テスト」について
四 「カジノ型デイサービス」について
五 避難所について

一 学校体育館等のエアコン設置について
 第3回定例会での共産党都議団の代表質問に知事は「学校体育館についてでございますが、体育の授業や学校行事、部活動など、子供たちが安全に活動を行う場であるとともに、避難所としての役割も担っております。猛暑による熱中症への対策として、体育館に空調設備を整備する必要があると認識をいたしておりまして、今後、都立高等学校の体育館への整備を速やかに進めてまいります」と表明しました。これは、これまでの立場から大きく飛躍した重要な答弁です。
 そこでまず、都立高校の問題について伺います。
1 都立高校の体育館へのエアコン設置は、どのように取り組むのですか。既存の体育館、改築や改修中の体育館についてはどう対応するのですか。
2 期限を区切った取り組みが必要であり、そのための計画を速やかに策定すべきと考えますがいかがですか。
 都立高校は、公立小中学校と比較しても特別教室へのエアコン設置が遅れています。
3 都立高校の特別教室はいつまでに設置するのですか。少なくとも計画を策定し、期間を区切って設置する必要があると思いますがいかがですか。
 区市町村の特別教室のエアコン設置補助の根拠となっている「東京都公立学校施設冷房化支援特別事業実施要綱」は、今年度末までとなっています。
4 期間についてはいつまで延長するのですか。

二 「ブラック校則」について
 「ブラック校則」とは、一般社会から見れば明らかにおかしい校則や生徒心得、学校独自ルールなどの総称です。
 「朝日新聞」の調査では都立高校の6割で「地毛証明書」について、教育評論家の尾木直樹氏は「頭髪は身体の一部。黒髪直毛を強制するなんて人権侵害」と指摘しています。地毛証明書というのは、一般社会から見れば明らかにおかしいルールです。
 さらに、ある都立高校では、地毛にも関わらず「黒く染めてこい」という生徒指導が行われたという事実を私たちは伺いました。こうした指導は大問題ですが、学校一律に基準を決め、そこからはみ出すことを悪とする生徒指導は、生徒の自尊感情を傷つけます。
1 知事は、一般社会から見れば明らかにおかしい「ブラック校則」など子どもの人権が侵害されている現状についてどう考えますか。子どもの人権に配慮して常に校則を見直していく必要性についてどう認識していますか。
 校則など、自分たちに関わるルールを自分たちで決めていくことが主権者教育としても重要です。
 ある都立高校では、髪染めの禁止と制服の導入に対し、在校生の圧倒的多数が反対の意思を表明し、生徒総会では「生徒の学校生活に関わる重要な決定をする場合、在校生及び保護者に明確な説明なしに決定、公表、実施をしないことを求める」ことを決議しました。しかし、校長の決定だからと一方的に導入されました。
 子どもの権利条約第12条には「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」とあります。
2 校則の見直しについて、「学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じまして絶えず積極的に見直す必要がある」と文部科学大臣が答弁しています。東京都教育委員会も「絶えず積極的に見直す必要がある」という認識ですか。
3 校則などの見直しについて、「児童生徒や保護者が何らかの形で参加した上で決定するということが望ましい」と文部科学大臣が国会で答弁しています。子どもの意見表明権を保障する上でも、主権者教育を推進する上でも、児童生徒が参加して決定することが望ましいと考えますが、いかがですか。また、児童や生徒が決定に関わるためには何が必要だと考えますか。

三 「学力テスト」について
 「学力テスト」について、文部科学省は「全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)」(28文科初第197号)を出しています。
 この「通知」の中で「4月前後になると、例えば、調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ、本来実施すべき学習が十分に実施できないなどといった声が一部から寄せられるといった状況が生じています。仮に数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取扱いがあれば、それは本調査の趣旨・目的を損なうものであると考えております」と述べています。
 私のところにも、「事前対策として過去問題を30回やった」など、都内でも過度に過去問題をやっている実態が寄せられています。
1 東京都教育委員会は、こうした「調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ」など、国の「学力テスト」のための事前対策の実態を把握されていますか。
2 こうした事前対策は問題だとは思いませんか。
3 国の「学力テスト」のための行き過ぎた事前対策の実態が明らかになった場合、どう対応するのか伺います。
 学力の定着といいながら、悉皆調査で行われ点数の公表が行われるなど、国連子どもの権利委員会から「高度に競争的」と言われる「学力テスト」のあり方に大きな問題があります。
 しかも東京都の場合、国の調査に加え、東京都の調査、さらには、39区市町村(2017年度)が独自に「学力テスト」を実施しており、子どもと学校は「学力テスト」体制に汲々としています。
 福井県議会は、「学力テスト」による競争によって「『学力日本一』を維持することが本県全域において教育現場に無言のプレッシャーを与え、教員、生徒双方のストレスの要因となっていると考える」ことなどに言及し「義務教育課程においては、発達の段階に応じて、子どもたちが自ら学ぶ楽しさを知り、人生を生き抜いていくために必要な力を身につけることが目的であることを再確認し、過度の学力偏重は避けること」などを求める、「福井県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」を可決しました。
4 都独自の「学力テスト」のあり方が問われています。悉皆調査や結果の公表など、「学力偏重」の都の「学力テスト」の見直しが必要だと思いますが、いかがですか。

四 「カジノ型デイサービス」について
 昨今、介護事業者が様々なサービスを提供するようになっていますが、その一つに「カジノ型デイサービス」と呼ばれるものがあります。
 「カジノ型デイサービス」とは、麻雀、パチンコなど、風俗営業法に規定されている遊技を、デイサービス等介護保険サービスにおいて実施するものをさします。
 「カジノ型デイサービス」について厚生労働省老健局振興課課長は「プログラムをどのような計画で行っているのか、時間や頻度も含めその中身については、保険給付で提供されているサービスである以上、必ず問われる」と述べています。
 一方で、兵庫県や神戸市は、「カジノ型デイサービス」を実質的に規制しています。神戸市長は、適度な娯楽の活用は高齢者の心身の活性化に役立つとする一方、最近は遊技場かと思われるような事業所があり、適当とは考えられないサービスは「(介護)保険料の上昇や利用者の自己負担の増加につながる」と述べています。
1 都は「カジノ型デイサービス」についてどのように認識していますか。
2 東京都内ではどのくらいの数が存在しているのですか。
3 「規制」も含めて、そのあり方を検討する必要があると考えますがいかがですか。

五 避難所について
1 国際赤十字やNGO団体などが「人道憲章と人道対応に関する最低基準」、通称「スフィア基準」をまとめ、国際社会における人道対応の事実上の基準となっています。
 スフィア基準の考え方の根底には、被災者、避難者の命と健康を守るとともに、その尊厳を守ることの重要性があります。
 被災者、避難者の命と健康と同時に尊厳を守ることの重要性について、都の認識を伺います。
 スフィア基準では、具体的には、生命維持に必要な水の供給量、20人に1つのトイレ設置や女性用のトイレは男性用の3倍必要などの基準、避難所での一人当たりの必要最小面積3.5平方メートルなどが定められ、政府も避難所の運営ガイドラインに参考すべき基準として紹介しています。
 熊本地震では、災害関連死が200人を超え、地震での直接の被害者50人を大きく超える事態となりました。災害関連死の約半数は車中泊や避難所での生活を経られた方で、避難先での環境が要因として挙げられています。
 西日本豪雨災害でも、避難所の冷房設置や段ボールベッド、間仕切りの活用など、被災者の命と健康、尊厳を守る避難所の環境整備の重要性が示されました。
2 避難所で、床等にじかに寝るより、段ボールベッドを活用することにより、埃等の吸引による呼吸器疾患の防止、足腰の弱い高齢者も容易に立ち上がれ、トイレなどにも一人で行きやすくなり、エコノミークラス症候群の防止にもなります。また、収納スペースの確保にも役立ちます。
 避難所において、段ボールベッドの役割、重要性について都の認識を伺います。
3 避難所において、間仕切り等を活用し、プライベートスペースを生み出すことによって、ストレスの軽減や、プライバシーの確保などの効果があります。
 避難所においてのプライベート空間の創設の重要性について都の認識を伺います。
4 わが党の代表質問に対し都は「都は、近年の大規模災害における避難所の運営状況等を踏まえ、良好な生活環境が確保されるよう、東京都地域防災計画に基づき、災害想定を考慮した避難所の指定、女性や子供への配慮やトイレの確保等について記載いたしました避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しております。今後とも、区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、さまざまな知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかけてまいります。」と答弁しました。
 区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、さまざまな知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかける際、スフィア基準実現の立場で支援や援助を行うことが重要と考えますが、見解を伺います。
5 区市町村が避難所の快適性向上、被災者、避難者の命と健康、尊厳を守る立場で避難所の改善を行う際に、必要な財政的支援も検討すべきですがいかがですか。

平成30年第三回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 学校体育館等のエアコン設置について
1 都立高校の体育館へのエアコン設置は、どのように取り組むのか。既存の体育館、改築や改修中の体育館についてはどう対応するのか伺う。

回答
 都立高等学校の体育館への空調設備の整備に向け、現在、各校の電気容量等を調査しています。今後、調査の結果を踏まえ、空調設備の設置を速やかに進めていきます。
 なお、改築や大規模改修工事に既に着手している学校については、設計の変更や追加工事の実施により、可能な限り早期に空調設備が整備されるよう、対応していきます。

質問事項
一の2 期限を区切った取り組みが必要であり、そのための計画を速やかに策定すべきだと考えるが、見解を伺う。

回答
 都立高等学校の体育館への空調設備の整備に向け、現在、各校の電気容量等を調査しています。今後、調査の結果を踏まえ、空調設備の設置を速やかに進めていきます。

質問事項
一の3 都立高校の特別教室はいつまでに設置するのか伺う。少なくとも計画を策定し、期間を区切って設置する必要があると思うが見解を伺う。

回答
 都立高等学校の特別教室の冷房化に当たっては、学校と相談しながら、老朽化した既存空調設備の改修も併せて実施が可能か検討しています。
 その際、学校全体の空調設備の老朽化の度合いや、校舎全体の改修計画の有無などを総合的に判断し、改修工事を計画しています。
 現在、平成31年度の工事予定校まで決定していますが、平成32年度以降の工事予定校についても、順次計画していきます。

質問事項
一の4 期間についてはいつまで延長するのか伺う。

回答
 都は、平成26年度から、普通教室で代替できない特別教室に空調設備を整備する区市町村に対して補助を行う、「東京都公立学校施設冷房化支援特別事業」を実施しています。
 本事業は、緊急対策として特別教室への空調設備整備を進めることから、5年間の事業期間として実施しています。
 今後も、都内公立小中学校特別教室の空調設備整備が進むよう、期間を含め区市町村への支援策について検討していきます。

質問事項
二 「ブラック校則」について
1 知事は、一般社会から見れば明らかにおかしい「ブラック校則」など子どもの人権が侵害されている現状についてどう考えるか。子どもの人権に配慮して常に校則を見直していく必要性についてどう認識しているか伺う。

回答
 教育の場においては、未来を担う子供たち一人一人の人権を尊重し、健全育成を図っていくことが大切です。
 こうした視点に立ち、都立高等学校においては、生徒が社会的に自立できるよう生活習慣の確立に向け、生徒の実態に応じた校則を各校の判断で定め、基本的な生活習慣の確立を図っています。校則の見直しについては、生徒の実態や保護者の意向等を踏まえ、必要に応じて行うことが大切であると考えています。

質問事項
二の2 校則の見直しについて、「学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じまして絶えず積極的に見直す必要がある」と文部科学大臣が答弁している。東京都教育委員会も「絶えず積極的に見直す必要がある」という認識か伺う。

回答
 校則は、教育目標を達成するために、必要かつ合理的な範囲内で定めた、遵守すべき学習上・生活指導上の規律であり、生徒が学校生活を送る上で重要な役割を果たしています。校則の見直しについては、生徒の実態や保護者の意向等を踏まえ、必要に応じて行うことが大切であると考えています。

質問事項
二の3 校則などの見直しについて、子どもの意見表明権を保障する上でも、主権者教育を推進する上でも、児童生徒が参加して決定することが望ましいと考えるが、見解を伺う。また、児童や生徒が決定に関わるためには何が必要だと考えるか伺う。

回答
 生徒が校則を主体的に守ることができるようにするためには、内面的な自覚を促し、校則を自分のものとして捉える態度を養うことが重要です。
 そうした態度を育成するためには、生徒会やホームルーム活動等を通じて校則について話し合う活動等を設けるなどして、社会規範を遵守する意識を醸成することが大切であると考えています。

質問事項
三 「学力テスト」について
1 東京都教育委員会は、こうした「調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ」など、国の「学力テスト」のための事前対策の実態を把握しているか伺う。

回答
 都教育委員会は、文部科学省の平成28年4月28日付「全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)」を受け、同年5月10日、区市町村教育委員会に向け、同調査の趣旨・目的に沿って実施がなされるよう周知しています。
 なお、国の「学力調査」のための事前対策を行っているという事実は、把握していません。

質問事項
三の2 こうした事前対策は問題だとは思わないか、伺う。

回答
 文部科学省の平成28年4月28日付「全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)」には、数値データの上昇のみを目的としているととられかねないような行き過ぎた事前の取組があれば、それは同調査の趣旨・目的を損なうものであるとの考えが記載されており、都教育委員会も同様に認識しています。

質問事項
三の3 国の「学力テスト」のための行き過ぎた事前対策の実態が明らかになった場合、どう対応するのか伺う。

回答
 「全国学力・学習状況調査」の実施に際して、数値データの上昇のみを目的としているととられかねないような行き過ぎた事前対策の実態が明らかになった場合、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、所管の各学校において、同調査の趣旨・目的に沿って適切な実施がなされるよう、指導を行います。

質問事項
三の4 都独自の「学力テスト」のあり方が問われている。悉皆調査や結果の公表など、「学力偏重」の都の「学力テスト」の見直しが必要だと思うが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、学識経験者や、区市町村教育委員会、小中学校長会、小中学校のPTAなどの代表者からなる「学力向上施策検討委員会」を平成22年度に設置し、「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の在り方について、毎年、検討を行っています。

質問事項
四 「カジノ型デイサービス」について
1 都は「カジノ型デイサービス」についてどのように認識しているか伺う。

回答
 介護保険制度における「デイサービス」とは、「通所介護(地域密着型を含む。以下同じ。)」として取り扱われています。
 通所介護は、介護保険法に基づき、入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話並びに機能訓練を行うサービスであり、各事業所は、様々なサービスを介護保険サービスとして提供していると認識しています。
 なお、御質問のいわゆる「カジノ型デイサービス」については、介護保険法等に規定がなく、特定することができません。

質問事項
四の2 東京都内ではどのくらいの数が存在しているか伺う。

回答
 介護保険制度における「デイサービス」とは、「通所介護(地域密着型を含む。)」として取り扱われています。
 御質問のいわゆる「カジノ型デイサービス」については、介護保険法等に規定がなく、特定することができません。

質問事項
四の3 「規制」も含めて、そのあり方を検討する必要があると考えるが見解を伺う。

回答
 通所介護等の介護保険サービスの利用に当たっては、ケアマネジャーが、利用者の置かれている状況や生活上の支障・希望などの情報を収集し、心身機能の低下の背景・要因の分析を行い、解決すべき生活課題等を把握した上で、目標とその達成時期等を盛り込んだケアプランを作成します。
 通所介護事業所は、ケアマネジャーが作成したケアプランに沿って、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえながら、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成し、計画的にサービスを提供しなければならないとされています。
 また、保険者である区市町村は、ケアプランの内容が利用者の自立支援に役立つものとなっているか点検を行うなど、介護給付の適正化に努めています。
 このように、介護保険制度においては、利用者が適切にサービスを受けられるよう、様々な措置が講じられています。

質問事項
五 避難所について
1 スフィア基準の考え方の根底には、被災者、避難者の命と健康を守るとともに、その尊厳を守ることの重要性がある。被災者、避難者の命と健康と同時に尊厳を守ることの重要性について、都の認識を伺う。

回答
 避難所において、避難者一人一人の尊厳、健康を守り、安全・安心を確保することは重要であると認識しており、都は、良好な生活環境が確保されるよう、避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しています。

質問事項
五の2 避難所において、段ボールベッドの役割、重要性について都の認識を伺う。

回答
 避難所における良好な生活環境を整備するとともに、避難者の健康を維持するため、寝床について、エアマットや段ボールベッド等を導入することは重要であると認識しており、平成30年3月に改定した避難所管理運営の指針で、区市町村が検討する事項として、段ボールベッド等の設置について記載しています。

質問事項
五の3 避難所において、間仕切り等を活用し、プライベートスペースを生み出すことによって、ストレスの軽減や、プライバシーの確保などの効果がある。避難所においてのプライベート空間の創設の重要性について都の認識を伺う。

回答
 避難所における良好な生活環境を整備するため、間仕切り用パーティションを活用するなど、プライベート空間を可能な限り確保することは重要であると認識しており、平成30年3月に改定した避難所管理運営の指針で、間仕切りの設置について記載しています。

質問事項
五の4 区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、さまざまな知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかける際、スフィア基準実現の立場で支援や援助を行うことが重要と考えるが、見解を伺う。

回答
 御質問の国際基準は、紛争や災害の際の避難所の環境に関する最低基準として、国際赤十字等がまとめたものです。
 都は、近年の大規模災害における避難所の運営状況等を踏まえ、良好な生活環境が確保されるよう、東京都地域防災計画に基づき、災害想定を考慮した避難所の指定、女性や子供への配慮やトイレの確保等について記載した避難所管理運営の指針を、区市町村向けに作成しています。
 今後とも、区市町村が地域の特性や実情に応じて、避難所を運営できるよう、様々な知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働き掛けていきます。

質問事項
五の5 区市町村が避難所の快適性向上、被災者、避難者の命と健康、尊厳を守る立場で避難所の改善を行う際に、必要な財政的支援も検討すべきであるが見解を伺う。

回答
 都は、平成30年7月豪雨等の災害を踏まえ、防災事業の緊急総点検を行いました。
 この点検を踏まえ、冷房設備が未整備の指定避難所にスポットクーラーや大型扇風機を導入する区市町村に対して、平成30年10月から包括補助で支援を行っています。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた駿

質問事項
一 テクノロジーを活用した施策の推進について
二 障害者雇用状況(平成29年6月1日現在)の訂正について
三 放課後等デイサービスにおける報酬改定について
四 「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」について
五 豊洲市場と千客万来施設予定地の活用について

一 テクノロジーを活用した施策の推進について
 少子高齢化の進展と現役世代をはじめとする人口減少は、今後、行政部門における人材確保にも深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。また、行財政の健全化のためにも、限られた人的資源をより効率的・効果的に活用し、行政課題に迅速・的確に対応していくことが求められています。このためには、ICTやAIに代表されるようなテクノロジー活用をより一層推し進め、行政施策を効率化・合理化していくことが重要であり、「ライフ・ワーク・バランス」を実現していく上でも、そうした取組は必要不可欠であると考えます。そこで、テクノロジーを活用した施策の推進について、以下の二点についてお伺いいたします。
1 国は、平成28年に「国の行政の業務改革に関する取組方針」において、行政におけるBPRの取組の推進を掲げ、東京都も都庁BPRの推進に向けた取組をはじめました。そして、このBPR推進の取組の一環として、東京都は、「RPAによる作業自動化の共同実証実験」を行うことを、本年9月5日に発表されました。RPA活用は最重要のテクノロジーとして取り組むべき施策と考えます。というのも、行政業務はいわゆる「単純作業」が多く含まれるのであり、ロボットを使って業務を効率化することは、先に述べましたように、人材確保の観点、行財政の観点、ライフ・ワーク・バランスの観点から非常に重要だからであります。一方で、RPAについては昨今、RPAのシステムを障害者に学習させ、障害者雇用と結びつける動きがあります。特に発達障害をお持ちの方の中には、その特性として、IT分野におけるパターン認識、記憶、数値理解といった高い潜在能力があることがわかっており、RPAのシナリオ設計に能力を発揮することが認められています。障害者雇用の難しさや雇用率が問題化される昨今、こうした点も視野に入れて「RPAによる作業自動化の共同実証実験」などの検証を進めるべきではないかと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
2 昨年度より、「都民による事業提案」が行われ、その際、ネット投票も行われました。本年度もネット投票が実施される予定とのことです。一方で、昨年度の本件に関するネット投票は、住所を入力すれば自己申告で投票ができるシステムで、正確性やセキュリティにまったく欠けているものでした。つくば市ではブロックチェーン技術を導入したネット投票システムを実証実験しております。ブロックチェーンでは、一度書き込まれた情報は理論上変更することができないため、情報の改ざんなどの不正を回避することができ、将来的にこの技術を用いれば公文書管理など他の行政用途にも活用することも可能になります。東京都でもつくば市のようにブロックチェーン技術を「都民による事業提案」におけるネット投票の際に導入すべきと考えますが、行政におけるブロックチェーン技術導入の将来的な展開があるのかも含めて、都の見解をお伺いいたします。

二 障害者雇用状況(平成29年6月1日現在)の訂正について
 東京都水道局は、本年10月1日に、障害者雇用状況の訂正を発表されました。国の33行政機関のうち20台後半に上る機関で障害者数の不適切な算入が行われていたことが報じられ、障害者雇用の水増しが問題となっている渦中に、東京都においてもこのような訂正があったことに驚きを禁じえません。結果として、法定雇用率は守られていたとのことですが、障害者雇用について行政全体への不信が増したことはたしかであります。こうしたことが二度と起こらずに障害者雇用が推進されることが必要であると考えます。そこで、以下の四点についてお伺いいたします。
1 水道局の重度身体障害者の実際の数の推移について、過去五年にさかのぼってお伺いいたします。
2 今回、重度身体障害者若しくは重度知的障害者ではない一部の障害者の程度を重度であると誤認していた原因ならびに誤認発覚の具体的経緯について、お伺いいたします。
3 今回、水道局の誤認が確認されたことで、上述した昨今の状況をふまえれば、他局においても誤認があるのではないか、と考えるのが自然です。今回の発覚をふまえて、他の局において再確認が行われたのか、あるいはその予定があるか、都の見解をお伺いいたします。
4 昨今の状況をふまえれば、行政の障害者雇用についても、民間と同様に第三者機関によるチェックが必要と考えます。東京都における第三者機関のチェックの導入の可否について、都の所見をお伺いいたします。

三 放課後等デイサービスにおける報酬改定について
 本年4月から、厚労省の決定により放課後等デイサービスの報酬改定が行われました。しかしながらこの報酬改定は、実態に即しておらず事業所運営が苦しくなったとの声が現場から相次いでおり、現在は区市町村に実態の見直しを行うよう、厚労省が通知を出して促している状態です。私の元にもこの報酬改定により困難に直面している事業者から様々な声が届いており、広域自治体である都も課題解決のために乗り出すべきと考えます。そこで、以下の四点についてお伺いいたします。
1 今回の報酬改定では、指標に該当する児童の数によって区分が変わり、事業所に対する報酬が変化することになっています。しかしながら児童の区分が実態に即して行われておらず、4月以降は区市町村でも見直しが進んでいます。4月から6月に見直しが行われた事業所において、基本報酬区分の適用が東京都では8月から行われましたが、一方で7月から基本報酬区分の適用を実施した道府県もあると仄聞しています。なぜこの違いが生まれてしまったのか、都が8月適用になった理由について確認のためお伺いいたします。
2 児童の区分については、区市町村の判定が不適切ではないかとの意見があります。障害児のある行動のできる・できないを判断するときに、少しでもできれば「部分的にできる」という区分になるようですが、「常にできる」ことでなければ事業所では介助が必要となり、人員や対応が必要になります。「部分的にできる」と判断されて事業所の区分が変わってしまえば、十分な人員を確保するための財源が不足することも考えられます。この判定基準について、都はどのように区市町村に指導・指示をしているのか、所見をお伺いいたします。
3 都は報酬改定後の実態について、区市町村に対してアンケートを取っていると聞いています。このアンケートは何を目的として行われたものなのか、またアンケート実施後にどのように活用し、都はどのようなアクションを起こしていくのか、見解を伺います。
4 報酬改定などの大きな動きがあった際、都は事業者向けの説明会を開催していますが、説明会が特別支援学校の長期休みに開催されることについて、負担が大きいとの声があります。放課後等デイサービスの事業特性に鑑み、説明会などは特別支援学校の長期休みを避けて行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

四 「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」について
 平成30年第三回定例会では、いわゆる「人権条例」と言われる「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が提出され、様々な議論が行われました。すでにこの文書質問の答えが返ってくるときには、すでにこの条例は成立している可能性が高いわけでありますが、条例に関わる様々な懸念点を確認するために、以下の八点についてお伺いいたします。
1 本条例では、性的指向について「自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向のことをいう」と定義していますが、性的指向は決して性別だけに依存するものではなく、対象物や年齢などその指向は様々です。なぜ今回のこの条例では、その範囲を「性別」の指向のみに限定したのでしょうか。条例の趣旨である多様な性の理解の推進を目的に照らせば、性別のみならず全てを性的指向の対象とするべきではないかと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
2 今回の条例の趣旨である“多様な性の理解の推進”、“いかなる人の人権尊重”に照らせば、仮にその性的指向が実在しない人物であっても、その個人の性的指向は最大限尊重され、いかなる差別も受けないよう、都は責務を果たすべきだとする意見もありますが、都の所見をお伺いいたします。
3 本条例の第六条は「都民は、この条例に基づき実施する差別解消の取り組みの推進に努力するよう努めるものとする」とし、個人にも差別禁止の努力義務を設けています。これは概要案が発表された際には、含まれていなかった内容でした。本件については、当事者自身や関係団体から、個人の努力義務とすることを明確に求める声があったのでしょうか。パブリックコメントなどに準拠しているのであれば、その中で明確に個人の努力義務とすべきとした件数も含めて都の所見をお伺いいたします。
4 第七条の「事業者の責務」において、「事業活動に関し」という制限が設けられておりますが、事業者は従業員に対する責務も負うものでしょうか。また、本来の「事業」の外である臨時の慈善活動などにおいては、この責務の対象外となるでしょうか。都の見解をお聞かせください。
5 第九条ではヘイトスピーチの対象となる表現活動について定義をしていますが、この中には「小説やマンガ、ゲーム等による表現」「インターネット上で発表するSNSやブログ」などが含まれるのか、都の見解を伺います。
6 第十一条では公の施設の利用制限について定めています。「不当な差別的言動」とは国会で成立したいわゆる「ヘイトスピーチ禁止法」によると、「公然と本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動を言う」とあります。ここで重要なのは公然と行うという点です。閉じられた会議室で身内だけの集まりであれば、「公然と」という要件は満たさないため、どのような会合であってもこの条文をもとに利用制限を行うことはできないと取れますが、都の見解をお伺いいたします。
7 第十二条では拡散防止の措置について定めています。その対象範囲について、これは海外在住の外国人を含むすべての人が、インターネット上で行う行為もその対象になるのでしょうか。また、拡散防止の措置には、十一条に当たる会議室等の事前の利用制限、表現物の販売の禁止、インターネット上での発表の禁止などを含むのでしょうか。都の所見をお伺いいたします。
8 第十八条では表現の自由などに十分な配慮をすることが定められています。本条例案が憲法に抵触する可能性については多くの有識者が指摘するところであり、この内容が条例案に入ったことは重要です。しかしながらこの第十八条は第三章の中の一つとなっており、第二章の内容にかかるものではないと理解できます。第二章の内容は強制力を持つ措置が規定されていないとはいえ、表現の自由に対する懸念は大きく、この第十八条は条例全体に適用して運用し、必要があれば改定すべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。

五 豊洲市場と千客万来施設予定地の活用について
 豊洲市場がいよいよ10月11日に開場される運びとなりました。開場後しばらくは大小の混乱が避けられないものと思いますが、現場対応を着実に行う一方、中長期的な計画を進めていくことも重要です。そこで、以下の四点についてお伺いいたします。
1 小池知事は2017年6月に発表された「基本方針」の中で、豊洲市場は総合物流センターにするとされており、その基本方針はまだ維持されていると理解しています。今後、この豊洲市場を総合物流センターとすることや、赤字解消に向けた経営プランを策定することは、どのような会議体で、どのように検討されていくのでしょうか。関係局長会議は、豊洲市場開場後も行われるのでしょうか。都の所見をお伺いいたします。
2 2020東京大会後に着工することで合意した千客万来施設ですが、いまだにその全容や暫定事業の財源については明確な発表がありません。暫定事業にかかる費用は一般会計・市場会計のどちらから支出されるのかお伺いたします。
3 千客万来予定地については、暫定事業を行うためのインフラ整備は行われないと聞いています。インフラがないと暫定事業の内容に制限がかかり、また千客万来施設への移行もスムーズに行えないとの指摘もあります。財源も決まっていない中で、インフラの有無だけが先行して決まることに違和感を持ちますが、都の所見をお伺いいたします。
4 千客万来予定地周辺において、直近のニーズとして確実に求められているのはランピット(ジョギングする人たちが使う施設)です。先ごろ豊洲市場の周囲に開場した区立の「豊洲ぐるり公園」は信号なしで約5キロのジョギングコースを走れるとあって、ランナーたちから絶大な支持を集めています。一方で、皇居周辺のようにランナーが使うランピットが充実しておらず、整備を求める声が多くあります。仮に暫定事業として、千客万来予定地の一部にランピット(更衣室・シャワー等)を設置すれば、催事ではなく定期的な利用者が見込まれる施設になります。また大型駐車場等を整備すれば、日本に訪れた外国人に対して「ランニングツアー」を企画し、インバウンドにつなげることすら可能です。千客万来予定地には、こうした視点での事業も検討すべきと考えますが、見解を伺います。

平成30年第三回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 テクノロジーを活用した施策の推進について
1 障害者雇用の難しさや雇用率が問題化される昨今、こうした点も視野に入れて「RPAによる作業自動化の共同実証実験」などの検証を進めるべきではないかと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 今回、都において実施する実証実験は、RPAの活用効果や課題の洗い出しを行うため、都庁の職場をフィールドとして、民間事業者と共同で実施するものです。
 都に先行してRPAの実証実験を行った自治体では、業務を理解した職員が、シナリオの作成能力を身に付ける必要性について報告されており、都においても共通の課題と認識し、協力事業者の提案に基づき、実験を進めていきます。
 RPAの導入に当たっては、まず、業務に精通した職員の中で、RPAを扱える人材を増やしていくことが必要と考えます。
 RPAのシナリオ作りなどと障害者雇用を結び付けるなど新たな動きについては、その動向を注視していきます。

質問事項
一の2 都でもつくば市のようにブロックチェーン技術を「都民による事業提案」におけるネット投票の際に導入すべきと考えるが、行政におけるブロックチェーン技術導入の将来的な展開があるのかも含めて、都の見解を伺う。

回答
 つくば市の実証実験においては、投票者の本人確認の厳格化という点を重視していることから、マイナンバーカードの提示を求め、ブロックチェーン技術を導入しているものと認識しています。
 「都民による事業提案制度」は、都民の幅広い意見を政策へ反映させることを重視し、そのための手法として投票制度を採用しています。
 投票に当たっては、利便性を高めより多くの都民の皆様からの参加を促すため、インターネットを通じた投票システムを導入しています。あわせて、氏名、住所等の記載を必須とし、公平性及び公正性の確保に努めていることから、現時点において、ブロックチェーン技術を導入する予定はありません。
 都におけるブロックチェーン技術の導入については、国の実証事業の状況を注視するとともに、適用可能な分野について研究を進めるなど、引き続き検討していきます。

質問事項
二 障害者雇用状況(平成29年6月1日現在)の訂正について
1 水道局の重度身体障害者の実際の数の推移について、過去五年にさかのぼって伺う。

回答
 障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)に基づく、障害者雇用状況の報告に当たっては、必要な情報について、個人情報保護法をはじめとする法令等に十分留意しながら、適正な取得、利用等を行うことが求められています。したがって、本人の同意なく、厚生労働大臣への報告以外の目的で用いることは禁じられています。
 これを受けて水道局では、職員に対して、利用目的が法に基づく障害者雇用状況の報告であることを明示するとともに、それ以外の目的に用いることは一切ないと伝えています。
 地方自治体の機関から報告された障害者雇用状況は、国が集計し、(1)法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数、(2)障害者の数、(3)実雇用率、(4)不足数をそれぞれの機関ごとに公表しています。これらの項目以外の事柄を明らかにすることは、法令に抵触するおそれがあることから、御質問の重度身体障害者の実際の数についての回答は差し控えさせていただきます。

質問事項
二の2 今回、重度身体障害者若しくは重度知的障害者ではない一部の障害者の程度を重度であると誤認していた原因ならびに誤認発覚の具体的経緯について、伺う。

回答
 障害者雇用促進法及び同法施行令に基づき、障害者雇用状況の報告に当たり、障害者の数は、重度身体障害者及び重度知的障害者については、1名につき2名に相当するものとみなすことになっています。この範囲は、身体障害者については、程度等級が1級又は2級に該当する方、知的障害者については、療育手帳で障害の程度が重度に該当する方等と規定されています。
 平成29年の雇用率を算定した際、このような制度上の理解が不十分であったため、重度障害者の適用範囲を誤認し、該当しない一部の障害者を重度障害者として換算していました。
 平成30年8月31日付けで、国から全国の地方自治体等に対して行われた、障害者雇用状況に関する再点検の依頼を受け、障害者の把握及び職員・障害者の数の計上等について誤りがないか再点検したところ、平成29年に限り、重度障害者の算定上の取扱いについて誤りがあったことが判明しました。

質問事項
二の3 今回、水道局の誤認が確認されたことで、上述した昨今の状況をふまえれば、他局においても誤認があるのではないか、と考えるのが自然である。今回の発覚をふまえて、他の局において再確認が行われたのか、あるいはその予定があるか、都の見解を伺う。

回答
 障害者雇用率については、法令に従い、任命権者ごとに毎年度算定して、国に報告を行っています。
 平成30年8月末には、国から全国の地方自治体等に対して障害者雇用率等の再点検依頼があり、水道局の雇用率等の算定誤りは当該再点検中に判明したものです。
 知事部局を含むその他の任命権者については、再点検の結果、雇用率等を適切に算定していることを確認しています。

質問事項
二の4 昨今の状況をふまえれば、行政の障害者雇用についても、民間と同様に第三者機関によるチェックが必要と考える。都における第三者機関のチェックの導入の可否について、都の所見を伺う。

回答
 平成30年10月1日に発表した水道局の障害者雇用状況の訂正は、雇用率の算定方法を誤ったことによるものであり、法令上の制度理解が不十分だったことが原因であると認識しています。
 今後、こうした誤りを防ぐため、知事部局の各局に対して注意喚起を図っていくことに加え、公営企業等の他の任命権者に対しても、法令等の制度理解の徹底を図っていきます。
 また、都においては、昭和56年度から障害者を対象とした採用選考を実施しており、平成29年度からは精神障害者や知的障害者も対象とするなど、門戸を拡大してきました。今後も、引き続き都における障害者雇用の促進に努めていきます。

質問事項
三 放課後等デイサービスにおける報酬改定について
1 今回の報酬改定では、4月から6月に見直しが行われた事業所において、基本報酬区分の適用が都では8月から行われたが、一方で7月から基本報酬区分の適用を実施した道府県もあると仄聞している。なぜこの違いが生まれてしまったのか、都が8月適用になった理由について確認のため伺う。

回答
 国は、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定において、これまで一律の単価設定だった放課後等デイサービスの基本報酬について、新たに障害児の状態像を勘案した指標による報酬区分を設定しました。
 平成30年3月の国通知では、当該年度末時点の事業所において、報酬区分導入当初の措置として、平成30年4月1日の在籍者数に占める指標該当児の割合により報酬区分を判定することとしており、また、導入後3か月経過後は、3か月間の障害児の延べ人数により算出することとされました。
 平成30年6月には、国から改めて通知があり、同年4月から6月において、同年3月の国通知に基づく導入当初の措置により設定した基本報酬区分等について、6月末時点の事業所の届出内容に変更があり、7月中に届出を提出した場合には、8月から適用する取扱いとするとされたため、都は、国通知のとおり8月からの適用としました。

質問事項
三の2 児童の区分については、区市町村の判定が不適切ではないかとの意見がある。障害児のある行動のできる・できないの判定基準について、都はどのように区市町村に指導・指示をしているのか、所見を伺う。

回答
 障害児の状態像の指標による判定に関しては、区市町村が実施するものですが、平成30年4月1日までに、利用する全ての障害児に対する指標による判定を行うことは困難であるため、国の通知において、平成31年3月31日までは、行動援護の利用者である場合など、区市町村が認めた場合も指標の判定に準ずる状態として、指標対象児とみなすことができるとされています。
 事業所が国の報酬改定に基づき、平成30年4月以降3か月間の児童利用延べ人数による報酬区分の再申請を行う際に、区市町村が障害児の状態像の指標による再判定を行うかどうか、また、事業所にヒアリングを行うかどうかなども、事業の実施主体である区市町村の判断により行われるものとなっています。
 平成30年7月に、国は、同年5月に実施した報酬改定に係る事業所影響調査の結果等を踏まえ、放課後等デイサービスの運用改善に向けて区市町村において積極的に再判定を実施する対象者や、適切な判定のために留意すべき事項等を記載した通知を発出したため、都は、区市町村に対し、国の通知を周知しました。

質問事項
三の3 都は報酬改定後の実態について、区市町村に対してアンケートを取っていると聞いている。このアンケートは何を目的として行われたものなのか、またアンケート実施後にどのように活用し、都はどのようなアクションを起こしていくのか、見解を伺う。

回答
 御質問のアンケートは、国が、平成30年5月に、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う放課後等デイサービス事業所への影響について全国における状況を把握することを目的として、都道府県及び政令市に対して実施したものです。
 この調査では、都道府県の場合、都道府県に対する調査に回答するとともに、管内市町村の状況を取りまとめの上回答することとされており、都は、区市町村に対して、国の通知に基づいて適切に調査を実施し、その結果を国に提出しました。

質問事項
三の4 報酬改定などの大きな動きがあった際、都は説明会を開催しているが、特別支援学校の長期休みに開催されることについて、負担が大きいとの声がある。放課後等デイサービスの事業特性に鑑み、特別支援学校の長期休みを避けて行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 都では、国の報酬改定等があった場合の説明会については、改定の詳細が示される時期に合わせて実施しています。
 平成30年度の報酬改定の説明会は、報酬の請求に影響が出ないよう、事業者にできる限り速やかに正確な情報を伝える必要があることから、国の改定の詳細が示された後の平成30年3月末に実施しました。
 この説明会は、放課後等デイサービス事業所だけではなく、都内全ての障害児通所支援事業所と障害児入所施設を対象として実施しています。

質問事項
四 「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」について
1 なぜ今回のこの条例では性的指向の範囲を「性別」の指向のみに限定したのか。条例の趣旨である多様な性の理解の推進を目的に照らせば、性別のみならず全てを性的指向の対象とするべきではないかと考えるが、都の所見を伺う。

回答
 条例第3条では、性的指向を「自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向」と定義しています。
 条例第2章でいう多様な性の理解とは、自己の性別についての認識のことをいう性自認や、自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向のことをいう性的指向が、様々であることを理解することと考えています。

質問事項
四の2 今回の条例の趣旨に照らせば、仮にその性的指向が実在しない人物であっても、その個人の性的指向は最大限尊重され、いかなる差別も受けないよう、都は責務を果たすべきだとする意見もあるが、都の所見を伺う。

回答
 条例第2章でいう多様な性の理解とは、自己の性別についての認識のことをいう性自認や、自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向のことをいう性的指向が、様々であることを理解することと考えています。

質問事項
四の3 本条例の第六条については、当事者自身や関係団体から、個人の努力義務とすることを明確に求める声があったのか。パブリックコメントなどに準拠しているのであれば、その中で明確に個人の努力義務とすべきとした件数も含めて都の所見を伺う。

回答
 多様な性の理解の推進については、都、都民及び事業者が一体となった理解及び協力が必要であることから、都民の理解を進めるとともに、第6条にも規定しているとおり、都の取組に協力するよう努めることとしています。
 なお、パブリックコメントでは、明確に個人の努力義務とすることを求める意見はありませんでした。

質問事項
四の4 第七条の「事業者の責務」において、「事業活動に関し」という制限が設けられているが、事業者は従業員に対する責務も負うものか。また、本来の「事業」の外である臨時の慈善活動などにおいては、この責務の対象外となるか。都の見解を伺う。

回答
 多様な性の理解の推進については、都、都民及び事業者が一体となった理解及び協力が必要であることから、条例第7条では、事業者の責務として、「事業者は、その事業活動に関し、差別解消の取組を推進するとともに、都がこの条例に基づき実施する差別解消の取組の推進に協力するよう努めるものとする。」としています。事業者における従業員への対応はもとより、事業者が行う慈善活動についても、事業者が行う事業活動全般に含まれているものと考えます。

質問事項
四の5 第九条ではヘイトスピーチの対象となる表現活動について定義をしているが、この中には「小説やマンガ、ゲーム等による表現」「インターネット上で発表するSNSやブログ」などが含まれるのか、都の見解を伺う。

回答
 条例第9条第2号が対象としている表現活動は、集団行進及び集団示威運動並びにインターネットによる方法その他手段により行う表現行為をいいます。御指摘の事例についても、この要件に該当する場合は、第9条第2号の表現活動に当たります。

質問事項
四の6 第十一条では公の施設の利用制限について定めている。「不当な差別的言動」とは国会で成立したいわゆる「ヘイトスピーチ禁止法」によると、「公然と本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動を言う」とある。閉じられた会議室で身内だけの集まりであれば、「公然と」という要件は満たさないため、どのような会合であってもこの条文をもとに利用制限を行うことはできないと取れるが、都の見解を伺う。

回答
 本条例に規定する不当な差別的言動とは、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(以下「法」という。)第2条にいう不当な差別的言動と同義であり、対象となる言動がこれに該当しなければ、利用制限の対象とはなりません。
 御質問の状況は、会議室の状況、出席者その他要素を総合的に検討しても、法第2条の要件を満たさない場合であれば、不当な差別的言動に当たりません。

質問事項
四の7 第十二条では拡散防止の措置について定めている。その対象範囲について、これは海外在住の外国人を含むすべての人が、インターネット上で行う行為もその対象になるのか。また、拡散防止の措置には、十一条に当たる会議室等の事前の利用制限、表現物の販売の禁止、インターネット上での発表の禁止などを含むのか。都の所見を伺う。

回答
 条例第12条第1項第2号では、都の区域外で行われた表現活動は、都民等に関する表現活動、都民等に関する表現活動以外のものであって都の区域内で行われた表現活動に係る表現の内容を都の区域内に拡散するものを対象としており、当該表現活動が不当な差別的言動に該当する場合に同条の措置をとるものとしています。
 拡散防止措置については、既に行われた不当な差別的言動に係る表現の内容の拡散を防止するため、表現物の販売等を行わないよう働き掛けるなど必要な措置をとるものであり、表現物の販売等を直接禁止するものではありません。また、公の施設の利用制限については、第12条ではなく第11条に基づき行われるものです。

質問事項
四の8 第十八条では表現の自由などに十分な配慮をすることが定められている。第二章の内容は強制力を持つ措置が規定されていないとはいえ、表現の自由に対する懸念は大きく、この第十八条は条例全体に適用して運用し、必要があれば改定すべきと考えるが、都の所見を伺う。

回答
 第2章に規定する内容を含め、表現の自由その他の日本国憲法で保障する国民の自由と権利が保障されることは当然のことと考えており、条例前文でも憲法を遵守することについて言及しています。
 条例第18条は、第3章に規定する規制は、表現活動に対する規制となることから、特に慎重な扱いが必要であるとの認識の下、明示的に配慮規定を設けたものです。

質問事項
五 豊洲市場と千客万来施設予定地の活用について
1 今後、この豊洲市場を総合物流センターとすることや、赤字解消に向けた経営プランを策定することは、どのような会議体で、どのように検討されていくのか。関係局長会議は、豊洲市場開場後も行われるのか。都の所見を伺う。

回答
 基本方針で示された豊洲と築地の両方を活かすという大きな方向性に基づき、市場移転に関する関係局長会議において行政としての具体的な取組内容を整理し、着実に進めてきました。今後とも、豊洲市場に係る諸課題について、関係各局が連携して取り組んでいきます。

質問事項
五の2 2020東京大会後に着工することで合意した千客万来施設であるが、いまだにその全容や暫定事業の財源については明確な発表がない。暫定事業にかかる費用は一般会計・市場会計のどちらから支出されるのか伺う。

回答
 賑わい創出事業につきましては、豊洲市場開場後、千客万来施設の開業までの間、豊洲市場及び周辺エリアの賑わいづくりを目的としています。
 また、多くの来訪者があることに着目し、観光事業など都の事業を効果的に展開していくことも検討しています。
 こうした事業目的や事業の性質を勘案し、支出する会計につきましては、今後、財務局と調整していきます。

質問事項
五の3 千客万来予定地については、暫定事業を行うためのインフラ整備は行われないと聞いている。インフラがないと暫定事業の内容に制限がかかり、また千客万来施設への移行もスムーズに行えないとの指摘もある。財源も決まっていない中で、インフラの有無だけが先行して決まることに違和感を持つが、都の所見を伺う。

回答
 千客万来施設用地を活用した賑わい創出事業については、イベントや仮設施設を活用して段階的・重層的に展開していくこととしており、現在検討を進めています。
 インフラ整備は、こうした事業の内容等を踏まえて検討を行うものであることから、インフラの有無だけを先行して決めるものではないと考えます。

質問事項
五の4 仮に暫定事業として、千客万来予定地の一部にランピットを設置すれば、催事ではなく定期的な利用者が見込まれる施設になる。また大型駐車場等を整備すれば、日本に訪れた外国人に対して「ランニングツアー」を企画し、インバウンドにつなげることすら可能である。千客万来予定地には、こうした視点での事業も検討すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 5街区及び6街区の千客万来施設用地を活用した賑わい創出事業は、現在、具体的な内容等について民間の知恵を活用するとともに、地元の江東区の御意見も頂きながら検討を進めているところです。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 都における防災対策について
二 鉄道の混雑解消について
三 都民の死因について
四 家庭用品に含まれるVOCによる環境影響や健康影響について
五 ギャンブル依存症対策について
六 都の海外展開について

一 都における防災対策について
1 水害時における避難場所が都民に把握されていないことについて
 西日本豪雨災害に際し、岡山県倉敷市真備町の被災現場に足を運びました。都においてもその教訓を大いに生かさねばなりません。まず避難場所です。約50名が命を落とした真備町では屋根まで水没した建物が「緊急避難場所」として指定されていました。
 東京においても避難場所や避難所が指定されておりますが、震災を想定したものが多く水害の際に向かうべき避難場所や避難経路を把握している方は、都の調査でも17.7%と、ほとんど知られていないといっても過言ではない状態です。改善すべきですが所見を求めます。
2 水害時における避難場所・経路の把握不足に対する都の責任について
 水害時に都民ひとりひとりが、自分と家族の命を守る行動をとることができるように、一家に少なくとも1人は水害時の避難場所と安全な経路を把握している状態にすべきと考えます。
 都立学校では水害を想定した訓練実施率はわずか4割にとどまり、小中学校での実施状況においては都は把握すらしていません。多くの児童生徒が水害で命を落とした大川小学校訴訟では宮城県と石巻市に責任がある旨の判決がおりました。都としても、小中学校における水害を想定した避難訓練の実態調査を行い早急に改善すべきと考えますが所見を伺います。
3 東京消防庁と区市町村との連携による水防訓練について
 現在町会・自治会などで行っている防災訓練の際に、どのう作りや道路の雨水ますの点検、水害時の避難場所まで歩いてみるなど、機会を捉えて1人でも多くの都民が水害時に命を守る行動をとれることは重要です。そこで区市町村の役割は重要ではありますが、東京消防庁や都においてもその住民による防災避難訓練を推奨サポートすべきと考えます。しかし東京消防庁が把握している水害を想定した訓練実施率は全体の約0.1%に過ぎず、水災害を想定した訓練実態を把握できていません。また水害を想定した地域訓練のメニューもありません。災害時は救助にあたるのは東京消防庁であることから、今後は区市町村と連携し実態を把握し実践的な水防訓練の指導をしていくべきと思いますが所見を伺います。
4 都と区市町村との災害情報の共有連携について
 昨今、SNSの普及にともない、テレビやラジオだけでなく、区市町村が独自に展開しているツイッターやアプリケーションを用いて災害時の情報を発信しています。しかし現状は区市町村それぞれのホームページなどを確認してみると、おのおの情報伝達手段の確立・公表に大きく差が見受けられます。
 例えば千代田区や文京区などは、災害時の情報伝達手段に関するページをネット上にまとめているのに対し、新宿区や渋谷区などは、ネット上でハザードマップや災害情報を公開するに留まっている状況です。都は先日、防災情報のワンストップを掲げており、災害情報を一元的に見ることができるような取り組みを発表いたしましたが、区市町村との情報連携については触れられていませんでした。災害時における情報の重複や過不足は、市民を混同させる可能性も存在します。例えをあげるならば、防災アプリの連携等で、都と区市町村との間の情報共有が重要となってくるかと思われますが所見を伺います。
5 島嶼地域のホームページ上における防災情報の掲載について
 島嶼地域ではホームページが観光路線に限定されているものもあり、防災情報が全く見当たらないものもあります。規模としては無線や直接の伝達で事足りる可能性もあるため断言はしかねますが、今後津波などの被害にあう可能性も十分あり、また観光客が多く訪れる場所でもあります。今後は島嶼地域における防災情報の掲載は多言語対応も含め重要であると考えますが都の所見を伺います。
6 被害状況の把握について
 都内で地震が発生した場合、地域ごとに揺れを把握することは重要であると考ますが、都内には地震計は何箇所設置されているのか伺います。また都の防災システムと区市町村が所有する防災システムの連携や共有体制は重要と考えますが、所見を伺います。
7 避難所における環境整備について
 避難所にもなる学校の体育館への冷暖房設置についても、早期に都の支援策を打ち出すべきと考えるが所見を伺います。また避難所となる建物の屋根にソーラーパネルを設置するなど、再生可能エネルギーの活用を含め停電が長引いた場合も想定した自立電源確保など、いざというときに機能する、効果的効率的な取組みも強化すべきと考えますが、所見を伺います。

二 鉄道の混雑解消について
1 都営地下鉄では混雑緩和に向けて都は混雑状況の可視化に取り組んでいます。各地下鉄駅において7時から9時までの混雑状況をマス目状に明示するポスターを設けオフピークに乗車を都は呼びかけています。都では、通勤ラッシュ回避のためオフピーク乗車を促進する時差Bizを実施しているが、通勤時間帯をどのように変えることを推奨しているのか伺う。
2 また都営地下鉄が明示しているポスターではマス目も大きく差が判別しづらくまた時間帯もわずか2時間のみであるので改善すべきと考えますが所見を伺います。
3 都営地下鉄三田線では新型車両購入に向けて都議会において144億円の計上が報告されていますが、それは何両編成で何本分なのか伺います。また購入にあたり車内の快適性向上や混雑緩和に向けて十分配慮した設備や設計内容にすべきと考えますが所見を伺います。埼京線等で導入されているように車内での犯罪行為の撲滅に向けて防犯カメラの設置、さらには車内モニターの増設、低いつり手や転倒防止のための車内での支柱の新設、低めの荷物棚の設置、車いすや旅行ケースを置くためのスペースのさらなる充実を求めますが所見を伺います。

三 都民の死因について
 毎年、約11万人の都民が死亡しておりその死因を分析することは、都民の福祉向上につながるものと認識しています。そこで以下伺います。
1 都民の死因の上位10位やその数値、それら要因に対する都の予算がそれぞれいくらなのか、2017年、2016年、2013年、2008年について伺います。
2 ガンは2人に1人がかかると言われ多くの都民が命を落としています。ガンに対して都が行っている対策とその予算規模とその実効性および効果について伺います。

四 家庭用品に含まれるVOCによる環境影響や健康影響について
 VOCはPM2.5や光化学オキシダントといった大気汚染物質の原因となる物質で、環境への影響だけでなく、健康への影響が懸念されています。東京都のVOC年間排出量の16%が一般家庭やオフィスから排出されており、一般家庭でのVOC削減が喫緊の課題となっています。しかし多くの都民は家庭用品に含まれるVOCに関する情報に乏しく、VOCを含有する家庭製品をその認識がないまま使用している現状があります。
 一般家庭で使用されている柔軟剤、芳香剤や消臭・除菌スプレー製品には、噴射剤や香り成分などのVOCが含まれています。都民の中には、柔軟剤や芳香剤を使用することで、気分不快を生じたり、頭痛やめまい、吐き気、喘息などの体調不良に悩まされ、それら製品に関する相談や苦情が増えて来ています。その相談や苦情の多くは強い香りに関するものです。
 近年多く店頭に並ぶようになった「いい香りがずっと続く」柔軟剤や芳香剤には、「香りのマイクロカプセル」、すなわち、香りを長時間強く持続させるために香り成分を合成樹脂でつつんだカプセルが使用されており、その成分の一部もVOCでできています。最近は、公共の場において、周囲の人が発する香り成分が衣類や髪に移り付着し体調不良を引き起こす例も発生しています。
 そこで以下伺います。
1 一般家庭におけるVOC排出抑制に関する取組み
 東京都は今まで事業者に対してはVOC対策ガイド作成やアドバイザー派遣、グリーン購入、GP認定制度など、VOC削減の取り組みをしてきましたが、一般家庭においてVOC排出実態の把握や自主的にVOC排出抑制を促す取り組みはしてきたのか、また香り成分を含む家庭用品についてVOC排出抑制の取組みは行ってきたのか伺います。さらに今後は具体的な対策を強化すべきと考えますが所見を伺います。
2 一般家庭でのVOC製品による健康への影響に関する取り組み
 2018年7月に行われた環境局のセミナーでは「VOC製品の使用に伴うリスク」として健康への影響(大量に吸い込むことによる急性中毒、シックハウス症候群)を示していますが、実際に東京都は家庭で使用されるVOC製品による健康影響をどのくらい把握しており、その対策をどのように行っているのか伺います。また今後は具体的に対策強化に取り組むべきと考えますが所見を伺います。
3 一般家庭での柔軟剤や芳香剤による健康影響に関する相談や苦情に対する取り組み
 近年、柔軟剤など一般家庭におけるVOC製品使用による体調不良の相談や苦情が多数寄せられています。その多くは香りに関するものであり、消費者庁への相談件数も増加しています。都の各種窓口において該当の苦情相談件数の推移と内容を過去10か年伺います。
4 平成30年第1回定例会において、他会派の議員により都立学校における柔軟剤のにおいの問題を取り上げているが、東京都教育委員会の回答は「衣類の柔軟剤のにおいにより気分が悪くなること等については、医学的見地の状況を踏まえ、各学校において必要に応じて対応していくものと認識している」でありました。各学校だけでなく、多くの都民が香りによる体調不良の相談や苦情を寄せているにもかかわらず、「医学的見地の状況を踏まえ」、東京都がイニシアチブを取って具体的な対応を取らない理由はなぜか伺います。また今後は対応すべきと考えますが所見を伺います。
5 家庭用品に含まれるマイクロカプセルの環境影響に関する取り組み
 近年多用されるようになったマイクロカプセルもVOCを含み、PM2.5や光化学オキシダントの発生に寄与すると考えられます。家庭用品に含まれるマイクロカプセルからのVOC排出実態や大気環境への影響を都はどのように把握し対応しているのか伺います。

五 ギャンブル依存症対策について
1 ギャンブル依存症対策基本法が施行され都道府県の役割は増しています。そこで都はギャンブルをどのようにとらえ、またギャンブル依存症への認識および該当者数、またどのような依存症対策を行っているのか伺います。
2 パチンコにおける景品交換所がギャンブル性を高めている。ギャンブルとしてのパチンコに対する都の認識を伺います。

六 都の海外展開について
 都が激化する都市間競争を勝ち抜くためには海外とのルートや窓口などのパイプがまずは重要であることは言うまでもありません。そこで都所管の海外との窓口はどのようなものがあるのか、その実績も含めて伺います。
1 都内の中小企業が海外に進出する際に重要な機能を果たすのが東京都中小企業振興公社とその海外の拠点であります。各国を選んだ選定基準と海外の拠点における業務内容や機能さらには実績について伺います。あわせて、都内の外国法人数の推移について伺います。
2 海外から東京都へ進出するためアジアヘッドクォーター特区制度がありますが、その実績および企業誘致数の推移を伺います。

平成30年第三回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都における防災対策について
1 東京においても避難場所や避難所が指定されているが、震災を想定したものが多く水害の際に向かうべき避難場所や避難経路を把握している方は、都の調査でも17.7%と、ほとんど知られていないといっても過言ではない状態である。改善すべきだが所見を伺う。

回答
 水害発生時には、都民一人一人が、地域の水害リスクを理解した上で、正しく行動することが重要です。
 都はこれまで、様々な媒体を活用し、区市町村が選定する水害時の避難場所をあらかじめ確認するよう普及啓発を行い、平成30年度は、防災情報のワンストップ化を図り、ハザードマップをより簡単に入手できるようにしました。
 今回の防災事業の緊急総点検に基づき、今後は、個人が災害発生までの行動を時間軸に沿って整理するマイタイムラインを簡単に作成することができるツールを開発して広く提供するとともに、仮想現実機能を活用した新たな普及啓発を行うなど、都民の適切な避難行動に結びつく取組を推進していきます。

質問事項
一の2 多くの児童生徒が水害で命を落とした大川小学校訴訟では宮城県と石巻市に責任がある旨の判決がおりた。都としても、小中学校における水害を想定した避難訓練の実態調査を行い早急に改善すべきと考えるが所見を伺う。

回答
 平成24年3月、文部科学省は、東日本大震災で明らかになった教訓を踏まえ、地震や津波への具体的な対応を取りまとめた「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」を作成し、各学校に配布しました。都教育委員会は、こうした手引を基に各学校における危機管理マニュアルを作成するよう、区市町村教育委員会を指導しています。
 平成28年の台風第10号による豪雨災害において、社会福祉施設が浸水し、死亡者が生じたことなどから、平成29年6月19日に施行された水防法等の一部を改正する法律により、学校等における避難確保計画の策定と計画に基づく避難訓練の実施が義務付けられました。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、水害対策を含む防災に関する情報提供を適宜行い、各学校が児童・生徒の安全確保に努めるよう指導しています。
 なお、都教育委員会としては、区市町村教育委員会に対して多様な場面や状況を想定した避難訓練を実施するよう示していますが、水害を想定した避難訓練の実施状況については把握していません。

質問事項
一の3 災害時は救助にあたるのは東京消防庁であることから、今後は区市町村と連携し実態を把握し実践的な水防訓練の指導をしていくべきと思うが所見を伺う。

回答
 水防法に基づき区市町村長は水防管理者として水防を十分に果たすべき責任を有し、消防機関は水防管理者の所轄の下に行動することとなっています。
 東京消防庁では区市町村の求めに応じ、水防訓練等で地域住民に対して身近にあるものを活用した建物への浸水を防ぐ簡易的な水防工法などの指導を行っています。
 また、風水害に関する都民指導の場として本所防災館の暴風雨体験や都市型水害体験のコーナーに加え、平成30年4月から運用開始したVR防災体験車に水災疑似体験コンテンツを整備しているほか、ホームページ等で適宜、台風や大雨への備えについて広報を実施しています。
 今後とも区市町村と連携し実践的な水防訓練の指導を実施していきます。

質問事項
一の4 例えをあげるならば、防災アプリの連携等で、都と区市町村との間の情報共有が重要となってくるかと思われるが所見を伺う。

回答
 風水害をはじめとする災害時の情報収集及び情報発信に当たっては、被害を最小限に抑えるために、住民に直結した取組を行う区市町村と、広域的な立場から支援を行う都とが、相互に連携・協力して取り組むことが必要です。
 都は、これまでも災害情報システムを活用し、気象庁からの最新の気象情報を区市町村にも即座に伝達する仕組みを構築することで、情報の共有を図っています。
 また、東京都防災ツイッターで都民に情報発信し、適宜、区市町村が発信したツイッターの内容をリツイートするなど、様々な手段で提供しています。
 今後、東京都防災アプリと区市町村のアプリとの相互連携など、住民向けの情報発信の充実を検討していきます。

質問事項
一の5 今後は島嶼地域における防災情報の掲載は多言語対応も含め重要であると考えるが所見を伺う。

回答
 災害発生時に、多言語の情報提供を行い、外国人の安全・安心を確保することは重要です。これまでも、都は在住外国人に対する多言語での防災情報提供や防災知識の普及啓発、外国人旅行者向け観光ガイドへの防災情報の掲載など発災時に備えた外国人支援策を進めています。
 平成30年3月に取りまとめた「セーフ シティ東京防災プラン」においても、災害時に宿泊施設等の観光事業者が外国人観光客に対して適切な避難誘導ができるよう、「災害時初動対応マニュアル」の効果的な周知・活用を図ることとしています。
 島しょ地域においては、外国人を含めた来島者に対しても、多言語でのチラシの掲示等により、広く周知を図っています。
 また、東京都防災アプリや冊子「東京くらし防災」の多言語化を図るとともに、東京都防災ホームページの多言語化を更に進め、島しょ町村にも適切に情報提供するなど、都全体での様々な方策を今後とも進めていきます。

質問事項
一の6 都内には地震計は何箇所設置されているのか伺う。また都の防災システムと区市町村が所有する防災システムの連携や共有体制は重要と考えるが、所見を伺う。

回答
 都内には、地震計が113か所設置されています。
 都では災害時の情報収集・共有のための防災情報システム(DIS)を整備し、区市町村にも設置しています。これにより、都が収集した被害状況などの情報を区市町村でも共有できます。
 また、区市町村側で収集した情報は、都が設置したDISや、区市が所有する、DISと連携した独自の防災システムに入力することにより、都のDISで共有することができます。
 今後は、DISと連携していない独自の防災システムを所有する区市町村については、連絡会などを通じて、DISと共有できるように情報提供していきます。

質問事項
一の7 避難所にもなる学校の体育館への冷暖房設置についても、早期に都の支援策を打ち出すべきと考えるが所見を伺う。また避難所となる建物の屋根にソーラーパネルを設置するなど、再生可能エネルギーの活用を含め停電が長引いた場合も想定した自立電源確保など、いざというときに機能する、効果的効率的な取組みも強化すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 学校施設は、児童・生徒の学習や生活の場であるとともに、災害時には避難所としての役割も担っています。
 都教育委員会は、都立特別支援学校に加え、今後は、都立高等学校についても、体育館の空調設備の整備を速やかに進めていきます。
 公立小中学校の体育館についても、国や区市町村との役割を踏まえつつ、体育館への空調設備の整備が進むよう、区市町村を支援していきます。
 また、都は、災害発生時に区市町村が避難所を円滑に運営できるよう、災害想定を考慮した避難所の指定や、必要な物資の備蓄、電源や燃料の確保など、平時から取り組むべき事項等を記載した避難所管理運営の指針を作成しており、今後とも、様々な知見も踏まえながら、区市町村に対し、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働き掛けていきます。

質問事項
二 鉄道の混雑解消について
1 都では、通勤ラッシュ回避のためオフピーク乗車を促進する時差Bizを実施しているが、通勤時間帯をどのように変えることを推奨しているのか伺う。

回答
 鉄道の混雑緩和については、これまでも鉄道事業者により、新線の建設や車両の長編成化などの取組が実施されてきましたが、このようなハード対策に加え、働き方改革などのソフト対策とも連携することで、更に相乗効果が発揮されます。
 そのため、都は平成29年度から、広く民間企業とも連携し、オフピーク通勤を促進する時差Bizを進めています。
 通勤・通学目的での鉄道利用者の駅降車時刻のピークは午前8時台であり、時差Bizでは、その時間帯を避けて通勤していただくことで、鉄道の混雑緩和を図ることを目指しています。

質問事項
二の2 都営地下鉄が明示しているポスターではマス目も大きく差が判別しづらくまた時間帯もわずか2時間のみであるので改善すべきと考えるが所見を伺う。

回答
 都営地下鉄では、乗客量調査のデータに基づき各駅の朝のラッシュにおける時間帯別の混雑状況を見える化し、ポスターやホームページで公表することにより、お客様にオフピーク乗車への協力を呼び掛けています。
 今後もより多くのお客様に混雑状況を把握していただけるよう、表示する方法や時間帯について引き続き検討していきます。

質問事項
二の3 都営地下鉄三田線では新型車両購入に向けて都議会において144億円の計上が報告されているが、それは何両編成で何本分なのか伺う。また購入にあたり車内の快適性向上や混雑緩和に向けて十分配慮した設備や設計内容にすべきと考えるが所見を伺う。埼京線等で導入されているように車内での犯罪行為の撲滅に向けて防犯カメラの設置、さらには車内モニターの増設、低いつり手や転倒防止のための車内での支柱の新設、低めの荷物棚の設置、車いすや旅行ケースを置くためのスペースのさらなる充実を求めるが所見を伺う。

回答
 今回の三田線の新型車両導入に当たっては、混雑緩和を図るとともに、これまでと同様に、車内の安全性や快適性の向上を目指しています。
 具体的には、1編成8両の車両を13編成購入します。また、各車両に防犯カメラ、多言語にも対応した液晶モニター及び既存の車両に比べ低い荷棚を設置するとともに、低いつり手の採用や縦手すりの増設を行います。さらに、全ての車両に車いすスペース、又はベビーカーなどにも配慮したフリースペースを設置します。

質問事項
三 都民の死因について
1 都民の死因の上位10位やその数値、それら要因に対する都の予算がそれぞれいくらなのか、2017年、2016年、2013年、2008年について伺う。

回答
 人口動態統計における東京都の平成20年(2008年)、平成25年(2013年)、平成28年(2016年)、平成29年(2017年)の全死亡数、死亡原因の上位10位とそれぞれの死亡数及びその構成比は以下のとおりです。
平成20年
全死亡数 98,248人
1位 悪性新生物(がん) 31,327人 約31.9パーセント
2位 心疾患 15,334人 約15.6パーセント
3位 脳血管疾患 10,352人 約10.5パーセント
4位 肺炎 9,484人 約9.7パーセント
5位 老衰 2,782人 約2.8パーセント
6位 自殺 2,776人 約2.8パーセント
7位 不慮の事故 2,571人 約2.6パーセント
8位 肝疾患 1,725人 約1.8パーセント
9位 腎不全 1,650人 約1.7パーセント
10位 慢性閉塞性肺疾患 1,275人 約1.3パーセント
平成25年
全死亡数 110,507人
1位 悪性新生物(がん) 33,349人 約30.2パーセント
2位 心疾患 16,664人 約15.1パーセント
3位 肺炎 10,110人 約9.1パーセント
4位 脳血管疾患 9,690人 約8.8パーセント
5位 老衰 5,850人 約5.3パーセント
6位 不慮の事故 2,767人 約2.5パーセント
7位 自殺 2,620人 約2.4パーセント
8位 腎不全 1,908人 約1.7パーセント
9位 肝疾患 1,772人 約1.6パーセント
10位 大動脈瘤及び解離 1,685人 約1.5パーセント
平成28年
全死亡数 113,415人
1位 悪性新生物(がん) 34,017人 約30.0パーセント
2位 心疾患 16,992人 約15.0パーセント
3位 肺炎 9,981人 約8.8パーセント
4位 脳血管疾患 8,740人 約7.7パーセント
5位 老衰 7,811人 約6.9パーセント
6位 不慮の事故 2,507人 約2.2パーセント
7位 自殺 2,045人 約1.8パーセント
8位 大動脈瘤及び解離 1,869人 約1.6パーセント
9位 腎不全 1,817人 約1.6パーセント
10位 肝疾患 1,698人 約1.5パーセント
平成29年
全死亡数 116,451人
1位 悪性新生物(がん) 34,030人 約29.2パーセント
2位 心疾患 17,713人 約15.2パーセント
3位 脳血管疾患 8,914人 約7.7パーセント
4位 老衰 8,705人 約7.5パーセント
5位 肺炎 7,961人 約6.8パーセント
6位 不慮の事故 2,843人 約2.4パーセント
7位 誤嚥性肺炎 2,795人 約2.4パーセント
8位 自殺 1,936人 約1.7パーセント
9位 大動脈瘤及び解離 1,878人 約1.6パーセント
10位 肝疾患 1,852人 約1.6パーセント
 死亡原因に対する都の予算は、疾患ごとに明確にすることは困難ですが、平成30年度は、がん対策として約7億9,727万円、心疾患に対する心血管疾患対応事業で約5,066万円、脳血管疾患に対する脳卒中医療連携推進事業で約2,481万円等を計上しています。

質問事項
三の2 ガンは2人に1人がかかると言われ多くの都民が命を落としている。ガンに対して都が行っている対策とその予算規模とその実効性および効果について伺う。

回答
 平成30年度予算では、がん予防等の対策として、がん予防・検診受診率向上事業約3,894万円、地域の受診率・精度管理向上事業約1,054万円など、計約1億2,767万円を、また、がんの医療等の対策として、東京都がん診療連携拠点病院事業約1億451万円など、計約6億6,960万円を計上し、がん対策に関する予算の総額は約7億9,727万円となっています。
 都のがん検診受診率は、平成22年から平成27年では、胃がんは36.7パーセントから39.8パーセント、肺がんは35.1パーセントから37.2パーセント、大腸がんは37.2パーセントから41.9パーセント、子宮頸がんは35.9パーセントから39.8パーセント、乳がんは32.8パーセントから39.0パーセントにいずれも向上しています。
 また、がん診療の中心的な役割を担うがん診療連携拠点病院等は、平成22年度は32病院でしたが、平成24年度からは、がんの部位ごとに充実した診療機能を持つ病院を都独自に東京都がん診療連携協力病院に指定し、これを加え現在57病院となっています。
 こうした取組により、がんの75歳未満年齢調整死亡率(人口10万対)は、平成22年の85.4から最新の統計である平成28年では75.5と約11.6パーセント減少しており、着実に成果は上がっていると認識しています。

質問事項
四 家庭用品に含まれるVOCによる環境影響や健康影響について
1 一般家庭においてVOC排出実態の把握や自主的にVOC排出抑制を促す取り組みはしてきたのか、また香り成分を含む家庭用品についてVOC排出抑制の取組みは行ってきたのか伺う。さらに今後は具体的な対策を強化すべきと考えるが所見を伺う。

回答
 都は、PM2.5や光化学オキシダント対策など大気環境の改善に向けて、毎年度、工場等から排出されるVOC量を把握しており、一般家庭やオフィスで使用する商品等から排出されるVOC量についても5年ごとに推計し、把握しています。
 一般家庭やオフィスからのVOC排出を抑制するためには、低VOC製品の優先使用やVOC含有製品の適正使用が必要であることから、都民向けのリーフレットやガイドブックを作成するとともに、セミナーやイベント会場で周知するなど、VOC排出量削減に向けた取組を実施しています。
 また、国に対しても、日常生活に伴うVOCの排出が抑制できるよう、製造業者や関係団体に対して取組を促すよう要望しています。
 今後も、こうしたVOCの排出削減に向けた取組を推進していきます。

質問事項
四の2 都は家庭で使用されるVOC製品による健康影響をどのくらい把握しており、その対策をどのように行っているのか伺う。また今後は具体的に対策強化に取り組むべきと考えるが所見を伺う。

回答
 家庭で使用される揮発性有機化合物(VOC)による健康影響については、厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」において、傷病別のデータはありません。
 化学物質により具合が悪くなる方もいるという課題に対応するため、都は室内環境における有害化学物質に関する相談を実施するとともに、パンフレットやホームページ等を活用し、室内においては換気等に心掛け、芳香剤等の使用に当たっては、表示された用法、用量を守り、必要以上に使用しないよう、普及啓発を行っています。

質問事項
四の3 近年、柔軟剤など一般家庭におけるVOC製品使用による体調不良の相談や苦情が多数寄せられている。その多くは香りに関するものであり、消費者庁への相談件数も増加している。都の各種窓口において該当の苦情相談件数の推移と内容を過去10か年伺う。

回答
 都内の消費生活センターに寄せられた柔軟剤や芳香剤のにおいなどによる体調不良に関する過去10か年の相談件数は、平成20年度1件、平成21年度0件、平成22年度7件、平成23年度4件、平成24年度3件、平成25年度41件、平成26年度6件、平成27年度18件、平成28年度22件、平成29年度42件となっています。
 主な内容としては、「自宅マンションの隣の住人が使用する柔軟剤が原因で頭痛や鼻水、くしゃみが出る。」「近隣の洗濯物の柔軟剤のにおいで体調不良になった。」、「トイレと居間用の芳香剤を使用したら、気分が悪くなり咳が止まらなくなった。」「マンションの隣家で使用している芳香剤のにおいが強く体調が悪くなる。管理組合に相談したが解決しない。」などといった相談が寄せられています。

質問事項
四の4 各学校だけでなく、多くの都民が香りによる体調不良の相談や苦情を寄せているにもかかわらず、「医学的見地の状況を踏まえ」、東京都がイニシアチブを取って具体的な対応を取らない理由はなぜか伺う。また今後は対応すべきと考えるが所見を伺う。

回答
 衣類の柔軟剤等の香りについては、それらを苦手とする方がおり、その中には具合が悪くなる方もいることから、都は、パンフレットやホームページ等により、消臭剤、防臭剤、芳香剤等を使用する場合には、表示された用法、用量を守り、必要以上に使用しないよう、都民への普及啓発を行っています。
 化学物質が原因で起こる症状には個人差も大きいことから、都は、引き続き化学物質による健康影響を防ぐための普及啓発等に取り組んでいきます。

質問事項
四の5 家庭用品に含まれるマイクロカプセルからのVOC排出実態や大気環境への影響を都はどのように把握し対応しているのか伺う。

回答
 VOCは、PM2.5や光化学オキシダントの原因物質となっており、大気環境に影響を与えることから、家庭用品についても、衣料用洗剤や芳香・消臭剤など、商品分類別にVOCの排出量を5年ごとに推計し、把握しています。
 都は、大気環境の改善に向けてVOC排出量の削減に取り組んでおり、一般家庭やオフィスにおいて低VOC製品の選択を促すなど、普及啓発に努めています。

質問事項
五 ギャンブル依存症対策について
1 ギャンブル依存症対策基本法が施行され都道府県の役割は増している。そこで都はギャンブルをどのようにとらえ、またギャンブル依存症への認識および該当者数、またどのような依存症対策を行っているのか伺う。

回答
 ギャンブル等依存症対策基本法では、ギャンブル等とは、法律の定めるところにより行われる競馬や競輪などの公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為であり、「ギャンブル等依存症」は、心の病であり、ギャンブル等にのめり込むことにより、日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいうとされています。
 ギャンブル依存症については、本人や家族が病気であるという認識を持ち難く、医療機関を受診しない方も多いことなどから、都では該当者数を正確に把握することは困難ですが、都内3か所の精神保健福祉センターでは、ギャンブルやアルコールの依存症等についての専門相談を平成29年度に2,210件受けています。その中で、必要に応じて医療機関への受診勧奨を行っています。
 また、精神保健福祉に携わる関係機関向けの研修を実施し依存症に関する支援技術の向上を図るとともに、都民への普及啓発により正しい知識の理解促進を図っています。

質問事項
五の2 パチンコにおける景品交換所がギャンブル性を高めている。ギャンブルとしてのパチンコに対する都の認識を伺う。

回答
 いわゆる景品交換所については、現行の関係法令に沿って認識すべきものと考えています。
 なお、ギャンブルをどのように定義付け、どのように規制するかは、国民の幅広い議論を前提に、国が判断すべきであると考えています。

質問事項
六 都の海外展開について
1 都内の中小企業が海外に進出する際に重要な機能を果たすのが東京都中小企業振興公社とその海外の拠点である。各国を選んだ選定基準と海外の拠点における業務内容や機能さらには実績について伺う。あわせて、都内の外国法人数の推移について伺う。

回答
 東京都中小企業振興公社では、将来に向け大きな伸びの見込まれるアジア市場において、平成27年には経済活動の重要な拠点であるタイのバンコク、平成29年は都内企業の進出意欲が特に高いインドネシア、平成30年は経済成長の著しいベトナムに事務所などを設けています。
 タイの事務所では現地進出企業などに対し、平成28年度には222件の経営相談や、現地の会社と取引を始めるマッチング支援を667件行っています。
 都内の外国法人数は、国税庁の平成24年の統計年報では3,583社、平成25年では3,657社、平成26年では3,744社、平成27年では4,121社、平成28年では4,133社となっています。

質問事項
六の2 海外から東京都へ進出するためアジアヘッドクォーター特区制度があるが、その実績および企業誘致数の推移を伺う。

回答
 アジアの統括拠点又は研究開発拠点をアジアヘッドクォーター特区内に設置する外国企業は、平成25年度11社、平成26年度20社、平成27年度15社、平成28年度4社となり、平成28年度末までで、目標であった50社の誘致を実現しました。
 また、将来的にこれら拠点の設立意思がある外国企業は、平成26年度10社、平成27年度10社、平成28年度10社となっており、30社の誘致を実現しています。
 これらの誘致企業の事業実施に伴う人件費等の直接的な投資額は、平成29年度末までの累計で約288億円となっています。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原のり子

質問事項
一 都庁舎のバリアフリーについて
二 都市計画道路建設について

一 都庁舎のバリアフリーについて
 都庁は、東京都の顔であり、誰もが利用しやすいことが必要です。しかし、かねてから車いすを使う身体障がい者の方々より、都議会議事堂に入るための長いスロープの改善が求められながら、改善されません。都営大江戸線の都庁前駅からエレベーターに乗っても、議事堂には直結していません。高低差もあり、カーブも急なため、通常の車椅子で一人でのぼるのは大変厳しく、時間もかかります。そして屋根もないため、雨の日は議事堂に入るまでにずぶぬれになってしまいます。なぜ、多くの方から指摘があるのに、改善されないのでしょうか。都議会の傍聴や要請に来ても、その建物に入ることさえ困難だということは放置できない問題です。
 10月1日、東京都障がい者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例が施行されました。「東京に暮らし、東京を訪れるすべての人が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指」す条例の趣旨に鑑み、障がい者にとってのさまざまな社会的障壁をなくすことは急務です。一日も早く改善を求めます。
1 都営大江戸線の都庁前駅から、車椅子の方が、地上にいったん出ることなく、都議会議事堂に入れるように、当事者の方の意見をききながら、改善してください。
2 地上から車いすで都議会議事堂に入るスロープを距離を短く、傾斜を緩やかにしてください。あるいは1階大型駐車場入口にあるような車いす昇降機を設置してください。
3 抜本的な改善策がとられるまでの間、少なくとも、エレベーターをおりてからスロープを利用して議事堂に入るまで、屋根を設置して雨で濡れることのないようにしてください。

二 都市計画道路建設について
 現在、東久留米市では、東村山都市計画道路3・4・21号線、及び3・4・13号線の事業化に向けての取り組みが始まりました。「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業計画)」における優先整備路線になったことによるものです。この計画は、閑静な住宅街、公園を通り、オイカワの産卵場所にもなっている黒目川を横断します。環境が激変することにもなることから、反対や心配の声が多数あがっています。
 さらに、第1工区(東村山都市計画道路3・4・21号線部分)は、土砂災害警戒区域も含まれていることから、地域ではこのままこの計画が進められて危険はないのか、心配の声があがっています。この間の災害の状況をみても、それほど急な崖でなくても、豪雨で崩壊する事例もあり、崩れる例もあり、不安が広がっています。
 東京都は、土砂災害警戒区域の指定を急ぐことをはじめ、防災対策に力を入れるとしています。また、知事は、都市計画道路について見直すべきは見直すことも表明されています。対応を求め質問します。
1 都は、都市計画道路の整備を進める際に、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域が含まれている場合、どのようなことを考慮して道路の構造を決めていますか。
2 都は、都市計画道路の整備を進める際に、都市計画道路のような公共性が高い施設のなかに土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域が含まれている場合、まず、土砂災害の可能性について調査が行われ、その結果について、市民に説明が行われるべきだと思いますがいかがですか。また、災害危険やその対策について、市民の納得と合意なしに整備を進めるべきではないと思いますがいかがですか。それぞれお答えください。
3 東村山都市計画道路3・4・21号線、及び3・4・13号線の土砂災害の可能性について、都は、東久留米市とともに、調査を進め、市民に公表すべきと考えますがいかがですか。

平成30年第三回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都庁舎のバリアフリーについて
1 都営大江戸線の都庁前駅から、車椅子の方が、地上にいったん出ることなく、都議会議事堂に入れるように、当事者の方の意見をききながら、改善すべきだが見解を伺う。

回答
 都庁舎では、来庁される方々が誰でも快適に利用できるよう、これまでもバリアフリー化の整備を進めています。
 現在、車椅子の方のルートとしては、都営大江戸線の都庁前駅からエレベーターを利用できる都庁第一本庁舎北側のA4出口となります。
 他に車椅子の方が利用できるルートはないことから、都庁前駅から地上へ出ずに都議会議事堂へ入るためには、新たなエレベーターを都議会議事堂に設置する等のルートを確保する必要があります。しかし、都議会議事堂へ新たなルートを確保することは、技術的に非常に困難であると考えており、A4出口の利用を御案内することとなります。
 今後とも、引き続き、来庁される方々が、都庁舎を快適に利用できるよう努めていきます。

質問事項
一の2 地上から車いすで都議会議事堂に入るスロープを距離を短く、傾斜を緩やかにし、あるいは1階大型駐車場入口にあるような車いす昇降機を設置すべきだが見解を伺う。

回答
 都議会議事堂へ入るスロープは、東京都福祉のまちづくり条例が規定する整備基準に適合しています。距離が短くなればスロープの傾斜がきつくなり整備基準を満たさなくなりますので、現在の距離は必要となっています。
 また、新たな昇降機の設置は、必要なスペースの確保が困難であり、都議会議事堂1階の大型駐車場入口に設置されている昇降機の利用を御案内することとなります。

質問事項
一の3 抜本的な改善策がとられるまでの間、少なくとも、エレベーターをおりてからスロープを利用して議事堂に入るまで、屋根を設置して雨で濡れることのないようにすべきだが見解を伺う。

回答
 都議会議事堂へ入るスロープ部分への屋根の設置には、強度を確保するために堅固な柱及び基礎が必要となりますが、既存のスロープの位置をずらす等、広範囲の外構整備を伴うことから難しいと考えています。

質問事項
二 都市計画道路建設について
1 都は、都市計画道路の整備を進める際に、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域が含まれている場合、どのようなことを考慮して道路の構造を決めているか伺う。

回答
 道路法第29条では、「道路の構造は、当該道路の存する地域の地形、地質、気象その他の状況及び当該道路の交通状況を考慮し、通常の衝撃に対して安全なものであるとともに、安全かつ円滑な交通を確保することができるものでなければならない。」とされています。
 都市計画道路の整備に当たっては、土砂災害警戒区域等の指定の有無にかかわらず、同法等に基づき、適切な道路構造を決定しています。

質問事項
二の2 都は、都市計画道路の整備を進める際に、都市計画道路のような公共性が高い施設のなかに土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域が含まれている場合、まず、土砂災害の可能性について調査が行われ、その結果について、市民に説明が行われるべきだと思う。また、災害危険やその対策について、市民の納得と合意なしに整備を進めるべきではないと思うが、それぞれ見解を伺う。

回答
 都市計画道路の整備を進める際には、必要に応じ、斜面の状況、地形・地質等を調査し、安全性に配慮した適切な道路構造を決定します。
 この内容については、工事の着手前に開催する工事説明会等で地元の皆様に説明します。
 工事の実施に当たっては、地元の理解と協力を得ながら進めていきます。
 なお、今後も土砂災害警戒区域等の指定に当たっては、住民説明会を地元区市町村とともに開催し、土砂災害の危険性や区域指定の目的などについて説明します。

質問事項
二の3 東村山都市計画道路3・4・21号線、及び3・4・13号線の土砂災害の可能性について、都は、東久留米市とともに、調査を進め、市民に公表すべきと考えるが見解を伺う。

回答
 東村山都市計画道路3・4・21号線及び同3・4・13号線は、平成28年3月に策定された「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」において、東久留米市施行の優先整備路線に位置付けられています。
 本路線の工事の実施に当たっては、東久留米市が適切に対応するものと考えています。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野ゆりえ

質問事項
一 プラスチックゴミの削減とリサイクル促進について

一 プラスチックゴミの削減とリサイクル促進について
 安価で軽量のプラスチック製品は、生活のなかで広く利用されています。プラスチックの弁当容器、レジ袋、ペットボトル、発泡スチロールなどのプラスチックゴミが海洋に流出し、マイクロプラスチックと呼ばれる微細なかけらとなって、海を汚染していることが、国際的な問題になっています。
 東京農工大学の高田秀重教授の研究によると、大量に消費されるプラスチックは、ここ10年足らずで1億トンも増え、世界での生産量は年間4億700万トンに及んでおり、その約半分が、使い捨ての容器や包装とのことです。海洋に流出しているプラスチックゴミの総量は、世界で27万トンに及んでいます。
 2016年の世界経済フォーラムの報告書によると、毎年少なくとも800万トンのプラスチックゴミが海洋に流出していて、海にたまっているプラスチックゴミは、1億5000万トンを超えるとされています。
 このまま何も手を打たなければ、2050年には海洋プラスチックゴミの総重量が世界中の海の魚の総重量を超えると試算されています。
 プラスチックは自然界では分解され難いのですが、海洋に流出したプラスチックは、太陽熱や紫外線、波の力によって劣化、細分化されて、5ミリ以下のマイクロプラスチックになって浮遊します。
 マイクロプラスチックは、鳥類、魚介類が餌と区別できずに取り込んでおり、東京湾のカタクチイワシや貝類からも検出されています。こういった魚介類を人が食べて、プラスチックが体内に入っても、プラスチック自体は排泄されます。
 しかし、魚などが食べた微細なプラスチックゴミは、消化管を傷つけ栄養を十分に取れなくなるだけではありません。石油が原料のプラスチックには、製造過程で様々な添加剤が加えられていますから、これらの有害物質によって魚の生殖異常を起こし、その魚を食する人の健康にも影響すると指摘されています。
 さらに、海水に残留しているPCBなどの有害物質をプラスチックが吸着することも、研究によって明らかになってきています。
 このような状況の下、プラスチックによる海洋汚染を止めようと、今年6月にカナダで開かれた先進7ケ国首脳会議(G7)において、「海洋プラスチック憲章」が採択されましたが、日米両国首脳は署名しませんでした。
 一方、東京都は、小池都知事が6月に「海洋プラスチック憲章」への支持を表明し、東京都廃棄物審議会にプラスチック部会を設置し、総合的なプラスチック対策に取り組むことを表明しました。持続可能な社会をめざす重要な取り組みです。
 地球環境と、生態系に深刻な影響を及ぼすマイクロプラスチック問題の解決のために、石油由来のプラスチックに依存しない社会に変えていく取り組みを進めるよう、東京都の努力を求めて、以下、質問します。
1 日本政府はG7で「海洋プラスチック憲章」に署名を行ないませんでした。東京都として、政府に署名を行なうよう働きかけていただくことを要望します。知事の御所見を伺います。
2 プラスチック問題の対策で、3R(リデュース・削減、リユース・再使用、リサイクル)のうち、最も重要なのは、リデュース・削減です。現在、飲食チェーン店やホテルなどでは、プラスチック・ストローの使用をやめ、スーパーなどではレジ袋の削減に取り組んでいます。しかし、コンビニエンス・ストアでのレジ袋削減は進んでいません。東京都は率先して、企業及び消費者にプラスチック製品削減の呼びかけが必要と考えますが、知事の見解をうかがいます。
3 海外ではプラスチック削減のため、思い切った取り組みが行われています。国単位でのレジ袋や使い捨てプラスチック食器の使用規制はもとより、アメリカ・サンフランシスコ市では2014年からペットボトル飲用水の販売が禁止され、水飲み場を増やしマイボトルの使用をよびかけています。
 東京都内でも武蔵野市では、市民を中心としてレジ袋削減に取り組むと同時に、ペットボトルなどの使用削減の運動が進んでいます。マイボトル携帯を奨励し、マイボトルを持参する市民のために給水スポットが設置されています。
 マイボトルやエコバッグなどの普及が進むよう、東京都が自治体と連携して、プラスチック削減に向けた創意ある取組をしていただきたいと思いますが、知事いかがでしょうか?
4 日本周辺では他の海域の約30倍のプラスチックゴミが存在するといわれています。海洋プラスチック汚染の実効性のある抑制策を議論するならば、この実態を調査することが肝要です。環境省は、海洋ゴミについて年一回調査結果を発表していますが、降雨時などの季節を考慮した調査が必要です。廃棄されたプラスチックの種類、形状などの調査結果をもとに対策を講じることができます。
 国に対して、年間を通した海洋プラスチックゴミの調査を求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 湾岸はもちろん小笠原を含む島嶼など、広い水域をもつ東京都の努力も必要と思います。実態調査実施に向けて、国と協力しつつ取り組んでいただきたいと考えます。いかがでしょうか?
5 洗顔料、歯磨き粉などに含まれる、マイクロビーズ、また、衣類やスポンジなどの化学繊維の破片などの多くは、下水道から海洋に流れ出していると想定されています。このマイクロビーズなどの量や種類についての正確な調査が必要です。下水処理場などでの調査を求めるものですが、いかがでしょうか?
6 知事は、今年8月24日の第19回廃棄物審議会で、プラスチックの持続可能な利用に向けた施策について諮問され、プラスチック部会が設置され、今月20日に第一回の部会が開かれました。
 この部会の委員には、プラスチック削減、リサイクルなどに詳しい専門家になるべく多く入っていただく必要があると思います。先駆的なプラスチック対策を進めていくためにも、さらに、委員の拡充を求めるものですが、いかがですか。
7 「海洋プラスチック憲章」では、3Rを推進するとともに、革新的プラスチック材料・代替材料の開発及び適切な使用を呼びかけています。環境省は生分解性プラスチック製品開発の委託事業を来年度から行う方針を決定しました。都内にもプラスチックを製造する業者があります。都内のプラスチック製造業者に、生分解性プラスチックなど代替製品の開発、製造を奨励し、そのための補助を行なうことなどが必要と考えます。知事の見解を求めます。

平成30年第三回都議会定例会
河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 プラスチックゴミの削減とリサイクル促進について
1 日本政府はG7で「海洋プラスチック憲章」に署名を行なわなかった。都として、政府に署名を行なうよう働きかけていただくことを要望するが、所見を伺う。

回答
 四方を海に囲まれた島国である我が国にとって、海洋プラスチック問題は、極めて重要な課題であり、都として、いち早く、海洋プラスチック憲章を、強く支持する旨を表明しました。
 一方、国においては、平成31年に日本で開催されるG20において、海洋プラスチック憲章の内容を超えたものにしていくとの方針が表明されています。
 都としては、こうした国の動きを見ながら、東京都廃棄物審議会におけるプラスチックの持続可能な利用に向けた施策の在り方についての議論を踏まえ、総合的なプラスチック対策に取り組んでいきます。

質問事項
一の2 現在、飲食チェーン店やホテルなどでは、プラスチック・ストローの使用をやめ、スーパーなどではレジ袋の削減に取り組んでいる。しかし、コンビニエンス・ストアでのレジ袋削減は進んでいない。都は率先して、企業及び消費者にプラスチック製品削減の呼びかけが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、レジ袋の削減に向けた取組を推進するため、平成29年11月に、スーパーやコンビニエンス・ストアなどの事業者団体や消費者団体、区市町村等とレジ袋削減に向けた意見交換会を設け、議論を重ねてきています。
 また、平成30年8月には、事業者やNGOなどに参加を呼び掛けて「チームもったいない」を創設しました。
 今後とも、「チームもったいない」参加事業者とも連携しながら、レジ袋削減をはじめとする使い捨て型ライフスタイルの見直しを呼び掛けていきます。

質問事項
一の3 マイボトルやエコバッグなどの普及が進むよう、都が自治体と連携して、プラスチック削減に向けた創意ある取組をしていただきたいと思うが、見解を伺う。

回答
 都は、平成27年に設置した区市町村との共同検討会において、レジ袋など使い捨て型ライフスタイルの見直しに向けた検討を行ってきました。
 また、平成29年11月からは、区市町村のほか、事業者団体や消費者団体等を加えたレジ袋削減に向けた意見交換会を設け、議論を重ねてきています。
 今後とも、こうした自治体との連携を密にしながら、使い捨て型ライフスタイルの見直しに向けた取組を推進していきます。

質問事項
一の4 国に対して、年間を通した海洋プラスチックゴミの調査を求めていただきたいと思うが、見解を伺う。湾岸はもちろん小笠原を含む島嶼など、広い水域をもつ都の努力も必要と思う。実態調査実施に向けて、国と協力しつつ取り組んでいただきたいと考えるが見解を伺う。

回答
 国では、平成22年度から海洋ごみ調査を実施しており、調査地点や調査箇所数等を変え、一年をかけて海岸などにある漂着ごみ、浮遊する漂流ごみ及び海底に堆積した海底ごみに関して、量や種類などの調査等を実施しています。
 都では、平成26年度に東京港で海ごみに関する調査を実施したほか、島しょ部においては海岸漂着物の回収・処理事業を実施しており、回収量を国に報告しています。
 今後も、プラスチックを含む海ごみに関する調査研究を行っている国等との情報共有を図っていきます。

質問事項
一の5 洗顔料、歯磨き粉などに含まれる、マイクロビーズ、また、衣類やスポンジなどの化学繊維の破片などの多くは、下水道から海洋に流れ出していると想定されている。このマイクロビーズなどの量や種類についての正確な調査が必要である。下水処理場などでの調査を求めるが、見解を伺う。

回答
 マイクロプラスチックは、プラスチック製品のほか、多くの製品に由来すると考えられており、また、マイクロプラスチックが海洋に放出される経路について十分に判明していません。
 下水道におけるマイクロプラスチックの調査については、量や種類を正確に測定できる統一した方法が技術的に確立されていない状況です。
 現在、様々な研究機関が独自の測定方法を用いて調査を行っており、下水道局としては、情報収集に努めているところです。

質問事項
一の6 プラスチック部会の委員には、プラスチック削減、リサイクルなどに詳しい専門家になるべく多く入っていただく必要があると思う。先駆的なプラスチック対策を進めていくためにも、さらに、委員の拡充を求めるが、見解を伺う。

回答
 都は、プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について、平成30年8月、東京都廃棄物審議会に諮問しました。
 審議会では、プラスチック対策の知見を有する2名の学識経験者を臨時委員に加えて、プラスチック部会を設置し、現在、専門的な見地から審議を行っています。

質問事項
一の7 都内のプラスチック製造業者に、生分解性プラスチックなど代替製品の開発、製造を奨励し、そのための補助を行なうことなどが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 プラスチックの代替素材等の開発については、国において、平成31年度概算要求の中で、産業界と連携した実証事業を予定しています。
 都としては、こうした動きも見ながら、使い捨てプラスチックの削減やリサイクルの推進など、総合的なプラスチック対策に取り組んでいきます。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 里吉ゆみ

質問事項
一 光明学園の教育環境の改善について

一 光明学園の教育環境の改善について
 肢体不自由部門と病弱部門の併置校として、新たに光明学園が開校しました。現在改築工事を行いながら、子どもたちが学校生活を送っています。久留米特別支援学校から移ってきた病弱部門の子どもたちは、豊かな自然に囲まれた学校から転校してきたことで、当初相当ストレスがあったと聞いています。
 もともと、病弱部門の子どもたちにとって久留米特別支援学校の環境はすばらしく、移転することにも、併置校にすることにもわが党は反対してきました。また校舎の改築工事を行っている最中に開校してしまうやり方についても、せめて改築が終わるまで病弱部門の子どもたちは久留米特別支援学校で学べるようにするべきだと再三申し上げてきました。
 特別支援学校全体に係る問題も多く含まれていますが、光明学園の教育環境を少しでも改善したいという立場から何点か質問します。
 ひとつは温水プールの設置についてです。
1 病弱部門の子ども達が転校してから、環境の変化、体を動かす場所が少なくストレスが大きく、その解決策のひとつとして、世田谷区立梅丘中学校の温水プールを活用しています。都教委はその効果をどう認識していますか。
 現在改築中の光明学園の新しいプールで採用されるのは加温式というガスのボイラー及び熱交換機を使用したものです。プールの水温を上げることで、夏季の水泳指導が気候の影響で中止になることはほぼ避けられると言われていますが、1年を通じて活用できるわけではありません。
 一昨年文部科学省が示した特別支援学校施設整備指針では、屋内プールについて、児童生徒の安全性、地域住民の利用等を考慮し、温水プールとして計画することが望ましいと明記しています。
2 現在、肢体不自由部門でも、病弱部門でも、温水プールを活用している光明学園でこそ、今からでも温水プール設置に変更するべきです。見解を伺います。
 次にスクールカウンセラーの配置です。
3 現在都立高等学校には全校にスクールカウンセラーが配置されていますが、特別支援学校には配置がされていません。久留米特別支援学校では臨床心理士による相談会が定期的に開催されていたため、光明学園への再編後も臨床心理士による相談が行われています。この相談は肢体不自由部門の子どもや家族なども対象になっていて活用されています。現在までの実績について伺います。
4 また、保護者からは、相談会の回数を増やしてほしいとの要望も出されています。対象を肢体不自由部門に広げた効果も検証しながら、臨床心理士の相談回数を増やすことを求めますがいかがですか。

平成30年第三回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 光明学園の教育環境の改善について
1 病弱部門の子ども達が転校してから、環境の変化、体を動かす場所が少なくストレスが大きく、その解決策のひとつとして、世田谷区立梅丘中学校の温水プールを活用している。都教委はその効果をどう認識しているか伺う。

回答
 都立光明学園のプールより長いコースがある世田谷区立梅丘中学校のプールを活用することで、中学部や高等部の生徒の体格に見合ったプールを確保でき、児童・生徒の健康や食欲の増進にもつながるといった効果があります。
 また、児童・生徒が、公共施設を利用する経験を通して、マナーの遵守などの社会性を身に付けるための有用な機会ともなっています。

質問事項
一の2 現在、肢体不自由部門でも、病弱部門でも、温水プールを活用している光明学園でこそ、今からでも温水プール設置に変更するべきであるが、見解を伺う。

回答
 都立特別支援学校のプールは、夏季に水泳の授業を円滑に行うことを目的として設置しており、学校施設の新設及び改築の際に、各学校の設置学部や障害種別、立地条件等に応じて、必要な施設・設備を整備しています。
 現在、改築を進めている都立光明学園に設置を予定している新しいプールの仕様は、設計の段階で学校と協議を重ね、学校の要望や教育課程を十分踏まえたものです。

質問事項
一の3 久留米特別支援学校では臨床心理士による相談会が定期的に開催されていたため、光明学園への再編後も臨床心理士による相談が行われている。この相談は肢体不自由部門の子どもや家族なども対象になっていて活用されている。現在までの実績について伺う。

回答
 都立光明学園では、月に1回から2回、児童・生徒や保護者等を対象として、臨床心理士による相談を実施しています。平成29年度は年間で18回、実施しています。

質問事項
一の4 保護者からは、相談会の回数を増やしてほしいとの要望も出されている。対象を肢体不自由部門に広げた効果も検証しながら、臨床心理士の相談回数を増やすことを求めるが見解を伺う。

回答
 都立光明学園では、1人当たりの相談時間を30分として、希望者を対象に臨床心理士による相談を実施しています。
 これまでのところ、相談枠が不足したことはなく、また、希望者は毎回相談を受けることができていることから、現時点において、回数を増やす予定はありません。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 介護職場におけるハラスメント防止について
二 障がい児、障がい者の居場所について
三 多文化共生社会への取組について
一 介護職場におけるハラスメント防止について
 最近、介護事業所において、訪問ヘルパーが要介護者やその家族からのセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを受けることがあると報じられました。労働組合の日本介護クラフトユニオンによるアンケート調査によって判明し大きな反響を呼びました。
 通常の仕事でも顧客からのクレームがあった場合には従業員を守るのは事業主の責任ではありますが、一般の事業とは違い、正当な理由がなければサービス提供を拒めないこと、長時間単独で自宅に滞在すること、身体的な接近があることなど、他の業種とは必ずしも同列に扱えません。また、介護人材の不足も言われるなか、行政でも補助などにより賃金の向上等の待遇改善を図っていますが、安心して働ける職場環境の整備は何より重要です。こうした状況を改善することは、働く人を守ることが第一ですが、介護保険制度が円滑に運営されることにもつながります。以下、都の対応について質問します。
1 最初に、介護職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントについて現状をどう認識しているか伺います。また、都としてどのように対応しているか伺います。
2 介護職場の特殊性はあるものの、まずは事業主が従業員を守ることが第一です。事業主に対して適切な対応をするよう、より一層の指導をすべきですが、見解を伺います。
3 介護サービスは公共サービスであることを利用者に理解してもらい、違法行為をしてはならないことは当然ですが、ハラスメントを行わないよう、利用者に対して啓発をする必要があります。見解を伺います。
4 被害を受けて事業主が十分な対応をしない場合に通報できる体制や、相談できる窓口が必要です。また、悪質なクレームなどに対して、小規模な事業所の場合には事業主も相談できる窓口が必要にもなります。設置について見解を伺います。
5 単独で訪問をしてハラスメントを受ける場合があるため、解決策として複数での訪問があります。しかしサービス料が上がるため、複数で訪問する場合への補助制度が有効な対策となります。制度の設置について見解を伺います。
6 都では対応できない国における制度の見直しが必要なこともあります。保険者である市区町村の意見も集約し、国に必要な措置をするよう求めることが必要ですが、見解を伺います。

二 障がい児、障がい者の居場所について
1 障がい児の居場所として放課後等デイサービスの制度が行われています。しかし、急速な制度の拡大から、事業者が急増しサービスの質の担保が課題になっています。そのため、国は報酬改定を行い、事業所区分を導入しましたが、急な改定のため、市区町村による利用児童の指標判定に混乱が生じ、また、報酬額の低下により、事業所によっては運営が危ぶまれるところがでてきています。今回の報酬改定に関して適切な運営がなされることが必要ですが見解を伺います。
2 放課後等デイサービスにより障がい児の居場所はありますが、成人した障がい者の居場所は十分ではありません。2016年3月、都議会としても制度の充実を求める意見書を国に提出しました。都としても包括補助事業により市区町村の補助をしていますが、取り組みをしている自治体はわずかしかありません。あらためて、青年・成人の障がい者の余暇活動の充実を図るため、より一層の取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

三 多文化共生社会への取組について
1 国際化社会が進展するなか、東京に滞在する外国人も多くなっています。都は観光振興については注力していますが、現に居住している外国人に対する政策は十分とはいえず、真に国際都市としてふさわしい体制を整備する必要があります。
 都はかつてあった国際部を廃止し、現在は多文化共生担当課長を置いているに過ぎません。また、任意団体である国際交流委員会もありますが、十分な規模とは言えません。都として国際社会にふさわしい体制を構築し、在日外国人を含めた多文化共生社会への取り組みをより一層行う必要があると考えますが、見解を伺います。
2 日本に滞在する外国人が増加する中で、日本語を母語としない子どもの教育の充実が求められます。しかし、教育委員会には政策をつくり運用する部署がありません。今後、政策の充実のため部署の設置を求めますが、見解を伺います。
3 各市区町村における日本語学級の設置状況についても自治体間により格差があります。都としても市区町村への支援が必要です。見解を伺います。
4 日本語教育の政策立案に際して、実態調査を実施、公表する必要があります。見解を伺います。

平成30年第三回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 介護職場におけるハラスメント防止について
1 最初に、介護職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントについて現状をどう認識しているか伺う。また、都としてどのように対応しているか伺う。

回答
 公益財団法人介護労働安定センターが介護労働者を対象として平成29年度に実施した調査によれば、過去1年間に仕事中に利用者やその家族から受けた経験として、「暴言」との回答が26.5パーセント、「暴力」との回答が13.3パーセント、「セクハラ」との回答が8.3パーセントとなっています。
 都は、介護保険の指定居宅サービス事業所等の新規指定や更新の際に、事業者に対し、法令遵守のための独自の研修を実施しています。研修では、労働関係法規等について周知徹底を図るため、東京労働局から講師を招き、事業者が遵守すべき労働基準や労働安全衛生のほか、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントに対する事業者の対応などに関する講義を行っています。

質問事項
一の2 介護職場の特殊性はあるものの、まずは事業主が従業員を守ることが第一である。事業主に対して適切な対応をするよう、より一層の指導をすべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、介護保険の指定居宅サービス事業所等の新規指定や更新の際に、独自の研修を実施しており、労働関係法規等について周知徹底を図るため、事業者が遵守すべき労働基準や労働安全衛生のほか、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントに対する事業者の対応などに関する講義を行っています。

質問事項
一の3 介護サービスは公共サービスであることを利用者に理解してもらい、違法行為をしてはならないことは当然だが、ハラスメントを行わないよう、利用者に対して啓発をする必要がある。見解を伺う。

回答
 介護保険サービスの利用に関する相談は、一般的に、保険者である区市町村や地域包括支援センターが受け付け、要介護(要支援)認定の申請の仕方、介護を必要としている本人の状況や希望等を踏まえた必要なサービスの種類・内容の説明等を行っています。
 また、サービスの利用に当たっては、ケアマネジャーが、本人の状況、本人やその家族の希望、住宅の状況などを総合的に把握して、利用するサービスの種類及び内容等を定めたケアプランの原案を作成し、本人又はその家族に対して説明した上で、文書により本人の同意を得ています。
 これらのことにより、介護保険サービスが公的なものであることなどについて、本人やその家族の適切な理解が促される仕組みとなっています。
 都は、介護保険制度について解説したパンフレットを作成し、サービスの利用に係る流れや利用できるサービス等について、都民に周知しています。

質問事項
一の4 被害を受けて事業主が十分な対応をしない場合に通報できる体制や、相談できる窓口が必要。また、悪質なクレームなどに対して、小規模な事業所の場合には事業主も相談できる窓口が必要にもなる。設置について見解を伺う。

回答
 都は、指定居宅サービス事業所等を新たに開設する事業者等を対象とした研修を実施しており、事業所の規模の大小にかかわらず、常に法令や基準等を遵守することを求めています。
 なお、介護職場に限らず、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを含む労働相談については、都内6か所にある労働相談情報センターで対応しています。
 また、中小企業に対し経営に係る様々な助言を行う相談窓口を設け、悪質なクレームなどを含む顧客とのトラブルの解決についてもサポートを行っています。

質問事項
一の5 単独で訪問をしてハラスメントを受ける場合があるため、解決策として複数での訪問がある。しかしサービス料が上がるため、複数で訪問する場合への補助制度が有効な対策となる。制度の設置について見解を伺う。

回答
 訪問介護等の事業者は、訪問介護員等から、利用者やその家族からのハラスメント等を経験したとの報告・相談があった場合には、サービス提供の状況を把握するとともに、担当者を変更するなど、トラブルを予防するための必要な配慮をすることが求められます。
 また、ハラスメント等の事例が事業者のみの対応では困難な場合は、事業者は、ケアマネジャーと連携し、同時に2人の訪問介護員等によるサービスの提供や、他の訪問介護事業所の利用なども必要に応じて検討することとなります。
 さらに、ケアマネジャー等は、法令等に基づき、利用者のサービス提供に支障等を生じないよう、保険者である区市町村や地域包括支援センターとの相談・連携に努めるものとされるなど、介護保険制度においては、事業者が適切にサービスを行うよう、様々な措置が講じられています。

質問事項
一の6 都では対応できない国における制度の見直しが必要なこともある。保険者である市区町村の意見も集約し、国に必要な措置をするよう求めることが必要であるが、見解を伺う。

回答
 国は、平成30年度、老人保健健康増進等事業において、介護現場におけるハラスメントに関する調査研究を実施し、訪問介護等の介護現場におけるハラスメントの実態把握や介護事業者におけるハラスメント対策の取組事例の収集等を行い、介護現場の実態を踏まえ効果的な対策を検討していくとしており、都は、こうした国の動向を注視していきます。

質問事項
二 障がい児、障がい者の居場所について
1 国は報酬改定を行い、放課後等デイサービスについて事業所区分を導入したが、市区町村による利用児童の指標判定に混乱が生じ、また、報酬額の低下により、事業所によっては運営が危ぶまれるところがでてきている。今回の報酬改定に関して適切な運営がなされることが必要であるが見解を伺う。

回答
 都は、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に向け、平成29年11月に、報酬改定や、制度改正の具体的内容について、「区市町村、事業者の準備期間や、障害者とその家族への周知のための期間が適切に確保できるよう、早期に提示すること。」や放課後等デイサービスについて、「障害の程度や特性に応じた支援内容を適切に評価し、サービス提供の実態に即した報酬単価とすること。」等を国に対して緊急要望しました。
 また、報酬改定後の平成30年6月にも、「肢体不自由のある児童や重度の障害のある児童等の受入れに対する評価を更に充実するなど、サービス提供の実態に即した報酬水準となるよう一層の改善を行うこと。」等を国に対して要望したところであり、今後も区市町村や事業者の状況等を踏まえ、必要に応じて要望を行っていきます。

質問事項
二の2 あらためて、青年・成人の障がい者の余暇活動の充実を図るため、より一層の取り組みが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 青年・成人期の障害者の交流や集団活動は、障害者総合支援法に定める地域生活支援事業として、区市町村が日中一時支援やレクリエーション活動等支援を実施していますが、国から事業実績に見合った額の財源が交付されておらず、区市町村に超過負担が生じています。
 このため、都は、区市町村が利用者のニーズに応じて必要な給付を行えるよう、国に対し、十分な予算措置を講じることを要望しています。
 また、都は、青年・成人期の障害者が日中活動や就労後に、障害者相互や地域住民等、様々な人々と交流し、集団活動等を行う区市町村の取組を、包括補助事業で支援しており、平成29年度では7区市が実施しています。
 今後も、青年・成人期の余暇活動に関する取組を区市町村に対する説明会等において周知を図るとともに、地域における創意工夫を凝らした取組を紹介する事例集に盛り込むなど、多くの区市町村において実施されるよう働き掛けていきます。

質問事項
三 多文化共生社会への取組について
1 都として国際社会にふさわしい体制を構築し、在日外国人を含めた多文化共生社会への取り組みをより一層行う必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 東京の在住外国人は54万人を超え、政府の外国人材受入拡大方針等を背景に、今後も増加が見込まれており、外国人が地域社会で安心して生活できる環境を整備する必要性が高まっています。
 都は、在住外国人に向け基本的な生活習慣等を紹介する冊子「Life in Tokyo:Your Guide」を発行するとともに、東京都国際交流委員会と連携し、区市町村やNPOにおける外国人支援を担う人材の育成や、ホームページで生活に役立つ情報を多言語で提供するなど様々な施策を展開してきました。
 今後、区市町村等に対する東京都国際交流委員会の支援機能を拡充するなど、外国人と日本人が共に活躍できる多文化共生社会の実現に向けて取り組んでいきます。

質問事項
三の2 日本に滞在する外国人が増加する中、日本語を母語としない子どもの教育の充実が求められる。しかし、教育委員会には政策をつくり運用する部署がない。今後、政策の充実のため部署の設置を求めるが、見解を伺う。

回答
 日本語を母語としない児童・生徒の教育については、就学支援や日本語学級の設置、日本語指導の問題など多岐にわたる課題があります。
 これまでも都教育委員会では、こうした課題についてそれぞれの専門部署が連携・協力して適切に対応するとともに、区市町村教育委員会とも連携し、丁寧な対応に努めてきました。
 また、東京都教育相談センターにおいては、日本語による相談に加え、通訳を介した外国語による相談も受け付けるなど、教育相談体制の充実にも努めてきました。
 今後とも組織間の連携を密にし、より一層きめ細かい対応に取り組んでいきます。

質問事項
三の3 各市区町村における日本語学級の設置状況についても自治体間により格差がある。都としても市区町村への支援が必要である。見解を伺う。

回答
 区市町村は、都の定める要綱に基づき、公立小・中・義務教育学校に就学している外国人児童・生徒で日本語能力が不十分な者に対し、日本語の習得を目的とする授業を行うことにより、通常の教科についての学習理解及び生活習慣の習得を容易にして、教育効果の向上を図るため、日本語学級を設置しています。
 都教育委員会は、毎年度実施する区市町村の学事担当職員向けの連絡会において配布する「学事事務取扱解説集」に要綱を掲載し、日本語学級の設置に関する手続について詳細に説明するとともに、設置を希望する場合の相談方法についても周知するなど、区市町村に対してきめ細かく支援しています。

質問事項
三の4 日本語教育の政策立案に際して、実態調査を実施、公表する必要がある。見解を伺う。

回答
 文部科学省は、日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査を、隔年で実施しています。
 都教育委員会は、文部科学省が調査を行わない年には、同様の調査を行い、実態把握に努めています。
 また、この調査結果については、毎年、日本語指導に関する資料としてまとめ、区市町村教育委員会及び都立学校に配布しています。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 TOKYOチャレンジネットについて
二 豊洲市場水産仲卸売場棟の北側にあるマンホールの噴出について

一 TOKYOチャレンジネットについて
 東京都福祉保健局は昨年「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」を実施しました。このなかで、住居を喪失するに至った理由として、「仕事をやめて家賃などを払えなくなった」、「なりそうなため」と答えたのが、全体で32.9%でした。不安定就労者では、33.7%と高く、正社員でも26.7%と高いことが明らかになりました。しかも、「仕事をやめて寮や住み込み先を出た(出ることになりそうな)ため」と答えたのは、不安定就労者の21.6%でした。このことは、仕事がなくなれば住居を失う可能性が大きいことを示しています。
 「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」は、東京都の雇用・福祉施策を考える上で大変重要な資料だと痛感しました。
 住まいが喪失した人や喪失しそうな方々が相談できる窓口としてTOKYOチャレンジネットの取り組みはますます求められると思います。そこで、TOKYOチャレンジネットについて伺います。
1 TOKYOチャレンジネットの取り組みについて伺います。
2 相談件数、就労支援、一時住宅への入所者数などの実績について伺います。
3 介護研修について、研修参加者数、資格取得者数、介護職への就職などの実績について伺います。
4 一時住宅は、都内に何か所・何部屋ありますか。
5 一時住宅は、民間住宅や都営住宅などを借り上げていると聞きましたが、借り上げる費用はどこが負担しているのですか。
6 一時住宅の管理はどこが行っていますか。また、管理費用はどのくらいかかりますか。
7 TOKYOチャレンジネットは、委託事業になっていますが、2015年度、2016年度、2017年度の予算額と決算額はどうなっていますか。
8 2018年度の予算額はいくらですか。
9 事業委託先はどのようにして決めるのですか。2011年度、2014年度、2017年度は、何者(事業者)から応募がありましたか。
10 2017年度は、応募が1者(事業者)だということですが、1者である場合は、もう一度公募して複数の公募事業者から委託先を決めるべきですが、いかがですか。

二 豊洲市場水産仲卸売場棟の北側にあるマンホールの噴出について
 豊洲市場の水産仲卸売場棟の北側にあるマンホールから水が噴出し、インターネット動画(9月23日)が発信され「どうなっているのか」と大問題になりました。
 9月10日、農水省の認可がおりましたが、認可されても食の安全・安心の問題、市場業者との合意の問題など何も解決していません。それどころか、水産仲卸売場棟の北側バースなど11箇所のひび割れ「地盤沈下」が起こり、今回のマンホールからの水の噴出など、10月11日の開場日を前に、あらたな問題が次々と起こっています。
 開場後もどうなるのか心配です。今、きちんと調査し市場業者や都民に丁寧に説明することが求められています。事実の確認のためにいくつか質問します。
1 水産仲卸売場棟の北側にあるマンホールから地下水があふれたのは、いつですか。
2 マンホールからの水の噴出の原因は、何ですか。
3 マンホールからの水の噴出は、初めてですか。
4 あふれた水は、どのような水ですか。
5 「付着物」とは何ですか。
6 あふれた水の水質調査は行ったのですか。
7 水は排水溝に流れたようですが、どのように処理したのですか。

平成30年第三回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 TOKYOチャレンジネットについて
1 TOKYOチャレンジネットの取り組みについて伺う。

回答
 都は、平成20年度から、住居を失いインターネットカフェなどで寝泊まりしながら不安定な就労をしている方を対象に、支援拠点であるTOKYOチャレンジネットを設置して、生活、居住、就労に関する相談援助や一時的な住宅の提供、資金貸付、資格取得支援などの総合的な支援を行っています。

質問事項
一の2 相談件数、就労支援、一時住宅への入所者数などの実績について伺う。

回答
 平成29年度のTOKYOチャレンジネットの実績は、以下のとおりです。
 相談支援では、来所による相談件数は延べ7,569件であり、継続的な相談のための登録を行った方は987人となっています。
 就労支援では、就労相談件数は延べ2,464件、職業紹介件数は延べ334件であり、紹介後の採用者数は259人となっています。
 居住支援では、住居を喪失した方に提供している一時利用住宅の利用者数は397人となっています。

質問事項
一の3 介護研修について、研修参加者数、資格取得者数、介護職への就職などの実績について伺う。

回答
 都は、TOKYOチャレンジネットで、介護職場での就職を目指す離職者等に対し、介護職初任者研修を無料で実施しています。
 平成29年度の介護職初任者研修の受講者数は109人、研修修了者数は84人であり、研修修了者のうち介護職場への就職者数は76人です。

質問事項
一の4 一時住宅は、都内に何か所・何部屋あるか伺う。

回答
 民間アパート等を借り上げて、住居を喪失した方に原則3か月間を限度として提供している一時利用住宅は、平成30年10月現在、都内に67か所、100部屋を確保しています。

質問事項
一の5 一時住宅は、民間住宅や都営住宅などを借り上げていると聞いたが、借り上げる費用はどこが負担しているのか伺う。

回答
 一時利用住宅の借上げ費用は、都が負担しています。

質問事項
一の6 一時住宅の管理はどこが行っているのか。また、管理費用はどのくらいかかるか伺う。

回答
 一時利用住宅は、都が委託している事業者が借り上げて管理しています。賃料以外のクリーニングに係る費用や修繕費などの管理費用は、平成29年度実績で約2,531万円です。

質問事項
一の7 TOKYOチャレンジネットは、委託事業になっているが、2015年度、2016年度、2017年度の予算額と決算額はどうなっているか伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネット(住居喪失不安定就労者・離職者等サポート事業)の当初予算額は、平成27年度(2015年度)約6億2,344万円、平成28年度(2016年度)約6億7,685万円、平成29年度(2017年度)約6億4,630万円であり、決算額は、平成27年度約4億9,384万円、平成28年度約5億2,827万円、平成29年度約5億2,400万円です。

質問事項
一の8 2018年度の予算額はいくらか伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネット(住居喪失不安定就労者・離職者等サポート事業)の平成30年度(2018年度)の当初予算額は、約5億9,473万円です。

質問事項
一の9 事業委託先はどのようにして決めるのか。2011年度、2014年度、2017年度は、何者(事業者)から応募があったか。

回答
 TOKYOチャレンジネットの事業者選定に当たっては、都のホームページで事業者を募集し、応募があった事業者の中で、企画提案方式により、選定を行っています。
 平成23年度(2011年度)、平成26年度(2014年度)、平成29年度(2017年度)ともに、1事業者から応募がありました。

質問事項
一の10 2017年度は、応募が1者(事業者)だということだが、1者である場合は、もう一度公募して複数の公募事業者から委託先を決めるべきであるが、見解を伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットの委託事業者は、運営事業者選定委員会設置要綱に基づいて、外部委員を含めた選定委員会による審査を踏まえて適切に事業者を選定しています。

質問事項
二 豊洲市場水産仲卸売場棟の北側にあるマンホールの噴出について
1 水産仲卸売場棟の北側にあるマンホールから地下水があふれたのは、いつか伺う。

回答
 豊洲市場水産仲卸売場棟の北側積込場にある、地下水管理システムのマンホールからいっ水があったのは、平成30年9月23日午後2時30分頃です。

質問事項
二の2 マンホールからの水の噴出の原因は何か伺う。

回答
 地下水管理システムの各揚水井戸から揚水された地下水は、場内に敷設されている送水管に集められ、排水施設棟へ送水されています。
 送水管内に空気が溜まった場合、水の流れを阻害する可能性があることから、送水管には管内の空気だけを排出するための空気弁が設けられています。
 今回の事象は、送水管の内側の付着物が、この空気弁に挟まったことにより、送水管内の水もあふれ出たものと認識しています。

質問事項
二の3 マンホールからの水の噴出は、初めてか伺う。

回答
 マンホールからのいっ水は平成30年9月23日に発生しましたが、その4日前の同月19日に、開場に先立つメンテナンスの一環として、6街区において、地下水管理システムの送水管の清掃を実施しました。
 今回の事象は、管清掃で剥がれやすくなっていた管内側の残留付着物が、送水により剥がれ、空気弁に挟まったことにより生じたものと認識しています。
 送水管の清掃は、今回初めて実施したものであり、こうした事象を確認したのは今回が初めてです。

質問事項
二の4 あふれた水は、どのような水か伺う。

回答
 地下水管理システムの各揚水井戸から揚水された地下水は、場内に敷設されている送水管に集められ、排水施設棟へ送水されています。今回のマンホールからのいっ水は、排水施設棟へ送水するまでの間で生じたものです。

質問事項
二の5 「付着物」とは何か伺う。

回答
 豊洲市場用地は埋立地であり、これまでも井戸やポンプ等の揚水施設には、海水に由来する水酸化マグネシウムの付着が確認されています。
 また、再生砕石に由来する炭酸カルシウムの付着も確認されており、今回の付着物もこうしたものによるものと考えています。

質問事項
二の6 あふれた水の水質調査は行ったのか伺う。

回答
 いっ水時には、いっ水を速やかに止めるよう、迅速に措置を講じることを優先したことから、あふれた水の水質調査は実施していません。
 地下水管理システムの各揚水井戸から揚水された地下水は、場内に敷設されている送水管に集められ、排水施設棟へ送水されています。送水された水の水質については、排水処理の前後で自動分析や公定分析を実施していますが、いずれの分析においても、例えば、ベンゼンやシアンは下水排除基準に適合しています。
 今回のいっ水については、速やかに空気弁を閉塞したことから、流出した水の量や範囲は限定的であり、周辺環境や市場業務に影響を及ぼすことはないと認識しています。

質問事項
二の7 水は排水溝に流れたようであるが、どのように処理したのか伺う。

回答
 いっ水した水は、場内に敷設されている、側溝に流れ、最終的には、下水道に流入しています。
 なお、今回のいっ水については、速やかに空気弁を閉塞したことから、流出した水の量や範囲は限定的であり、また、現在、豊洲市場における全ての空気弁は閉じられた状態にあります。さらに、今後、空気弁を開く際には職員立会いの下、短時間で行うこととしているため、今回のような事象は生じないと考えています。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 都立水元公園の管理改善について
二 風疹の緊急対策について

一 都立水元公園の管理改善について
 水元公園は水郷景観のある都内唯一の都立公園です。豊かな自然と都市型公園の機能を併せ持ち、多くの都民に愛されてきました。その広さは96ヘクタール広大で、江戸時代につくられた小合溜に沿うこの公園には、中央広場のような明るく開けた草原、メタセコイアやハンノキなどが生い茂る樹林、水辺や菖蒲田、ガマ田などの湿地、バードサンクチュアリなど、さまざまな環境があることで、植物、昆虫や鳥類などの種類がとても豊富です。絶滅危惧種に指定されているものも多く観測されています。しかし、近年アサザも、オニバスも急激に減少し、売店前の広場にある噴水はもう4年以上水が止まっています。
 水元公園のもう一つの特徴は、都内最大の都市型公園でもあるという点です。散歩やバーベキューを楽しみ、お弁当をひろげてくつろぐ姿、子どもが元気に遊ぶ姿にあふれ、この公園がいかに多くの都民に愛されているかを物語っています。
 だからこそ、さまざまな世代の都民から意見や、要望が寄せられます。私は、葛飾区民の誇りであり、都民の宝である水元公園の豊かな自然が守られ、広く都民から愛される公園としてあり続けるために、公園管理について、以下質問します。
1 噴水広場の噴水が4年以上も止まったままです。今では土が敷かれ植栽のようになっています。公園正面の入り口であり、水元公園を象徴するような噴水が、訪れる人たちを迎えていたのに、見る影もない現状に、多くの区民が噴水の再開を求めています。水郷景観を象徴していた噴水の再開を待ち望む地域住民の声に都として、応えるべきだと思いますが、見解を伺います。
2 菖蒲祭りは、毎年区のさまざまな団体が協賛し、同時期に開催される堀切菖蒲園の菖蒲祭りとともに、地域の重要なイベントとなっています。しかし、今年6月の菖蒲まつりでは13ある菖蒲田のほとんどで花が咲いておらず、多くの区民と来訪者をがっかりさせることとなりました。一方で堀切菖蒲園の菖蒲は、今年も見事な花を咲かせ、来園者の目を楽しませました。都として、菖蒲田の管理を堀切菖蒲園に学び、水元公園の菖蒲田を復活させることを求めますが、いかがですか。
3 水元公園の豊かな自然環境を守るためには、専門的知識を持った職員が必要です。江戸金魚の水槽の保全、洋式トイレの速やかな整備、拡張された東金町8丁目との一体的整備や加用水の解決など、課題が山積しています。都として公園管理のあり方を抜本的に見直すべきではありませんか。都の見解を伺います。

二 風疹の緊急対策について
 風疹の感染が関東地方を中心に拡大しています。国立感染症研究所の感染症疫学センターによれば、今年第1週から第38週までの風疹患者累積報告数は770人になり、2008年の全数届出開始以降、2013年、2012年についで3番目に多い報告数となり、首都圏を中心に感染が広がりつつあります。
 東京都感染症情報センターによれば、都内の風疹報告数は、今年第1週から第38週までで239人に上っています。
 2013年の大流行時には全国で14,344人の患者が報告され、この流行に関連した先天性風疹症候群が45人確認されています。先天性風疹症候群は、妊娠20週ぐらいまでの妊婦が風疹にかかると、おなかの赤ちゃんにもウイルスが感染して起こる病気で、難聴や白内障、心臓病といった深刻な影響が出るおそれがあります。
 風疹の拡大を防ぐためには、社会全体で免疫を持っている人の割合を高くする必要があります。
 しかし、予防接種法に基づく感染症流行予測事業の2017年度の調査結果でも、30代から50代の男性の抗体保有率が低くなっています。これは、この世代のワクチン接種が十分に行われなかったためであり、感染者数もこの世代で多くなっていることから、特に対策が必要です。
 しかし、東京都から区市町村への予防接種費用の補助は、妊娠を予定または希望する女性を対象とする場合に限られており、対象の拡大が必要です。
 以上を踏まえ、風疹の感染拡大と、それに伴う先天性風疹症候群を予防するために、以下質問します。
1 国立感染症研究所は、「女性は妊娠前に2回の風疹含有ワクチンを受けておくこと、妊婦の周囲の者に対するワクチン接種を行うことが重要である。また、30代から50代の男性で風疹に罹ったことがなく、風疹含有ワクチンを受けていないか、あるいは接種歴が不明の場合は、早めにMRワクチンを受けておくことが奨められる。」としています。風疹は、ワクチンで予防可能な感染症であり、男性も含めた30代から50代のすべての成人に対してMRワクチン接種への助成をできるよう、区市町村への補助を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
2 1のほか、医療関係者、教育、保育関係者、妊婦の同居家族なども感染の拡大を予防するために重要です。必要とするすべての人への予防接種費用について区市町村への補助を行うべきですが、いかがですか。
3 また、居住地以外で接種した場合に、「償還払い」が受けられない区市町村もあります。区市町村に積極的に働きかけ、居住地以外でも費用の心配をすることなく予防接種ができるようにするべきだと考えますが、都の見解を伺います。
4 MRワクチン接種への費用助成は、抗体検査をすることが前提となっているのが現状です。しかし、国立感染症研究所は、抗体検査なしでワクチン接種をしても差し支えないと、述べています。感染の拡大を抑え、先天性風疹症候群を防止するためにも、希望する人には抗体検査なしでもワクチン接種の助成を行うべきですが、都の見解を伺います。
5 国と連携し、各種のワクチンで近年繰り返されている供給不足の実態・原因を分析・評価し、ワクチン供給体制の問題点を具体的に明らかにしてワクチン供給不足への対策を早期に行うべきです。都の見解を伺います。

平成30年第三回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都立水元公園の管理改善について
1 多くの区民が噴水の再開を求めている。水郷景観を象徴していた噴水の再開を待ち望む地域住民の声に都として、応えるべきだと思うが、見解を伺う。

回答
 水元公園は、埼玉県と東京都の県境に位置し、小合溜に沿って、広々とした水郷の景観が広がる約96ヘクタールの公園です。
 水元公園の噴水施設については、平成29年度までに設計を完了しており、平成30年度及び平成31年度に改修工事を実施する予定です。
 引き続き、水元公園の特性を生かした公園整備に努めていきます。

質問事項
一の2 都として、菖蒲田の管理を堀切菖蒲園に学び、水元公園の菖蒲田を復活させることを求めるが、見解を伺う。

回答
 水元公園の菖蒲田は、水郷景観の象徴であり、約9,000平方メートルに約100品種、約20万本のハナショウブが植えられています。
 指定管理者である公益財団法人東京都公園協会は、これまでも、花付きの悪いハナショウブの植替えや、菖蒲田に繁茂しやすい雑草の除去など、開花率の向上に取り組んできました。
 引き続き、指定管理者と協力しながら、更に見応えのある美しい菖蒲田の実現に努めていきます。

質問事項
一の3 水元公園の豊かな自然環境を守るためには、専門的知識を持った職員が必要である。江戸金魚の水槽の保全、洋式トイレの速やかな整備、拡張された東金町8丁目との一体的整備や加用水の解決など、課題が山積している。都として公園管理のあり方を抜本的に見直すべきではないか。都の見解を伺う。

回答
 水元公園は、メタセコイアが1,800本も林立する「メタセコイアの森」やバーベキュー広場、水郷景観を象徴する菖蒲田や水生植物園などがあり、四季を通じて散策や自然観察を楽しめるとともに、様々な魅力を有する大規模な公園です。
 指定管理者である公益財団法人東京都公園協会は、これまでも水郷景観の保全や、アサザ、オニバス等の水生植物の保全など、専門的な知識を生かして維持管理業務に取り組んできました。
 今後とも、希少な水生植物の保護増殖や外来種の駆除等の取組を強化するなど、水元公園の特性を踏まえた維持管理を行っていきます。
 加用水の公園化など様々な課題については、引き続き、地元区や関係機関と連携するなど、取組を進めていきます。

質問事項
二 風疹の緊急対策について
1 風疹は、ワクチンで予防可能な感染症であり、男性も含めた30代から50代のすべての成人に対してMRワクチン接種への助成をできるよう、区市町村への補助を行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 風しんは、免疫を持たない妊婦が妊娠20週頃までの妊娠初期に感染すると、胎児が、難聴、白内障、先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群にかかるおそれがあることから、都は、妊娠を予定又は希望する女性を対象に抗体検査と予防接種を一体的に行う区市町村を、包括補助で支援しています。
 平成30年7月以降、風しん患者が急増している状況を踏まえ、都は緊急対策として、同年10月から、抗体検査と予防接種の対象を、妊婦の同居者、妊娠を予定又は希望する女性の同居者にも拡大しました。
 また、今般の流行において患者の多くを占めている働く世代の感染予防として、職場で風しんのり患歴や予防接種歴の確認を行うよう呼び掛けるほか、従業員への普及啓発や、抗体検査と予防接種の促進等に取り組む企業を支援するなど、職域における風しん対策を推進しています。

質問事項
二の2 医療関係者、教育、保育関係者、妊婦の同居家族なども感染の拡大を予防するために重要である。必要とするすべての人への予防接種費用について区市町村への補助を行うべきであるが、見解を伺う。

回答
 予防接種に必要なワクチンは、法律に基づく定期予防接種の対象者を中心に需要を見込み、計画的に生産されています。
 急激な需要の増加に対応し、短期間に生産量を増加させることは難しいことから、効果的かつ効率的な予防接種の実施が求められます。
 都は、風しん対策における最優先の課題である先天性風しん症候群の発生防止対策として、妊娠を予定又は希望する女性を対象に抗体検査と予防接種を一体的に行う区市町村を、包括補助で支援しています。
 また、今般の流行状況を踏まえ、妊婦や妊娠を予定又は希望する女性の同居者についても、平成30年10月から抗体検査と予防接種の対象に加え、積極的に検査を受け、必要な場合には接種を受けるよう、区市町村や関係機関と連携して呼び掛けています。

質問事項
二の3 居住地以外で接種した場合に、「償還払い」が受けられない区市町村もある。区市町村に積極的に働きかけ、居住地以外でも費用の心配をすることなく予防接種ができるようにするべきだと考えるが、都の見解を伺う。

回答
 区市町村が実施主体となって行われる予防接種は、通常、その区市町村が委託した医療機関で実施されています。
 区市町村の委託先ではない医療機関で実施された予防接種の取扱いは、実施主体である区市町村の判断によるものと考えます。

質問事項
二の4 感染の拡大を抑え、先天性風疹症候群を防止するためにも、希望する人には抗体検査なしでもワクチン接種の助成を行うべきであるが、都の見解を伺う。

回答
 予防接種に必要なワクチンは、法律に基づく定期予防接種の対象者を中心に需要を見込み、計画的に生産されています。
 急激な需要の増加に対応し、短期間に生産量を増加させることは難しいことから、効果的かつ効率的な予防接種の実施が求められます。
 国が策定した風しんに関する特定感染症予防指針によれば、風しんにり患したことがないと認識している者でも、一定の割合で風しんの免疫を保有していると考えられており、国民の8割から9割程度が既に抗体を保有している状況を踏まえると、必要があると認められる場合には積極的に抗体検査を実施することで、より効果的かつ効率的な予防接種の実施が期待できるとされています。

質問事項
二の5 国と連携し、各種のワクチンで近年繰り返されている供給不足の実態・原因を分析・評価し、ワクチン供給体制の問題点を具体的に明らかにしてワクチン供給不足への対策を早期に行うべきである。都の見解を伺う。

回答
 都は、都内でワクチンの偏在が生じた場合などに、区市町村、医師会、医薬品卸業団体等の関係機関と連携して、必要なワクチンを円滑に供給するための体制を構築しており、国に対しては、ワクチンの安定供給対策を十分に講じるよう提案要求しています。

平成30年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 曽根はじめ

質問事項
一 東京都におけるエイズ/HIV対策について
一 東京都におけるエイズ/HIV対策について
1 「世界エイズデー」の日本でのキャンペーンテーマが指摘しているように、HIV/エイズに関する取り組みは、いま「大きな転換期」を迎えています。治療法の進歩により、HIVに感染しても、検査を受けて早く感染を発見し、治療を早期に開始して治療を継続すれば、エイズの発症を防ぐことができるようになりました。
 服薬治療を継続すれば、体内のウイルス量を減少させることが可能となり、他の人に感染させるリスクが大きく低下することも確認されています。
 治療法の進歩により、HIVに感染した人の生活は大きく変わり、感染予防にもさまざまな選択肢が用意されるようになっているのです。
 都は、HIV/エイズをめぐって「大きな転換期」にあることを、どう認識していますか。都として「大きな転換期」にふさわしい対策を具体化する必要があると思いますが、いかがですか。
2 東京都は、2009年5月に策定した「エイズ対策の新たな展開」にもとづいてエイズ対策に取り組んできましたが、計画策定から10年が経とうとしています。早急に全面改定して「大きな転換期」にふさわしい、新たな計画を策定すべきです。都の認識を伺います。
3 エイズ対策の新たな計画を策定するにあたっては、期限を定めた数値目標と、具体的な行動計画、その実施状況を複数年にわたって検証・評価する仕組みを明確にする必要があると思いますが、都の見解を伺います。
4 厚生労働省は、本年1月に、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」を全部改正しました。その内容は、HIV感染の早期発見に向けたさらなる施策が必要であることをはじめ、予防、医療の提供、人権の尊重など全面的なものです。都としては、国の「予防指針」の全部改正に、どのように対応するのですか。
5 2014年、国連合同エイズ計画は、HIVの流行を制御する戦略として2020年までに「3つの90%」を達成する目標を提唱しました。
 第1に、HIV感染者のうち感染を自覚している人の割合を90%以上にする、第2に、検査によりHIV陽性と診断された感染者のうち、定期的に治療を受けている人の割合を90%以上にする、第3に、定期的に治療を受けている感染者のうち、他の人に感染させない状態にまでウイルス量を低下させた人の割合を90%以上にする、というものです。
 国連合同エイズ計画はさらに、各目標を2030年までに95%に引き上げることを提唱しています。
 これが、いま世界の大きな流れになっていることを、都はどう認識していますか。都としても、2020年までに「3つの90%」、2030年までに95%を達成する目標をめざして取り組むべきですが、いかがですか。
6 「3つの90%」の目標に関連して、日本では、定期通院者の数や治療状況などについて正確なデータが不足していることが指摘されています。都は国と連携して、こうした調査・研究を推進し、「3つの90%」目標に対する現状を、正確に把握する必要があります。見解を伺います。
7 治療を定期的に受ける人の割合を引き上げるためには、治療法の進歩により、治療の早期開始・継続によりエイズの発症を防ぐことができること、有効な治療法がなく死に至る病であるというのは、もはや過去の話であるなどの正確な情報提供を、さらに強化することが重要です。
 また、エイズ診療拠点病院だけでなく、身近な地域の病院・診療所で適切な治療を受けることができる体制整備が必要です。長期にわたる治療の医療費負担の軽減も、重要な課題です。
 都は、治療を定期的に受ける人の割合を引き上げる対策に、今後どう取り組むのですか。
8 HIVウイルスの量を低下させる薬は着実に進歩しており、2015年には1日1錠、食事時間を気にせず飲める薬が登場しました。しかし毎日確実に、長期にわたって飲み続けることが必要です。
 一例として厚生労働省は、結核患者への服薬支援「DOTS」について、チームによる患者中心の包括的支援、個別患者支援計画の作成、地域におけるDOTSの実施、治療成績評価と地域DOTS実施方法の評価・見直し等を内容とする「戦略方針」を明らかにし、都道府県等に「結核患者に対するDOTS(直接服薬確認法)の推進について」を、技術的助言として通知しています。
 こうしたことも参考にして、医療機関、医療関係者の努力だけにまかせるのでなく、都政の重要課題として位置づけ、服薬支援の体制整備に取り組む必要があります。
 しかも服薬治療の継続は、感染者の状態を改善するだけでなく、他の人への感染をふせぐ予防効果もあることが明らかになっており、服薬治療を支援する体制整備は重要な課題だと思いますが、都の認識を伺います。
9 都として関係機関、区市町村と連携して「HIV感染症の服薬支援推進協議会」または「HIV感染症の服薬支援のあり方検討会」(いずれも仮称)を設置し、エイズ診療拠点病院だけでなく、身近な地域で、医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、カウンセラー等のチーム医療による、同じ水準の服薬支援を受けることができる体制整備、人材育成を進めることが必要ではないでしょうか。見解を伺います。
10 2017年の都の調査では、HIV感染者の69%が20歳未満および20代、30代の若い世代です。都はこれまで、若者のための普及啓発拠点「ふぉー・てぃー」の設置・運営、エイズ・ピア・エデュケーションの実施、若者向けネット配信などに取り組んでいますが、さらに充実、発展させることが必要です。
 また、全部改正された国の「予防指針」では、「性に関する適切な意思決定及び行動選択に係る能力が形成過程にある青少年に対しては、心身の健康を育むための教育等の中で、性に関する重要な事柄の一つとして、HIVに関する知識の普及啓発を行うことが特に重要である」との内容が、新たに記述されました。都は、若い世代の対策に、どう取り組むのですか。また、学校教育等で、HIVなどの性感染症をふくめ、科学的な根拠にもとづく知識を学ぶ性教育を充実・強化することが必要です。いかがですか。
11 若い世代が多く集まる場所に、敷居が低くて入りやすい、無料・匿名で検査できる場所を、臨時や巡回もふくめ、数多く設置することも必要です。都の対応を伺います。
12 都の調査で、外国人のHIV感染者・エイズ患者の報告数は増えており、エイズ専門家会議では、「外国国籍の人たちに向けた対策も必要だということを数年前からのデータは示している」と指摘されています。
 HIV検査の促進をはじめ、外国国籍の人たちに向けた対策を、抜本的に拡充する必要があります。都の認識と対応を伺います。
13 都の南新宿検査・相談室、多摩地域検査・相談室、HIV検査情報webのホームページは、いずれも多言語対応になっていません。都のエイズ専門家会議でも、NPO団体の委員から、南新宿検査・相談室のホームページが日本語表示のみだという指摘がありました。都は、この問題の重要性をどう受け止めていますか。多言語化を、早急に実施すべきですが、いかがですか。
14 都内の梅毒の患者報告数は2011年から増加に転じ、2014年から2016年までの3年間で、報告数が3倍以上と顕著に増加しています。感染原因の多くは性的接触です。
 都は今年度、検査体制強化、医療従事者研修などの「梅毒緊急対策」を実施していますが、さらに拡充・継続が必要です。また、梅毒などの性感染症対策とHIV/エイズ対策を連携させた施策の推進が重要です。見解を求めます。

平成30年第三回都議会定例会
曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都におけるエイズ/HIV対策について
1 都は、HIV/エイズをめぐって「大きな転換期」にあることを、どう認識しているか。都として「大きな転換期」にふさわしい対策を具体化する必要があると思うが、所見を伺う。

回答
 近年の抗HIV療法の進歩により、HIV感染者等の予後が改善され、感染の早期発見、治療の早期開始及び継続により、エイズの発症を防ぐことができ、感染していない人と同等の生活を送ることが期待できるようになっています。
 また、治療の継続により体内のウイルス量が減少すれば、他の人への感染リスクが大きく低下することも確認されています。
 こうした状況を踏まえ、都は、HIV治療の進歩と検査・早期治療の重要性を広く伝えていくため、HIV検査・相談月間やエイズ予防月間などの機会を通じた普及啓発に取り組んでいます。

質問事項
一の2 東京都は、2009年5月に策定した「エイズ対策の新たな展開」にもとづいてエイズ対策に取り組んできたが、計画策定から10年が経とうとしている。早急に全面改定して「大きな転換期」にふさわしい、新たな計画を策定すべきであるが、都の認識を伺う。

回答
 平成30年1月に国は、近年のHIV感染者及びエイズ患者の発生動向や、HIV治療の進歩、エイズを発症した状態で感染が判明した者の割合の高さ等の状況を踏まえ、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」の改正を行っており、都でも、改正された指針の内容を踏まえ、必要な検討を行う予定です。

質問事項
一の3 エイズ対策の新たな計画を策定するにあたっては、期限を定めた数値目標と、具体的な行動計画、その実施状況を複数年にわたって検証・評価する仕組みを明確にする必要があると思うが、都の見解を伺う。

回答
 都のHIV/エイズ対策は、「エイズ対策の新たな展開」で取組目標と具体的な方策を明らかにして取り組むとともに、その実施状況について、毎年、学識経験者で構成する東京都エイズ専門家会議での検証と評価を行っています。

質問事項
一の4 厚生労働省は、本年1月に、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」を全部改正した。その内容は、HIV感染の早期発見に向けたさらなる施策が必要であることをはじめ、予防、医療の提供、人権の尊重など全面的なものである。都としては、国の「予防指針」の全部改正に、どのように対応するのか、所見を伺う。

回答
 国は、HIV感染者及びエイズ患者の発生動向、検査、治療等に関する科学的知見など、HIV/エイズを取り巻く環境の変化に対応し、予防を総合的に推進するため、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」を改正しました。
 都では、改正された指針の内容も踏まえ、今後の都における対策について必要な検討を行う予定です。

質問事項
一の5 2014年、国連合同エイズ計画は、HIVの流行を制御する戦略として2020年までに「3つの90%」を達成する目標を提唱した。国連合同エイズ計画はさらに、各目標を2030年までに95%に引き上げることを提唱している。これが、いま世界の大きな流れになっていることを、都はどう認識しているか。都としても、2020年までに「3つの90%」、2030年までに95%を達成する目標をめざして取り組むべきだが、所見を伺う。

回答
 国連合同エイズ計画は、第一に感染者が検査によりその感染を自覚し、第二に定期的に治療を受け、第三に他者に感染させない状態にまでウイルス量を低下させるという一連のプロセスを「ケアカスケード」と称し、その全てのプロセスにおいて90パーセント以上を達成することをエイズ施策の指標とするよう提唱しています。
 しかしながら、国は、現在のHIV感染者及びエイズ患者の発生動向調査では、新規感染者の数は把握できるものの、定期通院者の数、死亡者数、抗HIV療法の導入状況、治療状況が把握できないことなどを課題として挙げ、継続的な研究が必要であるとしています。
 このため、都は、国の研究等の動向を注視していきます。

質問事項
一の6 「3つの90%」の目標に関連して、日本では、定期通院者の数や治療状況などについて正確なデータが不足していることが指摘されている。都は国と連携して、こうした調査・研究を推進し、「3つの90%」目標に対する現状を、正確に把握する必要があるが、見解を伺う。

回答
 国の「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」では、国連合同エイズ計画による、感染者が検査によりその感染を自覚し、定期的に治療を受け、他者に感染させない状態にまでウイルス量を低下させるという一連のプロセスである「ケアカスケード」について、その評価に資する疫学調査・研究を継続的に実施する必要があるとしています。
 都は、国の動向を注視するとともに、国からの求めに応じて調査等に協力していきます。

質問事項
一の7 治療を定期的に受ける人の割合を引き上げるためには、正確な情報提供を、さらに強化することが重要である。また、エイズ診療拠点病院だけでなく、身近な地域の病院・診療所で適切な治療を受けることができる体制整備が必要である。長期にわたる治療の医療費負担の軽減も、重要な課題である。都は、治療を定期的に受ける人の割合を引き上げる対策に、今後どう取り組むのか、見解を伺う。

回答
 HIV感染者及びエイズ患者に医療を適切に提供するため、都は、HIV/エイズ診療の中核となる医療機関としてエイズ診療協力病院を確保するとともに、各病院が治療などに関する相談にも対応できるよう、患者や家族へのカウンセリングを行う体制を整備しています。
 また、患者支援団体と連携して、患者等からの相談への対応や治療に関する情報提供を行っています。

質問事項
一の8 服薬治療の継続は、感染者の状態を改善するだけでなく、他の人への感染をふせぐ予防効果もあることが明らかになっており、服薬治療を支援する体制整備は重要な課題だと思うが、都の認識を伺う。

回答
 医療機関が行う、HIV感染者及びエイズ患者に対する療養上必要な指導及び感染予防に関する指導は、診療報酬の算定対象とされています。
 都は、HIV/エイズ診療の中核となる医療機関としてエイズ診療協力病院を確保し、HIV感染者及びエイズ患者に医療を適切に提供する体制の整備を図っています。

質問事項
一の9 都として関係機関、区市町村と連携して「HIV感染症の服薬支援推進協議会」または「HIV感染症の服薬支援のあり方検討会」(いずれも仮称)を設置し、エイズ診療拠点病院だけでなく、身近な地域で、医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、カウンセラー等のチーム医療による、同じ水準の服薬支援を受けることができる体制整備、人材育成を進めることが必要ではないか、見解を伺う。

回答
 医療機関が行う、療養上必要な指導及び感染予防に関する指導は、診療報酬の算定対象とされ、また、所定の要件を満たしたチーム医療については加算対象とされています。
 都は、HIV感染者及びエイズ患者への適切な医療提供のために確保したエイズ診療中核拠点病院において、他の協力病院に対する研修事業を実施するなど、HIV/エイズ診療に関する人材の育成を図っています。

質問事項
一の10 全部改正された国の「予防指針」では、「性に関する適切な意思決定及び行動選択に係る能力が形成過程にある青少年に対しては、心身の健康を育むための教育等の中で、性に関する重要な事柄の一つとして、HIVに関する知識の普及啓発を行うことが特に重要である」との内容が、新たに記述された。都は、若い世代の対策に、どう取り組むのか。また、学校教育等で、HIVなどの性感染症をふくめ、科学的な根拠にもとづく知識を学ぶ性教育を充実・強化することが必要であるが、見解を伺う。

回答
 都は、HIV感染者の多くを占める若い世代を対象に、効果的な予防啓発を図るため、若者がHIVやエイズについて主体的に考え、同じ世代の交流や相互学習を通じてHIV等に関する理解を深める取組を行っています。
 また、そのノウハウを生かして青少年施設、学校等での啓発や、ボランティア団体等が行う啓発活動への支援に取り組んでいます。
 小・中・高等学校においては、性感染症の予防について、学習指導要領等に基づいて指導しています。
 具体的には、小学校では、第6学年の保健の授業で、病原体が体に入ることを防ぐことや体の抵抗力等について指導し、中学校では、第3学年の保健の授業で、エイズやその他の性感染症について、疾病の原因や感染経路、予防方法等を指導しています。
 また、高等学校では、保健の授業において、エイズなどの新興感染症や結核などの再興感染症の発生や流行等について指導しています。
 今後とも、児童・生徒の発達段階に応じて系統的に指導することが大切であると考えています。

質問事項
一の11 若い世代が多く集まる場所に、敷居が低くて入りやすい、無料・匿名で検査できる場所を、臨時や巡回もふくめ、数多く設置することも必要である。都の対応を伺う。

回答
 都は、保健所や、南新宿及び多摩地域検査・相談室で、無料・匿名でのHIV検査・相談を実施しています。
 また、HIV検査・相談月間、エイズ予防月間を中心に、NPO等の協力を得ながら、講演会や、繁華街でのライブイベント、街頭キャンペーンなどを行っています。
 さらに、利用者の利便性を考慮し、南新宿検査・相談室の予約受付をインターネットで行えるようにするなど、検査を受けやすい体制の整備に取り組んでいます。

質問事項
一の12 都の調査で、外国人のHIV感染者・エイズ患者の報告数は増えており、エイズ専門家会議では、「外国国籍の人たちに向けた対策も必要だということを数年前からのデータは示している」と指摘されている。HIV検査の促進をはじめ、外国国籍の人たちに向けた対策を、抜本的に拡充する必要がある。都の認識と対応を伺う。

回答
 都の保健所や検査・相談室のHIV検査・相談は、原則として、在日外国人を含む都民を対象としています。
 外国人の方への検査・相談への対応の際は、平易な日本語で対応するとともに、南新宿検査・相談室では、必要に応じて英語での対応も行っています。

質問事項
一の13 都の南新宿検査・相談室、多摩地域検査・相談室、HIV検査情報Webのホームページは、いずれも多言語対応になっていない。都のエイズ専門家会議でも、NPO団体の委員から、南新宿検査・相談室のホームページが日本語表示のみだという指摘があった。都は、この問題の重要性をどう受け止めているか。多言語化を、早急に実施すべきであるが、見解を伺う。

回答
 都の保健所や検査・相談室におけるHIV検査・相談は、原則として、在日外国人を含む都民を対象としています。
 そのため、利用者は日常使われる基本的な日本語については理解ができると考えられることから、ホームページは日本語表記としています。
 今後、検査について広く周知するため、HIV感染者及びエイズ患者発生動向を踏まえ、必要な検討を行っていきます。

質問事項
一の14 都内の梅毒の患者報告数は2011年から増加に転じ、2014年から2016年までの3年間で、報告数が3倍以上と顕著に増加している。感染原因の多くは性的接触である。都は今年度、検査体制強化、医療従事者研修などの「梅毒緊急対策」を実施しているが、さらに拡充・継続が必要である。また、梅毒などの性感染症対策とHIV/エイズ対策を連携させた施策の推進が重要であるが、見解を伺う。

回答
 都はこれまでも、性感染症の啓発パンフレットに、HIV、エイズのほか、梅毒や性器クラミジア感染症などの予防等に関する情報を併記し、啓発を進めるとともに、南新宿検査・相談室でHIVと梅毒の同時検査を実施してきました。
 近年における梅毒の報告数の増加を受け、平成30年4月からは、南新宿検査・相談室で週3日実施していたHIVと梅毒の同時検査を、祝日・年末年始を除く毎日実施に拡充するとともに、多摩地域検査・相談室でも同時検査を開始しています。
 さらに、平成30年11月に、HIV、エイズと梅毒を含めた性感染症に関するホームページを新設し、感染予防の啓発や、検査についての情報発信を行っています。

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