平成三十年東京都議会会議録第十三号

平成三十年九月二十七日(木曜日)
 出席議員 百二十五名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番おじま紘平君
六番西郷あゆ美君
七番滝田やすひこ君
八番藤井あきら君
九番やながせ裕文君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番奥澤 高広君
二十一番森口つかさ君
二十二番村松 一希君
二十三番内山 真吾君
二十四番斉藤れいな君
二十五番もり  愛君
二十六番龍円あいり君
二十七番おときた駿君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番柴崎 幹男君
三十一番舟坂ちかお君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番あかねがくぼかよ子君
四十一番保坂まさひろ君
四十二番関野たかなり君
四十三番福島りえこ君
四十四番つじの栄作君
四十五番清水やすこ君
四十六番白戸 太朗君
四十七番増田 一郎君
四十八番馬場 信男君
四十九番上田 令子君
五十番清水 孝治君
五十一番大場やすのぶ君
五十二番小宮あんり君
五十三番鈴木 章浩君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番佐野いくお君
六十四番細谷しょうこ君
六十五番栗下 善行君
六十六番両角みのる君
六十七番平  慶翔君
六十八番後藤 なみ君
六十九番鳥居こうすけ君
七十番菅原 直志君
七十一番森澤 恭子君
七十二番木下ふみこ君
七十三番ひぐちたかあき君
七十四番早坂 義弘君
七十五番高橋 信博君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番秋田 一郎君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番入江のぶこ君
八十九番森村 隆行君
九十番本橋ひろたか君
九十一番田の上いくこ君
九十二番桐山ひとみ君
九十三番米川大二郎君
九十四番石川 良一君
九十五番中山ひろゆき君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番中屋 文孝君
九十九番宇田川聡史君
百番神林  茂君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番たきぐち学君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番三宅 正彦君
百二十一番山崎 一輝君
百二十二番吉原  修君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 一名
 五十九番  遠藤  守君
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
副知事多羅尾光睦君
教育長中井 敬三君
東京都技監建設局長兼務西倉 鉄也君
政策企画局長梶原  洋君
総務局長代理次長榎本 雅人君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監三浦 正充君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
都市整備局長佐藤 伸朗君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長藤田 裕司君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長小山 哲司君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長堤  雅史君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長澤   章君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

九月二十七日議事日程第三号
第一 第百六十五号議案
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百六十六号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百六十七号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十八号議案
東京都石油コンビナート等防災本部条例
第五 第百六十九号議案
東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例
第六 第百七十号議案
土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百七十一号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第八 第百七十二号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第九 第百七十三号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十 第百七十四号議案
東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百七十五号議案
東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第十二 第百七十六号議案
東京都工業用水道条例を廃止する等の条例
第十三 第百七十七号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十八号議案
産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築工事請負契約
第十五 第百七十九号議案
都立府中東高等学校(三十)校舎棟ほか改築工事請負契約
第十六 第百八十号議案
東京消防庁本町待機宿舎(三十)改築工事請負契約
第十七 第百八十一号議案
都営住宅三十H─一〇一東及び三十M─一〇三東(北区田端新町一丁目)工事請負契約
第十八 第百八十二号議案
都営住宅三十H─一〇一西(世田谷区北烏山二丁目)工事請負契約
第十九 第百八十三号議案
東京体育館(三十)改修工事その二請負契約
第二十 第百八十四号議案
東京都立川福祉保健庁舎(三十)改築工事請負契約
第二十一 第百八十五号議案
東京消防庁大森消防署馬込出張所庁舎(仮称)(三十)改築工事請負契約
第二十二 第百八十六号議案
都立東大和療育センター(三十)改修工事請負契約
第二十三 第百八十七号議案
東京体育館(三十)改修電気設備工事請負契約
第二十四 第百八十八号議案
都立東大和療育センター(三十)改修空調設備工事請負契約
第二十五 第百八十九号議案
都立東大和療育センター(三十)改修電気設備工事請負契約
第二十六 第百九十号議案
都立東大和療育センター(三十)改修給水衛生設備工事請負契約
第二十七 第百九十一号議案
都立大島海洋国際高等学校実習船「大島丸」製造請負契約
第二十八 第百九十二号議案
城北中央公園調節池(一期)工事その二請負契約
第二十九 第百九十三号議案
境川金森調節池工事その二請負契約
第三十 第百九十四号議案
中川護岸耐震補強工事(その四十五)請負契約
第三十一 第百九十五号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十九)請負契約
第三十二 第百九十六号議案
海の森水上競技場の指定管理者の指定について
第三十三 第百九十七号議案
夢の島公園アーチェリー場の指定管理者の指定について
第三十四 第百九十八号議案
カヌー・スラロームセンターの指定管理者の指定について
第三十五 第百九十九号議案
大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場の指定管理者の指定について
第三十六 第二百号議案
東京アクアティクスセンターの指定管理者の指定について
第三十七 諮問第四号
地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第三十八 平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第三十九 平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都公安委員会委員の任命の同意について(三〇財主議第二九三号)
第二 議員提出議案第十七号
東京都公立学校施設における冷房機器の整備促進に関する条例
第三 議員提出議案第十八号
東京都マタニティパスの交付等の助成に関する条例

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十七号、東京都公立学校施設における冷房機器の整備促進に関する条例外条例一件、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意についてがそれぞれ提出をされました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(尾崎大介君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十六番両角みのる君
〔六十六番両角みのる君登壇〕

○六十六番(両角みのる君) 西日本豪雨を初め、このたびの北海道胆振東部地震などにより被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 さて、近年、自然災害が頻発する中で、災害時のドローン活用が注目をされています。五月に、警察・消防委員会で訪れた熊本では、地震の際、ドローンが活躍をしておりました。導入、運用コストが低く、速やかな初動で迅速に移動できるドローンは、災害状況調査や行方不明者の捜索など活用が期待をされております。
 総務省消防庁では、全政令市消防本部へ、ドローンの無償貸与を開始し、既に千葉市では運用がなされるなど、ドローン導入の流れは加速をしています。
 地球温暖化による風水害の多発、首都直下地震の切迫性の高まりなどを踏まえ、ドローンを有効活用すべきと考えますが、災害現場におけるドローンの活用に向けた東京消防庁の取り組みを伺います。
 プラスチック類による海洋汚染は、ホットなトピックスとして国内外に関心を呼んでいます。このパネルのように、世界の海はプラスチックにより汚染をされ、海洋生物に深刻な影響が及んでいます。
 こうした中、本年六月には、海岸漂着物処理推進法が改正され、事業者のマイクロプラスチック使用抑制が努力義務とされました。一方で、G7サミットでは、海洋プラスチック憲章に日本と米国のみが署名をしませんでした。
 これを受け、知事は、都としてこの憲章を強く支持し、実効性ある抑制策の議論をしていくことを表明しました。現在、都の廃棄物審議会で、プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方が議論されております。
 米国シアトルでは、ことしの夏から、市内の五千のレストランでプラスチック製のストローやフォークなどの提供が禁止されました。スターバックスや、すかいらーくでは、二〇二〇年までに、プラスチック製ストローの全廃方針を打ち出しました。
 都が海洋プラスチック憲章支持を即座に打ち出したことを評価するものですが、国に先駆けて憲章支持を打ち出した東京都であればこそ、今、このタイミングで、新聞の全面広告掲載など、大規模な広報による啓発活動を展開すべきではないでしょうか。
 また、今後は、企業に協力してもらい、たばこの健康への影響表示のように、商品パッケージにマイクロプラスチックの情報を表示するなども検討に値すると思いますが、マイクロプラスチックと海洋ごみ問題に対する知事の所見と今後の都の取り組みを伺います。
 さて、本年三月の目黒区の少女虐待死事件は世間に衝撃を与えました。事件を受け、国は、緊急総合対策を取りまとめ、都も児童相談所の体制強化などを打ち出しました。
 これまで都は、平成二十八年度から三カ年で百十九人の児童相談所の職員増員に取り組んできましたが、いまだ都児相の職員負担は、全国的に見ても非常に重いのが現状です。今般、都はさらなる児童相談所の体制強化を打ち出しましたが、来年度以降の中期的な職員の増員計画と配置の考えを伺います。
 また、直近三カ年で、一時保護所職員は五人の増員にとどまっていますが、定員超過の入所状況を踏まえ、一時保護所職員を計画的に増員をしていくべきです。所見を伺います。
 現在、都の一時保護所は二人から八人の相部屋となっており、個室はありません。これに定員オーバーの入所が加わり、限られたスペースで、より多くの子供たちが生活せざるを得ないのが実態です。虐待で傷ついた子供たちを保護する施設は、子供たちが心落ちつけることのできる場所であってほしいと願います。
 都は、児童の人権尊重を旨とする一時保護所の理念を定めています。また、本年七月には、厚生労働省子ども家庭局長名で、一時保護所は個室対応を基本とするよう通達がなされておりますが、改修中の八王子児童相談所や、足立児童相談所など今後建てかえ等をする一時保護所の整備方針を伺います。
 本年二月、学校における働き方改革推進プランが発表されました。この問題は本質的には、教員のマンパワーを厚くすることが重要と考えますが、現状では、本プランを都内全公立学校で迅速かつ着実に実行していくことが重要です。
 そのためには、期間を定め、より具体的な到達目標を設定したアクションプランを策定し、計画の進捗管理を図ることが有効です。
 そこで、今後のプランの進捗管理について伺います。
 学校現場においては、副校長の激務が特に指摘をされており、主幹教諭の増員や、副校長OBを活用した学校経営支援員制度など、国や都の各種メニューが用意をされています。
 一方で、学校教育法により必置とされている小中学校事務職員の活用は不十分です。
 都教委が平成二十一年に取りまとめた小中学校事務職員の活用に関する検討会報告書では、事務職員の任命権移譲など法改正を国に要望していくが、制度改正まで現状を放置しておくことは到底できないとして、早急に現行制度の中で可能な方策を検討するとしています。その上で、具体的な課題として、一つ、前例踏襲で職務が行われており、事務職員の役割、職務内容が不明確である。一つ、校長、副校長による事務職員の能力活用が不十分であるの二点を挙げています。この報告から十年近くはたちますが、報告書が指摘した課題は一向に改善したようには見えません。
 そこで、学校事務職員の現状に対する都教委の認識を伺います。
 学校の働き方改革は、全ての職員がその能力をフルに発揮し、学校全体で取り組むべき課題です。そのためには、学校事務職員の名称、位置づけも含め、そのあり方を抜本的に見直すような都教委の一歩踏み込んだ対応が必要と考えますが、見解を伺います。
 都が、満員電車ゼロ、鉄道の混雑緩和を正面から政策課題として掲げたことを評価しております。
 特に多摩都民にとっては、都心までの長時間通勤が少しでも楽になることは、ライフワークバランス改善に直結するものであります。私は、これこそが多摩格差の最大のものの一つであると認識し、その推進に期待をしているところです。
 都は昨年から時差ビズを展開し、鉄道事業者や企業、通勤者へ時差通勤の協力要請を行ってきました。その結果、ラッシュ時に混雑状況に応じ、あいている電車へと誘導がなされたり、東急電鉄では早朝に増発をするなど、具体的な成果が生まれています。しかし、今後、時差通勤を呼びかけるだけでは限界があります。
 このため、通勤時間帯に応じた弾力的な割引運賃の適用や、在宅勤務実施率の高い企業への税制優遇など、抜本的な制度改革を都が主導すべきと考えます。
 そこで、これまでの成果を踏まえ、今後の通勤混雑緩和策の進め方について伺います。
 都心部と多摩方面をつなぐ動脈であるJR中央線や京王線、八王子が始発であるJR横浜線は、日常的に通勤通学に利用される多摩都民の足ですが、それぞれに通勤時の混雑や、のろのろ運転が発生しています。
 特に中央線は、過密ダイヤにより通勤時ダイヤが大幅におくれることが常態化しており、解決に向け、複々線化実現に大きな期待が寄せられておりますが、JRは投資に及び腰に見えます。
 国鉄時代に事業骨子が固まった東海道線、総武線、常磐線、東北線の四路線が既に複々線化事業を完成している中、ひとり同時期に計画をされた三鷹─立川間の複々線化だけが遅々として進まない状況に対し、通勤混雑緩和を主要政策に掲げる小池都政の見解と今後の取り組みを伺います。
 京王線は、首都圏主要路線の中で、朝のラッシュ時の走行速度の遅さはワーストワンであり、昼間と朝ラッシュ時の到達時間の落差もワーストワンです。
 通勤混雑の緩和を主要政策に掲げる小池都政としては、中央線とともに京王線の通勤時の速達性向上は真っ先に取り組むべき課題であると思いますが、見解を伺います。
 ところで、転落事故防止にはホームドアが有効ですが、JR中央線、京王線のほとんどの駅は未設置です。本年、JR東日本は、中央快速東京─立川間や横浜線東神奈川─八王子間の主要駅について、二〇二五年度までにホームドアを整備する方針を発表しました。
 しかし、この計画では、朝夕大変に混雑するJR八王子駅は、中央線も横浜線も二〇三二年度末までホームドア設置がされないことになってしまいます。
 そこで、都の補助基準を緩和するなどにより、中央線のJR八王子駅、京王線の特急停車駅について、遅くとも二〇二五年度までにはホームドアを設置するよう取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 本年三月、国立社会保障・人口問題研究所は、五年前の推計を大幅に上方修正し、東京の人口は二〇四五年時点でも現在の人口を上回ると発表しました。東京の鉄道需要もさらに高まることが予想され、通勤混雑緩和は一層重要な政策課題となりますが、都の長期ビジョンや実行プランには、通勤混雑緩和の具体的到達点の言及がなされていないのが現状です。
 そこで、通勤混雑緩和についての政策目標を実行プランなどに定め、ハード、ソフト施策を総動員し、その実現を図っていくべきと思いますが、知事の所見を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 両角みのる議員の一般質問にお答えをいたします。
 私からは、まずプラスチック問題についてお答えをさせていただきます。
 ご指摘のように、海洋プラスチック問題というのは、使い捨てを前提としたプラスチックの大量生産や大量消費によって引き起こされるものでございます。また、それらが使用後に投棄され、海に流出することでマイクロプラスチックが生成されて、生態系への影響が強く危惧されるところでございます。
 都といたしまして、これまでも、使い捨て容器にかわるリユースカップの実証実験であったり、レジ袋の削減に向けた事業者等との意見交換、そして海ごみ問題のショートムービーを作成するなど、プラスチックの3R推進に取り組んできたところでございます。
 さらに、世界的な企業がプラスチック製品を見直す新たな取り組みを次々と展開いたしております。そのことがメディアでも連日大きく話題とされるこの機を捉えまして、いろいろなアイデアも頂戴いたしました、より積極的な対策を推進してまいります。
 まず、隗より始めよということで、都庁内の買い物で、レジ袋の辞退を職員に求めておりますとともに、現在は、プラスチックストローの削減につながるアイデアを広く募集いたしておりますほか、来週から都庁内の店舗で紙ストローの実証実験も行ってまいります。
 今後は、チームもったいないの参加事業者ともこの問題を共有し、連携をして、普及啓発イベントを開催いたします。また、ウエブサイトやSNSなどを中心に、より多くの人々に届くメディアを活用して、使い捨て型のライフスタイルの見直しを呼びかけるメッセージを発信してまいります。
 あわせて、プラスチックの3Rを促進する仕組みなどを国にも提案するとともに、審議会では、都独自に講ずべき対策につきまして検討を深めるなど、総合的なプラスチック対策に取り組んでまいる所存でございます。
 二つ目が、鉄道の混雑緩和についてのご質問でございました。
 満員電車の混雑緩和というのは、社会の生産性を向上させるためには重要でございます。官民が連携して解決していくべき課題と存じます。
 東京の未来への航路として策定をいたしました二〇二〇年に向けた実行プランにおきましても、快適通勤に向けた取り組みの推進を政策目標の一つとして掲げているところでございます。
 また、二〇四〇年代を目指しました都市づくりのグランドデザインにおきましては、鉄道のピーク時の混雑を解消することを将来目指すべき姿の一つとして掲げまして、ハード、そしてソフトの両面からの取り組みを進めております。
 ハード対策といたしましては、鉄道ネットワークのさらなる充実に向けまして、国の答申で事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、関係者との協議、調整を加速させてまいります。加えまして、混雑率が高い東京メトロ東西線の駅の大規模改良工事などに対しまして、補助制度を活用して支援を行うなど局所的な対策も進めてまいります。
 そして、ソフト対策でありますが、昨年度から、オフピーク通勤を促進する時差ビズに取り組んでいるのはご指摘のとおりでございます。今年度はその期間を拡大いたしまして、より多くの都民や企業の皆様方の参加を得まして時差通勤、そして、テレワークに取り組んでいただいております。
 こういった取り組みで、ワークスタイルの多様化を進めることにより、働き方の改革にもつなげてまいりたいと考えております。
 官民が連携をいたしまして、ハード、ソフト両面から混雑緩和に取り組んで、東京の強みである鉄道をより快適で便利なものとしてまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきまして、教育長、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校における働き方改革の進捗管理についてでございますが、教員の長時間労働の実態は看過できない状況にあることから、本年二月に策定した学校における働き方改革推進プランにおいては、まずは当面の目標として、過労死ライン相当にある教員をゼロとすることを掲げました。
 この目標を達成するためには、本プランの取り組みを着実に推進することはもとより、改革の進捗状況を管理し、不断に見直しを図ることが重要であります。
 都教育委員会は、今後、目標の達成状況や事業の効果を把握、検証し、これを公表するとともに、新たな取り組みについても提示するなど、喫緊の課題である長時間労働の改善に向け、当面の目標の早期実現に全力で取り組んでまいります。
 次に、学校事務職員の現状についてでございますが、これまで都教育委員会は、学校事務職員の標準的職務を作成し、今般策定したプランに基づき、具体的な職務範囲等を規定するよう区市町村教育委員会に改めて再周知し、現在、策定済みまたは検討中の教育委員会は、全体の半数以上に至っております。また、副校長を補佐する校務改善の校内組織として、学校事務職員を必須の構成員とする経営支援部の設置を促進し、現在、八百三十六校の小中学校で設置されております。
 さらに、校長との自己申告面接に副校長の立ち会いを可能にするとともに、校長、副校長候補者研修で学校事務の職務等の講義を実施しております。
 今後とも、課題解決に向けて、校務運営を支える事務職員としての役割の明確化、能力活用及び育成等の取り組みを進めてまいります。
 最後に、学校事務職員のあり方の見直しについてでございますが、学校事務職員は、学校組織における唯一の事務職としての立場から、校長、副校長を補佐し、主体的かつ積極的に校務運営に参画することが重要であります。
 今後、学校の働き方改革の進捗状況の調査結果を区市町村教育委員会に提供するとともに、校務改善に係る好事例を積極的に周知するなど、学校事務職員の一層の活用を図ってまいります。
 また、現在、文部科学省において学校における働き方改革に向けて、業務の役割分担、適正化に向けた取り組みや組織運営体制等に関する議論が進められており、その動向を踏まえつつ、教職員一体となって働き方改革が推進されるよう、学校事務職員のあり方を検討してまいります。
〔消防総監村上研一君登壇〕

○消防総監(村上研一君) 災害現場におけるドローンの活用に向けた取り組みについてでございますが、機動性の高いドローンは、災害現場における情報収集等に活用できると認識しております。
 このため、東京消防庁では、平成二十七年度に一機、平成二十九年度には二機導入し、実戦的な活用に向けた検証を行ってまいりました。
 さきに発生した平成三十年北海道胆振東部地震で初めて実災害で使用いたしましたところ、二次災害の危険が高い現場で、ドローンによる捜索範囲の決定、活動状況の把握などで有効性が確認できた一方、搬送手段や画像伝送等の課題が明らかになりました。
 今後は、これらの検証結果等を踏まえ、多様化する災害や東京二〇二〇大会における警戒も見据え、さらなる有効なドローンの活用方策の検討を進めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の体制強化についてでありますが、都は、この三年間で児童福祉司や児童心理司、一時保護所の職員などを含めまして、百十九名増員してまいりました。また、今般の緊急対策では、児童福祉司を十三名、児童心理司を六名、年内に確保することとし、あわせまして、児童福祉司や一時保護所職員の業務を補助する非常勤職員も二十二名増員することとしております。
 児童福祉司等には高い専門性が求められるため、採用後も経験年数等に応じまして、計画的に人材を育成していくことも重要であります。
 今後、国の配置基準等を踏まえ、質の確保にも十分配慮しながら、できる限り早期に児童福祉司や一時保護所職員等を増員し、児童相談所のさらなる体制強化を図ってまいります。
 次に、一時保護所の整備についてでありますが、お話の国通知では、一時保護所においては、子供の最善の利益を考慮した保護や養育を行わなければならないとされております。
 都の一時保護所におきましては、児童の権利を尊重し擁護することを基本方針に、必要に応じて個室を活用するなど個々の児童の状況に配慮した支援を行っております。
 現在、八王子児童相談所の一時保護所拡張工事におきまして個室の整備を進めており、今後、全面改築を予定しております足立児童相談所につきましても、児童の部屋を原則個室化することとしております。
 今後とも、一人一人の子供の状況に応じて適切な支援が行えるよう、一時保護所の改築等に合わせまして個室の整備を進めてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、鉄道の通勤混雑緩和についてでございますが、鉄道の混雑緩和には、鉄道利用者、事業者双方の取り組みが重要であり、これまでも鉄道事業者により、新線の建設や車両の長編成化などの取り組みが実施されてまいりました。このようなハード対策に加え、働き方改革などソフト対策とも連携することでさらに相乗効果が上がります。
 そのため、都は、広く民間企業とも連携し、昨年度から、通勤時の混雑回避のためオフピーク通勤を促進する時差ビズを進めております。今年度は、夏の取り組み期間を一カ月間に拡大し、八百社を超える企業に参加いただきました。加えて、新たに冬にも取り組みを実施いたします。
 さらなる混雑緩和の促進に向け、時差ビズを初め、さまざまな角度から方策を検討し、ハード、ソフトの両面から取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、中央線の複々線化についてでございますが、中央線は首都圏の幹線鉄道であり、三鷹─立川間の複々線化は、速達性の向上や混雑緩和など多摩地域と都心との広域的な連携強化などに資する効果の高い事業でございます。
 都は、平成二十三年から国や沿線自治体、鉄道事業者で構成する三鷹・立川間複々線化事業化検討委員会に参画し、複々線化の事業化に向け、補助制度の活用や事業採算性などについての検討を行ってまいりました。
 その結果、事業化に向けて多額の費用や採算性の確保などの課題が明らかになっており、都は、国に対し、新しい整備の仕組みづくりの検討を要請しております。課題の解決に向け、国や鉄道事業者、沿線市などと連携を図りながら取り組みを進めてまいります。
 次に、京王線の速達性向上についてでございますが、例えば、小田急線では、本年三月の複々線化の完成により、朝のラッシュ時間帯における所要時間の短縮など速達性向上に大きな効果を上げております。
 都は、朝のラッシュ時の混雑緩和のみならず、速達性の向上や多摩地域と都心との連携強化を図る上で京王線の複々線化は重要な計画であると認識しております。
 京王線笹塚駅から調布駅間は、昭和四十四年に複々線化及び連続立体交差化の都市計画が同時に定められており、そのうち笹塚駅から仙川駅間については、現在、在来線の連続立体交差事業を施行中でございます。
 引き続き、連続立体交差事業の状況や需要の動向なども見据えながら、京王線の速達性向上について適切に対応してまいります。
 最後に、多摩地域におけるホームドア整備についてでございますが、利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 このため、都は国とともに、地下鉄駅に加え、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象に補助を行っております。
 JRでは、二〇二五年度までに中央快速線の東京駅から立川駅間などの百二十駅について、二〇三二年度末ごろまでに八王子駅を含む東京圏の主要路線全駅について整備していくという計画を公表いたしました。
 また、京王線については、明大前駅を初め、利用者十万人以上の駅での整備を進める計画を公表しました。
 今後、さらにホームドアの整備を加速するよう、鉄道事業者に働きかけるとともに、国や地元市と連携してその取り組みを支援してまいります。

○議長(尾崎大介君) 四十五番清水やすこさん
〔四十五番清水やすこ君登壇〕

○四十五番(清水やすこ君) 西多摩地区選出の清水やすこと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 せんだっての豪雨、台風、そして地震により被害に遭われました皆様には、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
 さて、今回は、土砂災害対策、森林関連、そして、この一年、税の番人として感じたことをお話しさせていただきます。
 まず、土砂災害対策について伺います。
 この七月の豪雨では、西日本を中心に土石流や土砂災害が発生しました。また、北海道地震では、震度七の揺れに耐え切れず大規模な土砂崩れが起き、多くのとうとい命が失われました。
 東京都は、崖崩れなどの土砂災害対策として約一万五千カ所の調査を進め、警戒区域の指定は一万二千六百十九カ所に及んでおります。我が西多摩地区においては四千八百十三カ所、全体の約三分の一が該当しております。しかし、警戒区域の指定箇所に住む住民の警戒意識は必ずしも十分とはいえません。
 そこで、都は、関係区市町村等とも協力しながら、土砂災害対策に対して地域住民にどのように警鐘を鳴らし、豪雨等の際に都民が迅速な行動をとれるように取り組めるのか伺います。
 現在、避難所として指定されている都立学校について伺います。
 都立学校の多くは、体育館が避難所としてのスペースとなっています。しかし、避難所での生活を送る上で、体調不良等により隔離する必要のある方が発生する可能性が考えられます。伝染性の疾病にかかると体育館では隔離できず、問題が広がります。
 現在私は、ダブル介護をしており、親が車椅子生活ですが、例えば、トイレ利用のため、長蛇に並ぶ体育館よりもトイレに近い教室などの方がとても便利です。また、お子さんが小さい場合、ぐずったり夜泣きすることがあり、それをあやす親と、ふだんそれを聞きなれていない周辺の避難者との間にストレスが生じます。
 避難所としてのスペース活用に当たっては、空調設備が整っており、体育館よりも利便性の高い教室をもっと使えるようにするべきと考えます。
 そこで、東京都教育委員会の見解を伺います。
 次は、協定が締結されていない都立学校についてです。
 現在、各区市町村からの要請に基づく協定が締結されていない都立学校があると聞いています。二百四十八カ所のうち三十八カ所、つまり六カ所に一カ所の割合で締結されていないと聞いており、西多摩地区ですと瑞穂農芸高等学校や秋留台高等学校があります。
 そこで、予期せぬ災害等に備えるため、区市町村の避難所開設の協定を待つことなく、あらかじめ東京都として教室を開放すると積極的な体制を整えておくことも必要と思いますが、東京都教育委員会の見解を伺います。
 次に、森林政策について伺います。
 現在、我が国の材木市場は、主にヨーロッパからの安価な木材を輸入しています。安価の要因の一つとして、ドイツやオーストリアでは、戦後早々と長期ビジョンを立て、それに基づき苗木の植栽とひたすら林道をつくってきたことにあります。樹木が成長し出荷できるようになると、計画的に伐採し再び苗木を植えます。この滞りない森林循環こそ林業従事者の安定的な収入にもつながり、担い手不足が生じない仕組みなのです。
 そういう意味では、せんだっての都のパブリックコメントである五十年、百年先の東京の森林の将来展望という形で具体化されたことは、未来の東京林業を担う政策として大変評価されるべきと考えます。
 今後重要なのは、いかにして達成していくかです。
 そこで、東京の森林の将来展望で示した将来像の実現に向けて、東京の林業振興にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 自然公園のビジョンについて伺います。
 都が昨年度策定した東京の自然公園ビジョンに基づき、高尾山エリアに続き、御岳山、日の出山エリアにも管理運営協議会が設置されるなど、着々とさまざまな事業が展開されています。
 私はビジョンで示されている三つの目指す姿の中でも、特に、人と自然との関係を取り持つ自然公園が重要だと考えます。これを実現するために掲げられている地域における営みを支え、自然環境の守り手ともなる人材の育成等を行うことなどは、西多摩地区にとっても優先して検討すべき課題であると考えます。
 次世代の担い手を確保していくには、単発の体験型のイベントプログラムに加え、自然とともにある暮らしや文化の魅力に触れ、将来、繰り返しふっと戻ってみたくなるような仕組みが必要ではないでしょうか。
 例えば、多摩地域が、東京都の人口一千二百万人のうち、二十三区八百万人の第二、第三のふるさとに十分なり得ると思います。
 そこで、ビジョンのこの施策展開に関する取り組みの進捗状況について伺います。
 ここからは税金について伺います。
 監理団体と公営企業の納税の無駄が発生している件についてお話をさせていただきます。
 三十三ある東京都の監理団体の中に、一事業者として消費税などの申告納税が発生する場合がございます。国税当局やほかの機関の調査、監査、査察などが入り、加算税や延滞税などペナルティーを支払っている場合がございます。
 国税当局の税務調査等により、会計処理の誤りなどから、修正申告を確認しましたところ、過去五年間で延べ二千三百万円の加算税や延滞税のペナルティーが発生していると聞いています。これらは各監理団体の運営に税金が使われていることから、税金の無駄遣いにつながっているといえます。
 こうした会計上の処理に関する情報を各団体で共有するなどの対策を講じ、同じような支出が繰り返されないようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 同様に、十一の公営企業会計を確認しましたところ、過去十年間で十九件、約二十億円の消費税の修正申告が発生し、ペナルティーは十六件で三億五千四百万円と聞いています。
 これらも独立採算である公営企業会計の無駄な支出につながっていることから、公営企業会計を所管する七局においても、同様の支出を繰り返さないよう情報共有を行うなど対策を講じていただくことを要望いたします。
 一般の方から固定資産の申告期限についての課題をいただいています。
 皆様におなじみの申告所得税の確定申告と納付は、おおよそ三カ月程度の時間が用意されています。
 一方、固定資産税はどうでしょうか。一月一日現在所有の償却資産に課税され、その申告期限は一月末です。保有資産の確定と申告準備のための猶予は一月もありません。これは中小企業の経理担当者様や実務担当者にとって毎年大変な大きい負担となり、関係団体からも抜本的な見直しを求める声を長年いただいております。
 そこで、制度改善のための国への働きかけをすべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、都内情報を活用して、さまざまな税目の申告漏れを防いでくださいとの内容を申します。適正公平な課税の実現のためには、申告漏れの割合を下げることも都としての責務であると考えます。
 例えば、都の補助金で購入した高額な機械も、当然に償却資産の申告対象となるわけですが、償却資産の申告に計上を失念していたにもかかわらず、特に都からの連絡がなく、自主的に修正申告したことが何回かございます。
 都庁内のさまざまな資料を償却資産税などと突合させ申告漏れを防ぐ、適正申告の実現に努めている姿勢を示すことが重要と考えますが、都の実際の取り組みを伺います。
 最後に、都有財産について伺います。
 財務局では、東京ドーム百個分の都有地を有しています。平成二十八年度で、こうした土地の売却や貸し付けなどにより、七十億円もの財政収入を上げており、貴重な収入源になっております。
 戦後間もない中、都有地を特定し、適正な所有形態、使用形態で管理することは、相当の時間とご苦労の多い作業であったろうと思います。心より敬意を表します。
 そこで、都の施策や財源として有効に活用していくため、今後も適正な管理が求められますが、財務局が所管される普通財産の土地の中には、管理不適正財産という項目がございますが、今後これらの土地についてどのような取り組みを行っていくのか伺います。
 これからも都民の目線で、都民の代表として、そして税の番人を目指してまいります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水やすこ議員の一般質問にお答えをいたします。
 土砂災害対策についてのご質問がございました。土石流、崖崩れなど、これらの土砂災害から都民の命を守る、そのためには地域の住民の皆さんに、どう早く逃げるか、どこに逃げるかを前もって確認していただくことが肝要でございます。
 このため、今回の緊急総点検の結果といたしまして、区市町村が作成するハザードマップのもととなる土砂災害警戒区域等の指定を加速いたしまして、都内全域で指定完了時期を平成三十一年度前半に前倒しすることといたしました。
 また、地元区市町村と連携をしながら、ハザードマップを用いた避難所の確認や気象情報の活用の方法などにつきまして、地域住民向けの防災講習会を開催するなど、都民の防災意識向上を図る、そのような取り組みを拡充してまいります。
 今後とも、こうした取り組みによって、多摩地域を初めとする都民の迅速な行動につながりますように、警戒避難体制の整備をしっかりと進めてまいります。
 その他のご質問は、教育長、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 学校の避難所としてのあり方に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、避難所としての教室のさらなる利用についてでございますが、大規模災害発生時には、避難所に指定されている都立学校は、区市町村からの要請に基づき避難所を開設し、避難者を受け入れることとなりますが、一方で、児童生徒の安全確保や学校教育活動の早期再開に向けて取り組むことも必要でございます。
 そのため、各学校は、区市町村から避難所指定の要請があった場合、教室については児童生徒の保護や教育機能を確保するスペースとし、体育館等を避難所として使用できるスペースとすることを原則として施設利用計画をあらかじめ定め、指定を承認してまいりました。
 実際の発災時においては、地元の区市町村と連携し、避難者の状況等を考慮して、教室を含め適切な場所を確保するなど、これまでと同様、臨機応変に対応してまいります。
 次に、避難所に指定されていない学校の体制整備についてでございますが、大規模災害発生時には、都立学校が避難所に指定されているか否かにかかわらず、地域住民が避難してくることも想定されますことから、あらかじめ避難所運営方策を検討しておくことが必要であります。
 そのため、各学校においては、避難所への指定の有無にかかわらず、各校の学校危機管理計画において、地域住民が避難してくることを想定した避難所としての学校施設の利用計画などの具体的な対応方法等を定めることとしております。
 発災時においては、区市町村と連携しながら、地域住民の避難状況等に応じて適切に対応してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 森林の将来像の実現に向けた林業振興についてでございますが、今回、東京フォレストビジョンとしてお示しをいたしました森林、林業の将来像の実現に向けましては、林道等の基盤整備や担い手の育成、木材需要の創出などの取り組みを重ね、将来を見据えた林業の振興を図っていくことが重要でございます。
 これまで都は、市町村と連携し、林道等の新規開設を計画的に進めますとともに、今年度から林業先進地域への派遣研修の実施に加え、製材所の設備導入の支援を行うなど、林業従事者の技術力の向上や多摩産材の供給体制の強化等を図っているところでございます。
 今後は、林業事業体の新規参入の促進による花粉発生源対策の加速や、都市における多摩産材を初めとした国産木材の需要喚起の方策等について検討してまいります。これらの取り組みを一つ一つ着実に進め、林業の振興を図り、将来像の実現へとつなげてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 東京の自然公園ビジョンの取り組みの進捗状況についてでありますが、東京の自然公園ビジョンでは、目指す姿の一つである人と自然との関係を取り持つ自然公園を実現する取り組みの方向性として、自然公園区域外の人々、特に子供たちと自然公園区域内の人々との継続的な交流を進めること等を掲げております。
 そこで、先進事例に関する調査を行う等、地域間や世代間の交流を図る新たな仕組みの検討を進めており、今年度は、都心部等の中学生が、檜原村の林業家等を訪ね、宿泊し、交流するプログラムを試行することとしております。
 今後、これらの調査や試行の結果を踏まえ、次世代を担う青少年と西多摩地域を初めとする自然公園区域内の人々との継続的な交流の仕組みづくりを進めてまいります。
〔総務局長代理次長榎本雅人君登壇〕

○総務局長代理次長(榎本雅人君) 監理団体の税務処理についてでございますが、税務処理の過誤等による追徴税等が課された事例は監理団体においても発生しており、対策が求められております。
 過誤等の理由は、消費税課税対象として土地使用料を費用計上したケースや、基金取り崩し時の取り扱い、借り受け用地の面積変更などさまざまであり、また、理由が同じようなものであっても税理士等の専門家によって見解が分かれるものもございます。
 そのため、その防止に当たりましては、各団体が税務当局によるガイドライン等を踏まえながら、税務会計処理を適正に行っていく必要がございます。
 都といたしましては、今後、税務当局が示します事例等を活用し、追徴税等が課されないよう、適切な処理に努めることを監理団体に働きかけてまいります。
〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、償却資産に係る固定資産税の申告制度についてでございますが、一月末日を申告期限とする現行制度は、大半の事業者にとりましては、法人税等の申告時期と異なるため、大きな負担となっているものと認識しております。
 一方で、制度の見直しには法改正が必要であり、国も関与する資産評価システム研究センターの研究会が検討を進めてまいりまして、本年三月には見直し案を取りまとめております。
 この見直し案では、現行申告方式に加え、電子申告の場合に限り、申告時期を決算日から二カ月以内とする新方式を選択できることとしております。実現に向けましては、電子申告システムの利便性向上など残された課題もあり、今年度も引き続き検討を進めることとされております。
 申告制度の見直しに向けて、都としても、実務を担う立場から国における今後の検討を後押ししてまいります。
 次に、固定資産税における申告内容の調査についてでございますが、土地及び家屋につきましては、不動産登記簿により対象資産を把握することができますが、償却資産については登記制度がないため、事業者の申告に基づいて課税する制度となっております。このため、正しい申告を促し、公平な課税を確保する上で、申告内容を確認する調査を行うことは重要であると認識しております。
 都におきましては、地方税法の規定に基づき、必要に応じて官公署等に協力を求め、行政目的を阻害しない範囲で提供された資料を活用し、未申告事業者の把握や申告漏れ資産の捕捉のための調査を行っております。
 今後とも、関係行政機関の協力を得ながら、効果的に調査を実施し、固定資産税の適正な課税に努めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 都有財産の管理の適正化についてでございますが、管理不適正財産の土地とは、現に権原を有しない者によって占有されている土地でありまして、終戦直後から昭和三十年代前半にかけて生じたものが多くなっております。
 例えば、戦後の混乱期におきまして、河川敷等に無断で建物を建てられたといったようなものでございますとか、当初、占用許可を受けていたものが、許可が更新されず打ち切りになった後も占有を続けているものなどがございます。
 こうした財産は、長い年月を経過しているため、解決が非常に困難なものが多くなっておりまして、財務局では、個別の案件の事情に応じまして、占有者と交渉を行い、管理の適正化に努めているところでございます。

○議長(尾崎大介君) 十三番菅野弘一君
〔十三番菅野弘一君登壇〕

○十三番(菅野弘一君) 最初に、先日の北海道胆振東部地震、台風二十一号を初め、この夏、日本各地で相次いだ大規模災害によってお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、いよいよ築地市場の移転が始まり、今後はこの二年間のおくれを取り戻すため、移転延期の影響を受け遅延している多くの事業に全力で取り組まなければなりません。
 その一つ、先日、虎ノ門や新橋などの都心と臨海地域とを結ぶBRTについて、周辺状況の変化を踏まえ、事業計画が改定され、運行時期やルートが明らかになりました。
 かつて、地元の環状二号線新橋─虎ノ門区間開通の折に、将来、BRTがオリンピックの新たな交通システムとして、選手村や競技会場のある臨海部を観光客や選手を乗せて行き交うと聞き、地域は大きな期待を抱きました。
 しかし、その後の環状二号線本線全線開通のおくれによる知事の記者会見でのBRTについては大会後の発言には、多くの人が落胆しました。
 今回、まずは東京二〇二〇大会までの先行的な運行が決まったことは、虎ノ門、新橋を初め、臨海地域で活動される方々にとって喜ばしいことでありますが、返す返すも残念なのは、環状二号線が暫定の地上部道路であること、そして、当初計画よりも試行路線が短縮されていることで、BRT本来の特徴が十分に発揮できず、二〇二〇大会時の交通需要には貢献できないということです。
 それでも、大会前から開始するBRTの先行的運行は、都としてしっかりと意義のあるものにすべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、このBRTには、二〇二〇大会後の臨海地域の大きな交通需要への役割が期待されています。
 そこで、BRTの本格運行では、東京の新しい交通システムとしてどのような公共交通機関を目指すのか伺います。
 次に、品川駅周辺のまちづくりについて伺います。
 品川駅と田町駅の間に現在建設中の新駅は、東京二〇二〇大会が開催される年に暫定開業するとのことで、既に駅舎の外見も見える状態となっています。新駅を含む品川駅北周辺地区は、JR東日本の車両基地跡地開発を中心に、世界や全国とつながる新たな国際ビジネス拠点の形成が期待されています。
 また、この地区は、これまで鉄道により隔てられていた西の高輪地区と東の芝浦港南地区の間に位置しており、地域からも、東西のまちをつなぐ基盤としての整備が望まれています。
 そこで、新駅周辺で進むまちづくりによって、東京の成長を牽引する拠点をどのように形成し、また、地域の課題をどのように解決するのか、都のお考えを伺います。
 さて、臨海副都心は、東京二〇二〇大会を通じてさらに知名度を上げることが期待されます。現在も、レインボーブリッジや都心のビル群を背景にしたセルフィーを撮りに来るなど、国内外から多くの人々が臨海副都心に来訪しています。世界的な大都市東京の中心部でこれだけリゾート感を楽しめる場所は大変貴重です。
 私の地元港区は、都と協力し、東京二〇二〇大会時の競技会場になるお台場海浜公園で水質改善に取り組むとともに、海水浴体験を実施してきていますが、ことしの夏は、二〇二四大会の開催都市に決まったパリ市と協定を締結し、お台場プラージュとして、プラージュはフランス語で砂浜を指すそうですが、おしゃれなテントやパラソル、デッキチェアなどを並べ、拡大開催を実施したところでもあり、本格的な海水浴に向けて地元の機運も高まっているところです。
 東京二〇二〇大会後のさらなるにぎわいのあるまちを目指すためにも、こうした海辺の魅力、観光資源を十分に活用することで、臨海副都心の魅力を一層向上させていくべきと考えますが、今後の展望を伺います。
 今後、観光客の一層の増加が期待される中、都内各地に国内外から訪れる旅行者を誘致するため、地域の観光振興をリードする観光協会の役割がますます重要となっています。
 各地域では、観光協会がそれぞれの特色を生かしたさまざまな工夫を凝らした取り組みをしていますが、観光客に興味や関心を持って足を運んでもらうためには、観光客のニーズや地域の強みをしっかりと把握しなければなりません。協会だけでなく、地域のさまざまな団体などと協力した取り組みや新たな発想に基づく事業の展開も必要でありますが、それらの実現には試行錯誤をしていることも多いのが実情です。
 そこで、観光によって地域を盛り上げていくためには、地域の観光協会の機能強化に向けた支援の充実が必要と思います。所見を伺います。
 次に、中小企業の海外進出支援について伺います。
 少子高齢化の一層の進展により、国内市場の大きな伸びが期待できない中、都内中小企業は、今後、成長著しい東南アジアの市場を取り込むことは重要です。
 ただ、東南アジアの市場を開拓するに当たっては、現地での商談や販売後のアフターサービスなど、海外で直接、取引先との対応を求められることも多くなります。そうした対応には、まずは専門商社などの代理店を活用することで、初期投資を抑えながらビジネス展開をしていく手法がありますが、一方で、それぞれの企業にとって最適な営業活動に取り組むなど、海外でのビジネスを本格的に展開していくためには、現地における法人設立や事務所の開設が必要となってきます。
 こうした中小企業の取り組みについては、リスクも多いことから、今後は、都としても積極的なサポートを行っていくべきです。お考えを伺います。
 また、都内中小企業が海外展開する上で、これまでは日系企業の進出も多く距離的にも近い東南アジア地域を選ぶ中小企業が多くありました。
 しかし、昨今、力をつけてきたアジア企業との競争激化に伴い、より付加価値の高い商品でのビジネスにシフトしたい中小企業が、欧米市場への進出を検討するのは今や自然な流れになっています。
 さらに、既に欧米市場で取引している中小企業にとっても、アメリカの通商政策やイギリスのEU脱退、EUによる個人情報保護の強化などに対応した的確なリスク回避が必要です。
 また、日EU経済連携協定により、ほぼ関税が撤廃されることから、ビジネスチャンスを取り込むための取り組みなども求められています。
 欧米市場は中小企業にとってハードルの高いものの、こうした状況を踏まえて、都としての支援の充実が必要と思います。見解を伺います。
 次に、都の災害医療対策に関して伺います。
 阪神・淡路大震災では、通常の救急医療が確保されていれば助かっていたとされる防ぎ得た災害死で約五百人の方が亡くなりました。そのことをきっかけとして、平成十六年八月に、大地震等の自然災害を初め、大規模交通事故等の都市災害において、被災現場に出動し、多数傷病者等に対して救命処置を行う災害医療派遣チーム東京DMATが日本で初めて発足しました。
 発足から現在に至るまで、我が党は東京DMATを初め、全国のDMAT活動について応援をしています。
 都は、平成十六年以降も、指定病院の拡充など充実強化に取り組み、現在、都内二十五の指定病院、そして千名のDMAT隊員を確保していると聞いています。
 平成二十三年に発生した東日本大震災においては、都内の災害現場のみならず、宮城県や福島県の被災地に長期にわたり東京DMATが派遣され、効果的な医療救護活動が行われました。その東日本大震災の教訓から、平成二十三、二十四年度には、東京DMATカーが配備され、大規模災害発生時において長時間に及ぶ東京DMATの現場活動を支える体制が整備されてきたところであります。
 そこで、このたびの北海道胆振東部地震などの発生を受け、首都直下地震などの大規模災害時における被災地での東京DMATが行う救命処置等、救護活動の重要性が一層増していると思いますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、東京二〇二〇大会の開催まで二年を切り、いよいよ目前に控える時期に入りましたが、オリンピック・パラリンピックが世界中の注目を集める国際イベントであることから、この機会を狙ったテロの脅威は重大な懸念であります。
 近年、欧米諸国においては、公共交通機関や集客施設等が狙われる、いわゆるソフトターゲットを対象にした無差別テロがふえています。例えば、昨年四月にはロシア・サンクトペテルブルクの地下鉄で、また同年九月にはイギリス・ロンドンの地下鉄において、爆発テロにより多くの死傷者が発生しています。
 このような状況を踏まえ、国においては、東京二〇二〇大会を見据えたテロ対策推進要綱を作成し、官民を挙げた取り組みを急いでいるところであります。
 この中でも、ソフトターゲットを対象とするテロの未然防止は重要な取り組みの一つとなっており、大会期間中に、多くの観戦者やボランティアが集まる競技会場の最寄り駅などにおける一層の警戒強化が重要であります。
 都営地下鉄においても、ハード、ソフト両面からさまざまな取り組みを行っていると聞いていますが、二年後の大会に向け、取り組みを加速するべきと考えます。
 そこで、都営地下鉄における東京二〇二〇大会を見据えたテロ対策について伺います。
 最後に、昨日の代表質問でも触れましたが、任期の折り返しを迎えた知事は、これまでの二年間を振り返られ、所信表明でも、そして昨日のご答弁においても、ご自身には反省すべき点がないというお答えのようでした。
 知事は、新たな種まきをして水やりをしてきた、もうすぐ芽が出て花が咲くとおっしゃいますが、果たしてどんな花でしょうか。これまで知事がまかれた種の多くは、五輪会場、築地市場移転問題など都政混乱の火種になっただけで、花が咲いたわけではありません。
 ご自身でまかれた種がどのような状態になっても、それは全て知事の責任です。結果は真摯に反省をし、これからの二年間、パフォーマンスではなく、地に足のついた実効性のある都政運営に努めてもらいたいと思います。そのことをお願いして私の質問を終わります。(拍手)
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 菅野弘一議員の一般質問にお答えいたします。
 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、BRTの先行的な運行についてでございますが、先行的な運行は、東京二〇二〇大会前に虎ノ門と晴海との間で開始し、大会後に有明や豊洲などへ運行系統を拡大することとしております。これにより、鉄道の利用が不便な地区を初め、開発が進む臨海地域での交通需要の増加に速やかに対応いたします。
 運行に当たっては、輸送力の高い連接バスや水素を使用する燃料電池バスを導入するとともに、車椅子使用者など、あらゆる人がスムーズに乗りおりできる停留施設を整備いたします。
 加えて、車両や停留施設等について、一貫したコンセプトをもとにデザインを行い、BRTの魅力を発信してまいります。
 これらの取り組みにより、本格運行への円滑な転換を図ってまいります。
 次に、BRTの本格運行についてでございますが、本格運行では環状第二号線本線を走行し、運行便数や系統数をふやして利便性を高め、選手村地区の再開発などにも対応してまいります。
 また、先行的な運行での取り組みに加え、全ての扉での乗りおりや、車内で現金を取り扱わない運賃収受方式により停車時間の短縮を図るとともに、交差点でバスの通過を優先させるシステムの導入などを図ってまいります。
 これらの取り組みにより、LRTや新交通システム並みの速度を目標とし、速達性、定時性を確保してまいります。
 東京の新たな輸送システムとして、BRTの魅力を高め、東京ベイエリアの発展を支える公共交通機関となるよう、着実に取り組んでまいります。
 最後に、品川駅周辺のまちづくりについてでございますが、都は、地元区や国、事業者などとともに策定したまちづくりガイドラインに基づき、国際交流拠点の形成に向けて開発を計画的、段階的に誘導しております。中核となる新駅周辺地域については、先月、この方針に沿って事業者から開発計画の提案がされました。
 具体的には、国際的なビジネスセンター機能やMICE機能、国際水準の居住、滞在機能の導入を図るとともに、鉄道などによるまちの分断を解消するため、高輪と芝浦地区の間や品川駅、田町駅相互をつなぐ歩行者ネットワークなどの整備を進めることとしております。
 引き続き、品川駅街区など隣接する地区との連携も図りながら、回遊性を高めるまちづくりを誘導し、世界の人々が集う魅力ある拠点形成を進めてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 東京二〇二〇大会後の臨海副都心の魅力向上についてでございますが、東京二〇二〇大会では、水辺の立地を生かしたトライアスロンやビーチバレー、若者に人気の高いスケートボードやスポーツクライミングなど多様な競技が行われ、臨海副都心の注目度が高まることが期待されます。
 大会後の魅力向上のためには、このエリアのにぎわいを成長発展させていくことが重要であり、今年度から実施しております海水浴事業、お台場プラージュにつきましては、地元区と連携し、今後事業の拡大に努めてまいります。
 さらに、海上公園に民間の活力やノウハウを活用したカフェを誘致するなど、新たなにぎわいを創出し、このエリアの魅力を高めてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、地域の観光協会への支援についてでございますが、東京の観光振興を図る上で、都内各地の観光協会が新たな知見やノウハウを取り入れ、効果の高い旅行者誘致に取り組むことは重要でございます。
 このため、都は観光協会に対し、地域の課題に即した専門家の派遣や、大学生のインターンによるアイデアの提供とともに、これらによる事業の具体化を支援しております。今年度からは、複数の専門家をチームで派遣し、よりきめ細かな対応ができるよう、支援の充実を図っております。
 また、観光人材の育成に向けた研修では、地域のプロモーションなどの実務的な内容に加え、団体の収入確保に役立つ内容を拡充いたします。
 今後は、マーケティング手法などを活用した経営力の強化に資するサポートの充実を検討し、観光協会の機能の強化につなげてまいります。
 次に、中小企業の海外市場への進出の支援についてでございますが、東京の中小企業の事業拡大に向け、今後の成長の期待のできる東南アジアの市場で販路の開拓等の取り組みを一層効果的に展開できるよう支援することが重要でございます。
 都では、中小企業振興公社のタイ事務所やベトナムの窓口などで、各国の商慣習や法令等の情報を提供するほか、取引先の候補となる現地の会社の紹介を行っております。また、中小企業が東南アジアで製造業者に生産を委託する場合や、サービス業者と代理店契約を結ぶ取り組みへの支援も実施しているところでございます。
 中小企業が取引をさらに拡大するため、現地に営業所などを設ける動きも進んできております。
 今後、中小企業のこうした海外での積極的な事業展開に対する支援の充実を検討してまいります。
 最後に、中小企業の欧米市場での事業展開についてでございますが、東京の中小企業がすぐれた技術やノウハウで生み出した高付加価値の商品を欧米市場で提供できるようにするためには、きめ細かいサポートを行うことが必要でございます。
 都は、欧米市場での取引に必要な法令や契約のルールなどの知識を、進出を目指す中小企業に提供しております。また、都内の中小企業の高度な技術により製造された航空機や医療機器の部品を欧米の企業に販売するきっかけをつくるため、国際的な見本市への出展を支援しております。
 我が国とEUとの間で経済連携協定が結ばれるなど、海外市場の状況に影響を及ぼす要因は多く、取引に係る制度変更等を理解する重要性は増しております。
 今後は、現地でのより詳しい情報を収集し提供する仕組みの充実を検討し、中小企業の海外展開を着実に支援してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 東京DMATに関するご質問にお答えいたします。
 都は、災害現場におきまして東京DMATが効果的に機能を発揮できるよう、東京DMATカーや医療資器材等の装備品を指定病院に配備しております。また、隊員の技能や資質の向上を図るため、東京消防庁と連携した活動訓練や研修を行っております。
 東京DMATの活動に必要な装備品や訓練、研修のカリキュラム等は、指定病院や東京都医師会などの関係機関で構成する東京DMAT運営協議会で検討し、常に見直しを図っているところでございます。
 今後とも、総合防災訓練などを通じまして、首都直下地震等の災害や大規模事故において効果的な医療救護活動を展開できるよう、東京DMATの活動への支援を充実してまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営地下鉄におけるテロ対策についてでございますが、交通局では、テロの未然防止を図るため、駅員や警備員による巡回強化を行うとともに、警察や消防と連携し、NBCや不審者等に対する訓練を実施してございます。
 また、東京二〇二〇大会に向けて、主要駅で監視カメラの増設を進めており、今年度からは迅速な初動対応による被害の最小化を図るため、テロ等発生時に監視カメラの映像を警察へリアルタイムに送信する仕組みを導入いたしました。
 さらに、大会時に特に警戒を必要とする駅につきましては、警備員を増強いたしますとともに、映像を解析することで不審物の置き去り等を検知する新技術に対応したカメラの導入を進めてまいります。
 今後とも、都営地下鉄のテロ対策を強化し、輸送の安全確保に全力で取り組んでまいります。

○議長(尾崎大介君) 三十六番斉藤やすひろ君
〔三十六番斉藤やすひろ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番(斉藤やすひろ君) 東京都の都市間交流について質問します。
 ことしは日中平和友好条約締結四十周年の佳節に当たります。両国の首都である東京都と北京市は、条約締結後直ちに友好都市となりましたが、以来さまざまな紆余曲折を経てまいりました。我が党初め多くの関係者の努力により、この四十周年の佳節を目指し、さまざまなレベルでの往来が活発になってまいりました。
 その結果、ことし七月には、都内各自治体の議員による東京日中友好議員連盟協議会が、北京市人民対外友好協会の招聘を受け、訪問いたしました。その際、北京市人民代表大会常務委員会を表敬し、意見交換を行いました。
 人代側からは今後、都と北京市のハイレベル交流、東京都議会と北京市議会の政策テーマごとの調査研究を希望するとともに、都内区市町村と中国との交流をサポートしたいなどの提案がありました。
 早速、去る九月十二日には北京市長が都庁を訪問し、知事と会談されましたが、都と北京市の交流は日中両国民の往来の強固なかけ橋にとどまらず、U20加盟都市として、両都市の交流は国連で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGs達成を推進する視点からも非常に重要であると考えます。
 そこで、今後の東京都と古くからの姉妹友好都市である北京市との都市間交流について、知事の見解を求めます。
 また、都議会公明党は、教育交流こそ未来の両国の友好を持続的に発展させる上で最重要であり、教員同士や児童生徒間交流の重要性を主張してまいりました。
 そこで、都教育委員会は、姉妹友好都市締結四十周年を来年に迎える今を絶好のときと捉え、教育分野での北京市との包括的な交流協定を締結し、教員交流、児童生徒間交流を加速すべきだと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、医療的ケア児の教育機会の拡充について質問します。
 都は、我が党の要望を受け、今月以降二学期から医療的ケア児を対象に、看護師同乗の専用通学車両を運行する事業を開始したことを高く評価いたします。
 一方で、私の地元目黒区に住む小学四年生の児童は、生まれつき骨形成不全症という病気で寝たきりです。この児童の場合は週三回、一日二時間の訪問教育しか受けられません。この子はもっともっと勉強したいと強く訴えておられました。
 将来的には、このような児童生徒が地元の小中学校に普通に通学できるよう、インクルーシブ教育の実現に取り組むべきと考えます。しかし、都立特別支援学校でさえ、人工呼吸器管理を適切に実施するためのモデル事業にとどまっているのが現状です。
 そこで、第一段階として、都立特別支援学校において、医療的ケア児を初めとする訪問籍の児童生徒にとって貴重な教育の場である在宅訪問教育の充実を図るべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、いじめの未然防止について質問します。
 都教育委員会は、去る七月三十一日に、いじめ総合対策第二次に基づき、都内公立学校のいじめ防止等の取り組みについて、今後の改善の方向を示しました。私は、いじめを未然に防止する持続可能な行動こそ不可欠だと考えます。
 子供たち自身がいじめを自分たちの問題として主体的に考え、話し合い、行動できるようにすることは重要です。答申の中では、実践事例として、子どもパトロール隊の取り組みが紹介されています。これは、都内の小学校のいじめをしない、させない、許さない、キッズレスキュ―隊と名づけられた子供たち自身によるいじめ防止活動です。こうした取り組みは、他の学校にとっては簡単に取り組めるものではないとの声もあります。いじめは許さないとの気持ちがあっても、子供たちが行動する力をつけるには、教職員の努力だけでなく、外部の専門家の協力が有効と考えます。
 そこで、いじめの未然防止に向けて、専門的なスキルを持ったNPOや団体などの外部人材や、関係機関等と連携した取り組みを進めていくべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、ひきこもり問題について質問します。
 都は、ひきこもり問題については、早期の発見と対応を重視し、青少年問題として相談体制など施策を推進してまいりました。しかし、最近はひきこもりの長期化、高齢化によって、親が八十代、当事者の子が五十代を迎えた家族が社会的に孤立し、親子で餓死してしまうなど、八〇五〇問題が顕在化しております。それゆえ、今後、ひきこもり問題は対象年齢を撤廃して、長期化、高齢化の実態に合った切れ目のない施策展開が必要です。現在の所管で対応できないのであれば、当事者や家族会にとって、保健、医療、福祉施策との連携が取りやすい福祉保健局内に相談窓口を設置すべきです。
 我が党はこれまでも、こうした長期化、高齢化の問題について、区市の相談員への研修を初め、さまざまな政策提案を行ってまいりました。これを受けて、今後の都の対応について見解を求めます。
 次に、自転車政策について質問します。
 私は初当選以来、一貫して東京都の自転車政策を推進し、東京都自転車安全利用条例の策定などに尽力してまいりました。
 昨年、国は自転車を公共交通の補完的な役割を果たす交通手段の一部として位置づける自転車活用推進法を策定し、本年六月には、自転車走行空間のネットワーク化や、計画的な整備促進、シェアサイクルの普及促進、健康増進、安全性などに関する施策を取りまとめた自転車活用推進計画を策定いたしました。この法律では、自転車の活用推進に向け、都道府県及び市区町村レベルまで自転車活用推進計画の策定に努めることと規定されています。
 そこで都は、自転車活用推進計画を策定するに当たり、都庁各局はもとより、基礎自治体等との連携を強めて、総合的な自転車政策の推進につながるよう計画すべきと考えます。都の見解を求めます。
 また、自転車の活用を推進するに当たり、自転車利用者のルール遵守意識や自動車ドライバーの思いやり運転意識を醸成し、自転車の交通事故や事故死を削減することが重要です。そのためには、自転車の交通ルールの徹底に資する自転車ナビマークや交差点内の自転車ナビラインと道路管理部門の自転車走行エリアをネットワーク化する必要があります。
 そこで、交通管理者は、自転車走行エリアとのネットワーク化に向けて、道路管理者と連携を図ることが不可欠と考えます。警視総監の見解を求めます。
 次に、自動二輪車向け駐車スペースの拡充について質問します。
 自動二輪車は、自動車に比べて環境負荷が低く、都民の身近な交通手段の一つになっています。平成十八年、我が党はユーザーからの強い要望を受け提案、国は駐車場法を五十年ぶりに改正し、それまで規定されていなかった自動二輪車を駐車場法の対象に追加しました。以来、専用駐車場のみならず、都道の空きスペースを活用したり、自転車駐輪場に駐車できるよう工夫する自治体の動きもあります。しかし、積極的に取り組む自治体は少なく、都内の駐車台数は決して十分とはいえません。
 そこで都は、このような状況を踏まえ、自動二輪車の駐車場の整備をさらに進めていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、違法コンテナ倉庫問題について質問します。
 本年六月十八日に発生した大阪北部地震により、高槻市では、小学四年生が登校中に落下した学校施設のブロック塀の下敷きになり、お亡くなりになりました。今回のような悲劇を二度と繰り返さないために、幼稚園や小中学校、高校の通学路の安全確保のため、塀の緊急点検を行い、万全な対策を急がなければなりません。
 そんな中、先日二十三区内の中学校通学路で、建築基準法に適合しない違法なコンテナを活用した倉庫が確認されました。これらのコンテナ倉庫は土台が地面に固定されておらず、空き地に重ね置きしただけの状態になっており、地震や台風などで倒壊し、通学中の児童生徒や歩行者への危険が指摘されています。
 平成二十六年、国土交通省は、コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底を都道府県に求め、違反建築物の是正指導を徹底するよう求めましたが、都においては、一向に是正が進んでないとの指摘もあります。また、コンテナを使用するユーザー側も、違反建築物であるという認識がないように思われます。
 そこで、都は緊急調査を行い、違法なコンテナ倉庫の実態を把握し、建築行政を所管する特定行政庁が、現場の規制や指導をしやすくなるよう支援するとともに、都としても是正指導すべきです。さらに、コンテナを使用するユーザー側にも、正しい知識等について情報提供に努めるべきです。あわせて都の見解を求めます。
 最後に、外堀の水質改善について伺います。
 都は昨年、日本橋周辺のまちづくりと連携し、首都高の地下化に取り組む旨公表し、ことし七月には、国、地元区、首都高とともに計画案を取りまとめました。知事表明にもありましたが、かつての五街道の起点として、歴史と文化の薫りを漂わせるには、日本橋川の水質改善が急がれます。
 我が党はこれまで、議会質問を通じて、玉川上水を活用した外堀の浄化策、すなわち多摩川から河川水を玉川上水に取り込み、外堀にこの河川水を流し、その川の流れを活用して、日本橋川の水質を改善する案を提言してまいりました。
 これに対し都は、外堀の水の流れについては、四谷大木戸から外堀までの管路整備が可能かなど、さまざまな課題があるため、関係機関や関係団体との意見交換など、幅広く行っていくと答弁しました。
 都は、まず都庁内の関連部局による検討会を速やかに設置し、外堀の水質改善に資する対策を検討すべきです。また、都の検討会では、国や地元区市などの意見や学識経験者、民間団体など、さまざまな意見を聞くことも重要です。
 そこで都は、こうした意見を踏まえて、首都東京にふさわしいグリーンインフラたる水辺空間の形成に向けた取り組みを推進すべきと考えます。あわせて都の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えいたします。
 私から一問、お答えさせていただきます。
 北京市と都市間交流についてのご質問でございます。
 ご指摘のように、北京市とは、一九七九年の三月に友好都市関係を締結いたしました。それ以来、環境、文化、スポーツなど幅広い分野で交流を推進しており、来年の二〇一九年には友好都市提携四十周年という節目の年を迎えることとなります。
 先日、東京都を訪問されました陳吉寧北京市長からは、これを機会にして、首都同士の交流のさらなる促進を期待するとの話をいただきました。また、この陳吉寧北京市長は、環境の専門家でもいらっしゃいます。東京二〇二〇大会に向けた取り組み、みんなのメダルプロジェクトにもご協力いただきまして、両都市それぞれの環境改善の取り組みなどについての情報交換を行わせていただきました。
 東京二〇二〇大会の成功、そして大都市共通の課題の解決、グローバル都市東京の実現には、ご指摘のSDGsの視点を踏まえました海外の諸都市との交流や協力関係の構築は不可欠でございます。
 北京市は、世界で初めて、夏季、冬季両方のオリンピック・パラリンピック大会を開催する都市となります。
 今後とも、環境、スポーツ、教育など、さまざまな分野での交流、そして協力を進めてまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 自転車走行エリアにおける道路管理者との連携についてでありますが、警視庁では、歩行者や自動車から分離した自転車通行空間の確保の一環として、自転車道と自転車専用通行帯を道路管理者と連携しながら整備を進めているところであります。
 また、自転車の交通ルール徹底のための路面表示として、当面、自転車道等の整備が予定されていない幹線道路や駅周辺の自転車利用者の多い路線には、自転車ナビマーク、交差点には、自転車ナビラインの設置を推進しております。
 今後も、自転車通行空間の整備と自転車ナビマーク、自転車ナビラインの整備がネットワークとして機能するよう、道路管理者とさらに連携を図ってまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、教育分野における北京市との交流についてでございますが、児童生徒や教員の国際交流を継続的かつ発展的に進めるためには、各学校の取り組みに加え、海外の教育行政機関と連携することが有効であります。
 そのため、都教育委員会はこれまで、七つの国や地域と教育に関する覚書を締結し、交流可能な学校を互いに紹介し合うなどして、国際交流の取り組みを推進してまいりました。
 こうした中、北京市教育委員会との間でも、連携して学校の国際交流を加速することが望ましいとの基本認識が一致し、現在、覚書締結に向けた協議を進めております。この覚書締結を契機として、北京市の学校との姉妹校の拡大を初め、児童生徒や教員同士による多様な交流を推進してまいります。
 今後とも、多様な国や地域と連携しながら、児童生徒の豊かな国際感覚を醸成してまいります。
 次に、在宅訪問教育の充実についてでございますが、障害の状態などにより、学校に通学できない児童生徒について、自立と社会参加を見据え、一人一人の能力を最大限に伸長できるようにする上で、在宅訪問教育は重要な役割を担っております。
 在宅訪問教育においては、対象となる児童生徒の障害の状態、教育課程、指導内容等が一人一人異なっている状況にあります。
 このため、これらの児童生徒に対しては、ICT機器をさまざまなアプリケーションを教材として利用できるなどの特性を生かして活用し、障害の状態等に応じた教育活動の充実を図ることが期待できると考えております。
 こうした状況を踏まえ、特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画に基づき、ICT機器を活用した在宅訪問教育の充実に向けて、検討を進めてまいります。
 最後に、関係機関等と連携したいじめ防止についてでございますが、いじめを未然に防止するためには、教職員が組織的に対応することに加え、いじめ防止に取り組む関係機関や団体等と連携することも重要でございます。
 これまで都教育委員会は、いじめ防止のための指導資料に弁護士を活用した事業の進め方や関係機関等が持つ専門的な知見を活用した連携のあり方を示すなどして、学校におけるいじめの防止の取り組みを推進してまいりました。
 今後、都内全公立学校の担当者を対象とした連絡会等において、いじめを許さない意識を関係団体のワークショップを通して醸成したといった特色ある実践事例を周知するなどして、学校がそれぞれの実態に応じて関係機関等とさらなる連携を図り、いじめの未然防止に取り組むことができるよう支援をしてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) ひきこもりの方への相談支援に関するご質問にお答えいたします。
 若年期にひきこもりとなった状態が長期化いたしますと、本人が高年齢になるとともに、ご家族の方も高齢化が進むことから、生活の困窮や親の介護など、さまざまな課題を抱える家族への対応が必要となってきております。
 区市が設置している生活困窮に関する自立相談支援機関では、こうした家族からの相談についても、一人一人の相談内容に応じまして、ひきこもりの専門相談機関につないだり、保健所や地域包括支援センターなどの関係機関と連携し、きめ細かい支援を行っております。
 お話のとおり、ひきこもりの方への相談支援を、年齢によらず身近な地域で切れ目なく実施することは重要であり、今年度は、自立相談支援機関の相談員を対象に、具体的な事例集を活用した実践的な研修を行うなど、区市への支援を推進してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車活用推進計画についてでございますが、自転車は身近な交通手段の一つであり、誰もが移動しやすく、環境に優しいまちづくりの実現に向け、自転車を活用していくことは重要な視点でございます。
 そのため、都は、地域の道路事情に応じた自転車走行空間の整備や、国道、区市道も含めた走行空間のネットワーク化に取り組むとともに、関係区と連携して、区境を越えたシェアサイクルの普及拡大などを図っております。
 これらの施策を含めまして、環境負荷低減や健康増進などの観点から、自転車施策を総合的に推進し、多様なニーズに対応する自転車の利用環境の充実を目指してまいります。
 このため、先月、自転車活用推進計画の庁内検討会を立ち上げたところでございまして、今年度末の計画策定に向けて、区市町村等と連携を図りながら検討を進めてまいります。
 次に、自動二輪車の駐車場についてでございますが、駐車場整備は基本的に区市町村が地域の実情に応じて取り組んでおりまして、都は、民間の開発に合わせた整備の働きかけや補助制度等による支援を行っております。
 駐車場の総数は着実に増加している一方で、地域によっては整備が十分ではない場所も見受けられます。
 このため、都は、自動二輪車の利用状況に合わせた駐車場の整備促進に向け、本年二月に区市町村との連絡会議を開催し、意見交換や技術的助言を行うとともに、六月には関係局から成る庁内連絡会議を設置いたしまして、情報共有等を図っております。
 今後、これらも踏まえ、駐車状況の実態を詳細に把握した上で、自動二輪車駐車場の整備促進に向けた方策等を検討してまいります。
 次に、違法なコンテナ倉庫の対策についてでございますが、継続的に使用されるコンテナ倉庫は、建築基準法の適用対象となります。周辺の住環境への悪影響や地震などに対する安全性の観点から、違反が疑われるものについては、特定行政庁である都と区市は、是正指導を行ってきたところでございますが、さらなる取り組みを進めていく必要がございます。
 このため、都は、引き続き粘り強く是正指導に取り組むとともに、今後、関係する業界団体を通じて法令遵守を働きかけます。さらに、各特定行政庁の取り組み状況や全国の先進的な取り組み事例を共有することなどにより、区市の取り組みを支援してまいります。あわせて、コンテナ倉庫の建築基準法上の取り扱いをホームページで広く都民に周知してまいります。市街地の安全確保に向け、関係者間の連携を強め、違反対策に取り組んでまいります。
 最後に、東京にふさわしい水辺空間の形成についてでございますが、都は、都市づくりのグランドデザインにおきまして、水辺を生かして都市生活にゆとりや潤いを創出し、多くの人々でにぎわう水の都を再生するため、水辺に顔を向けたまちづくりや、まちに潤いを与える水辺空間の形成を推進するとしており、例えば、きれいな川の水を取り戻すため、お堀や池などの良好な水辺への再生にも取り組むこととしております。
 これを踏まえて、外堀などにおける、より効果的な水質浄化対策を幅広く調査検討するため、関係局による検討会を今月立ち上げたところでございます。
 お話の提言には、さまざまな課題がございますが、今後この検討会において、関係機関や有識者などと意見交換を行いつつ、検討を行ってまいります。

○副議長(長橋桂一君) 三十五番藤田りょうこさん
〔三十五番藤田りょうこ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○三十五番(藤田りょうこ君) 私は、大田区内の民間病院で、看護師として二十年間働いてきました。町工場が集積する地域にある病院です。一九四九年にお金がなくても安心して医療を受けたいと願う地域の方たちによってつくられ、町工場の経営者、労働者を初め、地域の方の命と健康を支えてきました。
 私が就職したころは、町工場の経営者も高齢化し、入退院を繰り返したり、手おくれの病状で救急搬送される方がたくさんいました。厳しい経営環境の中、仕事の納期を優先させるばかりに、健康が後回しとなり、ぐあいが悪くても無理して働いていると感じました。そういう状況は今も変わっていません。
 二〇一四年に大田区が行った小規模事業所アンケート調査では、事業主が入院中で休業している事業所もありました。従業員が一名から三名の小規模事業所では、病気がそのまま休業や廃業に直結していることがうかがえ、町工場を取り巻く環境は一層厳しくなっています。
 大田区の工場数は、ピーク時に九千軒を超えていましたが、この三十年間で千四百十三軒、六分の一まで減少しました。経営者の高齢化や後継者問題、病気などが廃業の理由です。産業の発展を下支えしてきた小規模事業所では、健康を犠牲にしている面もあります。
 知事は、中小企業、小規模企業振興条例の検討を開始し、基本理念の柱に、小規模企業の事業の持続的発展と位置づけたことは重要です。小規模企業が持続的な経営をするためには、あらゆる角度から現状を分析し、総合的な支援が必要だと思いますが知事、いかがですか。
 都内の小規模企業の経営者が多く加盟する東京商工団体連合会の共済会による調査では、昨年度に亡くなった方のうち、病気の診断から亡くなるまでの日数が一日以内という方が一九%に及ぶという驚くべき状況でした。また、がんによる死亡率が四〇%を超えており、全国や東京都を一〇ポイント以上も上回っています。
 大田区は、がん検診の受診率向上のために受診勧奨を行っていますが、区内の一人から三人程度の工場や商店で働く方など、検診を受けにくい区民から受診の機会をふやすことが求められています。がん検診を土日や夜間などに受けられるよう、東京都からの支援を強めるべきと考えますが、いかがですか。
 町工場では、一度休むと仕事が来なくなるといって無理して働き、手おくれ状態につながっています。病気が見つかるのが怖くて受診しないという方も少なくありませんが、その背景には、病気と診断されても治すお金がないという経済的な不安があります。
 大田区の小規模企業調査では、三人未満の事業所は七割で、半数以上が国民健康保険に加入しています。被用者保険であれば、病気休業中の傷病手当金が支給されますが、国保にはこの制度がありません。地域経済を支えてきた小規模企業を守ることが、これからの経営者や起業家を守ることにもつながります。国保財政運営の責任主体となった東京都から、傷病手当金実施のための財政補助を行うことが求められていますが、いかがですか。
 経営者が休む際の保障がないのは出産についても同じです。女性の起業家を応援する東京都として、経営者でも安心して出産し、育児ができる環境を支えること、商売を軌道に乗せるために支援の拡充を行うことを求めますが、見解を伺います。
 私も三人の子を持つ母ですが、出産は喜ばしいことであり、産後は子供のために頑張ろうと思って働いてきました。しかし、シングルマザーの友人は、産前産後とお店を閉めた結果、一年近く収入がなく、保険料が払えず滞納を余儀なくされました。被用者保険なら、産休が九十八日間あり、その間、出産手当金が支給され、その上、育休中も雇用保険から育児休業給付金が受けられます。しかも、休んでいる間の保険料は免除されます。育児にはゆとりが必要です。
 女性起業家が子供を産み育てる環境には余りにも厳し過ぎませんか。
 知事は、あらゆる分野での女性活躍を推進すると表明されました。そうであるならば、経営者に対しても、せめて産休中の保険料減免などを実施するために東京都が財政支援を行うなど、新たな支援が必要だと考えますが、いかがですか。
 次に、訪問看護についてです。
 都の調査では、三八・二%が自宅で最期を迎えたいと思っており、高齢者人口の増加が激しい東京では、在宅療養の充実が急務となっています。しかし、在宅療養を支えるかなめとなる訪問看護は十分に増加していません。
 都の調査によると、ことし六月現在で、休止しているステーションは四十七事業所、開設後一年以内に休止や廃止となる事業所も毎年存在し、どちらも主な理由は人手不足です。昨年度廃止した事業所も五六%は人手不足が理由でした。
 知事は、看護協会へのヒアリングの際、地域包括ケアシステムの肝は、訪問看護師の確保と述べていますが、訪問看護の充実にはどのように取り組むのですか。
 都の訪問看護ステーションの半数以上は、常勤換算で五人未満の看護師で運営しています。非常勤の割合が多い訪問看護では、少人数であるほど廃止になりやすい傾向にあります。都の調査でも、管理者が非常に負担と答えた割合が最も高かったのは人材確保であり、さらなる看護師確保対策が求められています。
 東京都は、看護師の養成、定着、再就業対策を行っていますが、看護師確保のため、養成に一層力を入れるべきと考えますが、知事、いかがですか。
 私自身も訪問看護を行っていました。訪問看護師は、利用者の尊厳を守り、その人らしく生きることを支えています。だからこそ、利用者も入院中には見せなかった表情で過ごし、その姿に私たち看護師は励まされ、やりがいを持って働くことができるのです。
 都の調査でも、病棟に比べ、訪問看護では、利用者とじっくりかかわることができる、やりがい、生きがいを持てる仕事であると答える割合が高くなっています。そのような背景から、看護学生の間でも、訪問看護を希望する人がふえています。しかし、卒業直後に訪問看護ステーションに就職するためには課題があります。
 病棟では、ある程度見きわめができるまで先輩と二人で行動し、自立してからも相談できる環境があります。しかし、訪問看護は基本的に一人です。病棟のように、毎日同じ患者をケアするわけではありませんし、一カ月に一回しか訪問しない方もいます。何かおかしいと感じる力が身についていない状況では、利用者の命に直結することもあります。
 新卒看護師が判断力を身につけるまでの期間、同行訪問を初めとした教育を行うことが必要ですが、その間、ベテランと二人で行動などができる人的余裕はありません。都の調査でも、新卒看護師の採用意向がないと回答した訪問看護ステーションの最大の理由は、教育に十分な時間をかけられないからというものです。新卒から訪問看護師の育成が可能となるよう、同行訪問を初めとした育成への支援をさらに広げるべきと考えますが、いかがですか。
 訪問看護ステーションでの新卒採用がふえない理由がほかにもあります。私も利用した東京都看護師等修学資金は、就職先によって貸付資金の返済が免除されますが、卒業直後に訪問看護ステーションを選ぶ場合は免除されません。医療現場や看護協会からも、返済免除となる施設に訪問看護も含めてほしいという要望が出されていますが、都の見解を伺います。
 訪問看護事業所の課題は、看護師である所長が経営を行うという点にもあります。経営の専門家でもなく、多くの場合は訪問も行っており、運営を困難にしているという声を、看護協会の方からも伺いました。
 看護管理者が本来の業務に集中できるよう、事務職員の雇用支援の拡充やステーション運営への相談支援を充実する等の取り組みを行うことを求めますが、いかがですか。
 次に、障害者政策についてです。
 私が訪問看護に行かせていただいていた人工呼吸器をつけた難病の方は、もうすぐ二十歳です。高校生までは、週に五日、自宅を離れ、人とのかかわりが多い生活をしていましたが、卒業後は、週に一回、大田区にある都立北療育医療センター城南分園に通うときしか外出の機会がありません。自宅で介護している六十代の母親は、体がつらくても、週に一度の貴重な時間は、病院通いで終わってしまっていると話していました。ご本人ももっと分園に通いたいと希望されています。重度心身障害児者や医療的ケアが必要な方が、希望に沿って利用できるよう、身近な地域に通所施設を整備することを求めますが、いかがですか。
 次に、荏原病院についてです
 大田区にある荏原病院は、都立から公社に移管して十二年がたちますが、移管して以降、常に閉鎖している病棟があり、現在でも四十三床稼働できていません。荏原病院は私が生まれた病院です。地域住民からは、何かあったら荏原病院に行けば大丈夫と大きな信頼が寄せられています。再開に向けた努力を求めますが、いかがですか。
 最後に、防災対策です。
 大田区上池台三丁目は、一時間に五十ミリ以上の雨が降ると毎回のように床上浸水が発生しています。現在、都は、七十五ミリ対応を行うとしていますが、完成まであと何回浸水被害に遭わなければならないのかと住民の方は不安に感じています。こういった地域に対し、不安を払拭するため、できるだけ早目に完成することが必要と考えますが、いかがですか。
 知事は所信表明で、防災事業のスピードアップとグレードアップを着実に図ると述べました。都民の声に耳を傾け、風水害対策をより強力に進めるべきと考えます。
 知事の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 藤田りょうこ議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、小規模企業への支援についてのご質問でございます。
 都内で活動する数多くの小規模企業は、各地域で経済、そして雇用を支えております。産業活動の基盤としての役割を担う貴重な存在でございます。
 都はこれまでも、現場の状況調査をし、その内容を的確に把握をし、経営相談、そして技術支援などを行うほか、小規模企業の支援拠点を設けて事業承継などを重点的にサポートしております。
 中小企業の振興に関する条例におきましても、小規模企業が持続性のある発展に向けて、それぞれの持つ資源を有効に活用するとともに、多様な主体との連携や協力を図るということを理念として掲げてまいります。
 引き続きまして、小規模企業の直面する課題をしっかりと受けとめまして、そのサポートには万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、訪問看護についてのご質問でございます。
 医療と介護をつなぐ訪問看護は、高齢者の在宅での療養生活を支える重要なサービスでございます。
 このため、都は、高齢者保健福祉計画に基づいて、訪問看護サービスの安定的な供給のために、人材の確保、定着、育成、そして訪問看護ステーションの運営体制の強化など、さまざまな施策を展開してまいりました。
 今後とも、高齢者が地域で安心して暮らし続けられますように、訪問看護の充実に向けました施策を推進してまいります。
 看護師の確保についてでありますが、少子化、労働力人口の減少が懸念されております中で、増大する看護ニーズに対応する、そのためには、養成、定着、再就業を柱といたしまして、看護職員の確保対策を総合的に進めていかなければなりません。
 このため、都といたしまして、養成対策として七校ございます都立の看護専門学校の運営や、民間の看護職員養成施設への財政的支援などを通じまして、看護人材を着実に養成をしているところでございます。
 また、定着対策といたしまして、現に就業している看護職員の勤務環境の改善であるとか、新人職員の研修への支援を行ったり、再就業対策といたしまして、地域の病院での復職相談や研修などに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、都民が安心して質の高い医療を受けられますように、看護職員のライフステージに応じた効果的、安定的な人材の確保対策に努めてまいります。
 最後に、風水害対策についてのご質問でございます。
 近年、全国各地で大きな被害をもたらす風水害が発生していることはご指摘のとおりでございます。そして、東京が同様の災害にいつ襲われてもおかしくない状況でございます。
 こうしたことから、七月の西日本豪雨などで明らかになりました課題を踏まえまして、防災事業の緊急総点検を行いました。そして課題を抽出して対策の方向性を整理、そして、特に力を入れて取り組んでいくものとして、まず、タイムラインの普及拡大、調節池の加速的な整備、災害拠点病院等における浸水対策など示したところでございます。
 これらもあわせまして、風水害の課題、そして対策につきまして、今後の予算編成で引き続き分析、検討を進めて、東京の風水害対策に取り組んでまいる所存でございます。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、がん検診についてでありますが、都は、がん対策推進計画に、がん検診受診率五〇%を目標として掲げ、啓発イベントやホームページ等を通じて、検診の重要性を都民に周知しているところでございます。
 検診の実施主体である区市町村に対しましては、受診率向上の手引を配布するとともに、個別勧奨、再勧奨等の取り組みを包括補助で支援しております。
 今年度から、平日夜間や土日の検診実施など、受診しやすい環境整備に向けた区市町村の取り組みを新たに支援するなど、がん検診のさらなる受診率向上に努めてまいります。
 次に、傷病手当金についてでありますが、被保険者が病気やけがの療養のため勤務ができない場合に支給される傷病手当金は、被用者保険では法定給付とされておりますが、国民健康保険では区市町村または国民健康保険組合が、条例または規約に基づいて実施する任意給付となっております。
 被用者保険と異なり、国民健康保険の被保険者は、自営業者や無職の方などさまざまであり、それぞれの就業状況や収入の把握が困難であるなど多くの課題があることから、全国的に見ても傷病手当金の給付を実施している区市町村はないという状況にございます。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、区市町村に対する財政支援を行っております。
 次に、産前産後休業中の保険料についてでありますが、平成二十六年四月から被用者保険では産前産後休業中の保険料が免除されております。国民健康保険には同様の免除制度はありませんが、事業の休廃止等により世帯の収入が著しく減少し、利用し得る資産等を活用しても著しくその生活が困難となったときは、区市町村が被保険者の個々の事情に応じて保険料減免の可否を判断しているところでございます。
 都は、法令等に基づき、区市町村に対して財政支援しております。
 次に、新卒の訪問看護師の育成についてでありますが、訪問看護ステーションは小規模な事業者が多く、独自に人材育成を行うことが困難なことから、都は、比較的規模が大きく人材育成のノウハウを有するステーションを地域における教育ステーションとして指定し、指導力のある看護師が新任看護師等に同行する実地研修などを実施しております。
 また、訪問看護未経験の看護師を新たに雇用し、計画的に育成を行う訪問看護ステーションに対しまして、採用初期の給与費や研修受講経費等を補助しており、今後とも、新卒を含めた訪問看護師の育成を支援してまいります。
 次に、看護師等修学資金についてでありますが、都は、看護職員を確保することを目的として、都内の養成施設に在学し、将来、都内で看護業務に従事する意思のある学生に看護師等修学資金を貸与しているところでございます。
 現在、訪問看護に従事する看護職員が貸与を受けた修学資金の返還を免除されるためには、都が指定する医療機関等におきます三年以上の看護業務の経験を要することとしております。本事業が国の補助事業として実施されてきた経緯から、都は、返還免除等の要件につきましては従前と同様としております。
 次に、訪問看護ステーションへの支援についてでありますが、都はこれまで、訪問看護ステーションが安定的にサービスを提供できるよう、経営コンサルタントによる個別相談を実施し、ステーション運営の効率化や経営基盤の強化を支援してまいりました。
 また、看護職員が専門業務に注力できる環境を整備するとともに、早期に事業運営の安定化を図るため、開設して間もないステーションが新たに事務職員を雇用する場合に、一年を上限として、その経費を補助しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、訪問看護ステーションを支援してまいります。
 最後に、重症心身障害児者等の通所施設の整備についてでありますが、都は、障害者が身近な地域で安心して生活できるよう、通所施設など障害者福祉サービスの基盤整備に取り組んでおり、重症心身障害児者通所施設につきましては、平成三十年四月一日現在、五十九施設、定員六百七十四人分を確保しております。
 本年三月に策定いたしました障害者・障害児地域生活支援三か年プランでは、重症心身障害児者通所施設について、平成三十年度からの三年間で定員を百五十人ふやすことを目標に掲げており、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を行うなど、引き続き整備を促進してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 女性の起業家等に対する支援についてでございますが、女性の起業家が子育て等をしながら経営に取り組み、事業を伸ばすことのできる環境を整えていくことは重要でございます。
 都は、TOKYO創業ステーションに託児スペースを併設し、起業を目指す子育て中の女性が経営の基本を学び、事業プランをつくる場を提供しているところでございます。また、経営が安定する前の段階にある女性起業家が利用できるよう、家賃が安く託児スペースのあるインキュベーション施設をふやす支援を行っております。
 さらに、商店街に設けましたチャレンジショップでは、女性が託児サービスを利用しながら店舗運営を学べる仕組みといたしておるところでございます。
 これらにより、女性の起業家等を支援してまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 荏原病院の休止病棟についてでございますが、東京都保健医療公社荏原病院は、総病床五百六床のうち、二つの病棟を休止していた時期を経まして、平成二十三年五月以降は一病棟四十三床を休止しております。休止の主な原因でございますが、病棟運営に必要な看護師確保に至っていないということでございます。
 今後につきましては、看護師確保の見通しや病院の運営状況等を勘案しながら、公社とともに、引き続き対応を検討してまいります。
〔下水道局長小山哲司君登壇〕

○下水道局長(小山哲司君) 大田区上池台地区の浸水対策についてでございますが、この地区は平成二十五年の豪雨による被害を踏まえ、同年十二月に策定いたしました豪雨対策下水道緊急プランにおいて、時間七十五ミリの降雨に対応する施設を整備する地区として位置づけ、平成二十八年度末に事業着手しております。
 既設の洗足池幹線を増強する新たな下水道管を追加するなどの計画でございまして、平成三十一年度末までに一部完成した下水道管を暫定的に稼働させるなどして効果を発揮してまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十八番馬場信男君
〔四十八番馬場信男君登壇〕

○四十八番(馬場信男君) 事前の通告に従いまして順次質問をいたしますが、それらに共通するテーマは子供であります。子供たちの夢や成長を育むべく、さまざまな施策が行われていると思いますが、現行の制度は決して百点ではありません。正すところは速やかに正すべく、質問をいたします。
 まずは、子供たちの保育環境の確保についてお伺いをいたします。
 私の地元である足立区も待機児童対策が重要課題であり、特に交通の便がよい北千住エリア、綾瀬エリアに待機児童が集中する傾向にあります。そんな中、区立あやせ保育園の老朽化に伴う移転、建てかえの問題が浮上。特区を活用することにより、近隣の都立東綾瀬公園内での建設が可能となりました。また、ほどなく都市公園法も改正され、特区の認定がなくとも、基準を満たせば保育所の建設も認められることになりました。
 おかげさまで、先月八月に四億三千万円をかけた新園舎が竣工、九月三日から移転となりましたが、一つ気にかかる点があります。公園を使用できる期間が十年であることです。十年後ですので、待機児童問題は解消しているとは思われますが、ここ区立あやせ保育園のエリアは、一定の保育需要はあると考えられます。
 このたびの都立東綾瀬公園の許可期間は十年です。当該地域に保育需要が引き続きあり、足立区から保育園設置継続の意思表示があった場合には、公園の許可期限の延長が認められるべきと思いますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、幼稚園と保育園の支援の格差についてお伺いをいたします。
 国は、消費税が一〇%になる平成三十一年の十月から、三歳児から五歳児の幼児教育、保育の無償化を実施するとしています。しかし、保育所の保育料が無償になるにもかかわらず、子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園の保育料につきましては、月額二万五千七百円までしか無償になりません。
 この額は全国一律の設定で、物価の高い東京では、実質の保育料とかなりの開きがある幼稚園もある上、聞くところによると、入園料や施設費、給食費などは保護者の負担になりそうであり、国は、無償化を実施としているにもかかわらず、全くもって無償化ではありません。
 また、幼稚園の預かり保育は、基本的に保育の必要性が認定された共働き世帯等しか無償化の対象となりませんので、ここにも保育園との格差があります。
 このままでは、来年十月からは、幼稚園は一部無償、保育所は全て無償という差が生じることになります。これでは、子供を幼稚園に通わせようとしていた保護者が、保育所に預けようと考えを変えるなど、幼稚園から保育所へ利用者が流れてしまうことが懸念されますが、都としての見解をお伺いいたします。
 また、さきの大阪府北部を震源とする地震において危険が指摘されたブロック塀の改修助成も、保育所には区市町村を通じ活用可能な都の補助があるようです。ここでも差をつけず、幼稚園に対しても助成をすべきと思うが、見解をお伺いいたします。
 次に、子供たちへの虐待についてお伺いいたします。
 児童虐待への対応につきましては、先ごろ、東京都子供への虐待の防止等に関する条例(仮称)の基本的な考え方を発表され、虐待の未然防止、早期発見・早期対応、子供と保護者への支援、人材育成の四本柱がうたわれています。
 虐待防止には、子供と保護者への支援が欠かせません。とりわけ保護者への支援が重要です。教育基本法第十条は、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有すると定められているとともに、国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために、必要な施策を講ずるように努めなければならないとしています。
 そこで伺います。
 発生した虐待への取り組みを川下の政策とすれば、虐待そのものを発生させない川上の取り組みも同様に大切であります。このことから、子供たちに、お互いに思いやり、尊重し合う態度を育成することが重要であると考えますが、教育委員会の見解をお伺いいたします。
 また、熊本県など九つの県で家庭教育支援条例が制定されています。東京都においても、親としての学び、親になるための学びを社会総がかりで進めるなどの、区市町村の家庭教育の支援の取り組みを支援すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
 さらに、市区町村においては、子育て世代包括支援センターの設置が努力義務とされており、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を充実させることが虐待防止に重要と考えますが、実際に設置されているのは、全国で三分の一の自治体にとどまっていると聞いています。
 都内においての設置状況はどうか、また、都として、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援に取り組む区市町村を支援すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、コンビニエンスストア等における成人雑誌の陳列のされ方についてお伺いをいたします。
 社会インフラとなったコンビニは、誰でも安心して使える店であるべきであります。都の青少年の健全な育成に関する条例によれば、青少年に成人雑誌、性的感情を刺激する図書類を閲覧、観覧させないように努めなければならないとの努力義務が定められているにもかかわらず、多くのコンビニでは、成人向け雑誌コーナーがあるのが現状であります。
 そのような中、注目する取り組みとして、コンビニ準大手のミニストップが、昨年十二月、本社のある千葉市内において成人誌の販売を取りやめ、翌月からそれを全国エリアに拡大されるという例が見られました。
 ミニストップの広報に電話をして、お客様の反応を聞きました。反対もあったが激励も多くあった、男性客からも、親として子供に見せたくないと思っていたのでよかった、女性従業員からも、働きやすくなったなど、よい評価を得られたとのことです。
 そこで、青少年健全育成条例第七条の、性的感情を刺激する図書類が青少年の目に触れないように取り組んでいくべきであると考えるが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害のある子供たちへのICT教育についてお伺いをいたします。
 現在、特別支援学校においてタブレット端末が授業で活用されており、平成二十六年度から学校の規模に応じた台数の共用端末が順次配備されています。パソコンの活用も進み、手や指の動きが器用でない子供も、マウスを使用したり画面に触れることで、学習に参加できるような授業の工夫も見られています。
 渋谷区では、公立小学校全児童にタブレット端末が昨年の秋から配布されました。六年生の発達障害の児童の中には、漢字の読みや書きについて一年生の学習内容を行っていましたが、タブレット端末を活用したことで、あっという間に六年生の学習内容に到達できたという事例がありました。
 また、アプリケーションソフトも充実されてきており、障害のある子供にとってのICT機器は、興味や関心を高め、学習効果が顕著であることは、教育現場で認識されています。
 お伺いいたします。
 タブレット端末の学校配備が開始され、四年がたった今、これまでの効果を検証の上、例えば、機器の活用が有効だと考えられる児童生徒に対して、個人所有機器を学習活動にも利用するなど、特別支援学校における新たなICT環境整備のあり方を検討すべきと思いますが、どうか。
 次に、子供たちが完成を待ち望んでおります足立区の都立舎人公園についてお伺いをいたします。
 この公園の計画は、戦前の昭和十五年、一九四〇年と古く、東京府知事の責任のもと、都心から二十キロメートル圏内に二十から五十万坪の防空緑地を複数設置するというものの一つとして、決定がなされました。その後、紆余曲折を経て、平成二十年三月、計画から六十八年を経ていましたが、やっと計画面積の八〇%の再整備が完了し、そりゲレンデなどの新たな子供たちの遊び場もできました。
 そこでお伺いします。
 現在は、最後の整備となるフィールドアスレチック広場について、平成三十年度の今年度に設計予算が措置され、翌三十一年度には、工事着手の予定と伺っています。戦前の計画から八十年の節目の年が二〇二〇年でありますので、東京オリンピック・パラリンピック大会の一つのレガシーとなり得るべく進んでおりますが、フィールドアスレチック広場の整備に現在どのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
 最後に、優秀な子供たちが目指してほしい大学についてお伺いをいたします。
 首都大学東京を東京都立大学とするなど、公立大学法人及び二つの大学の名称変更の手続に着手すると、知事が発表されました。我が会派は、昨年の第三回定例会で、首都大学東京について、大都市ならではの教育環境を生かした取り組みや、都民の期待に応えられるような取り組みを進めていくことを求めました。
 都立大学に名称を変更することだけでなく、例えば、昨今、甚大化している災害対策の研究や環境問題の解決策を専門とする都立の大学らしい、公共性の高い分野を磨き上げ、大学の特徴とする試みがあってもいいのではと考えます。
 そこで、首都大学東京では、名称変更を機に、これからの東京を支える人材の輩出に力を入れていくなど、東京が抱えるさまざまな課題の解決に資する教育や研究を進めていくことが求められると考えますが、知事の所見をお伺いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 馬場信男議員の一般質問にお答えをいたします。
 名称変更を機とするこれからの首都大学東京の取り組みについてのご質問、最後にいただきました。
 大都市の課題の解決に貢献する人材を育成する、そして、研究成果の都政、都民への還元というのは、都が設立した公立大学である首都大学東京の重要な使命の一つでございます。
 そのため、首都大学東京におきましては、急速な少子高齢化、そして技術革新の進展など、社会の変化と時代の要請に応えるべく、今年度から学部を再編成いたしておりまして、総合大学の強みを生かし、都市に関する政策科学を文系、理系の垣根を超えてトータルに学ぶ、都市政策科学科を新設したところでございます。
 そして、このたび、開学以来の実績を土台といたしまして新しい飛躍につなげていく、そのために、大学名を東京都立大学とし、これを契機として、教育研究の成果をこれまで以上に都へ還元することを明らかにしたところでございます。
 今後、都のさまざまな施策との連携を強化いたしまして、例えば大規模自然災害への対応など、東京が直面する課題の解決に大学の専門的知見をより一層生かしてもらえる、そのようなことを期待するところでございます。
 今回の名称変更でございますけれども、これは単に大学名をもとに復するもの、もとに戻すものではありません。それは、新たな東京都立大学が、東京というフィールドに立脚をした実践的な教育や研究を推進して、名実ともに都立の大学としてのプレゼンスの向上を図れるように、都としても積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、互いに思いやり、尊重する態度の育成についてでございますが、子供たちが将来、充実した家庭生活を築き、互いに支え合う社会を実現するためには、他者とともによりよく生きる基盤となる道徳性を養うことが重要でございます。
 これまで都教育委員会は、都内公立小中学校を対象に、道徳教育推進教師養成講座を開催し、思いやりや家族愛といった内容についての指導力の向上を図ってまいりました。
 また、都独自の教科、人間と社会において、都立高校生がよりよい家庭生活のあり方や家族の姿について議論し、みずからの生き方を考える場を設定してきております。
 今後、都独自の小中学校用道徳教材集の改訂や、人間と社会のすぐれた実践事例の全都立高校への周知などを通して、互いに思いやり、尊重し合う心といった道徳性を養う指導の一層の充実を図ってまいります。
 次に、家庭教育支援の取り組みについてでございますが、核家族化、少子化、地域のつながりの希薄化など、社会が大きく変化する中で、子育てに不安や悩みを抱えている保護者への支援が課題となっております。
 このため、都教育委員会は、地域の子育て経験者や子育て支援団体等が連携して構成する家庭教育支援チームが、保護者の身近なところで社会とのつながりづくりをサポートする活動や、保護者に子育てを学ぶ機会を提供する取り組みに対して、経費の補助を行っております。
 さらに、地域における子育て支援団体、行政関係者等への研修や、支援事例等の情報提供も実施しております。
 引き続き、区市町村が主体となって実施する家庭教育支援の取り組みが効果的に展開できるよう、支援をしてまいります。
 最後に、特別支援学校のICT環境整備についてでございますが、都教育委員会は、平成二十六年度から三年間で全ての都立特別支援学校に対して共用のタブレット端末を配備してまいりました。また、平成二十九年度から順次端末の更新を行い、これまでの利用状況の確認や検証を進めております。
 学習用端末の配備は、児童生徒に対し高い効果が見込まれるものの、児童生徒の障害の状況や程度が多様であるため、一人一人に対し同一仕様の端末を一律に配布することにはさまざまな課題がございます。
 そのため、今後、学習活動における個人所有端末の利用も含めて、障害種別や学年等の発達段階、一人一人の障害に応じた端末配備のあり方の検討を進め、特別支援学校の児童生徒の学習環境の改善充実を図ってまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東綾瀬公園内の保育所についてでございますが、都立公園の一部を保育所用地に活用することは、待機児童解消に向けた対策の一つとなってございます。
 都立公園では、平成二十七年の国家戦略特別区域法の改正に伴いまして、これまで荒川区の汐入公園や世田谷区の祖師谷公園など、七公園に保育所が設置されております。
 足立区が東綾瀬公園に設置いたしました保育所につきましては、昨年五月に特区の認定を受けまして、都が同年七月に十年間の占用を許可したものでございます。占用期間の満了時に更新の申請がありました場合には、都市公園法等関係法令の規定に基づきまして、適切に判断することとなります。
 引き続き、貴重な緑の保全や避難場所等の防災機能など、公園本来の機能を確保しつつ、保育所の設置に協力してまいります。
 次に、舎人公園のフィールドアスレチック広場の整備についてでございますが、都立公園におきまして、子供が遊びを通して心身の発達や創造性、社会性などを身につけていく環境整備を行うことは重要でございます。
 フィールドアスレチック広場の整備を予定しているC地区には、昨年十月にオープンいたしましたバーベキュー広場に加えまして、親子でくつろげる草地広場や水辺の散策を楽しめる池を配置してまいります。
 フィールドアスレチック広場につきましては、小高い丘のような地形を生かしまして、子供たちが楽しみながら体を動かせる、さまざまなアスレチック遊具を設置する予定でございまして、現在、設計に着手しております。
 今後とも、こうした整備を進めまして、舎人公園におきまして新たなにぎわいの創出に取り組んでまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、幼稚園における幼児教育の無償化についてでございますが、東京の私立幼稚園は、建学の精神と独自の教育理念に基づく特色ある教育を展開しており、約十四万人もの園児が通うなど、都の幼児教育において重要な役割を担っております。
 都はこれまでも、区市町村を通じた園児保護者負担軽減事業費補助等により、私立幼稚園での教育を望む多くの保護者を支援し、負担を軽減してまいりました。
 幼児教育の無償化につきましては、現在、国が具体的な制度設計の検討を進めているところでありまして、都としては、国の動向をしっかりと注視した上で対応を検討してまいります。
 次に、私立幼稚園へのブロック塀改修助成についてでございますが、都は、大阪府北部を震源とする地震が発生した本年六月以降、学校におけるブロック塀等の状況に関する緊急調査を実施するとともに、幼稚園を含む私立学校に対しては、ブロック塀等を含めた学校施設及び通学路の安全確保の徹底を要請しております。
 また、国が先月公表した全国の調査結果によれば、安全性に問題があるブロック塀等を有する学校が国内に相当数あることが明らかになりました。
 現在、国において、本結果を踏まえ、各学校設置者が速やかにブロック塀等の安全対策が行えるよう、必要な措置を検討しているところであり、都としては、国の状況を踏まえ、私立学校における安全性の確保についても検討してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 妊娠期からの切れ目のない支援に関するご質問にお答えいたします。
 国は、平成二十八年の母子保健法の改正によりまして、母子保健施策と子育て支援施策との一体的な提供を通じて、妊産婦や乳幼児を包括的に支援する子育て世代包括支援センターを創設し、都内では現在、三十五の自治体が設置しております。
 都が既に実施しておりますゆりかご・とうきょう事業は、このセンターと目的や基本的な事業の内容を同じくするもので、現在、四十一の自治体が実施しているところでございます。
 本事業では、保健師等の専門職による全ての妊婦を対象といたしました面接の実施や育児パッケージの配布など、都独自の支援を行っており、今後とも、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備を進める区市町村を支援してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 青少年の健全育成についてでありますが、東京都青少年健全育成条例及び施行規則においては、図書類の出版、販売事業者は、図書類の内容が、性的感情を刺激するなど、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、青少年が購入、立ち読み等できないよう、包装、区分陳列をするように努めることとなっております。
 現在、各事業者は自主的な取り組みとして、条例等に基づき、該当する図書類をビニール等で包装するとともに、仕切り板を設け、当該図書類が青少年に販売し、閲覧させること等が制限されている旨の掲示を行うなど、他の図書類と明確に区分し、陳列していると承知しております。
 今後も、青少年の健全な成長を図るため、条例等の適切な運用に努めてまいります。

○議長(尾崎大介君) 九十三番米川大二郎君
〔九十三番米川大二郎君登壇〕

○九十三番(米川大二郎君) まず初めに、介護について伺います。
 平成十二年に介護保険制度がスタートして十八年が経過しましたが、主に利用者側の立場からその利便性が議論され、改定が行われてきました。しかし、介護業界の人手不足が今、深刻な社会問題となっており、介護サービスの提供者側の立場からもさまざまな改善を議論する必要があります。
 介護業界によい人材を集め、育てていくためには、介護職員の処遇改善、生涯賃金の改善、介護職員が明るい人生設計を描けるキャリアパス制度の確立などがキーワードとなり、東京都もさまざまな支援策を実施し、事業者からも一定の評価を得ております。
 しかしながら、介護業界は依然として職員の定着率が低く、また、自社の教育訓練制度を持たない中小零細事業所の集まりのため、共通教育がしにくい環境であり、それがまた若手の定着率を下げていくという悪循環を生んでおります。
 また、介護現場でのハラスメントの問題は、介護業界の健全な発展に大きな障害となりつつあります。私自身、葛飾区内の事業者の方から話を聞く機会がありますが、ハラスメントを受けたヘルパーさんが、退職に追い込まれることもあるとのことです。
 だからこそ、さまざまな支援策で集まった人材を育て、仕事の意義ややりがいを説き、労働環境を整備し、介護職員の定着率を高めていくため、これからは単なる介護技術の伝達にとどまらない、人間力のある現場の中間管理職など、リーダーを育成していく必要があると考えております。
 そこで、二〇二五年の超高齢化社会を目前にして、介護業界全体で職員が働き続けやすい環境を整備するため、東京都が積極的に支援していく必要があると考えますが、知事の考えを伺います。
 次に、AIに対する読解力の向上のための取り組みについて伺います。
 八月二十三日に行われた東京都総合教育会議では、これからの時代に必要な読解力を育てるとして議論が行われました。AIは、記憶と計算を行うことはできるが、読解力はないことから、この能力を身につけることが必要と指摘されたことは、まさにそのとおりと思いました。
 そこで、ぜひ活用していただきたいのが、全ての学校に設置してある学校図書館です。学校図書館は、子供たちの言語能力、情報活用能力などの育成を支え、主体的、対話的で深い学びを効果的に進める基盤としての役割に期待が高まっています。
 私の地元葛飾区では、学校図書館を学校教育の中核の役割を果たせるよう機能の充実を図っており、昨年、学校図書館を活用した授業実践モデル校として、小学校、中学校一校ずつを指定しました。
 学校司書を週二十四時間配置したことで開館時間がふえ、児童の貸出冊数も増加しました。また、教員の図書資料を活用した授業実践も増加しております。
 そこで、AI時代に必要な読解力を育てることに効果のある、小中学校に設置してある学校図書館を活用することが必要と考えますが、都教育委員会の取り組みを伺います。
 また、教職員研修センターにポスターが掲示されている、公益財団法人図書館振興財団が実施している調べる学習コンクールですが、昨年八月時点で、都内でも十の区と二つの市で地域コンクールが実施されています。図書館を使った学習は、AI時代に必要な読解力を初め、知的好奇心、情報リテラシー、思考力、言語力が磨かれる学びです。
 そこで、都立高校でも図書館を使った調べ学習のコンクールなどを積極的に活用していくべきと考えますが、都教育委員会の考えを伺います。
 次に、都立高校の部活動について伺います。
 先月、会派で視察に伺った秋田県では、高校野球の県代表が全国大会でベストフォー入りを目指すという高い目標を掲げ、平成二十三年一月から秋田型高校野球育成・強化プロジェクトを行い、事業最終年となるこの夏、地元出身の選手だけの秋田県立金足農業高校が、目標としたベストフォーを超える決勝戦進出という快挙をなし遂げました。
 さて、高校生活を送る中で、部活動は大変重要な柱と私は考えております。私自身、都立高校の野球部で活動した二年三カ月間は、高校生活の全てともいえ、三十年以上たった今でも、当時の仲間との交流は続いております。
 東京都内の高校の生徒数の割合は、平成二十九年五月一日時点で、公立四三・三、私立五五・六%、単純に生徒数から考えまして、運動クラブの全国大会出場も都立高校が四割程度となってほしいところですが、実態は、例えば硬式の高校野球で都立高校の全国大会出場はこれまで四校、延べ五回、しかも成績は全て初戦敗退となっております。バスケ、バレー、サッカーなども私学優勢の状況です。
 現在、都教育委員会では、都立高校のスポーツ特別強化校事業を実施していますが、全国大会や関東大会への出場を目指すとしており、全国大会で活躍するためには、私立に進学しなければなりません。
 そこで、都立高校の部活動でも全国大会で活躍できるチームや選手の育成を目標として取り組むべきと考えますが、都教育委員会の考えを伺います。
 次に、東部低地帯における大規模水害対策について伺います。
 東部低地帯ではこれまで、大規模水害に見舞われるたび、放水路や護岸などを整備することで安全性の向上に努めてきました。私自身、東京都港湾局に勤務していた際、水門の改修などに携わりました。
 しかし、近年の異常気象や地球温暖化を考えると、江東五区大規模水害は、いつあってもおかしくない状況ではないでしょうか。そのようなとき、江東五区のような平地におけるあらゆる高台は、逃げおくれた方々の緊急避難や救助、救出、物資輸送、復旧の拠点として、住民の命を守る重要な場所になります。
 昭和二十二年九月のカスリーン台風では、葛飾区の新小岩駅から江戸川区の小岩駅間の高台となる総武線の線路上を千葉県の市川方面へ避難し、その際、江戸川にかかる鉄橋を一万人以上の方が渡ったとの記録もあります。
 都は、都立篠崎公園で水害時にも対応できるよう広場の高台化を図るとしていますが、例えば、京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化事業では、京成車庫を都営団地の建てかえで創出した用地へ移転させることも検討されています。移転となった際には、車庫を覆蓋化して高台を設けることも、大規模水害対策として有効と考えます。
 逃げるというソフト対策を支える、ハードとしてのあらゆる高台を整備していくことが必要ですが、どのように高台を確保していくかについての方針や整備計画を作成すべき時期であることを指摘させていただきます。
 一方、八月二十二日、江東五区広域避難推進協議会が公表した二百五十万人の避難計画では、犠牲者ゼロのため、江東五区の外へ自主的に早めの広域避難を行うとなっていますが、現段階で公的には避難先が確保できていないため、住民が日ごろから避難場所を検討するとしております。
 しかし、要配慮者である高齢者、障害者、乳幼児、その他特に配慮を要する方を含む全ての方が、自主的に避難先を確保することはハードルが高いことから、大規模水害時に対応できる広域避難場所を初めとしたさまざまな安全対策について、早期に検討を行っていく必要があると考えます。
 そこで、東部低地帯における大規模水害時に、江東五区に暮らす二百六十万人の命を守るためにどのように取り組んでいくか、都の考えを伺います。
 最後に、鉄道の連続立体交差事業について伺います。
 京成高砂駅から京成江戸川駅間の鉄道の立体化についてですが、江戸川区の京成小岩駅周辺と比べ、葛飾区の京成高砂駅周辺部分は、駅西側に河川があり、東側では京成本線、京成金町線、北総線と三つに分かれ、さらに、大規模な車庫の移転が必要なため、事業実施の困難さは都内でも有数な場所と考えております。
 現在、本区間の西側の京成四ツ木駅から京成青砥駅間の事業が進みつつあることから、いよいよだとの思いで、地域の機運は盛り上がりつつあります。しかし、連続立体交差事業は、駅前広場などのまちづくりと一体となって取り組むことが重要です。
 連続立体交差事業とあわせて行われる京成高砂駅周辺のまちづくりですが、現在、当初予定していた歩行者用の広場の位置を交通広場として検討しているため、今後は、さらなる検討の加速化が望まれます。
 今後、江戸川区部分のまちづくりの検討の速度に対し、葛飾区部分でのまちづくりを初めさまざまな検討に時間を要することで、事業実施そのものがおくれないよう、鉄道立体交差事業の事業主体である都と、駅前広場などのまちづくりを担う地元の区は、情報の共有を初め連携を強化すべきと考えております。
 そこで、京成高砂駅から京成江戸川駅間の鉄道立体化及び駅周辺のまちづくりなどについて、早期の事業実施に向けた都の取り組みについて伺い、私の一般質問を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 米川大二郎議員の一般質問にお答えをいたします。
 介護職員が働き続けやすい環境の整備についてのご質問がございました。
 今後高齢化がますます進展をし、介護ニーズの増大が見込まれております。そういう中で介護サービスを担う人材の確保、定着、そして育成というのは大きな課題でございます。
 そのため、都といたしまして、経営の改善や人材の育成を担う管理者などを対象に研修を行うなど、介護事業者がそれぞれの職場に合ったキャリアパスを導入できるように支援をしているところでございます。
 また、今年度からですが、経営コンサルタントを活用いたしまして、事業所合同でのリーダー層、そして若手職員への研修や賃金、研修体系などの構築に関します個別のアドバイスを行うなど、比較的規模の小さな事業所が多い介護業界の人材育成を支援しているところでございます。
 介護現場で働く人たちが仕事にやりがい、そして誇りを持って働き続けられますように、職場の環境整備に取り組む事業者を今後とも積極的に支援してまいる所存でございます。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監、総務局次長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、読解力向上のための学校図書館の活用についてでございますが、さまざまな情報を理解して考えを形成し、その考えを表現するために必要となる読解力は、AI技術が進化した社会においても極めて重要な力でございます。
 これまで都教育委員会は、東京ベーシック・ドリルを開発し、全ての都内公立小中学校に配布することにより、指示語や文章の構成など、基礎的、基本的な内容の定着を図ってまいりました。また、小中学生を対象とした都独自の学力調査において、文章や図表を読み解く上での課題を把握し、授業改善の方策を各学校に示してきております。
 今後、児童生徒の読解力の向上を図るために、学校図書館を活用している実践事例等を収集し、区市町村教育委員会の担当者と情報を共有するなどして、各地区における取り組みを支援してまいります。
 次に、図書館を活用した調べ学習についてでございますが、調べ学習は、生徒がみずから学び、考え、よりよく問題を解決する活動を促す学習形態の一つであり、その実施に当たっては、図書館の積極的な活用が有効でございます。
 これまで都立高校では、総合的な学習の時間を初め、さまざまな授業において、生徒の自主的、自発的な調べ学習の場として図書館を活用するなどして、言語活動や探究活動の充実を図ってまいりました。
 今後、都教育委員会は、アクティブラーニング推進校を中心に、図書館等を活用した調べ学習の成果発表会の実施や、実践事例を発表するさまざまなコンクール等への参加を促すことにより、生徒同士が学び合ったり、切磋琢磨したりする機会を創出してまいります。
 最後に、全国大会で活躍できる高校生の育成についてでございますが、部活動は生徒の人格形成や健全育成において有益な教育活動であり、都立高校生の全国大会等での活躍は、部員自身の夢や目標であるとともに、都立高校全体の競技力向上と部活動振興に大きく寄与するものであります。
 このため、都教育委員会は、今年度から三年間、第二期スポーツ特別強化校として四十校、五十八の運動部を指定し、都立高校の運動部活動の強化を図っております。
 今後、指導者がすぐれた練習方法や生徒の自己肯定感などを育む指導方法等を共有することを目的として、新たに特別強化校実践報告会を開催いたします。この報告会では、トップレベルの指導者による技術講習を実施するなどして、顧問の総合的な指導力の向上を図り、都立高校生が全国大会で活躍できるよう支援してまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 京成本線の京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化及び京成高砂駅周辺のまちづくりについてでございますが、連続立体交差事業は、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化や防災性の向上にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 都は、現在、事業範囲や構造形式などの検討を進めるとともに、課題となっております京成高砂駅付近にある車両基地を、都営高砂団地の建てかえで創出された用地に移転する案について検討しております。
 連続立体交差事業の効果を高めるには、本事業とあわせまして、地元区による駅周辺のまちづくりを行うことが重要であり、都は、駅前広場等の検討に対しまして技術的支援を行っております。
 今後とも、地元区や関係機関と緊密に連携しながら、鉄道立体化に向けて積極的に取り組んでまいります。
〔総務局長代理次長榎本雅人君登壇〕

○総務局長代理次長(榎本雅人君) 東部低地帯における水害対策についてでございますが、この地域において大規模水害が発生した場合、行政区域を越えた避難が必要であることから、その避難先や移動手段があらかじめ確保されていることが重要でございます。
 都はこれまで、江東五区の協議会に参加し、広域避難計画の策定に協力してまいりました。
 本年六月に、江東五区を含む東部低地帯における広域避難の取り組みを進めるため、都は国と共同で、都内自治体、近隣県等で構成される検討会を設置し、避難場所や避難手段等の確保に関し、課題の抽出を行っております。
 今年度末までに、広域避難場所の選定等に関する基本的な条件や鉄道事業者等の役割など、課題を整理し、対応の方向性をまとめる予定でありまして、これに基づき、都民の広域避難に関する各関係者の取り組みを促進してまいります。

○議長(尾崎大介君) 十二番田村利光君
〔十二番田村利光君登壇〕

○十二番(田村利光君) 都議会自由民主党、田村利光です。
 私からはまず、平成三十一年度から導入される森林環境譲与税について伺います。
 森林が人類に与える恩恵は、CO2の削減や治水など、はかり知れないものがありますが、外国産材の流入による価格の下落、また、相続による所有者不明森林の増加など、森林を取り巻く環境は、今、危機的状況にあります。
 そのような状況を打開すべく、国は森林環境税の導入を決めました。この新税の国民への課税は平成三十六年度からなのに対し、自治体への譲与税の交付が来年度から開始されることは、森林対策が予断を許さない状況にあることをあらわしています。
 そして、同じく来年度から運用の始まる新管理システムは、森林所有者の責任を明確にし、所有者自身が森林を整備できない場合は、市町村に委託し、市町村がさらに意欲のある林業事業体へ再委託し、森林整備を促進するものです。譲与税の三十一年度交付により、この森林新管理システムの円滑な運用が期待されています。
 東京都の面積の約四割が森林であり、その恩恵を受けるべきは東京都民自身です。将来的には、都と区市町村に毎年二十億円を超えて交付される譲与税は、東京都の森林整備や、それを担う林業事業体の強化、多摩産材の利用拡大など、東京の林業の振興に有効に活用するべきだと考えます。
 一方、譲与税の基準に人口割が入ったため、森林の少ない自治体へも譲与税が交付されますが、森林関係専門の担当者がいない区市町村は、譲与税の活用について、ただ戸惑っているのが現状です。そういった自治体への支援は、まさに東京都の役割です。知事には、このたびの森林環境譲与税の創設を契機に、東京の林業振興を強力に推進していただくことを強く要望いたします。
 その上で、都内自治体への支援も含め、東京都へ交付された譲与税を、東京の林業のさらなる振興のために効果的に活用すべきと考えますが、都の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、内水面漁業振興について伺います。
 ことし、多摩川を遡上したアユは九百九十四万匹と、調査開始以来、二番目に多い水準でした。都と漁業関係者の方々の努力の成果だと思います。今後、さらなる内水面漁業の活性化を図るためには、アユの遡上の妨げとなっている堰において、アユの通り道である魚道の果たす役割が重要になると考えます。
 より多くのアユが魚道を通して、環境のよい上流域に遡上できるようになれば、釣り人の増加、捕獲したアユの活用と、さまざまな効果が期待できます。
 今後は、堰下流で滞留するアユを上流へ運搬する取り組みなどに加え、魚道機能の維持改善に取り組むべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 次に、農業の担い手育成への取り組みについて伺います。
 都内では、都市化の進展や後継者不足などにより、毎年約百ヘクタールもの農地が失われています。
 我が都議会自民党は、さきの第二回定例会において、都市農地の賃借に関する新たな法制度の成立を契機として、農地保全策について提言したところです。本制度によって、後継者のいない農家も農地を貸しやすくなり、就農希望者とのマッチングが進むことが期待されています。
 特に近年では、農業に関心のある若手流通事業者と連携して、都心のレストランにみずから収穫した農産物を提供するなどの意欲的な取り組みも行われています。
 次代を担う農業者を確保していくためには、こうした新たな発想でチャレンジする方々を、今まさに強力に後押しすることこそが必要であり、都は、これまでの担い手育成の取り組みを抜本的に強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ラグビーワールドカップを契機にした外国人旅行者誘致について伺います。
 二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックが開催され、多くの外国人旅行者の訪日が期待されますが、実は、ラグビーワールドカップは開催期間が四十四日間と長く、団体よりも個人旅行の傾向のある欧米豪の旅行客が訪れるオリ・パラとは違ったインバウンド効果が期待されるビッグイベントです。
 開催まで一年を切った今、開催期間中の東京を中心とした観光需要喚起のため、旅行者の計画段階から魅力的な観光情報を世界に発信していくことが重要だと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、都立高校における文化活動について伺います。
 東京が成熟した文化都市として輝き続けるためには、若者が芸術文化の担い手として成長できる機会を保障することが重要です。文化の祭典でもある東京二〇二〇大会の開催を好機と捉え、高校生が吹奏楽、演劇、美術、工芸等の活動を通して、芸術文化への造詣を深めることは極めて意義のあることです。
 また、その二年後の二〇二二年度には、文化部のインターハイともいわれる全国高等学校総合文化祭が東京都で初めて開催されます。
 そこで、この二つの大きな大会に向けて、都立高校における文化部活動を一層充実させるべきと考えますが、都教育委員会の取り組みについて伺います。
 次に、ヘルプマークについて伺います。
 我が党の山加朱美前都議会議員の提案により生まれたヘルプマークは、義足や人工関節、内部障害、妊娠初期の女性など、外見からはわかりづらい障害を持つ方たちが、援助や配慮を必要としていることを周囲に知らせるためのものです。
 この東京発のヘルプマークは、昨年七月、JIS規格に追加され、日本共通の福祉マークとなり、全国の自治体への導入も、現在三十二都道府県と急速に進んでいます。
 今後、ヘルプマークの商標権を有する東京都は、国際都市として、二〇二〇大会開催都市として、ますます増加する外国人旅行者に向けて、ヘルプマークの意味や、このマークを持っている方に対して思いやりのある行動をとることを啓発していくことが大切です。
 そこで、このヘルプマークについて、外国から来た方々にとって最も目につきやすい多言語表示ポスターを作成することが効果的であり、重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、高齢者対策について伺います。
 都は、後期高齢者が百八十九万人になる平成三十七年を目途に、特別養護老人ホームの整備目標を六万二千床に引き上げ、そのための支援策も充実させつつありますが、現実には、人手不足や建築費の高騰などの課題があり、スムーズには進んでいません。
 そのような中、当初から高齢者を受け入れてきた多摩地域の特別養護老人ホームをさらに活用することが重要です。
 今後は、多摩地域を含めた都内全体での増床を図るとともに、既存施設を支援する施策が重要と思われますが、都の見解を伺います。
 次に、土砂災害対策について伺います。
 本年七月の豪雨では、西日本を中心に、土砂災害により多くのとうとい命が失われました。亡くなられた方々へ改めて哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。
 都内でも、平成二十五年に伊豆大島において大規模な土石流災害が発生し、甚大な被害を及ぼしました。昨年十月の台風二十一号では、幸い人的被害はなかったものの、多摩地域において十カ所を超える土砂災害が発生しました。
 都内には、多摩・島しょ地域を中心に、土砂災害のおそれのある箇所が約一万五千カ所存在しています。土砂災害から都民の命を守るためには、危険箇所を、住民に加え、新たに土地所有者も含めた関係者に幅広く周知し、住民の迅速な避難行動を促すことが大切です。
 また、土石流をとめる砂防堰堤などを整備する砂防事業や、崖崩れを防止するのり枠などを整備する急傾斜地崩壊対策事業を着実に進めることが重要です。都のソフト、ハード両面からの取り組みについて伺います。
 次に、西多摩山間地域の道路整備について伺います。
 ことしの日本各地での自然災害では、道路が寸断される被害が多発しました。西多摩の山間地域では、幹線道路が多摩川と秋川に沿って走る一路線しかなく、土砂崩れなどによって通行不能となった場合、避難や救助活動などに大きな支障を来すこととなります。
 そのため、本地域では、防災力の強化に資する道路整備を進めていくことが喫緊の課題です。
 都は、昨年九月に取りまとめた多摩の振興プランにおいて、災害時の代替ルートとなる多摩川南岸道路と秋川南岸道路の整備を推進する方針を示しました。
 そこで、これらの路線の取り組み状況について伺います。
 最後に、建設工事案件の仕事の平準化について伺います。
 都は、発注の端境期と集中期の比率を一・五倍以内に抑えるという目標を立て、対策も講じた結果、その比率は二十九年度で二・二倍にまで縮小されました。しかし、都においても働き方改革が叫ばれる中、都政と密接にかかわる建設業界からは、都の発注案件にまだまだ平準化の余地があるとの声が多数あります。
 そこで、今年度が目標最終年度となるこの指標を、来年度以降どのように運営していくのか、また、現場の仕事の平準化のために、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、都の見解を伺い、私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 田村利光議員の一般質問にお答えいたします。
 都立高校における文化部活動の充実についてのお尋ねでございますが、文化部活動は生徒が創造性を発揮しながら協力して技能を高めることなどを通して、豊かな人間性を育むとともに、芸術文化の担い手を育てる意義のある活動でございます。
 これまで都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育の一環として、日本の伝統文化を尊重する取り組みを推進しており、茶道部が外国人をもてなすなどの活動を行っている都立高校もございます。また、今年度から文化部推進校を指定し、都立高校の部活動の活性化を図っているところでございます。
 今後、部活動の成果を全都に広く周知したり、私立高校とともに活動する機会を設けたりするとともに、東京二〇二〇大会に向けた取り組みを通して培ったレガシーを全国高等学校総合文化祭東京大会につなげることにより、芸術文化の継承、発展に貢献できる人材を育成してまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の生命を守るには、ソフト、ハード両面から対策を着実に推進することが重要でございます。
 ソフト対策といたしましては、住民の避難行動につながる土砂災害警戒区域等の指定を前倒しいたしまして、平成三十一年度前半までに完了させるとともに、区域指定の前提となります基礎調査結果を、新たに公表いたします警戒区域内の住民や土地所有者へ周知してまいります。
 ハード対策といたしましては、多摩・島しょ地域で砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業等を実施しておりまして、今年度は、奥多摩町の西川で砂防堰堤を、大島町の大金沢で流路工を整備するなど、三十三カ所で着実に進めますとともに、新たにあきる野市の五日市地区等で砂防基本計画の策定に着手いたします。
 引き続き、都民の安全・安心の確保に向けまして、ソフト、ハード両面から土砂災害対策を推進してまいります。
 次に、多摩川南岸道路及び秋川南岸道路についてでございますが、これらの道路は、地域の生活や産業経済を支えますとともに、災害時には交通機能のリダンダンシー等を確保し、集落の孤立化防止を図る重要な社会基盤でございます。
 このうち、多摩川南岸道路では、最後の未開通区間でございます約一・九キロメートルの丹三郎工区におきまして、早期事業化に向け、今年度、路線測量や地質調査等を進めてまいります。
 また、秋川南岸道路は、あきる野市荷田子地区におきまして、今年度、道路拡幅工事を実施しております。さらに、未整備区間の下元郷地区などにつきまして、早期事業化に向け、調査、設計を実施してまいります。
 今後とも、地域の防災力を高めまして、命綱ともなる西多摩山間地域の道路整備を全力で推進してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、森林環境譲与税の効果的な活用についてでございますが、都や区市町村が地域の実情を踏まえ、森林整備や多摩産材の利用拡大に森林環境譲与税を有効に活用することは、東京の林業振興を図っていく上で重要でございます。
 これまで都は、区市町村に対し、譲与税の使途の説明とともに、税の活用にかかわる都の支援についてヒアリングを行ってまいりました。
 今後は、このヒアリングの結果も踏まえ、森林経営管理システムを運用する市町村への専門的な助言やノウハウの提供とともに、区市町村における多摩産材等の利用の拡大を図る支援の充実について検討を進めてまいります。
 さらに、林業事業体の多様な経営モデル創出への支援をあわせて検討するなど、譲与税を有効に活用した取り組みを進めるとともに、引き続き林道等の基盤整備に着実に取り組み、林業のさらなる振興を図ってまいります。
 次に、多摩川における魚道の維持改善についてでございますが、内水面漁業において貴重な資源でございますアユが上流まで遡上するためには、農業や水道用の取水堰等に設置されている魚道の管理を適切に行う必要がございます。
 このため、都は、国とともに連絡会を設置し、堰を管理する各機関と連携し、ガイドラインに基づく魚道の点検を行うとともに、魚道以外の場所に迷い込んだアユを遡上させるため、漁協が行う土のうを活用した簡易魚道の設置を支援しております。
 今後は、アユの遡上環境を一層向上させるため、専門家や地元自治体、漁協などを交えた新たな会議を立ち上げ、魚道機能回復のために行う堰上下流に堆積した土砂の撤去や新たな簡易魚道の開発など、堰、魚道機能の維持改善策を検討してまいります。これにより、内水面漁業の一層の振興を図ってまいります。
 次に、農業の担い手の確保、育成についてでございますが、都市農業に関する制度改正が進みます中、東京農業の持続的な発展のためには、この機を捉え、担い手の確保、育成と、その経営力の強化を図ることが喫緊の課題でございます。
 これまで都は、就農コンシェルジュによる就農相談や、指導農業士による体験研修などを実施してきております。
 今後は、新規就農者向けの実践的な技術研修や、就農初期の負担軽減に向けた施設や機械の導入支援が重要となってまいります。さらに、経営拡大を目指す意欲的な農業者に向け、ICTを活用した栽培技術やマーケティング手法の習得等、経営の高度化の後押しを含め、担い手の技術や経営のレベルに応じた育成施策について検討してまいります。
 こうした取り組みにより、新規就農者の確保や意欲ある農業者の育成を進め、東京農業の一層の振興につなげてまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップを契機とした旅行者誘致についてでございますが、全国十二の会場で開催されるラグビーワールドカップ二〇一九は、試合日程に合わせ、長期間にわたる国内周遊が期待できる欧米豪地域からの観戦客が多く、こうした特性に応じた誘致活動を行う必要がございます。
 このため、都は、主に欧米豪地域での認知度を高めるため、海外のラグビー専門誌などの記者を招聘し、東京と他の開催都市を結ぶ観光ルートの取材記事の掲載を来月から実施いたします。また、東京での観戦後に楽しめる施設や飲食店等の情報に加え、全国の開催都市の観光スポット等をあわせて海外に発信するためのウエブサイトを開設いたします。
 さらに今後、開幕戦や決勝戦などが行われる近隣の自治体が連携し、海外の旅行博での観光PR等にも取り組んでまいります。これらにより、旅行者誘致に向けた情報発信を効果的に実施してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ヘルプマークの普及についてでありますが、都は、平成三十年三月までに累計でポスター約三万八千枚を作成し、都営交通、「ゆりかもめ」、多摩モノレール、都立病院等と協力して、駅や公共施設等への掲示を行ってまいりました。
 平成二十八年度に実施した障害及び障害のある方への理解に関するアンケート調査におきまして、ヘルプマークを知ったきっかけとして、都のポスターなどの広告物という回答が約三五%となっており、ポスターを活用した普及啓発の効果は高いと考えております。
 今後は、駅や公共施設等を利用する外国人の増加等を踏まえ、関係局とも協力して、外国語によるポスターの作成について検討してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、都は、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、整備率が低い地域への補助単価の加算などに加え、今年度からは、建築価格の高騰に対応する整備費補助の加算を地域密着型の場合にも拡大するなど、さまざまな独自の支援策により、特別養護老人ホームの整備を促進しているところでございます。
 また、都内全体で必要な定員を確保するため、地元の必要数を超えた整備に同意する区市町村が、福祉目的に活用する基金を造成できる交付金制度を設けております。さらに、既存施設に対しましては、入居者のプライバシーを保護するための多床室の改修や老朽化した施設の改築、大規模改修等の補助を行っております。
 今後も、区市町村のニーズを踏まえながら、特別養護老人ホームの整備を促進してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 建設工事の平準化についてでございますが、発注時期の平準化は、事業者の受注環境を安定させ、計画的かつ着実に事業を実施する上で重要でございます。
 このため、財務局では、平成二十八年三月より関係局と連携し、設計業務を含めた発注の前倒しや十二カ月未満の工事への債務負担行為の適用などを積極的に活用することなどによりまして、発注時期の平準化に取り組んでまいりました。
 目標の最終年度であります今年度は、目標達成に向け着実に取り組むとともに、関係各局による庁内連絡会を開催し、これまでの状況を分析した上で、平成三十一年度以降の取り組みにつきまして検討しているところでございます。
 平準化の取り組みは、建設業における長時間労働を是正するなどといった働き方改革にも資するものと考えておりまして、引き続き積極的に推進してまいります。

○議長(尾崎大介君) 十九番加藤雅之君
〔十九番加藤雅之君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○十九番(加藤雅之君) 初めに、地球温暖化対策について質問します。
 ことしの夏は異常ともいうべき暑さが続き、熱中症による緊急搬送も過去最高となりました。こうした猛暑や大規模水害につながる異常気象が続くのも、温暖化の影響が一層顕著になっているものと指摘されています。
 この影響を防ぐには、産業と家庭の両分野にわたり、新たな温暖化対策の国際ルールであるパリ協定を踏まえた環境対策を一層強化していく必要があります。
 産業分野では、大規模事業所に対する世界初、国内で唯一東京が行うオフィスビルも含めたキャップ・アンド・トレード制度での事業者努力により、最新の実績で二六%のCO2削減を達成しました。
 次なる課題は、二〇二〇年以降に取り組む同制度の第三期計画期間の取り組みです。既に都は、本年三月から制度構築に向けた検討をスタートさせたと聞いています。
 そこで、従前の省エネ対策の枠にとどまることなく、再生可能エネルギーの積極的な導入を評価するなど、低炭素社会から脱炭素社会へと、将来的な展開を見据えた大胆な取り組みを行っていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次は、都内エネルギー消費量の約三割を占める家庭分野の省エネ対策です。
 都内のエネルギー消費量は、最新のデータとなる二〇一六年度は、二〇〇〇年比で見ると、全体では二一%減となっておりますが、家庭部門では世帯数の増加もあって、逆に〇・七%増という結果です。
 都は、家庭部門の省エネ目標を二〇三〇年に二〇〇〇年比で三〇%程度削減とし、さまざまな取り組みを進めていますが、いま一つ有効な手だてが不足しており、もう一歩踏み込んだ対策を講じなければ、目標達成は極めて難しいと思われます。
 そこで、例えば一日中稼働している冷蔵庫など、消費電力の大きい家電について、省エネ型の製品の普及が進むような思い切った取り組みを今こそ検討すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、情報バリアフリーの推進について質問します。
 我が党は今日まで、さまざまな障害があっても、誰もが必要とする情報やコミュニケーションを確保すべきだとして、ヘルプカードの導入や、都が発行する印刷物や納付書などに音声コードを付記するよう都に求めるなど、情報バリアフリーの推進を行ってきました。
 都も、色の種類や組み合わせに配慮したカラーユニバーサルデザインのガイドラインを制定するなどしてきました。
 一方、高齢者がますます増加する中、健常者であっても、加齢に伴う文字情報の認識低下などの問題が増加し、色だけでなく、文字についてもより認識しやすいユニバーサルデザインフォント、UDフォントを使用するなど、一層の情報バリアフリー対策が求められます。
 障害者差別解消条例を制定した都が、合理的配慮を求められる行政機関として、より多くの方にわかる、伝わる情報提供を行っていく責務があります。
 そこで、まずは都庁情報を作成、発信する職員に対し、色の使い方、文字の使い方、デザインなど、さまざまに配慮や工夫を加えることで、情報をわかりやすく伝える手法であるメディアユニバーサルデザイン、MUDの考え方を学ぶ機会を設けるべきと考えます。
 そして、都民向けの印刷物やホームページをより見やすくして、情報バリアフリーを一層進めるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、東京の産業発展に欠かせないものづくり人材の育成について質問します。
 先日、都内の建設、製造関係の中小企業団体から、他の業種に比べて人不足が深刻であり、このままでは東京、ひいては日本全体の産業競争力が低下するとの危惧と、都として、ものづくり教育に力を入れ、意欲ある人材を多数企業に送り出してほしいとの切実な声をいただきました。
 現在、都教育委員会では、外部講師を招いたものづくり講座の実施や、先端分野の技術者派遣など、魅力ある学校づくりに努めています。
 しかし、残念ながら、ものづくり人材の育成を担う工業系の都立高校が二十二校ある中で、そのうちの数校では定員割れを起こし、全体としても、普通校と比べて応募倍率が高くないのが現状です。
 来年二月の策定を目指している都立高校改革推進計画次期実施計画(仮称)においてもさまざま検討がなされていると思いますが、今後は、企業と学校が連携したすぐれた取り組み事例を盛り込んだ学校説明会を開催するとともに、工業系高校の充実について企業の意見を取り入れていくなど、現場の知恵をいただきながら取り組んでいくべきと考えます。
 そこで、今後の魅力ある工業系の都立高校改革の取り組みについて、都の見解を求めます。
 次に、日本語を母語としない生徒への日本語教育支援について質問します。
 私は、以前この場で、地元のある小学校は、母語として十五カ国につながる児童が在籍し、全校生徒の約半数に上り、国籍にとらわれず多様性を育みながら学んでいる状況を紹介しました。やがて子供たちが成長し、母国と日本両国のかけ橋となって貢献できるよう、教育環境の整備が大事です。
 このため、特に在京外国人生徒への都立高校への受け入れについて、さまざまな改善を求めてきました。
 これに対し都教育委員会は、二十三区だけでなく、多摩地域の高校や専門高校にも在京外国人枠を設置するなど対象者の拡充を図り、現在では七校で計百二十人の在京外国人生徒対象枠を設定しています。
 しかし、入学希望者はそれを上回るペースで年々増加し、応募倍率は依然として約二倍を超えており、全日制普通科の平均倍率と比べても高どまり状態にあり、拡大が必要です。
 加えて、在京外国人生徒が受験する際には、ルビが振られた検査問題とする特別措置が受けられますが、対象者は在日期間三年以内に限られており、期間の延長が必要です。
 また、グローバル化の進展で、日本の国籍があっても、さまざまな理由で日本語を母語としない生徒がふえている実態もあり、こうした生徒も現状では特別措置が受けられず、改善が必要です。
 さらには、日本人に比べて負担が大きい就学に際して必要となる情報収集や、申し込み時の応募資格確認等に係る負担も軽減すべきです。
 これらさまざまな課題に対し、日本語教育に関する政策を策定、運用する専門部署を設置すべき時期に来ていると考えます。
 そこで、今後の在京外国人生徒等の受け入れ環境整備と、日本語指導教員の研修体制整備などで、入学後の日本語指導に係る教育環境の向上を図るべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 次に、都庁に提出する書類の削減や簡素化について質問します。
 都は、都政改革の一つとして、庁内におけるペーパーレス、判こレス、キャッシュレスの三つのレスを職員中心に推進し、都庁における働き方改革、職員のライフワークバランス向上という観点から、まず内部事務を中心にスタートしました。
 また、建設局では、建設現場の生産性向上のため、工事受注者へ提出を求める工事関係図書の削減ができるよう、書類削減モデル工事の試行を間もなく実施する予定と伺っています。これにより、発注者側にも確認事務の負担軽減が期待され、働き方改革につながります。
 従前より、都民や事業者から、都に提出する書類の多さなどに削減、簡素化を求める声が寄せられておりますが、都庁内にとどまらず、外に向けてもこうした動きが出てきたことは評価いたします。
 今後、各局にも広がることを求めるものです。
 さらに、既にスタートしている電子調達や各種電子申請を広げ、都だけでなく、区市町村の事務についても、働き方改革が一層進んでいくよう取り組んでいくべきです。
 そこで、電子申請の促進を含め、ペーパーレス化の取り組みと今後の展望について、都の見解を求めます。
 次に、先月、事業計画の改定版が公表された都心と臨海地域を結ぶBRTに関して質問します。
 都内におけるBRTの運行は初めてであり、徹底したバリアフリー対策や運賃のキャッシュレスシステム、二両編成車両、燃料電池バスの導入など、先進的な技術も導入され、今後の運行が大いに期待されるところです。
 東京二〇二〇大会の開催時には、都心や臨海地域に国内外から多くの人が訪れ、BRTを東京の新しい公共交通機関としてアピールする好機となります。
 そこで、BRTの魅力や先進性をわかりやすく伝えるためには、車両や施設に洗練されたデザインを導入すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、BRTの停留施設は、利用者視点に立って、誰もが使いやすいものにするとともに、晴海のターミナル周辺においては子供の通学路等も隣接することから、整備に当たっては徹底した交通安全対策を行うべきと考えますが、都の見解を求めます。
 最後に、工業用水廃止に伴う中小企業支援策について質問します。
 私の地元墨田区には、皮革や染色事業者など、工業用水を特に多く使用する事業者が集まっており、今回の工業用水廃止条例によって、今後の経営に多大な影響が及ぶことは明らかです。また、東京の産業を支える貴重な地場産業であり、東京の産業力を守るためにも、これまでと違った大胆な支援策を検討していく必要があります。
 例えば、皮革産業では、多くの小規模事業所がお互いを補完し合うように分業体制をとりながら、地方の大規模事業所に負けないよう競争しています。これらの事業者が都有地を活用して集積するなど、効率性を一層高め、集合体としてのメリットを生かし、生産性の向上につなげるといった手法もあると考えます。
 そこで、現状の支援計画にとどまらず、事業存続に向けたさまざまな要望、提案を真摯に受けとめ、できる限りの支援策を検討すべきと考えます。また、集合住宅ユーザーに対しても、生活に影響が出ないよう取り組むべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、かつて井戸水を使用していた地元の工業用水ユーザーからは、都の政策として工業用水に転換した経緯から、工業用水廃止に際しては、再び井戸水の活用を求める声をいただいています。
 法的には、現在でも決められた範囲の水量であれば、地下水のくみ上げは認められていますが、事業者からは揚水規制の緩和を求める声も出ております。
 また、かつて地下水のくみ上げなどで地盤沈下を招いた時代もありましたが、それから半世紀が経過し、地下水を使用していたユーザーも大幅に減少しました。
 さらに、東京駅や上野駅のように、地下水位の上昇による影響を抑えるため対策を施している場所もあると聞いています。
 そこで、今後に備え、地下水のくみ上げと地盤沈下の影響等について都として調査を行い、適切な対応がとられるようにすべきと考えますが、都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 加藤雅之議員から、環境に関する一般質問を頂戴いたしました。
 今後のキャップ・アンド・トレード制度についてのご質問でございます。
 現在、世界では、パリ協定の締結以降、脱炭素社会に向けた動きが加速化しております。こうした中で、世界の温室効果ガスの約七割を排出しているのが都市でありまして、その都市の役割は極めて重要でございます。そしてまた、東京のような大都市が率先して排出の削減に取り組む必要がございます。
 二〇二〇年から第三計画期間が始まります都のキャップ・アンド・トレード制度でございますが、新たなステージに立って、取り組みの進化をさせる必要がございます。
 このため、これまで進めてきた省エネルギー対策のさらなる推進とともに、再生可能エネルギー割合の高い電力を調達した場合、追加的な削減量として評価をするなど、新たなインセンティブの導入によりまして、再エネの大幅な利用拡大を図ってまいります。
 都といたしまして、こうした制度の充実などによって、温室効果ガスのより一層の削減を進めながら、ゼロエミッション東京、ゼロエミ東京の実現を目指してまいります。
 残余のご質問については、教育長、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立高校に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、魅力ある工業系高校の改革の取り組みについてでございますが、工業系高校には、専門的な技術、技能を習得した産業界の期待に応える人材を輩出する重要な役割がございます。
 そのため、熟練技術者などの外部人材による指導実践や、デュアルシステムによる実践的な実習など、企業等との連携により、生徒のものづくりへの興味、関心を高め、技術、技能を伸ばすなど、教育内容を充実してまいりました。
 今後、都教育委員会は、こうしたすぐれた取り組みを、都立高校の合同説明会において中学生や保護者にわかりやすく紹介するなど、工業系高校の一層の魅力発信に取り組んでまいります。
 また、工業系高校の充実策を検討するに当たり、企業の意見を聴取する機会を設け、検討に反映するなど、産業界の実態を踏まえた改革を進めてまいります。
 次に、在京外国人生徒等への日本語支援についてでございますが、日本語の理解が十分でない在京外国人生徒等に都立高校への就学機会を提供するとともに、速やかに日本語を習得させることは、学力の定着にとって重要でございます。
 そのため、来年度から、都立高校入学者選抜の検査問題にルビを振る特別措置の対象に、日本国籍であっても日本語指導を必要とする生徒も加えるとともに、措置の基準となる在日期間を三年以内から六年以内に延長することといたしました。
 都教育委員会は、今後の在京外国人生徒受け入れ枠を適切に確保する方策や、日本語指導体制の充実策について、都立高校改革推進計画の次期実施計画において取り組みの方向を明らかにし、在京外国人生徒等の教育環境の一層の向上に努めてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、家庭の省エネ対策についてでございますが、都はこれまで、LED省エネムーブメント促進事業や、省エネラベリング制度による省エネ意識喚起などのさまざまな取り組みを進めてまいりました。
 家庭のエネルギー消費量の内訳は、電力では照明の割合が最も多く、次いで冷蔵庫やエアコンが続いており、また、都市ガスでは給湯器の割合が高く、これらの機器だけで家庭のエネルギー消費量の半分を占めております。こうした機器では、製品ごとの省エネ性能に大きな差があるため、より効率の高い機器の選択を促す仕組みの構築が有効であると認識しております。
 今後、こうした観点を踏まえ、省エネ性能の高い機器の新たな普及策を検討し、家庭の省エネ対策をより一層推進してまいります。
 次に、今後の都における地下水への対応についてでございますが、地盤沈下は不可逆的な現象であり、過剰な揚水が行われれば、再度地盤沈下が進行する可能性があることから、都内での揚水には慎重な対応が必要でございます。
 また、国の水循環基本計画では、未解明の部分が多い地下水の実態を把握した上で、地域の多様な関係者と時間をかけて議論を重ね、地下水の保全と適正利用に向けた合意形成を図っていくことが重要であるとしております。
 このため、都としては、まずは現行の揚水規制を継続しながら、研究機関との連携を深め、さまざまな科学的データを収集、蓄積し、地下水の実態把握を進めてまいります。
 あわせて、有識者で構成される地下水対策検討委員会に諮りながら、慎重かつ丁寧な検証を行ってまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 情報バリアフリーに関するご質問にお答えいたします。
 都は、年齢や障害の有無などに関係なく、誰もが必要な情報を入手できるよう、印刷物等に関するカラーユニバーサルデザインガイドラインや、区市町村や事業者向けの情報バリアフリーガイドラインを作成するなど、情報アクセシビリティー確保の取り組みを推進してまいりました。
 今年度改定する福祉のまちづくり施設整備マニュアルにも、施設の案内や表示等で使用する文字につきまして、認識しやすい大きさやフォント、色覚に配慮した色を使うように盛り込み、この取り組みをさらに進めてまいります。
 また、見やすさに配慮した活字の活用が進むよう、東京都福祉のまちづくり推進計画等の印刷物に使用するほか、職員向けの事務説明会を開催し、具体的な事例を周知してまいります。
〔総務局長代理次長榎本雅人君登壇〕

○総務局長代理次長(榎本雅人君) ペーパーレス化の取り組みと今後の展望についてでございますが、ICTを活用した社会全体のデジタル化が要請される中、行政事務の効率化と都民サービス向上の観点から、業務全般のペーパーレス化を強力に進める必要がございます。
 都は今年度から、三年間で達成すべき数値目標を設定するなど、紙に依存した仕事から脱却を図るとともに、都庁BPRとして、内部事務を中心とした業務プロセスの抜本的な再構築を行っております。
 また、申請者の負担軽減のため、行政手続の原則オンライン化に向け、鋭意取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みを都が率先して進めることにより、今後、都民や事業者の申請から内部の事務を一貫してデジタルで行うなどペーパーレスを軸とした業務改革と利用者の利便性改善など、都民サービスの向上を一層図ってまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、BRTのデザインについてでございますが、都心と臨海地域とを結ぶBRTの導入に当たっては、次世代の都市交通システムにふさわしい交通機関として魅力を高めることが重要でございます。
 そのため、車両や停留施設、サインなどについて、一貫したコンセプトをもとにデザインを行うことで、統一感を持たせることとしております。
 現在、シンボルマークや車両の外観、サイン表示などの基本的なデザインを検討しておりまして、今後、学識経験者などで構成する会議で複数案を作成し、都民などから広く意見募集を行った上で、今年度内に決定してまいります。
 次に、BRTの停留施設などの整備についてでございますが、停留施設は、乗客が快適に利用できるよう、可能な限り上屋やベンチを設置するとともに、車椅子使用者など、あらゆる人がスムーズに乗りおりできるよう配慮いたします。加えて、多言語で運行状況、周辺案内などの情報提供を行うため、デジタルサイネージなどを設置し、誰もが使いやすい停留施設の整備を進めてまいります。
 また、コミュニティバスなどと接続する新たな交通結節点として、晴海二丁目にBRTのターミナルを整備いたします。その際には、バスの出入り口を初め、歩行者の安全に十分に配慮した施設としてまいります。
 BRTが東京の新たな輸送システムとして、利用者にとって使いやすく魅力のある交通機関となるよう、関係者と連携して、着実に取り組んでまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 工業用水道事業の廃止に伴う支援策の検討についてでございますが、今回お示しをしました支援計画案は、関係各局による庁内検討会において検討を行うとともに、有識者委員会の提言や利用者の声を丁寧に伺い、取りまとめたものでございます。
 利用者に対する支援は、集合住宅の利用者も含め、今後、長期にわたり実施していくものであり、利用者のさまざまな要望や提案を真摯に受けとめていくためには、関係各局の連携が不可欠でございます。
 そのため、工業用水道事業の廃止が決定された以降、庁内横断的な体制を整備することとしております。
 今後、利用者の支援状況などを的確に把握し、長期的な観点から支援内容や対象について検証を重ね、利用者の事業活動や生活に配慮し、きめ細かく対応してまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時休憩

   午後五時二十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八番藤井あきら君
〔八番藤井あきら君登壇〕

○八番(藤井あきら君) 私は、マイクロソフトなどテクノロジー企業で働いてきた経験から、東京におけるテクノロジーの活用について質問をいたします。
 世界では、GAFA、ガーファと呼ばれる企業が存在感を示しています。これは、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字をとったものです。
 アイフォンのアップルとインターネットの本屋から始まったアマゾンの時価総額は世界一位と二位で、それぞれ総額百兆円を超え、人工知能やIoTなどテクノロジーへの研究開発投資で、国以上の存在感を示しています。
 中国は、国内で独自にテクノロジー企業を育成し、BAT、バットと呼ばれる三大IT企業が存在します。その中で、アリババとテンセントの時価総額は世界の七位と八位、それぞれ総額は五十兆円に迫る勢いです。
 一方、日本ですが、一位のトヨタ自動車、世界では四十三位、時価総額は二十二兆円です。
 テクノロジーの進歩により、世界中の都市でスマートシティーの競争が起きています。ビッグデータや人工知能、ロボット、IoTなどを背景に、これまでの環境配慮型のエネルギーマネジメント中心のスマートシティーの考え方から、ICTやデータを活用して都市におけるさまざまな課題を解決するまちづくりそのものを、スマートシティーと呼ぶようになっています。
 一例を挙げます。カナダのトロントでは、グーグルの関連企業サイドウオークラボが、臨海部都市開発プロジェクトを実施しています。まちじゅうのさまざまな場所にセンサーを設置し、交通の流れや大気汚染、エネルギーの使用量、旅行者の行動パターン、ごみの排出量に関する情報などを常時収集し、データサイエンティストがそれを分析することで、都市の設計に役立てています。
 最新の報告では、状況や用途に応じて柔軟に変化する道路も計画されているということで、これは例えば、朝のラッシュ時にはバスの専用道路だったものが、スイッチ一つで、日中は子供の遊び場や、例えば週末は農産物の直売地にかわる、そういったものになります。
 激化する都市間競争に打ち勝ち、生き残るためには、他の都市の動向や最新テクノロジーのトレンドを正確につかむ必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 これは意見ですが、先ほど述べた都市に加えて、エストニアの電子政府や、中国深圳や上海のキャッシュレス経済など、テクノロジーという視点で、ICT利活用の先端都市へ視察に行くことも検討すべきと申し上げておきます。
 都では、テクノロジーに関する新たな取り組みも進めています。その一つは、AIを活用したチャットボットです。
 チャットボットとは、チャット、つまりおしゃべりと、ボット、つまりロボットを掛け合わせた言葉で、人工知能を活用した自動会話のプログラムのことです。
 ことし五月から七月、主税局でチャットボットの実証実験が行われました。ホームページ上で、自動車税や納税に関する都民からの問い合わせにチャットボットが自動応答するというものでした。また、水道局では既にホームページ上で、引っ越しの際の水道手続の案内など、自動応答してくれるチャットボットが実装されています。
 チャットボットは、業務の効率化や都民サービスの向上につながるものであり、今後、主税局での本格導入や、都庁の他の部局へ利用が広がることを期待します。
 福祉保健局では、東京都受動喫煙防止条例に伴い設置をされた相談窓口でのチャットボットの導入を検討しているとのことですが、その目的と狙いをお伺いします。
 チャットボットは、本定例会知事所信表明でもあった、災害時の外国人への情報発信も可能です。ある外国人観光客向けのチャットボットサービスでは、災害時サポート機能として、緊急速報、そして災害発生時にとるべき行動や避難場所などを多言語で発信することができます。これも意見でございますが、都の提供するFREE Wi-Fi&TOKYOを活用して、観光客向けの多言語チャットボットサービスを検討することを提案いたします。
 チャットボットのようなシステムは、このように、まずは各部局で導入して、さまざまに試してみることが重要ですが、一方、全庁的に最適化していくことも必要となります。今後、どのように全庁的に展開していくか、見解をお伺いします。
 新たな取り組みのもう一つは、RPAです。この九月に二〇二〇改革プランに基づき、都庁における抜本的な業務プロセスの見直しの推進に向けて、RPAの実証実験の募集が始まりました。
 RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、広義のロボット、つまりプログラムによる業務の自動化を意味します。つくば市でもことし実証実験を行い、対象業務で約八割の時間削減の効果を得ています。
 今回の都の実証実験は、五から十程度の限られた業務における実験ですが、これをきっかけに業務プロセスの改善につなげ、RPAを積極的に導入すべきと考えます。今後の展開について伺います。
 業務改革という点では、茨城県が電子決裁による作業効率化に取り組み、年間二十六万件の決裁のうち、四月時点では一三・三%だった電子決裁率を、たった四カ月後の八月には一〇〇%にしたとのことです。
 対象業務の数字の捉え方は自治体ごとに異なると思いますが、東京都もスピード感を持って、電子決定率を初め、デジタルファーストに取り組むことを期待します。見解を伺います。
 先日、地元府中市で行われた東京都のオープンデータアイデアソンキャラバンに参加しました。参加者から、地域の課題解決や生活の利便性向上のためのさまざまなアイデアが示され、オープンデータ活用の可能性を感じました。加えて、多くの都民や企業にオープンデータを活用してもらうためには、自治体や企業の垣根を超えたデータの共有が重要だと改めて実感をいたしました。
 市区町村が公開するデータは、統一的なフォーマットにすることで、ユーザーがより簡便かつ効率的に収集、利用できるようになります。
 東京のオープンデータの取り組みを前進させるため、市区町村も含めたオール東京でのデータ公開、活用を進めることが不可欠だと考えますが、見解を伺います。
 自動運転について伺います。
 八月二十七日より、大手町と六本木の間で、世界初の自動運転タクシーによる公道での営業走行の実証実験が行われ、小池知事も試乗をされました。
 東京二〇二〇大会は、日本の最先端テクノロジーを国内外に示す貴重な機会であり、自動運転はその大きな目玉の一つになります。
 自動運転の実現のため、来年度には羽田空港から都心部をつなぐなど、より長い距離での実証実験の実施や、さまざまなサービスと連携したビジネスモデルの実現を都として支援することを強く要望いたします。
 そこで、自動運転タクシーに乗車しての感想、さらには二〇二〇年東京大会を見据えて、今後の自動運転への取り組みを知事にお伺いします。
 がん患者の就労支援についてお伺いします。
 私は四年前、二十八歳の妹をがんで亡くしました。がんが見つかってから約三年間の闘病生活の中、妹は、職場や上司の理解もあり、仕事を続けることができました。仕事を続けられたことは、妹の大きな心の支えとなっていました。
 医療技術が進化し、新しい治療法や薬により、がんになっても質のよい日常生活を望めるケースがふえています。がんとの共生は非常に重要なテーマです。
 昨年から始まった東京都難病・がん患者就業支援奨励金は、難病やがん患者の治療と仕事の両立に配慮する事業主に助成金を支給し、難病やがん患者の就労を支援するものです。先駆的な取り組みであり、他の自治体から注目を集めていると、がんサバイバーの就労支援を行う方々からも聞いています。しかし、まだ都民、事業者への認知度が上がっていない現状です。
 東京都難病・がん患者就業支援奨励金を企業や都民に対して広く周知し、利用を促していく必要があると考えるが、見解を伺います。
 さて、続いては、グローバルからローカルへ、地元府中の都市整備についてお伺いします。
 東京二〇二〇大会自転車ロードレースのスタート地点が、地元府中と調布の武蔵野の森公園に決まりました。二〇一九年にはラグビーワールドカップが東京スタジアムで開催されます。
 これらの会場の最寄り駅である西武線多磨駅は、地元府中市と西武鉄道が既に駅舎の改良を発表しており、今後、着実に進んでいくものと考えます。多磨駅の工事が順調に進むよう、都としても支援することを強く要望いたします。
 市の中心部は府中駅ですが、もう一方、市のもう一つの拠点である分倍河原駅は、JR南武線と京王線の乗りかえ駅であり、乗降者数は府中駅よりも多い状況です。しかし、整備にいまだ手をつけられていません。駅舎が狭く、南北をつなぐ自由通路も、設置から四十年を経過したまま使われています。
 改善に向け、駅周辺の整備は府中市が主体的に行うものではありますが、駅舎の改良には、JR東日本や京王電鉄との厳しい協議やまちづくりの経験が必要で、市単独の取り組みには限界があります。
 分倍河原駅の基盤整備に都がしっかりと関与すべきであると考えますが、見解を伺います。
 最後に、都市計画道路についてお伺いします。
 地元府中市内には、多摩地域の主要な南北、東西道路が集まっており、現在整備が進められている東八道から国立インターをつなぐ府中三・二・二の二号東京八王子線の早期完成が待ち望まれています。
 加えて、同地区東八道から国立市を結ぶ府中三・四・五号新奥多摩街道線についても、地元地域は安心・安全を最優先に、用地買収など整備に向けての協力もしており、これら二つの都市計画道路の一体的な開通も望まれているところです。
 一方、平成二十八年三月に策定された東京における都市計画道路の整備方針、いわゆる第四次事業化計画では、府中市の南部を多摩川と並行して多摩東西を結ぶ府中三・四・三号狛江国立線が優先整備路線に位置づけられています。
 本路線は、生活道路である多摩川通りの大型車両の交通分散化や安全性の向上、災害時の延焼遮断帯としての防災性や緊急輸送道路の機能向上が期待できるなど、高度防災都市東京の実現にも寄与する大変重要な路線です。
 そこで、府中都市計画道路三・四・三号狛江国立線の都の取り組み状況についてお伺いします。
 同様に、優先整備路線である、通称新人見街道とも呼ばれる府中三・四・一二号浅間山線が計画されている地域では、現在の人見街道の幅員が狭く、混雑しています。また、多磨駅周辺では、先ほど述べたとおり、駅舎の改良や大規模商業施設の開業が予定されていることから、さらなる交通量の増加が懸念されています。
 そこで、府中都市計画道路三・四・一二号浅間山線について、都の取り組み状況を伺います。
 結びに、東京は、多様性を持ち、産官学が近接する世界にも類を見ない可能性を秘めた都市であります。しかし、大学や企業に眠るさまざまな研究や知識、そしてテクノロジーがそれぞればらばらでは、激化する都市間競争に打ち勝つことはできません。
 東京都としてスピード感を持って産官学の力を結集するなど、東京に眠るすばらしい宝物を発掘し、グローバルな視点とローカルな視点、地域の声を大切に東京大改革を進めることをお誓いしまして、私の昨年に引き続き二回目の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 藤井あきら議員のグローカルな一般質問にお答えをいたします。
 自動運転技術の社会実装に向けた取り組みについて、私へのご質問でございました。
 今回の自動運転タクシーの実証実験でございますが、文字どおりお客様を乗せて有料でサービスを提供するという世界初の取り組みでございまして、都が主導して実施したものでございます。
 私も実際、自動運転の車両に試乗いたしまして、スムーズな走行体験をいたしました。そして、改めてAI技術の進歩や安全性のレベルアップを実感したところでございます。
 今後も、都といたしまして、交通サービスの実証実験を支援いたしまして、サービスの担い手を生み出していきたいと考えております。
 また、実用化に向けましては、法制度の整備や安全性への理解の促進を一層図る必要もございます。そういったことから、都といたしまして、利用者側の機運の醸成に向けた取り組みも展開をしてまいります。
 自動運転技術は、高齢者を初めとする移動制約者の増加や、深刻化するドライバー不足などの社会的な課題を解決する技術として期待をされているところであります。
 こうした先端技術を活用したビジネスが東京二〇二〇大会後のレガシーとなって、そして重要な社会基盤の一つに育っていくように、国とも連携をしながら、早期の実用化に向けまして強力に後押しをしていきたいと、このように考えております。
 残余のご質問は、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、府中市内の都市計画道路であります府中三・四・三号線についてでございますが、本路線は、府中市押立町四丁目を起点といたしまして、同市四谷六丁目を終点といたします延長約八・五キロメートルの都市計画道路でございまして、多摩地域の東西道路ネットワークを強化し、人や物の流れを円滑化いたしますとともに、防災性の向上などに資する重要な路線でございます。
 このうち、未整備の延長約四キロメートルの区間を第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。
 本区間の整備に当たりましては、JR南武線など三つの鉄道や、府中市の都市下水路と交差いたしますことから、現在、鉄道事業者や地元市と協議を進めております。
 今後、道路構造や施工方法の検討を進めまして、関係機関と連携し、早期事業化に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、府中三・四・一二号線についてでございますが、本路線は調布市野水一丁目を起点といたしまして、府中市若松町四丁目を終点といたします延長約一・八キロメートルの都市計画道路でございまして、自動車交通の円滑化や生活道路への通過交通の抑制によります地域の安全性向上などに資する重要な路線でございます。
 このうち、府中市多磨町一丁目から同市若松町四丁目までの延長約一・七キロメートルの区間を第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。
 本区間は、西武鉄道多摩川線と交差しておりますことから、道路構造や周辺の生活道路との接続方法などにつきまして、概略検討を行っております。
 今後、事業化に向けまして、道路構造等の検討を重ねますとともに、関係機関との協議を進めてまいります。
〔総務局長代理次長榎本雅人君登壇〕

○総務局長代理次長(榎本雅人君) テクノロジーの活用に関する五点の質問にお答えいたします。
 まず、ICTの最新動向の取り入れについてでございますが、ICTを効果的に活用するには、海外や民間の技術動向を的確に把握し、施策に生かすことが重要でございます。
 そのため、都では昨年度、ICT各分野の有識者で構成する懇談会による提言を踏まえ、ICT戦略を策定したほか、海外や民間の最新の知見を有する人材を管理職として複数名採用いたしました。
 今年度は、ICT技術を含めた職員の専門性向上に資するよう、人事交流の拡大を盛り込んだ人事交流指針を新たに策定いたしました。
 さらに、職員研修のカリキュラムに民間の最新事例を盛り込むなど、ICTの最新情報を取り入れながら、その利活用を進めております。
 引き続き、内外のさまざまな事例に学びながら、ICT先進都市に向け取り組んでまいります。
 次に、チャットボットについてでございますが、都民ファーストを実現するに当たりましては、都民からの問い合わせ等について、迅速、適切な対応が求められるほか、二十四時間三百六十五日の対応や、都内在住外国人等への多言語対応のニーズも高まっていると認識しております。
 そこで、東京都ICT戦略では、自動応答や自動翻訳等でのAI機能を活用した対応の有効性について検討していくことを明記しております。これに沿いまして、現在、複数局でチャットボットの実証実験などの取り組みが進んでいるところでありまして、今後は、こうした検証を重ねつつ、ダイバーシティーに応える都庁として最適な仕組みについて検討してまいります。
 次に、RPAの導入に係る今後の展開についてでございますが、近年、RPAやAIなどの新たな自動化技術が、業務改革を意味するBPRの手法として、民間企業を中心に急速に導入されつつあります。
 都の業務におきましても、従来より外部委託を導入し効率化を図ってまいりましたが、定型的、反復的な業務は残存し、導入の余地があると認識しております。
 今回の実証実験では、RPAの活用効果や課題の洗い出しを行うため、都庁の職場をフィールドとして実施することとし、現在、協力事業者の選定を進めております。
 今後は、今年度末を目途に実証実験の成果報告をまとめることとしておりまして、それを踏まえ、業務プロセスの改善や費用対効果等の検証を行い、都庁BPRの推進に向けて、積極的にRPAの導入を検討してまいります。
 次に、デジタルファーストへの取り組みについてでございますが、都庁の生産性向上に向け、業務の効率化、省力化を徹底していくためには、最新のICT技術の活用が極めて重要でございます。
 本年三月に公表いたしました総務事務改革の工程表では、電磁的記録を紙以上に推奨して事務処理を見直すデジタルファーストを基本方針の一つに掲げ、文書の電子決定率につきましては、二〇二〇年度までに八〇%との目標を設定いたしました。今年度は、件数の多い課長決定事案の原則電子化から、速やかに着手しているところでございます。
 こうしたICT技術を活用して、業務プロセスの抜本的再構築を図る都庁BPRに加え、都民からの申請など、行政手続のオンライン化もあわせて推し進め、都民サービスのさらなる向上に全力で取り組んでまいります。
 最後に、オープンデータの推進についてでございますが、都と区市町村が連携して、都内全域にわたる幅広いデータを提供することが効果的な活用を生むことになります。
 そのため、都では、利活用促進策の一つであるアイデアソンキャラバンについて、今年度から都内複数自治体が参画できる仕組みとしたほか、職員研修の内容を充実させ、区市町村における機運醸成に取り組んでおります。
 さらに、データの項目や形式を統一した、都、区市町村共通の標準フォーマットを示した公開方針を今年度新たに策定いたしました。これに基づき、都のカタログサイトでの一元的なデータ提供をさらに充実させてまいります。
 引き続き、オープンデータが地域の課題解決や、新たなサービスの創出につながるよう、都、区市町村一体となった取り組みを進めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 受動喫煙防止対策の相談対応へのチャットボットの活用に関するご質問にお答えいたします。
 都は、受動喫煙防止条例の趣旨や目的について、都民の理解促進を図るため、今月から専門相談窓口を開設し、平日の日中時間帯に電話または来所により各種相談に応じております。
 今後、二十四時間三百六十五日、時間を問わず相談等に対応できるよう、都のホームページ上で、都民や事業者が入力した質問にAIが自動応答するチャットボットを導入いたします。
 導入後は、蓄積された応答履歴を分析することにより、回答の精度を向上させ、都民等が必要とする情報をより適切に提供できるようにしてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) がん患者の方の就業支援に係る奨励金についてでございますが、本制度を活用し、がん患者の方の継続就業を進めるためには、患者本人はもとより、事業主や医療機関における本制度への理解が重要でございます。
 このため、都は、ハローワークや病院等でリーフレットを配布いたしますほか、事業主や医療機関向けの説明会を開催し、制度の意義や効果について理解を促進しているところでございます。
 また、東京労働局や東京都、都内各関係機関による両立支援推進チームを通じまして、医師会や経営者団体等にも周知し、協力を要請しているところでございます。
 今後は、地域の商工団体等とも連携し、メルマガ配信や広報誌への掲載などにより、事業者へのPRを強化いたしますほか、新聞や鉄道広告等を活用し、都民に広く周知を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、患者本人や企業等の本制度に対する認知度や理解度を高め、利用の促進を促してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 分倍河原駅の基盤整備についての質問にお答えいたします。
 分倍河原駅は、JR南武線、京王線が乗り入れる多摩地域の重要な交通結節点の一つである一方、駅舎が老朽化するとともに狭隘であり、駅前に歩行者のたまり空間がないなど、多くの課題がございます。
 府中市は、課題解決に向け、本年五月に交通事業とまちづくりの連携を目指した総合戦略を策定しており、都は技術支援を行ってまいりました。
 また、この戦略の具体化に向け、本年七月に市が立ち上げた分倍河原駅周辺まちづくり検討会に鉄道事業者などとともに参画し、その中で南北自由通路や駅前広場を含む駅とまちの一体的整備について検討しております。
 引き続き、市の基盤整備やまちづくりの取り組みに対し、これまでの知見を生かし、積極的に支援してまいります。

○議長(尾崎大介君) 六番西郷あゆ美さん
〔六番西郷あゆ美君登壇〕

○六番(西郷あゆ美君) ことし二〇一八年は、明治維新の一八六八年に江戸を東京と改名する詔書が発せられてから百五十年目の年です。
 まず、東京の歴史的スポットを新しいテクノロジーを駆使して発信する観光振興策について質問します。
 歴史を振り返ってみますと、戊辰戦争時には、江戸は幕府軍と新政府軍と一大戦場となる可能性がありました。しかし、江戸無血開城により、江戸は戦火から免れることができ、都市インフラはほぼ無傷のまま残って、明治維新政府の新しい首都として東京が発展する基礎になりました。
 その後、日本は帝国主義という時代の中で、植民地化の危機を乗り越え、近代国家建設と戦争への道を歩み、一九四五年八月、終戦を迎えます。
 一九五二年のサンフランシスコ講和条約発効により、日本は独立を回復し、戦後の復興をなし遂げました。日本の高度経済成長を実現し、一九六八年には経済力が世界第二位になりました。その後、オイルショックやバブル崩壊など、幾多の経済危機がありました。東京は、現在では世界最大級の経済力を持つ大都市圏となっています。
 東京は、破壊と創造を繰り返してきました。その中で、伝統と革新が出会う場所でもあり、中央区を初め都内各所に江戸や明治以降から現代に至る歴史にゆかりのあるスポットが数多くあります。東京の歴史スポットを最新のテクノロジーを活用してインバウンドで東京を訪れる外国人を含む観光客の方々に発信していく、それが東京の観光に深みを与え、ますます魅力的な東京をアピールすることができると考えます。
 例えば、歴史的画像と自撮り画像を合成してインスタ映えする画像を作成し、撮影者自身の映像と過去の映像を合成して保存することができる体験型の映像コンテンツを提供することにより、SNS投稿による拡散効果も期待できます。
 明治維新百五十年目の節目を迎えるに当たり、都が歴史観光に関連してどのようなプロモーションを展開していくのか、知事の考えをお伺いします。
 次に、教科書採択における公正確保について、教育長に質問いたします。
 私たちが東京を紹介するには、東京や日本をよく知ることが大切です。特に、公教育における教科書選定は、公平に行われなければなりません。教科書採択の権限は、公立学校で使用されている教科書はその学校を設置する市町村や都道府県の教育委員会に、国、私立学校で使用されている教科書は校長にあるとされています。
 公正取引委員会は、平成二十八年七月六日、義務教育諸学校で使用する教科書の発行者に対する警告等についてにおいて、教科書出版社九社に対して、教科書採択に関与する可能性のある教員等に対して、意見聴取の謝礼として金銭等を提供する、懇親会を催し酒類、料理などを提供する、中元、歳暮を提供することなどをしていた事実を確認し、これが独占禁止法第十九条第九項、不当な利益による顧客誘引の規定に違反するおそれがあるとして、警告を発しました。
 これらを受けて、文部科学省は、平成二十九年三月二十八日の教科書採択における公正確保の徹底等についてにおいて、教科書採択の公正確保のためには、教育委員会を初めとする採択権者等における取り組みが不可欠であることはいうまでもありませんと通知しました。本年三月三十日にも、文部科学省は各都道府県教育委員会教育長宛てに同様の通知を出しています。
 そこで、都教育委員会では、どのように教科書採択にかかわる教員等へのコンプライアンス、公正確保のための取り組みを行っているのか伺います。
 次に、ベンチャー支援について伺います。
 イノベーションの進展により、これまで誰にもできなかったことや、私たちが想像もしなかったアイデアが現実なものとなり、新しいビジネスとして、次々と生まれようとしています。
 その一つに、宇宙開発、宇宙ビジネスがあります。一九六七年に発効した国連の宇宙条約以降、衛星の打ち上げ場所を抱える国では、条約履行のために国内法の整備が進みました。各国では、一九九〇年代から商業利用の本格的な展開が開始され、例えばアメリカのスペースX社は、二〇二二年に民間宇宙船で火星に人を送り込む計画を発表しています。また、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が創立した宇宙開発企業のブルー・オリジン社は、二〇一八年七月には宇宙飛行士を模したダミー人形を搭載した宇宙飛行実験に成功しています。
 日本では、二〇〇八年の宇宙基本法で、内閣総理大臣を本部長とする宇宙開発戦略本部が設けられ、第三十五条で宇宙活動に関する法制の整備を進める旨が規定されていますが、宇宙活動法と衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律が成立したのは二〇一六年になってからです。
 日本の宇宙機器の産業の現状は、官需が八割以上を占めていますが、ロケット、リモートセンシング衛星、部品、宇宙ごみを回収するデブリ除去等など、さまざまな宇宙関連事業に新たに参入する企業が出現しています。
 本年五月二十九日には、JAXAが国際宇宙ステーションから超小型衛星を放出する事業を、三井物産と中央区に本社を置く宇宙利用ベンチャーのスペースBDに開放すると発表しました。また、JAXAなどとは別に、純粋に民間で宇宙ビジネスを展開しようとする企業も出ています。
 そう遠くない将来に、多くの人々が宇宙と地球を行き来する時代が到来し、そのときには、宇宙ビジネスが一大市場となっている可能性があります。
 その主役は、やはりベンチャー企業です。ぜひ東京においても、宇宙に挑むスタートアップ企業に大いに活躍していただきたいと思います。
 こうした新しい技術分野でのビジネスは、リスクも大きいですが、成功すれば飛躍のチャンスにもなります。未来の産業のリーダーとなる担い手を多く輩出するためにも、志のある若い起業家に夢を与え、強力に後押ししていくべきではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
 最後に、地元中央区の緊急の案件である築地市場解体工事、オリ・パラ仮設駐車場設置工事、環状二号線仮設道路工事についてお伺いします。
 住民への説明会は、公共工事や民間の工事の際、紛争が多発した経験から、紛争の未然防止のために定式化された、制度化されたものです。これらは建設工事を行う事業者に対する住民の民法上の権利の行使に伴う紛争を予防し、調整を行おうとするものであって、飛行場、新幹線、マンション建設など、説明会の相手は民法上の権利者である一人一人の住民です。
 築地市場での工事は、三つの工事が並行して行われます。工事を統一的に管理することが不可欠です。
 例えば、工事用トラックの運行について、統一的な運行計画がつくられているのが常です。また、住民や場外市場の方々は、これらの三つの工事から出る騒音、振動、粉じんや、工事用のトラックによる混雑や大気汚染など、影響を受けることになります。したがって、周辺住民や営業者には、これらの三つの工事の影響を説明しなければなりません。
 そこで、地元住民や営業者が築地解体工事などの三つの工事に対する説明や対策の要求を行うに当たって、ワンストップ総合窓口を設け、これらの三つの工事のそれぞれにつき、また、これらの工事による影響について説明し対応するなどの体制を整える必要があると考えますが、都の考えを伺います。
 築地市場の解体工事などでは、周辺住民や営業者が特に心配しているのはネズミの駆除です。十月十一日以降の築地市場での工事のプロセスを想定しますと、建物の解体前に、残置物の撤去、ライフラインの停止や遮断工事、そして仮囲いの設置、工事事務所の建設、工事ゲートの設置、工事用の電気の準備、工事用の水の供給と排水施設、雨水排水施設、防音シートの設置等の工事が必要になります。これらに二カ月はかかると思いますが、その間にネズミが場外市場や周辺住宅へと拡散するおそれがあります。
 中央区は、場外でネズミ対策をするとして、粘着シートを住民らに配布するといっていますが、ネズミが粘着シートにかかったとき、業者や区役所の職員がとりに来てくれるとしても、その処理までの時間の住民の心理的な負担は極めて大きいものがあります。
 ネズミ対策は粘着シートを配ればいいというものではありません。まずは防除に全力を尽くしていただきたいと考えます。
 そこで、都として、築地市場外にネズミが拡散しないようにどのような駆除対策を講じるつもりなのか、また、場外市場や近隣住宅にネズミが拡散した場合、都としてどのような対策を講じるつもりなのか伺います。
 最近の解体工事等の事例では、横浜の花月園競輪場跡地の解体と基盤整備における説明会では、独立行政法人都市再生機構は、家屋事前調査を行い、工事中も住民に工事による影響がわかるように措置しています。
 形だけの説明会で工事を開始すれば、工事中も工事後も、ネズミの拡散、騒音、振動、粉じん、トラックの駐停車や道路への侵入等による苦情や紛争、さらに損害賠償訴訟や工事差しとめ訴訟も起こりかねないことは、過去の経験から推察されます。
 築地市場の解体工事など三つの工事は、都心における大工事です。現状は三つの工事の規模、内容、必要性さえも住民に十分説明されていません。
 飛行場建設、道路建設、新幹線騒音、ごみ焼却場など、これまでの多くの工事において近隣住民と紛争がありました。その中で、紛争を拡大しないためには、住民の意見を聞きながら工事を見直すなど、柔軟に対処するという知恵を蓄積してきました。工事に当たっては、騒音、振動などに関する法令基準を遵守することは当然のことであり、また、法令さえ守ればいいというものでもありません。築地市場の解体工事等においても、硬直的な対応ではなく、柔軟な対応を求めたいと考えます。
 解体工事や建設工事は、住民へ迷惑をかけるものです。通常の工事で行われるように、工事実施前だけでなく、工事実施中も住民に対して丁寧な説明を続けるべきだと考えますが、市場長の考えを伺います。
 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西郷あゆ美議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東京の歴史を生かした観光振興についてのご指摘がございました。
 ご承知のように、東京には、江戸時代から続く伝統的な食、お祭り、そして明治、大正期の歴史的な建造物や産業遺産など、それぞれの地域に固有の歴史、そして文化がございます。
 東京への旅行者の誘致を進めていくために、こうした江戸から近代、現代と連なります東京の都市としての魅力を、最新のテクノロジーを活用して発信することは効果的でございます。
 そして、ことしは東京百五十年の節目に当たります。都庁の展望室におきましては、明治時代の東京の風景をVR体験できるイベントを行いました。また、来月には浜離宮恩賜庭園で開催をいたします東京百五十年祭におきまして、樹齢三百年の松の前で、タイムスリップした記念写真を撮れるような体験型コンテンツなどを展開いたしまして、伝統と革新が共存する東京の魅力を実感していただきます。西郷どんが出てくるかどうかは確認はいたしておりません。
 また、地域への誘客を進めるために、都といたしまして、伝統文化や歴史的な景観などを活用した地域の観光振興の取り組みに対しまして、ソフト、ハードの両面からの支援を行っております。
 そして今年度からは、日本橋の江戸、東京の史跡や名所などをめぐりますまち歩きツアーの開発、それからSNSやVR映像などを活用した情報発信など、地域の新たな取り組みを支援いたしまして、都内各地への旅行者の回遊を促してまいります。
 今後も、東京の歴史を生かした観光振興を新しい技術も活用しながら推進いたしまして、さらなる旅行者の誘致につなげてまいります。
 そして、ベンチャー、新たな技術分野での起業家への支援についてのご質問もございました。
 新たな技術分野で力を発揮して、これまでにないビジネスをつくり上げるという起業家、将来の東京の産業の担い手といたしまして大きく成長するポテンシャルを持っている。そして、世界を舞台に活躍することも期待できます。
 海外では、新しい技術を生かして急速に力を伸ばすベンチャー企業が数多く生まれ、中には、突出して成功をおさめるユニコーンと呼ばれるような存在感を発揮している企業もあります。私は、そうした起業家を東京から数多く生み出していきたいと考えております。
 そのため、まずは意欲ある若手や女性の起業家を数多く見出す登竜門といたしまして、すぐれた事業プランを競い合うコンテストを開催いたしております。また、ベンチャーの技術を大企業の営業力や資金とマッチング、結びつけて、そして画期的な事業の創出を目指す、そのほか、起業家と海外の有力企業とのマッチングにも着手をいたしております。
 特に女性のベンチャー経営者向けには、世界の市場で活躍できる経営知識を身につけてもらい、現地で取引先をふやして、投資家から支援を受ける、そのような力を養うようなプログラムも開始をいたしております。
 今後、これらの施策に一層磨きをかけまして、起業家を幅広くまず掘り起こす。そして、成長のステージに応じたサポートをきめ細かく行う。東京発のベンチャーが次々世界に向けて羽ばたいていけるように、力を尽くしてまいりたいと考えております。
 残余のご質問については、教育長、中央卸売市場長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 教科書採択における公正確保についてでございますが、教科書の採択は、採択権者の責任と権限のもと、適正かつ公正に行われなければならず、教科書採択の補助業務等に携わる教職員の服務は厳正を期す必要がございます。
 このため、都教育委員会は、都立学校や区市町村教育委員会等に対して、毎年度、教科書採択の公正確保の徹底について通知するとともに、教科書の採択や執筆等にかかわる教職員が遵守すべき指針を定め、周知してまいりました。
 また、平成二十七年度に、教職員の教科書発行者との不適切な接触が全国的に問題となったことを契機として、指針に教科書発行者と意見交換を行う際に守るべき規定を新たに加えるなどして、一層厳格な対応を図っております。
 今後とも、こうした取り組みを通して、教科書採択の公正性と透明性を確実に確保してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、築地市場跡地における工事の窓口についてでございますが、築地市場の移転後は、建物の解体工事に速やかに着手するとともに、環状第二号線の整備工事が並行して進められることとなります。
 さらに、東京二〇二〇大会の車両基地整備工事も予定されておりまして、地元住民の方からは、問い合わせ先がわかりづらいとの声もいただいております。
 当面は、跡地の大部分が解体工事エリアとなることから、中央卸売市場が住民の皆さんの問い合わせ等の窓口となりまして、関係局と連携しながら迅速に対応してまいります。
 次に、築地市場のネズミ対策についてですが、閉場に向けた取り組みとして、外部への流出経路を遮断するとともに、生息数を減らすために、徹底的な駆除を行うこととしております。
 具体的には、まず流出防止策として、市場外周部に波板、金網、金属ブラシ等を設置し、外周部の内側には捕獲かごを設置いたしました。また、生息数を減らす取り組みといたしまして、五月、八月、九月の連休を利用して一斉駆除を行い、閉場後は、十一月中旬まで駆除を継続して実施いたします。
 さらに、市場外の取り組みといたしまして、場内の駆除と時期を合わせ、中央区において駆除対策を講じるなど、連携して適切に対応してまいります。
 最後に、築地市場跡地における工事についてですが、築地市場の解体は、都心での非常に大規模な工事であり、住民の方々からは不安の声もいただいております。こうした声に応えるため、跡地で行われる他の工事を含め、工事前の説明会においては、できるだけ具体的な数値を示すなど、わかりやすい資料を用いた説明を重ねてまいりました。
 今後、工事期間中におきましても、住民の方々とコミュニケーションを図るため、適切な情報提供を継続することが必要と認識しておりまして、周知看板やホームページを活用するなど、中央区とも連携しながら、関係局とともに丁寧な情報発信を行ってまいります。

○議長(尾崎大介君) 六十八番後藤なみさん
〔六十八番後藤なみ君登壇〕

○六十八番(後藤なみ君) 都民ファーストの会東京都議団の後藤なみです。
 私が政治家を志した原点は、介護福祉の現場にあります。昨年度まで、介護福祉の人材事業の立ち上げにかかわる中で、通算千を超える現場を見てまいりました。制度のはざまで苦しむ人たちを少しでも救いたい。そういった思いで今この場に立たせていただいております。
 直近の調査では、二十年後の社会保障費は、現在の一・六倍の百九十兆円までふえるとの試算がありました。社会保障費が膨らみ続ける中で、次の世代を生きる私たち世代の責任は、今の子供たちが次の社会にも持続可能な社会福祉のあり方を探し、つくっていくことにあると思っています。そうした観点から、初めての一般質問をさせていただきます。
 まず、東京都における福祉政策のあり方について質問します。
 現代社会では、暮らしの中の困り事が複雑化しています。子供、子育て、高齢介護、障害、生活困窮、それぞれ制度や仕組みによって分断されていますが、一つの家庭で複数の課題を抱えているのが現代の現実です。
 こうした課題を解決するためには、高齢者や障害者といったような支援対象者ごとに縦割りになっている従来の福祉サービスを誰もが利用できるように包括的に対応できる仕組みづくりが重要です。
 現在は、高齢、障害、児童と分野別に政策の策定や実行をしていますが、今後は、分野別から、課題全体を捉える体制が必要であると考えます。また、施設サービスのあり方も、高齢者や障害をお持ちの方、子供などが一体となって必要な福祉サービスを受けたり、地域住民との交流拠点となる共生型福祉施設を、東京都としてもより充実させていくことが重要です。
 東京都では、国が進める地域共生社会の考え方に基づき、本年、東京都地域福祉支援計画が策定されました。今後の施策展開について、知事の見解を求めます。
 次に、認知症対策について質問します。
 今、高齢化対策の中で最も大きなテーマは認知症です。今や認知症は、先進国を中心に世界的なテーマとなり、高齢社会における最も困難な課題といわれています。
 二〇一四年時点で、全国の認知症に対する介護費用や家族の負担を含めたコストの総額は、約十四・五兆円と推定されており、二〇二五年には、認知症がもたらす社会的なコストは、社会の根幹を揺るがしかねないインパクトになるといわれています。
 現役世代が高齢者世代を支えるのが福祉であるという考え方はもはや成り立たなくなっている現実を打破するためには、認知症の方々も重要な社会的プレーヤーとして位置づけ、社会活動や経済活動に緩やかに参加できる仕組みづくりを実現することが重要です。
 認知症の方々の社会参加を進める取り組みとして代表的なものが、認知症サポーターです。認知症サポーターは全国で養成されており、東京都でも約六十九万人が養成されておりますが、サポーターとなったものの、地域の中で力を生かし切れていない人が少なからず存在すると聞いています。
 また、都は、銀行やコンビニエンスストアなど民間事業者と、高齢者等を支える地域づくり協定を締結していますが、こうした企業で働く方にも認知症サポーターとして活動していただくことが重要だと考えます。都の見解を伺います。
 また、国では、こうした課題に対応して、二〇一九年度、コーディネーターを設置して、認知症の方と認知症サポーターをつなげ、支援を行う仕組みのオレンジリンク事業を始める方針を固めました。
 今後、地域全体で認知症の方を支えていくためには、認知症サポーターの活用を進めることが必要だと思いますが、都の見解を伺います。
 そして、東京都でも、国の動きにも注視しながら、引き続き認知症サポーターと認知症の方をつなげる各施策を検討することを要望いたします。
 次に、ダブルケアの抱える課題について質問します。
 少子高齢化と女性の晩婚化に伴い、子育てと親の介護に同時に直面するダブルケアの問題が表面化してきています。二つの負担が同時に襲いかかることにより、精神的、体力的、時間的な負担はとても大きく、複合的な課題を抱えているケースが多いのも特徴です。
 これまでは、仕事と子育ての両立、仕事と介護の両立がそれぞれ問題となっていましたが、今後はさらに、子育て、介護、仕事の三つが同時並行となる課題が加わってきます。
 超少子化と高齢化が同時進行する日本のような国では、ダブルケアは近い未来、大きな社会問題、政策課題になると考えます。
 こうしたダブルケアは全国に二十五万人おり、子育てが終了するまでの間に三人に一人はダブルケアを経験しているといわれています。初婚の年齢が夫婦ともに三十歳を超え、日本で一番晩婚化が進む東京都においては、特に顕著な課題になりつつあります。
 ダブルケアに直面する方は増加する傾向にある一方で、子育てと介護の両立を支える仕組みや制度はまだ十分とはいえません。特に、介護と子育てで役所の窓口が異なることもあり、当事者だけで課題を抱え込んでしまいがちです。
 課題解決に向けては、子供、子育て支援と高齢者ケアとを融合させる新たな発想が求められています。既に先進的な自治体では、相談窓口の開設や、ダブルケアマネジャーなど育児と介護の両方の相談や支援ができる専門家の養成に向けて取り組みを始めています。
 そこで、ダブルケアに対しての認識について都知事に伺います。
 また、自治体への支援としては、相談窓口の設置支援やケアマネジャー、子供家庭支援センター職員向けに研修開催など対策を講じるべきだと考えますが、都としての見解を伺います。
 次に、都の学童クラブ事業に関して質問します。
 育児休業を終えた共働き家庭が、いざ仕事に復帰しようとする場合に直面する第一関門が、保育園の待機児童の問題であるとすれば、第二関門といえるのが、小一の壁と呼ばれている小学校の放課後に子供を預ける放課後学童保育の確保の問題です。
 先日、国では、新・放課後子ども総合プランを策定し、二〇二三年度末までに約三十万人分の受け皿を用意して、学童待機児童を減らす方向を示しております。
 実際に、私の地元足立区でも、二十三区内で二番目に多い二百七十七名ものお子さんが学童保育の待機児童となっており、これは保育所の待機児童にも匹敵する人数となります。
 こうしたことからも、都において、学童保育の待機児童解消は喫緊の課題であると考えます。
 また、待機児童をゼロにするという観点ももちろん大切ですが、子供たちが時間を過ごす場の質という観点も非常に大切です。
 放課後と長期休みに学童保育で過ごす時間は、学校に通う時間に匹敵するということからも、子供たちにとってどんな居場所であるべきなのかといった質の議論も、今後行われていく必要があると感じています。
 そこで、学童クラブの待機児童解消と質の向上に向けた東京都の取り組みについてお聞かせください。
 次に、子育ての実体験から感じた課題についてご質問します。
 私は昨年の十一月、第一子を出産いたしました。その際に妊娠中から現在も使っているのがこの母子手帳です。母子手帳は、妊娠中の経過から、出産後、子供の体重変化やワクチンの接種状況など、育児と子供に関するさまざまな情報が記載できるようになっており、私も妊娠中から毎日持ち歩いておりました。
 東京都では、昨年度、核家族化や子育て環境の変化により、妊娠、出産、子育てに関して不安を感じる妊産婦や保護者が増加していることを踏まえて、母子手帳をもとにした都独自のモデルを策定いたしました。
 先日、妊産婦の死因のトップは自殺であるという報道があったように、子育て中の母親は毎日が不安でいっぱいです。母乳は十分に出ないけど足りているのか、一体どうしたら子供が寝てくれるのか、産後、自分の体調不良は病気なのか。子供が生まれて直面するそういったさまざまな疑問は、初めての出産だとどこでどうやって正しい情報を調べたらいいのかがわかりません。
 インターネットでありとあらゆる情報が氾濫する中で、いたずらに不安をあおるような記事も多くあります。そんなときに母子手帳は、正しい情報を受け取ることができ、妊産婦の不安を解消するバイブルのようなものであってほしいと思います。
 例えば、産後鬱の兆候に関する気づきを促し支援につながるものや、虐待防止に向けた相談窓口、さらには男性の育児サポートのあり方についても、手帳に情報を充実すべきだと考えます。
 また、母子手帳に記載する成長の記録が親たちを苦しめるものであってはなりません。子供手帳モデルの検討会では、近年ふえている低出生体重児用の成長曲線の追加や、成長や発達の記録について、できていなければいけないというような質問はやめてほしいなどの意見も上がっています。
 そこで、都が作成した子供手帳モデルにおける具体的な取り組み内容についてお伺いします。
 また、今後、本モデルが各区市町村でも活用されるよう、普及啓発が必要であると考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、都営住宅における少子高齢化対策について伺います。
 私の地元足立区と聞いて思い浮かべるまちのイメージの一つに団地があります。足立区では、都営住宅やUR、公社住宅などを合わせると、四万五千戸を超えることからも、団地のあり方を考えることは、足立区の住宅政策において大きなテーマとなっています。
 そして、高齢化と単身化が進む都営住宅においては、高齢ひとり暮らし世帯の課題に目を向けていくことが重要です。
 東京都では、都政改革本部における見える化改革の取り組みにおいて、新たに都営住宅で高齢者を見守る環境の整備について検討を進めることになりました。
 今後は、従来のような住まいの提供に加えて、見守りや日常生活の支援、福祉拠点の目的外使用など、福祉的なサービスの視点を都営住宅に加えていくことが重要であると考えます。
 また、都営住宅全体が高齢化する中においては、学生や子育て世代など、さまざまな世代が共存するミクストコミュニティを形成していくことは、持続可能な経営の観点からも重要です。特に、シングルマザーなども含めた若年のファミリー世帯や学生にも裾野を広げ、入居を促進すべきだと考えます。
 また、足立区では、団地の一部建てかえ用地を転用して文教大学を誘致し、平成三十三年度にキャンパスが開校となります。大学周辺には都営住宅も集積しており、こうした資源を活用して学生の入居についても積極的に進めるべきであると考えます。
 そこで、こうした状況を踏まえ、東京都における都営住宅の少子高齢化に向けた取り組みについて伺います。
 以上、私からの質問を終了いたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 後藤なみ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、地域共生社会に向けました今後の施策の展開についてでございます。
 誰もが活躍できる環境を整えて、いつまでも安心して暮らせる地域社会をつくり上げる、そのことがダイバーシティーの実現につながると考えております。
 都はこれまで、高齢者、子供、障害者など、分野ごとに計画を策定して、大都市特有のニーズに応じた福祉施策を展開してまいりました。
 その取り組みをさらに進めるため、それぞれの計画を横につないで、そして、都の福祉施策全般を支えるものといたしまして、ことしの三月、東京都地域福祉支援計画を策定したところでございます。
 今後、地域共生社会の構築に向けまして、世代を超えた包括的な相談、支援体制の整備、高齢者と障害者、障害児がともに過ごし、必要な支援を受けられる共生型サービスの推進や、誰もが集える居場所づくりなど、分野を超えた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、ダブルケアに対しての認識についてご質問をいただきました。
 いわゆるダブルケアでありますが、お話にございましたように、育児をしながら、同時期に親の介護を担うという状況であります。都民の中にも、こうしたご苦労をされている方、多々おられるかと存じます。
 私は、地域で安心して子供を産み育てることができるように、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援の仕組みづくりや、保育サービスの充実に積極的に取り組んでまいっております。
 一方で、介護が必要になったとしても、住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるように、特別養護老人ホームなどの施設サービスと在宅サービス、これをバランスよく整備をしてまいりました。
 今後、それぞれの取り組みの連携をさらに深める、それによって福祉施策を総合的に展開することで、誰もが生き生きと生活をして、一人一人が自分らしく輝くことができるダイバーシティーの実現を目指してまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、認知症サポーターについてでありますが、都はこれまで、養成したサポーターが認知症の方への声かけや見守り、家族会の運営支援などの活動に従事できるよう、フォローアップ講座の開催や見守りネットワークづくりなどの区市町村の取り組みを包括補助で支援してまいりました。
 また、窓口対応や自宅への訪問を通じて、高齢者と接する機会が多い銀行、コンビニ、新聞販売など五十二の事業者や団体と、見守りや認知症の方への支援に関する協定を締結しており、従業員等が認知症の方に適切に対応できるよう、これらの事業者や団体におけるサポーター養成を働きかけているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、認知症サポーターの養成や活用を促進してまいります。
 次に、育児と介護のダブルケアについてでありますが、都は、地域で安心して子供を産み、育てることができるよう、妊娠や出産に関する相談窓口の設置や、地域の児童家庭相談窓口である子供家庭支援センターの体制強化を支援するとともに、センター職員に対し、家族全体のアセスメントの重要性等に関する研修を行っております。
 また、介護を必要とする家庭を適切に支援できるよう、高齢者やその家族の相談窓口である地域包括支援センターに対し、相談機能の強化や職員研修等の支援を行うほか、介護支援専門員に対しては、介護以外の問題を抱える家族への対応の視点を含めた研修を実施しております。
 今後とも、育児と介護のダブルケアに直面する家庭を支える区市町村の取り組みを支援してまいります。
 次に、学童クラブについてでありますが、都は昨年度、平成二十六年度から三十一年度末までにふやす学童クラブの登録児童数の目標を七千人分引き上げ、一万九千人分とする新たな目標を設定いたしました。
 この目標の達成に向け、施設の新設や改築、小学校の余裕教室等の既存施設を利用する場合の改修に係る経費を補助するほか、賃貸物件を活用する場合は賃借料補助を行っており、今年度からは、開所前三カ月分の賃借料につきましても、都独自に補助しております。
 また、午後七時以降までの開所や常勤職員の配置などを要件とした都型学童クラブ事業を実施しており、今後とも、学童クラブの整備やその質の向上に取り組む区市町村を支援してまいります。
 最後に、子供手帳モデルについてでありますが、都は、妊娠、出産、子育てに関し、不安を抱える妊産婦等の増加を踏まえ、昨年度、学識経験者等による検討会を経た上で、母子健康手帳をもとに、記録欄や子育て情報を拡充した独自の子供手帳モデルを策定いたしました。このモデルには、低出生体重児等に対応する成長の記録や発育曲線、出産後の母親の心身の不調に早期に気づくためのチェック項目、育児における父親の役割など、妊産婦や子育て家庭向けの情報を盛り込んでおります。
 区市町村がこのモデルを活用し、妊娠期からの切れ目のない支援を推進できるよう、今年度から包括補助で支援しており、引き続き、その普及拡大に向け、母子保健の研修会や説明会を通じまして、区市町村への働きかけを行ってまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 都営住宅における少子高齢化への対応のご質問にお答えいたします。
 都は、都営住宅の建てかえに当たり、保育所や幼稚園、高齢者福祉施設の整備を進めてまいりました。また、子育て世帯の入居促進や、巡回管理人による高齢者世帯への訪問、共益費の代理徴収などを実施してまいりました。
 現在、少子高齢化と世帯の単身化が急速に進行する中、高齢者世帯や住宅に困窮する子育て世帯が安心して暮らし続けることのできる環境の一層の充実が課題となっております。これらに対応していくため、都営住宅における福祉的サービスとの連携の強化や、子育て世帯の入居のあり方などについて検討を行い、施策を進めていく必要があります。
 都は、十月に住宅政策審議会を立ち上げ、都営住宅の管理制度などのあり方について検討を進めてまいります。

○議長(尾崎大介君) 四十九番上田令子さん
〔四十九番上田令子君登壇〕

○四十九番(上田令子君) 知事においては、知事選よりカイロ大卒業につき疑念が持たれております。オリ・パラを踏まえ、カイロ大を卒業された賓客のおもてなしもあろうホストシティーの知事が、公職選挙法二百三十五条に抵触する学歴詐称を疑われていることは、東京都、都民にとって大変不名誉なことです。
 日本の首都東京の信頼回復のため、知事ご自身で説明責任を果たされ、名誉回復をされ、堂々と卒業証明書と卒業証書の提示をお願いいたします。知事は、エビデンスベースによる評価を重要視されていることからも、卒業を示すエビデンスを都民に提示されない場合は、理由を明快にお示しください。
 都市づくりです。
 戦後、九人の知事が歴任し、経済ハード重視、生活ソフト重視と、知事により政策軸が揺れてきました。両者のバランスをとり、都市間競争の中で東京は成長を遂げていかねばなりません。臨海副都心開発は、鈴木都政下から七番目の多心化政策として、バブル期から三十二年の歳月と多額の資金が投入されてきました。
 一方、都市高層化論のもと、東京マンハッタン計画、丸の内再開発、新虎通り、東京シャンゼリゼプロジェクトも展開している中、東京ベイエリアビジョン策定が七月に示されました。高層化を進めるのか、三たび副都心に分散を図るのか、急激な少子高齢化で社会経済状況が激変する中で、改めて問われるところです。
 これまでの副都心開発の功罪を踏まえ、同じ過ちを繰り返さず成功することができるのか、所見をお示しください。
 虐待です。
 先ごろ示された緊急対策では、警察との情報共有は、私が求めてきた全件共有ではなく、相変わらず児相が緊急性を判断する一部の共有にとどまるものとなりました。
 本年三月の目黒区五歳女児虐待死事件は、私の一般質問後、痛ましいノートや義父の大麻所持等、新たな事実が次々と発覚し、日本全国を揺るがす社会問題となりました。これまでも葛飾区愛羅ちゃん事件、足立区玲空斗ちゃん事件、江戸川区海渡君事件等、児童相談所が虐待と判断せず死に至る事例が繰り返されてきました。
 虐待親は隠す、一、二回の訪問で緊急性は判断できないと愛知県を初め九府県は全件共有に踏み出しています。
 知事においても、児相だけで虐待リスクの正確な判断は不可能という謙虚な姿勢に立つべきだと考えます。
 今後、警察への情報提供が漏れ、虐待死が発生した場合、知事はいかに対応されるつもりですか。全件共有せず、虐待死は防ぎ得るとする根拠を具体的にお示しの上、万が一発生してしまった場合の責任の所在につき、知事のご所見をお示しください。
 また、警視総監におかれましては、今次協定で目黒のような悲惨な事件の防止が本当にできるのか、ご所見をお示しください。
 二〇二〇年、江戸川区に待望の児相が移管されます。現在、練馬区以外の二十二区も、子供の命を守るべく移管を希望していますが、都に積極性が見られないと仄聞します。目黒の事件を受けて、都が率先して推進すべきです。
 現状と所見、移管のハードルとなっている課題認識、積極的な区への動機づけにつき、お示しください。
 来年の第一回定例会に向け、児童虐待防止条例が検討されています。都では、二十年前にも児福審から条例制定が答申されましたが、実現に至りませんでした。三重県では、二〇〇三年に議員提案で条例制定され、成果を上げております。
 ついては、要対協及び実態を知る現場の声を酌んだ実効性のある条例としていくためどうするか、ご説明ください。
 障害者の社会参加です。
 これまで私は、雇用率のアップを念頭に入れて質疑を重ねてきましたが、特別支援学校卒業生はまだ十八歳。健常者の多くは、高卒後、進学するわけですから、彼らにも大学、専門学校というアカデミックな教育の場で青春を謳歌する選択肢があって当然です。
 昨今、総合支援法を活用した学びの活動を行う福祉大学が登場しております。自立就労支援のきめ細かいサポートが特徴です。まず、こうした事業所を支援学校の進路指導の際に生徒へ選択肢として示しているか、また卒業後の就労サポート体制の詳細もご説明ください。
 関連して、障害者の十八歳問題です。支援学校を卒業後、支援の主体は区市町村になります。円滑な移行についてのご所見を求めます。
 昨年、不適切な部活指導により生徒が意識不明となる事故が発生した永福学園では、体罰根絶宣言がなされました。同校は、全都に先駆けて、就業技術科が二〇〇八年に開設されました。どのように三年間の過程を経て、障害者自身が生きがいを持って輝ける社会参加につながったのか、職場定着率を踏まえたその成果と課題を問います。
 欧米では、大学が知的障害者を受け入れ、障害の有無によらず、ともに充実した青年期、キャンパスライフを楽しんでいます。知事は所信表明で、高齢者の方が輝ける社会を実現する百歳大学を首都大学東京に開講としております。であれば、障害を抱える若者にもまず、首都大学東京改め、東京都立大が率先して受け入れ、門戸を広げていただきたいと考えます。国際派の知事の所見をお聞かせください。
 以上、再質問を留保し、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 上田令子議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、冒頭のご質問でございますが、さきの定例会でも申し上げましたとおり、私は一九七六年の十月にカイロ大学を卒業いたしております。これまで大学が発行した卒業証書及び卒業証明書につきましては、これまでも公にしております。また、大学側も、正式な卒業について幾度も認めているところでございます。
 なお、来月にもエジプトの閣僚が表敬に来庁をされる予定となっておりまして、ホストシティーの長として、海外の賓客を迎えるに当たっての支障があるとは考えておりません。
 児童相談所と警察との連携についてのご質問がございました。
 都は現在、子供の安全確認等で必要があるときは、警察と同行して訪問するほか、警視庁からの現職警察官の派遣や警察官OBの児童相談所への複数配置など、警察との連携強化を図っているところでございます。
 今般、警察との情報共有につきましては、児童相談所が対応した事案のうち、虐待に該当しないケースや助言指導で終了したケースなどを除きまして、リスクが高いと考えられる全てのケースを共有するものでございます。
 また、子供の安全確認が適切に行われますように、安全確認の手法など、都独自の行動指針を策定いたしまして、通告後四十八時間以内に安全確認ができなかった場合には、立入調査の実施を決定の上で、警察への援助要請を行うことといたしました。
 児童相談所の体制強化にも取り組んでおりまして、年内に児童福祉司等十九名を確保することといたしております。
 児童虐待は、いうまでもなく子供たちの輝きをいや応なく奪うものでありまして、何としてでも防がなくてはなりません。
 今後とも、警察を初め、子供家庭支援センター、学校、医療機関等の地域の関係機関と一層連携を深めながら、児童虐待防止に全力で取り組んでまいる所存でございます。
 障害のある若者の首都大学東京への受け入れについてのご質問でございます。
 首都大学東京におきましては、障害のある人が障害のない人とともに学ぶキャンパスを形成、そして維持することを目指しております。
 障害のある方が入学試験に出願する場合は、事前に受験上、そして入学後の修学上の配慮についてご相談をさせていただいているほか、大学のダイバーシティー推進室を中心といたしまして、入学後もさまざまな支援を行っているところでございます。
 なお、現在、国におきまして、知的障害のある方を含みます障害者に対する、学校の卒業後におけます多様な学びの機会の提供について、その方策を検討していると聞いておりまして、都としても国の動向を注視してまいります。
 残余のご質問につきましては、警視総監、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 重大な児童虐待事案の防止についてでありますが、児童虐待事案は、対象家庭に関する情報を関係機関が共有し、早期発見、早期対処していくことが、事態の深刻化を防ぐ上で重要であると認識しております。
 そのため、このたび東京都福祉保健局と情報共有範囲の拡大等を内容とする協定を締結いたしました。
 この協定により、東京都福祉保健局から、リスクが高いと考えられるケースは全て情報提供がなされるほか、警視庁で認知した児童虐待が疑われる全ての事案の取扱状況を児童相談所に提供するなど、さらなる連携強化を図ることといたしました。
 警視庁では引き続き、児童虐待事案に的確に対応し、重大事案の未然防止を図ってまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別支援学校における進路指導についてでございますが、生徒の自立と社会参加を促すためには、多様な進路先の中から、生徒が自身の障害の状態や能力、適性に合った選択ができるよう、丁寧な進路指導を行う必要がございます。
 そのため、都立特別支援学校では、入学後から保護者会や進路面談等において、本人や保護者の希望に寄り添いながら、上級学校や企業、また、ご指摘の事業所を含めた福祉作業所などの進路先について情報提供を行うとともに、職場実習を三回程度実施しております。
 また、生徒一人一人について、福祉、労働等の関係機関と連携しながら、卒業後二年間にわたる社会への移行に関する支援計画を作成し、その間に原則年一回以上、進路指導担当教員が就労先の企業等を巡回するなどして、社会生活への円滑な移行を支援しております。
 次に、都立永福学園就業技術科についてでございますが、就業技術科は、実践的な職業教育を通して、生徒全員の企業就労を目指している職業学科でございます。
 永福学園では、これまでビル清掃や福祉等の職業コースを設置し、民間技術者による実習を行うなどして、他の就業技術科を牽引してまいりました。
 また、開校以来の就労率の平均は九五%であり、就労した卒業生の九割が現在も就労を継続しているという状況にございまして、社会一般の状況から見ますと非常に高い水準にございます。
 卒業生からは、経験を重ねるにつれ責任ある仕事を任され、やりがいを感じているといった声が聞かれております。
 今後とも、永福学園を初め、就業技術科設置校において、生徒全員の企業就労及び職場定着率を向上させることができるよう、企業等と連携しながら、生徒の社会的、職業的自立に向けた資質、能力の向上を図ってまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 東京ベイエリアビジョンの策定についてでございますが、東京のベイエリアは、臨海副都心などこれまでのまちづくりにより大きな変貌を遂げながら、東京の魅力と活力を高める拠点として存在感を発揮しております。
 また、築地、晴海、豊洲などまちごとにさまざまな個性を有し、次世代へのポテンシャルを秘めたエリアでもございます。
 今般、これまでのような個別計画の枠を超え、総合的なビジョンを策定することとし、二〇二〇年以降のまちづくりのモデルとなる将来像を示し、東京、ひいては日本の今後の成長戦略につなげてまいります。
 策定に当たりましては、官民連携チームを発足し、行政の枠を超えた発想による提案をいただきながら、具体的な検討を進めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 特別区の児童相談所設置についてでありますが、平成二十八年の児童福祉法改正により、特別区も児童相談所を設置できるようになりました。設置に当たりましては、児童相談所設置後も、児童福祉行政の円滑な実施が見込まれることを都道府県が確認することが必要とされております。
 都は、特別区の求めに応じ、職員の研修派遣を受け入れるほか、児童相談所の運営に関する勉強会を開催しております。
 また、今年度から、都区間で児童養護施設や一時保護所等の広域利用について協議を開始したところでございます。
 現在、各区では、人材の確保や育成、一時保護所の運営等を初めとした設置に係る課題について検討が進められており、今後とも、子供たちの安全や安心の確保の観点から、特別区の取り組みを支援してまいります。
 次に、児童虐待の防止に関する条例についてでありますが、子供への虐待防止対策を進めていくためには、都民、関係機関、区市町村などの理解や協力が不可欠であります。
 今般、都は、虐待の未然防止、早期発見・早期対応など、四つの視点で整理した条例の基本的考え方を公表し、現在、都民から幅広く意見を募っているところでございます。
 今後、要保護児童対策地域協議会の設置主体である区市町村、専門家等の意見や、ことし三月の虐待死事例の検証も踏まえながら、条例骨子案を作成し、改めて都民や区市町村の意見を伺う機会を設けまして、検討に生かしていくことを予定しております。
 こうしたプロセスを通じて、都民の理解を深めていくとともに、現場の実態をより踏まえたものとなるよう、条例案の検討を進めてまいります。
 最後になります。
 特別支援学校卒業後の障害福祉サービスの利用についてでありますが、区市町村の障害福祉担当は、特別支援学校高等部の生徒に対しまして、卒業後の生活支援に関する講義を行うなど、福祉制度の活用に関する支援を実施しております。
 また、特別支援学校在学中から進路指導担当教員と連携し、生徒や保護者からの相談に個別に応じまして、必要な情報提供を行うとともに、障害福祉サービスの利用を希望する場合には、サービス等利用計画の策定を支援することにより、卒業後の円滑な障害福祉サービスへの移行につなげております。
〔四十九番上田令子君登壇〕

○四十九番(上田令子君) メディア等の学歴報道が正しくないのであれば、法的な措置も含め、毅然とした態度をとられるのが政治家の本懐です。どのような対応をされ、今後疑惑を晴らしていくのか、さきの知事選で支援した都議として、改めてお答えいただくよう強く求めます。
 けさも文京区から悲しいニュースが飛び込んできました。都と議会へ文書で三百七十三件も都民の声が寄せられている虐待対策ですが、また児相が取りこぼし、死亡事案が再発した場合、知事が辞任に値するほどの失策となりますまいか、大きな危惧をしております。
 虐待情報の警察との全件共有に向けての知事の姿勢につきまして、改めて明確にしてください。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) たびたびのご質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、私のカイロ大学卒業は、既に大学側も正式な卒業について幾度も認めているところでございまして、それ以上でもそれ以下でもございません。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 警察との情報共有に関します再質問についてお答えいたします。
 先ほど知事からもご答弁させていただきましたが、今般、警察との情報共有につきましては、児童相談所が対応した事案のうち、虐待に該当しないケースや、助言指導で終了したケースなどを除き、リスクが高いと考えられる全てのケースを共有することといたしました。
 このことも含めまして、児童虐待を防止するためには、児童相談所を初め、区市町村の子供家庭支援センター、保健所、民生児童委員、保育所、幼稚園、学校、医療機関、そして警察など、地域の関係機関が一体となって取り組んでいくことが重要と考えております。
 都といたしましては、全ての子供を虐待から守るため、今後とも、こうした地域の関係機関との連携を一層強め、虐待防止に全力で取り組んでまいります。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(尾崎大介君) これより日程に入ります
 日程第一から第三十七まで、第百六十五号議案、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例外議案三十五件、諮問一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事長谷川明君。
〔副知事長谷川明君登壇〕

○副知事(長谷川明君) ただいま上程になりました三十七議案についてご説明を申し上げます。
 初めに、第百六十五号議案から第百七十七号議案までの十三議案は条例案でございます。
 まず、新設の条例が二件ございます。
 第百六十八号議案、東京都石油コンビナート等防災本部条例は、石油コンビナート等特別防災区域を指定する政令の一部を改正する政令の施行に伴い、東京都石油コンビナート等防災本部の組織及び運営に関し必要な事項を定めるものでございます。
 第百六十九号議案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例は、東京二〇二〇大会の開催都市として、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民等に浸透した都市となるため、必要な取り組みを推進するものでございます。
 次に、一部を改正する条例は十件でございます。
 第百六十五号議案、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例は、いわゆるマイナンバー法に基づき個人番号を利用することができる事務を追加するものなどでございます。
 第百六十六号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例及び第百六十七号議案、市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、特別区及び市町村が処理する事務の範囲に係る規定を改めるほか、規定を整備するものでございます。
 第百七十号議案、土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例は、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の規定に基づく収用委員会の裁決申請に関する手数料の特例を定めるものでございます。
 第百七十一号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、特別支援学校の新設及び移転に伴い、規定を整備するものでございます。
 第百七十二号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例は、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業の登録申請に関する手数料を廃止するとともに、建築基準法の一部改正に伴い、仮設建築物の存続期間に関する特例の創設に係る手数料を新設するものなどでございます。
 第百七十三号議案、東京都建築安全条例の一部を改正する条例は、長屋における敷地内の通路に関する基準等を改めるほか、建築基準法の一部を改正する法律の施行に伴い、規定を整備するものでございます。
 第百七十五号議案、東京都児童相談所条例の一部を改正する条例は、東京都足立児童相談所の移転に伴い、規定を整備するものでございます。
 第百七十七号議案、東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例は、石油コンビナート等特別防災区域を指定する政令の一部を改正する政令の施行に伴い、検査手数料を新設するものでございます。
 このほか、法令改正に伴い規定を整備するものが一件ございます。
 次に、廃止する条例が一件ございます。
 第百七十六号議案、東京都工業用水道条例を廃止する等の条例は、工業用水道事業の廃止に伴い、関係する規定を整備するものでございます。
 第百七十八号議案から第百九十五号議案までの十八議案は契約案でございます。
 第百七十八号議案、産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築工事請負契約など、契約金額の総額は約七百六十九億七千万円でございます。
 第百九十六号議案から第二百号議案までの五議案は事件案でございます。
 第百九十六号議案、海の森水上競技場の指定管理者の指定についてから、第二百号議案、東京アクアティクスセンターの指定管理者の指定についてまで、公の施設の指定管理者を指定するものでございます。
 次に、諮問でございます。
 諮問第四号は、西多摩福祉事務所長が行った督促処分について審査請求があったため、地方自治法の規定に基づき諮問するものでございます。
 上程になりました三十七議案の説明は以上ですが、このほかに人事案を送付いたしております。
 東京都公安委員会委員でございます。
 十月二十三日に任期満了となります北井久美子氏は再任いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(尾崎大介君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第三十七までは、お手元配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第三十七までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) 日程第三十八、平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
〔櫻井議事部長朗読〕
一、平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

三〇財主議第三〇二号
平成三十年九月十九日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 尾崎 大介殿
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 このことについて、地方自治法第二百三十三条第三項及び第五項の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。
       記
一 平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算書
二 平成二十九年度歳入歳出決算事項別明細書
三 平成二十九年度実質収支に関する調書
四 平成二十九年度財産に関する調書
五 平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算審査意見書
六 平成二十九年度主要施策の成果
七 平成二十九年度東京都決算参考書
八 平成二十九年度東京都決算参考書財務諸表
(決算書等省略)

○六十七番(平慶翔君) 本件は、三十一人の委員をもって構成する平成二十九年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、三十一人の委員をもって構成する平成二十九年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第十二委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
〔平成二十九年度各会計決算特別委員名簿は本号末尾(二三九ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 日程第三十九、平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
〔櫻井議事部長朗読〕
一、平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について

三〇財主議第三〇三号
平成三十年九月十九日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 尾崎 大介殿
平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
 このことについて、地方公営企業法第三十条第四項及び第六項の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。
       記
一 平成二十九年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 平成二十九年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
三 平成二十九年度東京都都市再開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
四 平成二十九年度東京都臨海地域開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 平成二十九年度東京都港湾事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 平成二十九年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書
七 平成二十九年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書
八 平成二十九年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書
九 平成二十九年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十 平成二十九年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十一 平成二十九年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
(決算書等省略)

○六十七番(平慶翔君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第四委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
〔平成二十九年度公営企業会計決算特別委員名簿は本号末尾(二三九ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都公安委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔櫻井議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について一件

三〇財主議第二九三号
平成三十年九月十九日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 尾崎 大介殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成三十年十月二十三日任期満了となるため、再び任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     北井久美子

      略歴
現住所 東京都中央区
北井久美子
昭和二十七年十月二十九日生(六十五歳)
昭和五十一年三月  東京大学法学部卒業
昭和五十一年四月  労働省入省
平成四年六月    労働省職業安定局地域雇用対策課長
平成六年六月    労働省婦人局婦人福祉課長
平成八年四月    労働省婦人局婦人政策課長
平成九年十月    労働省女性局女性政策課長(名称変更)
平成十一年七月   静岡県副知事
平成十三年八月   中央労働委員会事務局次長
平成十五年八月   厚生労働省大臣官房審議官
平成十七年八月   厚生労働省雇用均等・児童家庭局長
平成十八年九月   中央労働委員会事務局長
平成十九年八月   厚生労働省退官
平成十九年八月   中央労働災害防止協会専務理事
平成二十三年六月  宝ホールディングス株式会社社外監査役
平成二十三年六月  宝酒造株式会社社外監査役
平成二十三年六月  株式会社NTTデータ経営研究所顧問
平成二十四年四月  弁護士登録(第二東京弁護士会)
平成二十四年四月  TMI総合法律事務所顧問弁護士
平成二十四年六月  株式会社鈴木商館社外監査役
平成二十四年十月  東京都公安委員会委員
平成二十六年六月  株式会社協和エクシオ社外取締役
平成二十六年六月  三井住友建設株式会社社外取締役
平成二十六年七月  勝どき法律事務所
平成二十七年四月  千葉県市川市公平委員会委員
平成二十七年六月  公益財団法人矯正協会評議員
平成二十七年十一月 東京都公安委員会委員長代理
平成二十八年四月  東京地方裁判所民事調停委員
現在        弁護士

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(尾崎大介君) 追加日程第二及び第三、議員提出議案第十七号、東京都公立学校施設における冷房機器の整備促進に関する条例外条例一件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布をいたしております。
(議案の部参照)

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十七号及び第十八号については、趣旨説明を省略し、第十七号は文教委員会に、第十八号は厚生委員会にそれぞれ付託されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十七号及び第十八号は、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。

○議長(尾崎大介君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願一件及び陳情五件は、お手元配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 明二十八日から十月四日まで七日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、明二十八日から十月四日まで七日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十月五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三分散会

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