平成三十年東京都議会会議録第十三号

   午後三時二十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十八番馬場信男君。
〔四十八番馬場信男君登壇〕

○四十八番(馬場信男君) 事前の通告に従いまして順次質問をいたしますが、それらに共通するテーマは子供であります。子供たちの夢や成長を育むべく、さまざまな施策が行われていると思いますが、現行の制度は決して百点ではありません。正すところは速やかに正すべく、質問をいたします。
 まずは、子供たちの保育環境の確保についてお伺いをいたします。
 私の地元である足立区も待機児童対策が重要課題であり、特に交通の便がよい北千住エリア、綾瀬エリアに待機児童が集中する傾向にあります。そんな中、区立あやせ保育園の老朽化に伴う移転、建てかえの問題が浮上。特区を活用することにより、近隣の都立東綾瀬公園内での建設が可能となりました。また、ほどなく都市公園法も改正され、特区の認定がなくとも、基準を満たせば保育所の建設も認められることになりました。
 おかげさまで、先月八月に四億三千万円をかけた新園舎が竣工、九月三日から移転となりましたが、一つ気にかかる点があります。公園を使用できる期間が十年であることです。十年後ですので、待機児童問題は解消しているとは思われますが、ここ区立あやせ保育園のエリアは、一定の保育需要はあると考えられます。
 このたびの都立東綾瀬公園の許可期間は十年です。当該地域に保育需要が引き続きあり、足立区から保育園設置継続の意思表示があった場合には、公園の許可期限の延長が認められるべきと思いますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、幼稚園と保育園の支援の格差についてお伺いをいたします。
 国は、消費税が一〇%になる平成三十一年の十月から、三歳児から五歳児の幼児教育、保育の無償化を実施するとしています。しかし、保育所の保育料が無償になるにもかかわらず、子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園の保育料につきましては、月額二万五千七百円までしか無償になりません。
 この額は全国一律の設定で、物価の高い東京では、実質の保育料とかなりの開きがある幼稚園もある上、聞くところによると、入園料や施設費、給食費などは保護者の負担になりそうであり、国は、無償化を実施としているにもかかわらず、全くもって無償化ではありません。
 また、幼稚園の預かり保育は、基本的に保育の必要性が認定された共働き世帯等しか無償化の対象となりませんので、ここにも保育園との格差があります。
 このままでは、来年十月からは、幼稚園は一部無償、保育所は全て無償という差が生じることになります。これでは、子供を幼稚園に通わせようとしていた保護者が、保育所に預けようと考えを変えるなど、幼稚園から保育所へ利用者が流れてしまうことが懸念されますが、都としての見解をお伺いいたします。
 また、さきの大阪府北部を震源とする地震において危険が指摘されたブロック塀の改修助成も、保育所には区市町村を通じ活用可能な都の補助があるようです。ここでも差をつけず、幼稚園に対しても助成をすべきと思うが、見解をお伺いいたします。
 次に、子供たちへの虐待についてお伺いいたします。
 児童虐待への対応につきましては、先ごろ、東京都子供への虐待の防止等に関する条例(仮称)の基本的な考え方を発表され、虐待の未然防止、早期発見・早期対応、子供と保護者への支援、人材育成の四本柱がうたわれています。
 虐待防止には、子供と保護者への支援が欠かせません。とりわけ保護者への支援が重要です。教育基本法第十条は、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有すると定められているとともに、国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために、必要な施策を講ずるように努めなければならないとしています。
 そこで伺います。
 発生した虐待への取り組みを川下の政策とすれば、虐待そのものを発生させない川上の取り組みも同様に大切であります。このことから、子供たちに、お互いに思いやり、尊重し合う態度を育成することが重要であると考えますが、教育委員会の見解をお伺いいたします。
 また、熊本県など九つの県で家庭教育支援条例が制定されています。東京都においても、親としての学び、親になるための学びを社会総がかりで進めるなどの、区市町村の家庭教育の支援の取り組みを支援すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
 さらに、市区町村においては、子育て世代包括支援センターの設置が努力義務とされており、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を充実させることが虐待防止に重要と考えますが、実際に設置されているのは、全国で三分の一の自治体にとどまっていると聞いています。
 都内においての設置状況はどうか、また、都として、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援に取り組む区市町村を支援すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、コンビニエンスストア等における成人雑誌の陳列のされ方についてお伺いをいたします。
 社会インフラとなったコンビニは、誰でも安心して使える店であるべきであります。都の青少年の健全な育成に関する条例によれば、青少年に成人雑誌、性的感情を刺激する図書類を閲覧、観覧させないように努めなければならないとの努力義務が定められているにもかかわらず、多くのコンビニでは、成人向け雑誌コーナーがあるのが現状であります。
 そのような中、注目する取り組みとして、コンビニ準大手のミニストップが、昨年十二月、本社のある千葉市内において成人誌の販売を取りやめ、翌月からそれを全国エリアに拡大されるという例が見られました。
 ミニストップの広報に電話をして、お客様の反応を聞きました。反対もあったが激励も多くあった、男性客からも、親として子供に見せたくないと思っていたのでよかった、女性従業員からも、働きやすくなったなど、よい評価を得られたとのことです。
 そこで、青少年健全育成条例第七条の、性的感情を刺激する図書類が青少年の目に触れないように取り組んでいくべきであると考えるが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害のある子供たちへのICT教育についてお伺いをいたします。
 現在、特別支援学校においてタブレット端末が授業で活用されており、平成二十六年度から学校の規模に応じた台数の共用端末が順次配備されています。パソコンの活用も進み、手や指の動きが器用でない子供も、マウスを使用したり画面に触れることで、学習に参加できるような授業の工夫も見られています。
 渋谷区では、公立小学校全児童にタブレット端末が昨年の秋から配布されました。六年生の発達障害の児童の中には、漢字の読みや書きについて一年生の学習内容を行っていましたが、タブレット端末を活用したことで、あっという間に六年生の学習内容に到達できたという事例がありました。
 また、アプリケーションソフトも充実されてきており、障害のある子供にとってのICT機器は、興味や関心を高め、学習効果が顕著であることは、教育現場で認識されています。
 お伺いいたします。
 タブレット端末の学校配備が開始され、四年がたった今、これまでの効果を検証の上、例えば、機器の活用が有効だと考えられる児童生徒に対して、個人所有機器を学習活動にも利用するなど、特別支援学校における新たなICT環境整備のあり方を検討すべきと思いますが、どうか。
 次に、子供たちが完成を待ち望んでおります足立区の都立舎人公園についてお伺いをいたします。
 この公園の計画は、戦前の昭和十五年、一九四〇年と古く、東京府知事の責任のもと、都心から二十キロメートル圏内に二十から五十万坪の防空緑地を複数設置するというものの一つとして、決定がなされました。その後、紆余曲折を経て、平成二十年三月、計画から六十八年を経ていましたが、やっと計画面積の八〇%の再整備が完了し、そりゲレンデなどの新たな子供たちの遊び場もできました。
 そこでお伺いします。
 現在は、最後の整備となるフィールドアスレチック広場について、平成三十年度の今年度に設計予算が措置され、翌三十一年度には、工事着手の予定と伺っています。戦前の計画から八十年の節目の年が二〇二〇年でありますので、東京オリンピック・パラリンピック大会の一つのレガシーとなり得るべく進んでおりますが、フィールドアスレチック広場の整備に現在どのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
 最後に、優秀な子供たちが目指してほしい大学についてお伺いをいたします。
 首都大学東京を東京都立大学とするなど、公立大学法人及び二つの大学の名称変更の手続に着手すると、知事が発表されました。我が会派は、昨年の第三回定例会で、首都大学東京について、大都市ならではの教育環境を生かした取り組みや、都民の期待に応えられるような取り組みを進めていくことを求めました。
 都立大学に名称を変更することだけでなく、例えば、昨今、甚大化している災害対策の研究や環境問題の解決策を専門とする都立の大学らしい、公共性の高い分野を磨き上げ、大学の特徴とする試みがあってもいいのではと考えます。
 そこで、首都大学東京では、名称変更を機に、これからの東京を支える人材の輩出に力を入れていくなど、東京が抱えるさまざまな課題の解決に資する教育や研究を進めていくことが求められると考えますが、知事の所見をお伺いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 馬場信男議員の一般質問にお答えをいたします。
 名称変更を機とするこれからの首都大学東京の取り組みについてのご質問、最後にいただきました。
 大都市の課題の解決に貢献する人材を育成する、そして、研究成果の都政、都民への還元というのは、都が設立した公立大学である首都大学東京の重要な使命の一つでございます。
 そのため、首都大学東京におきましては、急速な少子高齢化、そして技術革新の進展など、社会の変化と時代の要請に応えるべく、今年度から学部を再編成いたしておりまして、総合大学の強みを生かし、都市に関する政策科学を文系、理系の垣根を超えてトータルに学ぶ、都市政策科学科を新設したところでございます。
 そして、このたび、開学以来の実績を土台といたしまして新しい飛躍につなげていく、そのために、大学名を東京都立大学とし、これを契機として、教育研究の成果をこれまで以上に都へ還元することを明らかにしたところでございます。
 今後、都のさまざまな施策との連携を強化いたしまして、例えば大規模自然災害への対応など、東京が直面する課題の解決に大学の専門的知見をより一層生かしてもらえる、そのようなことを期待するところでございます。
 今回の名称変更でございますけれども、これは単に大学名をもとに復するもの、もとに戻すものではありません。それは、新たな東京都立大学が、東京というフィールドに立脚をした実践的な教育や研究を推進して、名実ともに都立の大学としてのプレゼンスの向上を図れるように、都としても積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、互いに思いやり、尊重する態度の育成についてでございますが、子供たちが将来、充実した家庭生活を築き、互いに支え合う社会を実現するためには、他者とともによりよく生きる基盤となる道徳性を養うことが重要でございます。
 これまで都教育委員会は、都内公立小中学校を対象に、道徳教育推進教師養成講座を開催し、思いやりや家族愛といった内容についての指導力の向上を図ってまいりました。
 また、都独自の教科、人間と社会において、都立高校生がよりよい家庭生活のあり方や家族の姿について議論し、みずからの生き方を考える場を設定してきております。
 今後、都独自の小中学校用道徳教材集の改訂や、人間と社会のすぐれた実践事例の全都立高校への周知などを通して、互いに思いやり、尊重し合う心といった道徳性を養う指導の一層の充実を図ってまいります。
 次に、家庭教育支援の取り組みについてでございますが、核家族化、少子化、地域のつながりの希薄化など、社会が大きく変化する中で、子育てに不安や悩みを抱えている保護者への支援が課題となっております。
 このため、都教育委員会は、地域の子育て経験者や子育て支援団体等が連携して構成する家庭教育支援チームが、保護者の身近なところで社会とのつながりづくりをサポートする活動や、保護者に子育てを学ぶ機会を提供する取り組みに対して、経費の補助を行っております。
 さらに、地域における子育て支援団体、行政関係者等への研修や、支援事例等の情報提供も実施しております。
 引き続き、区市町村が主体となって実施する家庭教育支援の取り組みが効果的に展開できるよう、支援をしてまいります。
 最後に、特別支援学校のICT環境整備についてでございますが、都教育委員会は、平成二十六年度から三年間で全ての都立特別支援学校に対して共用のタブレット端末を配備してまいりました。また、平成二十九年度から順次端末の更新を行い、これまでの利用状況の確認や検証を進めております。
 学習用端末の配備は、児童生徒に対し高い効果が見込まれるものの、児童生徒の障害の状況や程度が多様であるため、一人一人に対し同一仕様の端末を一律に配布することにはさまざまな課題がございます。
 そのため、今後、学習活動における個人所有端末の利用も含めて、障害種別や学年等の発達段階、一人一人の障害に応じた端末配備のあり方の検討を進め、特別支援学校の児童生徒の学習環境の改善充実を図ってまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東綾瀬公園内の保育所についてでございますが、都立公園の一部を保育所用地に活用することは、待機児童解消に向けた対策の一つとなってございます。
 都立公園では、平成二十七年の国家戦略特別区域法の改正に伴いまして、これまで荒川区の汐入公園や世田谷区の祖師谷公園など、七公園に保育所が設置されております。
 足立区が東綾瀬公園に設置いたしました保育所につきましては、昨年五月に特区の認定を受けまして、都が同年七月に十年間の占用を許可したものでございます。占用期間の満了時に更新の申請がありました場合には、都市公園法等関係法令の規定に基づきまして、適切に判断することとなります。
 引き続き、貴重な緑の保全や避難場所等の防災機能など、公園本来の機能を確保しつつ、保育所の設置に協力してまいります。
 次に、舎人公園のフィールドアスレチック広場の整備についてでございますが、都立公園におきまして、子供が遊びを通して心身の発達や創造性、社会性などを身につけていく環境整備を行うことは重要でございます。
 フィールドアスレチック広場の整備を予定しているC地区には、昨年十月にオープンいたしましたバーベキュー広場に加えまして、親子でくつろげる草地広場や水辺の散策を楽しめる池を配置してまいります。
 フィールドアスレチック広場につきましては、小高い丘のような地形を生かしまして、子供たちが楽しみながら体を動かせる、さまざまなアスレチック遊具を設置する予定でございまして、現在、設計に着手しております。
 今後とも、こうした整備を進めまして、舎人公園におきまして新たなにぎわいの創出に取り組んでまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、幼稚園における幼児教育の無償化についてでございますが、東京の私立幼稚園は、建学の精神と独自の教育理念に基づく特色ある教育を展開しており、約十四万人もの園児が通うなど、都の幼児教育において重要な役割を担っております。
 都はこれまでも、区市町村を通じた園児保護者負担軽減事業費補助等により、私立幼稚園での教育を望む多くの保護者を支援し、負担を軽減してまいりました。
 幼児教育の無償化につきましては、現在、国が具体的な制度設計の検討を進めているところでありまして、都としては、国の動向をしっかりと注視した上で対応を検討してまいります。
 次に、私立幼稚園へのブロック塀改修助成についてでございますが、都は、大阪府北部を震源とする地震が発生した本年六月以降、学校におけるブロック塀等の状況に関する緊急調査を実施するとともに、幼稚園を含む私立学校に対しては、ブロック塀等を含めた学校施設及び通学路の安全確保の徹底を要請しております。
 また、国が先月公表した全国の調査結果によれば、安全性に問題があるブロック塀等を有する学校が国内に相当数あることが明らかになりました。
 現在、国において、本結果を踏まえ、各学校設置者が速やかにブロック塀等の安全対策が行えるよう、必要な措置を検討しているところであり、都としては、国の状況を踏まえ、私立学校における安全性の確保についても検討してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 妊娠期からの切れ目のない支援に関するご質問にお答えいたします。
 国は、平成二十八年の母子保健法の改正によりまして、母子保健施策と子育て支援施策との一体的な提供を通じて、妊産婦や乳幼児を包括的に支援する子育て世代包括支援センターを創設し、都内では現在、三十五の自治体が設置しております。
 都が既に実施しておりますゆりかご・とうきょう事業は、このセンターと目的や基本的な事業の内容を同じくするもので、現在、四十一の自治体が実施しているところでございます。
 本事業では、保健師等の専門職による全ての妊婦を対象といたしました面接の実施や育児パッケージの配布など、都独自の支援を行っており、今後とも、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備を進める区市町村を支援してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 青少年の健全育成についてでありますが、東京都青少年健全育成条例及び施行規則においては、図書類の出版、販売事業者は、図書類の内容が、性的感情を刺激するなど、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、青少年が購入、立ち読み等できないよう、包装、区分陳列をするように努めることとなっております。
 現在、各事業者は自主的な取り組みとして、条例等に基づき、該当する図書類をビニール等で包装するとともに、仕切り板を設け、当該図書類が青少年に販売し、閲覧させること等が制限されている旨の掲示を行うなど、他の図書類と明確に区分し、陳列していると承知しております。
 今後も、青少年の健全な成長を図るため、条例等の適切な運用に努めてまいります。

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