平成三十年東京都議会会議録第十三号

○議長(尾崎大介君) 三十六番斉藤やすひろ君。
〔三十六番斉藤やすひろ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番(斉藤やすひろ君) 東京都の都市間交流について質問します。
 ことしは日中平和友好条約締結四十周年の佳節に当たります。両国の首都である東京都と北京市は、条約締結後直ちに友好都市となりましたが、以来さまざまな紆余曲折を経てまいりました。我が党初め多くの関係者の努力により、この四十周年の佳節を目指し、さまざまなレベルでの往来が活発になってまいりました。
 その結果、ことし七月には、都内各自治体の議員による東京日中友好議員連盟協議会が、北京市人民対外友好協会の招聘を受け、訪問いたしました。その際、北京市人民代表大会常務委員会を表敬し、意見交換を行いました。
 人代側からは今後、都と北京市のハイレベル交流、東京都議会と北京市議会の政策テーマごとの調査研究を希望するとともに、都内区市町村と中国との交流をサポートしたいなどの提案がありました。
 早速、去る九月十二日には北京市長が都庁を訪問し、知事と会談されましたが、都と北京市の交流は日中両国民の往来の強固なかけ橋にとどまらず、U20加盟都市として、両都市の交流は国連で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGs達成を推進する視点からも非常に重要であると考えます。
 そこで、今後の東京都と古くからの姉妹友好都市である北京市との都市間交流について、知事の見解を求めます。
 また、都議会公明党は、教育交流こそ未来の両国の友好を持続的に発展させる上で最重要であり、教員同士や児童生徒間交流の重要性を主張してまいりました。
 そこで、都教育委員会は、姉妹友好都市締結四十周年を来年に迎える今を絶好のときと捉え、教育分野での北京市との包括的な交流協定を締結し、教員交流、児童生徒間交流を加速すべきだと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、医療的ケア児の教育機会の拡充について質問します。
 都は、我が党の要望を受け、今月以降二学期から医療的ケア児を対象に、看護師同乗の専用通学車両を運行する事業を開始したことを高く評価いたします。
 一方で、私の地元目黒区に住む小学四年生の児童は、生まれつき骨形成不全症という病気で寝たきりです。この児童の場合は週三回、一日二時間の訪問教育しか受けられません。この子はもっともっと勉強したいと強く訴えておられました。
 将来的には、このような児童生徒が地元の小中学校に普通に通学できるよう、インクルーシブ教育の実現に取り組むべきと考えます。しかし、都立特別支援学校でさえ、人工呼吸器管理を適切に実施するためのモデル事業にとどまっているのが現状です。
 そこで、第一段階として、都立特別支援学校において、医療的ケア児を初めとする訪問籍の児童生徒にとって貴重な教育の場である在宅訪問教育の充実を図るべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、いじめの未然防止について質問します。
 都教育委員会は、去る七月三十一日に、いじめ総合対策第二次に基づき、都内公立学校のいじめ防止等の取り組みについて、今後の改善の方向を示しました。私は、いじめを未然に防止する持続可能な行動こそ不可欠だと考えます。
 子供たち自身がいじめを自分たちの問題として主体的に考え、話し合い、行動できるようにすることは重要です。答申の中では、実践事例として、子どもパトロール隊の取り組みが紹介されています。これは、都内の小学校のいじめをしない、させない、許さない、キッズレスキュ―隊と名づけられた子供たち自身によるいじめ防止活動です。こうした取り組みは、他の学校にとっては簡単に取り組めるものではないとの声もあります。いじめは許さないとの気持ちがあっても、子供たちが行動する力をつけるには、教職員の努力だけでなく、外部の専門家の協力が有効と考えます。
 そこで、いじめの未然防止に向けて、専門的なスキルを持ったNPOや団体などの外部人材や、関係機関等と連携した取り組みを進めていくべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、ひきこもり問題について質問します。
 都は、ひきこもり問題については、早期の発見と対応を重視し、青少年問題として相談体制など施策を推進してまいりました。しかし、最近はひきこもりの長期化、高齢化によって、親が八十代、当事者の子が五十代を迎えた家族が社会的に孤立し、親子で餓死してしまうなど、八〇五〇問題が顕在化しております。それゆえ、今後、ひきこもり問題は対象年齢を撤廃して、長期化、高齢化の実態に合った切れ目のない施策展開が必要です。現在の所管で対応できないのであれば、当事者や家族会にとって、保健、医療、福祉施策との連携が取りやすい福祉保健局内に相談窓口を設置すべきです。
 我が党はこれまでも、こうした長期化、高齢化の問題について、区市の相談員への研修を初め、さまざまな政策提案を行ってまいりました。これを受けて、今後の都の対応について見解を求めます。
 次に、自転車政策について質問します。
 私は初当選以来、一貫して東京都の自転車政策を推進し、東京都自転車安全利用条例の策定などに尽力してまいりました。
 昨年、国は自転車を公共交通の補完的な役割を果たす交通手段の一部として位置づける自転車活用推進法を策定し、本年六月には、自転車走行空間のネットワーク化や、計画的な整備促進、シェアサイクルの普及促進、健康増進、安全性などに関する施策を取りまとめた自転車活用推進計画を策定いたしました。この法律では、自転車の活用推進に向け、都道府県及び市区町村レベルまで自転車活用推進計画の策定に努めることと規定されています。
 そこで都は、自転車活用推進計画を策定するに当たり、都庁各局はもとより、基礎自治体等との連携を強めて、総合的な自転車政策の推進につながるよう計画すべきと考えます。都の見解を求めます。
 また、自転車の活用を推進するに当たり、自転車利用者のルール遵守意識や自動車ドライバーの思いやり運転意識を醸成し、自転車の交通事故や事故死を削減することが重要です。そのためには、自転車の交通ルールの徹底に資する自転車ナビマークや交差点内の自転車ナビラインと道路管理部門の自転車走行エリアをネットワーク化する必要があります。
 そこで、交通管理者は、自転車走行エリアとのネットワーク化に向けて、道路管理者と連携を図ることが不可欠と考えます。警視総監の見解を求めます。
 次に、自動二輪車向け駐車スペースの拡充について質問します。
 自動二輪車は、自動車に比べて環境負荷が低く、都民の身近な交通手段の一つになっています。平成十八年、我が党はユーザーからの強い要望を受け提案、国は駐車場法を五十年ぶりに改正し、それまで規定されていなかった自動二輪車を駐車場法の対象に追加しました。以来、専用駐車場のみならず、都道の空きスペースを活用したり、自転車駐輪場に駐車できるよう工夫する自治体の動きもあります。しかし、積極的に取り組む自治体は少なく、都内の駐車台数は決して十分とはいえません。
 そこで都は、このような状況を踏まえ、自動二輪車の駐車場の整備をさらに進めていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、違法コンテナ倉庫問題について質問します。
 本年六月十八日に発生した大阪北部地震により、高槻市では、小学四年生が登校中に落下した学校施設のブロック塀の下敷きになり、お亡くなりになりました。今回のような悲劇を二度と繰り返さないために、幼稚園や小中学校、高校の通学路の安全確保のため、塀の緊急点検を行い、万全な対策を急がなければなりません。
 そんな中、先日二十三区内の中学校通学路で、建築基準法に適合しない違法なコンテナを活用した倉庫が確認されました。これらのコンテナ倉庫は土台が地面に固定されておらず、空き地に重ね置きしただけの状態になっており、地震や台風などで倒壊し、通学中の児童生徒や歩行者への危険が指摘されています。
 平成二十六年、国土交通省は、コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底を都道府県に求め、違反建築物の是正指導を徹底するよう求めましたが、都においては、一向に是正が進んでないとの指摘もあります。また、コンテナを使用するユーザー側も、違反建築物であるという認識がないように思われます。
 そこで、都は緊急調査を行い、違法なコンテナ倉庫の実態を把握し、建築行政を所管する特定行政庁が、現場の規制や指導をしやすくなるよう支援するとともに、都としても是正指導すべきです。さらに、コンテナを使用するユーザー側にも、正しい知識等について情報提供に努めるべきです。あわせて都の見解を求めます。
 最後に、外堀の水質改善について伺います。
 都は昨年、日本橋周辺のまちづくりと連携し、首都高の地下化に取り組む旨公表し、ことし七月には、国、地元区、首都高とともに計画案を取りまとめました。知事表明にもありましたが、かつての五街道の起点として、歴史と文化の薫りを漂わせるには、日本橋川の水質改善が急がれます。
 我が党はこれまで、議会質問を通じて、玉川上水を活用した外堀の浄化策、すなわち多摩川から河川水を玉川上水に取り込み、外堀にこの河川水を流し、その川の流れを活用して、日本橋川の水質を改善する案を提言してまいりました。
 これに対し都は、外堀の水の流れについては、四谷大木戸から外堀までの管路整備が可能かなど、さまざまな課題があるため、関係機関や関係団体との意見交換など、幅広く行っていくと答弁しました。
 都は、まず都庁内の関連部局による検討会を速やかに設置し、外堀の水質改善に資する対策を検討すべきです。また、都の検討会では、国や地元区市などの意見や学識経験者、民間団体など、さまざまな意見を聞くことも重要です。
 そこで都は、こうした意見を踏まえて、首都東京にふさわしいグリーンインフラたる水辺空間の形成に向けた取り組みを推進すべきと考えます。あわせて都の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えいたします。
 私から一問、お答えさせていただきます。
 北京市と都市間交流についてのご質問でございます。
 ご指摘のように、北京市とは、一九七九年の三月に友好都市関係を締結いたしました。それ以来、環境、文化、スポーツなど幅広い分野で交流を推進しており、来年の二〇一九年には友好都市提携四十周年という節目の年を迎えることとなります。
 先日、東京都を訪問されました陳吉寧北京市長からは、これを機会にして、首都同士の交流のさらなる促進を期待するとの話をいただきました。また、この陳吉寧北京市長は、環境の専門家でもいらっしゃいます。東京二〇二〇大会に向けた取り組み、みんなのメダルプロジェクトにもご協力いただきまして、両都市それぞれの環境改善の取り組みなどについての情報交換を行わせていただきました。
 東京二〇二〇大会の成功、そして大都市共通の課題の解決、グローバル都市東京の実現には、ご指摘のSDGsの視点を踏まえました海外の諸都市との交流や協力関係の構築は不可欠でございます。
 北京市は、世界で初めて、夏季、冬季両方のオリンピック・パラリンピック大会を開催する都市となります。
 今後とも、環境、スポーツ、教育など、さまざまな分野での交流、そして協力を進めてまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監三浦正充君登壇〕

○警視総監(三浦正充君) 自転車走行エリアにおける道路管理者との連携についてでありますが、警視庁では、歩行者や自動車から分離した自転車通行空間の確保の一環として、自転車道と自転車専用通行帯を道路管理者と連携しながら整備を進めているところであります。
 また、自転車の交通ルール徹底のための路面表示として、当面、自転車道等の整備が予定されていない幹線道路や駅周辺の自転車利用者の多い路線には、自転車ナビマーク、交差点には、自転車ナビラインの設置を推進しております。
 今後も、自転車通行空間の整備と自転車ナビマーク、自転車ナビラインの整備がネットワークとして機能するよう、道路管理者とさらに連携を図ってまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、教育分野における北京市との交流についてでございますが、児童生徒や教員の国際交流を継続的かつ発展的に進めるためには、各学校の取り組みに加え、海外の教育行政機関と連携することが有効であります。
 そのため、都教育委員会はこれまで、七つの国や地域と教育に関する覚書を締結し、交流可能な学校を互いに紹介し合うなどして、国際交流の取り組みを推進してまいりました。
 こうした中、北京市教育委員会との間でも、連携して学校の国際交流を加速することが望ましいとの基本認識が一致し、現在、覚書締結に向けた協議を進めております。この覚書締結を契機として、北京市の学校との姉妹校の拡大を初め、児童生徒や教員同士による多様な交流を推進してまいります。
 今後とも、多様な国や地域と連携しながら、児童生徒の豊かな国際感覚を醸成してまいります。
 次に、在宅訪問教育の充実についてでございますが、障害の状態などにより、学校に通学できない児童生徒について、自立と社会参加を見据え、一人一人の能力を最大限に伸長できるようにする上で、在宅訪問教育は重要な役割を担っております。
 在宅訪問教育においては、対象となる児童生徒の障害の状態、教育課程、指導内容等が一人一人異なっている状況にあります。
 このため、これらの児童生徒に対しては、ICT機器をさまざまなアプリケーションを教材として利用できるなどの特性を生かして活用し、障害の状態等に応じた教育活動の充実を図ることが期待できると考えております。
 こうした状況を踏まえ、特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画に基づき、ICT機器を活用した在宅訪問教育の充実に向けて、検討を進めてまいります。
 最後に、関係機関等と連携したいじめ防止についてでございますが、いじめを未然に防止するためには、教職員が組織的に対応することに加え、いじめ防止に取り組む関係機関や団体等と連携することも重要でございます。
 これまで都教育委員会は、いじめ防止のための指導資料に弁護士を活用した事業の進め方や関係機関等が持つ専門的な知見を活用した連携のあり方を示すなどして、学校におけるいじめの防止の取り組みを推進してまいりました。
 今後、都内全公立学校の担当者を対象とした連絡会等において、いじめを許さない意識を関係団体のワークショップを通して醸成したといった特色ある実践事例を周知するなどして、学校がそれぞれの実態に応じて関係機関等とさらなる連携を図り、いじめの未然防止に取り組むことができるよう支援をしてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) ひきこもりの方への相談支援に関するご質問にお答えいたします。
 若年期にひきこもりとなった状態が長期化いたしますと、本人が高年齢になるとともに、ご家族の方も高齢化が進むことから、生活の困窮や親の介護など、さまざまな課題を抱える家族への対応が必要となってきております。
 区市が設置している生活困窮に関する自立相談支援機関では、こうした家族からの相談についても、一人一人の相談内容に応じまして、ひきこもりの専門相談機関につないだり、保健所や地域包括支援センターなどの関係機関と連携し、きめ細かい支援を行っております。
 お話のとおり、ひきこもりの方への相談支援を、年齢によらず身近な地域で切れ目なく実施することは重要であり、今年度は、自立相談支援機関の相談員を対象に、具体的な事例集を活用した実践的な研修を行うなど、区市への支援を推進してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車活用推進計画についてでございますが、自転車は身近な交通手段の一つであり、誰もが移動しやすく、環境に優しいまちづくりの実現に向け、自転車を活用していくことは重要な視点でございます。
 そのため、都は、地域の道路事情に応じた自転車走行空間の整備や、国道、区市道も含めた走行空間のネットワーク化に取り組むとともに、関係区と連携して、区境を越えたシェアサイクルの普及拡大などを図っております。
 これらの施策を含めまして、環境負荷低減や健康増進などの観点から、自転車施策を総合的に推進し、多様なニーズに対応する自転車の利用環境の充実を目指してまいります。
 このため、先月、自転車活用推進計画の庁内検討会を立ち上げたところでございまして、今年度末の計画策定に向けて、区市町村等と連携を図りながら検討を進めてまいります。
 次に、自動二輪車の駐車場についてでございますが、駐車場整備は基本的に区市町村が地域の実情に応じて取り組んでおりまして、都は、民間の開発に合わせた整備の働きかけや補助制度等による支援を行っております。
 駐車場の総数は着実に増加している一方で、地域によっては整備が十分ではない場所も見受けられます。
 このため、都は、自動二輪車の利用状況に合わせた駐車場の整備促進に向け、本年二月に区市町村との連絡会議を開催し、意見交換や技術的助言を行うとともに、六月には関係局から成る庁内連絡会議を設置いたしまして、情報共有等を図っております。
 今後、これらも踏まえ、駐車状況の実態を詳細に把握した上で、自動二輪車駐車場の整備促進に向けた方策等を検討してまいります。
 次に、違法なコンテナ倉庫の対策についてでございますが、継続的に使用されるコンテナ倉庫は、建築基準法の適用対象となります。周辺の住環境への悪影響や地震などに対する安全性の観点から、違反が疑われるものについては、特定行政庁である都と区市は、是正指導を行ってきたところでございますが、さらなる取り組みを進めていく必要がございます。
 このため、都は、引き続き粘り強く是正指導に取り組むとともに、今後、関係する業界団体を通じて法令遵守を働きかけます。さらに、各特定行政庁の取り組み状況や全国の先進的な取り組み事例を共有することなどにより、区市の取り組みを支援してまいります。あわせて、コンテナ倉庫の建築基準法上の取り扱いをホームページで広く都民に周知してまいります。市街地の安全確保に向け、関係者間の連携を強め、違反対策に取り組んでまいります。
 最後に、東京にふさわしい水辺空間の形成についてでございますが、都は、都市づくりのグランドデザインにおきまして、水辺を生かして都市生活にゆとりや潤いを創出し、多くの人々でにぎわう水の都を再生するため、水辺に顔を向けたまちづくりや、まちに潤いを与える水辺空間の形成を推進するとしており、例えば、きれいな川の水を取り戻すため、お堀や池などの良好な水辺への再生にも取り組むこととしております。
 これを踏まえて、外堀などにおける、より効果的な水質浄化対策を幅広く調査検討するため、関係局による検討会を今月立ち上げたところでございます。
 お話の提言には、さまざまな課題がございますが、今後この検討会において、関係機関や有識者などと意見交換を行いつつ、検討を行ってまいります。

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