平成三十年東京都議会会議録第十三号

○議長(尾崎大介君) 四十五番清水やすこさん。
〔四十五番清水やすこ君登壇〕

○四十五番(清水やすこ君) 西多摩地区選出の清水やすこと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 せんだっての豪雨、台風、そして地震により被害に遭われました皆様には、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
 さて、今回は、土砂災害対策、森林関連、そして、この一年、税の番人として感じたことをお話しさせていただきます。
 まず、土砂災害対策について伺います。
 この七月の豪雨では、西日本を中心に土石流や土砂災害が発生しました。また、北海道地震では、震度七の揺れに耐え切れず大規模な土砂崩れが起き、多くのとうとい命が失われました。
 東京都は、崖崩れなどの土砂災害対策として約一万五千カ所の調査を進め、警戒区域の指定は一万二千六百十九カ所に及んでおります。我が西多摩地区においては四千八百十三カ所、全体の約三分の一が該当しております。しかし、警戒区域の指定箇所に住む住民の警戒意識は必ずしも十分とはいえません。
 そこで、都は、関係区市町村等とも協力しながら、土砂災害対策に対して地域住民にどのように警鐘を鳴らし、豪雨等の際に都民が迅速な行動をとれるように取り組めるのか伺います。
 現在、避難所として指定されている都立学校について伺います。
 都立学校の多くは、体育館が避難所としてのスペースとなっています。しかし、避難所での生活を送る上で、体調不良等により隔離する必要のある方が発生する可能性が考えられます。伝染性の疾病にかかると体育館では隔離できず、問題が広がります。
 現在私は、ダブル介護をしており、親が車椅子生活ですが、例えば、トイレ利用のため、長蛇に並ぶ体育館よりもトイレに近い教室などの方がとても便利です。また、お子さんが小さい場合、ぐずったり夜泣きすることがあり、それをあやす親と、ふだんそれを聞きなれていない周辺の避難者との間にストレスが生じます。
 避難所としてのスペース活用に当たっては、空調設備が整っており、体育館よりも利便性の高い教室をもっと使えるようにするべきと考えます。
 そこで、東京都教育委員会の見解を伺います。
 次は、協定が締結されていない都立学校についてです。
 現在、各区市町村からの要請に基づく協定が締結されていない都立学校があると聞いています。二百四十八カ所のうち三十八カ所、つまり六カ所に一カ所の割合で締結されていないと聞いており、西多摩地区ですと瑞穂農芸高等学校や秋留台高等学校があります。
 そこで、予期せぬ災害等に備えるため、区市町村の避難所開設の協定を待つことなく、あらかじめ東京都として教室を開放すると積極的な体制を整えておくことも必要と思いますが、東京都教育委員会の見解を伺います。
 次に、森林政策について伺います。
 現在、我が国の材木市場は、主にヨーロッパからの安価な木材を輸入しています。安価の要因の一つとして、ドイツやオーストリアでは、戦後早々と長期ビジョンを立て、それに基づき苗木の植栽とひたすら林道をつくってきたことにあります。樹木が成長し出荷できるようになると、計画的に伐採し再び苗木を植えます。この滞りない森林循環こそ林業従事者の安定的な収入にもつながり、担い手不足が生じない仕組みなのです。
 そういう意味では、せんだっての都のパブリックコメントである五十年、百年先の東京の森林の将来展望という形で具体化されたことは、未来の東京林業を担う政策として大変評価されるべきと考えます。
 今後重要なのは、いかにして達成していくかです。
 そこで、東京の森林の将来展望で示した将来像の実現に向けて、東京の林業振興にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 自然公園のビジョンについて伺います。
 都が昨年度策定した東京の自然公園ビジョンに基づき、高尾山エリアに続き、御岳山、日の出山エリアにも管理運営協議会が設置されるなど、着々とさまざまな事業が展開されています。
 私はビジョンで示されている三つの目指す姿の中でも、特に、人と自然との関係を取り持つ自然公園が重要だと考えます。これを実現するために掲げられている地域における営みを支え、自然環境の守り手ともなる人材の育成等を行うことなどは、西多摩地区にとっても優先して検討すべき課題であると考えます。
 次世代の担い手を確保していくには、単発の体験型のイベントプログラムに加え、自然とともにある暮らしや文化の魅力に触れ、将来、繰り返しふっと戻ってみたくなるような仕組みが必要ではないでしょうか。
 例えば、多摩地域が、東京都の人口一千二百万人のうち、二十三区八百万人の第二、第三のふるさとに十分なり得ると思います。
 そこで、ビジョンのこの施策展開に関する取り組みの進捗状況について伺います。
 ここからは税金について伺います。
 監理団体と公営企業の納税の無駄が発生している件についてお話をさせていただきます。
 三十三ある東京都の監理団体の中に、一事業者として消費税などの申告納税が発生する場合がございます。国税当局やほかの機関の調査、監査、査察などが入り、加算税や延滞税などペナルティーを支払っている場合がございます。
 国税当局の税務調査等により、会計処理の誤りなどから、修正申告を確認しましたところ、過去五年間で延べ二千三百万円の加算税や延滞税のペナルティーが発生していると聞いています。これらは各監理団体の運営に税金が使われていることから、税金の無駄遣いにつながっているといえます。
 こうした会計上の処理に関する情報を各団体で共有するなどの対策を講じ、同じような支出が繰り返されないようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 同様に、十一の公営企業会計を確認しましたところ、過去十年間で十九件、約二十億円の消費税の修正申告が発生し、ペナルティーは十六件で三億五千四百万円と聞いています。
 これらも独立採算である公営企業会計の無駄な支出につながっていることから、公営企業会計を所管する七局においても、同様の支出を繰り返さないよう情報共有を行うなど対策を講じていただくことを要望いたします。
 一般の方から固定資産の申告期限についての課題をいただいています。
 皆様におなじみの申告所得税の確定申告と納付は、おおよそ三カ月程度の時間が用意されています。
 一方、固定資産税はどうでしょうか。一月一日現在所有の償却資産に課税され、その申告期限は一月末です。保有資産の確定と申告準備のための猶予は一月もありません。これは中小企業の経理担当者様や実務担当者にとって毎年大変な大きい負担となり、関係団体からも抜本的な見直しを求める声を長年いただいております。
 そこで、制度改善のための国への働きかけをすべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、都内情報を活用して、さまざまな税目の申告漏れを防いでくださいとの内容を申します。適正公平な課税の実現のためには、申告漏れの割合を下げることも都としての責務であると考えます。
 例えば、都の補助金で購入した高額な機械も、当然に償却資産の申告対象となるわけですが、償却資産の申告に計上を失念していたにもかかわらず、特に都からの連絡がなく、自主的に修正申告したことが何回かございます。
 都庁内のさまざまな資料を償却資産税などと突合させ申告漏れを防ぐ、適正申告の実現に努めている姿勢を示すことが重要と考えますが、都の実際の取り組みを伺います。
 最後に、都有財産について伺います。
 財務局では、東京ドーム百個分の都有地を有しています。平成二十八年度で、こうした土地の売却や貸し付けなどにより、七十億円もの財政収入を上げており、貴重な収入源になっております。
 戦後間もない中、都有地を特定し、適正な所有形態、使用形態で管理することは、相当の時間とご苦労の多い作業であったろうと思います。心より敬意を表します。
 そこで、都の施策や財源として有効に活用していくため、今後も適正な管理が求められますが、財務局が所管される普通財産の土地の中には、管理不適正財産という項目がございますが、今後これらの土地についてどのような取り組みを行っていくのか伺います。
 これからも都民の目線で、都民の代表として、そして税の番人を目指してまいります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水やすこ議員の一般質問にお答えをいたします。
 土砂災害対策についてのご質問がございました。土石流、崖崩れなど、これらの土砂災害から都民の命を守る、そのためには地域の住民の皆さんに、どう早く逃げるか、どこに逃げるかを前もって確認していただくことが肝要でございます。
 このため、今回の緊急総点検の結果といたしまして、区市町村が作成するハザードマップのもととなる土砂災害警戒区域等の指定を加速いたしまして、都内全域で指定完了時期を平成三十一年度前半に前倒しすることといたしました。
 また、地元区市町村と連携をしながら、ハザードマップを用いた避難所の確認や気象情報の活用の方法などにつきまして、地域住民向けの防災講習会を開催するなど、都民の防災意識向上を図る、そのような取り組みを拡充してまいります。
 今後とも、こうした取り組みによって、多摩地域を初めとする都民の迅速な行動につながりますように、警戒避難体制の整備をしっかりと進めてまいります。
 その他のご質問は、教育長、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 学校の避難所としてのあり方に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、避難所としての教室のさらなる利用についてでございますが、大規模災害発生時には、避難所に指定されている都立学校は、区市町村からの要請に基づき避難所を開設し、避難者を受け入れることとなりますが、一方で、児童生徒の安全確保や学校教育活動の早期再開に向けて取り組むことも必要でございます。
 そのため、各学校は、区市町村から避難所指定の要請があった場合、教室については児童生徒の保護や教育機能を確保するスペースとし、体育館等を避難所として使用できるスペースとすることを原則として施設利用計画をあらかじめ定め、指定を承認してまいりました。
 実際の発災時においては、地元の区市町村と連携し、避難者の状況等を考慮して、教室を含め適切な場所を確保するなど、これまでと同様、臨機応変に対応してまいります。
 次に、避難所に指定されていない学校の体制整備についてでございますが、大規模災害発生時には、都立学校が避難所に指定されているか否かにかかわらず、地域住民が避難してくることも想定されますことから、あらかじめ避難所運営方策を検討しておくことが必要であります。
 そのため、各学校においては、避難所への指定の有無にかかわらず、各校の学校危機管理計画において、地域住民が避難してくることを想定した避難所としての学校施設の利用計画などの具体的な対応方法等を定めることとしております。
 発災時においては、区市町村と連携しながら、地域住民の避難状況等に応じて適切に対応してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 森林の将来像の実現に向けた林業振興についてでございますが、今回、東京フォレストビジョンとしてお示しをいたしました森林、林業の将来像の実現に向けましては、林道等の基盤整備や担い手の育成、木材需要の創出などの取り組みを重ね、将来を見据えた林業の振興を図っていくことが重要でございます。
 これまで都は、市町村と連携し、林道等の新規開設を計画的に進めますとともに、今年度から林業先進地域への派遣研修の実施に加え、製材所の設備導入の支援を行うなど、林業従事者の技術力の向上や多摩産材の供給体制の強化等を図っているところでございます。
 今後は、林業事業体の新規参入の促進による花粉発生源対策の加速や、都市における多摩産材を初めとした国産木材の需要喚起の方策等について検討してまいります。これらの取り組みを一つ一つ着実に進め、林業の振興を図り、将来像の実現へとつなげてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 東京の自然公園ビジョンの取り組みの進捗状況についてでありますが、東京の自然公園ビジョンでは、目指す姿の一つである人と自然との関係を取り持つ自然公園を実現する取り組みの方向性として、自然公園区域外の人々、特に子供たちと自然公園区域内の人々との継続的な交流を進めること等を掲げております。
 そこで、先進事例に関する調査を行う等、地域間や世代間の交流を図る新たな仕組みの検討を進めており、今年度は、都心部等の中学生が、檜原村の林業家等を訪ね、宿泊し、交流するプログラムを試行することとしております。
 今後、これらの調査や試行の結果を踏まえ、次世代を担う青少年と西多摩地域を初めとする自然公園区域内の人々との継続的な交流の仕組みづくりを進めてまいります。
〔総務局長代理次長榎本雅人君登壇〕

○総務局長代理次長(榎本雅人君) 監理団体の税務処理についてでございますが、税務処理の過誤等による追徴税等が課された事例は監理団体においても発生しており、対策が求められております。
 過誤等の理由は、消費税課税対象として土地使用料を費用計上したケースや、基金取り崩し時の取り扱い、借り受け用地の面積変更などさまざまであり、また、理由が同じようなものであっても税理士等の専門家によって見解が分かれるものもございます。
 そのため、その防止に当たりましては、各団体が税務当局によるガイドライン等を踏まえながら、税務会計処理を適正に行っていく必要がございます。
 都といたしましては、今後、税務当局が示します事例等を活用し、追徴税等が課されないよう、適切な処理に努めることを監理団体に働きかけてまいります。
〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、償却資産に係る固定資産税の申告制度についてでございますが、一月末日を申告期限とする現行制度は、大半の事業者にとりましては、法人税等の申告時期と異なるため、大きな負担となっているものと認識しております。
 一方で、制度の見直しには法改正が必要であり、国も関与する資産評価システム研究センターの研究会が検討を進めてまいりまして、本年三月には見直し案を取りまとめております。
 この見直し案では、現行申告方式に加え、電子申告の場合に限り、申告時期を決算日から二カ月以内とする新方式を選択できることとしております。実現に向けましては、電子申告システムの利便性向上など残された課題もあり、今年度も引き続き検討を進めることとされております。
 申告制度の見直しに向けて、都としても、実務を担う立場から国における今後の検討を後押ししてまいります。
 次に、固定資産税における申告内容の調査についてでございますが、土地及び家屋につきましては、不動産登記簿により対象資産を把握することができますが、償却資産については登記制度がないため、事業者の申告に基づいて課税する制度となっております。このため、正しい申告を促し、公平な課税を確保する上で、申告内容を確認する調査を行うことは重要であると認識しております。
 都におきましては、地方税法の規定に基づき、必要に応じて官公署等に協力を求め、行政目的を阻害しない範囲で提供された資料を活用し、未申告事業者の把握や申告漏れ資産の捕捉のための調査を行っております。
 今後とも、関係行政機関の協力を得ながら、効果的に調査を実施し、固定資産税の適正な課税に努めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 都有財産の管理の適正化についてでございますが、管理不適正財産の土地とは、現に権原を有しない者によって占有されている土地でありまして、終戦直後から昭和三十年代前半にかけて生じたものが多くなっております。
 例えば、戦後の混乱期におきまして、河川敷等に無断で建物を建てられたといったようなものでございますとか、当初、占用許可を受けていたものが、許可が更新されず打ち切りになった後も占有を続けているものなどがございます。
 こうした財産は、長い年月を経過しているため、解決が非常に困難なものが多くなっておりまして、財務局では、個別の案件の事情に応じまして、占有者と交渉を行い、管理の適正化に努めているところでございます。

ページ先頭に戻る