平成三十年東京都議会会議録第十三号

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十七号、東京都公立学校施設における冷房機器の整備促進に関する条例外条例一件、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意についてがそれぞれ提出をされました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(尾崎大介君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十六番両角みのる君。
〔六十六番両角みのる君登壇〕

○六十六番(両角みのる君) 西日本豪雨を初め、このたびの北海道胆振東部地震などにより被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 さて、近年、自然災害が頻発する中で、災害時のドローン活用が注目をされています。五月に、警察・消防委員会で訪れた熊本では、地震の際、ドローンが活躍をしておりました。導入、運用コストが低く、速やかな初動で迅速に移動できるドローンは、災害状況調査や行方不明者の捜索など活用が期待をされております。
 総務省消防庁では、全政令市消防本部へ、ドローンの無償貸与を開始し、既に千葉市では運用がなされるなど、ドローン導入の流れは加速をしています。
 地球温暖化による風水害の多発、首都直下地震の切迫性の高まりなどを踏まえ、ドローンを有効活用すべきと考えますが、災害現場におけるドローンの活用に向けた東京消防庁の取り組みを伺います。
 プラスチック類による海洋汚染は、ホットなトピックスとして国内外に関心を呼んでいます。このパネルのように、世界の海はプラスチックにより汚染をされ、海洋生物に深刻な影響が及んでいます。
 こうした中、本年六月には、海岸漂着物処理推進法が改正され、事業者のマイクロプラスチック使用抑制が努力義務とされました。一方で、G7サミットでは、海洋プラスチック憲章に日本と米国のみが署名をしませんでした。
 これを受け、知事は、都としてこの憲章を強く支持し、実効性ある抑制策の議論をしていくことを表明しました。現在、都の廃棄物審議会で、プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方が議論されております。
 米国シアトルでは、ことしの夏から、市内の五千のレストランでプラスチック製のストローやフォークなどの提供が禁止されました。スターバックスや、すかいらーくでは、二〇二〇年までに、プラスチック製ストローの全廃方針を打ち出しました。
 都が海洋プラスチック憲章支持を即座に打ち出したことを評価するものですが、国に先駆けて憲章支持を打ち出した東京都であればこそ、今、このタイミングで、新聞の全面広告掲載など、大規模な広報による啓発活動を展開すべきではないでしょうか。
 また、今後は、企業に協力してもらい、たばこの健康への影響表示のように、商品パッケージにマイクロプラスチックの情報を表示するなども検討に値すると思いますが、マイクロプラスチックと海洋ごみ問題に対する知事の所見と今後の都の取り組みを伺います。
 さて、本年三月の目黒区の少女虐待死事件は世間に衝撃を与えました。事件を受け、国は、緊急総合対策を取りまとめ、都も児童相談所の体制強化などを打ち出しました。
 これまで都は、平成二十八年度から三カ年で百十九人の児童相談所の職員増員に取り組んできましたが、いまだ都児相の職員負担は、全国的に見ても非常に重いのが現状です。今般、都はさらなる児童相談所の体制強化を打ち出しましたが、来年度以降の中期的な職員の増員計画と配置の考えを伺います。
 また、直近三カ年で、一時保護所職員は五人の増員にとどまっていますが、定員超過の入所状況を踏まえ、一時保護所職員を計画的に増員をしていくべきです。所見を伺います。
 現在、都の一時保護所は二人から八人の相部屋となっており、個室はありません。これに定員オーバーの入所が加わり、限られたスペースで、より多くの子供たちが生活せざるを得ないのが実態です。虐待で傷ついた子供たちを保護する施設は、子供たちが心落ちつけることのできる場所であってほしいと願います。
 都は、児童の人権尊重を旨とする一時保護所の理念を定めています。また、本年七月には、厚生労働省子ども家庭局長名で、一時保護所は個室対応を基本とするよう通達がなされておりますが、改修中の八王子児童相談所や、足立児童相談所など今後建てかえ等をする一時保護所の整備方針を伺います。
 本年二月、学校における働き方改革推進プランが発表されました。この問題は本質的には、教員のマンパワーを厚くすることが重要と考えますが、現状では、本プランを都内全公立学校で迅速かつ着実に実行していくことが重要です。
 そのためには、期間を定め、より具体的な到達目標を設定したアクションプランを策定し、計画の進捗管理を図ることが有効です。
 そこで、今後のプランの進捗管理について伺います。
 学校現場においては、副校長の激務が特に指摘をされており、主幹教諭の増員や、副校長OBを活用した学校経営支援員制度など、国や都の各種メニューが用意をされています。
 一方で、学校教育法により必置とされている小中学校事務職員の活用は不十分です。
 都教委が平成二十一年に取りまとめた小中学校事務職員の活用に関する検討会報告書では、事務職員の任命権移譲など法改正を国に要望していくが、制度改正まで現状を放置しておくことは到底できないとして、早急に現行制度の中で可能な方策を検討するとしています。その上で、具体的な課題として、一つ、前例踏襲で職務が行われており、事務職員の役割、職務内容が不明確である。一つ、校長、副校長による事務職員の能力活用が不十分であるの二点を挙げています。この報告から十年近くはたちますが、報告書が指摘した課題は一向に改善したようには見えません。
 そこで、学校事務職員の現状に対する都教委の認識を伺います。
 学校の働き方改革は、全ての職員がその能力をフルに発揮し、学校全体で取り組むべき課題です。そのためには、学校事務職員の名称、位置づけも含め、そのあり方を抜本的に見直すような都教委の一歩踏み込んだ対応が必要と考えますが、見解を伺います。
 都が、満員電車ゼロ、鉄道の混雑緩和を正面から政策課題として掲げたことを評価しております。
 特に多摩都民にとっては、都心までの長時間通勤が少しでも楽になることは、ライフワークバランス改善に直結するものであります。私は、これこそが多摩格差の最大のものの一つであると認識し、その推進に期待をしているところです。
 都は昨年から時差ビズを展開し、鉄道事業者や企業、通勤者へ時差通勤の協力要請を行ってきました。その結果、ラッシュ時に混雑状況に応じ、あいている電車へと誘導がなされたり、東急電鉄では早朝に増発をするなど、具体的な成果が生まれています。しかし、今後、時差通勤を呼びかけるだけでは限界があります。
 このため、通勤時間帯に応じた弾力的な割引運賃の適用や、在宅勤務実施率の高い企業への税制優遇など、抜本的な制度改革を都が主導すべきと考えます。
 そこで、これまでの成果を踏まえ、今後の通勤混雑緩和策の進め方について伺います。
 都心部と多摩方面をつなぐ動脈であるJR中央線や京王線、八王子が始発であるJR横浜線は、日常的に通勤通学に利用される多摩都民の足ですが、それぞれに通勤時の混雑や、のろのろ運転が発生しています。
 特に中央線は、過密ダイヤにより通勤時ダイヤが大幅におくれることが常態化しており、解決に向け、複々線化実現に大きな期待が寄せられておりますが、JRは投資に及び腰に見えます。
 国鉄時代に事業骨子が固まった東海道線、総武線、常磐線、東北線の四路線が既に複々線化事業を完成している中、ひとり同時期に計画をされた三鷹─立川間の複々線化だけが遅々として進まない状況に対し、通勤混雑緩和を主要政策に掲げる小池都政の見解と今後の取り組みを伺います。
 京王線は、首都圏主要路線の中で、朝のラッシュ時の走行速度の遅さはワーストワンであり、昼間と朝ラッシュ時の到達時間の落差もワーストワンです。
 通勤混雑の緩和を主要政策に掲げる小池都政としては、中央線とともに京王線の通勤時の速達性向上は真っ先に取り組むべき課題であると思いますが、見解を伺います。
 ところで、転落事故防止にはホームドアが有効ですが、JR中央線、京王線のほとんどの駅は未設置です。本年、JR東日本は、中央快速東京─立川間や横浜線東神奈川─八王子間の主要駅について、二〇二五年度までにホームドアを整備する方針を発表しました。
 しかし、この計画では、朝夕大変に混雑するJR八王子駅は、中央線も横浜線も二〇三二年度末までホームドア設置がされないことになってしまいます。
 そこで、都の補助基準を緩和するなどにより、中央線のJR八王子駅、京王線の特急停車駅について、遅くとも二〇二五年度までにはホームドアを設置するよう取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 本年三月、国立社会保障・人口問題研究所は、五年前の推計を大幅に上方修正し、東京の人口は二〇四五年時点でも現在の人口を上回ると発表しました。東京の鉄道需要もさらに高まることが予想され、通勤混雑緩和は一層重要な政策課題となりますが、都の長期ビジョンや実行プランには、通勤混雑緩和の具体的到達点の言及がなされていないのが現状です。
 そこで、通勤混雑緩和についての政策目標を実行プランなどに定め、ハード、ソフト施策を総動員し、その実現を図っていくべきと思いますが、知事の所見を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 両角みのる議員の一般質問にお答えをいたします。
 私からは、まずプラスチック問題についてお答えをさせていただきます。
 ご指摘のように、海洋プラスチック問題というのは、使い捨てを前提としたプラスチックの大量生産や大量消費によって引き起こされるものでございます。また、それらが使用後に投棄され、海に流出することでマイクロプラスチックが生成されて、生態系への影響が強く危惧されるところでございます。
 都といたしまして、これまでも、使い捨て容器にかわるリユースカップの実証実験であったり、レジ袋の削減に向けた事業者等との意見交換、そして海ごみ問題のショートムービーを作成するなど、プラスチックの3R推進に取り組んできたところでございます。
 さらに、世界的な企業がプラスチック製品を見直す新たな取り組みを次々と展開いたしております。そのことがメディアでも連日大きく話題とされるこの機を捉えまして、いろいろなアイデアも頂戴いたしました、より積極的な対策を推進してまいります。
 まず、隗より始めよということで、都庁内の買い物で、レジ袋の辞退を職員に求めておりますとともに、現在は、プラスチックストローの削減につながるアイデアを広く募集いたしておりますほか、来週から都庁内の店舗で紙ストローの実証実験も行ってまいります。
 今後は、チームもったいないの参加事業者ともこの問題を共有し、連携をして、普及啓発イベントを開催いたします。また、ウエブサイトやSNSなどを中心に、より多くの人々に届くメディアを活用して、使い捨て型のライフスタイルの見直しを呼びかけるメッセージを発信してまいります。
 あわせて、プラスチックの3Rを促進する仕組みなどを国にも提案するとともに、審議会では、都独自に講ずべき対策につきまして検討を深めるなど、総合的なプラスチック対策に取り組んでまいる所存でございます。
 二つ目が、鉄道の混雑緩和についてのご質問でございました。
 満員電車の混雑緩和というのは、社会の生産性を向上させるためには重要でございます。官民が連携して解決していくべき課題と存じます。
 東京の未来への航路として策定をいたしました二〇二〇年に向けた実行プランにおきましても、快適通勤に向けた取り組みの推進を政策目標の一つとして掲げているところでございます。
 また、二〇四〇年代を目指しました都市づくりのグランドデザインにおきましては、鉄道のピーク時の混雑を解消することを将来目指すべき姿の一つとして掲げまして、ハード、そしてソフトの両面からの取り組みを進めております。
 ハード対策といたしましては、鉄道ネットワークのさらなる充実に向けまして、国の答申で事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、関係者との協議、調整を加速させてまいります。加えまして、混雑率が高い東京メトロ東西線の駅の大規模改良工事などに対しまして、補助制度を活用して支援を行うなど局所的な対策も進めてまいります。
 そして、ソフト対策でありますが、昨年度から、オフピーク通勤を促進する時差ビズに取り組んでいるのはご指摘のとおりでございます。今年度はその期間を拡大いたしまして、より多くの都民や企業の皆様方の参加を得まして時差通勤、そして、テレワークに取り組んでいただいております。
 こういった取り組みで、ワークスタイルの多様化を進めることにより、働き方の改革にもつなげてまいりたいと考えております。
 官民が連携をいたしまして、ハード、ソフト両面から混雑緩和に取り組んで、東京の強みである鉄道をより快適で便利なものとしてまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきまして、教育長、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校における働き方改革の進捗管理についてでございますが、教員の長時間労働の実態は看過できない状況にあることから、本年二月に策定した学校における働き方改革推進プランにおいては、まずは当面の目標として、過労死ライン相当にある教員をゼロとすることを掲げました。
 この目標を達成するためには、本プランの取り組みを着実に推進することはもとより、改革の進捗状況を管理し、不断に見直しを図ることが重要であります。
 都教育委員会は、今後、目標の達成状況や事業の効果を把握、検証し、これを公表するとともに、新たな取り組みについても提示するなど、喫緊の課題である長時間労働の改善に向け、当面の目標の早期実現に全力で取り組んでまいります。
 次に、学校事務職員の現状についてでございますが、これまで都教育委員会は、学校事務職員の標準的職務を作成し、今般策定したプランに基づき、具体的な職務範囲等を規定するよう区市町村教育委員会に改めて再周知し、現在、策定済みまたは検討中の教育委員会は、全体の半数以上に至っております。また、副校長を補佐する校務改善の校内組織として、学校事務職員を必須の構成員とする経営支援部の設置を促進し、現在、八百三十六校の小中学校で設置されております。
 さらに、校長との自己申告面接に副校長の立ち会いを可能にするとともに、校長、副校長候補者研修で学校事務の職務等の講義を実施しております。
 今後とも、課題解決に向けて、校務運営を支える事務職員としての役割の明確化、能力活用及び育成等の取り組みを進めてまいります。
 最後に、学校事務職員のあり方の見直しについてでございますが、学校事務職員は、学校組織における唯一の事務職としての立場から、校長、副校長を補佐し、主体的かつ積極的に校務運営に参画することが重要であります。
 今後、学校の働き方改革の進捗状況の調査結果を区市町村教育委員会に提供するとともに、校務改善に係る好事例を積極的に周知するなど、学校事務職員の一層の活用を図ってまいります。
 また、現在、文部科学省において学校における働き方改革に向けて、業務の役割分担、適正化に向けた取り組みや組織運営体制等に関する議論が進められており、その動向を踏まえつつ、教職員一体となって働き方改革が推進されるよう、学校事務職員のあり方を検討してまいります。
〔消防総監村上研一君登壇〕

○消防総監(村上研一君) 災害現場におけるドローンの活用に向けた取り組みについてでございますが、機動性の高いドローンは、災害現場における情報収集等に活用できると認識しております。
 このため、東京消防庁では、平成二十七年度に一機、平成二十九年度には二機導入し、実戦的な活用に向けた検証を行ってまいりました。
 さきに発生した平成三十年北海道胆振東部地震で初めて実災害で使用いたしましたところ、二次災害の危険が高い現場で、ドローンによる捜索範囲の決定、活動状況の把握などで有効性が確認できた一方、搬送手段や画像伝送等の課題が明らかになりました。
 今後は、これらの検証結果等を踏まえ、多様化する災害や東京二〇二〇大会における警戒も見据え、さらなる有効なドローンの活用方策の検討を進めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の体制強化についてでありますが、都は、この三年間で児童福祉司や児童心理司、一時保護所の職員などを含めまして、百十九名増員してまいりました。また、今般の緊急対策では、児童福祉司を十三名、児童心理司を六名、年内に確保することとし、あわせまして、児童福祉司や一時保護所職員の業務を補助する非常勤職員も二十二名増員することとしております。
 児童福祉司等には高い専門性が求められるため、採用後も経験年数等に応じまして、計画的に人材を育成していくことも重要であります。
 今後、国の配置基準等を踏まえ、質の確保にも十分配慮しながら、できる限り早期に児童福祉司や一時保護所職員等を増員し、児童相談所のさらなる体制強化を図ってまいります。
 次に、一時保護所の整備についてでありますが、お話の国通知では、一時保護所においては、子供の最善の利益を考慮した保護や養育を行わなければならないとされております。
 都の一時保護所におきましては、児童の権利を尊重し擁護することを基本方針に、必要に応じて個室を活用するなど個々の児童の状況に配慮した支援を行っております。
 現在、八王子児童相談所の一時保護所拡張工事におきまして個室の整備を進めており、今後、全面改築を予定しております足立児童相談所につきましても、児童の部屋を原則個室化することとしております。
 今後とも、一人一人の子供の状況に応じて適切な支援が行えるよう、一時保護所の改築等に合わせまして個室の整備を進めてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、鉄道の通勤混雑緩和についてでございますが、鉄道の混雑緩和には、鉄道利用者、事業者双方の取り組みが重要であり、これまでも鉄道事業者により、新線の建設や車両の長編成化などの取り組みが実施されてまいりました。このようなハード対策に加え、働き方改革などソフト対策とも連携することでさらに相乗効果が上がります。
 そのため、都は、広く民間企業とも連携し、昨年度から、通勤時の混雑回避のためオフピーク通勤を促進する時差ビズを進めております。今年度は、夏の取り組み期間を一カ月間に拡大し、八百社を超える企業に参加いただきました。加えて、新たに冬にも取り組みを実施いたします。
 さらなる混雑緩和の促進に向け、時差ビズを初め、さまざまな角度から方策を検討し、ハード、ソフトの両面から取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、中央線の複々線化についてでございますが、中央線は首都圏の幹線鉄道であり、三鷹─立川間の複々線化は、速達性の向上や混雑緩和など多摩地域と都心との広域的な連携強化などに資する効果の高い事業でございます。
 都は、平成二十三年から国や沿線自治体、鉄道事業者で構成する三鷹・立川間複々線化事業化検討委員会に参画し、複々線化の事業化に向け、補助制度の活用や事業採算性などについての検討を行ってまいりました。
 その結果、事業化に向けて多額の費用や採算性の確保などの課題が明らかになっており、都は、国に対し、新しい整備の仕組みづくりの検討を要請しております。課題の解決に向け、国や鉄道事業者、沿線市などと連携を図りながら取り組みを進めてまいります。
 次に、京王線の速達性向上についてでございますが、例えば、小田急線では、本年三月の複々線化の完成により、朝のラッシュ時間帯における所要時間の短縮など速達性向上に大きな効果を上げております。
 都は、朝のラッシュ時の混雑緩和のみならず、速達性の向上や多摩地域と都心との連携強化を図る上で京王線の複々線化は重要な計画であると認識しております。
 京王線笹塚駅から調布駅間は、昭和四十四年に複々線化及び連続立体交差化の都市計画が同時に定められており、そのうち笹塚駅から仙川駅間については、現在、在来線の連続立体交差事業を施行中でございます。
 引き続き、連続立体交差事業の状況や需要の動向なども見据えながら、京王線の速達性向上について適切に対応してまいります。
 最後に、多摩地域におけるホームドア整備についてでございますが、利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 このため、都は国とともに、地下鉄駅に加え、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象に補助を行っております。
 JRでは、二〇二五年度までに中央快速線の東京駅から立川駅間などの百二十駅について、二〇三二年度末ごろまでに八王子駅を含む東京圏の主要路線全駅について整備していくという計画を公表いたしました。
 また、京王線については、明大前駅を初め、利用者十万人以上の駅での整備を進める計画を公表しました。
 今後、さらにホームドアの整備を加速するよう、鉄道事業者に働きかけるとともに、国や地元市と連携してその取り組みを支援してまいります。

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