平成三十年東京都議会会議録第十二号

○副議長(長橋桂一君) 百二十二番吉原修君。
〔百二十二番吉原修君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百二十二番(吉原修君) 平成三十年第三回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 質問に入る前に、ことしの夏、相次いだ自然災害でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様へ心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 さて、小池知事が就任されてから早くも二年が経過しました。
 思い起こせば、小池旋風を巻き起こした都知事選の勢いそのままに、東京大改革の名のもと、小池知事は実にさまざまな取り組みに矢継ぎ早に着手されましたが、果たして都民にどのような恩恵をもたらしたのか、甚だ疑問です。
 オリンピック・パラリンピック大会の競技会場見直し問題では、五輪予算の適正化を名目に、長沼ボート案など、他の自治体も巻き込んだ大きな混乱をもたらしたあげく、全ての会場が当初案どおりで決着をいたしました。
 大山鳴動してネズミ一匹とどなたかがいわれておりましたが、まさにそのとおりではないでしょうか。五輪に向けた機運醸成に水を差す結果となったことは周知の事実です。
 そして、都政に未曽有の混乱を招いた豊洲市場の移転問題では、唐突に移転延期を打ち上げ、安全だが安心ではない、人工知能というのはつまり政策決定者である私が決めたということなどといった理解不能な知事の言葉に、多くの関係者が振り回されたのです。
 知事と知事周辺のブラックボックスの中で進められた、これまで巨額の追加費用、そして環状二号線の整備のおくれ、地元江東区の不信感、そして何よりも汗水流し東京の食を支えてきた市場業者の分断と失望です。
 さらに、入札契約制度改革をめぐる問題では、関係事業者への相談や意見を聞くこともなく、一部顧問の意見をうのみに、問題だらけの制度を突如スタートさせました。
 その結果、入札不調の多発など、多くの時間と労力が浪費され、厳しい批判の声を受け、知事はまたもや、ほぼ従前の制度に戻さざるを得ませんでした。
 そして、さきの受動喫煙防止条例では、国とは全く異なる、従業員の有無という机上の空論になりかねない抽象的かつ曖昧な基準を突然提案しました。
 しかも、驚くべきことに、条例案に関する都民のインターネット意識調査を秘密裏に行い、あろうことか、条例を審議している厚生委員会の質疑中にその調査結果を発表したのです。
 議会への説明を十分にせず、まさに拙速に制定した罰則つきの条例は、具体的な内容が曖昧なため、多くの方が不安に駆られ、関係事業者の方々からもいまだに賛同が得られておりません。
 また、首都東京のリーダーとして、本来は連携すべき国との信頼関係構築にも疑問符をつけざるを得ません。
 知事は、先日の記者会見でも、国が発表したふるさと納税の見直し方針に対し、大臣が突然会見で方針を表明ということについては、少しやり過ぎではないか、地方は従えといわんばかりではないかなどと発言をされています。知事がおっしゃっていることに一理あるかもしれません。
 しかし、殊さらに国との対立をあおる言動は強い違和感を覚えます。劇場型を好む知事のその姿勢に、果たして地方自治体である東京都としてその先の戦略はあるのか、甚だ疑問であります。
 こうした小池知事の姿勢や行動に対して、我が党は再三再四、都議会を初め、さまざまな場面で建設的な提言を申し上げてきました。
 しかしながら、小池知事は、国会議員時代からの我が党との確執によるものなのか、我々の進言にはかたくなに耳を傾けようとせず、都民ファーストというフレーズを今もなお振りかざし、世間の耳目を集めるだけのパフォーマンスに終始しています。
 こうした知事の姿勢は、小池知事に東京の未来を預けた都民の思いに報いるものとは到底思えません。むしろ、この間の知事の言動によって都政への信頼が大きく失墜したといっても過言ではありません。
 都政運営において、知事と議会がしっかり議論し、都内区市町村、近隣県などと十分に意思疎通を図り、東京の実態を踏まえ、職員の知識や経験を活用して、一つ一つ事業を積み上げていくことが最も大事です。
 これまでのパフォーマンス優先の二年間を真摯に改めて、都民のために地に足のついた実効性ある都政運営に努めるべきです。知事のお考えをお聞きいたします。
 現在、国において平成三十一年度の税制改正に向けて、地方法人課税の新たな偏在是正措置を講じるべく、議論が進められています。
 報道によれば、都が新たに拠出を強いられる財源は、最低でも三千億円ともいわれており、仮にこのとおりとなれば、都税収入総額約五兆円の中、これまでも含めると実に毎年一兆円以上もの財源を国に拠出することになってしまいます。
 首都直下地震への備えや少子高齢化への対応など、都が抱える膨大な財政需要に鑑みれば、都政運営そのものを脅かす局面にもつながりかねず、もはや偏在是正というテーマではくくれない極めて重大かつ深刻な事態です。
 一方、昨年末の地方消費税の清算基準見直しをめぐっては、小池知事が、結局、国にいわれるがまま毎年一千億円もの貴重な都民の財源を拠出することになったのは、いまだ記憶に新しいところです。
 国会議員として豊富な経験をお持ちである知事には釈迦に説法ですが、政治は結果が全てです。来年度の税制改正に向けて、このままでは昨年の二の舞となりかねないことは、火を見るより明らかであり、これまでの知事の姿勢そして行動を見れば、こうした我々の懸念を払拭するような動きを小池知事に期待することができないことは、残念ながら否定しようのない事実です。
 我々は、安倍総理を初め、宮沢洋一党税制調査会長、二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長に対し、地方法人課税に関する要望を直接行うなど、都民の生活、東京の未来を守るため、既に具体的に、そして積極的な行動を起こしています。
 一方、小池知事も国会議員会館などを訪問し、国会議員への接触を図っていると耳にしますが、我々と異なり、要望活動を公表されることもなく、人目を忍んで何をされているのか、全く実態がわかりません。
 そこで、これから山場を迎える平成三十一年度税制改正に向けて、小池知事は一体何をどのように具体的に取り組んでいくのか、見解を伺います。
 開催まで二年を切った二〇二〇年東京大会は、スポーツの祭典であると同時に文化の祭典であり、文化プログラム事業の成否が大会全体の評価を左右するといっても過言ではありません。そのためには、総額五十億円にも及ぶ本事業を効果的に推進していく必要があります。
 しかしながら、本年三月の予算特別委員会の我が党の質疑において、文化プログラム事業の成否に大きな役割を果たすTokyo Tokyo FESTIVAL、いわゆるTTF事業について、知事は曖昧な答弁に終始し、事業スキームや経緯について明確に答弁しませんでした。
 その後、本年七月、我が党の川松真一朗議員と突如辞職したTTF事業統括プロデューサーとの公開討論の中で、小池知事が本事業の進め方や執行体制について深く関与していたことが明らかになりました。
 過日の予算特別委員会で我が党が強く指摘し、警鐘を鳴らしたTTF事業については、現在まで当該事業の執行額と事業内容は明らかになっていません。
 二〇二〇年東京大会まで残された時間は限られています。小池知事は、これ以上文化事業を停滞させることなく、健全かつ透明性のある運営体制のもとで迅速かつ着実に事業を進めていくべきです。知事の見解を伺います。
 ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会開催まで残り一年です。大会時には、海外の熱狂的なラグビーファンは、試合開始前からラグビーについて語り合い、交流を深めながら試合観戦に訪れます。
 二〇一五年のイングランド大会を現地で見てきましたが、観戦チケットの有無にかかわらず、多くの人がファンゾーンに集い、ラグビー談議に花を咲かせ、交流し、チケットを持つファンは期待に胸を膨らませ、語り合いながら試合会場に向かっていました。
 都は、ファンゾーンを調布駅周辺に設置することを検討していますが、会場への動線上はスペースの確保が難しいかもしれません。
 そこで、提案でありますが、試合会場の隣にはアミノバイタルフィールドや武蔵野の森スポーツプラザのペデストリアンデッキなどがあります。こうしたスペースを活用して、ファンが大いに盛り上がる光景を創出すべきです。大会の盛り上げについて、試合会場周辺やファンゾーンの活用も含め、見解を伺います。
 二〇二〇年大会の円滑な輸送と都民生活の物流を両立するため、都は、国や大会組織委員会とともに、二〇二〇TDM推進プロジェクトを発足させ、業界団体や企業に働きかけを始めていますが、まだまだ活動自体が浸透していません。また、大会に関する情報提供も不足しており、大会時の状況がどうなるのか、ふだんの仕事にどの程度影響が出るのか、心配する声が多く寄せられています。
 このほか、清掃車はどうなるのかといった問題や、海の森水上競技場近くに物流の基幹道路として整備が進められている臨港道路南北線の大会期間中の活用等の課題もあります。
 都は、ことし秋にも大会期間中の交通状況がイメージできるよう、混雑マップを作成するとしていますが、早期にこうした情報提供を行い、多くの事業者の理解を得て、TDMの実効性を高めていくべきと考えますが、今後の展開について所見を伺います。
 東京大会では、多くの競技会場や選手村、関連施設などが臨海エリアに配置されることから、大会期間中は相当な数の大会関係車両が東京港のふ頭周辺の道路を走行することが見込まれています。
 しかし、国内最多のコンテナ貨物を取り扱っている東京港では、港湾関係車両による交通混雑が慢性的に発生しているため、大会期間中、大会関係車両と港湾関係車両による深刻な交通混雑が発生し、東京港の物流機能に大きな影響を与えることが懸念されています。
 東京大会の成功と円滑な港湾物流の確保を実現させるためには、大会関係車両と港湾関係車両による交通混雑の発生を抑制する必要があると考えますが、都の取り組みを伺います。
 さて、来月十一日、いよいよ豊洲市場が開場することになりました。東京の食を支える市場がようやく新たなスタートを切れることは喜ばしく感じる一方、二年前の突然の移転延期宣言から始まった一連の騒動を振り返れば、小池知事の独断専行による不透明な意思決定や二転三転する方針など、実に不可思議かつ納得しかねる出来事のオンパレードでした。
 このたびの安全宣言に至る過程も、その例外ではありません。
 その経緯をたどれば、まず都が実施した追加対策工事について、七月三十日の専門家会議において、将来リスクを踏まえた安全性が確保されたと結論づけられ、その翌三十一日に小池知事は関係局長会議を招集し、豊洲市場は安全であり、安心して利用いただけると発言し、これが安全宣言とされ、十月十一日の開場を目指す運びとなりました。
 しかしながら、これは実におかしな話です。本来であれば、突然に移転延期を宣言して、東京の食の安全性を揺るがす風評被害をもたらした知事自身が、追加対策工事の現場を直接見て確認した上で、延期決定のときと同様、緊急に記者会見を開き、ご自身の言葉で都民、国民に安全宣言をすべきでした。その上で、国に対して認可申請を行うのが当然の手順であったはずです。
 ところが、新市場建設協議会や意見交換会で市場関係者に向き合うことすらなく、あろうことか、都庁内の一会議にすぎない関係局長会議での発言で済ませ、一日千秋の思いで知事の安全宣言を待ちわびていた市場関係者をないがしろにしたといっても過言ではありません。
 知事はどういうお考えで、市場関係者をないがしろにして、安全宣言を関係局長会議で行ったのか、そして、なぜ、安全宣言、認可申請の前に、市場の追加工事の現場を見なかったのか、明快な答弁を求めます。
 九月十五日の環状二号線の施設見学会は、約一万五千人が参加するなど盛況であったと聞いています。
 環状二号線は、二〇二〇大会時に選手村を初め主要な施設を結ぶ大動脈の役割を果たすことを期待するとともに、果たして築地移転がしっかり実行できるのかということについても、世間の不安と関心が高いことの証左でもあると考えています。
 環状二号線の全線開通は、築地の豊洲移転が当初の計画どおり二年前になし得ていれば、オリンピックに間に合うはずでした。
 しかし、移転が延期されたことで、暫定迂回道路を通す計画となり、二〇二〇大会時に全線開通はできなくなってしまいました。つまり、市場移転の遅延が地上部道路、ひいては地下トンネルの工事着工のおくれにつながり、結果、国際公約が守れず、オリンピック・パラリンピックの開催、また、その後のレガシーにも影響を与えることになったのです。
 知事は、移転延期が引き起こしたこうした重大な影響をしっかりと認識すべきです。
 さて、築地市場の豊洲への移転が目前となっていますが、以前、知事が無責任にも築地を守る、豊洲は生かすなどと耳ざわりのいい甘言を弄したことで、市場関係者を混乱させただけでなく、築地に居座っていれば、その場にとどまることができると思っている事業者による居座り対策が大きな懸念材料となりつつあるのです。
 一方、築地の市場機能を確実に移転させるには、物流の効率化、施設使用に係る調整など、まだまだ市場業界との間で解決しなければならない課題があるといった不安の声も市場関係者から寄せられています。
 これらの諸課題を解決し、円滑に、速やかに築地の市場機能が移転できるように、市場開設者である知事は、万全を期すべきです。
 そこでまず、十月六日の午後から十日までの限られた期間の中で、スケジュールどおりに世紀の大引っ越しは終了するのか、また、豊洲開場後の市場の管理、運用ルールについて、どのように遵守してもらうのか、それぞれ所見を伺います。
 次に、今定例会に知事が上程した条例について伺います。
 東京都オリンピック憲章の人権尊重の理念を実現するための条例案についてお伺いいたします。
 二〇一四年のソチ冬季五輪大会において、性的少数者に対する深刻な差別が問題となり、その年のIOC総会において、オリンピック憲章には、新たに性的指向に関する事項が盛り込まれ、二〇二〇年東京大会の基本計画にも、多様性を認め合う対象として、性的指向が明記されました。
 我が党においても、二〇一五年には、全国教育委員会等に向けて、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてを示し、教職員向けに手引を発行しました。
 また二〇一七年三月に、いじめ防止基本方針にLGBT生徒を明文化して対象に含め、現在、安倍政権が掲げる一億総活躍社会の旗のもと性的指向、性自認の多様なあり方をお互いに受けとめ合う社会を実現するため、仮称ではありますが、LGBT理解促進法法案を自民党、公明党において臨時国会に提出する準備を進めていると聞いております。
 私たちは、人権文化の涵養には、時間とプロセスが何よりも大切であるとの歴史的経緯のもと、現状と課題に対して、丁寧かつ慎重に調査を進め、当事者の方々の悩みや不安の解消を優先に、差別という以前に、知識の不足を解消し、ホストシティーとして、東京から積極的に理解を促していくことが必要であると考えております。
 しかしながら、このたびの都の取り組みは、人権尊重という重大なテーマにもかかわらず、政府や企業の取り組み状況、各方面の当事者団体からの意見聴取、さらには審議会に諮ることもせず、パブリックコメントや区市町村からの意見を反映することもなく、議会には正式な条例案を定例会開会の直前に提出するという、余りにも独善的で、拙速なものであります。
 まさに都民ファーストとはほど遠い、オリンピック憲章を利用した政治的パフォーマンスであるといえます。
 そこで、条例案を検討するに当たり、なぜ各方面からの意見を正式に聴取する審議会を立ち上げなかったのか、また、検討中の国の取り組みを見きわめて慎重に取り組まれなかったのかお伺いします。
 さらに、この条例案は、不当な差別に対する十分な定義が示されておらず、また、審査会の組織の性格など、知事が国会議員時代に反対した人権擁護法案、そして人権侵害救済法案と考えが同質なものであり、条例の前文に示されている日本国憲法その他の法令等に違反する可能性が高いと考えます。
 そして、余りにも曖昧な条例案は、差別解消の理解促進よりも、言葉狩りなどの意図せぬ対立をあおり、結果として、当事者の孤立を深める可能性もあると思われます。
 条例に示されている不当な差別的言動の解消と、憲法十九条、思想、良心の自由、二十一条の表現の自由との関係性について、また、審査会の調査権の根拠について、見解をそれぞれお伺いいたします。
 工業用水道事業は、地下水揚水規制に伴う代替水を供給する行政施策として開始されました。よって、地下水のあり方なくして議論はできません。また、利用者から、事業廃止の際には、揚水の規制緩和の要望が多数から上がっております。
 都が打ち出した支援策には二十年先までが示されておりますが、将来に向かっての地下水の状況変化を勘案せず、いわば無視した形での取り組みとなっています。
 行く先の状況の変化によって今後の対応が変わるとすれば、ただ単に問題を先送りした無責任な施策だといわざるを得ません。将来に向けた地下水の把握と、揚水規制のあり方について知事の見解を伺います。
 地盤沈下対策として開始された工業用水道事業は十三団体に及びます。そのうち、今後の経営戦略が策定済みで、執行されているのが八団体、取り組み中もしくは未着手であっても、策定予定が四団体、つまり、東京都以外は工業用水道事業を存続させるための計画などが作成されております。
 都は、平成十六年の包括外部監査で指摘を受けましたが、その前後いずれにおいても、工業用水道事業を存続させる手だてを怠っていた、そういわざるを得ません。
 このことは工業用水法に定める目的から外れ、突然の事業廃止は、工業の健全な発達という工業用水道事業法の目的にも反するものです。工業用水法の指定地域の解除等も含め、国との協力なくして一方的に結論を出すべきではないと考えます。国との協議状況の現状と今後についての考え方を伺います。
 近年の豪雨は、広域的に強い雨が降る傾向もあり、流域が都内で完結する河川に加え、都県境をまたぐ河川の対策も非常に重要になってきています。今後、さらに都市河川に対する補助金など、国に対し積極的な支援を求めることも不可欠であります。
 都では、これまで進めてきた五十ミリの降雨に対応する護岸等の着実な整備に加え、増加傾向にある豪雨を踏まえて、レベルアップした新たな護岸水準に対応する調整池などの整備を一層推進していくことが必要です。
 また、水害から都民の生命と財産を守るためには、こうした施設整備のみならず、河川の目標整備水準を超える豪雨に対して、都民の避難等に資するソフト対策を進めるなど、ハード、ソフト一体となった取り組みを推進することが重要です。
 そこで、中小河川の洪水対策について伺います。
 また、七月の豪雨では、甚大な浸水による被害も発生しました。
 下水道局は、平成二十五年のこの浸水被害を受け、豪雨対策下水道緊急プランを策定し、東京都豪雨対策基本方針に基づく対策を実施していますが、近年、時間五十ミリを超える局地的な集中豪雨も増加しており、本年八月の局所的集中豪雨では、都内も被害が発生しています。
 また、首都東京を支える都市インフラである地下鉄ネットワークも、未曽有の豪雨や高潮などの場合には、浸水による被害が懸念されます。
 先月の台風二十一号上陸の際には、関西地方の鉄道会社があらかじめ運転を見合わせ、混乱回避に努めたと聞いていますが、都においても、荒川の決壊など大規模な浸水被害のおそれがある場合に、運休告知等の運行情報を早目に提供し、利用者に対し適切な行動を呼びかける必要があります。
 そこで、豪雨災害が相次ぐ近年の気象状況を踏まえ、浸水被害の軽減に向けて、下水道局はどのように取り組んでいるのか、あわせて、都営地下鉄における大規模水害への対応について伺います。
 ことしの夏の猛暑では、学校体育館での授業や行事で、児童生徒が熱中症で緊急搬送されるなど、深刻な事態が発生いたしました。
 この間、都教育委員会は、都立学校については、我が党の要望を踏まえ、普通教室の冷房化を完了させ、現在、特別教室の冷房化を計画的に進めています。
 また、区市町村立小中学校についても、普通教室に加えて特別教室への補助対象の拡大を行い、冷房化を着実に推進してきました。しかし、猛暑が続発している事実を直視すれば、体育館や特別教室の空調設備の整備は一刻の猶予も許されません。
 七月に、菅官房長官が、学校への冷房設備について政府として責任を持って対応したいと発言し、文部科学省は、緊急に空調設備の設置状況調査を実施いたしました。
 都立学校及び公立小中学校の体育館や特別教室への空調設備の整備について、今後どう取り組むのか見解を求めます。
 建設業における技術者、技能者不足が叫ばれて久しいのですが、地域のインフラの整備、維持の担い手であると同時に、都民の安全・安心の確保を担う地域の守り手として、なくてはならない存在であり、建設業の働き方改革は急務です。
 しかし、現場の声を聞くと、残業時間が長い、休日出勤が当たり前といった実態があり、工期が適切に設定されていないという話もあります。
 働き方改革関連法が成立し、建設業においても、二〇二四年までの経過措置はあるものの、時間外労働の上限が適用されることとなりました。
 業界も週休二日の確保に向けて積極的に取り組んではいますが、実現に当たっては、受注者と発注者、相互の取り組みと協力が不可欠です。特に、建築工事とそれに付随する関連設備工事においては、きめ細やかに工程を調整する必要があり、発注者には、より適切な工期の設定が求められています。
 適切な工期や労務単価の設定について、さらに踏み込んだ検討を行うべきです。見解を伺います。
 急速に進む少子高齢化は、産業を支える企業の活動に大きな影響を及ぼします。中でも、労働人口の減少は、中小企業の人材確保が今以上に困難になる事態を招きかねません。少ない人員、コストで、さらに高い付加価値を生む生産性の向上は重要課題です。
 各企業が何をなすべきかは、業種や資金力、社内事情などに応じさまざまであり、その最適解は一社一社全て違うといっても過言ではありません。また、生産性の向上には、ICT技術の導入が不可欠ですが、中小零細の企業の多くは、専門知識も資金も不足しています。
 都は、こうした企業の実態を捉え、効果的な支援を展開すべきですが、見解を伺います。
 団塊世代の経営者が高齢化する中、東京の経済を支えてきた中小企業を一社でも多く守り次の時代に継いでいくことは、我々の務めでもあります。
 都は、企業巡回の取り組みや、商工会議所等の連携により、事業承継を支援していますが、今後はもっと多くの企業へのアプローチが必要であり、支援の手はまだ足りていません。
 また、経営が黒字でも、会社を継げる親族や従業員が見つからなければ廃業を選択せざるを得ないという現実の問題に対し、第三者による承継など別の手だても必要です。
 都はこうした状況を踏まえ、いわばプレ承継といった事前策なども取り入れながら、事業承継に向けた支援の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 将来を見据えた企業の取り組みも経営が堅実なればこそであります。しかし、下請、中小零細の企業は決して盤石ではありません。原材料価格の高騰や国際情勢の急変、消費税の改正など、先行きも不透明です。
 目前に迫る荒波を越えることは最優先の課題です。下請取引の適正化はもちろん、新事業の展開や取引先の開拓など、企業を支える施策が非常に重要ですが、見解を伺います。
 昨年、東京を訪れた外国人旅行者数は過去最高の一千三百七十七万人を超え、二〇二〇年大会に向けて、さらなる観光客の増加が期待されます。世界中から注目が集まる大会の機会を捉え、地域の伝統や食など東京の多様な魅力を体験できるイベントなどを実施し、来訪につなげようとする機運が都内各地で高まっています。
 一方で、観光事業を担う観光協会を初めその活動を支える地域の経済団体や地元の商店街、町会、自治会などでは、人材や資金面等の課題から、十分な事業展開が難しく、地域全体で観光を盛り上げていくためには、都としてきめ細やかな支援が必要です。
 二〇二〇年大会に向けて、地域の観光振興にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 観光振興を初め東京の経済発展と都民生活の利便性を支えている自動車政策の重要性に鑑み、我が党は多くの関係団体と十年にわたって意見交換を行っています。そうした中、二〇二〇年大会に向けてさらに増加が予想される東京を訪れる外国人の移動手段として、利便性の高いタクシーの利用環境の整備が喫緊の課題となっています。
 特にICT技術の進展により、外国人と乗務員とのやりとりや決済の手段として活用できるタブレットの機能が向上しており、その普及は重要です。都において、こうしたタブレットの導入に向けた調査を進めていると承知しています。
 今後、都内タクシーの多言語対応タブレットのさらなる導入に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 二〇二〇年大会を契機に、東京を世界で一番の希望と活力あふれる成熟した都市へと発展させていかなければならないと、我が党は一貫して主張してまいりました。
 これまで、どの都市も経験したことのない少子高齢、人口減少社会を迎えるとともに、グローバル化の一層の進展など、社会情勢の大きな変化も想定される中において、東京が持続的な発展を続けていくため、二〇四〇年代に向け、活力とゆとりある高度成熟都市を目標に都は都市づくりのグランドデザインを策定しました。
 その中では、目指すべき新たな将来像として、国際ビジネス交流ゾーンと多摩イノベーション交流ゾーンなどと示しましたが、これを実現するための土地利用の方針を明確にする必要があると考えます。
 先般、都市計画審議会において、土地利用調査特別委員会の中間報告が行われましたが、具体的にはどのような方向性が示されているのか、また、これを受け、都はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 東京の将来の発展へ道筋をつけていくのは、東京都の重要な仕事です。その意味で、都市づくりの基本ともいうべきグランドデザインや土地利用の基本方針を明確にすることは重要です。
 しかし、それだけでは不十分です。ハードだけで都市の未来を語ることはできません。東京に住んでよかった。そう思っていただけるソフト面での政策が欠かせません。
 都が昨年策定したグランドデザインは二〇四〇年に向けたものですが、ソフトともいうべき現在の長期ビジョンは、二〇二四年までが計画期間となっています。
 都の行政施策のハードとソフトを互いに連携させ各種施策を総合的に推進していくためには、長期ビジョンについて、二〇二四年の先を見据えた計画をつくることが重要です。
 知事就任後二年が経過しましたが、こうした骨太の中長期の計画策定の動きは見られません。直面する課題への政策提言も大事ですが、その土台の構築に取り組むことは、さらに重要です。
 そこで、今後、東京都は、現行の長期ビジョンの先を行く長期計画を早急に明らかにすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都市の発展を考える上で、住宅問題は非常に重要です。中でも、都営住宅は都民共有の財産であり、計画的に建てかえるとともに、地域の特性やニーズなどを踏まえ、まちづくりに貢献することが重要です。
 また、維持更新した住宅ストックを有効に活用して、子育て世帯や高齢者世帯などの住宅困窮世帯に確実に提供していくことも必要であります。
 我が党はこれまでも、こうした考え方に基づき、例えば、若年ファミリー世帯の入居機会を拡大するため、十年の期限つきの入居制度の導入などを提案し、都はこれまで、募集戸数を年間千五百戸まで拡大してきました。現在、都営住宅居住者の高齢化、単身化が急速に進行している中、高齢者が安心して暮らせる環境を整備するとともに、若年ファミリー世帯のさらなる入居を促進して、多世代が同じ住宅で暮らせる仕組みをつくる必要があると考えます。
 そこで、こうした課題に対応するため、都営住宅の管理の仕組みについて早急に検討を行い、施策を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 これまで都立病院は、都立病院だからこそできる時代の要請に応えた行政的医療を提供するために、議会と行政との真摯な議論を経て、さまざまな改革を推進してきました。その結果、都立病院は、東京の医療において不可欠な存在となっています。
 今後、高齢化によるニーズが増大する中、都内の多くの医療機関が適切な役割分担と連携のもと、これまで以上にそれぞれの役割を果たしていくことが必要です。都立病院は、民間病院との差別化を図り、提供すべき行政的医療のあり方について明らかにしていかなければなりません。
 一方、都立病院の現場からは、日々の診察において生産性を向上し、専門性を発揮するには、現在の仕組みでは制約があるという声も聞いており、時代の流れに即した効率的で質の高い医療提供のあり方を検証していくことも重要です。
 ついては、都立病院新改革実行プラン二〇一八でも、経営のあり方について検討を進めているとしていますが、都立病院の運営上の課題とその検証状況について伺います。
 児童相談所の相談件数、対応件数は、過去最多となっており、残念ながら痛ましい事件も発生しています。子供を守るためには、行政と都民が一体となって子供と家庭を見守ることが必要です。
 そのためには、児童虐待防止に関する都民の理解が重要であり、都独自の条例の制定に向けては、より丁寧に進めていくべきものと考えますが、都の見解を伺います。
 児童虐待を未然に防ぎ、子供やその家庭を支援するためには、住民が身近な地域で気軽に相談ができ、適切な援助やサービスが利用できる体制の構築も重要であり、そのような考え方に立って、都は、平成七年度から、子供家庭支援センター事業を開始しています。
 現在、子供家庭支援センターは、ほとんどの区市町村に設置されており、児童相談所とともに児童家庭相談の車の両輪となっています。
 児童相談所と子供家庭支援センターは、それぞれの役割をもとに機能を発揮してきましたが、増加を続ける児童虐待に的確に対応するためには、今後、それぞれの体制を充実しながら虐待事案への対応力を強化していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 こうした児童相談所の体制強化と並んで重要なのが、虐待により、親元で暮らすことのできない児童の受け皿としての里親や施設の充実です。支援の困難な児童などのケアについては、特に乳児院や児童養護施設の役割が重要です。児童が健やかに成長し、将来、社会の一員として自立していくためには、切れ目のない支援の充実も必要です。
 国は新しい社会的養育ビジョンにおいて、就学前の児童の里親委託率七割、学童期以降の児童の委託率五割を実現するという目標を掲げていますが、ケアニーズが非常に高い児童を受け入れる施設が重要であることに変わりはありません。
 そうした中、施設での勤務は、勤務時間が一定でなく、児童の急病やトラブルへの対応など、緊急に駆けつけなければならないことも日常茶飯事で、平日勤務中心の保育園などに比べ人材確保におけるハンデとなっています。
 そこで、施設の人材確保に対する都の取り組みを伺います。
 このたび、都は、障害者グループホームについて、サービスの質の向上を図るため、独自の加算制度の見直しを行いました。現場ではこの見直しにより、どの程度の影響が生じるのかといった不安の声もお聞きします。
 我が会派としてはこれまで、事業者への丁寧な説明や周知の徹底を求め、グループホームの質の低下が生じないよう、都に対して検討を求めてきました。
 加えて、障害の重度化という難しい課題にもきめ細かく対応できるよう、グループホームの充実に、都として努めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 特別支援学校における看護師の確保について伺います。
 障害のある児童生徒が通う特別支援学校では、医療技術の進歩などに伴い、医療的ケアを必要とする児童生徒が増加傾向にあり、また、特別支援学校に在籍する医療的ケア児は、障害の程度が軽微な児童生徒ばかりでなく、医師や看護師による対応や健康状態の管理に特別な配慮を要する児童生徒も多いと聞いています。そのような背景の中、特別支援学校の看護師不足が問題であります。
 一方、看護師の中には、さまざまな家庭事情などにより、病院を退職し、離職中の看護師も多くいます。
 特別支援学校における看護師の確保については、こうした看護師の実情に精通した看護協会などと連携しながら進めていくことが有効であると考えますが、都の見解を伺います。
 本年六月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇一八では、来年十月から、幼児教育の無償化を実施することが明記され、三歳から五歳までの全ての子供の幼稚園、保育所等の費用を無償化するとしています。
 しかしながら、国は、私立幼稚園の保育料について無償化の上限額を設定するとしています。この上限額は全国一律の額であり、地方に比べて物価の高い東京の私立幼稚園の保育料とは大きな隔たりがあります。
 都内の幼稚園の九割は私立幼稚園であり、東京の幼児教育を支える大きな役割を果たしています。保育所の保育料が無償化される中にあって、東京の幼児教育を支えている私立幼稚園についても、保育料の保育者負担の軽減に努めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 小笠原空港について伺います。
 都議会自民党は、長年にわたり小笠原村、小笠原村議会と一体となって航空路の開設に向け取り組んでまいりました。航空路開設は、小笠原村民の悲願であると同時に、世界遺産に登録されている島として慎重に検討しなければならない課題であります。
 これまで東京都は、さまざまな可能性について、一つ一つ丁寧に検討してきたと思います。このような中、知事は、返還五十周年の式典で小笠原村を訪れた際に、飛行場の建設は必要とした上で、一千メートル以下の滑走路で運用可能な機材について調査するとして、従来案より短い滑走路を検討する考えを示しました。
 この発言を受けて、小笠原村では、飛行場の建設が前に進むという大きな期待が膨らむ一方で、知事が唐突に飛行艇の話を出したために、検討期間が長引くのではないかと住民の間で戸惑いが広がっています。
 知事はなぜ、これまで長年にわたって、東京都、小笠原村、関係者間で検討した結果、実現が困難とした飛行艇案を持ち出したのか、困惑している小笠原村民に丁寧に説明すべきでありますが、知事の見解を伺います。
 最後に、これまでの二年間の重要課題への知事の発言は、その都度、都政の停滞と不信感を増幅してきました。都政の積み重ねと、知事と議会の二元代表制の重要性を改めてご認識いただき、真に都民のための都政を進められることを期待いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 吉原修議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、都政運営についてのご指摘がございました。
 二年前の夏、都民の皆様方の厳しい目が注がれていた都政について、しみついていた手法と体質を変えるための改革を断行いたしまして、真に都民のための政策を推し進める、そうした決意を持って、この間、都政の見直し、新たな種まき、そして水やりを行ってきたところでございます。
 二〇二五年以降、人口減少とさらなる高齢化を迎えて、また、国際情勢も日々混沌とする中にありましては、地に足のついた都政運営はもちろんです。そして、同時に東京の未来や世界の動きを鳥の目で俯瞰をして、変えるべきは大胆に変えていくことが不可欠でございます。それこそが、東京大改革を掲げた私が、都民の皆様の負託にお応えをするために進むべき道であると、このように確信をいたしております。
 これまで不断に取り組んでまいりました都政改革、そして待機児童対策、受動喫煙防止対策、国際金融都市の実現に向けた取り組みなど、都民の福祉向上と東京のさらなる成長のために、新たな発想も織りまぜながら、スピード感を持って進めてまいりました政策は、今、芽を出し、花を咲かせ始めているところでございます。
 引き続き、東京大改革、そして都民ファーストを揺るがぬ信条といたしまして、都議会の皆様と建設的な議論を交わしながら、丁寧に、時に大胆に、真に実効性のある都政運営に邁進していく所存でございます。
 平成三十一年度の税制改正についてのご質問がございました。
 国はこれまで、地方法人課税のいわゆる偏在是正措置を初め、都市と地方の財政力格差の是正を名目に、不合理な税制度の見直しを行ってまいりました。そして、平成三十一年度の税制改正におきましても、新たな措置を講じるべく、議論を加速させているところでございます。
 都は、平成二十八年度の税制改正によりまして、舛添知事の時代だと思いますが、毎年約五千億円もの減収をこうむることが既に決まっております。その上で、今後、新たな措置で減収額がさらに拡大をし、都の法人二税のうち相当規模の金額が地方に配分されるということともなりますと、地方税の存在意義そのものを揺るがして、地方自治の根幹を脅かす行為にほかならないと考えます。そして、こうした議論が公然と行われている現状に対しましては、皆様同様、強い危機感を抱いているわけでございます。
 こうした国の動きに歯どめをかけるため、与党税制調査会のメンバーや東京都選出国会議員への要請活動を精力的に行うなど、あらゆる機会を捉えまして積極的な働きかけを行っているところでございます。
 都議会におきましても、地方法人課税の見直しに関する意見書を全会一致で可決していただくなど、この問題に積極的に取り組んでいただいており、大変心強く感じているところでございます。
 平成三十一年度の税制改正をめぐる議論は、これから佳境を迎えることとなります。御党を初め、都議会の皆様とともに、オール東京一丸となって、都民生活、そして東京、日本の未来を守るために、最後の最後まで全力を尽くしていきたいと考えております。
 次に、Tokyo Tokyo FESTIVALについてのご質問がございました。
 リオ大会以降、都では東京キャラバン、TURNのほか、東京大茶会、六本木アートナイトなどさまざまな文化事業を実施しており、昨年の秋からは、これらをTokyo Tokyo FESTIVALと銘打って展開をいたしております。
 さらに、今月十七日には、クラシックとダンスの融合など、年齢を問わず誰もが楽しめるサラダ音楽祭を、新たな取り組みとして開催をいたしました。
 また、Tokyo Tokyo FESTIVAL企画公募に寄せられましたのは二千四百三十六件に上りました。その中から十三件の企画案を選定いたしまして、これらをもとにして、二〇二〇年に向けて、斬新で独創的なプログラムを実施する予定でございます。
 こうしたさまざまな取り組みをさらに効果的なものにするためには、発信力を強化し、より多くの方々に注目され、参加していただくこと、これが必要でございます。
 そのために、民間事業者のノウハウを活用するとともに、東京芸術文化評議会の専門的な知見を生かして、国内外に向けて戦略的なプロモーションを展開してまいる所存でございます。
 東京二〇二〇大会を文化の面からも盛り上げることができるよう、Tokyo Tokyo FESTIVALを積極的に推進してまいります。
 次に、安全宣言でございますが、豊洲市場を安全・安心な市場として開場する条件を整えるために、豊洲市場の現状につきましての詳細な検証、必要な追加対策工事の実施、その有効性の確認という一連のステップを丁寧に進めてまいりました。
 本年七月の追加対策工事の完了を受けまして、同月三十日、専門家会議から、将来のリスクを踏まえた安全性が確保されたことを確認したという評価をいただいたところでございます。
 この間の追加対策工事の進捗状況などにつきましては、市場当局から適宜報告を受けており、専門家会議の確認調査の結果につきましても、平田座長から直接その説明を伺ったところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、同月三十一日、市場移転に関する関係局長会議を開催をいたしました。こうした一連のステップの完了につきましては逐一報告を受け、その上で都知事として安全宣言を行ったものでございます。
 安全・安心な市場の実現につきましては、かねてより市場業者の皆様から強いご要望をいただいておりまして、会議に先立ちまして、業界団体の代表者の方々に、豊洲市場は安全であり、安心してご利用いただける旨について、直接、私からお伝えさせていただいたところでございます。
 また、都民の方々に向けましては、記者会見で改めて発言をし、来月十一日の豊洲市場の開場に合わせまして、「広報東京都」では都知事としてのメッセージを発信することといたしております。
 このように、要所要所で報告を受け、状況を的確に把握した上で知事として判断したものでございまして、今後とも、安全・安心な市場につきまして、私から積極的に発信していく所存でございます。
 新たな条例の制定に向けました取り組み、人権条例でございますが、その制定に向けた取り組みでございます。
 東京二〇二〇大会の開催を間近に控えまして、オリンピック憲章にうたわれます、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念実現に向けました決意をできるだけ早く都として示し、さまざまな人権課題へ対応していくことが求められております。
 昨年十二月に条例化の方針を明らかにした後、条例化のために必要なさまざまな知見を得るため、当事者、専門家、それぞれの立場で個別にご意見をいただきまして、検討を進めることといたしました。そして、五月に条例案のポイントを、六月には条例案の概要を公表させていただいております。その後、都議会におけるご議論やパブリックコメントにて多くのご意見なども踏まえまして、さらに区市町村への情報提供を行った上で、丁寧に準備を進め、条例案を本定例会に提出したところでございます。
 不当な差別的言動の解消に関する取り組みについてでございますが、提出している条例案では、本邦外出身者に対します不当な差別的言動の解消に向けた取り組みを推進するための仕組みについて規定をいたしております。
 具体的には、公の施設の利用制限に関する基準を定めることや、事案の公表、そして拡散防止に関する措置についての規定でございます。
 そして、これらを着実に実施していくに当たりましては、憲法で保障されている表現の自由等への配慮が不可欠でございますので、条例に明示的に規定することといたしました。
 さらに、条例の規定の適用を公平かつ中立的に行っていくことを担保していくために、地方自治法の規定によりまして、条例で設置することが認められている附属機関である審査会を、本条例で設置することを規定いたしております。
 都といたしましては、条例制定を契機といたしまして、ヘイトスピーチが許されないということを明らかにしてまいります。
 地下水の揚水のあり方と将来についてのご質問がございました。
 かつて東京は、地下水の過剰なくみ上げの結果、区部東部を中心として、大正時代以降、地盤沈下が進行し、最大で四・五メートルの累積沈下を記録するなど、ほかの都市でも類を見ないような厳しい経験をいたしました。しかし、その後の地下水の揚水規制により、現在、地盤沈下は沈静化しているところでございます。
 今後の地下水のあり方でございますが、利用者の立場だけでなく、地下水のくみ上げによって影響を受ける立場、地下水を保全する立場など、さまざまな立場からのご意見があることは私も承知をいたしております。
 将来にわたりまして地下水の持続可能な保全と利用を図るためには、こうしたさまざまな立場の方々との幅広い議論を経まして、関係者の理解と納得を得ることが不可欠でございます。その議論の前提として、まずは地下水の実態把握が必要でございます。
 今後、現行の揚水規制を継続し、有識者にも諮りながら、さまざまな科学的知見を集積いたしまして、未解明な部分の多い地下水の実態把握を進めていくところでございます。
 そして、工業用水道事業の廃止に関する国との協議状況についてのご質問がございました。
 工業用水道事業は、工業用水法及び工業用水道事業法に基づいて実施をしておりまして、これまで施設の建設や配水管の更新、経営合理化などの際には、法に定める手続にのっとりまして、国と十分に調整を行ってきたところでございます。
 工業用水道事業の廃止の検討に当たりましても、昨年十月以降、国に対して今回の廃止に至った経緯や考え方、利用者への支援など、都の検討状況を随時報告いたしておりまして、丁寧にご説明するとともに、廃止に当たっての法的な手続等については意見交換を行っております。
 お話の指定地域の取り扱いでございますが、国からは、都の廃止が決定した以降、協議をしていくとの見解を得ておりまして、今後、これらを含めまして、国と十分に調整を行ってまいります。
 都の長期計画でございますが、我が国全体が既に人口減少局面にある中で、東京の人口も二〇二五年をピークとし、減少が始まります。そして、その年には団塊の世代が全て七十五歳以上になるなど、高齢化はさらに加速していく見通しでございます。
 このような中において、東京が将来も活力を失わずに、日本の力強い牽引役として持続的に成長を続けていくためには、二〇二〇年とさらにその先をしっかりと見据えたビジョンのもとで、政策を推進していくことは必要でございます。
 こうした考え方に立って、都は、東京二〇二〇大会の成功とその先の東京の未来への道筋を明瞭化いたしまして、東京のさらなる成長を創出するための二〇二〇年に向けた実行プランを策定しております。
 また、この実行プランでは、策定の段階からPDCAサイクルを組み込んでおりまして、毎年、このサイクルのもとで、社会情勢の変化、そして新たな都民ニーズに対応すべく、政策のブラッシュアップを行ってまいります。
 今後とも、人口の減少や一層高齢化する社会を見据えまして、常に政策を強化することで、あらゆる都民が希望と活力にあふれる高度な成熟都市東京の実現をより確かなものにしてまいりたいと考えております。
 最後に、小笠原の航空路についてのご質問がございました。
 航空路の開設は、島民生活の安定と国境離島であります小笠原諸島の自立的発展を図る上で、極めて重要と認識をいたしております。
 私は、本年六月末に開催されました返還五十周年記念式典におきまして、村民の皆様の安心・安全を守るという観点から、小笠原に飛行場を建設することは必要であると表明をいたしまして、洲崎地区を活用する案に絞って集中的に検討していくことといたしました。
 また、機材につきましては、技術革新が目覚ましい分野であること、そしてまた本土からの距離や地形、自然環境への影響など、小笠原特有の制約がある中で、より多様な検討が必要であることなどを踏まえまして、現在運用されている機材の活用という観点からも、ご指摘の水上航空機についても、その可能性の検証をすることを表明したものでございます。
 今後も引き続きまして、一千メートル以下の滑走路で運用可能な機材についての調査を行うとともに、国、そして村を初めとする関係機関と緊密に調整を行いまして、実現可能な航空路案が取りまとめられるように検討を進めてまいる所存でございます。
 その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立学校の今後の空調設備の整備についてでございますが、学校施設は、児童生徒の学習や生活の場であるとともに、災害時には避難所としての役割も担っております。
 ことしの夏の猛暑は、人命にもかかわる深刻なものであり、暑さ対策は重要な課題と認識しております。都教育委員会は、学校施設への空調設備設置を行ってまいりましたが、今後も、設置対象となる特別教室について、整備の推進に努めてまいります。
 また、体育館については、都立特別支援学校に加え、今後は都立高等学校についても、空調設備の整備を速やかに進めてまいります。
 さらに、公立小中学校の体育館についても、国や区市町村との役割を踏まえつつ、体育館への空調設備の整備が進むよう、区市町村を支援してまいります。
 次に、特別支援学校における看護師の確保についてでございますが、児童生徒に対して医療的ケアを安全かつ適切に実施するため、中心的な役割を担う看護師を安定的に確保していくことが重要でございます。
 近年、医療技術の進歩や在宅医療の普及を背景に、医療的ケア児は増加傾向にあり、ケアの内容も看護師でなければ対応できないほど高度化、複雑化が進んでおります。
 さらに、都教育委員会は、平成二十九年度から肢体不自由特別支援学校に加えて、対象となる児童生徒が在籍する全ての特別支援学校で医療的ケアを実施することとし、必要な看護師数は増加している状況にございます。
 都教育委員会は、今後も、看護協会等の職能団体と連携しながら、必要な看護師の確保に努め、引き続き学校において安全かつ適切に医療的ケアを実施してまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 中小河川の洪水対策についてでございますが、激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池整備などのハード対策に加えまして、住民の避難等につながるソフト対策を進めることが重要でございます。
 ハード対策といたしましては、護岸や境川金森調節池など、事業中の調節池等の着実な整備に加えまして、石神井川等におきまして、新たな調節池の事業化に向けた検討を前倒しして実施いたします。また、洪水の流域間相互融通が可能な環七地下広域調節池の延伸等も検討してまいります。
 ソフト対策といたしましては、区市町村が作成いたします洪水ハザードマップのもととなる浸水予想区域図の改定を加速いたしまして、平成三十二年度までの全区域の公表を目指します。
 引き続き、水害に強い都市東京の実現に向け、国に対しましてもより一層の支援を求めまして、ハード、ソフト両面から洪水対策を推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ラグビーワールドカップにおける会場周辺等を活用した盛り上げについてでありますが、前回大会では、試合前に多くの観客がファンゾーンに立ち寄り、互いに期待を膨らませ、あるいは試合後の興奮と感動を共有する姿が見られたと伺っております。
 そこで、調布のファンゾーンについては、訪れた人々にとって大会への期待が高まるような内容とすることに加え、試合会場とシャトルバスで結び、観客が試合前後に気軽に立ち寄れるようにいたします。
 大会開催が迫る中、試合会場やファンゾーン周辺については、地元市の協力も得て、街灯フラッグやラッピングバス等によるまち全体の装飾とともに、会場運営計画を踏まえ、組織委員会と連携し、その活用についても検討いたします。
 今後とも、多くのファンにとって大会が盛り上がるよう、開催に向けた準備を推進してまいります。
 次に、交通需要マネジメント、いわゆるTDMの今後の展開についてでございますが、大会の成功には、円滑な大会輸送の実現と都市活動との両立を図るため、TDMの取り組みが不可欠であります。
 先月発足した二〇二〇TDM推進プロジェクトには、現在、二十一の業界団体、百六十を超える企業に登録をいただき、さらに拡大に努めております。
 この秋には、大会の日程や時間帯ごとに、道路や鉄道等の状況を予測した混雑マップを示すとともに、競技会場近隣の企業を対象に説明会や相談会等を実施するなど、きめ細かく対応いたします。
 こうした取り組みを通じ、中小企業を初め、各企業のTDMの準備状況を把握し、行動計画の策定を支援するなど、TDMの実効性を高める取り組みを進め、経済活動への影響を最小限に抑え、円滑な大会輸送の実現に努めてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 東京二〇二〇大会開催時における交通混雑発生の抑制についてでございますが、港湾物流にはさまざまな事業者が関係しておりますことから、これら関係事業者が連携した対策を実施することが重要でございます。
 このため、現在、港湾運送事業者やトラック事業者等へのヒアリングを実施し、課題の把握を行いつつ、これを踏まえた対策の検討を進めております。
 関係事業者からは、臨海部における交通混雑予測や荷主の協力が課題として挙げられておりますことから、今後、大会期間中の臨海部の交通状況について分析し、情報提供を行うとともに、東京港を利用する荷主に対しては、配送時間の変更等に関する協力要請も行うなど、大会開催時における交通混雑発生の抑制に向け、関係局と連携し、取り組みを進めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場への引っ越しについてでございますが、今回の引っ越しは、約九百に及ぶ事業者による大規模なものでございまして、円滑な実施に向けて綿密に準備し、具体的な取り組みを進めているところでございます。
 まず、都と業界で調整して、本年六月に改定いたしました引越実施計画に基づいて、八月には、市場業者等を対象といたしました引っ越し連絡会を開催し、引っ越し手順や作業予定時間、引っ越し時の場内ルール等を周知いたしました。また、九月には、環状第二号線を利用した事前引っ越しも開始したところでございます。
 このほか、引っ越しルートの警備体制の構築や、引っ越し期間中のシャトルバスの運行等の準備も整えており、今後も、業界と連携した取り組みを着実に進め、十月六日から十日までの限られた期間内で確実に引っ越しを実施してまいります。
 次に、豊洲市場の管理、運用についてでございますが、開場後の円滑な市場運営を実現するためには、あらかじめさまざまなルール等を定めておく必要がございます。
 このため、都は、業界団体と調整し、喫煙を含めた施設の適正利用や、場内交通、入退場管理などの運用ルールに係る調整を進めまして、その内容について合意いたしました。
 また、駐車スペースの利用や場内清掃等の施設管理について、利用の際の条件や、都と業界の役割分担等に関する業界との調整を整えたところでございます。
 さらに、交通誘導員の配置など必要な警備体制の整備や、周辺道路の通行上の注意点の周知も進めております。
 開場まで残り十五日間、業界や地元区とも連携して準備を進め、適正な市場運営を実現してまいります。
〔下水道局長小山哲司君登壇〕

○下水道局長(小山哲司君) 下水道における浸水対策についてでございますが、下水道局では、区部全体で時間五十ミリ降雨に対応する施設整備を実施いたしますとともに、過去に甚大な浸水被害が発生した地区などにおいて、整備水準を七十五ミリにレベルアップした対策を推進しております。
 本年度は、整備水準のレベルアップを図る全ての地区で事業に着手するなど、施設整備を着実に進めてまいります。
 先月二十七日の豪雨におきましても、整備した雨水貯留施設などが満水になるなど、効果を発揮し、また、浸水被害が発生した地区におきましても、既に施設整備に着手したところもございまして、被害の軽減が期待できると考えてございます。
 今後、新たに降雨規模や地形により、下水道管内の水位や浸水状況などをより正確、詳細に把握できる最新の流出解析シミュレーションの技術を活用し、区部全域で下水道施設の能力を検証するなどして、浸水に強いまちづくりを推進してまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営地下鉄における大規模水害への対応についてでございますが、交通局では、台風などの接近により運休などのダイヤ乱れが想定される場合には、お客様に対し適時適切な情報提供に努めてございます。
 さらに、荒川決壊のような大規模水害に対しましては、防災関係機関等とともに、荒川氾濫時の事前行動を時系列で整理したタイムラインを策定しており、これまでも台風が接近した際には、試行的に運用して検証することで、タイムラインのさらなる改善を図っております。
 また、地元区等と連携した運休等の事前周知や、運休までの間の地下鉄等を活用した広域避難につきましても、防災関係機関等とともに検討を進めてございます。
 今後とも、これらの取り組みも踏まえまして、ホームページやSNSなどを活用し、迅速かつ的確な避難や行動を広く呼びかけることにより、安全・安心の確保に努めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 公共工事の適切な工期等の設定についてでございますが、発注者として適切な工期の設定は、建設業の担い手確保に向けました重要な責務と認識をしております。工期設定に当たりましては、工事に直接必要な日数のほか、施工条件や休日等を考慮した日数を加えまして、工事の各段階に必要な期間を適切に確保しております。
 一方で、現場実態といたしまして、休日に作業が行われる場合が少なくないことから、一斉に現場閉所する週休二日モデル工事を平成二十八年度から試行をしております。
 さらに、ことし十月以降公表するモデル工事につきましては、国に準じて労務費を補正し、実態に即した経費を計上することとしております。
 今後とも、さまざまな施工現場の状況を踏まえつつ、業界団体の声も聞きながら、試行を継続するとともに、引き続き適切な工期等の設定に努めてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、中小企業の生産性向上のための支援についてでございますが、東京の中小企業が将来に向け着実に発展する上では、生産やサービス提供の効率を高める取り組みを適切にサポートすることが重要となります。
 都では現在、中小企業に専門家を派遣して、経営状況を幅広く診断し、それに基づく計画づくりを支援しております。また、事業効率の向上に向けたICT技術の活用について、機器を円滑に導入するためのセミナーを開きますほか、生産性の高い大型設備の導入への助成を行っております。
 今後は、経営診断や計画づくりにおいて、生産性の向上に重点を置いた支援を行ってまいります。また、ICT技術をわかりやすく伝える場の提供や、その導入に対応できる人材育成に加え、小規模な事業所に適した機器導入への支援を検討し、中小企業の生産性向上を的確に後押しをしてまいります。
 次に、中小企業の事業承継に対する支援についてでございますが、都は、商工会議所等と協力し、事業承継をサポートする拠点を設け、相談窓口で専門的な知識の提供等を行っております。また、承継が必要な企業を、民間の企業情報も活用し、効果的に見きわめた上で巡回し、働きかけを行っているところでございます。
 今後は、拠点の体制を強化いたしますほか、中小企業団体や地域の金融機関と連携し、事業承継の必要性をより多くの経営者に伝え、具体的な取り組みを後押しする仕組みづくりを検討してまいります。
 また、会社合併の場合に必要な手続費用の助成を行いますとともに、ファンドを活用し、資金と経営ノウハウを提供する支援等も進めているところでございます。
 今後は、合併の相手先を探すための負担の軽減を検討し、中小企業の発展を着実に支援してまいります。
 次に、中小企業の経営の強化に向けた支援についてでございますが、東京の中小企業が厳しい経営環境を克服できるよう、取引を適正なルールのもとで進め、新たな販路の確保や技術の開発にも取り組めるよう支援することは重要でございます。
 現在、都は、中小企業が適切な条件で仕事を受注できるよう、企業への巡回や法令等の知識を提供する講習会を行っているところでございます。また、新しい販路の開拓につながる見本市への出展や、技術の開発に対する助成を実施しております。
 今後は、中小企業が取引価格などで適正な条件を確保できるよう、よりきめ細かい情報提供に向け、企業巡回や講習会の充実を検討いたします。また、販路の開拓を一層効果的に進めるため、会社のPRへの新たな支援や技術開発のサポートの充実を検討してまいります。
 これらにより、中小企業の経営力の向上を的確に下支えしてまいります。
 次に、都内各地域における観光振興についてでございますが、東京二〇二〇大会は、地域固有の伝統や食文化など、都内各地域の魅力を国内外にPRするだけでなく、大会に向けて地域が一体となった旅行者誘致を推進し、観光産業のさらなる活性化に結びつける絶好の機会でもございます。
 このため、都は、観光協会などの地域の誘客のためのアイデアを事業化いたしますとともに、事業の定着を図る支援を行っております。また、多摩地域の観光、商工団体等から成る協議会が実施する観光情報の発信や、古民家を活用した宿泊体験などの新たな取り組みを後押ししております。
 今後は、観光協会を初め、関連事業者や団体等の多様な主体が参画する集客の取り組みへのサポートの強化を検討するなど、地域の観光の担い手の裾野を広げ、大会のレガシーとして持続的な観光振興につなげてまいります。
 最後に、タクシーへのタブレットの導入支援についてでございますが、タクシーは、観光スポットを時間帯や距離を選ばずにめぐることができる交通手段でございまして、東京二〇二〇大会に向けて、外国人旅行者が都内をタクシーでめぐることができるよう、多言語対応の支援を進めることが重要でございます。
 都は現在、都内タクシー事業者における多言語対応やクレジットカード、ICカードといった決済対応等の現状とともに、外国人利用者の多言語対応や支払い手段などへのニーズに関する調査を実施しているところでございます。
 この調査結果を踏まえ、今年度、多言語対応のためのタブレット端末の導入支援を開始し、外国人旅行者の受け入れ環境の向上を図ってまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、土地利用調査特別委員会の中間報告についてでございますが、中間報告では、東京が持続的に発展していくためには、拠点ネットワークの充実強化と緑の拡充を一体的に進め、東京の魅力や活力を向上させていくべきとしております。
 例えば、高密な鉄道ネットワーク等を生かし、地域の個性やポテンシャルを最大限発揮する拠点を育成するとともに、都市づくりのあらゆる機会を捉え、緑の保全、創出、量的底上げなどを推進いたします。また、高齢化等へ対応するため、高経年マンションの連鎖的な建てかえなどにより、都心居住の推進策を量的拡大から質の向上へと転換すべきなどとしております。
 今後、都民の意見などを聞いた上で、来年二月に審議会の答申を受け、都として、用途地域などに関する指定基準の改定などを行い、望ましい都市像の実現を図ってまいります。
 次に、都営住宅における多世代共生の推進についてでございますが、都は、都民共有の財産である都営住宅におきまして、特に若年ファミリー世帯の入居を促進するため、期限つきの募集枠の設定を初め、倍率の低い住宅の毎月募集、入居収入基準の特例の対象拡大を行っております。
 しかし、今後、少子高齢化と世帯の単身化が一層進行していくため、若年世帯を含む多世代にわたるコミュニティの活性化に向けて、さらなる子育て世帯の入居促進や、高齢者世帯の生活支援の強化などの対策を講じていく必要がございます。
 都は、十月に住宅政策審議会を立ち上げ、今後の都営住宅の管理制度などのあり方について諮問し、さまざまな世代がともに暮らせる都営住宅の実現に向けて検討を進めてまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 都立病院の運営上の課題と検証状況についてでございますが、時代とともに変化する行政的医療を的確に捉え、安定的な運営を継続するために、都立病院改革は不可欠でございます。
 都は、平成十三年のマスタープランに基づく再編整備等の改革を通じて、医療の質の向上とネットワーク機能の充実を図ってまいりました。
 社会の変革期を迎え、都立病院は、民間では対応困難な不採算な医療の提供に加え、高齢化に伴う合併症患者の増加への対応や、地域医療充実のためのモデル的な取り組みなど、先導的な役割を果たす必要がございます。
 一方、現状では、病院での医療ニーズに即応した機動的な人材の確保や地域医療機関への協力等に、制度的な制約がございます。
 これらの課題解決に向け、不断の経営努力により、都民に対する総体としての医療サービスを向上させるとともに、経営形態のあり方についても、病院の運営実態を踏まえ、丁寧に検討を進めているところでございます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童虐待の防止に関する条例についてでありますが、子供への虐待防止対策を進めていくためには、都民や関係機関、区市町村などの理解や協力が不可欠であります。
 今般、都は、虐待の未然防止、早期発見・早期対応など、四つの視点で整理した条例の基本的考え方を公表し、現在、都民から幅広く意見を募っているところでございます。
 今後、区市町村、専門家等の意見や、ことし三月の虐待死事例の検証も踏まえながら条例骨子案を作成し、改めて都民や区市町村の意見を伺う機会を設け、検討に生かしていくという二段階の対応を予定しております。
 こうしたプロセスを通じて、都民の理解を深めていくとともに、現場の実態をより踏まえたものとなるよう、条例案の検討を丹念に進めてまいります。
 次に、虐待対応力の強化についてでありますが、都はこれまで、深刻化する児童虐待に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員、人材育成等を担う専門課長や児童福祉司OBの配置など、児童相談所の体制を強化しており、今般の緊急対策でも、児童福祉司を十三名、児童心理司を六名、年内に確保することといたしました。
 また、子供家庭支援センターへの虐待対策ワーカーや虐待対策コーディネーターの配置等を進めるなど、区市町村の虐待対応力の強化も支援しているところでございます。
 先日公表した条例の基本的な考え方におきましても、児童相談所と子供家庭支援センターの連携、協働の一層の推進を盛り込んでおり、今後とも、それぞれの機能を発揮しながら、適切な役割分担のもと、児童虐待に迅速かつ的確に対応してまいります。
 次に、児童養護施設の人材対策についてでありますが、児童養護施設や乳児院では、虐待を受けた児童や障害がある児童等がふえており、児童一人一人に適切に対応するには、質の高い人材の確保、育成、定着が必要であります。
 都は、意欲ある人材を確保できるよう、施設への就職を希望する実習生を指導する職員の代替職員経費や、実習を受けた学生を就職前に一定期間雇用するための経費を補助しております。
 また、職員の資質向上のため、研修経費の補助やリーダー的業務等を担う職員の養成を目的とした研修を実施するほか、安心して働き続けられるよう、職員の処遇改善を目的とした補助を行っております。
 今後とも、児童養護施設等が安定的に運営できるよう、施設を支える人材の確保、育成、定着を積極的に支援してまいります。
 最後に、障害者グループホームへの支援についてでありますが、都は、障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおいて、平成三十年度からの三年間でグループホームの定員を二千人分ふやす目標を掲げ、国の制度に加えて、整備費や運営費を独自に補助しております。
 今年度からは、事業者が重度の障害者を受け入れるために特殊浴槽や介護リフトなどを整備する場合、補助基準額への加算を新たに実施しております。
 障害の重度化等に対応するため、平成三十一年一月から運営費補助の仕組みを改めることとしており、この仕組みを事業者が十分活用できるよう個別の相談を行うなど、丁寧に説明しております。
 重度の障害者も地域でより一層安心して暮らせるよう、グループホームへの支援を充実してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 幼稚園における幼児教育の無償化についてでございますが、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育において、幼稚園児の約九割が通う私立幼稚園の果たす役割は重要でございます。
 そのため、都は、幼稚園での教育を望む保護者の経済的負担の軽減を目的として、経常費補助を通じて保育料等の抑制を図るとともに、区市町村が実施する保護者負担軽減事業に対する支援を行ってまいりました。
 幼児教育の無償化につきましては、現在、国が具体的な制度設計の検討を進めているところであり、都としては、国の動向をしっかりと注視した上で対応を検討してまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時三十一分休憩

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