平成三十年東京都議会会議録第十二号

   午後三時三十五分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十八番伊藤こういち君。
〔三十八番伊藤こういち君登壇〕

○三十八番(伊藤こういち君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
 初めに、この夏発生した西日本の集中豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、各地で相次いだ災害により亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災地、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 東京も、首都直下地震や、近年頻発している局地的豪雨などから都民の生命、財産を守るために対策を強化しなければなりません。
 そこで、人命尊重を最優先とした対策を早急に講じるよう、以下の事項を緊急施策として提案するものであり、本年度中の対応を目指し、補正予算の編成を求めるものであります。
 まず第一に、学校現場における災害対策であります。
 ことしの夏は、全国的に三十五度を超える猛暑日が続き、災害ともいえる暑さでありました。学校現場でも、体育館での朝礼や授業中に熱中症で倒れる児童生徒が出ました。学校体育館は、災害時の避難場所であり、空調整備は急務の課題といえます。
 しかし、現在、都内公立学校の体育館の空調整備は、小中学校で八・四%、高等学校で四・四%と、ほとんど進んでいません。
 都議会公明党は八月三日、中井教育長に緊急要望を行い、小中学校の特別教室への空調設備の設置についての補助期間の延長や学校体育館への空調整備について、都独自の補助制度の創設などを求めました。
 来年夏に、まず第一陣の整備の実現を間に合わせることを前提に、都は、国や区市町村と連携しながら、学校体育館への空調整備を急ぐべきです。また、食品衛生の観点から、窓あけもままならない調理室への空調整備を含め、知事の見解を求めます。
 第二に、通学路の安全対策について質問します。
 大阪北部地震の際には、児童が倒壊したブロック塀の犠牲となりました。このような痛ましい事故を繰り返してはなりません。
 我が党は、第二回定例会の代表質問において、通学路におけるブロック塀等の安全総点検を求め、さらに六月二十六日には知事に対して、幼稚園、保育園を含むブロック塀などへの改修支援を申し入れました。
 さらに、通学路にある民間施設のブロック塀の改修についても、市町村総合交付金等を活用して支援することを要望したほか、二十三区への財源調整についての工夫も提案しました。
 通学路に面した民間のブロック塀について、安全性確保に向けた対策を可及的速やかに実行に移すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 第三に、病院の災害対策について質問します。
 今回の北海道胆振東部地震では、ブラックアウトにより、道内の多くの病院、災害拠点病院が停電となり、あるいは水道も使用できなくなりました。その結果、人工呼吸器がとまったり、他の病院への入院患者の救急搬送、外来患者の受け入れ断念、手術の休止事例が多数発生いたしました。
 何らかの事情により電力供給が途絶える事態に備え、病院が非常用電源装置を備えておくことは極めて重要です。
 一方、都においては、都内全ての医療機関が災害時の医療に参画し、その役割に応じて機能を発揮できるよう、災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院、診療所等に区分されています。
 このうち、重症患者の収容、治療を担う災害拠点病院が八十二病院あり、設置要綱により非常用電源装置が整備補助されており、安全性も試運転などで確認されている状況にあります。
 その上で、主に中等症患者や災害拠点病院での治療後に容体の安定した患者を受け入れる災害拠点連携病院が百三十七病院あります。災害拠点病院を補完する上で重要な役割を担うことから、この病院の非常用電源の確保を進めるべきですが、知事の見解を求めます。
 また、大きな災害が発生した場合、災害拠点病院や災害拠点連携病院に患者が集中することも考えられることから、一般病院においても、災害対策を強力に推進する必要があります。全ての病院に対して、BCPの策定を促すべきと考えますが、見解を求めます。
 第四に、消防署の装備拡充です。
 ことしの夏は全国各地で大雨、洪水、高潮などが相次いで発生し、甚大な被害をもたらしました。そうした災害時の人命救助は一分一秒を争うことから、迅速かつ効率的な救助活動ができるよう、現在の水害用の救助資器材を総点検すべきと考えます。
 例えば、七月の西日本豪雨では、水上バイクを活用し、多くの人を救助した事例が話題になりました。こうした水上バイクも含め、東京消防庁の水害における装備資器材等を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 続いて、東京の東部低地帯の水害対策について質問します。
 台風二十一号に伴う高潮は、関西空港などに甚大な被害をもたらしました。高潮や河川の溢水の危険性は全国で緊迫化しており、特に、たびたび水害に見舞われてきた東京の東部低地帯では十分な備えが必要です。
 既に江東五区は、去る八月、過去に経験のない大規模水害の発生を想定して、大規模水害の広域避難計画を公表しました。計画では、五区の人口の九割以上に及ぶ約二百五十万人に事前に自主的な広域避難を呼びかけたり、広域避難勧告を発令するとしています。
 しかしながら、百万人単位に及ぶ大量の都民が避難できる場所の確保は、公的には進んでおらず、親戚や知人を頼るなど自力で避難先を確保するしかありません。
 そこで、浸水のおそれのある地域の都民が、ためらうことなく移動できる広域の避難先の確保を、都内はもとより、近県の知事と連携を図り、進めていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 地球温暖化に伴う影響が懸念される昨今、想定を超える自然災害に備えるためには、ハード対策だけでは限界があり、ソフト対策も強化する必要があります。昨今の集中豪雨では、ハザードマップで想定されていた地域で浸水が発生したにもかかわらず、避難行動を起こした住民は少なく、多くは自宅に残ったまま被災しています。情報や知識が実際の避難行動に結びついていないことが大きな課題となっています。
 住民がみずからの意思で適切なタイミングで避難を開始することが重要です。そのため、国は、我が党の要請に応えて、いわゆるマイタイムラインの呼びかけを始めております。これは、住民一人一人が自分自身の生活環境や家族構成に合ったオリジナルのタイムラインづくりを進めようというものです。
 都は今後、逃げおくれゼロの実現を目指し、気象予報士や自治体職員、防災士などの専門家の協力を得て、マイタイムラインづくりを後押しするワークショップなどの取り組みを展開していくべきと考えます。見解を求めます。
 内水氾濫への対策も強化すべきです。
 八月二十七日に都内で発生した集中豪雨で、目黒、世田谷、杉並、練馬区などで多くの浸水被害が発生しました。昨今は、今までは被害が発生していない地域でも浸水被害が発生しており、喫緊の対策が求められています。
 そのためには、都の下水道施設の整備において、中長期的な視点だけでなく、被害が発生しやすい箇所を対象に、雨水ますを増設するなど、排水能力を高めるきめ細かな対策も急ぐべきであります。住民みずからができる自助努力としての豪雨対策への支援とあわせて見解を求めます。
 また、大規模な豪雨による水害被害の危険は三多摩地域でも高まっています。事実、近年では、三多摩地域内での浸水、冠水被害が多発化しています。
 被害の軽減を図るためには、市町村単位での公共下水道の整備だけではなく、都が主導した広域的な流域下水道対策が必要です。見解を求めます。
 続いて、土砂災害対策について質問します。
 都内には、土砂災害のおそれのある箇所が約一万五千カ所も存在しており、そのうち、平成二十八年三月までに指定が完了した区部と多摩部の土砂災害警戒区域は、約九千カ所となっています。
 その九千カ所について確認したところ、小中学校など避難所に指定されたところは、土砂災害警戒区域内に約百八十施設、このうち特別警戒区域内には約八十施設あります。
 また、障害者や高齢者の二十四時間滞在型の要配慮者利用施設は、土砂災害警戒区域内に約四十施設、このうち特別警戒区域内には約二十施設も存在しており、今後、警戒区域の指定が進めば、その数はさらにふえるものと思われます。
 こうした施設が存在する地域への対応は、計画を前倒ししてでも取り組むべきであり、都は我が党の求めに応じて、ハード対策の優先順位を明らかにするため、砂防事業の緊急性の評価フローを取りまとめています。
 ことし夏の各地の災害を教訓に、土砂災害警戒区域等の指定を早期に完了させるとともに、緊急性の評価フローをもとに、都内において砂防事業を早急に検討すべきです。見解を求めます。
 続いて、我が党が一貫して推進してきた震災時の帰宅困難者対策について質問します。
 本年六月に発生した大阪北部地震は、地震発生時刻が通勤時間帯であったことから、多くの通勤者が出勤の判断に苦慮し、混乱が発生しました。
 都はこれまでに、帰宅困難者対策の取り組みを進めてきていますが、大規模な地震が大阪北部地震と同じような時間帯に発生することも考えられます。
 そのため、あらかじめこうした時間帯も想定した対応を企業が準備しておくことが重要です。都の対策について見解を求めます。
 次に、災害対応力を高めるための都の新たな建築規制について質問します。
 旗ざお地といった呼び名に象徴されるような狭隘なアクセス路の先に、大規模な長屋などが建築される事例が都内で広まる傾向にあります。
 災害発生時の避難や消火活動などの点で課題が多く、我が党にも、区市と連携した都の対策の強化を求める要望が寄せられています。
 我が党がことしの第一回定例会の予算特別委員会で取り組みの改善を求めたところ、当時の都技監から、東京都建築安全条例の改正が必要と考えており、見直しに向けて対応していくとの旨の答弁がありました。
 今定例会では、そうした質疑を受けて、都の建築安全条例の改正案が提出されています。改正案は、都みずからが規制を強化し、さらに、地域事情に応じた規制の上乗せを図る区市との連動も可能にしており、評価いたします。
 条例改正後は、適切に運用されるよう、事業者や都民などに十分周知を行い、理解の促進を図るべきです。また、条例に基づく適切な対応が円滑に確保されるよう、都が区市を支援すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 防災対策に関連して、学校トイレの洋式化について質問します。
 学校のトイレは、災害時には高齢者や障害者なども避難所として活用することから、その洋式化は重要な課題です。
 たび重なる我が党からの要請を受け、都教育委員会は、二〇二〇年度までに八割の洋式化を目標に、広く公立小中学校についても、トイレの洋式化を進める補助制度を平成二十九年度からスタートさせています。
 しかし、平成二十九年四月時点での洋式化率は、いまだ六割に届かず、目標達成にはあと四年間で二〇%以上ふやさなければなりません。
 そのためには、都の補助率六分の一をさらに拡充するなど、取り組みの強化が不可欠と考えますが、教育庁の見解を求めます。
 関連して、通学路への防犯カメラの設置について質問します。
 都が我が党の求めに応じて実現した通学路上の防犯カメラ整備の二分の一補助は、今年度で五カ年計画の最終年度を迎えます。しかし、整備はまだ道半ばであります。
 新潟市の例ではありますが、ことし五月には、下校途中の小学二年生の女児のとうとい命が犯罪により奪われる事件が発生しています。防犯カメラの整備を求める声はさらに高まっており、防犯カメラの整備を推進する補助事業を来年度以降も継続していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、東京都人権尊重条例案について質問します。
 都はこれまで、東京都人権施策推進指針に基づき、同和問題を初め十七の人権課題を掲げ、取り組みを進めてきました。しかし、性自認や性的指向から生じる差別や、本邦外出身者に対してのヘイトスピーチなどへの対応は、そうした従前の人権指針では、十分に明示されていない課題であります。
 今回の条例化においては、二〇二〇年に向けて東京への関心が一層高まる中、こうした新たな人権課題を個別に章を立てて、国内外に都の取り組み姿勢を明らかにしています。
 今後は、これまでの人権課題の取り組みや、時代、社会の変化に応じて生ずる新たな人権課題についても、条例により位置づけて施策を推進していくことも検討すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 また、性自認や性的指向の問題については、都が具体的な施策のレベルアップを図るべきです。
 そのためにも、まずは区市町村などの生活に身近な行政サービスの機会において、無理解などから当事者が差別的な対応を受けることがないよう、職員の理解促進について、都が区市町村を支援していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、ヘイトスピーチ対策です。
 特定の民族や国籍の人々を侮辱し、それらの人々への差別的意識や憎悪をあおるヘイトスピーチは、断じて許されるものではありません。都内においても、その被害を受け、心に深い傷を負った方々が多く存在しています。東京二〇二〇大会の開催都市として、こうした事態を放置しておくわけにはいきません。
 都は、条例案に盛り込まれた対策を実行し、ヘイトスピーチの根絶を目指し、実効性のある取り組みを進めていくべきです。見解を求めます。
 次に、虐待から子供たちを守る取り組みについて質問します。
 我が党は、児童虐待の根絶に向け、体制の強化と緊急対策の実施、加えて児童虐待防止条例の制定を求めてきました。
 知事は、児童虐待防止条例の提案を年明けの第一回定例会で行うとしていますが、理念条例にとどまっては、十分な効果は期待できません。
 ことし三月に発生した都内の痛ましい事件の検証結果を踏まえた内容とすべきであり、我が党が従前から提案してきた具体的な対策や、都の直近の緊急対策などの取り組みが着実に進められていくような実効性のある条例とすべきです。
 加えて、児童虐待事案を担当する専門家である児童福祉司や児童心理司といった専門職の不足は深刻で、都の児童相談所の職員は疲弊しています。
 国が先般示した新たな配置基準に照らせば、都は、二〇二二年までに二百人の児童福祉司と百二十三人の児童心理司の増員を果たさなければなりません。目標に向かい、計画的に人員配置を行うことを条例に明記すべきです。あわせて知事の見解を求めます。
 さらに、児童相談所の業務は多岐に及んでおり、虐待相談はその中の一つにすぎません。法改正が進み、今後は区市でも児童相談所を設置できるようになりますが、広範な業務の全てを区市版の児童相談所が担うには、かなり高いハードルを越える必要があり、都はこれまで以上に区市との連携を強化していくべきです。
 まずは、都と区市町村それぞれの役割を踏まえ、両者の連携をさらに深めていくべきです。見解を求めます。
 児童虐待を未然に防止するためには、何より早期発見が重要です。そのためにも、妊娠から出産、その後の子育てまでを重層的に支援する都の取り組みの効果について再点検が必要です。
 我が党が先日視察した兵庫県明石市では、乳幼児健診と就学前健診の計四回、必ず子供本人の状況を直接確認する全件面談を実施しています。会えない子供がいる世帯には、保健師等が土日や夜間でも自宅を訪問しています。子供の安全が確認できない場合は、児童手当の振り込みを窓口での現金支給に切りかえています。
 また、私の地元品川区では、平成二十九年でいえば、乳幼児健診が未受診者であったり、学齢期になっても就学の手続がされていなかったりする七十一人の子供たちの状況を直接確認するため、まずは保育園などの関係機関と情報の共有化をしています。そして、それでも状況が確認できない場合は、民生児童委員が夜間に訪問するなどして、最終的に全ケースについて確認を達成し、必要な支援につなげています。
 都においても、区市町村と連携して、都内の全ての子供の命を守るため、子供本人との全件面談の実現を前提に取り組みを進めるべきです。
 そのため、ショートステイや一時預かりなどの在宅子育て支援に取り組む区市を積極的に支援すべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、工業用水道について質問します。
 都は、工業用水道事業について、事業を廃止するための条例案を本定例会に提出しております。
 我が党は、さきの第二回定例会において、事業廃止となれば利用者への影響が重大であることから、十分な支援策を講じるべきであると指摘しました。
 また、八月二十日には、利用者の多くが経営体力の弱い中小企業であるという現状や、地盤沈下を防ぐための揚水規制の代替策として、都から事業者に協力を求めてきたという経緯を踏まえ、企業の経営の存続を前提とした支援策とするよう、知事に申し入れを行いました。
 こうした中、本年九月、都は事業廃止に当たっての支援計画案を公表し、我が会派が要望した十年程度の料金の据え置き期間の設定や、工業用水道給水管の撤去など、上水道への切りかえに伴って必要となる設備経費への支援が実現したことは評価いたします。
 そこで、まず、全国でなぜ東京都だけが工業用水道を廃止しなければならないのか、わかりやすく説明すべきであります。知事の見解を求めます。
 続いて、事業廃止に当たっては、工業用水道の利用者の理解が何よりも重要です。
 しかしながら、据え置き期間を十年に引き延ばす案を都が提示し直した後にも、利用者からは、最終的に上水道料金の水準まで引き上げられては経営が成り立たないなど、差額支援は不十分であるとの声が我が党に寄せられているのも事実であります。
 我が党は、都の現状の支援案では、全ての利用者の納得を得るにはまだ不十分であると考えております。料金の変動が経営の断念に追い込むことがないよう、利用者の状況や社会経済情勢の変化を踏まえた大枠としての支援策のさらなる充実、工夫が必要です。見解を求めます。
 また、廃止後の料金の据え置き期間は十年にわたります。その間に、先ほど述べたような分析を多角的かつ総合的に行わなければ、関係者の合意を得ることは困難です。
 今定例会の審議だけでなく、関係する各局がみずからの問題と捉え、積極的に連携協力し合う体制を整えて、今後、支援策の詳細を詰めていくべきと考えます。見解を求めます。
 支援策とともに重要なことは、工業用水道配水管の安全対策であります。
 阪神・淡路大震災や東日本大震災では、道路陥没による大規模な被害が発生し、その原因の一つが水道管の破裂による被害でありました。
 都内に約三百五十キロメートル布設されている工業用水道配水管は、事業開始から五十年以上が経過し、老朽化が進行しており、しかも、その布設地域のほとんどは、液状化を起こしやすい軟弱地盤の区部東部地域にあります。
 首都直下地震の切迫性が指摘される中、工業用水道の供給停止後に使用されなくなった配水管の破損による道路の陥没の発生が強く懸念されます。
 そこで、事業廃止後の工業用水道配水管の安全対策が極めて重要と考えますが、見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問します。
 都内で二十六万戸を抱える都営住宅では、六十五歳以上の名義人が七割、七十五歳以上が四割を占め、それぞれの約半数が単身となっています。高齢化と単身化が、全国の大都市の中で最も高いレベルで進行しています。
 そのため、昨今では、安否確認や買い物弱者対策などの福祉サービスや生活を支える機能の強化が求められており、加えて、自治会活動の担い手として若い世帯の入居を望む声が高まっています。
 こうした変化は、決して都営住宅だけに限定されるものではなく、社会全体として同様の傾向にあります。したがって、都が管理責任を負う都営住宅において、こうした課題への対応を図ることは、社会全体に対するよいモデル事例を指し示す役割があるものと考えます。
 その意味で、都は、発想の転換を図り、模範となる取り組みを目指して、施策の展開を進めるべきです。見解を求めます。
 続いて、都営住宅の指定管理の問題であります。
 我が党は、第一回定例会の代表質問において、大阪府、市を例に、公営住宅の管理業務を民間に委ねた結果、住民サービスの質が大きく後退した点を指摘しました。
 都は現在、都営住宅の管理を東京都住宅供給公社に委託をしていますが、今年度末で五年間の指定管理期間が終了し、来年度以降については改めて選定を行う予定となっております。
 都営住宅の指定管理者には、高齢化や単身化という課題に加え、ごみ屋敷や騒音、ペットの飼養などをめぐる近隣トラブルや、外国人居住者の増加に伴う言葉の壁への対処なども求められています。
 こうした新たな課題への対応というニーズの変化に適合しながら、コストカット至上主義では得られない、人に優しい住宅管理をいかに実現していくかという難題へ対処できる実績と能力が求められています。
 都は、この点を重要な判断基準として捉えて次期選定に臨むべきと考えます。見解を求めます。
 続いて、住宅確保要配慮者に向けた取り組みについて質問します。
 昨年十月に開始された住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度、いわゆるセーフティーネット住宅登録制度は、住宅の確保に苦慮する都民の不安の軽減に資するとともに、既存の民間住宅の空き家対策としても有効です。
 しかし、二〇二五年度末までに三万戸確保という目標に対し、現在の登録数はわずか二百十四戸。また、家賃低廉化補助は四区市、改修費補助は二区市での制度化にとどまっています。
 我が党はこれまでも、こうした現状の打開に向け、国の制度の枠内にとどまらない都独自の積極的な支援や、住宅確保要配慮者を支援するNPOなど居住支援法人や賃貸住宅の持ち主との関係性が深い不動産関係団体との連携を提案してきました。
 八月二十日には、取り組みの強化を求めた都知事宛ての要望書を提出しております。
 都は、今定例会において、セーフティーネット住宅の登録申請手数料を無料にする手数料条例の改正案を提案しており、我が党の要望に沿ったものと高く評価します。
 今後は、この機を捉えて、一層の活用の促進を図るため、制度普及に欠かせない居住支援法人を利用する際の費用負担の緩和や、不動産事業者へのインセンティブの付与などの効果的な支援策を検討すべきです。
 加えて、区市町村や不動産関係団体、住宅確保要配慮者にかかわる団体等との意見交換を進め、早急に改善策を取りまとめるべきと考えますが、あわせて見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 二〇一七年版中小企業白書によると、都内中小企業は、五百七十万人以上の従業員を雇用し、二十四兆六千億円以上の付加価値を創出しております。これらの中小企業の事業を安定、発展させることは、都内全体の景況にとっても大事な課題であります。そのためには、経営支援とともに事業承継を図ることが重要です。
 その観点から、都は既に、事業承継の相談窓口を設置するほか、訪問による相談も行っており、助成制度まで整えています。
 しかし、現状では、東京商工会議所のアンケート調査によると、経営者の年齢として六十代で約七割、七十代で約半数が後継者の決定ができていません。その主な原因は、多くの中小企業が、都の支援事業の詳細どころか存在すら認識していない点であります。
 我が党の全議員が地域を回り、本年四月から六月まで実施した百万人訪問・調査運動でも、中小企業支援策を利用したことがないとの回答のうち、半数以上が、そもそも制度を知らなかったと回答しています。情報が届きにくい小規模、零細企業向けの周知、広報の工夫が必要です。
 例えば、小規模企業向けの事業承継支援を実施している商工会議所と連携して、交通機関の施設や車両内での広告などにも取り組むべきです。また、動画などを活用して、同業他社の事例をわかりやすく紹介するなどの伝え方の工夫も必要です。さらに、事業承継の相談窓口の電話番号を覚えやすい番号にすることなども検討すべきです。
 さまざまな角度から取り組みを改善すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 その上で、後継者難からどうしても事業承継にめどが立たない場合には、他の企業に事業や社員を引き継いでもらう方法もあります。そうした観点に立った新たなMアンドAも話題になり始めており、オンリーワンの技術や、小さくても価値あるノウハウを培ってきた企業にとっては、魅力ある方法です。
 マッチングを図るべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、医療、介護、福祉をめぐる諸課題について質問します。
 まず、超高齢社会への対応についてであります。
 知事の諮問機関である超高齢社会における東京のあり方懇談会は、このほど政策提言を取りまとめました。
 この中には、我が党が強く主張してきたプロボノの活用や、住宅確保要配慮者への対応、高齢者を主役として活用する多様な主体の育成、地域特性や住まい方の相違に応じたまちづくりとの連携などの視点が打ち出されており、高く評価するものであります。
 しかしながら、特別養護老人ホームや安い家賃で入居できるグループホームの整備、さらには、本人や家族の希望に沿った医療との連携、住まい方とみとりの推進などの課題は、地味ではあっても、都民の率直な不安に基づく切実な重要課題です。
 都議会公明党は、こうした古くて新しい課題も含め、一つ一つ丁寧に議論を重ねてまいりたいと考えております。
 そこで改めて、東京は、超高齢社会に対してどのような取り組みを主軸に今後の対応を図り、都民の不安の軽減に努めようとするのか、その基本姿勢について、知事に見解を求めます。
 続いて、感染症対策について質問します。
 ウイルス性の感染症である風疹の患者が、首都圏を中心に急増し始めています。
 風疹は、インフルエンザの二倍から四倍も感染力が強く、予防にはマスクや手洗いだけでは不十分とされており、ワクチン接種が最も有効な予防方法といわれています。
 妊娠初期の女性が感染すると、胎児が難聴や白内障、心臓病などを伴う先天性風疹症候群になるおそれがありますが、妊婦自身はワクチン接種を受けることができません。したがって、妊婦や妊娠を希望する女性の家族を初め周囲の人が早目に接種することなど、予防に努める必要があります。
 そこで、今後打ち出される国の方針を踏まえて、都は、区市町村や医療機関などと連携しながら、一層の予防啓発活動やワクチン接種費用への助成を行うなど、感染拡大防止に向けて総合的な取り組みの強化に努めるべきと考えますが、見解を求めます。
 続いて、障害者や高齢者の歯科医療について質問します。
 一般に、障害の内容によっては、食物が口腔内に残りやすくなるなどのことから、虫歯や歯周病のリスクが増加するといわれております。
 中には、通常の歯科医療機関では治療が困難で、専門的に訓練を受けた歯科医師が全身麻酔を施して治療する場合もあると聞いております。そのために、都立心身障害者口腔保健センターに通うことを決意したものの、遠距離であるため通い続けることが困難といった声も聞かれます。
 そこで、障害のある方の歯と口の健康づくりを地域で支える施策が重要です。都の取り組みについて説明を求めます。
 施設や在宅で暮らす高齢者の中には、通院が困難なため、在宅での歯科治療が必要となる場合があり、高齢者人口の増加に伴って、今後も需要がふえ続けるものと思われます。
 しかし、在宅歯科医療には、ポータブルのエックス線装置と合わせると一式三百万円以上もする訪問用歯科ユニットなどの特殊な設備が必要です。
 在宅での歯科治療に頼らざるを得ない都民ニーズの増加に応えるため、在宅診療のルールを守ることを前提に、普及拡大を図るべく支援策を整備すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、障害者グループホームの支援の充実について質問します。
 障害者グループホームは、入所施設などから地域生活に移行する障害者や、親元を離れ、必要な援助を受けながら地域で自立した生活を希望する障害者にとって、重要な役割を担っています。
 都は、グループホーム事業者に対し、利用者が質の高いサービスを受けられるよう、国の報酬に加え都独自の補助を実施していますが、平成三十年十月からこの補助事業を見直すこととしておりました。
 今回の見直しは、手厚い職員配置やサービスの質の向上のための国加算の取得を促すものですが、都議会公明党が複数回事業者からヒアリングを行ったところ、事業者は、制度変更に対応するために時間を要することから、見直し実施時期の延長を求める強い声がありました。
 また、事業者の中には、どんなに障害が重くても地域での生活を希望する障害者の状況に応じ、現行の制度の基準を超えた支援体制を整え、行動上や身体上の特性により特別な支援を要する重度の障害者を受け入れているところもあります。また、精神と知的の障害をあわせて有する障害者や、障害特性ゆえに入退院を繰り返す障害者を懸命に支援しているところもあります。
 これらの事業者は、東京都の支援のより一層の充実を求めています。
 都議会公明党は、七月十七日に知事宛てに、実施時期の延長と特別な支援を必要とする重度の障害者を受け入れるための手厚い職員を配置しているグループホームへの支援の充実を申し入れました。
 そこで、実施時期延長と重度の障害者受け入れ施設への支援の充実について、都の見解を求めます。
 最後に、豊洲市場の開場について質問します。
 開場まで二週間という大詰めを迎えています。残された少ない期間で、さらに丁寧な調整を重ね、円滑に開場できるよう万全の準備を進めなければなりません。
 さて、安全・安心に向けた追加対策工事が本年七月に完了しました。豊洲市場用地の法的な安全性は確保されていましたが、専門家会議は、今回の追加対策工事によって、将来リスクを踏まえた安全性の確保を確認したと評価しています。
 追加対策工事については、危険だから工事を実施するのだとの声や、もともと安全なのだから工事は無駄といった声もあります。
 そこで、改めて、追加対策工事を実施した趣旨と工事完了後の安全性について、見解を求めます。
 都は、開場後も、都民のさまざまな不安解消に向けて、しっかりとした対応を続けるとともに、専門家会議が求めた地下ピット内に打設したコンクリートの調査、補修や、地下水管理システムの揚水能力の確保といった今後の管理を確実に実施していくべきです。
 都による万全な対応と確実な管理を実施すべきと考えますが、見解を求めます。
 さて、市場に併設される千客万来事業については、東京二〇二〇大会後に確実に着工され、地元区との協議を反映して、予定どおり開業するよう覚悟を持って進めることが極めて重要です。
 そして、東京二〇二〇大会の前後には、千客万来施設用地の六街区と場外マルシェが完成する五街区では、にぎわいイベントが行われる予定となっていますが、肝心の多くの来訪者でにぎわう東京二〇二〇大会期間中の予定はいまだ空白となっています。
 そこで、大会期間中に六街区と五街区を利用して、被災地の復興のシンボルとなるイベントを展開し、大いに盛り上げていくべきと提案しますが、都によるにぎわいの方針について知事に見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 伊藤こういち議員の代表質問にお答えをさせていただきます。
 冒頭、学校施設での空調設備の整備についてのご質問をいただきました。
 学校施設は子供たちの学習、生活の場であります。また、非常災害時には、ご指摘のように地域住民の避難所などとしての役割も果たす、そんなことから、安全性の確保や防災機能の強化というのは極めて重要でございます。
 この夏、連日の猛暑でございました。まさしく人命にもかかわるような深刻な猛暑でございました。学校施設の暑さ対策は早急に取り組むべき重要な課題と、このため認識をいたしております。
 都といたしまして、これまで、国、そして区市町村と連携をしながら、教室の空調設備の設置を行ってまいりましたが、今後も、設置対象となります特別教室について、整備の推進に努めてまいります。
 また、体育館への設置は、建物構造上の問題もございまして、本格的な整備が進んでいない状況でございます。今後は、都立特別支援学校に加えまして、都立高等学校についても空調設備の設置を速やかに進めてまいります。
 さらに、公立小中学校の体育館でございますが、国や区市町村との役割を踏まえながら、体育館への空調設備の整備が進みますように、来年夏からの対応を見据えて補正予算を編成するなど、緊急的な対応を行って、区市町村を支援してまいります。
 なお、給食調理室の空調についてでございますが、都立学校の改築工事などの計画に合わせて整備をするとともに、区市町村に対しても必要な支援を検討してまいります。
 今後とも、子供たちの安全な教育環境の確保、そして防災機能の強化に向けまして、スピード感を持って学校施設の整備を進めてまいります。
 次に、民間のブロック塀の安全対策についてでございます。
 首都東京を守るための備えに万全を期すには、さきの大阪北部地震、そして北海道胆振東部地震の例を教訓といたしまして、建築物の耐震化や災害に強いまちづくりを一層進めていく必要がございます。
 大阪北部地震においては、安全性に問題があるブロック塀の倒壊で痛ましい事故が発生をいたしました。そのため、都有施設につきましても、通学路に面して倒壊の危険性があるブロック塀につきましては、最優先で撤去することといたしております。
 また、通学路を含みます民間のブロック塀ですが、所有者による安全対策の取り組みを支援する、そのために耐震改修に係るパンフレットなどを活用した普及啓発に加えまして、自己点検のチェックポイントであるとか、区市町の助成制度などに関する情報の発信を、耐震ポータルサイトを通じて行っております。
 今後、ご指摘を踏まえまして、さらなる支援策についても検討してまいります。
 こうした安全対策の取り組みを進めるとともに、緊急性の高いものにつきましては、補正予算の編成も視野に入れて対応してまいります。
 また、撤去したブロック塀の代替はどうするのかでございますが、一部の都有施設におきまして、多摩産材などの国産木材を使用した塀を試行的に、トライアルに設置をしてまいります。また、国産木材のさらなる活用を図るということから、庁内に局横断的な検討体制も整備をいたしました。
 さらに、私が提案させていただき、多くの知事の賛同を得まして発足いたしました全国知事会のプロジェクトチーム、こちらで国産木材の魅力の発信と需要喚起を図ってまいります。それによって、全国の森林再生、すなわち政治の一番の基本でございます治山の取り組みへとつなげてまいりたいと考えております。
 このように、さまざまな取り組みを通じまして、いつ起きてもおかしくない災害から都民の生命、そして財産を守るセーフシティーを実現してまいりたいと考えております。
 次に、災害拠点連携病院の非常用電源についてのご質問がございました。
 ことし発生いたしました台風二十一号、そして北海道胆振東部地震では、大規模な停電が起こり、医療機関も大きな影響を受けております。
 私は、災害がいつ起きてもおかしくない、それから従来の想定を超える事態が生じかねないということを改めて肝に銘じまして、十全の備えを講じていく、その考えでございます。
 都といたしまして、現在、災害時にも確実に医療を提供できますように、都内全ての病院を災害拠点病院、災害拠点連携病院、そして災害医療支援病院に区分をいたしまして、重層的な医療体制を確保しているところでございます。
 そして、お話の災害拠点連携病院でございますが、災害拠点病院を補完する役割を担っているわけでございまして、今年度、自家発電装置の状況などにつきましては、詳細な調査を実施したところでございます。
 その結果を踏まえまして、有識者や医療関係者などのご意見を伺いながら、災害拠点連携病院の機能強化に向けました支援について早急に検討してまいります。
 大規模水害時の避難場所の確保についてのご指摘がございました。
 ことし七月の西日本の豪雨、そして台風二十一号など、日本各地で大きな被害が発生し、都におきましても台風やゲリラ豪雨による浸水被害が頻発したところでございます。
 こうした状況の中で、東部低地帯におきましては、大規模水害が発生した場合、百万人以上に及ぶ都民の生命と財産が脅かされることとなると推定をされております。この地域におけます広域の避難というのは、極めて重要な課題でございます。
 江東五区の水害に関しまして、これまで都は、国のワーキンググループや関係区による協議会に参加をいたしまして、広域避難に関する基本的な考え方などの策定に積極的に協力をしてまいりました。
 さらに、ことし六月ですが、国と共同で、近隣県の埼玉県や千葉県及び都内の自治体、そして交通事業者などで構成する検討会を設置いたしまして、現在、避難場所、避難手段の確保に関しての課題の洗い出しを進めております。そして、今年度の末までに対応の方向性を取りまとめる予定といたしております。
 何度も申し上げますが、災害はいつ起きてもおかしくない、そのことを肝に銘じまして、都民の命と財産を守るために、検討の状況に応じまして、私自身、近隣県の知事とも連携をいたしまして、大規模水害における広域避難の取り組みを全力で推し進めてまいります。
 それから、人権施策の推進についてのご質問をいただきました。
 人の力で成長を続ける東京でございます。その人の力で成長を続ける東京をつくり上げていくためには、人権尊重の機運を高め、そして誰もが生き生きと活躍できる社会を実現していくことは極めて重要でございます。
 都はこれまでも、憲法やその他の法令などにのっとりまして、人権施策を進めるとともに、さらに東京都人権施策推進指針を定めまして、さまざまな取り組みも実施してまいりました。
 そして、今回提案した条例を契機といたしまして、オリンピック憲章にもうたわれております、いかなる種類の差別も許されないという理念が浸透した東京にしていくためにも、指針に掲げております十七の人権課題を含めて、人権施策に総合的に取り組んでまいります。
 東京二〇二〇大会と、その後につながる持続可能なよりよい未来のために、SDGsを踏まえて、人権施策をより一層推進いたしまして、今後も国内外の情勢変化に応じて条例化も検討するなど、的確に人権課題に対応しながら、多様な人々の人権が誰ひとり取り残されることなく尊重される都市東京を目指してまいります。
 次に、児童虐待の防止に関する条例についてのご質問をいただきました。
 児童虐待は、子供たちの輝きをいや応なく奪うものでありまして、何としてでも防がなければなりません。
 先般公表いたしました条例の基本的な考え方では、四つの視点、つまり虐待の未然防止、早期発見・早期対応、子供とその保護者の支援、人材育成、この四つの視点から虐待防止の取り組みを整理したところでございます。
 その中では、保護者が各種の健診を受診することや、子供の安全確認が困難な場合、児童相談所が立入調査などの法的権限を迅速かつ適切に行使することなど、現場の実態を踏まえました内容を盛り込んだところでございます。
 また、児童相談所のさらなる体制強化につきましても条例に規定する考えでありますので、虐待に的確に対応できる人員の確保、専門性を高めていくことをお示ししております。
 虐待防止対策を進めていくためには、社会全体で取り組むことは不可欠でございます。そのため、条例案の検討に当たりましては、都民、関係機関、区市町村、専門家等の意見を幅広く伺っていく予定といたしております。
 関係者等と議論を重ねて、かつ現在行っております死亡事例の検証も踏まえながら、今後の都の虐待防止対策の基本となります条例案を取りまとめてまいります。
 次に、都の工業用水道の廃止に至る経緯についてのご質問がございました。
 東京の工業用水道事業でございますが、地盤沈下の防止対策として供給を開始いたしました。そして、その所期の事業目的を達成するとともに、地域の産業振興において重要な役割も果たしてまいりました。
 一方で、工場の都外移転などが進んで、工業用水の供給件数でございますが、平成二十九年度末現在でピーク時の三分の一以下にまで落ち込んでおりまして、都として経営改善に取り組んではまいりましたが、今後も需要の増加が見込めない厳しい経営状況が続くという見通しでございます。
 また、都の工業用水道は、事業の開始から既に五十年以上が経過をいたしております。施設の老朽化への対応は、もはや待ったなしの状況にございます。
 しかしながら、主に製造業が集積をいたします工業団地等の整備にあわせて普及が進んだ他の自治体と異なって、都の工業用水道は広範なエリアに利用者が点在をいたしております。そして、配水管の管理の延長が長いということなどから、施設の更新には膨大な費用を要する見込みでございます。
 このように、厳しい事業運営上の課題が顕在化してきたことから、長年の懸案とされてまいりました都の工業用水道事業につきましては、利用者の皆様の声を丁寧にお伺いしながら取りまとめた支援計画案の策定とあわせて、廃止をすることといたしたわけでございます。
 次に、超高齢社会への対応でございます。
 東京は、世界に例を見ない規模とスピードで高齢化が進み、今後二十年間で高齢者は約五十万人増加すると予測されているわけでございます。
 そうした中で、多くの高齢者は、たとえ介護が必要になりましても、可能な限り住みなれた地域で暮らしたい、このように望んでおり、こうした思いに応えていくことも重要でございます。
 そのためには、適切な住まい、医療、介護、生活支援サービスなどを地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が必要でございます。
 都といたしまして、本年策定いたしました第七期の高齢者保健福祉計画におきまして、二〇二五年度までの特別養護老人ホームの整備目標を六万二千人分へと引き上げるなど、介護サービス基盤の整備を進めるほか、認知症対策や介護人材対策の推進などに取り組んでいるところでございます。
 超高齢社会におけます東京のあり方懇談会からも、ご指摘のように、先般、持続可能な地域づくりについてさまざまなご提言をいただいたところであります。
 今後とも、地域で支え合いながら安心して暮らし続けられる東京の実現に向けまして、大都市東京の特性を踏まえた高齢者の施策を展開してまいります。
 最後に、千客万来施設用地を利用したイベントについてのご質問、ご指摘がございました。
 東京二〇二〇大会の原点は、ご指摘のとおり復興オリンピック・パラリンピックでございます。被災地の復興なくしては大会の成功はあり得ない、このことは私もかねてから申し上げていることでございます。
 そして、大会期間中は国内外の観光客など多くの来訪者が見込まれており、この機会を捉えて、被災地の復興する姿を広く発信していく考えであります。
 そこで、千客万来施設の用地におきましては、東京二〇二〇大会の期間中も含めまして、豊洲市場と周辺エリアのにぎわい創出に向けて取り組むことといたしておりまして、各局が連携をいたしまして、観光の振興、食文化の発信など、さまざまな施策のPRに活用する考えであります。
 こうした中で、お話の被災地の復興に資しますイベントにつきましても有意義と考えており、今後、検討を進めてまいりたいと存じます。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 公立小中学校におけるトイレの洋式化についてでございますが、清潔なトイレ環境は、児童生徒の安心できる学習環境を整える上で大切な要素であり、また学校が避難所となることからも、トイレを整備することは重要でございます。
 都教育委員会は、洋式化を含めたトイレ整備を行う区市町村に対し、平成二十九年度から補助を行ってきておりますが、これまでの区市町村の整備の実情を検証し、国や区市町村との役割を踏まえながら、補助制度の充実に向けて検討をしてまいります。
 今後も、区市町村を支援し、平成三十二年度までに学校トイレの洋式化率八〇%以上とすることを目指して、洋式化の促進に取り組んでまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の生命を守るためには、住民の避難行動につながる土砂災害警戒区域等の指定に加えまして、土石流を防止いたします砂防事業等を着実に進めていくことが重要でございます。
 警戒区域等の指定につきましては、防災事業の緊急総点検を踏まえ前倒しいたしまして、平成三十一年度前半までに都内全域で完了させます。
 砂防事業につきましては、避難所や二十四時間滞在型の要配慮者利用施設の有無などを考慮いたしました優先度の評価フローに基づきまして、区部、多摩部の指定が完了した箇所ごとに評価を実施いたしました。
 その結果、今年度は奥多摩町小丹波地区内の二カ所で基本設計を実施いたしますとともに、新たに八王子市の下恩方など五カ所で基本計画の策定に着手いたします。
 今後とも、警戒区域等の指定とあわせまして、避難所等が存在する箇所につきまして重点的に砂防事業を実施してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、病院のBCP作成についてでありますが、都は大規模災害発生時に医療機能を継続できるよう、BCPの作成手順や記載項目を明示したガイドラインを作成し、都内の病院に配布するとともに、ホームページで公開し、広く周知を図っております。
 また、BCPの効果を理解していただくため、ガイドラインを活用したBCPの作成事例や、防災訓練でBCPの検証を行った病院の取り組み等につきまして、防災訓練説明会等の機会を通じて紹介しております。
 今後、都内全ての病院がより実効性のあるBCPを作成できるよう、毎年度開催しております東京都保健医療計画説明会や病院管理講習会などの機会も捉えて、さらに働きかけ、災害時の効果的な業務継続体制の確保、推進に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待防止に関する都と区市町村との連携についてでありますが、子供に関するさまざまな相談について、児童相談所は、法的対応や専門的業務のほか、施設入所など広域的業務も担っており、区市町村の子供家庭支援センターは、地域の第一義的な児童家庭相談窓口として対応しております。
 また、都は、虐待対策コーディネーターの配置等、区市町村の虐待対応力の強化を支援しており、虐待対応等における連絡調整に関する都独自のルールを定め、児童相談所と子供家庭支援センターはそれぞれの機能を発揮しながら、児童と家庭への支援を行っております。
 現在、虐待への迅速かつ的確な対応を図るため、事案送致のあり方など、現行ルールの見直しについて区市町村と協議を行っており、今後、両者がその役割をより効果的に果たしながら、連携、協働を一層推進してまいります。
 次に、在宅子育て家庭への支援についてでありますが、支援が必要な家庭等を適切なサービスにつなげるためには、住民に身近な区市町村が、訪問や相談等を通じて、きめ細かな支援を行うことが重要であります。
 このため、都は、区市町村が実施する保健師等による家庭訪問、子育て広場での育児相談、育児疲れ等の場合に子供を預かる一時預かりのほか、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行う取り組みなどを支援しております。
 今年度からは、必要なときにショートステイが利用できるよう、当日受け入れが可能な体制を整備する区市町村への支援も開始いたします。
 今後とも、全ての子育て家庭が状況に応じて適切な支援を受けられるよう、区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、風疹対策についてでありますが、本年七月以降、風疹患者が増加しておりますが、免疫を持たない妊婦が風疹に感染すると、胎児が先天性風疹症候群にかかるおそれがあることから、都は、妊娠を予定または希望する女性を対象に、抗体検査と予防接種を一体的に行う区市町村を包括補助で支援しております。
 また、男女とも患者の多くを占める働く世代への感染予防として、職場で罹患歴や予防接種歴の確認などを呼びかけるほか、十月には近隣自治体と共同してポスターを作成いたします。さらに、医療関係者を対象に、診療や保健指導のポイント等に関する研修会を開催する予定であります。
 今後も、流行状況を注意深く監視しながら、風疹の感染拡大防止を図るため、国や他の自治体、関係機関と連携いたしまして、必要な対策に取り組んでまいります。
 次に、障害者歯科医療についてでありますが、都は現在、都立心身障害者口腔保健センターで障害者に対する歯科診療を行うとともに、障害のある方が身近な地域で健診や治療を受けられるよう、歯科医師や歯科衛生士を対象に、障害の特性や障害者の対応方法などを学ぶ基礎的な研修や臨床実習を実施しております。
 今年度からは、障害者施設の職員、利用者や関係団体等から成る協議会を中心に、障害者を地域で支える区市町村の取り組みを包括補助で支援しております。
 また、東京都歯科保健対策推進協議会のもとにワーキンググループを設置し、医療機関同士の連携方法や地域の歯科診療所に対する支援策等について新たに検討を始めており、区市町村等と連携しながら、障害者歯科医療をさらに充実してまいります。
 次に、在宅歯科医療への支援策についてでありますが、在宅療養者が必要な口腔ケアや歯科治療を地域で安心して受けられるようにするためには、より多くの歯科医療機関が質の高い在宅歯科医療を提供していく必要があることから、都は、機器等の整備費として、補助基準額三百六十三万八千円の三分の二を補助しております。
 また、歯科医師や歯科衛生士を対象に、在宅医療を行うための知識や留意事項を習得する研修を行っているところでございます。
 こうした場を活用し、かかりつけ医やケアマネジャーなど多職種と連携して、在宅療養者を支援している好事例をまとめた事例集を紹介するなど、引き続き、在宅歯科医療に取り組む医療機関を支援してまいります。
 最後に、障害者グループホームへの支援についてでありますが、都は、グループホームへの独自の補助制度について、利用者の高齢化や障害の重度化等に対応し、職員を手厚く配置できるよう補助単価を変更するとともに、サービスの質の向上のための国加算を取得した場合に、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めることといたしました。これらの制度変更は、事業者の準備期間等を考慮いたしまして、平成三十一年一月に実施いたします。
 さらに、重度の障害者を受け入れるグループホームの整備を促進するため、特殊浴槽や介護リフト等を整備する場合に、整備費の補助基準額への加算を今年度から開始いたしました。
 今後、重度の障害者も地域でより一層安心して暮らせるよう、グループホームへの支援を充実してまいります。
〔消防総監村上研一君登壇〕

○消防総監(村上研一君) 水害における装備資機材等の強化についてでございますが、東京消防庁では、浸水地域の救助活動を効果的に実施するには、適切な資機材を備えることが重要であると認識しております。そのため、船外機つき救命ボートや水上バイク等の装備資機材を整備しております。
 さらには、平成二十七年の関東・東北豪雨水害を踏まえ、瓦れき等が沈む浸水地域においても安全に救助活動を行うため、浮力が高く強固なウレタンボートを平成二十九年から新たに導入するなど、災害状況に応じた活動ができる体制を整えております。
 なお、西日本豪雨災害では、大量の土砂や瓦れきの発生、夜間の被害拡大など、課題が認められたことから、被災地の調査を行い、現在整備している水上バイクのほか、水害における装備資機材等のさらなる充実強化に努めてまいります。
〔総務局長代理次長榎本雅人君登壇〕

○総務局長代理次長(榎本雅人君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、タイムラインの作成支援についてでございますが、都民が水害発生時に逃げおくれないようにするためには、都民一人一人が気象や避難に関する情報を入手し、適切なタイミングで正しく行動することが重要でございます。
 そのためには、個人が災害発生までの行動を時間軸に沿って整理するマイタイムラインの作成が有効であります。現在、都は、区と共催で実施している住民参加型ワークショップの場で、マイタイムラインの作成を支援しております。
 今後は、ワークショップの開催をさらに拡充するとともに、専門家の意見を聞きながら、大人から子供まで幅広い世代が簡単にマイタイムラインを作成することができる都独自のツールを開発し、広く都民に提供してまいります。
 これらの取り組みにより、マイタイムラインの作成を促進し、発災時における都民の適切な避難行動を確保いたします。
 次に、帰宅困難者対策についてでございますが、大規模地震がどのような時間帯に発生しても、行政、企業や都民が一体となって帰宅困難者対策を進めていくことが重要でございます。
 都はこれまで、帰宅困難者の発生が最も多く見込まれる勤務時間帯における発災を想定し、企業に対して、発災時の従業員との連絡手段の確保やとるべき行動などについて、あらかじめ計画として定めておくことを呼びかけてまいりました。
 今後、大阪府北部を震源とする地震の状況も分析し、通勤時間帯に地震が発生した場合の従業員の出社か帰宅かの判断の考え方など、発災時間帯に応じたきめ細かな対応を企業のBCP等に反映できるよう、経済団体などとも連携し、取り組んでまいります。
 次に、性自認及び性的指向についての区市町村での理解推進のための取り組みについてでございますが、性自認及び性的指向に関して悩みや困り事を抱える当事者が最も身近に接する行政の窓口は区市町村であり、各現場において適切に対応するためには、担当する職員が、この問題について正しく理解していることが不可欠でございます。
 そのため、都は、区市町村職員の理解が深まるよう、先進的な事例等の情報共有を図るための新たな連絡会の設置や、担当職員向けの研修や学習会の実施などを通じ、これまで以上に都内区市町村の取り組みの充実に協力してまいります。
 最後に、ヘイトスピーチへの取り組みの考え方についてでございますが、東京二〇二〇大会も控え、東京を訪れる外国人は今後も増加していくことが見込まれる中、ホストシティーとして、東京にヘイトスピーチはあってはなりません。
 今回提案した条例案では、表現の自由に配慮するための仕組みも設けつつ、公の施設の利用制限について基準を定めるという事前措置と、事後の拡散を防ぐ取り組み及び事案の概要等の公表など事後の措置をあわせて規定し、より実効的な内容としてまいります。
 こうした仕組みを構築することで、ヘイトスピーチの解消を図るとともに、ヘイトスピーチは決して許されるものではないというメッセージを都として強く発信してまいります。
〔下水道局長小山哲司君登壇〕

○下水道局長(小山哲司君) 下水道における浸水対策についてでございますが、浸水から都民の生命と財産を守るため、大規模な幹線や貯留施設などの整備を進めることに加え、地域の実情に応じたきめ細かな対策を実施することも重要でございます。
 このため、下水道局では、頻発する豪雨の状況を踏まえまして、地形や下水道管の雨水排除能力などを確認の上、地元区などと連携いたしました雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえ、小規模なバイパス管の設置などの短期的な対策を積極的に検討してまいります。
 さらに、都民みずからが行う自助の取り組みを支援するため、降雨情報の提供などのソフト対策も推進してまいります。降雨情報サイト、東京アメッシュでは、スマートフォン版を配信するとともに、今年度からバナーを拡充し、豪雨への備えなどの情報発信を強化しているところでございます。
 今後とも、施設の整備と自助の取り組みへの支援を組み合わせ、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の広域的な雨水対策についてでございますが、都は、平成二十六年に改定いたしました東京都豪雨対策基本方針に基づきまして、河川や下水道の整備、流域対策などの総合的な治水対策を地元自治体と連携して進めております。
 多摩地域の公共下水道整備は市町村の役割ではございますが、複数市にまたがり、甚大な浸水被害が発生したエリアで広域的な雨水対策が効率的な場合には、都が雨水幹線を整備しております。
 近年、立川市、東大和市、武蔵村山市にまたがる空堀川流域の南部地域におきまして浸水被害が頻発しており、都と関係市で整備手法などの検討を重ねてまいりました。
 その結果、広域雨水幹線の整備が合理的であることから、都が流域下水道事業として実施することといたしました。
 今後とも、都と地元自治体が連携を密にして、浸水被害の軽減に向け取り組んでまいります。
 次に、東京都建築安全条例の改正についてでございますが、今般の条例改正は、大規模長屋に関し、居住者の円滑な避難を確保するなどの観点から行うものでありまして、主要な通路幅などについて規制を強化するとともに、区市町村が地域の実情に応じ、都の条例と同等以上の規制を独自の条例により定めることを可能とするものでございます。
 都は、条例改正後、ホームページなどにより都民等に広く周知するとともに、実効性を確保するため、業界団体に説明を行い、理解と協力を求めてまいります。
 また、区市町村に対しては、条例の改正内容をわかりやすく解説した文書を通知するなど、適切な運用が図られるよう支援してまいります。
 区市町村とも連携し、こうした取り組みを進めることで、都民の安心と安全の確保を図ってまいります。
 次に、都営住宅に関する新たな施策の展開についてでございますが、都は、住宅の確保に配慮を要する都民の居住の安定を確保するため、東京都住宅マスタープランに基づき、住宅セーフティーネット機能の中心的役割を担う都営住宅を提供しております。
 現在、少子高齢化と世帯の単身化が急速に進行する中、高齢者世帯が安心して暮らし続けることのできる環境の整備や、住宅に困窮する子育て世帯に対する支援などが課題となっております。
 これらに対応していくため、都営住宅における福祉的サービスとの連携の強化や、子育て世帯の入居のあり方などについて検討を行い、施策を進めていく必要がございます。
 このため、十月に住宅政策審議会を立ち上げ、今後の都営住宅における管理制度などについて検討を行います。
 次に、都営住宅の次期指定管理者の選定についてでございますが、都営住宅は、住宅に困窮する都民に対する住宅セーフティーネットとしての役割を担っております。
 そのため、指定管理者には、適正かつ公平に入居者管理を行うことのできる実績や能力が求められます。加えて、入居者の高齢化や世帯の単身化に対応する福祉的サービスや新たな事業を担うことができ、災害時においても迅速に対応できる組織、財政基盤などが必要になります。あわせて、住宅管理の効率的な運営やコスト抑制に向けた取り組みも求められます。
 こうした都の政策との連動性や管理運営の特殊性を踏まえ、次期指定管理者について検討を進めているところでございます。
 最後に、住宅確保要配慮者に向けた取り組みについてでございますが、住宅確保要配慮者の居住の安定を図るため、セーフティーネット住宅の登録を着実に進めることが重要でございます。
 そのため、都は、本年三月に供給促進計画を作成いたしまして、登録住宅の面積基準の緩和を図るとともに、区市町村の意向を踏まえながら、家賃低廉化補助等の予算措置を講じました。
 また、七月に行われた国の申請手続の簡素化については、速やかに不動産団体等に周知するとともに、意見交換を行い、本定例会に登録申請手数料の無料化を提案いたしました。
 今後、ご指摘を踏まえ、区市町村や不動産団体に加え、見守りなどの生活支援を促進するため、居住支援法人などと意見交換を進めるとともに、これら関係者間の連携を強化し、貸し主、借り主双方の不安軽減を図りつつ、セーフティーネット住宅の登録促進に向けた対応策を検討してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 通学路の防犯カメラについてでありますが、都は、通学路における児童の安全を確保するため、今年度までの五カ年の取り組みとして、区市町村に対し、小学校の通学路の防犯カメラの設置費用を補助しており、昨年度までに累計約五千三百台が設置されております。
 一方、国においては、本年五月の新潟の事件を踏まえ、危険箇所の重点的な警戒や見守り、防犯カメラの設置支援などを内容とする登下校防犯プランを作成したところであります。現在、これを受け、区市町村において、通学路の緊急合同点検や防犯カメラの必要数の調査等を実施しております。
 今後、国の動向や区市町村の調査結果、都と区市町村との役割分担等も踏まえつつ、都として、子供の安全確保のため適切に対応してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、工業用水道利用者に対する支援についてでございますが、工業用水道の各利用者を本年七月から個別に訪問し、有識者委員会報告書の支援策についてご意見を伺ったところ、回答者の過半数の方から、料金差額補填の期間が短いとの意見や期間の延長を求める声が寄せられました。
 こうした意見等も踏まえ、料金差額補填の期間を、上水道への切りかえ期間四年の後、新たに料金の据置期間六年を加え、その後、利用者の料金負担の激変を緩和する期間を十年、合計二十年間とする支援計画案を取りまとめました。
 今後、この計画案を踏まえ、きめ細かく対応してまいります。
 さらに、工業用水道事業の廃止が決定された以降も、長期的な観点から、支援内容や対象について利用者の声を聞きながら、社会経済状況等を踏まえ、経営断念につながらないよう検証を重ねてまいります。
 次に、工業用水道配水管の安全対策についてでございますが、配水管の破損等による道路陥没の被害を防止するためには、安全対策が不可欠であると認識しております。
 このため、上水道への切りかえ期間中は、継続的かつ適切な維持管理を行うとともに、切りかえが完了した配水管は、道路管理者と協議の上、可能な限り他用途への転用や撤去を進めてまいります。
 また、撤去完了までには一定の期間が必要となるため、暫定的な陥没防止対策を実施いたします。
 さらに、工業用水の供給停止後に実施する配水管の転用や撤去のスケジュール等に関する計画につきましては、道路管理者と協議を行い、コスト面にも配慮しながら、切りかえ期間中に策定をしてまいります。
 この計画に基づき、供給停止後におきましても、配水管に十分な安全対策を講じてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 工業用水道事業に関する今後の庁内連携体制についてでございますが、事業の廃止に伴う利用者への支援策につきましては、水道局を初め関係各局による庁内検討会を通じて検討を行い、今回、支援計画案を取りまとめたところでございます。
 ご指摘のとおり、利用者に対する支援は、今後、長期にわたり実施していくものでございまして、利用者に寄り添いながら、着実かつ円滑に進めていくためには、関係各局が連携して対応していくことが重要でございます。
 こうしたことから、来年度より着手する上水道への切りかえや利用者への支援の状況などを的確に把握し、関係各局で共有するとともに、長期的な観点から、今後行っていく支援内容や対象の検証も見据えまして、庁内横断的な体制を整備してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の事業承継に向けた支援についてでございますが、中小企業の事業承継を円滑に進める上で、その必要性を経営者が身近な問題と捉え、支援に関する情報を適切に得られるようサポートすることは重要でございます。
 都では、各地域に設けました支援拠点を通じ、承継を必要とする企業に働きかけを行い相談対応を進めますほか、経営者に事業の引き継ぎに取り組むきっかけを提供するセミナーを開催しているところでございます。
 今後は、ご提案を踏まえ、中小企業が事業承継の問題をより身近に感じることのできるよう、情報発信の内容を工夫いたしますとともに、都の支援施策を的確に伝えられる媒体の活用を検討してまいります。また、承継に関して相談のしやすい仕組みの検討も行い、中小企業への支援を進めてまいります。
 次に、会社合併による中小企業の事業承継についてでございますが、東京の中小企業の存続と発展を図る上で、その経営を親族等に引き継ぐことのできない場合、会社合併の方法を活用することは効果的でございます。
 一方で、合併を進める際には、法令の専門家にさまざまな実務を依頼することや、条件の合う会社を特定し、多くの調整を行う一定の期間が必要となります。
 都では、中小企業が合併の相手先を決めて経営を続けるに当たり、その手続に必要な費用への助成を行っております。
 今後は、会社合併の相手先を探すための費用の軽減のほか、合併までに必要となる資金調達支援について検討してまいります。
 こうした取り組みにより、中小企業の事業承継の支援を着実に進めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場の安全性についてですが、豊洲市場では専門家会議により、地下ピットや地下水の状況に関する調査を実施し、客観的なデータに基づきまして、さまざまな検証をしていただいたところでございます。
 この結果、同会議において、豊洲市場用地の法的、科学的な安全性を確認いただくとともに、将来のリスクを見据えた対策を提言していただきました。
 都は、この提言に基づきまして、追加対策工事を本年七月に完了させ、この工事の有効性について専門家会議にも確認していただいたところでございます。
 こうした一連の取り組みによりまして、豊洲市場の安全性はさらに向上したものと認識しております。
 次に、追加対策工事後の管理についてですが、専門家会議からは、都による今後の管理案の内容を確実に実施していくことが重要であるとの評価をいただいておりまして、都といたしましては、これを踏まえて、今後の管理を着実に実施してまいります。
 具体的には、地下ピット内のコンクリートの調査や補修を定期的に実施するとともに、地下水管理システムの揚水能力を確保するための井戸やポンプのメンテナンスを行うなど、追加対策工事で整備した施設や設備を含めて、適切に管理してまいります。
 また、空気や地下水の測定を継続的に実施し、その結果を公表することにより、豊洲市場を安全・安心な市場として運営してまいります。

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