○議長(尾崎大介君) 二十五番内山真吾君。
〔二十五番内山真吾君登壇〕
○二十五番(内山真吾君) 都民ファーストの会東京都議団の内山真吾です。
私からは、生きる力を育む学校教育についてと都道の拡幅についてお伺いしたいと思います。
まず、いじめや不登校を生まない学級づくりについてお伺いをいたします。
子供たちは成長していく中で、日常生活や学校生活、また発育発達段階において、さまざまな課題に直面をしていきます。それらにつまずき、学級としてあるべき姿がゆがみ始めてしまうと、いじめや不登校、学級崩壊といったさまざまな症状としてあらわれてきます。
不登校を語る上で重要な数値は二つあります。それは出現率と復帰率です。
不登校の出現率を下げることに成功している自治体は幾つもあります。東京都の中学校における平均不登校出現率は三%台であるのに対し、例えば三鷹市では〇・六%台まで下げることに成功しております。
一方、復帰率を上げるというのは、どこの自治体でも軒並み二〇%程度と極めて厳しいということがわかります。
起きてしまったいじめや不登校、学級崩壊に対応することも重要です。しかし一方で、ここから見えてくる最大のポイントは、そもそも不登校を生まない、予防医療や予防介護のような視点はさらに重要だということです。
教育でいえば、コミュニケーション能力や自己肯定感、そして自己有用感を育み、課題発見能力や課題解決能力、まさにこれからの変化の激しい社会を生き抜いていく力、知、徳、体のバランスのとれた生きる力を育むことであり、それこそ教育の本質であると考えます。
例えば、入学直後の年度初めに、チームビルディングの手法による体験的な学習、アドベンチャー教育等を活用し、負の人間関係ができる前に学級をつくり上げていく取り組みが効果を上げています。たった数時間のプログラムで、学級経営の円滑化はもちろん、不登校の減少や学力の向上にまで寄与するとのことです。
また、年間を通して課外学習や移動教室等を活用し、体験だけ学習とやゆされるような体験のためだけの体験から、明確な目的、意図を持って、外部人材や外部団体を活用した真の体験学習、すなわち体験を通して効果的な学びのサイクルを回していく、企業でいえばPDCAのサイクルを回していくような、新たな学習方法の活用が注目をされています。
そこで、お伺いをいたします。
いじめや不登校を生まないためには、学年当初から学級等において体験的な活動などを通して、よりよい人間関係を築くことができるような取り組みを充実させることが重要であると考えますが、公立小中学校において都教育委員会の見解をお伺いいたします。
また、より直接的なかかわりとなる都立の高等学校における見解と取り組みについてもお伺いいたします。
続きまして、教員の負担軽減の取り組みについてお伺いをしたいと思いますが、その前に、東京都における適正な学級規模についてお話をさせていただきたいと思います。
これまで国においては幾度となく三十五人学級の議論がされてきました。現在は、小学校一、二年生が三十五人学級となり、文部科学省はさらなる拡充をとの立場でしたが、一方で、財務省は全ての学年を四十人学級に戻すべきと主張。その根拠は、三十五人学級を導入しても、いじめや不登校、児童生徒の問題行動等に有用な変化がなかったためとしました。
しかし、そもそもいじめの件数というのは、その定義自体が各自治体によって曖昧であり、エビデンスとして扱うにはかなり信憑性に欠ける数字であると思います。
また、不登校の出現率の改善についてですが、小学校五年生ごろから中学生に向けて増加していく不登校が、小学校一、二年生に三十五人学級を導入したところで、数値に変化があるとは考えづらく、児童生徒の問題行動の調査に至っては、数字を挙げるかどうかは学校や自治体の判断となっており、例えば、対教師暴力、対生徒間暴力、器物破損等、軒並みゼロ件として出している自治体も少なくない中で、こちらもエビデンスとして出すにはかなり不安定な数字であると思います。
一方で、他道府県では、山形県の三十三人学級を初め、独自の少人数学級を実施し、その効果が報告されております。
確かに地方では少子化の影響もあり、少人数学級の導入がしやすいという状況にありますが、一方で、東京都は人口が多く、多様性もある以上、よりきめ細やかな指導ができる学級編制にしなくてはならないと思いますし、教員の負担軽減という観点からも極めて重要です。
少人数学級を導入し、学級をふやすにも、学校によっては空き教室がないという指摘があります。しかし、小学校二年生は、三十六人を超えた学級の場合、三十五人学級にするか、教員の加配にするかは選択できる形となっておりますので、同様の仕組みでの導入であれば、それは問題にはなりません。
教員の採用枠を広げることは、教員の確保が難しくなる、または採用教員の質を下げることになるとの指摘があります。しかし、東京都の児童生徒数の今後の見込みと小中学校の教員の現状の年齢構成から考えると、今後七、八年で教員の必要数や新規採用者数は数百人単位で減少に転じ、採用倍率は高くなることが容易に予想されますので、その指摘も当たらないと思われます。
今すぐ少人数学級を導入するべきとは申し上げませんが、段階的な導入を図るというのであれば、やはり七、八年はかかることになりますので、今から東京都として、小中学校における適正な学級規模がどれくらいなのかという議論は始めてしかるべきであることを指摘させていただきたいと思います。
その上で、現在取り組みをされている学校マネジメント強化モデル事業とスクールサポートスタッフ配置支援事業についてお伺いをいたします。
学校現場では、校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、一般教諭という職層がありますが、特に副校長と主幹教諭に負担が強くなる傾向にあるといわれており、過大な業務負担は学校管理職のなり手不足にも影響しております。
そのため、まずは副校長が本来の業務に専念できるよう、事務作業の軽減など、副校長の多忙感を解消する取り組みが必要です。
そこで、現在、都教育委員会が副校長の負担軽減のために導入している学校マネジメント強化モデル事業について、現状と今後の対応についてお伺いいたします。
また一方で、職層にかかわらず、学校教員は事務作業などの雑務に追われており、都の勤務実態調査でも、週六十時間以上在校している教員が出てきています。
そのため、教員の負担軽減を図り、児童生徒の指導などの業務に専念できる体制づくりが必要です。
そこで、都教育委員会が実施しているスクール・サポート・スタッフ配置支援事業について、現状と今後の対応についてお伺いをいたします。
続きまして、学校飼育動物についてお伺いいたします。
学校における動物飼育については、豊かな人間性の育成に資する一方、不適切な飼育が行われた場合、教育的な観点からは逆効果となる可能性があります。いうまでもなく、行政も教員も動物飼育の専門家ではありません。
そこで、東京都では、小学校において児童による継続的な動物飼育を円滑に実施し、よりよい体験を与える環境を整えるため、獣医師等との効果的な連携のあり方について検討し実施する、小学校動物飼育推進校を指定しております。
各推進校からの声によると、非常に評価が高い取り組みのようにも感じますが、残念ながら千二百校以上ある公立小学校の中で、この推進校の枠はわずか五校のみとなっています。
そこで、お伺いいたします。
今後、都全体へこの取り組みの効果を普及していくべきと考えますが、小学校動物飼育推進校事業における課題と今後の取り組みについてお伺いいたします。
また一方、獣医師との連携が円滑に図られている学校は必ずしも多くはありません。
例えば、学校飼育動物が備品として扱われ、治療費ではなく修繕費として扱われている自治体、学校があります。特に小動物は、購入するにはさほど高価ではなく、治療費の方が高いというのは往々にしてあります。
動物を飼うというのは、購入費だけではなく、その後のもろもろかかる費用も含めてのコストのはずですが、備品の修繕費として扱われているためか、けがや病気の場合は治療をせずに新しい動物に買いかえるといったケースが出てきてしまっています。
また、そもそも予算の中で治療費が十分ではないケースでは、教員が見るに見かねて、みずから治療費を出すケースや、獣医師の方々が目の前で苦しんでいる動物を見殺しにはできずに善意で治療はしたものの、どこにも治療費を請求できずに泣き寝入りをするというケースがあります。
このような状況は、子供たちへの教育として考える中でも決して望ましい環境とはいえず、間違ったメッセージを子供たちへ発信しかねません。
そこで、お伺いいたします。
これらの状況の改善を考えるに当たり、自治体や学校現場は獣医師との綿密な連携をする必要があると考えますが、都教育委員会としての所見をお伺いいたします。
続きまして、都道の拡幅についてお伺いいたします。
昭島三・五・一二号、江戸街道から福島交番前は、昭島市総合スポーツセンターの西側に隣接し、東中神駅東側踏切のアンダーパス化が事業中の昭島三・二・一一号の南側に位置する都市計画道路であります。
今後、昭島三・二・一一号が開通をいたしますと、当該道路への流入交通の増加が予想されますが、現在は道路幅が狭く、歩道も十分に整備されていないため、歩行者の安全性や車の渋滞など、さまざまな懸念が市民の方々から上がっております。
そこで、お伺いいたします。
昭島三・五・一二号の事業化は今のところ未定と聞きますが、今後の対応についてお伺いいたします。
以上で私の一般質問は終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 内山真吾議員の一般質問にお答えいたします。
私からは六点のご質問にお答えいたします。
まず、小中学校のいじめや不登校の防止についてでございますが、小中学校において、いじめや不登校を未然に防止するためには、学級活動や行事等において、子供同士のかかわりを深める体験的な活動などにより、人間関係の形成や学校生活への適応を図ることが重要でございます。
都内公立小中学校の中には、遠足や運動会等に加えて、外部人材を活用して、自然環境を生かした宿泊行事等を行うことで、人間関係を築く力を育成し、子供たちの連帯感を高めている学校もございます。
今後、都教育委員会は、こうした特色ある事例を、区市町村教育委員会に周知するとともに、新たに作成する不登校の未然防止に向けた手引に体験的な活動の具体例を示し、都内全公立小中学校に配布するなどして、いじめや不登校の未然防止の取り組みを一層充実してまいります。
次に、都立高校でのいじめや不登校の防止についてでございますが、都立高校においていじめや不登校を防止するためには、小中学校と同様に体験的な活動などにより、生徒同士の人間関係の形成を図っていくことが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、生徒同士の人間関係構築を目的として、NPO等との連携による体験的な活動の積極的な実施を促すとともに、全ての定時制課程の第一学年を対象にグループエンカウンターを導入してまいりました。
今後、都教育委員会は、学校におる体験的な活動をより一層充実するため、健全育成に関する教員研修会において、NPO等と連携した取り組みの活用を促進するとともに、外部講師による演習を実施することを通して、いじめや不登校の防止を図ってまいります。
次に、学校マネジメント強化モデル事業についてでございますが、学校を取り巻く課題が多様化、複雑化する中、副校長には教員の指導のほか、保護者対応や地域との調整等、さまざまな業務が集中しており、改善が必要になっております。
このため、都教育委員会では、副校長が学校経営や教員の指導等に、より専念できる環境を整えるため、昨年度から小中学校十二校において、副校長業務の一部を担う非常勤職員の配置モデル事業を開始し、今年度は百二十校に拡大いたしました。配置校からは、副校長の勤務時間の縮減はもとより、業務の質が高まり、やりがいを感じるといった声が上がっております。
今後とも、区市町村教育委員会と連携を図りながら、本モデル事業の効果検証を行い、副校長の負担軽減や教育の質の維持向上に取り組んでまいります。
次に、スクール・サポート・スタッフ配置支援事業でございますが、教員の長時間労働は、教員の健康保持のみならず、日常の教育活動にも影響がある深刻な問題であり、早急に解消しなければならないと認識しております。
このため、都教育委員会では、今年度から新たに、小中学校四百校を対象に、プリントの印刷や教材準備などを教員にかわって行うスタッフを配置する区市町村に対して、人件費の支援を行う事業を開始いたしました。区市町村からは、教員が子供と触れ合う時間や教材研究にかける時間がふえているなどの声をいただいております。
今後は、本事業のより効果的な運用を促進するため、スタッフの有効な活用方法の事例を周知するなどして、教員の業務の負担を軽減し、学校教育活動の充実を図ってまいります。
次に、小学校動物飼育推進校についてでございますが、子供が命のたっとさを理解するためには、生き物に親しみを持ち、大切にする心情や態度を育むことが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、動物飼育の具体的な方法や学校全体での取り組み方に関する教員研修を実施するとともに、小学校動物飼育推進校を指定してまいりました。推進校では、獣医師等による指導のもと、児童が動物の心臓の音を聞くなどの体験を通して、命の大切さを実感しております。一方、推進校での取り組みを、さらに広く他の小学校に周知していくことも必要でございます。
今後は、推進校におけるすぐれた実践事例や獣医師等との連携方法などを各学校がより一層活用できるよう、区市町村教育委員会の担当者連絡会で説明し、啓発してまいります。
最後に、学校現場と獣医師との連携についてでございますが、都教育委員会は、子供たちに命を尊重する心などを育む教育に資するため、平成二十六年度に区市町村教育委員会が都獣医師会と連携して、学校で獣医師を活用していくためのガイドラインを作成いたしました。
このガイドラインでは、学校担当獣医師は、契約に基づき、学校飼育動物に関する衛生管理指導として、飼育動物の健康診断及び飼育管理指導を行うとともに、必要な治療などを行うこととしております。
都教育委員会は、都内公立学校における学校飼育動物の適切な管理のために、学校担当獣医師との連携がより促進されるよう、区市町村教育委員会に対してこのガイドラインの一層の活用を働きかけてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕
○都市整備局長(佐藤伸朗君) 昭島三・五・一二号東中神線の今後の整備についてでございますが、都はおおむね十年ごとに都市計画道路の事業化計画を策定し、優先的に整備すべき路線を定め、計画的、効率的な道路整備に取り組んでおります。
昭島三・五・一二号は、平成二十八年三月に策定した第四次事業化計画において、優先整備路線に位置づけられていないため、お話の区間を含めて、現在、事業化の予定はございません。
優先整備路線以外の都市計画道路の事業化につきましては、今後の社会経済情勢の変化や周辺の都市計画道路の整備状況を勘案しながら、適切に対応してまいります。
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