平成三十年東京都議会会議録第九号

○副議長(長橋桂一君) 三十番小松大祐君。
〔三十番小松大祐君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○三十番(小松大祐君) 初めに、都市外交について伺います。
 東京都は、昭和三十五年のニューヨーク市との姉妹友好都市提携に始まり、さまざまな国際協力、国際貢献をしてきた歴史があります。今日の東京が世界に冠たる大都市として存在していることは、これまで都政に携わってきた先人たちの長年のたゆまぬ努力のたまものといえます。
 いうまでもなく、世界各国で、大都市は、経済的豊かさ、文化的魅力、生活の快適性など、都市力の向上を追求し競い合っています。金融センターや交通ハブの主導権をめぐり、熾烈な競争下にもあります。
 都においても、外国人にとって生活、ビジネスしやすい、快適に滞在しやすい環境整備や、東京のプロモーションを進め、魅力を発信など、小池知事からも折に触れて発信をされておりますし、その取り組みも承知しております。
 今後、東京がさらにプレゼンスを高めていくためには、東京があまたの都市問題を解決していく中で培われた豊富な経験、知見、技術を通じた都市問題への対処や、途上国支援の面でも、今後も積極的に国際社会に貢献していくことが不可欠と考えます。
 公共インフラの技術協力や、都が持つ都市問題解決の知見を通じた国際貢献について、知事は今後どのような展開をお考えなのか、見解を伺います。
 都は、平成二十六年に東京都都市外交基本戦略を策定し、都市外交の取り組みを進めていると認識しています。二都市間、多都市間外交を国内外で積極的に展開をしていくとあります。
 東京オリンピック・パラリンピック大会までに三十都市との関係を構築することを目指すとありますが、現在までの進捗と今後の見通しを伺います。
 二〇二〇年のパラリンピック大会は、我が国における障害者スポーツのゴールではありません。二〇二〇年がピークであってもなりません。
 都は、東京都スポーツ推進総合計画において、二〇二四年までの政策目標を掲げています。しかし、障害者スポーツを、二〇二〇年大会をトリガーとし、日本に根づかせ、浸透、振興していくためには、より長期的なビジョン、構想を早く示すべきと考えます。
 二〇二〇年大会の成功は、今後の障害者スポーツ普及に向けても、重要な目標ではありますが、そのことにとらわれ過ぎて、その後の展望についての議論や政策検討がおざなりになっていないか危惧するところでもあります。実際に、競技者や競技団体から、二〇二〇年大会が打ち上げ花火で終わらないかと不安視する声も聞こえています。
 また、先日、ある都立特別支援学校の校長先生と会話をした際、うちの生徒たちはパラリンピックに余り関心がありません、障害者スポーツ、イコール、パラリンピックではありませんとのお話も伺いました。
 ご存じのように、障害者スポーツは多様であり、パラリンピック大会で競技される種目はその一部の種目にすぎません。
 知事は、パラスポーツのファンサイト、チームビヨンドにおいて、二〇二〇年以降も東京に、そして日本全体にパラスポーツが根づいていくよう、さまざまな視点からその魅力を発信していくと、力強く述べられています。
 二〇二〇年以降も、東京において障害者スポーツが活性化していくために、知事はどのような構想をお持ちであるのか伺います。
 次に、障害者施策について二点伺います。
 まず、障害者の通学や福祉施設への通所の際の移動支援について伺います。
 視覚障害や知的障害など、屋外での移動が困難な障害者の外出のための支援として移動支援があります。
 移動支援は、区市町村が地域の特性に応じて柔軟に実施する地域生活支援事業に位置づけられています。そのため、地域ごとに移動支援の実施状況には差があり、例えば、世田谷区では通学、通所とも対象としていますが、現在の支給時間ではとても足らないとの不満の声も聞きます。
 そこで、ほかの自治体の状況も確認したところ、多くの自治体では、通学、通所は対象としていないとも聞きます。
 障害児を家族に持つ家庭では、経済的な負担をふやすか、働く時間を削って家族が送迎に当たるしかないのかとの声もあります。子育て世代の負担軽減が叫ばれる中、通学、通所にかかわる移動支援については、全国一律の基準に基づいて行われる自立支援給付として実施ができるよう、国に対して働きかけをより積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 平成二十八年十二月に示された、二〇二〇年に向けた実行プランには、共生社会の実現に向け、障害のある子供たちの自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加、貢献できる人間を育成すると明記されています。私は、ここに貢献の言葉が書かれていたことに強く共感を覚えるものです。
 支える福祉から脱却し、障害者が能力や適性に応じて学び、働き、自立した生活を送れる社会を実現しようとする都の指針、メッセージに共感をしたのです。
 かつて、米国大統領ケネディは、全ての障害者をタックスペイヤーにしたいと、米国議会で述べました。この強靱な意思は、やがて米国障害者自身の自立運動につながり、雇用と就労の道をみずからの手で開拓する契機となりました。
 都も国も、これまでに障害者の方を積極的に雇用していくスキームやインセンティブで就業環境を改善してきました。
 一方で、障害者でもできる仕事を見つけて提供してきた側面もあると思います。障害者が能力や適性に応じて働き、自立した生活を送れる社会に求められるのは、幼少期より好奇心を醸成し、意欲を引き出し、志があれば、より高度な知識や技術をみずから習得していけるような学習環境を、特別支援学校、家庭、地域社会の中に構築していくことではないでしょうか。
 視覚障害者でも使えるよう、ボイスオーバーという画面読み上げ機能が備わったアイフォンや、グーグルホームを初め、今ある技術革新は、障害児の学習環境にも大きな影響を与えています。格段に学習効率が上がり、情報格差を補い始めました。
 地域生活支援事業の中には、学習補助器具でもある点字ディスプレーの給付など、日常生活用具給付等事業もあります。この地域生活支援事業は、国の補助金を財源として実施していますが、事業実績に見合った額の交付がなされておらず、都道府県や区市町村に超過負担が生じているとも聞いています。
 このため、給付される用具の種類についても、居住する自治体によって異なるのが現状です。区市町村の財源の制約によって、給付内容に格差が生じる現状を少しでも緩和すべく、都として取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 都政課題の一つに、生産緑地の二〇二二年問題があります。直接的には、緑地確保、農地の保全の問題ということになりますが、それだけではありません。
 都は既に明らかにしていますが、生産緑地は、その地域において、教育や防災機能など、多面的な機能を果たしています。その生産緑地が四年後を境に急速に減少し、宅地化する可能性があるというのがこの問題です。
 この生産緑地の宅地化は、地域の防災機能を担う都立公園の整備、事業化の妨げとなるケースも多く、その進行を抑制する策が期待されてきました。
 現時点で、今後整備すべき都市計画公園の面積は二千ヘクタール以上あり、区域内には、いまだ生産緑地が多数残存しています。豊かな自然環境の創出、保全は、二〇二〇年に向けた実行プランにも明記されています。
 そうした観点からも、今回予算措置された生産緑地公園補助制度の成果を期待するものでありますが、この制度の対象となる生産緑地の面積はどのくらいあるのか伺います。
 また、この制度を効果的に活用していくために、区市に対して丁寧に周知を図るなど、都も相応の準備を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、農地保全に密接に関連する都市計画について伺います。
 東京における都市計画道路の整備方針でも取り上げられておりますが、計画決定されている都市計画道路の中には、ほかの都市計画と重複している箇所があります。例えば、世田谷区にある都市計画道路の補助第二一六号線と都立祖師谷公園です。そのことが道路も、そして公園も事業が進捗しない一因との声もあります。
 祖師谷公園は、東京都地域防災計画及び世田谷区地域防災計画により、防災上の重要な位置づけを持っています。にもかかわらず、その周辺地域は都市計画公園区域内にあるため、建築制限があり、堅牢な建物を建てることができず、狭隘道路が解消されない状況にあるなど、防災上の課題が満載という矛盾にあります。
 都内にはほかにも、補助第二一五号線と善福寺川緑地など、都市計画が重複しているケースが幾つも存在しています。それぞれに近接する地域では、早期解消が期待されています。都はどのようにこれらの整合性を図っていくのか、見解を伺います。
 また、こうした都市計画道路のあり方の検討について、今後どのように進めるのか伺います。
 最後に、知事ご自身の学歴に関する件で二点お伺いします。
 昨日の質問で、我が党は、知事みずからの著書で、一九七六年十月、日本人として二人目、女性では初めて、しかも首席で卒業と述べたことに関してお尋ねしましたが、正面からお答えをいただくことができませんでした。よい成績と首席は全く違います。
 改めて伺いますが、カイロ大学を首席で卒業というのは誤りということでよろしいのか、ご確認させていただきます。
 もう一点、同じ著書の中で、やはり知事みずから一年目は留年したと述べています。ところがその一方で、知事は、一九七二年に入学し、四年後の一九七六年に卒業したと発言されています。一年の留年があるにもかかわらず、入学から卒業までを四年間で卒業、この点についても、知事の口から、どういうことなのか事実を明らかにしていただけますと、都民の疑念も払拭されると思います。知事よろしくお願いします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松大祐議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、都の知見を通じた国際貢献についてのご指摘がございました。
 東京が長年培ってきた技術、ノウハウの中には、世界では大変価値があるものも多い。そして、そうした技術、ノウハウを活用いたしまして、国際社会に貢献をするということは重要であります。
 都はこれまでも、水道や下水道事業、廃棄物処理、大気汚染対策など、さまざまな分野におきまして、主に発展途上国やその都市に対して支援、協力を行ってきたのはご存じのとおりでございます。
 例えば、水道分野でございますが、ミャンマーやマレーシアなどで世界トップレベルの漏水防止技術など、都のすぐれた技術やノウハウを伝える技術協力事業を進めております。
 また、廃棄物の処理や大気質改善に関しましては、ワークショップや職員の相互派遣など技術協力を行うとともに、人材育成にも貢献をしております。
 先月、東京が主催をいたしました環境国際会議におきましては、アジアを初めとする世界大都市の市長さんたち、首長等と知見の共有を行ったところでございます。
 今年度は、公共インフラ輸出、技術支援の可能性と、都の役割につきまして調査する予算を措置いたしまして、具体的な方策については、東京都技術会議において検討することといたしております。
 今後とも、都が先進的な技術等を持つ分野で貢献、協力などを行いまして、東京のプレゼンスを高めていきたいと考えております。
 二〇二〇年以降を見据えた障害者スポーツの活性化についてのご質問がございました。
 パラリンピックの成功というのは、私が目指しますダイバーシティーの実現に向けた、まさしく一つの通過点でございます。大会の成功を通じまして、その後の社会に障害者スポーツを根づかせ、そして、障害のある人もない人も互いに尊重し、支え合う、そのような共生社会をつくり上げたいと存じます。
 これまで都といたしまして、障害者スポーツ応援プロジェクト、チームビヨンドなどを通じました障害者スポーツの魅力の発信や身近な地域におけます場の開拓、支える人材の育成など、区市町村や企業などと連携をいたしまして、大会後につながるさまざまな施策を積極的に展開してきたところでございます。
 そして、本年三月、策定いたしましたのが東京都スポーツ推進総合計画でございます。これは、障害の有無にかかわらずスポーツに親しめるスポーツ都市東京を目指すというものでございます。そして、スポーツを通じまして、誰もが生き生きと生活できる共生社会を実現していきたいと考えております。
 東京二〇二〇大会の成功はもとより、大会後も見据えまして、さまざまな主体と手を携えて、障害者スポーツの一層の振興に取り組んで、新たな東京の未来につなげてまいりたいと考えております。
 なお、私の留学時代のことについてのご質問がございました。
 五十年近く前になりますけれども、エジプト・カイロの大学というのは、日本の大学のものとはかなり異なるということを、まず前提に申し上げておきたいと思います。入学式も卒業式もないというような状況でございました。
 成績でございますが、カイロ大学の卒業時に教授の一人から、成績はトップだといわれました。このまま大学院に進んだらどうかといわれまして、うれしくなってそのことを著書に記載して、それ以上のことでもございません。
 なお、公選法にかかわります文書には、その旨を記載した記憶はございません。
 それから、大学当局の指導のもとで、最終的には追試を経まして、七六年の十月、カイロ大学の卒業に必要な条件を満たしまして、卒業をすることができました。そのことは、卒業証書や卒業証明書が示すとおりでございまして、大学側も正式な卒業については、幾度も認めているところでございます。
 なお、最近掲載されました記事につきましては、弁護士の先生と法的な対応を準備しているところでございます。
〔政策企画局長遠藤雅彦君登壇〕

○政策企画局長(遠藤雅彦君) 海外都市との関係構築についてでございますが、東京都都市外交基本戦略においては、既存の姉妹友好都市、アジア大都市ネットワーク21会員都市を初め世界都市ランキング上位の先進国諸都市など、戦略的に協力関係を構築すべき都市を対象といたしまして、二都市間都市外交を進めることとしております。
 この考えに基づき、都は平成二十六年以降、二十五の都市との間で具体的な事業の実施について合意するなど、実務的な交流、協力を進め、関係を強化してまいりました。
 引き続き、海外諸都市との交流を拡大していくとともに、交流、協力の成果を、東京二〇二〇年大会の成功や大都市共通の課題解決、グローバル都市東京の実現につなげてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、通学、通所に係る移動支援についてでありますが、障害者総合支援法が定める障害福祉サービスには、地方自治体が全国一律の基準に基づいて実施する自立支援給付と、それぞれ地域の実情に応じて実施する地域生活支援事業がございまして、お話の移動支援は、区市町村が実施する地域生活支援事業に位置づけられております。
 平成二十七年十二月に出されました障害者総合支援法施行三年後の見直しについての国の報告書では、通学、通所などに関する移動支援は、自立支援給付である就労移行支援や障害児通所支援で実施すべきとされております。
 都はこれまでも、通年かつ長期にわたる通学、通所など、移動支援全般について自立支援給付の対象とするよう国に対して要望しておりまして、今後も積極的に働きかけてまいります。
 次に、日常生活用具給付等事業についてでありますが、本事業は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業でございまして、区市町村が地域の実情に応じて給付の対象となる種目、基準額、要件などを定めて実施をしております。
 事業実施に当たりましては、障害者の個別ニーズに合った最新の用具に関する情報の入手が難しいこと、実績に見合った国庫補助金が交付されていないことなどの課題がございます。
 都はこれまで、地域における事業の実施状況を取りまとめ、区市町村の取り組みの参考となるよう周知を図ってまいりました。
 今後、区市町村が利用者のニーズに応じて必要な給付を行えるよう、地域での新たな用具の導入事例を適宜情報提供するとともに、国に対し、十分な予算措置を講じるよう要望してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、生産緑地公園補助制度についてでございます。
 生産緑地は、環境や防災などの機能を有する貴重な緑の空間であり、本制度は、都市計画公園区域内の営農が困難となった生産緑地を買い取る区市に対し、都が二〇二二年度までのパイロット事業として助成を行うものでございます。
 現時点で対象となる生産緑地は、三区十九市の合計約三十三・六ヘクタールでございます。都は、この対象地を確実に緑の空間として保全していくため、本制度を積極的に活用するよう、区市に対し、制度の周知を行ってまいります。
 また、都は、関係者等による協議会を設置し、区市が買い取りの申し出に柔軟に対応するためのルールや体制の構築について検討してまいります。
 次に、都市計画道路と都市計画公園の重複についてでございますが、現在、都は、区市町とともに、優先的に整備すべき路線を除く未着手の都市計画道路のあり方について、幅広く検討を行っております。その中で、補助第二一六号線と祖師谷公園のような都市計画道路と都市計画公園等が重複している箇所につきましても検討の対象としております。
 これまでも、こうした箇所については、それぞれの機能等を勘案しつつ、例えば、都市計画公園区域をつけかえたり、道路と公園を立体的に整備するなどにより対応してまいりました。
 これらの事例も参考に、今後、計画的かつ効率的な事業実施に向けて、地形的条件などの地域の実情も踏まえ、計画の整合性を図るための方策を検討してまいります。
 最後に、都市計画道路のあり方検討についてでございます。
 現在、必要な交通機能等が既に確保された道路の拡幅や、立体交差計画の必要性など、検証の視点について整理を進めており、来月にはその内容を中間のまとめとして公表し、パブリックコメントを行ってまいります。
 これを踏まえ、個々の路線を対象とした検証を実施し、今年度末を目途に計画変更などの対応方針を示してまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時一分休憩