平成三十年東京都議会会議録第九号

○議長(尾崎大介君) 四十番もり愛さん。
〔四十番もり愛君登壇〕

○四十番(もり愛君) 今回、初の本会議質問に立たせていただきます都民ファーストの会東京都議団のもり愛です。
 これまで自治体議員として、日々地域に足を運び、声を聞いてまいりました。女性が抱えている課題や制度と制度のはざまで困っている方に手を差し伸べていきたい、今回の質問作成に当たっても、多くの当事者の方が現場で感じている問題意識を踏まえて質問させていただきます。
 女性活躍が叫ばれる一方、東京都を中心に、首都圏の少子化傾向が強く、東京の出生率は一・二四と全国で最も低い数字です。国は、少子化社会対策大綱において、妊娠期から子育て期にわたるさまざまなニーズに対して、総合的相談支援を提供するワンストップ拠点、子育て世代包括支援センターを、二〇二〇年度末までに全国展開を目指すとしています。
 妊娠段階から、一人一人の困り事にきめ細やかに対応していくことで、未然に家族の問題の芽を見つけることが重要です。児童虐待やネグレクト、子供の貧困等、家庭を取り巻く問題に対して、本当に困っている人は声を上げられないかもしれない、困り切っている人は、もう動けない状況かもしれない、全ての母子と子育て家庭を支える地域づくりが求められます。
 フィンランドのネウボラが代表的ですが、産後ケアの充実も望まれます。区市町村における子育て世代包括支援センターの取り組みが進むよう、都は、区市町村を支援すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、保育の質の向上について伺います。
 保育サービスが多様化し、さまざまな保育サービスが複雑で、利用者にはわかりにくいのが現状です。どのような保育サービスを受けていても、子供たちの命や安全が脅かされることは決してあってはならないことです。
 平成二十八年三月に、大田区の認可外保育施設で、六カ月の女の子のとうとい命が失われ、事故発生時、園長先生が一人で保育に当たっていたことが問題となりました。東京都の検証委員会において、ことし三月、再発防止に向けて報告及び提言がまとめられました。
 報告書では、認可外保育施設については、位置づけの見直しや保育の質の向上に対してほとんど議論されてこなかったとの指摘があります。
 待機児童が多い地域や親の労働時間、保育指数が足りず、預けたくても認可保育園に入れない子供たちは、認可基準を満たさない施設に預けざるを得ません。
 都道府県や区市町村における保育の窓口においても、認可外保育施設まで含めた、さまざまな保育サービスの違いが十分に把握、周知されていないケースも見られ、認可外保育施設の指導監督基準を満たしていない施設も混在しています。
 全ての子供と保護者が安心して安全に利用できるよう、認可外保育施設の保育の質の向上に向け、積極的に取り組むべきだと考えます。
 一方で、小規模で子供たち一人一人にきめ細やかで家庭的な保育を担っている認可外保育所も多くあります。その中には、子供の認可保育園への転園等により厳しい運営状況を強いられている施設もあり、これまで待機児童の受け皿としての役割を担ってきた認可外保育施設に対して、区市町村の保育サービスに位置づけられるよう支援すべきと考えます。認可外保育施設の保育の質の向上に対して、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、ライフワークバランスの推進について伺います。
 私も先日二歳になった娘がいます。日々の成長の喜び、我が子の今しかない、かけがえのない幼児期を、もっと子供と一緒にいたいと願うのは、多くの親御さんの思いではないでしょうか。安心して預けられる保育基盤の整備はもちろん重要ですが、子供と親が一緒に過ごせる時間をふやすことこそが、子育て支援なのではないかという思いもあります。それは、男女の役割を固定化するものではなく、男女ともに子育ての喜びを実感できる働き方、ライフワークバランスが重要です。
 スウェーデンでは、共働きが一般的ですが、子供が八歳になるまでは短時間労働が認められ、男女で四百八十日の育児休業があり、男性も九〇%と高い育休取得率となっています。
 東京都の二十九年度の調査では、都内企業で働く男性の育休取得率は一二・三%、ことし二月に発表された都の保育ニーズ実態調査では、一年以上の育休取得を希望する人は六八%でしたが、実際に取得したのは、母親で五〇%、男性ではわずか六%にとどまっています。
 地元大田区でも、多くの中小企業から、育児休業をさせてあげたいが、人員的にも難しいという声が聞かれ、中小企業への育休取得支援が求められます。
 今年度の新規事業である働くパパママ育休取得応援事業では、男性の育児参加を啓発にとどまることなく、育休を取得させた企業への予算措置が行われ、職場環境整備を推進するとしています。
 この事業による支援を多くの企業が利用できるよう、効果的に事業周知を図り、男性の育児休暇を大きく後押しすべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、江戸東京野菜普及の取り組みについて伺います。
 ことしの四月、国会で種子法の廃止が可決しました。種子は、命の源であり、これまで主要農産物は種子法で守られてきましたが、国の法律がなくなった今、都道府県が担うべき役割は大きくなっていると感じております。
 現在、改正が検討されている種苗法においては、自家採種は原則禁止になるのではと懸念をされています。あくまでも種苗法で登録品種となっているものに限られ、伝統野菜は対象外となっていますが、国の動きが消費者や農家を守るよりも、大企業の利益のために遺伝子組み換えを拡大しようとしている動きを危惧します。
 私の地元大田区にも、馬込三寸ニンジンや馬込半白節なりキュウリという伝統野菜がつくられており、先祖代々の種を大切に守り、手間暇かけて育てている農家さんがいます。
 東京の伝統野菜である江戸東京野菜を都としていかに守り次世代に伝えていくか、より多くの都民に味わっていただけるよう、広く普及及び拡大を進めていくべきだと考えます。現在の取り組み状況について伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 東京都環境基本計画では、二〇三〇年までに東京の消費電力に占める再生可能エネルギーの割合を三〇%程度に高めることを目標に掲げています。原発ゼロに踏み出したドイツでは、再生可能エネルギーは、二〇〇〇年に六・六%であったものが、二〇一七年、三三・一%を占め、各エネルギー源の中で最大となりました。
 東京は、日本全体の一割の電力を消費する大消費地です。東京都が都内での再生可能エネルギー導入を推進するとともに、再生可能エネルギーを優先して購入することを大々的に進めていけば、東京が牽引する形で、再生可能エネルギービジネスを発展させることができます。
 二〇三〇年までに、再生可能エネルギー三〇%の目標達成に向けて、どのように取り組みを進めていくのか伺います。
 また、活用し切れていない既存の制度を有効活用することも必要です。
 東京都では、東京ソーラー屋根台帳を作成し、公開しています。これは、都内にある建物が、どのぐらい太陽光発電や太陽熱システムに適しているのかが一目でわかり、屋根の発電ポテンシャルが見える化されています。都内の屋根という資源を最大限に有効活用すべきだと考えます。
 東京都地球温暖化防止活動推進センターでは、地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業として、三十一年度までの四年間で二十四億円規模の予算措置が行われていますが、ことし三年目の段階で五千万円しか活用されていないことは大変もったいないと感じます。
 そこで、この導入拡大事業を有効に運用し、太陽光発電、熱利用に適した屋根にこの補助金が活用されるようにすれば、都内にメガソーラーを設置するほどの大きなチャンスになるのではないでしょうか。都の見解を伺います。
 次に、環境国際会議について伺います。
 先般、パリなど二十二都市が参加して、きれいな空と都市東京フォーラムが開催されました。
 そこで、環境国際会議の成果と、これを踏まえて、今後どのように環境政策を進めていくのか、環境分野で東京が世界をリードしていくことを願い、知事に見解をお伺いいたします。
 次に、地域医療政策について伺います。
 高度急性期医療の発達により、多くの重症疾患の子供たちが救命されるようになり、それに伴い長期入院する小児患児が増加していると聞きます。少子化と高齢出産の増加も背景にあり、医療的ケアを必要とする子供はふえています。
 区南部には、NICUを持った高度急性期病院である東邦大学医療センター大森病院と昭和大学小児科には、長期にわたって入院している患児がおり、大学病院の病床が有効に活用されるためにも在宅への円滑な移行が重要です。
 都は、NICU等からの在宅移行支援にどのように取り組んでいますか。医療的ケア児とその家族が地域で安心して暮らすことができるよう、児童への適切な医療ケアとともに、家族の休息の時間の確保など、負担軽減に向けた支援を積極的に行っていくべきと考えます。都の所見を伺います。
 小児の在宅医療の充実が求められる中で、公的医療機関として荏原病院が区南部に不足している小児の在宅医療支援の一層の強化をするよう強く要望いたします。
 最後に、障害者差別解消条例に関連して伺います。
 障害の医療モデルから社会モデルへ、障害は、個人の身体的特徴にあるのではなく、社会参加に対する障壁、バリアをいかに取り除いていくことができるか。今回の都条例では、国で努力義務となっていた合理的配慮の提供を民間事業者に対し法的義務としたことは、大きな意義があります。
 そこで、学校における合理的配慮について伺います。
 障害児が、地域の学校に入学を希望しても断られることがあると聞きます。障害者権利条約にある第二十四条、教育では、障害者が障害を理由として教育制度一般から排除されないこととあります。障害のある子供の適切な就学先の決定について、都はどのように取り組んでいますか。
 障害者差別解消条例の施行に伴い、広く障害者への差別のない社会を築くためには、小学生のころから、障害のある子供もない子供も相互に交流して理解を深めていく教育が必要であると考えます。都教育委員会の認識と取り組みについて伺います。
 東京二〇二〇パラリンピック開催都市として、都民一人一人の心の中に心のバリアフリーがレガシーとなるよう願いを込めて全質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) もり愛議員の一般質問にお答えいたします。
 私から、一問、お答えさせていただきます。それは、国際会議の成果と今後の環境政策の展開についてのご質問に対してでございます。
 先月、都が主催をいたしました環境国際会議、こちらでは、アジアを初めとする世界大都市の首長さんたちを初めとする方々をお迎えいたしまして、持続可能な都市環境実現に向けた課題、そしてその取り組みについて活発な議論を行ったところでございます。
 その会議の成果といたしまして、参加された二十二の都市が、もったいないという概念の共有などによって、クリーンシティーの実現、そして快適な大気環境でありますクリアスカイの実現に向けたビジョンと取り組みを共有し、東京宣言として世界に発信をしたところでございます。
 都からは、環境政策の推進に当たりまして、武道の精神になぞらえて、心技体、すなわち、心、意識改革、技は技術革新、体は制度、この意識改革、技術革新、制度の心技体、この三つをトータルとした取り組みが重要との考え方を提唱いたしまして、参加をいたしました皆さんの共感を得て、会議全体にわたるスローガンとなりました。会議の終わりには、皆さん、心技体、心技体と、日本語でそのまま何度もいっておられました。余り使える言葉ではないかもしれませんが、よくコンセプトが伝わったのではないかと思っております。
 また、今後の都の取り組みといたしまして、個人の行動変容を促しますチームもったいないを創設するとともに、ゼロエミッションビークルの乗用車新車販売割合を二〇三〇年までに五〇%まで引き上げることを目指す宣言を行ったところでございます。
 今回の会議でますます高まりました東京のプレゼンスを最大限に発揮をいたしまして、ご指摘のとおり、環境分野で世界をリードするとともに、東京の環境政策のさらなる高度化を図って、東京二〇二〇大会のレガシーといたしまして、二〇二四年のパリ、そしてその後のロサンゼルスにも引き継いでまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害のある子供の就学先についてでございますが、これまでも都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、就学相談を実施する際には、保護者の心情に寄り添いながら、教育に対する意向、成長、発達の様子等について丁寧に聞き取り、子供の可能性をより伸長する教育環境や教育内容等について、保護者に十分に説明し、理解を求めるよう促してまいりました。
 今後も、区市町村教育委員会に対して、就学相談の考え方や基本的事項を周知するとともに、都教育委員会と区市町村教育委員会との連携協力による就学相談の充実に努めてまいります。
 次に、障害者への理解を深める教育についてでございますが、障害の有無にかかわらず、全ての人が、ともに生きる社会を実現していくためには、幼少期から互いを認め合い、尊重する態度を身につけることが重要でございます。
 これまで都教育委員会は、特別支援学級と通常の学級における授業や行事等による交流の確実な実施を指導するとともに、特別支援学校と小中学校の子供たちがともに学んだり、障害者スポーツを通して交流したりする事業を実施するなどして、相互理解の促進を図ってきております。
 今後、障害者スポーツ交流の種目を拡大するとともに、区市町村教育委員会と連携し、特別支援学級の子供たちの人とかかわる力の育成に向けた研究開発を通して、障害のある子供と障害のない子供の相互交流のさらなる充実を図り、共生社会の礎となる教育を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子育て世代包括支援センターについてでありますが、都は、国に先立ちまして、平成二十七年度から、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行えるよう、保健師等専門職の配置等を行う区市町村を支援するゆりかご・とうきょう事業を実施しております。
 国は、平成二十八年度の母子保健法改正で、母子保健施策と子育て支援施策との一体的な提供を通じて妊産婦や乳幼児を包括的に支援する子育て世代包括支援センターを新たに創設いたしましたが、その目的や基本的な事業の内容は、ゆりかご・とうきょう事業と同様となってございます。
 現在、都内で四十一の自治体が、ゆりかご・とうきょう事業に取り組んでおり、子育て世代包括支援センターなど、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備を進める区市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、認可外保育施設の保育の質についてでありますが、都は、認可外保育施設について、職員配置や設備に関する指導監督基準への適合状況を確認するため、定期的に立入調査を行いますとともに、昨年三月からは、全ての施設を年一回訪問し、施設内での衛生管理、午睡時の事故防止等について巡回指導を行っております。
 また、認可外保育施設が都独自の認証保育所や認可保育所等への移行を目指す場合には、運営費や改修費等を支援するほか、施設みずからがサービス改善に取り組めるよう、外部の専門家が施設の運営を評価する福祉サービス第三者評価の対象に認可外保育施設を加え、受審経費を新たに支援をいたします。
 今後も、認可外保育施設の質の確保と向上を図ってまいります。
 次に、NICU等からの在宅移行支援についてでありますが、都はNICU等からの円滑な在宅移行を進めるため、周産期母子医療センター等に対し、入院早期から在宅生活に向けた支援を行うコーディネーターの配置や、家族が育児や医療的ケアのノウハウを身につけるための訓練を行う専用病床の整備等の支援を行っております。
 また、退院後の在宅での療養環境を整備するため、コーディネーターや訪問看護師が退院前に自宅を訪問するほか、退院後に一時的な受け入れができる病床の確保を行うなど家族の負担軽減も図っております。
 さらに、地域の医師や看護師、保健師等に対して、小児の在宅医療や家族支援等に関する研修を実施し、在宅移行等を担う人材育成も行っており、今後とも、NICU等からの在宅移行を支援してまいります。
 最後に、医療的ケアが必要な障害児と家族への支援についてでありますが、都は、現在、病院を退院した医療的ケア児等が在宅で適切な支援を受けながら安心して生活ができるよう、看護師が自宅を訪問して、家族に対し、看護技術指導や相談、助言等を行う事業を実施しております。
 また、家族の休養と本人の健康の保持などを目的に、看護師が自宅を訪問してケアを行う、在宅レスパイト事業を実施する区市町村を包括補助で支援しております。
 さらに今年度は、支援のノウハウを有する訪問看護ステーションが、他の事業者からの運営相談に応じたり、同行訪問など実践的な研修等を行うモデル事業を開始し、医療的ケア児の対応ノウハウを普及していくこととしておりまして、今後とも、医療的ケア児やその家族への支援を充実してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、男性の育休取得促進に向けた取り組みについてでございますが、男性が育児休業を取得し、積極的に育児参加するよう促すためには、企業等での環境整備と社会的な機運の醸成が必要でございます。
 そこで、都は今年度、男性社員に連続して十五日以上の育児休業を取得させる企業を後押しする事業を開始いたしました。この事業を多くの企業に利用していただくため、国や区市町村の協力も得まして、リーフレットを配布いたしますほか、商工団体の広報誌掲載やメルマガ配信などにより、広く事業周知を図っているところでございます。
 また、男性の育休取得を呼びかけるPR動画を新たに作成し、車内広告や駅前の大型ビジョン等で発信することで、機運の醸成を図ってまいります。
 今後も、こうした取り組みによりまして、企業における男性の育休取得を支援してまいります。
 次に、江戸東京野菜の普及拡大についてでございますが、伝統ある江戸東京野菜を普及拡大していくためには、安定した生産の確保と販路の開拓に加え、その特徴を生かしたブランド化の促進が重要でございます。
 都はこれまで、安定した生産に向け、飲食店等での利用が期待できる馬込三寸ニンジンなど五品目の栽培試験を実施し、栽培マニュアルの作成を進めているところでございます。
 また、販路の開拓につきましては、飲食店や流通の事業者に栽培方法や品質を理解していただくため、畑の視察や試食会等を実施しているところでございます。
 さらに、今年度新たに、江戸東京野菜のそれぞれが持つ由来や歴史、個性豊かな味や形を魅力とした独自のブランド戦略を策定してまいる予定でございます。
 こうした取り組みにより、都内産農産物のPRを進める上でのシンボルとして、江戸東京野菜の普及を図ってまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、再生可能エネルギーの目標達成に向けた取り組みについてでございますが、都は、再エネによる電力利用割合を、二〇二〇年に一五%程度、二〇三〇年に三〇%程度に拡大するという目標に向け、ソーラー屋根台帳を活用した普及啓発や地産地消型の再エネ設備の導入支援などの取り組みを進めております。
 また、キャップ・アンド・トレード制度において低炭素電力選択の仕組みを設けるなど、電力の需要側からも再エネの供給拡大を促しているところでございます。
 今年度からは、鉄道事業者に対して、駅舎への太陽光パネル設置の支援を開始するとともに、路面に設置可能な舗装型の太陽光パネルなど、新たな再エネ技術の導入に向けた調査を実施しております。
 今後とも、エネルギーの需給両面から総合的な取り組みを展開することで、再エネ利用割合を高めてまいります。
 次に、地産地消型再エネ導入拡大事業についてでございますが、都は、平成二十八年度から、事業者を対象として自家消費型の再エネ発電、熱利用設備等の導入に際して、最大で事業費の三分の一を支援しており、これまで十六件の申請を受け付けております。
 本事業は、国の補助金との併給が可能であり、その場合は合わせて最大で三分の二の支援となりますが、昨年度から国の採択要件が厳しくなり、併給が難しい状況にございます。
 こうしたことから、電力の固定価格買い取り制度、FITによる経済的な利点に比べ、事業者が本事業を活用するメリットが小さくなっているのが現状でございます。
 今後、事業者の自家消費型再エネの導入意欲が高まるよう、本事業の見直しを検討してまいります。本事業のより一層の活用を図り、建物が集積した東京の特性を生かした太陽光発電、熱利用の拡大につなげてまいります。