平成三十年東京都議会会議録第八号

平成三十年六月十九日(火曜日)
 出席議員 百二十六名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番おじま紘平君
六番平  慶翔君
七番後藤 なみ君
八番西郷あゆ美君
九番やながせ裕文君
十番山内れい子君
十一番大場やすのぶ君
十二番伊藤しょうこう君
十三番田村 利光君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番滝田やすひこ君
二十一番藤井あきら君
二十二番奥澤 高広君
二十三番森口つかさ君
二十四番村松 一希君
二十五番内山 真吾君
二十六番森澤 恭子君
二十七番おときた駿君
二十八番菅野 弘一君
二十九番川松真一朗君
三十番小松 大祐君
三十一番柴崎 幹男君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番もり  愛君
四十一番龍円あいり君
四十二番あかねがくぼかよ子君
四十三番保坂まさひろ君
四十四番関野たかなり君
四十五番森村 隆行君
四十六番福島りえこ君
四十七番鳥居こうすけ君
四十八番つじの栄作君
四十九番上田 令子君
五十番舟坂ちかお君
五十一番清水 孝治君
五十二番三宅 正彦君
五十三番神林  茂君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
五十九番遠藤  守君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番菅原 直志君
六十四番清水やすこ君
六十五番白戸 太朗君
六十六番木下ふみこ君
六十七番斉藤れいな君
六十八番増田 一郎君
六十九番入江のぶこ君
七十番佐野いくお君
七十一番細谷しょうこ君
七十二番両角みのる君
七十三番ひぐちたかあき君
七十四番高橋 信博君
七十五番中屋 文孝君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番宇田川聡史君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番馬場 信男君
八十九番本橋ひろたか君
九十番田の上いくこ君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番たきぐち学君
九十三番米川大二郎君
九十四番石川 良一君
九十五番中山ひろゆき君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番小宮あんり君
九十九番山崎 一輝君
百番吉原  修君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番大津ひろ子君
百十一番栗下 善行君
百十二番木村 基成君
百十三番伊藤 ゆう君
百十四番小山くにひこ君
百十五番荒木ちはる君
百十六番山内  晃君
百十七番増子ひろき君
百十八番石毛しげる君
百十九番尾崎 大介君
百二十番早坂 義弘君
百二十一番鈴木 章浩君
百二十二番秋田 一郎君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 なし
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事川澄 俊文君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
教育長中井 敬三君
東京都技監建設局長兼務西倉 鉄也君
政策企画局長遠藤 雅彦君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監吉田 尚正君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
都市整備局長佐藤 伸朗君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長小山 哲司君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長澤   章君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

六月十九日議事日程第二号
第一 第百二十二号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百二十三号議案
災害派遣手当等の支給に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百二十四号議案
東京都都税条例並びに東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第四 第百二十五号議案
東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第五 第百二十六号議案
東京都育英資金条例の一部を改正する条例
第六 第百二十七号議案
東京都江戸東京博物館条例の一部を改正する条例
第七 第百二十八号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百二十九号議案
東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百三十号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十 第百三十一号議案
東京都病院及び診療所の人員、施設等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百三十二号議案
東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第十二 第百三十三号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十三 第百三十四号議案
東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例
第十四 第百三十五号議案
旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第十五 第百三十六号議案
公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百三十七号議案
東京都営空港条例の一部を改正する条例
第十七 第百三十八号議案
十三号地新客船ふ頭ターミナル施設(三十)新築工事請負契約
第十八 第百三十九号議案
都立水元特別支援学校(三十)改築工事請負契約
第十九 第百四十号議案
都立町田の丘学園(三十)東校舎棟改築及び改修工事請負契約
第二十 第百四十一号議案
東京スタジアム(三十)改修工事請負契約
第二十一 第百四十二号議案
東京消防庁多摩消防署庁舎(三十)改築工事請負契約
第二十二 第百四十三号議案
中防内五号線南側アプローチ(三十)建設工事請負契約
第二十三 第百四十四号議案
新宿歩行者専用道第二号線Ⅲ期─一工区整備工事(三十 三─主四青梅街道)請負契約
第二十四 第百四十五号議案
街路築造工事(三十 二─補二十六三宿)請負契約
第二十五 第百四十六号議案
和田堀公園調節池工事その二請負契約
第二十六 第百四十七号議案
野川大沢調節池工事(その二)請負契約
第二十七 第百四十八号議案
権利の放棄について
第二十八 第百四十九号議案
土地の売払いについて
第二十九 第百五十号議案
土地の売払いについて
第三十 第百五十一号議案
東京都立産業貿易センター浜松町館の指定管理者の指定について
第三十一 第百五十二号議案
無線機の買入れについて
第三十二 第百五十三号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その一)について
第三十三 第百五十四号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その二)について
第三十四 第百五十五号議案
特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その三)について
第三十五 第百五十六号議案
特種用途自動車(水槽付ポンプ車)の買入れについて
第三十六 第百五十七号議案
特種用途自動車(小型ポンプ車)の買入れについて
第三十七 第百五十八号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その一)について
第三十八 第百五十九号議案
特種用途自動車(はしご車)の買入れ(その二)について
第三十九 第百六十号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その二)について
第四十 第百六十一号議案
特種用途自動車(救急車)の買入れ(その三)について
第四十一 第百六十二号議案
東京都受動喫煙防止条例
第四十二 第百六十四号議案
東京スタジアム(三十)電気設備改修工事その二請負契約
第四十三 諮問第二号
地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第四十四 諮問第三号
地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第四十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第四十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(櫻井和博君) 監査委員より、住民監査請求について、地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) これより質問に入ります。
 百十五番荒木ちはるさん
〔百十五番荒木ちはる君登壇〕

○百十五番(荒木ちはる君) 平成三十年第二回都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事並びに関係局長に質問いたします。
 質問に先立ち、申し上げます。
 昨日、大阪府北部を震源とする震度六弱の地震が発生し、既に四名の方がお亡くなりになられました。ご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。復興に向けてのいかなる協力も惜しまず、共助の精神で被災地支援に尽くしてまいります。
 さて、来年で平成から元号が変わります。この平成の三十年間について、都民一人一人、さまざまな感じ方があると思います。
 ただ、政治についてこの三十年間を振り返ってみると、国の長期債務残高が、この三十年間で四倍に膨れ上がったことにも明らかなとおり、これまでの政治の限界が、至るところでひずみとして生じているのではないでしょうか。
 例えば、少子化、人口減少については、数十年前から、将来の東京、日本の大きな課題になるといわれ続けてきましたが、安心して子育てと仕事を両立できる環境の整備は、先送りに次ぐ先送り。その大きな原因の一つが、政治の場に女性の視点が欠けていたことにあるのは明らかです。
 昨年の都議選を経て、都議会における女性議員の人数は過去最多の三十六名となりました。都民ファーストの会東京都議団も、全五十三名のうち十七名が女性です。こうした東京都における大きな変化もあってか、ことしの五月二十三日に候補者男女均等法が成立しました。
 大変喜ばしいことですが、こういった時代の変化にもかかわらず、国政の場でも、子育ては母親、男の育児は子供の迷惑といったような発言や、また、セクハラに対する発言が堂々と繰り返されています。
 都議会では、このようなセクシュアルハラスメント発言や時代錯誤の女性蔑視の言動が存在しないことを改めて強く望むところでございます。
 小池知事は、国会議員時代から、今般法律が成立をした女性の政治参画、クールビズ、液体ミルクの普及促進、無電柱化など、時代の先を行く施策に取り組んでこられました。また、女性初の都知事として就任後、都内の待機児童数は、区部で約四割、市町村部で約三割、数では昨年に比べて約三千百人減少しました。ですが、都内の待機児童数はいまだに五千人を超えています。加えて東京二〇二〇大会、世界を相手にした都市間競争の激化、税財源をめぐる国との折衝など、東京都の課題は山積をしています。
 小池知事は、決して現状に甘んじることなく、千三百万都民の生活をあずかる都知事として、今こそオール東京で、政策の実現に向けた強いリーダーシップを発揮していただきたい。
 時代の先を行くからこそ、同じ時代では十分な理解が得られない取り組みもあるかもしれません。ですが、私は、同時代だけではなく、将来振り返ってみたときに、小池知事が未来の東京の礎を築いたと評価される都政の実現に向けて、全力で取り組んでいただきたいと強く要望いたします。
 本定例会では、受動喫煙対策、東京の未来を担う子供や教育をめぐるさまざまな課題、障害者差別解消への取り組み、新たな人権課題への対応など、我々も力を入れてきた、これまでの都政では十分に光が当てられてこなかった課題が数多く取り上げられております。
 我々は、一九六四年の東京オリンピックに代表されるような、戦後復興を掲げ、豊かな東京を築き上げてきた偉大な先人たちの歩みに心から敬意を表します。ですが、成熟社会を迎えた現在の東京は、戦後復興のようなわかりやすい目標が見えにくくなっています。
 そういった時代の中で、東京のかじ取りを任せられた政治家は、これまでの都政には十分に反映されてこなかった都民の声、それは女性に限らず、健康被害に声を上げることができない人、東京の未来を担う子供たち、障害を持つ方、マイノリティーの方、そういった一人一人の人に真摯に耳を傾け、誰もがその人らしく生きることができる東京を目指さなければならないと考えています。
 我々都民ファーストの会は、都民の利益ではなく知事や他会派の足を引っ張ることだけを考える政局優先の態度とは、一線を画します。そして、都民一人一人のまさしく人を大切にする都民ファーストの立場で、二〇二〇年のその先も見据えて、問題を先送りしない未来志向の政策を追求し、政策実現競争を行っていくことを誓い、具体的質問に移らせていただきます。
 初めに、安全なまちづくりの視点から、大阪府北部を震源とする地震について伺います。
 昨日の地震は、登校、出勤時間に重なり、とうとい人命が失われたほか、都市インフラにも大きな被害を与えました。災害時には、都市間の協力、支援が欠かせません。
 そこで、都の取り組みについて知事に伺います。
 昨日の地震では、公立小学校のプール脇のブロック塀が倒壊し、登校途中の小学四年生の女児が挟まれ、亡くなりました。既に建築基準法違反であることを高槻市も発表していますが、安全な施設であるはずの学校の塀が倒壊をし、児童生徒の命を奪った原因については、都としても検証しなければいけません。
 都内の都立高校を初め、公立小中学校において、学校の塀などの耐震化の整備状況を把握すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、受動喫煙対策について伺います。
 社会を挙げて人の健康を守ることは、東京二〇二〇大会を迎える上でも必要不可欠です。都の受動喫煙防止条例案として、都独自の新しいルールとして、人に着目した対策を基本指針に据えて、働く人と子供を受動喫煙から守る内容が盛り込まれています。
 これまで我が国の受動喫煙の議論では、働く人を守るという視点が置き去りにされてきました。海外に比べて日本は従業員を守る視点が弱かったといえます。これに対して、本条例において、働く人を受動喫煙から守るという点を受動喫煙の議論の正面に据えたことは、時代に合った条例づくりと受けとめています。
 また、子供を受動喫煙から守るという視点は、我々都民ファーストの会が議員提案条例を行い、強調をしてきた点であり、改めて今回の条例案にもその観点が盛り込まれていることは、時代の要請に応えるものと確信をしております。
 そこで、この条例案に込められた知事の思いについて伺います。
 次に、従業員、働く人たちが他人のたばこの煙からどう守られるかが重要だと考えます。
 たばこの煙を吸い込み、健康を損なうことを防ぐ取り組みは、既に航空機やタクシー、列車などで車内禁煙が進み、定着をしています。現在、たばこを吸わない人が受動喫煙の影響を受けやすい場所は、飲食店や遊技場、職場の順番となっており、働く人たちの安全衛生を強める観点からも、これらの場所での対策強化に取り組むべきです。
 健康寿命を延ばすことが大きな社会課題となっている中、受動喫煙を望まない、アルバイトを含めた働く人たちの健康を守るべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
 さて、我々都民ファーストの会は、本年二月より、受動喫煙防止条例の制定に向けた署名活動を行ってまいりました。同じ志を持つ有志や団体と共同して署名活動を行い、合計二十六万筆以上の署名を集めさせていただきました。
 実際に、私たちも街頭に出て、道行く人々にお願いをする、まさに草の根運動をしてまいりました。我々の呼びかけに対し、本当に多くの方々が足をとめて署名をしてくださり、我々は、まさに都民の中に入って、都民一人一人に接して、これまで都政には届いていなかった声なき声を都政に届けることができたと自負をしています。
 世論調査の結果でも、東京都独自の受動喫煙防止条例案について七五%が賛成、さらには喫煙者も四割近くが賛成したとの報道に接しています。
 こうした高い支持率の一方で、不安感を持っている方々がいるのも事実です。我々都民ファーストの会は、さまざまな立場の団体の方々にヒアリングを行い、その声を真摯に、丁寧に聞いてまいりました。
 受動喫煙防止条例の制定によって、かえって屋外での路上喫煙が増加するおそれや、区市町村が制定する条例等への違反が増加するおそれ、あるいは都の受動喫煙防止条例が遵守されないおそれなど、懸念の声もあります。条例の実効性をより高めるためには、喫煙所の整備をすることも必要と考えます。
 屋内、屋外の喫煙所の整備に関する都の支援の方針について、知事に伺います。
 次に、この条例を効果的に実行していくには、区市町村及び区市の保健所との連携が欠かせません。受動喫煙防止条例の制定に向けて、これまで知事が行ってきた区市町村との意見交換の経緯や連携の状況について伺います。
 改めて申し上げるまでもなく、受動喫煙対策は、人の健康を守るため、そして東京二〇二〇大会のホストシティーの責務として、党派を超えて、オール東京で取り組んでいかなければならない課題です。
 これまで健康被害を感じながらも、声を上げることができなかった都民一人一人の人の声に真摯に耳を傾けながら、今後も我々は受動喫煙対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、東京の未来を担う子供の命を守るという観点で、後を絶たない児童虐待について伺います。
 事件が起きたのは、ことし三月三日、目黒区です。香川県から都内に転入してきた五歳の女の子が亡くなり、両親が虐待の容疑で逮捕されました。報道によれば、亡くなったときの体重は十二キロ、二歳児ほどの体重しかなかったことから、衰弱がひどく進行していたことがうかがえます。亡くなられたお子様には、心よりご冥福をお祈りいたします。
 今回の件ではさまざまな報道が先行していますが、事実に基づいた冷静な検証が必要です。香川県とも連携をし、事実関係の確認と対応の妥当性、今後の課題を速やかに明確にして公表することが不可欠と考えますが、都の見解を伺います。
 一般に、児童虐待が疑われる家庭への対応については、現場の職員に一定の裁量権があります。それが親との信頼関係の構築に寄与する場合もあれば、判断基準が曖昧であるがゆえに、特に命の危険が迫っているときに、不適切な対応になってしまうケースがあることも否定はできないところです。
 そこで、現場の職員が経験を積むことに加えて、各事案から得るノウハウを積み上げ、より具体的なガイドラインを策定し、これを現場で徹底することが有効と考えます。
 あわせて、職員の人員不足から、研修に割ける時間に制限があるなど、職員の人員不足が生む業務上の支障が問題になっています。
 事件が起きるたびに職員が疲弊し、精神的にもさいなまれ、担い手不足に拍車がかかる現状を社会全体で変えていかなければなりません。知事が既に表明されている人員拡大とあわせて、今後の取り組みについて伺います。
 児童虐待については、これまでも多くの痛ましい事件が発生をしてきました。尾崎議長を初め、次の悲劇をなくすために、都議会でもさまざまな議論が繰り返されてきました。
 改めて、東京都の児童虐待に対する対応方針、体制が十分なものであるのか、例えば、海外からも取り組みの事例を集め、再度検証する必要があるのではないかと考えます。
 対策を進めている横浜市などでは、子供を虐待から守る条例が平成二十六年に施行され、いわゆる福祉保健局に限らず、行政と家庭との間のあらゆる接点の場を積極的に活用した、各庁横断的で総合的な取り組みを行っている事例があります。
 こうした他の自治体の取り組みを参考に、都においても条例化を含め、児童虐待問題を幅広い視点で、子供の福祉にかかわるあらゆる機関が一丸となって取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 児童虐待を防ぐためには、当事者である子供たちの声をすくい上げることも必要です。
 現在、都では、児童相談所における一般の電話相談や二十四時間体制の全国共通ダイヤル一八九のほか、匿名で気軽に相談できる四一五二電話相談、虐待やいじめなどについて相談できる東京子供ネット電話相談などで子供からの相談を受け付けていますが、いずれも電話による相談です。
 今の二十代、三十代の親世代にとって、日常的なコミュニケーションの手段は、もはや電話ではなく、LINEなどのSNSが中心であり、SNSを積極的に活用して、相談のハードルを低くしていくべきと考えます。
 今年度、都民ファーストの会の提案によって予算化されたLINEなどによるいじめ相談窓口と同様に、児童虐待の相談でも多くの若い人が利用するSNSを導入するべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、児童虐待の実情を踏まえ、未来を担う子供を守る立場から、性教育の必要性について伺います。
 平成二十九年にまとめられた子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について、十三次報告の概要によると、心中以外の虐待死では、死亡した子供の年齢はゼロ歳が多く、主たる加害者で最も多いのは悲しいことに実母です。その実母が抱える問題として、予期しない妊娠、計画していない妊娠が最も多い三四・六%、次いで、妊婦健診未受診が三二・七%、十代、いわゆる若年妊娠が二五%です。
 また、昨今、情報化社会の進展により、さまざまな健康情報や性、薬物等に関する情報の入手が容易になるなど、子供たちを取り巻く環境が大きく変化をし、性教育のあり方について社会的な関心が高まっています。
 そうした中、私たち都民ファーストの会東京都議団には、性教育のあり方についてさまざまな意見が寄せられており、性教育について研究やヒアリングを重ね、会派内の議論も行ってまいりました。
 二〇〇七年内閣府調査によると、家庭内で性教育を行っている家庭は二三%にすぎないという現実があり、二〇一一年性行動調査によると、中学生男子の二○・七%、女子の一九・五%がネットで性に関する知識を得ているという結果が出ています。また、二〇一六年度末の文部科学省の中教審においては、子供たちが健康情報や性に関する情報等を正しく選択して適切に行動できるようにする必要があるという答申が出されています。
 今、子供たちに必要なことは、性について正しい知識を学ぶ場であり、子供たちの実情に即した性教育だと思います。
 そこで、性教育のあり方について、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、性教育の実施に関して質問いたします。
 人は誕生した後、身体的な成長を遂げていきます。性教育は、子供の発達段階に応じた内容で行うべきであり、適切な時期を逃してはなりません。さらに、性教育こそ医師等の専門家の活用が必要な分野だと考えます。
 そこで、都教育委員会は、性教育の適切な実施に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 性教育に関する議論はさまざまであることは承知をしております。ですが、あえて一言申し上げます。
 私たち女性には、妊娠に適した年齢があります。福祉保健局の発行するハンドブック「いつか子供がほしいと思っているあなたへ」でも触れられています。しかし、加齢により妊娠しづらくなることを知らないまま、妊娠適齢期を過ぎてからその事実を知ったという方もいると伺います。
 ライフプランを考える上でも、男性も、そして女性も、妊娠に関する正しい知識を身につけることは重要だと考えます。教育だけにとどまらず、さまざまな取り組みを通じて、性に関する正しい知識の普及について検討くださいますよう要望します。
 次に、一人一人の人が輝くためのダイバーシティー政策について伺います。
 まずは、女性が輝くためのセクシュアルハラスメントと待機児童対策について伺います。
 冒頭でも述べましたとおり、本来、社会のために尽くさなければならない政治や行政の場で、セクハラ発言や女性蔑視の言動が相次いでおります。
 政治、行政の場におけるセクハラに対する認識の低さが改めて露呈しました。フランスのマクロン大統領は、職場でのセクハラを禁ずる法律に加えて、公共の場でのセクハラも取り締まる法律をつくると宣言し、国民の声を反映させるためにワークショップを全国で開催しているとも聞いています。
 職場におけるセクハラ防止対策が必要です。
 例えば、優良な職場環境づくりに取り組む企業を表彰する際には、就業規則にセクハラ防止の項目を定めることを要件とするなど、実効性の高い取り組みを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 セクハラは、職場だけで起きるものではありません。取引先や教育の現場など社会の至るところで起きるものであり、あらゆる場でのセクハラを決して許さないという強い意思に基づく取り組みが必要です。
 東京都男女平等参画基本条例では、十四条で、何人も、あらゆる場において、性別による差別的取り扱いをしてはならない、何人も、あらゆる場において、セクシュアルハラスメントを行ってはならないと、職場だけに限られない広範なセクハラ禁止条項を設けています。この禁止条項の趣旨に沿った、あらゆる場におけるセクハラを決して許さないための広範かつ実効的な取り組みを要望します。
 子供を安心して育てるために必要な保育園について、土地の確保の観点から質問をいたします。
 冒頭に述べたとおり、都内の待機児童数は減少していますが、東京都として保育サービスの整備をさらに加速させていくことが必要です。そのためには、保育所用地の確保が欠かせません。既に都有地については洗い出しが進み、区市町村の保育所整備に提供されていますが、用地不足は否めません。
 このような中で、区市町村は、都有地のみならず、地元に残る貴重な国有地や民有地に着目して、用地の確保に余念がありませんが、国家公務員住宅跡地などは広大な敷地も多く、区市町村単位の財政力ではとても購入費用が賄えず、保育所整備を断念する自治体も多いのが実情でございます。
 都として、こうした実情に目を背けることなく、大規模未利用地の活用に向けて、国への要望や区市町村に対する何らかの財政支援など、もう一段踏み込んだ対策を行っていくべきと考えます。
 そこで、区市町村が広大な国有地や民有地の一部を保育所として整備しようと思っても、財政事情で用地確保できないケースに対し、都はどのように考えているのか、見解を伺います。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例について伺います。
 オリンピック憲章では、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由によるあらゆる種類の差別禁止について述べています。
 これらのうち、従来我が国で法律や条例で対応されてこなかった分野であるLGBT、SOGIとヘイトスピーチを取り上げて、東京都が条例化しようとしていることを評価します。
 まずは、LGBT等やヘイトスピーチに限らず、いかなる種類の差別も受けることなくというオリンピック憲章の人権尊重の理念実現に向けた取り組みに関する知事の所見を伺います。
 LGBT等については、ロシアの同性愛禁止の法律をめぐって、アメリカやフランス、ドイツなどの首脳が、二〇一四年、ソチ冬季オリンピック開会式を欠席したことは記憶に新しいところです。LGBT等の方々は、例えば、入居の手続、銀行口座開設など、具体的に多くのバリアに遭遇をしています。
 東京都人権施策推進指針が普及啓発にとどまっていたことに比べ、条例化することの意味は、教育、就労、医療、福祉など、さまざまな分野で、実際にバリアを除去していくことにあります。
 そこで、条例化に当たっては、このようなさまざまな分野に対して具体的な措置に踏み込んでいくことが必要だと考えますが、今後の検討の方向性について伺います。
 次に、障害者差別解消条例について伺います。
 国連障害者権利条約が二〇〇八年五月に発効してから十年、障害者差別解消法が二〇一三年六月に制定されてから五年、今般、都議会に障害者差別解消条例が提出されるに至りました。
 障害者差別に限らず、およそ差別の問題では、差別をしているという認識のないまま差別をしている人が多く、それらの人にそれが差別であることに気づいてもらうことが必要です。障害者にとって、何が物理的な、あるいは社会的なバリアとなっているかを認識して、そのバリアを解消する努力をすることが必要となります。
 東京都障害者差別解消条例は、不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供を軸とする、国の障害者差別解消法の上乗せ条例という性格を持っていますが、東京都が法律に加え条例を制定することによって、どのような効果があるのか伺います。
 次に、ソーシャルファームについて伺います。
 障害者、ひきこもり、シングルマザー、刑事施設からの出所者、難病患者、高齢者などの方々は、営利を目的とする一般の民間企業で働くことに困難を感じるケースが多く、本人の能力や意欲などと合致した職場が少ないのが実情です。
 営利目的の一般民間企業でも福祉目的の就労施設でもない、第三の社会的目的を有する職場が求められており、欧州で成果を上げているソーシャルファームの考え方に基づく対策が必要であると考えます。
 一九七〇年代にイタリアで誕生して以来、欧州では二〇〇〇年を前後にイギリス、ドイツ、フィンランドなどがソーシャルファーム法を整備し、特定法人に対して税制優遇や公共事業の優先受注権を付与しています。そして、生み出される商品も、いわゆる福祉施設の商品ではなく、付加価値とブランド力を備えた商品が世に送り出され、高い収益性を確保していると聞いています。
 こうした海外の事例を参考にしながら、日本型のソーシャルファーム制度を整えていくことが必要だと考えます。設備投資や商品開発など、スタートアップを手厚く支援いただければ一歩踏み出せるという話も伺っています。
 ソーシャルファームについては、国における法整備が待たれるところですが、都としても、就労弱者といわれる方々を福祉の対象から経済の主体へと転換することは、さまざまな観点から有益であり、まずは障害者雇用の面から積極的に支援すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、都民の期待が集まるラグビーワールドカップ、東京二〇二〇大会、そして、その先の未来の東京のあるべき姿について伺います。
 東京パラリンピックは、障害者スポーツの理解を深め、さらに発展、そして飛躍させる絶好の機会です。
 東京都の障害者スポーツの振興施策で、パラリンピックのみならず、市民レベルでの障害者スポーツへの関心が広がりを見せていますが、スポーツ用具の購入など、取り組みのスタート段階がハードルになっているケースがあります。
 東京二〇二〇大会を契機として、パラ種目のみならず、聴覚障害者や知的障害者の方が対象となるデフリンピックやスペシャルオリンピックスや他の種目についても光を当てていく必要があります。
 新たにスポーツを始めたい人への支援など、誰もがスポーツを楽しめる環境を整備していくことが重要であると思いますが、都の所見を伺います。
 ラグビーワールドカップ二〇一九大会開催まで五百日を切りました。全国の開催都市では、チームキャンプ地が内定し、今月には日本代表のテストマッチが行われているなど、来年に迫る大会に向けて準備が本格化しております。
 そして、その先には東京二〇二〇大会です。来月には、いよいよ二年前を迎えます。
 この二つの世界的なビッグイベントの全国的な機運醸成に向けて、東京が強力な発信拠点とならなければならず、そのためには、東京都の持つ広告媒体を余すことなく活用して、多くの都民、ひいては国民に効果的なPRを行うことが大変重要であると考えます。
 我が会派では、その一つの方策として、都営交通の広告媒体を有効に活用することをかねてから提案してきましたが、都の現在の取り組み状況について伺います。
 都民、国民における二〇二〇大会への一層の参加意識の醸成も欠かせません。
 既に我が会派からは、五輪施設の建設に当たっては特定寄附制度を活用して寄附を募り、寄附者の氏名をネームプレートにして施設に掲げてはどうかと提案しております。このほど、ふるさと納税も活用して、五輪施設への寄附を募り、ネームプレートに刻むという報道が出ていますが、その取り組み状況について伺います。
 持続可能なエシカル都市東京の実現に向けた取り組みについて伺います。
 ロンドン・オリンピックは、NGOなども含む持続可能なロンドン二〇一二委員会が徹底した検証を行い、史上最も持続可能なオリンピックとして大成功をおさめました。
 東京二〇二〇大会では、ロンドン大会を上回る持続可能なオリンピックを実現しなければなりません。
 持続可能という点では、環境への配慮のみならず、社会への配慮、地域への配慮と三つに分類される、さまざまな消費活動の総体をあらわす、倫理的消費と呼ばれるエシカル消費が世界の常識となりつつあります。これは、原料調達から生産、流通、販売、廃棄まで、さまざまな問題や課題を含む消費のあり方を示すものです。
 小池知事は、第一回定例会、予算特別委員会での我が会派の質問に対して、エシカル消費の推進につながる施策を全庁的に掲げ実行する、持続可能な新しい東京をつくり上げていきたいとの答弁をされています。
 本日で東京二〇二〇大会まで七百六十六日となりますが、持続可能な新しい東京をつくり上げる取り組みをさらに加速させていくために、東京都の決意を都民、国民、そして世界に発信していく必要があると考えます。
 小池知事は、七月に行われるエシカルサミット二〇一八にも出席をされるということです。今後、エシカル都市の実現に向けた知事の考えを伺います。
 既に都は、CO2排出削減についてはさまざまな取り組みを行っていますが、LED省エネムーブメント促進事業は、七月で一年が経過します。平成三十年六月十日までに二十七万四千百八十個の交換がありました。参加協力店に八社の量販店が参加し、交換個数が一時期より持ち直したと聞いております。
 家庭の電気使用に関する取り組みとしては画期的だったこの事業に期待が寄せられています。家庭の省エネを進める上で意義のある事業であり、一人でも多くの都民に参加してもらうことが重要です。業界団体などからは、事業継続や交換できる種類をふやしてほしいなどの要望もあります。
 こうした意見を踏まえ、この一年間の課題を整理し、多くの都民が参加しやすくなるような新たな方策での事業展開として、次なるLED省エネムーブメント事業を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 世界一高齢者に優しい未来都市東京を実現していくことは、高齢者を支えるインフラや介護器具、自動走行車や車椅子に至るハード、ソフトの両面のイノベーション促進にもつながり、自動車産業に匹敵する新しいマーケットの誕生に広がる可能性があると考えます。
 東京二〇二〇大会において主要会場となる臨海副都心には、多くの競技会場が配置されるほか、スポンサーパビリオンも設置される計画と聞いています。
 同時に、臨海副都心は先進的な開発を行う研究機関や先進技術を展示するショールームなどが立地していることから、大会には、これらの施設がスポンサーパビリオンと連動して一体感のある展示を行う、いわばミニ万博とすることで、世界からの来訪者への訴求力が高められると確信しております。
 過去の愛知万博のテーマは自然の英知でした。大きなテーマを設定することで大きなPR効果が期待できます。
 例えば、二〇二〇大会の大きなテーマの一つである持続可能性をコンセプトに、高齢者も快適に移動できるバリアフリー環境など、臨海副都心が目指す近未来都市東京の姿を体現していくことで、東京の先端技術を世界に示していくべきではないでしょうか。所見を伺います。
 また、イノベーションを促進するためには、この地域を含む東京全体が日本の最先端技術の集う場所になるよう後押しをしていかなければなりません。
 都においても、国家戦略特区制度を活用して、臨海副都心や羽田空港周辺地域などにおいて自動運転バス等の実証実験を支援していますが、自動運転技術に限らず、ドローンを初めとしたロボットなどの実証実験の場の提供や、例えば、日本では時速六キロまでとの規制を受けている自動車椅子の速度の制限の緩和をするといった規制緩和を行うことは、東京、ひいては日本の競争力の強化に資すると考えます。
 国家戦略特区制度を活用しながら超高齢社会にも着目し、自動運転、ロボットを初めとした最先端技術の実証支援を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 東京二〇二〇大会を通じて、東京、日本の魅力を取り戻す取り組みとして、日本橋上空の首都高速撤去は都民の期待するところです。この東京二〇二〇大会は、都内の魅力再発見と歴史的建造物の改修事業を再点検する、またとない機会です。
 日比谷公会堂は、一九二九年十月十九日、時の東京市長であった後藤新平の発議と、これに共鳴した安田善次郎の篤志により、文化の殿堂として建設され、奇跡的に第二次世界大戦の戦火を免れ、来年、開設九十年を迎えます。大変残念なことに、老朽化と耐震性不足のため、日比谷公会堂は平成二十八年から使用の休止を余儀なくされました。
 また、さまざまなポップカルチャーの舞台となってきた日比谷の野音も老朽化が進み、その高いポテンシャルを生かし切れているとはいえない状況になっています。
 市政会館を含む日比谷公会堂と野音について、早期改修に向け取り組みを進めるべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、人の生活を支える基盤であるインフラについて伺います。
 まず、東京の魅力を支える上で不可欠な道路整備について伺います。
 道路ネットワーク整備は、東京二〇二〇大会のみならず、その先も見据えた東京の持続可能な都市形成を図る上で欠かすことのできない都市基盤です。
 去る六月二日、外環道では、一部都内を含む三郷南インターチェンジ─高谷ジャンクション間が開通をいたしました。都内の関越道─東名高速間の開通、東名高速─湾岸道路間の早期具体化も期待するものです。
 首都東京が活気あふれる都市となり、国際都市間の競争に勝ち抜くためには、人と物の流れをスムーズにするとともに、首都直下型地震などの自然災害に対し、安全・安心な都市を実現する道路ネットワークの整備が欠かせません。道路は、首都圏の経済や生活を支え、東京二〇二〇大会時にも重要な役割を担う基幹インフラです。
 東京は政治経済の中枢機関が集中する一方で、都市計画道路の完成率は六割を超えた程度であり、各所で見られる慢性的な交通渋滞は東京の最大の弱点です。
 道路ネットワークの形成について今後どのように進めていくのか、取り組みについて所見を伺います。
 道路とともに、人が生きる上で必要不可欠なインフラ、水道事業について議論するIWA世界会議について伺います。
 ことしは、IWA世界会議が東京で開催されます。東京の魅力の一つは、世界で最も安全でおいしい水道水です。
 先日、我が会派では小河内周辺を視察し、水道局がこれまで水源林を大切に守り育てていることを再認識し、職員の皆さんの奮闘に感動を覚えました。水源林は、水源涵養、土砂流出防止及び水質浄化など多面的な機能を有し、小河内貯水池の保全に重要な役割を果たしています。
 そこで、ことし九月に東京で開催されるIWA世界会議・展示会開催の機を捉え、海外からの参加者にこうした水源林の多岐にわたる取り組みを紹介することは、大変意義深いものと認識をしております。
 さらに、世界各地で脱ペットボトルの取り組みが広がっていることから、水飲み栓などによる水道水の飲用機会を、国際的イベント会場や都庁舎など、観光客が多く訪れる場所に拡大し、都の環境配慮型水道政策を世界にPRしていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 地域経済において影響の大きい工業用水道についても伺います。
 地盤沈下を防止するために布設され、都内で稼働を続けた低料金の工業用水道は、地域の産業を下支えしてきた重要なインフラでした。一方で、都外に転出した企業も多く、工業用水道事業を取り巻く経営環境は非常に厳しくなっているといえます。
 本定例会の所信表明において、知事は、工業用水道について廃止に向けた動きを進めるとの方向性を明言されました。長年の懸念とされてきた工業用水道事業の存廃について、一定の方向性を示したことは、苦慮の末の決断と受けとめています。
 同時に、工業用水の利用者は八割が中小企業であり、業種の幅も広いということから、利用者に応じたさまざまな対応も考慮しなければなりません。多様な利用者の多様なニーズに適切に対応していくためには、利用者にわかりやすいワンストップの仕組みを整備する必要があります。
 事業廃止に向け、利用者に対し丁寧に説明をしていくとともに、激変緩和に向けた支援が必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、水とともに東京の大きな魅力である、島しょ地域との空の交通アクセスを支えているのが調布飛行場です。
 平成二十七年七月に、調布飛行場周辺で航空機の墜落事故が起きてから、間もなく三年が経過しようとしています。
 本定例会においては、都営空港を離着陸した航空機の墜落事故が今後都内で起きた場合に、被害者を支援するために条例改正案が上程をされています。
 当時の事故で被害を受けられた方は、いまだに十分な賠償や補償を受けられていない状況が続く中、当時の被害者が置き去りにされたままでは、本支援制度の意義が理解されません。
 そこで、条例改正に合わせて平成二十七年の事故被害者への支援も行うべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、人の暮らしを支える基盤である市場について伺います。
 築地再開発検討会議では、築地の跡地利用に関してさまざまな専門家の視点から議論がなされ、大きな視点としてまとめられました。ここでは、段階的な整備を進めながら、周辺地域との相乗効果を図り、新たなブランド価値の創出や戦略的な機能の導入に向けた方向性が示されていますが、今後、その具体像に注目が集まっています。
 今年度末までにまちづくり方針を策定するとしていますが、十月には市場移転が控えています。
 市場移転後の事業者や周辺住民、関係者の受けとめ方などを視野に、より丁寧かつ具体的なロードマップを示していくことが必要だと考えますが、知事の考えを伺います。
 また、まちづくり方針の策定に向けた庁内検討を進めるに当たり、地元中央区の意向や市場及び場外関係者の意見聴取は欠かせません。
 とりわけてこれからの築地は、東京都の発展の観点からも非常に大きな地理的意義を有しています。
 晴海が開発された豊洲に市場がオープンし、中央防波堤内側埋立地の整備が進む中で、ウオーターフロントだった築地は、今後、都心と新しいウオーターフロントとをつなぐ結節点に生まれ変わります。
 再開発後の築地が都心と臨海部との壁になることなく、結節点になる開発が求められています。
 それだけに、都心と臨海部の回遊性を高める交通網なども検討していかなければなりません。
 築地の再開発に当たっては、回遊性を高める鉄道網の整備も期待できます。
 既に、秋葉原へ接続するつくばエクスプレスを東京駅まで延伸する構想も一部有識者から出ており、今後、地下鉄も含め、晴海の交通利便性に貢献する交通網の整備が不可欠であることはいうまでもありません。
 将来的に開発が進む中央防波堤内側埋立地の未来図も想定して、築地から羽田まで延びる新鉄道網が必要です。
 その上で、平成二十八年の国の交通政策審議会答申では、国際競争力強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクトとして、都心部・臨海地域地下鉄構想の新設が位置づけられたところです。この構想の具体化に向けた今後の考え方について伺います。
 市場移転後の解体工事について伺います。
 二十三ヘクタールの築地市場が解体され、十五ヘクタールの車両基地に姿を変えることが決まっております。その解体工事は過去最大規模となり、工事車両の往来や振動、騒音の影響は地元にとって甚大です。
 そのため、一刻も早く地元説明会を開催し、場外市場関係者を初め地元住民の理解を得る努力をすべきと考えますが、所見を伺います。
 五月三十日、事態は大きく動きました。これまで事業の撤退を辞さない姿勢を示されてきた万葉倶楽部が、急転直下、二〇二〇年以降の着工を条件に事業の請負を表明され、滞っていた協議が大きく前進したものと受けとめています。
 今後は、都と万葉倶楽部との間で協定書を結び直すなど詳細について協議を行い、二〇二〇大会後の円滑な事業実施に万全を尽くされることと思います。
 また、万葉倶楽部との会談で、表に出ない約束があるのではといった憶測についても、明確に払拭していただきたいと思います。
 今回、急展開した経緯と今後の協定に向けた知事の所見を伺います。
 万葉倶楽部と都の協議を受けて、にぎわい予定地については、東京二〇二〇年大会まで都が管理運営していくことになると聞いています。豊洲地域全体のにぎわいに資する事業展開を検討されることと思いますが、用地は一ヘクタールと広大です。
 にぎわい創出に向けた検討はもちろん、多くの来場者が見込まれることへの手当て、市場業務との兼ね合いなど、さまざまな観点から検討しておくことが重要ではないかと考えます。所見を伺います。
 我が会派は、昨年より市場関係者との意見交換を重ねてまいりました。移転には、駐車場不足など多くの懸念がある中で、多くの仲卸業者の皆さんの、豊洲市場で仕事ができるのかといった不安の声を伺っています。
 衛生管理の徹底が図られるという大きなメリットがある一方で、ターレの走行の規制など、築地で皆さんが行っておられる市場機能が、豊洲では十分に発揮されないことを危惧されていました。
 そうした声があることに十分留意しつつ、開場後の市場の運営を見守りながら、ルールの検証を行っていくべきと考えます。所見を伺います。
 最後に、行財政改革について伺います。
 入札制度改革について伺います。
 豊洲新市場工事の落札率九九%に端を発した入札制度改革の試行期間が終わり、先般、知事からは、本格実施に当たり、一定の金額未満の工事については予定価格を事前に公表する、一者入札制限を撤廃する等の発表がありました。
 予定価格に関しては、入札の公平性、透明性、競争性を確保し、都民の税金を効果的に用いる観点からは、国の制度と同様に事後公表を原則とすべきです。
 ただ、試行の結果、予定価格の事後公表は、工事の規模によっては中小企業に過度の負担をかけているとの声も届いており、都民ファーストの会東京都議団もそのことを指摘してまいりました。
 今回、工事金額で事前の公表と事後公表のルールを切り分けたことは、中小企業に配慮しつつも、大規模工事については入札の公平性、透明性、競争性を確保する視点を貫いたものとして、適切な見直しと受けとめています。
 今回の入札制度の見直しにおける知事の基本的な考えを伺います。
 東京が、江戸開府からこれまで比類ない独自の発展を遂げてきたことは、都民、日本人の誇りです。同時に、現在の東京は、金融拠点をシンガポール、物流拠点を上海、ハブ空港を仁川に後塵を拝しつつあります。東京を真の国際金融都市に磨き上げていくためには、世界の諸都市と相対化し、首都東京の機能強化を行っていかなければなりません。
 一方、国が地方対東京の対立軸をあおり立て、東京の財源を奪おうとしていることは周知の事実です。このことは日本全体の地盤沈下を起こすことにほかならず、今こそ東京と地方がともに成長戦略を描くときと捉えております。
 六月十四日を皮切りに、税財源についての検討会を設置することになったことは、都の主張をより説得力のあるものとし、理解と共感を広げ、国を初めとした関係各所への働きかけを行っていく上で必要不可欠と考えます。
 問題は何をどのように議論し、運動展開していくのかにかかっています。第一回会合を終えての知事の見解を伺います。
 最後に一言、ことしで返還五十周年を迎える小笠原諸島の抱える問題について述べさせていただきます。
 先日、我が会派の議員団も小笠原諸島に視察に行ってまいりました。航空路に代表される小笠原の抱える問題について意見の聴取などをしてまいりました。災害や救命救急を初めとする島民の生活を支える上で、航空路が必要であると改めて強い認識を持ちました。
 現在、小笠原航空路協議会では、環境との調和は最も重要な要素の一つとして、現行の滑走路の千二百メートル規模案と並び、自然環境に配慮した幅広い視点からの滑走路案が検討されております。
 そこで、私たち都民ファーストの会は、一層自然環境に配慮しつつ、早期の滑走路の実現を強く求めております。
 小池知事も小笠原諸島での式典に出席されるとのことですが、ぜひ島民の生活に視点を当てて訪問していただきますようお願い申し上げまして、代表質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 荒木ちはる議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、答弁に先立ちまして、一言申し上げます。
 昨日、大阪府北部を中心といたしまして、最大震度六弱の地震が発生をいたしました。この地震によりお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りをするとともに、被災地の皆様に心よりお見舞いを申し上げるところでございます。
 なお、先ほどこの本会議場も揺れたところでございますが、震源を千葉北西部とするマグニチュード三・五、震度二ということが伝わってきております。
 さて、今回の地震に対する都の取り組みでございますが、昨日午前中に危機管理対策会議を開催いたしまして、全庁的に情報共有を図りました。そして、関係各局、直ちに必要な出動体制を整えたところでございます。
 なお、大阪府の松井知事に対しましては、私の方から直接ご連絡を申し上げましてお見舞いを申し上げると同時に、要請があるならば協力の準備があるという旨をお伝えしたところでございます。
 現在も関西広域連合などと情報交換を緊密に行っておりまして、今後は要請に基づいて、都として必要な支援、応援をしてまいりたいと存じます。
 今回の地震でございますが、阪神・淡路大震災以来の大都市での地震でもございますので、注視すべきと考えます。
 水道、都市ガスなどライフラインの被害を初めとして、鉄道の運行停止などによります通学通勤への影響、家庭内での家具転倒防止策の効果など、被災地の状況を十分検証しながら、首都直下地震等への備えを強化してまいりたいと存じます。
 受動喫煙防止条例についてのご質問がございました。
 受動喫煙によります年間の死亡者数、推定一万五千人にも上ります。また、受動喫煙のある人とない人と比べますと、肺がんになるリスクは約一・三倍といわれております。また、ぜんそくや、乳幼児突然死症候群など子供に対する健康影響も指摘をされております。
 受動喫煙防止対策は、何よりも人の命、人の健康を守るために必要でございます。私は、こうした思いのもとで、健康ファーストの政策を進めるために、受動喫煙防止条例を提案したところでございます。
 この条例でございますが、人に着目した二つの対策を柱といたしております。一つは、健康影響を受けやすい子供を守ること、もう一つは、みずから受動喫煙を防ぎにくい立場である従業員を守ることでございます。
 スモークフリーへの取り組みは、もはや世界的な潮流といえましょう。近年のオリンピック・パラリンピック開催都市におきましては、法律や条例で罰則を伴う受動喫煙の防止対策を講じているところでございます。
 私は、受動喫煙による健康影響をなくして、誰もが快適に過ごすことができる社会を、東京二〇二〇大会のレガシーの一つとして未来へと受け渡していきたいと考えております。
 また、働く人を受動喫煙から守ることについてのお尋ねでございます。
 働く人の健康を守るためには、日常生活の大半を過ごす職場におけます受動喫煙防止対策を強化することは必要でございます。
 昨年度、二万人を対象に行いました受動喫煙に関する都民の意識調査におきましては、受動喫煙を経験した場所として飲食店が約七七%、駅や空港が約三八%、ホテルや旅館と職場がそれぞれ約二七%の順となっております。
 こうしたことを踏まえまして、この条例におきましては、多数の方が利用するこれらの施設について原則屋内禁煙とすることといたしました。また、健康増進法の改正案で一部例外措置が設けられております飲食店につきましても、従業員を雇用している場合には、全て原則屋内禁煙といたしました。
 いつまでも健康で暮らし続けたい、それは全ての都民の願いでございます。健康寿命の延伸のためにも、この条例を一つの契機として、都におけます受動喫煙防止対策を一層推進してまいりたいと考えます。
 喫煙所の整備に対する都の支援でございますが、お話のように、現在、都内の多くの区市町村では、環境美化や喫煙マナーの向上の観点から、路上喫煙や歩きたばこに関する条例を制定しておられます。
 昨年九月に基本的な考え方を公表して以降、区市町村からは、屋外の喫煙所整備が必要だ、喫煙所の整備に対して支援をしてほしいなどのご意見をいただいたところでございます。
 現在、健康増進法の改正案が国会で審議されておりますが、国は、自治体が屋外の公衆喫煙所を整備する際に財政支援を行うという方針を示しています。
 都といたしましても、地域の実情に応じまして区市町村が取り組む屋内、屋外の公衆喫煙所の設置等につきまして、補助率を十分の十に引き上げて、積極的に支援をしていく考えでございます。
 条例制定に向けました区市町村との連携でございます。
 昨年の九月、基本的な考え方を公表しまして以降、区長会を初め主管部長会、主管課長会など、さまざまな機会を捉えまして、区市町村にその内容を説明するとともに、意見交換を重ねてまいりました。
 また、今年二月に行いました区長、市町村長との意見交換の中でも、受動喫煙防止対策に関するご意見をいただいたところでございます。さらに、四月二十日の骨子案公表後には、区長会、市長会、町村長会に私みずから赴きまして、都の考えをご説明いたしまして、意見交換も行いました。
 こうした中でいただいたさまざまなご意見を踏まえまして、今回条例案を提案したところでございます。
 この条例は、国の健康増進法改正案のいわゆる上乗せ、横出しを規定するものでございまして、国の法案と同様、指導、勧告等の業務は保健所を設置する区市に担っていただきたいと考えております。
 今後、区市と協議を重ねながら連携を強化いたしまして、受動喫煙防止対策をより一層実効性のあるものとしていきたいと考えております。
 児童虐待の防止についてのご質問をいただきました。
 本年三月、保護者からの虐待で五歳の女の子が亡くなりました。改めて、心よりご冥福をお祈りしたいと存じます。
 亡くなったときの体重は、五歳にしてたった十二キロということでございました。この小さなお子さんが、虐待されてもなお、保護者に対して大学ノートに誓いの言葉を記していた、その心の中を推しはかりますと、まさに胸が締めつけられる思いがするわけでございます。
 今回の事案でございますが、転居時の自治体間での情報共有のあり方、家庭訪問に拒否的な保護者へのかかわり方などについて、児童相談所の対応に課題があったと認識をいたしております。
 そのため、都といたしまして、五月の時点で、児童福祉審議会の部会による検証を開始いたしております。また、今月の十三日には、国に対しまして、自治体間で情報の提供などにつきましては、全国統一のルールとして対策を強化していただくように緊急の要望を行ったところでもございます。
 今後、児童福祉司や児童心理司を増員いたしまして、児童相談所の体制を一層強化するとともに、一時保護所の職員の増員など、二十四時間三百六十五日、子供を見守る体制を強化してまいります。
 そのための人員や予算でございますが、通常の査定とは切り離しまして、優先的に措置をする考えでございます。
 また、児童の安全確認が適切に行われますように、今後、安全確認の手法や、出頭要求、立入調査を行う判断基準などについて、都独自の行動指針を策定するとともに、法的対応力の強化、地域での見守り体制の強化を図ってまいります。
 特に警察との連携につきましては、現在の情報共有の協定内容を見直しまして、児童相談所に相談があったケースのうち、今回の事案のように、保護者が子供の確認を拒否しているケースや措置を継続しているケースなど、リスクが高いと考えられるケースについては、全て共有する方向で警視庁と協議を開始しているところでございます。
 今後、子供をしっかり見守るという観点から、全庁一丸となりまして、スピード感を持って児童相談体制を強化してまいります。
 あらゆる機関が一丸となった児童虐待への取り組みについてもご質問がございました。
 全ての子供を虐待から守るためには、児童相談所を初め区市町村の子供家庭支援センター、保健所、民生児童委員、保育所、幼稚園、学校、警察、医療機関など地域の関係機関が連携をして、力を合わせていかなければなりません。
 現在、都内全ての区市町村では、地域の関係機関で構成するネットワークを構築しております。そして、情報の共有を図りながら、援助方針などを確認して、子供や家庭への支援を行っているところでございます。
 また、お話しのように、横浜市では、平成二十六年に子供を虐待から守る条例を制定いたしまして、市の責務として、虐待を行うおそれがある保護者等への支援を、また、市民の責務として、子供や保護者を地域社会から孤立させないことなどを定め、児童虐待防止の取り組みを進めておられるところであります。
 今後、都といたしまして、関係各局の連携を強化するため、全庁横断的な虐待防止のためのプロジェクトチームを立ち上げます。また、関係機関等が一体となりまして、子供と家庭を支え、全ての子供を虐待から守る環境づくりを進めるため、都独自の条例を新たに策定をしていく考えでございます。
 オリンピック憲章の人権尊重の理念実現についてでございます。
 多様性が尊重され、温かく優しさにあふれる東京、それが私の目指すダイバーシティーでございます。そして、その実現には人権を尊重することが重要でございます。
 東京二〇二〇大会が開催され、今後、観光あるいはビジネスにおきましても、さまざまな国や地域から多様な文化や生活習慣を持った方々をますます多くお迎えをすることになるわけでございます。
 また、東京で生活する外国の方々もふえていくものと思われ、お互いの個性を尊重して、認め合う共生社会の実現は不可欠でございます。
 そのためには、あらゆる人がいかなる種類の差別も受けることなくという、これがオリンピック憲章の理念でございますが、この理念を東京の隅々まで行き渡らせることは必要でございます。
 そこで、さまざまな人権課題に対しまして、これまで以上に積極的に取り組みを進めるとともに、国際社会の視点から、性自認や性的指向等を理由とする差別の解消、不当な差別的言動の解消にも取り組むべく、新条例の制定に向け、このたび概要をお示しいたしております。
 条例化を通じまして、人権尊重の理念の浸透を加速させて、人に着目した施策を積極的に推進することで、一人一人が自分らしく輝くことができて、誰もがあすに夢を持って活躍できる東京を築き上げてまいります。
 ソーシャルファームの取り組みへの支援についてのお尋ねがございました。
 ソーシャルファームは、障害者に限らず、労働市場で不利な立場にある人が働くことを目的とした社会的企業のことを指します。一般企業と同じマーケットでビジネスを行って、企業的手法で経営されているというのが特徴でございます。
 私は、こうしたソーシャルファームの取り組みをこの東京にも広げて、さまざまな事情で就労が困難な方々が、能力や適性に応じて活躍できる社会をつくっていきたいと考えております。
 このため、まずはソーシャルファームの考えに立ちまして、障害者雇用に積極的に取り組む企業をエクセレントカンパニーとして表彰する制度を昨年度に創設いたしております。また、今年度からは、ビジネスとの両立を図りながら、障害者のさらなる雇用拡大に取り組む中小企業への支援を行うモデル事業も開始いたしております。
 お話のありました海外の先進的な事例や制度も参考にしながら、今後、ソーシャルファームの取り組みを一層支援して、誰もが社会の担い手としての誇りや自信を持って生き生きと輝き続ける東京を実現してまいりたいと存じます。
 ふるさと納税制度を活用した取り組みについてご質問がございました。
 オリンピック・パラリンピックの寄附金については、現在、組織委員会で、東京二〇二〇寄付金として受け付けておりまして、大会を応援したいという人々の思いを大会の準備、運営に活用する仕組みとなっているわけでございます。
 都といたしましても、東京二〇二〇大会に向けまして、都民、国民の皆様に大会を身近に感じていただいて、大会後も末永くレガシーとして記憶、そして記録を残す取り組みを進めていくことが重要であります。記憶と記録、両方であります。
 一方、オリンピック・パラリンピックに関連いたしまして、組織委員会以外の団体が寄附を募る場合にはIOCの了解が必要となること、そしてまた区市町村に与える影響など、課題もございます。
 このため、こうした課題を整理しつつ、関係者の理解を得ながら、ふるさと納税制度の本来の趣旨を生かして、ご好意の受け皿となる仕組みが検討できるのかどうか、関係局にも指示したところでございます。
 都民や国民の皆様のご期待、そしてその志をしっかりと受けとめて、大会の成功とその先を見据えて、多くの方々の理解と協力が得られるように、いただいていたご提案の趣旨も踏まえまして検討を進めておきます。
 エシカル都市の実現についてでございます。
 近年、アメリカやヨーロッパでも、自国の利益第一といった動きが見られるわけでございます。こうした考え方は、目先の一時的な利益を最大化するということで、かえって将来への視座を犠牲にしているようにも感じられます。
 エシカルというのは、これとは全く逆の考え方であります。持続可能な都市東京を実現するために、SDGsの理念にも沿ったエシカル消費の普及を進めるということは、いわば私たちの将来にわたる利益を最大化することにつながります。
 都は、今年度から、消費生活基本計画に基づいて、エシカル消費の理念を広く都民に普及することに取り組んでおります。あわせまして、食品ロスやレジ袋の削減に向けた働きかけ、被災地支援につながる産直市の開催、障害者支援につながる福祉施設の自主製品の普及など、エシカル消費に資する取り組みを進めております。
 今後、持続可能な成長という重要な概念のもとにおきまして、生産、流通から消費後の廃棄に至ります一連の流れに配慮いたしましたエシカル消費を推進するために、幅広い視点から全庁挙げて政策の強化を図ってまいります。
 日比谷公会堂と大音楽堂、いわゆる野音の改修についてのご質問がございました。
 後藤新平の、都市生活における市民の心のともしびとしたいとの思いで建設されたのが日比谷公会堂でございます。九十年間の長きにわたり数々の名演奏や集会が行われて、歴史を生み出す舞台であり続けました。
 私は、本年五月に日比谷公会堂を視察いたしました。ネオゴシック風の建築様式の重厚なたたずまいに触れて、次世代へ継承すべき都民の財産だなということを実感したところでございます。
 公会堂の耐震対策と改修に当たりましては、市政会館とも連携しながら、建築当時の意匠の保全を基本に、先人たちの深い思いを未来につなげるべく力を尽くしてまいります。
 また、野音につきましては、オリンピックの機運醸成に向け積極的に活用いたします。東京二〇二〇大会後は、民間の知恵を取り入れて再整備、そして、音楽史に名を刻んできた野音でございます、新たな価値を創造してまいりたいと考えております。
 文化の発信拠点として、また、日比谷公園の魅力を一層高められますように、これからも人々に愛される公会堂、そして野音としてまいります。
 工業用水道事業の廃止に向けた利用者への対応についてのお尋ねがございました。
 東京の工業用水道事業は、地盤沈下の防止対策として供給を開始し、これまで地域の産業基盤を支えてまいりましたが、今日では地盤沈下が鎮静化し、その所期の目的は達成いたしております。
 一方で、工場の都外移転などが進みまして、料金収入が減少する中で今後も需要が見込めることなく、また、老朽施設の更新にも多大な費用を要するなど、事業運営上の課題が顕在化しております。
 このため、都といたしまして、事業の抜本的な経営改革について検討を進めてまいりましたが、このたび有識者委員会の廃止という提言も踏まえまして、東京大改革の一環として、廃止に向けた動きを進めていくことといたしました。
 事業を廃止する場合におきましては、何よりもまず、工業用水道を利用する企業の経営への影響を最小限にとどめなければなりません。そのため、これまで工業用水道事業の厳しい運営状況を利用者に説明する一方で、企業活動の継続や料金への影響などを把握し、その支援のあり方につきましても検討するように、関係各局に指示しております。
 今後は、利用者からの幅広い声により一層耳を傾けながら、相談やお問い合わせに対しましては、一元的な窓口を設置いたしまして、関係各局が緊密に連携してきめ細かく対応してまいります。
 また、具体的に申し上げるならば、料金差額の支援、上水道への切りかえ工事、塩素除去装置などの必要な設備の設置など、個々の利用者の声を反映させまして、多様な支援策を検討し、事業廃止に向けた動きを丁寧に進めてまいります。
 築地再開発についてのご質問がございました。
 先月、築地再開発検討会議におきまして、築地のポテンシャルを生かして魅力と付加価値を高め、東京の持続的な成長につなげていけますよう、築地まちづくりの大きな視点を取りまとめていただきました。
 この大きな視点を踏まえまして、行政としてのまちづくりの方針を検討していくために、庁内横断的な検討体制を整えたところでございます。
 今後、さらに学識経験者を交えた会議も立ち上げるとともに、区のまちづくりとの調整や民間からのヒアリングも行いまして、市場の移転後の状況も踏まえ、検討を進めてまいります。
 年明けには、まちづくりの方針の素案につきまして、広く都民のご意見を伺った上で、年度内に方針を取りまとめて、将来の東京にとりまして重要な役割を担う、新たなまちづくりの具体化を図ってまいります。
 また、千客万来施設事業につきましてのご質問でございました。
 先月三十日、万葉倶楽部の高橋会長と会談した際に、私から豊洲市場に係るさまざまな課題検証に追われる中で、万葉倶楽部に対しましての心配りが足りなかったことについて陳謝をさせていただきました。
 そして、今後の事業の進め方についての先方との意見交換を通じまして、信頼関係の回復が図られたところと存じます。
 これまでの実務的な協議の積み重ねに加えまして、会長と率直に話し合う場を持てたことで、事業をともに進めていこうという共通認識に立てたものであり、新たな約束などをその場で交わしたという事実はございません。
 会談を受けて、翌日、事業者からの新たな提案がございまして、都として、事業実施に向けた前向きな内容と受けとめ、協議に応じる判断をいたしまして、現在、事業者との間で、具体的なスケジュールなど課題整理を進めているところでございます。
 また、千客万来施設事業の推進に当たりましては、地元である江東区の理解を得ることが大変重要でございます。今回の経緯につきまして丁寧にご説明するとともに、千客万来施設を確実に整備すること、それまでの間のにぎわい創出に向けました方策を早急にお示しする、そのことで、江東区の皆様方のご理解を得ていきたいと考えております。
 その上で、建設工事の着手時期、完成時期などを含めた協定を事業者と締結いたしまして、施設整備を確実に進めてまいります。
 事業者や江東区と力を合わせまして、活気とにぎわいにあふれ、地域に親しまれる豊洲市場をつくり上げてまいります。
 入札契約制度改革についてのご質問でございました。
 この改革は、より多くの方が入札に参加しやすい環境を整備することを目的とし、昨年六月より試行を進めてまいりました。これにより応札者数が増加するとともに、応札者が一者のみの案件の割合も半減するなど、入札の競争性や透明性を高める上で成果を上げてまいりました。
 今般、この成果を生かしつつ、都の事業進捗への影響にも配慮した仕組みづくり、中小企業が都の入札に参加しやすい環境づくりという二つの視点から、中小企業の積算に係る負担などを考慮いたしまして、低価格帯の案件について予定価格を事前公表とするなど、制度を一部改善いたしまして、改革を本格実施することといたしました。
 今後とも、改革の目指す方向性の実現に向けまして、着実に取り組みを進めるとともに、制度を取り巻く状況を常に見きわめながら、競争性の確保と、公正かつ透明な運用を徹底してまいりたいと考えております。
 東京と日本の成長を考える検討会についてのお尋ねでございます。
 人口減少期が到来いたしまして、持続的成長が危ぶまれる中で、日本が明るい未来への活路を切り開くためには、首都東京が力強い牽引役となり、また、各地方がみずからの権限と財源をもちまして、それぞれの地域の強みを活性化させることで、オールジャパンの総合力を最大限に高めていくこと、これが必要でございます。
 一方、国は、こうした大局的な視野を持つことなく、地方間の税収格差を是正することが地方の活性化につながるといわんばかりに、東京を標的とした税制度の見直しを幾度となく繰り返しております。
 こうした国の方策が奏功しなかったことは、地方の活性化が思うように進まず、また、地方交付税の不交付団体が、この十年間で半減しているという事実からも明らかでございます。
 今回の検討会におきましては、日本の今を知る有識者の方々を交えながら、まず東京だけでなく、地方も、そして日本全体をも持続的な成長に導くために、いかなる投資が必要なのか、加えて、そのための基盤となる地方分権と地方税財源は一体どうあるべきなのかといった点につきまして、しっかりと議論を積み上げていくことといたしております。
 今月十四日の第一回検討会におきましては、こうした豊かな見識を持つメンバーが一堂に会しまして、国際競争力の強化や人口、就労構造の変化への対応などの視点から、大変熱のある議論を行うことができたと考えております。
 この検討会におきまして、議論を生かしながら、あらゆる機会を捉えて、都の主張を積極的に発信いたしまして、理解、そして共感の輪を、都民、そして全国へと広げてまいります。
 なお、その他の質問につきまして、教育長、東京都技監及び関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立学校における施設の安全対策についてでございますが、学校施設の整備、維持管理等に当たっては、児童生徒の安全確保を図ることが重要でございます。
 都教育委員会は、都立学校の建物の耐震化を完了し、非構造部材の耐震化を進めております。敷地境界の塀に関しては、東日本大震災においても、倒壊等の問題は見受けられませんでした。
 小中学校については、設置者である区市町村が学校施設の維持管理を行っており、都教育委員会は、建物の耐震化を支援しております。
 なお、ブロック塀の状況については、耐震調査の対象外ということもあり、現在のところ把握できておりません。
 今後、区市町村教育委員会とも連携しながら、早急に現状を把握するなど、学校施設のさらなる安全対策に努めてまいります。
 次に、性教育のあり方についてでございますが、学校における性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう進めていく必要がございます。
 そのため、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、性情報の氾濫等の実情を踏まえ、児童生徒等の状況に応じ、保護者の理解を得ながら、個別やグループ等での対応を行うことも必要でございます。
 都教育委員会は、学校における性教育を通して、児童生徒が性に関する諸課題等について適切に判断し行動できる能力や態度を身につけられるよう、区市町村教育委員会や医師等の専門家とも連携しながら、きめ細かく取り組んでまいります。
 次に、性教育に関する具体的な取り組みについてでございますが、各学校が児童生徒のさまざまな状況に的確に対応し、健全な心身の発達を促す性教育を適切に実施するには、目的や意義、また、その内容や具体的取り組み方法等について、全ての教員が十分に理解し、共通の認識を持つことが重要でございます。
 都教育委員会は、性教育に関する基本的な考えや実践事例を示した手引の改定作業を進めており、今後、学校における性教育の実施状況の調査を行うとともに、産婦人科医等の専門家の具体的な活用方法等についても検討してまいります。
 こうした取り組みを通して、都教育委員会は、学校にとってよりわかりやすく、活用しやすい手引を今年度中に作成、配布し、各学校での性教育の適切な実施を支援してまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 道路ネットワークの形成についてでございますが、東京の道路は、都市活動や都民生活を支えるだけでなく、交通渋滞の解消や拠点間の連携強化によりまして、経済成長の促進、国際競争力の強化に資するとともに、防災性や安全性の向上にも寄与いたします極めて重要な都市基盤でございます。
 このため、区部の放射環状、多摩の南北東西の骨格幹線道路の早期整備に重点的に取り組んでまいります。
 また、生活道路や通学路への通過交通を抑制するなど、地域の安全性の向上などに資する地域幹線道路の整備を推進してまいります。
 これらの路線の整備に当たりましては、地域の皆様の理解と協力を得ながら丁寧に進めてまいります。
 今後とも、スマートシティーやセーフシティーの実現に向けまして、道路ネットワークの形成に全力で取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 最初に、本年三月に起きました虐待事件により亡くなられましたお子様に、児童相談所を所管する局の責任者として、改めて、心よりご冥福をお祈りいたします。
 今回の虐待案件の検証についてでございますけれども、都は、本年五月から外部の専門家から成る児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会による検証を開始しております。また、香川県も今月中に検証会議を立ち上げることとしており、相互に連携して検証を行ってまいります。
 今後、双方の委員がそれぞれの検証会議に参加をして、ヒアリング結果を共有しながら、被害児童の転居前後における当該ケースの引き継ぎ状況や、一連の過程等について検証する予定でございます。
 また、国におきましても専門委員会による検証が開始され、秋ごろを目途に結果を取りまとめると聞いております。
 都といたしましても、できるだけ速やかに検証を進め、事実関係の確認、対応の妥当性、今後の取り組みなど、段階ごとに結果を取りまとめていく予定でございます。
 次に、SNSを活用した児童虐待相談についてでありますが、現在、区市町村は、子供家庭支援センターにおきまして、地域における身近な相談に対応し、児童相談所は、虐待、非行、障害など、十八歳未満の子供に関するあらゆる相談に対応しております。
 また、児童相談センターでは、フリーダイヤルの電話相談で、虐待やいじめなど子供の悩みを相談員が直接受け、内容に応じて専門機関の支援につなげるほか、子育てに悩む保護者が匿名で気軽に相談できる電話相談も実施をしております。
 近年、若者のコミュニケーション手段として、SNSが圧倒的な割合を占めるようになっていることから、今後、子供や保護者がよりアクセスしやすい相談環境を整備するため、LINEなどのSNSの活用についても検討をしてまいります。
 最後に、障害者差別解消条例の制定の効果についてでありますが、障害者の申し出に応じて、事業者が過重な負担のない範囲で柔軟に対応する合理的配慮の提供について、障害者差別解消法では努力義務としております。本条例では、これを義務化いたしました。
 また、紛争解決に向け、障害者及び事業者へ助言等を行う広域支援相談員や、紛争解決へのあっせんを行う調整委員会を新たに設置いたしますとともに、調整委員会のあっせん案に正当な理由なく従わないなど悪質な事業者に対しては、勧告、公表ができる仕組みとしております。
 こうした仕組みづくりは、社会全体で障害者への理解を深め、相互に人格と個性を尊重し合いながら、障害のある人もない人もともに暮らす共生社会の実現に資するものと考えております。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 職場におけるセクシュアルハラスメントの防止についてでございますが、セクハラのない良好な就業環境の確保に向けましては、事業主の理解促進に加え、お話のように、企業において就業規則にセクハラ防止の規定を設けるなど、その実効性を高めていくことが重要であります。
 そこで、都は今年度、事業主向けに相談体制の整備など、具体的な対策を促すリーフレットを新たに作成し、年二回の街頭労働相談や労働セミナーで配布するなど、広く啓発を図ることとしております。
 また、働きやすい職場づくりに取り組む中小企業を表彰いたしますライフワークバランス認定企業の今年度の選定では、セクハラ防止を就業規則等に規定していることも要件に加え、確認してまいります。
 今後も、こうしたセクハラ防止への効果的な取り組みを一層強化することで、誰もが安心して働ける職場環境の整備を進めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 保育所用地の確保についてご答弁いたします。
 都はこれまで、全庁一丸となって都有地の洗い出しを行い、区市町村を介した保育事業者への貸付制度の創設など、保育所整備に向けた取り組みを積極的に推進してまいりました。
 一方、保育所整備のさらなる推進には、お話のとおり、国有地や民有地等を活用する視点も重要と認識をしております。
 とりわけ、一括して売却予定の大規模な国有地や民有地を区市町村が単独で購入し、その一部を保育所用地として活用するには、財政面で課題があるとともに、国有地の場合には、地元区市町村が直接国に申し出ることや、保育所以外の用途も含めて具体的に示すことが必要となっております。
 このように、検討すべき課題は多岐にわたることから、国への要望も含めまして、区市町村と連携を図りながら、都としても幅広く検討してまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) LGBT等に関する取り組みの今後の方向性についてですが、ご指摘のとおり、性的マイノリティーの方々が抱える困難は、さまざまであると認識しております。
 都は、性自認及び性的指向等を理由とする差別の解消及び啓発等を推進していくため、条例制定後に、全庁横断会議を設置し、各局が課題を共有しながら、基本計画の策定を予定しております。
 この基本計画策定に当たっては、性自認や性的指向等を理由に悩みを抱える方々に寄り添い、個々の施策現場等でどのような配慮が必要かについて個別具体的に検討し、対応策を積み上げていくことが重要でございます。
 このことにより、都の施策の全体像を示しつつ、実効的な施策展開につなげてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 障害者スポーツの振興についてでございますが、東京二〇二〇大会を契機に、障害者スポーツが多くの方々や団体によって行われ、地域に根づくことは重要でございます。
 本年三月に策定いたしましたスポーツ推進総合計画では、スポーツを通じた共生社会の実現を政策目標とし、誰もがスポーツに親しめる環境を築いていくこととしております。
 これまで都は、パラリンピック競技のみならず、聴覚障害者や知的障害者等のスポーツについて広く情報発信するほか、都立特別支援学校の体育施設を活用した体験教室を実施するなど、環境整備に努めてまいりました。
 今後とも、東京二〇二〇大会後も見据え、障害者が身近な地域でスポーツに参加できるよう、スポーツに新たに取り組む際の情報提供や相談支援も含めまして、区市町村と連携しながら障害者スポーツの一層の振興を図ってまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) ラグビーワールドカップ及び東京二〇二〇大会についてでございますが、交通局では、両大会に向けまして、関係局等と連携し、大会関連情報の発信などを通じて機運醸成を進めております。
 ラグビーワールドカップについては、現在、都営地下鉄及び都営バスの車内液晶モニターで、テストマッチのパブリックビューイングの告知や二〇一九大会のPRを、それぞれ動画により放映してございます。
 東京二〇二〇大会については、地下鉄一編成の車内広告枠の全てを使用いたしましたメディアライナーやラッピングバスを活用しまして、大会開催二年前に合わせたPR活動を展開してまいります。
 今後とも、都営交通のさまざまな媒体の活用を通じまして、開催に向けた機運の醸成に貢献してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) LED省エネムーブメント促進事業についてでございますが、本事業は、LED電球の交換と省エネアドバイスを通して、家庭の省エネルギー対策を進めるものでございます。
 これまで、家電店等の協力と多くの都民の参加により、約二十七万個のLED電球への交換と省エネアドバイスが行われ、約一万二千トンのCO2が削減されるなどの効果がございました。
 こうした省エネムーブメントの流れをとめないためにも、家電店等からのさまざまな意見も踏まえて、都民がより参加しやすい新たな事業スキームの検討を進め、準備が整い次第、実施をしてまいります。
 今後とも、本事業を活用するなど、区市町村等とも連携して、より多くの都民の省エネ行動を促し、さらなる家庭のCO2削減につなげてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 東京二〇二〇大会における一体感のある展示についてでございますが、臨海副都心にはスポンサーパビリオンが設置され、これらは、国内外から来訪されるお客様が最先端の技術やサービスを体験、体感できる場となります。
 一方、この地域では、これまでも研究機関や展示施設が多種多様なイベント、展示会を開催しており、こうした実績や経験のある施設が、スポンサーパビリオンと共通のテーマを掲げて、ショーケーシングを展開することは、先端技術発信の場としての臨海副都心をアピールすることにつながると考えます。
 ご指摘を踏まえ、今後、大会に向けて展示、発表を検討している研究機関や展示施設に協力を求め、大会と連動した展示を開催できるよう調整を進めてまいります。
 次に、航空機墜落事故の被害者支援についてでございます。
 平成二十七年に発生した調布飛行場周辺の墜落事故におきましては、その後の事故原因の究明に約二年を要し、損害賠償手続も長期化するなど、被害者の生活再建が円滑に進まない実態が浮き彫りとなりました。
 都といたしましては、万一再びこうした事故が発生した場合に備え、被害者に対する迅速な生活再建策を講ずることが、航空機事故に対する都民の不安を緩和し、都営空港への理解とその安定的な運営につながるとの考えから、今回の条例改正案を提案したところでございます。
 平成二十七年の事故により住宅損壊等の被害を受けた住民に対し、生活再建に必要な支援を求める声は高く、都議会でのご審議を踏まえ、これら被害者への支援につきましては、今後適切に対応してまいります。
〔政策企画局長遠藤雅彦君登壇〕

○政策企画局長(遠藤雅彦君) 最先端技術の実証支援についてでございますが、自動運転などの最先端技術の実証実験を促進することは、新たなイノベーションを創出し、国際競争力の向上や、東京が直面する超高齢社会等の課題解決につながることから、大きな意義を有しております。
 都は、国家戦略特区を活用した技術実証支援として、江東区青海における全国初の遠隔型自動運転システムの公道実証など、計八件の自動運転の実証実験を支援したほか、土砂災害の被害状況をドローンで確認する実証実験を四件支援してまいりました。
 ご提案を踏まえ、サンドボックス制度を初めとした国家戦略特区などを活用し、関係局と連携しながら、臨海副都心等の地域で自動運転やロボットを初めとした最先端技術の実証実験を支援してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 環境に配慮した水道事業のPRについてでございますが、海外から訪日される方々などへの水源林管理の取り組みの紹介や、水飲み栓などによる水道水の飲用機会の創出は、環境に配慮した水道局の取り組みを知っていただくために有効でございます。
 そこで、九月のIWA世界会議では、会議での発表や海外参加者を対象とした観光ツアーなどを通じまして、水源林の多岐にわたる取り組みを紹介いたします。
 また、会議全体を通しまして東京の水道水を提供するとともに、会場などにおきまして、冷たい水道水を気軽に味わえる可動型の仮設水飲み栓を設置いたします。
 その後も、お話の国際イベントや外国人が多く訪れる都庁舎等におきまして、この水飲み栓を活用するなど、水道水のおいしさを広く体験していただく方策を検討してまいります。
 このような取り組みを通じまして、環境に配慮した水道事業のPRに努めてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 都心部・臨海地域地下鉄構想についてでございます。
 この路線は、臨海地域と銀座、東京など都心部を結ぶことで、臨海地域の拠点機能を一層強化するとともに、ネットワークの面からも、東京全体の公共交通のさらなる利便性向上に寄与することが見込まれております。
 一方、国の答申では、この路線は事業性に課題があり、検討熟度が低く、関係者間において事業主体を含めた事業計画について、十分な検討が必要とされております。
 今後は、答申を踏まえるとともに、臨海地域等における開発動向などを勘案しながら、構想をより具体化するために関係者間で連携して取り組んでまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、築地市場解体工事の地元への説明についてですが、解体工事は、七つの工区に分けて発注しておりまして、五月下旬に全ての工区において受注事業者が確定いたしました。現在、各工区の受注者と詳細な施工手順やスケジュールなどを調整しているところでございます。
 近隣の方々への対応につきましては、説明会の開催日時等を含め、先月から中央区と調整しているところでございます。近隣町会、場外市場などの方々を対象とした説明会は、今月下旬の築地地区等のまちづくり協議会に説明した後に実施することとなりますが、可能な限り時期を早めまして、来月中旬に開催を予定しているところでございます。
 説明の際には、わかりやすい資料を用いるとともに、質疑応答の時間を十分にとるなど丁寧に対応し、地元住民の理解を得られるよう努めてまいります。
 次に、千客万来施設用地を活用したにぎわいの創出についてですが、今回の事業者からの提案について、今後最終的に合意が図られた場合、千客万来施設は、東京二〇二〇大会後の着工となります。
 都といたしましては、豊洲市場の開場後、千客万来施設が開業するまでの間、建設工事期間中も含め、継続的ににぎわいを創出していく必要があると考えており、五街区及び六街区の千客万来施設用地を活用したさまざまなイベントや、仮設建物による事業等について検討してまいります。
 その際には、多くの都民が集える場とするための駐車場の確保や、開場当初の円滑な市場運営などの視点も踏まえて検討を進めてまいります。
 最後に、豊洲市場における運用ルールについてでございますが、移転後の市場運営を円滑に行うためには、高度な品質、衛生管理や、効率的な物流の実現といった豊洲市場の基本理念を踏まえた上で、開場当初は、市場業者が新しい市場施設にふなれであることなどにも留意した運用を図る必要がございます。
 このため、都は、品質、衛生管理や場内物流、施設の管理運営にかかわる事項などについて、業界団体と設置した街区別幹事会において、実務者レベルで調整しているところでございます。
 引き続き、業界との調整を積み重ね、現場の状況を踏まえた実効性のある運用ルールを策定し、習熟訓練で試行、検証するなど、業界団体と連携を図りながら、開場に向けた準備を着実に進めてまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十番早坂義弘君
〔百二十番早坂義弘君登壇〕

○百二十番(早坂義弘君) 昨日発生した大阪府北部の地震においてお亡くなりになった方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 気象庁は、揺れの強かった地域では、地震発生から一週間程度、最大震度六弱程度の地震が発生する可能性があると発表しています。地域の皆様には十分注意をしていただきたいと思います。
 質問の冒頭に当たり、都議会の信頼回復について一言申し上げます。
 今定例会開会日に議長報告がありました。その内容は、いわゆる豊洲百条委員会において虚偽陳述をしたとして議長名で告発した二名の証人について、東京地検は不起訴処分と決定したというものです。
 我が党は、この告発を審議した昨年の第二回定例会で、豊洲百条委員会の報告書を都議会として認定することにも、都議会が偽証告発することにも、断固として反対いたしました。しかしながら、十分な根拠もないまま数の力のみで告発を強行した結果、不安は的中し、今回の不起訴処分となりました。
 そもそも昨年、偽証告発の前には、議会局が見解を求めた二名の弁護士からは、十分な証拠はなく虚偽の陳述であるとの証明は厳しい、また、偽証したとする動機も明らかになっていない、そして、両証人の人権に配慮が必要であるとの意見がありました。さらに、もし告発した場合、都議会に対して名誉毀損の訴訟を提起される可能性があり、軽々な告発は思いとどまるようにとの指摘がなされていたのです。
 申し上げるまでもなく、私たち都議会は裁判官でも検察官でもありません。百条委員会に与えられた告発という権限を行使する場合には、慎重かつ公平、公正であるのは当然のことでした。
 しかるに、今回、東京地検は、裁判を行うには嫌疑不十分であり、不起訴処分だとする判断を明確に下しました。この厳しい結果から目を背けてはなりません。
 私たち都議会は、委員会調査にご協力をいただいたお二人の証人にいわれのない疑いをかけ、著しく名誉を傷つけました。都議会として、公に謝罪し、真摯に反省するとともに、都議会の権能として両証人の潔白を証明すべきです。
 一部会派からは、嫌疑不十分はあくまで不十分であって、嫌疑なしということではないとの主張がありました。これはとんでもないことです。なぜなら、我が国では、判決が確定するまで、たとえ一審、二審で有罪とされたとしても、あくまで推定無罪なのです。ましてや、裁判にかかる手前で、嫌疑不十分だとして不起訴になった方に、嫌疑不十分はあくまで不十分なのであって、嫌疑なしということではないなどとの主張をする方の常識を疑います。
 また、このとき同時に決議された我が党の河野ゆうき議員に対する問責決議も取り消すべきであります。
 今回の過ちにどこまで真摯に向き合うのか、都議会のかなえの軽重が、今、問われています。我が都議会は誠実さを取り戻し、健全な議会へと再生していくべきだと冒頭に申し述べます。
 では、知事の基本姿勢について伺います。
 俗に政治は結果責任であるといわれています。この考え方に、知事は首肯なさいますでしょうか。それとも否定なさいますでしょうか。
 小池知事は就任以来、これまで議会と理事者が着実に進めてきた東京都の施策に大きな疑念があると問題視し、幾つもの東京大改革に取り組んできました。
 オリンピック競技施設の被災地への移転、豊洲新市場への移転中止と築地再開発、入札契約制度の変更。私たち都議会自民党から見ると、小池知事が取り組んだこれらの東京大改革の中心的課題は、一つも実を結ぶことなく、全てもとの施策に戻り、いたずらに時間と経費と関係者の意欲をそいだだけのように見えます。
 知事の任期は四年間です。それが間もなく折り返しを迎える中、現時点で、東京大改革の何が成功し、何が失敗したと自己評価されているのか、政治は結果責任との観点から、知事にお伺いをいたします。
 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。
 パラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功なし、記録より記憶。知事が好んでお使いになる言葉です。
 二〇一二年ロンドン・パラリンピックは、史上最も成功したパラリンピックと称されています。ロンドン大会では、人々の態度や認識に影響を与え、障害者に対する態度を変えるとのレガシーが掲げられました。実際、大会後に行った政府の調査によると、国民の八〇%以上が、大会は障害者のイメージ向上のために有効だったと答えています。
 一方で、これとは反対の大変興味深い報告もなされています。イギリスの民間機関による、障害者を対象とした、大会後の障害者への態度の変化に関して、悪化したが二〇%、変化なしが五〇%と、極めて対照的な調査結果となっています。
 これまでイギリスの国民に、障害者は能力が劣る、あるいは障害者はかわいそうという先入観があったとすれば、それはパラリンピックを契機に払拭されたようであります。
 しかし、障害者を対象にした調査からは、それが行き過ぎて、あれだけのことができる障害者がいるのだから、この程度のことができないのは、その障害者の努力が足りないからだと感じる国民が存在するなど、市民感情は、意図せず、もう片方に振れ過ぎてしまったようにも見えます。実際、ロンドン・パラリンピック以降、イギリスでは、障害者に対するボランティアの数が減ったとも聞きます。
 私は日ごろの地元活動の中で、二〇二〇年大会についてお話しする機会が多くございます。その際、健常者の皆さんは、特にパラリンピックの理念に関して共感を抱くようです。
 一方で、不思議なことに、障害者の皆さんは、パラリンピックに対して驚くほど冷ややかだという印象を持ちます。それは、障害者の皆さんが、パラリンピックは自分とは別世界の話だと感じているからかもしれません。
 では、一体誰のためのパラリンピックなのでしょうか。
 客席を満席にすることは、パラリンピックの成功のための大きな目標の一つでしょう。それについて異論はありません。努力に努力を重ねてきたパラアスリートが渾身の力を振り絞って活躍する場面は、満席であってほしいと思います。また、パラアスリートの活躍を、全ての東京の子供たちに見てもらいたいとも思います。
 しかし、興行としてのパラリンピックの成功と、東京都がレガシーとして掲げる共生社会の実現とは、別問題だと考えます。今のままでは、パラスポーツにかかわり合いを持たない多くの障害者にとって、東京大会はロンドン大会と同じように、パラリンピックが開催されても、障害者への態度が何も変わらない、あるいはむしろ悪くなったという印象を持つということになりかねないと、私は危惧します。
 また、記録より記憶という言葉もそうです。
 私は平成二十八年第三回定例会で、スタジアムの客席や飲食店のバリアフリーについて提言いたしました。東京を代表するようなスタジアムであっても、車椅子の利用者は、障害者用に特別に設けられたエリアでの観戦を指定されます。そのことは、同行した健常者の仲間たちと離れて、一人ぽつんと観戦することを意味します。
 あるいは、私たちが日ごろ食べに行く食堂やそのトイレの多くには段差があります。したがって、何を食べたいかではなく、どこなら入ることができるかでお店を選ばざるを得ません。
 今日のこうした実態を考えれば、障害者の皆さんが二〇二〇年大会に求めるものは、記録でも記憶でもなく、共生社会の確立にほかならないはずです。にもかかわらず、記録より記憶とは、一体誰の視点なんでしょう。一体、どれだけの障害者が二〇二〇年大会に求めることが記録より記憶なんでしょう。当事者の視線が完全に欠落しています。
 つまり、パラリンピックの成功とは、二〇二〇年大会をきっかけに、誰もが障害の有無を意識せずに暮らしていける共生社会をスタートさせることにあると、私は考えます。
 では、知事のおっしゃるパラリンピックの成功とはどういうことを指すのか、教えていただければと存じます。
 折しも東京都障害者差別解消条例が提案されています。ここでは、東京都及び事業者に対して合理的配慮の提供が義務づけられています。
 そこでうたわれている合理的配慮の提供義務とは、事業者に過重な負担を強いるものではないとの説明を担当職員から受けました。
 例えば、飲食店の入り口に段差があっては、車椅子の方は入れませんし、お店のトイレの入り口が狭くては、そのお店で飲食することはできません。しかし、まちの小さなお店まで含めて、全てのお店にバリアフリー改修を命じることは、過重な負担を強いることになります。ゆえに、どの事業者にとっても、あくまで過重な負担のない範囲でと限定して、合理的配慮を義務づけるというたてつけです。
 そう聞けば、なるほど、もっともだとお感じになるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。
 何が過重な負担かの基準すら定めずに、この条例にうたう合理的配慮の提供義務は、社会にとって一体どんな影響力を持つのでしょうか。この条例により進める東京都の施策は、相談員の配置と普及啓発に努めることだけです。一体、相談と啓発だけで東京のバリアフリーが本当に進むと思っていらっしゃるのでしょうか。
 車椅子を使う我が友人によると、アメリカ国内では、ただの一度も車椅子で入ることのできなかったお店はないといいます。その友人の説明では、我が国ではバリアフリー改修は福祉の問題、一方でアメリカでは人権の問題、そこに違いがあるのだと思います。
 アメリカと日本は違うのは当然です。それはわかります。しかし、二〇二〇年大会を契機に東京を共生社会にしていくのが、大会のレガシーではなかったのでしょうか。その根幹にあるはずの障害者差別解消条例を、相談と啓発だけに終わらせてよいのでしょうか。また、そこで受けた相談を単なる相談に終わらせず、社会にフィードバックして、バリアフリーが少しでも進む仕組みになぜさせないのでしょうか。
 今こそ、都庁全体の政策を総動員して、共生社会の実現に向けた確かな歩みを進めるべきときであります。
 実は、私が大変感銘を受けた東京都の施策があります。それは一見、福祉とは縁遠いと思われる環境局のものです。前知事の時代、平成二十八年度からスタートした、環境性能の高いユニバーサルデザインタクシーへの補助のことであります。
 現在、都内を走るタクシーは五万台あり、そのほとんどがクラウンコンフォートという車種です。そのうちの一万台を五年間でジャパンタクシーという車種のハイブリッド車に切りかえていくというのが施策の内容です。この施策のポイントは、それが単なるハイブリッド車ではなく、車椅子でも乗ることができるユニバーサルデザインタクシーだということにあります。クラウンコンフォートとジャパンタクシーには百万円の差があり、国と東京都でその差額を補助、環境対策という第一の効果を発揮しながら、あわせて共生社会を実現するための大きな手助けともなる、実に見事な手法です。
 理念条例の策定は否定しません。しかし、具体的施策を伴ってこそ、共生社会は実現するのです。今こそ、都庁全体が共生社会実現のための具体的施策を次々と提案すべきときではないでしょうか。
 そこで、東京都障害者差別解消条例に実効性を持たせることに関して、知事のご見解を伺います。
 次に、ボランティアについて伺います。
 過日、組織委員会と東京都は、大会ボランティア八万人、都市ボランティア三万人を募集することを発表しました。参加のしやすさにも配慮し、交通費の提供などを盛り込むとともに、都市ボランティアについては、区市町村からの推薦を検討するとしています。
 都市ボランティア三万人のうち二万人は、競技会場周辺で観客の案内を行うことになります。日ごろから各地域でボランティア活動を行っておられる方々には、大会開催時にもボランティアとして活躍していただきたいと思います。そのためには、区市町村とも連携して取り組みを進めていくことが必要です。
 次はいよいよ九月から募集開始となります。都市ボランティアは、東京都のほかに、競技会場のある各自治体でも募集されると聞いています。したがって、全国では十一万人を上回るボランティアが必要となります。
 これだけ多くのボランティアの人数を確保するには、今まで以上に国民の参加意欲を高めていくことが必要です。
 そこで、多くの学生さんの参加が期待される全国の大学への働きかけを初め、応募促進に全力を尽くすべきと考えます。東京都の取り組みを伺います。
 次に、豊洲新市場移転問題、築地再開発問題について伺います。
 今回の千客万来施設に関するどたばた劇は、地元江東区や市場関係者の信頼を失い、都政にまた一つ大きな汚点を加える結果となりました。
 二年間の暫定利用と、二〇二〇年大会後に本格着工することに決定したという知事の判断は、単に課題を先送りにしただけにすぎません。本年八月に商業ゾーンを先行開業することを前提にした万葉倶楽部と東京都との基本協定も、もはや体をなしていません。
 知事は、豊洲新市場を食の発信基地にするとおっしゃっています。しかし、その一方で、築地市場跡地を食のテーマパークとする構想は、くすぶったまま残っています。
 一連の事の本質は、昨年六月の市場移転に関する基本方針が、知事がどなたとも調整せずに発表したことにあります。それゆえ、その都度その都度、苦し紛れの対応を重ねざるを得ず、問題がさらに厄介になっています。
 本年十月十一日の豊洲開場に合わせた千客万来施設の暫定利用開始を考えた場合に、相当なスピード感を持って、その内容や規模、実施の方法など、地元江東区が納得できる形で決定しなければなりません。
 聞くところによると、今月二十九日には、江東区議会清掃港湾・臨海部対策特別委員会が開催されるとのことです。知事みずから交渉し、決定なさった千客万来施設の暫定利用について、今後いつからどのように取り組むのか、またいつまでに結論を出すのか、江東区にどのようなタイミングで回答するのか、万葉倶楽部との基本協定の見直しはいつまでにどのような内容で行うのか、お決めになった知事なら明確にお答えになれると思います。ご見解を伺います。
 豊洲新市場は、閉鎖型でコールドチェーンが整った活気ある市場として機能することが重要です。産地から市場へ、そして市場から消費者へと、円滑かつ確実に生鮮食料品を送り届ける物流は、市場機能の中核であり、生命線であります。
 場内の商品の流れにおいては、温度管理が隅々まで行き渡るルールの徹底が、鮮度維持を図るために欠かせません。また、市場業者にとっては、定温管理などに要する光熱水費の負担が、今後の経営における重要な関心事となっています。さらには、市場の担い手である市場業者が、深夜、早朝から働く環境整備として、通勤用駐車場の確保も必要です。
 そして、最も深刻なことですが、移転延期決定後にもたらされたいわれなき風評被害によって、市場業者は厳しい経営状況にさらされながら商売を営んでいかなければなりません。
 こうした諸課題について、我が党は、豊洲新市場への移転準備に着実に取り組むよう、折に触れて要望してまいりました。豊洲新市場開場まで四カ月を切った今、東京都と市場関係者との間でどのような合意に至っているのか、あわせて、合意に至っていない残された課題は何があるのか、ご見解を伺います。
 次に、受動喫煙防止条例について伺います。
 受動喫煙防止は、我が都議会自民党の公約であり、私自身も、ぜひ積極的に進めていただきたいと心から願う一人です。しかしながら、そのことと、今回提出された条例案がよいものかというのは別の話であり、残念ながら、この条例には問題が多く、賛成できないというのが、我が党の考えです。
 その理由に関連して、二つお伺いをいたします。
 東京都は、昨年九月、店舗面積三十平米以上の喫煙に対して規制をかける方針を示し、パブリックコメントを実施しました。これに対して一万七千件の意見が寄せられたうち、賛成意見は六千五百件にとどまったと、当時、マスコミなどで盛んに報じられました。
 しかし、パブリックコメントで寄せられた都民の声を何ら生かすことなく、突如、面でなく人に着目、つまり、これまでの店舗面積で判断するという考え方から、従業員の有無で判断するという新しい考え方を提案されたのはどうしてなのでしょうか。そして、これだけ大きな変更なのにもかかわらず、今回はなぜかパブリックコメントは行わない。また、飲食業を営む中小事業者団体からは多くの不安の声が寄せられています。
 都民や関係者の理解を得ようとしないままこうした条例制定に突き進む姿勢は、条例制定に係るプロセスを著しく欠いていると思います。このことに関する知事のご見解を伺います。
 次に、この条例の実効性について伺います。
 受動喫煙防止策に関して、屋内においては、面積に着目した国の法律と、人に着目した都の条例、そして屋外においては、区市町村にそれぞれの条例があるなど、極めて複雑な仕組みとなっています。どこで吸うことができて、どこで吸うことができないのか、判断に苦しむのは、何も東京を訪れる外国人観光客に限らず、私たち都民も同じです。
 また、店舗における従業員の有無の確認や実際の取り締まりなどを行うのは、区市町村の役割です。では、既に区市町村から理解を得られ、その準備が少しでも始まっているのかといえば、甚だ疑問に感じざるを得ません。
 ラグビーワールドカップや二〇二〇年大会を念頭にという余り、準備が何一つ整っていない中でスタートさせては、条例の実効性が担保されません。そして、そのような条例は、受動喫煙防止を心から願う都民の一人として、大変不満に思います。
 そこで、東京都は、この条例の実効性をどのように担保するのか伺います。
 次に、里親認定基準の要件緩和について伺います。
 虐待などの事情で、いわゆる社会的養護のもとにある児童は、都内で四千人に上ります。こうした子供たちは、可能な限り家庭と同じような環境で暮らせることが望ましいと考えます。
 東京都は、十一年後の二〇二九年度までに、現状四割の家庭的養護を六割にまでふやすことを目標としています。そして、このたび、その受け皿の一つとなる養育家庭、里親認定の要件を緩和する方針を示しました。親元で暮らせない児童が一人でも多く里親のもとで健やかに育まれることが大切だと思います。
 しかし、要件の緩和によって単純に数をふやせばよいわけではなく、最も重視すべきは、子供にふさわしい里親がしっかりと認定されることです。
 そこで、里親としての質の確保、子供にとって適切だとする認定がどのようになされるのか伺います。
 児童虐待について伺います。
 児童虐待の件数は年々増加しており、中には死に至る大変痛ましい事件も発生しています。本年三月には、目黒区で、当時五歳の女の子が両親からの虐待により幼い命を奪われるという事件が発生しました。この事件では、亡くなった女の子が書き記したノートが明らかになったことで、社会に大きな衝撃を与えました。大変悲痛な事件であり、亡くなられたお子さんに心からお悔やみを申し上げます。
 この家庭には、当初住んでいた香川県においても児童相談所が関与しておりました。しかし、本年一月に都内に転居したことにより措置解除となり、情報共有が十分でなかったことが対応のおくれにつながりました。切れ目のない対応を行うために、情報共有のルールを確実なものにしていくことが重要です。
 また、増加する相談件数に対応するための職員体制の充実も欠かせません。
 現在、都内十一の児童相談所に二百七十三人の児童福祉司が配置されています。この三年間では六十四人が増員されました。毎年増員しているにもかかわらず、いまだ国基準には達していない状況です。さらに深刻な事態がふえていることから、警視庁との情報共有制度の見直しも早急に進めるべきであります。
 今回の事件を踏まえ、二度とこうした不幸な事件が繰り返されることのないよう、十分な検証と具体的な対策を強く求めておきます。
 そこで、東京都は、自治体をまたぐ児童相談所間の情報共有についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例案について伺います。
 我が国と欧米諸国では、人権尊重に係る歴史と社会的背景が大きく異なります。したがって、差別解消をうたうよりも、まず人権に関する相互理解を促進すべきというのが我が党の考えです。そのためには、現在国が進めている取り組みと連携して、多くの当事者の声を受けとめ、性的指向、性自認に関する広く正しい理解を促すことが必要です。
 現在、パブリックコメントを実施中ですが、本条例の制定は余りにも拙速といわざるを得ません。条例案は三定に提案されると伺っています。知事のご見解を伺います。
 さて、本年三月、港湾局と建設局は連名で高潮浸水想定区域図を発表しました。すなわち、過去最大級のスーパー台風が襲来し、高潮が発生して堤防が決壊した場合に想定される浸水区域図であります。
 その内容は実にショッキングで、最悪の場合、二十三区の三分の一に当たる面積が浸水、墨田区では区内の九九%、葛飾区は九八%、江戸川区は九一%が水につかるとされています。また、江東区亀戸七丁目や中央区築地五丁目では、最大浸水十メートルと想定される箇所もあり、これは四階以上に避難しないと助からないというレベルです。
 こうした高潮災害が発生した場合の命を守るための避難について、避難場所、避難のタイミング、避難手段の三つの観点から考えてみたいと思います。
 まず、避難場所です。
 現在指定されている広域避難場所は、地震災害時の火災からの避難を想定したものであって、高さは全く考慮されていません。それゆえ、河川敷が広域避難場所に指定されているところもあります。
 では、どこに避難したらよいのでしょうか。水防法の定めによれば、避難計画を策定するのは区市町村の役割です。高い建物に避難することが必要となりますが、五メートルの浸水被害予測がある地域では、三階以上に避難することが求められます。
 では、住宅地のエリアに三階以上の建物がどれだけあるでしょうか。地震災害の際に避難所となる公立小中学校も、三階以上の高さとなると、体育館は使えません。
 区内での避難が困難ならば、区外への避難ということになります。ならば、どの区や市なら安全なのでしょうか。そこに頼れる親戚や友人宅があればよいのですが、なければどうしたらいいでしょうか。離れた区や市の公立小中学校などを避難者用に開放していただくことが考えられますが、そのためには、区市町村や県をまたいだ広域調整が必要となります。
 次は、避難のタイミングです。
 堤防が決壊するほどの台風では、二十四時間前では、もはや雨風が強くなり過ぎていて、大勢の住民が避難するタイミングとしては遅いと思われます。しかし、本当に浸水するかどうかわからない状況で、雨風が弱いうちから区外に避難する人が実際にどれだけいるでしょうか。現実には、堤防決壊の危険性が相当に高まってから避難する方がほとんどだろうと思います。
 三つ目には、避難手段です。
 今申し上げたとおり、実際の避難行動が雨風が相当強くなってから始まるならば、子供や高齢者、障害者を含めた多くの都民の皆さんには、どのような手段で安全に区外まで避難していただくのでしょうか。少し考えてみただけで、区市町村の責務である避難計画の策定は極めて難航することがわかります。
 東京都は広域自治体として、避難対策を進める区市町村を支援する立場にあります。
 そこで、大規模水害に対する広域避難の取り組みをどのように進めていくのか伺います。
 今から百一年前の一九一七年には、大正六年の大津波という名前で知られる高潮被害が発生し、都内に大きな被害をもたらしました。このときの事例が大変参考になります。
 この水害がどれくらいの深さだったかは、例えば江東区役所の前に設置されている青い色の標識に記されています。海抜ゼロメートル地帯のこのあたりでは、大正六年の大津波で深さ四メートルを超える浸水があったことが、この標識を見上げることでわかります。私たちは、災害の被害想定を見聞きしても、まさか自分が巻き込まれるはずがないだろうという正常化の偏見にとらわれ、実際の避難行動に結びつけるのはなかなか難しいのが現実です。
 だとするならば、ソフト対策、すなわち有効な避難手段を検討することはもちろん、水害対策の根幹である堤防そのものの耐震化や、避難場所ともなるいわゆるスーパー堤防の整備などのハード対策をミックスしていくことが重要です。
 そこで、東部低地帯における河川施設の整備について伺います。
 次に、分譲マンションの適正な管理について伺います。
 今日、都内総世帯数の四分の一が分譲マンションに住んでいます。その数は百八十万戸に上り、全国の分譲マンションの三割に当たります。つまり、分譲マンションといえば、いかにも東京を象徴する居住形態だといえます。
 さて、昭和五十八年以前に建てられたマンションは、都内全体の四分の一を占めます。この年に区分所有法が改正されましたが、改正前には、分譲マンションの管理組合設置義務はありませんでした。かつて昭和五十年代に供給されたマンションは、今や築四十年。今後、老朽マンションはどんどんふえていきます。一方で、分譲マンションに住まう住民の高齢化も進んでいます。
 そうした中、管理組合がない分譲マンションで、建物の老朽化、住民の高齢化という二つの老いがさらに進むと、機能不全が発生し、治安上の悪い影響を及ぼす可能性があるとの心配があります。こうした事態を招かぬよう、東京都は分譲マンションの管理適正化に向けて努力すべきであります。
 東京都は本年三月、学識経験者などで構成する検討会を設置しました。
 そこで、この検討会における議論の内容と、今後の東京都における分譲マンションの管理適正化に向けた取り組みについて伺います。
 次に、都立高校について伺います。
 東京都教育委員会はこれまで、都立高校改革に取り組んできました。その結果、例えば進学面では、都立高校の復権と賞されるほどの実績を上げ、注目を集めてきました。
 しかし、昨年度に行われた都立高校全日制課程の入学者選抜においては、一次募集、二次募集で定員が埋まらず、三次募集を実施した都立高校が三十一校ありました。ちなみに、三次募集を行った都立高校は、前年はゼロ、前々年は一校でした。また、都立高校全体でも応募倍率が低下しています。これは恐らく、いわゆる高校の無償化によって、学費の面で私立高校に進学しやすくなった結果によるものだろうと思われます。
 こうした状況において、今後、都立高校が進学先として生徒に選ばれる高校となるためにどのように対応していくのか、東京都教育委員会のご見解を伺います。
 次に、部活動の充実に向けた部活動指導員の活用について伺います。
 昨今、学校の教職員だけで行う部活動指導では、技術指導の面で生徒の期待に応えられなかったり、あるいは教職員の手が足りず、部活動を維持強化したりすることに限界が見られています。
 こうした課題を解決するため、東京都教育委員会は、今年度から部活動指導員制度を導入し、高い専門性や経験豊富な外部人材を活用しています。
 そこで、部活動の充実に向けたこの制度による学校支援策について伺います。
 次に、性教育について伺います。
 人が結婚して家庭を築き、新しい生命が誕生するということは極めて崇高なことであります。我が党は、こうした営みについて学ぶ性教育を重要な学習であると考えます。
 中学校の学習指導要領には、道徳教育において、家族愛、家庭生活の充実、生命のとうとさなどを取り上げることが示されています。学校における性教育についても、こうした価値を重視しながら進めるべきと考えます。
 そこで、学校における性教育が偏った内容や行き過ぎた内容にならぬよう、学習指導要領に基づいて指導すべきと考えます。東京都教育委員会のご見解を伺います。
 さて、東京都は昨年六月から、入札契約制度の変更により、比較的大規模な案件に課してきたJV結成義務を撤廃し、JVを組まない単独入札を認める混合入札を導入しました。JV結成義務とは、昭和五十年からスタートしたもので、大規模工事への入札参加に当たり、大企業と都内中小企業とのJV結成を義務づけるものです。
 これには、都内中小企業にとって、二つの意義があります。一つは受注機会の確保、もう一つは技術力向上のチャンスです。都内中小建設業で構成される団体からは、JVはふだん参加できない大規模な工事に参加し、大企業からノウハウなどを学ぶことができる人材育成の貴重な機会であるゆえ、JV結成義務を残してほしいとの意見が多数聞かれます。
 そこで、建設業の担い手の育成、確保の観点から、今後も都内中小企業が人材育成を図れる環境を整備していくべきと考えます。ご見解を伺います。
 設計業務などの品質確保に向けた取り組みについて伺います。
 公共工事の品質を確保するために欠かせないのが、設計、施工、管理という一連のプロセスの上流にある設計業務などが適切に実施されることです。設計業務などの品質確保に向けては、従来から進めてきた取り組みをさらに進めていく必要があると考えます。ご見解を伺います。
 工業用水道について伺います。
 高度経済成長時代、都内城東地域では、中小零細工場が地下水をくみ上げ、利用していました。一方で、このことが地域全体の地盤沈下を引き起こし、海抜ゼロメートル地帯の深刻な問題となっていました。このため、東京都は、地盤沈下対策の一つとして工業用水道を整備し、地下水の揚水規制を行った指定地域内の製造業者に、工業用水道の給水を行ってきた経緯があります。
 東京都はこのほど、利用者の減少による赤字経営や老朽化による維持修繕費の観点から、工業用水道の廃止に向けた検討を始めました。
 東京都の工業用水道を使用している企業の八割が、古くから地域で頑張っている中小零細工場であり、わずかな経営環境の変化でさえ、会社の死活問題に直結するといっても過言ではありません。
 都立皮革技術センターで開催された説明会や用水型皮革関連企業協議会からの要望書でも、東京都の廃止方針に対して、企業存続を危ぶむ切実な意見が出されています。行政施策として始めた工業用水道事業の見直しで、間違っても企業経営が立ち行かなくなることがあってはなりません。
 工業用水道事業の課題は長年の行政課題であり、また、対象となる企業の抱える課題はさまざまです。
 このため、東京都は、各ユーザーの実情を把握し、必要とされる対策を講じるとともに、企業発展につなげていくよう取り組むべきであります。ご見解を伺います。
 あわせて知事は、知事みずからの責任において、今まで努力してきた各ユーザーに対し、誠意を持って説明し、理解を得るべきことを申し添えます。
 中小企業振興について伺います。
 東京の持続的発展のために不可欠なのは、何をおいても産業の活性化であります。福祉や環境など東京が直面するさまざまな都市問題の解決も、豊かな経済の支えがあってこそだといえます。
 そして、その中心となるべきは、東京にある企業の九九%を占める中小企業の成長にほかなりません。そのためには、事業活動の生産性を高める設備投資が重要です。
 東京都は今年度、助成金の拡充や専門家を活用した先端設備の導入支援など、さまざまな施策を展開し、省力化や収益の強化を目指す中小企業の設備投資を後押しすることとしております。
 あわせて国も、金融施策の実施など、支援を強化しています。国は、新たな税制上の軽減措置を創設し、一定の要件を満たした中小企業の設備投資に係る固定資産税について、特例割合を自治体の判断でゼロから二分の一の範囲内で決定できることになりました。
 こうした国の動きを踏まえ、東京都では、中小企業が新規に導入する設備に対して、固定資産税の特例割合をゼロ、すなわち税負担をゼロにする都税条例改正案が本定例会に提出されています。その狙いについて伺います。
 しかし、こうした施策は、企業のもとにその情報が届かなければ、その効果は生きてきません。東京都は、生産性向上につながる設備投資の促進に向けて、関係各局の協力と区市町村などとの連携により、中小企業支援策の効果的な周知と活用を図るべきと考えます。ご見解を伺います。
 中小企業の海外展開支援について伺います。
 深刻な人口減少により国内市場が収縮する中、都内企業が海外の需要を取り込むことは重要であります。地域内の関税が撤廃されたASEAN地域などを初めとする東南アジア圏は、市場としても大いに有望視されており、ここをターゲットと定め、海外展開に踏み切ろうとする中小企業の動きも高まっています。
 一方、経営資源が限られた都内中小企業にとって、海外での生産拠点の設置など、現地での本格的な事業展開は、資金面や人材面でのリスクが大きく、チャンスをつかみたいという意欲はあっても、現実のハードルは高いといえます。
 東京都は現在、東南アジア地域に現地事務所を設置し、進出する中小企業への幅広いサポートを実施しています。
 今後も、中小企業が海外での取引を継続、拡大させていくためには、投資負担の少ない海外展開に向けたサポートを拡充するなど、支援策のさらなる強化が重要だと考えます。ご見解を伺います。
 次に、ビジネスチャンス・ナビについて伺います。
 我が国全体の産業が持続的な成長を遂げるには、東京のみならず、全国の中小企業が、二〇二〇年大会を契機に、さらなる成長のきっかけを得ることが重要です。そうした観点からすれば、大会関連を初めとするさまざまな受発注情報を集約して企業同士を結びつける、ビジネスチャンス・ナビの果たすべき役割は大きいものと考えます。
 所管の産業労働局は、ビジネスチャンス・ナビの利用促進を図るため、中小企業などに対する登録促進や発注案件の掘り起こしに取り組んでいます。しかし、それだけにとどまることなく、全庁を挙げて取り組んでいくことが必要です。
 また、現在、利用登録を済ませた二万五千社のうち、九割弱が都内企業であることから、全国の企業への働きかけがいまだ成果に結びついていないようであります。
 そこで、ビジネスチャンス・ナビが全国の中小企業にとって真に役立つものとなるよう、他の道府県との連携も含めて、取り組みをさらに強化、加速させていくべきと考えます。ご見解を伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 急増する外国人旅行者を迎えるため、まち中において、観光案内機能や観光PRをさらに充実させることが必要です。ここでは三つ例を挙げます。
 一つ目がWi-Fiです。スマートフォンを片手に都内を歩く外国人観光客を見かけぬ日はありません。先進都市として、まち中のWi-Fi環境整備は不可欠です。
 二つ目は、観光ボランティアです。旅行者とコミュニケーションをとりながら、まち中の案内を行う観光ボランティアは、二〇二〇年大会で募集する都市ボランティアでも、その中心的役割を果たすことが期待されています。
 三つ目は、まち中の広報媒体です。上屋つきのバス停やタクシー乗り場などのまち中空間を広報媒体として活用することは、効果的な観光PRにつながると考えます。
 来年のラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年大会を控え、まち中での観光案内機能や観光PRのさらなる充実に向けた、こうした取り組みを強化させていくことが重要だと考えます。ご見解を伺います。
 次に、都市農地の保全について伺います。
 都内に暮らす私たちにとって、農地は、食料生産の場としてはもとより、食育など教育的要素や、いっとき避難場所としての防災機能など、日常生活においても多面的にその役割を果たしています。しかし、農地の減少には歯どめがかかりません。
 東京都はこれまでも、農地保全に向けてさまざまな施策を繰り出してきています。しかし、その成果は十分とはいいがたいというのが実情です。今後は、さらに知恵を絞り、多面的、複合的に施策を繰り出していくことが不可欠です。
 一つは、これまで我が党が訴えてきたように、産業政策としてだけでなく、まちづくりや税制改正への取り組みなど、関係部局が連携し、複合的にこの問題に当たる体制を築くことです。今年度予算では、その兆しを感じ、期待しています。
 もう一つは、現在国で審議されている相続税納税猶予制度を適用可能にする、都市農地の貸借に係る法律の有効活用であります。そして、生産性と収益性の向上であります。
 おのおのの農業者が抱える課題は、個別性が極めて高いものです。きめ細かく周知や相談に対応することが求められています。
 加えて、意欲の高い積極的な農業者に対するさまざまな支援メニューを用意することも必要です。
 こうした観点から、都市農地の保全に係る施策を展開すべきと考えます。ご見解を伺います。
 さて、知事は、就任以来進めてきた顧問団行政をようやく廃止しました。今後は、都庁職員を信頼し、私たち都議会と真摯な議論を重ねることで、知事としての意思決定を行っていただきたいと思います。間違っても、ご自身の思いつきを、AIが決めたなどとおっしゃることはやめにしていただきたいと存じます。
 かつて都民の皆さんが小池知事に抱いた希望は、まことに残念ながら、この二年間で失望に変わりました。しかし、知事の人気は落ちても、任期はまだ二年あります。
 冒頭、政治は結果責任と申し上げました。残された二年間は、都民、私たち都議会、そして都庁職員の声に耳を傾け、結果を出していただきたいと思います。
 最後に、一部の月刊誌、週刊誌において、知事がカイロ大学を首席で卒業したという経歴について疑義があると報道されていることについて伺います。
 知事は、先週の記者会見において、このことに対する記者からの問いに正面からはお答えになりませんでした。この際、要らぬ疑惑を晴らしておくことが、ご自身のためだろうと存じます。知事のご見解を伺います。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 早坂義弘議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、二年間の自己評価についてのご質問がございました。
 東京大改革に対します都民の大きな負託に何としてでも応えていく、その思いでこの二年間、都民目線に立って都民のための改革を進めてまいりました。
 幾つかのご質問ございます。
 まず、ご指摘のオリンピック会場につきまして、経費の縮減、そして大会招致の際の理念であります復興五輪の実現に向けて、ここは見直しのラストチャンスだということで、その可能性を最大限追求をいたしてまいりました。
 この見直しは、経費縮減につながり、また、原点である復興五輪の理念に改めて光を当てることになった、そのことは大会開催に対しての都民、国民の理解を得ていく上で重要であったと、このように考えております。
 また、築地市場の移転におきましては、安全に万全を期すため立ちどまったことで、地下水モニタリングの数値が大きく変動したことも確認をできたわけでございます。これによりまして、まさに今、都民に安心を実感していただくための対策を着実に講じることができていると考えております。
 さらに、このたびの入札契約制度改革でございますが、応札者数が増加をいたしましたとともに、応札者が一者のみの案件の割合も半減をいたしております。入札の競争性、透明性を高める上で成果があらわれたものと考えております。
 いずれも都民ファーストの観点から看過すべきではないと判断した問題でありまして、果敢に取り組んだ結果、都民のためとなる成果が上がったと確信をいたしております。
 このように、過去約二年間、都民が都政に何を求めているのかを判断基準といたしまして、都民のための都政運営に邁進をしてまいりました。その評価は、都民の皆様方にお任せしようと思います。
 私は、引き続き、都民のための一心で東京大改革を推し進め、都民のためにも結果を出していきたいと存じます。都民のためへのご協力、よろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、パラリンピックの成功についてのお尋ねがございました。
 IPCのパーソンズ会長は、パラリンピックの価値は、障害のある人への理解が大きく変わることだ、大会を終着点ではなく、人々の変化の通過点にしたいとおっしゃっておられます。
 パラリンピックの価値というのは、ダイバーシティーへの変革をもたらすところにあり、パラリンピックの成功というのは、その価値を社会に根づかせることにあると考えます。
 そのため、まずは多くの都民、国民にパラスポーツの魅力や迫力を発信し、東京二〇二〇パラリンピックの会場を満員の観客で埋め尽くしてまいりたい。パラスポーツをしっかりと社会に根づかせて、これまでスポーツにかかわりのなかった障害者の方々も含めまして、誰もがスポーツに親しめる環境を築いてまいります。
 また、スポーツだけでなく、あらゆる分野で障害者がその能力を生かせるよう、ハード面はもとより、心のバリアフリーなどソフト面のバリアフリー化をさらに進め、障害者の社会参画を推し進めてまいります。
 パラリンピックを契機といたしまして、障害者や高齢者など全ての人々に優しいまちづくり、社会づくりにつながる取り組みを、全庁を挙げて加速させてまいります。そして、私が目指しますダイバーシティーを着実に実現し、障害のある人もない人も、互いに尊重し、支え合う共生社会をつくり上げてまいります。
 障害者差別解消条例の実効性の確保についてのお尋ねがございました。
 都は現在、障害者や高齢者などを初め、全ての都民が安全・安心、快適に過ごすことができるように、東京都福祉のまちづくり推進計画を策定いたしまして、ハード、ソフトの両面からバリアフリーを推進いたしております。
 計画には、公共交通や建築物、道路といったハード面に加えまして、さまざまな障害特性などにも配慮いたしました情報バリアフリーの充実など、ソフト面でのバリアフリーについての施策を盛り込んでおります。お話のございましたユニバーサルデザインタクシーもその一つでございます。
 本条例は、こうしたバリアフリーの施策に加えまして、社会全体で障害のある方々への理解を深める、そして差別を解消する取り組みを一層推進するために、障害者差別解消法の規定に加えまして、合理的配慮を民間事業者に義務づけるほか、相談、そして紛争解決の仕組みを整備するなど、差別解消への実効性を高めるものでございます。
 この条例を一つの契機といたしまして、障害を理由に分け隔てられることのない共生社会の実現に向けた取り組みを加速してまいりたいと存じます。
 千客万来施設事業についてのお尋ねがございました。
 千客万来施設事業は、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出し、豊洲市場の魅力を高める上で大変重要な事業でございます。そして、事業者である万葉倶楽部とは、事業実施に向け、基本方針、築地再開発に関する都の考え方の説明も含めまして、これまでさまざまな協議を行ってまいりました。
 こうした協議の積み重ねに加えまして、先月三十日、万葉倶楽部の高橋会長との会談で、率直な意見交換を行いまして、信頼関係の回復が図られたところでございます。事業をともに進めていこうという共通の認識に立つことができたと存じます。
 今回、事業者から、東京二〇二〇大会後、速やかに施設整備に着手する旨の新たな提案を受けまして、協議に応じる判断をしたものでございまして、現在、事業者との間で具体的なスケジュールなどの課題整理を進めているところでございます。
 今後、建設工事の着手時期や完成時期などを含めました協定を事業者と締結をいたしまして、確実な施設整備を図ってまいります。
 また、それまでの間も豊洲市場に継続的ににぎわいを創出していくために、現在、五街区及び六街区の千客万来施設用地を活用したさまざまなイベントや、仮設建物によります事業などについての検討を進めているところであります。
 また、千客万来施設事業の推進に当たりましては、何よりも地元である江東区のご理解を得ることは大変重要でございます。この間の一連の経緯や都の対応につきましては、私から直接区長にご説明させていただいてはおりますが、急な展開だったとはいえ、江東区や江東区議会の皆様に、事前に十分な調整、そしてご説明ができず、ご心配をおかけしたところでございます。
 引き続き、今回の経緯につきましては丁寧にご説明するとともに、千客万来施設を確実に整備することや、それまでの間のにぎわい創出に向けた方策を早急にお示しすることで、江東区の皆様のご理解を得てまいりたいと考えております。
 事業者、そして江東区の皆さんと力を合わせまして、活気とにぎわいにあふれ、地域に親しまれる豊洲市場をつくり上げてまいりたいと考えております。
 次に、受動喫煙防止条例についてのご質問がございました。
 昨年九月に公表いたしました基本的な考え方では、バー、スナックなどを対象といたしまして、店舗面積三十平方メートル以下で従業員を使用しない店、または全従業員が同意した店については喫煙可能とする例外措置を設ける案を提示させていただきました。この例外措置の対象となる店舗は、都内の全飲食店の約九%でございました。
 これに対するパブリックコメントでございますが、賛成が約六千件、反対が約五千件、加熱式たばこは規制対象外とすべきといった一部反対が約三千件、雇用者の喫煙可の方針に従業員が反対意思を示すことは困難といったご意見もございました。
 こうしたご意見を踏まえまして、本条例では、店舗面積などにかかわらず、全ての飲食店を原則屋内禁煙とした上で、従業員を使用しない店のみを例外としたものでございます。その結果、例外となる飲食店は約一六%となっております。
 また、加熱式たばこにつきましては、健康影響が明らかになるまでの間、健康増進法改正案と同様の取り扱いとすることといたしております。
 飲食店の皆様からは、平成二十六年に設置した受動喫煙防止対策検討会を初め、平成二十九年度、三十年度の予算要望の際などに、喫煙環境は事業者の判断に委ねてもらいたい、喫煙等のステッカーでお客様が店を選択する仕組みにしてほしいなどのご意見を一貫して頂戴いたしております。
 本年四月二十日に発表いたしました骨子案でございますが、こうした都民や事業者の皆様からのご意見を踏まえた上で取りまとめたものでございます。
 その公表後も、改めて区市町村、事業者、関係団体のご意見を十分に伺いまして、今回の条例案を策定いたしております。
 この条例案に関して、都民を対象に都が行いました調査では、今月行った調査でございますが、よい施策である、どちらかといえばよい施策であるが約七四%、どちらともいえないが約一六%、よい施策ではない、どちらかといえばよい施策ではないが約一〇%となっておりまして、多くの都民の方々にご賛同いただいているものと考えております。
 条例の実効性の担保につきまして、この条例は、現在、国会で審議されております健康増進法の改正案と整合を図っておりまして、可決され、施行した場合、従業員を使用していない飲食店以外は、全て原則屋内禁煙という、法案と同一の規制がかかることとなります。すなわち、条例案は、国の法案に上乗せ、横出しを行うものでございまして、同一の対象に異なる規制を設ける、いわゆるダブルスタンダードにはなっておりません。
 法案におきましては、原則屋内禁煙となる飲食店の割合、約四五%、都道府県知事及び保健所設置市区長が指導、勧告や命令、罰則の適用などの業務を担うことといたしております。
 この条例での上乗せ、横出しによりまして、原則屋内禁煙となる飲食店は約八四%となりますが、指導、勧告などの業務につきましては、法案同様に保健所設置市区長に担っていただきたいと考えております。
 現在、各保健所では、飲食店の営業許可や監視指導を行う中で管内の飲食店の状況を把握しておりまして、改正法案及び都条例に伴います新たな業務につきましても、適切な対応が可能である、このように考えております。
 今後、保健所を設置している区市とは、地方自治法に基づきます協議を行っていく予定でございます。区市町村と連携協力しながら、受動喫煙防止対策をより一層推進してまいりたいと考えております。
 人権尊重の新条例についてのお尋ねがございました。
 東京二〇二〇大会を控えまして、また、新たな人権に対する社会の関心が急速に高まる中で、できる限り早く、いかなる種類の差別も受けることなくという人権尊重の理念実現に向けました決意を都として示し、引き続き、さまざまな人権課題へ対応していくことが求められております。
 また、ホストシティーとして、国際社会の視点から、新たな人権課題にも光を当てることが必要でございます。
 そこで、人権尊重の理念に加えまして、性自認や性的指向等に基づきます差別の解消と啓発などを車の両輪として推進する姿勢を、今こそ条例として示すことが重要と考えております。
 これまで、当事者の方々、さまざまな分野の専門家から個別にご意見を伺いまして丁寧に検討し、条例案の概要を策定いたしました。
 今後、都議会の皆様とのご議論、パブリックコメント、区市町村の意見も踏まえまして条例案を精査いたし、第三回の都議会定例会におきましてご審議いただく予定でございます。
 都といたしましては、条例化を通じて、人権尊重の理念を東京の隅々まで浸透させて、都民の皆様と意識を共有し、国内外に向けて強く発信することで、あらゆる人々のさまざまな人権が尊重される都市東京を実現してまいりたいと考えております。
 最後に、私の経歴についてのご質問がございましたが、これまで何度も申し上げておりますとおり、正式なカイロ大学の卒業証書及び卒業証明書を有しておりまして、大学側も、幾度もこの卒業を認めているところでございます。
 なお、首席につきましては、当時の担当教授の言葉をうのみにしたということでございまして、そのことでうれしくなって、その旨を記述したということでございます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の都立高校のあり方についてでございますが、真に社会人として自立し、我が国の将来を担う人材の育成のためには、都立高校と私立高校が互いに切磋琢磨しながら、教育の質を向上させていくことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、難関国立大学等への進学を目指す進学指導重点校や、主として不登校経験のある生徒を受け入れるチャレンジスクールなど、個々の生徒の希望、適性に応じた多様な学校づくりを推進してまいりました。
 今後、本年度中に都立高校改革推進計画の次期実施計画を策定する予定であり、その中で、各学校の特色化、活性化に向けた方策を具体化するとともに、個の状況に応じたきめ細かい指導の充実を図ってまいります。あわせて、それらの取り組みを積極的に発信することなどを通じて、都民の期待に応え、魅力ある都立高校を目指してまいります。
 次に、部活動指導員の活用についてでございますが、学校が部活動指導員を効果的に活用できるようにするためには、その資質の向上を図るとともに、教職員と適切に連携し、指導できるようにすることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、本年四月、全ての部活動指導員を対象に、部活動の意義や生徒の発達段階に応じた指導、安全確保や事故対応等に関する研修会を実施し、学校組織の一員としての自覚を促しました。
 今後、部活動指導員同士がよりよい指導のあり方を協議する機会を設定するとともに、教職員との連携、協働や指導、運営に係る校内体制の整備等に関するガイドラインを作成、配布するなどして、学校における効果的な部活動指導員の活用を支援し、部活動の一層の充実を図ってまいります。
 最後に、学校における性教育の進め方についてでございますが、学校における性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう進めていく必要がございます。
 そのため、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、性情報の氾濫等の実情を踏まえ、児童生徒等の状況に応じ、保護者の理解を得ながら、個別やグループ等での対応を行うことも必要であります。
 都教育委員会は、学校における性教育を通して、児童生徒が自分の行動に責任を持ち、相手を尊重した適切な行動ができるよう、区市町村教育委員会等と連携しながら取り組んでまいります。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 東部低地帯における河川施設の整備についてでございますが、三百万人の都民が暮らす東部低地帯には、都と国が管理する多くの河川が流れておりまして、地震や豪雨、高潮などによる水害に対処いたしますため、河川施設の整備を推進することが重要でございます。
 都は、隅田川や中川などにおきまして、最大級の地震が発生した際にも施設の機能を保持するよう、堤防や水門などの耐震、耐水対策を推進しております。
 また、国は、江戸川や荒川などにおきまして、洪水による決壊を防ぐとともに、一地区でも完成すれば避難場所ともなりますスーパー堤防の整備を進めております。
 このうち江戸川では、都立公園の高台化と一体的に、荒川では、都営住宅の建てかえに合わせまして整備を進めるなど、都と国、地元区が連携して取り組んでおります。
 引き続き、河川施設の整備を推進いたしまして、首都東京の安全性を高めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) ボランティアの応募促進の取り組みについてでございますが、多くの方々に参加いただけますよう、都内や会場所在自治体はもとより、全国で広く参加機運を醸成するとともに、さまざまな手段で応募を促進することは重要でございます。
 都はこれまで、ウエブサイトやシンポジウムを通じ、大会のボランティアの情報発信等を行ってまいりました。募集開始に向けましては、大会二年前の時期を捉えたPRイベントの開催や、さまざまなメディアを活用した募集映像の放映、駅等におけるポスター掲示など幅広いPRを展開いたします。
 また、会場所在自治体が行う都市ボランティアの募集に当たり、都の広報コンテンツも活用できるよう取り組みます。さらに、組織委員会が全国十一都市で行う大学への働きかけでも連携するなど、応募促進に向けた取り組みを広く推進してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 豊洲市場への移転準備についてでございますが、都は現在、引っ越し準備や施設の改善、各種運営ルールの策定など、移転準備に関する多岐にわたる検討事項について、業界団体との調整を進めているところでございます。
 これまで、業界団体と合意した上で、引越実施計画を先週末に策定したほか、新たに確保いたしました約二百台分の駐車場用地の管理に係る協定も締結いたしました。
 また、業界との調整を整えて、場内サインの改修や荷積みのしやすい台の設置等の工事を進めるとともに、風評被害の払拭に向けて、産地へのPRを業界と連携して行っているところでございます。
 今後、品質、衛生管理や場内物流等のルールのほか、光熱水費等の費用負担も含めた業界との役割分担について、この間の調整状況も踏まえつつ早急に協議を整えるなど、移転準備をしっかりと前に進めてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、里親の認定要件の改正についてでありますが、都はこれまで、児童の成長発達に必要な養育環境を提供する観点から、児童福祉審議会の議論等を経て里親認定基準を改正してまいりました。
 今般、平成二十八年に児童福祉法が改正され、家庭と同様の環境における養育の理念が示されたことを踏まえ、年齢要件の上限撤廃や配偶者がいない場合の要件緩和等の改正を行ったところでございます。
 里親の認定に当たっては、これまでも、研修の受講を基本要件に、児童相談所が家族構成や住居等を調査した上で、審議会で適格性等について審議をいただいております。
 また、委託に当たりましては、児童の年齢、生育歴、心身の発達状況など、児童一人一人の状況を総合的に勘案して決定しており、今後も児童の福祉を第一に考え、里親への委託を実施してまいります。
 次に、自治体をまたぐ児童相談所間の情報共有についてでありますが、今回の事案では、管轄を越えて転居した場合の自治体間の情報共有等について課題があったと認識しており、現在、児童相談所の対応について、香川県と連携しながら、外部の専門家による検証を進めております。
 また、国に対しましては、虐待により相談対応を行っている家庭が転居した場合、他の児童相談所へのケース移管や情報提供等を行う際のルールについて、児童の安全を最優先に確保するという観点から見直しを行い、徹底を図るよう、緊急要望を行いました。
 都は、今後、児童安全確認の手法や出頭要求、立入調査を行う判断基準等について、都独自の行動指針を策定いたします。
 また、ケース移管は、措置などの援助方針を終結せず、移管先の児童相談所が移管元と連携しながら、少なくとも一カ月間は援助方針を継続することが全国ルールであり、今後とも、都としてルールを徹底してまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 大規模水害に対する広域避難の取り組みについてですが、荒川などの大河川の氾濫や高潮の発生が想定される場合において、百万人以上の住民が確実に避難を行うためには、広域的な避難場所、また、住民がそこに移動するまでの十分な時間、さらに、避難するための手段が確保されていることが不可欠でございます。
 都はこれまで、江東五区の協議会に参画して助言を行うなど、区の取り組みを支援してまいりました。
 今般、広域避難の取り組みを加速するため、都は、国と共同で、都内自治体、埼玉県、千葉県、気象庁等の関係機関で構成する検討会を設置いたしました。
 都としても、今後二年間かけて、関係機関と連携し、行政区域を越えた避難場所や避難手段の確保を含め、時間軸に沿った計画的な避難について検討してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 分譲マンションの適正な管理についてでございますが、都はこれまで、マンション管理適正化法などを踏まえ、管理組合に情報提供など支援を行ってまいりましたが、管理組合の自主的な管理だけでは、今後、建物と居住者の二つの老いに的確に対応していくことは困難でございます。
 このため、本年三月から、有識者による検討会におきまして、管理状況を把握すべきマンションの範囲や管理情報の内容等について意見を聞き、検討を進めております。
 新たに条例の制定も含めた行政の関与が必要との意見もございまして、九月に中間報告、十一月に最終報告を予定しております。
 都は、これらを踏まえ、管理組合の機能強化に向けて、管理状況の把握や助言、支援の仕組みなどについて、幅広い観点から鋭意検討を進め、年度内を目途に取りまとめ、条例化も視野に施策を講じてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 全体で三問、最初に入札契約制度に関する二問のご質問をいただいております。
 そのうち、まず中小建設業の育成についてでございますが、今回の制度改革におきましては、JV、共同企業体結成義務が入札参加の制約になっていたとの認識のもと、混合入札を導入いたしました。これにより、入札参加者数の増加などの効果があった一方、入札監視委員会から、中小企業育成の観点での取り組みを検討すべきとの提言をいただいております。
 こうした点も踏まえまして、混合入札を継続しつつ、都内中小企業の育成という観点から、都内中小企業とJVを組んだ場合の総合評価方式による加点の拡充や、一部の案件で技術者育成モデルJV工事を実施することといたしました。
 また、運用面におきましても、同様の観点から、都内中小企業に入札参加条件等で配慮するなど、本格実施で目指す、東京の公共工事に欠くことのできない重要な担い手である都内中小企業の育成に今後とも尽力してまいります。
 次いで、設計業務等の品質確保についてでございますが、設計業務等は、後続の建設工事等の内容を決定するための重要な業務でありまして、これらの業務においても品質確保の取り組みを進めていくことが必要でございます。
 こうした観点から、これまで都では、プロポーザル方式や成績評定制度などの取り組みを実施しております。
 一方で、設計関係の業界団体からは、現在、一部の局で実施している総合評価方式の適用拡大や予定価格の公表について、強い要望が寄せられております。こうした点について検討を行うことにより、設計業務等の品質確保に向けた取り組みを加速してまいります。
 最後に、工業用水道に関しまして、企業ユーザーに対する支援策のご質問がございました。
 工業用水道の企業ユーザーは、東京の経済と雇用を支える存在であり、将来にわたり安心して事業経営を図ることができる環境づくりが重要でございます。
 こうした観点から、工業用水道の廃止に向けた動きを進めるに当たりましては、料金差額支援とあわせて、個々の企業ユーザーを取り巻く環境や経営状況を把握した上で、支援策を構築することが不可欠であります。
 このため、工業用水道事業の今後の方向性を丁寧に説明するとともに、意見や要望に真摯に向き合いながら関係各局と連携し、実効性ある支援策を検討してまいります。
〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 中小企業に対する固定資産税の特例についてでありますが、東京の産業の活性化のためには、税制も効果的に活用し、中小企業における先端設備等への投資を促すなど、生産性の向上につなげていくことが重要でございます。
 この特例措置の適用を受けるためには、区市町村が導入促進基本計画を策定することが要件とされており、現在、都におきましては、特別区はもとより、多くの市町村におきまして、計画の策定が進められていると伺っております。
 また、特例割合をゼロとした場合には、あわせて国が実施いたします、ものづくりサービス補助金等の優先採択を中小企業が受けやすくなるとされております。
 こうした点を踏まえ、都におきましては、固定資産税の特例割合をゼロとし、税制面から中小企業の生産性向上に向けた設備投資を後押ししてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、中小企業の設備投資の促進についてでございますが、都では、中小企業による競争力を高めるための設備の導入に加え、今年度から、生産性の向上に役立つ設備も新たに助成の対象に含め、支援の充実を図っております。
 こうした設備助成の内容とともに、今般の法改正による固定資産税の全額免除を可能とする制度変更について、関係局を初め地域の自治体や金融機関と協力し、利用者への十分な周知を図ってまいります。
 実際に税の全額免除の適用を受けようとする場合、事業者は地元の自治体に計画を提出することが必要となるため、そうした中小企業に専門家を派遣し、計画の策定についても支援をいたします。
 これらの取り組みにより、中小企業の設備の導入が円滑に進むようサポートを進めてまいります。
 次に、中小企業の海外市場への進出の支援についてでございますが、東京の中小企業の事業拡大に向け、今後の成長の見込まれる東南アジア等の市場で、販路の開拓や生産、販売に役立つ海外企業との連携を支援することは重要でございます。
 都では、中小企業振興公社のタイの事務所やインドネシアの窓口で、現地の会社と取引を始めるためのマッチング支援を行っております。
 今年度からは、アジア市場で中小企業が製品の販売やサービス提供をより効果的に進めるため、現地で製造業者に生産を委託する場合やサービス業者と代理店契約を結ぶ取り組みへのサポートを開始しているところでございます。
 また、これらの取り組みを経済成長の著しいベトナムでも展開できるよう、中小企業の相談ニーズに対応する現地の窓口拠点を今月中に開設をいたします。
 こうした施策により、中小企業の海外市場への進出を着実にサポートしてまいります。
 次に、ビジネスチャンス・ナビの利用促進についてでございますが、都は全庁を挙げた取り組みといたしまして、各局を通じ、その所管の監理団体がナビを利用し入札を行う仕組みを導入するよう働きかけを強化しております。
 また、各局の事業者向けセミナー等を効果的に活用し、ナビのPRを行っているところでございます。
 本ナビは、全国の多くの企業が登録し活用することを通じ、ビジネスの可能性をより一層広げることを目的といたしております。
 このため、全国との共存共栄に向けた取り組みの一つとして、関係局が道府県に出向き、ナビの周知、普及を依頼しており、引き続き、これらをきめ細かく実施してまいります。また、各種の商工団体のネットワークを活用し、全国各地の事業者へのPRにも力を入れてまいります。
 さらに、ナビのシステムの機能を高め、発注の内容をSNSにより広く紹介するほか、メディアを通じ受注の実例を発信いたします。
 こうした取り組みにより、ナビの利用を着実に推進してまいります。
 次に、まち中での観光案内等の充実についてでございますが、都では、外国人旅行者が快適に観光ができるよう、新宿や上野など外国人が多く訪れる地域で約二百カ所のWi-Fiサービスを提供してまいりました。
 今年度は、旅行者の行動の多様化を踏まえ、池袋駅や品川駅などの主要駅周辺にも拡大し、新たに約三百カ所を整備いたしますとともに、まち中での観光ボランティアによる案内について新たに二つの地域で開始をいたしまして、八つのエリアで活動を行ってまいります。
 こうした都の取り組みに加え、区市町村が独自に行う地域の案内機能の整備についても支援をいたします。さらに、まち中でふえてきておりますデジタルサイネージを積極的に活用するなど、工夫を行いながら観光PRの充実も図ってまいります。
 二〇二〇年に向けて、まち中で情報を入手しやすい環境の整備を総合的に強化してまいります。
 最後に、都市農地の保全に向けた施策展開についてでございますが、後継者不足や相続時の税負担が都市農業の大きな課題となる中で、農地の貸借に関する新たな制度も踏まえ、多様な担い手、とりわけ意欲のある農業者の規模拡大の取り組みを支援することは、農地の有効活用を進め、その保全を図る上で重要でございます。
 このため、都は、農業者の実情を把握している農業会議やJA等と連携し、貸借制度の個別具体的な相談に対して、より的確な助言を行いますとともに、貸し手と借り手のマッチングを行い、貸借を促進いたします。
 また、農地を借り受けた農業者に対し、農業用ハウスなど生産施設の導入支援を強化いたしますとともに、販路開拓や加工品開発等の取り組みに対して専門家派遣や経費助成を行い、生産性や収益力の向上を図ってまいります。
 これらの取り組みにより、農地の貸借促進と経営力強化を進め、都市農地を保全してまいります。

○議長(尾崎大介君) 三十九番大松あきら君
〔三十九番大松あきら君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○三十九番(大松あきら君) 都議会公明党を代表し、質問を行います。
 質問に先立ちまして申し上げます。
 昨日早朝、大阪で最大震度六弱の地震が発生し、甚大な被害が発生しました。お亡くなりになられた皆様方のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆様方にお見舞い申し上げます。
 今回、大阪府内で発生した悲惨な被害を踏まえ、都としても、国や区市町村教育委員会と連携して、緊急に都内公立小中学校の通学路におけるブロック塀などの安全の総点検をすべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
 六月十一日、東京二〇二〇大会組織委員会は、国連が掲げている持続可能な開発目標、SDGsに沿った東京二〇二〇大会運営計画を公表しました。
 東京二〇二〇大会はSDGsオリンピック・パラリンピック大会を目指す初めての夏季大会となります。
 取り組むべき五つのテーマは、一、気候変動、二、資源管理、三、大気・水・緑・生物多様性、四、人権・労働、公正な事業慣行、五、参加・協働、情報発信であり、東京二〇二〇大会の開催を通じて、国内におけるSDGsの認識が広がることが期待されています。
 都議会公明党はこれまで、再生可能エネルギーの促進、省エネ・再エネ東京仕様の策定、食品ロス削減やエコマテリアルなどの資源循環、緑施策や生物多様性、エシカル消費の普及啓発など、SDGsの理念のもと、誰一人取り残さない持続可能で包摂性のある政策を推進してきました。
 そこで、二〇二〇大会の開催都市として、先ほどの五つのテーマに取り組む東京は、今や世界共通の言語のようなSDGsの視点から海外諸都市と連携して、大都市共通の課題解決を図るべきと考えます。知事の見解を求めます。
 加えて、人権の分野に関しては、子供や女性、障害者やLGBT、在日外国人の人権を守る施策の強化が重要です。
 都は、今定例会や第三回定例会の中で、都民や都内で暮らす人々の人権を守るための条例の制定などを予定しています。人権施策の強化は、SDGsオリ・パラ大会ともいうべき東京二〇二〇大会に向かって、積極的に進展させるべきテーマと考えますが、知事の見解を求めます。
 今定例会の焦点となっている受動喫煙防止条例案について質問します。
 この条例案は、屋内での受動喫煙を防ぐために、健康への影響を受ける、人に着目した点に特徴があります。その観点から、職場における働く人を守る対策や、みずからの意思で受動喫煙を防ぐことが難しい子供たちを守る施策を講じている本条例案を評価したいと思います。
 また、二〇二〇オリ・パラ大会の開催都市として、世界に恥じないスモークフリー五輪にするためにも大きな意義があります。WHO、世界保健機関が屋内全面禁煙義務の法規制の有無を基準に、各国の規制状況を四つのランクに分類した調査によると、我が国の受動喫煙防止対策は最低のランクに位置づけられています。
 こうした状況から、本条例の制定を受動喫煙防止に本格的に取り組む転換点にするとともに、国内外からの来訪者に受動喫煙の影響を感じさせない、スモークフリー都市にする絶好の機会と捉えるべきであります。
 東京都が国に先駆けて条例制定を目指し、現在国会で審議が行われている健康増進法改正案より一段と踏み込んだ内容となっていることについて理解するものです。
 都民や事業者、区市町村の理解と協力を得て実効性ある対策を行うべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 今後、都内の自治体では、飲食店に対する周知に力を入れる施策や、条例制定を契機に禁煙の啓発に力を入れる自治体など、さまざまな対応が想定されます。そうした独自の取り組みを行う自治体には都が全面的に支援すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 我が党は、受動喫煙防止対策プロジェクトチームにおいて、関係する多くの団体や事業者などとの意見交換や視察を行ってきました。
 その中で、東京都医師会からは、受動喫煙が健康に悪影響を与えることは明らか、条例で防止策を講じるべきとの意見や、飲食店などの業界団体からは、店舗の禁煙化によって売り上げの減少が懸念される、条例制定には慎重であるべきなどの意見も寄せられました。特に飲食店にとっては、経営に影響を及ぼす可能性もあり、その支援策は不可欠です。
 都は、平成二十七年七月から、外国人旅行者の受け入れに積極的な宿泊、飲食施設の分煙環境の整備に対する補助事業を行っています。この事業の対象を条例に適合する喫煙専用ルームの設置などにも広げ、あわせて補助の割合も大幅にアップすべきです。知事の見解を求めます。
 また、海外の都市と異なり、東京は区市が先駆的にクリーンなまちづくりや危険防止の観点から路上喫煙防止の条例を制定しています。したがって、今回の都の条例により喫煙できる場所が狭まる喫煙者に対する配慮も必要です。
 そこで、公共の屋外喫煙所の設置に取り組む自治体に対しては、都が全面的に支援すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 また、受動喫煙を防止するために必要な措置が求められる事業者や飲食店経営者などからは、受動喫煙防止施設や経営に関する相談など、さまざまな問い合わせが想定されます。
 そこで、都内の事業者や飲食店などの不安を解消し、受動喫煙防止対策への取り組みが進むよう、建築や経営のコンサルタントなどを配置したワンストップの窓口を設置するべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、本条例案の焦点となった加熱式たばこの扱いについて質問します。
 我が党が行った関係業界のヒアリングでは、加熱式たばこに関する規制について、科学的根拠に基づいて検討すべきなど、慎重な意見が寄せられました。
 当初の受動喫煙防止条例骨子案では、飲食店の客席での加熱式たばこの喫煙は認めないとしておりましたが、本条例案では、当分の間、飲食も可能な加熱式たばこ専用喫煙室の設置が認められています。
 一方、国の健康増進法改正案では、加熱式たばこ専用の喫煙室内であれば、飲食をしながら喫煙することが許容されています。したがって、本条例案は健康増進法改正案と同じ規定となり、都民にとってわかりやすい制度になったと考えますが、加熱式たばこの扱いを変更した経緯について、知事の見解を求めます。
 また、今後、加熱式たばこについては、受動喫煙の健康影響に関する調査研究の結果を踏まえ、それに基づく適正な措置を講ずるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、障害者差別解消条例案について質問します。
 公明党はかねてより、障害のある方もない方も持てる力をともに発揮し、参加できる社会をつくる法整備を推進してきました。
 その結果、国においては一昨年四月、障害者差別解消法が施行され、事業者の負担が過重にならない範囲で、障害のある方の社会参加を阻む障壁を除去する合理的配慮が行政機関などに義務づけられました。
 都においては、我が党が一昨年の第四回定例会の代表質問で、障害者への差別を解消する条例の必要性を訴えるとともに、安心して相談できる環境や、公平、公正な調査や評価の仕組みの整備を提案したところであります。
 こうした経過を踏まえ、今回提出された都の条例案は、行政機関だけではなく、民間事業者にも合理的配慮を法的義務とするもので、民間事業者には努力義務にとどめている国の法律よりも一歩前進の内容です。
 その一方で、現状では、合理的配慮という言葉やその意味が余り知られていないという課題があります。このままでは受けとめ方に差が生まれ、対応に混乱が生じるおそれもあります。都民はもとより、合理的配慮の提供が義務化される民間事業者に対し、合理的配慮という言葉の概念や内容と、それが義務化され、協力が必要になっていることの十分な周知が必要です。知事の見解を求めます。
 条例の施行後には、どこまでが合理的配慮なのかという多くの疑問、問い合わせが想定されます。
 都は、個々の相談に丁寧かつ適切に対応するとともに、相談によってもなお解決が見込めない場合の紛争解決の仕組みを整備するべきです。知事の見解を求めます。
 条例案では、手話を言語と位置づけるなどの情報保障の推進が盛り込まれ、手話のほか、筆談、点字、拡大文字、読み上げなど障害者に配慮した情報提供を明文化しています。
 これまで我が党は、障害者への情報保障の具体策として、都民向けの出版や配布物、都税納付書、水道検針票などに文字を音声化する音声コードを添付すること、さらに文字を大きく見やすくする大活字化、動画への字幕の付与などを推進してきました。
 情報保障の施策を着実に展開するためには、こうした視点を含め、情報保障のための推進計画策定が不可欠と考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、児童虐待防止について質問します。
 親からの虐待により幼い命が奪われる痛ましい事件が後を絶ちません。都は虐待を断じて許さず、根絶を目指すべきです。
 これまでも我が党は、防止策としての児童相談所への職員や専門職の増員、予防策としての妊娠期からの切れ目のない支援などを求め、その推進を図ってきましたが、それでもなお、対策のすき間から漏れてしまう悲惨な現実があり、さらに細かい対策の網の目を急ぎ整備する必要があります。
 児童虐待の兆候は、保育、教育、住宅、医療機関など生活現場の至るところでキャッチすることが可能です。また、予防の観点からは、若年出産や出産後育てることが困難な場合の里親、特別養子縁組の支援をする民間団体なども含め、あらゆる機関が連携強化を図る必要があります。
 そこで、全庁横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、各局連携して、都の総力を挙げて取り組むべきです。知事の見解を求めます。
 また、児童虐待の予防から防止に至るまで、警視庁との連携を初め、都庁各局の責務を明らかにし、都内自治体の取り組みも含めて、都民全体で取り組むべき内容を明らかにするためには、条例の制定が必要と考えます。
 児童虐待防止条例の制定に向けた知事の見解を求めます。
 次に、東京二〇二〇大会について質問します。
 まず、ライブサイトについてであります。
 チケットを持たない人を含め、誰もが気軽に大会の迫力と感動を共有し、安全で快適に楽しむことができる場を創出するライブサイトの取り組みは重要です。
 都内八カ所のライブサイト候補地に加えて、被災県からも、都がライブサイトを被災地で実施してほしいとの要請がありました。二〇二〇年に向けた都の取り組みについて見解を求めます。
 また、先日の三多摩の市長会では、地元選手が出場する競技を応援するなど、市町村で設置するコミュニティライブサイトに対して支援を要望する声が上がっておりました。都は最大限の支援をすべきと考えますが、見解を求めます。
 さらに、あらゆる人がライブサイトで大会を楽しむには、障害のある人への情報保障が必要になります。具体策について見解を求めます。
 次に、東京パラリンピックに向けた障害者等へのバリアフリーの推進について質問します。
 平昌パラリンピックでは、大会会場近くの鉄道駅で車両とホームの段差が七十センチもある箇所があり、昇降機が必要になっていました。東京パラリンピックにおいても、最寄り駅から会場の観客席までの動線においても万全なバリアフリー化を期すべきです。都の見解を求めます。
 加えて、平昌パラリンピックでは、会場と最寄り駅を結ぶバス輸送において、ノンステップバスの車両数が限られており、いつ、どこに向かって発車するのかがわからず、混乱を来しておりました。この点も十分に教訓を生かし、必要な情報の十分な事前提供、会場での周知を行うべきです。都の見解を求めます。
 次に、被災地支援について質問します。
 都議会公明党は、被災直後から東北の被災地を幾度も訪問し、住民の皆様の声に耳を傾け、災害廃棄物処理、観光業の支援、行政職員の派遣推進などに取り組んできました。
 その上で我が党は、この四月から六月にかけて、発災後七年を迎えた岩手、宮城、福島の三県を訪問し、県や団体など関係者と意見交換するとともに、復興への取り組み状況を視察してまいりました。被災地の現状を踏まえ、何点か質問します。
 まず、職員派遣の継続についてです。
 今回の視察では、三県とも、都から派遣されている職員の活躍が復興の大きな力になっていることを改めて実感しました。復興事業の進展に伴い膨大化する事務処理においても、また区画整理事業などで欠かせない土木の技術職においても、都の派遣職員は優秀な即戦力として活躍しており、派遣先の自治体との意見交換の際は、異口同音に厚い謝意が表明されました。
 しかし、被災地での復興事業は、これから大事な時期を迎えるにもかかわらず、都以外の自治体からの派遣職員数は年々減少しているのが実態です。被災地からは、都の職員派遣を継続し、復興の総仕上げに力をかしてほしいとの強い要望も寄せられました。被災三県がそろって大きな期待を寄せる派遣職員です。被災地の復興なくして大会の成功なしとの思いを込め、派遣を継続すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次いで、観光支援であります。
 国は、二〇二〇年に東北六県の外国人延べ宿泊者数を百五十万人泊とする目標を掲げていますが、昨年は約九十五万人泊であり、その伸び率は、全国と比較すると決して高いとはいえない状況にあります。
 訪日観光客の動きは、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪の、いわゆるゴールデンルートに集中する傾向にあります。こうした外国人旅行者を東北地方、特に被災三県に向けるためには、二〇一九年に釜石市でも試合が行われるラグビーワールドカップなどは大きな機会となります。
 そこで、都としても各地の魅力を発信する観光プロモーションの強化など、都が持つノウハウを最大限に活用し、東北地方の観光支援に積極的に取り組むべきと考えます。知事の見解を求めます。
 とりわけ、今なお風評被害に苦しむ福島県にとっては、観光客だけでなく、平日のビジネス客をいかに誘致するかが大きな課題となっています。福島県内には、郡山のビッグパレットやホテル併設の大規模会議場など、東京からのアクセスもよい施設が数多くあり、県でもこうした施設を積極的に活用するべく取り組みを進めていると聞きます。
 都はこれまでも、都市間連携によるMICE誘致を進めてきました。福島県内へのMICE誘致に向けても、現地と連携して支援すべきと考えますが、見解を求めます。
 岩手県のある首長は、我が党との意見交換の際、心のケアがなければまちは活性化しないと心境を吐露されました。被災地の皆様の心の復興は、希望に向かって力強く前進する心のエネルギーの回復を意味するものと推察します。
 意見交換の席上でも、特に子供たちにオリ・パラ大会にかかわりを持たせてあげることで、心の中によい思い出を残してあげたいとの要望がありました。
 都はこれまでに、被災地と東京の子供たちとのスポーツ交流などを進めてきましたが、東京二〇二〇大会では、被災地の子供たちを東京に招き、一生の心の宝となるすばらしい体験ができるよう取り組んでいくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 被災地支援に関連して、被災地に学ぶ防災対策について質問します。
 今回の被災三県への訪問では、支援の充実を期す有益な意見交換を行うとともに、東日本大震災の教訓を踏まえた危機管理対策の充実強化の様子を伺い、大いに学ぶことができました。
 例えば宮城県では、多岐にわたる震災の教訓を十三分野、四十六の項目に分けて整理し、防災対策に生かしています。震災伝承スペースを利用した石巻市の震災学習プログラム、読みやすく、わかりやすい漫画を活用した防災読本「地震・津波防災のひみつ─東日本大震災を忘れない─」の編さん、発行、学び合いなどであります。この防災読本は、宮城県教育庁スポーツ健康課が監修したもので、東京を含め、全国の学校や図書館などに贈呈されています。
 都においても、こうした被災地の実体験を貴重な教訓とする防災対策の取り組みが必要であると考えます。都は既に我が党の提案に応え、女性視点の防災ブックである「東京くらし防災」を作成し、防災ひな祭りを開催するなど、都民が身近に防災を考えることができる取り組みを進めています。
 そこで、今後は、東京都と被災地が連携して防災フォーラムを開催するなど、東日本大震災の被災地に学ぶ取り組みを強化するべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、環境施策について質問します。
 まず、明治の森高尾国定公園についてです。
 我が党は、かねてから高尾山についてさまざまな提言を行ってまいりました。昨年の第三回定例会の我が党の質問に対し、都は、高尾地域において管理運営協議会を設置し、豊かな自然の保全や観光地としてのにぎわい拡大などに積極的に取り組むと答弁しました。
 都は、昨年度中に地元商店会、薬王院、交通事業者、自然保護団体等、幅広い参加を得た協議会を設置し、この場を活用して、自然環境の保全と利用を両立するための管理運営計画案についての検討を進め、ことしの五月にはパブリックコメントを実施しています。
 本年度は、明治の森高尾国定公園の誕生五十周年であり、この機会を捉え、協議会メンバーと連携し、明治の森高尾国定公園を広く盛り上げていくべきと考えます。
 管理運営計画案と協議会の今後の取り組みについて、都の見解を求めます。
 次に、電動バイクの普及に向けた取り組みについて質問します。
 バイクは、もともと燃費や輸送効率にすぐれた環境性能の高い乗り物であり、さらに電動化が進めば、一層環境負荷の低い乗り物として活用が進むことが期待されています。
 しかしながら、国内で生産されている電動バイクは現在一種類のみで、世界を見渡しても商品化の実例はまだ少なく、電動バイク市場はようやく胎動したばかりです。
 一方、バイク販売の世界シェアでは、我が国のバイクメーカーがおよそ五割を占めており、より多くのメーカーが電動バイクの開発を進めて、多様な車種を提供できるようになれば、世界のバイクの電動化を一気に加速させていくと期待されています。
 都は、八丈島や新島でモーターショーを開催するとしており、電動バイク導入についても新たな補助制度を実施するなど、初期需要の創出を図り、メーカーの開発意欲を高めることで、世界の動きをリードしていくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、自然界で分解されず、燃やすと二酸化炭素を発生させ、温暖化の原因の一つと指摘されているプラスチックごみの3Rの取り組みについて質問します。
 ことし一月、中国は、環境汚染を招いていたプラスチックごみの輸入を突如禁止しました。日本からも、飲食店やオフィスから出るペットボトルなどの廃プラスチックのごみは、分別収集されないまま業者が回収して輸出されています。輸出先の約七割が中国で、年間約百万トンにも上ります。このため、リサイクルされない多くの容器が、現在各地に滞留する事態に陥ったと報道されています。
 また、世界各国では、マイクロプラスチックが引き起こす海洋汚染対策の一つとして、マイバッグ持参など、レジ袋対策の取り組みも進められており、例えばフランスでは、一昨年の七月からレジ袋の配布が禁止されています。
 国では、マイクロプラスチックとなる製品の使用抑制を事業者に要請する法制化の動きや、産業界では、マイクロビーズを使用した製品を自主規制する動きが出ています。
 そこで、都は今後、レジ袋対策に、全国に先駆けてマイバッグの活用に取り組むとともに、プラスチックごみのリサイクルの推進について、区市町村などとの連携をさらに進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 続いて、使用済み紙おむつのリサイクルについて質問します。
 紙おむつは、乳幼児向けだけでなく、高齢化の進展に伴って、成人向けの需要も増大していく傾向にあります。一方、材料となる輸入パルプ資源の枯渇、使用後に焼却処分を行う燃料の増加とコスト増、埋立処分する焼却灰の増加などが、今後深刻な課題となっていくことが必至と予想されています。
 一方、保育施設や介護施設を初めとする事業所では、使用済み紙おむつの処理が負担となっています。そのため、国では、使用済み紙おむつを粉砕して下水道に流そうとの研究が始まっていますが、都の下水管路にとっては、根詰まりなどの懸念を払拭できず、課題があります。
 こうした中、我が党は先日、使用済みの紙おむつを収集、リサイクルする事業者や自治体の取り組みを視察しました。使用済みの紙おむつを固形燃料や段ボールなどにリサイクルする取り組みのほか、殺菌処理して、再び紙おむつをつくり出す取り組みも試行されていました。
 今後は、こうした紙おむつのリサイクル化の動きが都内の区市町村にも広がっていく可能性があり、都もSDGsの観点から積極的に対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、PCB問題について質問します。
 ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCBは、電気絶縁性の高い性質を持つ、工業的に合成された化合物であり、その利便性の高さから、絶縁用の油として主にトランスやコンデンサー、照明用安定器など、電気機器等に使用されてきました。
 しかし、昭和四十三年にPCBが混入した食用油が原因となったカネミ油症事件が発生して社会に大きな衝撃を与え、国は、昭和四十七年に通産省の行政指導で製造を中止し、回収の指示を出しました。
 しかし、PCBを含有している機器が処理できずに、いまだに倉庫などに保管されている現状にあります。
 加えて、平成二十八年のPCB特措法改正以降は、照明用の安定器の中にあるPCBの使用実態調査が義務化されましたが、古い蛍光灯安定器が破裂し、PCBが漏えいする事故が全国で発生しています。
 都が所有する施設のPCB廃棄物の処理責任は、保管事業者である都にあります。実際に、都内の小学校では授業中に教室の古い照明用安定器が破損して、PCBが漏れて児童にかかるなどの事故も発生しています。
 そこで、現在、都が保管、使用しているPCB含有機器等の種類と数量について答弁を求めます。
 また、現状把握されている機器以外に保管、使用されているおそれもあります。都が民間事業者の模範となるよう、PCB含有機器が使用されていた昭和五十二年三月以前に建築、改築された施設を含め、掘り起こしのための全数調査を徹底して行うべきです。見解を求めます。
 こうした取り組みを都みずからが行った上で、民間事業者に対してPCB含有機器の処理を強く促していかなければなりません。しかし、民間事業者が取り扱うPCB含有機器は膨大な数に上ります。その膨大さがPCB処理をおくらせている要因の一つとなっています。
 そこで、都は、民間事業者がPCB処理に取り組みやすい工夫を指し示すべきと考えますが、見解を求めます。
 都内に残る高濃度PCBの処理が可能な施設の稼働期間は、残り五年と迫っています。期限内に処理の完了を実現するためには、一つには、処理推進を支援する事業者があらわれてきていることから、都庁内に蓄積されている民間事業者のPCB保有情報の公開時期の前倒しが必要です。もう一つには、PCBを抱える民間事業者の処理促進に向けたさらなる都の支援が必要です。
 都は、こうした課題の解決に向けて、今こそ乗り出すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、海外との教育交流について質問します。
 世界のグローバル化が急速に進む中で、教育の分野においても、環境教育など一国だけでは解決が難しい問題がふえ、国を超えた協力が求められるようになっています。
 こうした中、二〇〇六年以来開催されていなかった主要国の教育大臣会合が、一昨年、我が国のリーダーシップにより十年ぶりに再開され、関係国から感謝の意が表明されました。
 一方、こうした政府レベルの連携に加えて、今後求められるのは現場レベルの教育者の交流です。日々子供に向き合っている各国の教育者同士が継続的に意見交換し、切磋琢磨できる場があれば、互いに教育力を向上させ、それぞれの教育課題を解決していく力になります。
 東京都教育委員会がこうした教育者の交流の場をつくれば、世界の教育に貢献するという名誉ある地位を世界に発信することができます。
 現在、東京都教育委員会は、海外の教育機関と交流する覚書を結んでいます。こうした枠組みを生かして、現場の教育者同士が国際交流できるネットワークを広げていくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 教育委員会としての取り組みに加え、それぞれの学校ごとの自主的な活動においても、教員の国際交流を進めることが必要です。
 都教育委員会は、都立学校と海外の学校との姉妹校交流を進めており、こうした海外の学校との交流の枠組みを活用して、生徒とともに教員同士の交流を広げ、教育力の向上を図るべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、産業支援について質問します。
 高齢化や人口減少が急速に進む我が国においては、景況面でも構造的に閉塞感が漂いがちであり、打開のためには、国内外の消費を大きく喚起する魅力に富んだ商品開発やビジネスモデルが求められています。
 例えば、都が主催している若者を対象にしたビジネスプランコンテストでは、毎年千件以上のアイデアが寄せられるなど、東京には想像性豊かな才能が満ちあふれています。
 都は、今後、こうした新たな可能性を具体的なビジネスへと結びつける施策の充実を図るとともに、我が党が提言してきた、若者や女性などを企業や商店経営の新たな主役に育てる事業を強化するべきです。創業拡大の活性化に向けた都の見解を求めます。
 企業が自社の強みを収益増へと結びつけていくためには、知的財産保護の取り組みが不可欠です。しかし、創業時にあっては資金やノウハウが不足しており、そこまで対応できない状況も見受けられます。
 そこで、我が党は、昨年の第四回定例会で、知的財産の保護に向けた支援を国内外を問わず幅広く展開していくよう提案しました。知的財産保護を目的とした都の助成事業や相談窓口には、既に多くの都民の関心が集まっています。今後、質量ともに充実を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 新たな担い手の確保、育成は、農業分野においても喫緊の課題となっています。生産緑地制度の改善や貸与による耕作の継続などの工夫が、国においても整いつつあります。
 公明党はことし二月、党内に設置する都市農業振興プロジェクトチームが都市農業フォーラムを開催し、多くの農業従事者の方々との意見交換を行いました。農地存続に向け、新たな耕作者を募る都の取り組みの強化を求める声が聞かれました。
 とりわけ農業と福祉の連携は、相互に多くのメリットをもたらすものと考えます。例えば、我が党は本年一月、都内でNPO法人が運営している就労継続支援B型事業所の農園を視察し、農福連携による精神障害者の就労支援の取り組みが大きな可能性に富むものであることを実感してまいりました。
 高齢者の生きがいづくりや障害者の活躍の場としての農地活用を本格化するとともに、近隣の学校も含めた地域住民との交流を図り、農業の持つ力を地域社会に還元していくべきと考えますが、見解を求めます。
 知事は所信表明で、都立の農業系高校でGAP認証の取得を進めていく旨の方針を表明しました。認証の取得は、高校生にとって、農業者として成長する貴重な体験であり、誇らしいレガシーになるものと考えます。
 その上で、こうした高校生の活動の姿をより多くの都民に知っていただくことができれば、東京二〇二〇大会の機運向上にもつながるものと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、都立病院の経営改革について質問します。
 都は、本年三月に策定した都立病院新改革実行プランにおいて、都立病院の使命を果たすための経営形態のあり方について検討を進めるとしています。その検討に当たって何よりも重要なことは、将来にわたって都民が都立病院に期待する医療を安定的に提供し続けることであります。
 先日、我が党は、都外の地方独立行政法人の病院を複数視察し、調査を行いました。視察先の病院は、専門性や地域特性に応じた医療の展開に加え、県や市の医療課題に即し、救急医療、災害医療、感染症対策などにも大きな役割を果たしていました。
 さらに、機能や役割が異なる複数の病院の一体的な運営により、医療面、経営面でのスケールメリットが期待されているとの説明があり、新たな経営形態による機動性を生かし、医療人材の柔軟な確保や働き方改革、患者サービスの向上につながっているとの見解も示されました。
 視察を通じて、病院経営のあり方をめぐる議論と行政が担うべき質の高い医療への追求は不可分な関係にあり、相互に支え合う車の両輪的な関係性を目指すことが望ましいと実感したところであります。
 我が党は、成功事例だけでなく、課題を抱える事例にも視察先を広げていく予定でありますが、都は今後、都立病院新改革実行プランを踏まえ、都立病院の経営形態のあり方について、都立病院の担う使命をさらに追求した改革という視点に重きを置いて検討を深めていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、工業用水道について質問します。
 有識者委員会からの提言も踏まえ、知事は今定例会の所信表明で、廃止に向けた動きを進めるとの方針を示しました。
 我が党は、首都直下地震等の切迫性が指摘される中、施設の老朽化が限界を迎えている以上、事業の存廃に関する判断の先送りは許されないとして、かねてよりこの問題の重要性を指摘してきました。これを受け、今回ようやく都としての一定の方向性を示したことは一歩前進であります。
 しかしながら、いざ廃止するとなればユーザーへの影響は重大で、今回の都の廃止方針に対して、既に多くの方々からの不安と心配の声が我が党に寄せられています。とりわけ、都が十分な支援策を講じてくれるのか、特に廃止に伴い切りかえられる水道料金と現行の工業用水道料金との差額支援の期間を十分確保すべきとの声が多く寄せられております。廃止に向けた動きを進めるには、こうしたユーザーの理解を得ることが欠かせません。
 そこで、今回の有識者委員会では、料金差額の支援期間を十年程度としていますが、都は今後、ユーザーの意見を聞きながら、都としての支援期間を早急に示すとともに、十分な支援策を講ずるべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、特殊詐欺防止について質問します。
 警視庁の統計によると、平成二十九年の都内における特殊詐欺被害は、九年ぶりに認知件数が三千件を超え、本年においても昨年の認知件数を上回るペースで発生しており、被害に歯どめがかからず、都民の安全な生活を脅かす深刻な状況となっています。
 特殊詐欺の犯人として、高齢者等から現金を受け取る受け子や、銀行から現金を引きおろす出し子といった存在があります。この受け子、出し子については、平成二十九年の警視庁の統計によると、特殊詐欺事件の検挙被疑者の約九割が十代から三十代で占めており、アルバイト感覚で軽い気持ちで引き受けたものの、知らない間に加害者になっていたというケースも少なくない実態があります。
 そこで、特殊詐欺が減らない現状においては、これまでの被害防止対策に加えて、未来ある若者を特殊詐欺の加害者にさせない取り組みが重要です。若者を加害者にさせない対策強化について、都の見解を求めます。
 また、平成二十九年の警視庁の統計によると、特殊詐欺の全検挙者数の約二割を十代が占めています。
 学校においても、子供を特殊詐欺などの犯罪に加担させないためのさらなる対策を講じる必要があると考えます。都の教育委員会の見解を求めます。
 最後に、平成三十一年度税制改正に向けた取り組みについて質問します。
 国は先週、今後の議論のベースとなる骨太の方針を閣議決定しました。この中では、幼児教育、保育の無償化の二〇一九年十月への前倒し実施や、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標など、評価すべき施策が盛り込まれた一方で、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について検討し、平成三十一年度税制改正において結論を得ることが改めて明記されました。
 また、総務省は新たな検討会を立ち上げ、具体的な検討を開始しており、都から財源を奪う動きはますます加速しています。
 これに対し知事は、東京と日本の成長を考える検討会を立ち上げ、議論を開始したところです。
 都は急速に進む少子高齢化への対応や災害への万全の備えなど、都民生活を守るために膨大な財政需要を抱えており、加えて都の活力は日本全体を持続的成長へと導くためにも重要な役割を担っています。
 都市と地方で限られた財源を奪い合うという近視眼的、現状維持的な考え方ではない、地方税財源のあり方についての本質的な議論を進めていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 以上で都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大松あきら議員の代表質問にお答えいたします。
 SDGsの視点からの海外諸都市との連携についてのご質問が冒頭ございました。
 持続可能な開発目標、いわゆるSDGsですが、経済、社会、環境など、あらゆる分野にわたっておりまして、東京にとりましても重要な課題を掲げております。
 先月、東京が主催いたしました環境に関する国際会議におきましても、海外から出席した首長などとともに共同記者会見に臨みまして、その場で、持続可能な都市が地球を救うという自負のもとで、SDGsの達成に貢献していくとの私の願いを申し上げたところでございます。
 世界の人口の過半数が都市に集中し、GDPの大半を都市が生み出しております。世界が持続可能な発展を続けていく上で、市民に身近な行政をつかさどる都市の果たすべき役割はますます拡大しております。
 都ではこれまでも、姉妹友好都市を初め、二都市間、多都市間で交流、協力を図りながら、大都市共通の課題解決に向けて取り組んでまいりました。
 さらに、SDGsの視点を重視いたしまして、さまざまな分野について、海外諸都市との連携を進めて、世界をリードする持続可能な都市東京を目指してまいります。
 人権施策の積極的な進展についてのご質問でございました。
 都民一人一人に着目をして、誰もがあすに希望を持って活躍できる東京を築き上げること、それが成熟社会においてなお、持続的な成長を生み出す都市を実現することにつながってまいります。そのためには、人権尊重の理念を東京の隅々まで浸透させていくこと、これも極めて重要な課題でございます。
 今般、都は、オリンピック憲章にうたわれております、いかなる種類の差別も受けることなくという人権尊重の理念の実現を目指すとともに、新たな人権課題にも対応するために条例を制定いたしまして、誰一人取り残さない社会を築き上げていくことといたしました。
 条例制定後は、東京二〇二〇大会を契機に、人権尊重都市東京を国内外に対して発信していくことを通じ、SDGsも踏まえまして、さまざまな人権施策をこれまで以上に積極的に展開させて、大会後のレガシーとしてまいりたいと考えております。
 受動喫煙防止条例についてのお尋ねが幾つかございました。
 本条例の目的、それは屋内での受動喫煙による健康影響を未然に防止して、人に着目した都独自のルールを構築することでございます。この条例を実効性あるものとするためには、都民、事業者、区市町村のご理解、ご協力が何よりも必要でございます。
 そのため、都は、広報誌やSNSなどを活用いたしまして、条例の趣旨や目的について普及啓発に努めてまいります。
 また、事業者に対しましては、飲食店における取り組みの事例を紹介する研修会の開催、区市町村に対しても、さまざまな機会を捉えて、条例に関する業務や受動喫煙防止対策への都独自の支援などについて丁寧な説明を行うなど、受動喫煙防止の取り組みへの理解と協力を求めてまいります。
 そして、自治体に対する支援でございますが、受動喫煙防止対策を進めるためには、区市町村との連携協力が不可欠であります。
 そのため、都は、区市町村が行います住民や施設管理者に対します条例の趣旨や目的の周知、専門相談窓口の設置などに要する費用を全額補助する考えでございます。
 また、禁煙外来の医療費などに対しましては、助成を行う区市町村の取り組みについても支援をしてまいります。
 それから、飲食店などに対する都の支援についてのご質問がございました。
 都では、平成二十七年度から外国人旅行者の受け入れ環境の整備のため、宿泊施設や中小飲食店におけます分煙環境の整備に関する支援を実施してまいりました。
 この支援策については、今回の条例案の内容に沿いまして、補助対象を喫煙専用室の設置に見直すとともに、条例による規制の対象となります中小飲食店への補助率を五分の四から十分の九に引き上げるなど、支援内容の充実を図りまして、事業者の負担軽減に配慮する方針でございます。
 屋外喫煙所の整備に対する支援についてもご質問がございました。
 現在、幾つかの区市で公衆の喫煙所を設置する取り組みが進められていることは承知をいたしております。
 また、区市町村との意見交換では、喫煙所の整備に対して支援してほしいなどのご意見もいただきました。
 今後、都といたしまして、屋外の公衆喫煙所の設置などに要する経費を全額補助するなど、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを積極的に支援していく考えでございます。
 専門家を配置した窓口の設置についてでございます。
 条例の施行に当たりましては、都民や施設管理者等の不安を解消して、ご理解、ご協力をいただくことが必要でございます。
 そのため、都は、専門相談窓口を設置いたしまして、規制の内容に関するお問い合わせや各種の相談に丁寧に対応してまいります。
 また、喫煙専用室の設置などに関するご相談がありました場合には、各施設の状況に沿いました具体的な助言ができるように、専門のアドバイザーを派遣する考えでございます。
 加熱式たばこの規制内容についてのお尋ねがございました。
 健康増進法の改正案におきましては、飲食店やホテル、旅館、遊技場などの多数の者が利用する施設につきましては、加熱式たばこ専用の喫煙室の設置を認めておりますが、四月二十日に公表した本条例の骨子案では設置を認めておりませんでした。
 そのため、加熱式たばこにつきましては、健康影響が明らかでない段階で紙巻きたばこと同じ規制とすべきではない、国と同様の規制内容とするべきなど、さまざまなご意見を頂戴したところでございます。また、国と意見交換をいたしました際にも、法案と整合を図るようにご意見をいただいております。
 こうしたことを踏まえまして、本条例では、加熱式のたばこの規制場所につきましては、法案と同様の取り扱いとしたものでございます。
 そして、加熱式たばこの今後の取り扱いについてでございます。
 加熱式たばこは、その主流煙に健康に悪影響を与えるニコチンや発がん性の物質が含まれていることは、科学的に明らかとなってはおります。ただ、現時点では、受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難ともいわれております。
 現在、国は、加熱式たばこによる受動喫煙の健康影響に関する研究を進めておりまして、都は、今後の研究結果を踏まえて、必要な措置を講じてまいります。
 障害者差別解消条例の周知についてのご質問がございました。
 障害のある人もない人も、ともに暮らす共生社会を実現するためには、社会全体で障害特性や障害者に対する理解を深めることが重要でございます。
 そのため、都は、平成二十八年の障害者差別解消法の施行に合わせまして、配慮すべき事項などをまとめたハンドブックを作成して、これまでさまざまな普及啓発を実施してまいりました。本条例成立後には、このハンドブックを改定いたしまして、都民や事業者の方々に説明会やシンポジウムなどを通じまして、一層の周知を図ってまいります。
 多様性こそが都市としての発展の原動力でございます。都民一人一人が自分らしく輝くことができる都市、ダイバーシティーの実現を目指しまして、今後とも、障害者への理解促進と差別の解消に全力で取り組んでまいります。
 相談や紛争解決の体制についてのご質問がございました。
 都におきましては、現在、事業者や障害者から合理的配慮の提供などに関します相談があった場合には、庁内に設置した東京都障害者権利擁護センターにおきまして対応しているところでございます。
 本条例の施行後は、障害者差別の解消に知識や経験を有する広域支援相談員を新たに設置いたしまして、助言や関係者間の調整を行うなど、個々の事例に専門的な対応を行ってまいります。
 また、相談によりましても、紛争の解決が見込めない場合には、学識経験者、弁護士、障害当事者、事業者などで構成されます第三者機関が、公正中立な立場からあっせん案を当事者に提示いたしまして、紛争の解決を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、条例の実効性を確保してまいります。
 それから、障害者への情報保障の推進でございます。
 障害の有無によって分け隔てられることのない社会を実現するためには、障害者が円滑に意思疎通できる環境を整備することが必要となります。
 このため、本条例では、手話、筆談、点字、拡大文字、読み上げなど、障害者がわかりやすい表現による情報の提供が普及しますように、情報保障の推進を基本的施策の一つとして規定しているところでございます。
 そして、都は現在、東京都障害者・障害児施策推進計画に情報バリアフリーの充実を位置づけておりまして、手話通訳者、要約筆記者の育成を行うとともに、区市町村、事業者向けに情報バリアフリーガイドラインを作成いたしまして、事業者等の取り組みを促進をいたしております。
 また、お話のように、主税局や水道局など各局におきましては、都民向けの文書に音声コードを付すなどの取り組みを進めております。
 こうした取り組みを都庁全体で進めるために、来年度改定をいたします東京都福祉のまちづくり推進計画におきましては、情報バリアフリーの充実をその柱の一つに位置づけまして、障害のある方々への情報保障がより一層進むように取り組んでまいります。
 そして、児童虐待防止についてのお問い合わせでございます。
 全庁を挙げた児童虐待防止の取り組みについてのお尋ね、虐待を未然に防止するためには、関係機関が連携しながら、援助や見守りが必要な家庭を早期に発見いたしまして、適切な支援につなげていくこと、これは大変重要でございます。
 そのため、区市町村では、乳幼児健康診査などの母子保健サービスを受けていない家庭に対しまして受診勧奨を行っており、その中で、特別な理由なく勧奨に応じない家庭や行政の関与に拒否的な家庭などに対しましては、関係機関が情報共有を図りながら、必要な支援につなげております。
 都におきましても、身近な地域で交流や育児に関する相談ができる子育て広場の設置や、育児疲れなどに対応した子供の一時預かり、ホームヘルパーの派遣など、子育て家庭を支援するための区市町村の取り組みを支援しております。
 また、民生委員、児童委員を初め医療機関や子供食堂、地域の見守りボランティアなどと連携をいたしまして、日常のさまざまな場面で子供や家庭を見守る取り組みを進めております。
 児童虐待防止の取り組みを進めるためには、関係各局の連携が重要であることから、新たに副知事をトップといたしまして、子供・子育て施策推進本部のもとに虐待防止のためのプロジェクトチームを立ち上げ、全庁一丸となって、スピード感を持って取り組んでまいる所存でございます。
 児童虐待の防止に関する条例の制定についてのご質問でございました。
 今回の事件を受けまして、私は、児童相談体制をさらに強化するため、児童福祉司、児童心理司の増員など児童相談所の体制の強化、一時保護所職員の増員などによりまして、二十四時間三百六十五日、子供を見守る体制を強化し、また、警察との連携や法的対応力の強化、地域でのネットワークのさらなる強化を早急に検討するように、関係局に指示をしたところでございます。
 また、先ほど申し上げましたように、庁内プロジェクトチームを立ち上げることといたしております。
 児童虐待を防止するためには、児童相談所を初め区市町村の子供家庭支援センター、保健所、民生児童委員、保育所、幼稚園、学校、警察、医療機関など、地域の関係機関が一体となって取り組むということが必要でございます。
 さらに、都民一人一人が地域で子供や保護者を見守ること、そして保護者もみずからの子育て環境が地域で孤立しないように、支援が必要なときに積極的に子育て支援事業を活用するということも重要でございます。
 こうした考えに立ちまして、全ての子供を虐待から守る環境づくりを進めるために、行政の責務、都民の責務、保護者の責務、情報の共有などの内容を盛り込みました都独自の条例を新たに策定してまいります。
 東日本大震災による被災地への職員派遣の継続についてのご質問でございます。
 都はこれまで、延べ三万人を超える職員を派遣するなど、総力を挙げて被災地支援に取り組んでまいりました。
 今も被災地のニーズに即しまして、さまざまな行政経験を持つ事務職、技術職を派遣いたしまして、多様な分野において被災地支援に取り組んでおります。
 私自身も、発災直後から被災地を何度も訪れております。そして、知事就任後も、改めて福島県、岩手県、宮城県を訪問いたしまして、復興の進捗、また課題も肌で感じてまいりました。昨年度も、各県の知事と直接お会いし、現地の状況、そして支援の要望をお伺いいたしまして、復興を引き続き後押ししていく思いをさらに強くしたところでございます。
 都といたしましては、東京二〇二〇大会に向け、復興した被災地の姿を世界に届けられるように、総仕上げに取り組む被災地への職員派遣を今後も継続してまいります。
 東北地域と連携した観光振興についてのお尋ねでございます。
 観光面での地域間連携を進めていくことは、東京と日本各地双方の外国人旅行者の誘致を図る上で重要な取り組みでございます。
 特に、東京二〇二〇大会やラグビーワールドカップ二〇一九などの国際的なスポーツイベントは、東北の観光の魅力を世界に発信する絶好の機会でございます。被災地の復興を後押しすることにももちろんつながります。
 これまで、東京と東北地域の自治体、交通事業者から成る協議会を復興支援としていち早く立ち上げまして、都内と東北を結ぶ観光ルートの情報をウエブサイトで紹介をするなど、双方の魅力を発信してまいりました。
 今年度は、新たに、海外メディアの記者の皆さんを招聘いたしまして、ラグビーワールドカップ二〇一九の会場となる岩手県に加えまして、宮城県、福島県のそれぞれの観光スポットもあわせて取材をしてもらうことで、海外での認知度をさらに高めてまいります。
 先日、福島県の旅館ホテルの女将会の皆様方から、被災地の現状について直接お話を伺いました。今後も、こうした事業者の声もお伺いしながら、東京と東北地域が力を合わせまして、それぞれの強みを生かした外国人旅行者の誘致を進めてまいります。
 被災地支援について、引き続きのご質問でございます。
 東京二〇二〇大会は復興オリンピック・パラリンピックであり、被災地の復興なくして大会の成功はないこと、これを常に念頭に置きながら大会の準備を進めております。
 これまで都は、東日本大震災発災以降、被災地と都内の子供たちをつなぐスポーツ交流事業、千キロ縦断リレーなど、さまざまな事業を展開いたしまして、復興を支援してまいりました。
 私自身、被災地でのフラッグツアーなどを通じまして子供たちの笑顔に触れることで、被災地の未来を担う世代に夢と希望を与えることが大切だということを実感してまいりました。
 そして、大会期間中には、中高生による大会でのボランティア活動体験であるとか、観戦機会の提供などを通じまして、被災地の子供たちにも大会の感動を深く心に刻んでもらいたいと考えております。
 被災地の子供たちに大会の経験というレガシーを残せるように、今後とも、国、組織委員会、被災県などと連携をいたしまして、これらの取り組みの具体化に向けた検討を進めてまいります。
 被災地に学ぶ防災対策についてでございます。
 阪神・淡路大震災や東日本大震災など、過去の震災の経験や取り組みから学ぶことは、都民一人一人の防災意識を高め、自助、共助の取り組みを進めるためにも重要でございます。
 都はこれまで、防災について学ぶ都民向けセミナーで、避難所における経験談を紹介するなどの取り組みを進めてまいりました。
 しかし、東日本大震災から七年がたち、震災の記憶が風化しつつある中、改めて当時の状況を思い起こし、都民の防災意識を高めていくことは重要でございます。このたびの大阪府北部の地震にも、またあのときの記憶を呼び起こさせてくれたものと思います。
 そのため、被災者によります体験談、発災時に役立つ防災人材ネットワークづくりなど、震災の教訓を踏まえた取り組みの紹介を被災地と連携して実施するなど、都民向けセミナーの充実を図ってまいります。
 今後とも、被災地に学びながら、都民の防災意識の向上と、自助、共助の取り組みの推進を図り、誰もが安全・安心を実感できるセーフシティー東京の実現を目指してまいります。
 次に、電動バイクの普及に向けた取り組みについてご質問がございました。ありがとうございます。
 大気汚染対策やCO2の削減を加速するためには、走行時に排出ガスを出さないゼロエミッションビークルの普及が急務でございまして、世界中のメーカーで今、開発競争が繰り広げられております。
 こうした中、四輪車同様、ガソリン車が中心であるバイクにつきましてもゼロエミッション化が重要であって、世界シェアの約五割を占める我が国のメーカーには先導的な役割を果たしてもらいたいと考えております。
 そこで、先日、日本自動車工業会に訪問をいたしまして行ったゼロエミッションビークルの普及に向けた要請でございますが、電動バイクの大型化を目指した技術開発などについても要望したところでございます。
 都におきましては、今年度から事業者全般を広く対象として、国の補助とあわせて、ガソリン車を購入するのと同程度の負担で電動バイク、EVバイクを導入できる補助制度を実施し、普及を図ってまいります。
 また、大規模なスポーツイベントなどで迅速な応急救護などを行うための救急EVバイクを導入してまいります。
 これらの取り組みによりまして電動バイクの普及を図って、メーカーの技術開発を誘導しながら、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいりたいと考えます。
 都立農業系高校のGAP認証取得についてのご質問でございます。
 世界的に食の安全や環境保全、労働安全などに配慮した農業が求められる中で、都は、都市農業の特徴を反映いたしました都独自の東京都GAP認証制度を今年度から開始をいたしまして、農産物の安全・安心の確保と、環境に配慮した持続可能な東京農業を推進いたしております。
 都立の農業系高校、五校ございますが、GAP認証の取得に向けた取り組みを開始いたしております。生徒たちが適切な農業生産工程管理を学ぶということは、高い教育効果を生むだけではございません。持続可能な東京の都市農業を担う人材の育成にまさに貢献するものと考えます。
 また、GAP認証を受けて生産した農産物を、学校の文化祭や地域のイベントの場で販売することなどを通じまして、広く都民の皆様に知っていただくことは、生徒にとりまして大きな励みになると考えております。
 こうした取り組みが東京二〇二〇大会への食材の提供につながる、そして都立の農業系高校や生徒たちの大会後のレガシーとなっていくことを期待しております。
 そして、最後に、地方税財源のあり方についてのご質問がございました。
 国はこれまで、ご指摘のように不合理な税制度の見直しによりまして、東京から累計で六兆円もの財源を奪ってきており、平成三十一年度税制改正におきましても、東京を初め、都市部の財源をさらに奪おうとする動きを見せております。
 こうした東京を標的とした税制度の見直しは、地方が抱える財源不足の根本的な解決にはつながりません。このような目先の対応に終始する姿勢が、日本の将来を考える上で果たして望ましい姿なのかどうか、首都東京を預かる者として強い危惧を抱いているところでございます。
 東京、そして日本を持続的成長に導くためには、首都東京が力強い牽引役となって、各地方もみずからの権限と財源をもって地域を活性化させることが重要であって、そのためには、真の地方分権を見据えた地方税財源のあり方について大局観を持った本質的な議論を行うこと、これが不可欠でございます。
 そこで、東京、日本の将来に対しまして、こうした同じ思いを抱く都議会各会派の皆様や都内区市町村の代表の方々に加えまして、より幅広い議論を行うために、学識経験者やジャーナリスト、そして経済の第一線でご活躍されておられる企業経営者や経済団体の方々を交えまして、新たに検討会を立ち上げて、腰を据えて議論を行っていくことといたしました。
 こうした議論を踏まえまして、オール東京で一致団結をして、税制改正に向けた都の主張に一層磨きをかけ、強力に発信をしていく、そのことで都民、国民の皆様の理解と共感を広げていきたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立学校における通学路の安全対策についてでございますが、児童生徒が安心して登下校できるようにするために、通学路の安全確保は大変重要でございます。
 都教育委員会はこれまでも、区市町村教育委員会や関係機関と連携し、交通安全等の観点から通学路の安全点検を実施してきておりますが、昨日、大阪で発生した事態を踏まえ、区市町村教育委員会とも連携しながら、災害時におけるブロック塀等の危険性の把握という視点から、通学路の状況を改めて早急に点検し、児童生徒のより一層の安全確保を図ってまいります。
 次に、海外の教育行政機関との覚書に基づく教員同士の国際交流についてでございますが、生徒に有意義な国際交流の機会を提供するためには、教員が海外の文化や教育に対する考え方に触れ、国際交流の意義を実感することが重要でございます。
 都教育委員会は、これまでに七都市等と覚書を締結しており、その一つであるカナダ・ブリティッシュコロンビア州との間で、双方の教員が文化や教育事情を紹介し合う情報交換会等を平成二十八年度から開催してまいりました。参加者からは、複数の学校と直接対話して多様な教育状況を知る機会は貴重であるなど、好評を得ているところでございます。
 今後、こうした取り組みを教員同士の国際交流モデルとして確立し、覚書締結先を初めとする他の国、地域にも展開をしてまいります。
 次に、姉妹校交流等に基づく教員の交流についてでございますが、姉妹校交流等を積極的に推進している学校では、互いの学校を訪問する際に、学校生活における特色ある活動や国際交流に関する取り組みについて紹介し合うなど、教員同士の交流機会の確保に取り組んでおります。
 そこで、都教育委員会は、こうした姉妹校交流を初めとする多様な国際交流に先駆的に取り組んでいる都立学校十五校を他校の牽引役として、本年五月、国際交流リーディング校に認定いたしました。
 今後、リーディング校において、教員同士が主体的かつ継続的に交流する手法を検討、開発していく取り組みを支援するとともに、その実践を他校にも発信していくことで、教員の国際交流にかかわる実践力や指導力を向上させてまいります。
 最後に、学校における特殊詐欺への対策についてでございますが、子供が特殊詐欺に巻き込まれることを防ぐためには、犯罪の実態を理解させるとともに、みずからの正しい判断によって行動できるように指導することが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、警視庁と連携し、各学校のセーフティー教室等において、子供がさまざまな誘いを断れず犯罪に加担させられた事例等を示すことで、危険な行動を回避するための適切な意思決定や的確な行動選択ができる力を育む指導の推進を図ってまいりました。
 今後、都内全公立学校の生活指導担当者対象の連絡会等において、複雑巧妙化する特殊詐欺の現状に関して警察官による講演を実施するとともに、警視庁が作成したDVD教材の学校での活用を促すなどして、子供が犯罪に巻き込まれないための指導を一層強化してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、被災地におけるライブサイトについてでございますが、被災地の皆さんに大会の感動と興奮を共有していただき、復興の力につなげていただくことは重要でございます。
 そのため、都は、リオや平昌大会に合わせまして被災地においてライブサイトを開催し、地元選手の応援などを通じて多くの方々に楽しんでいただいたところでございます。
 東京二〇二〇大会期間中、都は、東北被災三県と熊本県においてライブサイトを実施する方針でございます。現在、各県の意向を伺いながら、具体的な開催場所や実施日程の協議を行っているところであります。
 被災地の方々に大会の雰囲気を身近な場所で体感していただけますよう、ことしの秋ごろに予定しているライブサイト基本計画の策定に向けまして、着実に準備を進めてまいります。
 続きまして、コミュニティライブサイトへの支援についてでございますが、東京二〇二〇大会の盛り上げのためには、都が実施する国内外の観戦客を広く受け入れるライブサイトに加え、区市町村が身近な場所で実施する地域のコミュニティライブサイトの取り組みを推進することが必要でございます。
 リオや平昌大会の際にも地域での応援の希望があり、都内の多くの自治体で大会競技のライブ中継を実施し、都はさまざまな支援を行ってまいりました。
 コミュニティライブサイトにつきましては、現在、組織委員会が実施スキームを検討中でございまして、近く概要を公表する予定であります。都としては、区市町村の希望に沿った円滑な実施ができますよう、組織委員会と協議を進めているところであります。
 今後とも、都内全域での盛り上げにつなげるため、区市町村の取り組みを積極的に後押ししてまいります。
 次に、ライブサイトにおける情報バリアフリーの取り組みについてでございますが、誰もが必要な情報を得て大会を楽しんでいただけるよう、配慮や工夫を行うことが重要であります。
 そのため、リオや平昌大会時に都が実施したライブサイトでは、大きな文字による案内サインや人的サポートを適切に実施できるよう、スタッフへの周知徹底を図ってまいりました。過去大会の現地のライブサイトでも、わかりやすい案内サインや観覧しやすい優先エリアの設置等の対応がとられておりました。
 東京二〇二〇大会のライブサイトにおきましては、現在検討中である競技会場内の取り組み等も参考に、関係団体等とも連携を図りながら、障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめる環境整備に向け、検討を進めてまいります。
 次に、障害者等の動線のバリアフリー化についてでございますが、障害のある方などが利用する駅や道路、競技施設は、それぞれ異なる主体が管理しておりますことから、都や組織委員会が調整の中心となり、一貫性、連続性を持って移動経路を確保していくことが重要であると考えております。
 このため、大会時のバリアフリー化の指針でありますアクセシビリティ・ガイドラインや、障害者等の動線となるアクセシブルルートの案を公表いたしました。
 それらの内容を踏まえ、ルート上の段差解消のほか、エレベーターや誘導ブロックの設置等について、鉄道事業者やおのおのの施設管理者等に働きかけを行い、既に駅や道路、競技施設で対策が始まっているところであります。
 引き続き、組織委員会等と連携し、駅から客席までの一体的なバリアフリーの確保を着実に進めてまいります。
 最後に、大会情報の提供についてでございますが、障害者等に円滑かつ安全に大会会場に来ていただくためには、必要な情報をおのおのの障害特性やニーズに応じた手段によって適切に提供することが重要でございます。
 このため、アクセシビリティ・ガイドラインでは、必要な情報が事前に行き渡りますよう、音声読み上げに対応したホームページや点字つきの刊行物等を準備するとともに、大会時には、会場等の案内標識にピクトグラムや矢印を用いることなどで、外国人なども含めまして、あらゆる方々にわかりやすい情報提供を進めていくこととしております。
 今後、過去大会の教訓なども踏まえつつ、バスの乗降場など、移動に関しての必要な情報や当日変更があった情報を障害者等ができる限り迅速に入手できる方法について、組織委員会と連携し、検討してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、福島県へのMICE誘致についてでございますが、都は、東日本大震災による復興支援のため、緊急対策の一環といたしまして、被災地応援ツアーを実施し、主として観光目的の旅行を促進することで、宿泊や飲食等、現地での消費の喚起などに取り組んでまいりました。このツアーにより、平成二十九年度末までに、宿泊では約十七万九千泊、日帰りでは約六万一千人分について助成を行ったところでございます。
 今後は、ビジネス目的の旅行者にもより多く福島県を訪れていただくため、観光パンフレットの配布のほか、MICE誘致の支援制度等のPRにも協力するとともに、県や県内各関係団体等のMICE誘致に向けた取り組みの現状や意向を確認しながら支援内容を検討してまいります。
 引き続き、福島県の震災からの復興を後押ししてまいります。
 次に、若者や女性による創業への支援についてでございますが、東京の産業の発展に向け、その新たな担い手となる若者や女性の起業を支援することは重要でございます。
 都では、若者のすぐれた事業プランを表彰し、起業を後押しするほか、女性の創業の計画づくりをサポートするサービスや創業時の賃料等の経費への助成を行っております。また、商店街に出店する若者等をふやすため、店舗の運営を学ぶチャレンジショップの提供や、開店に向けた改装費用等に補助を実施しております。
 今年度は、創業時の経費への助成の規模を拡充いたしますほか、商店街におけるチャレンジショップを新たに多摩地域に開設するとともに、開店費用への補助制度の充実も図ります。
 今後も、さまざまな施策のレベルを高めながら、引き続き、若者や女性による創業を着実に支援してまいります。
 次に、中小企業の知的財産の活用等についてでございますが、都内の中小企業がすぐれた技術を知的財産として有効に保護し活用できるようにするためには、適切な支援を行っていくことが重要でございます。
 都では、知的財産総合センターにより、中小企業が知的財産を活用し収益を確保する戦略づくりをサポートいたしますほか、特許等に関するトラブルを解決する相談対応を行っているところでございます。また、外国での特許の取得に必要となる経費への助成を実施しております。
 今年度から、中小企業の知的財産の活用のニーズの高まりに対応するため、相談体制の充実を図っております。また、海外での著作権の登録に必要な経費への助成を開始いたしますほか、創業に必要な費用を補助する制度において、特許取得のコストも新たに対象としているところでございます。
 今後とも、中小企業の知的財産の活用等を積極的に支援してまいります。
 最後に、農業の持つ力の地域社会への還元についてでございますが、都市農業や農地は、農産物の生産に加え、環境や防災等の多面的機能を有しており、その機能を発揮し、地域住民の彩りのある生活に貢献することが期待されているところでございます。
 都は、今年度から開始をいたしますシニア向けセミナー農園事業において、高齢者が指導を受けながら、農業の体験や技術の習得に取り組む機会を提供いたしますとともに、地元自治体等と連携して収穫祭を開催するなど、地域の学校や住民との交流活動を実施する予定といたしております。
 また、今後、都市農地保全支援プロジェクトを活用した福祉農園や学童農園の整備を区市町に積極的に働きかけることにより、障害者の参加や子供の農業体験の場づくりを後押ししてまいります。
 こうした取り組みを通じて、農業の持つ力を地域コミュニティの活性化に生かしてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、高尾地区自然公園管理運営協議会についてでございますが、明治の森高尾国定公園とその周辺を対象に、管理運営協議会を昨年十一月に設置し、高尾・陣場地区自然公園管理運営計画案の策定や地域の活性化に取り組んでまいりました。
 管理運営計画案では、関係者の意見を取り入れながら、自然景観と調和した建物の色彩やドローン使用ルールなどを示したものでございまして、今後、パブコメ等も反映し、夏までに取りまとめを行ってまいります。
 また、活性化策としまして、協議会の提案や協力により、高尾山で初となる登山届ポスト設置や、地域の魅力をビジュアルで伝えるホームページの制作などを実施してまいりました。さらに、国定公園指定五十周年の機会を捉えた魅力的なイベントやシンポジウムの実施などを通じて、より一層高尾地区の盛り上げを図ってまいります。
 次に、レジ袋、プラスチックごみ対策についてでございます。
 商品を持ち帰るために一回だけ使用され、そのまま捨てられるレジ袋は、もったいない資源利用の代表でございます。
 都では、昨年十一月から、販売事業者、消費者団体、区市町村などとの意見交換の場を設け、レジ袋の無料配布ゼロに向けた取り組みについて議論を重ねております。先日開催いたしました環境国際会議におきましても、レジ袋を初めとするプラスチック対策が大きな話題になりました。
 今後は、さまざまな主体を巻き込んだ、チームもったいないの重要なテーマの一つとして、店舗へのマイバッグ持参の呼びかけなどを含めたレジ袋の削減キャンペーンを本年秋に展開するほか、区市町村との共同検討会なども通じて、プラスチック製容器包装などを使い捨てにしないライフスタイルへの転換を強く推進してまいります。
 次に、使用済み紙おむつのリサイクルについてでございます。
 持続可能な資源利用に向けましては、可能な限り3Rを推進し、廃棄物の最終処分量を減らしていく必要がございます。
 使用済み紙おむつにつきましては、汚物を含む廃棄物であるため、衛生管理の徹底が必要であり、現在、その多くが焼却処分されております。
 そうした中、全国の一部の市町村では、分別収集し、燃料等にリサイクルしている事例がございます。また、回収した紙おむつを滅菌処理した上でパルプ繊維に再生し、そこから再び紙おむつの原料としていく先駆的な実証実験も行われております。
 都としましては、こうした実証実験の結果等も踏まえながら、紙おむつの衛生的かつ効率的なリサイクルについて、区市町村とも意見交換をしてまいります。
 次に、都有施設のPCB含有機器の保管状況についてでございますが、平成二十九年度の保管状況の届け出により、高圧トランスは十六台、高圧コンデンサーは九十五台、照明用安定器は七万一千六百二十七個を把握してございます。
 次に、都有施設におけるPCBの全数調査についてでございますが、PCBの適正処理を徹底するには、PCBを含有する電気機器の所在を確実に把握する必要がございます。
 都はこれまで、全庁の連絡協議会を通じて、高圧受電施設について倉庫等に保管されたままのものがないかなど、確認を徹底してまいりました。
 さらに、今年度からは、低圧受電施設についても調査を拡大し、照明用安定器等のさらなる全数調査に向けた掘り起こしを行ってまいります。
 次に、民間事業者によるPCB調査についてでございますが、都はこれまで、高濃度PCBを保有している可能性のある事業者に対し、掘り起こしを目的とした全数調査を効率的に行うため、電気機器等に表示されているメーカーや製造年などの情報からPCB含有の有無を知るチェック方法を示してございます。
 今後とも、PCB含有の有無を知ることのできる効率的な方法について、事業者の声を聞きながら、さらに検討を進めてまいります。
 最後に、事業者に対するPCB処理促進の取り組みについてでございますが、都はこれまで、法に基づく毎年の届け出の機会を通じて期限内処理を促すとともに、中小企業等に対しましては、処分費用に対する国の補助制度に加え、都独自の収集運搬費用に対する補助を実施してございます。
 さらに、事業者の使用及び保管状況の公表につきましても、今年度からできるだけ前倒しするとともに、PCBの処理促進につながる民間ノウハウの活用方法についても新たに検討してまいります。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 都立病院におけます経営形態の検討についてでございますが、都立病院は、周産期医療や救急医療など、他の医療機関では対応困難な行政的医療に取り組み、その中核的な役割を果たしております。
 この役割を将来にわたり果たし続けるためには、一層の経営改善に取り組むとともに、病院事業を支える医療人材を柔軟に確保、活用するなど、都民、患者のニーズに迅速に対応できる病院運営が不可欠であります。
 そして、その実現のためには、都の医療政策の推進に都立病院が積極的に貢献できるよう、都による適切なガバナンスを行えること及び採算の確保が困難な行政的医療を安定的に提供するための財源を引き続き措置できることが重要であると認識しております。
 こうした観点に立ち、みずからの使命にかなう経営形態のあり方につきまして、引き続き丁寧に検討してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 工業用水道ユーザーに対する支援策についてでございますが、工業用水道の廃止に向けた動きを進めるに当たりましては、ユーザーの理解を得ることが何よりも重要でございます。
 こうした観点から、料金差額の支援期間の検討に当たりましては、ユーザーの声にしっかり耳を傾けながら、上水道への切りかえに伴い急激な負担増を招くことのないよう、多角的かつスピード感を持って進めていくことが重要でございます。
 今後とも、ユーザーに対して事業の方向性を丁寧に説明するとともに、寄せられた意見や要望も踏まえながら、関係各局と連携し、料金差額の支援期間を含め、きめ細かな支援策を検討してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 特殊詐欺対策についてでありますが、若者がアルバイトと称して暴力団等から受け子などに誘われる等して、検挙人員がふえており、若者を加害者にさせないための取り組みが重要と認識しております。
 このため、都は、中学校や高校において暴力団等が甘い言葉で受け子に勧誘する防犯公演を行うなど、若者が犯行に利用されないための啓発を実施しております。
 さらに、今年度は、犯罪の重大性や受け子などで捕まった場合の罪の重さ等を認識させるリーフレットを作成し、広く周知するとともに、勧誘された若者などが気軽に相談できる窓口、若ナビαを紹介し、広報、啓発の一層の強化を図ってまいります。
 今後とも、警視庁や学校、地域の方々等と連携し、若者を加害者にさせない取り組みに全力を尽くしてまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時三分休憩

   午後六時二十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十四番あぜ上三和子さん
〔百二十四番あぜ上三和子君登壇〕

○百二十四番(あぜ上三和子君) 質問に先立ち、大阪北部の地震で亡くなられた方に心からご冥福を申し上げますとともに、被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 それでは、日本共産党都議団を代表して質問をいたします。
 まず、市場移転の問題です。
 豊洲市場開場予定の十月十一日まで四カ月を切りました。また、知事が昨年六月二十日に基本方針を発表してから一年になります。知事の公約違反がますます明らかになり、移転計画の矛盾は深まっています。
 基本方針で知事は、築地は守ると明言しました。そして、市場としての機能を確保する、築地への復帰を希望する仲卸業者を支援すると表明しました。
 ところが、知事が設置した築地再開発検討会議が五月に発表した報告書、築地のまちづくりの大きな視点の中に市場機能や仲卸のことは全く示されていません。知事、公約違反ではありませんか。
 この報告書について、検討会議の近藤誠一座長は、記者に市場にも仲買にも言及がなかったと問われ、基本的方向性を示すにとどめた、それ以上踏み込むのは我々の役目ではないということで、ご指摘の点はあえて言及しなかったと答えています。
 知事は所信表明で、行政としての築地のまちづくりの方針を検討すると述べました。有識者の検討会議では、我々の役目ではないということで、あえて言及されなかった築地の市場機能、仲卸をどう守るのかの検討は、知事を初め東京都の役割です。知事はどう認識していますか。都の方針策定に今度こそ市場業者の参加を保障し、築地の市場機能を守る検討を行うことが必要です。知事、いかがですか。
 知事は、豊洲市場開場後すぐに築地市場を解体して、オリンピックの交通拠点になる駐車場をつくるとしています。しかし、解体工事で基礎ぐいを取り除く場合、土壌汚染対策工事が必要になるのではありませんか。解体工事で築地市場の基礎ぐいはどうするのですか。
 廃棄物処理法では、解体工事で建造物の基礎を撤去せず埋め込むことは、一部の例外を除いて認められていません。都も民間事業者に対し、撤去するよう指導しているのではありませんか。行政として法の趣旨をゆがめるような脱法的な対応はあってはならないことですが、いかがですか。
 知事が築地は守るというなら、そもそも歴史的建造物でもある築地市場のアーチの建物を解体することなど許されません。築地の市場機能と建物は一体のものです。築地を壊す計画の中止を厳しく求めるものです。
 千客万来施設について、五月三十日に万葉倶楽部の会長と知事の会談が開かれました。この会談に万葉倶楽部の社員、都の職員のほかに出席していた人はいますか。知事、事実をお答えください。
 豊洲市場の土壌汚染対策でも新たな問題が浮かび上がっています。豊洲市場用地は、外部との間で汚染物質が移動しないよう、各街区の周囲を遮水壁で囲んでいます。都は、プールのような状況であり、地下水の行き来はしないと答弁してきました。
 しかし、五街区と七街区海側の遮水壁の高さはAP四メートルしかないことが明らかになりました。地下水位が四メートルを超えていた時期に市場用地内の地下水が遮水壁の外に流出した可能性があるのではありませんか。知事、ないと断言できますか。
 築地女将さん会が行った築地市場の水産仲卸業者への築地市場の移転についてのアンケート調査の結果が発表されました。二百六十一人の市場業者が回答しています。移転計画について、今からでも中止すべきが三一%、もう一度凍結して話し合うが三九%、合わせて七〇%です。このまま進めてよいはわずか五%です。豊洲と築地どちらで商売をしたいかの問いには、当然築地が六一%、できれば築地が三二%、合わせて九三%に及びます。
 基本方針で知事は、築地ブランドを長い間必死の思いで育て守ってきた市場の方々に向き合っていくと述べました。そして、市場業者に寄り添った対応に努めてまいりますと答弁してきました。
 知事、アンケートの結果をどう受けとめますか。この声に向き合い、寄り添って、豊洲市場への移転を再検討すべきです。知事の答弁を求めます。
 次に、受動喫煙防止条例についてです。
 我が党は、条例案に基本的には賛成です。WHO、世界保健機関のたばこ規制枠組み条約は、第八条で受動喫煙防止対策を定め、ガイドラインで屋内全面禁煙の実現を締約国に求めています。
 世界では、イギリス、カナダ、ロシアなど五十五カ国が既に飲食店を含め屋内全面禁煙となっています。ところが、日本の受動喫煙防止対策は立ちおくれており、受動喫煙で年間一万五千人が亡くなっていると推計されています。
 知事は、受動喫煙による健康被害の深刻な実態と屋内全面禁煙の世界の流れをどう認識していますか。都としても屋内全面禁煙を目指す必要があると思いますが、いかがですか。
 屋内全面禁煙にすれば、経済、営業に影響はないという国際的な研究結果が示されていますが、知事はどう認識していますか。小規模のスナックやバーなどの飲食店を初め、事業者の方たちから不安の声が上がっています。条例案の第三条では、事業所を含む関係者との連携協力を都の責務としています。知事は連携協力をどのように進めるのですか。
 加熱式たばこは、健康への影響が明確でないといわれますが、ニコチンなど有害物質を出していることは事実です。規制を緩めるべきではないと思いますが、知事の見解を伺います。
 練馬区、北区、品川区を初め、禁煙を支援する取り組みが広がっています。都として禁煙外来受診助成を行う区市町村を支援することを求めますが、知事、いかがですか。
 児童虐待対策について伺います。
 目黒区で五歳の女の子が虐待を受けた末、亡くなった事件は、平仮名で書いた手紙とともに大きな衝撃を与えました。なぜ子供の命が救えなかったのか、繰り返さないために何をすべきなのかが問われています。知事は、今回の事件をどう受けとめていますか。
 都の児童福祉審議会検討部会での調査が始まり、香川県とともに調査し、検証を進めるとされています。知事はどのような調査、検証をいつまでに行い、今後の対策にどう生かすのですか。
 日本共産党都議団は、二〇一〇年に児童虐待ゼロの東京を目指す提言を発表しました。その後、児童福祉司、児童心理司の増員、一時保護所の拡充などが進み始めましたが、都の対策は問題の深刻さに追いついていません。
 今回の問題に限らず、都内では痛ましい児童虐待事件が相次いでいます。早期発見、早期対応の促進、相談支援体制の強化、社会的養護の拡充、子育て家庭の孤立と貧困の打開を初めとした予防対策などの総合的な対策を進めることが必要です。知事、いかがですか。
 児童相談所の数は、全国ではこの十八年間に三十六カ所ふえ、二百十カ所です。しかし、東京都は一九九八年に台東児童相談所を廃止し、現在十一カ所しかありません。
 都が児童福祉司、児童心理司など、この三年間で百十九人ふやしたことは重要です。しかし、児童虐待の相談件数は増員を超える勢いでふえており、児童福祉司一人当たりの相談件数は、二〇〇六年度の十九件が二〇一六年度は五十六件となっています。児童福祉司の経験年数も少なく、三年以下が六割近くを占めています。
 児童虐待の相談は深刻で、困難なケースや命にかかわる事例が多いため、十分な人数とともに、より高い専門性や経験が求められています。
 児童相談所の体制強化、児童福祉司、児童心理司の増員と専門性の確保への知事の認識と対応を伺います。
 児童福祉司の配置人数の基準は、人口四万人に一人を基本とし、虐待相談対応件数に応じて上乗せを行うこととなり、来年度から本格実施されます。この基準での東京の必要人数は何人ですか。基準を満たすためにどう取り組むのですか。
 待機児童対策は、引き続き重要課題です。都内の待機児童数の速報値は、昨年に比べ全体で三千百人減少し、総数は五千五百人を下回る見込みと発表されました。
 知事は会見で、各区市町村が認可保育所を初めとする保育サービスの拡大を進めてきていることが待機児童の大幅な減少につながったと述べました。所信表明でも、都内の認可保育所は約二百五十カ所増加しており、成果につながったと発言しました。私も同感です。
 待機児童ゼロに向け、認可保育園の増設をさらに重視して進めることが大事だと思いますが、知事、いかがですか。
 日本共産党都議団が行った調査では、育児休業中や認可外の保育所に入っている場合などの隠れ待機児童を合わせると、待機児童数は五十区市町村で二万二百二十四人に上ります。
 待機児童にカウントされていない、いわゆる隠れ待機児童を含めて、解消に向けた取り組みが必要です。知事、いかがですか。
 区市町村の国民健康保険には、都民の四人に一人が加入しています。定年退職すると、ほとんどの人が国保に入ります。加入者の多くは非正規労働者、中小零細業者、年金生活の高齢者です。
 四月から始まった国保の都道府県化に保険者となった東京都がどう対応するかは、都民の暮らしを守る立場に立つかどうかが問われるものでした。
 ところが、都は負担軽減に背を向けたばかりか、東京の国保料は全国に比べて低いなどと答弁しました。そして、知事は、区市町村が保険料を抑えるために行っている一般会計からの繰り入れをなくしていくよう求めることを基本方針としました。この方針により、都内自治体では、国保料、国保税の値上げ計画が相次いでいます。今でも高い保険料がもっと上がるのか、これから毎年値上げされるのかという都民の不安が広がっています。
 所得の低い人に重い負担となる均等割保険料は、特別区では、一九九九年度は一人当たり二万六千百円で、ほかの政令市に比べ平均程度でした。ところが、毎年のように上がって、今年度は五万一千円です。政令市二十市の中で特別区の均等割より高いのは名古屋市だけです。
 この期間にこんなに大幅に値上げされたものがほかにあるでしょうか。しかも、命にかかわる健康保険の負担です。一人当たり国保料で見ても、東京都は九万九千六百九十三円で、全国平均を大きく超えています。
 知事、このように大幅値上げが続く都内の国保料、国保税の都民の負担感をどう認識しているのですか。知事の基本方針がさらなる負担増につながることに胸が痛みませんか。
 全国の約五割の自治体は、都道府県化が始まったばかりの今年度は値上げせず、保険料を据え置いたり引き下げています。また、幾つもの自治体で子供の均等割の減免が始まっています。
 仙台市は、ことし四月から子供の均等割を三割減額しました。都内でも、東大和市や昭島市に続いて清瀬市が、一定の要件のもとで第二子以降最大五割の均等割減額を行っています。せめて負担能力のない子供に係る均等割保険料の負担を軽くするための財政支援を行うことを求めます。知事、いかがですか。
 超高齢社会を迎えるもとで、高齢者福祉の充実は急務です。知事は所信表明で、高齢者の方々が社会参加を続ける支援を行うと述べましたが、具体的にどう取り組むのですか。
 江東区議会では、シルバーパスの所得に応じた段階的な費用負担などを示し、制度の改善を求める意見書が採択されました。都民の要望が強く、市長会なども改善、拡充を求めている中で、今年度シルバーパスの調査費用が二千三百万円計上されました。どのような調査をいつまでに行うのですか。
 特別養護老人ホームの整備を進めるためには、都有地とともに国有地の活用が求められます。しかし、江東区でも、格好の国有地があったにもかかわらず、区が土地購入費を出せずに民間に売却されました。都内各地で同様の問題に直面していることをどう認識していますか。
 国有地を借りた場合の借地料補助の拡充、あるいは都が購入するなど、新しい施策の実施を初め、特養ホームなど福祉インフラ整備への国有地活用を促進する対策の検討を求めるものです。いかがですか。
 障害者差別解消条例を提案した東京都として、旧優生保護法に基づく強制不妊手術の問題は避けて通れません。
 知事は、人権侵害であったという認識を示し、調査すると明言しました。その後、都の新たな資料が見つかり、五百二十九件の強制不妊手術が確認されています。知事は今後、この問題にどう対応するのですか。
 引き続き行うとしている病院等への調査に加え、独自の調査を行っている障害者団体などへのヒアリングを含め、さらなる調査が必要です。知事の見解を伺います。
 北海道や鳥取県は、国に救済措置を行うよう要請しています。東京都も国に要請すべきですが、知事、いかがですか。
 性教育について質問します。
 足立区立中学校の三年生の総合学習の授業について、自民党都議の質問を受け、都教委は、性交、避妊など、学習指導要領を超えた内容に課題があり、指導すると答弁しました。このことに、教育への不当な介入だ、性についての正しい知識は子供に必要だと、抗議と批判の声が広がっています。
 東京の十代の人工妊娠中絶が毎年千人前後という実態もある中で、足立区の中学校の性教育を支持する声が圧倒的多数です。
 秋田県は、医師会の協力で性教育講座を全ての中学、高校で行い、妊娠、出産や避妊、性感染症について学んでいます。その結果、かつて全国平均以上だった十代の人工妊娠中絶の件数が三分の一に減少し、全国平均以下になる効果を上げています。
 知事は、子供たちが科学的な性知識を学ぶ性教育の必要性についてどのように認識していますか。
 四月の都教委の定例会で、教育庁指導部は、性教育について、学習指導要領を超える内容を指導する場合は、保護者の理解、了解を得た生徒を対象に個別指導することなどが考えられるとする方針を示し、全区市町村教育委員会と都立学校に周知していくと報告しました。
 この方針に、教育長を除く委員五人が、足立区の中学校を否定するべきではない、性についての正確な情報が子供を守る、柔軟に対応してほしい、現場の先生が萎縮せず積極的にやってほしいという見解を表明したことを教育長はどのように受けとめていますか。
 今回の中学校の授業は、都教委による指導の対象とすべきものではないと考えますが、いかがですか。
 そもそも学習指導要領の総則には、学習内容について指導要領の範囲を超えて教えることもできると書かれています。学習指導要領を超える内容は個別指導などという都教委独自の見解を学校に押しつけるべきではないと思いますが、いかがですか。
 足立区で中学校と一緒に性教育に取り組んできた田代美江子教授は、学校というフォーマルな場で、みんなで性について学び、考え、表現し合い、意見交換することが性をポジティブに捉えることにつながると述べています。学校で授業を受けた生徒は、今まで間違っていた知識や知らないことがいっぱいあった、これから先の役に立つから知ってよかったと前向きに受けとめています。
 現在進めている性教育の手引の改定に当たっては、学校現場の意見をよく聞き、科学的な性教育ができるようにすることや、LGBTなど多様な性について学べるようにすることなどが求められていますが、いかがですか。
 改定した手引が現場の実践などを萎縮させるようなことにならないよう、強く求めておくものです。
 次に、中小企業振興条例です。
 我が党は、二〇〇八年に中小企業振興条例を提案し、一貫して条例制定を求めてきました。昨年十二月、ことし三月の代表質問でも知事に検討を求めました。
 私は、長野県の中小企業振興条例について現地で話を聞いてきましたが、条例は中小企業の経営者から歓迎され、効果を上げています。
 知事が所信表明で、中小企業振興の揺るぎなき理念や方向性を明確にする条例の策定を目指し、検討を進めてまいりますと述べたことは大変重要です。中小企業、小規模企業の経営者や労働者から期待の声が上がっています。条例制定への思い、決意、そして今後どう取り組むのか、知事の答弁を求めます。
 次に、日本スポーツ協会、旧日本体育協会、日体協の本部ビルである岸記念体育会館の移転をめぐる問題について質問します。
 我が党の調査により、都は、移転計画が公然化するはるか以前から、森喜朗元首相や萩生田光一自民党幹事長代行、前都議である内田茂氏など、自民党の政治家と継続的に面会を繰り返し、その意向を確認していたことが明らかとなりました。
 我が党が情報公開で入手した資料によって、二〇一五年三月四日付で岸記念体育会館の敷地が五輪のために必要だという文書が都市整備局によってつくられていたこと、それを受け、三月三十日には、財務、都市整備、建設の三局で会館の敷地を五輪前までに公園として整備するとした文書がつくられたことが確認できました。五輪の組織委員会から都に会館の敷地を活用する検討を正式に求められる何カ月も前のことです。
 ところが、五輪の所管局であるオリンピック・パラリンピック準備局は、いずれの文書もことし一月に初めて存在を知ったとしています。
 会館の敷地を購入する理由は、五輪のために必要だとしながら、オリ・パラ準備局の頭越しに、都市整備局が中心になって、五輪の組織委員会から正式な要請が出される前に購入計画が決められていたのです。
 五輪のために必要というのは後からつけた理由であり、会館の敷地を購入する狙いは別にあったといわざるを得ません。知事、岸記念体育会館の敷地の購入を決定する経緯について疑問を感じませんか。
 二〇一二年七月三日、衆議院第二議員会館三〇二号室、森元首相控室で行われた都と森元首相の新たな面会記録が情報公開で開示されました。その面会記録には、岸も、すなわち岸記念体育会館の土地も、都に買ってもらうとすっきりしていい、僕はそういう意見だと森元首相の発言が記録されています。この発言は事実ですね。
 そして、結果的に、森元首相の意向どおりに会館の敷地を都民の税金九十四億円で買い取ることになりました。知事は、岸記念体育会館の敷地購入に森元首相の影響が一切ないといい切れますか。
 都は、都民や議会に情報開示する場合も黒塗りにする資料を、森元首相を初め萩生田氏や内田氏など、当時議員でもない一部の自民党政治家に示して意向を確認していました。
 しかも、都市整備局は、都の政策実現のためには、都民や議会に公表する前に必要な方に協力を求めるのは当然だと開き直っています。
 知事は、都知事選挙で、都議会のドンや一握りの幹部による都政運営を改め、都民のための東京大改革を進めますと宣言しました。岸記念体育会館移転や神宮外苑のまちづくりを進める、特定の政党や政治家のみと水面下で事を進める都政運営こそ東京大改革の対象であり、改革のメスを入れるべきではありませんか。
 次に、都市計画道路の見直しについてです。
 三月の代表質問で、我が党が都市計画道路の踏み込んだ見直しを求めたことに対し、知事は、区市町とともに幅広く検討を行っており、さらなる見直しを進めると答弁いたしました。
 都内の都市計画道路には、既に十分な車道と歩道が確保されているものや、構造的に整備困難なもの、宅地や商店街など市街地化が進んでいる、あるいは、すぐそばに代替道路が存在する、また住民合意がない、巨額の費用がかかるなど、見直すべきものが多く残されています。知事は、さらなる見直しを、どんな視点で、どのように進めるのですか。
 外かく環状道路について、国や都、高速道路会社、NEXCOは、少なくとも二〇二〇年までの開通は困難だと判断しました。NEXCOは記者会見で、開通時期のおくれの理由は、工事の難しさに尽きると説明しています。
 連絡調整会議の中でも、外環の本線トンネルと地上部が合流する部分の工事は、大規模かつ複雑な工程やステップを伴う高度な技術が必要な工事なので、施工などには相当の期間を要する見込みだとされています。
 外環道工事の技術的裏づけについて、知事はどう認識していますか。確かな裏づけがあるといえるのですか。
 既に本線トンネルと地上部との合流部分の構造変更などで事業費は当初見込みから三千億円も増加し、一兆六千億円に膨らんでいます。外環道は難工事のため、この先さらに膨らむことが予想されます。
 知事、総額幾らかかるか把握しているのですか。事業費が幾らふえても、外環道事業を進めるというのですか。
 東名高速の入り口から外環道本線のシールドマシンを、ことしの夏以降、本格稼働させると公表したことは重大です。その点で、昨年の福岡市の地下鉄工事事故は、深刻な問題を投げかけています。事前に工事の安全管理の基準を定めていましたが、基準値を超え、地下水が大量に流出する事態になり、あっという間に陥没が発生したのです。
 地上に住宅が建ち並ぶ外環道の工事で同様の事態が起きたら避難できるのか、住民の不安が高まるのは当然のことです。
 ところが、外環トンネル工事の検討委員会が示した考え方では、万が一への備えは、トンネル内に土砂が大量流入したら、緊急時として住民に通報するというだけです。異常を事前に把握し、対策をとるための管理基準は、あるかどうかさえ公表されず、住民の避難計画もつくられていません。
 これでは都民の安全・安心は確保できません。本格的に掘り進めることなど到底認められないと、国やNEXCOに申し入れるべきです。知事、いかがですか。
 外環道事業は、事業費の増大、工事の困難性、談合疑惑、そして住民の安全の保障がないことなど、問題が山積みです。地上部の外環ノ2の道路計画とともに、抜本的な再検討を強く求めるものです。
 最後に、横田基地へのオスプレイ配備計画についてです。
 CV22オスプレイが、東京都にも横田基地周辺自治体にも情報を隠したまま、突然の前倒しで、ことし夏までに五機、今後十機まで配備すると発表されたことは重大な問題です。
 オスプレイは、さまざまな問題点を抱えた欠陥機です。重大事故、トラブルは後を絶たず、先日も横田基地に飛来したオスプレイが奄美空港に緊急着陸しました。日米両政府は、構造上問題ない、安全な機体だと繰り返しますが、それを裏づける客観的なデータは示されていません。
 都と横田基地周辺五市一町で構成する連絡協議会が国と米軍に対して行った要請では、CV22オスプレイについて、国内外での事故や緊急着陸が続き、安全性への懸念が拭えない状況と、踏み込んだ認識を示しました。知事も、安全性への懸念が拭えない状況だという認識を持っていますか。
 オスプレイが配備されれば、取り返しのつかない深刻な大惨事を招きかねません。住民の命と安全を脅かすCV22オスプレイ配備の計画を撤回せよと国と米軍に強く迫るべきです。知事、いかがですか。
 CV22オスプレイの配備前倒しについて、日本政府は、米軍の公表を控えてほしいとの依頼を受け入れ、公表をオスプレイが日本に到着する日までおくらせてきました。先月、横田基地に飛来したときも同様の措置をとり、都や基地周辺自治体に連絡をしたのは当日になってからでした。
 都を初め周辺自治体が、迅速かつ正確な情報提供を再三求めているにもかかわらず、米軍の要請いいなりに日本政府が情報を隠したことについて、都は抗議をすべきです。知事の見解を求めます。
 アメリカ本国で、米軍がCV22オスプレイの夜間低空飛行訓練を計画したときは、地元で十数回の説明会を開き、住民などから、騒音や大気汚染をもたらす、野生動物や家畜に深刻な影響を与える、平和で静かな環境がだめになるなど、強い反対の声が出されると、計画はストップしたままになっています。
 米軍や日本政府に対し、オスプレイの配備や訓練の計画について、米本国並みに地元住民に説明し、住民の意見を尊重するよう求めるべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
 この間、南北首脳会談、そして米朝首脳会談が相次いで開かれ、朝鮮半島の非核化、平和体制の構築実現に向けたプロセスが開始されました。都としても、こうした平和の動きを前に動かす努力こそ求められていることを指摘し、再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あぜ上三和子議員の代表質問にお答えいたします。
 築地まちづくりの大きな視点についてのご質問がございました。
 築地のポテンシャルを生かし、魅力と付加価値を高め、東京の持続的な成長につなげていくため、築地再開発の検討の第一歩として検討会議を設置いたしました。
 その役割は、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みを提供していただくことでございまして、大きな鳥の目で、基本的な方向性や考え方についてご提言をいただいたところでございます。
 築地再開発について、同じく行政としてのまちづくりの方針につきましては、庁内横断的な検討体制を立ち上げたところでございまして、築地再開発検討会議の築地まちづくりの大きな視点を踏まえまして、検討してまいります。
 また、築地ブランドの継承、発展のためには、市場で働く事業者の方々が希望を持って事業を営める環境を整えることが何よりも大切でございます。まずは豊洲市場への移転を円滑に行い、早期に事業が軌道に乗るように取り組んでまいります。
 また、仲卸業者の要望など踏まえながら検討してまいります。
 豊洲市場用地の地下水についてのご質問がございました。
 まず、豊洲市場用地では、土壌汚染対策法に基づく対策が的確に講じられておりまして、これまで実施したさまざまな測定結果からも、法的、科学的な安全性は確保されているということが専門家会議で確認をされております。
 また、これまでの地下水位の測定結果から、一部の観測井戸におきまして、海側の遮水壁の高さを超える水位となりましたことは、一時的かつ局所的なものと認識をいたしております。
 地下水位は現在、平均でAPプラス二メートル以下まで低下をいたしておりまして、また、都におきましては、専門家会議の提言に基づいて地下水管理システムの機能強化を図っているところでございます。
 今後も、地下水管理、適切に行ってまいります。
 市場業者の声についてでございますが、豊洲市場への移転は築地市場の老朽化、狭隘化、衛生面での課題などを踏まえて行うものでございまして、こうした都の考え方などにつきましては、これまでも新市場建設協議会において説明をしてきたところでございます。
 市場業者の中に、移転についてさまざまな思いを抱いておられること、このことについては承知をいたしております。都としても、経営支援など多様な相談体制を整えまして、市場業者に寄り添った取り組みを行っているところでございます。
 また、都といたしましては、築地ブランドを受け継いで発展させるため、まずは豊洲市場への移転を円滑に行い、そして、市場業者の事業が早期に軌道に乗ること、このことに取り組んでまいります。
 その上で、業界の方々と連携協力をいたしながら、豊洲市場を日本の中核市場として育て上げて、新たな豊洲ブランドの確立を目指していく所存でございます。
 受動喫煙防止対策についてのご質問がございました。
 受動喫煙によります年間の死亡者数は、推定一万五千人、受動喫煙のある人は、ない人に比べますと、肺がんになるリスク、それは約一・三倍といわれております。また、ぜんそくや、乳幼児突然死症候群等子供に対する健康影響も指摘されているところでございます。
 スモークフリーへの取り組みは、もはや世界的な潮流でありまして、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市におきましては、法律や条例で罰則を伴う受動喫煙防止対策を講じているところでございます。
 こうしたことを踏まえますと、今回、健康影響を受けやすい子供を守る、みずから受動喫煙を防ぎにくい立場にある従業員を守るという人に着目をいたしました二つの対策を柱とした条例を提案いたしております。
 この条例は、現在、国会で審議をされております健康増進法改正案のいわゆる上乗せ、横出しを行うものでございまして、法的な実効性を確保するためには整合を図ることが必要ということから、多数の者が利用する施設におきまして、原則屋内禁煙としたものでございます。
 そして、屋内全面禁煙の営業等への影響についてのご質問でございます。
 WHOの国際がん研究機関、IARCの研究におきましては、レストラン、バーを法律で全面禁煙にしても減収なしと報告がございます。
 この研究は、飲食店への影響に関する既存調査のうち、公的な報告に基づくものであって、かつ、適切な統計手法により分析をしているものという観点で精査した調査を分析したもので、信頼性の高い研究であるとの認識をいたしております。
 関係者との連携協力についてでございますが、条例の施行に当たりましては、都民、施設管理者等の不安を解消いたしまして、ご理解、ご協力いただくことが必要でございます。
 そのため、都といたしまして、広報誌やSNSなどを活用いたしまして、条例の趣旨や目的についての普及啓発に努めてまいります。
 また、事業者に対しましては、飲食店におけます取り組み事例を紹介します研修会を開催するとともに、区市町村に対しましても、さまざまな機会を捉えまして、条例に関する業務や支援策などにつきまして丁寧な説明を行うなど、受動喫煙防止の取り組みへの理解と協力を求めてまいります。
 加熱式たばこの規制についてのご質問でございました。
 加熱式たばこは、その主流煙に健康に悪影響を与えるニコチンや発がん性物質が含まれていることは科学的に明らかでございます。ただ、現時点では、受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難といわれております。
 そのため、加熱式たばこにつきましては、健康影響が明らかになるまでの間、健康増進法改正案と同様の取り扱いとすることといたしたわけでございます。
 現在、国は、加熱式たばこによります受動喫煙の健康影響に関します研究を進めておりまして、都は、今後の研究結果を踏まえて、必要な措置を講じてまいります。
 禁煙支援の取り組みについてのご質問でございます。
 お話のありましたように、現在、都内では七つの区において──聞こえますか。はい。七つの区におきまして、禁煙を希望する方に対して、禁煙外来の医療費等への助成を行っております。
 条例の制定を機に、今後、都といたしまして、こうした区市町村の取り組みを支援する考えでございます。
 ことし三月に起きました虐待案件の受けとめと検証について、次にご質問をいただきました。
 ことし三月に五才の幼い女の子が必死に書いたであろう言葉を残して亡くなった、あの事案でございますが、私自身も何とかできなかったのかという、その思いでいっぱいでございます。
 今回の事案では、転居時の自治体間での情報共有のあり方、家庭訪問に拒否的な保護者へのかかわり方などについて、児童相談所の対応に課題があったと認識をいたしております。
 都は、五月から児童福祉審議会の部会によります検証を開始しておりまして、香川県と連携して検証を行ってまいります。
 今後、ヒアリング結果を共有しながら、被害児童の転居前後の引き継ぎ状況、そして一連の過程などにつきまして、できるだけ速やかに検証を進めて結果を取りまとめてまいる所存でございます。
 そして、その児童虐待防止の取り組みについてでございますが、虐待を未然に防止するためには、関係機関が連携しながら、援助や見守りが必要な家庭を早期に発見して、適切な支援につなげていくことは重要でございます。
 そのため、区市町村では、乳幼児健康診査などを通じまして、関係機関が情報共有を図りながら必要な支援につなげております。
 都におきましても、子育て広場の設置や子供の一時預かり、地域における子供食堂の運営など、子育て家庭を支援するための区市町村の取り組みなどを支援いたしております。また、養育家庭や児童養護施設などへの都独自の支援を行っております。
 引き続き、こうした取り組みを進めるとともに、今後、全庁横断的なプロジェクトチームを立ち上げまして、各局が連携して総合的な対策を進めてまいります。
 そして、児童虐待への対応力の強化についてでございます。
 都はこれまで、深刻化する児童虐待に的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員を初め、虐待対策班の設置、人材育成等を担う専門課長や、児童福祉司などのOBの配置など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
 今後、児童福祉司、児童心理司などの増員や研修の充実による専門性の確保など、児童相談所のさらなる体制強化を図っていく方針でございます。
 また、待機児童対策についてのご質問でございます。
 都は、二〇一九年度末までに待機児童を解消することを目標に掲げまして、保育所等の整備促進、人材の確保、定着、利用者支援の充実、この三つを柱といたしまして、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 その結果といたしまして、本年四月一日現在の都内の待機児童数は、昨年に比べまして全体で約三千百名減っております。区部にいたしますと約四割、市町村部で約三割減少して、五千五百名を下回る見込みとなっております。
 保育サービスは、保育の実施主体であります区市町村が、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育などなど、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 都は、今後とも、待機児童の解消に向けまして、認可保育所を初めとする多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
 そして、待機児童の解消に向けました取り組みについてのご質問でございますが、ただいま申し上げましたとおり、保育サービスは、保育の実施主体であります区市町村が地域のさまざまな保育資源を活用して整備をするもの。ですから、今後とも、二〇一九年度末までの三年間で保育サービスを六万人拡充し、待機児童を解消するという目標の達成に向けまして、区市町村としっかり連携しながら保育サービスの整備を進めてまいります。
 国民健康保険の保険料についてのご質問がございました。
 国民健康保険は、相互扶助の考えに立った社会保険制度でございます。そして、その財源は、保険料が二分の一、公費が二分の一を基本としているわけでございます。
 その保険料、保険税の賦課方式、そしてその料率は、各区市町村がみずから定めるものでございまして、それぞれの議会で十分な審議が行われ決定されているものと、このように認識をいたしております。
 そして、ご質問の子供の均等割保険料についてでございますが、国民健康保険は、法に基づく全国統一の制度、そして、その制度上の課題につきましては、制度設計者である国が責任を持ってまず対応すべきものでございます。
 都は、全国知事会を通じまして、子育て支援の観点から、子供に係る均等割保険料を軽減する制度を設けるように国に対して要望をしております。
 高齢者の社会参加の支援についてのご質問がございました。
 人生百年時代を迎えようとする中で、高齢者の方々が希望や意欲に応じて社会参加を続けられる環境の整備は必要でございます。
 都はこれまで、東京都高齢者保健福祉計画の重点分野の中に高齢者の社会参加の促進を位置づけまして、その施策を展開してまいりました。この取り組みをさらに進めるため、今般、高齢者の活躍促進を戦略的政策課題の一つに位置づけております。
 今後、局横断的なプロジェクトチームにおきまして、支援のあり方について検討、そして、就労や学びなど高齢者の社会参加を支援してまいります。
 旧優生保護法につきまして、今後の対応、さらなる調査、国への要請、この三点のご質問がございましたので、あわせてご答弁させていただきます。
 まず、都は本年三月から、都内の全ての病院、診療所、障害者支援施設など、約二千二百カ所を対象といたしまして、独自に調査を行いました。そして、関連する記録の保管状況について報告をいただくとともに、現存する記録がある場合は、あわせて保全要請をいたしたところでございます。
 現段階では、十二カ所から記録を保管しているとの報告を受けております。そして、詳細について改めて確認を行っているところでございます。
 また、障害者団体とは日ごろより意見交換を行っておりまして、そうした場を通じましてご意見を伺いたい、このように考えております。
 国からは、六月までに各都道府県が保管する資料や記録に関しまして報告するような依頼が来ております。
 さらに、現在、超党派の議員連盟におきましては、謝罪や補償を前提として、法案作成のためのプロジェクトチームを発足させて、来年の通常国会で議員立法での成立を目指す、このようにされております。
 この問題は、過去の法律に基づくものでございます。今後どのように対応していくのかにつきましては、国として早期に大きな方針を示すように、全国知事会を通じまして要請をしていきたいと考えております。
 性教育の必要性についてのご質問がございました。
 学校における性教育は、子供たちの人格の完成を目指す教育の一環でございます。そして、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、子供たちが性に関する正しい知識を身につけて、適切な行動を選択できるよう指導していくことが大切でございます。
 性教育の具体的な取り組みに当たりましては、性情報の氾濫などの実情を踏まえる一方で、保護者の間にもさまざまな考えがあることなどにも配慮していく必要があると考えております。
 教育委員会や学校関係者におきましては、社会状況や子供の実情に応じた適切かつ丁寧な取り組みを行って、子供たちの健やかな成長を実現していってもらいたいと考えております。
 続いて、中小企業の振興に関する条例についてのご質問でございます。
 都内の企業数の九九%を占める中小企業であります。東京の経済、雇用を支え、これからの産業の発展に欠かせない貴重な存在でございます。
 中小企業を取り巻く環境は急速に変化をしておりまして、経済のグローバル化やIT技術等の進展によって、産業構造の大きな転換も予想されているところでございます。
 さらに、東京二〇二〇大会後の二〇二五年をピークといたしまして、東京の人口は減少することが見込まれており、今後の働き手の不足というのは大きな課題でございます。
 こうした変化に的確に対応するために、昨年度立ち上げました有識者会議におきましては、中小企業の業界や働き手の実情に詳しい団体、そして、経営者の方、研究者の方を交えまして議論を行っております。この会議の議論に基づいて、中小企業への支援を計画的に進めるための新たなビジョンを策定するとともに、その理念と方向性を揺るぎない形で示す条例の制定も目指すことといたしております。
 引き続き、有識者会議での議論を重ねながら、ビジョンの取りまとめと条例の制定に向けました検討を進めて、中小企業の一層の発展に結びつけていく所存でございます。
 岸記念体育会館敷地の購入の経緯についてのご質問がございました。
 代々木の岸記念体育会館の敷地は、昭和三十二年に都市計画公園として都市計画決定をされておりまして、いずれは公園として整備される土地であったわけでございます。
 また、東京二〇二〇大会の競技会場となる国立代々木競技場に隣接しておりますことから、組織委員会との事前のやりとりなども踏まえまして、大会運営用地として適地であると考えられていたものでございます。
 そのような状況などを踏まえまして、都といたしまして、会館敷地を含む街区を大会運営に活用できるように、早期に事業化を図るため、優先整備区域に指定したと、このように聞いております。
 こうした経緯につきましては、法律の専門家などを含めての検証を行っておりまして、手続等に法令違反やその疑いは認められておりません。適切なものであったとの認識がございます。
 東京大改革についてのご指摘がございました。
 ご指摘のように、私は知事就任以来、都民に開かれた都政を展開すべく、東京大改革を進めてきたところでございます。
 例えば、都民の皆さんが都政の情報をより入手しやすくなるように、公文書の閲覧手数料の廃止や公金支出情報の公開などを既に実現いたしております。
 また、都民からの事業提案制度のように、都民が都政に参画できる試みも実施をしてきたところでございまして、これまでの改革の取り組みによって、職員にも改革マインドが着実に根づいてきているということを痛感いたします。
 また引き続き、東京大改革を推し進めながら、職員とともに、都民に開かれた都政の展開と都民のための政策実現に邁進していく所存でございます。
 都市計画道路の見直しについてのご質問がございました。
 都市計画道路は、交通、物流機能の向上によります経済の活性化のみならず、日々の生活を支えて、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
 これまで都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるために事業化計画を策定いたしまして、あわせて見直しも適宜行ってきております。
 加えまして、現在、区市町とともに、優先的に整備すべき路線を除く未着手の都市計画道路のあり方につきまして、幅広く検討を行っております。
 この検討では、既に必要な交通機能等が確保された道路の拡幅や立体交差計画の必要性など、検証の視点について整理を進めておりまして、来月にはその内容を中間のまとめとして公表して、パブリックコメントを行ってまいります。これを踏まえまして、個々の路線を対象とした検証を実施して、今年度末を目途に計画変更等の方針を示してまいります。
 今後とも、見直すべきものは大胆に見直す一方で、地元の理解を得ながら、必要な都市計画道路を精査した上で、整備を着実に進めてまいります。
 外環についてのご質問がございました。
 国及び高速道路会社が整備を進める外環は、経済の血液ともいうべき人と物の流れをスムーズにして国際競争力の強化を図るとともに、首都直下地震など災害時の避難、救急活動のルートを確保するなど、極めて重要な道路でございます。
 外環の関越─東名間の事業費は、約一兆六千億円となっておりますが、時間短縮などの直接便益だけでも投資額を大きく上回っており、さらに環境改善や地域の安全性向上などの効果が期待されているところでございます。
 国は、さまざまな分野の専門家を委員といたします事業評価監視委員会にて、三年に一度、公共事業の再評価を行っており、外環につきましても、平成二十八年五月に事業の進捗状況を踏まえたコスト、そして整備効果を検証した上で、事業の継続を決定いたしております。
 都といたしましては、引き続き、コスト縮減など効率的な事業の実施に配慮しつつ、外環の一日も早い開通を国に求めるとともに、国から受託している用地の取得を推進するなど積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、オスプレイの安全性についてのご質問がございました。
 安全保障に関すること、これはいうまでもなく国の専管事項でございます。オスプレイを含む米軍機の安全確保は、国が責任を持って行うべきことでございます。
 米軍機につきましては、事故や緊急着陸が発生しており、安全対策の徹底は必要であると考えております。私の考えは、都と五市一町で構成する協議会が行った要請と同じとお考えいただきたく存じます。
 都はこれまでも、地元自治体とともに、米軍機の運用につきましては、安全対策の徹底を国と米軍に対して要請いたしております。
 国は、横田基地へのオスプレイ配備に当たりまして、米側に対して、安全面に最大限の配慮をすることや、地元に与える影響を最小限にとどめることなどを求めていくことといたしております。
 今後も、都民の命、安全・安心を守る立場から、国、そして米軍に対しまして、必要なことを申し入れてまいる所存でございます。
 また、オスプレイの横田基地配備についてでございますが、先日、米朝首脳会談が開催されました。アジア太平洋地域の安全保障環境、そうはいっても依然、不透明でございます。そうした中で、日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしておりまして、横田基地もその一翼を担っていると認識をいたしております。
 米軍基地につきましては、国の安全と周辺地域の安全、この両方を考える必要がございます。安全保障に関することは国の専管事項ではございますが、米軍の運用に当たりましては、周辺住民の生活に最大限の配慮が払われなくてはならないと考えます。
 都はこれまでも、地元自治体とともに、米軍の運用につきましては、安全対策の徹底や環境への配慮などを要請いたしておりまして、オスプレイの横田基地への配備につきましても、今月四日、夜間の訓練を行わないことや、進入、出発の際には既存の飛行経路を使用することなど、具体的な要請を行ったところでございます。
 今後も、国や米軍に対しましては、必要な働きかけを行ってまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 性教育に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、性教育に関する見解についてでございますが、学校における性教育は、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、性情報の氾濫等の実情を踏まえ、児童生徒等の状況に応じ、保護者の理解を得ながら、個別やグループ等での対応を行うことも必要であると考えております。
 こうした考え方については、本年四月二十六日開催の教育委員会定例会で、各教育委員のさまざまな発言を経た上で、全ての教育委員の了承が得られたものであり、足立区教育委員会に対しても、これらに基づき丁寧に対応してきております。
 次に、都教育委員会による指導についてでありますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十八条において、都道府県教育委員会は市町村に対し、都道府県または市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言または援助を行うことができるとされております。
 今回の足立区の事案については、学習指導要領の内容を超える部分があるため、事前に保護者に具体的な説明を行い、理解、了解を得るなど丁寧な取り組みが必要であったと考えられますが、十分に行われていなかったことに課題があったと捉えております。
 次に、学習指導要領を超える内容の指導についてでありますが、文部科学省の中学校保健教育の手引きでは、性に関する指導の留意点として、学校全体で共通理解を図ることや、家庭、地域との連携を推進することなどに配慮するとともに、子供たちの心身の成長発達には個人差があることから、全てを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にし、それらを関連させて指導することが重要であると示されております。
 都教育委員会は、この手引の内容を踏まえるとともに、保護者等の考え方もさまざまであるといった実態等に鑑み、学習指導要領を超える内容を指導する場合は、児童生徒等の状況に応じ、保護者の理解を得ながら、個別やグループ等での対応を行うことが必要であると考えております。
 最後に、性教育の手引の改定についてでありますが、都教育委員会は、昨年度から、手引の改定に当たって作成委員会を設置しており、その委員には、学識経験者、医師等の外部有識者のほかに、公立学校長、保健体育科の教諭や養護教諭など学校の代表者も多数含まれております。
 また、SNSに起因する性被害や性同一性障害、性的指向、性自認への配慮等、性教育を進める上での今日的課題についても、作成委員会の中で議論しております。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、外環の工事における技術的な検討についてでございますが、国及び高速道路会社が事業を進めます外環は、大深度における高度な技術を要する事業でございまして、学識経験者等で構成する東京外環トンネル施工等検討委員会におきまして、本線とランプを結ぶ地中拡幅部も含め、トンネルの構造や施工技術等につきまして、検討が行われております。
 今後とも、国など事業者は、本委員会の検討を踏まえまして、安全を最優先に工事を進めていくものと考えてございます。
 次に、外環の工事における安全・安心の取り組みについてでございますが、外環本線のトンネル工事につきましては、これまでも、専門家の知見を踏まえまして、十分な安全対策が検討されてきたところでございます。
 今後の本格的な工事の実施に当たりましては、施工状況等のモニタリングや適切な情報提供、緊急時の住民への連絡体制の充実など、安全・安心確保の取り組みを進めていくと聞いてございます。
 都といたしましては、引き続き、安全を最優先に工事を実施するよう国に求めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、築地市場の解体工事についてですが、解体工事は、地上部のみの撤去、除却を行うものでございまして、土地改変を伴わないことから、土壌調査の実施予定はございません。
 次に、解体工事における地中構造物についてですが、解体後の跡地は、当面、東京二〇二〇大会車両基地等として暫定利用される予定となっております。この間、多くの基礎やくいなどの地中構造物については残置するため、地盤強度の安定、安全性を確保することができるものと考えております。
 なお、東京二〇二〇大会終了後の跡地利用については、地下構造物の撤去等に関しまして、関係局が連携して、法令にのっとり適切に対応してまいります。
 最後に、千客万来施設の事業者との会談についてでございますが、五月三十日の都と事業者の会談には、千客万来施設のテナントリーシングを事業者から請け負っている協力会社の社員も同席しておりました。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 解体工事で基礎を撤去せず残置することについてでございますが、老朽化した地下工作物を残置することは、一般的には廃棄物処理法により廃棄物の投棄行為とみなされます。
 ただし、生活環境上の支障がなく、かつ残置される基礎等が新たな建築物の一部として有効活用される場合や、活用終了後に撤去するなど適切に管理される場合などについては、例外として認められております。
 今回の事例につきましては、地下構造物を残置することにより、駐車場等の地盤強度の確保に有用であるとともに、東京二〇二〇大会終了後には地下構造物の撤去等に関し適切に対応していくとしていることから、法の規定には抵触しないものと考えております。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、児童福祉司の配置についてでありますが、児童福祉司の配置基準は、これまで人口おおむね四万人から七万人までに対して一人とされておりましたが、平成二十八年の政令改正により、平成三十一年四月以降は、各児童相談所の管轄人口四万人に対して一人が標準とされ、また、人口当たりの虐待相談対応件数が全国平均より多い場合には、上乗せを行うこととされました。
 この配置基準に基づき、平成二十七年の国勢調査の人口と、仮に平成二十八年度の虐待相談対応件数とを用いて算出いたしますと、必要となる児童福祉司は三百六十三人となります。
 今後、こうしたことも踏まえまして、児童福祉司の増員と育成を図ってまいります。
 次に、シルバーパスに関する調査についてでありますが、この調査はシルバーパス制度を持続可能なものとすることを目的に、一般社団法人東京バス協会や区市町村の協力を得て今年度実施することとしており、現在、調査の内容や方法の検討を進めております。
 次に、特別養護老人ホームの整備における国有地の活用についてでありますが、現在、国は、未利用の国有地について、公用、公共用の利用優先の考え方を基本に、区市町村等に情報提供し、活用の要望を受け付け、要望がない場合に一般競争入札により売却することとしております。
 社会福祉法人等が国有地を借り受けて特別養護老人ホームを整備する場合、国は、貸付料を減額しており、契約予定の案件も含め、これまでの都内での実績は二十件となっております。
 都は、国有地を活用して施設整備を行う事業者に対し、定期借地権の一時金や借地料を補助しております。
 最後に、国有地を活用した介護施設の整備についてでありますが、ただいま申し上げたとおり、都は、国有地を活用して特別養護老人ホームなどを整備する事業者に対し、定期借地権の一時金や借地料を補助しております。
 また、国に対しましては、地価が高い地域における貸付料のさらなる減額など、貸付条件を見直すよう繰り返し提案要求をしております。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 四点の質問にお答えいたします。
 まず、岸記念体育会館の敷地に関する森氏の発言についてでございますが、都は、神宮外苑のスポーツクラスターの実現に向けまして、平成二十三年九月ごろから、岸記念体育会館を神宮外苑に移転させ、跡地については、公園として整備することも検討しておりました。その後、平成二十四年四月に、都は、日本体育協会に対し移転を検討することを提案してございます。
 ご指摘の平成二十四年七月三日の面会記録につきましては、森氏のそのような発言があったのは事実のようでございますが、都から事前に説明済みの内容についての反応ではないかと受けとめておりまして、森氏からの働きかけには当たらないと考えてございます。
 次に、岸記念体育会館の敷地購入における森氏の影響についてでございます。
 会館の移転につきましては、スポーツクラスターの形成に資するものとして、都から日本体育協会に対して提案したものであり、森氏の働きかけによるものではございません。
 都はかねてから、神宮外苑のスポーツクラスターの形成について長期計画に位置づけ、国立競技場の建てかえなどとも連動し、都の政策として取り組んでまいりました。
 その実現に向けては、国、地元自治体、関係者などの理解と協力が不可欠であり、案件や状況などに応じ、必要な資料を用いて、必要な説明を行ってきたものでございます。
 また、敷地購入に至る経緯等については、法律の専門家などによる検証を行っておりまして、手続等に法令違反やその疑いは認められず、適切なものであったと考えております。
 次に、横田基地へのオスプレイ配備計画に関する国からの情報提供についてでございます。
 米軍の運用調整を含め、安全保障に関することは国の専管事項でございます。
 都はこれまでも、国に対し、米軍の運用について地元自治体や周辺住民に対して十分な説明責任を果たすよう要請してまいりました。
 また、本年五月下旬にオスプレイが横田基地に飛来した際には、事前通告なく飛来したことから、地元自治体とともに、迅速かつ正確な情報提供を改めて強く要請いたしました。
 今後も、国に対し必要なことを申し入れてまいります。
 最後に、地元住民への説明や意見の尊重についてでございます。
 米軍の運用調整に関することは国の専管事項であり、周辺住民に不安を与えることのないよう、国の責任において十分な情報が提供される必要がございます。
 このため、都は、本年四月、国に対して、オスプレイの配備、運用や安全の確保等について具体的な情報提供を行うよう、地元自治体とともに要請いたしました。
 これを受け、国は、翌五月、横田基地の配備や運用に関する米側からの情報等を明らかにいたしました。
 今月四日にも、都は、地元自治体とともに配備スケジュール等についての情報提供を求めており、引き続き周辺住民に対して、十分に説明責任を果たすよう国に働きかけてまいります。
〔百二十四番あぜ上三和子君登壇〕

○百二十四番(あぜ上三和子君) それでは、再質問させていただきます。
 まず、岸記念体育会館の知事答弁について再質問します。
 知事は、敷地購入の経過については、法令違反やその疑いはないから、適切なものだったと答弁されました。
 知事は、東京都と特定の政党、政治家が水面下で事を進めるやり方が適切だというのでしょうか。違法でなければ問題はない、適切だというのが知事のいう東京大改革なのですか。知事、お答えください。
 さらに、知事は、職員に改革のマインドが根づいてきたと答弁されました。
 しかし、この問題を進めた都市整備局は、特定の政党、政治家と水面下で事を進めても問題はないと開き直っています。
 知事、こういう不明朗なやり方の是正が、知事の都民への公約ではないのでしょうか。知事、明確にお答えください。
 次に、築地解体工事について市場長に再質問します。
 市場長は、築地市場の解体工事について、基礎ぐいを除去せずに埋めたままにする理由は、地盤強度の安定、安全性を確保するためだと答弁されました。
 しかし、この答弁は信用できません。実際は、基礎ぐいを除去すると土地改変を伴うので土壌調査が必要になる。土壌調査をしたら五輪に間に合わなくなる。だから、廃棄物処理法を都合よく解釈して、基礎ぐいを除去しなくても違法ではないという理屈をひねり出したものではありませんか。
 そこで改めて伺います。
 基礎ぐいを除去すると土地改変を伴うので、土壌調査が必要になりますね。市場長、ご答弁いただきたいと思います。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あぜ上三和子議員の再質問に改めてお答えをさせていただきます。
 私からは一問、お答えをさせていただきます。
 岸記念体育会館の移転問題について、そして、東京大改革との関連でございますが、先ほども申し上げましたように、就任以来進めてまいりました改革の成果、都政の透明化は大きく前進をいたしております。
 それに、職員にもその改革のマインドは着実に根づいてきているものと痛感する日々でございます。
 引き続き、職員とともに、都民に開かれた都政の展開、そして都民のための政策実現に邁進していく、それが私の東京大改革でございます。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 先ほど知事の答弁にありましたとおり、敷地購入に至る経緯につきましては、手続等に法令違反やその他、疑いは認められず、適切なものでございました。
 都はかねてから、神宮外苑のスポーツクラスターの形成につきまして、実現に向けて、国、地元自治体、関係者などとの理解の協力に向けて、案件や条件などに応じて必要な資料を用いて、必要な説明を行っていたものでございます。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 築地市場の解体工事に関する再質問にお答えを申し上げます。
 解体工事につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、地上部のみの撤去、除却を行うものでございます。土地の改変を伴わないということから、土壌調査をする予定はございません。
 今後、解体工事の適切な実施、それと二〇二〇大会の車両基地等としての暫定利用が予定されていますことから、関係局と工程調整も進めながら、速やかな着手に向けて実施を行ってまいります。

○議長(尾崎大介君) 七十八番山口拓君
〔七十八番山口拓君登壇〕

○七十八番(山口拓君) 質問に先立ち、大阪府北部を震源とする地震によってお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
 それでは、私は、都議会立憲民主党・民主クラブを代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 まず、知事の基本姿勢について伺います。
 さきの東京都知事選挙が二〇一六年の七月三十一日、早いもので小池都知事誕生から二年近くがたとうとしています。
 政策的には、公文書管理条例の制定を初め、受動喫煙防止条例や各種人権施策の推進など、評価できるものも多く見られますが、当時の小池知事の選挙ビラを改めて見返してみると、残業ゼロ、満員電車ゼロなど達成が困難なものも見られます。
 とりわけ選挙ビラの大きなスローガンは、都民が決める、都民と進めるとなっており、この間のブラックボックス、独断専行といわれかねない小池知事の政策決定のあり方は改める必要があります。
 そこで、任期折り返しを迎えるに当たり、小池知事は、この二年間の都知事選公約の達成率をご自身でどう評価されているのか。また、残りの二年で都民と約束した公約を一〇〇%達成できるのか、見解を伺います。
 昨年度、公文書管理条例が制定されたことは評価しています。
 しかし、国において森友学園問題での文書改ざんが横行したことを踏まえ、都においても公文書に関するコンプライアンス意識の改革や、決裁文書の管理のあり方が問われております。さらには、局内だけで完結する仕組みでは、局ぐるみの不正は防げません。
 また、市場問題での小池知事のAI発言に見られるように、何を公文書として記載すべきか、とりわけ知事の政策決定過程に関しては明確にすべきと考えます。
 さらに、私は、全局の公文書の管理状況を横断的に監視する独立したポストの新設を提案するものですが、公文書管理の充実、徹底に向けて知事の見解を伺います。
 次に、犯罪被害者支援条例の制定について伺います。
 都が概要を示した東京都人権条例は、私たちが繰り返し求めてきたLGBTやヘイトスピーチに対応し、差別や偏見のない東京の実現を目指す手段として、基本的に評価します。しかし、他のさまざまな人権課題、中でも最も深刻な人権侵害の一つである犯罪被害者に言及がありません。
 法制定から十年以上がたちます。東京都は計画で支援を推進してきましたが、どの区市町村でもばらつきのない体制が整備されているでしょうか。犯罪被害者等支援計画や条例がある都内の自治体は四団体のみです。
 各自治体に窓口は設置されましたが、そこには相談、支援業務にたけた職員が常駐し、多岐にわたる支援ができる連携協力体制がとれているでしょうか。答えはノーです。
 また、福岡県の条例で、ネット上での中傷や過剰な取材による二次被害を生じさせないよう十分な配慮を求める規定が設けられるなど、新たな課題への対応も必要です。都道府県レベルでは、二十八自治体が条例を制定し、基礎自治体とともに施策を推進してきています。
 犯罪被害者支援の充実と地域格差の解消を早期に実現するため、都として犯罪被害者支援条例の制定を含め、取り組みをより一層強化する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、障害者差別解消条例について申し上げます。
 障害者差別解消法がようやく制定され、差別のない社会に向けて前進はしたものの、法における調整機能は十分ではなく、実効性を担保する条例制定が求められました。
 条例案では、この声に応え、合理的配慮の提供を義務づけ、悪質な場合に知事が勧告、公表する規定を盛り込んだこと、また、紛争の調整機関設置を率直に歓迎いたします。
 今後、この仕組みの中で、障害のある人の立場が十分に尊重されることが重要と考えます。
 障害のある人もない人も、ともに暮らす共生社会を実現するために、条例制定を契機として、相互理解が進むよう取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、児童虐待対策の強化について伺います。
 「もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」、目黒で虐待死した女の子が書かされていた反省文に接し、なぜ、この小さな命を守ることができなかったのか、どうすれば、この地獄のような暮らしから救い出してあげられたのか。きょうもこの東京で、誰にも助けを求めることができずに、暴力にさらされている子供があと何人いるかと考えると胸がつぶれる思いです。
 これまでも繰り返し都議会で取り組んできた児童虐待対策の強化ですが、五年前に比べて二・七倍の一万二千四百九十四件もの虐待対応を行っており、児童福祉司が対応するケースは、一人当たり約五十六件と多忙をきわめており、人員など体制強化が依然として課題です。
 また、香川県と都の児童相談所の連携不足などがあり、区市町村との連携のあり方、児相から警察への情報連携にも課題があります。さらに、家庭訪問から立入調査までの期間に規定もありません。
 それぞれとても重要な課題です。もう、一人の子供も死なせないため、虐待に遭っている子供を守るために、児童相談所を含めた児童虐待対策の抜本的強化が必要と考えますが、知事の決意を伺います。
 また、虐待をする親、すなわち加害者を減らさなければなりません。基本的には児童を保護するということでありますが、実際に親、加害者側に対しては、事実上放置されている現状も多く見受けられます。
 やはり、実際に加害者に対する指導、更生プログラムも強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、受動喫煙ゼロの実現について伺います。
 都民の健康を守るため、受動喫煙ゼロの東京を実現していくという観点から、知事提案の東京都受動喫煙防止条例を基本的に評価しています。
 しかし、この条例によって死活問題ともいえる影響を受ける方々には、しっかりとした対応をとっていく必要があります。
 条例によって都内八四%もの飲食店が原則屋内禁煙の条例の対象となるわけですから、条例を機に、あるいは店内に適切な喫煙室を設けられず、全面禁煙となるお店がふえ、喫煙場所が外になることが予想されます。
 しかし、公衆喫煙所の設置のための都の予算規模は、現在六十二区市町村にわずか一カ所分にとどまり、目標設置数もなく、区市の負担も拭えません。公衆喫煙所のための予算を大きく拡充するとともに、全額都負担とすべきです。
 加えて、喫煙室設置工事を行う各事業者、個店以外にも共同で使える喫煙室や喫煙所整備を行う商店街や民間ビル等の所有者等、法人、団体、個人を問わずに幅広く支援すべきです。
 そこで、条例を契機として都の支援策を抜本的に強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 受動喫煙を減らし、その健康被害から都民を守るために必要な条例ですが、無用の混乱を防止し、本来の趣旨とは異なる事態が起きないよう、きめ細やかな対応を行う必要があります。
 例えば、喫煙室をつくろう、喫煙所を設置しようとする適切な仕様、適切な価格で工事ができるのか。あるいは便乗した悪質商法にだまされる方はいないのか。この条例を口実とした不当解雇などあってはならないわけですが、万が一の不当解雇、条例ができたら解雇も考えなければならないと悩む方など、さまざまな心配事があります。
 縦割りを排し、関係各所へしっかりつなぐ相談窓口の設置など対応をとるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、私たちは、二〇一七年九月の代表質問において、禁煙治療に対する医療費助成などを求めてきました。既に北区や練馬区などでは実施をしており、東京都としても禁煙支援に積極的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 知事は先日の所信表明において、たばこを吸う人も吸わない人も、誰もが快適に過ごすことのできる社会を目指し原則屋内禁煙をと述べられておりましたが、私たちが条例とあわせて繰り返し求めてきた総合的な対策を進めることが欠かせません。
 受動喫煙がなく、たばこを吸う人も吸わない人も気持ちよく暮らせる東京にするためには、たばこの東京ルールが全国のスタンダードになるような、喫煙、非喫煙トータルでのマネジメント、全体像、目標を可視化、数値化し、取り組みを積み上げていく戦略が必要です。知事の所見を伺います。
 さらに、今後の大きな課題として残っているのが歩行喫煙、いわゆる歩きたばこなどの問題です。歩きたばこの対策は各区市町村で取り組みが進んでいますが、条例等による規制には各自治体でばらつきがあり、規制自体がない自治体も約三分の一あります。
 歩きたばこは通勤通学中の人を不快にし、子供や車椅子の人を危険にさらしています。
 そこで、私は、歩行により規制の異なる区市町村をまたぐこともあり、広域自治体の都としても歩きたばこの規制や対策を強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、豊洲市場の移転問題について伺います。
 千客万来施設において、小池知事が、万葉倶楽部からの東京二〇二〇大会後の速やかな着工との提案を受け入れて協議に入ったことについて、小池知事と万葉倶楽部会長との極秘会談などを含め、交渉経過は不透明で、まさにブラックボックス、独断専行の印象を受けます。
 そこでまず、二度にわたる万葉倶楽部会長との直接交渉について、東京都の幹部職員は誰が同席をしていたのか。交渉記録はとってあるのか。情報公開が改革の一丁目一番地であると主張されるのであれば、その交渉経過をしかるべき時期に公開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今回の内容は、万葉倶楽部に極めて有利な形で決着することになるように感じます。
 そこで、二〇二〇大会後の速やかな着工は、不履行だった場合の違約金を含め、万葉倶楽部の確約を確実に得られているのか。また、契約するに当たり、土地貸付料の減額など総額十億円とも報じられている支援を実施するのか、支援の内容も含め、見解を伺います。
 さらに、都が整備する暫定施設はどのようなものをイメージしているのか、その財源はどこから捻出する予定かも伺います。
 そもそも千客万来施設の整備は、市場移転を受け入れるための江東区の条件であり、その江東区が理解を示していない合意などあり得ません。四月十七日の段階で、江東区長が再公募を示唆していたにもかかわらず、なぜあえて地元区の意向を無視したのか、今後の江東区の理解と合意を得るための見通しについて、知事の見解を伺います。
 以上、再質問を留保して、都議会立憲民主党・民主クラブの代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山口拓議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、二年間の公約達成の評価と今後についてのご質問がございました。
 知事就任いたして以来、都民に見える都政の実現を目指しまして、公文書の閲覧手数料の廃止、予算編成におけます各種団体からの公開ヒアリング、都政史上初の試みとなる都民からの事業提案制度など、数多くの取り組みを進めてまいりました。まさに都民が決める、都民と進める、そうした都政に向けた挑戦を続けてまいりました。
 さらに、都民が輝くための政策にも幅広く取り組んでまいりました。所信表明でも申し述べましたとおり、待機児童数は大幅に減少する見込みでございます。長時間労働の削減等を促進するTOKYO働き方改革宣言企業制度においては、既に二千社を超える企業がライフワークバランスの実現に取り組むほか、認知率が七割を超えます時差ビズも、現在、今日までに約六百社の参加をいただいておりまして、さらなる普及に向けて取り組み期間を拡大いたします。
 また、ご指摘の受動喫煙防止対策につきましては、健康ファーストの観点から独自のルールを定めました条例案を提案し、ご審議をいただいている最中でございます。
 この二年間の評価とのお尋ねでございますが、それは私自身が行うものではございませんで、都民の皆さんが行うもの、そして私は、引き続き都民の負託に応えるべく、人に着目した施策を初め、なすべきことに、ただひたすらに邁進していきたいと考えております。
 二つ目、公文書管理の拡充、徹底についてでございます。
 都政の透明化を進めていくためには、情報公開の基盤であります公文書の適正な管理が何よりも重要。このため、公文書管理の理念と、文書によりまして事案決定を行うことの徹底や政策の形成過程を明らかにする文書の作成義務を規定いたしました公文書の管理に関する条例を、皆様方都議会でご審議を経て成立をし、昨年七月に施行したものでございます。全庁的な公文書管理のルールの定着と職員への浸透を進めてまいりました。
 ことしの五月には、国におけます公文書の改ざん問題なども踏まえまして、公文書管理の透明性、信頼性を高めるために、事案の意思決定におけます電子決定方式の利用の推進について、改めて庁内に周知徹底しているところでございます。
 また、独立した視点からの監視の強化につきまして、所管局以外の部署の視点から、総務局が政策の形成過程を明らかにする文書が作成されているかなどについてチェックする取り組みを新たに実施してまいります。
 今後とも、国の動向に注視しつつ、新たに導入した公文書管理状況の点検の結果なども踏まえまして、都民共有の財産であります公文書の管理を厳格に進めてまいります。
 犯罪被害者支援についてのご質問がございました。
 犯罪被害者、そのご家族は、直接的な被害、そして二次的な被害によって、身体的、精神的、経済的に苛酷な状況に置かれておりまして、一日でも早く穏やかな日常を取り戻すため、被害直後から途切れることのない支援を実施することが非常に重要でございます。
 都はこれまでも、三期にわたります支援計画に基づいて、東京都総合相談窓口の機能を強化したり、性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援事業を初めとして、被害者の方々に寄り添った支援に幅広く取り組んでまいりました。
 一方で、日常生活の支援等におきましては、身近な行政の窓口であります区市町村の役割は重要であることはいうまでもありません。被害者のニーズを適切に受けとめていくということが不可欠であります。
 そのため、都は、窓口の体制整備に資する助言、担当者のスキルアップのための研修の実施など、区市町村の支援機能の強化に向けた取り組みを行っているところでございます。
 今後、都は、SNSやネットなどのメディアによります二次的被害や、転居などにかかります経済的な負担など、被害者が抱える課題も視野に入れて次期計画を検討するなど、誰もがあしたに希望を持って活躍できる東京を実現してまいりたいと考えております。
 障害者差別解消条例についてでございます。
 誰もが生き生きと生活できる、一人一人が自分らしく輝くことができる都市、そのようなダイバーシティーが私が目指している東京の姿でございます。
 こうした考え方に立ちまして、都民や事業者が障害者への理解を深めて、障害を理由に分け隔てられることのない共生社会を実現することを目的として、今回、この条例案を提案いたしているところでございます。
 そして、この条例には、事業者に対します合理的配慮の提供の義務化、個々の相談に丁寧に対応するための相談員の設置、そして学識経験者、障害当事者などで構成されます第三者機関によりますあっせん、悪質な事業者などに対します勧告、公表の規定などを盛り込んでいるところでございます。
 お話のように、障害のある方もない方も、ともに暮らす共生社会を実現するためには、相互理解が進むことは必要でございます。そのために、条例の趣旨をあらゆる機会を通じて広く都民や事業者に普及啓発をしてまいる所存でございます。
 児童虐待の防止についてのご質問がございました。
 今回の事案につきましては、転居時の自治体間での情報共有のあり方であるとか、家庭訪問に拒否的な保護者へのかかわり方などにつきましては、児童相談所の対応に課題があったと、このように認識をいたしております。
 都は、五月に児童福祉審議会の部会によります検証を開始しておりまして、また、国に対しましては、自治体間での情報提供等につきまして全国統一のルールとして対策を強化するように緊急要望を行っております。
 警察との連携につきましては、情報共有の範囲を拡大する方向で警視庁と協議を開始いたしております。また、児童の安全確認が適切に行われますように、都独自の行動指針を策定いたします。
 さらに、児童相談体制のさらなる強化を図るために、児童福祉司、児童心理司、一時保護所の職員の増員等、児童相談所の体制の強化、地域でのネットワークの強化に取り組んでまいります。そのための人員や予算は通常の査定とは切り離しまして、優先的に措置をする考え方でございます。
 全庁横断的に新たなプロジェクトチームも立ち上げまして、関係各局が一丸となって児童虐待の防止に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 次に、受動喫煙につきましてでございますが、喫煙所の整備に関する都の支援についてのお尋ねがございました。
 お話のように、受動喫煙防止対策を進めるためには、喫煙者に対して配慮することも必要でございます。
 現在、国会では、ご承知のように健康増進法改正案の審議が行われておりまして、国は、自治体が屋外の公衆喫煙所を整備する際に財政支援を行う、その旨、その方針を示しているところでございます。
 都といたしましても、区市町村が取り組みます公衆喫煙所の設置などに対する補助率を十分の十に引き上げまして、支援をしていく方針でございます。
 また、条例により規制の対象となります中小事業者が経営する飲食店に対しましては、喫煙専用室の設置に要する経費への補助率を十分の九に引き上げるなど、支援内容の充実を図りまして、事業者の負担軽減に配慮する方針でございます。
 そして、相談窓口の設置についてもお尋ねがございました。
 条例の施行に当たりましては、都民や施設管理者等の不安を解消いたしまして、ご理解、ご協力いただくこと、これが必要でございます。
 このため、都は、専門相談窓口を設置いたしまして、規制内容に関しましての問い合わせや各種の相談に丁寧に対応してまいります。
 また、喫煙専用室を設置しようとする施設管理者からの求めがあった場合、そのときには、必要な助言を行う専門家、こちらをアドバイザーとして派遣をする考えでございます。
 そして、禁煙支援の取り組みについては、現在、都内七つの区におきまして、禁煙を希望する方に対しての禁煙外来の医療費等への助成を行っておられます。
 条例の制定を機に、今後、都といたしまして、こうした区市町村の取り組みを支援する考えでございます。
 受動喫煙の防止対策でありますけれども、本年の三月に改定いたしましたのは、東京都がん対策推進計画でございます。この計画では、喫煙率を一二%に下げることや、受動喫煙をなくすことを目標に明確に掲げております。
 また、その達成状況などにつきましては、外部の有識者などで構成いたします東京都がん対策推進協議会におきまして、毎年度、定期的に評価を行って、取り組みに反映させることといたしております。
 この条例におきましても、施行から五年後にその状況を検証いたしまして、必要な措置を講じていくということといたしておりまして、今後も条例の施行状況を把握しながら、受動喫煙防止対策を推進してまいります。
 歩行喫煙対策についてのご質問がございました。
 現在、区市町村では、環境美化や喫煙マナーの向上といった観点から、路上喫煙や歩きたばこに関する条例を制定いたしております。
 交通事情や人口密度、自然環境など、地域によって屋外の状況が異なるわけでございまして、屋外における規制は、それぞれの基礎的な自治体が地域の特性を踏まえて行うということが適切だと考えております。
 万葉倶楽部との会談についてのご質問でございましたが、まず、五月一日に副知事及び市場長、そして、五月三十日には市場長がそれぞれ同席をいたしております。
 当日の会談内容でございますが、市場移転に関する関係局長会議で報告をしておりますし、既に明らかにしております。事務的にも記録も整理をしているところでございます。
 千客万来施設の事業でございますが、この事業は、江東区が示した市場の受け入れ条件の一つであります、豊洲市場に活気とにぎわいをもたらす重要な事業でございます。
 現在は、事業者から出された新たな提案につきまして、事業実施に向けた前向きな内容であると受けとめまして、協議に応じているという段階でございます。
 事業スケジュール、そして諸条件など課題の整理を進めまして、江東区の理解を得た上で、最終的な合意を図ることといたしております。
 まさに急な展開となりました。江東区、江東区議会の皆様を驚かせる結果とはなっておりますけれども、この間の一連の経緯、今後の都の対応につきましては、引き続き丁寧に説明をいたしまして、ご理解が得られるように努めてまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 児童相談所の保護者への指導に関するご質問にお答えをいたします。
 児童相談所は、児童虐待を行った保護者に対して、家族機能の回復を図ることを目的に、児童福祉司や児童心理司等による家庭訪問や面接指導のほか、精神科医によるカウンセリングなどを実施しております。
 また、児童相談センターでは、虐待を受けて児童養護施設に入所している子供や養育家庭に委託されている子供、その保護者に対しまして、家族合同でのグループ心理療法や親のグループカウンセリング、家族カウンセリングなど、家族再統合のためのさまざまな援助も行っております。
 親子関係の再構築を図るためには、親みずからが虐待に至った要因に気づき、愛情を持って子供と向き合うことが必要であり、保護者への指導やカウンセリングなど、家族再統合への支援を強化してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、千客万来施設事業者との協議についてですが、事業者から、東京二〇二〇大会後、速やかに施設整備に着手する旨の新たな提案を受けまして、現在、都は、事業者との間で具体的なスケジュールや諸条件など、事業実施に向けた課題の整理を進めているところでございます。
 建設工事の着手時期や完成時期などについて十分詰めた上で、その内容を今後、事業者と締結いたします協定等に盛り込むことで、確実な施設整備を図ることとしております。
 なお、事業者との間では、これまで貸付料の取り扱いやテナントリーシングへの協力などの諸条件について、法的側面からの確認を行い、行政として適正な範囲内での協議を進めてきており、合意に当たりましては、こうした内容につきましても整理していくこととしております。
 次に、都によるにぎわい創出の取り組みについてですが、豊洲市場開場後、千客万来施設が開業するまでの間、豊洲市場に継続的ににぎわいをもたらすため、五街区及び六街区の千客万来施設用地におけるさまざまなイベントの実施や仮設施設を活用した事業などについて、現在、財源も含めて検討を進めているところでございます。
 地元である江東区とも相談しながら、地域に親しまれ、多くの人々が集う場となりますよう取り組んでまいります。
〔七十八番山口拓君登壇〕

○七十八番(山口拓君) 再質問させていただきます。
 まず、受動喫煙防止条例に伴う相談窓口について伺います。
 私は、この条例によって、不当解雇などさまざまな心配事があると述べた上で、縦割りを排し、関係各所へとしっかりとつなぐ相談窓口設置などの対応を質問したものであります。
 しかし、先ほどの答弁では、不当解雇の問題は相談窓口の対象外だといわんばかりの答弁です。
 相談窓口においては、人を守るための条例で生じた不当解雇などの問題についても、縦割りを排し、関係部署としっかり連携して、ともに解決を図っていくべきと考えますが、知事の見解を改めてお伺いいたします。
 また、千客万来施設の交渉経過についても伺います。
 かつて、東京ガスとの交渉では、都側に交渉記録がなかったことや水面下の発言などが批判の対象となりました。小池都知事も、こうした体質を批判していたはずです。これは知事の政治姿勢であられるはずです。
 知事自身が会談内容の交渉経過を事務的に記録と答弁されたのであるならば、万葉倶楽部との詳細な交渉経過をしかるべき時期に公開すべきと考えますが、知事の見解と決意を改めてお伺いいたします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 先般の万葉倶楽部との会談についてのご質問がございました。
 先ほど申し上げましたように、五月三十日、市場長の同席を得て会談をしたところでございます。
 会談の内容につきましては、これまでの経過につきましては既に明らかにしておりますが、三十日の会談の結果につきましては、事務的に記録も整理をしているところでございます。
 ただ、今、江東区とのさまざまなご報告なども踏まえた上で行うということでございますので、しかるべきときにはしっかりと説明もさせていただきたいと、このように考えております。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 受動喫煙防止条例に関します専門相談窓口に関する再質問についてお答えをいたします。
 この専門相談窓口では、さまざまな規制内容に関する問い合わせのほか、お話のあった従業員、あるいは雇用している方からのさまざまな相談にお答えをするという形で考えております。
 不当解雇というものは、この専用相談窓口で解決するというのは困難でございますので、その場合には、必要な労働基準監督署や労働相談センター、そういうところにつないでいくというのも、ここでの専門相談窓口の仕事だというふうに考えてございます。

○六十七番(斉藤れいな君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時十五分散会

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