○議長(尾崎大介君) 三十九番大松あきら君。
〔三十九番大松あきら君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○三十九番(大松あきら君) 都議会公明党を代表し、質問を行います。
質問に先立ちまして申し上げます。
昨日早朝、大阪で最大震度六弱の地震が発生し、甚大な被害が発生しました。お亡くなりになられた皆様方のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆様方にお見舞い申し上げます。
今回、大阪府内で発生した悲惨な被害を踏まえ、都としても、国や区市町村教育委員会と連携して、緊急に都内公立小中学校の通学路におけるブロック塀などの安全の総点検をすべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
六月十一日、東京二〇二〇大会組織委員会は、国連が掲げている持続可能な開発目標、SDGsに沿った東京二〇二〇大会運営計画を公表しました。
東京二〇二〇大会はSDGsオリンピック・パラリンピック大会を目指す初めての夏季大会となります。
取り組むべき五つのテーマは、一、気候変動、二、資源管理、三、大気・水・緑・生物多様性、四、人権・労働、公正な事業慣行、五、参加・協働、情報発信であり、東京二〇二〇大会の開催を通じて、国内におけるSDGsの認識が広がることが期待されています。
都議会公明党はこれまで、再生可能エネルギーの促進、省エネ・再エネ東京仕様の策定、食品ロス削減やエコマテリアルなどの資源循環、緑施策や生物多様性、エシカル消費の普及啓発など、SDGsの理念のもと、誰一人取り残さない持続可能で包摂性のある政策を推進してきました。
そこで、二〇二〇大会の開催都市として、先ほどの五つのテーマに取り組む東京は、今や世界共通の言語のようなSDGsの視点から海外諸都市と連携して、大都市共通の課題解決を図るべきと考えます。知事の見解を求めます。
加えて、人権の分野に関しては、子供や女性、障害者やLGBT、在日外国人の人権を守る施策の強化が重要です。
都は、今定例会や第三回定例会の中で、都民や都内で暮らす人々の人権を守るための条例の制定などを予定しています。人権施策の強化は、SDGsオリ・パラ大会ともいうべき東京二〇二〇大会に向かって、積極的に進展させるべきテーマと考えますが、知事の見解を求めます。
今定例会の焦点となっている受動喫煙防止条例案について質問します。
この条例案は、屋内での受動喫煙を防ぐために、健康への影響を受ける、人に着目した点に特徴があります。その観点から、職場における働く人を守る対策や、みずからの意思で受動喫煙を防ぐことが難しい子供たちを守る施策を講じている本条例案を評価したいと思います。
また、二〇二〇オリ・パラ大会の開催都市として、世界に恥じないスモークフリー五輪にするためにも大きな意義があります。WHO、世界保健機関が屋内全面禁煙義務の法規制の有無を基準に、各国の規制状況を四つのランクに分類した調査によると、我が国の受動喫煙防止対策は最低のランクに位置づけられています。
こうした状況から、本条例の制定を受動喫煙防止に本格的に取り組む転換点にするとともに、国内外からの来訪者に受動喫煙の影響を感じさせない、スモークフリー都市にする絶好の機会と捉えるべきであります。
東京都が国に先駆けて条例制定を目指し、現在国会で審議が行われている健康増進法改正案より一段と踏み込んだ内容となっていることについて理解するものです。
都民や事業者、区市町村の理解と協力を得て実効性ある対策を行うべきと考えますが、知事の見解を求めます。
今後、都内の自治体では、飲食店に対する周知に力を入れる施策や、条例制定を契機に禁煙の啓発に力を入れる自治体など、さまざまな対応が想定されます。そうした独自の取り組みを行う自治体には都が全面的に支援すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
我が党は、受動喫煙防止対策プロジェクトチームにおいて、関係する多くの団体や事業者などとの意見交換や視察を行ってきました。
その中で、東京都医師会からは、受動喫煙が健康に悪影響を与えることは明らか、条例で防止策を講じるべきとの意見や、飲食店などの業界団体からは、店舗の禁煙化によって売り上げの減少が懸念される、条例制定には慎重であるべきなどの意見も寄せられました。特に飲食店にとっては、経営に影響を及ぼす可能性もあり、その支援策は不可欠です。
都は、平成二十七年七月から、外国人旅行者の受け入れに積極的な宿泊、飲食施設の分煙環境の整備に対する補助事業を行っています。この事業の対象を条例に適合する喫煙専用ルームの設置などにも広げ、あわせて補助の割合も大幅にアップすべきです。知事の見解を求めます。
また、海外の都市と異なり、東京は区市が先駆的にクリーンなまちづくりや危険防止の観点から路上喫煙防止の条例を制定しています。したがって、今回の都の条例により喫煙できる場所が狭まる喫煙者に対する配慮も必要です。
そこで、公共の屋外喫煙所の設置に取り組む自治体に対しては、都が全面的に支援すべきと考えます。知事の見解を求めます。
また、受動喫煙を防止するために必要な措置が求められる事業者や飲食店経営者などからは、受動喫煙防止施設や経営に関する相談など、さまざまな問い合わせが想定されます。
そこで、都内の事業者や飲食店などの不安を解消し、受動喫煙防止対策への取り組みが進むよう、建築や経営のコンサルタントなどを配置したワンストップの窓口を設置するべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、本条例案の焦点となった加熱式たばこの扱いについて質問します。
我が党が行った関係業界のヒアリングでは、加熱式たばこに関する規制について、科学的根拠に基づいて検討すべきなど、慎重な意見が寄せられました。
当初の受動喫煙防止条例骨子案では、飲食店の客席での加熱式たばこの喫煙は認めないとしておりましたが、本条例案では、当分の間、飲食も可能な加熱式たばこ専用喫煙室の設置が認められています。
一方、国の健康増進法改正案では、加熱式たばこ専用の喫煙室内であれば、飲食をしながら喫煙することが許容されています。したがって、本条例案は健康増進法改正案と同じ規定となり、都民にとってわかりやすい制度になったと考えますが、加熱式たばこの扱いを変更した経緯について、知事の見解を求めます。
また、今後、加熱式たばこについては、受動喫煙の健康影響に関する調査研究の結果を踏まえ、それに基づく適正な措置を講ずるべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、障害者差別解消条例案について質問します。
公明党はかねてより、障害のある方もない方も持てる力をともに発揮し、参加できる社会をつくる法整備を推進してきました。
その結果、国においては一昨年四月、障害者差別解消法が施行され、事業者の負担が過重にならない範囲で、障害のある方の社会参加を阻む障壁を除去する合理的配慮が行政機関などに義務づけられました。
都においては、我が党が一昨年の第四回定例会の代表質問で、障害者への差別を解消する条例の必要性を訴えるとともに、安心して相談できる環境や、公平、公正な調査や評価の仕組みの整備を提案したところであります。
こうした経過を踏まえ、今回提出された都の条例案は、行政機関だけではなく、民間事業者にも合理的配慮を法的義務とするもので、民間事業者には努力義務にとどめている国の法律よりも一歩前進の内容です。
その一方で、現状では、合理的配慮という言葉やその意味が余り知られていないという課題があります。このままでは受けとめ方に差が生まれ、対応に混乱が生じるおそれもあります。都民はもとより、合理的配慮の提供が義務化される民間事業者に対し、合理的配慮という言葉の概念や内容と、それが義務化され、協力が必要になっていることの十分な周知が必要です。知事の見解を求めます。
条例の施行後には、どこまでが合理的配慮なのかという多くの疑問、問い合わせが想定されます。
都は、個々の相談に丁寧かつ適切に対応するとともに、相談によってもなお解決が見込めない場合の紛争解決の仕組みを整備するべきです。知事の見解を求めます。
条例案では、手話を言語と位置づけるなどの情報保障の推進が盛り込まれ、手話のほか、筆談、点字、拡大文字、読み上げなど障害者に配慮した情報提供を明文化しています。
これまで我が党は、障害者への情報保障の具体策として、都民向けの出版や配布物、都税納付書、水道検針票などに文字を音声化する音声コードを添付すること、さらに文字を大きく見やすくする大活字化、動画への字幕の付与などを推進してきました。
情報保障の施策を着実に展開するためには、こうした視点を含め、情報保障のための推進計画策定が不可欠と考えますが、知事の見解を求めます。
次に、児童虐待防止について質問します。
親からの虐待により幼い命が奪われる痛ましい事件が後を絶ちません。都は虐待を断じて許さず、根絶を目指すべきです。
これまでも我が党は、防止策としての児童相談所への職員や専門職の増員、予防策としての妊娠期からの切れ目のない支援などを求め、その推進を図ってきましたが、それでもなお、対策のすき間から漏れてしまう悲惨な現実があり、さらに細かい対策の網の目を急ぎ整備する必要があります。
児童虐待の兆候は、保育、教育、住宅、医療機関など生活現場の至るところでキャッチすることが可能です。また、予防の観点からは、若年出産や出産後育てることが困難な場合の里親、特別養子縁組の支援をする民間団体なども含め、あらゆる機関が連携強化を図る必要があります。
そこで、全庁横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、各局連携して、都の総力を挙げて取り組むべきです。知事の見解を求めます。
また、児童虐待の予防から防止に至るまで、警視庁との連携を初め、都庁各局の責務を明らかにし、都内自治体の取り組みも含めて、都民全体で取り組むべき内容を明らかにするためには、条例の制定が必要と考えます。
児童虐待防止条例の制定に向けた知事の見解を求めます。
次に、東京二〇二〇大会について質問します。
まず、ライブサイトについてであります。
チケットを持たない人を含め、誰もが気軽に大会の迫力と感動を共有し、安全で快適に楽しむことができる場を創出するライブサイトの取り組みは重要です。
都内八カ所のライブサイト候補地に加えて、被災県からも、都がライブサイトを被災地で実施してほしいとの要請がありました。二〇二〇年に向けた都の取り組みについて見解を求めます。
また、先日の三多摩の市長会では、地元選手が出場する競技を応援するなど、市町村で設置するコミュニティライブサイトに対して支援を要望する声が上がっておりました。都は最大限の支援をすべきと考えますが、見解を求めます。
さらに、あらゆる人がライブサイトで大会を楽しむには、障害のある人への情報保障が必要になります。具体策について見解を求めます。
次に、東京パラリンピックに向けた障害者等へのバリアフリーの推進について質問します。
平昌パラリンピックでは、大会会場近くの鉄道駅で車両とホームの段差が七十センチもある箇所があり、昇降機が必要になっていました。東京パラリンピックにおいても、最寄り駅から会場の観客席までの動線においても万全なバリアフリー化を期すべきです。都の見解を求めます。
加えて、平昌パラリンピックでは、会場と最寄り駅を結ぶバス輸送において、ノンステップバスの車両数が限られており、いつ、どこに向かって発車するのかがわからず、混乱を来しておりました。この点も十分に教訓を生かし、必要な情報の十分な事前提供、会場での周知を行うべきです。都の見解を求めます。
次に、被災地支援について質問します。
都議会公明党は、被災直後から東北の被災地を幾度も訪問し、住民の皆様の声に耳を傾け、災害廃棄物処理、観光業の支援、行政職員の派遣推進などに取り組んできました。
その上で我が党は、この四月から六月にかけて、発災後七年を迎えた岩手、宮城、福島の三県を訪問し、県や団体など関係者と意見交換するとともに、復興への取り組み状況を視察してまいりました。被災地の現状を踏まえ、何点か質問します。
まず、職員派遣の継続についてです。
今回の視察では、三県とも、都から派遣されている職員の活躍が復興の大きな力になっていることを改めて実感しました。復興事業の進展に伴い膨大化する事務処理においても、また区画整理事業などで欠かせない土木の技術職においても、都の派遣職員は優秀な即戦力として活躍しており、派遣先の自治体との意見交換の際は、異口同音に厚い謝意が表明されました。
しかし、被災地での復興事業は、これから大事な時期を迎えるにもかかわらず、都以外の自治体からの派遣職員数は年々減少しているのが実態です。被災地からは、都の職員派遣を継続し、復興の総仕上げに力をかしてほしいとの強い要望も寄せられました。被災三県がそろって大きな期待を寄せる派遣職員です。被災地の復興なくして大会の成功なしとの思いを込め、派遣を継続すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
次いで、観光支援であります。
国は、二〇二〇年に東北六県の外国人延べ宿泊者数を百五十万人泊とする目標を掲げていますが、昨年は約九十五万人泊であり、その伸び率は、全国と比較すると決して高いとはいえない状況にあります。
訪日観光客の動きは、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪の、いわゆるゴールデンルートに集中する傾向にあります。こうした外国人旅行者を東北地方、特に被災三県に向けるためには、二〇一九年に釜石市でも試合が行われるラグビーワールドカップなどは大きな機会となります。
そこで、都としても各地の魅力を発信する観光プロモーションの強化など、都が持つノウハウを最大限に活用し、東北地方の観光支援に積極的に取り組むべきと考えます。知事の見解を求めます。
とりわけ、今なお風評被害に苦しむ福島県にとっては、観光客だけでなく、平日のビジネス客をいかに誘致するかが大きな課題となっています。福島県内には、郡山のビッグパレットやホテル併設の大規模会議場など、東京からのアクセスもよい施設が数多くあり、県でもこうした施設を積極的に活用するべく取り組みを進めていると聞きます。
都はこれまでも、都市間連携によるMICE誘致を進めてきました。福島県内へのMICE誘致に向けても、現地と連携して支援すべきと考えますが、見解を求めます。
岩手県のある首長は、我が党との意見交換の際、心のケアがなければまちは活性化しないと心境を吐露されました。被災地の皆様の心の復興は、希望に向かって力強く前進する心のエネルギーの回復を意味するものと推察します。
意見交換の席上でも、特に子供たちにオリ・パラ大会にかかわりを持たせてあげることで、心の中によい思い出を残してあげたいとの要望がありました。
都はこれまでに、被災地と東京の子供たちとのスポーツ交流などを進めてきましたが、東京二〇二〇大会では、被災地の子供たちを東京に招き、一生の心の宝となるすばらしい体験ができるよう取り組んでいくべきと考えます。知事の見解を求めます。
被災地支援に関連して、被災地に学ぶ防災対策について質問します。
今回の被災三県への訪問では、支援の充実を期す有益な意見交換を行うとともに、東日本大震災の教訓を踏まえた危機管理対策の充実強化の様子を伺い、大いに学ぶことができました。
例えば宮城県では、多岐にわたる震災の教訓を十三分野、四十六の項目に分けて整理し、防災対策に生かしています。震災伝承スペースを利用した石巻市の震災学習プログラム、読みやすく、わかりやすい漫画を活用した防災読本「地震・津波防災のひみつ─東日本大震災を忘れない─」の編さん、発行、学び合いなどであります。この防災読本は、宮城県教育庁スポーツ健康課が監修したもので、東京を含め、全国の学校や図書館などに贈呈されています。
都においても、こうした被災地の実体験を貴重な教訓とする防災対策の取り組みが必要であると考えます。都は既に我が党の提案に応え、女性視点の防災ブックである「東京くらし防災」を作成し、防災ひな祭りを開催するなど、都民が身近に防災を考えることができる取り組みを進めています。
そこで、今後は、東京都と被災地が連携して防災フォーラムを開催するなど、東日本大震災の被災地に学ぶ取り組みを強化するべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、環境施策について質問します。
まず、明治の森高尾国定公園についてです。
我が党は、かねてから高尾山についてさまざまな提言を行ってまいりました。昨年の第三回定例会の我が党の質問に対し、都は、高尾地域において管理運営協議会を設置し、豊かな自然の保全や観光地としてのにぎわい拡大などに積極的に取り組むと答弁しました。
都は、昨年度中に地元商店会、薬王院、交通事業者、自然保護団体等、幅広い参加を得た協議会を設置し、この場を活用して、自然環境の保全と利用を両立するための管理運営計画案についての検討を進め、ことしの五月にはパブリックコメントを実施しています。
本年度は、明治の森高尾国定公園の誕生五十周年であり、この機会を捉え、協議会メンバーと連携し、明治の森高尾国定公園を広く盛り上げていくべきと考えます。
管理運営計画案と協議会の今後の取り組みについて、都の見解を求めます。
次に、電動バイクの普及に向けた取り組みについて質問します。
バイクは、もともと燃費や輸送効率にすぐれた環境性能の高い乗り物であり、さらに電動化が進めば、一層環境負荷の低い乗り物として活用が進むことが期待されています。
しかしながら、国内で生産されている電動バイクは現在一種類のみで、世界を見渡しても商品化の実例はまだ少なく、電動バイク市場はようやく胎動したばかりです。
一方、バイク販売の世界シェアでは、我が国のバイクメーカーがおよそ五割を占めており、より多くのメーカーが電動バイクの開発を進めて、多様な車種を提供できるようになれば、世界のバイクの電動化を一気に加速させていくと期待されています。
都は、八丈島や新島でモーターショーを開催するとしており、電動バイク導入についても新たな補助制度を実施するなど、初期需要の創出を図り、メーカーの開発意欲を高めることで、世界の動きをリードしていくべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、自然界で分解されず、燃やすと二酸化炭素を発生させ、温暖化の原因の一つと指摘されているプラスチックごみの3Rの取り組みについて質問します。
ことし一月、中国は、環境汚染を招いていたプラスチックごみの輸入を突如禁止しました。日本からも、飲食店やオフィスから出るペットボトルなどの廃プラスチックのごみは、分別収集されないまま業者が回収して輸出されています。輸出先の約七割が中国で、年間約百万トンにも上ります。このため、リサイクルされない多くの容器が、現在各地に滞留する事態に陥ったと報道されています。
また、世界各国では、マイクロプラスチックが引き起こす海洋汚染対策の一つとして、マイバッグ持参など、レジ袋対策の取り組みも進められており、例えばフランスでは、一昨年の七月からレジ袋の配布が禁止されています。
国では、マイクロプラスチックとなる製品の使用抑制を事業者に要請する法制化の動きや、産業界では、マイクロビーズを使用した製品を自主規制する動きが出ています。
そこで、都は今後、レジ袋対策に、全国に先駆けてマイバッグの活用に取り組むとともに、プラスチックごみのリサイクルの推進について、区市町村などとの連携をさらに進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
続いて、使用済み紙おむつのリサイクルについて質問します。
紙おむつは、乳幼児向けだけでなく、高齢化の進展に伴って、成人向けの需要も増大していく傾向にあります。一方、材料となる輸入パルプ資源の枯渇、使用後に焼却処分を行う燃料の増加とコスト増、埋立処分する焼却灰の増加などが、今後深刻な課題となっていくことが必至と予想されています。
一方、保育施設や介護施設を初めとする事業所では、使用済み紙おむつの処理が負担となっています。そのため、国では、使用済み紙おむつを粉砕して下水道に流そうとの研究が始まっていますが、都の下水管路にとっては、根詰まりなどの懸念を払拭できず、課題があります。
こうした中、我が党は先日、使用済みの紙おむつを収集、リサイクルする事業者や自治体の取り組みを視察しました。使用済みの紙おむつを固形燃料や段ボールなどにリサイクルする取り組みのほか、殺菌処理して、再び紙おむつをつくり出す取り組みも試行されていました。
今後は、こうした紙おむつのリサイクル化の動きが都内の区市町村にも広がっていく可能性があり、都もSDGsの観点から積極的に対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
次に、PCB問題について質問します。
ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCBは、電気絶縁性の高い性質を持つ、工業的に合成された化合物であり、その利便性の高さから、絶縁用の油として主にトランスやコンデンサー、照明用安定器など、電気機器等に使用されてきました。
しかし、昭和四十三年にPCBが混入した食用油が原因となったカネミ油症事件が発生して社会に大きな衝撃を与え、国は、昭和四十七年に通産省の行政指導で製造を中止し、回収の指示を出しました。
しかし、PCBを含有している機器が処理できずに、いまだに倉庫などに保管されている現状にあります。
加えて、平成二十八年のPCB特措法改正以降は、照明用の安定器の中にあるPCBの使用実態調査が義務化されましたが、古い蛍光灯安定器が破裂し、PCBが漏えいする事故が全国で発生しています。
都が所有する施設のPCB廃棄物の処理責任は、保管事業者である都にあります。実際に、都内の小学校では授業中に教室の古い照明用安定器が破損して、PCBが漏れて児童にかかるなどの事故も発生しています。
そこで、現在、都が保管、使用しているPCB含有機器等の種類と数量について答弁を求めます。
また、現状把握されている機器以外に保管、使用されているおそれもあります。都が民間事業者の模範となるよう、PCB含有機器が使用されていた昭和五十二年三月以前に建築、改築された施設を含め、掘り起こしのための全数調査を徹底して行うべきです。見解を求めます。
こうした取り組みを都みずからが行った上で、民間事業者に対してPCB含有機器の処理を強く促していかなければなりません。しかし、民間事業者が取り扱うPCB含有機器は膨大な数に上ります。その膨大さがPCB処理をおくらせている要因の一つとなっています。
そこで、都は、民間事業者がPCB処理に取り組みやすい工夫を指し示すべきと考えますが、見解を求めます。
都内に残る高濃度PCBの処理が可能な施設の稼働期間は、残り五年と迫っています。期限内に処理の完了を実現するためには、一つには、処理推進を支援する事業者があらわれてきていることから、都庁内に蓄積されている民間事業者のPCB保有情報の公開時期の前倒しが必要です。もう一つには、PCBを抱える民間事業者の処理促進に向けたさらなる都の支援が必要です。
都は、こうした課題の解決に向けて、今こそ乗り出すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、海外との教育交流について質問します。
世界のグローバル化が急速に進む中で、教育の分野においても、環境教育など一国だけでは解決が難しい問題がふえ、国を超えた協力が求められるようになっています。
こうした中、二〇〇六年以来開催されていなかった主要国の教育大臣会合が、一昨年、我が国のリーダーシップにより十年ぶりに再開され、関係国から感謝の意が表明されました。
一方、こうした政府レベルの連携に加えて、今後求められるのは現場レベルの教育者の交流です。日々子供に向き合っている各国の教育者同士が継続的に意見交換し、切磋琢磨できる場があれば、互いに教育力を向上させ、それぞれの教育課題を解決していく力になります。
東京都教育委員会がこうした教育者の交流の場をつくれば、世界の教育に貢献するという名誉ある地位を世界に発信することができます。
現在、東京都教育委員会は、海外の教育機関と交流する覚書を結んでいます。こうした枠組みを生かして、現場の教育者同士が国際交流できるネットワークを広げていくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
教育委員会としての取り組みに加え、それぞれの学校ごとの自主的な活動においても、教員の国際交流を進めることが必要です。
都教育委員会は、都立学校と海外の学校との姉妹校交流を進めており、こうした海外の学校との交流の枠組みを活用して、生徒とともに教員同士の交流を広げ、教育力の向上を図るべきです。都教育委員会の見解を求めます。
次に、産業支援について質問します。
高齢化や人口減少が急速に進む我が国においては、景況面でも構造的に閉塞感が漂いがちであり、打開のためには、国内外の消費を大きく喚起する魅力に富んだ商品開発やビジネスモデルが求められています。
例えば、都が主催している若者を対象にしたビジネスプランコンテストでは、毎年千件以上のアイデアが寄せられるなど、東京には想像性豊かな才能が満ちあふれています。
都は、今後、こうした新たな可能性を具体的なビジネスへと結びつける施策の充実を図るとともに、我が党が提言してきた、若者や女性などを企業や商店経営の新たな主役に育てる事業を強化するべきです。創業拡大の活性化に向けた都の見解を求めます。
企業が自社の強みを収益増へと結びつけていくためには、知的財産保護の取り組みが不可欠です。しかし、創業時にあっては資金やノウハウが不足しており、そこまで対応できない状況も見受けられます。
そこで、我が党は、昨年の第四回定例会で、知的財産の保護に向けた支援を国内外を問わず幅広く展開していくよう提案しました。知的財産保護を目的とした都の助成事業や相談窓口には、既に多くの都民の関心が集まっています。今後、質量ともに充実を図るべきと考えますが、見解を求めます。
新たな担い手の確保、育成は、農業分野においても喫緊の課題となっています。生産緑地制度の改善や貸与による耕作の継続などの工夫が、国においても整いつつあります。
公明党はことし二月、党内に設置する都市農業振興プロジェクトチームが都市農業フォーラムを開催し、多くの農業従事者の方々との意見交換を行いました。農地存続に向け、新たな耕作者を募る都の取り組みの強化を求める声が聞かれました。
とりわけ農業と福祉の連携は、相互に多くのメリットをもたらすものと考えます。例えば、我が党は本年一月、都内でNPO法人が運営している就労継続支援B型事業所の農園を視察し、農福連携による精神障害者の就労支援の取り組みが大きな可能性に富むものであることを実感してまいりました。
高齢者の生きがいづくりや障害者の活躍の場としての農地活用を本格化するとともに、近隣の学校も含めた地域住民との交流を図り、農業の持つ力を地域社会に還元していくべきと考えますが、見解を求めます。
知事は所信表明で、都立の農業系高校でGAP認証の取得を進めていく旨の方針を表明しました。認証の取得は、高校生にとって、農業者として成長する貴重な体験であり、誇らしいレガシーになるものと考えます。
その上で、こうした高校生の活動の姿をより多くの都民に知っていただくことができれば、東京二〇二〇大会の機運向上にもつながるものと考えますが、知事の見解を求めます。
次に、都立病院の経営改革について質問します。
都は、本年三月に策定した都立病院新改革実行プランにおいて、都立病院の使命を果たすための経営形態のあり方について検討を進めるとしています。その検討に当たって何よりも重要なことは、将来にわたって都民が都立病院に期待する医療を安定的に提供し続けることであります。
先日、我が党は、都外の地方独立行政法人の病院を複数視察し、調査を行いました。視察先の病院は、専門性や地域特性に応じた医療の展開に加え、県や市の医療課題に即し、救急医療、災害医療、感染症対策などにも大きな役割を果たしていました。
さらに、機能や役割が異なる複数の病院の一体的な運営により、医療面、経営面でのスケールメリットが期待されているとの説明があり、新たな経営形態による機動性を生かし、医療人材の柔軟な確保や働き方改革、患者サービスの向上につながっているとの見解も示されました。
視察を通じて、病院経営のあり方をめぐる議論と行政が担うべき質の高い医療への追求は不可分な関係にあり、相互に支え合う車の両輪的な関係性を目指すことが望ましいと実感したところであります。
我が党は、成功事例だけでなく、課題を抱える事例にも視察先を広げていく予定でありますが、都は今後、都立病院新改革実行プランを踏まえ、都立病院の経営形態のあり方について、都立病院の担う使命をさらに追求した改革という視点に重きを置いて検討を深めていくべきと考えます。見解を求めます。
次に、工業用水道について質問します。
有識者委員会からの提言も踏まえ、知事は今定例会の所信表明で、廃止に向けた動きを進めるとの方針を示しました。
我が党は、首都直下地震等の切迫性が指摘される中、施設の老朽化が限界を迎えている以上、事業の存廃に関する判断の先送りは許されないとして、かねてよりこの問題の重要性を指摘してきました。これを受け、今回ようやく都としての一定の方向性を示したことは一歩前進であります。
しかしながら、いざ廃止するとなればユーザーへの影響は重大で、今回の都の廃止方針に対して、既に多くの方々からの不安と心配の声が我が党に寄せられています。とりわけ、都が十分な支援策を講じてくれるのか、特に廃止に伴い切りかえられる水道料金と現行の工業用水道料金との差額支援の期間を十分確保すべきとの声が多く寄せられております。廃止に向けた動きを進めるには、こうしたユーザーの理解を得ることが欠かせません。
そこで、今回の有識者委員会では、料金差額の支援期間を十年程度としていますが、都は今後、ユーザーの意見を聞きながら、都としての支援期間を早急に示すとともに、十分な支援策を講ずるべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、特殊詐欺防止について質問します。
警視庁の統計によると、平成二十九年の都内における特殊詐欺被害は、九年ぶりに認知件数が三千件を超え、本年においても昨年の認知件数を上回るペースで発生しており、被害に歯どめがかからず、都民の安全な生活を脅かす深刻な状況となっています。
特殊詐欺の犯人として、高齢者等から現金を受け取る受け子や、銀行から現金を引きおろす出し子といった存在があります。この受け子、出し子については、平成二十九年の警視庁の統計によると、特殊詐欺事件の検挙被疑者の約九割が十代から三十代で占めており、アルバイト感覚で軽い気持ちで引き受けたものの、知らない間に加害者になっていたというケースも少なくない実態があります。
そこで、特殊詐欺が減らない現状においては、これまでの被害防止対策に加えて、未来ある若者を特殊詐欺の加害者にさせない取り組みが重要です。若者を加害者にさせない対策強化について、都の見解を求めます。
また、平成二十九年の警視庁の統計によると、特殊詐欺の全検挙者数の約二割を十代が占めています。
学校においても、子供を特殊詐欺などの犯罪に加担させないためのさらなる対策を講じる必要があると考えます。都の教育委員会の見解を求めます。
最後に、平成三十一年度税制改正に向けた取り組みについて質問します。
国は先週、今後の議論のベースとなる骨太の方針を閣議決定しました。この中では、幼児教育、保育の無償化の二〇一九年十月への前倒し実施や、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標など、評価すべき施策が盛り込まれた一方で、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について検討し、平成三十一年度税制改正において結論を得ることが改めて明記されました。
また、総務省は新たな検討会を立ち上げ、具体的な検討を開始しており、都から財源を奪う動きはますます加速しています。
これに対し知事は、東京と日本の成長を考える検討会を立ち上げ、議論を開始したところです。
都は急速に進む少子高齢化への対応や災害への万全の備えなど、都民生活を守るために膨大な財政需要を抱えており、加えて都の活力は日本全体を持続的成長へと導くためにも重要な役割を担っています。
都市と地方で限られた財源を奪い合うという近視眼的、現状維持的な考え方ではない、地方税財源のあり方についての本質的な議論を進めていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
以上で都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 大松あきら議員の代表質問にお答えいたします。
SDGsの視点からの海外諸都市との連携についてのご質問が冒頭ございました。
持続可能な開発目標、いわゆるSDGsですが、経済、社会、環境など、あらゆる分野にわたっておりまして、東京にとりましても重要な課題を掲げております。
先月、東京が主催いたしました環境に関する国際会議におきましても、海外から出席した首長などとともに共同記者会見に臨みまして、その場で、持続可能な都市が地球を救うという自負のもとで、SDGsの達成に貢献していくとの私の願いを申し上げたところでございます。
世界の人口の過半数が都市に集中し、GDPの大半を都市が生み出しております。世界が持続可能な発展を続けていく上で、市民に身近な行政をつかさどる都市の果たすべき役割はますます拡大しております。
都ではこれまでも、姉妹友好都市を初め、二都市間、多都市間で交流、協力を図りながら、大都市共通の課題解決に向けて取り組んでまいりました。
さらに、SDGsの視点を重視いたしまして、さまざまな分野について、海外諸都市との連携を進めて、世界をリードする持続可能な都市東京を目指してまいります。
人権施策の積極的な進展についてのご質問でございました。
都民一人一人に着目をして、誰もがあすに希望を持って活躍できる東京を築き上げること、それが成熟社会においてなお、持続的な成長を生み出す都市を実現することにつながってまいります。そのためには、人権尊重の理念を東京の隅々まで浸透させていくこと、これも極めて重要な課題でございます。
今般、都は、オリンピック憲章にうたわれております、いかなる種類の差別も受けることなくという人権尊重の理念の実現を目指すとともに、新たな人権課題にも対応するために条例を制定いたしまして、誰一人取り残さない社会を築き上げていくことといたしました。
条例制定後は、東京二〇二〇大会を契機に、人権尊重都市東京を国内外に対して発信していくことを通じ、SDGsも踏まえまして、さまざまな人権施策をこれまで以上に積極的に展開させて、大会後のレガシーとしてまいりたいと考えております。
受動喫煙防止条例についてのお尋ねが幾つかございました。
本条例の目的、それは屋内での受動喫煙による健康影響を未然に防止して、人に着目した都独自のルールを構築することでございます。この条例を実効性あるものとするためには、都民、事業者、区市町村のご理解、ご協力が何よりも必要でございます。
そのため、都は、広報誌やSNSなどを活用いたしまして、条例の趣旨や目的について普及啓発に努めてまいります。
また、事業者に対しましては、飲食店における取り組みの事例を紹介する研修会の開催、区市町村に対しても、さまざまな機会を捉えて、条例に関する業務や受動喫煙防止対策への都独自の支援などについて丁寧な説明を行うなど、受動喫煙防止の取り組みへの理解と協力を求めてまいります。
そして、自治体に対する支援でございますが、受動喫煙防止対策を進めるためには、区市町村との連携協力が不可欠であります。
そのため、都は、区市町村が行います住民や施設管理者に対します条例の趣旨や目的の周知、専門相談窓口の設置などに要する費用を全額補助する考えでございます。
また、禁煙外来の医療費などに対しましては、助成を行う区市町村の取り組みについても支援をしてまいります。
それから、飲食店などに対する都の支援についてのご質問がございました。
都では、平成二十七年度から外国人旅行者の受け入れ環境の整備のため、宿泊施設や中小飲食店におけます分煙環境の整備に関する支援を実施してまいりました。
この支援策については、今回の条例案の内容に沿いまして、補助対象を喫煙専用室の設置に見直すとともに、条例による規制の対象となります中小飲食店への補助率を五分の四から十分の九に引き上げるなど、支援内容の充実を図りまして、事業者の負担軽減に配慮する方針でございます。
屋外喫煙所の整備に対する支援についてもご質問がございました。
現在、幾つかの区市で公衆の喫煙所を設置する取り組みが進められていることは承知をいたしております。
また、区市町村との意見交換では、喫煙所の整備に対して支援してほしいなどのご意見もいただきました。
今後、都といたしまして、屋外の公衆喫煙所の設置などに要する経費を全額補助するなど、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを積極的に支援していく考えでございます。
専門家を配置した窓口の設置についてでございます。
条例の施行に当たりましては、都民や施設管理者等の不安を解消して、ご理解、ご協力をいただくことが必要でございます。
そのため、都は、専門相談窓口を設置いたしまして、規制の内容に関するお問い合わせや各種の相談に丁寧に対応してまいります。
また、喫煙専用室の設置などに関するご相談がありました場合には、各施設の状況に沿いました具体的な助言ができるように、専門のアドバイザーを派遣する考えでございます。
加熱式たばこの規制内容についてのお尋ねがございました。
健康増進法の改正案におきましては、飲食店やホテル、旅館、遊技場などの多数の者が利用する施設につきましては、加熱式たばこ専用の喫煙室の設置を認めておりますが、四月二十日に公表した本条例の骨子案では設置を認めておりませんでした。
そのため、加熱式たばこにつきましては、健康影響が明らかでない段階で紙巻きたばこと同じ規制とすべきではない、国と同様の規制内容とするべきなど、さまざまなご意見を頂戴したところでございます。また、国と意見交換をいたしました際にも、法案と整合を図るようにご意見をいただいております。
こうしたことを踏まえまして、本条例では、加熱式のたばこの規制場所につきましては、法案と同様の取り扱いとしたものでございます。
そして、加熱式たばこの今後の取り扱いについてでございます。
加熱式たばこは、その主流煙に健康に悪影響を与えるニコチンや発がん性の物質が含まれていることは、科学的に明らかとなってはおります。ただ、現時点では、受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難ともいわれております。
現在、国は、加熱式たばこによる受動喫煙の健康影響に関する研究を進めておりまして、都は、今後の研究結果を踏まえて、必要な措置を講じてまいります。
障害者差別解消条例の周知についてのご質問がございました。
障害のある人もない人も、ともに暮らす共生社会を実現するためには、社会全体で障害特性や障害者に対する理解を深めることが重要でございます。
そのため、都は、平成二十八年の障害者差別解消法の施行に合わせまして、配慮すべき事項などをまとめたハンドブックを作成して、これまでさまざまな普及啓発を実施してまいりました。本条例成立後には、このハンドブックを改定いたしまして、都民や事業者の方々に説明会やシンポジウムなどを通じまして、一層の周知を図ってまいります。
多様性こそが都市としての発展の原動力でございます。都民一人一人が自分らしく輝くことができる都市、ダイバーシティーの実現を目指しまして、今後とも、障害者への理解促進と差別の解消に全力で取り組んでまいります。
相談や紛争解決の体制についてのご質問がございました。
都におきましては、現在、事業者や障害者から合理的配慮の提供などに関します相談があった場合には、庁内に設置した東京都障害者権利擁護センターにおきまして対応しているところでございます。
本条例の施行後は、障害者差別の解消に知識や経験を有する広域支援相談員を新たに設置いたしまして、助言や関係者間の調整を行うなど、個々の事例に専門的な対応を行ってまいります。
また、相談によりましても、紛争の解決が見込めない場合には、学識経験者、弁護士、障害当事者、事業者などで構成されます第三者機関が、公正中立な立場からあっせん案を当事者に提示いたしまして、紛争の解決を図ってまいります。
こうした取り組みを通じて、条例の実効性を確保してまいります。
それから、障害者への情報保障の推進でございます。
障害の有無によって分け隔てられることのない社会を実現するためには、障害者が円滑に意思疎通できる環境を整備することが必要となります。
このため、本条例では、手話、筆談、点字、拡大文字、読み上げなど、障害者がわかりやすい表現による情報の提供が普及しますように、情報保障の推進を基本的施策の一つとして規定しているところでございます。
そして、都は現在、東京都障害者・障害児施策推進計画に情報バリアフリーの充実を位置づけておりまして、手話通訳者、要約筆記者の育成を行うとともに、区市町村、事業者向けに情報バリアフリーガイドラインを作成いたしまして、事業者等の取り組みを促進をいたしております。
また、お話のように、主税局や水道局など各局におきましては、都民向けの文書に音声コードを付すなどの取り組みを進めております。
こうした取り組みを都庁全体で進めるために、来年度改定をいたします東京都福祉のまちづくり推進計画におきましては、情報バリアフリーの充実をその柱の一つに位置づけまして、障害のある方々への情報保障がより一層進むように取り組んでまいります。
そして、児童虐待防止についてのお問い合わせでございます。
全庁を挙げた児童虐待防止の取り組みについてのお尋ね、虐待を未然に防止するためには、関係機関が連携しながら、援助や見守りが必要な家庭を早期に発見いたしまして、適切な支援につなげていくこと、これは大変重要でございます。
そのため、区市町村では、乳幼児健康診査などの母子保健サービスを受けていない家庭に対しまして受診勧奨を行っており、その中で、特別な理由なく勧奨に応じない家庭や行政の関与に拒否的な家庭などに対しましては、関係機関が情報共有を図りながら、必要な支援につなげております。
都におきましても、身近な地域で交流や育児に関する相談ができる子育て広場の設置や、育児疲れなどに対応した子供の一時預かり、ホームヘルパーの派遣など、子育て家庭を支援するための区市町村の取り組みを支援しております。
また、民生委員、児童委員を初め医療機関や子供食堂、地域の見守りボランティアなどと連携をいたしまして、日常のさまざまな場面で子供や家庭を見守る取り組みを進めております。
児童虐待防止の取り組みを進めるためには、関係各局の連携が重要であることから、新たに副知事をトップといたしまして、子供・子育て施策推進本部のもとに虐待防止のためのプロジェクトチームを立ち上げ、全庁一丸となって、スピード感を持って取り組んでまいる所存でございます。
児童虐待の防止に関する条例の制定についてのご質問でございました。
今回の事件を受けまして、私は、児童相談体制をさらに強化するため、児童福祉司、児童心理司の増員など児童相談所の体制の強化、一時保護所職員の増員などによりまして、二十四時間三百六十五日、子供を見守る体制を強化し、また、警察との連携や法的対応力の強化、地域でのネットワークのさらなる強化を早急に検討するように、関係局に指示をしたところでございます。
また、先ほど申し上げましたように、庁内プロジェクトチームを立ち上げることといたしております。
児童虐待を防止するためには、児童相談所を初め区市町村の子供家庭支援センター、保健所、民生児童委員、保育所、幼稚園、学校、警察、医療機関など、地域の関係機関が一体となって取り組むということが必要でございます。
さらに、都民一人一人が地域で子供や保護者を見守ること、そして保護者もみずからの子育て環境が地域で孤立しないように、支援が必要なときに積極的に子育て支援事業を活用するということも重要でございます。
こうした考えに立ちまして、全ての子供を虐待から守る環境づくりを進めるために、行政の責務、都民の責務、保護者の責務、情報の共有などの内容を盛り込みました都独自の条例を新たに策定してまいります。
東日本大震災による被災地への職員派遣の継続についてのご質問でございます。
都はこれまで、延べ三万人を超える職員を派遣するなど、総力を挙げて被災地支援に取り組んでまいりました。
今も被災地のニーズに即しまして、さまざまな行政経験を持つ事務職、技術職を派遣いたしまして、多様な分野において被災地支援に取り組んでおります。
私自身も、発災直後から被災地を何度も訪れております。そして、知事就任後も、改めて福島県、岩手県、宮城県を訪問いたしまして、復興の進捗、また課題も肌で感じてまいりました。昨年度も、各県の知事と直接お会いし、現地の状況、そして支援の要望をお伺いいたしまして、復興を引き続き後押ししていく思いをさらに強くしたところでございます。
都といたしましては、東京二〇二〇大会に向け、復興した被災地の姿を世界に届けられるように、総仕上げに取り組む被災地への職員派遣を今後も継続してまいります。
東北地域と連携した観光振興についてのお尋ねでございます。
観光面での地域間連携を進めていくことは、東京と日本各地双方の外国人旅行者の誘致を図る上で重要な取り組みでございます。
特に、東京二〇二〇大会やラグビーワールドカップ二〇一九などの国際的なスポーツイベントは、東北の観光の魅力を世界に発信する絶好の機会でございます。被災地の復興を後押しすることにももちろんつながります。
これまで、東京と東北地域の自治体、交通事業者から成る協議会を復興支援としていち早く立ち上げまして、都内と東北を結ぶ観光ルートの情報をウエブサイトで紹介をするなど、双方の魅力を発信してまいりました。
今年度は、新たに、海外メディアの記者の皆さんを招聘いたしまして、ラグビーワールドカップ二〇一九の会場となる岩手県に加えまして、宮城県、福島県のそれぞれの観光スポットもあわせて取材をしてもらうことで、海外での認知度をさらに高めてまいります。
先日、福島県の旅館ホテルの女将会の皆様方から、被災地の現状について直接お話を伺いました。今後も、こうした事業者の声もお伺いしながら、東京と東北地域が力を合わせまして、それぞれの強みを生かした外国人旅行者の誘致を進めてまいります。
被災地支援について、引き続きのご質問でございます。
東京二〇二〇大会は復興オリンピック・パラリンピックであり、被災地の復興なくして大会の成功はないこと、これを常に念頭に置きながら大会の準備を進めております。
これまで都は、東日本大震災発災以降、被災地と都内の子供たちをつなぐスポーツ交流事業、千キロ縦断リレーなど、さまざまな事業を展開いたしまして、復興を支援してまいりました。
私自身、被災地でのフラッグツアーなどを通じまして子供たちの笑顔に触れることで、被災地の未来を担う世代に夢と希望を与えることが大切だということを実感してまいりました。
そして、大会期間中には、中高生による大会でのボランティア活動体験であるとか、観戦機会の提供などを通じまして、被災地の子供たちにも大会の感動を深く心に刻んでもらいたいと考えております。
被災地の子供たちに大会の経験というレガシーを残せるように、今後とも、国、組織委員会、被災県などと連携をいたしまして、これらの取り組みの具体化に向けた検討を進めてまいります。
被災地に学ぶ防災対策についてでございます。
阪神・淡路大震災や東日本大震災など、過去の震災の経験や取り組みから学ぶことは、都民一人一人の防災意識を高め、自助、共助の取り組みを進めるためにも重要でございます。
都はこれまで、防災について学ぶ都民向けセミナーで、避難所における経験談を紹介するなどの取り組みを進めてまいりました。
しかし、東日本大震災から七年がたち、震災の記憶が風化しつつある中、改めて当時の状況を思い起こし、都民の防災意識を高めていくことは重要でございます。このたびの大阪府北部の地震にも、またあのときの記憶を呼び起こさせてくれたものと思います。
そのため、被災者によります体験談、発災時に役立つ防災人材ネットワークづくりなど、震災の教訓を踏まえた取り組みの紹介を被災地と連携して実施するなど、都民向けセミナーの充実を図ってまいります。
今後とも、被災地に学びながら、都民の防災意識の向上と、自助、共助の取り組みの推進を図り、誰もが安全・安心を実感できるセーフシティー東京の実現を目指してまいります。
次に、電動バイクの普及に向けた取り組みについてご質問がございました。ありがとうございます。
大気汚染対策やCO2の削減を加速するためには、走行時に排出ガスを出さないゼロエミッションビークルの普及が急務でございまして、世界中のメーカーで今、開発競争が繰り広げられております。
こうした中、四輪車同様、ガソリン車が中心であるバイクにつきましてもゼロエミッション化が重要であって、世界シェアの約五割を占める我が国のメーカーには先導的な役割を果たしてもらいたいと考えております。
そこで、先日、日本自動車工業会に訪問をいたしまして行ったゼロエミッションビークルの普及に向けた要請でございますが、電動バイクの大型化を目指した技術開発などについても要望したところでございます。
都におきましては、今年度から事業者全般を広く対象として、国の補助とあわせて、ガソリン車を購入するのと同程度の負担で電動バイク、EVバイクを導入できる補助制度を実施し、普及を図ってまいります。
また、大規模なスポーツイベントなどで迅速な応急救護などを行うための救急EVバイクを導入してまいります。
これらの取り組みによりまして電動バイクの普及を図って、メーカーの技術開発を誘導しながら、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいりたいと考えます。
都立農業系高校のGAP認証取得についてのご質問でございます。
世界的に食の安全や環境保全、労働安全などに配慮した農業が求められる中で、都は、都市農業の特徴を反映いたしました都独自の東京都GAP認証制度を今年度から開始をいたしまして、農産物の安全・安心の確保と、環境に配慮した持続可能な東京農業を推進いたしております。
都立の農業系高校、五校ございますが、GAP認証の取得に向けた取り組みを開始いたしております。生徒たちが適切な農業生産工程管理を学ぶということは、高い教育効果を生むだけではございません。持続可能な東京の都市農業を担う人材の育成にまさに貢献するものと考えます。
また、GAP認証を受けて生産した農産物を、学校の文化祭や地域のイベントの場で販売することなどを通じまして、広く都民の皆様に知っていただくことは、生徒にとりまして大きな励みになると考えております。
こうした取り組みが東京二〇二〇大会への食材の提供につながる、そして都立の農業系高校や生徒たちの大会後のレガシーとなっていくことを期待しております。
そして、最後に、地方税財源のあり方についてのご質問がございました。
国はこれまで、ご指摘のように不合理な税制度の見直しによりまして、東京から累計で六兆円もの財源を奪ってきており、平成三十一年度税制改正におきましても、東京を初め、都市部の財源をさらに奪おうとする動きを見せております。
こうした東京を標的とした税制度の見直しは、地方が抱える財源不足の根本的な解決にはつながりません。このような目先の対応に終始する姿勢が、日本の将来を考える上で果たして望ましい姿なのかどうか、首都東京を預かる者として強い危惧を抱いているところでございます。
東京、そして日本を持続的成長に導くためには、首都東京が力強い牽引役となって、各地方もみずからの権限と財源をもって地域を活性化させることが重要であって、そのためには、真の地方分権を見据えた地方税財源のあり方について大局観を持った本質的な議論を行うこと、これが不可欠でございます。
そこで、東京、日本の将来に対しまして、こうした同じ思いを抱く都議会各会派の皆様や都内区市町村の代表の方々に加えまして、より幅広い議論を行うために、学識経験者やジャーナリスト、そして経済の第一線でご活躍されておられる企業経営者や経済団体の方々を交えまして、新たに検討会を立ち上げて、腰を据えて議論を行っていくことといたしました。
こうした議論を踏まえまして、オール東京で一致団結をして、税制改正に向けた都の主張に一層磨きをかけ、強力に発信をしていく、そのことで都民、国民の皆様の理解と共感を広げていきたいと考えております。
なお、その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、公立学校における通学路の安全対策についてでございますが、児童生徒が安心して登下校できるようにするために、通学路の安全確保は大変重要でございます。
都教育委員会はこれまでも、区市町村教育委員会や関係機関と連携し、交通安全等の観点から通学路の安全点検を実施してきておりますが、昨日、大阪で発生した事態を踏まえ、区市町村教育委員会とも連携しながら、災害時におけるブロック塀等の危険性の把握という視点から、通学路の状況を改めて早急に点検し、児童生徒のより一層の安全確保を図ってまいります。
次に、海外の教育行政機関との覚書に基づく教員同士の国際交流についてでございますが、生徒に有意義な国際交流の機会を提供するためには、教員が海外の文化や教育に対する考え方に触れ、国際交流の意義を実感することが重要でございます。
都教育委員会は、これまでに七都市等と覚書を締結しており、その一つであるカナダ・ブリティッシュコロンビア州との間で、双方の教員が文化や教育事情を紹介し合う情報交換会等を平成二十八年度から開催してまいりました。参加者からは、複数の学校と直接対話して多様な教育状況を知る機会は貴重であるなど、好評を得ているところでございます。
今後、こうした取り組みを教員同士の国際交流モデルとして確立し、覚書締結先を初めとする他の国、地域にも展開をしてまいります。
次に、姉妹校交流等に基づく教員の交流についてでございますが、姉妹校交流等を積極的に推進している学校では、互いの学校を訪問する際に、学校生活における特色ある活動や国際交流に関する取り組みについて紹介し合うなど、教員同士の交流機会の確保に取り組んでおります。
そこで、都教育委員会は、こうした姉妹校交流を初めとする多様な国際交流に先駆的に取り組んでいる都立学校十五校を他校の牽引役として、本年五月、国際交流リーディング校に認定いたしました。
今後、リーディング校において、教員同士が主体的かつ継続的に交流する手法を検討、開発していく取り組みを支援するとともに、その実践を他校にも発信していくことで、教員の国際交流にかかわる実践力や指導力を向上させてまいります。
最後に、学校における特殊詐欺への対策についてでございますが、子供が特殊詐欺に巻き込まれることを防ぐためには、犯罪の実態を理解させるとともに、みずからの正しい判断によって行動できるように指導することが必要でございます。
そのため、都教育委員会は、警視庁と連携し、各学校のセーフティー教室等において、子供がさまざまな誘いを断れず犯罪に加担させられた事例等を示すことで、危険な行動を回避するための適切な意思決定や的確な行動選択ができる力を育む指導の推進を図ってまいりました。
今後、都内全公立学校の生活指導担当者対象の連絡会等において、複雑巧妙化する特殊詐欺の現状に関して警察官による講演を実施するとともに、警視庁が作成したDVD教材の学校での活用を促すなどして、子供が犯罪に巻き込まれないための指導を一層強化してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
まず、被災地におけるライブサイトについてでございますが、被災地の皆さんに大会の感動と興奮を共有していただき、復興の力につなげていただくことは重要でございます。
そのため、都は、リオや平昌大会に合わせまして被災地においてライブサイトを開催し、地元選手の応援などを通じて多くの方々に楽しんでいただいたところでございます。
東京二〇二〇大会期間中、都は、東北被災三県と熊本県においてライブサイトを実施する方針でございます。現在、各県の意向を伺いながら、具体的な開催場所や実施日程の協議を行っているところであります。
被災地の方々に大会の雰囲気を身近な場所で体感していただけますよう、ことしの秋ごろに予定しているライブサイト基本計画の策定に向けまして、着実に準備を進めてまいります。
続きまして、コミュニティライブサイトへの支援についてでございますが、東京二〇二〇大会の盛り上げのためには、都が実施する国内外の観戦客を広く受け入れるライブサイトに加え、区市町村が身近な場所で実施する地域のコミュニティライブサイトの取り組みを推進することが必要でございます。
リオや平昌大会の際にも地域での応援の希望があり、都内の多くの自治体で大会競技のライブ中継を実施し、都はさまざまな支援を行ってまいりました。
コミュニティライブサイトにつきましては、現在、組織委員会が実施スキームを検討中でございまして、近く概要を公表する予定であります。都としては、区市町村の希望に沿った円滑な実施ができますよう、組織委員会と協議を進めているところであります。
今後とも、都内全域での盛り上げにつなげるため、区市町村の取り組みを積極的に後押ししてまいります。
次に、ライブサイトにおける情報バリアフリーの取り組みについてでございますが、誰もが必要な情報を得て大会を楽しんでいただけるよう、配慮や工夫を行うことが重要であります。
そのため、リオや平昌大会時に都が実施したライブサイトでは、大きな文字による案内サインや人的サポートを適切に実施できるよう、スタッフへの周知徹底を図ってまいりました。過去大会の現地のライブサイトでも、わかりやすい案内サインや観覧しやすい優先エリアの設置等の対応がとられておりました。
東京二〇二〇大会のライブサイトにおきましては、現在検討中である競技会場内の取り組み等も参考に、関係団体等とも連携を図りながら、障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめる環境整備に向け、検討を進めてまいります。
次に、障害者等の動線のバリアフリー化についてでございますが、障害のある方などが利用する駅や道路、競技施設は、それぞれ異なる主体が管理しておりますことから、都や組織委員会が調整の中心となり、一貫性、連続性を持って移動経路を確保していくことが重要であると考えております。
このため、大会時のバリアフリー化の指針でありますアクセシビリティ・ガイドラインや、障害者等の動線となるアクセシブルルートの案を公表いたしました。
それらの内容を踏まえ、ルート上の段差解消のほか、エレベーターや誘導ブロックの設置等について、鉄道事業者やおのおのの施設管理者等に働きかけを行い、既に駅や道路、競技施設で対策が始まっているところであります。
引き続き、組織委員会等と連携し、駅から客席までの一体的なバリアフリーの確保を着実に進めてまいります。
最後に、大会情報の提供についてでございますが、障害者等に円滑かつ安全に大会会場に来ていただくためには、必要な情報をおのおのの障害特性やニーズに応じた手段によって適切に提供することが重要でございます。
このため、アクセシビリティ・ガイドラインでは、必要な情報が事前に行き渡りますよう、音声読み上げに対応したホームページや点字つきの刊行物等を準備するとともに、大会時には、会場等の案内標識にピクトグラムや矢印を用いることなどで、外国人なども含めまして、あらゆる方々にわかりやすい情報提供を進めていくこととしております。
今後、過去大会の教訓なども踏まえつつ、バスの乗降場など、移動に関しての必要な情報や当日変更があった情報を障害者等ができる限り迅速に入手できる方法について、組織委員会と連携し、検討してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕
○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えをいたします。
初めに、福島県へのMICE誘致についてでございますが、都は、東日本大震災による復興支援のため、緊急対策の一環といたしまして、被災地応援ツアーを実施し、主として観光目的の旅行を促進することで、宿泊や飲食等、現地での消費の喚起などに取り組んでまいりました。このツアーにより、平成二十九年度末までに、宿泊では約十七万九千泊、日帰りでは約六万一千人分について助成を行ったところでございます。
今後は、ビジネス目的の旅行者にもより多く福島県を訪れていただくため、観光パンフレットの配布のほか、MICE誘致の支援制度等のPRにも協力するとともに、県や県内各関係団体等のMICE誘致に向けた取り組みの現状や意向を確認しながら支援内容を検討してまいります。
引き続き、福島県の震災からの復興を後押ししてまいります。
次に、若者や女性による創業への支援についてでございますが、東京の産業の発展に向け、その新たな担い手となる若者や女性の起業を支援することは重要でございます。
都では、若者のすぐれた事業プランを表彰し、起業を後押しするほか、女性の創業の計画づくりをサポートするサービスや創業時の賃料等の経費への助成を行っております。また、商店街に出店する若者等をふやすため、店舗の運営を学ぶチャレンジショップの提供や、開店に向けた改装費用等に補助を実施しております。
今年度は、創業時の経費への助成の規模を拡充いたしますほか、商店街におけるチャレンジショップを新たに多摩地域に開設するとともに、開店費用への補助制度の充実も図ります。
今後も、さまざまな施策のレベルを高めながら、引き続き、若者や女性による創業を着実に支援してまいります。
次に、中小企業の知的財産の活用等についてでございますが、都内の中小企業がすぐれた技術を知的財産として有効に保護し活用できるようにするためには、適切な支援を行っていくことが重要でございます。
都では、知的財産総合センターにより、中小企業が知的財産を活用し収益を確保する戦略づくりをサポートいたしますほか、特許等に関するトラブルを解決する相談対応を行っているところでございます。また、外国での特許の取得に必要となる経費への助成を実施しております。
今年度から、中小企業の知的財産の活用のニーズの高まりに対応するため、相談体制の充実を図っております。また、海外での著作権の登録に必要な経費への助成を開始いたしますほか、創業に必要な費用を補助する制度において、特許取得のコストも新たに対象としているところでございます。
今後とも、中小企業の知的財産の活用等を積極的に支援してまいります。
最後に、農業の持つ力の地域社会への還元についてでございますが、都市農業や農地は、農産物の生産に加え、環境や防災等の多面的機能を有しており、その機能を発揮し、地域住民の彩りのある生活に貢献することが期待されているところでございます。
都は、今年度から開始をいたしますシニア向けセミナー農園事業において、高齢者が指導を受けながら、農業の体験や技術の習得に取り組む機会を提供いたしますとともに、地元自治体等と連携して収穫祭を開催するなど、地域の学校や住民との交流活動を実施する予定といたしております。
また、今後、都市農地保全支援プロジェクトを活用した福祉農園や学童農園の整備を区市町に積極的に働きかけることにより、障害者の参加や子供の農業体験の場づくりを後押ししてまいります。
こうした取り組みを通じて、農業の持つ力を地域コミュニティの活性化に生かしてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕
○環境局長(和賀井克夫君) 七点のご質問にお答えいたします。
まず、高尾地区自然公園管理運営協議会についてでございますが、明治の森高尾国定公園とその周辺を対象に、管理運営協議会を昨年十一月に設置し、高尾・陣場地区自然公園管理運営計画案の策定や地域の活性化に取り組んでまいりました。
管理運営計画案では、関係者の意見を取り入れながら、自然景観と調和した建物の色彩やドローン使用ルールなどを示したものでございまして、今後、パブコメ等も反映し、夏までに取りまとめを行ってまいります。
また、活性化策としまして、協議会の提案や協力により、高尾山で初となる登山届ポスト設置や、地域の魅力をビジュアルで伝えるホームページの制作などを実施してまいりました。さらに、国定公園指定五十周年の機会を捉えた魅力的なイベントやシンポジウムの実施などを通じて、より一層高尾地区の盛り上げを図ってまいります。
次に、レジ袋、プラスチックごみ対策についてでございます。
商品を持ち帰るために一回だけ使用され、そのまま捨てられるレジ袋は、もったいない資源利用の代表でございます。
都では、昨年十一月から、販売事業者、消費者団体、区市町村などとの意見交換の場を設け、レジ袋の無料配布ゼロに向けた取り組みについて議論を重ねております。先日開催いたしました環境国際会議におきましても、レジ袋を初めとするプラスチック対策が大きな話題になりました。
今後は、さまざまな主体を巻き込んだ、チームもったいないの重要なテーマの一つとして、店舗へのマイバッグ持参の呼びかけなどを含めたレジ袋の削減キャンペーンを本年秋に展開するほか、区市町村との共同検討会なども通じて、プラスチック製容器包装などを使い捨てにしないライフスタイルへの転換を強く推進してまいります。
次に、使用済み紙おむつのリサイクルについてでございます。
持続可能な資源利用に向けましては、可能な限り3Rを推進し、廃棄物の最終処分量を減らしていく必要がございます。
使用済み紙おむつにつきましては、汚物を含む廃棄物であるため、衛生管理の徹底が必要であり、現在、その多くが焼却処分されております。
そうした中、全国の一部の市町村では、分別収集し、燃料等にリサイクルしている事例がございます。また、回収した紙おむつを滅菌処理した上でパルプ繊維に再生し、そこから再び紙おむつの原料としていく先駆的な実証実験も行われております。
都としましては、こうした実証実験の結果等も踏まえながら、紙おむつの衛生的かつ効率的なリサイクルについて、区市町村とも意見交換をしてまいります。
次に、都有施設のPCB含有機器の保管状況についてでございますが、平成二十九年度の保管状況の届け出により、高圧トランスは十六台、高圧コンデンサーは九十五台、照明用安定器は七万一千六百二十七個を把握してございます。
次に、都有施設におけるPCBの全数調査についてでございますが、PCBの適正処理を徹底するには、PCBを含有する電気機器の所在を確実に把握する必要がございます。
都はこれまで、全庁の連絡協議会を通じて、高圧受電施設について倉庫等に保管されたままのものがないかなど、確認を徹底してまいりました。
さらに、今年度からは、低圧受電施設についても調査を拡大し、照明用安定器等のさらなる全数調査に向けた掘り起こしを行ってまいります。
次に、民間事業者によるPCB調査についてでございますが、都はこれまで、高濃度PCBを保有している可能性のある事業者に対し、掘り起こしを目的とした全数調査を効率的に行うため、電気機器等に表示されているメーカーや製造年などの情報からPCB含有の有無を知るチェック方法を示してございます。
今後とも、PCB含有の有無を知ることのできる効率的な方法について、事業者の声を聞きながら、さらに検討を進めてまいります。
最後に、事業者に対するPCB処理促進の取り組みについてでございますが、都はこれまで、法に基づく毎年の届け出の機会を通じて期限内処理を促すとともに、中小企業等に対しましては、処分費用に対する国の補助制度に加え、都独自の収集運搬費用に対する補助を実施してございます。
さらに、事業者の使用及び保管状況の公表につきましても、今年度からできるだけ前倒しするとともに、PCBの処理促進につながる民間ノウハウの活用方法についても新たに検討してまいります。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕
○病院経営本部長(内藤淳君) 都立病院におけます経営形態の検討についてでございますが、都立病院は、周産期医療や救急医療など、他の医療機関では対応困難な行政的医療に取り組み、その中核的な役割を果たしております。
この役割を将来にわたり果たし続けるためには、一層の経営改善に取り組むとともに、病院事業を支える医療人材を柔軟に確保、活用するなど、都民、患者のニーズに迅速に対応できる病院運営が不可欠であります。
そして、その実現のためには、都の医療政策の推進に都立病院が積極的に貢献できるよう、都による適切なガバナンスを行えること及び採算の確保が困難な行政的医療を安定的に提供するための財源を引き続き措置できることが重要であると認識しております。
こうした観点に立ち、みずからの使命にかなう経営形態のあり方につきまして、引き続き丁寧に検討してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕
○財務局長(武市敬君) 工業用水道ユーザーに対する支援策についてでございますが、工業用水道の廃止に向けた動きを進めるに当たりましては、ユーザーの理解を得ることが何よりも重要でございます。
こうした観点から、料金差額の支援期間の検討に当たりましては、ユーザーの声にしっかり耳を傾けながら、上水道への切りかえに伴い急激な負担増を招くことのないよう、多角的かつスピード感を持って進めていくことが重要でございます。
今後とも、ユーザーに対して事業の方向性を丁寧に説明するとともに、寄せられた意見や要望も踏まえながら、関係各局と連携し、料金差額の支援期間を含め、きめ細かな支援策を検討してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕
○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 特殊詐欺対策についてでありますが、若者がアルバイトと称して暴力団等から受け子などに誘われる等して、検挙人員がふえており、若者を加害者にさせないための取り組みが重要と認識しております。
このため、都は、中学校や高校において暴力団等が甘い言葉で受け子に勧誘する防犯公演を行うなど、若者が犯行に利用されないための啓発を実施しております。
さらに、今年度は、犯罪の重大性や受け子などで捕まった場合の罪の重さ等を認識させるリーフレットを作成し、広く周知するとともに、勧誘された若者などが気軽に相談できる窓口、若ナビαを紹介し、広報、啓発の一層の強化を図ってまいります。
今後とも、警視庁や学校、地域の方々等と連携し、若者を加害者にさせない取り組みに全力を尽くしてまいります。
○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後六時三分休憩
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