平成三十年東京都議会会議録第四号

   午後四時五十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十番佐野いくお君。
〔七十番佐野いくお君登壇〕

○七十番(佐野いくお君) 初めに、治安対策について伺います。
 昨年九月に開催された第三回世界保護観察会議公式レセプションにおいて、小池東京都知事は挨拶で、東京都は、安全なセーフシティー、誰もが輝けるダイバーシティー、金融や環境にすぐれたスマートシティーの三つのシティーをつくることを掲げている、日本では、刑法犯で検挙された人の数は近年大幅に減少している、しかし一方で、再犯者の比率は上昇しており、刑法犯の約半数を占める、つまり、再犯をいかに食いとめるかが東京をセーフシティーにする鍵となる、犯罪の抑止には、犯罪を犯した人が社会で受け入れられ、社会を構成する一員として生活できる環境の整備が重要であり、それがダイバーシティーにもつながると述べられたと聞いています。
 そこで、東京都における再犯防止対策、犯罪予防活動、保護司活動との連携などについて伺います。
 まず最初に、国は、平成二十八年末に施行された再犯の防止等の推進に関する法律に基づき、昨年十二月には再犯防止推進計画が閣議決定され、平成三十年度から五年間を計画期間として、各種施策を総合的に推進していくこととしています。
 これらの施策は、国のみならず、地方公共団体、民間が一体となって進めていく必要があり、同法律においても、地方公共団体が地方再犯防止推進計画を定め、地域の状況に応じた施策を策定し、実施することが求められています。
 そこで、同法を受けて、都内区市町村との連携を含め、東京都としての再犯防止に対する考え方と取り組み状況、今後の対応について知事に伺います。
 次に、再犯防止には、知事の挨拶にもありましたが、犯罪を犯した人が社会で受け入れられ、生活ができる環境の整備が重要となっています。東京都では、この施策の一つとして、平成二十三年五月に東京都地域生活定着支援センターを開設しましたが、これまでの成果と課題及び今後の取り組みの考え方について伺います。
 次に、全ての国民が、犯罪や非行の防止と、罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない明るい地域社会を構築することを目的とした、社会を明るくする運動が展開されています。東京都として、社会を明るくする運動の推進を含めた再犯防止啓発活動についての状況と、今後の取り組みについて伺います。
 次に、都内では、私や同僚議員の何人かを含め、およそ三千五百人の保護司が更生保護の諸活動を展開しています。国は、その保護司で構成する地域の保護司会の更生保護活動の拠点ともなる、更生保護サポートセンターの設置を進めています。
 このセンターは、面接を初め研修、会議の場等として活用されているほか、更生保護関係者のみならず、地方公共団体、学校、福祉、医療等の関係機関との連携強化にも寄与しています。充実した保護司活動のために大きな機能を発揮しているセンターです。
 都内においても更生保護サポートセンターの設置は進みつつありますが、未設置の保護区も多く残っています。
 今後、設置をさらに進めていくための都の取り組みについて伺います。
 次に、教育環境の整備について伺います。
 東京都は、「十年後の東京」への実行プログラムで校庭芝生化を主要事業として位置づけ、平成十七年度より推進してきました。所管は環境局で、当初の目的は、先進的なヒートアイランド対策として、その後は地域の新たな緑の拠点づくりとして、いわば環境対策が主目的でした。
 平成二十五年度以降は教育庁の所管となり、教育委員会のホームページでは、教育環境の一層の充実のため、都内全公立小中学校の校庭等の芝生化を推進している。芝生化で児童生徒の日常的な運動量が増加し、たくましく健康な体を育むことができるだけでなく、理科教育、環境教育の面でも体験的な学びの機会が増加するとしています。
 しかし、芝生化はなかなか進んでいません。平成二十八年度末で、小学校千二百七十一校中、千平方メートル以上は百四十八校で、整備費の実績もピーク時の四分の一程度となっています。要因には、整備費の問題、高い維持管理費、教職への負担、養生のための利用制限、ボランティア不足、野球等校庭使用団体等からの反対などがあり、区市町村からなかなか手が挙がらないためです。
 また、二〇二〇年に向けた実行プランでは、主要事業として掲載されていません。教育委員会は、芝生化には二分の一の都の補助金を使えるが、小学校施設の整備は、一義的には区市町村の判断で行うものだからという姿勢に見えます。
 私は、小学校では、教育上遊べる環境の整備は不可欠で、そのためにも校庭を芝生化すべきと考えます。思わず走り、転げ回りたくなる芝生の校庭は、小学生年代こそ必要です。これは、平成十七年度からかかわる地元の全面芝生化した小学校での経験から、そう思うのであります。
 芝生の効果は、多くの研究で実証されています。遊び、運動の種類や動作がふえ、ストレスが低減されます。注目すべきは、子供の心身の成長に大きく役立つということです。季節によらず外遊びができ、雨の翌日でも水たまりはなく、雪は積もりやすく、土汚れのない雪で思い切り遊べます。けがなく体をぶつけ合い、寝転び、遊びの輪が大きくなります。温暖化防止、土の飛散防止、環境美化、身近な自然など、環境面以上に健康、教育面での必要性を認識すべきだと考えます。
 そこで、まず小学校の校庭芝生化について、現在、都はどのような目的を持ち、どのような目標で、どのように取り組んでいるのか、基本的方針と取り組み姿勢を伺います。
 次に、私の地元、小平第十三小学校の場合ですが、維持管理に年間約五百万円と、週三回の芝刈りボランティアが延べ四百五十時間かかっています。仮に市内の全十九小学校を芝生化すれば、約一億円です。毎年、維持費がかかる上、枯れる心配や利用制限もあると考えたら、とても難しい。
 では、なぜ欧米諸国では芝生が当たり前なのでしょうか。さきのオリンピックのころ、珍しかった体育館やプール、今では当たり前になっています。なぜそれと同じことにならないのでしょうか。
 一つは事業の進め方です。維持管理に地域の力を取り込み、学校の活性化を図ろうというやり方は、よさそうに見えますが、素人に管理の一端を担わせるのは無理があります。学校の芝生は造園的芝生とは異なる、スポーツターフという運動施設専用の芝生です。これを整備、維持管理するには、専門技術者の育成が必要で、外国製に依存している肥料、スプリンクラー、芝刈り機、エアレーション機械など、資機材の製造なども日本の一産業として成り立たせ、雇用を生み出してこそ、運動用芝生という新たな文化、意識が育つと考えます。
 これは、欧米諸国では当たり前の無電柱化のおくれや、一人当たりの公園面積の極端な低さに通じる問題で、そもそも国が学校施設の標準とすべきものですが、スマートシティーを目指す都として、先駆的に取り組んでもよい施策ではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。
 現在、校庭を全面芝生化している小学校と土のままの小学校との教育環境の格差を放置していてよいとは思えないのですが、教育面での校庭芝生化についてどう考えるのか。その上で、これまで同様の区市町村主体の事業を継続するだけなのか、遊びや運動用芝生という新たな芝生文化醸成をも見据えた芝生化事業に踏み出す考えがあるのか、見解をお伺いいたします。
 最後に、都市整備について伺います。
 昨年十二月に、地元小平市より、小平市の道路整備及び地域整備に関し、東京都の取り組みが必要な事項について要望いただきました。要望は大きく二点で、一点目は、踏切道における歩行者等の安全性向上、二点目は、市街地再開発事業の円滑な推進と関連する都道の区域編入の協力です。
 以下、これらの要望に対する都の取り組みについて伺います。
 まず、市内における都道の踏切道には、あかずの踏切や歩行者道と車道が錯綜する歩道幅の狭い箇所が残っており、歩行者等にとって危険な状況です。特に、都道青梅街道と西武多摩湖線が交差する一橋学園第四号踏切は、歩道幅員が狭く、通勤通学や買い物客が多い時間帯には、踏切待ちをしていた歩行者等と車両が錯綜する状況が生じており、改善措置を講ずる必要があると考えますが、都の現状認識と今後の取り組みについて伺います。
 次に、都道小金井街道や青梅街道が西武新宿線と交差する踏切は、東京都が平成十六年六月に策定した踏切対策基本方針において、重点踏切とされています。このような踏切の抜本的対策としては、方針の中で鉄道立体化の検討対象区間として位置づけた、西武新宿線田無から花小金井駅付近の区間の事業化の推進が必要と考えますが、今後の取り組みについて都の見解を伺います。
 最後に、市街地再開発事業についてです。
 小平市の小川駅西口地区及び小平駅北口地区の二カ所では、都市計画マスタープラン等で掲げた都市の将来像を目指すため、地元地権者を中心とした市街地再開発準備組合の施行による市街地再開発事業の検討が進められています。
 小平市では、駅前広場などの都市計画道路が未整備なこと、防災面の配慮が必要なこと、あかずの踏切への対策の検討が必要なことなどの面から、事業の早期実現に向けて準備組合を支援しています。特に、私の地元である小川駅西口地区では、十年以上前に再開発準備組合が設立され、ようやく地元の機運も盛り上がってきた状況にあります。
 この再開発事業の実現には、予定地区内に都道も含まれることから、東京都の横断的な協力を得ながら、都市計画法や道路法等、関係法令に基づく手続が必要であり、今後、協議の円滑な進行に特段の配慮をお願いしたいと思いますが、小川駅西口再開発の計画に対して、都としてどのように支援をしていくのか見解をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 佐野いくお議員の一般質問にお答えをいたします。
 再犯防止推進法を踏まえた対応についてのお尋ねがございました。
 セーフシティー実現のためには、地域の防犯力を強化して犯罪を未然に防ぐ、そのことに加えまして、犯罪を犯した者等の立ち直りを支援して、犯罪や非行の繰り返しを防ぐ再犯防止の取り組みも不可欠でございます。
 また、犯罪をした者等が社会の一員として受け入れられる環境の整備は、誰もが活躍できるダイバーシティーの観点からも重要と考えます。
 再犯防止推進法の成立を受けまして、都は、国や関係機関、団体、区市町村と協議を進めまして、再犯防止の推進に係る問題認識を共有して、連携を強化してまいりました。
 国の再犯防止推進計画を踏まえまして、来年度は都としての計画策定のための検討会を立ち上げます。そして、都内で犯罪をした人の立ち直り支援に取り組む各分野の関係者から、現場の実態や要望を伺いながら、再犯防止に向けました具体的な取り組みの検討を進めてまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立小中学校における校庭芝生化についてでございますが、学校施設等の整備については、設置者である区市町村がその役割を担っており、地域の実情や各学校の特色等を勘案し、それぞれの判断で取り組んでおります。
 都教育委員会は、校庭芝生化が教育環境整備にとって有効な取り組みの一つであることから、区市町村教育委員会が定める学校の整備方針に基づき、計画的な校庭芝生の整備に対して、工事費や芝生化後の維持管理費の補助、専門家派遣による技術支援などを行っております。
 引き続き、区市町村教育委員会の校庭芝生化の取り組みを支援し、子供たちの良好な教育環境の確保に努めてまいります。
 次に、校庭芝生の教育面の効用と事業のあり方についてでございますが、芝生の校庭は、子供たちの外遊び、自然体験、運動などが活発化するなど、子供の成長に有用な環境であります。
 このような校庭の芝生化を進めるに当たっては、土壌や日照、校庭の活用状況や整備後の維持管理の負担など、さまざまな検討要素があり、区市町村教育委員会では、学校の実情を踏まえて取り組んでおります。
 都教育委員会は、区市町村の整備方針に基づき財政支援を行うほか、地域との協働による維持管理や芝生を活用した地域行事の開催など、学校と地域とのコミュニティ形成支援を行っております。
 また、専門家による知識、技術に関する助言指導の実施等にも取り組んでおります。
 引き続き、区市町村教育委員会と連携し、芝生の良好な維持管理等に努めてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点の質問にお答えをいたします。
 まず、西武新宿線の田無駅から花小金井駅付近の立体化についてでございます。
 本区間は、都が平成十六年に策定した踏切対策基本方針において、お話のように、鉄道立体化の検討対象区間である二十区間の一つに位置づけてございます。
 鉄道の立体化については、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元市が主体となり、地域の将来像や鉄道立体化を契機としたまちづくりの方針などを検討することが必要でございます。
 また、本区間は、未整備の都市計画道路と二カ所で交差しており、道路整備計画との整合を図る必要がございます。
 都として、地元市のまちづくりの取り組みを支援しつつ、その状況や道路整備計画の具体化などを踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、小平市小川駅西口地区の再開発計画についてでございます。
 当地区は、交通広場が未整備で、防災面でも老朽化した住宅や商店が密集するなど、課題を抱えてございます。再開発事業の実施によって、商業の活性化とともに、交通広場など基盤整備を進め、にぎわいや交流が育まれる災害に強い市街地の形成を図る必要がございます。
 既に設立されている再開発の準備組合が、現在、地元市と協力しながら、来年度の都市計画決定を目指して、関係機関との協議や権利者の合意形成に努めてございます。
 本地区は地元市で初めての再開発事業であるため、都は、人事交流を通じて市へのノウハウ提供などを行っており、来年度からは財政的な支援も実施する予定でございます。
 今後とも、早期の事業化に向けて、市及び準備組合の取り組みに対し支援を行ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 東京都地域生活定着支援センターに関するご質問にお答えをいたします。
 センターは、矯正施設退所後、福祉的な支援を必要とする高齢者、障害者を対象に、入所中からの帰住先の調整や退所後の受け入れ施設への支援、家族等の相談支援を行っております。
 平成二十三年の開設から昨年末までに約七百人を支援しておりますが、退所後の地域生活への定着に向けた帰住先の社会福祉施設や区市町村等へのフォローでは、心身の状況に合わせたさまざまな支援が必要となるケースがふえ、その長期化が課題となっております。
 今後、更生保護施設や区市町村等との連絡会や、事例を交えた社会福祉施設との意見交換等を通じて、一人一人の特性をきめ細かく把握し、円滑に地域定着が図られるよう、関係機関との連携を一層強化してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 二点についてお答えいたします。
 再犯防止に関する啓発活動についてでございますが、罪を犯した人が再出発できる社会を構築し、これらの人々が地域で孤立することなく生活できる環境を整備することは、セーフシティーのみならず、ダイバーシティーを実現する上でも重要であります。
 都は、法務省東京保護観察所や区市町村等と連携し、七月の強調月間でのキャンペーン行事など、社会を明るくする運動を通じて、立ち直ろうとする人の受け入れや支援が社会全体で進むよう、啓発活動を行っております。
 さらに、更生保護活動等について都民の理解を深めてもらうため、地域で活動する方々に毎年配布する情報冊子において紹介をしております。
 今後とも、さまざまな機会を通じて、再犯防止の理解促進につながる情報を積極的に発信してまいります。
 次に、更生保護サポートセンターの設置促進についてでございますが、更生保護サポートセンターは、保護観察対象者との面談場所として活用されるなど、保護司の方々の活動を支える重要な役割を果たすものであると認識しております。
 都内では、制度が開始された平成二十年度以降、順次設置が進められており、三十三の保護区のうち、現在、二十一保護区に設置されております。
 更生保護サポートセンターは国が所管していることから、今後もさらなる設置促進を国に対して働きかけるなど、保護司の方々が活動しやすい環境の整備に取り組んでまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 踏切の安全対策についてでございますが、都は、歩行者の安全で円滑な通行を確保するため、歩道が狭隘な踏切や事故の危険性が高い踏切におきまして、踏切内のカラー舗装や歩道拡幅などの安全対策に取り組んでおります。
 都道青梅街道と西武多摩湖線が交差いたします一橋学園四号踏切につきましては、道路に隣接した遮断機が支障となり、踏切内の歩道幅員が狭くなっていることから、鉄道事業者に対しまして遮断機の移設を要請いたしますとともに、踏切内をカラー舗装するなど、歩行者の安全確保に向けました可能な対策を行っております。
 引き続き、鉄道事業者に対しまして、駅舎の建てかえの機会を捉えまして、必要な場所を確保し、遮断機を移設するなどの協力を求めまして、踏切道の拡幅に努めてまいります。

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