平成三十年東京都議会会議録第四号

   午後三時五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十四番関野たかなり君。
〔四十四番関野たかなり君登壇〕

○四十四番(関野たかなり君) 初めに、高齢者虐待についてお伺いします。
 高齢者の虐待が問題視され、それを受けて平成十八年に、高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、いわゆる高齢者虐待防止法が施行されましたが、いまだに高齢者の虐待通報件数はふえる一方です。
 これは、法が施行してから十年以上が経過し、高齢者虐待という問題に対する世の中の理解が進み、また、関心を持つ方も徐々にふえ、今まで潜在していた表に出なかった事例も顕在化したという見方もできます。
 地域の介護サービス提供事業者の方からは、施設の従業員への虐待の指導は徹底されつつあるが、一方で、家庭内での虐待を発見することもあるとお話があります。
 高齢者虐待の主な種類には、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、介護、世話の放棄、放任、経済的虐待の五つがあります。経済的虐待以外は傷害罪など刑法における刑事罰の対象となる可能性がありますが、経済的虐待については、刑法二百四十四条の親族相盗例という特例により、罰則の対象になりにくい状況です。
 高齢者虐待防止法には、虐待への対応や支援について規定はありますが、虐待を行った者に対する罰則規定がありません。同法において、国と地方公共団体は、虐待の防止や虐待を受けた高齢者への保護や適切な支援を行うことが責務として定められておりますが、刑法の処罰対象でもなく、高齢者虐待防止法においても罰則規定がないことで、抑止力が十分働かないのではないかという懸念があります。
 経済的虐待は、金銭的な損害だけではなく、適切な医療や介護サービスを受けられないなど、高齢者の尊厳にかかわる事態を招くものです。高齢者を守るためには、都が条例を定め、経済的虐待について罰則を設けることも一つのアイデアではないかと考えます。
 特に、都内では、高齢者の単独世帯や高齢者のみの夫婦世帯など、周囲とのつながりがない方も多く見られます。
 地域コミュニティの重要性は、先ほど福島議員の地域のつながりの再構築の質問のとおりです。地域では高齢者とその家族が安心して暮らせるためには、都内どの地域においても、高齢者虐待に適切に対応できるよう体制を整備する必要があると考えますが、周囲が虐待に早期に気づき、適切に対応できるよう、都はどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
 次に、動物殺処分ゼロについてお伺いします。
 動物の殺処分が起こる背景には、人間の身勝手なかわいいと思う気持ちや感情により、犬や猫などの動物を飼うことの大切さを忘れ、いっときの感情でペットを飼う方などがおりますが、動物も命あるものと認識をしっかり持って飼うことが大切です。飼い方のイロハを知らない飼い主が、最後まで動物を飼うことができなくなり、屋外に遺棄することや不妊去勢手術の実施など行わないことで、飼い主が意図しない繁殖を動物が繰り返すこととなり、適正な飼育ができない状態に至るとの問題があります。
 また、問題は、飼い主のいる犬や猫だけでなく、飼い主のいない猫がふえることで、地域でのさまざまなトラブルにつながることもあります。こういった問題を初め、さまざまな課題に対応するため、都は、動物愛護管理推進計画を策定し、施策を推進してきました。
 さらに、二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指し、二〇一九年度までに動物の殺処分をゼロとする施策を掲げております。
 現在、殺処分数は、苦痛から解放するためのやむを得ない処分を除き、平成二十七年度の殺処分数は犬十匹、猫百九十三匹の二百三匹だったものが、平成二十八年度には、犬はゼロを達成し、猫は九十四頭と半減いたしました。
 このような成果が出た背景には、これまで犬、猫の飼い方の冊子や「犬を飼うってステキです──か?」の冊子の配布を行ったり、動物の飼い方に関する講習会を開催するなど普及啓発を行ってきたこと、また、平成二十八年度からは、東京都独自に十一月を譲渡促進月間と定め、知事からのビデオメッセージの配信や、保護された動物をボランティア団体と連携して譲渡を促進してきたことなど、積極的に取り組んできたことが考えられます。
 本来であれば、東京都として、動物愛護及び管理に関する条例第三章の動物取扱業の規制強化やブリーダーなどへの罰則規定など、強化、改定を行うことを求めたいと考えますが、東京都以外には適用されないこと、また、現在、国において規制強化の改正議論が進んでいることを鑑み、取り扱い業者への質問は避けますが、現在の飼い主への理解を促し、動物の殺処分をゼロにするためには、動物の愛護及び管理に関する条例を飼い主に理解させ、飼い主が責任を自覚し、最期まで動物を飼うことや、野外で生まれる子猫をできるだけ減らすことにより、犬や猫の引き取り数を減らしていくことが重要であると考えます。
 そこで、今後、動物殺処分ゼロに向けて、動物の引き取り数をさらに減少させるための都の取り組みをお伺いいたします。
 次に、多摩地域の都市づくりについて伺います。
 今も昔も東京都の持続的な成長には、多摩地域の発展が不可欠です。
 多摩地域は、これまでの都市づくりにより、道路交通網や公共交通網の整備が進み、業務、商業の集積が随所に見られます。また、東京全体の人口約三分の一に当たる四百万人を超える人口を擁し、多くの大学や高度な技術を有する中小企業なども集積しており、東京の活力を支えております。
 引き続き、こういった特徴を生かしながら、多摩地域の発展に向けた都市づくりを進めていくことが重要と考えます。
 昨年九月には、二〇四〇年代の目指すべき東京の都市の姿と、その実現に向けた都市づくりの基本的な方針と具体的な方策を示した都市づくりのグランドデザインが策定されました。
 グランドデザインで示した目標の実現に向け、多摩地域においてどのように都市づくりを進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、多摩都市モノレールについてです。
 北多摩一区選出の私としては、地域マターとして大切な質問でございます。
 多摩都市モノレールは、都市部に機能が集中し、通勤混雑、住居環境の悪化など、さまざまな弊害が生じ、大規模な都市災害の危険が指摘されたこと、同時に多摩地域を住と職のバランスのとれたまちづくりにするため、多摩地域の交通ネットワークの強化のため、東西方向に張りめぐらされた既存の公共交通、バスや鉄道を結ぶために、昭和五十七年十二月に東京都長期計画に整備を位置づけ、平成元年九月に都市計画決定後、上北台─立川北間、立川北─多摩センター間が工事着工となり、平成十二年に上北台─多摩センター間の全線開通が実現しました。
 その後、十八年間、何も動いていないというわけではありませんが、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸については、平成十二年に、運輸政策審議会の答申では、二〇一五年度までに整備着工することが適当である路線として位置づけられ、また、平成二十八年には、交通政策審議会の答申では、整備に向けて検討などを進めるべき路線にも選ばれております。
 また、モノレールの導入区間となり得る新青梅街道、東大和市上北台から瑞穂町の箱根ヶ崎立体交差付近までの区間では、まち並みの景観の形成や緊急輸送道路、避難路としての機能強化や安全で快適な道路空間の確保を目的とし、拡幅事業が着々と進められております。
 延伸の武蔵村山市においては、平成二十二年の国勢調査の人口メッシュ比較で、鉄道利用不便地域に住む人口割合が八四%と、山林地帯である檜原村を除くと、東京の区市町村の中ではワーストワンとなるなど、駅のない市として長年の悲願であり、期待である中、三十年度予算案では、都が事業主体となる多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸を含め、六路線の事業化に向けた検討のための調査経費を計上するとともに、鉄道新線建設等準備基金を新設することは、鈴木元知事時代から進まなかった事業が大きな一歩を踏み出したことに、東京都の意気込みを感じるところであり、評価をいたします。
 そこで、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸へ向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、再生可能エネルギーについてです。
 東京都は、スマートエネルギー都市の実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大の取り組みを進めてまいりました。
 先日の施政方針の中で、知事は、ゼロエミッション東京の実現に向け、多面的な取り組みをされると表明されました。
 都はことしから、バス停留所のソーラーパネル等、設置を支援する事業を進めております。この事業は、バス停の屋根の上の太陽光パネルの設置が補助対象となっておりますが、来年度予算では、新たにポール型のバス停への設置に向けても支援しと書かれておりますが、その狙いについてお伺いをいたします。
 また、都は来年度に、駅舎へのソーラーパネル等設置促進事業として三億円を計上しております。身近な鉄道でございます。太陽光パネルの設置とあわせて、駅構内で発電量の表示を行うなど見える化を促進し、駅利用者に情報発信をしていくべきと考えますが、見解をお伺いをいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 関野たかなり議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩地域の都市づくりについてのご質問でございます。
 グランドデザインにおきましては、二〇四〇年代の東京の新しい姿と、その実現のための戦略などを打ち出したところでございます。
 例えば、人、物、情報の自由自在な交流を実現すること。持続的な成長を生んで、活力にあふれる拠点を形成する。あらゆる人々の暮らしの場を提供すること。このような戦略を展開いたしまして、特色のある東京のさまざまな地域で多様な住まい方、働き方、憩い方を選択できる、そのような都市を目指してまいります。
 そして、多摩地域におきましては、高い技術力を持つ企業や大学が集積をいたしております。また、圏央道による首都圏一帯との強いつながりがございます。職と住との近接、そして豊かな自然環境や地域資源など、たくさんの強み、そして魅力にあふれております。
 多摩地域におきましては、このような特徴を生かしながら、ものづくり産業など新たなイノベーションを創出する、生み出す。また、南北、東西を結ぶ骨格幹線道路に加えまして、公共交通ネットワークを充実させて地域内の連携を強化する。さらには、今ある貴重な緑を守り、農空間をにぎわいの場として活用するとともに、活力ある都市農業を実現してまいります。
 このような取り組みを進めまして、豊かな地域資源も生かしながら、多摩地域独自の魅力を磨き上げて持続的な発展につなげてまいります。
 その他のご質問につきましては、東京都技監、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸についてでございますが、本路線は、開業区間と一体となって多摩地域の活力や魅力の向上に資する路線でございます。
 一方、本路線の整備に向けては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況や、土地区画整理事業の進捗など、周辺の開発動向を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討を行う必要があり、これらの課題について、都は、沿線市町、多摩都市モノレール株式会社とともに検討を進めてございます。
 来年度は、検討を深度化するための調査を増額し、課題の解決に向けて取り組んでまいります。あわせて、鉄道新線建設等準備基金を創設することで、鉄道新線整備に対する都の取り組み姿勢を明確に示し、関係者との協議、調整を加速してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、高齢者虐待の防止に関する取り組みについてでありますが、都は、高齢者虐待の基本的知識や対応方法、相談窓口等を掲載したリーフレットを作成し、区市町村や事業者等に配布するとともに、ホームページにも掲載し、広く都民に周知を図っております。
 また、区市町村や地域包括支援センターの職員を対象に、虐待事例への対応に必要な知識や技術を習得する研修や、介護サービス事業所の管理者等を対象に、日常的なチェックなど虐待防止に向けて果たすべき役割についての研修を実施しております。
 さらに、虐待を早期に発見するために、民生委員や地域包括支援センター等とのネットワーク構築や、住民を対象とした権利擁護の普及啓発等に取り組む区市町村を包括補助で支援しておりまして、引き続き、高齢者虐待防止に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、動物の引き取り数を減少させる取り組みについてでありますが、都は、引き取り数を減少させるため、飼い主が責任を持って最期まで適正に飼養することができるよう、動物の飼い方に関するパンフレット等を作成し、イベントや講習会などさまざまな機会を通じて普及啓発を行っております。
 また、不妊去勢手術の実施や地域住民の理解と協力を得るための会議の開催など、飼い主のいない猫対策を行う区市町村を支援しており、現在、四十二の区市町村が包括補助を活用して取り組んでおります。
 平成二十八年度までの十年間で引き取りや収容等を行った動物の数は約七分の一に減少しておりまして、今後とも、東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょうなどを通じて、適正飼養、終生飼養を普及啓発するとともに、区市町村の取り組みを支援してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、バス停留所ソーラーパネル等設置促進事業についてですが、バスは、都民や観光客等に身近な交通手段であり、停留所への太陽光パネルの設置は、大きな普及啓発効果が期待できます。
 このため、今年度からバス停留所の上屋への太陽光パネルの設置に対して支援を行っております。
 来年度からは、バス事業者からの要望が多いポール型の停留所についても新たに支援対象とし、より多くの停留所への設置を進め、太陽光発電のさらなる普及につなげてまいります。
 次に、駅舎へのソーラーパネル等設置促進事業についてですが、鉄道が高密度に集積する東京には多くの駅があり、ホームの上には広い屋根がありますが、現状では十分に活用されておりません。
 そこで、都は来年度から、駅ホームの屋根への太陽光パネルの設置等を支援してまいります。
 支援に当たりましては、多くの駅利用者の目に触れる場所でデジタルサイネージ等により、発電量や電力の利用状況などを見える化することを要件といたします。
 東京二〇二〇大会に向け、都民や観光客等に対する普及啓発を行いながら、東京の特性に合わせた再生可能エネルギーの導入拡大につなげてまいります。

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