平成三十年東京都議会会議録第四号

○議長(尾崎大介君) 七十一番細谷しょうこさん。
〔七十一番細谷しょうこ君登壇〕

○七十一番(細谷しょうこ君) 都民ファーストの会の細谷しょうこでございます。
 東日本大震災から七年を迎えようとしています。被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を願い、改めて復興オリンピック・パラリンピックについて理念を明確にすべきと考え、質問をいたします。
 東京二〇二〇大会は、福島県、宮城県が競技会場に決定しております。開催時には多くの観客が訪れ、にぎわいも生まれることでしょう。
 二〇一一年五月初旬、私は被災地、釜石に参りました。市庁舎も病院も罹災し、役所の機能も失われ、滞っていた予防注射の通知、散乱したカルテの整理などのお手伝いに追われました。
 当時は、船舶が山の上に押し上げられ、列車の車両が瓦れきとともに橋梁の上にあるのを目の当たりにしております。また、まちは至るところ浸水しており、住民の方々の肩を落とし打ちひしがれた姿を今も忘れることができません。
 復興オリンピック・パラリンピックを一つの契機に、被災地のその後の発展、前向きな姿勢を、応援してくださった世界中の方々にお見せし、感謝の気持ちを伝えられることは一つのチャンスでもあります。
 現地では、豊かな自然や食材、すぐれた技術や伝統行事などをよみがえらせつつあります。地域のよさを知っていただき、交流を深めることは、まちの活性化につながることでしょう。
 そこで、被災地の活性化に役立たせるため、東京二〇二〇大会を通じて、より多くの方に復興した姿と、地域のよさを知っていただくよう、都の積極的な働きかけが必要と思いますが、知事のお考えをお聞きします。
 次に、東京都の復興支援について伺います。
 二〇一一年三月十一日、未曽有の被害を出した東日本大震災を改めてひもときますと、死者一万九千五百三十三人、行方不明者二千五百八十五人、建物被害、家屋の全壊が十二万一千七百六十八戸、被害総額十六兆九千億円と示されております。
 東京都では、被災地支援として、主に物的、人的な支援とともに、東京都に避難した方々の支援にも力を注いでいます。世界で一番安全・安心なセーフシティー東京として、さらには、オール日本での成功を目指す東京二〇二〇年大会を間近にした首都東京だからこそ、被災地の痛みを共有し、復興支援にも力を入れる試みがなくてはならないものと考えています。
 先月、東京都と東北四県の共催で、復興応援・復興フォーラムが開かれ、トークセッション、パネル展示とワークショップ、物産の販売などが行われ、私も伺いました。
 セッションの中で、村井宮城県知事は、被災後しばらくは多くの方々の支援に助けられた、これからも皆さんに被災地に足を運んでほしいとメッセージを語られました。
 被災地では、自分たちが忘れられてしまうと、不安を持った方々の思いが切実です。フォーラムの趣旨は、被災地の存在を忘れないこと、支援の手を休めないことにあります。
 そこで、東京都は、これまで震災記憶の風化防止にどのように取り組んできたのかを伺います。
 次に、パラリンピックへの今後の取り組みについて伺います。
 東京都は、東京二〇二〇大会を契機としたパラリンピック競技への理解促進活動として、誰でもともに参加し、アスリートと交流できる事業を行っております。
 過日のイベントで、ボッチャなどのさまざまな競技を視察、競技のルールや楽しさを体感することができました。
 こうした参加型のイベントを、多摩を含めさまざまな地域で開催していただくことで、多くの皆さんが競技を楽しみ、パラリンピックへの関心を深めていただけるものと期待しております。
 今後、都として、身近な地域でのパラリンピック競技体験を通じて、機運醸成にどのように取り組むかを伺います。
 次に、聖火リレーを多摩の地域へという観点で伺います。
 東京二〇二〇大会の特徴は、実施される種目が史上最大の三百三十九種目、女子選手の比率が過去最高の四八・八%と、男女の差がほぼ是正されたことにあります。
 また、スケートボードやバスケットの三人制などが取り入れられたことで、若者にもアピールでき、全国の大学でシンポジウムやボランティアの育成などの活動も活発化しております。
 さて、そこで次に注目されるのが、聖火リレーのコースです。
 都民ファーストの代表質問へのご答弁から、聖火リレーは、組織委員会がIOCとの間で全国の巡回日数やルートを調整、都内のルートは東京都が実行委員会を設置して検討することがわかりました。
 しかし、東京都に実行委員会が設置されたとしても、聖火が多摩地域をめぐっていただけるのかどうか不安があります。多摩地域は競技会場もわずかであり、住民は身近に参加するチャンスがなければ、大会に対する気持ちも盛り上がらないと感じられるからです。
 だからこそ、多摩地域に聖火リレーを巡回すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、道路事業の進捗について伺います。
 道路は、都民生活を支える最も基礎的な社会基盤として重要な役割を担っており、道路の整備は、都民の安全・安心で暮らしやすいまちづくりにとって欠かせないものです。
 多摩地域の道路事業も着実に進めていただいておりますが、東久留米市の所沢街道の歩道の拡幅及び整備は、いまだに未着手の地域がございます。
 通学路でもあり、死亡事故も起こっているところから、住民ニーズの高い道路、所沢街道、私も改善に向けて、住民の方々とともに長い間さまざまな活動を続けてまいりました。市議会にも複数の自治会から再三、請願と署名が提出されております。長い年月を経て、東京都と東久留米市は昨年協定を結びました。
 そこで、東久留米市内における所沢街道の歩道整備について、進捗状況と今後の取り組みを伺います。
 次に、港湾の社会実験ライトアップ事業について伺います。
 東京港の運河エリア、日の出ふ頭をライトアップする社会実験を視察しました。地域既存の景観資源を生かし、東京港の夜景の魅力の創出に向けたライトアップは、クラシカルな倉庫の屋根と壁面を浮かび上がらせ、レインボーブリッジなどの夜景とマッチさせて、より効果的に美しい東京臨海部の夜の顔を醸し出すことに成功しております。
 お台場、レインボーブリッジ、東京タワーなどの夜景は、近年特に人気が高く、結果的にそれをめぐる民間のツアーなどは、訪日された外国の方々にも好評です。
 既に東京都は二〇二〇年に向けた実行プランの中で、隅田川の橋梁群のライトアップを進め、橋の美しさを生かす事業が進められております。
 諸外国に比べ、日本は明かりを楽しむという文化が長く見過ごされてきました。水辺の魅力を創出し、都民に豊かさに親しんでもらい、また、経済効果も期待できるのであれば、自治体がみずから行うことに意味があると考えます。
 そこで、東京港の運河エリアのライトアップを今後どのように進められるのかを伺います。
 最後に、多摩地域の教育環境改善について伺います。
 教育現場において、近年課題とされているのは、学力の向上、教職員の働き方の改善などですが、私は市議会での経験から、住民のニーズが高いのは、学校施設の整備の充実であると考えております。
 去る平成二十三、二十四年度にかけて、かねてから保護者から要望の高かったクーラー、空調の設置が東京都からの支援のもとに、普通教室の設置率一〇〇%に達しました。また、あわせて学校の耐震化も推進されております。
 多摩地域では、財政上から手のつけられなかった事業だけに、住民に喜ばれ、評価されていると感じております。
 今後、さらに子供たちの健康を守る意味からも、教育施設のバリアフリー化、あわせてトイレの洋式化への見直しも検討に入れてほしいと思っております。
 改めて、今後、公立小中学校において、バリアフリー化の視点から、トイレの洋式化を促進すべきと考えますが、都として、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 質問は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 細谷しょうこ議員の一般質問にお答えいたします。
 復興オリンピック・パラリンピックについてのお尋ねでございます。
 東京二〇二〇大会は、復興オリンピック・パラリンピックでございます。被災地の復興なくして大会の成功はないという理念のもとで、大会の準備を進めているところでございます。
 被災地である宮城県ではサッカーが、福島県では野球、ソフトボールの競技会場となっておりまして、世界中の人が観戦に訪れて被災地の方々と交流すること、そしてまた、競技が世界中に中継されることで、被災地の今を発信する絶好の機会となりましょう。
 都は、東日本大震災以降、被災地へのアスリートの派遣を行ったり、千キロ縦断リレーや被災地でのフラッグツアーの実施など、さまざまな事業を展開いたしまして、復興の後押しをしてまいりました。
 また、元気を取り戻しつつある被災地の姿と国内外からの支援への感謝を伝えるために、映像を制作いたしまして、さまざまな場面で発信をしております。来年度は、海外メディアを対象といたしました被災地への取材ツアーも実施をいたします。
 今後とも、国や組織委員会などと連携をいたしまして、被災地の現状や要望を丁寧に把握しながら、さまざまな事業を通じまして、被災地の復興を支援し、東京二〇二〇大会の成功につなげてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 公立小中学校におけるトイレの洋式化についてでございますが、公立小中学校の施設等の整備は、学校設置者である区市町村の責任と権限により行うものであり、施設のバリアフリー化やトイレの整備についても同様でございます。
 都教育委員会は、清潔なトイレ環境が、児童生徒の安心できる学習環境を整える上で大切な要素であることから、区市町村がバリアフリー化も含めたトイレの洋式化や多目的トイレの整備を計画的に進められるよう、今年度から財政支援を行っているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、平成三十二年度までにトイレの洋式化率を八〇%以上とすることを目指し、区市町村を引き続き支援してまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 震災記憶の風化防止の取り組みについてですが、東北被災地の一日も早い復興を実現していくためには、被災地の現状や復興の取り組みを今後とも継続的に伝え、記憶の風化を防止していくことが重要でございます。
 このため、都は、ホームページやツイッターなどによる情報発信に加え、震災記憶の風化防止と支援の継続を呼びかけるイベント、復興応援・復興フォーラムを毎年開催しております。
 今年度は、忘れないが支援の新たな一歩となるをテーマに、宮城県知事と都知事の対談のほか、語り部による講話や、復興支援の事例紹介、郷土料理、県産品の販売等を行い、支援に対する都民の理解と協力を広げました。
 都は、今後も、復興に向けて努力している被災地の今を発信し、震災記憶を風化させない取り組みを進めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、身近な地域でのパラリンピックの競技体験を通じた開催機運の醸成についてであります。
 パラリンピックの成功に向け、多くの方々に競技や選手を知ってもらい、会場で応援していただくことが重要でございます。その取り組みの一つとして、競技体験や、アスリートと交流できるNO LIMITS CHALLENGEを都内の市区町村等と連携して、これまでに四十二自治体、延べ九十六回実施いたしました。
 来年度は、これまで開催したことのない市区町村で積極的に実施するとともに、認知度の低い競技を含む二十二競技全ての体験や体験した競技のスタンプが押せるパラスポーツパスポートの活用等によりまして、より多くのアスリートや競技に触れていただけるよう取り組んでまいります。
 今後も、パラリンピックの会場が満員の観客で盛り上がるよう、都内各地で機運醸成の取り組みを積極的に進めてまいります。
 次に、聖火リレーについてでございますが、オリンピックの聖火リレーは、シンボルである聖火を掲げることで、平和、団結、友愛というオリンピックの理想を体現し、大会への関心と期待を呼び起こすものであり、ランナーや観衆、地域住民、ボランティアなど、多くの人々が大会に参加できる貴重な機会であります。
 都内の聖火リレーのルートにつきましては、地域の観光資源や魅力あるまちをめぐりまして、開催機運が盛り上がるよう、これまで都は、多摩・島しょ地域も含め、都内全市区町村への巡回をぜひとも実現させたいと主張してまいりました。
 来年度、都は、実行委員会を設置することになっておりまして、都内のリレーは、開会式までという日数の制約があるものの、今後、市区町村の意見も十分踏まえながら、都民の記憶に残る聖火リレーになるよう検討してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 歩道の整備についてでございますが、歩道は歩行者の安全確保、良好な都市景観の形成、ライフラインの収容空間の確保など、多様な機能を有しておりまして、その整備を推進することは重要でございます。
 東久留米市内の所沢街道三・六キロメートルの区間につきましては、歩行者の安全を確保するため、これまで順次歩道の整備を進めておりまして、一・三キロメートルがおおむね完成し、一キロメートルで、現在、事業に取り組んでおります。
 また、未着手の南町四丁目から八幡町二丁目の一・三キロメートルの区間につきましては、事業の円滑な推進を図るため、用地取得に関する業務を市が、工事に関する業務を都がそれぞれ行うことを定めました基本協定を平成二十九年四月に締結いたしました。
 今後は、市と連携いたしまして、本区間の事業化に向けた検討を行ってまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 運河エリアのライトアップについてでございますが、運河、水門、橋梁等の施設は、景観上も独自の魅力を持っており、これらを良好な夜間景観として活用することは、船旅の充実など、さらなる東京の魅力向上につながってまいります。
 このため、都は、地元区や民間事業者等と連携して、上屋や倉庫等を含めた運河エリアの施設のライトアップを拡充し、あわせて周辺のビル群や遊歩道の照明と色調の調和を図るなど、魅力的な夜景スポットを創出してまいります。
 本年度末までに、本事業の指針となりますマスタープランを策定し、東京二〇二〇大会を目途に、日の出、竹芝地区、芝浦地区、天王洲地区において、ライトアップを重点的に推進してまいります。
 こうした取り組みなどにより、来訪者を引きつける東京の水辺空間を創造し、観光都市東京の発展につなげてまいります。

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