平成三十年東京都議会会議録第二号

   午後四時十五分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君。
〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して質問します。
 初めに、二月四日に逝去されました名誉都民三橋國民さんに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 このたび、私は、東京都議会の超党派の視察団の団長として、平昌五輪を視察いたしました。氷点下の寒さとハードなスケジュールの中、課題調査のためにご協力をいただいた二十二名の視察団の皆様に、この場をおかりしまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 今回の視察で改めて実感したのが、オリンピック・パラリンピックは、平和が保たれていてこそ開催できるということであります。五輪大会は、スポーツと文化の交流を通じて、世界の人々に平和のとうとさと共存や相互理解の大切さを訴え、確認し合う祭典であるべきであります。
 二度目のオリンピック・パラリンピック大会を開催する東京が、二〇二〇年の大会を機に、どういったメッセージを発信し、レガシーとして残していくか、これは大変重要な課題です。
 そこで申し上げたいのは、我が党が昨年の第四回定例会の代表質問でも取り上げたSDGsの視点の重要性であります。二〇二〇年の東京大会は、この視点に立った社会的な取り組みがまさに大きく踏み出す大会とするべきです。
 折しも国連は、二〇一五年の九月、SDGs、すなわち誰ひとり置き去りにしない持続可能で、全ての人を社会の一員として取り込み、支え合う社会を国際社会が協調して目指すことを全会一致で採択しました。その中では、貧困や格差の是正、気候変動や教育、ジェンダーなど十七分野での取り組みが二〇三〇年までの達成目標として掲げられています。
 日本政府も、首相を本部長とする推進本部を設置し、実施指針やアクションプラン二〇一八を策定しています。
 一方、今日では、人類の約五〇%が都市に住んでいることから、SDGsの目標達成でも、都市、とりわけ大都市が大きな鍵を握っています。
 東京二〇二〇大会の準備や運営はもちろんのこと、いつ発災しても不思議ではない首都直下地震への対策や、世界に類を見ない超高齢化への対応など、東京が直面する課題は、どれもが誰ひとり置き去りにしないという視点から、持続可能な社会に向けて解決を図るべき課題ばかりであります。
 そこで、知事に伺います。
 知事のリーダーシップのもと、都において、SDGsを強力に推進していくため、まずは二〇二〇実行プランやグランドデザインなどをSDGsの視点で整理をし、国とも連携して、これらを確実に実行することにより、世界の都市をリードすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会について質問します。
 平昌の冬季オリンピックは、厳しい寒さの中での開催でしたが、実は、暑い夏に開催される東京大会の準備の上でも大変参考になりました。
 開会式の会場は、離れた場所にある駐車場から専用ピストンバスに乗りかえる必要がありました。問題は退場時です。開会式後、退場客は震えながら、長い時間専用ピストンバスの到着を屋外で待たなければなりませんでした。
 東京大会は、平昌の寒さとは反対に厳しい暑さの中での開催となります。退場時の待機場所は、空調を整えた屋内の待機施設とするべきであります。東京大会での対応について見解を求めます。
 平昌では、開会式後、まだ退場客が残っているにもかかわらず、鉄道が終電となり、運行をとめてしまったため、ようやく駅にたどり着いた退場客が、さらにそこで、厳しい寒さの中で立ち往生するという事態が発生しました。
 東京大会では、こうした事態は絶対にあってはなりません。開会式の会場となる国立競技場からの帰りに利用するJRや東京メトロなどの交通機関は、最後まで退場客を輸送できるよう、万全な運行体制を確保すべきです。準備状況について答弁を求めます。
 平昌だけでなく、首都ソウルの状況も調査してまいりました。ソウル市庁舎前のメーンストリートには、五輪競技を大画面で生中継するライブサイトが設けられていました。こちらは寒さの中でも観戦できるよう、大規模な屋内施設となっていました。
 東京大会においても、多くの人たちが臨場感を持って、熱い応援を送るライブサイトを設置し、盛り上げを図っていくと思います。暑さを考慮すれば、ライブサイトの屋内化は不可欠であります。答弁を求めます。
 ソウル市内には、一九八八年のソウル五輪と今回の平昌大会の記念館があり、招致準備から開催の成果まで、両大会のレガシーを残す貴重な展示施設となっています。ただ、大会期間中であるにもかかわらず、訪れる人が大変少ない印象を受けました。
 そこで、都においては、例えば都庁展望台など多くの人が集まりやすい施設を積極的に活用して、一九六四年大会のレガシーを含め、二〇二〇年の東京大会の記憶を後世に長く伝える記念施設を設置すべきと考えます。知事の所見を求めます。
 オリンピックに関連し、観光振興について質問します。
 訪日外国人の数は年々順調に増加していますが、一方で、外国人観光客からは、夜間の楽しみ方についての不満も聞かれます。ロンドンでは、深夜までショーが開かれて、飲食店も観光客でにぎわい、地下鉄も週末は二十四時間運行です。この夜間市場が、イギリス全体に年間四兆円の経済効果と百二十五万人の雇用を創出しているといわれております。
 一方、二〇二〇大会の立候補ファイルには、サッカーの競技終了時間が二十四時、バスケットボールは二十四時半までと記載されており、帰路が深夜に及び、観戦後に飲食などで盛り上がることも想定されます。
 そこで、東京においても、期間を限定して、都営地下鉄や都の文化施設の営業時間の延長、夜間での文化プログラムの開催などを総合的に検討するべきです。まずはその可能性を探るためのニーズ調査を、旅行者を対象に実施してもよいと考えます。
 治安のよい東京の夜間観光を、食、自然、歴史に続く第四の柱に位置づけ、その魅力を海外に向けてわかりやすく発信すべきであります。あわせて見解を求めます。
 観光振興に関連して、民泊について質問します。
 訪日外国人の増加に伴い、民泊サービスが急速に普及し、周辺住民とのトラブルが頻発し、問題となっています。
 今般、国は、観光振興と住民トラブル防止に向けて住宅宿泊事業法を創設し、年間百八十日を上限に全国レベルでの民泊を解禁しました。六月の実施に備え、都道府県への届け出も三月十五日からスタートします。
 都も、民泊実施に備え、事業者のガイドラインを策定しました。また、二十三区でも独自に条例を制定し、民泊の規制を設ける動きも出ています。
 そこで都は、トラブル防止に向けて、新制度の内容を都民に丁寧に周知するべきです。加えて、さまざまな苦情などを庁内横断的に受け付ける体制を整備し、二十三区や保健所を設置している市も含めて、情報の共有化を図り、都内関係者が連携して違法民泊の発生を防ぐ体制を整えるべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、医療、福祉政策について質問します。
 初めに、二〇二五年問題です。
 いわゆる二〇二五年問題は、団塊の世代の方々が一斉に七十五歳以上に到達し、日本人の人口の五人に一人が後期高齢者になるという超高齢社会が訪れることであります。
 増大する社会保障費の抑制に向け、国は、在宅での医療、介護を強化する地域包括ケアを推進しています。しかし、その推進には幾つかの課題があります。
 まず、認知症の問題です。
 認知症を発症しても、家族のもとで生活できることは大変に望ましいことです。反面、家族の負担ははかり知れないものがあり、本人にとっても、徘回などにより、悲しい結末を迎えてしまうおそれがあります。こうした中、住みなれた地域で家庭的な雰囲気で暮らすことのできる認知症グループホームは、これから重要な役割を担います。
 ただ、認知症グループホームの最大の課題は利用料です。毎月十五万円から二十万円も要し、特別養護老人ホームとは大きく異なります。
 その理由は、特別養護老人ホームの場合、居住費や食費が介護保険の対象になるのに対し、認知症グループホームの居住費や食費は介護保険の対象にならない点にあります。
 したがって、国民年金で生活をする方は、認知症グループホームにあきがあっても、経済的な理由で入所を断念せざるを得ません。
 公明党の強い推進により、私の地元八王子市では、平成三十年度より住民税非課税世帯を対象に、認知症グループホームの居住費と食費の助成を行い、特別養護老人ホームの自己負担額と同額で入所できる制度を構築しました。
 ほかにも、低所得者等の利用者に対する家賃助成は、現在、都内五つの自治体で行われています。このような制度を東京全域に広げていくべきと考えます。
 都は、区市町村の利用者負担軽減に向けた取り組みが進むよう、財政的な支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、老老介護の問題です。
 病院や施設から在宅へという流れの中で、これからますますふえてくるのが老老介護であります。介護をする方が、一度病気や要介護者になった場合、介護を受けている方をすぐにでも施設に入所できれば問題はないのでしょうが、現実はなかなかそのようにはいきません。こういった事態を鑑みると、都としても、レスパイトの制度を構築する必要があると考えます。
 都議会公明党は、昨年の予算特別委員会でこの問題を取り上げ、在宅と特別養護老人ホームを結ぶ中間施設であり、ショートステイを実施している介護老人保健施設を今後レスパイトとして活用すべきと提案いたしました。その際、福祉保健局よりさまざまな課題を整理し、実現可能性について検討していく旨の答弁がありました。
 その後一年がたちました。いよいよ都は、介護老人保健施設のショートステイを活用したレスパイトの取り組みを本格的に開始すべきです。見解を求めます。
 老老介護が増加する一方で、単身高齢者の世帯もふえています。ひとり暮らしの高齢者が常時介護を必要とする場合など、今後も、特別養護老人ホームの整備は重要です。人件費や資材価格の高騰などにも積極的に対応し、整備を進めるべきです。
 加えて、都内では、一九七五年前後に建てられた特別養護老人ホームが多く、老朽化が問題となっています。特別養護老人ホームが、今後も地域の介護サービスの拠点として役割を果たすためには、新たな施設の整備に加え、既存施設の建てかえを支援すべきです。あわせて見解を求めます。
 次に、都が現在策定中の医療関連の諸計画について質問します。
 まずは、東京都保健医療計画についてであります。
 医療法改正に伴い、都は、平成二十八年七月に、東京都地域医療構想を策定しました。構想では、病床を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの機能に区分し、平成三十七年の都の必要病床数を十一万三千七百六十四床と推計しています。
 平成二十八年度に都内の病院や診療所がみずからの病床の機能の現状を都に報告していますが、都の構想で示された機能別の必要病床数と比較すると、高度急性期や急性期病床の構成割合が高く、回復期病床の割合が著しく低い状況になっています。回復期病床との機能分化を進める必要があります。
 高齢化の進展に伴い、増大する医療需要に対応するためには、地域の実情に応じた病床の機能分化と医療機関相互の連携が課題と考えますが、都の取り組みについて見解を求めます。
 また、主に慢性期を担う療養病床のうち、介護保険が適用される介護療養病床と看護師配置が二十五対一の医療療養病床が今年度末で廃止されます。介護療養病床は、平成三十五年度末までの経過措置を経て、介護医療院などに転換されていくことになりますが、その進展は未知数です。
 今後、増加が見込まれる慢性期の医療、介護ニーズに対しては、都民に不安を感じさせない確実な対応が不可欠です。都の見解を求めます。
 次に、東京都がん対策推進計画についてであります。
 AYA世代といわれる十五歳から三十九歳の思春期及び若年成人のがん患者を支える体制の構築は重要な課題であります。この年齢層の方々は、患者数が他の世代に比べて少ない特徴があり、疾患の内容も多岐にわたり、病気の進行が早い傾向もあります。
 今後の取り組みとして、適切に情報を提供していくこと、支える家族のニーズの把握に努めていくこと、小児と成人領域の間で適切な治療やケアが行われる医療体制を構築していくことが大変重要であります。
 そして、就労支援はもちろんのこと、進学、結婚、出産、育児など生活全般の分野で希望が持てる支援策を進める必要があります。そのためにはまず、早期に実態調査を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 都議会公明党が求めてきた緩和ケア病床は、三十病棟、五百九十八病床と前進しています。都立駒込病院には、緩和ケアの専門病棟がありますが、多摩地域の中心的な医療施設である都立多摩総合医療センターにはなく、同センターの一般病棟における緩和ケアの取り組みを進める必要があります。
 今後も、がん患者の増加が見込まれることから、がんと診断されたときから、適切に緩和ケアが受けられるように、しっかりと体制を整備すべきと考えますが、答弁を求めます。
 次に、シルバーパス制度について質問します。
 七十歳以上の都民が取得できるシルバーパスは、我が党の提案により、高齢者の社会参加を促進するために一九七四年に導入された制度です。以来、多くの高齢者に利用され、平成二十九年度には、利用者数が約百万人となりました。
 高齢者が今後ますますふえることから、公共交通としてのバスは、生活の足として一段と重要な移動手段になります。シルバーパス制度については、低所得者がより利用しやすいよう所得に応じて段階的に本人負担額を軽減してほしいとの声や、シルバーパス制度の適用範囲を拡大してほしいとの声もあります。
 そこで、シルバーパス制度を持続可能な制度とするために、まず都は、制度の実施主体である東京バス協会、さらには高齢者の所得実態を把握している区市町村に協力を求め、シルバーパスの利用状況について実態調査を行うべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、待機児童対策について質問します。
 女性活躍社会の大前提となる保育園待機児童解消に向け、積極的な支援が求められています。最近は特に、ゼロ歳児から入園させないと、一、二歳児での入園が困難になるとの不安から、ゼロ歳児入園の希望が集中し、入園可能なポイントに達していても待機児童となるケースが生じています。
 また、働き方改革の進展に合わせて、多様な就労スタイルに対応できる子育て支援にも期待が高まっています。
 そうした中、ベビーシッターの利用は大変有効と考えます。しかしながら、第三者の目が届かない、一対一の保育環境という課題もあり、専門性、信頼性の確保が何よりも求められるところであります。
 ベビーシッター制度が、待機児童対策として保護者から安心感を持って受け入れられるためには、適正な保育の実施を担保する取り組みや、従事する人材の適正な確保と育成を導く支援について、都が積極的に対応すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、保育人材について質問します。
 待機児童解消に向け、施設の増設とともに、保育士のキャリアアップの推進も重要です。国は、平成二十九年度からキャリアアップのための新たな研修を開始し、その実施主体は都道府県とされております。したがって都は、適切な開催会場の確保や参加費用の負担など、各事業者や保育士が参加しやすい工夫を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、医療的ケア児の支援について質問します。
 我が党は、議会質問等を通し、一貫して医療的ケアを必要とする児童生徒に対する支援の必要性を訴えてきました。
 まず第一点目は、医療的ケアの必要な児童生徒の通学手段の確保です。現在、スクールバスに乗車できない児童生徒が二百人以上います。
 都議会公明党は、昨年十二月二十日に行われた平成三十年度予算編成の要望の際に、直接小池知事に対し、医療的ケア児の通学を可能とするスクールバスを全校一斉に導入するよう強く要望しました。
 知事がこの要望を受け、全校導入を予算に盛り込んだことは高く評価するところであります。都立特別支援学校に在籍する全ての医療的ケア児が安心して通学できる手段を確保すべきです。改めて知事の見解を求めます。
 二点目は、特別支援学校における看護師の体制強化です。人工呼吸器が必要な児童生徒は、呼吸器の取り扱いが親に限定されていることから、通学も授業中も親の付き添いが求められています。
 この問題について、先日の参議院予算委員会で公明党は、看護師が配置されている場合でも親の付き添いを学校側から求められるケースが多い実態を指摘し、見直しを求めました。これに対して、文部科学大臣から、人工呼吸器の管理などのあり方について、通知の見直しを行うとの意向が示されました。
 こうした状況を踏まえ、都は、通学と授業に親の付き添いを不要とする環境を整備するため、人工呼吸器の管理について体制を検討するべきと考えます。見解を求めます。
 三点目に、医療的ケアを必要とする障害児への訪問看護についてであります。
 訪問看護ステーションの多くは高齢者への対応が中心となっており、高い専門性が求められる医療的ケア児に対する訪問看護ステーションは不足しています。
 その分、保護者の負担が大きくなっていることから、医療的ケア児の訪問看護に対応する訪問看護ステーションを拡充するべきです。見解を求めます。
 四点目は、障害児の通所施設についてです。
 家庭、学校以外の居場所となる障害児の通所施設は増加していますが、医療的ケア児や重症心身障害児を受け入れる施設はまだ少ないのが現状です。
 厚生労働省は、平成三十二年度末までに、各区市町村に少なくとも一カ所以上確保することを基本とする目標を掲げています。
 都としても積極的に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、心身障害者医療費助成制度について質問します。
 精神障害者を医療費助成の対象に加えることについて、都議会公明党は、昨年の本会議だけでも代表及び一般質問で繰り返し訴え、関連する請願もリードし、全会一致での採択を導きました。
 こうした努力が実り、都は、来年度予算案において、精神障害者を新たに医療費助成制度の対象とするための約二億八千万円を計上しています。これまでの対象者に精神障害者の方が除外されていたことを踏まえれば、大きな前進と評価します。
 そこで、助成の開始に向けた今後のスケジュールや、精神障害者について助成の対象を一級に限定した理由などについて、見解を明らかにしていただきたいと思います。
 我が党とともに運動を進めてきた家族会などの皆さんからは、喜びの声が多数届いております。それとともに、当然、さらなる前進を求めてやまない患者、家族の期待も高まっています。
 こうした要望への対応を含め、精神障害者支援のさらなる充実について、都の見解を求めます。
 次いで、新生児の聴覚検査について質問します。
 昨年の第三回定例会において、都議会公明党は、全ての新生児が聴覚検査を受けられるよう、都内の全区市町村が共通して取り組むことが必要であり、都として財政面も含めて、区市町村を支援すべきと訴えました。
 都は、我が党の提案を受けて、区市町村及び東京都医師会との間で、昨年十二月から協議を開始したと聞いております。
 先天性の聴覚障害であっても、早期発見、早期療養により、音声言語発達等への影響を最小限に抑えることができるといわれており、妊産婦への新生児聴覚検査の周知、検査を実施する医療機関の体制確保、早期療育への支援の充実などが必要です。
 そこで、全ての新生児が新生児聴覚検査を受けられるようにするために、公費負担制度を整備するとともに、区市町村や医療機関などが連携して推進する体制を構築すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、福祉タクシー、介護タクシーについて質問します。
 都は一昨年より、環境性能の高いUDタクシー、いわゆるユニバーサルデザインタクシーの導入に向けた補助事業を開始しております。
 これまで、昨年十月には、トヨタからジャパンタクシーが発表され、初のタクシー専用ハイブリッド車として高い環境性能を有することに加え、お年寄りや大きな荷物を持った外国人にも使いやすく、車椅子でも利用可能なものとなっております。
 しかしながら、都が立ち上げた補助制度では、補助対象から車椅子やストレッチャー利用者が利用する福祉タクシーと介護タクシーを担う事業者が排除されています。
 福祉、介護タクシーは、高齢者や障害者の乗りおりを介助するなど、ユニバーサル社会の実現に先駆的な取り組みをしてきましたが、車二、三台で運営している事業者がとても多く、車両の買いかえ時期を迎えていることもあって、現状のままでは、都の補助制度を利用できないことによって、大きな負担が生じ、存続が危ぶまれます。
 福祉、介護タクシー事業者も、本補助制度の対象とすべきです。都の見解を求めます。
 次に、子供食堂への支援について質問します。
 子供の居場所づくりにも貢献できる取り組みとして子供食堂が注目されています。
 現在、さまざまな地域でその取り組みが行われていますが、多くはボランティアによるもので、運営は大変厳しいと聞いています。子供が身近な地域の中で利用でき、ここでのかかわりの中で、支援が必要な子供がいれば適切な援助につなげていくことが重要です。
 子供食堂の取り組みを広げ、安定的かつ継続的に運営できるよう、都は支援を充実すべきです。都の見解を求めます。
 次に、自立援助ホーム入居者の医療費補助について質問します。
 自立援助ホームは、児童養護施設等の退所者などで、義務教育終了後、自立を目指す人に対し、日常生活上の援助や生活指導を行うことを目的に設置されています。
 しかし、近年は、保護者からの虐待などのさまざまな理由により、家庭から直接入所する人が多くを占めるようになり、また、精神的に不安定な方もふえるなど、その状況は大きく変化をしてきています。中には、通院やカウンセリング等の治療を受けないまま、入居に至っている人もいます。
 こうした人を早期に医療につなげ、継続した治療に結びつけることが必要と考えます。
 しかしながら、現状は、入居してから就労するまでの収入がない期間に限ってのみ、医療費補助が制度化されています。一旦就労すると、医療費の支援が受けられません。体調不良で休みがちであり、十分な収入を得られない人は治療の継続が経済的に厳しくなっています。
 そこで、就労していても収入が少ない入居者に対しては、心身の安定を図りながら自立を促すため、都として医療費の支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問します。
 まず、住宅確保要配慮者に向けた取り組みであります。高齢者や障害者、ひとり親世帯などの入居を拒まない住宅への登録制度の普及、活用は、ふえ続ける空き賃貸住戸の活用策として重要であるだけでなく、都営住宅の応募倍率が高どまりしている現状が続く中で、住宅確保要配慮者が安心して民間の賃貸住宅で暮らし続けられる社会を築くという意味で期待できます。
 しかし、登録制度の実施主体は都であるものの、改修費や家賃の抑制、債務保証を対象とした実際の補助事業は、区市町村の関係窓口を通じて実施されることになります。
 加えて、そもそも、登録をするしないの判断は、貸し主側が行います。貸し主の関心を喚起し、区市町村が積極的に取り組めるような補助事業とすべきであります。
 既に我が党は、昨年の第三回定例会の代表質問で、国制度の枠内にとどまらず、都独自の積極的な支援を求めたところであります。
 住宅確保要配慮者の居住の安定に向け、新年度からは都の支援策を強化すべきです。具体的な内容について見解を求めます。
 次いで、空き家対策であります。
 空き家の増加は、地域の活力や生活環境に影響を及ぼすため、東京のまちづくりにとって重要な課題です。空き家の増加を都政課題の解決につなげるという意味で、空き家対策は重要です。
 都の区市町村に対する技術的な支援や補助制度の整備により、実態調査や計画づくりなどは進んできていますが、利活用等の取り組みについては、まだまだ実績が少ない状況も見受けられます。
 空き家対策を進めるため、区市町村に対する支援など、さらに取り組みを強化していくべきと考えますが、見解を求めます。
 このほか、都営住宅などの管理、運用を初め、少子高齢化や人口減少への対応、災害被害の未然防止や省エネの推進、中古住宅の流通の活発化など、東京の住宅政策は多岐にわたります。
 こうした課題を機能的に解決していくためには、我が党が一貫して主張しているように、住宅局の復活が不可欠であります。知事の決断を求めます。
 次に、警視庁が今定例会に提出している東京都水上安全条例について質問します。
 近年、都内の河川や運河において、水上バイクやプレジャーボート等の小型船舶の危険操縦、迷惑行為、衝突事故等が後を絶たず、規制の強化が求められていました。
 このため、条例案は、現行の東京都水上取締条例を全面的に見直し、取り締まりや罰則を強化して水上運航の安全を高める内容となっております。
 例えば、酒酔い、酒気帯び操縦や、蛇行などの危険操縦には罰則を設け、現行条例では対応できない行為を取り締まることができるようにしております。
 しかし、騒音や速度、他の船舶の航行妨害等は、水上という特殊な状況ということもあって明確な罰則規定がなく、警察による対応が曖昧になりかねません。
 そうした状況でも水上運航の安全を十分確保するためには、防犯カメラの設置、警察水上バイクの導入、通報即応体制など、警察対応能力を高めるべきと考えます。警視総監の見解を求めます。
 また、水上バイク等の航行が多く見られる臨海エリアの河川や運河は、付近に東京二〇二〇大会の競技施設や選手村などの関連施設が集約している地域です。競技や運営に支障が生じないように、条例の運用には大会運営部門と連携し、必要な措置を講じていくべきと考えますが、見解を求めます。
 今定例会には、警視庁から迷惑防止条例改正案も提出されております。盗撮やつきまとい行為が後を絶たないだけでなく、巧妙化している状況に対応するために、規制を強化することが主な改正内容となっております。
 このうち、盗撮行為については、新たに規制する場所として、住宅、トイレ、浴場、更衣室などのプライベートな場所や、学校、事務所、タクシーなど多数の人が出入りする場所や、乗り物も追加する内容となっております。
 そこでまず、こうした場所や施設を新たな規制対象として追加した背景について説明していただきたいと思います。
 改正条例案に掲げる盗撮行為の新たな規制場所は、東京二〇二〇大会での選手村の居室と関連施設、大会の観客等が大勢利用すると想定される民泊施設も対象になるのか、見解を求めます。
 一方、他の道府県の盗撮行為の条例規制については、地域の状況によって差異があると承知しておりますが、今回の東京都における改正が、今後、他の道府県が制定する条例に与える影響について見解を求めます。
 次に、東京消防庁の救急隊の増強について質問します。
 平成二十九年において、救急隊が出動してから現場に到着するまでに要する時間は、東京消防庁の平均で七分十九秒であり、前年より十一秒短縮しています。しかし、東京二〇二〇大会の立候補ファイルでは、現場到着時間の目標を七分としており、現在よりさらに十九秒も短縮する必要があります。
 そこで、東京消防庁は、新年度に救急隊を増強するとのことですが、現場到着時間の短縮に向けた具体の方策について見解を求めます。
 一方、軽症者など不要不急な救急車の出動要請は年々増加しています。このことに対策を講じないと、せっかく救急隊を増強しても、増加する不要不急の出動要請への対応に追われてしまう事態も想定されます。
 救急隊の体制強化を契機に、長年の課題となっている不要不急な救急要請を抑制するための対策について消防庁の見解を求めます。
 一方、東京消防庁は、東京二〇二〇大会の際の救急体制を担う大事な部門です。大会に備えた救急車の配置、救急隊の人員確保と外国語対応、そのための訓練等、通常業務以外の対応が必要になります。あわせて、大会時の大規模な事故やテロ等の対応についても、体制を構築しておかなければなりません。
 東京二〇二〇大会の成功に向け、東京消防庁のテロ災害への取り組みについて見解を求めます。
 次に、市町村の消防団への支援について質問します。
 現在、二十三区では一万三千五百人、多摩地域で七千九百人、島しょ地域で千二百人、合計二万二千六百人の消防団の皆様によって、都内各地域の安全・安心を守っていただいております。
 こうした消防団の皆様の活躍を支えていくために、都は、二十三区では東京消防庁の予算で資機材等の配備を進めており、毎年平均四十一億円の予算を組み、来年度は新たに、全ての分団にAEDを配備する予算となっております。
 しかし一方で、都から市町村の消防団への予算は、二十三区のわずか三%程度の、毎年平均一億二千六百万円にとどまっております。
 いかに各市町村のもとに編成されているとはいえ、二十三区の消防団との資機材配備、予算の充当等について状況が違い過ぎるといわざるを得ません。各市町村の消防団が配備すべき装備は、東京消防庁が力を入れて配備している二十三区の消防団と同じ基準とすべきであります。知事の見解を求めます。
 このたび、公明党の強い主張を受けて、市町村総合交付金が五十億増額されて五百五十億円となりました。
 このうち二十億円は、都と市町村の政策連携枠に充てるとされておりますが、この政策連携枠については、消防団の装備の充実にも充てるべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、女性の視点を生かした防災対策について質問します。
 大規模災害発生時には、避難所での妊産婦や子供への配慮、ペットのための備えなど、被災者の多様なニーズへの対応が切実な課題となります。こうした課題に対応し、よりきめ細やかな防災対策を進めるためには、女性の力を、防災対策においても、より生かしていくことが不可欠です。
 先般、都議会公明党が提案を行ってきた女性視点の防災ブック「東京くらし防災」が完成し、本日三月一日から配布を開始いたしました。また、女性の防災人材育成に向けたカリキュラムが示されるなど、取り組みが進んでいます。
 今後は、こうした取り組みの成果を生かしながら、女性の視点を反映した防災対策をさらに前進させていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、商店街の振興について質問します。
 都議会公明党は、昨年の第三回定例会の代表質問で、空き店舗や後継者難に苦しむ店舗の新たな担い手を育てるため、若者や女性を対象に、コンペ方式などで企画提案を募るべきと提案しました。
 これらの人々のアイデアを生かした店舗が商店街でにぎわえば、新たな購買層という集客の増強にも効果を発揮するものと考えます。都の今後の取り組みについて見解を求めます。
 次に、働き方改革について質問します。
 都は、働き方改革に関する対応として、特にテレワークに力を入れており、モデル導入の事業を実施しています。
 働き方改革は、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス型など、業種や職種により異なる事情に配慮した支援をする必要があります。そのためには、実証実験で浮かび上がった内容を広く周知することが大事です。
 加えて、多様なワークスタイルを促進するため、誰でも利用できるサテライトオフィスの設置を支援すべきと考えます。あわせて所見を求めます。
 中小企業に関連して、工業用水道について質問します。
 第四回定例会の代表質問で取り上げたとおり、都の工業用水道は、給水開始から五十年以上経過し、配水管など施設、設備の本格的な更新期が到来しています。もはや老朽化は待ったなしの段階で、首都直下地震の切迫性も高まる中、既に十年以上にわたり検討中としている事業の継続、廃止の判断を、これ以上先送りすることは許されない状況にあります。
 そのような中、工業用水道の廃止が決定したような報道があり、この先、自分たちがどうなるのか、不安な毎日を過ごしているユーザーも少なくありません。
 そこで、こうしたユーザーの方々と真摯に向き合い、例えば、工業用水道の現状や今後の課題などについて、直接会って意見交換を行うなど、最終判断に向けた検討をより丁寧に進めていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、工業用水道を利用する集合住宅への影響も見過ごすことはできません。個々の使用水量が少量とはいえ、都営住宅やUR団地などの集合住宅では、現在でも約三万五千戸の居住者が、水道料金に比べて低廉な工業用水道をトイレの洗浄水に利用しております。
 そこで、工業用水道事業のあり方の検討に当たっては、集合住宅ユーザーに対しても丁寧な説明を行うとともに、仮に事業を廃止せざるを得ないという判断に至った場合でも、庁内各局で連携し、こうしたユーザーにきめ細やかな支援を行っていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、被災地支援について質問します。
 東日本大震災発災から七年を迎えようとしています。被災地では、記憶の風化とともに、いまだ農作物や観光において風評被害から脱却できない状況にあります。加えて、福島県から避難をしてきた子供たちがいじめに遭っている状況も報道されています。
 そうした中、都は、都議会公明党の提案を受け、発災直後の平成二十三年の夏休みから、都内各地で被災地の子供たちと東京の子供たちがスポーツを通じた二泊三日の交流事業を行っています。
 私の地元の八王子においても、野球とサッカーが交流事業として行われており、宿泊は、被災地の子供たちがホストファミリーの家にホームステイをしています。その後、このホストファミリーが被災地の子供たちの家族と毎年相互に行き交う心温まる交流も行っています。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、復興五輪の意義も込めて開催されます。被災地の子供たちとのスポーツ交流事業も二〇二〇年には十年目の節目を迎えます。
 そこで、東京オリンピック競技大会において、今までこの事業にかかわってきた東京の子供たちと被災地の子供たちが再会できる場を都が設定してはどうかと考えますが、知事の見解を求めます。
 被災地の大きな産業の一つが、観光産業であります。しかし、いまだ福島県は、震災前の観光客数に戻っていません。福島県からも、都が平成二十三年から実施している一泊当たり三千円を助成する被災地応援ツアーをぜひとも継続してもらいたいとの強い要望がありました。
 都は、引き続き被災地応援ツアーを継続すべきと考えますが、見解を求めます。
 福島県の観光産業の中でも、とりわけ強い期待があるのが教育旅行であります。本年一月には、産業労働局と総務局とが連携し、都立学校長を初めとする公立の小中高等学校の関係者向け会議の場で、被災地応援ツアーの活用を含めた福島への教育旅行の情報を提供しています。福島県からも、今後さらに強力に推し進めていただきたいという要望もいただいております。
 そこで、都として、平成三十年度は、福島県への教育旅行の支援を継続するとともに、支援を強化していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、小笠原の航空路整備について質問します。
 本年は、小笠原諸島が日本に返還されてから五十周年目の節目となります。五十周年を迎える小笠原村の最大の課題は、航空路の整備です。
 都はこれまで、長期間にわたり調査検討を行ってきましたが、残念ながら大きな進展はありませんでした。
 しかし、昨年七月に、都による小笠原航空路協議会が七年ぶりに開催されました。また、本年一月、知事は、小笠原航空路について、さまざまな観点から、飛行場のあり方について改めて検討すると発言されています。
 返還五十周年の節目に当たることしこそ、小笠原村民の悲願である航空路整備を大きく前進させるべきと考えます。その決意について、知事に見解を求めます。
 次に、監理団体改革について質問します。
 都は、二月五日に二〇二〇改革プランの素案を公表し、パブリックコメントを実施しました。そのような中、一月の都政改革本部会議に特別顧問から出された資料の中で、上下水道などについて民間への業務移譲の可能性が取り上げられています。上下水道の管理運営は、都民の生命にかかわる重要課題であります。
 しかし、テロの危険性や災害時における迅速な復旧、広域支援の体制整備においても、果たして民営化で行政としての責任を果たせるかという点で大きな疑問があります。
 また、都民のセーフティーネットである都営住宅などの住宅行政の一部を民間へ業務移譲する方向性も選択肢の一つとして示されています。都議会公明党は、これに重大な危惧を抱くものです。
 我が党は、一昨年九月、大阪府や大阪市を訪問して関係者と意見交換を行い、現在の都政改革本部で重要な役割を担う顧問が、同地で同じような立場でどのようなことを行ってきたのかを見聞してまいりました。
 大阪府、市では、公営住宅の管理業務の一部が民間に委ねられています。その結果、どうなったか。住民サービスの質が大きく後退する結果となったというのが、現地に同行した我が党議員の一致した見解です。管理業務を請け負った民間企業は、住民サービスよりも利益を優先する姿勢で臨みがちであり、一部の業務を引き続き請け負う住宅供給公社も、スケールメリットを生かすことができなくなり、加えて、民間企業と競い合うため、コストカットが至上命題化し、従前の住民サービスを維持できなくなっています。
 監理団体の多くは、公共性や災害対応などの不採算部門における役割を引き続き重く受けとめているからこそ、都庁各局との一体性を維持しているのであります。
 監理団体改革は、住民サービスや公共性などの観点では少しも後退させるべきではなく、その上で、経理、業務内容に不透明な点があれば、これを徹底的に見直す方向で検討すべきです。知事の見解を求めます。
 最後に、入札契約制度改革について質問します。
 昨年の第四回定例会、そして知事の予算編成への会派としての要望においても、我が党は、都が進めている入札契約制度改革に対して、中小建設業者から改善すべきとの声が寄せられたことを紹介し、抜本的な見直しを強く求めました。
 都は、一月に五団体との意見交換を実施し、その中でも、中小企業で構成する団体からは引き続き強い改善要望が出されたとのことであります。特に、予定価格の事後公表については、中小建設業から根強い改善要望が党に寄せられています。
 大企業などと比べ、従業員が少なく人材に制約のある中小企業にとっては、ふだん現場に出ている技術者が、現場の仕事が終わって会社に戻り、また、土日に出勤して積算の業務を行うなど、働き方改革が問われている中、過度な負担を強いることになっております。
 また、建設業は、就業者の高齢化が進んでいます。若手技術者の確保、育成、定着は喫緊の課題です。道路、橋梁などの土木工事、福祉施設や都立学校などの建築工事は、都民のインフラとして持続的な整備が必要であり、これらの技術を習得、承継していくためには、都内中小企業の若手技術者が、JVへの参画を通し、その技術力を高めていくことが不可欠であります。
 このたびの入札契約制度改革は、現在、試行に取り組んでいる最中であることは認識していますが、業界団体、特に中小企業の現場の切実な声を真摯に受けとめ、抜本的な見直しを行うべきであります。
 そこで、都議会公明党は三つの提案をいたします。
 第一に、予定価格の事後公表は、財務局が発注するような比較的大規模な工事案件とし、中小契約案件は、予定価格を事前公表に戻すべきであります。
 第二に、都は、円滑な事業執行と発現効果を速やかに発揮させるために、一者入札の中止を撤廃すべきであります。
 第三に、土木建築工事などの指定案件について、担い手育成モデル事業としてJV結成義務を設けるべきであります。
 以上、三点の提案に対する小池知事の見解を求め、都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの推進についてのご質問がございました。
 二十一世紀は、メガシティー、大都市の動きが地球規模で大きな影響を及ぼす時代でございます。東京も、国際社会全体における課題を十分に認識し、率先して行動していくことが重要と認識しております。
 SDGsは、ジェンダーの平等、持続可能なエネルギーや消費、生産など、東京にとっても重要な課題を掲げております。
 こうした課題への対応につきましては、二〇二〇年に向けた実行プランや都市づくりのグランドデザインなどに盛り込みました政策と軌を一にしていると思います。
 また、SDGsの誰ひとり取り残さないという理念でございますが、これは私が目指します、人に焦点を当てました大義と共感の行政と、まさに合致するものだと思います。
 SDGsの視点を重視いたしまして、国の動きなどとも連動しながら、女性の活躍推進、再生可能エネルギーの導入促進、さらにはエシカル消費の理解促進などといった政策を着実に実行いたしまして、世界をリードする持続可能な都市東京を実現してまいりたいと考えております。
 大会の記憶を伝える施設についてのご指摘がございました。
 東京二〇二〇大会の成功とともに、その成果と感動を確かなレガシーとして将来にわたって残していくということは極めて重要でございます。
 メダル、聖火リレーのトーチなどの記念品や記録などは、大会を象徴する貴重な財産であり、大会後も保存して多くの方にごらんいただくことで、大会の記憶を長く伝えていく必要がございます。
 都の施設におきましては、駒沢オリンピック公園総合運動場におきまして、一九六四年大会のメダルや公式ユニホームなどの記念品の一部を展示するとともに、IOC委員のアレックス・ギラディ氏からいただいた過去の大会の記念品もあわせて展示をいたしておりまして、大会の様子を今に伝えております。
 また、都庁のオリジナルフラッグ展示コーナーにおきましては、リオ大会から引き継いだフラッグ、リオ大会の聖火リレーで使用したトーチ、長野大会での月桂冠などを展示することで、過去大会の大切なレガシーを引き継ぎ、東京二〇二〇大会につなげているところでございます。
 都といたしましては、大会の記憶そして記録が確実に未来に引き継がれて、社会全体にとって大きなレガシーとなるように、組織委員会、JOCなど関係者とともに、保存、活用を行う組織や施設のあり方を含めまして検討を進めます。そして、東京二〇二〇大会、末永く多くの人々の心の中に刻まれるものとしてまいりたいと思います。
 シルバーパス制度についてのご指摘がございました。
 シルバーパス制度は、高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上に寄与していると認識いたしております。
 現在の制度は、平成十二年度から継続しているものでございます。そして、平成二十八年度には約九十八万枚を交付しており、実施主体である東京バス協会への補助につきましては約百七十三億円となっております。
 このシルバーパス制度には、多くの都民からさまざまなご意見、ご要望が寄せられていることは承知をいたしております。一方で、高齢化が進む中、事業費はさらに増加することが見込まれます。
 今後、制度を持続可能なものとするために、ご指摘、ご提案も踏まえまして、東京バス協会や区市町村のご協力を得て、利用実態を含めたシルバーパス制度に関します調査の実施を検討してまいります。
 次に、医療的ケア児が安心して通学できる手段の確保についてのご質問がございました。
 医療的ケアの有無にかかわらず、あらゆる状態の子供たちが学校で学ぶ機会を整えるということは重要でございます。
 これまで都立の特別支援学校の医療的ケア児の通学は、保護者の送迎に委ねられている場合があり、本人の状態にかかわらず、学校に通えない日があるなどの課題がございました。保護者の方々からも、早期に改善してほしいという声が上がっていると伺っておりました。
 このため、来年度から、全ての都立肢体不自由特別支援学校におきまして、医療的ケア児のための専用通学車両を走らせることといたしました。この取り組みによりまして、生命と安全の確保を第一としながら、医療的ケアの必要な子供たちの学ぶ機会を拡充してまいります。
 誰もが生き生きと生活ができ、活躍ができるダイバーシティーの実現に向けまして、教育の面からも引き続き取り組んでまいります。
 住宅部門を担う局の設置についてでございますが、これまで、都におきましては、直面する課題に応じまして組織のあり方を見直してまいりました。住宅部門につきましても、平成十六年、まちづくりと一体となった住宅政策を推進するために、関係部署を再編統合して新たに都市整備局を設置いたしまして、その後も住宅担当理事を置くなど、事業展開に合わせた執行体制を構築しております。
 これによりまして、木密不燃化などの総合的な防災都市づくり、都営住宅建てかえによって創出された用地を活用したまちづくりなど、具体的な事業展開を図ってきたところでございます。
 また、今後の本格的な人口減少の中にありましても、生活を支える機能が集約化された拠点の形成や、多様なコミュニティの創出など、まちづくりと住宅政策を一体的に進めるということは必要でございます。
 さらに、ダイバーシティー、セーフシティーの実現に向けまして、住まいにおける子育て環境の向上、高齢者の居住の安定、空き家対策、さらには住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定など、都におけます住宅セーフティーネットの構築に向けまして迅速に取り組んでいかなければなりません。
 これらの課題に的確に対応するために、ことしの四月に執行体制の強化を図るところでございますが、今後、東京二〇二〇大会と、さらにその先の東京の未来を見据えまして、効率的かつ効果的な執行体制となるよう、ふさわしい組織のあり方を検討してまいります。
 次に、市町村消防団の装備についてのご質問がございました。
 日々の仕事に従事する傍らで、地域住民の命と財産を守るために、まさしく献身的に活動を行っておられる消防団の方々は都民の安全と安心を守る上で極めて重要な存在でございます。
 セーフシティーの実現のためには、地域防災力の強化が重要でございます。地域を熟知し、即時対応力がある消防団の活動環境を整備するということは、都の責務であると認識をいたしております。
 そして、発生が懸念されます首都直下地震などに備えまして、都内全域での防災力の強化が求められているところでございます。
 多摩・島しょ地域の消防団の管理運営につきましては、各市町村が担っているところでございますが、消防団の装備は、特別区、多摩・島しょといった地域の区別はなく、一定水準以上に高めていく必要がございます。
 そのため、都といたしまして、市町村との連携を重視しながら、多摩・島しょ地域の消防団の装備について、特別区消防団を基準といたしまして、消防団活動の環境整備を積極的に行うことで、東京の防災力の向上に全力で取り組んでまいります。
 市町村総合交付金によります消防団の装備の充実についてのご質問がございました。
 市町村総合交付金は、市町村が取り組みます各種施策に対します財源補完制度といたしまして、各市町村の行政水準の向上、そして住民福祉の増進などに寄与するものでございます。
 平成三十年度予算におきましては、新たに政策連携枠を設けまして、都と市町村が連携して取り組むべき先ほどの消防団活動の充実などの政策課題について、市町村の取り組みを支援することといたしております。
 多摩・島しょ地域の消防団の装備につきましては、特別区消防団の装備を念頭に置いて、市町村による充実の取り組みが円滑に進みますよう、政策連携枠の制度設計を行ってまいります。
 あわせまして、市町村と連携しながら、この政策連携枠を活用した装備の整備を図るなど、多摩・島しょ地域の消防団の着実な装備の充実に向けて取り組んでまいります。
 女性の政策でございます。
 女性の視点を生かした防災対策についてのご指摘、ご質問でございます。
 ご承知のように、私は阪神・淡路大震災を経験した一人でございますが、避難所での着がえや授乳、トイレの問題など、ふだんの生活からは思いもよらないことが起きるものでございます。そして、多くの方が悩みを抱えて苦労している姿、目の当たりにしてきたわけでございます。
 首都直下地震がいつ発生してもおかしくないここ東京におきましても、備えよ常にの考えのもとで、女性の視点を生かすことで、一層きめ細かな災害の備えを進めていかなければなりません。
 そのため、乳児用液体ミルクや女性消防団員の活動の紹介のほか、女性の発想を生かしました防災対策をまとめた新たな防災ブック「東京くらし防災」を作成したところでございます。本日三月一日、リリースを開始いたしました防災アプリも活用いたしまして、多くの都民に防災対策を実施していただけますように取り組みを進めてまいります。
 また、地域や職場などで防災活動の核となる女性の人材を育成するために、基礎を学ぶセミナーやリーダーを育てる研修を、企業の皆さんとも連携いたしまして、来年度から本格的に実施をしてまいります。防災分野で活躍できる女性リーダーをふやして、地域や企業の防災活動を充実させることで、都民の防災力の向上を図ってまいります。
 こうした取り組みを積極的に進めまして、安全・安心なセーフシティーを実現してまいります。
 被災地の支援についてでございます。
 東京二〇二〇大会は、復興オリンピック・パラリンピックであり、被災地の復興なくして大会の成功はないという理念のもとで、大会の準備を進めているところでございます。
 これまで都は、東日本大震災の発災以降、被災地と都内の子供たちをつなぐスポーツ交流事業、千キロ縦断リレー、そしてまた被災地でのフラッグツアーの実施など、さまざまな事業を展開し、復興を支援してまいりました。
 先月二月十七日には、仙台駅で実施したライブサイトで、仙台市出身のあの羽生選手が、被災した困難を乗り越えて平昌オリンピックでも金メダルをとったところ、地元の大勢の方々が一緒になって応援して、大変盛り上がりました。被災地の子供たちがさまざまな場面で東京二〇二〇大会に参画することは、大変意義のあることでございます。
 今後、国、そして組織委員会などと連携をいたしまして、被災地の現状や要望を丁寧に把握しながら、被災地の子供たちに夢と希望を与えられるように、東京二〇二〇大会におけます復興支援の取り組みを検討してまいります。
 小笠原の航空路についてのご質問がございました。
 小笠原の航空路開設は、島民の生活の安定、そして国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で極めて重要でございまして、村民の切なる願いである、このことは十分承知をいたしております。
 私は、知事就任直後の平成二十八年十月、小笠原諸島の父島を訪問いたしました。そして、村を取り巻く状況や飛行場の候補地を現地でしっかりと確認をいたしまして、自然環境を初めさまざまな課題があることを改めて認識もしたところでございます。
 昨年七月には、都と村で設置をいたします航空路協議会を開催いたしまして、父島の洲崎地区を活用する案を中心といたしまして検討を行うということで、双方で確認をしたところでございます。
 自然改変の程度を軽減させるためには、滑走路の長さを可能な限り短縮させることが必要と考えます。現在、それにふさわしい就航可能な機材等について、幅広く調査を行っているところでございます。また、平成三十年度は、これに加えまして、村民生活の安全・安心の観点をより重視した検討も行うように指示をいたしております。
 今後、調査結果を踏まえまして、自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられますように、国や村など関係機関との調整を緊密にかつ丁寧に行いまして、よく検討をしてまいりたいと考えております。
 監理団体の改革についてのご指摘がございました。
 人口減少の到来を間近に控えて、時代の大きな転換点を迎えている中にあって、東京二〇二〇大会の成功はもとより、その先の未来を見据えて活力を生み続ける都市へと東京を発展させることが、都知事としての私の責務でございます。
 そのため、都庁とともに、公的サービスの担い手といたしまして、施策実施の現場を担う監理団体が一体となって、社会情勢の変化に即しためり張りのある改革を推進していくことが重要でございます。
 こうした認識のもと、監理団体を都庁グループの一員と位置づけた上で、団体、所管局、総務局の三者が今後進めていくべき改革を実施方針として取りまとめをいたしました。
 改革に当たりましては、単に費用削減のみに着目するのではなく、都民の利益、満足度を第一に考えまして、提供するサービスの質や効果の最大化を図るという視点が重要でございます。
 その上で、戦略的な活用に向けました団体個々のあり方や、今後注力すべき業務領域など、都、団体、民間の役割などについて、見直すべきは見直し、伸ばすべきは伸ばしてまいります。
 東京の持続的な成長の実現に向けまして、都政改革と軌を一にした監理団体改革を積極的に推し進めて、都庁グループの機能強化を図ってまいります。
 入札契約制度改革に対しまして、三点のご質問、ご提案をいただきました。
 まず、予定価格の事後公表についてでございます。
 今回の制度改革では、昨年の六月の下旬から財務局案件を対象といたしまして、また十月末からは各局案件に対象拡大をいたしまして、予定価格の事後公表を実施してまいりました。
 予定価格の事後公表は、事業者の積算努力を促すものでありまして、積算を行わずに入札に参加する不良不適格業者が除かれるという効果は期待されます。
 一月の業界団体との意見交換では、事後公表の継続を求める声もありました一方で、事業者、特に中小企業におきましては、積算の事務負担の増大や、それに伴って都の入札への参加意欲が減退している、それがゆえに事前公表に戻してほしいとの意見も寄せられたところでございます。
 今後、入札監視委員会での検証を進めまして、いただいたご提案の内容をしっかりと受けとめさせていただき、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいります。
 一者入札の中止についてもご指摘がございました。
 この取り組みは、入札参加希望者が一者以下の場合に、入札参加条件を見直して再入札に付すことによって、より多くの入札参加者を確保して、入札の透明性や競争性を高めるために実施をしているものでございます。
 中止となった案件につきましては、速やかな再発注の手続を進めているところでございます。ただ、業界団体との意見交換におきましては、一者でも参加を希望した事業者の準備が無になることや、都の事業執行のおくれを懸念する声も多く寄せられたところでございます。
 昨年三月、公表いたしました入札契約制度改革の実施方針におきましても、特別な事情がある場合に一者入札を認めることも必要といたしておりまして、こうした現場の状況も踏まえまして、今後の取り扱いにつきましては検討いたしてまいります。
 そして、三番目のJV結成義務についてのご指摘がございました。
 今回の制度改革におきましては、JV結成義務が入札参加の制約となっているのではないかという問題意識から、結成義務を撤廃いたしまして、単体企業でもJVでも入札参加を可能とする混合入札を導入したところでございます。
 この取り組みにつきましては、入札参加者が増加するという効果が見られた一方、業界団体からは、これまでJVに参加することによって中小企業の技術力の研さんに寄与してきたとの意見もいただいております。
 担い手育成モデル事業というご提案をいただいたわけですが、今後の検討におきまして、入札参加者数の増加による競争性の確保とあわせまして、特に中小企業における人材育成という視点も重要と認識をしているところでございます。
 今後、入札監視委員会の検証結果が出されて、改めて、都として業界団体からのヒアリングを行うことといたしております。引き続き、現場の声をしっかり伺いながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監吉田尚正君登壇〕

○警視総監(吉田尚正君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、水上の安全確保についてでありますが、当庁が実施した航行実態の調査結果からも、都内の安全かつ快適な水上及び水辺の環境の実現は喫緊の課題であるというふうに認識をいたしております。
 防犯カメラの設置につきましては、条例施行後の危険航行等の発生状況を踏まえまして、水域管理者と連携の上、その必要性を含めて検討してまいります。
 また、水上オートバイの配備につきましては、本定例会において所要の予算の確保をお願いしているところであります。警備艇とともに、効果的運用を図ることで、通報に即応する体制を強化するなど、対応能力の向上に努めてまいります。
 今後は、実態に応じたパトロールによる指導、警告や取り締まりを行うなど、本条例を適正に運用するほか、関係機関と連携の上、航行ルールの周知やマナー向上に向けた各種施策にも取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇大会の運営部門との連携についてでありますが、臨海地区に選手村や競技会場を初めとする重要施設が存在をし、その同地区周辺の安全と安心の確保は大変重要な課題であると認識しております。組織委員会を初めとする大会運営部門と緊密な連携を図っているところであります。
 本条例案は、安全かつ快適な水上及び水辺の環境を実現することを目的としていることからも、その運用については、他の法令と同様に適正を期すとともに、東京二〇二〇大会を念頭に置きまして、今後、条例施行後の状況を踏まえつつ、諸対策を推進してまいります。
 次に、迷惑防止条例に新たな規制場所を追加した背景についてでありますが、現在の盗撮行為の規制場所は公共の場所等に限られておりますところ、撮影機器の小型化や高性能化によりまして、規制場所以外での盗撮行為が発生をしております。
 今回の改正は、都内の発生状況を踏まえまして、住居、トイレ、浴室、更衣室等の、人が衣服を身につけないことがある場所や、学校や会社の事務室、カラオケボックスの個室等の人が出入りする場所や乗り物、これらを新たに規制するものであります。
 このように規制場所を拡大することで、人身安全関連事案に発展する可能性のある盗撮行為に対しまして、前兆事案の段階で適切に対処できるということから、都民及び都内に滞在する方々のさらなる安全の確保につながるものと考えております。
 次に、東京二〇二〇大会の選手村居室等が盗撮行為の新たな規制場所となるかについてでありますが、近年、現行条例の規制対象外の場所である住居などのプライベート空間における盗撮行為が発生をいたしております。
 今回の改正では、規制場所について、住居等のプライベート空間にまで拡大されることによりまして、東京二〇二〇大会では、都内の選手村の居室、ホテルの客室や民泊施設等についても規制場所に含まれることとなります。
 東京二〇二〇大会を控えて、首都東京に注目が集まり、国内外からの来訪者の増加が予想されますところ、これまでは規制場所となっていなかった宿泊施設の個室、つまりプライベート空間にも規制が及ぶことによりまして、都民のみならず、都内に滞在する方々にとりましても安全が確保されることとなるものと考えております。
 最後に、今回の改正が、今後、他の道府県が制定する条例に与える影響についてでありますが、近年のスマートフォンの普及などにより、あらゆる場所で盗撮行為が発生しているという状況を踏まえますと、規制場所を拡大することが望ましいと考えております。
 この点、全国におきましても条例で盗撮行為が規制されておりますところ、地域の状況によって、その規制場所がさまざまであると承知をいたしておりますが、今回の改正によりまして、本条例の規制場所は、条文上、最も広範囲に及ぶというものと認識をいたしております。
 今後、本条例の改正によって、広く住民生活の安全が確保され、全国における同種条例のモデルケースになることを期待いたしております。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 特別支援学校での人工呼吸器管理についてでございますが、医療的ケアが必要な児童生徒の学校卒業後の社会参加を見据え、自尊心や自立心を育成する上で、保護者の付き添いなく授業に参加することは、教育的な効果がより一層高まるなどの意義があると考えております。
 これまで特別支援学校では、人工呼吸器管理は、学校看護師では実施困難な高度な医療的ケアであることから、保護者に対応を依頼してまいりましたが、一方で、最近の医療技術の進歩により、医師の詳細な指示がなくても、看護師で取り扱いが可能な医療機器が普及してきております。
 このため、都教育委員会は、医師、保護者、学校の連携のもと、安全の確保を第一に、人工呼吸器管理を適切に実施するための校内体制や実施方法等を検討することを目的として、モデル事業を来年度から実施してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、住宅確保要配慮者の居住の安定についてでございます。
 住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、昨年十月に開始した入居を拒まない住宅の登録を着実に進めることが重要でございます。
 このため、国が導入した住宅の改修や家賃低廉化、家賃債務保証料への補助制度を最大限に活用してまいります。
 具体的には、都は来年度から、区市町村が貸し主等に対して行う補助の二分の一を助成し、区市町村の取り組みを後押しいたします。加えて、高齢者や障害者の専用住宅に改修する場合には、都独自に補助を上乗せし、貸し主が負担する費用をさらに半減する措置を行います。
 こうした貸し主の負担軽減に向けた取り組みによって、入居を拒まない住宅の登録を促進し、住宅セーフティーネット機能の強化を図ってまいります。
 次に、空き家対策についてでございます。
 これまで都は、区市町村に対し財政支援などを行い、約八割の自治体が実態調査を実施するなど、取り組みが進んでまいりました。今後は、空き家の利活用を初めとした総合的な取り組みを一層促進していく必要がございます。
 このため、来年度から、所有者と利用希望者とのマッチング体制の整備や、地域の活性化を目的とした住宅の改修への補助を区市町村が行う場合に、都が支援をいたします。
 現在、モデル事業として行っているワンストップ相談窓口についても、民間事業者と連携し、拡充して実施いたします。さらに、空き家など既存住宅の流通促進のため、建物状況調査、いわゆるインスペクションに助成をいたします。
 こうした取り組みを区市町村等と連携しながら推進して、空き家対策の強化を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、観客輸送の暑さ対策についてでございます。
 シャトルバスの発着場など、観客が滞留する可能性のある場所を適切に把握し、その発生頻度や現場状況などを踏まえつつ、効果的、効率的に対応することが重要であります。
 平昌大会では、開会式終了時に、シャトルバス発着場付近で、厳しい寒さの中、長時間観客が滞留する事態が発生しました。一方、開会式の翌日以降は、駐車中のバスを一時的に開放するなどの対応も見られたところであります。
 東京大会時の暑さ対策については、平昌大会での課題なども踏まえ、組織委員会と連携し、まずは観客を待たせない円滑な輸送システムの構築を図ってまいります。
 さらに、駅までのアクセスが遠い競技会場では、暑さを緩和できる待機スペースを確保するなど、対策を総合的に検討してまいります。
 次に、大会時における交通機関の確保についてでございます。
 東京二〇二〇大会の開会式につきましては、現在、開催時間などを含めて組織委員会とともに検討を進めてございます。
 開会式が行われる新国立競技場周辺は鉄道網が充実しており、開会式のスケジュールに合わせ、適切に鉄道の運転時間等を調整することが、円滑な観客輸送のかなめになると考えております。
 大会時の終電の延長や運行範囲などにつきましては、現在、組織委員会と連携し、鉄道事業者と検討を進めており、開会式においても、式典の終了時刻等の決定状況を見ながら、対応策を検討してまいります。
 今後、平昌大会での課題等も踏まえ、来場される方への運転情報の適切な周知方法なども含め、対応策を詳細に検討し、円滑な観客輸送を実現してまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会のライブサイトについてでございます。
 チケットを持つ人も持たない人も、誰もが気軽に訪れ、大会の迫力と感動を共有できる場を創出し、安全で快適に楽しんでいただくことが重要であります。
 ライブサイトは、競技のライブ中継だけではなく、スポーツ体験等、多様な内容で構成され、また、多数の人が来場することから、都立公園など大規模なスペースが確保できる場所での実施を検討しております。
 リオ大会時に実施したライブサイトでは、日よけや微細ミストの効果を試すとともに、平昌大会時の国内ライブサイトでは、一部をテント内で実施するなどの試行も重ねているところであります。
 大会本番の実施に向けましては、これらの試行結果や費用対効果も踏まえながら、ライブサイトの実施箇所や内容に応じて、暑さ対策に適切に取り組んでまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、夜の時間を活用した観光についてでございますが、夜間に楽しむことができる観光の選択肢をふやし、その情報をわかりやすく発信していくことは、外国人旅行者の旅の満足度を高め、都内の観光消費の拡大を図る上で重要な取り組みでございます。
 都はこれまで、夜の東京の魅力を発信するため、モデルルートを作成して外国人ブロガー等を招聘し、旅行記を各メディアで紹介するほか、夜景スポットをまとめた冊子を多言語で作成し、観光案内所等で配布してきたところでございます。
 来年度は、こうした取り組みに加え、夜間に観光を楽しむための情報を掲載した専用サイトを新たに構築いたしまして、情報発信を強化いたします。
 また、東京の夜間の観光の課題や、外国人旅行者のニーズ、海外都市の取り組み状況等を調査し、今後の振興策の検討につなげてまいります。
 こうした取り組みにより、夜の時間を生かした観光振興を進めてまいります。
 次に、住宅宿泊事業、いわゆる民泊の実施に向けた対応についてでございますが、住宅宿泊事業は、旅行者の多様なニーズに応える一方で、住民生活への影響なども懸念されるため、地域の生活環境に調和した事業の実施を確保する必要がございます。
 このため、都では、事業の適正な運営などを目的として都独自のガイドラインを策定しており、事業者や都民への周知を図っているところでございます。また、受け付けが開始される今月から都が所管をすることとなります市町村の区域における苦情を一括して受け付ける窓口を設置いたしますとともに、衛生、消防、警察などの関係部署と連携して、事業者への指導監督を行ってまいります。
 さらに、定期的な現地調査を実施し、とりわけ悪質な事業者への指導監督につきましては、特別区等とも情報共有を行い、連携した対応を図るなど、地域でのトラブル防止に向けた取り組みを着実に推進してまいります。
 次に、商店街振興に向けた支援についてでございますが、都内の商店街の維持と発展を図るためには、新しい発想や工夫により出店を進める取り組みを効果的に支援することが重要でございます。
 このため、都は、商店街が空き店舗を減らし、新たに開業する事業者をふやす取り組みを後押しするほか、将来のリーダーとしての活躍を期待できる女性や若者による出店に向け、重点的な支援を行っております。
 来年度は、商店街での起業や事業の承継に必要となる経費への支援のほか、女性や若者が商店街で新たな発想により開業する場合の補助制度の充実を図ります。特に、女性や若者が企画力を生かし、商店街で販売や経営の経験を積むためのチャレンジショップを新たに多摩地域にも開設をいたします。
 これらにより、商店街への効果的な支援を展開してまいります。
 次に、テレワークについてでございますが、テレワークの普及に向けては、企業や働く方のニーズに応じた支援を行っていくことが重要となります。
 そこで都は、業種や企業規模の異なる二十社に対してモデル事業を実施し、テレワークの導入から運用までの一貫した支援を通じて、課題や活用策を検証してまいりました。
 来年度は、その結果を踏まえ、業種別に導入事例や運用のポイント等をまとめたハンドブックの作成や、実践に即した体験型セミナーの実施など、企業現場での活用を促進してまいります。
 また、身近な地域で柔軟な働き方を選択できるよう、多摩・島しょ地域において、サテライトオフィスを整備する市町村や企業等に対する補助事業を創設いたします。
 これらの取り組みにより、企業や地域の実情に合ったテレワークの導入を効果的に後押ししてまいります。
 次に、被災地応援ツアーについてでございますが、都は、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月から実施をしております。
 今年度は、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分について、その費用の一部を助成し、多くの旅行者が福島県に訪れることを後押しすることで、現地での消費を喚起するなど、観光振興による復興を支援しているところでございます。
 来年度も引き続き、県の観光を取り巻く状況や要望などを踏まえまして、被災地応援ツアーを実施してまいります。
 最後に、福島県への教育旅行に対する支援についてでございますが、都は、東日本大震災以降に減少いたしました教育旅行を回復させる福島県の取り組みを支援しているところでございます。
 具体的には、県が実施する教育旅行復興事業と連携をしまして、都内の学校が実施をする福島県への教育旅行に対し、バス一台当たりの経費の一部について、一回目五万円、二回目以降三万円を上限に助成を行っております。来年度は、県が実施をする本事業の強化にあわせまして、二回目以降の上限額を五万円に拡充して継続してまいります。
 加えて、都が開催する旅行会社向けの説明会において、県の職員による観光PRのほか、福島の魅力を紹介した観光パンフレットを提供する取り組みを来年度も実施していくなど、福島県への教育旅行をしっかりと支援してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 十六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、認知症高齢者グループホームの利用者負担の軽減についてでありますが、都は、国制度による整備費補助に加え、都独自の補助によりグループホームの整備を進めており、初期投資を軽減することで家賃負担の軽減も図ってまいりました。また、介護保険制度の地域支援事業を活用した低所得者への家賃助成の実施を区市町村に働きかけてまいりました。
 国に対しては、家賃等の負担軽減により、所得にかかわらず利用しやすい仕組みとすることを提案要求しております。
 来年度は、整備費補助について、建築価格の高騰加算を創設するほか、高齢者人口に対する整備率に応じた加算対象となる区市町村を、四十から五十に拡大をいたします。家賃助成につきましては、七つの自治体が行う予定であり、都としては、改めて状況調査や区市町村との意見交換等を行い、負担軽減の取り組みがさらに進むよう検討を行ってまいります。
 次に、介護老人保健施設の短期入所の活用についてでありますが、介護老人保健施設は、在宅生活への復帰を目指す要介護高齢者に対し、日常生活に必要な介護だけではなく、医療的管理や看護、機能訓練等のサービスを実施しており、施設への短期入所を活用することは、介護者のレスパイトに加え、医療を必要とする高齢者の在宅生活の継続を支援する上でも効果的でございます。
 このため、都は来年度、施設ごとに対応可能な医療サービスの内容や施設の空き情報を随時に提供できる専用ホームページの構築や、介護支援専門員や病院の医療ソーシャルワーカー等を対象とした介護老人保健施設の短期入所活用に向けた研修など、事業者団体の取り組みを支援し、短期入所の円滑な利用を促進してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備等についてでありますが、都は特別養護老人ホームの整備を促進するため、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対する整備費補助の加算や、整備率が低い地域への補助単価の加算など、さまざまな独自の支援策を講じており、来年度は、地域密着型特別養護老人ホームについても高騰加算を創設いたします。
 また、老朽化した施設の大規模改修や改築への補助を行うほか、現在、清瀬小児病院の跡地に、施設の建てかえ期間中に事業者が交代で使用できる代替施設の整備を進めており、平成三十一年度から事業者が利用を開始する予定でございます。
 今後、健康長寿医療センターの旧建物解体後の跡地を活用して、区部にも同様の代替施設を整備し、特別養護老人ホームの建てかえを促進してまいります。
 次に、病床の機能分化と連携についてでありますが、平成二十八年に策定した地域医療構想では、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの病床機能について、平成三十七年の必要量を、現在の二次保健医療圏とする構想区域ごとに推計をいたしました。将来不足が見込まれる病床機能は、各構想区域で異なっており、今後、地域の医療需要に適切に対応できるよう、病床を確保する必要がございます。
 現在、構想区域ごとに設置した地域医療構想調整会議では、地域の医療資源の現状等を把握した上で、医療機関等が自主的に病床の機能分化や病院間の医療連携を進めるための議論を行っております。
 都は、地域で不足する病床機能への転換や病院間の情報共有など、地域の実情に応じた取り組みを、地域医療介護総合確保基金を活用して支援してまいります。
 次に、慢性期の医療、介護ニーズへの対応についてでありますが、現在策定している保健医療計画は、地域医療構想と一体化しており、療養病床の入院患者のうち、医療の必要性が低い患者等が在宅医療等に移行することを前提とする国の推計方法に基づいて算定をいたしました平成三十七年の在宅医療等の必要量を盛り込んでおります。
 必要量の内訳は、居宅等で訪問診療を受けている患者数、介護老人保健施設等の入所者数、平成三十五年度末までに介護療養病床から転換する介護医療院の入所者数などとなっております。
 今後、都は、算定した慢性期の医療、介護ニーズに確実に対応できますよう、介護療養病床の転換状況等も見据え、医療と介護の連携の推進など、区市町村や医療機関等の取り組みを支援し、在宅医療等の整備を進めてまいります。
 次に、AYA世代のがん患者の実態把握についてでありますが、現在改定中の東京都がん対策推進計画では、ライフステージに応じたがん対策の一つとして、AYA世代のがん患者への支援を位置づけることとしております。
 AYA世代のがん患者は、患者数が少なく、希少がんが多いことや、修学、就職、結婚等と治療の時期が重なることなど、成人のがんとは異なる特徴がございます。また、診療体制が定まっておらず、小児がん診療科で治療を行う場合と成人診療科で治療を行う場合があり、医療従事者の診療経験や相談事例の蓄積が困難な状況にございます。
 このため、都は来年度、拠点病院等におけるAYA世代の患者に対する医療提供の現状や、多様な相談の内容や対応状況、患者や家族のニーズ等を把握するため、実態調査を行ってまいります。
 次に、緩和ケア提供体制の整備に向けた取り組みについてでありますが、次期がん対策推進計画では、緩和ケア病棟の整備を行う医療機関を引き続き支援いたしますとともに、がんと診断されたときからの切れ目のない緩和ケアを提供できるよう、拠点病院等と地域の医療機関とが連携した緩和ケア提供体制の構築を目指すこととしております。
 このため、主治医等が行う基本的な緩和ケアから、専門知識や技術を有する多職種の緩和ケアチーム等が行う専門的な緩和ケアにつなげる体制の強化や、地域の医療機関も参加する円滑な転退院に向けた退院時カンファレンスの充実など、拠点病院の連携強化の取り組みを支援してまいります。
 また、拠点病院以外の医療機関でも、適切な緩和ケアが提供されるよう、一般病床における緩和ケアの実施状況を調査し、体制の整備を検討してまいります。
 次に、ベビーシッターの質の向上についてでありますが、現在、都や区市町村におきましては、区市町村が認可する地域型の居宅訪問型保育事業や家庭的保育事業の保育者に対して、国が示すカリキュラムに沿った研修を実施しております。
 都が来年度から新たに実施する認可外のベビーシッター利用支援事業におきましても、従事する保育者に対して、このカリキュラムに準じた研修を実施いたします。
 また、本事業に参画する事業者には、都民が安心してサービスを利用できるよう、保育者が急病などの場合に代替保育者を確保できること、個人情報の保護の徹底、サービス内容の情報提供、苦情相談窓口の整備、保育者に対する研修の実施など、一定の要件を満たすことを求めてまいります。
 次に、保育士等キャリアアップ研修についてでありますが、今年度、国は、保育現場において、多様な課題への対応や若手の指導等を行う職員を育成することを目的に、乳児保育、保健衛生、安全対策、障害児保育等六つの専門分野別研修と、マネジメント研修、保育実践研修から成る保育士等キャリアアップ研修を創設し、来年度以降、処遇改善のための加算の要件とすることとしております。
 都は、十分な受講機会を確保するため、来年度、都内の指定保育士養成施設等が実施する約二百の研修を指定する予定でございます。また、研修受講者の負担軽減を図るため、研修実施機関が受講料を徴収しないことを要件に、研修に要する経費も支援をいたします。
 現在、研修実施機関の募集を行っており、早期に研修が開始できるよう準備を進めてまいります。
 次に、医療的ケアが必要な障害児に対応する訪問看護ステーションの拡大についてでありますが、医療的ケア児が地域で適切な支援を受けながら生活する上で、体調管理や看護指導等を行う訪問看護は重要な役割を担っておりますが、都の調査では、現在、医療的ケア児に対応しているステーションは全体の約五分の一にとどまっております。
 このため、都は来年度、医療的ケア児への訪問看護の実績やノウハウを有する事業者の中から、医療的ケア児訪問看護推進ステーションを指定し、参入を検討している事業者の運営相談や情報交換のための業務連絡会、同行訪問など、実践的な現場体験研修等を行うモデル事業を開始し、医療的ケア児に対応する訪問看護ステーションの拡大につなげてまいります。
 次に、障害児の通所施設についてでありますが、都は現在、障害児が身近な地域で安心して生活できるよう、地域における障害児支援の中核的施設として、通所支援や障害児とその家族への相談支援、障害児が通う事業者への専門的な支援等を総合的に行う児童発達支援センターの整備目標を掲げ、整備を促進しております。
 今年度、新たに障害児福祉計画を盛り込んで策定をいたします東京都障害者・障害児施策推進計画では、児童発達支援センターに加え、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所についても、平成三十二年度末までに各区市町村に少なくとも一カ所以上設置することを目標に、施設整備に係る設置者負担を軽減する特別助成等を行い、障害児の通所施設の整備を一層進めてまいります。
 次に、心身障害者医療費助成制度の対象拡大についてでありますが、昨年三月、都議会定例会で、精神障害者を対象とすることに関する請願が全会一致で採択されたことを踏まえまして、都はこれまで、区市町村との協議、学識経験者への意見聴取を行いながら、国の助成制度との整合性や対象者の範囲、施行時期等について検討をしてまいりました。
 その結果、所得税の特別障害者控除との整合性や医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえまして、精神障害者保健福祉手帳一級所持者を対象に加えることとし、必要な条例改正案を本定例会に提案をしております。
 施行時期につきましては、対象者や医療機関等への周知、申請書の受理などの窓口業務を担う区市町村の準備が十分に行えるよう、平成三十一年一月を予定しております。
 次に、精神障害者支援の充実についてでありますが、都は、精神障害者が地域で安心して生活できるよう、地域活動支援センター等にコーディネーターを配置し、病院から地域生活への移行を促進いたしますとともに、グループホームや日中活動の場などの整備を進めております。
 また、企業への就労を促進するため、区市町村障害者就労支援センターなどを通じた支援に加え、来年度は、新たに医療機関、就労支援機関、企業等が連携し、事例の分析や支援プログラムの作成などを行うモデル事業を実施いたします。
 現在策定中の障害者・障害児施策推進計画では、当事者や家族の意見も踏まえ、地域移行の促進や地域生活基盤の整備、就労支援の強化などを施策の柱に位置づけておりまして、今後、精神障害者支援の一層の充実を図ってまいります。
 次に、新生児聴覚検査についてでありますが、全ての新生児が都内全域で聴覚検査を受けられる体制の整備に向けまして、昨年十二月から、都、区市町村、東京都医師会との間で、公費負担制度の導入についての協議を開始いたしました。
 また、区市町村による検査結果の把握方法や、療育の早期開始に向けた対応、保護者への支援など、実務的な課題について検討をするため、産婦人科医会、小児科医会、耳鼻咽喉科学会の専門家等を構成員とする会議を新たに設置をいたしまして、先週、第一回の会議を開催したところでございます。
 今後、平成三十一年度から全ての区市町村で共通の受診券を活用した公費負担を実施できるよう、関係機関との協議や専門家等による検討を進めてまいります。
 次に、子供食堂への支援についてでありますが、現在、NPO法人等の民間団体が、地域の子供たちに食事や交流の場を提供する子供食堂の取り組みが広がっております。
 都は、区市町村が民間団体等と連携し、支援員を配置して、学習支援や食事の提供、親への養育支援を一体的に行う居場所づくりを支援しており、今年度からは、この居場所と連携する地域の子供食堂に対しても支援を行っております。
 来年度は、支援が必要な家庭等を適切なサービスにつなげていけるよう、区市町村が行いますフードバンク等と連携して、生活困窮者や子供食堂等に食料を提供する地域の拠点となるフードパントリー設置の取り組みを支援いたしますとともに、子供食堂に対しても、区市町村を通じて運営費の助成を開始いたします。
 最後に、自立援助ホーム入居者への医療費支援についてでありますが、自立援助ホームの入居者のうち、約二割は虐待による精神疾患などの慢性的な疾患により、定期的な通院を必要としております。
 そのため、都は現在、入居者が就労自立に向け必要な医療を受けられるよう、通院時の職員の同行援助や、収入のない未就労者の医療費への支援を行っております。
 お話のように、就労していても収入が少なく、医療費が負担となっている入居者もいることから、医療費支援の対象を、所定労働時間が週二十時間未満の入居者にも拡大をし、必要な医療を受けることにより心身の安定につなげ、自立を支援してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 環境性能の高いタクシー導入への補助制度についてでございますが、タクシーは一般の車両と比べて走行距離が長く、ハイブリッド化等により、高いCO2削減効果が見込まれます。
 そのため、都では、東京二〇二〇大会開催に向けて、環境性能が高く、車椅子のまま乗車できるユニバーサルデザインタクシーを対象にした補助制度を設け、普及を進めてまいりました。
 一方、高齢化が進む中、要介護者や障害者等を対象とした福祉タクシー等の需要も高まっており、今後、走行台数もふえていくと考えられるため、これらの車両のハイブリッド化を進めることも重要でございます。
 そこで、来年度、環境性能の高い福祉タクシー等も本補助制度の対象とし、自動車からのCO2削減の推進を図ってまいります。
〔消防総監村上研一君登壇〕

○消防総監(村上研一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、救急隊の現場到着時間短縮への取り組みについてでございますが、一人でも多くの都民の命を救うためには、救急隊の到着時間を短縮することが重要であると認識しております。
 東京消防庁では、これまで救急隊を計画的に増強するとともに、救急需要に応じて待機場所を変更し、機動的かつ柔軟に対応する救急機動部隊を創設するなど、現場到着時間短縮に取り組んでまいりました。
 東京二〇二〇大会時に現場到着時間を七分にすることを目標に、来年度は、救急隊六隊の増強と、人工知能により救急活動及び救急要請の傾向に関するビッグデータを分析することによる救急需要予測システムの構築を計画するなど、積極的に取り組んでまいります。
 次に、不要不急な救急要請を抑制するための取り組みについてでございますが、東京消防庁では、都民が救急車を呼ぶべきか迷ったときに電話で相談できる救急相談センター、いわゆるシャープ七一一九の利用を促進するとともに、新聞広告やトレインチャンネルなどさまざまな媒体を活用して、救急車の適正利用について広報活動を行っております。
 来年度は、救急搬送人員の半数以上を占める高齢者を対象としたシャープ七一一九ステッカーの配布や、ワンタッチでシャープ七一一九につながる消防アプリの開発を計画するなど、あらゆる機会を捉えた救急相談センターの利用促進に取り組んでまいります。
 今後とも、真に救急車を必要とする都民に迅速に対応できるよう努めてまいります。
 最後に、テロ災害への取り組みについてでございますが、地下鉄サリン事件での教訓やテロ災害に係る海外消防事情調査などを踏まえ、同時多発テロ等が発生した際に、通常の災害対応に影響を及ぼすことなく対処するため、高度な指揮機能を有するコマンドカーを中心に、災害種別に応じた特殊部隊を編成する統合機動部隊の創設を計画しております。
 また、爆破テロ等に対応するため、爆破等から防護性能を有する救出救助車及び大量出血に対応する止血帯の整備や、爆傷等の特殊な病態に対する専門研修を予定しております。
 今後とも、東京二〇二〇大会に向け、各種テロ災害に的確に対応できる消防活動体制を構築してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 工業用水道事業の検討の進め方についてでございますが、工業用水道は、これまで廃止を含めた経営改革の方向性について検討を進めておりまして、現在、昨年十月に実施した利用者アンケートで寄せられた意見などを踏まえつつ、今後の事業の方向性を定めていくために必要な材料や条件などを整理しているところでございます。
 事業の方向性をまとめていくためには、ご指摘のとおり、利用者の方々にしっかり向き合い、検討を進めることが重要であることから、今後、関係各局と連携して、事業を継続した場合の料金水準や、仮に廃止せざるを得ない場合の具体的な支援策などにつきまして、業界団体などの皆様と直接お会いし、意見交換などを行ってまいります。
 今後も、利用者への対応を丁寧に進めつつ、課題を整理しながら、経営改革の方向性の検討を加速させてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 集合住宅における工業用水道利用者への対応についてでございますが、工業用水道事業では、供給区域の一部の集合住宅にトイレの洗浄用水を供給しており、今後の事業の存続や廃止が、建物全体の給水設備の改修等の判断に影響を及ぼす可能性がございます。このため、これまで集合住宅の建物所有者などに対しまして、事業の現状や課題をお伝えしてまいりました。
 一方、集合住宅の居住者に対しましては、仮に事業廃止となる場合、個々の居室内の配管工事等が必要となることから、今後順次、工業用水道事業の現状と課題に加え、施工方法等についても情報提供を行うとともに、問い合わせにもきめ細かく対応してまいります。
 また、切りかえに伴い生じる利用者負担に対する支援につきましては、関係各局が緊密な連携のもと、検討してまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時七分休憩

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