平成二十九年東京都議会会議録第二十号

   午後五時十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十五番白戸太朗君。
〔六十五番白戸太朗君登壇〕

○六十五番(白戸太朗君) 都民ファーストの会東京都議団白戸太朗です。
 まず、東京湾の水質に関し質問させていただきます。
 二〇二〇年オリンピックのトライアスロンとオープンウオータースイミングの会場、パラリンピックのトライアスロン会場でもありますお台場海浜公園、こちらでは、過去二十年以上にわたり日本選手権が開催されており、延べ三千人以上の選手が泳いでいますが、今のところ大きなトラブルはありません。
 また、二〇〇九年から五年間にわたり、東京・マラソンスイミングが開催され、二〇一六年からは、日本選手権オープンウオータースイミングも開催されているところです。
 ちなみに、私自身も選手としてここを泳いだことがあります。水泳という競技の性格上、通常は水が口の中に入ってくるものなんですが、決して美しい海というわけではありませんので、さすがにこのときばかりは、口を閉じて泳いでいたのを覚えています。それでも、少なからず海水を飲み込んでしまうことには間違いありませんが、今のところ、おなかも下していませんし、体調は大丈夫でございます。
 一方、本年の夏に都と組織委員会が行った調査によりますと、晴天時と雨天の後の水質が顕著に異なっており、ことしの夏は雨が続いたこともあり、国際競技団体の定める水質達成日数は、調査日と比較して限定的なものでした。このため、大会会場であるお台場海浜公園に関して、IOC、そして国際競技団体であるITUから二〇二〇年大会時の水質対策を求められています。
 この要望に対して、東京都として、二〇一七年九月に調査結果と三重スクリーンの方法を提示しています。さらに、二〇一七年十二月末までにIOCに大会時の水質対策と水中スクリーンの性能を示すとなっています。
 そこでお伺いします。
 スクリーン手法が検討されていますが、その効果をどのように考えているのか、また技術評価はされているのか、またその費用の想定が出ていませんが、どのようなものなのか、お伺いします。
 世界中には多くの大会があり、決して水質のいいところばかりではありません。特に、まち中で行われる大会には入りたくないようなところもあるのですが、人間の適応能力の高さには本当に驚かされるばかりです。
 さらに、ロンドン大会、リオ大会と直前の二大会に関しては、水質には課題があったと聞いております。そう考えますと、東京大会が、より高みを目指しているということがよくわかるところでもあります。
 ただ、アスリートファーストをテーマに大会準備を進めている中で、この大会に対して都民の理解を得るためには、全体予算縮減も重大なテーマでございます。オリンピック・パラリンピックの際にはスクリーンで対策はとられますが、大会後はまた通常の状態に戻り、その状態で再びトライアスロン大会が開催されるわけです。それでも問題がないのは、この二十数年の歴史が証明しているところ。だとするならば、二〇二〇年大会の期間だけの措置というのは、さらなる検討が必要なのではないかと考えられます。
 先日、コーツ委員長からも、一千億円の縮減という目標が示されています。ここまで縮減の努力をしてきた東京都にとって、ここからさらに一千億円というのは簡単なことではないとは承知しておりますが、さらなるコスト縮減に向けた検討は必要なことだと考えます。
 コスト縮減が求められる中、この水質対策の実施について都の見解を伺います。
 そもそも、都として、この水質改善問題の根本的な原因をどのように捉えているのか、都の見解として、これまでこの大腸菌群に関しての原因言及はなされていません。しかし、原因を究明しない中での対策では、その効果も最大限に生かせないのではないかと憂慮しています。ぜひ根本的な原因究明をしていただくよう要望いたします。
 さらに、オリンピック・パラリンピックは、大会そのものだけが目的ではなく、それによって大会後に何を残せるかが大切だと思います。今回、競技会場としてお台場の水質がクローズアップされ、新たに都民や世界の目が、この東京湾に注がれるようになりました。
 こういったことを一つの契機として、身近な海の価値を改めて高めていく動きにつながってほしいと思っております。お台場から東京湾全体に目を転じれば、水質の代表的指標である科学的酸素要求量、CODの値は改善されつつあるものの、近年、横ばい状態が続き、環境基準が達成されていない箇所もあると聞いています。
 東京湾は、競技会場として注目されているだけではなく、都民や東京を訪れる人々にとって憩いの場でもあり、また、多様な生物が育まれる場でもあります。こうした価値は、良好な水質が保たれることを通じて、より高められていくと考えられます。
 二〇二〇年東京大会を契機として注目が高まっている東京湾については、これまでもさまざまな水質改善の取り組みがされてきたと思いますが、改めて、水質改善の取り組みについて知事の見解を伺います。
 次に、豊洲地区のにぎわいと活性化について質問させていただきます。
 豊洲市場の移転が来年十月の中旬に決まったと聞いております。これを契機に、市場が移転する豊洲地区の活性化をどう進めていくかを考えていくことは、地元江東区にとっても、東京都にとっても大変重要です。
 歴史と伝統があり、多くの観光客を引きつけてやまない築地市場が、地元江東区の豊洲地区にやってまいります。魚、果物など四季折々の自然の恵みが、最新鋭の設備を有する豊洲市場に全国から集まり、世界各国からの多くの人々が集い、豊洲のまちがにぎわっていく。さらに豊洲市場に隣接されるにぎわい施設が加わり、にぎわいはさらに大きくなる。
 こうした営みを通して、豊洲ブランドの歴史が始まり、紡がれていく。そんな光景を間もなく目にすることができると思うと大変うれしいところです。
 そこで、新市場と豊洲地区のにぎわいの関連をどのように構築していくのか、都の見解を伺います。
 豊洲地区は、環状二号線を初め交通網の整備も進み、リッチなベイサイドという資産に加えて、東京タワーを初め都心を一望できるすばらしいロケーションだと考えています。だからこそ、こうした地域資源を生かした豊洲地区のブランディングが必要です。
 その実現のためには、豊洲地区の住民が安心して暮らせる住環境の確保が大前提であります。その上で、豊洲ブランドを支えるにぎわいの創出には、短期的なはやりもののお祭り的なにぎわいではなく、継続性のあるにぎわいの創出が欠かせません。心豊かな日常生活を営む地元住民が創意工夫を凝らしてつくり上げるにぎわいは、集う人に心温まる共感を与え、豊洲地区のリピーターをふやすことにつながります。
 こうした地元のにぎわいを大きく発展させ、まちの個性につなげていくことが重要であると考えています。
 豊洲地区は、豊かな水域に囲まれている地区特性を生かした整備が進められており、誰もが楽しめる快適な水と緑のネットワーク形成を図ることのできる将来性のあるまちです。このまちの未来を考えれば、豊洲地区のにぎわい醸成はまだまだ始まったばかり。東京都として、ぜひ今後の積極的な取り組みを要望しておきます。
 次に、自転車保険について伺います。
 環境や健康志向を追い風に、自転車愛好家がふえるに従って、自転車事故が目立つようになってきました。特に問題になっているのは、被害者を高度障害もしくは死亡させてしまうことで負う高額な損害賠償請求。中には一億円を超える支払い命令もあり、自転車保険の必要性が問われています。
 自転車保険とは、自分がけがをしたときに治療費をカバーする傷害保険と、第三者の体に障害を与えたときによる損害賠償に備える個人賠償責任保険がセットになった保険です。主契約は傷害保険ですが、損害賠償金が高額になる事故がふえていることから、個人賠償責任保険が自転車保険のかなめになっています。
 ここ数年の交通事故全体に占める自転車事故の割合は二割程度で緩やかに減少していますが、平成九年には六百三十三件だった対歩行者との事故発生は、平成二十七年には四倍の二千五百六件、自転車同士の事故も六百三十七件から二千五百十九件と約四倍に膨れ上がっています。
 自転車で深刻なのは、加害者が子供や高齢者であっても、被害者のダメージには変わりなく、損害賠償請求額も同じ。自転車を利用する人は、必ずほかの車両と同様、自転車損害賠償保険に入っておくべきだと考えます。
 全国的にも自転車保険は義務化が進んでいます。これまで義務化された自治体は、兵庫県、大阪府、滋賀県、鹿児島県、京都府、名古屋市など、そして埼玉県、金沢市でも平成三十年四月から予定しています。
 現在、東京は、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例により推奨、つまり努力義務となっています。
 そこで、自転車数も自転車の事故数も多い東京として、今後、自転車保険に対してどのように対応していくのか、考えを伺います。
 都民の保険に対する意識を高めることは、被害者や、そして加害者の救済だけではなく、安全利用の意識向上にもつながるので、ぜひ加入促進に向けた取り組みを強化していただきたい。そして、保険加入だけではなく、自転車の安全利用を進めていくには、都のみならず、民間業者とも連携をして、社会全体で広く自転車の安全利用に向けた取り組みを進めていくことが効果的だと考えます。
 そこで、社会全体で広く自転車の安全利用に向けた取り組みを進めていけるよう、民間業者との連携を進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、安全対策は、現在広がりを見せるシェアサイクルにも必要であります。東京はもちろん、日本国内でも急速に伸びており、国内七十七の都市でシェアサイクルは導入されています。
 そして、シェアサイクルにおいても、事故が起きる可能性は同様。さらに、東京では観光客の急激な増加から、住民以外の利用増大が見込まれ、トラブルが起こった後の処理も大変重要になることが想定され、損害賠償保険の普及が望まれるところであります。
 このような懸念から、京都府、京都市、鹿児島県などでは既にシェアサイクルの賠償保険義務化をしており、金沢市、埼玉県等も平成三十年には義務化になることが決まっております。
 ぜひ東京におかれましても、早急な対応を要望し、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 白戸太朗議員の一般質問にお答えいたします。
 東京湾の水質改善についてのご質問でございました。
 東京湾は、海浜公園、そして商業施設が存在するにぎわいの場であるとともに、干潟、水辺には多様な生物が生息しておりまして、快適な水辺を創出し、かつ貴重な自然環境を保全していく上で、水質の確保は極めて重要であると認識をいたしております。
 このため、都といたしまして、水質汚濁防止法に基づいて、事業所排水規制のほか、下水道施設の改善、汚泥のしゅんせつなどによりまして、東京湾の水質改善を推進しているところでございます。
 一方で、東京湾の水質でございますが、東京以外の都市の活動の影響も受けるなどの課題がございまして、広域的な対応が不可欠となります。
 今後とも、国や九都県市を初めといたしまして、近隣の自治体とも連携をして、汚濁負荷の一層の低減や住民意識の向上を図るなど、東京湾の水質の改善に向けまして、着実に取り組んでまいる所存でございます。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、お台場海浜公園の水質対策についてであります。
 都は、平成二十二年度から二十四年度にかけて、東京港の水質改善を目的として、お台場海浜公園内の一部において、水中スクリーンの実証実験を実施し、二重スクリーンでも水域外から流入する、ふん便性大腸菌群数を一定程度抑制する効果が確認されております。
 なお、本実験に要した費用は約二億円でございます。
 また、今年度実施したお台場海浜公園の水質確保調査におきまして、学識経験者等から水中スクリーンの設置は、水質対策として有効な手段であるとの意見をいただいております。
 今後、組織委員会や関係局と連携し、二〇二〇年大会におきまして、アスリートが安心して競技に臨めるよう、競技会場の水質対策を進めてまいります。
 続きまして、水質対策の実施についてでございます。
 二〇二〇年大会におけるトライアスロン競技及び水泳競技のマラソンスイミングでは、それぞれの国際競技団体が定める水質基準を満たすことが求められております。競技水域において、大会時に選手たちが存分に力を発揮できるよう、水質面で良好な競技環境を実現するための対策として、水中スクリーンは有効な手段であると考えております。
 今後、二〇二〇年大会では、費用対効果の高い対策がしっかりと講じられるよう、水中スクリーンの効率的な設置方法や競技運営面での工夫などについて検討し、コスト縮減にも努めてまいります。
 引き続きIOCや組織委員会と連携し、円滑な大会運営が可能となるよう、準備に万全を期してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 豊洲市場と豊洲地区のにぎわいについてですが、豊洲市場は、日本の中核市場として、全国の産地から新鮮な旬の食材が集まり、数多くの取引が活発に行われる活気にあふれる市場としていくことが重要でございます。
 また、千客万来施設と相まって、豊洲ならではのにぎわいを生み出すことも期待されております。
 このため、都は、千客万来施設事業を着実に進めるとともに、豊洲市場の屋上緑化広場や、市場外周部に設けた豊洲ぐるり公園を活用したイベントの実施など、江東区とも連携したにぎわいの場の創出に取り組んでまいります。豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化を図り、新たな豊洲ブランドの構築を目指してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 二点についてお答えいたします。
 最初に、自転車損害賠償保険への加入促進についてでございますが、都は、交通安全運動やリーフレットの配布など、さまざまな機会を活用して、保険の重要性の理解促進に努めてまいりました。
 昨年度、自転車安全利用条例を改正し、自転車販売時の安全利用の啓発を義務化したことを踏まえ作成したルール・マナー確認書に、賠償保険加入を具体例として示すことにより、全ての自転車購入者への周知を徹底しております。また、条例改正により、児童の保護者が賠償保険に加入するなどの措置を講ずる努力義務を新たに設けたところであります。
 自転車利用者が加害者となる事故が発生した場合には、高額な賠償責任を負うこともあるため、事故への備えとして保険加入は極めて重要であり、今後も、都民の理解促進に向け、あらゆる機会を捉えて積極的な啓発活動を進めてまいります。
 次に、自転車の安全利用促進に関してでございますが、社会全体で、自転車安全利用を進めていくためには、行政や警察だけでなく、民間事業者との連携協力も重要であります。
 都は、自転車安全利用推進者を選任して、安全利用に取り組む事業者を、自転車安全利用推進事業者とし、研修講師紹介や情報提供等の支援を実施しております。
 また、昨年度、損害保険会社と協定を締結し、これに基づき、当該保険会社はヘルメット着用時の死亡事故の際に、保険金を増額する保険の開発、販売、自転車販売時の啓発に使用するルール・マナー確認書の作成等を実施しております。
 こうした取り組みをより広範に展開することが重要であるため、今後、民間事業者との連携拡大に努め、交通安全教室やイベント等を通じ、幅広く連携事業を推進するなど、安全利用に向けた都民一人一人の意識を一層高めてまいります。

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